WO2014106896A1

WO2014106896A1 - 成形面ファスナー及びクッション体の製造方法

Info

Publication number: WO2014106896A1
Application number: PCT/JP2013/050024
Authority: WO
Inventors: 健司奥田; 峰登寺田; 進一今井
Original assignee: Ykk株式会社
Priority date: 2013-01-07
Filing date: 2013-01-07
Publication date: 2014-07-10
Also published as: KR101719086B1; CN104902777B; CN104902777A; EP2941978A1; EP2941978A4; TW201446174A; EP2941978B1; US9936773B2; KR20150104596A; US20150335106A1; TWI538633B

Abstract

　本発明の成形面ファスナー(1,2,3,4,5)は、平板状の基材(11,31,61)と、基材(11,31,61)に立設された複数の係合素子(12)とを備えた少なくとも１つの面ファスナー部材(10,30,60)と、基材(11,31,61)の左右側縁部(11a,31a,61a)に基材(11,31,61)の長さ方向に沿って固着された樹脂材料浸入阻止部材(20,40,50,51,70)と、基材(11,31,61)の長さ方向に沿って立設された左右の支持部材(13,12)とを有しており、樹脂材料浸入阻止部材(20,40,50,51,70)の上端部が支持部材(13,12)の上端位置よりも上方に突出している。このような成形面ファスナー(1,2,3,4,5)が一体化されたクッション体(6)は、成形面ファスナー(1,2,3,4,5)の係合素子領域内への発泡体の浸入を防止できるため、所定の係合力を安定して確保できる。

Description

成形面ファスナー及びクッション体の製造方法

　本発明は、発泡体の成形時に同発泡体表面に一体化される成形面ファスナー、及びその成形面ファスナーが一体化されるクッション体の製造方法に関し、特に、クッション体の発泡成形時に発泡樹脂材料が面ファスナー部材の係合素子領域に浸入することを効果的に阻止可能な成形面ファスナー、及びその成形面ファスナーが成形一体化されるクッション体の製造方法に関する。

　自動車や列車の座席用シート、各種ソファー、事務用チェアーなどは、発泡性樹脂を用いて所定の形状に成形されたクッション体（発泡体）の表面に、繊維製布帛や天然又は合成皮革などからなる表皮材を被着させて構成されていることが多い。このような各種のシート等に用いられるクッション体は、長時間着座しても疲れない着座姿勢を維持するため、人間工学的に満足する凹凸形状からなる湾曲面を有していることがある。

　また、クッション体の表面に表皮材を被着させる場合、クッション体を所望の形状に成形した後、得られたクッション体の表面に表皮材を被せて固定する方法が採用されることが多い。特にこの場合、クッション体の表面と表皮材の裏面とを固定する手段として、成形面ファスナーが一般的に利用されている。

　成形面ファスナーは、熱可塑性樹脂からなる基材の一表面（第１面）に複数の係合素子（例えば、雄型係合素子）が配されて構成されており、このような成形面ファスナーを、クッション体の成形時に同クッション体表面に係合素子が露呈するように成形一体化する。また、このクッション体を被覆する表皮材の裏面には、成形面ファスナーの係合素子と係着可能な複数の係合素子（雌型係合素子）を設けておく。

　そして、成形面ファスナーが一体化されたクッション体に表皮材を被せた後、その表皮材の裏面に配された雌型係合素子を、クッション体表面に露呈した成形面ファスナーの雄型係合素子に押し付けることにより、表皮材を成形面ファスナーに係着させる。これによって、表皮材が、クッション体の表面に当該表面の凹凸形状に沿って容易に固定され、表皮材がクッション体から浮き上がることを防止している。

　このような表皮材とクッション体との固定に用いられる成形面ファスナーでは、所要の固着強度を安定して確保するために、クッション体の発泡成形時にクッション体の発泡樹脂材料が成形面ファスナーの係合素子が形成されている領域（係合素子領域）内に浸入することを防いで、成形面ファスナーの係合素子領域をクッション体の表面に露呈させることが必要となる。

　一方、例えば実開昭６４－４３７０５号公報（特許文献１）には、係合素子領域に樹脂材料が浸入することを防止することが可能なクッション体に一体化される面ファスナーが開示されている。

　例えば図２２に示したように、特許文献１に記載されている面ファスナー８０は、平板状の基材８２の表面に多数のフック状係合素子８３が立設された面ファスナー部材８１と、基材８２の左右側縁部に配され、略Ｌ字状の横断面を備えた不織布からなる樹脂浸入防止部材８４と、基材８２の裏面に配された不織布からなる固定部材８５とを有している。

　また特許文献１において、樹脂浸入防止部材８４及び固定部材８５は、超音波溶着や高周波溶着などの溶着、又は接着剤による接着などによって面ファスナー部材８１に固着されている。更に、横断面が略Ｌ字状の樹脂浸入防止部材８４は、基材８２に立設されたフック状係合素子８３の位置から幅方向の外側に離間して配されている。

　このような特許文献１の面ファスナー８０が一体化されるクッション体を発泡成形する場合には、図２３に示したように、面ファスナー８０をクッション体成形用金型８６の内面（キャビティ面）に載置して、発泡樹脂材料８７を金型８６の内部空間（キャビティ）に注入する。

　この場合、金型８６の内面には、面ファスナー８０の一部を挿入して面ファスナー８０を位置決め保持するための凹溝部（トレンチ部）８８が設けられており、この凹溝部８８は、面ファスナー８０の形態に対応した溝形状、溝寸法、及び溝深さを有するように形成されている。このような金型８６の凹溝部８８内に多数の係合素子８３と略Ｌ字状の樹脂浸入防止部材８４の一片部とが挿入される。またこのとき、樹脂浸入防止部材８４の他片部が、面ファスナー８０の基材８２と金型８６の内面との間に挟まれるように配置される。

　このように金型８６の凹溝部８８に面ファスナー８０をセットした状態で発泡樹脂材料８７を金型８６内に注入して発泡成形を行うことにより、不織布からなる樹脂浸入防止部材８４が、発泡樹脂材料８７を吸収するとともに発泡樹脂材料８７が凹溝部８８内に浸入することを防止して、面ファスナー８０が一体化されたクッション体を製造することが可能となる。

　従って、上述のようにして製造された面ファスナー８０が一体化されたクッション体は、面ファスナー８０の係合素子８３が発泡体によって埋められることを防いで、面ファスナー８０の係合素子８３をクッション体の外面に露出させることができる。このため、面ファスナー８０が一体化されたクッション体において、係合素子８３による係合力の低下を防ぐことができる。

　また、国際公開第２００９／０５８１７９号パンフレット（特許文献２）には、表面に複数の係合素子が立設された基材の裏面側に、不織布からなるアンカー層が固着された成形面ファスナーが開示されている。

　また、この特許文献２の成形面ファスナーは、アンカー層となる不織布が、成形面ファスナーの基材の左右側端縁から幅方向の外側に延出して構成されている。更に、不織布の基材に固着している部分の裏面側と、基材の左右側端縁から外側に延出している部分の表面側とには、磁気により吸着可能なコーティング層が形成されている。

　このような特許文献２の成形面ファスナーが一体化されるクッション体を発泡成形する場合には、キャビティ面に磁石を配置した成形用金型が用いられる。この金型の磁石を配置した部分に、成形面ファスナーを複数の係合素子がキャビティ面に対面するように載置することにより、成形面ファスナーの不織布に形成されたコーティング層が磁石に引き付けられる。それにより、成形面ファスナーが金型のキャビティ面に磁力によって吸着固定されるとともに、基材の左右側端縁から延出している不織布が、磁石に引き付けられて金型のキャビティ面に接触した状態となる。

　この状態で発泡樹脂材料の射出成形を行うことにより、基材の左右側端縁から延出している不織布がキャビティ面に接触して、不織布の内部に複数の係合素子を閉じ込めているため、発泡樹脂材料が成形面ファスナーの係合素子の形成領域に浸入することを防止して、面ファスナーが一体化されたクッション体を製造することが可能となる。

実開昭６４－４３７０５号公報国際公開第２００９／０５８１７９号パンフレット

　前述のような特許文献１に記載されている面ファスナー８０を、発泡成形するクッション体に一体化する場合、クッション体の面ファスナー８０を設ける箇所に対応して、金型８６の内面に、上述のような凹溝部（トレンチ部）８８を予め設けておき、金型８６に対して特許文献１の面ファスナー８０を位置決め保持する必要がある。

　一方、面ファスナーが一体化されるクッション体は、その用途などに応じて、形状及びサイズが変更されることが多く、また、クッション体に一体化される面ファスナーの取付位置も変更されることがある。更に、クッション体を製造する製造業者などに応じて、クッション体を構成する発泡樹脂材料の種類も異なっている。

　このため、特許文献１の面ファスナー８０を用いる場合、クッション体の用途などに応じて、上述のように金型８６の内面に凹溝部８８を所定の位置に予め設ける必要があるため、成形に用いられる金型８６の作製が煩雑になるという問題があった。また、クッション体の形態が変更される場合だけでなく、例えばクッション体全体の形態が変わらなくても、一体化される面ファスナー８０の取付位置が変更される場合にも、新たな金型８６をその都度作製しなければならなかった。このため、金型８６の作製に係るコストや作業負担の増大を招いていた。

　なお、特許文献１に記載されている面ファスナー８０の場合、例えば金型８６の内面に上述のような凹溝部８８を設けることなく、その面ファスナー８０を金型８６の内面の平坦面部分に、複数の係合素子８３及び不織布からなる左右の樹脂浸入防止部材８４が当該平坦面に対面するように設置して、クッション体の発泡成形を行うことも考えられる。このように発泡成形を行うことにより、左右の樹脂浸入防止部材８４の内側に複数の係合素子８３が閉じ込められた状態となるため、発泡樹脂材料８７が成形面ファスナー８０の係合素子８３の形成領域に浸入することを防止できるようにも思われる。

　しかし、特許文献１の面ファスナー８０では、横断面がＬ字状の樹脂浸入防止部材８４が不織布からなり、また、その不織布のＬ字状の一片部が単独で基材８２から起立した状態で保持されている。このように基材８２から単独で起立している不織布により構成される樹脂浸入防止部材８４だけでは、発泡樹脂材料の浸入を防止する防壁（障壁）としての強度が十分に得られず、樹脂浸入防止部材８４の一片部が倒れたり、屈曲したりし易い場合もあった。

　従って、特許文献１における樹脂浸入防止部材８４では、発泡成形時に金型８６の内部に注入された発泡樹脂材料８７の流動圧力や発泡圧力に十分に耐えることができず、その結果、倒れた又は屈曲した樹脂浸入防止部材８４から、複数の係合素子８３が立設されている部分への発泡樹脂材料８７の浸入を許してしまい、成形面ファスナー８０の係合力の低下させる可能性があった。

　一方、特許文献２に記載されている成形面ファスナーをクッション体に成形一体化する場合、基材の左右側端縁から延出している不織布のコーティング層が、前述のように、磁石に引き付けられることによって、その不織布の延出片が金型のキャビティ面に接触するため、その不織布の延出片の内部に複数の係合素子が閉じ込められた状態となる。これにより、発泡樹脂材料が成形面ファスナーの係合素子の形成領域に浸入することを防止できる。

　しかし、特許文献２の成形面ファスナーでは、不織布のコーティング層と磁石との間の磁力を利用しているものの、係合素子形成領域への発泡樹脂材料の浸入を防止する不織布の延出片が動き易い。このため、金型の内部に射出された発泡樹脂材料の流動圧力や発泡圧力が大きくなった場合に、金型のキャビティ面に接触していた延出片が、発泡樹脂材料の流動圧力や発泡圧力を受けてキャビティ面から浮くことがあり、発泡樹脂材料の浸入を許す虞があった。

　また、例えば使用する発泡樹脂材料の粘度が低い場合には、特許文献２の成形面ファスナーのように基材から延出した不織布の延出片が金型のキャビティ面に接触しているだけでは、発泡樹脂材料の浸入を十分に防止できない虞がある。

　更に、例えばクッション体の発泡成形においては、金型に対して噴射ノズルを相対的に移動させながら同噴射ノズルから発泡樹脂材料が噴射されることがある。この場合、発泡樹脂材料が成形面ファスナーに対して斜め方向から噴き付けられることがあるが、金型のキャビティ面にセットされた特許文献２の成形面ファスナーに対して、斜め方向から発泡樹脂材料が噴き付けられた場合、基材から延出してキャビティ面に接触している不織布の延出片が捲れやすく、その延出片の捲れた部分から発泡樹脂材料の浸入を許すこともあった。

　本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、クッション体成形用金型の作製に係るコストや作業負担を軽減することが可能で、また、クッション体の発泡成形時に発泡樹脂材料が係合素子形成領域に浸入することを効果的に防いで、係合素子による係合力を安定して確保することが可能な成形面ファスナーを提供すること、及び、その成形面ファスナーが一体化されたクッション体を製造する方法を提供することにある。

　上記目的を達成するために、本発明により提供される成形面ファスナーは、基本的な構成として、平板状の基材と、前記基材の第１面における幅方向の中央領域に立設された複数の係合素子とを備えた少なくとも１つの面ファスナー部材を有し、クッション体の発泡成形時に同クッション体に一体化される成形面ファスナーであって、前記基材の第１面における幅方向の左右側縁部に固着され、前記基材の長さ方向に沿って配される可撓性を備えたシート状の樹脂材料浸入阻止部材と、前記基材に対する前記樹脂材料浸入阻止部材の固着部よりも幅方向の内側に、前記基材の長さ方向に沿って立設され、前記樹脂材料浸入阻止部材を支持する左右の支持部材とを有し、前記樹脂材料浸入阻止部材の上端部は、前記支持部材の上端位置よりも上方に突出してなることを最も主要な特徴とするものである。

　本発明に係る成形面ファスナーは、１つの前記面ファスナー部材により構成され、前記樹脂材料浸入阻止部材は、前記基材の長さ方向の全体に亘って連続して配される左右の第１枠部と、前記面ファスナー部材の長さ方向の両端部に、前記面ファスナー部材の幅方向に沿って配され、左右の前記第１枠部間を連結する第２枠部とを有していることが好ましい。

　この場合、前記第１枠部及び前記第２枠部が一体に形成され、前記樹脂材料浸入阻止部材が単一の部材により構成されていることが好ましい。また、前記樹脂材料浸入阻止部材は、前記第１枠部及び前記第２枠部により囲まれる矩形状の開口部を有し、前記開口部の幅方向における寸法が、左右の前記支持部材の外面間の寸法より小さく、且つ、前記開口部の長さ方向における寸法が、前記面ファスナー部材の長さ方向における寸法より小さく設定されていることが好ましい。

　また、本発明に係る成形面ファスナーにおいて、シート状の前記樹脂材料浸入阻止部材は、当該樹脂材料浸入阻止部材の側縁部同士が接続された筒状の形態を有して、前記基材の前記左右側縁部に固着されていても良い。

　更に、本発明に係る成形面ファスナーは、複数の前記面ファスナー部材と、複数の前記面ファスナー部材を長さ方向に沿って連結する可撓性を備えた接続部材とを有し、前記樹脂材料浸入阻止部材は、複数の前記面ファスナー部材に亘って長さ方向に連続して配される左右の第１枠部と、隣接する前記面ファスナー部材間に跨って、前記面ファスナー部材の幅方向に沿って配され、左右の前記第１枠部間を連結する第２枠部とを有していても良い。

　この場合、前記第１枠部及び前記第２枠部が一体に形成され、前記樹脂材料浸入阻止部材が、単一の部材により構成されていることが好ましい。また、シート状の前記樹脂材料浸入阻止部材は、長さ方向全体に亘って、一定の幅寸法を有し、複数の前記面ファスナー部材間を当該面ファスナー部材の幅方向の全体に亘って被覆していることが好ましい。更に、前記接続部材は、前記樹脂材料浸入阻止部材の下面側にて、複数の前記面ファスナー部材における幅方向の中央部を連結していることが好ましい。

　また、本発明に係る成形面ファスナーにおいて、前記樹脂材料浸入阻止部材は、前記基材の左右側端縁より幅方向の外側に延出していることが好ましい。
　更に、前記樹脂材料浸入阻止部材は、不織布により構成されていることが好ましい。

　更にまた、左右の前記支持部材は、複数の係合素子により構成された係合素子領域を間に挟むように前記基材に一体成形され、前後方向に沿って間欠的に又は連続的に立設された壁部材により構成されていることが好ましい。

　次に、本発明により提供されるクッション体の製造方法は、上述の構成を有する成形面ファスナーを、金型のファスナー載置面に、前記基材の第１面側を対向させるように密着させた状態で発泡成形を行うことにより、前記成形面ファスナーが一体化されたクッション体を製造することを最も主要な特徴とするものである。

　また、本発明に係るクッション体の製造方法は、前記金型の前記ファスナー載置面が単一面からなり、当該単一面に前記成形面ファスナーを密着させることを含んでいることが好ましい。

　本発明に係る成形面ファスナーは、平板状の基材の中央領域に複数の係合素子が立設された少なくとも１つの面ファスナー部材と、基材の左右側縁部に固着され、基材の長さ方向に沿って配される可撓性を備えたシート状の樹脂材料浸入阻止部材と、前記基材に対する樹脂材料浸入阻止部材の固着部よりも幅方向の内側に、基材の長さ方向に沿って立設された左右の支持部材とを有している。また。樹脂材料浸入阻止部材は、その上端部を支持部材の上端位置よりも上方に突出させた状態で支持部材に支持されている。

　なお、本発明において、基材の第１面とは、係合素子が立設される側の面を言い、成形面ファスナーをクッション体に一体化したときに外部に露出する側の面である。また、基材の第２面とは、係合素子が立設される側とは反対の側の面を言い、成形面ファスナーをクッション体に一体化したときに、クッション体に対面する側の面である。

　このような本発明の成形面ファスナーであれば、クッション体を成形する発泡成形用金型のキャビティ面の一部となるファスナー載置面にセットしたときに、支持部材に支持され、且つ、上端部を支持部材よりも突出させた樹脂材料浸入阻止部材を、そのキャビティ面（ファスナー載置面）に安定して密着させて、樹脂材料浸入阻止部材と金型のキャビティ面との間に隙間が生じることを防止できるため、樹脂材料浸入阻止部材のシール性を大幅に高めることができる。しかも、樹脂材料浸入阻止部材が支持部材で支持されていることにより、樹脂材料浸入阻止部材が金型のキャビティ面に密着している状態（樹脂材料浸入阻止部材のシール性）を安定して維持することができる。

　これにより、例えば金型の内部に射出された発泡樹脂材料の流動圧力や発泡圧力が大きくなる場合や、使用する発泡樹脂材料の粘度が低い場合、又は、発泡樹脂材料が成形面ファスナーに対して斜め方向から噴き付けられる場合であっても、クッション体の発泡成形時に発泡樹脂材料が成形面ファスナーの樹脂材料浸入阻止部材を越えて、複数の係合素子が立設された係合素子領域に浸入することを効果的に防止できる。このため、クッション体に一体化された成形面ファスナーは、当該成形面ファスナーに形成された複数の係合素子が本来有する係合力（係着力）を安定して確保することができる。

　また、本発明の成形面ファスナーは、特に金型の単一面からなるキャビティ面（例えば平坦なキャビティ面）にセットした場合、発泡樹脂材料が係合素子領域に浸入することを効果的に防止できるため、例えば前述した特許文献１のように、金型の内面に面ファスナーを位置決め保持するために、専用の凹溝部（トレンチ部）を設ける必要がない。このため、クッション体を成形する金型の作製に係るコストや作業負担を、特許文献１の場合に比べて大幅に軽減することでき、成形面ファスナーが一体化されたクッション体を低コストで効率的に製造することが可能となる。

　このような本発明の成形面ファスナーは、１つの面ファスナー部材により構成されている場合に、樹脂材料浸入阻止部材は、基材の長さ方向の全体に亘って連続して配される左右の第１枠部と、面ファスナー部材の長さ方向の両端部に、面ファスナー部材の幅方向に沿って配され、左右の第１枠部間を連結する第２枠部とを有している。

　これにより、本発明の成形面ファスナーを、金型の単一面からなるキャビティ面にセットしてクッション体の発泡成形を行う際に、発泡樹脂材料が成形面ファスナーの幅方向から樹脂材料浸入阻止部材を越えて係合素子領域に浸入することを防止できるとともに、成形面ファスナーの長さ方向から樹脂材料浸入阻止部材を越えて係合素子領域に浸入することも安定して防止できる。このため、クッション体に一体化された成形面ファスナーは、本来有する係合力（係着力）をより安定して確保することができる。

　この場合、樹脂材料浸入阻止部材は、第１枠部及び第２枠部が一体に形成された単一の部材により構成されている。これにより、樹脂材料浸入阻止部材を簡単に構成できるとともに、面ファスナー部材に対する樹脂材料浸入阻止部材の取り付け作業が容易となり、本発明の成形面ファスナーを効率的に製造することができる。更に、第１枠部及び第２枠部が一体形成されていることにより、樹脂材料浸入阻止部材の強度を安定して確保できるとともに、第１枠部及び第２枠部で発泡樹脂材料の浸入をより効果的に防止できる。

　また、樹脂材料浸入阻止部材は、第１枠部及び第２枠部により囲まれる矩形状の開口部を有し、この開口部の幅方向における寸法が、左右の支持部材の外面間の寸法より小さく、且つ、開口部の長さ方向における寸法が、面ファスナー部材の長さ方向における寸法より小さく設定されている。

　これにより、成形面ファスナーにおける樹脂材料浸入阻止部材の開口部の相対的な位置がずれ難くなる。このため、クッション体の発泡成形時に、樹脂材料浸入阻止部材で係合素子領域への発泡樹脂材料の浸入をより安定して防止でき、また、樹脂材料浸入阻止部材の開口部から、成形面ファスナーの係合素子や支持部材の一部が樹脂材料浸入阻止部材よりも上方に突出する（抜け出る）ことも防止できる。

　また、本発明に係る成形面ファスナーにおいて、シート状の樹脂材料浸入阻止部材は、当該樹脂材料浸入阻止部材の側縁部同士が接続された筒状の形態を有して、基材の左右側縁部に固着されていても良い。これによっても、クッション体の発泡成形時に、樹脂材料浸入阻止部材で係合素子領域への発泡樹脂材料の浸入を安定して防止することができる。

　更に、本発明に係る成形面ファスナーは、複数の面ファスナー部材と、複数の面ファスナー部材を長さ方向に沿って連結する可撓性を備えた接続部材とを有している場合に、樹脂材料浸入阻止部材は、複数の面ファスナー部材に亘って長さ方向に連続して配される左右の第１枠部と、隣接する面ファスナー部材間に跨って、面ファスナー部材の幅方向に沿って配され、左右の第１枠部間を連結する第２枠部とを有している。

　このように可撓性を備えた接続部材によって複数の面ファスナー部材を連結することによって、成形面ファスナーを幅方向へ曲げることができるように構成した場合に、樹脂材料浸入阻止部材が、上述のような第１枠部及び第２枠部を有することにより、成形面ファスナーの曲げ易さを確保するとともに、クッション体の発泡成形時に、発泡樹脂材料が成形面ファスナーの幅方向及び長さ方向から樹脂材料浸入阻止部材を越えて係合素子領域に浸入すること安定して防止することができる。

　またこの場合、クッション体を発泡成形したときに、樹脂材料浸入阻止部材の第１枠部の一部と第２枠部の一部とをクッション体の内部に埋設することができるため、成形面ファスナーとクッション体との接合強度（固着強度）が高められ、成形面ファスナーをクッション体に強固に固着一体化させることができる。

　この場合、樹脂材料浸入阻止部材は、第１枠部及び第２枠部が一体形に成された単一の部材により構成されており、特に、シート状の樹脂材料浸入阻止部材は、長さ方向全体に亘って一定の幅寸法を有し、複数の面ファスナー部材間を当該面ファスナー部材の幅方向の全体に亘って被覆している。

　これにより、樹脂材料浸入阻止部材を簡単に構成できるとともに、面ファスナー部材に対する樹脂材料浸入阻止部材の取り付け作業が容易となり、本発明の成形面ファスナーを効率的に製造することができる。また、第１枠部及び第２枠部が一体形成されていることにより、樹脂材料浸入阻止部材の強度を安定して確保できるとともに、第１枠部及び第２枠部で発泡樹脂材料の浸入をより効果的に防止できる。更に、クッション体を発泡成形したときに、可樹脂材料浸入阻止部材の第２枠部をクッション体内に広い面積で埋設できるため、成形面ファスナーとクッション体との接合強度（固着強度）がより高められる。

　更に、前記接続部材は、樹脂材料浸入阻止部材の下面側にて、複数の面ファスナー部材における幅方向の中央部間を長さ方向に連結している。これにより、第２枠部が隣接する面ファスナー部材間に跨って配されていても、成形面ファスナーを幅方向に安定して湾曲又は蛇行させることができる。また、クッション体の発泡成形を行った際に、樹脂材料浸入阻止部材の第２枠部における面ファスナー部材間に跨る部分と接続部材とをクッション体内に埋設でき、成形面ファスナーとクッション体との接合強度をより効果的に高めることができる。

　また、本発明に係る成形面ファスナーにおいて、樹脂材料浸入阻止部材が、基材の左右側端縁より幅方向の外側に延出していることにより、クッション体を発泡成形したときに、その樹脂材料浸入阻止部材の延出部分が、クッション体の内部に埋設される。これにより、成形面ファスナーとクッション体との接合強度（固着強度）が高められ、成形面ファスナーをクッション体に強固に固着一体化させることができる。

　更に、樹脂材料浸入阻止部材が、柔軟性を備えた不織布により構成されている。これにより、上述のような樹脂材料浸入阻止部材を容易に構成することができ、また、金型のキャビティ面に対する樹脂材料浸入阻止部材の高いシール性をより安定して得ることができる。

　更にまた、左右の前記支持部材は、複数の係合素子により構成された係合素子領域を間に挟むように、前後方向に沿って間欠的に又は連続的に立設された壁部材により構成されている。これにより、樹脂材料浸入阻止部材をより安定して支持できるため、クッション体の発泡成形時に発泡樹脂材料の流動圧力や発泡圧力を受けても、樹脂材料浸入阻止部材の位置がずれることを防ぎ、発泡樹脂材料が樹脂材料浸入阻止部材を越えて係合素子領域に浸入することをより効果的に防止できる。

　更にこの場合、前後方向に間欠的に又は連続的に立設された壁部材が、幅方向に複数列で配されていることにより、成形面ファスナーを金型のキャビティ面にセットするときに、成形面ファスナーを適切な姿勢で安定して固定でき、その結果、樹脂材料浸入阻止部材を金型のキャビティ面により安定して密着させることができる。また、例えば樹脂材料浸入阻止部材を支持部材と金型のキャビティ面との間に挟むようにして樹脂材料浸入阻止部材をキャビティ面に密着させる場合（後述の実施例１を参照）、樹脂材料浸入阻止部材をより広い面積でキャビティ面に密着させることができ、発泡樹脂材料の浸入をより一層効果的に防止できる。

　また、本発明によれば、上述の構成を有する成形面ファスナーを、金型のファスナー載置面に、前記基材の第１面側を対向させるように密着させた状態で発泡成形を行うことにより、前記成形面ファスナーが一体化されたクッション体を製造する製造方法が提供される。このようなクッション体の製造方法を用いることにより、成形面ファスナーの係合素子領域内に発泡樹脂が浸入しておらず、係合素子による所定の係着力が確保された成形面ファスナー付きのクッション体を安定して製造することができる。

　従って、本発明により製造されたクッション体に表皮材を被せた後、その表皮材の裏面に配された係合素子（雌型係合素子）を、クッション体に一体成形した成形面ファスナーの係合素子（雄型係合素子）に押し付けることにより、表皮材を成形面ファスナーに確実に係着させて、表皮材がクッション体から浮き上がることを防止できる。

　このような本発明に係るクッション体の製造方法では、金型のファスナー載置面が単一面により構成され、当該単一面に上述のような成形面ファスナーを密着させて、クッション体の発泡成形が行なわれる。このように成形面ファスナーを、金型の単一面からなるファスナー載置面に密着させても、成形面ファスナーの係合素子領域内に発泡樹脂が浸入することを防止できるため、所定の係着力を備えた成形面ファスナー付きのクッション体を安定して製造することができる。

　また、このように成形面ファスナーを金型の単一面からなるファスナー載置面（特に、平坦なファスナー載置面）に密着させることにより、例えば前述した特許文献１のように、金型の内面に面ファスナーを位置決め保持するために、専用の凹溝部（トレンチ部）を設ける必要がない。また、例えばクッション体に対する成形面ファスナーの位置が変更される場合であっても、例えば前述の特許文献１のように、新たな金型をその都度作製する必要もない。従って、クッション体を成形する金型の作製に係るコストや作業負担を、特許文献１の場合に比べて大幅に軽減することでき、成形面ファスナーが一体化されたクッション体を低コストで効率的に製造することが可能となる。

本発明の実施例１に係る成形面ファスナーを示す平面図である。同成形面ファスナーにおいて、面ファスナー部材に樹脂材料浸入阻止部材を固着する前の状態を示す斜視図である。図１に示したＩＩＩ－ＩＩＩ線の断面図である。図１に示したＩＶ－ＩＶ線の断面図である。同成形面ファスナーを、クッション体を成形する金型のキャビティ面に密着させた状態を示す断面図である。成形面ファスナーが一体化されたクッション体を示す断面図である。本発明の実施例２に係る成形面ファスナーを示す平面図である。同成形面ファスナーの面ファスナー部材を示す平面図である。図７に示したＩＸ－ＩＸ線の断面図である。図７に示したＸ－Ｘ線の断面図である。同成形面ファスナーの底面図である。同成形面ファスナーを幅方向に曲げたときの底面図である。本発明の実施例３に係る成形面ファスナーを示す平面図である。図１３に示したＸＩＶ－ＸＩＶ線の断面図である。同成形面ファスナーを、クッション体を成形する金型のキャビティ面に密着させた状態を拡大して示す断面図である。本発明の実施例４に係る成形面ファスナーを示す平面図である。図１６に示したＸＶＩＩ－ＸＶＩＩ線の断面図である。本発明の実施例５に係る成形面ファスナーを示す平面図である。同成形面ファスナーの面ファスナー部材を示す平面図である。図１８に示したＸＸ－ＸＸ線の断面図である。図１８に示したＸＸＩ－ＸＸＩ線の断面図である。従来の面ファスナーを示す断面図である。従来の面ファスナーを、クッション体を成形する金型のキャビティ面にセットして、同金型内に発泡樹脂材料を注入した状態を示す模式図である。

　以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下で説明する実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明と実質的に同一な構成を有し、かつ、同様な作用効果を奏しさえすれば、多様な変更が可能である。

　図１は、本実施例１に係る成形面ファスナーを示す平面図であり、図２は、同成形面ファスナーにおいて、面ファスナー部材に樹脂材料浸入阻止部材を固着する前の状態を示す斜視図である。また、図３及び図４は、図１に示したＩＩＩ－ＩＩＩ線及びＩＶ－ＩＶ線の断面図である。

　なお、以下の説明においては、成形面ファスナーの基材における長手方向を前後方向と規定し、基材における幅方向を左右方向と規定する。また、基材における表裏方向を上下方向と規定し、特に、基材に対して係合素子が配されている側の方向を上方とし、その反対側の方向を下方とする。

　本実施例１に係る成形面ファスナー１は、基材１１の上面（第１面）に複数の係合素子１２が立設された１つの面ファスナー部材１０と、その面ファスナー部材１０に固着される枠状の形態を備えた樹脂材料浸入阻止部材２０とを有する。

　面ファスナー部材１０は、平板状の基材１１と、基材１１の上面（第１面）に長さ方向（前後方向）に沿って立設された左右の支持部材１３と、左右の支持部材１３間に配された複数の係合素子（フック状の雄型係合素子）１２と、前後方向に沿って配される２つの線状磁性体１４と、左右の支持部材１３の内側に配され、線状磁性体１４を固定する固定部１５と、幅方向に沿って配された横壁体１６とを有している。

　この面ファスナー部材１０は、後述するようにダイホイールを用いて熱可塑性樹脂材料を成形することにより形成されている。なお、面ファスナー部材１０の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、ポリブチレンテレフタレート、又はそれらの共重合体などの熱可塑性樹脂材料を採用できる。また、線状磁性体１４は、面ファスナー部材１０が成形される際に、その面ファスナー部材１０の固定部１５が形成される部分に線状磁性体１４を導入することにより、その固定部１５に固定されるようにして一体成形されている。

　本実施例１における基材１１は、上下方向から見たときに、前後方向（長さ方向）に長い矩形状を呈する薄板状の形態を有しており、上下方向（表裏方向）に湾曲可能に構成されている。この基材１１は、幅方向の中央領域に配され、複数の係合素子１２及び左右の支持部材１３が立設される中央領域部と、左右の支持部材１３の立設位置よりも幅方向の外側に配された左右の側縁部１１ａとを有している。また、基材１１の左右側縁部１１ａの上面（第１面）は平坦面に形成されている。更に、基材１１の左右側端縁は、面ファスナー部材１０の長さ方向に沿って互いに平行に形成されている。

　この基材１１の下面（裏面）側には、前後方向に平行な複数の凹溝部１１ｂが設けられている。基材１１がこのような複数の凹溝部１１ｂを有することにより、成形面ファスナー１が後述するクッション体（発泡体）６の発泡成形時に成形一体化されたときに、面ファスナー部材１０の基材１１とクッション体６との接合面積を大きくして、クッション体６に対する面ファスナー部材１０の固着強度を高めることができる。

　なお、本発明では、クッション体６に対する面ファスナー部材１０の固着強度を高めるために、上述のような複数の凹溝部１１ｂの代わりに、例えば基材１１の下面に、突条部又はやじり状の突起部などを設けても良いし、又は、不織布を固着させても良い。また、基材１１の下面は、上述のような凹溝部１１ｂなどを設けることなく、平坦な面に形成しても良い。

　左右の支持部材１３は、複数の係合素子１２により構成された係合素子領域１８を間に挟むようにして、基材１１の左右側端縁よりも幅方向（左右方向）の内側に入り込んだ位置に、前後方向に沿って立設した壁状部材により構成されており、また、これらの左右の支持部材１３は、基材１１と一体に成形されている。

　本実施例１において、左右の支持部材１３は、夫々長さ方向に延びる縦壁列をそれぞれ３列ずつ有しており、各縦壁列は、長さ方向に所定のピッチで間欠的に配された複数の縦壁体１３ａにより構成されている。また、支持部材１３には、幅方向に隣接する縦壁列の縦壁体１３ａ間を接続する縦壁接続部が配されている。

　この支持部材１３は、樹脂材料浸入阻止部材２０を支持できる部材であればなんでも良いが、好適には、長さ方向に間欠的に又は連続的に延びる少なくとも１つの縦壁部材（縦壁列）であることが好ましい。すなわち、支持部材１３は、例えば長さ方向に連続して立設された１列以上の縦壁部材や、上述したように間欠的に配された複数枚の縦壁体を千鳥状に配置した縦壁部材であっても良い。

　ここで、支持部材１３の最も係合素子１２側に配された縦壁列の縦壁体１３ａを第１列目の縦壁体１３ａとし、その第１列目の縦壁体１３ａの外側に配された縦壁列の縦壁体１３ａを第２列目の縦壁体１３ａとし、最も外側に配された縦壁列の縦壁体１３ａを第３列目の縦壁体１３ａとする。なお、本発明において、左右の支持部材１３の構造は特に限定されるものではなく、例えば本実施例１の支持部材１３を構成する縦壁体１３ａの形態や配設数（縦壁列の数）は任意に変更することができる。

　本実施例１において、各列の縦壁体１３ａは、長さ方向に所定の取付ピッチをもって間欠的に配されており、各列の縦壁体１３ａ間には所定の間隙が長さ方向に設けられている。また、第２列目の縦壁体１３ａは、第１列目及び第３列目の縦壁体１３ａ間に形成される間隙の位置に対応するように配されており、第１列目～第３列目の縦壁体１３ａは、各縦壁列間にて互い違いの位置関係となるように千鳥状に配されている。

　また、支持部材１３の縦壁体１３ａの接続部は、第１列目及び第３列目の縦壁体１３ａと第２列目の縦壁体１３ａとの間に配され、第１列目及び第３列目の縦壁体１３ａの前端部及び後端部と、第２列目の縦壁体１３ａの長さ方向の中央部とを連結している。この連結部の高さ寸法（上下方向の寸法）は、第１列目～第３列目の縦壁体１３ａよりも低く設定されており、また、連結部の幅寸法（左右方向の寸法）は、第１列目及び第３列目の縦壁体１３ａと第２列目の縦壁体１３ａとの間の幅方向における間隔と同じ大きさに設定されている。

　本実施例１における支持部材１３が上述のように構成されていることにより、各縦壁列において縦壁体１３ａ間に設けられた間隙を拡げたり、狭めたりすることができるため、面ファスナー部材１０（成形面ファスナー１）を上下方向に自由に曲げることが可能となる。

　また、支持部材１３を、複数の縦壁列をもって幅方向に広く構成することにより、樹脂浸入防止部材２０を後述するように支持部材１３の上面側に被せるようにして面ファスナー部材１０に固着したときに、樹脂浸入防止部材２０を支持部材１３の上面側で幅方向に広く支えて、樹脂浸入防止部材の位置を安定させることができる。

　また、後述するように成形面ファスナー１を金型７のキャビティ面（ファスナー載置面）７ａに吸着固定したときに、樹脂材料浸入阻止部材２０を支持部材１３と金型７のキャビティ面７ａとの間に幅方向に広く挟み込むことができる。このため、樹脂材料浸入阻止部材２０を、支持部材１３の上面部と広く安定して密着させるとともに、当該樹脂材料浸入阻止部材２０を金型７のキャビティ面７ａとも広く安定して密着させることができ、その結果、樹脂材料浸入阻止部材２０によるシール性（すなわち、樹脂材料浸入阻止部材２０を挟んだ面ファスナー部材１０とキャビティ面７ａとの間のシール性）を大きく向上させることができる。

　係合素子１２は、クッション体６に被せられる表皮材との間で係着力が得られるように、長さ方向及び幅方向に所定の取付ピッチで整列して基材１１の上面に立設されている。特に本実施例１の場合、左右の支持部材１３の間に、長さ方向に沿って整列した係合素子１２の縦列が、幅方向に５列に並べられて配されている。

　この場合、面ファスナー部材１０における係合素子領域１８は、左右の支持部材１３と、後述するように最も前端側に配された横壁体１６が係合素子１２とともに構成する横支持部１６ａと、最も後端側に配された横壁体１６が係合素子１２とともに構成する横支持部１６ａとにより囲まれた部分で形成されている。

　また、各係合素子１２は、基材１１の上面から垂直に立ち上がる立ち上がり部と、その立ち上がり部の上端において前後方向に分岐して湾曲するフック状の係合頭部とを有している。更に、基材１１の上面からの各係合素子１２の高さ寸法（上下方向の寸法）は、支持部材１３の高さ寸法（縦壁体１３ａの高さ寸法）と同じ大きさに設定されている。なお、本発明において、係合素子１２の形状、寸法、取付ピッチ等は特に限定されるものではなく、任意に変更することができる。

　横壁体１６は、支持部材１３と係合素子１２との間に、及び、幅方向に互いに隣接する係合素子１２の間に、幅方向に沿って立設されている。この場合、横壁体１６は、隣り合って配される係合素子１２と下端部（基材１１側の端部）にて連結されている（図３及び図４を参照）。このように横壁体１６及び係合素子１２が連結されていることにより、横壁体１６と係合素子１２とが互いに補強されている。なお、本発明において、横壁体１６と係合素子１２とは、互いに離間して形成されていても良い。

　また、面ファスナー部材１０の最も前端側及び後端側に幅方向に沿って配された複数の横壁体１６は、これらの横壁体１６に挟まれるように配された係合素子１２とともに、樹脂材料浸入阻止部材２０の後述する横枠部（第２枠部）２２の裏面側を幅方向に沿って支持する横支持部１６ａを構成している。

　更に、各横壁体１６における基材１１の上面からの高さ寸法は、縦壁体１３ａ及び係合素子１２の高さ寸法と同じ大きさに設定されている。即ち、本実施例１では、縦壁体１３ａ、横壁体１６、及び係合素子１２の上端が同一平面上に配されている。このため、後述するように樹脂材料浸入阻止部材２０の縦枠部（第１枠部）２１及び横枠部（第２枠部）２２を、支持部材１３の上端面及び横支持部１６ａの上端面に載置したときに、樹脂材料浸入阻止部材２０の載置された各部分の高さ位置を相互に合わせる（揃える）ことができる。

　これにより、本実施例１の成形面ファスナー１を、例えば成形用金型７の平坦なキャビティ面７ａに、そのキャビティ面７ａに係合素子１２が対向する向きで載置したときに（図５を参照）、当該キャビティ面７ａに樹脂材料浸入阻止部材２０の縦枠部２１及び横枠部２２を安定して密着させ、樹脂材料浸入阻止部材２０を挟んだキャビティ面７ａと面ファスナー部材１０との間に隙間が形成されることを防止できる。

　線状磁性体１４は、面ファスナー部材１０の係合素子領域１８内において、左右の支持部材１３に最も近接して配された係合素子１２の列に沿って、基材１１の上面側に配された固定部１５を介して固定されている。この線状磁性体１４は円形断面を有しており、磁気的に吸引される材料、又は磁気的に吸引する材料から構成されている。

　このような線状磁性体１４が成形面ファスナー１に配されていることにより、後述するようにキャビティ面７ａに又はキャビティ面７ａの近傍位置に磁石８が配された金型７を用いてクッション体６を成形するときに、金型７の磁石８と成形面ファスナー１の線状磁性体１４との間に生じる磁力を利用することによって、当該成形面ファスナー１を金型７のキャビティ面７ａに安定して吸着固定することができる。

　この場合、磁気的に引き付けられる線状磁性体１４の材料としては、ポリエステル等の合成樹脂に鉄、コバルト、ニッケル等の合金からなる磁性粒子を混入したモノフィラメントや、これらの合金からなる金属細線を数本束ねて撚られた金属製撚糸などを用いることができる。一方、磁気的に引き付ける線状磁性体１４の材料としては、磁化された線材、具体的には金属製の線状磁石やゴムに磁性酸化鉄を含有させて磁化した線状のゴム磁石などを用いることができる。また、本発明では、線状の磁性体に代えて、細テープ状の磁性体を用いることも可能である。

　この線状磁性体１４を基材１１に固定する固定部１５は、支持部材１３の内側近傍位置に、長さ方向に沿って所定の間隔をもって配されており、基材１１の上面から横断面が矩形となるブロック状に突出した形態を有している。線状磁性体１４は、このような固定部１５を長さ方向に貫通するようにして固定部１５内に埋設されている。また、各固定部１５は、基材１１から立設した係合素子１２及び横壁体１６と一体的に構成されている。

　なお、本発明では、例えば固定部１５を基材１１の下面側に配置して、線状磁性体１４を基材１１の下面側で固定しても良い。また、線状磁性体１４を基材１１に固定する代わりに、面ファスナー部材１０を構成する合成樹脂に磁性粒子を混入すること又は練り込むことによって、面ファスナー部材１０に磁性を持たせることも可能である。

　このような面ファスナー部材１０に固着される樹脂材料浸入阻止部材２０は、可撓性を備えた薄肉片状のシート部材により構成されており、特に本実施例１の樹脂材料浸入阻止部材２０は、所定の厚さを備えた不織布により構成されている。樹脂材料浸入阻止部材２０が不織布により構成されていることにより、樹脂材料浸入阻止部材２０に適度な可撓性、柔軟性、及び膨らみ感を与えることができる。

　これにより、後述するようなクッション体６の発泡成形工程において、樹脂材料浸入阻止部材２０を金型７のキャビティ面７ａに磁力を利用して吸着固定させたときに、可撓性や柔軟性を備えた樹脂材料浸入阻止部材２０が適度に変形することにより、樹脂材料浸入阻止部材２０と金型７のキャビティ面７ａとの間のシール性を高めることができる。なお、本発明において、樹脂材料浸入阻止部材２０の材質は限定されるものではなく、例えば、織成又は編成された薄肉状の生地片などで樹脂材料浸入阻止部材２０を構成することも可能である。

　また、本実施例１の樹脂材料浸入阻止部材２０は、図１及び図２に示すように、額縁状（枠状）の形態を有した単一のシート状部材により構成されている。すなわち、樹脂材料浸入阻止部材２０は、成形面ファスナー１の長さ方向に沿って配される左右の縦枠部（第１枠部）２１と、面ファスナー部材１０の前端部側及び後端部側の位置に対応して幅方向に沿って配され、左右の縦枠部２１間を連結する横枠部（第２枠部）２２とを一体的に有しており、また、これらの左右縦枠部２１及び前後横枠部２２に囲まれる樹脂材料浸入阻止部材２０の中央部分には、矩形の開口部２３が形成されている。

　このような額縁状の樹脂材料浸入阻止部材２０は、当該樹脂材料浸入阻止部材２０における左右の縦枠部２１及び前後の横枠部２２の内周縁部（開口部２３の周縁部）を、支持部材１３の上端位置よりも上方に突出させた状態で、左右の縦枠部２１の裏面を面ファスナー部材１０の基材１１の左右側縁部１１ａに接着又は溶着することによって、面ファスナー部材１０に固着されている。

　特に本実施例１では、樹脂材料浸入阻止部材２０は、左右の縦枠部２１の一部を支持部材１３の上面側に被せるとともに、前後の横枠部２２の一部を、面ファスナー部材１０の最も前端側及び最も後端側に配された横支持部１６ａの上面側に被せるようにして、面ファスナー部材１０に固着されている。

　このとき、樹脂材料浸入阻止部材２０の左右縦枠部２１は、左右の支持部材１３によって支持されているため、当該縦枠部２１は、後述するようにクッション体６を発泡成形する際に発泡樹脂材料の流動圧力や発泡圧力を受けても、倒れたり、屈曲したりし難くなる。また、縦枠部２１の内周縁部が支持部材１３の上端位置よりも上方に突出させた状態を安定して維持することができる。

　本実施例１において、樹脂材料浸入阻止部材２０の長さ寸法（すなわち、縦枠部２１の上下方向の寸法）は、樹脂材料浸入阻止部材２０が面ファスナー部材１０に取り付けられる前の平らな状態のときに、面ファスナー部材１０の基材１１の長さ寸法よりも大きく設定されている。特に本実施例１の場合では、樹脂材料浸入阻止部材２０が面ファスナー部材１０に固着されて部分的に曲げられた後の状態のときでも、面ファスナー部材１０の基材１１の長さ寸法よりも大きく設定されている。

　また、樹脂材料浸入阻止部材２０の幅寸法（左右の縦枠部２１の外側縁間の幅方向における寸法）は、樹脂材料浸入阻止部材２０が面ファスナー部材１０に取り付けられる前の平らな状態のときに、面ファスナー部材１０の基材１１の幅寸法よりも大きく設定されている。特に本実施例１の場合では、樹脂材料浸入阻止部材２０が面ファスナー部材１０に固着されて部分的に曲げられた後の状態のときでも、面ファスナー部材１０の基材１１の幅寸法よりも大きく設定されている。

　すなわち、本実施例１の樹脂材料浸入阻止部材２０は、面ファスナー部材１０に固着されているときに、面ファスナー部材１０の基材１１の左右側端縁よりも外側に延出する左右の第１延出部２４と、面ファスナー部材１０の基材１１の前後端縁よりも外側に延出する前後の第２延出部２５とを備えている。

　更に、樹脂材料浸入阻止部材２０の中央部分に形成された矩形の開口部２３は、面ファスナー部材１０における基材１１の長さ寸法より小さい長さ寸法を備えるとともに、左右の支持部材１３の外壁面間の幅方向における寸法（すなわち、左側の支持部材１３における左側外壁面と、右側の支持部材１３における左側外壁面との間の幅方向における寸法）より小さい幅寸法を備えている。

　樹脂材料浸入阻止部材２０の開口部２３がこのような大きさに設定されていることにより、面ファスナー部材１０の係合素子領域１８に対する樹脂材料浸入阻止部材２０における開口部２３の相対的な位置をずれ難くすることができる。更に、開口部２３の位置がずれ難くなることによって、例えば係合素子１２や支持部材１３の一部が開口部２３から樹脂材料浸入阻止部材２０よりも上方に突出する（抜け出る）ことを防止でき、その結果、クッション体６の発泡成形時に、金型７のキャビティ面７ａに対する樹脂材料浸入阻止部材２０の密着性を高めることができる。

　次に、上述のような構成を有する本実施例１の成形面ファスナー１における面ファスナー部材１０は、例えば以下のような製造装置を用いて製造される。

　具体的に説明すると、この面ファスナー部材１０の製造装置は、図示を省略するが、一方向に駆動回転するダイホイールと、ダイホイールの周面に対向して配された溶融樹脂の連続押出ノズルと、連続押出ノズルよりもダイホイールの回転方向下流側にダイホイールの周面に対向して配されたピックアップロールと、連続押出ノズルよりもダイホイールの回転方向上流側に配され、ダイホイールと連続押出ノズルとの対向面間に線状磁性体１４を導入する線状磁性体供給部と、ダイホイールの周面から引き剥がした長尺の面ファスナー部材１０を所定の長さで切断する切断部とを有している。

　同製造装置が有するダイホイールの周面には、面ファスナー部材１０の上述した係合素子１２、左右の支持部材１３、及び横壁体１６などを成形するための成形用キャビティが形成されている。また、ダイホイールは、冷却液をダイホイールの内部に流通させており、ダイホイールの下部には、同ダイホイールの下半部を浸漬させるように冷却液槽が配されている。

　このような製造装置を用いて、本実施例１の面ファスナー部材１０を製造する場合、先ず、溶融した樹脂材料を連続押出ノズルからダイホイールの周面に向けて連続して押し出す。このとき、ダイホイールは一方向に駆動回転しており、その周面に押し出された溶融樹脂は連続押出ノズルとダイホイールとの間にて面ファスナー部材１０の基材１１などを成形し、それと同時に、上述した成形用キャビティにて、係合素子１２、左右の支持部材１３、及び横壁体１６などを順次成形する。

　また、溶融した樹脂材料が連続押出ノズルから押し出されると同時に、線状磁性体１４がその供給部から溶融樹脂の押出位置に供給されて、長尺の面ファスナー部材１０に一体成形される。

　ダイホイールの周面上で成形される長尺の面ファスナー部材１０は、ダイホイールの周面に担持されて冷却されながら半回転することにより固化され、その後、ピックアップロールによってダイホイールの周面から連続的に引き剥がされる。

　次に、ダイホイールから引き剥がされた長尺の面ファスナー部材１０（言い換えると、面ファスナー部材１０の長尺体）を、切断部に向けて搬送し、同切断部にて所定の長さで切断する。これにより、図２に示したような、所定の長さの面ファスナー部材１０が製造される。なお、本発明において、面ファスナー部材１０の製造装置や製造方法は特に限定されるものではなく、任意に変更することができる。

　その後、上述のようにして製造された本実施例１の面ファスナー部材１０に対して、額縁状の樹脂材料浸入阻止部材２０を上面側から被せて、面ファスナー部材１０における基材１１の左右側縁部１１ａに固着することによって、図１に示したような本実施例１の成形面ファスナー１が製造される。

　このとき、樹脂材料浸入阻止部材２０は、樹脂材料浸入阻止部材２０の開口部２３の位置を面ファスナー部材１０の係合素子領域１８の位置に合わせるようにして、樹脂材料浸入阻止部材２０を面ファスナー部材１０の上面側に被せ、更に、樹脂材料浸入阻止部材２０の左右の縦枠部２１の下面（裏面）を基材１１の左右側縁部１１ａの上面に固着することによって、面ファスナー部材１０に取り付けられる。この場合、樹脂材料浸入阻止部材２０の縦枠部２１を基材１１の左右側縁部１１ａに固着する手段としては、接着剤による接着や、高周波溶着や熱溶着などによる溶着を用いることができる。

　上述のような方法を用いて製造された本実施例１の成形面ファスナー１は、例えば自動車の座席用シートなどのクッション体（発泡体）６が発泡成形されると同時に、そのクッション体６に成形（二色成形）により一体化される。

　具体的には、先ず、製造された成形面ファスナー１を、図５に示したように、クッション体成形用金型７のキャビティ面７ａにおける所定の位置に形成されたファスナー載置面に載置する。
　このとき、金型７のキャビティ面７ａのうち、成形面ファスナー１が載置される（セットされる）ファスナー載置面は、単一面となる平坦面により構成されている。なお、ファスナー載置面は、凸面状又は凹面状の単一面となる湾曲面により構成されていても良い。また、金型７の内部には、成形面ファスナー１を載置するファスナー載置面の位置に対応して、ネオジム磁石などの磁石８が埋設されている。

　このため、成形面ファスナー１を、基材１１の係合素子１２が形成されている側の面（上面）が金型７のファスナー載置面に対向する向きで載置することにより、磁石８の吸引力により、成形面ファスナー１に配された線状磁性体１４が引き付けられ、成形面ファスナー１が金型７の平坦なキャビティ面（ファスナー載置面）７ａに吸着して固定される。

　特にこの場合、磁石８と成形面ファスナー１の線状磁性体１４との間に生じる磁力を利用することによって、成形面ファスナー１を所定の位置に自動的に的確に合わせることが可能なセルフアライメント効果も得られる。

　また、本実施例１の成形面ファスナー１は、樹脂材料浸入阻止部材２０の一部を、特に、樹脂材料浸入阻止部材２０における面ファスナー部材１０の左右の支持部材１３の上面と横壁体１６及び係合素子１２により構成された横支持部１６ａの上面とに載置された部分を、金型７の平坦なキャビティ面（ファスナー載置面）７ａに密着させた状態で保持されている。

　なお、本発明では、金型７のファスナー載置面を凹溝状に形成し、その凹溝内に成形面ファスナー１の係合素子１２や支持部材を挿入するようにして当該ファスナー載置面に成形面ファスナー１を吸着固定することも可能である。この場合、樹脂材料浸入阻止部材２０における基材１の左右側縁部に固着された部分を金型７のキャビティ面に密着させることが可能である。

　続いて、上述のように本実施例１の成形面ファスナー１を金型７のキャビティ面７ａの所定位置（ファスナー載置面）に吸着固定した後、図示しない噴射ノズルから金型７内に発泡性樹脂材料を噴射して注入する。このとき、例えば噴射ノズルを金型７に対して相対的に移動させながら発泡樹脂材料を噴射することにより、金型７のキャビティ空間の隅々まで発泡樹脂材料を注入することができる。更に、所定量の発泡樹脂材料を噴射ノズルから噴射した後に金型７を型締めする。これにより、発泡樹脂材料が発泡しながら金型７のキャビティ空間全体に行き渡り、クッション体６が成形される。

　このとき、成形面ファスナー１は金型７内に埋設した磁石８の吸引作用により所定の位置に位置決め固定されているため、発泡樹脂材料の流動圧力や発泡圧力などによって成形面ファスナー１の位置が動かされることはない。

　また、本実施例１の成形面ファスナー１の樹脂材料浸入阻止部材２０は、支持部材１３の上端位置よりも上方側に突出させた上端部を、支持部材１３と金型７のキャビティ面７ａとの間に挟み込ませて、金型７のキャビティ面７ａに対して、面ファスナー部材１０に形成された係合素子領域１８よりも前後及び左右の方向側で密着させており、樹脂材料浸入阻止部材２０を介した面ファスナー部材１０とキャビティ面７ａとの間には、発泡樹脂材料を通過させるような隙間が形成されていない。

　特に本実施例１では、上述のように、３列の縦壁列によって幅方向に広く構成されているため、樹脂材料浸入阻止部材２０を支持部材１３と金型７のキャビティ面７ａとの間に広い幅で挟み込むことができるため、樹脂材料浸入阻止部材２０を挟んで面ファスナー部材１０とキャビティ面７ａとの間に高いシール性を確保することができる。

　また、樹脂材料浸入阻止部材２０は、左右の縦枠部２１が左右の支持部材１３によって支持された状態で面ファスナー部材１０に固着されているため、発泡樹脂材料の流動圧力や発泡圧力を受けても樹脂材料浸入阻止部材２０の位置がずれることを防いで、樹脂材料浸入阻止部材２０を金型７のキャビティ面７ａに密着させた状態を安定して維持することができる。このため、金型７のキャビティ面７ａに吸着固定された成形面ファスナー１の係合素子領域１８を、樹脂材料浸入阻止部材２０によって成形面ファスナー１の外部領域（すなわち、キャビティ空間）から安定して遮断することができる。

　特に本実施例１では、樹脂材料浸入阻止部材２０が、柔軟で適度な膨らみ感をもった不織布で構成されているため、成形面ファスナー１が磁石８によって吸着固定されることにより、金型７のキャビティ面７ａに微小な凹凸があったとしても、樹脂材料浸入阻止部材２０を金型７のキャビティ面７ａにしっかりと密着させて、樹脂材料浸入阻止部材２０とキャビティ面７ａとの間に隙間が形成されることを防止できる。

　従って、例えば図示しない噴射ノズルから発泡樹脂材料を噴射したときに、発泡樹脂材料が成形面ファスナー１に勢い良く衝突した場合や、発泡樹脂材料の流動圧力や発泡圧力が大きい場合、また、発泡樹脂材料が低い粘度を有している場合でも、発泡樹脂材料が樹脂材料浸入阻止部材２０と金型７のキャビティ面７ａとの間を通って、成形面ファスナー１の係合素子領域１８内に浸入することを効果的に防止できる。

　従って、成形面ファスナー１の係合素子領域１８内では、係合素子１２が発泡体によって埋められることはなく、係合素子１２を基材１１の上面側に安定して表出させることができる。このため、クッション体６の発泡成形後でも、成形面ファスナー１自体が有していた所定の係合力（係着力）を安定して維持することができる。

　更に、本実施例１の成形面ファスナー１は、支持部材１３の左右外側に基材１１の左右側縁部１１ａが張り出して形成されているとともに、樹脂材料浸入阻止部材２０が基材１１の左右側端縁よりも外側に延出する左右の第１延出部２４と、基材１１の前後端縁よりも外側に延出する前後の第２延出部２５とを備えている。

　このため、発泡樹脂材料を噴射ノズルから噴射するときに、上述のような基材１１の左右延設部と樹脂材料浸入阻止部材２０の第１及び第２延出部２４，２５とが庇のように働くため、噴射された発泡樹脂材料が樹脂材料浸入阻止部材２０とキャビティ面７ａとの間に直に勢い良く当たることを防止でき、発泡樹脂材料が係合素子領域１８に浸入することをより効果的に防止できる。

　その後、発泡樹脂材料が金型７のキャビティ空間内で発泡固化して成形が終了することにより、図６に示したような、本実施例１の成形面ファスナー１が一体化されたクッション体６を得ることができる。

　このようにして製造された成形面ファスナー１付きのクッション体６は、成形面ファスナー１の係合素子領域１８内に発泡体が浸入していないため、上面側に露呈した複数の係合素子１２により所望の係着力を安定して確保することができる。従って、得られたクッション体６の表面に、図示しない表皮材を被せて、その表皮材をクッション体６における成形面ファスナー１の取付位置に向けて押圧することにより、表皮材の裏面に配された雌型係合素子１２を、成形面ファスナー１の係合素子１２（雄型係合素子）に確実に係合させることができる。これにより、表皮材をクッション体６から浮き上がらせることなく、クッション体６の表面に沿って正確に取り付けることができる。

　また、本実施例１の成形面ファスナー１では、上述のように金型７の平坦なキャビティ面７ａに吸着固定してクッション体６を発泡成形することができるため、例えば前述した特許文献１のように、金型の内面に面ファスナーを位置決め保持するための専用の凹溝部を設ける必要がない。このため、クッション体６を成形する金型７の作製に係るコストや作業負担を、特許文献１の場合に比べて大幅に軽減することでき、成形面ファスナー１付きのクッション体６を低コストで効率的に製造することができる。

　更に、本実施例１の成形面ファスナー１が一体化されたクッション体６では、不織布からなる樹脂材料浸入阻止部材２０の一部に発泡樹脂が浸み込んでいる。また、成形面ファスナー１における樹脂材料浸入阻止部材２０の基材１１から前後左右に延出した第１及び第２延出部２４，２５が、図６に示したようにクッション体６の内部に埋設されている。これにより、成形面ファスナー１とクッション体６との接合強度（固着強度）が効果的に高められ、成形面ファスナー１をより強固にクッション体６に一体化させることができる。この場合、発泡樹脂が浸み込んだ樹脂材料浸入阻止部材２０は半剛性を備えており、クッション体６とともに撓むことができる。

　また、本実施例1は横支持部１６ａのみならず、成形面ファスナー１の係合素子領域における係合素子１２同士の間にも横壁体１６が配されている。このため、例えば上述のようにダイホイールを用いて成形された面ファスナー部材１０の長尺体を任意の位置で切断して、任意の長さを有する面ファスナー部材１０を作製した場合でも、その面ファスナー部材１０の長さに合わせた開口部２３を有する樹脂材料浸入阻止部材２０を用意して当該面ファスナー部材１０に固着することによって、任意の長さを有する本実施例１の成形面ファスナー１を簡単に製造することが可能である。

　図７は、本実施例２に係る成形面ファスナーを示す平面図であり、図８は、同成形面ファスナーの面ファスナー部材を示す平面図である。また、図９及び図１０は、図７に示したＩＸ－ＩＸ線及びＸ－Ｘ線の断面図である。

　なお、以下に示す本実施例２及び後述する実施例３～実施例５に係る成形面ファスナー２～５では、前述の実施例１に係る成形面ファスナー１と異なる構成について主に説明することとし、前述の実施例１に係る成形面ファスナー１と実質的に同じ構成を有する部品及び部材については同じ符号を用いて表すことによって、その説明を省略することとする。

　本実施例２に係る成形面ファスナー２は、平板状の基材３１の上面（第１面）に複数の係合素子１２が立設された複数の面ファスナー部材３０と、隣接する面ファスナー部材３０部材を前後方向に接続する接続部材となるモノフィラメント４５と、複数の面ファスナー部材３０に跨って固着される樹脂材料浸入阻止部材４０とを有する。

　また、各面ファスナー部材３０は、正面視にて長さ方向（前後方向）に長い略八角形の形態を備えた基材３１と、基材３１の上面（第１面）に長さ方向に沿って立設された左右の支持部材１３と、左右の支持部材１３間に配された複数の係合素子１２と、前後方向に沿って配される２つの線状磁性体１４と、左右の支持部材１３の内側に配され、線状磁性体１４を固定する固定部（第１固定部）１５と、接続部材であるモノフィラメント４５を固定する固定部（第２固定部）３５と、幅方向に沿って配された横壁体１６とをそれぞれ有している。

　なお、本実施例２において、各係合素子１２、左右の支持部材１３、線状磁性体１４、線状磁性体１４を固定する固定部（第１固定部）１５、及び横壁体１６のそれぞれは、前述の実施例１の場合と同様に構成されている。また、各面ファスナー部材２０の最も前端側及び後端側の位置に幅方向に沿って配された複数の係合素子１２と複数の横壁体１６とによって、樹脂材料浸入阻止部材４０の後述する横枠部（第２枠部）４２の裏面側を幅方向に沿って支持するための横支持部１６ａが構成されている。

　本実施例２における基材３１は、上下方向に屈曲可能なように薄板状に形成されている。また、各面ファスナー部材３０の基材３１は、幅方向の中央領域に配され、複数の係合素子１２及び左右の支持部材１３が立設される中央領域部と、左右の支持部材１３の立設位置よりも幅方向の外側に配された左右の側縁部３１ａとを有している。

　この基材３１の左右側縁部３１ａの上面（第１面）は、平坦面に形成されており、基材３１の左右側端縁は、面ファスナー部材３０の長さ方向に沿って互いに平行に形成されている。更に、基材３１の下面（裏面）側には、前後方向に平行な複数の凹溝部３１ｂが設けられている。

　また、基材３１は、面ファスナー部材３０の前後端縁部に配され、係合素子１２が排除された前方及び後方延設部３１ｃを有しており、これらの前方及び後方延設部３１ｃは、左右の支持部材１３間に亘って、係合素子１２及び横壁体１６の配設位置から前方及び後方に延びて形成されている。

　各面ファスナー部材３０の基材３１に、上述のような左右側縁部３１ａ並びに前方及び後方延設部３１ｃが配されていることにより、これらの左右側縁部３１ａ並びに前方及び後方延設部３１ｃが、クッション体の発泡成形時に、噴射ノズルから噴射される発泡樹脂材料に対して庇の役割を果たし、噴射された発泡樹脂材料が樹脂材料浸入阻止部材４０とキャビティ面７ａとの間に直に勢い良く当たることを防止できる。

　面ファスナー部材３０の係合素子領域３８は、長さ方向及び幅方向に所定の取付ピッチで複数の係合素子１２が整列して立設された部分により形成されており、左右の支持部材１３は、この係合素子領域３８を間に挟むようにして、基材３１の左右側端縁よりも幅方向（左右方向）の内側に入り込んだ位置に前後方向に沿って立設さている。

　本実施例２における左右の支持部材１３は、前述の実施例１の場合と同様に、それぞれ３列の縦壁列を有しており、各縦壁列は、長さ方向に所定のピッチで配された複数の縦壁体１３ａにより構成されている。また、支持部材１３には、幅方向に隣接する縦壁列の縦壁体１３ａ間を接続する縦壁接続部が配されている。

　また、本実施例２の各面ファスナー部材３０は、モノフィラメント４５を固定するための第２固定部３５が、基材３１の上面から横断面が矩形となるブロック状に突出して形態を有して設けられている。この第２固定部３５は、基材３１における幅方向の略中央部において、長さ方向に沿って所定の間隔をもって配されている。また、第２固定部３５は、基材３１から立設した係合素子１２及び横壁体１６と一体的に構成されており、これらの係合素子１２と横壁体１６とを補強している。モノフィラメント４５は、このような第２固定部３５を長さ方向に貫通するようにして第２固定部３５内に埋設されている。

　なお、本発明において、このモノフィラメント４５を固定する第２固定部３５は、横壁体１６と別体に構成されていても良い。また、第２固定部３５を基材３１部の下面側に配置して、モノフィラメント４５を基材３１の下面側で固定しても良い。

　本実施例２の成形面ファスナー２では、各面ファスナー部材３０に配されたブロック状の第２固定部３５によってモノフィラメント４５が固定されており、各面ファスナー部材３０の最も前方に配された第２固定部３５と、その前方側に隣接する面ファスナー部材３０の最も後方に配された第２固定部３５との間に挟まれたモノフィラメント４５の部位により、隣接する面ファスナー部材３０同士を接続する接続部が構成されている。特に、このモノフィラメント４５からなる接続部は、樹脂材料浸入阻止部材４０の下面（裏面）側にて、幅方向の略中央部に配された第２固定部３５に固定されて、隣接する面ファスナー部材３０における幅方向の中央部分同士を連結している。

　また、本実施例２におけるモノフィラメント４５は、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂からなり、可撓性を備えている。また、このモノフィラメント４５は、左右方向にはジグザグ状に折り曲げられて構成されており、特に、接続部を構成する第２固定部３５間において、折り曲げ方向の異なる少なくとも２つの折り曲げ部が配されるようにして、折り曲げ間隔が設定されている。更に、このモノフィラメント４５の横断面は、長軸が上下方向に沿うように基材３１部の表裏方向に長く延びた楕円形状を有している。

　本実施例２の接続部が上述のように構成されていることにより、複数の面ファスナー部材３０を有する成形面ファスナー２を、当該接続部にて幅方向に曲げ易く構成することができ、また、表裏方向に曲げることも可能となる（図１２を参照）。なお、本発明において、モノフィラメント４５の太さや横断面形状は特に限定されるものではなく、成形面ファスナー２を接続部にて少なくとも幅方向に曲げられるように設計されていれば良い。なお、本発明において、接続部材は、本実施例２のようにモノフィラメント４５で構成されている必要はなく、例えば、基材３１と同一素材（同一の合成樹脂）によって面ファスナー部材３０と一体成形された接続部材によって複数の面ファスナー部材３０が相互に接続されていても良い。

　本実施例２の樹脂材料浸入阻止部材４０は、可撓性を備えた薄肉片状の不織布からなる単一のシート部材により構成されている。また、この樹脂材料浸入阻止部材４０は複数の面ファスナー部材３０に亘って連続して配される左右の縦枠部（第１枠部）４１と、隣接する面ファスナー部材３０間に跨るように幅方向に沿って配され、左右の縦枠部４１間を連結する横枠部（第２枠部）４２とを一体的に有しており、樹脂材料浸入阻止部材４０自体の幅寸法は、樹脂材料浸入阻止部材４０の長さ方向の全体に亘って一定の大きさに設定されている。また、この樹脂材料浸入阻止部材４０には、縦枠部４１と横枠部４２に囲まれた矩形の開口部４３が、長さ方向に所定の間隔で形成されている。

　このような構成を有する本実施例２の樹脂材料浸入阻止部材４０は、左右の縦枠部４１の一部を支持部材１３の上面側に被せるとともに、横枠部４２の一部を、各面ファスナー部材１０の最も前端側及び最も後端側に配された横支持部１６ａの上面側に被せるようにして、左右の縦枠部４１が各面ファスナー部材３０における基材３１の左右側縁部３１ａに接着又は溶着により固着されている。

　この場合、樹脂材料浸入阻止部材４０の幅寸法（左右の縦枠部４１の外側縁間の寸法）は、樹脂材料浸入阻止部材４０が面ファスナー部材３０に固着されて部分的に曲げられた後の状態のときに、各面ファスナー部材３０における基材３１の左右側端縁から食み出さない（延出しない）程度の大きさに設定されている。

　特に本実施例２において、シート状の樹脂材料浸入阻止部材４０は、面ファスナー部材３０に固着された状態において、複数の面ファスナー部材３０の間において、面ファスナー部材３０上における樹脂材料浸入阻止部材４０の幅寸法と同一寸法となるように構成されており（図１１を参照）、各面ファスナー部材３０間にて面ファスナー部材３０の幅方向の全体を完全に覆っている。これにより、後述するように、成形面ファスナー２とクッション体との接合強度（固着強度）をより効果的に高めることができる。

　また、樹脂材料浸入阻止部材４０に形成された矩形の各開口部４３は、各面ファスナー部材３０における基材３１の長さ寸法より小さい長さ寸法を備えるとともに、各面ファスナー部材３０の左右の支持部材１３の外面間の幅方向における寸法より小さい幅寸法を備えている。

　樹脂材料浸入阻止部材４０の開口部４３がこのような大きさに設定されていることにより、当該開口部４３の位置が各面ファスナー部材３０の係合素子領域３８に対する相対的な位置がずれ難くなり、また、係合素子１２や支持部材１３の一部が開口部４３から樹脂材料浸入阻止部材４０よりも上方に突出することを防止できる。

　上述のような構成を有する本実施２の成形面ファスナー２は、上述したように、左右方向及び表裏方向に湾曲又は蛇行するように容易に曲げることが可能である（図１２を参照）。このように成形面ファスナー２が左右方向に曲げられた場合、樹脂材料浸入阻止部材４０は、柔軟性を備えた不織布により構成されているため、樹脂材料浸入阻止部材４０の各面ファスナー部材３０間に跨る部分のうち、外周側に配される部分は、前後の面ファスナー部材３０によって引っ張られて伸びる（突っ張る）と同時に、内周側に配される部分は、波打つように撓んで余裕ができた状態となる。

　また、本実施例２の成形面ファスナー２は、前述の実施例１の場合と同様に、自動車の座席用シートなどのクッション体（発泡体）６が発泡成形されると同時に、そのクッション体に一体化されることにより、成形面ファスナー２付きのクッション体を得ることができる。

　本実施例２の成形面ファスナー２が一体化されたクッション体は、前述の実施例１の場合と同様に、成形面ファスナー２の係合素子領域３８内に発泡体が浸入することを防止できるため、基材１１の上面側に露呈した複数の係合素子１２により所望の係着力を安定して確保できる。また、クッション体を成形する金型７の作製に係るコストや作業負担を従来に比べて軽減することもできる。

　また、本実施例２の成形面ファスナー２は、上述したように、左右方向に容易に曲げることが可能であるため、成形面ファスナー２を湾曲又は蛇行させた状態で金型７のキャビティ面７ａに密着させることができる。このため、本実施例２の成形面ファスナー２は、様々なクッション体の形態に容易に対応させることができる。

　更に、このように成形面ファスナー２を湾曲又は蛇行させた状態でクッション体に一体化させる場合、発泡成形の際に、樹脂材料浸入阻止部材４０の外周側に配される部分は、上述のように、引っ張られて伸びる（突っ張る）とともに、内周側に配される部分が撓んで余裕ができた状態で当該成形面ファスナー２が金型７のキャビティ面７ａに密着する。この場合、樹脂材料浸入阻止部材４０の内周側に配される撓んだ部分と金型７のキャビティ面７ａと間には間隙が形成され易く、その間隙から発泡性樹脂材料が樹脂材料浸入阻止部材４０とキャビティ面７ａと間に入り込み易い状態となる。

　この状態で金型７内に発泡性樹脂材料が注入されることにより、隣接する面ファスナー部材３０間の発泡性樹脂材料の裏面側にも発泡性樹脂材料を回り込ませて発泡させることが可能となる。これにより、所定の形状を有するクッション体を安定して製造することができる。

　また本実施例２では、モノフィラメント４５からなる接続部だけでなく、樹脂材料浸入阻止部材４０の面ファスナー部材３０間に配される外周側の突っ張った部分と内周側の撓んだ部分とを、成形されたクッション体の内部に埋設することができるため、成形面ファスナー２とクッション体との接合強度（固着強度）をより効果的に高めることができる。

　特に、シート状の樹脂材料浸入阻止部材４０は、上述のように、面ファスナー部材３０の間を幅方向の全体に亘って覆っている。これにより、各面ファスナー部材３０間にて、樹脂材料浸入阻止部材４０が広い面積でクッション体の内部に埋設されるため、成形面ファスナー２とクッション体との接合強度（固着強度）がより一層高められる。

　図１３は、本実施例３に係る成形面ファスナーを示す平面図であり、図１４は、図１３に示したＸＩＶ－ＸＩＶ線の断面図である。

　本実施例３に係る成形面ファスナー３は、基材１１の上面に複数の係合素子１２が立設された１つの面ファスナー部材１０と、その面ファスナー部材１０に固着された左右の独立した樹脂材料浸入阻止部材５０とを有する。本実施例３における面ファスナー部材１０は、前述の実施例１における面ファスナー部材１０と同様に構成されている。

　本実施例３における樹脂材料浸入阻止部材５０は、面ファスナー部材１０における基材１１の左右側縁部１１ａに、それぞれ独立して固着されている。これら左右の樹脂材料浸入阻止部材５０は、可撓性を備えた薄肉片状の不織布からなるシート部材により構成されており、このシート部材の側縁部分同士が互いに接合されて薄肉片状のシート部材を筒状に丸めた形態を有している。

　この場合、樹脂材料浸入阻止部材５０を構成する不織布は、適度な可撓性、柔軟性、及び膨らみ感を備えている。また、筒状に形成された樹脂材料浸入阻止部材５０は、面ファスナー部材１０の基材１１の長さ寸法と同じ大きさの長さ寸法を有している。

　また、本実施例３における筒状の樹脂材料浸入阻止部材５０は、図１４に示すように、その上端部を支持部材１３の上端位置よりも上方に突出させるとともに、左右の支持部材１３によって支持された状態で、側縁部分同士が接合された接合部分を、基材１１の左右側縁部１１ａに接着又は溶着することによって、面ファスナー部材１０に固着されている。この場合、筒状の樹脂材料浸入阻止部材５０は、支持部材１３の外側面にも固着されていることが好ましい。

　このような左右の筒状の樹脂材料浸入阻止部材５０を有する本実施例３の成形面ファスナー３は、クッション体成形用金型７のキャビティ面７ａに、磁石８の磁力を利用して吸着固定された状態でクッション体の発泡成形が行われることにより、クッション体に一体化されて、成形面ファスナー３付きのクッション体を得ることができる。

　この場合、本実施例３の成形面ファスナー３は、樹脂材料浸入阻止部材５０の上端部を支持部材１３の上端位置よりも上方側に突出させて構成されているため、当該成形面ファスナー３が金型７の平坦なキャビティ面７ａに吸着固定されたときに、図１５に示したように、左右の筒状の樹脂材料浸入阻止部材５０が押し潰された状態で金型７のキャビティ面７ａに密着している。これにより、樹脂材料浸入阻止部材５０を挟んだ面ファスナー部材１０とキャビティ面７ａとの間に、発泡樹脂材料を通過させるような隙間が形成されることを防いでいる。

　また、樹脂材料浸入阻止部材５０は、左右の支持部材１３に支持された状態で基材１１に固着されているため、発泡樹脂材料の流動圧力や発泡圧力を受けても、樹脂材料浸入阻止部材５０の位置がずれることを防止できるとともに、樹脂材料浸入阻止部材５０とキャビティ面７ａとの間に隙間が形成されることを防止できる。従って、本実施例３では、発泡性樹脂材料が樹脂材料浸入阻止部材５０を越えて左右方向から係合素子領域１８に浸入することを安定して防止できる。

　なお、本実施例３の成形面ファスナー３では、面ファスナー部材１０の前後端部に樹脂材料浸入阻止部材５０が配されていないが、面ファスナー部材１０の最も前方の位置に幅方向に沿って配された係合素子１２及び横壁体１６と、最も後方の位置に幅方向に沿って配された係合素子１２及び横壁体１６とが、発泡性樹脂材料が係合素子領域１８に浸入することを防ぐ横防壁部として機能するため、発泡性樹脂材料の前後方向からの浸入を防ぐことができる。

　具体的には、本実施例３の成形面ファスナー３を金型７の平坦なキャビティ面７ａに吸着固定させた場合、図１５に示したように、面ファスナー部材１０の係合素子１２の上端面と横壁体１６の上端面を、金型７のキャビティ面７ａに密着させることができる。このように面ファスナー部材１０の係合素子１２と横壁体１６とを密着させることにより、幅方向に整列する係合素子１２と横壁体１６とによって横防壁部が構成されて、当該横防壁部によって発泡性樹脂材料が係合素子領域１８内に浸入することを阻止できる。

　なお、このような係合素子１２と横壁体１６とにより構成される横防壁部では、係合素子１２と横壁体１６との間に小さな隙間が形成されている。しかし、これらの隙間は何れも極めて小さいため、発泡成形時に当該隙間を介して発泡性樹脂材料が流入したとしても、係合素子領域１８内に浸入する前に、又は係合素子領域１８内に浸入した直後に冷却して固化するため、発泡性樹脂材料が横防壁部１４の隙間を介して係合素子領域１８内に深く到達することはない。

　従って、本実施例３の成形面ファスナー３が一体化されたクッション体では、成形面ファスナー３の係合素子領域１８内に発泡体が浸入しておらず、複数の係合素子１２を基材１１の上面側に安定して表出させることができるため、成形面ファスナー３が有する所定の係合力（係着力）を安定して確保することができる。また、クッション体を成形する金型７の作製に係るコストや作業負担を従来に比べて軽減することもできる。

　図１６は、本実施例４に係る成形面ファスナーを示す平面図であり、図１７は、図１６に示したＸＶＩＩ－ＸＶＩＩ線の断面図である。

　本実施例４に係る成形面ファスナー４は、基材１１の上面に複数の係合素子１２が立設された１つの面ファスナー部材１０と、その面ファスナー部材１０に固着された左右の独立した樹脂材料浸入阻止部材５１とを有する。本実施例４における面ファスナー部材１０は、前述の実施例１における面ファスナー部材１０と同様に構成されている。

　本実施例４における樹脂材料浸入阻止部材５１は、面ファスナー部材１０における基材１１の左右側縁部１１ａに、それぞれ独立して固着されている。また、これら左右の樹脂材料浸入阻止部材５１は、可撓性を備えた薄肉片状の不織布からなるシート部材により構成されている。

　この場合、樹脂材料浸入阻止部材５１を構成する不織布は、適度な可撓性、柔軟性、及び膨らみ感を備えている。また、左右の樹脂材料浸入阻止部材５１は、面ファスナー部材１０の基材１１の長さ寸法と同じ大きさの長さ寸法を有している。

　更に、本実施例４における樹脂材料浸入阻止部材５１は、図１７に示すように、その上端部を支持部材１３の上端位置よりも上方に突出させるとともに、左右の支持部材１３によって支持された状態で、基材１１の左右側縁部１１ａと支持部材１３の外側面とに接着又は溶着することによって、略Ｌ字状の横断面を有するように面ファスナー部材１０に固着されている。

　このような左右の樹脂材料浸入阻止部材５１を有する本実施例４の成形面ファスナー４は、クッション体成形用金型７のキャビティ面７ａに、磁石８の磁力を利用して吸着固定された状態でクッション体の発泡成形が行われることにより、クッション体に一体化されて、成形面ファスナー４付きのクッション体を得ることができる。

　この場合、本実施例４の成形面ファスナー４は、樹脂材料浸入阻止部材５１の上端部を支持部材１３の上端位置よりも上方側に突出させて構成されているため、当該成形面ファスナー４が金型７の平坦なキャビティ面７ａに吸着固定されたときに、樹脂材料浸入阻止部材５１の上端部が外側に折り曲げられて状態で金型７のキャビティ面７ａに密着している。これにより、樹脂材料浸入阻止部材５１を挟んだ面ファスナー部材１０とキャビティ面７ａとの間に、発泡樹脂材料を通過させるような隙間が形成されることを防いでいる。

　また、樹脂材料浸入阻止部材５１は、支持部材１３に支持された状態で基材１１と支持部材１３とに固着されているため、発泡樹脂材料の流動圧力や発泡圧力を受けても、樹脂材料浸入阻止部材５１の位置がずれることを防止できるとともに、樹脂材料浸入阻止部材５１とキャビティ面７ａとの間に隙間が形成されることを防止できる。従って、本実施例４では、発泡性樹脂材料が樹脂材料浸入阻止部材５１を越えて左右方向から係合素子領域１８に浸入することを安定して防止できる。

　なお、本実施例４の成形面ファスナー４では、面ファスナー部材１０の前後端部に樹脂材料浸入阻止部材５１が配されていないが、前述の実施例３の場合と同様に、面ファスナー部材１０の最も前方の位置に幅方向に沿って配された係合素子１２及び横壁体１６と、最も後方の位置に幅方向に沿って配された係合素子１２及び横壁体１６とが、発泡性樹脂材料が係合素子領域１８に浸入することを防ぐ横防壁部として機能するため、発泡性樹脂材料の前後方向からの浸入も防ぐことができる。

　従って、本実施例４の成形面ファスナー４が一体化されたクッション体では、成形面ファスナー４の係合素子領域１８内に発泡体が浸入しておらず、複数の係合素子１２を基材１１の上面側に安定して表出させることができるため、成形面ファスナー４が有する所定の係合力（係着力）を安定して確保することができる。また、クッション体を成形する金型７の作製に係るコストや作業負担を従来に比べて軽減することもできる。

　図１８は、本実施例５に係る成形面ファスナーを示す平面図であり、図１９は、同成形面ファスナーの面ファスナー部材を示す平面図である。また、図２０及び図２１は、図１８に示したＸＸ－ＸＸ線及びＸＸＩ－ＸＸＩ線の断面図である。

　本実施例５に係る成形面ファスナー５は、基材６１の上面に複数の係合素子１２が立設された１つの面ファスナー部材６０と、その面ファスナー部材６０に固着される枠状の形態を備えた樹脂材料浸入阻止部材７０とを有する。

　本実施例５における面ファスナー部材６０は、平板状の基材６１と、基材６１の上面に立設された複数の係合素子１２（雄型係合素子）とを有しており、前述の実施例１の面ファスナー部材１０に配されている左右の支持部材１３、横壁体１６、線状磁性体１４、及び固定部１５は、本実施例５の面ファスナー部材６０から排除されている。また、この本実施例５では、面ファスナー部材６０を構成する合成樹脂に磁性粒子を混入すること又は練り込むことにより、面ファスナー部材６０に磁性を備えさせている。

　この面ファスナー部材６０における基材６１は、上下方向から見たときに、前後方向（長さ方向）に長い矩形状を呈する平板状の形態を有している。

　本実施例５における係合素子１２は、長さ方向及び幅方向に所定の取付ピッチで整列して基材６１の上面に立設されており、本実施例５における面ファスナー部材６０の係合素子領域６８を形成している。特に本実施例５の場合、長さ方向に沿って整列した係合素子１２の縦列が、幅方向に７列に並べられて配されている。また、本実施例５の各係合素子１２は、基材６１の上面から垂直に立ち上がる立ち上がり部と、その立ち上がり部の上端において前後方向に分岐して湾曲するフック状の係合頭部とを有しており、係合素子１２の形態自体は、前述の実施例１における係合素子１２と同様である。

　本実施例５における面ファスナー部材６０は、上述のように、前述の実施例１の面ファスナー部材６０に配されているような左右の支持部材１３は設けられていないものの、幅方向の最も外側の縦列に配された係合素子１２（すなわち、最も左側の縦列に配された係合素子１２、及び最も右側の縦列に配された係合素子１２）が、係合素子領域６８を形成する係合素子１２として構成されているとともに、樹脂材料浸入阻止部材７０の後述する縦枠部７１を支持する支持部材として機能するように構成されている。

　また、長さ方向の最も前端側の横列に配された係合素子１２と、最も後端側の横列に配された係合素子１２とが、係合素子領域６８を形成する係合素子１２として構成されているとともに、樹脂材料浸入阻止部材７０の後述する横枠部７２を支持する支持部材１３として機能するように構成されている。

　本実施例５における樹脂材料浸入阻止部材７０は、可撓性を備えた薄肉片状の不織布からなるシート部材により構成されている。この樹脂材料浸入阻止部材７０は、額縁状（枠状）の形態を有している。すなわち、樹脂材料浸入阻止部材７０は、成形面ファスナー５の長さ方向に沿って配される左右の縦枠部（第１枠部）７１と、面ファスナー部材６０の前端部側及び後端部側の位置に対応して幅方向に沿って配され、左右の縦枠部７１間を連結する横枠部（第２枠部）７２とを有する。また、これらの左右縦枠部７１及び前後横枠部７２に囲まれるように、樹脂材料浸入阻止部材７０の中央部分には矩形の開口部７３が形成されている。

　この樹脂材料浸入阻止部材７０における左右の縦枠部７１は、当該縦枠部７１の内周縁部（開口部７３側の側縁部６１ａ）を、係合素子１２の上端位置よりも上方に突出させた状態で、面ファスナー部材６０の基材６１の左右側縁部６１ａに接着又は溶着されている。また、前後の横枠部７２は、当該横枠部７２の内周縁部（開口部７３側の側縁部６１ａ）を、係合素子１２の上端位置よりも上方に突出させた状態で、面ファスナー部材６０の基材６１の前後端縁部６１ｃに接着又は溶着されている。

　このとき、樹脂材料浸入阻止部材７０における左右の縦枠部７１と前後の横枠部７２とは、それぞれ、面ファスナー部材６０における幅方向の最も左側及び右側の縦列に配された複数の係合素子１２（支持部材）と、長さ方向の最も前端側及び後端側の横列に配された複数の係合素子１２（支持部材）とによって支持されている。

　これにより、樹脂材料浸入阻止部材７０の縦枠部７１及び横枠部７２は、クッション体を発泡成形する際に発泡樹脂材料の流動圧力や発泡圧力を受けても、倒れたり、屈曲したりし難くなり、また、縦枠部７１及び横枠部７２の内周縁部が支持部材１３の上端位置よりも上方に突出させた状態を安定して維持することができる。

　本実施例５において、樹脂材料浸入阻止部材７０の長さ寸法（すなわち、縦枠部７１の長さ寸法）は、樹脂材料浸入阻止部材７０が面ファスナー部材６０に取り付けられる前の平らな状態のときに、面ファスナー部材６０の基材６１の長さ寸法よりも大きく設定されており、また、樹脂材料浸入阻止部材７０が面ファスナー部材６０に固着されて部分的に曲げられた後の状態のときでも、面ファスナー部材６０の基材６１の長さ寸法よりも大きく設定されている。

　樹脂材料浸入阻止部材７０の幅寸法（すなわち、左右の縦枠部７１の外側縁間の寸法）は、樹脂材料浸入阻止部材７０が面ファスナー部材６０に取り付けられる前の平らな状態のときに、面ファスナー部材６０の基材６１の幅寸法よりも大きく設定されており、また、樹脂材料浸入阻止部材７０が面ファスナー部材６０に固着されて部分的に曲げられた後の状態のときでも、面ファスナー部材６０の基材６１の幅寸法よりも大きく設定されている。

　すなわち、本実施例１の樹脂材料浸入阻止部材７０は、面ファスナー部材６０に固着されているときに、面ファスナー部材６０の基材６１の左右側端縁よりも外側に延出する左右の第１延出部７４と、面ファスナー部材６０の基材６１の前後端縁よりも外側に延出する前後の第２延出部７５とを備えている。

　更に、樹脂材料浸入阻止部材７０の中央部分に形成された矩形の開口部７３は、面ファスナー部材６０における基材６１の長さ寸法及び幅寸法より小さい長さ寸法及び幅寸法を備えている。これにより、面ファスナー部材６０の係合素子領域６８に対する樹脂材料浸入阻止部材７０における開口部７３の相対的な位置をずれ難くすることができる。

　上述のような構成を有する本実施例５の成形面ファスナー５は、クッション体成形用金型７のキャビティ面７ａに、磁石８の磁力を利用して吸着固定された状態でクッション体の発泡成形が行われることにより、クッション体に一体化されて、成形面ファスナー５付きのクッション体を得ることができる。

　この場合、本実施例５の成形面ファスナー５は、樹脂材料浸入阻止部材７０における左右の縦枠部７１及び前後の横枠部７２の内周縁部を、係合素子１２の上端位置よりも上方側に突出させて構成されているため、当該成形面ファスナー５が金型７の平坦なキャビティ面７ａに吸着固定されたときに、樹脂材料浸入阻止部材７０の前記内周縁部を金型７のキャビティ面７ａに密着させることができる。これにより、樹脂材料浸入阻止部材７０を挟んだ面ファスナー部材６０とキャビティ面７ａとの間に、発泡樹脂材料を通過させるような隙間が形成されることを防いでいる。

　また、樹脂材料浸入阻止部材７０は、上述のように係合素子１２に支持された状態で、基材６１の左右側縁部６１ａと前後端縁部６１ｃとに固着されているため、発泡樹脂材料の流動圧力や発泡圧力を受けても、樹脂材料浸入阻止部材７０の位置がずれることを防止できるとともに、樹脂材料浸入阻止部材７０とキャビティ面７ａとの間に隙間が形成されることを防止できる。従って、本実施例３では、発泡性樹脂材料が樹脂材料浸入阻止部材７０を越えて左右方向及び前後方向から係合素子領域６８に浸入することを安定して防止できる。

　従って、本実施例５の成形面ファスナー５が一体化されたクッション体では、成形面ファスナー５の係合素子領域６８内に発泡体が浸入しておらず、複数の係合素子１２を基材６１の上面側に安定して表出させることができるため、成形面ファスナー５が有する所定の係合力（係着力）を安定して確保することができる。また、クッション体を成形する金型７の作製に係るコストや作業負担を従来に比べて軽減することもできる。

　更に、本実施例５の成形面ファスナー５が一体化されたクッション体では、樹脂材料浸入阻止部材７０の基材６１から前後左右に延出した第１及び第２延出部７４，７５がクッション体の内部に埋設されている。このため、成形面ファスナー５とクッション体との接合強度（固着強度）が効果的に高められ、成形面ファスナー５をより強固にクッション体に一体化させることができる。

　　１，２，３　　　　成形面ファスナー
　　４，５　　　　　　成形面ファスナー
　　６　　　　　　　　クッション体（発泡体）
　　７　　　　　　　　金型
　　７ａ　　　　　　　キャビティ面
　　８　　　　　　　　磁石
　１０　　　　　　　　面ファスナー部材
　１１　　　　　　　　基材
　１１ａ　　　　　　　側縁部
　１１ｂ　　　　　　　凹溝部
　１２　　　　　　　　係合素子（雄型係合素子）
　１３　　　　　　　　支持部材
　１３ａ　　　　　　　縦壁体
　１４　　　　　　　　線状磁性体
　１５　　　　　　　　固定部（第１固定部）
　１６　　　　　　　　横壁体
　１６ａ　　　　　　　横支持部
　１８　　　　　　　　係合素子領域
　２０　　　　　　　　樹脂材料浸入阻止部材
　２１　　　　　　　　縦枠部（第１枠部）
　２２　　　　　　　　横枠部（第２枠部）
　２３　　　　　　　　開口部
　２４　　　　　　　　第１延出部
　２５　　　　　　　　第２延出部
　３０　　　　　　　　面ファスナー部材
　３１　　　　　　　　基材
　３１ａ　　　　　　　側縁部
　３１ｂ　　　　　　　凹溝部
　３１ｃ　　　　　　　延設部
　３５　　　　　　　　固定部（第２固定部）
　３８　　　　　　　　係合素子領域
　４０　　　　　　　　樹脂材料浸入阻止部材
　４１　　　　　　　　縦枠部（第１枠部）
　４２　　　　　　　　横枠部（第２枠部）
　４３　　　　　　　　開口部
　４５　　　　　　　　モノフィラメント
　５０　　　　　　　　樹脂材料浸入阻止部材
　５１　　　　　　　　樹脂材料浸入阻止部材
　６０　　　　　　　　面ファスナー部材
　６１　　　　　　　　基材
　６１ａ　　　　　　　側縁部
　６１ｃ　　　　　　　端縁部
　６８　　　　　　　　係合素子領域
　７０　　　　　　　　樹脂材料浸入阻止部材
　７１　　　　　　　　縦枠部（第１枠部）
　７２　　　　　　　　横枠部（第２枠部）
　７３　　　　　　　　開口部
　７４　　　　　　　　第１延出部
　７５　　　　　　　　第２延出部

Claims

　平板状の基材(11,31,61)と、前記基材(11,31,61)の第１面における幅方向の中央領域に立設された複数の係合素子(12)とを備えた少なくとも１つの面ファスナー部材(10,30,60)を有し、クッション体(6) の発泡成形時に同クッション体(6) に一体化される成形面ファスナー(1,2,3,4,5) であって、
　前記基材(11,31,61)の第１面における幅方向の左右側縁部(11a,31a,61a) に固着され、前記基材(11,31,61)の長さ方向に沿って配される可撓性を備えたシート状の樹脂材料浸入阻止部材(20,40,50,51,70)と、前記基材(11,31,61)に対する前記樹脂材料浸入阻止部材(20,40,50,51,70)の固着部よりも幅方向の内側に、前記基材(11,31,61)の長さ方向に沿って立設され、前記樹脂材料浸入阻止部材(20,40,50,51,70)を支持する左右の支持部材(13,12) とを有し、
　前記樹脂材料浸入阻止部材(20,40,50,51,70)の上端部は、前記支持部材(13,12) の上端位置よりも上方に突出してなる、
ことを特徴とする成形面ファスナー。
　前記成形面ファスナー(1,5) は、１つの前記面ファスナー部材(10,60) により構成され、
　前記樹脂材料浸入阻止部材(20,70) は、前記基材(11,61) の長さ方向の全体に亘って連続して配される左右の第１枠部(21,71) と、前記面ファスナー部材(10,60) の長さ方向の両端部に、前記面ファスナー部材(10,60) の幅方向に沿って配され、左右の前記第１枠部(21,71) 間を連結する第２枠部(22,72) とを有してなる、
請求項１記載の成形面ファスナー。
　前記第１枠部(21,71) 及び前記第２枠部(22,72) が一体に形成され、前記樹脂材料浸入阻止部材(20,70) が単一の部材により構成されてなる請求項２記載の成形面ファスナー。
　前記樹脂材料浸入阻止部材(20,70) は、前記第１枠部(21,71) 及び前記第２枠部(22,72) により囲まれる矩形状の開口部(23,73) を有し、
　前記開口部(23,73) の幅方向における寸法が、左右の前記支持部材(13,12) の外面間の寸法より小さく、且つ、前記開口部(23,73) の長さ方向における寸法が、前記面ファスナー部材(10,60) の長さ方向における寸法より小さく設定されてなる、
請求項２又は３記載の成形面ファスナー。
　シート状の前記樹脂材料浸入阻止部材(50)は、当該樹脂材料浸入阻止部材(50)の側縁部同士が接続された筒状の形態を有して、前記基材(11)の前記左右側縁部(11a) に固着されてなる請求項１記載の成形面ファスナー。
　前記成形面ファスナー(2) は、複数の前記面ファスナー部材(30)と、複数の前記面ファスナー部材(30)を長さ方向に沿って連結する可撓性を備えた接続部材(45)とを有し、
　前記樹脂材料浸入阻止部材(40)は、複数の前記面ファスナー部材(30)に亘って長さ方向に連続して配される左右の第１枠部(41)と、隣接する前記面ファスナー部材(30)間に跨って、前記面ファスナー部材(30)の幅方向に沿って配され、左右の前記第１枠部(41)間を連結する第２枠部(42)とを有してなる、
請求項１記載の成形面ファスナー。
　前記第１枠部(41)及び前記第２枠部(42)が一体に形成され、前記樹脂材料浸入阻止部材(40)が、単一の部材により構成されてなる請求項６記載の成形面ファスナー。
　シート状の前記樹脂材料浸入阻止部材(40)は、長さ方向全体に亘って、一定の幅寸法を有し、複数の前記面ファスナー部材(30)間を当該面ファスナー部材(30)の幅方向の全体に亘って被覆してなる請求項６又は７記載の成形面ファスナー。
　前記接続部材(45)は、前記樹脂材料浸入阻止部材(40)の下面側にて、複数の前記面ファスナー部材(30)における幅方向の中央部を連結してなる請求項６～８のいずれかに記載の成形面ファスナー。
　前記樹脂材料浸入阻止部材(20,70) は、前記基材(11,61) の左右側端縁より幅方向の外側に延出してなる請求項１～９のいずれかに記載の成形面ファスナー。
　前記樹脂材料浸入阻止部材(20,40,50,51,70)は、不織布により構成されてなる請求項１～１０のいずれかに記載の成形面ファスナー。
　左右の前記支持部材(12)は、複数の係合素子(12)により構成された係合素子領域(18)を間に挟むように前記基材(11,31,61)に一体成形され、前後方向に沿って間欠的に又は連続的に立設された壁部材により構成されてなる請求項１～１１のいずれかに記載の成形面ファスナー。
　請求項１～１２のいずれかに記載の成形面ファスナー(1,2,3,4,5) を、金型(7) のファスナー載置面(7a)に、前記基材(11,31,61)の第１面側を対向させるように密着させた状態で発泡成形を行うことにより、前記成形面ファスナー(1,2,3,4,5) が一体化されたクッション体(6) を製造することを特徴とするクッション体の製造方法。
　前記金型(7) の前記ファスナー載置面(7a)が単一面からなり、当該単一面に前記成形面ファスナー(1,2,3,4,5) を密着させることを含んでなる請求項１３記載のクッション体の製造方法。