WO2013151097A1 - フィルム切断方法及びフィルム切断システム - Google Patents

Abstract

　本発明のフィルム切断方法は、フィルム（Ｆ）をロール状に巻き回した原反ロール（７）から前記フィルム（Ｆ）を巻き出し、前記フィルム（Ｆ）の搬送経路上に設定された切断領域（ＡＲ１）まで前記フィルム（Ｆ）を搬送し、前記切断領域（ＡＲ１）における前記フィルム（Ｆ）のエッジの前記フィルム（Ｆ）の搬送方向に対する傾き角度（θ）を算出し、算出された前記傾き角度（θ）に基づいて前記フィルム（Ｆ）の搬送方向に対する切断角度（α）を調整し、調整された前記切断角度（α）で前記フィルム（Ｆ）を前記切断領域（ＡＲ１）において切断する。

Description

フィルム切断方法及びフィルム切断システム

　本発明は、フィルム切断方法及びフィルム切断システムに関する。
　本願は、２０１２年４月４日に出願された特願２０１２－０８５７５８号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

　従来、フィルムをロール状に巻き回した原反ロールからフィルムを巻き出し、巻き出したフィルムを切断する装置が知られている（例えば特許文献１参照）。

　このような装置においては、原反ロールからフィルムが巻き出され、巻き出されたフィルムは、搬送ローラ等によって支持され、案内され、搬送される。この場合、原反ロールにおけるフィルムの巻き姿がフィルムの幅方向の端縁（以下、エッジという）で不揃いであったり、フィルムの厚みが不均一であったりすると、フィルムはエッジの位置を変動させながら走行する（以下、蛇行という）。

日本国特開２０１１－５７３３６号公報

　ところで、一般にフィルムを切断する際には、フィルムの搬送方向に対して目的の角度をなすようにフィルムの切断方向が設定される。この場合、フィルムが蛇行していなければ、フィルムのエッジラインが搬送方向に対して平行な状態でフィルムが切断される。しかしながら、フィルムが蛇行していると、フィルムのエッジラインが搬送方向に対して斜めにずれた状態でフィルムが切断されてしまう。そのため、フィルムの搬送方向を基準にフィルムを切断する場合には、フィルムを目的の方向に精度よく切断することが困難となる場合がある。

　本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、フィルムを目的の方向に精度よく切断することが可能なフィルム切断方法及びフィルム切断システムを提供することを目的とする。

　前記の目的を達成するために、本発明の第一態様のフィルム切断方法は、フィルムをロール状に巻き回した原反ロールから前記フィルムを巻き出し、前記フィルムの搬送経路上に設定された切断領域まで前記フィルムを搬送し（第１のステップ）、前記切断領域における前記フィルムのエッジの前記フィルムの搬送方向に対する傾き角度を算出し（第２のステップ）、算出された前記傾き角度に基づいて前記フィルムの前記搬送方向に対する切断角度を調整し、調整された前記切断角度で前記フィルムを前記切断領域において切断する（第３のステップ）。

　本発明の第一態様のフィルム切断方法においては、前記フィルムの前記エッジの前記傾き角度を算出する際に（第２のステップ）、前記搬送方向の複数個所において前記エッジの位置を検出し、前記複数個所で検出された前記エッジの相対的な位置関係に基づいて前記切断領域における前記エッジの前記傾き角度を算出することが好ましい。

　本発明の第一態様のフィルム切断方法においては、前記フィルムの前記エッジの前記傾き角度を算出する際に（第２のステップ）、前記搬送方向の２個所で前記エッジの位置を検出し、検出された２個所の前記エッジの前記位置の間における前記エッジの平均的な傾き方向に基づいて前記切断領域における前記エッジの前記傾き角度を算出することが好ましい。

　本発明の第一態様のフィルム切断方法においては、前記フィルムの前記エッジの前記傾き角度を算出する際に（第２のステップ）、前記複数箇所の前記エッジの前記位置として、前記切断領域の搬送方向における上流側の前記エッジの位置と前記切断領域の前記搬送方向における下流側の前記エッジの位置とを少なくとも検出することが好ましい。

　また、前記の目的を達成するために、本発明の第二態様のフィルム切断システムは、フィルムをロール状に巻き回した原反ロールから前記フィルムを巻き出し、前記フィルムの搬送経路上に設定された切断領域まで前記フィルムを搬送する搬送装置と、前記切断領域における前記フィルムのエッジの前記フィルムの搬送方向に対する傾き角度を算出し、前記傾き角度に基づいて前記フィルムの前記搬送方向に対する切断角度を制御する制御装置と、前記制御装置によって制御された前記切断角度で前記フィルムを前記切断領域において切断する切断装置とを含む。

　本発明の第二態様のフィルム切断システムにおいては、前記搬送方向の複数個所で前記エッジの画像を撮像する撮像装置を含み、前記制御装置は、前記撮像装置で撮像した複数個所の前記エッジの前記画像に基づいて前記複数個所の前記エッジの位置を検出し、前記複数個所で検出された前記エッジの相対的な位置関係に基づいて前記切断領域における前記エッジの前記傾き角度を算出することが好ましい。

　本発明の第二態様のフィルム切断システムにおいては、前記制御装置は、前記撮像装置で撮像した２個所の前記エッジの前記画像に基づいて前記２箇所の前記エッジの前記位置を検出し、検出された２個所の前記エッジの前記位置の間における前記エッジの平均的な傾き方向に基づいて前記切断領域における前記エッジの前記傾き角度を算出することが好ましい。

　本発明の第二態様のフィルム切断システムにおいては、前記撮像装置は、前記切断領域の搬送方向における上流側の前記エッジの画像と前記切断領域の前記搬送方向における下流側の前記エッジの画像とを少なくとも撮像することが好ましい。

　本発明の第二態様のフィルム切断システムにおいては、前記切断装置は、前記フィルムを切断するカット部と、前記カット部を前記フィルムの切断方向に沿って案内するガイド部と、を含み、前記ガイド部は、前記制御装置によって制御された前記切断角度に基づいて前記フィルムと平行な面内で回転駆動されることが好ましい。

　本発明によれば、フィルムを目的の方向に精度よく切断することが可能なフィルム切断方法及びフィルム切断システムを提供することができる。

本発明の第１実施形態のフィルム切断システムを示す模式図である。 本発明の第１実施形態の切断装置によってフィルムが切断される様子を示す図である。 本発明の第１実施形態の切断機構の動作を示す説明図である。 本発明の第１実施形態の切断機構の動作を示す説明図である。 本発明の第１実施形態の撮像装置で撮像したエッジの画像を示す図である。 本発明の第１実施形態の撮像装置で撮像したエッジの画像を示す図である。 本発明の第１実施形態の切断装置の構成を示す斜視図である。 本発明の第１実施形態のフィルム切断方法を示すフローチャートである。 本発明の第２実施形態の切断機構の動作を示す説明図である。 本発明の第２実施形態の切断機構の動作を示す説明図である。

　以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されない。
　尚、以下の全ての図面においては、各構成要素を図面上で認識し得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法及び比率を実際のものとは適宜に異ならせてある。また、以下の説明及び図面中、互いに同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。

　以下の説明においては、必要に応じてＸＹＺ直交座標系を用い、このＸＹＺ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。本実施形態においては、長尺のフィルムの幅方向をＸ方向としており、フィルムの面内においてＸ方向に直交する方向（長尺のフィルムの搬送方向）をＹ方向、Ｘ方向及びＹ方向に直交する方向をＺ方向としている。

（第１実施形態）
　図１は、本発明の第１実施形態のフィルム切断システムの一例を示す模式図である。
　図１に示すフィルム切断システム１は、帯状のフィルム（以下、単に「フィルム」という）を切断する。本実施形態においては、フィルム切断システム１として、帯状のフィルムを切断することにより、所定サイズの枚葉のフィルム（以下、「枚葉フィルム」という）を得る構成を挙げて説明する。尚、フィルムは、可撓性を有する帯状のフィルムであれば特に限定されず、種々のフィルムを用いることができる。本実施形態では、一例として偏光フィルムを用いる。

　尚、フィルム切断システム１が切断する偏光フィルムは、特に限定されないが、公知の偏光フィルムを挙げることができる。当該偏光フィルムとしては、通常、長尺（例えば偏光フィルムの搬送方向の長さが１０ｍ以上）の偏光フィルムが挙げられるが、短尺（例えば偏光フィルムの搬送方向の長さが２ｍ以上、１０ｍ未満）または板状（例えば偏光フィルムの搬送方向の長さが１０ｃｍ以上、２ｍ未満）の偏光フィルムであってもよい。

　図１に示すように、フィルム切断システム１は、原反ロール７からフィルムＦを連続的に巻き出して、搬送経路上に設定された切断領域ＡＲ１で所定長さの枚葉に切断し、搬出機構５に搬出する。

　フィルム切断システム１は、搬送装置２と、切断機構３と、間欠搬送部３Ａと、搬送コンベア４と、搬出機構５と、制御装置６と、を含んで構成されている。

　搬送装置２は、原反ロール７からフィルムＦを巻き出し、フィルムＦの搬送経路上に設定された切断領域ＡＲ１までフィルムを搬送する。

　原反ロール７は、帯状のフィルムＦをボビン８に巻き付けて蓄積している。ボビン８は、モーターなどの駆動装置に接続されており、回転可能である。例えば、ボビン８は、図中時計回り方向に回転駆動され、これによりフィルムＦは搬送経路上の切断領域ＡＲ１に連続的に巻き出されていく。

　搬送装置２は、フィルムの搬送経路を形成する複数のガイドローラ２１を備えている。
　尚、以下の説明においては、搬送経路上の任意の位置に対して、搬送経路の始点（原反ロール７）に近づく領域又は位置を上流側（搬送方向における上流側）、搬送経路の終点（搬出機構５）に近づく領域又は位置を下流側（搬送方向における下流側）という。

　搬送装置２と切断機構３との間における搬送方向の下流端にはニップローラ２２が設けられている。ニップロール２２が回転することにより、フィルムＦが切断領域ＡＲ１に送られていく。

　また、搬送装置２は、ダンサローラ２３を備えている。ダンサローラ２３は、図示の矢印Ｄのように軸２３ａを中心とした円弧方向に揺動可能に支持されている。ダンサローラ２３が軸２３ａを中心として回転することで搬送経路が長くなることにより、フィルムＦが切断領域ＡＲ１で停止し切断されている間であっても搬送装置２においてフィルムＦが連続搬送されるように、フィルムＦの送り量が吸収される。

　切断機構３は、フィルムＦを切断領域ＡＲ１において切断する切断装置（第１切断装置３１、第２切断装置３２）と、搬送方向の複数個所でフィルムＦのエッジの画像を撮像する撮像装置（第１撮像装置３３、第２撮像装置３４）と、を備えている。

　搬送経路上の切断領域ＡＲ１はほぼ水平に設定されている。図１に示すように、切断領域ＡＲ１には、フィルムＦの搬送方向の上流側から下流側（図１において左側から右側）に向かって２つの切断装置（第１切断装置３１、第２切断装置３２）が、間隔を空けて配設されている。この間隔は、フィルムＦを切断した後に得られる枚葉フィルムＦ１の長さに等しい。

　即ち本実施形態のフィルム切断システム１では、図２に示すように、フィルムＦを第１切断装置３１と第２切断装置３２の２箇所で同時に切断し、枚葉フィルムＦ１を一回の切断動作で２枚ずつ切り出して搬出する。尚、図２において、符号Ｖ１は第１切断装置３１によるフィルムＦの切断方向（以下、第１切断方向という）である。符号Ｖ２は第２切断装置３２によるフィルムＦの切断方向（以下、第２切断方向という）である。

　尚、切断領域ＡＲ１には、切断領域ＡＲ１の上面に配置されるフィルムＦを全幅にわたって吸着して保持する不図示の吸着テーブルが配置されている。

　間欠搬送部３Ａは、フィルムＦから所定長さに切断された枚葉フィルムＦ１を間欠的に搬送する。尚、「間欠的搬送」とは、枚葉フィルムＦ１を搬送する過程で枚葉フィルムＦ１をいったん停止させることを含む搬送である。間欠搬送部３Ａは、枚葉フィルムＦ１を下流側の搬送コンベア４に間欠的に搬送する複数のローラを備えている。

　搬送コンベア４は、間欠搬送部３Ａの下流側に配置されている。搬送コンベア４は、間欠搬送部３Ａから間欠的に搬送されてくる枚葉フィルムＦ１を受け取りながら連続的に搬送する。尚、「連続的搬送」とは、枚葉フィルムＦ１を搬送する過程で枚葉フィルムＦ１を停止させることなく枚葉フィルムＦ１の送り出しを継続する搬送である。搬送コンベア４は、切断機構３で切断されて間欠搬送部３Ａから送り出された２枚の枚葉フィルムＦ１を所定ピッチで平面保持できる長さに設定されている。

　搬出機構５は、搬送コンベア４の終端下方に連続配置されたローラコンベアにより構成されている。搬出機構５の始端部分には、搬送コンベア４から落下してくる枚葉フィルムＦ１を回収するトレー１５が配置されている。

　本実施形態の制御装置６は、コンピュータシステムを含んで構成されている。このコンピュータシステムは、ＣＰＵ等の演算処理部６ａと、メモリーやハードディスク等の記憶部６ｂとを備える。本実施形態の制御装置６は、コンピュータシステムの外部の装置との通信を実行可能なインターフェースを含む。制御装置６には、入力信号を入力可能な入力装置が接続されていてもよい。前記の入力装置は、キーボード、マウス等の入力機器、あるいは、コンピュータシステムの外部の装置からのデータを入力可能な通信装置等を含む。
　制御装置６は、フィルム切断システム１の各部の動作状況を示す液晶表示ディスプレイ等の表示装置を含んでいてもよいし、表示装置と接続されていてもよい。

　制御装置６の記憶部６ｂには、コンピュータシステムを制御するオペレーティングシステム（ＯＳ）がインストールされている。制御装置６の記憶部６ｂには、演算処理部６ａにフィルム切断システム１の各部を制御させることによって、フィルム切断システム１の各部にフィルムＦを精度よく搬送させるための処理を実行させるプログラムが記録されている。記憶部６ｂに記録されているプログラムを含む各種情報は、制御装置６の演算処理部６ａが読み取り可能である。制御装置６は、フィルム切断システム１の各部の制御に要する各種処理を実行するＡＳＩＣ等の論理回路を含んでいてもよい。

　ところで、原反ロールからフィルムを巻き出し、巻き出したフィルムが搬送ローラ等に支持され、案内され、搬送される場合、原反ロールにおけるフィルムの巻き姿がエッジで不揃いであったり、フィルムの厚みが不均一であったりすると、フィルムが蛇行することがある。フィルムが蛇行した状態で、フィルムの搬送方向に対して目的の角度をなすようにフィルムの切断方向を設定すると、フィルムのエッジラインが搬送方向に対して斜めにずれた状態でフィルムが切断されてしまう。そのため、フィルムの搬送方向を基準にフィルムを切断する場合には、フィルムを目的の方向に精度よく切断することが困難となる場合がある。

　そこで、本実施形態においては、フィルム切断システム１が、原反ロール７からフィルムＦを巻き出し、搬送経路上に設定された切断領域ＡＲ１までフィルムＦを搬送する搬送装置２と、切断領域ＡＲ１におけるフィルムＦのエッジのフィルムＦの搬送方向に対する傾き角を算出し、算出した傾き角度に基づいてフィルムＦの搬送方向に対する切断角度を制御する制御装置６と、制御装置６によって制御された切断角度でフィルムＦを切断領域ＡＲ１において切断する切断装置３１，３２と、を備える構成を採用している。これにより、フィルムＦを目的の方向に精度よく切断することを可能にしている。

　図３Ａ及び図３Ｂは、本実施形態の切断機構３の動作（第１切断装置３１、第２切断装置３２の動作）を示す説明図である。図３Ａは、第１切断装置３１、第２切断装置３２をそれぞれ回転させる前の状態を示す図である。図３Ｂは、第１切断装置３１、第２切断装置３２をそれぞれ回転させた後の状態を示す図である。

　尚、図３Ａ及び図３Ｂにおいて、符号ＬｙはフィルムＦの搬送方向（Ｙ方向）に平行な線である。符号θは線Ｌｙに対するフィルムＦのエッジの傾き角度である。また、フィルムＦを便宜上二点鎖線で図示している。
　図３Ｂにおいて、符号Ｌ１は第１切断装置３１の長手方向に平行な線である。符号Ｌ２は第２切断装置３２の長手方向に平行な線である。符号αは線Ｌｙと線Ｌ１（線Ｌ２）とのなす角度である。

　図３Ａ及び図３Ｂにおいては、切断領域ＡＲ１においてフィルムＦが蛇行している状態を示している。

　図３Ａに示すように、第１切断装置３１、第２切断装置３２は、それぞれフィルムＦの搬送方向（Ｙ方向）に平行に所定の距離だけ離れて配置されている。尚、第１切断装置３１と第２切断装置３２との間の距離は、フィルムＦを切断することで得られる枚葉フィルムＦ１のサイズ（Ｙ方向の長さ）に応じて適宜変更することができる。

　第１撮像装置３３、第２撮像装置３４は、それぞれフィルムＦの搬送方向（Ｙ方向）に平行に所定の距離だけ離れて配置されている。第１撮像装置３３は、切断領域ＡＲ１の上流側（第１切断装置３１の上流側）において、第１切断装置３１の一端部の近くに配置されている。第１撮像装置３３は、切断領域ＡＲ１の上流側のフィルムＦのエッジの画像を撮像する。一方、第２撮像装置３４は、切断領域ＡＲ１の下流側（第２切断装置３２の下流側）において、フィルムＦの下流側の端部が図示しない吸着装置によって吸着される位置の近傍（搬送経路上に設定された吸着位置の近傍）に配置されている。第２撮像装置３４は、切断領域ＡＲ１の下流側のフィルムＦのエッジの画像を撮像する。

　このように、切断領域ＡＲ１は、第１撮像装置３３と第２撮像装置３４との間に設定されている。

　制御装置６は、第１撮像装置３３及び第２撮像装置３４で撮像した２箇所のフィルムＦのエッジの画像に基づいて２箇所のフィルムＦのエッジの位置を検出し、検出された２箇所のフィルムＦのエッジの位置の間におけるフィルムＦのエッジの平均的な傾き方向に基づいて切断領域ＡＲ１におけるフィルムＦのエッジの傾き角度を算出する。

　図４Ａ及び図４Ｂは、撮像装置で撮像したフィルムＦのエッジの画像を示す図である。
　図４Ａは、第１撮像装置３３で撮像したフィルムＦのエッジの画像を示す図である。
　図４Ｂは、第２撮像装置３４で撮像したフィルムＦのエッジの画像を示す図である。

　尚、図４Ａにおいて、符号ＣＰ１は第１撮像装置３３の撮像領域の中心点である。
　符号ＥＰ１は、中心点ＣＰ１を通るＸ方向に平行な線とフィルムＦのエッジとの交点である。符号Ｈ１は、中心点ＣＰ１と交点ＥＰ１との間の距離である。
　また、図４Ｂにおいて、符号ＣＰ２は第２撮像装置３４の撮像領域の中心点である。符号ＥＰ２は、中心点ＣＰ２を通るＸ方向に平行な線とフィルムＦのエッジとの交点である。符号Ｈ２は、中心点ＣＰ２と交点ＥＰ２との間の距離である。距離Ｈ２は、距離Ｈ１よりも大きい（Ｈ２＞Ｈ１）。

　ここで、一例として、検出された２箇所のフィルムＦのエッジの位置の間におけるフィルムＦのエッジの平均的な傾き方向に基づいて切断領域ＡＲ１におけるフィルムＦのエッジの傾き角度を算出する方法を説明する。

　図４Ａ及び図４Ｂに示すように、検出された２箇所のフィルムＦのエッジの位置を、それぞれ交点ＥＰ１、交点ＥＰ２とすると、検出された２箇所のフィルムＦのエッジの位置の間におけるフィルムＦのエッジの平均的な傾き方向は、交点ＥＰ１と交点ＥＰ２とを結ぶ線の傾き方向となる。

　例えば、中心点ＣＰ１の座標を（ｘ１，ｙ１）とすると、交点ＥＰ１の座標は（ｘ１－Ｈ１，ｙ１）と表される。一方、中心点ＣＰ２の座標を（ｘ２，ｙ２）とすると、交点ＥＰ２の座標は（ｘ２－Ｈ２，ｙ２）と表される。この場合、交点ＥＰ２は交点ＥＰ１に対してＸ方向において｜（ｘ２－ｘ１）－（Ｈ２－Ｈ１）｜だけ、即ち、（ｘ２－ｘ１）－（Ｈ２－Ｈ１）の絶対値だけずれる。また、交点ＥＰ２は交点ＥＰ１に対してＹ方向において（ｙ２－ｙ１）だけずれる。

　したがって、検出された２箇所のフィルムＦのエッジの位置の間におけるフィルムＦのエッジの平均的な傾き方向に基づいて算出される切断領域ＡＲ１におけるフィルムＦのエッジの傾き角度をθとすると、下記の式（１）で表される。

　θ＝ｔａｎ－１｛｜（ｘ２－ｘ１）－（Ｈ２－Ｈ１）｜／（ｙ２－ｙ１）｝・・・（１）

　尚、第１撮像装置３３、第２撮像装置３４は、それぞれＹ方向に平行に配置されているため、中心点ＣＰ１のｘ座標と中心点ＣＰ２のｘ座標が概ね等しいとし、（ｘ２－ｘ１）の項を０に近似することができる。この場合、切断領域ＡＲ１におけるフィルムＦのエッジの傾き角度θを下記の式（２）で表すことができる。

　θ＝ｔａｎ－１｛｜Ｈ２－Ｈ１｜／（ｙ２－ｙ１）｝・・・（２）

　制御装置６は、前記の式（１）または（２）により算出した切断領域ＡＲ１におけるフィルムＦのエッジの傾き角度θに基づいてフィルムＦの搬送方向に対する切断角度を制御する。

　ここで、フィルムが蛇行していない状態においてフィルムの搬送方向に対する目的の切断角度をβとすると、制御装置６は、図３Ｂに示すように、前記傾き角度θに基づいて、前記切断角度αを（β－θ）に制御する。例えば、フィルムＦから平面視矩形形状の枚葉フィルムＦ１を得たい場合には、制御装置６は、フィルムＦの搬送方向に対する切断角度αを（９０°－θ）に制御する。

　図５は、切断装置の構成を示す斜視図である。尚、第１切断装置３１、第２切断装置３２はそれぞれ同様の構成であるため、図５においては、２つの切断装置３１，３２のうち１つの切断装置（第１切断装置３１）を図示している。

　図５に示すように、第１切断装置３１は、フィルムＦを切断するカット部３１１と、カット部３１１をフィルムＦの切断方向Ｖ１に沿って案内するガイド部３１２と、を備えている。

　カット部３１１は円形状のカッターである。例えば、カット部３１１は、不図示の駆動機構により、ガイド部３１２の長手方向に沿って形成された溝に沿って移動可能に構成されている。尚、フィルムＦを切断するカット部３１１としては、カッターに限らず、レーザーを用いてもよい。

　ガイド部３１２は、一方向に延在する部材である。ガイド部３１２の長さは、フィルムＦの幅方向の長さよりも長い。ガイド部３１２は、制御装置６によって制御された切断角度αに基づいてフィルムＦと平行な面内で回転駆動される。

　図３Ｂに戻り、制御装置６は、前記切断角度αに基づいて第１切断装置３１と第２切断装置３２とを互いに平行な状態を維持しつつ回転させる。これにより、フィルムＦから互いにサイズが等しい２枚の枚葉フィルムＦ１を得ることができる。

（フィルム切断方法）
　本実施形態におけるフィルム切断方法は、原反ロール７からフィルムＦを巻き出し、フィルムＦの搬送経路上に設定された切断領域ＡＲ１までフィルムＦを搬送する第１のステップと、切断領域ＡＲ１におけるフィルムＦのエッジの搬送方向に対する傾き角度を算出する第２のステップと、算出された傾き角度に基づいてフィルムＦの搬送方向に対する切断角度を調整し、調整された切断角度でフィルムＦを切断領域ＡＲ１において切断する第３のステップと、を含む。
　第２のステップでは、フィルムＦの搬送方向の複数個所でエッジの位置を検出し、検出された複数個所のエッジの相対的な位置関係に基づいて切断領域ＡＲ１におけるフィルムＦのエッジの傾き角度θを算出する。以下、図６を用いて具体的に説明する。

　図６は、フィルム切断方法を示すフローチャートである。

　まず、第１のステップとして、原反ロール７からフィルムＦを巻き出し、フィルムＦの搬送経路上に設定された切断領域ＡＲ１までフィルムＦを搬送する（図６に示すステップＳ１）。本実施形態においては、切断領域ＡＲ１の上流側に第１撮像装置３３が配置されており、切断領域ＡＲ１の下流側に第２撮像装置３４が配置されている。例えば、フィルムＦは、当該フィルムＦの下流側の端部のエッジが平面視において第２撮像装置３４の撮像領域と重なるように送り出される（図３Ａ参照）。

　次に、第２のステップとして、切断領域ＡＲ１におけるフィルムＦのエッジの搬送方向（Ｙ方向）に対する傾き角度θを算出する（図６に示すステップＳ２）。

　第２のステップでは、フィルムＦの搬送方向の２箇所（切断領域ＡＲ１の上流側に配置された第１撮像装置３３と切断領域ＡＲ２の下流側に配置された第２撮像装置３４の２つの切断装置）でフィルムＦのエッジの位置を検出する。そして、検出された２箇所のフィルムＦのエッジの位置の間におけるフィルムＦのエッジの平均的な傾き方向に基づいて切断領域ＡＲ１におけるフィルムＦのエッジの傾き角度θを算出する（図３Ａ参照）。
　当該傾き角度θのデータは、記憶部６ｂに記憶される。

　次に、第３のステップとして、算出された傾き角度θに基づいてフィルムＦの搬送方向に対する切断角度αを調整し、調整された切断角度αでフィルムＦを切断領域ＡＲ１において切断する（図６に示すステップＳ３）。

　第３のステップでは、記憶部６ｂに記憶された切断領域ＡＲ１におけるフィルムＦのエッジの傾き角度θのデータに基づいて、フィルムＦの搬送方向に対する切断角度αを調整する。例えば、図３Ｂに示すように、第１切断方向Ｌ１と第２切断方向Ｌ２とがフィルムＦの搬送方向に対して目的の切断角度αとなるように第１切断装置３１及び第２切断装置３２を回転させる。

　そして、フィルムＦを第１切断方向Ｌ１及び第２切断方向Ｌ２に沿って切断する。以上の工程により、２枚の枚葉フィルムＦ１が得られる。

　本実施形態のフィルム切断方法、フィルム切断システム１によれば、切断領域ＡＲ１におけるフィルムＦのエッジの搬送方向に対する傾き角度θを算出し、当該傾き角度θに基づいて搬送方向に対する切断角度αが制御される。この制御では、フィルムＦの蛇行によるフィルムＦのエッジの傾き角度θが加味されて搬送方向に対して目的の角度をなすように切断方向が制御される。そして、切断方向がこのように制御された切断装置によってフィルムＦが切断される。よって、フィルムＦを目的の方向に精度よく切断することができる。
　さらに、フィルムＦの蛇行を精密に補正する必要がないため、フィルム搬送システム１の構成が簡素化される。

　また、本実施形態においては、切断領域ＡＲ１が第１撮像装置３３と第２撮像装置３４との間に設定されている。つまり、切断領域ＡＲ１が前記傾き角度θの算出領域の範囲内に設定されている。このため、切断領域ＡＲ１が第１撮像装置３３の上流側または第２撮像装置３４の下流側に設定される場合に比べて、フィルムＦの蛇行によるフィルムＦのエッジの傾き角度θが十分に加味された上で前記切断角度αが制御される。よって、フィルムＦを目的の方向に精度よく切断することができる。

　尚、本実施形態においては、フィルムＦの搬送方向において２箇所でフィルムＦのエッジの位置を検出し、検出された２箇所のフィルムＦのエッジの位置の間におけるフィルムＦのエッジの平均的な傾き方向に基づいて切断領域ＡＲ１におけるフィルムＦのエッジの傾き角度を算出する例を説明した。しかし、本発明は、このように傾き角度を算出する例に限定されず、フィルムＦの搬送方向において３箇所以上の複数個所でフィルムＦのエッジの位置を検出し、検出された複数個所のフィルムＦのエッジの位置の相対的な位置関係に基づいて切断領域ＡＲ１におけるフィルムＦのエッジの傾き角度を算出する場合にも適用することができる。この場合、検出された複数個所のフィルムＦのエッジの位置の相対的な位置関係に基づいて、例えば最小二乗法によりフィルムＦのエッジの平均的な傾き方向が求めることができる。そして、当該傾き方向に基づいて切断領域ＡＲ１におけるフィルムＦのエッジの傾き角度を算出することとなる。

　また、本実施形態においては、フィルムＦの搬送方向の２箇所に撮像装置が配置された例を説明した。しかし、本発明は、このように撮像装置が配置された例に限定されず、１つの撮像装置をフィルムＦの搬送方向に沿って移動させることで搬送方向の複数個所でフィルムＦのエッジの位置を検出する場合にも適用することができる。これにより、撮像装置の設置数が１つで済むので切断機構の構成を簡素化することができる。また、切断機構のレイアウト設計上の自由度を高めることもできる。

　また、本実施形態においては、フィルムＦから２枚の枚葉フィルムＦ１を切り出す例を説明した。しかし、本発明は、このように２枚の枚葉フィルムＦ１を切り出す例に限定されず、フィルムＦから１枚もしくは３枚以上の複数の枚葉フィルムＦ１を切り出す場合にも適用することができる。

　例えば、フィルムＦから１枚の枚葉フィルムＦ１を切り出す構成としては、第１実施形態の切断機構３において、第１切断装置３１を作動させずに第２切断装置３２のみを作動させてフィルムＦを切断する構成が考えられる。

　しかしながら、この構成では、第２切断装置３２による切断作用位置が第１撮像装置３３と第２撮像装置３４との間の概ね中間位置に配置される。つまり、第２切断装置３２による切断作用位置が第１撮像領域３３の撮像領域から大きく離れることとなる。そのため、第２切断装置３２による切断作用位置（第１撮像装置３３と第２撮像装置３４との間の概ね中間位置）においてフィルムＦのエッジの傾き方向が大きくばらついていると、前記傾き角度θに基づいて調整された切断角度αでフィルムＦを切断しても、フィルムＦを目的の方向に精度よく切断することが困難となる。

　以下、フィルムＦから１枚の枚葉フィルムＦ１を切り出す場合の好ましい構成の一例として、第２実施形態を挙げて説明する。

（第２実施形態）
　図７Ａ及び図７Ｂは、第２実施形態の切断機構１３の動作を示す説明図である。
　本実施形態の切断機構１３は、第１切断装置３１及び第２切断装置３２のうち第２切断装置３２を作動させてフィルムＦを切断し、１枚の枚葉フィルムＦ１を得る。

　以下、第２実施形態の切断機構１３を用いてフィルムＦを切断するまでの動作を説明する。本実施形態の切断機構１３は、第３撮像装置３５をさらに備えている点が前記第１実施形態の切断機構３の構成と異なる。

　図７Ａは、第２切断装置３２を回転させる前の状態を示す図である。図７Ｂは、第２切断装置３２を回転させた後の状態を示す図である。
　尚、図７Ａ及び図７Ｂにおいて、図３Ａ及び図３Ｂに示した構成と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。

　図７Ａに示すように、第１撮像装置３３、第２撮像装置３４、第３撮像装置３５は、それぞれフィルムＦの搬送方向（Ｙ方向）に平行に所定の距離だけ離れて配置されている。第３撮像装置３５は、第１撮像装置３３と第２撮像装置３４との間の概ね中間位置に配置されている。第３撮像装置３５は、切断領域ＡＲ２の上流側（第２切断装置３２の上流側）において、第２切断装置３２の一端部の近くに配置されている。第３撮像装置３５は、切断領域ＡＲ２の上流側のフィルムＦのエッジの画像を撮像する。一方、第２撮像装置３４は、切断領域ＡＲ２の下流側（第２切断装置３２の下流側）において、フィルムＦの下流側の端部が図示しない吸着装置によって吸着される位置の近傍（搬送経路上に設定された吸着位置の近傍）に配置されている。第２撮像装置３４は、切断領域ＡＲ２の下流側のフィルムＦのエッジの画像を撮像する。

　制御装置６は、第３撮像装置３５及び第２撮像装置３４で撮像した２箇所のフィルムＦのエッジの画像に基づいて２箇所のフィルムＦのエッジの位置を検出し、検出された２箇所のフィルムＦのエッジの位置の間におけるフィルムＦのエッジの平均的な傾き方向に基づいて切断領域ＡＲ２におけるフィルムＦのエッジの傾き角度を算出する。

　このように、本実施形態においては、第２切断装置３２による切断作用位置が第３撮像装置３５の撮像領域の近くに配置される。そのため、第２切断装置３２による切断作用位置（第３撮像装置３５の撮像領域の近傍）においてフィルムＦのエッジの傾き方向が大きくばらついても、当該傾き方向のばらつきが十分に加味された上で切断領域ＡＲ２におけるフィルムＦのエッジの傾き角度が算出される。よって、フィルムＦから１枚の枚葉フィルムＦ１を切り出す場合において、フィルムＦを目的の方向に精度よく切断することができる。

　制御装置６は、算出した切断領域ＡＲ２におけるフィルムＦのエッジの傾き角度に基づいてフィルムＦの搬送方向に対する切断角度を制御する。尚、切断領域ＡＲ２におけるフィルムＦのエッジの傾き角度は、前記式（１）または式（２）に基づいて算出することができる。この場合、前記交点ＥＰ１に替えて、第３撮像装置３５の撮像領域の中心点を通るＸ方向に平行な線とフィルムＦのエッジとの交点を用いることとなる。

　制御装置６は、前記切断角度に基づいて第２切断装置３２を回転させる。これにより、フィルムＦから所定サイズの１枚の枚葉フィルムＦ１を得ることができる。

　以上、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を説明し、上記で説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されている。

１…フィルム切断システム、２…搬送装置、６…制御装置、７…原反ロール、３１…第１切断装置（切断装置）、３２…第２切断装置（切断装置）、３１１…カット部、３１２…ガイド部、θ…傾き角度、α…切断角度

Claims (9)

1. 　フィルム切断方法であって、
   　フィルムをロール状に巻き回した原反ロールから前記フィルムを巻き出し、前記フィルムの搬送経路上に設定された切断領域まで前記フィルムを搬送し、
   　前記切断領域における前記フィルムのエッジの前記フィルムの搬送方向に対する傾き角度を算出し、
   　算出された前記傾き角度に基づいて前記フィルムの前記搬送方向に対する切断角度を調整し、調整された前記切断角度で前記フィルムを前記切断領域において切断するフィルム切断方法。
2. 　請求項１に記載のフィルム切断方法であって、
   　前記フィルムの前記エッジの前記傾き角度を算出する際に、
   　前記搬送方向の複数個所において前記エッジの位置を検出し、前記複数個所で検出された前記エッジの相対的な位置関係に基づいて前記切断領域における前記エッジの前記傾き角度を算出するフィルム切断方法。
3. 　請求項１に記載のフィルム切断方法であって、
   　前記フィルムの前記エッジの前記傾き角度を算出する際に、前記搬送方向の２個所で前記エッジの位置を検出し、検出された２個所の前記エッジの前記位置の間における前記エッジの平均的な傾き方向に基づいて前記切断領域における前記エッジの前記傾き角度を算出するフィルム切断方法。
4. 　請求項２又は請求項３に記載のフィルム切断方法であって、
   　前記フィルムの前記エッジの前記傾き角度を算出する際に、前記複数箇所の前記エッジの前記位置として、前記切断領域の搬送方向における上流側の前記エッジの位置と前記切断領域の前記搬送方向における下流側の前記エッジの位置とを少なくとも検出するフィルム切断方法。
5. 　フィルム切断システムであって、
   　フィルムをロール状に巻き回した原反ロールから前記フィルムを巻き出し、前記フィルムの搬送経路上に設定された切断領域まで前記フィルムを搬送する搬送装置と、
   　前記切断領域における前記フィルムのエッジの前記フィルムの搬送方向に対する傾き角度を算出し、前記傾き角度に基づいて前記フィルムの前記搬送方向に対する切断角度を制御する制御装置と、
   　前記制御装置によって制御された前記切断角度で前記フィルムを前記切断領域において切断する切断装置と、
   　を含むフィルム切断システム。
6. 　請求項５に記載のフィルム切断システムであって、
   　前記搬送方向の複数個所において前記エッジの画像を撮像する撮像装置を含み、
   　前記制御装置は、前記撮像装置で撮像した複数個所の前記エッジの前記画像に基づいて前記複数個所の前記エッジの位置を検出し、前記複数個所で検出された前記エッジの相対的な位置関係に基づいて前記切断領域における前記エッジの前記傾き角度を算出するフィルム切断システム。
7. 　請求項６に記載のフィルム切断システムであって、
   　前記制御装置は、前記撮像装置で撮像した２個所の前記エッジの前記画像に基づいて前記２箇所の前記エッジの前記位置を検出し、検出された２個所の前記エッジの前記位置の間における前記エッジの平均的な傾き方向に基づいて前記切断領域における前記エッジの前記傾き角度を算出するフィルム切断システム。
8. 　請求項６又は請求項７に記載のフィルム切断システムであって、
   　前記撮像装置は、前記切断領域の搬送方向における上流側の前記エッジの画像と前記切断領域の前記搬送方向における下流側の前記エッジの画像とを少なくとも撮像するフィルム切断システム。
9. 　請求項５から請求項８のいずれか一項に記載のフィルム切断システムであって、
   　前記切断装置は、前記フィルムを切断するカット部と、前記カット部を前記フィルムの切断方向に沿って案内するガイド部と、を含み、
   　前記ガイド部は、前記制御装置によって制御された前記切断角度に基づいて前記フィルムと平行な面内で回転駆動されるフィルム切断システム。

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