WO2013121606A1 - 嗅覚ディスプレイ - Google Patents

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Abstract

 【構成】 嗅覚ディスプレイ10は、噴射口22を有する筐体12を含み、時間的および空間的に限られた範囲に香りを提示する。筐体12内には、吸気口26と噴射口22に連通する香気出口24とを有する香気室14が形成されており、この香気室14内には、固形状の香源20が収納される。また、香気室14には、圧電素子32を貼り付けたダイヤフラム34を備える風力源16が設けられる。香りを提示する際には、風力源16によって吸入口26から香気室14内に空気が送り込まれることにより、香源20から揮発した気体状の香り成分が含まれる香気室14内の空気が、香気出口24を通って噴射口22から噴射される。

Description

嗅覚ディスプレイ
 この発明は嗅覚ディスプレイに関し、特に、時間的および空間的に限られた範囲に香りを提示する、嗅覚ディスプレイに関する。
 近年、高臨場感や高没入感などをユーザに与えられる情報提示を目的として、テレビやパソコン等の視聴覚ディスプレイと連動して香り(嗅覚情報)を提示する、様々な嗅覚ディスプレイが提案されている。ここで、或る程度の長時間、一定の香りを提示したい場合には、単純に香りを空間に拡散させるだけでよい。しかしながら、たとえば視聴覚ディスプレイが提示するコンテンツの場面の切り替わりに合わせて香りを提示するためには、香り提示の時間的な制御(時間的局所性)が必要となる。また、たとえば狙った人にだけ香りを提示するためには、香り提示の空間的な制御(空間的局所性)が必要となる。さらに、香り提示の時間的および空間的な局所性が実現されれば、使用する香料を大幅に節約できる上、残り香の問題も解消される。これらのことから、時空間制御可能な香りを提示する、つまり時間的および空間的に限られた範囲に香りを提示できる嗅覚ディスプレイが望まれている。
 特許文献1には、従来の嗅覚ディスプレイの一例が開示されている。特許文献1の嗅覚ディスプレイ(芳香発生装置)は、固形状の香料を収納する香料収容部を備え、香料収容部の入口側および出口側のそれぞれには、ポンプが設けられる。そして、香りを発生させる際には、入口側ポンプを回転させて香料収容部に空気を送ることによって、芳香が付加された空気(香気)を香料収容部から押し出し、これと同時に出口側ポンプを回転させることによって、香気を芳香排出口から外部に排出している。
 また、従来の嗅覚ディスプレイの他の一例が特許文献2に開示されている。特許文献2の嗅覚ディスプレイ(制御型芳香出力装置)は、液体香料を格納する香料格納部、およびピエゾ素子を用いたインクジェットタイプの香料放出器を備える。そして、香りを発生させる際には、香料放出器によって香料を液体粒子として装置内部に噴射し、噴射後に揮発した香料を送風ファンによって装置外部へ放出している。
特開2004-121594号公報 [A61L 9/12] 特開平10-146385号公報 [A61L 9/12]
 特許文献1の技術では、ポンプのロータの回転によって、香気を香料収容部から外部に押し出しているだけ、つまり単に香りを周囲空間に拡散させているだけであり、香り提示の空間制御については考慮されていない。すなわち、空間的に限られた範囲への香りの提示が実現されていない。また、構造が複雑であるため、小型化には限界がある。
 また、特許文献2の技術では、香料放出器と送風ファンという2つの機構を用いて香料を外部に放出するので、装置が大型化してしまう。また、送風ファンによる送風(風圧生成)は、羽根の回転速度に依存するため、機敏な時間制御ができずタイムラグが生じてしまう。なお、特許文献2には、インクジェットタイプの香料放出器によって、香料を装置外部に直接噴射する態様も例示されているが、香料を液体粒子として直接噴射すると、香料の付着による残香性の問題が生じる。このため、消臭手段が不可欠となり、結果として装置が大型化してしまう。
 それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、嗅覚ディスプレイを提供することである。
 この発明の他の目的は、時間的および空間的に限られた範囲に香りを提示でき、かつ装置自体を小型化できる、嗅覚ディスプレイを提供することである。
 この発明のさらに他の目的は、1つの装置で複数種類の香りが提示可能である、嗅覚ディスプレイを提供することである。
 この発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明などは、本発明の理解を助けるために後述する実施の形態との対応関係を示したものであって、この発明を何ら限定するものではない。
 第1の発明は、時間的および空間的に限られた範囲に香りを提示する嗅覚ディスプレイであって、噴射口を有する筐体、筐体内に形成される、吸気口と噴射口に連通する香気出口とを有する香気室、香気室内に収納される固形状の香源、圧電素子を有するダイヤフラムを用いて、吸気口から香気室内に空気を送り込む風力源を備える、嗅覚ディスプレイである。
 第1の発明では、嗅覚ディスプレイ(10)は、噴射口(22)を有する筐体(12)および風力源(16)を含み、たとえばパソコンやテレビ等の視聴覚ディスプレイと連動して、時間的および空間的に限られた範囲に香りを提示する。筐体内には、吸気口(26)と噴射口に連通する香気出口(24)とを有する香気室(14)が形成され、香気室内には、固形状の香源(20)が収納される。固形状の香源としては、たとえば、粒状の多孔質体に液体香料を染み込ませたものが使用される。風力源は、圧電素子(32)を貼り付けたダイヤフラム(34)を備え、圧電素子に対して交番電圧が印加されるとダイヤフラムを振動させて空気流を発生させる。嗅覚ディスプレイによって香りを提示する際には、風力源によって吸気口から香気室内に空気が送り込まれ、香源から揮発した気体状の香り成分が含まれる香気室内の空気が、香気出口を通って噴射口から噴射される。
 第1の発明によれば、圧電素子を有するダイヤフラムを利用した風力源を用いたので、香気室内に短時間で高い静圧を生成できる。これによって、応答性よく、かつ空間的に非常に限られた範囲に香りを提示できるようになる。つまり、単一の機構(風力源)による時空間制御が可能となるので、嗅覚ディスプレイを小型化できる。
 第2の発明は、第1の発明に従属し、香気出口は、吸気口と直交する方向に形成される。
 第2の発明では、香気出口(24)は、吸気口(26)に対して直交する方向に形成される。これによって、香りを提示する際には、香気室(14)内の空気の流れに適度な乱流が生じる。
 第2の発明によれば、香気室内の空気の流れに乱流が生じるので、香気室内の香源全体をバランスよく使用することができる。
 第3の発明は、第1または第2の発明に従属し、風力源の上流側に設けられる動作音抑制部をさらに備える。
 第3の発明では、風力源(16)の空気流の上流側には、動作音抑制部(18)が設けられる。動作音抑制部は、風力源のダイヤフラム(34)の上流側に空洞部を形成し、たとえば、この空洞部は仕切壁(48)によって仕切られる。これによって、外気口(46a)からの動作音の漏れが抑制される。
 第3の発明によれば、動作音による違和感をユーザに与えることなく、ユーザに対して自然に香りを伝えることができる。
 第4の発明は、第1ないし第3のいずれかの発明に従属し、筐体の内部空間を隔壁で区画することによって形成される複数の香気室、および複数の香気室に形成される香気出口のそれぞれから噴射口に向かって延びる複数の香気通路を備え、香源は、複数の香気室の少なくとも1つに収納され、風力源は、複数の香気室のそれぞれに設けられ、複数の香気通路は、噴射口の近傍位置にて合流されて1つの共有通路とされる。
 第4の発明では、筐体(12)内には、隔壁(50)で区画された複数の香気室(14)が形成されており、少なくともその1つに固形状の香源(20)が収納される。また、各香気室には、個別の風力源(16)が設けられる。各香気室に形成される香気出口(24)のそれぞれは、香気通路(52)を介して噴射口(22)と連通される。各香気通路は、各香気出口から噴射口に向かって延び、噴射口の近傍位置にて合流されて1つの共有通路(54)とされて噴射口に至る。
 第4の発明によれば、筐体内に複数の独立した香気室を設けているので、各香気室に対して異なる香りを有する香源を収納しておくようにすれば、複数種類の香りが提示可能となる。また、噴射口の近傍位置にて各香気通路を合流させた共有通路を設け、1つの噴射口から香気を噴射するようにしているので、調合した香りの提示が可能となる上、空間制御のための調整が容易となる。
 第5の発明は、第4の発明に従属し、複数の香気通路の合流部分にベンチュリ管構造を有する。
 第5の発明では、香気通路(52)の合流部分(56)には、ベンチュリ管構造が設けられる。なお、ベンチュリ管構造とは、流体の流れを絞ることによって流速を増加させ、低圧力を発生させるというベンチュリ効果を利用した構造を言う。
 第5の発明によれば、香気通路の合流部分にベンチュリ管構造を設けているので、この合流部分を通る香気の速度が十分に加速され、合流部分における香気成分の付着が防止されると共に、噴射口からはより指向性を持って香気が噴射される。
 第6の発明は、時間的および空間的に限られた範囲に香りを提示する嗅覚ディスプレイであって、噴射口を有する筐体、筐体の内部空間を隔壁で区画することによって形成される、吸気口および香気出口を有する複数の香気室、香気室の少なくとも1つに収納される固形状の香源、香気室のそれぞれに設けられ、圧電素子を有するダイヤフラムを用いて吸気口から当該香気室内に空気を送り込む複数の風力源、および香気出口のそれぞれから噴射口に向かって延びる複数の香気通路を備え、複数の香気通路を噴射口の近傍位置にて合流させて1つの共有通路とすると共に、当該合流部分にベンチュリ管構造を有する、嗅覚ディスプレイである。
 第6の発明では、嗅覚ディスプレイ(10)は、噴射口(22)を有する筐体(12)を含み、たとえばパソコンやテレビ等の視聴覚ディスプレイと連動して、時間的および空間的に限られた範囲に香りを提示する。筐体内には、隔壁(50)で区画された複数の香気室(14)が形成されており、少なくともその1つには、固形状の香源(20)が収納される。固形状の香源としては、たとえば、粒状の多孔質体に液体香料を染み込ませたものが使用される。また、各香気室には、個別の風力源(16)が設けられる。風力源は、圧電素子(32)を貼り付けたダイヤフラム(34)を備え、圧電素子に対して交番電圧が印加されるとダイヤフラムを振動させて空気流を発生させるものである。また、各香気室に形成される香気出口(24)のそれぞれは、香気通路(52)を介して噴射口と連通される。各香気通路は、各香気出口から噴射口に向かって延び、噴射口の近傍位置にて合流されて1つの共有通路(54)とされると共に、その合流部分(56)には、ベンチュリ管構造が設けられる。なお、ベンチュリ管構造とは、流体の流れを絞ることによって流速を増加させ、低圧力を発生させるというベンチュリ効果を利用した構造を言う。
 このような嗅覚ディスプレイによって香りを提示する際には、風力源によって吸気口(26)から香気室内に空気が送り込まれ、香源から揮発した気体状の香り成分が含まれる香気室内の空気(香気)が、香気出口および香気通路を通って噴射口から噴射される。この際、香気通路の合流部分にベンチュリ管構造を設けているので、この合流部分を通る香気は、その速度が十分に上げられる。
 第6の発明によれば、圧電素子を有するダイヤフラムを利用した風力源を用いたので、香気室内に短時間で高い静圧を生成できる。これによって、応答性よく、かつ空間的に非常に限られた範囲に香りを提示できるようになる。つまり、単一の機構(風力源)による時空間制御が可能となるので、嗅覚ディスプレイを小型化できる。
 また、各香気室に対して異なる香りを有する香源を収納しておくようにすれば、複数種類の香りが提示可能となる。この際、香気通路の合流部分にベンチュリ管構造を設けているので、この合流部分を通る香気の速度が十分に加速され、合流部分における香気成分の付着が防止されると共に、噴射口からは指向性を持って香気が噴射される。また、噴射口の近傍位置にて各香気通路を合流させた共有通路を設け、1つの噴射口から香気を噴射するようにしているので、調合した香りの提示が可能となる上、空間制御のための調整が容易となる。
 第7の発明は、第4ないし第6のいずれかの発明に従属し、香気通路は、隔壁の内部を貫通する貫通孔によって形成される。
 第7の発明では、香気通路(52)は、筐体(12)内を区画する隔壁(50)内を貫通する貫通孔によって形成される。これによって、香気通路を形成するスペースを別途設けることと比較して、嗅覚ディスプレイ(10)のより小型化を図ることができる。
 第8の発明は、第5ないし第7のいずれかの発明に従属し、ベンチュリ管構造は、共有通路を噴射口側に向かって縮径することによって形成される縮径部を含む。
 第8の発明では、共有通路(54)には、噴射口(22)側に向かって徐々に縮径される縮径部(60)が形成され、この縮径部がベンチュリ効果を発揮する。
 第9の発明は、第5ないし第8のいずれかの発明に従属し、ベンチュリ管構造は、複数の香気通路の合流部分に設けられる仕切板を含む。
 第9の発明では、香気通路(52)の合流部分(56)には、香気通路同士を仕切る仕切板(58)が形成され、この仕切板がベンチュリ効果を発揮する。仕切板は、たとえば噴射口(22)側に向かってその先端が尖る平板状に形成され、各香気通路内を流れてくる香気を噴射口方向に案内するガイド板としても機能する。
 第10の発明は、第4ないし第9のいずれかの発明に従属し、香気室の少なくとも1つは、香源に香り成分が付加されていない粒状体が収納される。
 第10の発明では、香気室(14)の少なくとも1つは、香源(20)が収納されずに、液体香料を浸み込ませていない多孔質体や非孔質体などの粒状体のみが収納される。たとえば、香りを提示した後、香源を収納しない香気室の風力源(16)を作動させて無臭の空気を噴出することによって、より素早い消臭が可能となる。また、香源を収納した香気室の風力源と香源を収納しない香気室の風力源とを同時に或いはタイムシェアリングさせて作動させることにより、噴出する香り成分の濃度を調整することもできる。
 第10の発明によれば、より素早い消臭が可能となり、また、香り成分の濃度調整も可能となる。
 第11の発明は、第4ないし第10のいずれかの発明に従属し、香気室の少なくとも1つは、空室とされる。
 第11の発明では、香気室(14)の少なくとも1つは、香源(20)が収納されずに、空室とされる。たとえば、香りを提示した後、空室とした香気室の風力源(16)を作動させて無臭の空気を噴出することによって、より素早い消臭が可能となる。また、香源を収納した香気室の風力源と空室とした香気室の風力源とを同時に或いはタイムシェアリングさせて作動させることにより、噴出する香り成分の濃度を調整することもできる。
 第11の発明によれば、より素早い消臭が可能となり、また、香り成分の濃度調整も可能となる。
 第12の発明は、第4ないし第11のいずれかの発明に従属し、筐体に設けられる、圧電素子を有するダイヤフラムを備える補助風力源、および補助風力源と共有通路とを連通させる補助通路をさらに備える。
 第12の発明では、各香気室(14)に設けられる風力源(16)とは別に、各香気室とは独立して設けられる補助風力源(62)をさらに備える。補助風力源としては、風力源と同様のもの、すなわち、圧電素子を貼り付けたダイヤフラムを備え、圧電素子に対して交番電圧が印加されるとダイヤフラムを振動させて空気流を発生させるものが用いられる。また、筐体(12)内には、補助風力源と共有通路(54)とを連通させる補助通路(64)が設けられる。
 このような嗅覚ディスプレイ(10)によってユーザに香りを提示する際には、目的の香源(20)を収容した香気室に設けられる風力源を作動させると同時に、或いはタイムシェアリングさせて、補助風力源を作動させる。すると、香気通路(52)を通って噴射口(22)に向かう香気は、補助風力源から吐出された無臭の空気と共有通路で合流して加速され、噴射口から勢いよく直進性を持って噴射される。
 第12の発明によれば、補助風力源を備えるので、より指向性に優れた香りの提示が可能になる。また、共有通路における香気の滞留をより抑制できるので、共有通路への香気成分の付着をより効果的に防ぐことができる。
 第13の発明は、第12の発明に従属し、補助風力源の吐出性能は、風力源の吐出性能よりも高くされる。
 第13の発明では、たとえば補助風力源(62)が備える圧電素子の直径を風力源(16)が備える圧電素子(32)の直径よりも大きくして、補助風力源の吐出性能、つまり空気を送り出す性能が、風力源の吐出性能よりも高くされる。これによって、香り提示の飛距離を伸ばすことができる。また、無臭の空気を勢いよく噴射できるので、より高い消臭効果を発揮することもできる。
 この発明によれば、圧電素子を有するダイヤフラムを利用した風力源を用いることによって、単一の機構による時空間制御を可能にしたので、嗅覚ディスプレイを小型化できる。
 また、第4または第6の発明によれば、筐体内に複数の独立した香気室を設けているので、各香気室に対して異なる香りを有する香源を収納しておくようにすれば、複数種類の香りが提示可能となる。また、噴射口の近傍位置にて各香気通路を合流させた共有通路を設け、1つの噴射口から香気を噴射するようにしているので、調合した香りの提示が可能となる上、空間制御のための調整が容易となる。さらに、香気通路の合流部分にベンチュリ管構造を設けるようにすれば、この合流部分を通る香気の速度が十分に上げられるので、合流部分における香気成分の付着が防止されると共に、噴射口からは指向性を持って香気が噴射される。
 この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
この発明の一実施例である嗅覚ディスプレイを用いてユーザに香りを提示する様子を示す図解図である。 図1の嗅覚ディスプレイの外観を示す斜視図である。 図1の嗅覚ディスプレイの側面方向から見た内部構造を示す断面図である。 図1の嗅覚ディスプレイが備える風力源を対角線方向に切断したときの拡大断面を示す断面図である。 図1の嗅覚ディスプレイが備える動作音抑制部を水平方向に切断したときの断面を示す断面図である。 図1の嗅覚ディスプレイから噴射された香り成分の空間的広がりを示す図解図である。 図4の風力源の性能評価に用いた評価システムの構成を示す図解図である。 図4の風力源の性能評価の結果を示すグラフである。 この発明の他の実施例である嗅覚ディスプレイの上方向から見た内部構造を示す図解図である。 図9の嗅覚ディスプレイが備える香気通路の形状を説明するための図解図であり、嗅覚ディスプレイを噴射口側から見た様子を内部構造も含めて概略的に示す図解図である。 図10の噴射口部分を拡大して示す図解図である。 図10のXII-XII線で切断した断面の香気通路部分を拡大して示す断面図である。 この発明のさらに他の実施例である嗅覚ディスプレイを噴射口側から見た様子を内部構造も含めて概略的に示す図解図である。 図13の噴射口部分を拡大して示す図解図である。 この発明のさらに他の実施例である嗅覚ディスプレイを噴射口側から見た様子を内部構造も含めて概略的に示す図解図である。 この発明のさらに他の実施例である嗅覚ディスプレイを上方向から見た様子を内部構造も含めて概略的に示す図解図である。 図16の噴射口部分の噴射口側から見た様子を拡大して示す図解図である。
 図1を参照して、この発明の一実施例である嗅覚ディスプレイ10は、映像や音を含むコンテンツに香り(嗅覚情報)を付加してユーザに提示することによって、コンテンツの現実感や臨場感を高めるために用いられる。たとえば、嗅覚ディスプレイ10は、パソコン、テレビ、ラジオ、ゲーム機、DVDプレイヤ、ビデオデッキおよび携帯電話などの各種の視聴覚ディスプレイと連動して、時空間制御可能に、つまり時間的および空間的に限られた範囲に香りを提示する。
 図1は、一例として嗅覚ディスプレイ10をパソコンと連動させて使用する様子を示しており、この場合には、嗅覚ディスプレイ10は、香りを噴射する噴射口22(図2参照)がユーザの顔の方向を向くように、LCDディスプレイ100やキーボード等に取り付けられる。
 図2および図3に示すように、嗅覚ディスプレイ10は、一辺の長さのそれぞれが約20mmの立方体状に形成される超小型の嗅覚ディスプレイであり、筐体12、香気室14、風力源16および動作音抑制部18を備える。
 筐体12は、アクリル樹脂、フッ素樹脂およびステンレス等の適宜な材料によって直方体状に形成される。この筐体12の内部空間が香気室14として用いられ、筐体12内、つまり香気室14内には、固形状の香源20が収納される。
 筐体12の前方側(ユーザ側)の側壁12aの中央部には、噴射口22が形成される。この噴射口22は、側壁12aの厚み方向に延びる連通孔を介して、香気室14の香気出口24と連通される。また、筐体12の底壁12bの中央部には、風力源16のノズル30が貫通するように接続される。このノズル30は、香気室14内に空気を流入させる吸気口26として機能する。さらに、筐体12の後方側の側壁12cには、香源20を香気室14内に出し入れするための開口12dが形成されるが、この開口12dは、香源20の収納後にポリウレタンやシリコーン製のスポンジ栓28などを用いて適宜密封される。つまり、香気室14は、吸気口26および香気出口24を有する密閉空間であり、香気出口24は、吸気口26に対して直交する方向に形成されている。
 吸気口26の直径(ノズル30の内径)は、たとえば0.8mmである。また、噴射口22および香気出口24の直径は、たとえば0.8mmであり、噴射口22と香気出口24とを結ぶ連通孔の長さ(側壁12aの厚み)は、たとえば2mmである。なお、噴射口22、香気出口24および吸気口26の直径は、このように小さなものであるので、風力源16を作動させないときには、香気室14からの香りの漏れはほとんど発生しない。また、この実施例では、噴射口22と香気出口24とを結ぶ連通孔の長さを2mmとするために、側壁12a全体の厚みを2mmとしているが、噴射口22部分のみをノズル状に突出させて形成することもできる。さらに、噴射口22と香気出口24とを結ぶ連通孔を噴射口22側に向かって縮径させることもできる。なお、噴射口22、香気出口24および吸気口26の大きさ、ならびに噴射口22と香気出口24とを結ぶ連通孔の長さ等は、香気室14の大きさや風力源16の性能、或いは噴射する香りに求められる指向性や到達距離などに応じて適宜変更可能である。
 固形状の香源20は、たとえば、粒状の多孔質体に液体香料を染み込ませて(含浸させて)、多孔質体の外表面および細孔内に液体香料を保持させることによって製作される。香料としては、天然香料、合成香料、およびそれらの調合香料が適宜使用できる。多孔質体としては、ケイ酸カルシウム、シリカゲル、ロックウール、珪藻土、ゼオライト、泥炭、木炭、バーミキュライト、ベントナイト、パーライト、カーボンナノチューブおよび活性炭類などの粒状体を適宜利用できる。多孔質体の粒径および形状は特に限定されないが、香気室14内の流路抵抗などを考慮すると、粒径が1-6mm程度の球状体であることが好ましい。この実施例では、平均径が4mmであるケイ酸カルシウムの球状体に液体香料を染み込ませたものを16個用いて香源20とした。
 香気室14の下方には、風力源16のノズル30が香気室14内と連通するように、風力源16が設けられる。図4は、風力源16を対角線方向に切断したときの拡大断面を示す。風力源16は、圧電素子(ピエゾ素子)32を貼り付けたダイヤフラム34を備えており、圧電素子32に交番電圧(正弦波電圧または矩形波電圧)を印加することによって、ダイヤフラム34を板厚方向に屈曲振動させて、空気の流れを発生させる圧電式のものである。
 以下、風力源16の動作について簡単に説明する。風力源16では、円板状の圧電素子32を貼り付けたダイヤフラム34の約26kHzの振動に伴い、ポンプ室38に設けられた通気孔40から、空気の吸引と吐出が繰り返される。吸引時に吸入流路42からポンプ室38に取り込まれた空気は、吐出時には通気孔40と同軸に配置された天板44上のノズル30を通過し、ノズル30内のテーパ管路で膨張して吐出される。このとき、通気孔40とノズル30との間の空間には、ベンチュリ効果により負圧部が生じるため、吸入流路42の空気は継続して吸引される。これによって、吸入流路42からノズル30へ向かう連続したポンプ動作が得られる。
 このように圧電素子32で駆動する風力源(圧電式の風力源)16は、ブロアファンやスクロールブロアのような回転機構が無いため、小型化および低背化が可能であり、消費電力も小さい。また、事実上無振動の上、短時間で高い静圧を生成できる特徴を有する。このような風力源16としては、たとえば株式会社村田製作所製のマイクロブロア(型番:MZBX001)を用いることができる。
 図3に戻って、風力源16の下方(空気流路の上流側)には、風力源16の動作音(ダイヤフラム34の振動音)の外部への漏れを抑制するための動作音抑制部18が設けられる。動作音抑制部18は、アクリル樹脂、フッ素樹脂およびステンレス等の適宜な材料によって形成され、ダイヤフラム34の下方に空洞部を形成する。図5は、動作音抑制部18を水平方向に切断したときの断面を示す。図5に示すように、動作音抑制部18の側壁46には、風力源16の作動時に外気を吸入するための外気口46aが形成されており、動作音抑制部18の内部は、C字状の仕切壁48によって仕切られている。これによって、風力源16の動作音は、迷路状の空気通路を遠回りするようにして外気口46aに到達するので、外気口46aからの動作音の漏れが抑制される。このような動作音抑制部18を設けることによって、動作音による違和感をユーザに与えることなく、ユーザに対して自然に香りを伝えることができる。ただし、動作音抑制部18の内部構造は、図5の態様に限定されない。たとえば、仕切壁48のない単なる空洞にしておいてもよいし、別の形状の仕切壁を設けるようにしてもよい。
 このような構成の嗅覚ディスプレイ10は、上述のように、パソコン等が提示する映像や音を含むコンテンツに香りを付加してユーザに提示する。嗅覚ディスプレイ10の制御器(図示せず)は、パソコン等から送られてくる指示信号に応じて、風力源16の圧電素子32に対して交番電圧を印加する。交番電圧の印加によってダイヤフラム34が屈曲振動すると、動作音抑制部18の外気口46aから外気が吸引されると共に、風力源16のノズル30、つまり吸気口26から香気室14内に高速かつ高圧の空気が送り込まれる。香気室14内の空気には、香源20から揮発した気体状の香り成分が含まれており、その香り成分を含む空気が、香気出口24を通って噴射口22から噴射される。そして、圧電素子32に対する交番電圧の印加が停止されると、噴射口22からの香り成分を含む空気の噴射も停止される。この際、圧電式の風力源16を用いていることから、このような香り成分を含む空気の噴射の開始および停止は、応答性よく実行され(つまり正確な時間制御が可能であり)、しかも、脈動的ではない連続した一定の香りの提示が可能となる。また、香気出口24が吸入口26に対して直交する方向に形成されていることから、香気室14内の空気の流れに適度な乱流が生じ、香気室14内の香源20全体がバランスよく使用される。
 図6は、嗅覚ディスプレイ10から噴射された香りの空間的広がりを模式的に示す図である。圧電素子32に対して周波数26kHz、19.5Vp-pの交番電圧を印加して、嗅覚ディスプレイ10を実際に作動させたところ、噴射口22から噴射される香り成分を含む空気の風速は、約200mm/秒であることが確認された。また、香り成分の空間的広がりφは、噴射口22からの距離Lが300mmの地点において、50mm以内に収まることが確認された。このように、嗅覚ディスプレイ10は、空間的に非常に限られた範囲(つまりユーザの顔付近のみ)に対して香りを提示できる。また、空間的に非常に限られた範囲に香りを提示できることから、使用する香料を大幅に節約できる上、残り香もほとんど生じない。たとえば、嗅覚ディスプレイ10から香りを3秒間噴射させてユーザに香りを提示したところ、香り提示の停止後、香り成分は数秒程度で拡散希釈され、消臭装置を用いることなく周囲空間は無臭となった。また、3秒間の香りの噴射を1000回以上繰り返し実施しても、提示する香りの強さに変化はなかった。なお、香源20から揮発する気体状の香り成分は、3秒間の香りの提示後、10-30秒間のインターバルで香気室14内に充満する。
 なお、風力源16の機能として、香気室14内に短時間で高い静圧を生成できる機能が必要となることから、この実施例で用いた風力源16の静圧生成スピードと、従来の羽根式ファンの静圧生成スピードとを比較する実験を行った。図7は、風力源16の性能評価に用いた評価システムの構成を示し、図8は、その実験結果を示す。
 図7に示すように、静圧(風速)の計測には、熱式風速計(Thermal Anemometer)を用いた。熱式風速計のセンサは、外気の影響を受けないように、長さが420mmであって、内径が53mmφであるPVCパイプの中に設置し、風力源(風力源16または羽根式ファン)は、センサから300mm離れた地点に設置した。そして、風力源を3秒間作動させ、そのときの熱式風速計のセンサの反応を計測した。図8に示すように、風力源に信号を入れた後、羽根式ファンでは熱式風速計のセンサが2秒後に反応するのに対して、圧電式の風力源16では1秒後に反応することから、圧電式の風力源16の静圧生成能力の高さが読み取れる。また、風速も圧電式の風力源16の方が約3倍速くなることが分かる。
 この実施例では、圧電素子32を有するダイヤフラム34を利用した風力源16を用いたので、香気室14内に短時間で高い静圧を生成できる。これによって、応答性よく、かつ空間的に非常に限られた範囲に香りを提示できる。つまり、単一の機構(風力源)による時空間制御が可能となる。また、応答性よく、空間的に限られた範囲に香りをピンポイントで提示しているので、使用する香料を大幅に節約できると共に、残り香もほとんど生じない。使用する香料が少量ですむことから、香源20を収納する香気室14を小さくできる。また、残り香が生じないことから、別途の消臭機能も不要となる。
 したがって、この実施例によれば、嗅覚ディスプレイ10を小型化できる。具体的には、全体として一辺の長さが約20mmの立方体状という超小型化を実現できる。
 また、液体香料を粒状の多孔質体に染み込ませて作成した固形状の香源20を用いたので、香源20から香料(香り成分)を徐々に放出させることができる。つまり、香源20は長期間に亘って香り成分を放出し続けることができる。したがって、香源20に液体香料を補充したり、香源20を交換したりすることなく、長期間に亘って嗅覚ディスプレイ10を使用でき、香源20の交換頻度を減らすことができる。
 なお、上述の実施例では、香気室14内の香源20をバランスよく使用するため、香気室14の香気出口24を吸気口26に対して直交する方向に形成したが、香気出口24および噴射口22を形成する位置は、これに限定されず任意である。また、たとえば、香気室14内に仕切りを設けることによって、吸気口26から香気出口24に至る香気室14内の空気流路を迂回させるようにしてもよい。ただし、空気流路が長くなると、風力源16の作動時の香気室14内の静圧が低くなってしまうので注意が必要である。
 また、上述の実施例では、1種類の香りのみを提示する態様を示したが、複数種類の香りを提示することもできる。たとえば、図3に示す嗅覚ディスプレイ10を複数並べて配置して嗅覚ディスプレイシステムとし、各嗅覚ディスプレイ10の香気室14には、異なる香りを有する香源20を収納しておくとよい。この場合には、視聴覚ディスプレイが提示するコンテンツの切り替わりに合わせて、違う香りをユーザに提示できるようになる。たとえば、映像コンテンツのシーンの切り替わりに応じて、バニラアイスを食べる場面ではバニラの香りを放ち、海辺の場面では潮の香りを放つというようなことができる。
 さらに、筐体12内に複数の香気室14を形成することによって、1つの装置(嗅覚ディスプレイ10)で複数種類の香りを提示可能とすることもできる。以下、図9-図12を参照して、この発明の他の実施例である複数種類の香りを提示可能な嗅覚ディスプレイ10について説明するが、図3に示す実施例と同様の部分については、同じ参照番号を付し、説明を省略或いは簡略化する。これは、後述するさらに他の実施例についても同様である。なお、図3では、側面方向から見た嗅覚ディスプレイ10の内部構造を示しているが、図9では、上方向から見た嗅覚ディスプレイ10の内部構造を示している。
 図9に示すように、嗅覚ディスプレイ10は、各辺の長さが約20mmの立方体状に形成される超小型の嗅覚ディスプレイであり、筐体12、および筐体12の内部空間を隔壁50で区画することによって形成される複数(この実施例では2つ)の香気室14を備える。また、香気室14のそれぞれには、風力源16および動作音抑制部18が設けられる。
 筐体12は、アクリル樹脂、フッ素樹脂およびステンレス等の適宜な材料によって直方体状に形成され、その前方側の側壁12aには、噴射口22が形成される。筐体12の内部空間は、前方側の側壁12aと裏面側の側壁12cとを連結する平板状の隔壁50によって左右に区画されており、筐体12内には、横方向に並ぶ2つの独立した密閉空間である香気室14が形成される。隔壁50の厚みは、たとえば2mmであり、噴射口22の径は、たとえば0.8mmφである。
 各香気室14内には、異なる香りを有する固形状の香源20が収納される。なお、図示は省略するが、筐体12の裏面側の側壁12cには、香源20を香気室14内に出し入れするための開口が形成される。この開口は、香源20の収納後にスポンジ栓などを用いて適宜密封される。
 また、各香気室14には、香気出口24および吸気口26が形成される。この実施例では、風力源16のノズル30が筐体12の側壁12eを貫通するように接続され、このノズル30が、香気室14内に空気を流入させる吸気口26として機能する。また、各香気出口24は、前後方向にずらして配置され、個別の香気通路52を介して噴射口22と連通される。この実施例では、各香気通路52は、隔壁50内を貫通する貫通孔であり、香気出口24から隔壁50の厚み方向の中央部まで延びた後、屈曲して噴射口22に向かって延びる。各香気通路52は、断面円形状に形成され、その径はたとえば1mmφである。なお、各香気出口24を前後方向にずらして配置するのは、前後方向の位置を合わせて配置すると、香気出口24から延びる香気通路52によって隔壁50が薄くなり、隔壁50の強度が不足する恐れが生じるからである。ただし、隔壁50の強度に問題がなければ、香気出口24の配置位置は、特に限定されない。このように、隔壁50内を貫通する貫通孔によって各香気通路52を形成することにより、香気通路52を形成するスペースを別途設けることと比較して、嗅覚ディスプレイ10の小型化を図ることができる。
 図10-図12を参照して、香気通路52の形状をより詳しく説明する。2つの香気通路52は、噴射口22に向かって平行に並んで延びるが、噴射口22の近傍位置にて合流して1つの共有通路54とされて、噴射口22に至る。そして、この合流部分56には、ベンチュリ管構造が設けられる。なお、ベンチュリ管構造とは、流体の流れを絞ることによって流速を増加させ、低圧力を発生させるというベンチュリ効果を利用した構造を言う。
 この実施例では、香気通路52の合流部分56に平板状の仕切板58が形成される。仕切板58は、その先端角がたとえば5°となるように、噴射口22に向かって尖った形状を有しており、各香気通路52内を流れてくる香気を噴射口22方向に案内するガイド板として機能する。これによって、香気の逆流や他の香気通路52への香気の浸入が防止される。ただし、仕切板58全体を薄く形成する場合には、必ずしもその先端を尖らせる必要はない。
 この仕切板58の両側では、香気通路52の断面積が小さくなる。また、共有通路54には、噴射口22に向かって徐々に縮径される縮径部60が形成される。つまり、この実施例では、香気通路52の合流部分56に2つのベンチュリ管構造を有しており、この合流部分56を通る香気の流速は2段階で加速される。
 このような構成の嗅覚ディスプレイ10は、上述のように、パソコン等が提示する映像や音を含むコンテンツに香りを付加してユーザに提示する。嗅覚ディスプレイ10の制御器(図示せず)は、パソコン等から送られてくる指示信号に応じて、対応する風力源16の圧電素子32に対して交番電圧を印加する。交番電圧の印加によってダイヤフラム34が屈曲振動すると、動作音抑制部20の外気口46aから外気が吸引されると共に、風力源16のノズル30、つまり吸気口26から香気室14内に高速かつ高圧の空気が送り込まれる。香気室14内の空気には、香源20から揮発した気体状の香り成分が含まれており、その香り成分を含む空気(香気)は、香気出口24から個別の香気通路52を通って共有通路54に至り、噴射口22から噴射される。そして、圧電素子32に対する交番電圧の印加が停止されると、噴射口22からの香気の噴射も停止される。この際、圧電式の風力源16を用いていることから、香気の噴射の開始および停止は、応答性よく実行され(つまり正確な時間制御が可能であり)、しかも、脈動的ではない一定した香りの提示が可能となる。また、香気通路52の合流部分56にベンチュリ管構造(仕切板58および縮径部60)を設けているので、この合流部分56を通る香気は、その速度が十分に加速される。これによって、合流部分56における香気成分の付着(残香)が防止されると共に、噴射口22からは指向性を持って香気が噴射される。
 なお、図9に示す嗅覚ディスプレイ10を実際に作動させたところ、図3に示す実施例と同様の動作性能(時空間制御能、消臭能および反復使用能など)を発揮することが確認された。
 図9に示す実施例によれば、筐体12内に複数の香気室14を設けた場合であっても、図3に示す実施例と同様に、応答性よく、かつ空間的に非常に限られた範囲に香りを提示でき、装置自体も小型化できる。
 また、図9に示す実施例では、筐体12内に2つの香気室14を設けているので、各香気室14に対して異なる香りを有する香源20を収納しておくことにより、2種類の香りを個別に提示することができる。このため、視聴覚ディスプレイが提示するコンテンツの切り替わりに合わせて、違う香りをユーザに提示できるようになる。
 さらに、噴射口22の近傍位置にて各香気通路52を合流させた共有通路54を設け、1つの噴射口22から香気を噴射するようにしているので、各香気室14の風力源16を同時に或いはタイムシェアリングさせて作動させることにより、調合した香りの提示が可能となる。また、各風力源16の入力信号のDuty比を調整すること等によって、香りを調合する割合を適宜変化させることもできる。
 また、図3に示す嗅覚ディスプレイ10を複数個並べて配置する嗅覚ディスプレイシステムでは、それぞれの噴射口22から香りを噴射することになるため、これらをユーザの鼻に向けて空間制御するためには、各嗅覚ディスプレイ10に対して個別の調整(キャリブレーション)が必要となる。また、調香もできない。これに対して、図9に示す嗅覚ディスプレイ10では、1つの噴射口22から複数の香りを提示できるので、空間制御のための調整が容易であり、調香も可能である。
 さらに、香気通路52の合流部分56にベンチュリ管構造を設けているので、この合流部分56を通る香気は、その速度が十分に上げられる。このため、合流部分56における香気成分の付着が防止される(つまり所望しない香気の混ざりが防止される)と共に、噴射口22からは指向性を持って香気を噴射できる。
 なお、図9に示す実施例では、2つの香気室14を横方向に並べて配置しているが、上下方向に並べて配置してもよい。また、筐体12の側壁12eを貫通するように風力源16を設けているが、側壁12eを設けずに、風力源16の天板44で香気室14の側面を封止することもできる。つまり、風力源16を筐体12の外壁の一部として機能させることもできる。
 また、図9に示す実施例では、隔壁50内を貫通する貫通孔によって香気通路52を形成しているが、これに限定されない。たとえば、香気室14を区画する隔壁50の間に空間を設け、その空間を通る独立管によって香気通路52を形成してもよい。
 また、香気出口24の位置や香気通路52の形状および経路などは任意に変更できる。たとえば、図9に示す実施例では、香気通路52を断面円形状に形成しているが、香気通路52は、断面半円状や断面扇状などに形成してもよい。この場合には、たとえば、断面円形状の空気通路の内部を平板状の仕切りで区画することによって、断面半円状や断面扇状などの独立した複数の香気通路52を形成するとよい。ただし、香気通路52が長くなったり、屈曲が多くなったりすると、風力源16の作動時の香気室14の静圧が低くなってしまう恐れがあるので、香気通路52は、短くかつ屈曲が少なくなるように形成することが好ましい。
 さらに、図9に示す実施例では、香気室14のそれぞれに香源20を収納するようにしたが、これに限定されず、香気室14の1つは、香源20を収納せずに、香り成分が付加されていない粒状体のみ、たとえば液体香料を浸み込ませていない多孔質体や非孔質体などの粒状体のみを収納したり、何も入れない空室としたりすることもできる。これらの場合には、たとえば、香源20を収納した香気室14の風力源16を作動させて香りを提示した後、香源20を収納しない香気室14の風力源16を作動させて無臭の空気を噴出する。これによって、ユーザの鼻周辺の空間の香り成分の濃度をユーザが知覚できる閾値以下の濃度に直ちに下げることができるので、香り成分をそのまま自由拡散させることと比較して、より素早い消臭が可能となる。また、調香する場合と同様に、香源20を収納した香気室14の風力源16と香源20を収納しない香気室14の風力源16とを同時に或いはタイムシェアリングさせて作動させることにより、香り成分の濃度を調整することもできる。
 さらに、香気室14の1つに消臭剤を収納しておくこともできる。これによって、香りの提示後のより素早い消臭が可能となる。
 また、図9に示す実施例では、2つの香気室14を設けるようにしたが、香気室14の数は任意に設定でき、3つ以上の香気室14を設けることもできる。たとえば、図13に示す実施例のように、4つの香気室14を備えることもできる。以下、図13および図14を参照して、この発明の他の実施例である嗅覚ディスプレイ10について説明する。
 図13および図14に示すように、筐体12の前方側の側壁12aには、噴射口22が形成される。筐体12の内部空間は、前方側の側壁12aと裏面側の側壁12cとを連結する断面十字状の隔壁50によって左右および上下に区画されており、筐体12内には、4つの独立した密閉空間である香気室14が形成される。各香気室14内には、異なる香りを有する固形状の香源20が収納される。また、香気室14のそれぞれには、風力源16および動作音抑制部18が設けられる。
 香気室14の各香気出口24は、個別の香気通路52を介して噴射口22と連通される。各香気通路52は、香気出口24から隔壁50の厚み方向の中央部まで延びた後、屈曲して噴射口22に向かって平行に並んで延びる。そして、4つの香気通路52は、噴射口22の近傍位置にて合流して1つの共有通路54とされて、噴射口22に至る。香気通路52の合流部分56には、ガイド板として機能する仕切板58が設けられる。この仕切板58は、平板を十字に交差させた形状を有しており、その先端は尖った形状とされる。また、共有通路54には、噴射口22に向かって徐々に縮径される縮径部60が形成される。つまり、図13および図14に示す実施例においても、香気通路52の合流部分56に2つのベンチュリ管構造を有しており、この合流部分56を通る香気の流速は2段階で加速される。
 図13に示すような嗅覚ディスプレイ10では、4種類の香源20を有しているので、たとえば、各香気室14の香源20をA、B、C、Dとすると、「A+B、A+C、…、B+C+D、A+B+C+D」というように、調香して提供できる香りの種類を格段に増加させることができる。
 ただし、図9に示す実施例と同様に、香気室14の1つは、香源20を収納しないようにしてもよいし、消臭剤を収納してもよい。また、多数の香気室14を設ける場合には、2つ以上の香源20を収納しない香気室14や消臭剤を収納する香気室14を設けてもよい。さらに、香源20を収納しない香気室14および消臭剤を収納する香気室14の双方を設けることもできる。
 また、香気室14および風力源16の配置態様は、任意に変更可能であり、図15に示すように、筐体12の内部空間を、対角線状に延びる断面十字状の隔壁50によって左右および上下に区画して香気室14を形成することもできる。図15に示すように香気室14および風力源16を配置することによって、嗅覚ディスプレイ10を大型化することなく、風力源16の配置空間を大きくとることができる。なお、多数の香気室14を設けることによって、各香気室14の大きさが小さくなりすぎてしまう場合には、たとえば筐体12の前後方向の長さを大きくして、各香気室14の大きさを調整するとよい。
 また、上述の図9-図15に示すような複数の香気室14を備える嗅覚ディスプレイ10においては、設置する香気室14の数が多くなるに従い、香気通路52の合流部分56の形状が複雑化する。このため、圧力低下が生じて香気の噴射性能が低下してしまう恐れがある。そこで、各香気室14に設けられる風力源16とは別に、筐体12に補助風力源62を設けるようにしてもよい。以下、図16および図17を参照して、この発明の他の実施例である補助風力源62を備える嗅覚ディスプレイ10について説明する。なお、図16は、嗅覚ディスプレイ10を上方向から見た様子を内部構造も含めて概略的に示す図解図であり、図17は、噴射口22側から見た噴射口部分の様子を拡大して示す図解図である。
 図16および図17に示す嗅覚ディスプレイ10は、図15に示す実施例と同様に、筐体12の内部空間を対角線状に延びる断面十字状の隔壁50で左右および上下に区画することによって形成された、4つの香気室14を備える。各香気室14には、風力源16が設けられ、風力源16は、筐体12の左右側面部および上下面部に配置される。各風力源16には、動作音抑制部18が適宜設けられる。また、筐体12の前方側の側壁12aには、噴射口22が形成される。各香気室14の香気出口24から延びる4つの香気通路52は、噴射口22の近傍位置にて合流して1つの共有通路54とされて、噴射口22に至る。
 さらに、本実施例では、筐体12の裏面側の側壁12cには、香気室14から独立した、つまり香気室14内には直接連結されない補助風力源62が設けられる。補助風力源62としては、風力源16と同様のもの、すなわち、圧電素子を貼り付けたダイヤフラムを備え、圧電素子に対して交番電圧が印加されるとダイヤフラムを振動させて空気流を発生させるものを用いるとよい。この補助風力源62にも、動作音制御部18が適宜設けられる。また、筐体12の隔壁50には、補助風力源62のノズルから吐出された空気(無臭の空気)の通り道となる補助通路64が形成される。補助通路64は、補助風力源62のノズルと共有通路54とを直線的に連通させる貫通孔であり、隔壁50の中央部(4つの香気通路58を仕切る隔壁50および仕切壁58の中心部分)を通って共有通路54と合流し、共有通路54と一体となって噴射口22まで直線的に延びる。
 図16に示す実施例の嗅覚ディスプレイ10では、補助風力源62が作動されると、補助風力源62のノズルから補助通路64内に無臭の空気が吐出される。この無臭の空気は、複雑な経路を辿ることなく噴射口22まで直行するので、圧力低下をほぼ発生させることなく噴射口22から噴射される。
 図16に示す実施例によってユーザに香りを提示する際には、目的の香源20を収容した香気室14に設けられる風力源16を作動させると同時に、或いはタイムシェアリングさせて、補助風力源62を作動させる。すると、香気通路52を通って噴射口22に向かう香気は、補助風力源62から吐出された無臭の空気と共有通路54で合流して加速され、噴射口22から勢いよく直進性を持って噴射される。
 図16に示す実施例によれば、補助風力源62を備えるので、より指向性に優れた香りの提示が可能になる。特に、多数の香気室14を備える場合に、その効果は大きい。また、共有通路54における香気の滞留をより抑制できるので、共有通路54への香気成分の付着をより効果的に防ぐことができる。
 さらに、図16に示す実施例によれば、風力源16および補助風力源62の駆動割合を変更して、香気と無臭の空気との混合割合を調整することにより、香り成分の濃度制御も可能となる。また、香気室14に設けた風力源16を作動させて香りを提示した後、補助風力源62を作動させて無臭の空気を噴出して、香り成分を揮散または希釈するようにすれば、より素早い消臭も可能となる。
 なお、風力源16の吐出性能(静圧生成能)と補助風力源62の吐出性能とは、同程度にしてもよいが、補助風力源62の吐出性能を風力源16の吐出性能よりも高くすることもできる。このように、補助風力源62の吐出性能を風力源16の吐出性能よりも高くすることによって、香り提示の飛距離を伸ばすことができる、つまり香りをより遠いところまで運ぶことができる。
 補助風力源62の吐出性能を高めるためには、たとえば、風力源16と比較して直径の大きい圧電素子を備える補助風力源62を用いたり、複層的に配置される2段以上の圧電素子を備える補助風力源62を用いたりするとよい。また、たとえば、風力源16と補助風力源62とで同じものを用いる場合には、補助風力源62が備える圧電素子に印加する交番電圧を大きくすることによって、補助風力源62の吐出性能を高めてもよい。具体例を挙げると、風力源16が備える圧電素子32に対しては19.5Vp-pの交番電圧を印加し、補助風力源62が備える圧電素子に対しては30.0Vp-pの交番電圧を印加する等すればよい。ただし、圧電素子に印加する交番電圧を大きくすると、補助風力源62の耐久性に問題が生じる恐れがあるので、この場合には、補助風力源62の連続駆動を控えるようにし、たとえば、3秒間程度の間欠駆動とすることが好ましい。
 また、図16に示す実施例では、補助風力源62を筐体12の裏面側に配置するようにしたが、補助風力源62の配置位置は、特に限定されず、香気室14や風力源16等の配置態様に応じて適宜変更可能である。ただし、補助通路64は、補助風力源62から噴射口22まで直線的に延びる方が好ましいので、補助風力源62は、筐体12の裏面側に設けることが好ましい。また、図16に示す実施例では、補助通路64を隔壁50内を貫通する貫通孔としたが、これに限定されない。たとえば、香気室14を区画する隔壁50の間に空間を設け、その空間を通る独立管によって香気通路52を形成する場合には、補助通路64も独立管によって形成してもよい。さらに、複数の補助風力源62を筐体12に設けるようにしてもよい。
 なお、図9-図17に示す実施例では、香気通路52の合流部分56にベンチュリ管構造を設けているが、ベンチュリ管構造は必ずしも設ける必要はない。
 また、上述の各実施例では、嗅覚ディスプレイ10を立方体状に形成しているが、これに限定されず、嗅覚ディスプレイ10は、直方体状、多角柱状および円柱状など、適宜な形状に形成することができる。
 さらに、上述の各実施例では、固形状の香源20として、粒状の多孔質体に液体香料を染み込ませたものを用いたが、これに限定されない。たとえば、常温で固体またはゲル状の基材を加熱によって液化させたものに液体香料を溶解した後、これを常温に冷却することによって固化またはゲル化させたものを固形状の香源20として用いることもできる。ただし、簡単かつ安価に製作でき、また液体香料の補充ができるという観点から、固形状の香源20としては、多孔質材に液体香料を染み込ませたものを用いることが好ましい。
 さらにまた、上述の各実施例では、嗅覚ディスプレイ10を固定的に設置し、1方向のみに香りを噴射するようにしたが、これに限定されず、噴射方向が変位可能となるように嗅覚ディスプレイ10を設置することもできる。たとえば、嗅覚ディスプレイ10を横方向および縦方向に回転可能に支持する台座上に設置することができる。この場合には、ユーザの鼻の位置を検出する装置と組み合わせて、ユーザの鼻を自動的に追尾して香りを提示するようにするとよい。
 また、上述の各実施例では、視聴覚情報と連動させて香りを提示するようにしたが、香りを単独で提示することもできる。たとえば、自動車などの乗り物において、顔画像などに基づいて運転者の居眠り状態を検出し、その検出に応答して香り(刺激臭)を運転者の鼻に向けて放出する、居眠り防止装置として嗅覚ディスプレイ10を用いることもできる。嗅覚ディスプレイ10は、空間的に非常に限られた範囲に対して香りを提示できる(つまり指向性がある)ので、他の搭乗者に影響を与えることなく、運転者のみに刺激臭を提示できる。また、図9-図17に示すような複数種類の香りを提示可能な嗅覚ディスプレイ10においては、たとえば、その日の気温、湿度および天候などに応じて、異なる香りを提示することもできる。
 この発明が詳細に説明され図示されたが、それは単なる図解および一例として用いたものであり、限定であると解されるべきではないことは明らかであり、この発明の精神および範囲は添付されたクレームの文言によってのみ限定される。また、上で挙げた寸法などの具体的数値はいずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。
 10 …嗅覚ディスプレイ
 12 …筐体
 14 …香気室
 16 …風力源
 18 …騒音抑制部
 20 …香源
 22 …噴射口
 24 …香気出口
 26 …吸気口
 32 …圧電素子
 34 …ダイヤフラム
 50 …隔壁
 52 …香気通路
 54 …共有通路
 56 …香気通路の合流部分
 58 …仕切板
 60 …縮径部
 62 …補助風力源
 64 …補助通路

Claims (13)

  1.  時間的および空間的に限られた範囲に香りを提示する嗅覚ディスプレイであって、
     噴射口を有する筐体、
     前記筐体内に形成される、吸気口と前記噴射口に連通する香気出口とを有する香気室、
     前記香気室内に収納される固形状の香源、および
     圧電素子を有するダイヤフラムを用いて、前記吸気口から前記香気室内に空気を送り込む風力源を備える、嗅覚ディスプレイ。
  2.  前記香気出口は、前記吸気口と直交する方向に形成される、請求項1記載の嗅覚ディスプレイ。
  3.  前記風力源の上流側に設けられる動作音抑制部をさらに備える、請求項1または2記載の嗅覚ディスプレイ。
  4.  前記筐体の内部空間を隔壁で区画することによって形成される複数の前記香気室、および
     前記複数の香気室に形成される前記香気出口のそれぞれから前記噴射口に向かって延びる複数の香気通路を備え、
     前記香源は、前記複数の香気室の少なくとも1つに収納され、
     前記風力源は、前記複数の香気室のそれぞれに設けられ、
     前記複数の香気通路は、前記噴射口の近傍位置にて合流されて1つの共有通路とされる、請求項1ないし3のいずれかに記載の嗅覚ディスプレイ。
  5.  前記複数の香気通路の合流部分にベンチュリ管構造を有する、請求項4記載の嗅覚ディスプレイ。
  6.  時間的および空間的に限られた範囲に香りを提示する嗅覚ディスプレイであって、
     噴射口を有する筐体、
     前記筐体の内部空間を隔壁で区画することによって形成される、吸気口および香気出口を有する複数の香気室、
     前記香気室の少なくとも1つに収納される固形状の香源、
     前記香気室のそれぞれに設けられ、圧電素子を有するダイヤフラムを用いて前記吸気口から当該香気室内に空気を送り込む複数の風力源、および
     前記香気出口のそれぞれから前記噴射口に向かって延びる複数の香気通路を備え、
     前記複数の香気通路を前記噴射口の近傍位置にて合流させて1つの共有通路とすると共に、当該合流部分にベンチュリ管構造を有する、嗅覚ディスプレイ。
  7.  前記香気通路は、前記隔壁の内部を貫通する貫通孔によって形成される、請求項4ないし6のいずれかに記載の嗅覚ディスプレイ。
  8.  前記ベンチュリ管構造は、前記共有通路を前記噴射口側に向かって縮径することによって形成される縮径部を含む、請求項5ないし7のいずれかに記載の嗅覚ディスプレイ。
  9.  前記ベンチュリ管構造は、前記複数の香気通路の合流部分に設けられる仕切板を含む、請求項5ないし8のいずれかに記載の嗅覚ディスプレイ。
  10.  前記香気室の少なくとも1つは、前記香源に香り成分が付加されていない粒状体が収納される、請求項4ないし9のいずれかに記載の嗅覚ディスプレイ。
  11.  前記香気室の少なくとも1つは、空室とされる、請求項4ないし10のいずれかに記載の嗅覚ディスプレイ。
  12.  前記筐体に設けられる、圧電素子を有するダイヤフラムを備える補助風力源、および
     前記補助風力源と前記共有通路とを連通させる補助通路をさらに備える、請求項4ないし11のいずれかに記載の嗅覚ディスプレイ。
  13.  前記補助風力源の吐出性能は、前記風力源の吐出性能よりも高くされる、請求項12記載の嗅覚ディスプレイ。
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