JP5126798B2 - 嗅覚ディスプレイ - Google Patents

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この発明は嗅覚ディスプレイに関し、特にたとえば、時間的および空間的に限られた範囲に香りを提示する、嗅覚ディスプレイに関する。
近年、高臨場感や高没入感などをユーザに与えられる情報提示を目的として、テレビやパソコン等の視聴覚ディスプレイと連動して香り(嗅覚情報)を提示する、様々な嗅覚ディスプレイが提案されている。ここで、或る程度の長時間、一定の香りを提示したい場合には、単純に香りを空間に拡散させるだけでよい。しかしながら、たとえば視聴覚ディスプレイが提示するコンテンツの場面の切り替わりに合わせて香りを提示するためには、香り提示の時間的な制御(時間的局所性)が必要となる。また、たとえば狙った人にだけ香りを提示するためには、香り提示の空間的な制御(空間的局所性)が必要となる。さらに、香り提示の時間的および空間的な局所性が実現されれば、使用する香料を大幅に節約できる上、残り香の問題も解消される。これらのことから、時空間制御可能に香りを提示する、つまり時間的および空間的に限られた範囲に香りを提示できる嗅覚ディスプレイが望まれている。
特許文献1には、従来の嗅覚ディスプレイの一例が開示されている。特許文献1の嗅覚ディスプレイ(芳香発生装置)は、固形状の香料を収納する香料収容部を備え、香料収容部の入口側および出口側のそれぞれには、ポンプが設けられる。そして、香りを発生させる際には、入口側ポンプを回転させて香料収容部に空気を送ることによって、芳香が付加された空気を香料収容部から押し出し、これと同時に出口側ポンプを回転させることによって、芳香が付加された空気を芳香排出口から外部に排出している。
また、従来の嗅覚ディスプレイの他の一例が特許文献2に開示されている。特許文献2の嗅覚ディスプレイ(制御型芳香出力装置)は、液体香料を格納する香料格納部、およびピエゾ素子を用いたインクジェットタイプの香料放出器を備える。そして、香りを発生させる際には、香料放出器によって香料を液体粒子として装置内部に噴射し、噴射後に揮発した香料を送風ファンによって装置外部へ放出している。
特開2004−121594号公報 [A61L 9/12] 特開平10−146385号公報 [A61L 9/12]
特許文献1の技術では、ポンプのロータの回転によって、香気成分を含む空気を香料収容部から外部に押し出しているだけ、つまり単に香りを周囲空間に拡散させているだけであり、香り提示の空間制御については考慮されていない。すなわち、空間的に限られた範囲への香りの提示が実現されていない。また、構造が複雑であるため、小型化には限界がある。
また、特許文献2の技術では、香料放出器と送風ファンという2つの機構を用いて香料を外部に放出するので、装置が大型化してしまう。また、送風ファンによる送風(風圧生成)は、羽根の回転速度に依存するため、機敏な時間制御ができずタイムラグが生じてしまう。なお、特許文献2には、インクジェットタイプの香料放出器によって、香料を装置外部に直接噴射する態様も例示されているが、香料を液体粒子として直接噴射すると、香料の付着による残香性の問題が生じる。このため、消臭手段が不可欠となり、結果として装置が大型化してしまう。
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、嗅覚ディスプレイを提供することである。
この発明の他の目的は、時間的および空間的に限られた範囲に香りを提示でき、かつ装置自体を小型化できる、嗅覚ディスプレイを提供することである。
この発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明などは、本発明の理解を助けるために後述する実施の形態との対応関係を示したものであって、この発明を何ら限定するものではない。
第1の発明は、時間的および空間的に限られた範囲に香りを提示する嗅覚ディスプレイであって、吸入口および吐出口を有する密閉空間を形成する香気室、香気室内に収納される固形状の香源、および圧電素子を有するダイヤフラムを備え圧電素子に交番電圧を印加してダイヤフラムを屈曲振動させることによって連続したポンプ動作を発生させて吸入口から香気室内に空気を送り込む風力源を備える、嗅覚ディスプレイである。
第1の発明では、嗅覚ディスプレイ(10)は、香気室(12)および風力源(14)を備え、たとえばパソコンやテレビ等の視聴覚ディスプレイと連動して、時間的および空間的に限られた範囲に香りを提示する。香気室は、吸入口(24)および吐出口(26)を有する密閉空間を形成し、その内部には固形状の香源(20)が収納される。固形状の香源としては、たとえば、粒状の多孔質体に液体香料を染み込ませたものが使用される。風力源は、圧電素子(32)を貼り付けたダイヤフラム(34)を備え、圧電素子に対して交番電圧が印加されるとダイヤフラムを振動させて空気流を発生させる。嗅覚ディスプレイによって香りを提示する際には、風力源によって吸入口から香気室内に空気が送り込まれ、香源から揮発した気体状の香り成分が含まれる香気室内の空気が、吐出口から噴射される。
第1の発明によれば、圧電素子を有するダイヤフラムを利用した風力源を用いたので、香気室内に短時間で高い静圧を生成できる。これによって、応答性よく、かつ空間的に非常に限られた範囲に香りを提示できるようになる。つまり、単一の機構(風力源)による時空間制御が可能となるので、嗅覚ディスプレイを小型化できる。
第2の発明は、第1の発明に従属し、吐出口は、吸入口と直交する方向に形成される。
第2の発明では、吐出口(26)は、吸入口(24)に対して直交する方向に形成される。これによって、香りを提示する際には、香気室(12)内の空気の流れに適度な乱流が生じる。
第2の発明によれば、香気室内の空気の流れに乱流が生じるので、香気室内の香源全体をバランスよく使用することができる。
第3の発明は、第1または第2の発明に従属し、風力源の上流側に設けられる動作音抑制室をさらに備える。
第3の発明では、風力源(14)の空気流の上流側には、動作音抑制室(16)が設けられる。動作音抑制室は、風力源のダイヤフラム(34)の下方に空洞部を形成し、たとえば、この空洞部は仕切壁(50)によって仕切られる。これによって、外気口(48)からの動作音の漏れが抑制される。
第3の発明によれば、動作音による違和感をユーザに与えることなく、ユーザに対して自然に香りを伝えることができる。
第4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の嗅覚ディスプレイを複数備え、香気室のそれぞれに対して異なる香りを有する香源が収納される、嗅覚ディスプレイシステムである。
第4の発明では、嗅覚ディスプレイシステムは、第1ないし第3のいずれかの発明に係る複数の嗅覚ディスプレイ(10)を備える。そして、各嗅覚ディスプレイの香気室(12)には、異なる香りを有する香源(20)が収納される。
第4の発明によれば、視聴覚ディスプレイが提示するコンテンツのシーンの切り替わりに応じて、違う香りをユーザに提示できる。
この発明によれば、圧電素子を有するダイヤフラムを利用した風力源を用いることによって、単一の機構による時空間制御を可能にしたので、嗅覚ディスプレイを小型化できる。
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
この発明の一実施例である嗅覚ディスプレイを用いてユーザに香りを提示する様子を示す図解図である。 図1の嗅覚ディスプレイの外観を示す斜視図である。 図1の嗅覚ディスプレイの構成を示す断面図である。 図1の嗅覚ディスプレイが備える風力源を対角線方向に切断したときの断面を示す断面図である。 図1の嗅覚ディスプレイが備える動作音抑制室を水平方向に切断したときの断面を示す断面図である。 図1の嗅覚ディスプレイから噴射された香り成分の空間的広がりを示す図解図である。 図4の風力源の性能評価に用いた評価システムの構成を示す図解図である。 図4の風力源の性能評価の結果を示すグラフである。
図1を参照して、この発明の一実施例である嗅覚ディスプレイ10は、映像や音を含むコンテンツに香り(嗅覚情報)を付加してユーザに提示することによって、コンテンツの現実感や臨場感を高めるために用いられる。たとえば、嗅覚ディスプレイ10は、パソコン、テレビ、ラジオ、ゲーム機、DVDプレイヤ、ビデオデッキおよび携帯電話などの各種の視聴覚ディスプレイと連動して、時空間制御可能に、つまり時間的および空間的に限られた範囲に香りを提示する。図1は、一例として嗅覚ディスプレイ10をパソコンと連動させて使用する様子を示しており、この場合には、嗅覚ディスプレイ10は、香りを噴射する吐出孔26(図2参照)がユーザの顔の方向を向くように、LCDディスプレイ100やキーボード等に取り付けられる。
図2および図3に示すように、嗅覚ディスプレイ10は、一辺の長さのそれぞれが20mmの立方体状に形成される超小型の嗅覚ディスプレイであり、香気室12、風力源14および動作音抑制室16を備える。
香気室12は、アクリル樹脂やステンレス等の適宜な材料によって形成される直方体状の筐体であって、その内部には、固形状の香源20が収納される。香気室12の底壁の中央部には、風力源14のノズル30が貫通するように接続され、一方の側壁22aの中央部には、連通孔が形成される。このノズル30が香気室12の吸入口24として機能し、連通孔が吐出口26として機能する。また、他方の側壁22bには、香源20を香気室12内に入れる(或いは取り出す)ための開口22cが形成されるが、この開口22cは、香源20の収納後にポリウレタンやシリコーン製のスポンジ栓28などを用いて適宜密封される。つまり、香気室12は、吸入口24および吐出口26を有する密閉空間を形成しており、吐出口26は、吸入口24に対して直交する方向に形成されている。
吸入口24の直径(ノズル30の内径)は、たとえば0.8mmであり、吸入口24の長さ(ノズル30の長さ)は、たとえば1.6mmである。また、吐出口26の直径は、たとえば0.8mmであり、吐出口26の長さは、たとえば2mmである。なお、吸入口24および吐出口26の直径は、このように小さなものであるので、風力源14を作動させないときには、香気室12からの香りの漏れはほとんど発生しない。また、この実施例では、吐出口26の長さを2mmとするために、側壁22a全体の厚みを2mmとしているが、吐出口26部分のみをノズル状に突出させて形成することもできる。さらに、吸入口24および吐出口26の大きさ(直径および長さ)は、香気室12の大きさや風力源14の性能、或いは噴射する香りに求められる指向性や到達距離などに応じて適宜変更可能である。
固形状の香源20は、たとえば、粒状の多孔質体に液体香料を染み込ませて(含浸させて)、多孔質体の外表面および細孔内に液体香料を保持させることによって製作される。香料としては、天然香料、合成香料、およびそれらの調合香料が適宜使用できる。多孔質体としては、ケイ酸カルシウム、シリカゲル、ロックウール、珪藻土、ゼオライト、泥炭、木炭、バーミキュライト、ベントナイト、パーライト、カーボンナノチューブおよび活性炭類などの粒状体を適宜利用できる。多孔質体の粒径および形状は特に限定されないが、香気室12内の流路抵抗などを考慮すると、粒径が2−6mm程度の球状体であることが好ましい。この実施例では、平均径が4mmであるケイ酸カルシウムの球状体に液体香料を染み込ませたものを16個用いて香源20とした。
香気室12の下方には、風力源14のノズル30が香気室12内と連通するように、風力源14が設けられる。図4は、風力源14を対角線方向に切断したときの断面を示す。風力源14は、圧電素子(ピエゾ素子)32を貼り付けたダイヤフラム34を備えており、圧電素子32に交番電圧(正弦波電圧または矩形波電圧)を印加することによって、ダイヤフラム34を板厚方向に屈曲振動させて、空気の流れを発生させる圧電式のものである。
以下、風力源14の動作について簡単に説明する。風力源14では、円板状の圧電素子32を貼り付けたダイヤフラム34の約26kHzの振動に伴い、ポンプ室38に設けられた通気孔40から、空気の吸引と吐出が繰り返される。吸引時に吸入流路42からポンプ室38に取り込まれた空気は、吐出時には通気孔40と同軸に配置された天板44上のノズル30を通過し、ノズル30内のテーパ管路で膨張して吐出される。このとき、通気孔40とノズル30との間の空間には、ベンチュリ効果により負圧部が生じるため、吸入流路42の空気は継続して吸引される。これによって、吸入流路42からノズル30へ向かう連続したポンプ動作が得られる。
このように圧電素子32で駆動する風力源(圧電式の風力源)14は、ブロアファンやスクロールブロアのような回転機構が無いため、小型化および低背化が可能であり、消費電力も小さい。また、事実上無振動の上、短時間で高い静圧を生成できる特徴を有する。このような風力源14としては、たとえば株式会社村田製作所製のマイクロブロア(型番:MZBX001)を用いることができる。
図3に戻って、風力源14の下方(空気流路の上流側)には、風力源14の動作音(ダイヤフラム34の振動音)の外部への漏れを抑制するための動作音抑制室16が設けられる。動作音抑制室16は、アクリル樹脂やステンレス等の適宜な材料によって形成され、ダイヤフラム16の下方に空洞部を形成する。図5は、動作音抑制室16を水平方向に切断したときの断面を示す。図5に示すように、動作音抑制室16の側壁46には、風力源14の作動時に外気を吸入するための外気口48が形成されており、動作音抑制室16の内部は、C字状の仕切壁50によって仕切られている。これによって、風力源14の動作音は、迷路状の空気通路を遠回りするようにして外気口48に到達するので、外気口48からの動作音の漏れが抑制される。このような動作音抑制室16を設けることによって、動作音による違和感をユーザに与えることなく、ユーザに対して自然に香りを伝えることができる。ただし、動作音抑制室16の内部構造は、図5の態様に限定されない。たとえば、仕切壁50のない単なる空洞にしておいてもよいし、別の形状の仕切壁を設けるようにしてもよい。
このような構成の嗅覚ディスプレイ10は、上述のように、パソコン等が提示する映像や音を含むコンテンツに香りを付加してユーザに提示する。嗅覚ディスプレイ10の制御器(図示せず)は、パソコン等から送られてくる指示信号に応じて、風力源14の圧電素子32に対して交番電圧を印加する。交番電圧の印加によってダイヤフラム34が屈曲振動すると、動作音抑制室16の外気口48から外気が吸引されると共に、風力源14のノズル30、つまり吸入口24から香気室12内に高速かつ高圧の空気が送り込まれる。香気室12内の空気には、香源20から揮発した気体状の香り成分が含まれており、その香り成分を含む空気が、吐出口26から噴射される。そして、圧電素子32に対する交番電圧の印加が停止されると、吐出口26からの香り成分を含む空気の噴射も停止される。この際、圧電式の風力源14を用いていることから、このような香り成分を含む空気の噴射の開始および停止は、応答性よく実行され(つまり正確な時間制御が可能であり)、しかも、脈動的ではない一定した香りの提示が可能となる。また、吐出口26が吸入口24に対して直交する方向に形成されていることから、香気室12内の空気の流れに適度な乱流が生じ、香気室12内の香源20全体がバランスよく使用される。
図6は、嗅覚ディスプレイ10から噴射された香りの空間的広がりを模式的に示す図である。圧電素子32に対して周波数26kHz、15Vp-pの交番電圧を印加して、嗅覚ディスプレイ10を実際に作動させたところ、吐出口26から噴射される香り成分を含む空気の風速は、約200mm/秒であることが確認された。また、香り成分の空間的広がりφは、吐出口26からの距離Lが300mmの地点において、50mm以内に収まることが確認された。このように、嗅覚ディスプレイ10は、空間的に非常に限られた範囲(つまりユーザの顔付近のみ)に対して香りを提示できる。また、空間的に非常に限られた範囲に香りを提示できることから、使用する香料を大幅に節約できる上、残り香もほとんど生じない。たとえば、嗅覚ディスプレイ10から香りを3秒間噴射させてユーザに香りを提示したところ、香り提示の停止後、香り成分は数秒程度で拡散希釈され、消臭装置を用いることなく周囲空間は無臭となった。また、3秒間の香りの噴射を1000回以上実施しても、提示する香りの強さに変化はなかった。なお、香源20から揮発する気体状の香り成分は、3秒間の香りの提示後、10−30秒間のインターバルで香気室12内に充満する。
なお、風力源14の機能として、香気室12内に短時間で高い静圧を生成できる機能が必要となることから、この実施例で用いた風力源14の静圧生成スピードと、従来の羽根式ファンの静圧生成スピードとを比較する実験を行った。図7は、風力源14の性能評価に用いた評価システムの構成を示し、図8は、その実験結果を示す。
図7に示すように、静圧(風速)の計測には、熱式風速計(Thermal Anemometer)を用いた。熱式風速計のセンサは、外気の影響を受けないように、径が420mmのPVCパイプの中に設置し、風力源(風力源14または羽根式ファン)は、センサから300mm離れた地点に設置した。そして、風力源を3秒間作動させ、そのときの熱式風速計のセンサの反応を計測した。図8に示すように、風力源に信号を入れた後、羽根式ファンでは熱式風速計のセンサが2秒後に反応するのに対して、圧電式の風力源14では1秒後に反応することから、圧電式の風力源14の静圧生成能力の高さが読み取れる。また、風速も圧電式の風力源14の方が約3倍速くなることが分かる。
この実施例では、圧電素子32を有するダイヤフラム34を利用した風力源14を用いたので、香気室12内に短時間で高い静圧を生成できる。これによって、応答性よく、かつ空間的に非常に限られた範囲に香りを提示できる。つまり、単一の機構(風力源)による時空間制御が可能となる。また、使用する香料を大幅に節約できると共に、残り香もほとんど生じない。使用する香料が少量ですむことから、香源20を収納する香気室12を小さくできる。また、残り香が生じないことから、別途の消臭機能も不要となる。
したがって、この実施例によれば、嗅覚ディスプレイ10を小型化できる。具体的には、全体として一辺の長さが20mmの立方体状という超小型化を実現できる。
また、液体香料を粒状の多孔質体に染み込ませて作成した固形状の香源20を用いたので、香り成分の放出速度を遅延化でき、香りの持続効果を向上できる。したがって、香源20に液体香料を補充したり、香源20を交換したりすることなく、長期間に亘って嗅覚ディスプレイ10を使用できる。
なお、上述の実施例では、視聴覚情報と連動させて香りを提示するようにしたが、香りを単独で提示することもできる。たとえば、自動車などの乗り物において、顔画像などに基づいて運転者の居眠り状態を検出し、その検出に応答して香り(刺激臭)を運転者の鼻に向けて放出する、居眠り防止装置として嗅覚ディスプレイ10を用いることもできる。嗅覚ディスプレイ10は、空間的に非常に限られた範囲に対して香りを提示できる(つまり指向性がある)ので、他の搭乗者に影響を与えることなく、運転者のみに刺激臭を提示できる。
また、上述の実施例では、1種類の香りのみを提示する態様を示したが、複数種類の香りを提示することもできる。たとえば、図3に示す嗅覚ディスプレイ10を複数並べて配置して嗅覚ディスプレイシステムとし、各嗅覚ディスプレイ10の香気室12には、異なる香りを有する香源20を収納しておくとよい。この場合には、視聴覚ディスプレイが提示するコンテンツの切り替わりに合わせて、違う香りをユーザに提示できるようになる。たとえば、映像コンテンツのシーンの切り替わりに応じて、バニラアイスを食べる場面ではバニラの香りを放ち、海辺の場面では潮の香りを放つというようなことができる。
さらに、上述の実施例では、固形状の香源20として、粒状の多孔質体に液体香料を染み込ませたものを用いたが、これに限定されない。たとえば、常温で固体またはゲル状の基材を加熱によって液化させたものに液体香料を溶解した後、これを常温に冷却することによって固化またはゲル化させたものを固形状の香源20として用いることもできる。ただし、簡単かつ安価に製作でき、また液体香料の補充ができるという観点から、固形状の香源20としては、多孔質材に液体香料を染み込ませたものを用いることが好ましい。
また、上述の実施例では、香気室12内の香源20をバランスよく使用するため、香気室12の吐出口26を吸入口24に対して直交する方向に形成したが、吐出口26を形成する位置は、これに限定されず任意である。また、たとえば、香気室12内に仕切りを設けることによって、吸入口24から吐出口26に至る香気室12内の空気流路を迂回させるようにしてもよい。ただし、空気流路が長くなると、風力源14の作動時の香気室12内の静圧が低くなってしまうので注意が必要である。
さらに、上述の実施例では、嗅覚ディスプレイ10を固定的に設置し、1方向のみに香りを噴射するようにしたが、これに限定されず、噴射方向が変位可能となるように嗅覚ディスプレイ10を設置することもできる。たとえば、嗅覚ディスプレイ10を横方向および縦方向に回転可能に支持する台座上に設置することができる。この場合には、ユーザの鼻の位置を検出する装置と組み合わせて、ユーザの鼻を自動的に追尾して香りを提示するようにするとよい。
なお、上で挙げた寸法などの具体的数値はいずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。
10 …嗅覚ディスプレイ
12 …香気室
14 …風力源
16 …動作音抑制室
24 …吸入口
26 …吐出口
32 …圧電素子
34 …ダイヤフラム
48 …外気口

Claims (4)

  1. 時間的および空間的に限られた範囲に香りを提示する嗅覚ディスプレイであって、
    吸入口および吐出口を有する密閉空間を形成する香気室、
    前記香気室内に収納される固形状の香源、および
    圧電素子を有するダイヤフラムを備え、前記圧電素子に交番電圧を印加して前記ダイヤフラムを屈曲振動させることによって連続したポンプ動作を発生させて、前記吸入口から前記香気室内に空気を送り込む風力源を備える、嗅覚ディスプレイ。
  2. 前記吐出口は、前記吸入口と直交する方向に形成される、請求項1記載の嗅覚ディスプレイ。
  3. 前記風力源の上流側に設けられる動作音抑制室をさらに備える、請求項1または2記載の嗅覚ディスプレイ。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の嗅覚ディスプレイを複数備え、
    前記香気室のそれぞれに対して、異なる香りを有する香源が収納される、嗅覚ディスプレイシステム。
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