WO2013042694A1 - (メタ)アクリル酸エステル誘導体、高分子化合物およびフォトレジスト組成物 - Google Patents
(メタ)アクリル酸エステル誘導体、高分子化合物およびフォトレジスト組成物 Download PDFInfo
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Abstract
Description
微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来はg線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在ではKrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、これらエキシマレーザーより短波長のF2エキシマレーザー、電子線、EUV(極紫外線)やX線などについても検討が行われている。
レジスト材料には、これらの露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性などのリソグラフィー特性が求められる。
このような要求を満たすレジスト材料として、酸解離性官能基を有する高分子化合物と、放射線の照射(以下、「露光」という)により酸を発生する化合物(以下、「光酸発生剤」という)とからなる化学増幅型レジストが用いられている。
この酸解離性官能基を有する高分子化合物は、アルカリ可溶性高分子化合物のアルカリ易溶性部位の一部を適当な酸解離性官能基で保護した構造が基本となっており、かかる酸解離性官能基の選択は、フォトレジスト組成物としての機能を調整する上で非常に重要である。
既存の酸解離性官能基としては、1)アダマンタン構造を有するもの(特許文献1および非特許文献1参照)、2)エーテル環を有するもの(特許文献2および3参照)、3)ラクトン環を有するもの(特許文献4参照)などが知られている。
最大の課題となっているのは、ラインウイドゥスラフネス(LWR)と呼ばれる、形成されたパターンの線幅変動であり、その許容値は線幅の8%未満であることが求められている(非特許文献2参照)。LWRを改善するためには、現像時の膨潤によるパターン変形を抑制することが必要であり、そのためには、レジスト組成物成分である高分子化合物が、現像工程において膨潤しにくいものであることが求められる。だが、従来知られている重合性化合物の組み合わせで調製された高分子化合物では、必ずしも満足できるレベルの性能のものは得られていない。
[1]下記一般式(1)
本発明は、下記一般式(1)で示される(メタ)アクリル酸エステル誘導体[以下、(メタ)アクリル酸エステル誘導体(1)と称する。]を、現像時の膨潤を抑制してLWRが改善されるフォトレジスト組成物を得るために用いる。
R2、R3およびR4がそれぞれ表す炭素数1~5のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、s-ペンチル基、t-ペンチル基などが挙げられる。これらの中でも、現像時の膨潤を抑制したフォトレジスト組成物を得る観点から、メチル基、エチル基、イソプロピル基が好ましい。
Wが表す炭素数1~10のアルキレン基としては、例えばメチレン基、エタン-1,1-ジイル基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,1-ジイル基等が挙げられる。これらの中でも、現像時の膨潤を抑制したフォトレジスト組成物を得る観点から、メチレン基、エタン-1,1-ジイル基が好ましい。また、Wが表す炭素数4~10の環状炭化水素基としてはシクロアルキレン基が好ましく、例えばシクロヘキサン-1,2-ジイル基、シクロヘキサン-1,4-ジイル基、シクロデカン-1,5-ジイル基などが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル誘導体(1)の製造方法に特に制限は無いが、例えば下記工程で製造することができる。
重合性基導入工程-Aでは、上記アルコール誘導体(2)と
式 CH2=CR1COX1 (A-1)
(式中、R1は前記定義の通りである。X1は塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を表す。)、
式 (CH2=CR1CO)2O (A-2)
(式中、R1は前記定義の通りである。)、
式 CH2=CR1COOC(=O)R50 (A-3)
(式中、R1は前記定義の通りである。R50はt-ブチル基または2,4,6-トリクロロフェニル基を表す。)、または
式 CH2=CR1COOSO2R51 (A-4)
(式中、R1は前記定義の通りである。R51はメチル基またはp-トリル基を表す。)
で示される化合物(以下、これらの化合物を「重合性基導入剤A」と称する。)を、塩基性物質、および必要に応じて溶媒などの存在下に反応させる。
重合性基導入工程-B1では、上記アルコール誘導体(2)と
式 X2-W-COX3 (B1-1)
(式中、Wは前記の通りである。X2およびX3はそれぞれ独立して塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を表す。)、
式 (X2-W-CO)2O (B1-2)
(式中、X2およびWは前記定義の通りである。)、
式 X2-W-COOC(=O)R52 (B1-3)
(式中、X2およびWは前記定義の通りである。R52はt-ブチル基または2,4,6-トリクロロフェニル基を表す。)、または
式 X2-W-COOSO2R53 (B1-4)
(式中、X2およびWは前記定義の通りである。R53はメチル基またはp-トリル基を表す。)
で示される化合物(以下、これらの化合物を「連結基導入剤B1」と称する。)を、塩基性物質、および必要に応じて活性化剤、溶媒などの存在下に反応させる。
次いで重合性基導入工程-B2として、
式 CH2=CR1COOM (B2-1)
(式中、R1は前記定義の通りである。Mはナトリウム原子またはカリウム原子を表す。)
で示される化合物(以下、この化合物を「重合性基導入剤B2」と称する。)を、前記重合性基導入工程B1で得られた生成物と、必要に応じて活性化剤、溶媒などの存在下に反応させる。
以下、重合性基導入工程-Aおよび重合性基導入工程-Bについて順に説明する。
重合性基導入工程-Aで使用する重合性基導入剤Aのうち、式 CH2=CR1COX1 (A-1)で示される化合物としては、例えばアクリル酸クロリド、メタクリル酸クロリドなどが挙げられる。
式 (CH2=CR1CO)2O (A-2)で示される化合物としては、例えば無水アクリル酸、無水メタクリル酸などが挙げられる。
式 CH2=CR1COOC(=O)R50 (A-3)で示される化合物としては、例えばアクリル酸ピバリン酸無水物、アクリル酸2,4,6-トリクロロ安息香酸無水物、メタクリル酸ピバリン酸無水物、メタクリル酸2,4,6-トリクロロ安息香酸無水物などが挙げられる。
式 CH2=CR1COOSO2R51 (A-4)で示される化合物としては、例えばアクリル酸メタンスルホン酸無水物、アクリル酸p-トルエンスルホン酸無水物、メタクリル酸メタンスルホン酸無水物、メタクリル酸p-トルエンスルホン酸無水物などが挙げられる。
重合性基導入剤Aの使用量に特に制限はないが、経済性および後処理の容易さの観点から、アルコール誘導体(2)に対して0.8~5倍モルの範囲であることが好ましく、0.8~3倍モルの範囲であることがより好ましい。
塩基性物質の使用量に特に制限はないが、経済性および後処理の容易さの観点から、アルコール誘導体(2)に対して0.8~5倍モルの範囲であることが好ましく、0.8~3倍モルの範囲であることがより好ましい。
該溶媒としては、反応を阻害しなければ特に制限はなく、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン、シメンなどの芳香族炭化水素;塩化メチレン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル;アセトニトリル、ベンズニトリルなどのニトリルなどが挙げられる。これらの中でも、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ニトリルが好ましい。溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
溶媒を使用する場合、その使用量は、経済性および後処理の容易さの観点から、アルコール誘導体(2)に対して0.1~10質量倍の範囲であることが好ましく、0.1~5質量倍の範囲であることがより好ましい。
また、重合性基導入工程-Aは、(メタ)アクリル酸エステル誘導体(1)の収率の観点から、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下に実施することが好ましい。
水またはアルコールの使用量は、アルコール誘導体(2)に対し過剰の重合性基導入剤Aに対し、1倍モル以上の量であることが好ましい。この使用量であれば、過剰の重合性基導入剤Aを完全に分解することができ、副生成物が生じない。
重合性基導入工程-Aにより製造し得るn=0の(メタ)アクリル酸エステル誘導体(1)の具体例を以下に示すが、特にこれらに限定されない。
次に重合性基導入工程-Bについて説明する。
[重合性基導入工程-B1]
重合性基導入工程-B1で使用する連結基導入剤B1のうち、式 X2-W-COX3(B1-1)で示される化合物としては、例えばクロロ酢酸クロリド、2-クロロプロピオン酸クロリド、2-ブロモ-2-メチルプロピオン酸ブロミドなどが挙げられる。
式 (X2-W-CO)2O (B1-2)で示される化合物としては、例えば無水クロロ酢酸、無水2-クロロプロピオン酸などが挙げられる。
式 X2-W-COOC(=O)R52 (B1-3)で示される化合物としては、例えばクロロ酢酸ピバリン酸無水物、クロロ酢酸2,4,6-トリクロロ安息香酸無水物、2-クロロプロピオン酸ピバリン酸無水物、2-クロロプロピオン酸2,4,6-トリクロロ安息香酸無水物などが挙げられる。
式 X2-W-COOSO2R53 (B1-4)で示される化合物としては、例えばクロロ酢酸メタンスルホン酸無水物、クロロ酢酸p-トルエンスルホン酸無水物、2-クロロプロピオン酸メタンスルホン酸無水物、2-クロロプロピオン酸p-トルエンスルホン酸無水物などが挙げられる。
連結基導入剤B1の使用量に特に制限はないが、経済性および後処理の容易さの観点から、アルコール誘導体(2)に対して0.8~5倍モルの範囲であることが好ましく、0.8~3倍モルの範囲であることがより好ましい。
塩基性物質の使用量に特に制限はないが、経済性および後処理の容易さの観点から、アルコール誘導体(2)に対して0.8~5倍モルの範囲であることが好ましく、0.8~3倍モルの範囲であることがより好ましい。
該溶媒としては、反応を阻害しなければ特に制限はなく、例えば重合性基導入工程-Aで使用し得る溶媒と同じものが挙げられる。溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
溶媒を使用する場合、その使用量は、経済性および後処理の容易さの観点から、アルコール誘導体(2)に対して0.1~10質量倍の範囲であることが好ましく、0.1~5質量倍の範囲であることがより好ましい。
また、重合性基導入工程-B1は、目的化合物の収率の観点から、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下に実施することが好ましい。
水またはアルコールの使用量は、アルコール誘導体(2)に対し過剰の連結基導入剤B1に対し、1倍モル以上の量であることが好ましい。この使用量であれば、過剰の連結基導入剤B1を完全に分解でき、副生成物が生じない。
重合性基導入工程-B2で使用する重合性基導入剤B2として、
式 CH2=CR1COOM (B2-1)で示される化合物としては、例えばアクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カリウムなどが挙げられる。これらは、操作の簡便性の観点から、アクリル酸またはメタクリル酸と、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属炭酸塩とを反応系内で反応させることによって調製することが好ましい。
重合性基導入剤B2の使用量は、経済性および後処理の容易さの観点から、重合性基導入工程-B1で得られた生成物に対して0.8~5倍モルの範囲であることが好ましく、0.8~3倍モルの範囲であることがより好ましい。
活性化剤を用いる場合、その使用量は、重合性基導入工程-B1で得られた生成物に対して0.001~0.5モル倍の範囲であることが好ましく、後処理の容易さおよび経済性の観点から0.005~0.3モル倍の範囲であることがより好ましい。
該溶媒としては、反応を阻害しなければ特に制限はなく、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン、シメンなどの芳香族炭化水素;塩化メチレン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンなどのアミドが挙げられる。溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
溶媒を使用する場合、その使用量は、経済性および後処理の容易さの観点から、重合性基導入工程-B1で得られた生成物に対して0.1~10質量倍の範囲であることが好ましく、0.1~5質量倍の範囲であることがより好ましい。
重合性基導入工程-Bにより製造し得るn=1の(メタ)アクリル酸エステル誘導体(1)の具体例を以下に示すが、特にこれらに限定されない。
例えば、重合性基導入工程-Aまたは重合性基導入工程-Bで得られた反応混合物を水洗した後、濃縮し、蒸留、カラムクロマトグラフィーまたは再結晶等、通常の有機化合物の分離精製に用いられる方法を適用できる。
また、必要に応じて、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸等のキレート剤を添加後に、ろ過またはゼータプラス(商品名、キュノ株式会社製)やプロテゴ(製品名、日本マイクロリス株式会社製)などの金属除去フィルターで処理することにより、得られた(メタ)アクリル酸エステル誘導体(1)中の金属含有量を低減することも可能である。
本発明の高分子化合物は、(メタ)アクリル酸エステル誘導体(1)に基づく構成単位を含有し、(メタ)アクリル酸エステル誘導体(1)を単独で重合してなる重合体または(メタ)アクリル酸エステル誘導体(1)と他の重合性化合物とを共重合してなる共重合体である。
本発明の高分子化合物は、(メタ)アクリル酸エステル誘導体(1)に基づく構成単位を、0モル%を超え100モル%含有し、LWRおよび解像度の観点からは、好ましくは5~80モル%、より好ましくは10~70モル%、さらに好ましくは10~50モル%含有する。
(メタ)アクリル酸エステル誘導体(1)と共重合させることができる他の重合性化合物(以下、共重合単量体と称する。)の具体例としては、例えば下記の化学式で示される化合物などが挙げられるが、特にこれらに限定されない。
共重合単量体において、R100が表す炭素数1~5のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、s-ペンチル基などが挙げられ、炭素数3~10の環状炭化水素基としては、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などが挙げられる。R101が表す重合性基としては、例えばアクリロイル基、2-トリフルオロメチルアクリロイル基、メタアクリロイル基、ビニル基、ビニルスルホニル基などが挙げられる。また、R103が表す炭素数1~3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
本発明の高分子化合物は、常法に従って、ラジカル重合により製造することができる。特に、分子量分布が小さい高分子化合物を合成する方法としては、リビングラジカル重合などが挙げられる。
一般的なラジカル重合方法は、必要に応じて1種類以上の(メタ)アクリル酸エステル誘導体(1)および必要に応じて1種類以上の上記共重合単量体を、ラジカル重合開始剤および溶媒、並びに必要に応じて連鎖移動剤の存在下に重合させる。
ラジカル重合の実施方法には特に制限はなく、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法など、例えばアクリル系樹脂を製造する際に用いる慣用の方法を使用できる。
ラジカル重合開始剤の使用量は、重合反応に用いる(メタ)アクリル酸エステル誘導体(1)、共重合単量体、連鎖移動剤、溶媒の種類および使用量、重合温度などの重合条件に応じて適宜選択できるが、全重合性化合物[(メタ)アクリル酸エステル誘導体(1)と共重合単量体の合計量であり、以下同様である。]1モルに対して、通常、好ましくは0.005~0.2モル、より好ましくは0.01~0.15モルである。
溶媒の使用量は、全重合性化合物1質量部に対して、通常、好ましくは0.5~20質量部、経済性の観点からは、より好ましくは1~10質量部である。
重合反応の時間は、(メタ)アクリル酸エステル誘導体(1)、共重合単量体、重合開始剤、溶媒の種類および使用量、重合反応の温度などの重合条件により異なるが、通常、好ましくは30分~48時間、より好ましくは1時間~24時間である。
重合反応は、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下に実施することが好ましい。
再沈澱の操作で用いる溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;ニトロメタンなどのニトロ化炭化水素;アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサンなどのエーテル;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン;酢酸などのカルボン酸;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネートなどのカーボネート;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール;水が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を混合して使用してもよい。
再沈澱の操作で用いる溶媒の使用量は、高分子化合物の種類、溶媒の種類により異なるが、通常、高分子化合物1質量部に対して0.5~100質量部であるのが好ましく、経済性の観点からは、1~50質量部であるのがより好ましい。
また、高分子化合物の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.0~3、より好ましくは1.0~2.0であると、後述するフォトレジスト組成物の成分としての有用性が高い。かかるMwおよびMnは、実施例に記載の方法に従って測定した値である。
前記高分子化合物、光酸発生剤および溶剤、並びに必要に応じて塩基性化合物、界面活性剤およびその他の添加物を配合することにより、本発明のフォトレジスト組成物を調製する。以下、各成分について説明する。
光酸発生剤としては特に制限は無く、従来、化学増幅型フォトレジスト組成物に通常用いられる公知の光酸発生剤を使用できる。該光酸発生剤としては、例えばヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系光酸発生剤;オキシムスルホネート系光酸発生剤;ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン系光酸発生剤;ニトロベンジルスルホネート系光酸発生剤;イミノスルホネート系光酸発生剤;ジスルホン系光酸発生剤などが挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、オニウム塩系光酸発生剤が好ましく、さらに、発生する酸の強度が強いという観点から、フッ素含有アルキルスルホン酸イオンをアニオンとして含む下記の含フッ素オニウム塩が好ましい。
光酸発生剤の配合量は、フォトレジスト組成物の感度および現像性を確保する観点から、前記高分子化合物100質量部に対して、通常、好ましくは0.1~30質量部、より好ましくは0.5~10質量部である。
フォトレジスト組成物に配合する溶剤としては、例えばプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル;乳酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピルなどのエステル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサンなどのエーテルなどが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
溶剤の配合量は、高分子化合物1質量部に対して、通常、1~50質量部であるのが好ましく、2~25質量部であるのが好ましい。
フォトレジスト組成物には、フォトレジスト膜中における酸の拡散速度を抑制して解像度を向上するために、必要に応じて塩基性化合物をフォトレジスト組成物の特性が阻害されない範囲の量で配合することができる。かかる塩基性化合物としては、例えばホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-(1-アダマンチル)アセトアミド、ベンズアミド、N-アセチルエタノールアミン、1-アセチル-3-メチルピペリジン、ピロリドン、N-メチルピロリドン、ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、2-ピロリジノン、アクリルアミド、メタクリルアミド、t-ブチルアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メトキシアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどのアミド;ピリジン、2-メチルピリジン、4-メチルピリジン、ニコチン、キノリン、アクリジン、イミダゾール、4-メチルイミダゾール、ベンズイミダゾール、ピラジン、ピラゾール、ピロリジン、N-t-ブトキシカルボニルピロリジン、ピペリジン、テトラゾール、モルホリン、4-メチルモルホリン、ピペラジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリエタノールアミンなどのアミンなどが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
塩基性化合物を配合する場合、その配合量は使用する塩基性化合物の種類により異なるが、光酸発生剤1モルに対して、通常、好ましくは0.01~10モル、より好ましくは0.05~1モルである。
フォトレジスト組成物には、塗布性を向上させるため、所望により、さらに界面活性剤をフォトレジスト組成物の特性が阻害されない範囲の量で配合することができる。
かかる界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn-オクチルフェニルエーテルなどが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤を配合する場合、その配合量は、高分子化合物100質量部に対して、通常、好ましくは2質量部以下である。
さらに、フォトレジスト組成物には、その他の添加剤として、増感剤、ハレーション防止剤、形状改良剤、保存安定剤、消泡剤などを、フォトレジスト組成物の特性が阻害されない範囲の量で配合することができる。
フォトレジスト組成物を基板に塗布し、通常、好ましくは70~160℃で1~10分間プリベークし、所定のマスクを介して放射線を照射(露光)後、好ましくは70~160℃で1~5分間ポストエクスポージャーベークして潜像パターンを形成し、次いで現像液を用いて現像することにより、所定のフォトレジストパターンを形成することができる。
露光量は、0.1~1000mJ/cm2であるのが好ましく、1~500mJ/cm2であるのがより好ましい。
現像液の濃度は、通常、0.1~20質量%であるのが好ましく、0.1~10質量%であるのがより好ましい。
重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、検出器として示差屈折率計を用い、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定を下記条件にて行ない、標準ポリスチレンで作成した検量線による換算値として求めた。また、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除することにより分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
GPC測定:カラムとして、「TSK-gel supermultipore HZ-M」(商品名:東ソー株式会社製、4.6mm×150mm)3本直列に連結したものを使用し、カラム温度40℃、示差屈折率計温度40℃、溶離液の流速0.35mL/分の条件で測定した。
電磁攪拌装置、還流冷却器、窒素導入管、滴下ロートおよび温度計を備えた内容積50mlの三口フラスコに、マグネシウム5.6g(230mmol)およびテトラヒドロフラン1000gを仕込み、フラスコ内を窒素置換した。内温を50℃に昇温した後、滴下ロートより1,4-ジブロモブタン23.8g(110mmol)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、50℃にて1時間攪拌した後、反応液を20℃に冷却した。次いで、滴下ロートより2-メチル-3-メトキシプロピオン酪酸メチル13.2g(100mmol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、25℃にて1時間攪拌した。続いて、本反応液にトルエン300gを添加した後、滴下ロートより4M-塩酸58ml(230mmol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、反応混合液を静置し、有機層と水層に分離させた。得られた有機層を40℃、6.7kPaの条件にて減圧濃縮することによって下記特性を有する1-(2’-メトキシ-1’-メチルエチル)シクロペンタン-1-オール13.4g(85.0mmol)を得た(収率85%)。
電磁攪拌装置、還流冷却器、窒素導入管、滴下ロートおよび温度計を備えた内容積50mlの三口フラスコに、1-(2’-メトキシ-1’-メチルエチル)シクロペンタン-1-オール1.6g(10mmol)、トルエン10g、ジメチルアミノピリジン 0.1g(1mmol)およびトリエチルアミン1.5g(15mmol)を仕込んだ。内温50℃にて滴下ロートより塩化メタクリロイル1.3g(12mmol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、20~25℃にて24時間攪拌した。次いで、滴下ロートより水10gを0.5時間かけて滴下した後、反応混合液を静置し、有機層と水層に分離させた。得られた有機層を40℃、5.2kPaの条件下に減圧濃縮した。本濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー{ヘキサン/酢酸エチル=1/2(体積比)}で精製することにより、下記特性を有する1-(2’-メトキシ-1’-メチルエチル)シクロペンタン-1-イル=メタクリラート1.6g(7mmol)を得た(収率70%)。
電磁攪拌装置、還流冷却器および温度計を備えた内容積50mlの三口フラスコに、1-(2’-メトキシ-1’-メチルエチル)シクロペンタン-1-イル=メタクリラート4.1g(18.1mmol)、3-ヒドロキシアダマンタン-1-イル=メタクリラート1.3g(5.6mmol)、ヘキサヒドロ-2-オキソ-3,5-メタノ-4H-シクロペンタ[2,3-b]フラン-6-イル=メタクリラート4.3g(19.4mmol)およびメチルエチルケトン36.4gを仕込み、窒素バブリングを10分間行なった。窒素雰囲気下で2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.36g(2mmol)を仕込み、80℃にて4時間重合反応を行なった。得られた反応混合液を、室温下、メタノール220gに撹拌しながら滴下し、生成した沈殿物をろ取した。該沈殿物を、減圧(26.7Pa)下、50℃で7時間乾燥して、以下の繰り返し単位(数値はモル比を表す。)からなる高分子化合物(a)を7.0g得た。得られた高分子化合物(a)のMwは9000、Mw/Mnは1.8であった。
1-(2’-メトキシ-1’-メチルエチル)シクロペンタン-1-イル=メタクリラート4.1g(18.1mmol)の代わりに、1-イソプロピルシクロペンタン-1-イル=メタクリラート3.6g(18.1mmol)を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行い、以下の繰り返し単位(数値はモル比を表す。)からなる高分子化合物(b)を6.9g得た。得られた高分子化合物(b)のMwは8800、Mw/Mnは1.9であった。
1-(2’-メトキシ-1’-メチルエチル)シクロペンタン-1-イル=メタクリラート4.1g(18.1mmol)の代わりに、メタクリル酸1-(7-オキサノルボルナン-2-イル)シクロペンチル4.5g(18.1mmol)を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行い、以下の繰り返し単位(数値はモル比を表す。)からなる高分子化合物(c)を7.1g得た。得られた高分子化合物(c)のMwは8900、Mw/Mnは1.9であった。
1-(2’-メトキシ-1’-メチルエチル)シクロペンタン-1-イル=メタクリラート4.1g(18.1mmol)の代わりに、1-(テトラヒドロフラン-2’-イル)シクロペンタン-1-イル=メタクリラート4.1g(18.1mmol)を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行い、以下の繰り返し単位(数値はモル比を表す。)からなる高分子化合物(d)を7.0g得た。得られた高分子化合物(d)のMwは9200、Mw/Mnは1.8であった。
1-(2’-メトキシ-1’-メチルエチル)シクロペンタン-1-イル=メタクリラート4.1g(18.1mmol)の代わりに、1-メトキシメチルシクロペンタン-1-イル=メタクリラート3.6g(18.1mmol)を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行い、以下の繰り返し単位(数値はモル比を表す。)からなる高分子化合物(e)を6.8g得た。得られた高分子化合物(e)のMwは8700、Mw/Mnは1.9であった。
{QCM法による現像液中の溶解特性評価}
実施例2または参考例1~4で得た高分子化合物(a)および高分子化合物(b)~(e)を100質量部と、光酸発生剤として「TPS-109」(製品名、成分;ノナフルオロ-n-ブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、みどり化学株式会社製)3質量部と、溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/乳酸エチル=1/1の混合溶媒)とをそれぞれ混合し、高分子化合物の濃度が12質量%のフォトレジスト組成物5種類を調製した。これらのフォトレジスト組成物を、フィルター[四フッ化エチレン樹脂(PTFE)製、孔径0.2μm]を用いてろ過した後、表面に金電極を真空蒸着した1インチサイズの石英基板上にそれぞれスピンコーティング法により塗布し、厚み約300nmの感光層を形成させた。
これらの感光層を形成させた石英基板をホットプレート上にて、110℃で90秒間プリベークした後、ArFエキシマレーザー(波長193nm)を用い、露光量100mJ/cm2で露光し、続いて110℃で90秒間ポストエクスポージャーベークした。水晶振動子マイクロバランス装置「RQCM」(商品名;Maxtek社製)に上記石英基板をセットし、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液にて120秒間現像処理した。現像処理中の石英基板の振動数変化を経時的にモニターした後、得られた振動数変化を膜厚の変化に換算し、膜厚の増加変化から最大膨潤量、膜厚の減少変化から溶解速度を算出した。結果を表1に示す。
実施例2または参考例1~4で得た高分子化合物(a)および高分子化合物(b)~(e)を100質量部、光酸発生剤として「TPS-109」(製品名、成分;ノナフルオロ-n-ブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、みどり化学株式会社製)4.5質量部、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/シクロヘキサノン混合溶剤(質量比=1:1)1896質量部を混合し、フォトレジスト組成物5種類を調製した。
これらのフォトレジスト組成物を孔径0.2μmのメンブランフィルターを用いてろ過した。クレゾールノボラック樹脂(群栄化学工業株式会社製「PS-6937」)6質量%濃度のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液をスピンコーティング法により塗布して、ホットプレート上で200℃、90秒間焼成することにより膜厚100nmの反射防止膜(下地膜)を形成させた直径10cmのシリコンウェハー上に、該ろ液をそれぞれスピンコーティング法により塗布し、ホットプレート上で130℃、90秒間プリベークして膜厚300nmのフォトレジスト膜を形成させた。このフォトレジスト膜に波長193nmのArFエキシマレーザーを用いて二光束干渉法露光した。引き続き、130℃、90秒間ポストエクスポージャーベークした後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液にて60秒間現像処理することにより、1:1のラインアンドスペースパターンを形成させた。現像済みウェハーを割断したものを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、線幅100nmのラインアンドスペースを1:1で解像した露光量におけるパターンの形状観察と線幅の変動(以下、LWRと称する。)の測定を行なった。LWRは、測定モニタ内において、線幅を複数の位置で検出し、その検出位置のバラツキの分散(3σ)を指標とした。また、パターンの断面形状は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、パターンの矩形性が高い(長方形に近い)ものを「良好」とし、Tトップやマイクロブリッジを形成しており、短形性が低いものを「不良」として評価した。結果を表1に示す。
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