JP5657443B2 - アクリル酸エステル誘導体、高分子化合物およびフォトレジスト組成物 - Google Patents
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Description
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。
微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化(高エネルギー化)が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、KrFエキシマレーザーやArFエキシマレーザーより短波長(高エネルギー)のF2エキシマレーザー、電子線、EUV(極紫外線)やX線などについても検討が行われている。
例えばポジ型の化学増幅型フォトレジスト組成物としては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂成分(ベース樹脂)と、酸発生剤成分とを含有するものが一般的に用いられている。かかるフォトレジスト組成物を用いて形成されるフォトレジスト膜は、フォトレジストパターン形成時に選択的露光を行うと、露光部において、酸発生剤成分から酸が発生し、該酸の作用により樹脂成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増大して、露光部がアルカリ現像液に対して可溶となる。
また、ベース樹脂及び酸発生剤以外に、例えばアルキルアミン、アルキルアミノアルコール等の含窒素有機化合物を化学増幅型フォトレジスト組成物に配合することが行われている。該含窒素有機化合物は、酸発生剤から発生する酸をトラップするクエンチャーとして作用し、フォトレジストパターン形状等のリソグラフィー特性の向上に寄与する。
現在、該含窒素有機化合物としては、一般的に第3級アミンが広く用いられている。また、パターンの微細化に伴い、孤立パターン形成の際のプロセスマージン等の向上を図るため、種々の含窒素有機化合物を用いることも知られている(例えば、特許文献2および3参照)。
しかしながら、含窒素有機化合物として第3級アミンを用いたフォトレジスト組成物は、露光領域から未露光領域への酸拡散の制御及び環境耐性に一定の効果は認められるものの、求核性や塩基性度が高すぎることにより感度が低下し、リソグラフィー特性も低下するという問題がある。特許文献2、3に記載された含窒素有機化合物を含有するフォトレジスト組成物は、パターンの微細化が進むにつれて要求されるリソグラフィー特性やパターン形状を未だ満足できるものではない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、リソグラフィー特性に優れ、良好な形状のフォトレジストパターンを形成し得るフォトレジスト組成物用の高分子化合物の原料として有用なアクリル酸エステル誘導体及び該アクリル酸エステル誘導体の合成中間体(ハロカルボン酸エステル誘導体)を提供することを課題とする。
[1]下記一般式(1)
で示されるアクリル酸エステル誘導体(以下、アクリル酸エステル誘導体(1)と称する。)。
[2]下記一般式(2)
で示されるハロカルボン酸エステル誘導体(以下、ハロカルボン酸エステル誘導体(2)と称する。)。
[3]上記[1]に記載のアクリル酸エステル誘導体に基づく構成単位を含有する高分子化合物。
[4]上記[3]に記載の高分子化合物、光酸発生剤および溶剤を含有するフォトレジスト組成物。
リソグラフィー特性に優れ、LWRが改善されて高解像度のフォトレジストパターンを形成するフォトレジスト組成物を得るためには、本発明のアクリル酸エステル誘導体(1)が有用である。
R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10がそれぞれ独立して表す炭素数3〜6の環状炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10がそれぞれ独立して表す炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜3のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。
以上の中でも、R2、R3、R5、R7、R8、R9、R10は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、いずれも水素原子であることがより好ましい。
以上の中でも、R4およびR6は、いずれも水素原子であるか、または両者が結合した炭素数1〜3のアルキレン基もしくは−O−であることが好ましく、メチレン基または−O−であることがより好ましい。
R11が表す炭素数3〜10の環状炭化水素基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンタン−1−イル基などが挙げられる。
以上の中でも、R11は、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、アダマンタン−1−イル基が好ましい。
Wが表す炭素数4〜10の環状炭化水素基としては、例えばシクロヘキサン−1,2−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロデカン−1,5−ジイル基などが挙げられる。
以上の中でも、Wとしては、メチレン基が好ましい
アクリル酸エステル誘導体(1)は、例えば下記工程で製造できる。
重合性基導入工程−1では、上記アルコール誘導体(以下、アルコール誘導体(3)と称する。)と式 X−W−COX2(式中、WおよびXは前記の通りである。X2は塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。)、式 (X−W−CO)2O(式中、WおよびXは前記定義の通りである。)、式 X−W−COOC(=O)R12(式中、WおよびXは前記定義の通りである。R12はt−ブチル基または2,4,6−トリクロロフェニル基を表す。)または式 X−W−COOSO2R13(式中、WおよびXは前記定義の通りである。R13はメチル基またはp−トリル基を表す。)で示される化合物(以下、これらの化合物を「連結基導入剤」と称する。)を、塩基性物質と必要に応じて溶媒などの存在下に反応させる。
次いで重合性基導入工程−2として、式 CH2=CR1COOM(式中、R1は前記定義の通りである。Mはナトリウム原子またはカリウム原子を表す。)で示される化合物(以下、この化合物を「重合性基導入剤」と称する。)と、必要に応じて活性化剤、溶媒の存在下に反応させる。
以下、重合性基導入工程−1および重合性基導入工程−2について順に説明する。
重合性基導入工程−1で使用できる連結基導入剤のうち、式 X−W−COX2で示される化合物としては、例えばクロロ酢酸クロリド、2−クロロプロピオン酸クロリド、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸ブロミドなどが挙げられる。式 (X−W−CO)2Oで示される化合物としては、例えば無水クロロ酢酸、無水2−クロロプロピオン酸などが挙げられる。式 X−W−COOC(=O)R12で示される化合物としては、例えばクロロ酢酸ピバリン酸無水物、クロロ酢酸2,4,6−トリクロロ安息香酸無水物、2−クロロプロピオン酸ピバリン酸無水物、2−クロロプロピオン酸2,4,6−トリクロロ安息香酸無水物などが挙げられる。式 X−W−COOSO2R13で示される化合物としては、例えばクロロ酢酸メタンスルホン酸無水物、クロロ酢酸p−トルエンスルホン酸無水物、2−クロロプロピオン酸メタンスルホン酸無水物、2−クロロプロピオン酸p−トルエンスルホン酸無水物などが挙げられる。
連結基導入剤の使用量に特に制限は無いが、経済性および後処理の容易さの観点から、アルコール誘導体(3)1モルに対して0.8〜5モルが好ましく、0.8〜3モルがより好ましい。
塩基性物質の使用量に特に制限は無いが、経済性および後処理の容易さの観点から、アルコール誘導体(3)1モルに対して0.8〜10モルが好ましく、0.8〜6モルがさらに好ましい。
該溶媒としては、反応を阻害しなければ特に制限はなく、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン、シメンなどの芳香族炭化水素;塩化メチレン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル;アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリルなどが挙げられる。これらの中でも、ハロゲン化炭化水素、エーテル、ニトリルが好ましい。これらは1種を単独でまたは2種以上を混合して使用してもよい。
溶媒を使用する場合、その使用量は、経済性および後処理の容易さの観点から、アルコール誘導体(3)1質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。
また、重合性基導入工程−1は、目的化合物の収率の観点から、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下に実施することが好ましい。
水またはアルコールの使用量は、アルコール誘導体(3)1モルに対して過剰の連結基導入剤に対し、1モル以上の量を用いることが好ましい。この使用量であれば、過剰の連結基導入剤を完全に分解でき副生成物が生じない。
重合性基導入工程−2で使用する重合性基導入剤として、式CH2=CR1COOMで示される化合物としては、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、アクリル酸トリエチルアンモニウム、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カリウム、メタクリル酸トリエチルアンモニウム、2−トリフルオロメチル−2−プロペン酸ナトリウム、2−トリフルオロメチル−2−プロペン酸カリウム、2−トリフルオロメチル−2−プロペン酸トリエチルアンモニウムなどが挙げられる。これらの化合物は、工程の簡便さの観点から、アクリル酸、メタクリル酸、2−トリフルオロメチル−2−プロペン酸と、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミンなどの塩基とを反応系内で反応させることによって調製することが好ましい。
重合性基導入剤の使用量は、経済性および後処理の容易さの観点から、ハロカルボン酸エステル誘導体(2)1モルに対して0.8〜10モルが好ましく、0.8〜5モルがより好ましい。
活性化剤を用いる場合、その使用量は、ハロカルボン酸エステル誘導体(2)1モルに対して0.001〜1モルが好ましく、後処理の容易さおよび経済性の観点から0.005〜0.5モルがより好ましい。
該溶媒としては、反応を阻害しなければ特に制限はなく、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン、シメンなどの芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなどのアルコール;塩化メチレン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミドが挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上を混合して使用してもよい。
溶媒を使用する場合、その使用量は、経済性および後処理の容易さの観点から、ハロカルボン酸エステル誘導体(2)1質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。
重合性基導入工程により製造可能なアクリル酸エステル誘導体(1)の具体例を以下に示すが、これらに限定されない。
例えば、重合性基導入工程で得られた反応混合物を水洗した後、濃縮し、蒸留、カラムクロマトグラフィーまたは再結晶等、通常の有機化合物の分離精製に用いられる方法により分離精製できる。
また、必要に応じて、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸等のキレート剤の添加後にろ過またはゼータプラス(商品名、キュノ株式会社製)やプロテゴ(製品名、日本マイクロリス株式会社製)などの金属除去フィルターで処理することにより、得られたアクリル酸エステル誘導体(1)中の金属含有量を低減することも可能である。
本発明のアクリル酸エステル誘導体(1)を単独で重合してなる重合体またはアクリル酸エステル誘導体(1)と他の重合性化合物とを共重合してなる共重合体は、フォトレジスト組成物用の高分子化合物として有用である。
本発明の高分子化合物は、アクリル酸エステル誘導体(1)に基づく構成単位を、0モル%を超え100モル%含有し、LWRおよび解像度の観点からは、好ましくは5〜80モル%、より好ましくは10〜70モル%、さらに好ましくは10〜50モル%含有する。
アクリル酸エステル誘導体(1)と共重合させることができる他の重合性化合物(以下、共重合単量体と称する。)の具体例としては、例えば下記の化学式で示される化合物などが挙げられるが、これらに限定されない。
R100が表す炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、s−ペンチル基などが挙げられ、炭素数3〜10の環状炭化水素基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などが挙げられる。R101が表す重合性基としては、アクリロイル基、メタアクリロイル基、ビニル基、ビニルスルホニル基などが挙げられる。また、R103が表す炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
高分子化合物は、常法に従って、ラジカル重合により製造できる。特に、分子量分布が小さい高分子化合物を合成する方法としては、リビングラジカル重合などが挙げられる。
一般的なラジカル重合方法は、必要に応じて1種類以上のアクリル酸エステル誘導体(1)および必要に応じて1種類以上の上記共重合単量体を、ラジカル重合開始剤および溶媒、並びに必要に応じて連鎖移動剤の存在下に重合させる。
ラジカル重合の実施方法には特に制限はなく、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法など、例えばアクリル系樹脂を製造する際に用いる慣用の方法を使用できる。
ラジカル重合開始剤の使用量は、重合反応に用いるアクリル酸エステル誘導体(1)、共重合単量体、連鎖移動剤、溶媒の種類および使用量、重合温度などの重合条件に応じて適宜選択できるが、全重合性化合物[アクリル酸エステル誘導体(1)と共重合単量体の合計量であり、以下同様である。]1モルに対して、通常、好ましくは0.005〜0.2モル、より好ましくは0.01〜0.15モルである。
溶媒の使用量は、全重合性化合物1質量部に対して、通常、好ましくは0.5〜20質量部、経済性の観点から、より好ましくは1〜10質量部である。
重合反応の時間は、アクリル酸エステル誘導体(1)、共重合単量体、重合開始剤、溶媒の種類および使用量、重合反応の温度などの重合条件により異なるが、通常、好ましくは30分〜48時間、より好ましくは1時間〜24時間である。
重合反応は、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下に実施することが好ましい。
再沈澱の操作で用いる溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;ニトロメタンなどのニトロ化炭化水素;アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン;酢酸などのカルボン酸;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネートなどのカーボネート;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール;水などが挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上を混合して使用してもよい。
再沈澱の操作で用いる溶媒の使用量は、高分子化合物の種類、溶媒の種類により異なるが、通常、高分子化合物1質量部に対して0.5〜100質量部が好ましく、経済性の観点からは、1〜50質量部がより好ましい。
また、高分子化合物の分子量分布(Mw/Mn)に特に制限は無いが、後述するフォトレジスト組成物の成分としての有用性の観点から、1〜3が好ましく、1〜2がより好ましい。かかるMwおよびMnは、実施例に記載の方法に従って測定した値である。
前高分子化合物、光酸発生剤および溶剤、並びに必要に応じて塩基性化合物、界面活性剤およびその他の添加物を配合することにより、本発明のフォトレジスト組成物を調製できる。以下、各成分について説明する。
光酸発生剤としては、従来、化学増幅型フォトレジストに通常用いられる公知の光酸発生剤を使用できる。該光酸発生剤としては、例えばヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系光酸発生剤;オキシムスルホネート系光酸発生剤;ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン系光酸発生剤;ニトロベンジルスルホネート系光酸発生剤;イミノスルホネート系光酸発生剤;ジスルホン系光酸発生剤などが挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、オニウム塩系光酸発生剤が好ましく、さらに、発生する酸の強度が強いという観点から、フッ素含有アルキルスルホン酸イオンをアニオンとして含む下記の含フッ素オニウム塩が好ましい。
光酸発生剤の配合量は、フォトレジスト組成物の感度および現像性を確保する観点から、前記高分子化合物100質量部に対して、通常、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは0.5〜10質量部である。
フォトレジスト組成物に配合する溶剤としては、例えばプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル;乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピルなどのエステル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテルなどが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
溶剤の配合量は、高分子化合物1質量部に対して、通常、1〜50質量部が好ましく、2〜25質量部が好ましい。
フォトレジスト組成物には、フォトレジスト膜中における酸の拡散速度を抑制して解像度を向上させるために、必要に応じて塩基性化合物をフォトレジスト組成物の特性が阻害されない範囲の量で配合することができる。かかる塩基性化合物としては、例えばホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−(1−アダマンチル)アセトアミド、ベンズアミド、N−アセチルエタノールアミン、1−アセチル−3−メチルピペリジン、ピロリドン、N−メチルピロリドン、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、2−ピロリジノン、アクリルアミド、メタクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどのアミド;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、ニコチン、キノリン、アクリジン、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、ベンズイミダゾール、ピラジン、ピラゾール、ピロリジン、N−t−ブトキシカルボニルピロリジン、ピペリジン、テトラゾール、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリエタノールアミンなどのアミンなどが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
塩基性化合物を配合する場合、その配合量は使用する塩基性化合物の種類により異なるが、光酸発生剤1モルに対して、通常、好ましくは0.01〜10モル、より好ましくは0.05〜1モルである。
フォトレジスト組成物には、塗布性を向上させるため、必要に応じて、さらに界面活性剤をフォトレジスト組成物の特性が阻害されない範囲の量で配合できる。
かかる界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテルなどが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤を配合する場合、その配合量は、高分子化合物100質量部に対して、通常、好ましくは2質量部以下である。
さらに、フォトレジスト組成物には、その他の添加剤として、増感剤、ハレーション防止剤、形状改良剤、保存安定剤、消泡剤などを、フォトレジスト組成物の特性が阻害されない範囲の量で配合できる。
フォトレジスト組成物を基板に塗布し、通常、好ましくは70〜160℃で1〜10分間プリベークし、所定のマスクを介して放射線を照射(露光)後、好ましくは70〜160℃で1〜5分間ポストエクスポージャーベークして潜像パターンを形成し、次いで現像液を用いて現像することにより、所定のフォトレジストパターンを形成できる。
露光量は、0.1〜1000mJ/cm2が好ましく、1〜500mJ/cm2がより好ましい。
現像液の濃度は、通常、0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。
重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、検出器として示差屈折率計を用い、溶離液としてテトラヒドロフランを用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定を下記条件にて行ない、標準ポリスチレンで作成した検量線による換算値として求めた。また、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除することにより分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
(GPC測定)
カラムとして、「TSK−gel SUPER HZM−H」(商品名:東ソー株式会社製、4.6mm×150mm)2本および「TSK−gel SUPER HZ2000」(商品名:東ソー株式会社製、4.6mm×150mm)1本を直列に連結したものを使用し、カラム温度40℃、示差屈折率計温度40℃、溶離液の流速0.35mL/分の条件で測定した。
(第1工程−1)
温度計、攪拌装置、窒素導入管および滴下ロートを備えた内容積2Lの三つ口フラスコに、塩化アクリロイル217.2g(2.400mol)およびトルエン520gを仕込み、内温を0℃に冷却した。この混合液へ、滴下ロートからシクロペンタジエン190.4g(2.880mol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、0℃にて1時間攪拌し、反応中間体溶液を調製した。
(第1工程−2)
温度計、攪拌装置、窒素導入管および滴下ロートを備えた内容積2Lの三つ口フラスコに、t−ブチルアミン201.1g(2.750mol)およびトルエン513gを仕込み、内温を0℃に冷却した。この混合液へ、滴下ロートから上記第1工程−1で得られた反応中間体溶液を1時間30分かけて滴下した後、内温を25℃に昇温した。
得られた反応混合物に酢酸エチル1800mlおよび水300mlを添加し、30分攪拌した後、静置して分液し、有機層を得た。得られた有機層を減圧下に濃縮して濃縮物を得た。
該濃縮物に酢酸エチル750mlおよびヘキサン250mlを添加し、40℃に加熱して濃縮物を溶解した。攪拌しながら2℃まで冷却した後、析出した結晶をろ取した。得られた結晶を減圧乾燥し、下記特性を有するN−t−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボキサミド124.3g(0.643mol;収率26.8%)を得た。
温度計、攪拌装置、窒素導入管および滴下ロートを備えた内容積2Lの三つ口フラスコに、上記第1工程で得られたN−t−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボキサミド50.0g(0.259mol)、塩化メチレン250g、炭酸カリウム121.6g(0.880mol)および水550gを仕込み、内温を0℃に冷却した。この混合液へ、滴下ロートからm−クロロ過安息香酸75.9g(0.440mol)および塩化メチレン1559gを20分間かけて滴下した。0〜7℃にて4時間攪拌した後、飽和亜硫酸ナトリウム水溶液22gを添加し、30分間攪拌した。静置して分液した後、有機層を水400mlで2回洗浄した。得られた有機層を減圧下に濃縮して濃縮物を得た。
該濃縮物にジイソプロピルエーテル554gおよびヘキサン222gを添加し、内温を50℃に昇温して濃縮物を溶解した後、2℃まで冷却し、析出した結晶をろ取した。得られた結晶を減圧下乾燥し、下記特性を有するN−t−ブチル−5,6−エポキシビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−カルボキサミド26.4g(0.126mol;収率48.6%)を得た。
温度計、攪拌装置および窒素導入管を備えた内容積2Lの三つ口フラスコに、カリウム−t−ブトキシド61.0g(0.544mol)およびt−ブタノール1045gを仕込み、50℃に昇温した。この混合液へ、上記第2工程で得られたN−t−ブチル−5,6−エポキシビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−カルボキサミド56.9g(0.272mol)を1時間かけて添加した。続いて内温を25℃に冷却した後、3.9質量%塩酸620gおよび酢酸エチル1900mlを添加し、30分間攪拌した。静置して分液した後、有機層を水400mlで2回洗浄した。得られた有機層を減圧下濃縮して濃縮物を得た。
得られた濃縮物にメタノール30gおよびジイソプロピルエーテル820gを添加し、内温を50℃に昇温して濃縮物を溶解した。続いて0℃まで冷却した後、析出した粗結晶をろ取した。得られた粗結晶に酢酸エチル200gおよびジイソプロピルエーテル200gを添加し、内温を50℃に昇温して粗結晶を溶解した。続いて0℃まで冷却した後、析出した結晶をろ取した。得られた結晶を減圧乾燥し、下記特性を有するN−t−ブチル−6−ヒドロキシヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−4H−シクロペンタ[2,3−b]ピロール24.9g(0.119mol;収率43.8%)を得た。
温度計を設置した内容積50mLの三つ口フラスコに、N−t−ブチル−6−ヒドロキシヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−4H−シクロペンタ[2,3−b]ピロール2.96g(14.3mmol)、テトラヒドロフラン15.5g、ピリジン1.39g(17.2mmol)を仕込んだ。続いて、攪拌しながら内温20〜25℃で、クロロアセチルクロリド1.82g(15.8mmol)を60分かけて滴下した。その後、20〜30℃で1時間攪拌した後、同温度にて蒸留水10.4gを添加し、5分攪拌した。静置して分液した後、水層を酢酸エチル(10.0gを2回)で再抽出した。得られた有機層を合わせ減圧濃縮した。残留物に酢酸エチル30.0gを加え、分液水洗(1.0mol/kg塩酸5.0gで2回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液5.0gで1回)をした後、酢酸エチル層を減圧下に濃縮した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/1(v/v)、シリカゲル量:15.0g)で精製し、下記特性を有するN−t−ブチルヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−4H−シクロペンタ[2,3−b]ピロール−6−イル=クロロアセタート3.92g(13.7mmol、収率97.0%、白色固体)を得た。
温度計を備えた内容積50mLの三つ口フラスコに、N−t−ブチルヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−4H−シクロペンタ[2,3−b]ピロール−6−イル=クロロアセタート0.703g(2.46mmol)、フェノチアジン8.5mg、炭酸カリウム407.6mg(2.95mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド7.00gを仕込んだ。続いて、攪拌しながら内温20〜25℃でメタクリル酸226.1mg(2.54mmol)、ヨウ化カリウム167.8mg(1.01mmol)を添加した。20〜25℃で2時間攪拌した後、同温度にて蒸留水7.1gを添加した。ヘキサン/酢酸エチル=1/1(v/v)20.0gを加え、分液抽出した後、水層にヘキサン/酢酸エチル=1/1(v/v)20.0gを加え、再抽出した。有機層を統合したものを、飽和食塩水7.0gで分液水洗した後、硫酸ナトリウム3.5gで乾燥させた。続いて、有機層を減圧濃縮した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:Hex/EtOAc=3/2(v/v)、シリカゲル量:14.0g)で精製し、下記特性を有するN−t−ブチルヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−4H−シクロペンタ[2,3−b]ピロール−6−イル=メタクリロイルオキシアセタート0.796g(2.37mmol、収率96.6%、白色固体)を得た。
電磁攪拌装置、還流冷却器および温度計を備えた内容積50mlの三口フラスコに、2−メタクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン3.8g(16.4mmol)、3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル=メタクリラート1.2g(5.2mmol)、ヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−4H−シクロペンタ[2,3−b]フラン−6−イル=メタクリラート3.9g(1.8mmol)、N−t−ブチルヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−4H−シクロペンタ[2,3−b]ピロール−6−イル=メタクリロイルオキシアセタート1.3g(3.9mmol)およびメチルエチルケトン36.4gを仕込み、窒素バブリングを10分間行なった。
窒素雰囲気下で2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.36g(2mmol)を仕込み、80℃にて4時間重合反応を行なった。
得られた反応混合液を、室温下、メタノール220gに撹拌しながら滴下し、生成した沈殿物をろ取した。該沈殿物を、減圧(26.7Pa)下、50℃で7時間乾燥して、以下の繰り返し単位(数値はモル比を表す。)からなる高分子化合物(a)を7.3g得た。得られた高分子化合物(a)の重量平均分子量(Mw)は8800、分子量分布(Mw/Mn)は1.9であった。
電磁攪拌装置、還流冷却器および温度計を備えた内容積50mlの三口フラスコに、2−メタクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン4.2g(18.1mmol)、3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル=メタクリラート1.3g(5.6mmol)、ヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−4H−シクロペンタ[2,3−b]フラン−6−イル=メタクリラート4.3g(19.4mmol)およびメチルエチルケトン36.4gを仕込み、窒素バブリングを10分間行なった。
窒素雰囲気下で2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.36g(2mmol)を仕込み、80℃にて4時間重合反応を行なった。
得られた反応混合液を、室温下、メタノール220gに撹拌しながら滴下し、生成した沈殿物をろ取した。該沈殿物を、減圧(26.7Pa)下、50℃で7時間乾燥して、以下の繰り返し単位(数値はモル比を表す。)からなる高分子化合物(a)を7.3g得た。得られた高分子化合物(a)の重量平均分子量(Mw)は9000、分子量分布(Mw/Mn)は1.8であった。
電磁攪拌装置、還流冷却器および温度計を備えた内容積50mlの三口フラスコに、2−メタクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン3.9g(16.8mmol)、3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル=メタクリラート1.2g(5.6mmol)、ヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−4H−シクロペンタ[2,3−b]フラン−6−イル=メタクリラート3.8g(17.2mmol)、N−t−ブチルヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−4H−シクロペンタ[2,3−b]ピロール−6−イル=メタクリラート1.0g(3.4mmol)およびメチルエチルケトン36.4gを仕込み、窒素バブリングを10分間行なった。
窒素雰囲気下で2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.36g(2mmol)を仕込み、80℃にて4時間重合反応を行なった。
得られた反応混合液を、室温下、メタノール220gに撹拌しながら滴下し、生成した沈殿物をろ取した。該沈殿物を、減圧(26.7Pa)下、50℃で7時間乾燥して、以下の繰り返し単位(数値はモル比を表す。)からなる高分子化合物(a)を7.3g得た。得られた高分子化合物(a)の重量平均分子量(Mw)は8900、分子量分布(Mw/Mn)は1.9であった。
実施例3および参考例1、2で得た高分子化合物(a)、高分子化合物(b)または高分子化合物(c)を100質量部、光酸発生剤として「TPS−109」(製品名、成分;ノナフルオロ−n−ブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、みどり化学株式会社製)4.5質量部、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/シクロヘキサノン混合溶剤(質量比=1:1)1896質量部を混合し、3種類のフォトレジスト組成物を調製した。
これらのフォトレジスト組成物を孔径0.2μmのメンブランフィルターを用いてろ過した。クレゾールノボラック樹脂(群栄化学工業株式会社製「PS−6937」)を6質量%含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液をスピンコーティング法により塗布して、ホットプレート上で200℃、90秒間焼成することにより、膜厚100nmの反射防止膜(下地膜)を形成させた直径10cmのシリコンウェハー上に、上記で得られたろ液をそれぞれスピンコーティング法により塗布し、ホットプレート上で130℃、90秒間プリベークして膜厚300nmのフォトレジスト膜を形成させた。このフォトレジスト膜に波長193nmのArFエキシマレーザーを用いて二光束干渉法露光した。引き続き、130℃、90秒間ポストエクスポージャーベークした後、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液にて60秒間現像処理することにより、1:1のラインアンドスペースパターンを形成させた。現像済みウェハーを割断したものを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、線幅100nmのラインアンドスペースを1:1で解像した露光量におけるパターンの形状観察と線幅の変動(LWRと)の測定を行なった。LWRは、測定モニタ内において、線幅を複数の位置で検出し、その検出位置のバラツキの分散(3σ)を指標とした。また、パターンの断面形状は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、パターンの矩形性が高い(長方形に近い)ものを「良好」とし、Tトップやマイクロブリッジを形成しており、短形性が低いものを「不良」として評価した。結果を表1に示す。
Claims (4)
- 下記一般式(1)
で示されるアクリル酸エステル誘導体。 - 請求項1に記載のアクリル酸エステル誘導体に基づく構成単位を含有する高分子化合物。
- 請求項3に記載の高分子化合物、光酸発生剤および溶剤を含有するフォトレジスト組成物。
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