WO2012137608A1

WO2012137608A1 - 車両用開閉体作動装置

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Publication number: WO2012137608A1
Application number: PCT/JP2012/057381
Authority: WO
Inventors: 由佳梨三宅; 真行勝山; 廣田　功一; 俊彦石田; 井上　祐一
Original assignee: アイシン精機株式会社
Priority date: 2011-04-06
Filing date: 2012-03-22
Publication date: 2012-10-11
Also published as: CN203729771U; EP2696019A1; JP5382050B2; EP2696019B1; US20140039766A1; JP2012219469A; EP2696019A4

Abstract

車両用開閉体作動装置は、車両に搭載されるように構成され、光照射によって開閉体の開作動を表す記号及び閉作動を表す記号を共に表示するとともに、表示された両記号の反射光の変化を通じて、開閉体を開作動若しくは閉作動しようとするユーザの意思を検知するように構成された光電センサと、開閉体を開閉作動させるように構成された駆動部と、光電センサにより検知されたユーザの意思に関する動作に合わせて開閉体が開作動又は閉作動するように構成された駆動部を制御するドア制御部とを備える。

Description

車両用開閉体作動装置

　本発明は、車両用開閉体作動装置に関するものである。

　従来の車両用開閉体作動装置は、例えば特許文献１に開示されている。この装置は、携帯型無線端末と、車載無線端末と、開閉体としてのスライドドア又はバックドアを開閉させるユーザの意識的な動作を検知する動作検知手段とを有する。この装置は、携帯型無線端末及び車載無線端末のＩＤ照合結果と、動作検知手段によるユーザがドアを開閉しようとする意思の判断結果とに基づいてドアを開閉する。これにより、ユーザの両手が塞がっている状態にあっても、ユーザは自身の手によってドアハンドルを操作することなく、ドアの開閉が可能である。

　なお、動作検知手段は、複数の足部検出センサを含む。一つの足部検出センサは、車両側部のドア開口下部に配設されたシルカバーの下面に設けられている。別の足部検出センサは、車両後部のドア開口下部に配設されたリヤバンパの下面に設けられている。動作検知手段は、ユーザがドアを開閉させるために車体下面の下方に入れた足を検出することで、ドアを開閉させるユーザの意識的な動作を検知する。また、特許文献１は、動作検知手段（足部検出センサ）の検知範囲に合わせた範囲を照明する、発光ダイオード（ＬＥＤ）からなる足元照明部を配設することも併せて提案している。

特開２００５－１３３５２９号公報

　ところで、特許文献１の装置は、ユーザのドアを開こうとする意思と閉じようとする意思とを判別する機能を有していない。特にドアが半開状態で停止している場合には、上記装置は、ユーザの本来の意思に合わせてドアを開閉することができない。

　本発明の目的は、ユーザの両手が塞がっている状態にあっても、ユーザの意思に合わせて開閉体を選択的に開作動又は閉作動することができる車両用開閉体作動装置を提供することにある。

　上記問題点を解決するために、本発明の一態様は、車両に搭載されるように構成され、光照射又は光投影によって前記車両の開閉体の開作動を表す記号及び閉作動を表す記号を共に表示可能であるとともに、表示された両記号の何れか一方を照射又は投影する光の遮断に伴う反射光の変化を通じて、前記開閉体を開作動又は閉作動しようとするユーザの意思を検知するように構成された光電センサと、前記開閉体を開閉作動させるように構成された駆動部と、前記光電センサにより検知されたユーザの意思に合わせて前記開閉体が開作動又は閉作動するように前記駆動部を制御するように構成された制御部とを備える。

　同構成によれば、ユーザが前記開閉体を開作動又は閉作動すべく、表示されている記号を照射又は投影する光を遮断すると、これに伴い検知される反射光の変化を通じて、前記光電センサは前記開閉体を開作動又は閉作動しようとするユーザの意思を検知する。そして、前記制御部は、前記検知されたユーザの意思に合わせて前記開閉体が開作動又は閉作動するように前記駆動部を制御する。この場合、前記記号を照射又は投影する光を遮断することは、例えばユーザの足などの身体の任意の部位や携行する荷物などで行うことも可能である。そのため、ユーザの両手が塞がっている状態であってもユーザの意思に合わせて前記開閉体を選択的に開作動又は閉作動することができる。

　本発明では、ユーザの両手が塞がっている状態にあっても、ユーザの意思に合わせて開閉体を選択的に開作動又は閉作動することができる車両用開閉体作動装置を提供することができる。

（ａ）及び（ｂ）は、本発明の一実施形態を示す側面図及び正面図。同実施形態の電気的構成を示すブロック図。光電センサを示す模式図。同実施形態の制御態様を示すフローチャート。（ａ）及び（ｂ）は、光電センサの変形を示す模式図。本発明の変形形態を示す斜視図。

　図１～図４を参照して本発明の一実施形態に係る車両用開閉体作動装置ついて説明する。なお、本実施形態は、自動車などの車両に搭載されるパワースライドドアシステム及びパワーバックドアシステムへの適用例である。

　図１（ａ）及び（ｂ）に示すように、車両ボディ１の両側部の各々には、適宜の支持部材（図示略）を介して開閉体としてのスライドドア２が車両前後方向に移動可能に支持されている。スライドドア２は、車両前後方向への移動に伴って乗降用の開口部を開閉する。また、車両ボディ１の後部には、その上縁に設けられたヒンジ（図示略）を介して開閉体としてのバックドア３が上下方向に回動可能に支持されている。バックドア３は、上下方向への回動に伴って荷物の積卸用の開口部を開閉する。

　両スライドドア２に配設された一対のアウトサイドドアハンドル４内には、例えば狭視界反射型の光電センサ６がそれぞれ配設されている。車両ボディ１の後部上縁に設置されたリアスポイラ５内の車両幅方向両側には、例えば狭視界反射型の光電センサ７がそれぞれ配設されている。各光電センサ６，７は車両に搭載されるように構成されている。図３に示すように、各光電センサ６，７は、例えば半導体レーザで構成される「開」用の第１の発光部４１及び「閉」用の第２の発光部４２と、例えばフォトトランジスタで構成される「開」用の第１の受光部４３及び「閉」用の第２の受光部４４とを備える。第１の発光部４１の照射方向が下向きに設定されており、光照射口（例えばフィルタ）に描画された記号としての文字「開」により、地面等の照射面に対して文字「開」を表示する。同様に、第２の発光部４２の照射方向が下向きに設定されており、光照射口（例えばフィルタ）に描画された記号としての文字「閉」により、地面等の照射面に対して文字「閉」を表示する。一方、第１の受光部４３は、第１の発光部４１の照射光が地面で反射した反射光を受光する。同様に、第２の受光部４４は、第２の発光部４２の照射光が地面で反射した反射光を受光する。

　なお、受光部４３，４４における反射光の受光レベルは、照射光の反射位置や照射光を反射する物体の反射率が変化することで変動する。基本的には、照射光を反射する物体の反射率が一定であれば、発光部４１，４２の光照射口と反射位置との間の距離が近いほど受光部４３，４４における反射光の受光レベルは大きくなる。あるいは、発光部４１，４２の光照射口と照射光の反射位置との間の距離が一定であれば、照射光を反射する物体の反射率が大きいほど受光部４３，４４における反射光の受光レベルは大きくなる。

　ここで、図１にパターンを付して示したように、各アウトサイドドアハンドル４内に設けられた光電センサ６は、車両ボディ１の側部意匠面（ドア外板の外側面）よりも外側の地面に文字「開」及び「閉」をそれぞれ表示するように第１の発光部４１及び第２の発光部４２の光軸が設定されている。これは、特にスライドドア２が全閉状態から開作動する際、該スライドドア２は車両幅方向外側に移動しながら車両後方に移動することになり、照射光を遮った物体（ユーザの身体や荷物など）にスライドドア２が干渉することを回避するためである。同様に、リアスポイラ５内の各側部に設けられた光電センサ７は、車両ボディ１後側の角部意匠面（リヤバンパの角部外側面）よりも外側の地面に文字「開」及び「閉」を表示するようにその光軸が設定されている。これは、特にバックドア３が開閉作動する際、照射光を遮った物体（ユーザの身体や荷物など）にバックドア３が干渉することを回避するためである。

　次に、本実施形態の電気的構成について説明する。図２に示すように、車両ボディ１に設置されるドアＥＣＵ（Electronic Control Unit）１０は、例えばマイクロ・コントローラ（ＭＣＵ）を主体に構成されており、同じく車両ボディ１に設置された駆動部としてのドア駆動装置２０と電気的に接続されている。このドア駆動装置２０は、両スライドドア２及びバックドア３を開閉作動させるように構成されている。即ち、ドア駆動装置２０は、両スライドドア２及びバックドア３に対応して個別に配設されており、適宜の伝達機構（図示略）を介してスライドドア２又はバックドア３と連係されている。ドアＥＣＵ１０は、ドア駆動装置２０の制御によりスライドドア２又はバックドア３を電動で開閉させる。

　すなわち、ドア駆動装置２０は、ドアモータ２１と、電磁クラッチ２２と、一対のパルスセンサ２３とを備える。ドアＥＣＵ１０は、ドアモータ２１を駆動制御してスライドドア２又はバックドア３の開閉作動を制御するように構成されている。また、ドアＥＣＵ１０は、電磁クラッチ２２を制御してドアモータ２１及びスライドドア２又はバックドア３間の動力伝達の接続又は非接続を切り替え。これは、スライドドア２又はバックドア３を電動で開閉駆動する際にのみ上記動力伝達を接続状態とし、スライドドア２又はバックドア３を手動で開閉操作する際には上記動力伝達を非接続状態として、円滑な開閉操作を実現するためである。さらに、ドアＥＣＵ１０は、両パルスセンサ２３の出力する互いに位相の異なる対のパルス信号に基づいて、ドアモータ２１（正確には電磁クラッチ２２の出力軸）の回転方向（正転又は逆転）、回転量及び回転速度、即ちスライドドア２又はバックドア３の開閉位置及び開閉速度を検出する。そして、ドアＥＣＵ１０は、各パルスセンサ２３からのパルス信号に基づいて、ドア駆動装置２０によるスライドドア２又はバックドア３の開閉作動を制御する。

　また、ドアＥＣＵ１０は、リリースモータ１１及びクローザモータ１２とそれぞれ電気的に接続されている。これらリリースモータ１１及びクローザモータ１２も、両スライドドア２及びバックドア３に対応して個別に配設されており、スライドドア２又はバックドア３を全閉状態（スライドドア２にあっては更に全開状態）で保持するラッチ機構（図示略）と適宜の伝達機構を介して連係されている。リリースモータ１１は、その動力をラッチ機構に伝達することで、該ラッチ機構によるスライドドア２又はバックドア３の全閉状態（スライドドア２にあっては更に全開状態）での保持を解除する。これにより、スライドドア２又はバックドア３は、全閉状態からの開可能状態（スライドドア２にあっては更に全開状態からの閉可能状態）となる。一方、クローザモータ１２は、その動力をラッチ機構に伝達することで、該ラッチ機構により半ドア状態にあるスライドドア２又はバックドア３を全閉状態で保持させる。

　加えて、ドアＥＣＵ１０は、前記光電センサ６，７（第１の発光部４１、第２の発光部４２、第１の受光部４３及び第２の受光部４４）とそれぞれ電気的に接続されている。ドアＥＣＵ１０は、光電センサ６，７の第１の発光部４１及び第２の発光部４２にそれぞれ駆動信号を出力することでこれらを発光させる。このとき、地面に文字「開」及び「閉」が共に表示されることは既述のとおりである。これにより、光電センサ６，７の第１の受光部４３及び第２の受光部４４は、第１の発光部４１及び第２の発光部４２の照射光が地面で反射した反射光をそれぞれ受光する。

　光電センサ６，７の第１の受光部４３及び第２の受光部４４は、前記反射光をそれぞれ受光することで検知信号を生成する。ドアＥＣＵ１０は、検知信号に基づいてドア駆動装置２０によるスライドドア２又はバックドア３の開閉作動を制御する。すなわち、ドアＥＣＵ１０は、第１の発光部４１及び第２の発光部４２の発光開始直後の第１の受光部４３及び第２の受光部４４の両検知信号の入力レベルを初期値としてそれぞれ記憶するとともに、その後の両検知信号の入力レベルを逐次取得する。ドアＥＣＵ１０は、各入力レベルに前記初期値から一定レベル以上の変化が生じたときに、該当の第１の発光部４１又は第２の発光部４２の表示する文字「開」又は「閉」の照射光が遮られたこと、即ちスライドドア２又はバックドア３を開作動若しくは閉作動しようとするユーザの意思を検知する。そして、ドアＥＣＵ１０は、検知されたユーザの意思に関する動作、即ちスライドドア２又はバックドア３の開作動若しくは閉作動に合致するようにスライドドア２又はバックドア３の開閉作動を制御する。

　また、ドアＥＣＵ１０は、ラッチ機構に設置されたラッチスイッチ１８と電気的に接続されている。ドアＥＣＵ１０は、ラッチ機構の動作位置に応じたラッチスイッチ１８からの検出信号に基づいてドア駆動装置２０によるスライドドア２又はバックドア３の開閉作動を制御する。ラッチ機構の動作位置とは、スライドドア２又はバックドア３を全閉状態（スライドドア２にあっては更に全開状態）で保持する位置、半ドア状態で保持する位置又はスライドドア２若しくはバックドア３の保持を解除する位置を含む。

　さらに、ドアＥＣＵ１０は、ドアロックモータ１３と電気的に接続されている。ドアロックモータ１３は、スライドドア２のアウトサイドドアハンドル４と該当のラッチ機構とを係脱可能な機構部に適宜の伝達機構を介して連係されている。ドアロックモータ１３は、その動力を上記した機構部に伝達することで、アウトサイドドアハンドル４の操作力を当該スライドドア２のラッチ機構に伝達可能な状態及び伝達不能な状態、即ちスライドドア２の解錠状態及び施錠状態を切り替える。ドアＥＣＵ１０は、ドアロックモータ１３による解錠・施錠状態の切替を制御する。

　これに対して、ドアＥＣＵ１０は、車両ボディ１に搭載された車載機（車載無線端末）３１と電気的に接続されている。この車載機３１は、互いに異なる箇所で車両ボディ１に設置された複数のアンテナ３２と電気的に接続されている。車載機３１は、ユーザの携帯する携帯機（携帯型無線端末）３６との間で無線通信システムを構成している。車載機３１は、該携帯機３６を所持した車両のユーザが当該車両に対して一定のエリア内に近付いた際、いずれかのアンテナ３２の受信信号の受信レベルが所定レベルを超えることで、ユーザ認証が可能であることを検知する。この一定のエリアは、図１に示すように、車両のセンターピラーを中心とする両側方外側の範囲Ａ１，Ａ２及びバックドア３の中央を中心とする後側外側の範囲Ａ３からなっている。車載機３１は、ユーザ認証が可能であることを検知する際、範囲Ａ１～Ａ３のいずれの箇所で受信レベルが所定レベルを超えたか、即ち範囲Ａ１～Ａ３のいずれの箇所に携帯機３６が存在するかを併せて特定する。

　また、車載機３１は、ユーザ認証が可能であるとき、当該携帯機３６との間のＩＤ信号の照合が一致することで、正規のユーザが車両に近付いたことを認証する。そして、車載機３１は、ユーザ認証が可能であること、ＩＤコードの照合結果及び携帯機３６の存在箇所の特定結果をドアＥＣＵ１０に送信する。ドアＥＣＵ１０は、車載機３１からの信号に基づいてドア駆動装置２０によるスライドドア２又はバックドア３の開閉作動を制御する。

　次に、ドアＥＣＵ１０によるドア駆動装置２０、リリースモータ１１、クローザモータ１２及びドアロックモータ１３の制御態様について説明する。この処理は、ユーザ認証が可能であるとき、即ちユーザが車両近傍に存在しているときに実行される。

　図４に示すように、処理がこのルーチンに移行すると、ステップＳ１において、ドアＥＣＵ１０は、ユーザ認証が成立しているか否かを判断する。この認証成立の判断にあたっては、ドアＥＣＵ１０は、車載機３１に携帯機３６とのＩＤコードの照合結果（成立又は非成立）を応答する旨の要求信号を送信する。ドアＥＣＵ１０は、車載機３１からＩＤコードの照合結果を表す応答信号を受信することで、認証成立の判断を行う。そして、ドアＥＣＵ１０は、ステップＳ１において認証成立と判断されるのを待って、ステップＳ２においてアウトサイドドアハンドル４及びリアスポイラ５内に配設された光電センサ６，７の全ての第１の発光部４１及び第２の発光部４２を駆動する。

　続いて、ドアＥＣＵ１０は、ステップＳ３においていずれかの光電センサ６，７の第１の発光部４１又は第２の発光部４２の照射光が遮られるのを待って、ステップＳ４において当該照射光の遮られた箇所がＩＤ照合を行った箇所、即ち携帯機３６の存在箇所に一致することを確認する。これは、認証成立後に異物（例えば犬猫など）が照射光を遮るなどしたことを誤って検知することを回避するためである。そして、ドアＥＣＵ１０は、ステップＳ５において、遮られた照射光が文字「開」を表示する第１の発光部４１及び文字「閉」を表示する第２の発光部４２のいずれのものかを判断する。

　ここで、遮られた照射光が第１の発光部４１から照射されたものである場合、ドアＥＣＵ１０は、ステップＳ６において、携帯機３６の存在箇所に一致するドア（スライドドア２又はバックドア３）を開作動すべく該当のドア駆動装置２０を制御する。これにより、当該ドアが全開状態となる。このとき、該当のドア（スライドドア２又はバックドア３）が全閉状態にあるときには、ドアＥＣＵ１０は、ドアの開作動の開始に先立って、ラッチ機構による当該ドアの全閉状態での保持を解除すべくリリースモータ１１を制御する。特に、閉作動の対象がスライドドア２であってその施錠状態にあるときには、ドアＥＣＵ１０は、ラッチ機構の解除作動の開始に更に先立って、解錠状態に切り替えるべくドアロックモータ１３を制御する。

　これに対して、遮られた照射光が第２の発光部４２から照射されたものである場合、ドアＥＣＵ１０は、ステップＳ７において、携帯機３６の存在箇所に一致するドア（スライドドア２又はバックドア３）を閉作動すべく該当のドア駆動装置２０を制御する。特に、閉作動の対象がスライドドア２であってその全開状態にあるときには、ドアＥＣＵ１０は、スライドドア２の閉作動に先立って、ラッチ機構によるスライドドア２の全開状態での保持を解除すべくリリースモータ１１を制御する。また、該当のドア（スライドドア２又はバックドア３）の閉作動に伴い半ドア状態に達すると、ドアＥＣＵ１０は、ラッチ機構により当該ドアを全閉状態で保持すべくクローザモータ１２を制御する。これにより、当該ドアが全閉状態となる。特に、閉作動の対象がスライドドア２であるときには、ドアＥＣＵ１０は、全閉状態への移行が完了すると、解錠状態に切り替えるべくドアロックモータ１３を制御する。

　ステップＳ６又はＳ７の処理が完了すると、ドアＥＣＵ１０は処理を終了する。これにより、遮られた照射光に応じて該当のドア（スライドドア２又はバックドア３）が全開状態又は全閉状態となる。

　次に、本実施形態の動作について説明する。

　まず、ユーザ認証が可能な状態にあって、正規のユーザの認証が成立しているものとする。このとき、アウトサイドドアハンドル４及びリアスポイラ５内に配設された光電センサ６，７の全ての第１の発光部４１及び第２の発光部４２が駆動される。これにより、車両ボディ１の側部意匠面よりも外側及び車両ボディ１後側の角部意匠面よりも外側の地面にそれぞれ文字「開」及び「閉」が表示される。同時に、光電センサ６，７の第１の受光部４３及び第２の受光部４４は、該当の第１の発光部４１及び第２の発光部４２の照射光が地面で反射した反射光をそれぞれ受光することで検知信号を生成する。

　この状態で、ユーザが直近の第１の発光部４１の表示する文字「開」又は第２の発光部４２の表示する文字「閉」の照射を足など身体の任意の部位や携行する荷物などで遮ると、当該第１の発光部４１又は第２の発光部４２の照射光の反射位置が変化することで第１の受光部４３又は第２の受光部４４の生成する検知信号の入力レベルが初期値から変化する。この入力レベルの変化がスライドドア２又はバックドア３を開作動若しくは閉作動しようとするユーザの意思として検知されて、前述の態様でスライドドア２又はバックドア３の開閉作動が制御される。つまり、ユーザは、例えば両手が塞がっている状態であってもその意思に合わせて近傍の文字「開」又は「閉」の照射光を遮ることで、スライドドア２又はバックドア３を選択的に開作動又は閉作動することができる。

　この場合、第１の受光部４３又は第２の受光部４４の生成する検知信号の入力レベルの変化、即ちユーザの意思を検知した箇所と、携帯機３６の存在箇所が一致していることを前提としている。そのため、ユーザ不在の箇所で異物（例えば犬猫）が文字「開」又は「閉」の照射光を遮ったとしてもスライドドア２又はバックドア３が開作動若しくは閉作動することはない。

　以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。

　（１）ユーザがスライドドア２又はバックドア３を開作動若しくは閉作動すべく、表示されている該当の文字「開」又は「閉」の照射光を遮断すると、これに伴い反射光のレベルが変化する。光電センサ６，７は、反射光のレベルの変化を通じて、スライドドア２又はバックドア３を開作動若しくは閉作動しようとするユーザの意思を検知する。そして、ドアＥＣＵ１０は、検知されたユーザの意思に合わせてスライドドア２又はバックドア３を開作動若しくは閉作動するようにドア駆動装置２０を制御する。この場合、文字「開」又は「閉」の照射光の遮断は、例えばユーザの足など身体の任意の部位や携行する荷物などでも可能であるため、ユーザの両手が塞がっている状態であってもユーザの意思に合わせてスライドドア２又はバックドア３を選択的に開作動若しくは閉作動することができる。

　（２）車両ボディ１（両側部及び後部）の意匠面よりも外側に文字「開」又は「閉」が表示される。これにより、スライドドア２又はバックドア３の開閉作動の移動軌跡から、文字「開」又は「閉」の照射光を遮断したユーザの身体がより離隔される。従って、ドア駆動装置２０によるスライドドア２又はバックドア３の開閉作動時、文字「開」又は「閉」の照射光を遮断したユーザの身体にスライドドア２又はバックドア３が接触したりすることを抑制できる。また、ユーザは、車両ボディ１の意匠面に身体をある程度近付けることで文字「開」又は「閉」の照射光を遮断することができるため、該遮断のためのユーザの制約を緩和することができる。そして、例えば車いすのユーザや足を動かすことの困難なユーザであっても、スライドドア２又はバックドア３を開作動若しくは閉作動しようとする意思を明確に伝えることができる。

　（３）スライドドア２又はバックドア３を開作動若しくは閉作動しようとするユーザの意思が検知された際、特定した携帯機３６（即ちユーザ）の存在箇所に合致する場合にのみ、当該ドアの開作動若しくは閉作動を許容することで、異物による文字「開」又は「閉」の照射光の遮断によって誤って作動することを回避できる。

　（４）スライドドア２又はバックドア３が半開状態で停止している場合や、その開作動若しくは閉作動の途中で停止したとしても、改めて文字「開」又は「閉」の照射光を遮断することで、ユーザの意思に合わせてスライドドア２又はバックドア３を選択的に開作動若しくは閉作動することができる。

　（５）狭視界反射型の光電センサ６，７を採用したことで、周囲物体の影響を抑制しつつピンポイントで文字「開」又は「閉」を照射することができる。これにより、ユーザの意思の検知領域をより狭い範囲に限定することができ、ユーザの意識的な動作以外に起因する誤作動を抑制することができる。また、拡散反射型の光電センサに比べてその検出精度を向上することができる。さらに、設置時の光軸合わせの工程を割愛するとともに、取付スペースを削減することができる。

　（６）ユーザの足など身体の任意の部位や携行する荷物などの物品で文字「開」又は「閉」の照射光を遮断するという極めて簡易な操作で、スライドドア２又はバックドア３を選択的に開作動若しくは閉作動することができる。

　なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。

　・図２に併せ示すように、光電センサ６，７の第１の発光部４１及び第２の発光部４２の光軸を駆動する光軸駆動部としての光軸駆動装置５０が設けられてもよい。この場合、光電センサ６，７による光照射時、ドアＥＣＵ１０により光軸駆動装置５０を制御することで、地面に表示される文字「開」又は「閉」を動かすことができ、該文字「開」又は「閉」をユーザに視認しやすくすることができる。

　・図５（ａ）に示すように、光電センサ６，７の第１の発光部４１とは異なる光源として複数（例えば５個）の発光ダイオード（ＬＥＤ）５１が配設されるとともに、第２の発光部４２とは異なる光源として複数（例えば５個）の発光ダイオード５２が配設されてもよい。そして、第１の発光部４１及び複数の発光ダイオード５１は、全体としてスライドドア２又はバックドア３の開作動を表す矢印（三角形）の輪郭に沿って配置されてもよい。第２の発光部４２及び複数の発光ダイオード５２を全体としてスライドドア２又はバックドア３の閉作動を表す矢印（三角形）の輪郭に沿って配置されてもよい。

　この場合、第１の発光部４１及び複数の発光ダイオード５１は、それらの協働で地面に対してスライドドア２又はバックドア３の開作動を表す記号としての矢印を表示する。同様に、第２の発光部４２及び複数の発光ダイオード５２は、それらの協働で地面に対してスライドドア２又はバックドア３の閉作動を表す記号としての矢印を表示する。つまり、スライドドア２又はバックドア３の開作動若しくは閉作動を表す記号は、発光部４１，４２（光電センサ６，７）から照射（又は投影）される光と複数の発光ダイオード５１，５２から照射（又は投影）される光とにより構成されていてもよい。このように変更することで、スライドドア２又はバックドア３の開作動若しくは閉作動を表す記号を光電センサ６，７による光照射（又は光投影）のみで行う場合に比べて、光電センサ６，７の検出領域を狭くすることが可能になり、ひいては光電センサ６，７の検出精度を向上できる。

　また、光電センサ６，７から照射（又は投影）される光及び発光ダイオード５１，５２から照射（又は投影）される光は、互いに異なる形状若しくは色彩、又は形状及び色彩の双方が異なっていてもよい。具体的には、光電センサ６，７から照射（又は投影）される光は、発光ダイオード５１，５２から照射（又は投影）される光よりも大きく設定されたり、互いに異なる色に設定されたりしてもよい。あるいは、図５（ｂ）に示すように、光電センサ６，７から照射（又は投影）される光は、スライドドア２又はバックドア３の開作動若しくは閉作動を示唆する略三角形状Ｓｏ，Ｓｃであってもよい。このように変更することで、光電センサ６，７から照射（又は投影）される光と、発光ダイオード５１，５２から照射（又は投影）される光とを容易に区別できるため、ユーザの操作性が向上する。

　・図６に示すように、光電センサ６は、スライドドア２の室内側の適宜位置（ここでは、ドアトリム上部）に配置され、該スライドドア２の窓ガラスＧに向けて光照射（又は光投影）してもよい。あるいは、光電センサ６は、車両ボディ１の室内側の適宜位置に配置して、スライドドア２の窓ガラスＧに向けて光照射（又は光投影）してもよい。このように変更することで、光電センサ６に塵や汚れが付着することを低減することが可能となり、該光電センサ６の検出精度の低下を低減できる。

　・前記実施形態において、光電センサ６，７は、車両ボディ１の意匠面にスライドドア２又はバックドア３の開作動若しくは閉作動を表す記号の少なくとも一部を表示してもよい。このように変更することで、地面に照射を行う場合よりも光電センサ６，７と照射される位置との間の距離を短くすることが可能となり、地面に照射を行う場合よりも光電センサ６，７の検出精度を向上できる。

　・前記実施形態において、文字「開」又は「閉」の照射光が共に遮断されたとき、ドアＥＣＵ１０は、ドア駆動装置２０によるスライドドア２又はバックドア３の開作動若しくは閉作動を停止させてもよい。この場合、ユーザは、スライドドア２又はバックドア３の開作動若しくは閉作動中、文字「開」又は「閉」の照射光を共に遮断することで任意のタイミングで当該作動を停止することができる。これにより、例えばスライドドア２又はバックドア３による挟み込みの回避処理を迅速に行うことができる。特に、アウトサイドドアハンドル４内に搭載される光電センサ６の場合、ユーザは、スライドドア２又はバックドア３の開作動若しくは閉作動中、アウトサイドドアハンドル４を握るのみの簡易な操作で、文字「開」又は「閉」の照射光を共に遮断して当該作動を停止することができる。

　・前記実施形態において、光電センサ６は、太陽光などの外乱による影響を抑えるために、スライドドア２内に搭載されてもよい。そして、当該スライドドア２の窓ガラスの光電センサ６周りに遮光フィルムを貼着するなどの細工が施されてもよい。

　・前記実施形態において、光電センサ６は、車両ボディ１（例えばスライドドア２の開閉する開口部の上縁）に設置されてもよい。あるいは、光電センサ７は、バックドア３に設置されてもよい。

　・前記実施形態において、光電センサがドアに設置される場合、該ドアが開閉作動に伴って移動しても光電センサの照射位置の移動が抑えられるように該光電センサを移動させる構成であってもよい。

　・前記実施形態において、光電センサ６，７の第１の発光部４１及び第２の発光部４２は、発光ダイオード（ＬＥＤ）であってもよい。また、光電センサ６，７の第１の発光部４１及び第２の発光部４２は、人間の目が識別しやすい青色、オレンジ色、緑色、又は赤色を使用することがより好ましい。

　・前記実施形態において、光電センサ６，７の第１の発光部４１及び第２の発光部４２は、スライドドア２又はバックドア３の開作動若しくは閉作動を表す任意の記号を照射するものであればよい。その記号は、ユーザに対して視覚的に訴えるものであることが好ましい。

　・前記実施形態において、光電センサ６，７の第１の発光部４１及び第２の発光部４２は、スライドドア２又はバックドア３の開作動若しくは閉作動を表す記号を投影するものであってもよい。

　・前記実施形態において、光電センサ６，７の第１の受光部４３及び第２の受光部４４は、フォトダイオードで構成されていてもよい。

　・前記実施形態において、光電センサ６，７は、文字「開」及び「閉」を共に照射する１つの発光部と、地面で反射した文字「開」及び「閉」の照射をそれぞれ受光する第１の受光部４３及び第２の受光部４４からなる構成であってもよい。

　・前記実施形態において、光電センサ６，７は、文字「開」及び「閉」を完全な態様でそれぞれ表示している。これに対して、光電センサ６，７は、光照射又は光投影によって文字「開」及び「閉」の少なくとも一部を表示してもよい。即ち、ユーザがその文字を認識可能であれば、文字「開」及び「閉」の一部が欠けた状態で表示されてもよい。また、光電センサ６，７は、文字「開」及び「閉」の少なくとも一部の遮断に伴う反射光の変化を検知しもよい。

　前記実施形態では、認証成立を前提に常に文字「閉」及び「開」の照射を同時に行っている。「開」及び「閉」を表示するタイミングは同時であってもよいし、順に行われてもよい。

　或いは、スライドドア２又はバックドア３が全開位置又は全閉位置にある場合には、それぞれ文字「閉」のみ又は「開」のみが照射されてもよい。そして、スライドドア２又はバックドア３が全開位置と全閉位置との間の位置にて中間停止した場合にのみ、文字「閉」及び「開」の照射が同時に行われてもよい。あるいは、スライドドア２又はバックドア３が全開位置と全閉位置との間で開閉作動中に、文字「閉」及び「開」の照射が同時に行われてもよい。またこの際、文字「開」及び「閉」の少なくとも一方の照射が遮断されたとき、ドアＥＣＵ１０により、ドア駆動装置２０によるスライドドア２又はバックドア３の開作動若しくは閉作動が停止されてもよい。この場合、スライドドア２又はバックドア３の中間停止に先立って、当該照射光の遮られた箇所がＩＤ照合を行った箇所、即ち携帯機３６の存在箇所に一致することを確認することが好ましい。

　上記した制御態様をより具体的に説明すると、図４のフローチャートにおいて、ステップＳ６，Ｓ７の処理中であるスライドドア２又はバックドア３の開作動若しくは閉作動中に、光電センサ６，７の第１の発光部４１及び第２の発光部４２の少なくとも一方の照射光が遮られると（ステップＳ３相当）、ドアＥＣＵ１０は、当該照射光の遮られた箇所がＩＤ照合を行った箇所に一致することを確認する（ステップＳ４相当）。そして、ドアＥＣＵ１０は、照射光の遮られた箇所がＩＤ照合を行った箇所に一致する場合にのみ、スライドドア２又はバックドア３を中間停止すべく該当のドア駆動装置２０を制御する。

Claims

　車両に搭載されるように構成され、光照射又は光投影によって前記車両の開閉体の開作動を表す記号及び閉作動を表す記号を共に表示可能であるとともに、表示された両記号の何れか一方を照射又は投影する光の遮断に伴う反射光の変化を通じて、前記開閉体を開作動又は閉作動しようとするユーザの意思を検知するように構成された光電センサと、
　前記開閉体を開閉作動させるように構成された駆動部と、
　前記光電センサにより検知されたユーザの意思に合わせて前記開閉体が開作動又は閉作動するように前記駆動部を制御するように構成された制御部とを備える車両用開閉体作動装置。
　請求項１に記載の車両用開閉体作動装置において、
　前記光電センサによる光照射又は光投影時、前記表示される両記号を動かす光軸駆動部を備える車両用開閉体作動装置。
　請求項１又は２に記載の車両用開閉体作動装置において、
　前記光電センサとは異なる光源を備え、
　前記表示される各記号は、前記光電センサから照射又は投影される光と、前記光源から照射又は投影される光とにより構成される車両用開閉体作動装置。
　請求項３に記載の車両用開閉体作動装置において、
　前記光電センサから照射又は投影される光、及び前記光源から照射又は投影される光は、互いに異なる形状若しくは色彩、又は形状及び色彩の双方が異なる車両用開閉体作動装置。
　請求項１～４の何れか一項に記載の車両用開閉体作動装置において、
　前記光電センサは、車両下方に向けて光照射又は光投影を行う車両用開閉体作動装置。
　請求項５に記載の車両用開閉体作動装置において、
　前記光電センサは、車両ボディの側部及び後側上部の少なくとも一方に配設されており、前記車両ボディの意匠面よりも外側に前記記号を表示する車両用開閉体作動装置。
　請求項５に記載の車両用開閉体作動装置において、
　前記光電センサは、車両ボディの側部及び後側上部の少なくとも一方に配設されており、前記車両ボディの意匠面に前記記号を表示する車両用開閉体作動装置。
　請求項１～４の何れか一項に記載の車両用開閉体作動装置において、
　前記光電センサは、車両ボディ又は前記開閉体の室内側に配置され、前記開閉体の窓ガラスに向けて光照射又は光投影を行う車両用開閉体作動装置。
　請求項１～８の何れか一項に記載の車両用開閉体作動装置において、
　前記制御部は、前記光電センサが照射又は投影される光の遮断を検知した箇所とユーザが存在する箇所とが合致するとき前記開閉体の開閉作動を許容する車両用開閉体作動装置。
　請求項１～９の何れか一項に記載の車両用開閉体作動装置において、
　前記両記号を照射又は投影する光が同時に遮断されたとき、前記制御部は、前記駆動部による前記開閉体の開作動又は閉作動を停止させる車両用開閉体作動装置。
　請求項１～１０の何れか一項に記載の車両用開閉体作動装置において、
　前記光電センサは、前記車両ボディの側部に設置されたアウトサイドドアハンドル内に設けられている車両用開閉体作動装置。
　請求項１～１１の何れか一項に記載の車両用開閉体作動装置において、
　前記光電センサは、前記車両ボディの後側上部に設置されたスポイラ内に設けられている車両用開閉体作動装置。