WO2012114996A1

WO2012114996A1 - インペラ及びこれを備えたロータ並びにインペラの製造方法

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Publication number: WO2012114996A1
Application number: PCT/JP2012/053783
Authority: WO
Inventors: 中庭　彰宏; 仁志篠原
Original assignee: 三菱重工業株式会社; 三菱重工コンプレッサ株式会社
Priority date: 2011-02-24
Filing date: 2012-02-17
Publication date: 2012-08-30
Also published as: US20130272895A1; EP2679826A1; EP2679826B1; US9611742B2; EP2679826A4; JP5606358B2; JP2012172645A

Abstract

このインペラは、内周側部品（２０）と外周側部品（３０）との二つの部品からインペラ（１０）を構成する。内周側部品（２０）は、円筒状に成形される。外周側部品（３０）は、内周側部品（２０）の外周面（２１）に外嵌される環状円盤（３１）と、環状円盤（３１）の軸線Ｏ方向他方側を向く面に周方向に間隔をあけて複数設けられて径方向に向かって延びる流路を形成するブレード（４０）と、複数のブレード（４０）を軸線方向他方側から覆い、内周側部品（２０）が径方向に間隔をあけて軸線Ｏ方向に挿通する挿通孔（５３）を有するカバー（５０）とを一体的に成形することにより形成される。

Description

インペラ及びこれを備えたロータ並びにインペラの製造方法

　本発明は、例えば遠心圧縮機等の回転機械におけるインペラ及びこのインペラが回転軸に固定されているロータに関する。本願は、２０１１年２月２４日に、日本に出願された特願２０１１－０３８３８０号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

　図６に示すように、遠心圧縮機等の回転機械に用いられるインペラ８１は、ディスク８２、ブレード８３及びカバー８４によって構成されている。
　このインペラ８１におけるディスク８２は、円筒部８２ａ及び環状円盤部８２ｂとが一体成形されて構成されている。円筒部８２ａは回転軸に外嵌される。環状円盤部８２ｂは、円筒部８２ａの外周面における軸線Ｏ方向一方側（図６における右側）の部分から径方向外側に張り出す。ブレード８３は、環状円盤部８２ｂの軸線Ｏ方向他方側（図６における左側）の面に周方向に間隔をあけて複数配置されている。そして、これらブレード８３を軸線Ｏ方向他方側から覆うようにカバー８４が一体に取り付けられている。

　このようなインペラ８１は、ディスク８２の円筒部８２ａの内周面における軸線Ｏ方向他方側の部分が、回転軸に焼き嵌めされることによって回転軸に一体に固定される。このように円筒部８２ａの内周面の一部のみが焼き嵌めされることによって、インペラ８１の回転軸への取り付け及び取り外しを容易に行うことができる。また、焼き嵌め箇所がインペラ８１の重心から離間する。この結果、回転時の遠心力によりインペラ８１が回転軸から外れることを回避できる。

　上記インペラ８１の製造方法としては、ディスク８２、ブレード８３及びカバー８４をそれぞれ別個に成形し、その後、これら部材を溶接にて一体化させる手法が知られている。しかし、前記インペラ８１の製造方法では、溶接ひずみや溶接不良等が発生する場合がある。
　これに対して、母材としてのインペラ材に加工工具９０を用いて切削加工を施すことにより、ディスク８２、ブレード８３及びカバー８４を一体成形する製造方法が提案されている。

　また、例えば特許文献１には、ブレード間の流路を形成した内周側部品と外周側部品とを、これらの流路が互いに接続されるように拡散接合させてインペラを製造する方法が提案されている。

特開２００４－３６４４４号公報

　インペラ８１を一体成形する場合に、加工時間の短縮化を図ることが望まれる。そのため、図６に示すインペラ８１を一体成形する場合には、インペラ材におけるブレード８３間の流路となる箇所に加工工具９０が容易にアクセス可能であることが好ましい。ところが、図６のインペラ８１では、インペラ材におけるディスク８２の円筒部８２ａやカバー８４となる部分に、加工工具９０が干渉して所望の形状に加工することが困難である。そのため、加工に多くの時間及び労力がかかり、製造コストの増加を招く。

　これに対して、流路への加工工具９０のアクセス性を向上するために、例えば図７に示す構成が考えられる。すなわち、ディスク８２の円筒部８２ａを環状円盤部８２ｂから軸線方向一方側に延びるように成形する。そして、円筒部８２ａの内周面における軸線方向一方側の部分を焼き嵌め箇所とする。しかしながら、この場合、図６に示すインペラ８１に比べて焼き嵌め箇所がインペラ８１の重心位置に接近する。この結果、焼き嵌め箇所の径方向の厚みを遠心力に耐えられるように厚くする必要があり、コストの上昇を招く。
　なお、円筒部８２ａを軸線方向一方側にさらに延ばして焼き嵌め箇所の位置を重心からさらに離間させることも考えられる。しかし、この場合、例えば複数段のインペラ８１を備える遠心圧縮機では、回転軸の長大化を招き、軸の剛性が低下する。

　一方、特許文献１に記載のインペラは、内周側部品、外周側部品ともに加工工具のアクセス性は高い。しかし、内周側部品と外周側部品との両方に流路を形成し、且つ、これらの流路が互いに連通するように拡散接合を施す必要がある。そのため、製造コストの高騰を招く。

　本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、製造コストを低く抑えることの可能なインペラを提供することを目的とする。

　上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を提供している。
　本発明の第１の態様によれば、インペラは、内周側部品と外周側部品とから構成されるインペラであって、前記内周側部品は、軸線を中心とした円筒状に形成されており、前記外周側部品は、前記内周側部品の外周面における前記軸線方向一方側の部分に外嵌される環状円盤と、環状円盤の前記軸線方向他方側を向く面に周方向に間隔をあけて複数設けられ、径方向に向かって延びる流路を形成するブレードと、前記複数のブレードを前記軸線方向他方側から覆い、前記内周側部品が径方向に間隔をあけて前記軸線方向に挿通する挿通孔を有するカバーとが一体成形されて構成される。

　このような第１の態様に係るインペラでは、内周側部品が円筒状に形成されているため、切削加工によって容易に成形できる。また、外周側部品は、環状円盤の軸線方向他方側にブレードが設けられ、且つブレードのさらに軸線方向他方側にカバーが設けられた構成である。このため、外周側部品が内周側部品に外嵌される前の段階においては、ブレード及び流路の径方向内側には部材が何も存在しない。したがって、ブレード及びこれらブレード間の形成された流路に対して、加工工具を径方向内側から容易にアクセスすることができる。
　そして、内周側部品に外周側部品の環状円盤を外嵌させる工程のみで、これら内周側部部品と環状円盤とによってディスクが構成され、当該ディスク、ブレード及びカバーを備えたインペラを得ることができる。

　また、本発明の第２の態様によれば、インペラは、前記環状円盤が焼き嵌めによって前記内周側部品に外嵌される。

　焼き嵌めにより外周側部品を内周側部品へ嵌合させることで、嵌合をより強固にすることができる。この他、例えば拡散接合等を行う場合に比べて、コストの低減を図ることができる。

　また、本発明の第３の態様によれば、インペラは、前記カバーに、その径方向内側から前記軸線方向他方側に円筒状に立ち上がる縁部が設けられ、前記縁部と前記内周側部品の外周面とによって前記流路への流体の導入部が形成される。

　本発明の第３の態様によれば、カバーにおける縁部と内周側部品の外周面とによって流路への導入部が形成される。この結果、流体を円滑にブレード間の流路へと導くことができる。

　本発明の第４の態様に係るインペラにおいては、前記内周側部品と前記外周側部品における前記環状円盤との嵌め合い部の少なくとも一部が、段差状に形成されている。
　この構成により、内周側部品と外周側部品との軸線方向の位置を容易に定めることができる。

　本発明の第５の態様に係るインペラにおいては、前記内周側部品と前記外周側部品における前記環状円盤との嵌め合い部の少なくとも一部が、テーパ状に形成されている。
　この構成により、嵌め合い部の面圧を一定にすることができる。したがって、インペラの重心を適正な箇所に維持することができ、回転時のがたつき等を回避できる。

　さらに、本発明の第６の態様に係るインペラにおいては、前記内周側部品と前記外周側部品における前記環状円盤との嵌め合い部に、これら内周側部品と外周側部品とを互いに固定するキー部材が介在されている。
　この構成により、内周側部品と外周側部品とをより強固に固定して一体化させることができる。

　本発明の第７の態様によれば、ロータは、上記いずれかのインペラと、インペラの前記内周側部品の内周面における軸線方向他方側の部分が外嵌される回転軸を備える。

　この構成により、ロータは、内周側部品の内周面の一部のみを回転軸に外嵌されるため、インペラの回転軸への取り付け及び取り外しを容易に行うことができる。

　本発明の第８の態様によれば、ロータは、前記内周側部品が焼き嵌めによって前記回転軸に外嵌される。
　この結果、ロータを回転軸に対してより強固に取り付けることができる。

　本発明の第９の態様によれば、ロータは、上記いずれかのインペラと、前記インペラと一体に回転する回転軸とを備えるロータにおいて、前記インペラの内周側部品が前記ロータと一体に成形されている。
　この場合、内周側部品を回転軸に固定する作業を行う必要がない。そのため、ロータを構成する際の作業工程数を減らすことができる。

　本発明の第１０の態様によれば、インペラの製造方法は、内周側部品と外周側部品とからなるインペラの製造方法であって、軸線を中心とした円筒状をなす前記内周側部品を成形する工程と、前記内周側部品の外周面における軸線方向一方側の部分に外嵌可能な環状円盤と、前記環状円盤の軸線方向他方側を向く面に周方向に間隔をあけて複数設けられ、径方向に向かって延びる流路を形成するブレードと、前記複数のブレードを軸線方向他方側から覆い、前記内周側部品が径方向に間隔をあけて前記軸線方向に挿通する挿通孔を有するカバーとを有する前記外周側部品を一体成形する工程と、前記内周側部品における軸線方向他方側の部分に前記環状円盤を外嵌させることにより前記内周側部品と前記外周側部品とを固定一体化する工程とを備える。

　このような特徴のインペラの製造方法では、内周側部品が単純な形状のため容易に成形することができる。さらに、外周側部品におけるブレード及び流路に対して加工工具を容易にアクセスすることができる。また、外周側部品を内周側部品に外嵌させることのみをもって容易にインペラを得ることができる。

　本発明によれば、内周側部品及び外周側部品をそれぞれ容易に一体成形することができる。また、内周側部品及び外周側部品を互いに嵌合させることでインペラを構成することができる。そのため、製造時間の短縮化を図り、製造コストを低く抑えることが可能となる。

本発明の一実施形態に係るロータの軸線を含む断面図である。本発明の一実施形態の第一変形例に係るロータの軸線を含む断面図である。本発明の一実施形態の第二変形例に係るロータの軸線を含む断面図である。本発明の一実施形態の第三変形例に係るロータの軸線を含む断面図である。本発明の一実施形態の第四変形例に係るロータの軸線を含む断面図である。従来例に係るロータの軸線を含む断面図である。従来例に係るロータの軸線を含む断面図である。

　以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
　ロータ１は、例えば圧縮機やタービン等の回転機械に用いられる部材である。図１に示すように、ロータ１は、回転軸２の外周側にインペラ１０が一体に取り付けられる構成である。回転軸２は、軸線Ｏ方向に延びる円柱状をなして軸線Ｏ回りに回転可能な部材である。インペラ１０は、軸線Ｏ方向に流通する流体を径方向外側へと向かって送り出す部材である。
　以下では、図１における右側を「軸線Ｏ方向一方側」と称し、図１の左側を「軸線Ｏ方向他方側」と称する。この軸線Ｏ方向一方側が、流体の下流側となる。また、軸線Ｏ方向他方側が流体の上流側となる。

　インペラ１０は、内周側部品２０と外周側部品３０との２つの部材から構成される。
　内周側部品２０は、軸線Ｏを中心とした略円筒状に形成されている。内周側部品２０の外周面２１は、小径部２２、拡径部２３及び大径部２４とから構成される。
　小径部２２は、内周側部品２０の外周面２１における軸線Ｏ方向他方側の端部を含む部分である。拡径部２３は、小径部２２の軸線Ｏ方向一方側に連続して位置し、軸線Ｏ方向一方側に向かうに従って漸次拡径する部分である。また、大径部２４は、拡径部２３の軸線Ｏ方向一方側に連続して位置し、内周側部品２０の外周面２１における軸線Ｏ方向一方側の端部を含む部分である。大径部２４の径は、小径部２２よりも一回り大きい。

　また、内周側部品２０の内周面２５は、第一内周面２６と第二内周面２７とから構成されている。第一内周面２６は、内周側部品２０の内周面２５における軸線Ｏ方向他方側の端部を含む部分、即ち、上記外周面２１の小径部２２に対応する部分である。第一内周面２６の内径は、回転軸２の外周面２１の外径よりも僅かに小さく設定されている。第二内周面２７は、内周側部品２０の内周面２５における第一内周面２６の軸線Ｏ方向一方側に連続して位置し、内周面２５の軸線Ｏ方向一方側の端部を含む部分である。また、第二内周面２７の内径は、回転軸２が挿通可能な大きさに設定されている。

　外周側部品３０は、環状円盤３１と、ブレード４０とカバー５０とが一体的に成形された部材である。
　環状円盤３１は、軸線Ｏを中心として形成された円盤状の部材である。環状円盤３１の中央には、軸線Ｏ方向に貫通する嵌合孔３２が形成されている。この嵌合孔３２の内径は、上記内周側部品２０の大径部２４の外径と同一か僅かに小さい程度に形成されている。なお、嵌合孔３２の軸線Ｏ方向の寸法は、上記内周側部品２０の大径部２４の軸線Ｏ方向の寸法と略同一である。
　また、環状円盤３１における軸線Ｏ方向他方側を向く面は、径方向内側から外側に向かうに従って軸線Ｏ方向一方側に緩やかに後退する湾曲面３３を有する。

　ブレード４０は、上記環状円盤３１の湾曲面３３から軸線Ｏ方向他方側に向かって立ち上がるように複数設けられている。各ブレード４０は、環状円盤３１の径方向全域にわたるように延在している。具体的には、各ブレード４０は、径方向内側から外側に向かうにしたがって周方向一方向に湾曲するように延在している。このようなブレード４０は、周方向に間隔をあけて複数設けられている。そして、周方向に互いに隣り合うブレード４０の間の空間が、流体が流通する流路Ｒとなる。

　カバー５０は、上記複数のブレード４０を軸線Ｏ方向他方側から覆うように配置され、これらブレード４０と一体に設けられた部材である。このカバー５０は、カバー本体５１と、縁部５２とを有する。カバー本体５１は、軸線Ｏを中心として円盤状に形成されている。カバー本体５１の中央には軸線Ｏ方向に貫通する挿通孔５３が形成されている。縁部５２は、カバー本体５１の径方向内側から、上記挿通孔５３を軸線Ｏ方向一方側に延在させるようにして軸線Ｏ方向一方側に円筒状に立ち上がるように形成されている。挿通孔５３の内径は、内周側部材の外周面２１の外径よりも大きく形成されている。

　このような環状円盤３１、ブレード４０及びカバー５０から構成される外周側部品３０においては、上記ブレード４０の径方向内側の端部及びブレード４０間に形成された流路Ｒの径方向内側の端部のさらに径方向内側には、他の構成要素が存在しない。したがって、外周側部材３０において、ブレード４０及び流路Ｒは、それぞれ軸線Ｏに面した状態となる。

　そして、本実施形態では、インペラ１０は、外周側部品３０が内周側部品２０に焼き嵌めにより外嵌されて構成されている。具体的には、外周側部品３０は、その嵌合孔３２が内周側部品２０の外周面２１における大径部２４に外嵌されている。そして、嵌合孔３２と大径部２４とが嵌合することによって内周側部品２０と外周側部品３０との嵌め合い部６０が形成されている。

　このように内周側部品２０と外周側部品３０とが嵌合することによって、外周側部品３０の環状円盤３１と内周側部品２０とが固定されて一体化される。この一体化された内周側部品２０と環状円盤３１により、インペラ１０におけるディスク６１が形成されている。また、内周側部品２０の外周面２１の小径部２２及び拡径部２３と外周側部品３０のカバー５０における挿通孔５３の内周面との間には、導入部６２が形成されている。導入部６２は、ブレード４０間の流路Ｒに流体を導くために形成される。

　また、インペラ１０は、内周側部品２０の内周面２５における第一内周面２６が回転軸２の外周面３に外嵌されている。特に本実施形態では、第一内周面２６が回転軸２の外周面３に焼き嵌めされることによって、内周側部品２０を有するインペラ１０と回転軸２とが強固に固定一体化されてロータ１が構成されている。

　次に上記インペラ１０の製造方法について説明する。
　まず、内周側部品２０を成形する。この内周側部品２０は、炭素鋼から形成される細長い円柱形状のブルーム材を切断して円盤状部材を作製し、加工工具により円盤状部材に対して切削加工を施すことによって成形される。
　また、この内周側部品２０の成形とは別に、外周側部品３０を成形する。この外周側部品３０も内周側部品２０と同様に、円盤状部材に対して加工工具による切削加工を施すことによって成形する。

　次いで、外周側部品３０を内周側部品２０に対して焼き嵌めにより嵌合させることにより外周側部品３０と内周側部品２０とを固定して一体化させる。即ち、例えば外周側部品３０の嵌合孔３２を加熱して嵌合孔３２を拡径させる。この状態で外周側部品３０の嵌合孔３２内に内周側部品２０を配置する。そして、嵌合孔３２を冷却して縮径させ、嵌合孔３２を外周側部品３０の大径部２４に密着させる。これによって、外周側部品３０と内周側部品２０とを一体に固着させる。このようにして、本実施形態のインペラ１０を得ることができる。

　また、以下の方法により、インペラ１０を回転軸２に焼き嵌めにより外嵌させてロータ１を得る。まず、インペラ１０の内周側部品２０における第一内周面２６を加熱することで挿通孔５３を拡径させる。この状態で第一内周面２６及び第二内周面２７に回転軸２を挿通させる。そして、第一内周面２６を冷却して縮径させる。これにより、第一内周面２６を回転軸２の外周面３に密着させて、インペラ１０と回転軸２とを一体に固着させる。このようにして、本実施形態のロータ１を得ることができる。

　以上のように、本実施形態のインペラ１０においては、内周側部品２０は円筒状に形成されている。このため、円盤状部材に切削加工を施すことによって内周側部品２０を容易に成形することができる。

　また、外周側部品３０においては、環状円盤３１の軸線Ｏ方向他方側にブレード４０が設けられ、且つ、ブレード４０のさらに軸線Ｏ方向他方側にカバー５０が設けられている。このため、外周側部品３０が内周側部品２０に外嵌される前の段階においてはブレード４０及び流路Ｒの径方向内側には何も存在しない。したがって、ブレード４０及びこれらブレード４０間に形成された流路Ｒに対して加工工具を径方向内側から容易にアクセスすることができる。この結果、例えば５軸の切削加工装置等の加工工具を用いて、外周側部品３０を容易に一体成形することができる。

　そして、本実施形態では、上記のような内周側部品２０と外周側部品３０とを嵌合させるだけで、ディスク６１、ブレード４０及びカバー５０を備えたインペラ１０を得ることができる。そのため、製造時間の短縮化を図ることができ、製造コストを低く抑えることが可能となる。

　また、外周側部品３０と内周側部品２０との嵌合は、焼き嵌めにより行われる。このため、両部品の嵌合をより強固にすることができる。この他、例えば拡散接合等に両者を接合する場合に比べて、製造コストの低減を図ることができる。

　また、カバー５０における縁部５２と内周側部品２０の外周面２１とによって流路Ｒへの導入部６２が形成される。このため、例えば、インペラ１０を圧縮機に適用した際に、流体をブレード４０間の流路Ｒへと円滑に導くことができる。さらに、導入部６２を形成するために別途部材等を設ける必要がないため、製造コストの上昇を抑えることができる。

　また、本実施形態に係るインペラ１０は、内周側部品２０の内周面２５の一部のみを回転軸２に外嵌することとした。このため、インペラ１０の回転軸２への取り付け及び取り外しを容易に行うことができる。さらに、特に回転軸２に外嵌される第一内周面２６が内周側部品２０の内周面２５の軸線Ｏ方向一方側に配置されている。このため、インペラ１０の重心位置から嵌合位置を離間させることができる。この結果、ロータ１の回転時の遠心力による影響を低減させ、遠心力に起因してインペラ１０が回転軸２から外れることを回避できる。
　また、本実施形態では、インペラ１０の内周側部品２０を、焼き嵌めによって回転軸２に外嵌させる。このため、インペラ１０を回転軸２に対してより強固に取り付けることができる。

　以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく、多少の設計変更等も可能である。
　例えば、本実施形態の第一変形例として、図２に示すように、内周側部品２０と外周側部品３０との嵌め合い部６０が段差状に形成されていてもよい。即ち、この第一変形例では、内周側部品２０の大径部２４が、軸線Ｏ方向他方側から一方側に向かう任意の位置において、一段縮径することにより軸線Ｏ方向一方側に向かって内周側段差部７１が形成されている。さらに、外周側部品３０の大径部２４が軸線Ｏ方向他方側から一方側に向かう任意の位置において、一段縮径することにより軸線Ｏ方向他方側に向かって外周側段差部７２が形成されている。そして、内周側部品２０と外周側部品３０とが互いに嵌合した際には、外周側段差部７２と上記内周側段差部７１とが互いに当接する。

　これによって、内周側部品２０と外周側部品３０との軸線Ｏ方向位置を一律に定めることができる。このため、内周側部品２０と外周側部品３０とを嵌合させる際の軸線Ｏ方向の位置決めを容易に行うことが可能となる。

　また、例えば、第一実施形態の第二変形例として、図３に示すように、内周側部品２０と外周側部品３０との嵌め合い部６０がテーパ状に形成されていてもよい。即ち、この第二変形例では、内周側部品２０の大径部２４が軸線Ｏ方向一方側に向かうにしたがって漸次縮径するテーパ状に形成されている。また、外周側部品３０の嵌合孔３２が軸線Ｏ方向一方側に向かうに従って漸次縮径するテーパ状に形成されている。これら大径部２４及び嵌合孔３２のテーパの角度は互いに同一とされている。
　これによって、嵌め合い部６０の面圧を一定にすることができるため、インペラ１０の重心を適正な箇所に維持することができる。その結果、回転時のがたつき等を回避することが可能となる。

　さらに、例えば、第一実施形態の第三変形例として、図４に示すように、内周側部品２０と外周側部品３０との嵌め合い部６０に、これら内周側部品２０と外周側部品３０とを互いに固定するキー部材７３が介在してもよい。これによって、内周側部品２０と外周側部品３０とをより強固に固定一体化することができる。
　さらに、第一変形例から第三変形例を適宜組み合わせることで、内周側部品２０と外周側部品３０との嵌め合い部６０を構成してもよい。

　なお、内周側部品２０と外周側部品３０との嵌合は、上記構成のみならず、例えばスプライン接合によって両者が互いに固定一体化されていてもよく、また、溶接によって固定一体化された構成でもよい。

　また、例えば第一実施形態の第四変形例として、図５に示すように、内周側部品２０が回転軸２と一体に形成されているものであってもよい。この場合は、回転軸２を切削加工により削り出す際に、回転軸２の外周面３に内周側部品２０を形成することで、内周側部品２０と回転軸２とを一体成形する。この結果、内周側部品２０を回転軸２に固定する作業を行う必要がないため、ロータ１を構成する際の作業工程数を減らすことができる。

　本発明によれば、内周側部品及び外周側部品をそれぞれ容易に一体成形することができる。また、内周側部品及び外周側部品を互いに嵌合させることでインペラを構成することができる。そのため、製造コストを低く抑えることの可能なインペラを提供することができる。

１　ロータ
２　回転軸
３　外周面
１０　インペラ
２０　内周側部品
２１　外周面
２２　小径部
２３　拡径部
２４　大径部
２５　内周面
２６　第一内周面
２７　第二内周面
３０　外周側部品
３１　環状円盤
３２　嵌合孔
３３　湾曲面
４０　ブレード
５０　カバー
５１　カバー本体
５２　縁部
５３　挿通孔
６０　嵌め合い部
６１　ディスク
６２　導入部
７１　内周側段差部
７２　外周側段差部
７３　キー部材
Ｏ　軸線
Ｒ　流路

Claims

　内周側部品と外周側部品とからなるインペラであって、
　前記内周側部品は、軸線を中心とした円筒状をなしており、
　前記外周側部品は、
前記内周側部品の外周面における前記軸線方向一方側の部分に外嵌される環状円盤と、
環状円盤の前記軸線方向他方側を向く面に周方向に間隔をあけて複数設けられ、径方向に向かって延びる流路を形成するブレードと、
複数の前記ブレードを前記軸線方向他方側から覆い、前記内周側部品が径方向に間隔をあけて前記軸線方向に挿通する挿通孔を有するカバーとが一体成形されてなるインペラ。
　前記環状円盤が焼き嵌めによって前記内周側部品に外嵌される請求項１に記載のインペラ。
　前記カバーに、その径方向内側から前記軸線方向他方側に円筒状に立ち上がる縁部が設けられ、
　前記縁部と前記内周側部品の外周面とによって前記流路への流体の導入部が形成される請求項２に記載のインペラ。
　前記内周側部品と前記外周側部品における前記環状円盤との嵌め合い部の少なくとも一部が、段差状に形成されている請求項１から３のいずれか一項に記載のインペラ。
　前記内周側部品と前記外周側部品における前記環状円盤との嵌め合い部の少なくとも一部が、テーパ状に形成されている請求項１から４のいずれか一項に記載のインペラ。
　前記内周側部品と前記外周側部品における前記環状円盤との嵌め合い部に、これら内周側部品と外周側部品とを互いに固定するキー部材が介在されている請求項１から５のいずれか一項に記載のインペラ。
　請求項１から６のいずれか一項に記載のインペラと、
　インペラの前記内周側部品の内周面における軸線方向他方側の部分が外嵌される回転軸を備えるロータ。
　前記内周側部品が焼き嵌めによって前記回転軸に外嵌される請求項７に記載のロータ。
　請求項１から６のいずれか一項に記載のインペラと、
　前記インペラと一体に回転する回転軸とを備えるロータにおいて、
　前記インペラの内周側部品が前記回転軸と一体成形されているロータ。
　内周側部品と外周側部品とからなるインペラの製造方法であって、
　軸線を中心とした円筒状をなす前記内周側部品を成形する工程と、
　前記内周側部品の外周面における軸線方向一方側の部分に外嵌可能な環状円盤と、前記環状円盤の軸線方向他方側を向く面に周方向に間隔をあけて複数設けられ、径方向に向かって延びる流路を形成するブレードと、前記複数のブレードを軸線方向他方側から覆い、前記内周側部品が径方向に間隔をあけて前記軸線方向に挿通する挿通孔を有するカバーとを有する前記外周側部品を一体成形する工程と、
　前記内周側部品における軸線方向他方側の部分に前記環状円盤を外嵌させることにより前記内周側部品と前記外周側部品とを固定一体化する工程とを備えるインペラの製造方法。