WO2012114763A1

WO2012114763A1 - 電子機器

Info

Publication number: WO2012114763A1
Application number: PCT/JP2012/001251
Authority: WO
Inventors: 剛民崔
Original assignee: 京セラ株式会社
Priority date: 2011-02-24
Filing date: 2012-02-23
Publication date: 2012-08-30
Also published as: JP5809081B2; JP2012190451A

Abstract

　パネルの振動を可能な限り減殺させずに防塵および防水対策を施した電子機器を提供する。　パネル20と、パネル20を振動させる振動部70と、パネル20に取り付けられた弾性シール部材40と、パネル20の上面周縁部を覆うように筐体10に装着されたベゼル30と、を備え、弾性シール部材40は、パネル20の側面全周に亘って固着されて、筐体10のパネル20の取り付け開口部10bの壁面10cに、パネル20と一体に摺動可能に圧入される圧入部40aと、パネル20の周囲の少なくとも一部においてベゼル30の装着部10aに延在して、ベゼル30と筐体10との間に挟持される被挟持部40bと、を有する。

Description

電子機器

関連出願へのクロスリファレンス

　本出願は、日本国特許出願２０１１－０３８３７７号（２０１１年２月２４日出願）の優先権を主張するものであり、当該出願の開示全体を、ここに参照のために取り込む。

　本発明は、外観を構成するパネルを備え、当該パネルを振動させる電子機器に関する。

　現在、電子機器の入力装置として、タッチパネルやタッチパッドなどが広く採用されている。そのような入力装置において、操作者がタッチパネルやタッチパッドなどを操作した際に、タッチパネルやタッチパッドを湾曲振動させることにより、操作者の指先などに操作感をフィードバックするものが提案されている（例えば、特許文献１参照）。

特開２０１０－４４４９７号公報

　ところで、特許文献１の電子機器では、機器への埃や水の侵入に対しては対策が講じられていない。このため、例えばタッチパネルとタッチパネルが固定される部材との間の隙間から埃や水分が侵入することが想定される。

　上記の課題は、外観を構成するパネルを備え、当該パネルを振動させる電子機器においては共通して発生し得ると想定される課題である。パネルを振動させる他の電子機器としては、例えば所定の電気信号（音声信号）を印加することでパネルを振動させ、パネルに接触する利用者の体の一部（例えば外耳の軟骨）に振動が伝わることにより利用者に音を伝える電子機器がある。また、パネルを振動させる他の電子機器としては、パネルの振動によってパネルに付着した水滴や汚れを除去する機能を有する電子機器もある。

　それゆえ、この発明の目的は、外観を構成するパネルを備え、当該パネルを振動させる電子機器につき、パネルの振動を阻害しにくくし、且つ防塵性、防水性を向上させることにある。

　本発明は、パネルと、該パネルを振動させる振動部と、前記パネルに取り付けられた弾性シール部材と、前記パネルの上面周縁部を覆うように筐体に装着されたベゼルと、を備え、前記弾性シール部材は、前記パネルの側面全周に亘って固着されて、前記筐体の前記タッチパネルの取り付け開口部の壁面に、前記パネルと一体に摺動可能に圧入される圧入部と、前記パネルの周囲の少なくとも一部において前記ベゼルの装着部に延在して、前記ベゼルと前記支持部材との間に挟持される被挟持部と、を有するものである。

　本発明によれば、外観を構成するパネルを備え、当該パネルを振動させる電子機器につき、パネルの振動を阻害しにくくし、且つ防塵性、防水性を向上させることができる。

本発明の一実施の形態に係る電子機器の外観斜視図である。図１の電子機器を分解した外観斜視図である。図１の電子機器をさらに分解した外観斜視図である。図３の弾性シール部材およびタッチパネルを分解して一部切り欠いた外観斜視図である。図３の弾性シール部材およびタッチパネルを裏面から見た平面図である。図１の電子機器のＶＩ－ＶＩ線拡大断面図である。図１の電子機器の変形例を示す拡大断面図である。本発明の他の実施の形態に係る電子機器の部分断面図である。本発明の他の実施の形態に係る電子機器の部分断面図である。

　以下、本発明の一実施の形態について、図を参照して説明する。

　図１は、本発明の一実施の形態に係る電子機器の外観を示す斜視図である。図１に示す電子機器１は、外観上、筐体１０と、タッチパネル２０と、ベゼル３０と、を備える。筐体１０は、図示の例では一つの筐体として示しているが、上部筐体と下部筐体とが一体に組み合わされて構成される場合もある。この場合、上部筐体と下部筐体との間は、これらが一体に組み合わされた状態において、例えばゴム製のパッキンを介した公知の密閉構造にする等して、適当な防塵および防水の措置がなされているものとする。筐体１０は、ある程度の衝撃に耐えうる例えば樹脂により構成するのが好適である。

　タッチパネル２０は、後述するように表示部の表示面側に配置されて、表示部に表示されたオブジェクトに対する操作者の指やスタイラスペン等（以下、単に「接触物」と総称する）による接触を、対応するタッチパネル２０のタッチ面において検出する。したがって、本実施の形態において、「タッチパネル」とは、表示部の前面に配置される、すなわち当該表示部とは別に設けられる部材を想定して説明する。また、タッチパネル２０は、タッチ面に対する接触物の接触の位置を検出し、当該検出した接触の位置を制御部（図示せず）に通知する。

　このタッチパネル２０は、例えば抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等の公知の方式のものを用いることができる。なお、タッチパネル２０が接触物による接触を検出する上で、接触物がタッチパネル２０に物理的に触れることは必須ではない。例えば、タッチパネル２０が光学式である場合は、タッチパネル２０は当該タッチパネル２０上の赤外線が接触物で遮られた位置を検出するため、接触物がタッチパネル２０に触れることは不要である。

　ベゼル３０は、タッチパネル２０の上面の周縁部を覆うように、筐体１０の上部に装着されている。つまり、本実施の形態において、ベゼル３０は、筐体１０を支持部材として、筐体１０とタッチパネル２０との間に跨るように筐体１０に装着されている。そして、ベゼル３０は、後述する防塵および防水用の弾性シール部材と協働して、筐体１０とタッチパネル２０との間の防塵および防水の機能を果たしている。ベゼル３０は、例えば金属製、プラスチック製、樹脂製などとすることができ、薄型ながらもある程度の強度を有する素材で構成するのが好適である。

　図２は、図１に示した電子機器１において、筐体１０からベゼル３０を取り外した状態を示す分解斜視図である。図２に示すように、ベゼル３０は、筐体１０の上部に段差状に成形された装着部１０ａに嵌め込まれるように構成されている。また、タッチパネル２０の周囲には、防塵および防水用の弾性シール部材４０が取り付けられている。ベゼル３０は、弾性シール部材４０およびタッチパネル２０の周縁部を覆うことによって、弾性シール部材４０およびタッチパネル２０の周縁が外部から見えないようにしている。

　図３は、図２に示したベゼル３０を取り外した後、さらに筐体１０からタッチパネル２０および弾性シール部材４０を一体に取り外した状態を示す分解斜視図である。弾性シール部材４０は、例えばシリコンゴムからなり、タッチパネル２０に固着されて、筐体１０の取り付け開口部１０ｂに圧入される。

　タッチパネル２０は、その少なくとも四隅において支持子５０を介して表示部６０の表示面側に位置するように四点支持される。支持子５０は、弾性シール部材４０よりも硬度の高いシリコンゴムなどの弾性体とするのが好適である。支持子５０は、その一端面がタッチパネル２０の下面に接着され、他端面は、筐体１０の底部や筐体１０に固定された固定部、あるいは表示部６０の上面の表示領域以外の領域に接着される。なお、タッチパネル２０の支持点数は、四点支持に限らず、タッチパネル２０の大きさに応じて、六点支持等、適宜設定することができる。本実施の形態においては、タッチパネル２０が四個の支持子５０を介して表示部６０の上面に四点支持される場合を例示している。

　表示部６０は、例えば操作者が入力の操作に用いる押しボタンスイッチ等の各種のオブジェクトを画像で表示する。このオブジェクトは、タッチパネル２０のタッチ面上において接触すべき領域を操作者に示唆する画像である。この表示部６０は、例えば、液晶表示パネル（ＬＣＤ）や有機ＥＬ表示パネル等を用いて構成される。

　図４は、図３に示した弾性シール部材４０からタッチパネル２０を取り外した状態を一部切り欠いて示す分解斜視図である。また、図５は、図３に示した弾性シール部材４０を固着したタッチパネル２０を裏面から見た平面図である。タッチパネル２０の裏面には、対向する二辺の近傍で、ベゼル３０により覆われる部分にそれぞれ振動部を構成する圧電素子７０が接着されている。圧電素子７０は、例えば長さ方向に伸縮するもので、対応するタッチパネル２０の辺に沿って、例えば両面テープまたは接着剤などにより接着される。そして、圧電素子７０は、図示しない制御部から電圧が印加されると、その長手方向に伸縮してタッチパネル２０を圧電素子７０の長手方向に平行な方向に湾曲させる。これにより、圧電素子７０は、印加電圧に応じた振動パターンでタッチパネル２０を振動させて、タッチパネル２０のタッチ面に接触している接触物に対して触感を呈示する。

　弾性シール部材４０は、タッチパネル２０の周囲に亘って取り付けられている。この弾性シール部材４０は、タッチパネル２０の側面全周に亘って固着されて、筐体１０の取り付け開口部１０ｂに圧入され、取り付け開口部１０ｂの壁面１０ｃに側圧により圧接される圧入部４０ａを有する。圧入部４０ａは、開口部１０ｂの壁面１０ｃに圧接される部分が、例えば断面半円状の突状に形成されて、タッチパネル２０の湾曲振動に従って壁面１０ｃ（図３参照）を摺動可能に構成されている。

　また、弾性シール部材４０は、タッチパネル２０の全周に亘ってベゼル３０の筐体１０への装着部１０ａに延在して、ベゼル３０と筐体１０との間に挟持される被挟持部４０ｂを有する。さらに、弾性シール部材４０は、タッチパネル２０の下面縁部に固着される受け部４０ｃを有する。なお、図４および図５は、受け部４０ｃが、タッチパネル２０の下面縁部の全周に亘って設けられている場合を例示しているが、この受け部４０ｃは、部分的に設けてもよい。

　弾性シール部材４０は、タッチパネル２０と一体成型によりタッチパネル２０に取り付けられるか、あるいは、圧入部４０ａにおいて防水両面テープや接着剤による接着などによりタッチパネル２０に取り付けられる。

　タッチパネル２０は、例えば、裏面に圧電素子７０が固着され、かつ周囲に弾性シール部材４０が取り付けられた状態で、弾性シール部材４０の圧入部４０ａを縮めながら、図３に示した筐体１０の取り付け開口１０ａに嵌め込まれる。これにより、弾性シール部材４０の圧入部４０ａが、筐体１０の取り付け開口１０ａに圧入されて、圧入部４０ａが取り付け開口部１０ｂの壁面１０ｃに側圧により圧接される。その後、ベゼル３０が筐体１０の装着部１０ａに装着されて、ベゼル３０の装着部１０ａに延在する被挟持部４０ｂが、ベゼル３０と筐体１０との間に挟持される。

　図６は、図１のＶＩ－ＶＩ線の拡大断面図である。図６に示すように、タッチパネル２０は、その側面全周に設けられた弾性シール部材４０の圧入部４０ａを介して、筐体１０の取り付け開口部１０ｂの壁面１０ｃに側圧により圧接される。これにより、タッチパネル２０と筐体１０との間の防塵および防水効果が得られる。

　また、弾性シール部材４０は、全周に亘って設けられた被挟持部４０ｂが、ベゼル３０の装着部１０ａにおいて、ベゼル３０と筐体１０との間に挟持される。これにより、防塵および防水効果をさらに高めることができるとともに、タッチパネル２０の湾曲振動の振幅を可能な限り抑制せずに、圧入部４０ｂをタッチパネル２０の湾曲振動に正確に追従させて、開口部１０ｂの壁面１０ｃ上で摺動させることができる。つまり、被挟持部４０ｂをベゼル３０と筐体１０との間に挟持して固定することにより、圧入部４０ａが開口部１０ｂの壁面１０ｃ上で摺動変位した際に、圧入部４０ａと被挟持部４０ｂとの連結部分に、圧入部４０ａを元の状態（位置）に戻そうとする弾性力（復元力）が作用することになる。これにより、圧入部４０ａは、タッチパネル２０の湾曲振動に正確に追従して、開口部１０ｂの壁面１０ｃを摺動することになる。

　なお、被挟持部４０ｂをベゼル３０と筐体１０との間に挟持する場合、好ましくは、ベゼル３０と被挟持部４０ｂ、および、筐体１０と被挟持部４０ｂとの間を防水用両面テープ等により接着する、あるいは、被挟持部４０ｂをベゼル３０と筐体１０により圧縮した状態で挟持する。これにより、防塵および防水効果をさらに高めることができる。

　このように、本実施の形態に係る電子機器１によれば、圧電素子７０によりタッチパネル２０を湾曲振動させる構成において、タッチパネル２０の振動を可能な限り減殺させずに、防塵および防水対策が可能となる。

　なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、上記実施の形態において、タッチパネル２０は、圧電素子７０が振動すると、圧電素子７０の長さ方向と平行な辺が、他の辺よりも大きく湾曲変位する。したがって、弾性シール部材４０の圧入部４０ａは、タッチパネル２０の湾曲変位の大きい辺における側圧が、他の辺における側圧よりも小さくなるように構成して、タッチパネル２０がよりスムーズに湾曲変位できるように構成することもできる。

　また、タッチパネル２０の湾曲変位の小さい辺では、当該辺に対応する圧入部４０ａの摺動変位も小さいので、当該辺に対応する被挟持部４０ｂを省略することも可能である。この場合、当該辺に対応する圧入部４０ａは、側圧を比較的大きくして、防塵および防水機能をさらに高めるようにすることが好ましい。

　さらに、図７に図６と同様の拡大断面図を示すように、被挟持部４０ｂには、適宜の複数箇所に孔４０ｄを形成し、ベゼル３０には、孔４０ｄを貫通する突起３０ａを形成して、突起３０ａを孔４０ｄに貫通させて、被挟持部４０ｂをベゼル３０の装着部１０ａにおいて、ベゼル３０と筐体１０との間に挟持することもできる。このように構成すれば、被挟持部４０ｂを、ベゼル３０と筐体１０との間に位置ずれを生じることなく保持することができるので、長期間に亘ってタッチパネル２０の安定した湾曲変位が可能となる。

　また、弾性シール部材４０の受け部４０ｃは、圧入部４０ａのタッチパネル２０に対する固着が充分であれば、省略することも可能である。さらに、タッチパネル２０は、支持子５０による支持を省略して、弾性シール部材４０により筐体１０の取り付け開口部１０ｂに湾曲変位可能に支持するようにしてもよい。

　さらに、上記実施の形態では、タッチパネル２０の周囲に亘って圧入部４０ａを固着した場合について説明したが、タッチパネル２０の周囲に亘って圧入部４０ａが接触した状態で、タッチパネル２０の底面端部全周に亘って受け部４０ｃを固着するようにしてもよい。さらには、タッチパネル２０が圧入部４０ａおよび受け部４０ｃの双方に固着するようにしてもよい。

　また、上記実施の形態では、タッチパネル２０およびベゼル３０の支持部材が筐体１０である場合について説明したが、表示部６０の図示しないホルダ等、筐体１０に直接あるいは間接的に固定される部材であってもよく、本発明における筐体はこれらの部材を含むものを意味するものである。

　また、上述した実施の形態においては、タッチパネル２０の裏側に配置した表示部６０にオブジェクトを表示してタッチパネル２０が操作者の接触を検出する態様について説明した。しかしながら、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば表示部６０を有さずに、タッチパネル２０のタッチ面上にオブジェクトがインクなどにより直接印刷されているような態様を想定することもできる。

　また、上記実施の形態では、タッチパネル２０を用いて、当該タッチパネル２０のタッチ面に対する接触を検出した。すなわち、上記実施の形態において、「タッチパネル２０」は、いわゆるタッチセンサのような部材を想定して説明した。しかしながら、本発明による電子機器に用いるタッチパネルは、操作者の指やスタイラスペンなどの接触物により接触されるものであれば任意のものとすることができる。

　例えば、本発明による電子機器に用いるタッチパネルは、タッチ面に対する接触物の接触の位置を検出しない（つまりセンシング機能を有さない）、単なる「パネル」のような部材とすることもできる。このような構成の電子機器においては、例えば、タッチパネルに対する押圧を検出する押圧検出部をさらに設けることにより、押圧検出部が検出する押圧に基づいて、タッチパネルに対する接触がなされたものと判定することができる。

　また、上記実施の形態では、タッチパネルを用いて、当該タッチパネルのタッチ面に対する接触を検出した。しかしながら、押圧検出部がタッチパネルに対する押圧を検出して、当該押圧に基づいて、タッチパネルに対する接触がなされたものと判定することもできる。

　上述のような押圧検出部は、タッチパネルのタッチ面に対する押圧を検出するもので、例えば、押圧に応じて物理的または電気的な特性（歪み、抵抗、電圧等）が変化する歪みゲージセンサや圧電素子等を任意の個数用いて構成することができる。また、振動部を圧電素子とした場合には、当該圧電素子を押圧検出部としても用いることができる。このような構成を採用して、押圧によるタッチパネルの歪みを検出することにより、当該歪みからタッチパネルに対する押圧を算出するなどの構成を想定することができる。

　例えば、押圧検出部が圧電素子等を用いて構成された場合、押圧検出部の圧電素子は、タッチパネルのタッチ面に対する押圧に係る荷重（力）の大きさ（または、荷重（力）の大きさが変化する速さ（加速度））に応じて、電気的な特性である電圧の大きさ（電圧値）が変化する。この場合、押圧検出部は、この電圧の大きさ（電圧値（以下、単にデータと称する））を制御部に通知することができる。制御部は、押圧検出部がデータを制御部に通知することにより、または、制御部が押圧検出部の圧電素子に係るデータを検出することにより、当該データを取得する。つまり、制御部は、タッチパネルのタッチ面に対する押圧に基づくデータを取得する。すなわち、制御部は、押圧検出部から押圧に基づくデータを取得する。そして、制御部は、押圧に基づくデータが所定の基準を満たした場合に、接触がなされたものと判定し、所定の振動を発生することができる。ここで、上記所定の基準は、表現したい押しボタンスイッチの押圧時の荷重特性に応じて適宜設定することができる。

　さらに、このような押圧検出部は、タッチパネルにおける接触検出方式に応じて構成することができる。例えば、抵抗膜方式の場合には、接触面積の大きさに応じた抵抗の大きさを、タッチパネルのタッチ面に対する押圧の荷重（力）に対応付けることにより、歪みゲージセンサや圧電素子等を用いることなく構成することができる。あるいは、静電容量方式の場合には、静電容量の大きさを、タッチパネルのタッチ面に対する押圧の荷重（力）に対応付けることにより、歪みゲージセンサや圧電素子等を用いることなく構成することができる。

　このような押圧検出部は、タッチパネルにおける接触検出方式に応じて各種の構成を想定することができる。例えば、抵抗膜方式の場合には、接触面積の大きさに応じた抵抗の大きさを、タッチパネルのタッチ面に対する押圧の荷重（力）に対応付けることにより、歪みゲージセンサや圧電素子等を用いることなく構成することができる。あるいは、静電容量方式の場合には、静電容量の大きさを、タッチパネルのタッチ面に対する押圧の荷重（力）に対応付けることにより、歪みゲージセンサや圧電素子等を用いることなく構成することができる。

　また、振動部は、任意の個数の圧電振動子を用いて構成したり、タッチパネルの全面に透明圧電素子を設けて構成したり、偏心モータを駆動信号の１周期で１回転させるようにして構成したり、することもできる。さらに、押圧検出部および振動部は、圧電素子を用いて構成する場合は、圧電素子を共用して押圧検出部兼振動部を構成することもできる。圧電素子は、圧力が加わると電圧を発生し、電圧が加えられると変形するためである。

　また、上述したように、振動部は、押圧検出部も兼ねる圧電素子の電圧の大きさ（電圧値（データ））が所定の基準を満たした際に、当該圧電素子を駆動することにより振動を発生するようにもできる。ここで、圧電素子の電圧の大きさ（電圧値（データ））が所定の基準を満たした際とは、電圧値（データ）が所定の基準値に達した際であってもよいし、電圧値（データ）が所定の基準値を超えた際でもよいし、所定の基準値と等しい電圧値（データ）が検出された際でもよい。

　上述した実施の形態においては、タッチパネルを表示部の上面に重ねて配置した構成を想定して説明した。本発明による電子機器は、このような構成にすることは必須ではなく、タッチパネルと表示部とを離間した構成にすることもできる。しかしながら、タッチパネルを表示部の上面に重ねて配置した構成とする方が、表示される画像と、操作入力が検出される領域および発生する振動との対応関係を、操作者に容易に認識させることができる。

　また、上記実施の形態において、表示部６０およびタッチパネル２０は、表示部と接触検出部との両機能を共通の基板に持たせる等により、一体化した装置によって構成されるようにしてもよい。このように表示部と接触検出部との両機能を一体化した装置の一例としては、液晶パネルが有するマトリクス状配列の画素電極群に、フォトダイオード等の複数の光電変換素子を規則的に混在させたものを挙げることができる。この装置は、液晶パネル構造によって画像を表示する一方で、パネル表面の所望位置をタッチ入力するペンの先端で液晶表示用のバックライトの光を反射させ、その反射光を周辺の光電変換素子で受光することによって、タッチ位置を検出することができる。

　図８、図９に示すように、本発明を適用できる別の電子機器としての携帯電話機は、筺体（図示しない）と、タッチセンサ搭載のパネル１２０と、パネル１２０を支持する弾性シール部材及び支持子５０と、当該パネル１２０に配置される圧電素子１７０、圧電素子１７０をパネル１２０に貼りつけるための接合部材１８０とを有している。また、圧電素子１７０とパネル１２０との間に中間部材１９０を備えてもよい。表示部および圧電素子１７０は、それぞれ接合部材１８０によりパネル１２０に接着されている。パネル１２０および圧電素子１７０は、それぞれ略矩形状である。圧電素子１７０における接合部材１８０との接触領域は、圧電素子の一方側主面のほぼ全面であってもよい。この場合、例えば圧電素子の両端だけを圧電素子における接合部材との接触領域とした場合に比較して、圧電素子１７０における振動が、効率よくパネル１２０に伝達され、パネル１２０を人体に接触させても減衰してしまわない十分な強度で、パネル１２０を湾曲振動させることができる。

　圧電素子１７０は、パネル１２０の長手方向の端部から所定の距離だけ離間して、当該端部の近傍に、圧電素子１７０の長手方向がパネル１２０の短辺に沿うように配置される。圧電素子１７０とは、パネル１２０の内部側の面に平行な方向において並んで配置される。例えば圧電素子１７０は、パネル１２０の中央に配設されてもよい。圧電素子１７０がパネル１２０の中央に配設された場合、圧電素子１７０の振動がパネル１２０全体に均等に伝わり、利用者が耳をパネル１２０の様々な位置に接触させた場合でも音声を認識しやすい。尚、上述の実施形態と同様に、圧電素子は複数個搭載してもよい。

　パネル１２０は、例えばタッチパネルの場合、タッチパネルに対する指、ペン、又はスタイラスペン等の接触を検出する。タッチパネルの検出方式は、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式（又は超音波方式）、赤外線方式、電磁誘導方式、及び荷重検出方式等の任意の方式でよい。またパネル１２０は、例えばガラスや合成樹脂からなり、板状体からなればよい。

　また、パネル１２０は、弾性シール部材４０により両側が挟まれることにより保持されるための十分な厚みがあればよい。また、パネル１２０は、樹脂フィルムや紙等よりも十分に剛性の高い材料が選択されるとよい。これにより、圧電素子１７０の湾曲振動により、パネル１２０自体が湾曲振動し、当該湾曲振動をユーザーに伝達することができる。

　パネル１２０は、表示機能を有する表示部のパネルである場合、液晶ディスプレイ、有機ＥＬディスプレイ、又は無機ＥＬディスプレイ等の表示デバイスの表面側のパネルであればよい。

　圧電素子１７０は、電圧を印加することで、構成材料の電気機械結合係数に従い伸縮する素子である。圧電素子１７０は、ユニモルフ、バイモルフまたは積層型圧電素子であってよい。積層型圧電素子には、バイモルフを積層した（例えば１６層または２４層積層した）積層型バイモルフ素子が含まれる。積層型の圧電素子の場合、例えばPZT（チタン酸ジルコン酸鉛）からなる複数の誘電体層と、該誘電体層間に配置された電極層との積層構造体から構成される。

　接合部材１８０は、熱硬化性あるいは紫外線硬化性等を有する接着剤や両面テープ等である。例えば無色透明のアクリル系紫外線硬化型接着剤である光学弾性樹脂でもよい。

　以上の構成を有する携帯電話機は、圧電素子１７０の伸縮に起因して振動するパネル１２０に利用者の体の一部が接触しても利用者に対して音を伝えることができる。

　圧電素子１７０は、例えば不図示の制御部から出力される電気信号に基づいて長手方向に伸縮（湾曲）する。圧電素子１７０は接合部材１８０によりパネル１２０に貼り付けられているため、パネル１２０は圧電素子１７０の伸縮に伴って振動する。パネル１２０は、圧電素子１７０が取り付けられた取付領域だけでなく、取付領域から離れた領域も振動する。パネル１２０は、ある瞬間において、振動の振幅が相対的に大きい部分と振動の振幅が相対的に小さい部分とがパネル全体にランダムに分布した振動をする。即ちパネル全域にわたって、複数の波の振動が検出される場合がある。どのような振動の波がどのように現れるかは再生される音声信号に対応した電気信号の周波数に依存する。

　上記の携帯電話機は、圧電素子に所定の音声信号に対応した電気信号を印加することで、タッチパネルや表示部を保護するカバーパネル等のパネルに振動を発生させ、当該振動させたパネルに、利用者の体の一部（例えば外耳の軟骨）を接触させることにより、利用者に対して音を伝えることができる。

　上記の携帯電話機のパネル１２０による出力音は、通話相手の音声または着信メロディもしくは音楽を含む楽曲等であることが想定される。楽曲は、内部メモリに記憶された音楽データに基づいて再生されるものでもよいし、外部サーバ等に記憶されている音楽データがネットワークを介して再生されるものであってもよい。

　圧電素子１７０の伸縮に起因するパネル１２０の振動に基づいて音を出力する場合、高音域に比べて低音域が聞こえにくいことが多い。そのため、低音域のみを増幅するようアンプを制御してよい。

　パネルの振動により利用者に音を伝える場合、別途ダイナミックスピーカを備える必要がなければ、音声伝達のための開口部（放音口）を筐体に形成する必要がなく、電子機器の防水・防塵構造が簡素化できる。尚、ダイナミックスピーカを別途備えてもよい。この場合、ダイナミックスピーカの放音口は、気体は通すが液体は通さない防水シート、例えばゴアテックス（商標）等により閉鎖されるとよい。

　圧電素子１７０は、パネル１２０における圧電素子１７０が取り付けられた取付領域だけでなく、パネルにおける当該取付領域から離れた領域も振動させる。そのため、利用者は、パネルの任意の位置に耳を接触させて音を聞くことができる。ここで、利用者の耳よりも広い面積を有するパネル１２０を採用することで、利用者は、利用者の耳とほぼ同じ大きさあるいは利用者の耳よりも大きな大きさのパネル１２０を備える電子機器を、耳全体が覆われるように接触させることで、周囲音（ノイズ）が外耳道に入ることを低減しつつ、電子機器から出力される音を聞くことができる。パネルは、耳輪から耳珠および対耳珠までの間の距離に相当する長さと、耳輪脚から対耳輪までの間の距離に相当する幅とを有する領域よりも広い領域が振動すればよい。平均的な耳の大きさは、例えば日本人であれば、社団法人　人間生活工学研究センター（ＨＱＬ）作成の日本人の人体寸法データベース（１９９２－１９９４）等を参照すれば知ることができる。尚、概ね、日本人の耳の大きさを目安にパネルを作製すれば、外国人にも適用可能と考えられる。

　上記の携帯電話機は、利用者の体の一部（例えば外耳の軟骨）を介して振動によって利用者に音を伝えることができるものであるため、ダイナミックスピーカと比較して空気の振動により周囲へ伝わる音を少なくできる。したがって、例えば録音されたメッセージを電車内等で聞く場合に適している。

　また、上記の携帯電話機は、パネル１２０の振動によって音を伝えるため、例えば利用者がイヤホンまたはヘッドホンを身につけていても、それらに電子機器を接触させることで、利用者はイヤホンまたはヘッドホンおよび体の一部を介して音を聞くことができる。

　また、上記の携帯電話機において、表示部６０と圧電素子１７０とは、パネル１２０の内部側の面に、パネル１２０の厚み方向において並んで配置されてもよい。この場合、表示部６０がパネル１２０に取り付けられていることで、パネル１２０の下部（図８、図９における下側）の剛性が上がり、圧電素子１７０によるパネル１２０の振動を利用者に効率よく伝えることが可能となる。この場合、支持子５０は、表示部６０ではなく、別の回路基板やシールドケース等により支持されてもよい。

　尚、このように振動しているパネル１２０を人体に接触させて音を伝えようとする場合、圧電素子１７０に印加される電圧は、通常の所謂パネルスピーカに搭載される圧電素子に印加される電圧よりも高く設定するとよい。これは、パネルの筺体に対する支持構造が大きく異なることに起因する。例えば、日本国特許公開公報：特開２０１０－１１４８６６に開示されたパネルスピーカの場合、パネルの板厚方向に、パネル自体が大きく変形することなく、パネル全体が一体のものとして上下に平行移動をするように、長手方向の両端で筺体に支持される。これに対して、上記の携帯電話機は、パネル１２０の外周部全体が接合部材１８０により筺体に接着されて支持される構造である。すなわち、携帯電話機のパネル１２０は、上記文献に記載されたパネルスピーカのパネルに比して、筺体に対して強固に固定されている。したがって、携帯電話機の圧電素子１７０に印加される電圧は、通常の所謂パネルスピーカに搭載される圧電素子に印加される電圧よりも高い。

　以上、携帯電話機について説明したが、当該携帯電話機は、上述した構成に限られることなく、構成に関して種々の変更が可能である。図９は、本発明を適用できる別の電子機器の変形例を示す図である。

　図９に示すように、圧電素子１７０とパネル１２０との間には、中間部材１９０が配置されてもよい。この場合、圧電素子１７０と中間部材１９０とが接合部材１８０により接着され、さらに中間部材１９０とパネル１２０とが接合部材１８０で接着される構造であってもよい。接合部材１８０は、上記した各種接着剤または両面テープであってよい。

　中間部材１９０は、例えば樹脂製の板、板金またはガラス繊維を含む樹脂製の板である。圧電素子１７０とパネル１２０との間に中間部材１９０を配置することで、例えばパネル１２０に外力が加わった場合に、その外力が圧電素子に伝達され圧電素子が破損する可能性を低減することができる。また、圧電素子１７０とパネル１２０との間に、中間部材１９０を配置することで、パネル１２０の共振周波数が下がり、低周波帯域の音響特性が向上する。尚、中間部材１９０に換えて、板状の錘を接合部材１８０により圧電素子１７０に取り付けてもよい。これにより、人体にパネルを強く接触させても、パネルの振動が減衰しにくくできる。

　また、上記の携帯電話機においては、圧電素子はパネルに貼り付けられているが、パネルと異なる場所に取り付けられてもよい。例えば、圧電素子は、筺体に取り付けられてバッテリを覆うバッテリリッドとして機能するパネルに貼り付けられてもよい。バッテリリッドとして機能するパネルは携帯電話機においてタッチセンサ用のパネルと異なる面に取り付けられることが多いため、そのような構成によれば、利用者はタッチパネル用のパネルと異なる面に体の一部（例えば耳）を接触させて音を聞くことができる。

　上記のような、利用者の体の一部（例えば外耳の軟骨）を介して利用者に対して音を伝える電子機器は、振動するパネルに接触する利用者の体の一部を介して伝導する音（人体伝導音）およびパネルの振動に起因するパネル近傍の空気の振動（気導音）の両方を利用者に伝えるものであってもよい。

　さらに、この発明は、携帯電話端末のみならず、表示部表示部外観を構成するパネルを備える種々の電子機器（ゲーム端末、タブレットＰＣ、カーナビゲーション等）に適用することができる。

　ここまで、本発明の複数の実施形態について説明したが、当然ながら各実施形態の構成同士を適宜組み合わせることは可能である。

　１　電子機器
　１０　筐体
　１０ａ　装着部
　１０ｂ　取り付け開口部
　１０ｃ　壁面
　２０、１２０　タッチパネル
　３０　ベゼル
　４０　弾性シール部材
　４０ａ　圧入部
　４０ｂ　被挟持部
　４０ｃ　受け部
　５０　支持子
　６０　表示部
　７０，１７０　圧電素子
　１８０　接合部材
　１９０　中間部材

Claims

　パネルと、
　該パネルを振動させる振動部と、
　前記パネルに取り付けられた弾性シール部材と、
　前記パネルの上面周縁部を覆うように筐体に装着されたベゼルと、を備え、
　　前記弾性シール部材は、
　前記パネルの側面全周に亘って固着されて、前記筐体の前記タッチパネルの取り付け開口部の壁面に、前記パネルと一体に摺動可能に圧入される圧入部と、
　前記パネルの周囲の少なくとも一部において前記ベゼルの装着部に延在して、前記ベゼルと前記支持部材との間に挟持される被挟持部と、を有する、
　ことを特徴とする電子機器。
　前記パネルは、利用者の耳全体を覆うことができる大きさである、請求項１に記載の電子機器。
　パネルと、
　該パネルを振動させる振動部と、
　前記パネルに取り付けられた弾性シール部材と、
　前記パネルの上面周縁部を覆うように筐体に装着されたベゼルと、を備え、
　　前記弾性シール部材は、
　前記パネルの側面全周に亘って接触されて、前記筐体の前記パネルの取り付け開口部の壁面に、前記パネルと一体に摺動可能に圧入される圧入部と、
　前記パネルの底面端部全周に亘って固着されて、前記パネルを載置する受け部と、
　前記パネルの周囲の少なくとも一部において前記ベゼルの装着部に延在して、前記ベゼルと前記支持部材との間に挟持される被挟持部と、を有する、
　ことを特徴とする電子機器。
　前記パネルは、利用者の耳全体を覆うことができる大きさである、請求項２に記載の電子機器。