WO2012042806A1

WO2012042806A1 - 搬送台車の駆動輪構造

Info

Publication number: WO2012042806A1
Application number: PCT/JP2011/005363
Authority: WO
Inventors: 勝俊石榑; 悦宏小塚; 佑介斎藤; 和昭岩本; 敬太西部
Original assignee: 富士変速機株式会社
Priority date: 2010-09-29
Filing date: 2011-09-26
Publication date: 2012-04-05
Also published as: JP2012071810A

Abstract

本発明は、電動モータ４の駆動回転で走行する搬送台車１の駆動輪構造に関する。当該駆動輪構造は、搬送台車１の車体を支持して搬送可能にする枠体３を備え、該枠体３に進行方向へ駆動回転する回転体６を備える。当該回転体６が電動モータ４の回転を入力するケース本体１３で覆われた減速機５を内蔵する。前記減速機３の入力側を前記枠体３の一端に配置してシール付き軸受１４ａで支持すると共に、当該減速機５から突出する出力側を前記枠体３の他端に配置してシール付き軸受１４で支持する。回転体６の外周面にホイール１６を嵌着し、ホイール１６の外周にタイヤ８を形成して車体を走行可能にし、一端と他端の軸受１４ａ、ｂには、油が外部に流出する側にシール部材２０を配置することを特徴とする。

Description

搬送台車の駆動輪構造

本発明は、搬送台車の駆動輪（駆動装置）に関する。特には、油漏れに対する耐性及び／又はメンテナンス性を改善した搬送台車の駆動輪構造に関する。

特許文献１の駆動輪２は、ホイール３に内蔵する変速機５と、該変速機５に入力する電動モータ６と、電動モータ６に設けられたブレーキ７と、前記変速機５の密閉したケース本体２５にパイプ管１８で連結する圧力除去缶１９と、圧力除去缶１９に設けられた、大気に接する透孔とを備え、ケース本体２５内の潤滑油Ｏにパイプ管１８の一端を挿入し、パイプ管１８の他端を該圧力除去缶１９の底面に配置する。

　特許文献１に示す従来の駆動輪は、段車により減速する機構を有する、車輪に隣接する変速機を備える。また、出力内歯車に車輪を嵌め込む機構のために、大型化すると、シール構造も大径にすることにより部品価格も高価になるため、車輪幅を広げることができない。このため、過重量の積載をすることが多いとき、車輪が剛性に耐えられなくシールに異常を生じ油（例えば、潤滑油）が漏れるという問題を生じる。この油漏れが生じると、環境を潤滑油で汚染するとともに、駆動輪の分解掃除又は修理を必要とするため、従来の駆動輪にはメンテナンス等の時間と費用が非常にかかることが問題であった。

　さらには、油漏れをした場合に修理又は掃除するために、或いは、油漏れの有無を確認するために、駆動輪を搬送台車から外した上で、駆動輪からタイヤを外し、駆動モータと変速機とホイールとを分解する必要がある。特には、ホイール及びタイヤの脱着作業には非常に時間がかかるため、外部への油漏れを抑えるとともに、ホイール及びタイヤの脱着作業を容易にすることが求められている。すなわち、搬送台車の駆動輪構造には、油漏れへの耐性及びメンテナンス性の向上が求められている。

特開２０１０－７８１３１号公報

　本発明の目的は、上記油漏れの問題に対応した、搬送台車の駆動輪構造を提供することにある。

　特には、本発明の目的は、電動モータの駆動回転で走行する搬送台車の車輪からの油漏れを防止するシールの構造を有する駆動輪構造を提供することにある。より具体的には、駆動輪の全体の大きさを変えることなく、改善したシール構造を備えることで、車輪の幅を広げることができ、剛性を高めることができ、さらに、もし減速機に油漏れが発生しても外部に油が流出することを防止するように駆動輪内部を密閉するシール構造を有する駆動輪構造を提供する。

　本発明は、さらに、ホイールと回転体とを分離して、回転体に内蔵した変速（減速）機として、モータ軸と出力軸とを同軸にして全体を覆う枠体に軸着され、回転体を駆動回転させ、ホイールとタイヤとを回転体に嵌着した、搬送台車の駆動輪構造を提供する。

　本発明は、さらに、潤滑油の漏れを防止するために、内部圧を抜く空気孔を配置した搬送台車の駆動輪構造を提供する。

　請求項１の発明は、車輪の幅を広げて、広げたホイール内に減速機を内蔵して、この減速機のシールにより油漏れを防止して、さらに、このホイールをシールで密閉する軸受を形成することで、油漏れ防止を強化する構成を有する。

　本発明の駆動輪構造は、搬送台車の車体を支持して搬送可能にする枠体と、この枠体に進行方向へ駆動回転する回転体とを備えている。前記回転体は、電動モータの回転を入力するケース本体で覆われた減速機を内蔵している。そして、減速機の一端側は、入力側を枠体に配置してシール付き軸受で支持されている。この減速機は、突出する出力側を前記枠体の他端に配置してシール付き軸受で支持されている。回転体の外周面をホイールで嵌着した上でタイヤを形成することで車体を走行可能にする。前記軸受には、一端及び他端で、外部へ流出する側にシール部材を配置して密閉する構成が設けられている。請求項１の構成では、車輪の内部に減速機を備え、この車輪を覆うように軸受を備え、この軸受をシールすることで、減速機から油漏れが発生しても駆動輪内部が密閉されて、油を外部に漏らすことがない。

請求項２の発明によれば、請求項１の発明において、シール部材は、減速機のケース本体を支持する両タイヤカバーに配置する軸受を密閉する構成とする。請求項２の構成では、車輪からの油漏れを防ぐことができる作用がある。

　請求項３の発明によれば、請求項１の発明において、減速機は、両端を前記ホイールで密閉して、軸心の一線上にホイールを駆動輪として形成し、この軸心を中心に駆動回転する構成とする。請求項３の構成では、同軸上の全体を覆うホイールで形成することができるので、車輪幅を広くできる。

　請求項４の発明によれば、請求項１の発明において、車輪の外装側を避けて内装側にシール部材を配置している構成とする。請求項４の構成では、車輪が障害物に接触したときに、シール部材に直接の損傷を無くすことができる。

　請求項５の発明によれば、請求項１の発明において、前記枠体は、回転体の側面位置で、車輪を軸着して支持するタイヤカバーを固着する。前記タイヤは、タイヤカバーを外して回転体から脱着可能にする構成とする。タイヤ交換時にタイヤカバーを外して、回転体に嵌め込んだホイールを引き抜くことでタイヤ交換をすることができる。

　請求項６の発明によれば、請求項５の発明において、タイヤは、ホイールにウレタン又はゴム製の外周材を固着して、回転体の外周面を異径の段差にして、ホイールの内周面を前記回転体の外周面の段差に相対する段差にして、回転体とタイヤを脱着可能にする構成とする。回転体とホイールの嵌着面の接触面積を少なくすることで、脱着の抵抗を小さくして容易に外すことができる。

　請求項７の発明によれば、請求項６の発明において、回転体の外周面の段差は、複数段として、奥側から手前側へ順に段差の幅を狭くして、径を小さくしていく構成とする。ホイールの位置決めを奥側からできるので、軸心を出しやすくして嵌め込みやすくなる。

　請求項８の発明によれば、請求項１の発明において、減速機が歯車群に回転を入力する（ピニオンを備えた）入力軸を軸着し、該入力軸の軸受に空間を介してモータ部の軸受を配置する。モータ部の軸受は、フレームで密閉して支持して、モータ軸に入力軸をクラッチで接続するクラッチ室を備え、該クラッチ室に外圧と給排気可能な透孔を備える。（モータ側とピニオン側の）入力軸の軸受は、ベアリングであり、このベアリングが減速機の潤滑油を遮断して空気圧を外部に排出する構成とする。請求項８の構成では、軸受を潤滑油の遮蔽材に使うことで、電動モータの高速回転側の軸受であり、ベアリングの鋼板製のシールドの高回転がラビリンスの作用による潤滑油を遮断でき、空気圧だけが通過するので、小径位置で小型にでき、両軸受間に空間を配置して少量の通過した潤滑油を溜める。

　請求項９の発明は、電動モータの駆動回転で走行する搬送台車の駆動輪構造である。この駆動輪は、車体を支持して水平方向に旋回可能にする枠体と、この枠体を走行方向へ回転可能に軸着する回転体とを備えている。この回転体は、電動モータの回転を入力する減速機を備えている。この減速機は、出力軸に回転体を固着して、この回転体の外周面にホイールを嵌着してタイヤを形成させ車体を走行可能にする。枠体は、回転体の側面位置で、車輪を軸着して支持するタイヤカバーを固着する。タイヤは、タイヤカバーを外して回転体から脱着可能にする構成とする。請求項９の構成では、タイヤ交換時にタイヤカバーを外して、回転体に嵌め込んだホイールを引き抜くことでタイヤ交換をすることができる。

　請求項１０の発明によれば、請求項９の発明において、タイヤは、ホイールにウレタン又はゴム製の外周材を固着して、回転体の外周面を異径の段差にして、ホイールの内周面を前記回転体の外周面の段差に相対する段差にして、回転体とタイヤを脱着可能にする構成とする。請求項９の構成では、回転体とホイールの嵌着面の接触面積を少なくすることで、脱着の抵抗を小さくして容易に外すことができる。

　請求項１１の発明によれば、請求項１０の発明において、回転体の外周面の段差は、複数段として、奥側から手前側へ順に段差の幅を狭くして、径を小さくしていく構成とする。請求項１０の構成では、ホイールの位置決めを奥側からできるので、軸心を出しやすくして嵌め込みやすくなる。

　請求項１の発明では、油漏れの原因になる潤滑油を備えた減速機を車輪に内蔵して、小型化することができるとともに、シールで覆うことで減速機のシールと車輪の軸受のシートとで二重に対策することになり、外部に漏れるのを防止できる効果がある。さらに、シール部材により塵の侵入を遮断するため、軸受を長持ちさせることができる。これにより、駆動輪の耐久性を改善する。

　請求項２の発明では、シール用の軸受をさらにシールして、油漏れを何重にも防ぐことができる効果がある。

　請求項３の発明では、駆動部が車輪の軸心に沿って配置されるので、搬送台車を低くすることができ、荷物の積み下ろしが容易にできる効果がある。

　請求項４の発明では、走行中に外装が接触することがあっても、シールの損傷を防ぐことができる効果がある。

　請求項５の発明では、タイヤ交換が容易にできる効果がある。すなわち、駆動輪のメンテナンス容易性を改善する。

　請求項６の発明では、ホイールの脱着に少ない力で、脱着距離を短くて、速く容易にできる効果がある。

　請求項７の発明では、回転体の軸心とホイールの軸心を合わせ、タイヤの取付けが容易にできる効果がある。すなわち、駆動輪のメンテナンス容易性を改善する。

　請求項８の発明では、高速回転の軸受が潤滑油を遮断するので、空気圧のみが通過するため、小径位置に設置することができる。すなわち、駆動輪構造を小型化した上で、減速機の内部圧を抜くことができ、油漏れを防止することができる。

　請求項９の発明では、タイヤの脱着が容易にできる効果がある。すなわち、請求項９の発明は、駆動輪構造のメンテナンス容易性をより一層改善するものである。

　請求項１０の発明では、ホイールの脱着に少ない力で、脱着距離を短くて、速く容易にできる効果がある。

　請求項１１の発明では、回転体の軸心とホイールの軸心を合わせ、タイヤの取付けが容易にできる効果がある。

本発明の一実施形態の搬送台車の正面図。図１の駆動輪構造の正面断面図。回転体の軸受とシール部材を説明する、図２の駆動輪構造の断面図。本発明の別実施形態の駆動輪構造の正面断面図。図４の駆動輪構造の部分拡大断面図。

（実施例１）
　本発明の一実施形態の駆動輪構造（駆動装置）２を図１～３に基づいて説明する。一実施形態では、搬送台車１の駆動輪構造２を荷台７の下面に旋回可能に配置して、電動モータ４を駆動源にして、減速機５を介して駆動回転させ、タイヤ８で床面ＧＬを走行する。そして、この駆動輪構造２は、この減速機５からの油漏れの対策をした駆動輪２のシール構造を有する。

　図１は、搬送台車１を示し、平面状の荷台７を備え、荷台７の下面に駆動輪２を複数台に配置して、図示略の制御により電源の供給と信号を伝達して、駆動輪２の旋回と回転数を制御して目的地に走行可能にしている。駆動輪２は、ウレタン・ゴム等の重量に耐えることができる材質にしたタイヤ８を駆動回転させて、通路ＧＬを走行して荷台７に搭載した搭載物２２を搬送することができる。荷台７は、低い位置にすることで、搭載物２２の積み下ろしが楽になるため、駆動輪２を小径にする必要があり、電動モータ４と減速機５とタイヤ８を小型化して配置する。

　後述するとおり、図３を参照すると、減速機５は、複数段の３点遊星歯車機構のギヤ群１１が噛合い回転して、潤滑油Ｏにより冷却作用と磨耗対策にグリスを封入している。

　タイヤ８は、小径のため、走行距離に対して回転量が多く通路ＧＬの衝撃振動も多くなり、減速機５のシール効果が下がり少量の潤滑油Ｏが漏れることがあるが、ホイール１６内に密閉するように両端をシール付きの軸受１４を嵌着しているため、この軸受１４で油漏れを止めることができ、潤滑油Ｏが外部に流出するのを防ぐ。さらに、この軸受１４をシール部材２０で密閉することで、油漏れがあっても外部に流出することがなく、もしもこの軸受１４からグリスが漏れても、外部に流出するのを塞ぐために、外部環境を油で汚染することなく、安全に走行することができる。

　タイヤ８は、操舵の旋回が多いと偏磨耗により交換を要することになり、このタイヤ交換に要する時間が長いと一台あたり４輪あるとして、４輪の交換を必要にし、数週間停止状態になり、稼働率が下がり仕事に悪影響を与える。対策として従来は、駆動輪２の全体を一式交換することにして、時間は短いが費用が高く、ランニングコストが上がる欠点を持っていた。本発明の駆動輪２のタイヤ８は、その場で短時間に新しいタイヤ８と入れ替えることができ、費用も安く、直ぐに運転可能になり稼働率を上げることができる。

　図２は、駆動輪２の構造を説明するもので、荷台７にボルトで固着する回転ベース２１を枠体３の最上部に備え、この枠体３がタイヤ８を軸着して覆うようにフレームを形成し、回転ベース２１に旋回軸２０の軸心を中心にして、回転ベース２１の外周面に噛合う旋回モータ２３により回転ベース２１を旋回させることで枠体３を旋回して操舵する。図３に示すとおり、枠体３には、内側にタイヤ８の軸心が軸受１４により駆動回転可能に支持され、外側に電動モータ４が固着されて、電動モータ４のモータ軸１０を軸受１４と同心にタイヤ８の軸に入力している。

　タイヤ８は、アルミ製の円筒のホイール１６の外周面に接着された、ウレタン・ゴム等により円筒の緩衝材で形成して、通路ＧＬの振動・衝撃を吸収している。ホイール１６は、外周面にウレタン・ゴム等を円筒状に巻きタイヤ８として形成し、（図３で示される）駆動回転する回転体６に固定されている。回転体６は、減速機５の出力軸１２に固着され、モータ軸１０の高回転を減速機５により、低回転に落として高トルクの出力の伝達を受けている。モータ軸１０は、電動モータ４による高回転で回転して減速機５に入力され、減速機５のギヤ群１１により低回転の高トルクに変換され、出力軸１２に伝達される。

　出力軸１２は、枠体３のタイヤカバー（側板）９に軸受１４ｂを介して軸着され、枠体３に固着した減速機５の周辺を回転する円筒状の回転体６を固着している。回転体６は、一端を減速機５の外周面の第１の軸受１４ａに支持され、他端に駆動力を伝達する出力軸１２に固着して、タイヤ８に掛かる荷重を、出力軸１２と軸受１４ａで支えて回転可能にしている。出力軸１２は、第２の軸受１４ｂにより支持され、同心上のモータ軸１０の回転を駆動力に変えて伝達される。

　図３は、回転体６の断面図であり、電動モータ４が枠体３に固着されてモータ軸１０を継手１９に連結して、継手１９から入力軸１５をギヤ群１１に噛合わせ、出力軸１２を回転させる。出力軸１２は、回転体６の一方を固着して、タイヤカバー９に備えた軸受１４ｂに支持され、回転可能にして回転体６を駆動回転させることができる。

　回転体６は、円筒型で両端を軸受１４ａ及び１４ｂで支持され、荷台７に掛かる荷重をタイヤ８の接地面が受け、出力軸１２の駆動回転で走行させることができる。タイヤカバー９は、枠体３にボルト１８の螺合により脱着可能に固着され、タイヤ８の側面を覆うようにして、出力軸１２の軸受１４ｂを備え、外部露出するタイヤカバー９の内側にシール部材２０を備えて回転可能にしている。シール部材２０は、オイルシールを採用して説明するが、フェルト・ゴム板・コルク等をシール材として採用しても十分にシール効果がある。

　軸受１４ａは、タイヤ８に掛る荷重を外周面で受け、受けた荷重を内周に嵌着するケース本体１３に支持され、回転体６がモータ軸１０を中心にして滑らかに回転させることができる。ケース本体１３は、枠体３に固着されて、前記軸受１４ａを内側にして隣接させて、回転体６と枠体３との間を、密閉するシール部材２０を嵌着している。このシール部材２０は、軸受１４ａに内蔵してある潤滑油のグリスが、万が一にも漏れたときに防止することができると共に、タイヤ８が通路ＧＬの塵等を撒き上げても、軸受１４ａに付着しないため、長持ちさせることができる。

　軸受１４ｂは、軸状の回転体６の端部を出力軸１２に固着して、タイヤカバー９に支承して、タイヤ８を回転可能にしている。タイヤカバー９の内側には、軸受１４ｂに隣接して、タイヤカバー９と回転体６の間にシール部材２０を嵌着して、軸受１４ｂに内蔵してある潤滑油のグリスが万が一にも漏れたとしても、このシール部材２０がグリスを遮断して、通路ＧＬの汚しを防止して、通路ＧＬからの塵等の撒き上げによる侵入も防止して、軸受１４ｂを円滑な回転に維持させることができる。シール部材２０は、回転体６の両端を支持する軸受１４ａ・１４ｂに挟まれた減速機５を内蔵して、減速機５の潤滑油の漏れを遮断し、さらに、前記軸受１４ａ・１４ｂを閉じ込める方向に遮断することで、安全性を高めたシール効果を得ることができる。

　減速機５の潤滑油Ｏは、入力軸１５と出力軸１２に軸受１４ａ、ｂを備え、この軸受１４ａ、ｂが減速機５内の潤滑油Ｏの漏れを封じている。潤滑油は、ケース本体１３内のギヤ群１１の摩耗と高熱を抑えて、円滑にトルクを伝達する。ケース本体１３内の圧力は、内圧と言いギヤ群１１の異常な摩擦熱が発生すると、空気が膨張して潤滑油Ｏが漏れることがあり、ケース本体１３を覆うようにホイール１６を外周に配置して、軸受１４ａ及び軸受１４ｂにより塞ぐことができ、さらに最終的にシール部材２０により塞ぐことで安全性を高めている。

　タイヤカバー９を外すときは、タイヤ８の交換や油漏れの点検、掃除等をするときで、荷重が片寄りになるため、タイヤ８に荷重が掛からないようにジャキアップして外すことで、出力軸１２に固着された回転体６と、回転体６に嵌着されたホイール１６の側面全体が現れる。回転体６とタイヤ８は、複数個のボルト１８で嵌着してあり、順次ボルト１８を外して、回転体６とホイール１６の嵌着面１７を軸方向へ移動させて分離させる。

　嵌着面１７は、断面が階段状の段差にして、取付けるとき最初に嵌着面１７ａの奥側に嵌りこみ、次に嵌着面１７ｂに嵌るところで、軸心が出て全体の嵌着面１７とホイール１６との軸方向が平行になるため、嵌着面１７ｃを速やかに嵌め込むことができる。嵌着面１７の長さは、嵌着面１７ａが一番長く、次に嵌着面１７ｂにして、最後に最も短い嵌着面１７ｃとしている。ホイール１６を軸方向に引き抜くことで、最初に、嵌着面１７ｃが外れる。これにより、接触抵抗が少なくなり、次に嵌着面１７ｂが外れる。そして、更に接触抵抗が小さくなると共に引き抜く距離が短くなり、ホイール１６幅の半分ぐらいでほとんど外れる状態になる。すなわち、容易に回転体６からホイール１６を外して、タイヤ８を脱着可能である。

　タイヤを外した後に、再度、タイヤカバー９が外された状態の回転体６にタイヤ８が嵌め込まれることになる。まずは、ホイール１６を回転体６の嵌着面１７ａに預けることでホイール１６の幅の三分の一が入り込んで状態であり、等分した２，３箇所のボルト１８の位置に、長めの寸法のボルトを通して螺進することで、嵌着面１７に入り込む。ホイール１６は、嵌着面１７ｂに入り込むと、回転体６とホイール１６が略平行になり、軽く挿入させることができる。つまり、ホイール幅の約半部ほどの距離で入れ替えができるので、簡単にして容易に速く作業ができ、ボルト１８を標準の寸法のもので螺合することができる。

　このときの回転体６は、軸受１４ａで支持されているだけで、出力軸１２側に若干の心振れが生じる。この出力軸１２には、タイヤカバー９の軸受１４ｂを軸着して、枠体３に螺合して固着させることでタイヤ８を駆動輪２として正常に回転させることができる。軸受１４ａと軸受１４ｂは、モータ軸１０と出力軸１２とが同心で一線上であればよいが、多少の誤差を生じてもモータ軸１０に配置された継手１９により、効率よく伝達することができる。

　駆動装置２は、電動モータ４のモータ軸１０の入力回転を、減速機５を介して低回転の高トルクにして、出力軸１２の駆動力をタイヤ８に伝達して、通路ＧＬを走行させる。このとき、タイヤ８が通路ＧＬ上に溜まる塵等が撒き上げられてホイール１６付近に塵が舞って軸受１４が危険になるが、シール部材２０により塵の侵入を遮断して軸受１４に近づくことができないため、軸受１４をいつまでも円滑に回転可能に保持することができる。

　シール部材２０の位置は、駆動装置２の外周面を避けて内周面に備えてあり、駆動装置２が走行と旋回をして搬送中のとき、通路ＧＬに載置してある物品・コーナー枠等に接触しても、シール部材２０を無傷の状態にして、シール効果を維持することで長時間の稼働をすることができる。

（実施例２）
　実施例２は、上述したシール部材２０及びタイヤカバー９の構成を有すると共に、より一層潤滑油の漏れの頻度を減少させた駆動輪構造に関する。

　駆動輪２は、搬送台車１の走行時間が長いと減速機５が熱を持ち内部圧が高くなり、潤滑油Ｏが軸受のベアリング２５から外部に漏れる可能性がある。このような潤滑油の漏れを防止するために、内部圧を抜く空気孔（透孔２７）を配置する構造を有する駆動輪構造について、図４及び図５に示した実施形態で説明する。

　図４に示すとおり、減速機５は、駆動輪２に内蔵されてギヤ群１１の回転により、熱を持ち内気圧が高くなり、入力軸１５の第３の軸受１４ｃ、１４ｄからクラッチ室２９に排気される。クラッチ室２９は、密閉されて上部の鉛直方向にブリーザ２４が螺合され、ブリーザ２４に備えられた透孔２７から排気される。

　図５は、入力軸１５の軸受１４ｃ・１４ｄを拡大して、減速機５の内気圧の空気Ａの排気に付いて説明する。空気Ａは、搬送台車１が走行する時間により、駆動輪２で覆われた実施形態の３点遊星歯車機構の減速機５がギヤ群１１の回転で熱を持ち、ケース本体１３の内気圧が高まり、入力軸１５のピニオン側の軸受１４ｃに圧力をかける。

　軸受１４ｃは、ベアリング２５であり、両側面に鋼板製シールド２６で閉鎖しているＺＺと呼ばれているものである。このベアリング２５は、非接触で密閉されてなく、空気Ａの通気が可能であるが、潤滑油Ｏを遮断することができる鋼板製シールド２６と、高速回転する内輪とにより、ラビリンス作用を発揮し、潤滑油Ｏの浸入を防止することができる。この潤滑油Ｏは、少量のグリスが納入され、少量でもギヤ群１１の遊星歯車の回転により全体に飛散され円滑に循環させることができる。

　もしも、ピニオン側のベアリング２５から飛散した少量の潤滑油Ｏが、鋼板製シールド２６の非接触の間隙から内気圧の空気Ａと一緒に排出したとしても、排出場所が密閉された空間３０であり、重量の重い潤滑油Ｏが落下して、空気Ａだけがクラッチ室２９のベアリング２５の鋼板製シールド２６を通過して、水平方向の透孔２７から鉛直方向の透孔２７を通過して、クラッチ室２９に入る。さらに、シール材２０によって、この潤滑油Ｏが外部に漏れ出ることを２重に防止する。

　透孔２７は、入力軸１５を支持するベアリング２５を側面から覆うカバー３１にして空間３０の上方の位置に備え、このカバー３１にオイルシール２８を備え密閉状態に固着している。クラッチ室２９は、密閉された空間で天井部にブリーザ２４が螺合され、大気に排出可能にして、中心部にモータ軸１０と入力軸１５を継手１９で連結している。

　したがって、本実施形態は、車輪に内蔵した駆動部により回転体を回転させ、走行可能にする搬送台車であり、この駆動部の減速機の熱により高まった内気圧を、入力軸の軸受から潤滑油を遮断して空気だけ通気させて大気に排気する、軸心の小径位置に配置する小型化した空気抜き構造を提供する。

駆動輪は、搬送台車用の車輪に採用され、小型で剛性の高い車輪であり、この車輪からの油漏れを無くすことで、クリーンルーム又は食品用の搬送台車に採用され、環境を汚すことなく清潔に駆動する車輪として利用される。

１　　搬送台車
２　　駆動輪構造（駆動装置）
３　　枠体
４　　電動モータ
５　　減速機
６　　回転体
７　　荷台
８　　タイヤ
９　　タイヤカバー
１０　モータ軸
１１　ギヤ群
１２　出力軸
１３　ケース本体
１４　軸受
１４ａ　第１の軸受
１４ｂ　第２の軸受
１４ｃ、ｄ　第３の軸受
１５　入力軸
１６　ホイール
１７　段差
１８　ボルト
１９　継手
２０　シール部材
２５　ベアリング
２７　透孔
２９　クラッチ室
Ｏ　　潤滑油

Claims

　電動モータの駆動回転で走行する搬送台車の駆動輪構造であって、
　前記搬送台車の車体を支持して搬送可能にする枠体と、
　前記枠体に進行方向へ駆動回転する回転体と、を備え、
　前記電動モータの回転を入力するケース本体で覆われた減速機が前記回転体に内蔵され、前記減速機の入力側が前記枠体の一端側に配置されて第１の軸受で支持されると共に、前記減速機の出力側が前記枠体の他端側に配置されて第２の軸受で支持されており、
　前記回転体の外周面にホイールが嵌着すると共に、前記ホイールの外周にタイヤが形成されて、前記搬送台車を走行可能にし、
　前記減速機に対して外部側で、前記第１の軸受及び前記第２の軸受にそれぞれ隣接するようにシール部材が配置されていることを特徴とする、搬送台車の駆動輪構造。
　前記第２の軸受は、前記枠体の他端側で前記回転体を支持するように、前記ホイールの側面位置に配置されるタイヤカバーに備えられることを特徴とする請求項１記載の搬送台車の駆動輪構造。
　前記減速機の両端は、前記ホイールに密閉状態で内蔵されて、軸心の一線上に前記ホイールを駆動輪として形成して、前記軸心を中心にして駆動回転することを特徴とする請求項１記載の搬送台車の駆動輪構造。
　当該駆動輪構造の外装側を避けた内装側に前記シール部材が配置されていることを特徴とする請求項１記載の搬送台車の駆動輪構造。
　前記枠体の前記ホイールの側面位置にタイヤカバーが固着され、前記タイヤは、前記タイヤカバーを外して前記回転体から脱着可能であることを特徴とする請求項１記載の搬送台車の駆動輪構造。
　前記タイヤは、前記ホイールにウレタン又はゴム製の外周材を固着して、前記回転体の外周面を異径の段差を備え、前記ホイールの内周面を前記回転体の外周面の段差に相対する段差にして、前記回転体と前記タイヤとを脱着可能にすることを特徴とする請求項５記載の搬送台車の駆動輪構造。
　前記回転体の外周面の段差は、複数段として、奥側から手前側へ順に段差の幅を狭く径を小さくしていることを特徴とする請求項６記載の搬送台車の駆動輪構造。
　前記減速機の入力軸を支持する第３の軸受と、
　前記電動モータのモータ軸と前記入力軸とを継手で接続するクラッチ室とをさらに備え、
　前記クラッチ室には外圧と給排気可能な透孔が設けられ、
　前記第３の軸受は、潤滑油を遮断して空気圧を通気するベアリングであることを特徴とする請求項１記載の搬送台車の駆動輪構造。
　電動モータの駆動回転で走行する搬送台車の駆動輪構造であって、
　前記搬送台車の車体を支持して水平方向に旋回可能にする枠体と、
　前記枠体に走行方向に回転可能に軸着する回転体と、を備え、
　前記回転体は、前記電動モータの回転を入力する減速機を備えると共に、前記減速機の出力軸に固着されて、その外周面にホイールを嵌着し、前記ホイールの外周にタイヤを形成して前記搬送台車を走行可能にし、
　前記枠体の前記ホイールの側面位置に前記タイヤを軸着するタイヤカバーを固着して、
　前記タイヤは、前記タイヤカバーを外して前記回転体から脱着可能にすることを特徴とする搬送台車の駆動輪構造。
　前記タイヤは、前記ホイールにウレタン又はゴム製の外周材を固着して、前記回転体の外周面を異径の段差を備え、前記ホイールの内周面を前記回転体の外周面の段差に相対する段差にして、前記回転体と前記タイヤを脱着可能にすることを特徴とする請求項９記載の搬送台車の駆動輪構造。
　前記回転体の外周面の段差は、複数段として、奥側から手前側へ順に段差の幅を狭く径を小さくしていることを特徴とする請求項１０記載の搬送台車の駆動輪構造。