WO2012032912A1 - ステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムおよび樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、これら樹脂は、有限資源である石油を出発原料としているため、石油資源枯渇の問題が危惧されている。
昨今、上記の問題を解決する材料としてポリ乳酸系重合体が脚光を浴びており、実際多くの研究、開発がされている。ポリ乳酸系重合体はその出発原料がトウモロコシなどの植物原料であることから、資源枯渇の問題が解消される。しかしながら、ポリ乳酸は、従来の石油由来原料、例えば、ポリカーボネートに比べるとガラス転移点が低いため、実用上使用可能な耐熱性を付与するために結晶化させる必要があるが、結晶化により透明性が低下してしまい、光学用途には使えないという問題があった。
一方で、L−乳酸単位からなるポリ−L−乳酸とD−乳酸単位からなるポリ−D−乳酸を溶液あるいは溶融状態で混合することにより、ステレオコンプレックスポリ乳酸が形成されることが知られており(例えば、特許文献1および非特許文献1)、このステレオコンプレックスポリ乳酸はポリL−乳酸やポリD−乳酸に比べて、高い透明性と耐熱性を示すことが知られている。
さらに、このステレオコンプレックスポリ乳酸に対して、押出工程における流動を制御したり、核剤を用いたりすることにより、さらに透明性を改善する方法があるが(例えば、特許文献2、3、4)、これらの技術を用いても、光学用途に適用できる十分な透明性を得るためには、フィルムを延伸するなどの操作が必要であり、例えば低位相差が要求されるような偏光板の偏光子保護フィルムや透明導電性積層体の基板などには使用不適当であった。また、ヘイズが低い場合でも球晶のような結晶構造などにより偏光解消を生じるなどの問題があった。この偏光解消についてはクロスニコル配置の一対の偏光板間にフィルムを挿入した場合の輝度の上昇具合などにより評価される。
課題を解決するための手段
本発明者らは、上記従来技術に鑑み、特に、ステレオコンプレックスポリ乳酸へ種々の添加剤を添加して改質する手法について検討した。
そして、驚くべきことに、ポリオレフィン系樹脂の造核剤として知られていた特定のアミド系化合物を、ステレオコンプレックスポリ乳酸に添加した際に、ポリオレフィン系樹脂の造核剤として知られている他の化合物を添加した場合とは異なる挙動を示すことを見出した。
この知見を基に、さらに鋭意検討を重ね、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、以下の発明を包含する。
1.下記一般式(1)で表されるアミド系化合物を含む、ステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルム。
(式中、R1は、1,2,3−プロパントリカルボン酸又は1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸から全てのカルボンキシル基を除いて得られる残基を表す。3個又4個のR2は、互いに同一又は異なって、それぞれ水素原子又は炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す。kは、3又は4の整数を表す。)
2.アミド系化合物が下記式(2)で表される化合物である、上記1記載のステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルム。
3.結晶化度(C)が90%以上である、上記1記載のステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルム。
4.結晶化度(C)が70%以下である、上記1記載のステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルム。
5.ステレオコンプレックス結晶化度(S)が90%以上である、上記1記載のステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルム。
6.ヘイズが1%以下である、上記1記載のステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルム。
7.面外位相差(Rth)の絶対値が20nm以下である、上記1記載のステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルム。
8.面外位相差(Rth)が−20nm以下である、上記1記載のステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルム。
9.下記一般式(1)で表されるアミド系化合物を含む、ステレオコンプレックスポリ乳酸系樹脂組成物。
(式中、R1は、1,2,3−プロパントリカルボン酸又は1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸から全てのカルボンキシル基を除いて得られる残基を表す。3個又4個のR2は、互いに同一又は異なって、それぞれ水素原子又は炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す。kは、3又は4の整数を表す。)
10.アミド系化合物が下記式(2)で表される化合物である、上記9記載のステレオコンプレックスポリ乳酸系樹脂組成物。
発明の効果
本発明によれば、植物由来の原料を用いることで環境に配慮し、特に透明性に優れたステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムおよび樹脂組成物を提供することができる。
<ステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルム>
本発明のステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムは、下記一般式(1)で表されるアミド系化合物を含む。
(式中、R1は、1,2,3−プロパントリカルボン酸又は1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸から全てのカルボンキシル基を除いて得られる残基を表す。3個又4個のR2は、互いに同一又は異なって、それぞれ水素原子又は炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す。kは、3又は4の整数を表す。)
アミド系化合物の含有量としては、ステレオコンプレックスポリ乳酸系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.05から2.0重量部、より好ましくは0.1から1.5重量部、さらに好ましくは0.12から1.0重量部、特に好ましくは0.15~0.8重量部が好ましい。
0.05重量部未満ではアミド系化合物添加の効果が得られず、2.0重量部を超えるとアミド系化合物の分散が悪くなり、ヘイズが上昇してしまう。
また、ステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムは、目的とする耐熱性、光学特性、機械特性を損なわない範囲で、公知の有機材料、無機材料が添加されてもよい。例えば、アミド系化合物の他に、珪酸カルシウム、タルク、カオリナイト、モンモリロナイトや、他の有機化合物を併用してもよい。
本発明において、上記アミド系化合物を添加することによる透明性発現のメカニズムは必ずしも明らかではない。また、本発明は、特定のメカニズムや仮説に拘束されるものでもない。
本発明において用いられるステレオコンプレックスポリ乳酸の結晶化度(C)は示差走査熱量計(DSC)測定で、第一回昇温時のポリ乳酸部分の結晶融解熱量(ΔHm)と昇温中の結晶化により発生するポリ乳酸部分の結晶化熱量(ΔHc)より下記式により求められる値である。
(C)={(ΔHm − ΔHc) / ΔHm} × 100 (%)
結晶化度(C)は、ステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムの結晶状態を表すものであり、好ましい範囲は、その使用用途によって異なるが、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%から100%、特に好ましくは98%から100%、最も好ましくは100%である。この範囲にあるときには、ステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルム単独でも耐熱性(形態安定性)が良好なものとなる。
一方、本発明のステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムは、結晶化処理をしない未結晶状態で使用することも可能である。これは、結晶化処理をしない本発明のステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムは、使用環境下や保管環境下等で自然に結晶化が進んだとしても、透明性に優れるからである。なお、ここで未結晶状態とは、結晶化度(C)が70%以下であることを意味し、好ましくは60%以下、さらに好ましくは50%以下、特に好ましくは40%以下、最も好ましいのは30%以下である。
ただし、結晶化度(C)が70%以下の、未結晶状態のステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムは、ポリ乳酸のガラス転移点温度以上では、軟化が顕著であるため、他のフィルムやガラスなどの基板に貼り合わせた状態で使用することが好ましく、好適な用途として、例えば、偏光板の偏光子保護用途を挙げることができる。
一般的に、偏光板は、偏光子であるPVA(ポリビニルアルコール)フィルムを2枚の偏光子保護フィルムで挟んだ積層構造とし、さらにガラス基板に貼って使用するため、偏光子保護フィルムとしてのステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルム単体では耐熱性(形態安定性)が必要とされない。
また、ガラス基板に貼っていない状態であっても、本発明のステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムは、PVAが熱収縮を始める温度より低い温度で結晶化するので、PVAが熱収縮する際にはステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムがPVAの熱収縮を抑えるため、偏光度の低下を抑えることが可能である。
このような未結晶状態のステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムを用いることにより、例えば、フィルムの熱処理工程の削減によるコストダウンや偏光子であるPVAとの接着に用いられるエポキシ系接着剤との接着性向上が期待できる。
ステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムの透明性としては、例えば、全光線透過率が80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは91%以上、最も好ましくは92%以上である。また、ヘイズは1%以下、好ましくは0.8%以下、さらに好ましくは0.5%以下、特に好ましくは0.4%以下、最も好ましくは0.3%以下である。
ステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムの厚みは適宜に決定しうるが、強度や取り扱い性等の作業性などの点より10~500μm程度であり、15~300μmがより好ましく、20~200μmが特に好ましい。
ここで、ステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムは、後述するステレオコンプレックスポリ乳酸系樹脂を含むことが必須であるが、要求される耐熱性、光学特性、機械特性の観点から、ステレオコンプレックスポリ乳酸系樹脂に他の樹脂をブレンドするこができる。
ブレンドすることのできる樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、芳香族ポリケトン樹脂、脂肪族ポリケトン樹脂、フッソ樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、熱可塑性澱粉樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、ACS樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ビニルエステル系樹脂、MS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等を挙げることができる。中でも、相溶性が良く、また屈折率が近いという観点からアクリル系樹脂、とりわけ、ポリメタクリル酸メチルが好ましい。
ステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルム中のステレオコンプレックスポリ乳酸系樹脂の含有量は80重量%以上であることが好ましく、より好ましくは85重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上、最も好ましくは98重量%以上である。ステレオコンプレックスポリ乳酸系樹脂の含有量が80重量%未満であると、ステレオコンプレックスポリ乳酸系樹脂の結晶化が生じにくくなり、耐熱性や透明性に問題が生じる場合等がある。
ステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムの耐熱性としては、例えば120℃で60分間熱処理した場合の寸法変化率の絶対値が3%以下、好ましくは2%以下、さらに好ましくは1.5%以下、特に好ましくは1%以下、最も好ましくは0.5%以下である。
また、本発明のステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムは延伸処理をしなくても、結晶化後の透明性に優れるため、低い位相差特性を実現することが可能であり、例えば下記式により定義される面内位相差(R)は10nm以下、好ましくは5nm以下、より好ましくは3nm以下、特に好ましくは2nm以下、最も好ましくは1nm以下である。また、面外位相差(Rth)の絶対値は20nm以下、好ましくは15nm以下、より好ましくは10nm以下、特に好ましくは5nm以下、最も好ましくは3nm以下である。
ここで、本発明における位相差は下記のように定義される。
面内位相差(R)=|nx − ny| × d
面外位相差(Rth)={(nx + ny) / 2−nz } × d
上式中、nx、ny、nzはフィルムの三次元屈折率であり、それぞれフィルム面内の屈折率が最大であるx軸方向の屈折率(nx)、フィルム面内でx軸に直行するy軸方向の屈折率(ny)、フィルム法線方向の屈折率(nz)である。また、dは位相差フィルムの厚み(nm)である。
さらに、本発明のアミド系化合物を含むステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムは、驚くべきことに熱処理条件により簡便に−20nm以下の面外位相差(Rth)を得ることが出来る。
また、用途によっては位相差特性が必要な場合もあるが、その場合には延伸処理をすることにより目的とする位相差特性を発現させてもよい。
<ステレオコンプレックスポリ乳酸系樹脂>
本発明において用いられるステレオコンプレックスポリ乳酸のステレオコンプレックス結晶化度(S)は示差走査熱量計(DSC)測定で、190℃未満に観測されるポリ乳酸ホモ結晶融解熱量(ΔHmh)、190℃以上に観測されるポリ乳酸ステレオコンプレックス結晶融解熱量(ΔHmsc)より下記式により求められる値である。
(S)=〔ΔHmsc / (ΔHmh + ΔHmsc)〕×100
ステレオコンプレックス結晶化度(S)は好ましくは90%から100%、より好ましくは95%から100%、特に好ましくは98%から100%であり、特に好ましくは100%である。
ステレオコンプレックス結晶化度(S)が90%以上であることにより、透明性を高く保つことができる。また、耐熱性も高いものとなる。
上述のステレオコンプレックス結晶化度(S)を好適に満たすために、ポリ乳酸において、ポリD−乳酸成分とポリL−乳酸成分との重量比は90/10から10/90であることが好ましい。
より好ましくは80/20から20/80、さらに好ましくは30/70から70/30、とりわけ好ましくは40/60から60/40の範囲であり、理論的には1/1にできるだけ近い方が好ましく選択される。
ポリL‐乳酸成分およびポリD‐乳酸成分は、従来公知の方法で製造することができる。
例えば、L‐ラクチドまたはD‐ラクチドを金属含有触媒の存在下、開環重合することにより製造することができる。また金属含有触媒を含有する低分子量のポリ乳酸を、所望により結晶化させた後、あるいは結晶化させることなく、減圧下または常圧から加圧下、不活性ガス気流の存在下、あるいは非存在下、固相重合させ製造することもできる。さらに有機溶媒の存在または非存在下、乳酸を脱水縮合させる直接重合法により製造することができる。
重合反応は、従来公知の反応容器で実施可能であり、例えば開環重合あるいは直接重合法においてはヘリカルリボン翼等、高粘度用撹拌翼を備えた縦型反応器あるいは横型反応器を単独、または並列して使用することができる。また、回分式あるいは連続式あるいは半回分式のいずれでも良いし、これらを組み合わせてもよい。
重合開始剤としてアルコールを用いてもよい。かかるアルコールとしては、ポリ乳酸の重合を阻害せず不揮発性であることが好ましく、例えばデカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスルトールなどを好適に用いることができる。
固相重合法で使用するポリ乳酸プレポリマーは、予め結晶化させることが、樹脂ペレット融着防止の面から好ましい実施形態と言える。プレポリマーは固定された縦型或いは横型反応容器、またはタンブラーやキルンの様に容器自身が回転する反応容器(ロータリーキルン等)中、プレポリマーのガラス転移温度から融点未満の温度範囲にて、固体状態で重合される。
金属含有触媒としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類、遷移金属類、アルミニウム、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、チタン等の脂肪酸塩、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、アルコラート等が例示される。
なかでもスズ、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、チタン、ゲルマニウム、マンガン、マグネシウムおよび稀土類元素より選択される少なくとも一種の金属を含有する脂肪酸塩、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、アルコラートが好ましい。
触媒活性、副反応の少なさからスズ化合物、具体的には塩化第一スズ、臭化第一スズ、ヨウ化第一スズ、硫酸第一スズ、酸化第二スズ、ミリスチン酸スズ、オクチル酸スズ、ステアリン酸スズ、テトラフェニルスズ等のスズ含有化合物が好ましい触媒として例示でされる。
なかでも、スズ(II)化合物、具体的にはジエトキシスズ、ジノニルオキシスズ、ミリスチン酸スズ(II)、オクチル酸スズ(II)、ステアリン酸スズ(II)、塩化スズ(II)などが好適に例示される。
触媒の使用量は、ラクチド1kg当たり0.42×10−4から100×10−4(モル)でありさらに反応性、得られるポリラクチド類の色調、安定性を考慮すると1.68×10−4から42.1×10−4(モル)、特に好ましくは2.53×10−4から16.8×10−4(モル)モル使用される。
ポリ乳酸重合に使用された金属含有触媒は、ポリ乳酸使用に先立ち、従来公知の失活剤で不活性化しておくのが好ましい。
かかる失活剤としては例えばイミノ基を有し且つ重合金属触媒に配位し得るキレート配位子の群からなる有機リガンド及びジヒドリドオキソリン(I)酸、ジヒドリドテトラオキソ二リン(II,II)酸、ヒドリドトリオキソリン(III)酸、ジヒドリドペンタオキソ二リン(III,III)酸、ヒドリドペンタオキソ二リン(II,IV)酸、ドデカオキソ六リン(III)酸、ヒドリドオクタオキソ三リン(III,IV,IV)酸、オクタオキソ三リン(IV,III,IV)酸、ヒドリドヘキサオキソ二リン(III,V)酸、ヘキサオキソ二リン(IV)酸、デカオキソ四リン(IV)酸、ヘンデカオキソ四リン(IV)酸、エネアオキソ三リン(V,IV,IV)酸等の酸価数5以下の低酸化数リン酸、式xH2O・yP2O5で表され、x/y=3のオルトリン酸、2>x/y>1であり、縮合度より二リン酸、三リン酸、四リン酸、五リン酸等と称せられるポリリン酸及びこれらの混合物、x/y=1で表されるメタリン酸、なかでもトリメタリン酸、テトラメタリン酸、1>x/y>0で表され、五酸化リン構造の一部をのこした網目構造を有するウルトラリン酸(これらを総称してメタリン酸系化合物と呼ぶことがある。)、及びこれらの酸の酸性塩、一価、多価のアルコール類、あるいはポリアルキレングリコール類の部分エステル、完全エスエテル、ホスホノ置換低級脂肪族カルボン酸誘導体などが例示される。
触媒失活能の観点から、式xH2O・yP2O5で表され、x/y=3のオルトリン酸、2>x/y>1であり、縮合度より二リン酸、三リン酸、四リン酸、五リン酸等と称せられるポリリン酸及びこれらの混合物、x/y=1で表されるメタリン酸、なかでもトリメタリン酸、テトラメタリン酸、1>x/y>0で表され、五酸化リン構造の一部をのこした網目構造を有するウルトラリン酸(これらを総称してメタリン酸系化合物と呼ぶことがある。)、及びこれらの酸の酸性塩、一価、多価のアルコール類、あるいはポリアルキレングリコール類の部分エステルリンオキソ酸あるいはこれらの酸性エステル類、ホスホノ置換低級脂肪族カルボン酸誘導体及び上記のメタリン酸系化合物が好適に使用される。
上記メタリン酸系化合物は、3から200程度のリン酸単位が縮合した環状のメタリン酸あるいは立体網目状構造を有するウルトラ領域メタリン酸あるいはそれらのアルカル金属塩、アルカリ土類金属塩、オニウム塩を包含する。なかでも環状メタリン酸ナトリウムやウルトラ領域メタリン酸ナトリウム、ホスホノ置換低級脂肪族カルボン酸誘導体のジヘキシルホスホノエチルアセテート(以下、DHPAと略称することがある)などが好適に使用される。
本発明で使用するポリ乳酸は、含有ラクチド量が1から5000ppmのものが好ましい。ポリ乳酸中に含有するラクチドは溶融加工時、樹脂を劣化させ、色調を悪化させ、場合によっては製品として使用不可能にする場合がある。
溶融開環重合された直後のポリL−乳酸および/またはポリD−乳酸は通常1から5重量%のラクチドを含有するが、ポリL−乳酸および/またはポリD−乳酸重合終了の時点からポリ乳酸成形までの間の任意の段階において、従来公知のラクチド減量法により、即ち一軸あるいは多軸押出機での真空脱揮法、あるいは重合装置内での高真空処理等を単独であるいは組み合わせて実施することにラクチドを好適な範囲に低減することができる。
ラクチド含有量は少ないほど、樹脂の溶融安定性、耐湿熱安定性は向上するが、樹脂溶融粘度を低下させる利点もあり、所望の目的に合致した含有量にするのが合理的、経済的である。すなわち、実用的な溶融安定性が達成される1から1000ppmに設定するのが合理的である。さらに好ましくは1から700ppm、より好ましくは2から500ppm、特に好ましくは5から100ppmの範囲が選択される。
ポリ乳酸成分がかかる範囲のラクチド含有量を有することにより、本発明で用いるステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムの溶融製膜時のポリ乳酸の安定性を向上せしめ、製造を効率よく実施できる利点および耐湿熱安定性、低ガス性を高めることが出来る。
本発明に使用されるポリ乳酸の重量平均分子量は、成形加工性と得られる成形品の機械的、熱的物性との関係を考察して選択される。即ち、組成物の強度、伸度、耐熱性等の機械的、熱的物性を発揮させるためには重量平均分子量は好ましくは8万以上、より好ましくは10万以上、さらに好ましくは13万以上である。
しかし、重量平均分子量の上昇とともに、ポリ乳酸の溶融粘度は指数関数的に上昇し、射出成形等の溶融成形を行うとき、ポリ乳酸の粘度を成形可能範囲にするため、成形温度をポリ乳酸の耐熱温度以上に高く設定しなければならない場合が発生する。
具体的には、ポリ乳酸は、300℃を超える温度で成形を行うとポリ乳酸の熱分解のためフィルム品が着色し、商品としての価値が低いものとなってしまう可能性が高い。
従ってポリ乳酸の重量平均分子量は、好ましくは50万以下、より好ましくは40万以下、さらに好ましくは30万以下である。従ってポリ乳酸の重量平均分子量は、好ましくは8万から50万、より好ましくは10万から40万、さらに好ましくは13万から30万である。30万を越える場合には溶融粘度が高くなりすぎ、溶融製膜が困難になる場合がある。
重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比を分子量分散(Mw/Mn)という。分子量分散が大きいことは、平均分子量に比較し、大きな分子や小さな分子の割合が多いことを意味する。
即ち、例えば重量平均分子量が25万程度で、分子量分散の3以上のポリ乳酸は、分子量が25万より大きい分子の割合が大きくなる場合があり、この場合、溶融粘度が大きくなり、上記の意味で成形上好ましくない。また8万程度の比較的小さい重量平均分子量で分子量分散の大きなポリ乳酸では、分子量が8万より小さい分子の割合が大きくなる場合があり、この場合、成形品の機械的物性の耐久性が小さくなり、使用上好ましくない。かかる観点より分子量分散の範囲は、好ましくは1.5から2.4、より好ましくは1.6から2.4、さらに好ましくは1.6から2.3の範囲である。
本発明で用いられるポリ乳酸は、前述したようにポリL−乳酸成分とポリD−乳酸成分とを重量比で10/90から90/10の範囲で接触させることにより、好ましくは溶融接触させることにより、より好ましくは溶融混練接触させることにより、フィルム化し、これを必要に応じて延伸等の工程に付して、前記したステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムとして用いることができる。
このポリL−乳酸成分とポリD−乳酸成分との接触温度はポリ乳酸の溶融時の安定性及びステレオコンプレックス結晶化度の向上の観点より210℃から290℃、好ましくは220℃から280℃、さらに好ましくは225℃から275℃の範囲が選択される。
溶融混練方法は特に限定されるものではないが、従来公知のバッチ式或いは連続式の溶融混合装置が好適に使用される。例えば、溶融撹拌槽、一軸式の押し出し機、二軸式の押し出し機、ニーダー、無軸籠型撹拌槽、住友重機械工業(株)製「バイボラック(登録商標)」、三菱重工業(株)製N−SCR,(株)日立製作所製めがね翼、格子翼あるいはケニックス式撹拌機、あるいはズルツァー式SMLXタイプスタチックミキサー具備管型重合装置などを使用できるが、生産性、ポリ乳酸の品質とりわけ色調の点でセルフクリーニング式の重合装置である、めがね翼、無軸籠型撹拌槽、N−SCR、2軸押し出しルーダーなどが好適に使用される。
本発明で用いるポリ乳酸には、本発明の主旨に反しない範囲において、ステレオコンプレックスポリ乳酸結晶の形成を安定的且つ高度に進めるために特定の添加物を配合する手法が好ましく適用される。
例えば、ステレオコンプレックス結晶化促進剤としてリン酸エステル金属塩を添加する手法が挙げられる。これらのリン酸エステル金属塩は、(株)ADEKA製の商品名、「アデカスタブ(登録商標)」NA−11、「アデカスタブ(登録商標)」NA−71等が好適な剤として例示される。
ポリ乳酸の重量を基準として、リン酸エステル金属塩は0.001~2wt%、好ましくは0.005~1wt%、より好ましくは0.01~0.5wt%さらに好ましくは0.02~0.3wt%用いることが好ましい。少なすぎる場合には、ステレオコンプレックス結晶化度(S)を向上する効果が小さく、多すぎるとステレオコンプレックス結晶融点を低下させるので好ましくない。
さらに所望により、リン酸エステル金属塩の作用を強化するため、公知の結晶化核剤を併用することができる。なかでも珪酸カルシウム、タルク、カオリナイト、モンモリロナイト、アミド系有機化合物が好ましく選択される。
上記結晶化核剤の使用量は、ポリ乳酸に対し0.03~5wt%、より好ましくは0.04~2wt%、さらに好ましくは0.05~1wt%の範囲が選択される。
ポリ乳酸にはその製造上、カルボン酸基が含まれてくることがあるが、その含まれるカルボン酸基の量は少ないほどよい。そのような理由から、例えばラクチドから水以外の開始剤を用いて開環重合したものや、重合後に化学的に処理をしてカルボン酸基を低減したポリマーを用いることは好ましい。
また、本発明におけるポリ乳酸は、L−乳酸、D−乳酸の他にエステル形成能を有するその他の成分を共重合した共重合ポリ乳酸であってもよい。共重合可能な成分としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸類の他、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の分子内に複数の水酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸等の分子内に複数のカルボン酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体が挙げられる。
また、ポリ乳酸の特性を向上させるために様々な添加剤が添加される場合があるが、これらの剤を用いた場合、光学特性が損なわれる場合が多いが、本発明のアミド系化合物と併用した場合には、光学特性を損なうことが少ない。
例えば、ポリ乳酸の耐加水分解を向上させるための技術として、カルボジイミド化合物を添加することが知られている。一般的にカルボジイミド化合物を添加した場合には光学特性が失われるが、本発明のアミド系化合物と併用した場合には、光学特性と耐加水分解性とを高い水準で両立させることが可能となる。
<アミド系化合物>
本発明において、最も特徴的なことは、ステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムが、下記一般式(1)で表されるアミド系化合物を含むことにある。
(式中、R1は、1,2,3−プロパントリカルボン酸又は1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸から全てのカルボンキシル基を除いて得られる残基を表す。3個又4個のR2は、互いに同一又は異なって、それぞれ水素原子又は炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す。kは、3又は4の整数を表す。)
上記一般式(1)で表されるアミド系化合物として、具体的には、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリシクロヘキシルアミド、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−エチルシクロヘキシルアミド)1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−エチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−エチルシクロヘキシルアミド)1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−iso−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−iso−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−iso−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−n−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−n−ブチルシクロヘキシルアミド)1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−n−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−iso−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−iso−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−iso−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−tert−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−tert−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−tert−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−n−ペンチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−n−ヘキシルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−n−ヘプチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−n−オクチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ[4−(2−エチルヘキシル)シクロヘキシルアミド]、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−n−ノニルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−n−デシルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸[(シクロヘキシルアミド)ジ(2−メチルシクロヘキシルアミド)]、1,2,3−プロパントリカルボン酸[ジ(シクロヘキシルアミド)(2−メチルシクロヘキシルアミド)]、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラシクロヘキシルアミド、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−エチルシクロヘキシルアミド)1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−エチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−エチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−iso−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−iso−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−iso−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−n−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−n−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−n−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−iso−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−iso−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−iso−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−tert−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−tert−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−tert−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−n−ペンチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−n−ヘキシルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−n−ヘプチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−n−オクチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ[4−(2−エチルヘキシル)シクロヘキシルアミド]、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−n−ノニルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−n−デシルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸[ジ(シクロヘキシルアミド)ジ(2−メチルシクロヘキシルアミド)]、等が挙げられる。
上記アミド系化合物の中でも、特に透明性が向上する観点から、上記一般式(1)におけるR2が水素原子又は炭素数1~4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基であるアミド系化合物が好ましい。
具体的には、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリシクロヘキシルアミド、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−エチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−エチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−エチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−iso−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−iso−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−iso−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−n−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−n−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−n−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−iso−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−iso−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−iso−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−tert−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−tert−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−tert−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(シクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−エチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−エチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−エチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−n−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−iso−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−iso−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−iso−プロピルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−n−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−n−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−n−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−iso−ブチルシクロヘキシルアミド、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−iso−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−iso−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−sec−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−tert−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−tert−ブチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−tert−ブチルシクロヘキシルアミド)等が挙げられる。
これら好ましいアミド系化合物の中でも、特に、得られるフィルムの透明性・剛性のバランス及びアミド系化合物原料の入手容易性の観点から、上記一般式(1)におけるR2が水素原子又はメチル基であるアミド系化合物が特に好ましい。具体的には、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリシクロヘキシルアミド、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラシクロヘキシルアミド、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(2−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(3−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラ(4−メチルシクロヘキシルアミド)などが例示される。
又、透明性の改良効果を重視する場合には、上記一般式(1)におけるR1が1,2,3−プロパントリカルボン酸から全てのカルボンキシル基を除いて得られる残基であるアミド系化合物が特に好ましい。具体的には、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリシクロヘキシルアミド、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(3−メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(4−メチルシクロヘキシルアミド)などが挙げられる。
中でも、特に下記式(2)で表される、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ(2−メチルシクロヘキシルアミド)が効果と原料入手容易性の観点から好ましい。
上記のアミド系化合物は、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
本発明にかかるアミド系化合物の結晶形態は、本発明の効果が得られる限り特に限定されず、六方晶、単斜晶、立方晶等の任意の結晶形態が使用できる。これらの結晶も公知であるか又は公知の方法に従い製造できる。
本発明にかかるアミド系化合物は実質的に純度100%のものが好ましいが、若干不純物を含むものであってもよい。不純物を含有する場合であっても、当該アミド系化合物の純度は、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上、特に97重量%以上が推奨される。不純物としては、反応中間体又は未反応体由来のモノアミドジカルボン酸若しくはそのエステル化合物、ジアミドモノカルボン酸若しくはそのエステル化合物、副反応体由来のイミド化合物などが例示される。
本発明にかかるアミド系化合物の製造方法は、特に限定はなく目的のアミド系化合物が得られればよい。例えば、特定の脂肪族ポリカルボン酸成分と特定の脂環式モノアミン成分とから従来公知の方法(例えば、特開平7−242610号公報に記載のように、特定の脂肪族ポリカルボン酸と、その3~20当量倍の特定の脂環式モノアミンとを不活性溶媒中、60℃~200℃で、2~10時間反応させる。)に従って製造することができる。
上記脂肪族ポリカルボン酸成分としては、1,2,3−プロパントリカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、該ポリカルボン酸の酸塩化物や無水物、該ポリカルボン酸と炭素数1~4の低級アルコールとのエステル等の誘導体等が例示される。これら脂肪族ポリカルボン酸成分は、単独で又は2種を混合してアミド化に供することができる。
上記脂環式モノアミン成分は、シクロヘキシルアミン及び炭素数1~10(好ましくは炭素数1~4)の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基で置換されたシクロヘキシルアミンからなる群より選ばれる少なくとも一種であり、単独で又は2種以上を混合してアミド化に供することができる。
具体的には、シクロヘキシルアミン、2−メチルシクロヘキシルアミン、3−メチルシクロヘキシルアミン、4−メチルシクロヘキシルアミンのメチルシクロヘキシルアミン、2−エチルシクロヘキシルアミン、2−n−プロピルシクロヘキシルアミン、2−iso−プロピルシクロヘキシルアミン、2−n−ブチルシクロヘキシルアミン、2−iso−ブチルシクロヘキシルアミン、2−sec−ブチルシクロヘキシルアミン、2−tert−ブチルシクロヘキシルアミンなどが挙げられる。
上記のアルキル基で置換されたシクロヘキシルアミンは、シス体、トランス体及びこれら立体異性体の混合物のいずれであってもよい。好ましいシス体:トランス体の比率としては、50:50~0:100の範囲が好ましく、特に35:65~0:100の範囲が好ましい。
本発明にかかるアミド系化合物の粒径は、本発明の効果が得られる限り特に限定されないが、溶融樹脂に対する溶解速度(又は溶解時間)の観点から、できる限り粒径の小さいものが好ましい。レーザー回折光散乱法で得られる粒径の測定値を採用した場合、アミド系化合物の粒径としては、その最大粒径が200μm以下、好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm、特に10μm以下が推奨される。
最大粒径を上記範囲内に調製する方法としては、この分野で公知の粉砕装置を用いる方法が一般的であり、必要に応じて公知の分級装置を用いることもできる。具体的には、粉砕装置として流動層式カウンタージェットミル100AFG(商品名、ホソカワミクロン社製)、超音速ジェットミルPJM−200(商品名、日本ニューマチック社製)、ピンミル等、分級装置として振動篩、乾式分級機(サイクロン、ミクロンセパレーターなど)等が例示される。
<アミド系化合物とステレオコンプレックスポリ乳酸との混合方法>
本発明において、ステレオコンプレックスポリ乳酸にアミド系化合物を添加する方法は特に限定されず、従来公知の各種方法を適宜用いることができる。例えば、タンブラー、V型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウタミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、1軸式押し出し機または2軸式の押し出し機等で混合する方法が挙げられる。
また、本発明のアミド系化合物を高濃度に含んだマスターバッチを予め作成しておき、別に作成したステレオコンプレックスポリ乳酸と混練し、目的とする添加濃度に調整することもできる。
<ステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムの製造方法>
本発明のステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムの製造方法は特に限定される物ではなく、公知の方法により作製されうる。例えば、Iダイ、Tダイ、円形ダイ等が装着された押出機等を用いて、押出成型することができる。
押出成型により成型品を得る場合は、溶融樹脂を冷却ドラム上に押し出し次いで該溶融樹脂を回転する冷却ドラムに密着させ冷却することによって製造される。このとき溶融樹脂と冷却ドラムの密着方法については、キャスティングドラムの温度を上げて粘着させたり、ロールによるニップや静電密着させたりする、などの技術が使用できるが、静電密着方式を使用する場合はスルホン酸四級ホスホニウム塩などの静電密着剤を配合し、電極よりフィルム溶融面に非接触的に電荷を容易に印加し、それによってフィルムを、回転する冷却ドラムに密着させることにより表面欠陥の少ない未延伸フィルムを得ることができる。
また、樹脂組成物を溶解する溶媒、例えばクロロホルム、二塩化メチレン等の溶媒を用いて、溶液とした後、キャスト乾燥固化することにより未延伸フィルムをキャスト成型することもできる。
未延伸フィルムは機械的流れ方向に縦一軸延伸、機械的流れ方向に直行する方向に横一軸延伸することができ、またロール延伸とテンター延伸の逐次二軸延伸法、テンター延伸による同時二軸延伸法、チューブラー延伸による二軸延伸法等によって延伸することにより二軸延伸フィルムを製造することができる。
延伸倍率は特に限定されないが、本発明のステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムは延伸処理をしない、あるいは低い倍率で延伸をしても、結晶化後の透明性に優れる。
該フィルムは、熱処理により結晶化されるが、その温度は、(結晶化温度(Tc)−20℃)以上(融点(Tm)−20℃)以下であれば、その手法、時間などは特に限定されるものではない。
また、本発明のフィルムには、所望により従来公知の方法で、他の機能層を設けることも可能である。例えば、易接着層、透明導電層、易滑層、ハードコート層、粘着層などが挙げられる。また、表面活性化処理、例えばUVオゾン処理、プラズマ処理、アミン処理、コロナ処理、酸処理、アルカリ処理を施すことも可能である。
<評価方法>
(1)ポリマーの重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn):
ポリマーの重量平均分子量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定、標準ポリスチレンに換算した。GPC測定機器は、検出器;示差屈折計((株)島津製作所製)RID−6Aカラム;東ソ−(株)TSKgelG3000HXL、TSKgelG4000HXL,TSKgelG5000HXLとTSKguardcolumnHXL−Lを直列に接続したもの、あるいは東ソ−(株)TSKgelG2000HXL、TSKgelG3000HXLとTSKguardcolumnHXL−Lを直列に接続したものを使用した。
クロロホルムを溶離液とし温度40℃、流速1.0ml/minにて、濃度1mg/ml(1%ヘキサフルオロイソプロパノールを含むクロロホルム)の試料を10μl注入し測定した。
(2)ガラス転移点温度(Tg)、結晶化温度(Tc)、融点(Tm)、結晶化熱量(ΔHc)、結晶融解熱量(ΔHm)、結晶化度(C)、ステレオコンプレックス結晶化度(S):
TA Instruments社製DSC2920 Modulated DSCを用いて、昇温速度20℃/分の条件で第一回昇温時で測定した。
(3)ヘイズ:
日本電色工業(株)製ヘーズメーター(MDH2000)を用いて測定した。
(4)厚み:
アンリツ(株)社製の電子マイクロで測定した。
(5)面内位相差(R)、面外位相差(Rth):
日本分光(株)製分光エリプソメータ(M150)により測定した。
(6)寸法変化率:
予めフィルムにマーキングしておいた2点間の距離をレーザーテック(株)製のリアルタイム走査型レーザー顕微鏡、商品名「1LM21D」を用いて測定し、熱処理前後の2点間距離の変化量を熱処理前の値で割ることにより寸法変化率を算出し、絶対値として求めた。
(7)クロスニコル輝度:
バックライト上にクロスニコル配置した一対の偏光板間に、透過光の輝度が最も低くなる角度で試料となるフィルムを挿入した場合の輝度により評価した。なお、フィルムを挿入していない状態での透過光の輝度は0.05cd/m2であり、用いた偏光板の偏光度は99.8%である。
(8)偏光板の接着強度
作製した偏光板の接着界面にカッターの刃を入れても剥離することは出来ないものを○、剥離可能なものを×とした。
(9)総合評価:
ヘイズが1%以下で且つクロスニコル輝度が1cd/m2以下であるものを○、それ以外のものと×とした。
<ステレオコンプレックスポリ乳酸系樹脂の作製>
(1)ステレオコンプレックスポリ乳酸系樹脂(A1):
L−ラクチド((株)武蔵野化学研究所製、光学純度100%)100重量部に対し、オクチル酸スズを0.005重量部加え、窒素雰囲気下、撹拌翼のついた反応機にて180℃で2時間反応させ、オクチル酸スズに対し1.2倍当量のリン酸を添加しその後、13.3Paで残存するラクチドを減圧除去し、チップ化し、ポリL−乳酸(L1)を得た。得られたポリL−乳酸(L1)の重量平均分子量は15.2万、ガラス転移点(Tg)は55℃、融点は175℃であった。
上記のポリL−乳酸の製造において、L−ラクチドをD−ラクチド((株)武蔵野化学研究所製、光学純度100%)に変更したこと以外は同じ条件で重合を行い、ポリD−乳酸(D1)を得た。得られたポリD−乳酸(D1)の重量平均分子量(Mw)は15.1万、ガラス転移点(Tg)は55℃、融点は175℃であった。
上記二つの操作で得られたポリL−乳酸(L1)とポリD−乳酸(D1)とを各50重量部およびリン酸エステル金属塩((株)ADEKA製「アデカスタブ(登録商標)」NA−71:0.1重量部)を、2軸混練装置の第一供給口より供給、シリンダー温度250℃で溶融混練し、水槽中にストランド押し出し、チップカッターにてチップ化してステレオコンプレックスポリ乳酸系樹脂(A1)を得た。ステレオコンプレックス結晶化度(S)は100%、ガラス転移点(Tg)は55℃、融点(Tm)は216℃であった。
(2)ステレオコンプレックスポリ乳酸系樹脂(A2)
ステレオコンプレックスポリ乳酸系材料(A1)を95重量部、三菱レイヨン(株)製のポリメチルメタクリレートである商品名「アクリペット(登録商標)」VH001を5重量部、100℃、5時間真空乾燥した後、混練機の第一供給口より供給し、第二の供給口より下記式(2)で表されるアミド系化合物である新日本理化(株)製「リカクリア(登録商標)」PC1を0.3重量部を供給し、シリンダー温度230℃、ベント圧13.3Paで真空排気しながら溶融混練し、水槽中にストランド押し出し、チップカッターにてチップ化してステレオコンプレックスポリ乳酸系樹脂(A2)を得た。
実施例1
ステレオコンプレックスポリ乳酸系樹脂(A1)を110℃、5時間真空乾燥した。次に、下記式(2)で表されるアミド系化合物、日本理化(株)製「リカクリア(登録商標)」PC1を、ステレオコンプレックスポリ乳酸系樹脂(A1)100重量部に対して0.3重量部ドライブレンドした。
これを、230℃で押出機にて溶融混練し、ダイ温度230℃でTダイよりフィルム状に溶融押し出し、40℃の冷却ドラム表面に密着、固化させ後、剥離することによりフィルムを得た。このフィルムに対して、さらに、温度125℃で熱固定することにより、ステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムを得た。得られたフィルムを120℃で60分間熱処理したところ、寸法変化率の絶対値は3%以下であった。
実施例2
ステレオコンプレックスポリ乳酸系樹脂(A2)を110℃、5時間真空乾燥した後、230℃で押出機にて溶融混練し、ダイ温度230℃でTダイよりフィルム状に溶融押し出し、40℃の冷却ドラム表面に密着、固化させた後、剥離することによりフィルムを得た。得られたフィルムをさらに温度125℃で熱固定することにより、ステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムを得た。得られたフィルムを120℃で60分間熱処理したところ、寸法変化率の絶対値は3%以下であった。
実施例3
ステレオコンプレックスポリ乳酸系樹脂(A1)を110℃、5時間真空乾燥した。続いて、下記式(2)で表されるアミド系化合物(新日本理化(株)製「リカクリア(登録商標)」PC1)を、ステレオコンプレックスポリ乳酸系樹脂(A1)100重量部に対して0.4重量部、および下記式(3)で表される構造を有する環状カルボジイミド化合物0.8重量部ドライブレンドした。これを、230℃で押出機にて溶融混練し、ダイ温度230℃でTダイよりフィルム状に溶融押し出し、40℃の冷却ドラム表面に密着、固化させた後、剥離することによりフィルムを得た。得られたフィルムをさらに温度125℃にて熱固定することにより、ステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムを得た。得られたフィルムを120℃で60分間熱処理したところ、寸法変化率の絶対値は3%以下であった。
なお、上記式(3)の環状カルボジイミド化合物は、国際公開2010/071211号パンフレット、実施例2の記載に従い、以下の操作によって得た。
o−ニトロフェノール(0.11mol)とペンタエリトリチルテトラブロミド(0.025mol)、炭酸カリウム(0.33mol)、N,N−ジメチルホルムアミド200mlを攪拌装置および加熱装置を設置した反応装置にN2雰囲気下仕込み、130℃で12時間反応後、DMFを減圧により除去し、得られた固形物をジクロロメタン200mlに溶かし、水100mlで3回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、ジクロロメタンを減圧により除去し、中間生成物(ニトロ体)を得た。
次に中間生成物(ニトロ体)(0.1mol)と5%パラジウムカーボン(Pd/C)(2g)、エタノール/ジクロロメタン(70/30)400mlを、攪拌装置を設置した反応装置に仕込み、水素置換を5回行い、25℃で水素を常に供給した状態で反応させ、水素の減少がなくなった時点で反応を終了し、Pd/Cを回収、混合溶媒を除去して中間生成物(アミン体)を得た。
次に攪拌装置および加熱装置、滴下ロートを設置した反応装置に、N2雰囲気下、トリフェニルホスフィンジブロミド(0.11mol)と1,2−ジクロロエタン150mlを仕込み攪拌しつつ、中間生成物(アミン体)(0.025mol)とトリエチルアミン(0.25mol)を1,2−ジクロロエタン50mlに溶かした溶液を25℃で徐々に滴下し、滴下終了後、70℃で5時間反応させた。
その後、反応溶液をろ過し、ろ液を水100mlで5回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、1,2−ジクロロエタンを減圧により除去し、中間生成物(トリフェニルホスフィン体)を得た。
次に、攪拌装置および滴下ロートを設置した反応装置に、N2雰囲気下、ジ−tert−ブチルジカーボネート(0.11mol)とN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(0.055mol)、ジクロロメタン150mlを仕込み攪拌した。そこに、25℃で中間生成物(トリフェニルホスフィン体)(0.025mol)を溶かしたジクロロメタン100mlをゆっくりと滴下させ、滴下後、12時間反応させた。その後、ジクロロメタンを除去し得られた固形物を精製することで、環状カルボジイミド化合物を得た。
実施例4
実施例3で得られたフィルムを金枠で寸法固定し、90℃で50時間熱処理することにより、ステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムを得た。得られたフィルムを120℃で60分間熱処理したところ、寸法変化率の絶対値は3%以下であった。
比較例1
ステレオコンプレックスポリ乳酸系樹脂(A1)を110℃、5時間真空乾燥した後、230℃で押出機にて溶融混練し、ダイ温度230℃でTダイよりフィルム状に溶融押し出し、40℃の冷却ドラム表面に密着、固化させた後、剥離することによりフィルムを得た。得られたフィルムを温度125℃にて熱固定することにより、ステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムを得た。得られたフィルムを120℃で60分間熱処理したところ、寸法変化率の絶対値は3%以下であった。
比較例2
ステレオコンプレックスポリ乳酸系樹脂(A1)を110℃、5時間真空乾燥した。次いで、下記式(4)で表され、ポリオレフィン用核剤として販売されているアミド系化合物(新日本理化(株)製「エヌジェスター(登録商標)」NU100を、ステレオコンプレックスポリ乳酸系樹脂(A1)100重量部に対して0.3重量部ドライブレンドした。これを、230℃で押出機にて溶融混練し、ダイ温度230℃でTダイよりフィルム状に溶融押し出し、40℃の冷却ドラム表面に密着、固化させた後、剥離することによりフィルムを得た。得られたフィルムを温度125℃にて熱固定することにより、ステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムを得た。得られたフィルムを120℃で60分間熱処理したところ、寸法変化率の絶対値は3%以下であった。
比較例3
ポリ−L乳酸(L1)を110℃、5時間真空乾燥した。次いで下記式(2)で表されるアミド系化合物である新日本理化(株)製「リカクリア(登録商標)」PC1を、ポリ−L乳酸(L1)100重量部に対して0.3重量部ドライブレンドした。これを、230℃で押出機にて溶融混練し、ダイ温度230℃でTダイよりフィルム状に溶融押し出し、40℃の冷却ドラム表面に密着、固化させた後、剥離することによりフィルムを得た。得られたフィルムを温度125℃にて熱固定することにより、ポリ乳酸系フィルムを得た。得られたフィルムを120℃で60分間熱処理したところ、寸法変化率の絶対値は3%以下であった。
比較例4
ポリ−L乳酸(L1)を110℃、5時間真空乾燥した後、下記式(4)で表され、ポリオレフィン用核剤として販売されているアミド系化合物(新日本理化(株)製「エヌジェスター(登録商標)」NU100を、ポリ−L乳酸(L1)100重量部に対して0.3重量部ドライブレンドした。これを、230℃で押出機にて溶融混練し、ダイ温度230℃でTダイよりフィルム状に溶融押し出し、40℃の冷却ドラム表面に密着、固化させた後、剥離することによりフィルムを得た。得られたフィルムを温度125℃にて熱固定することにより、ポリ乳酸系フィルムを得た。得られたフィルムを120℃で60分間熱処理したところ、寸法変化率の絶対値は3%以下であった。
比較例5
ステレオコンプレックスポリ乳酸系樹脂(A1)を110℃、5時間真空乾燥した後、下記式(5)で表され、ポリオレフィンの重金属不活性化剤として販売されているアミド系化合物である(株)ADEKA製「アデカスタブ(登録商標)」CDA−1を、ステレオコンプレックスポリ乳酸系樹脂(A1)100重量部に対して0.3重量部ドライブレンドした。これを、230℃で押出機にて溶融混練し、ダイ温度230℃でTダイよりフィルム状に溶融押し出し、40℃の冷却ドラム表面に密着、固化させた後、剥離することによりフィルムを得た。得られたフィルムを温度125℃にて熱固定することにより、ステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムを得た。得られたフィルムを120℃で60分間熱処理したところ、寸法変化率の絶対値は3%以下であった。
比較例6
ステレオコンプレックスポリ乳酸系樹脂(A1)を110℃、5時間真空乾燥した。次いで、下記式(6)で表され、重金属不活性化剤として販売されているヒドラジド系化合物((株)ADEKA製「アデカスタブ(登録商標)」CDA−6)を、ステレオコンプレックスポリ乳酸系樹脂(A1)100重量部に対して0.3重量部ドライブレンドした。これを、230℃で押出機にて溶融混練し、ダイ温度230℃でTダイよりフィルム状に溶融押し出し、40℃の冷却ドラム表面に密着、固化させた後、剥離することによりフィルムを得た。得られたフィルムを温度125℃にて熱固定することにより、ステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムを得た。得られたフィルムを120℃で60分間熱処理したところ、寸法変化率の絶対値は3%以下であった。
比較例7
ステレオコンプレックスポリ乳酸系樹脂(A1)を110℃、5時間真空乾燥した。次いで、下記式(7)で表され、ポリ乳酸用結晶核剤として販売されているフェニルホスホン酸亜鉛(日産化学工業(株)製「エコプロモート(登録商標)」NP)を、ステレオコンプレックスポリ乳酸系樹脂(A1)100重量部に対して0.3重量部ドライブレンドした。これを、230℃で押出機にて溶融混練し、ダイ温度230℃でTダイよりフィルム状に溶融押し出し、40℃の冷却ドラム表面に密着、固化させた後、剥離することによりフィルムを得た。得られたフィルムを温度125℃にて熱固定することにより、ステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムを得た。得られたフィルムを120℃で60分間熱処理したところ、寸法変化率の絶対値は3%以下であった。
比較例8
ステレオコンプレックスポリ乳酸系樹脂(A1)を110℃、5時間真空乾燥した。次いで、日本タルク(株)製タルクFG−15を、ステレオコンプレックスポリ乳酸系樹脂(A1)100重量部に対して0.3重量部ドライブレンドした。これを、230℃で押出機にて溶融混練し、ダイ温度230℃でTダイよりフィルム状に溶融押し出し、40℃の冷却ドラム表面に密着、固化させた後、剥離することによりフィルムを得た。得られたフィルムを温度125℃にて熱固定することにより、ステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムを得た。得られたフィルムを120℃で60分間熱処理したところ、寸法変化率の絶対値は3%以下であった。
比較例9
ステレオコンプレックスポリ乳酸系樹脂(A1)を110℃、5時間真空乾燥した。次いで、ステレオコンプレックスポリ乳酸系樹脂(A1)100重量部に対して下記式(3)で表される構造を有する環状カルボジイミド化合物0.8重量部をドライブレンドした。これを、230℃で押出機にて溶融混練し、ダイ温度230℃でTダイよりフィルム状に溶融押し出し、40℃の冷却ドラム表面に密着、固化させた後、剥離することによりフィルムを得た。得られたフィルムを温度125℃にて熱固定することにより、ステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムを得た。得られたフィルムを120℃で60分間熱処理したところ、寸法変化率の絶対値は3%以下であった。
実施例1~4並びに比較例1~9の操作で得られたフィルムの評価結果を表1、表2および表3に示す。
実施例1において、40℃の冷却ドラム表面に密着、固化させた後、剥離することにより得られたフィルムを、熱固定しなかったこと以外は同様の操作を行って、結晶化度(C)が26%の未結晶状態のステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムを得た。
このステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムは、寸法固定状態で110℃、5分間熱処理して、結晶化させた後であっても顕著なヘイズ上昇は確認できなかった。
また、得られたフィルムを偏光子の保護フィルムとし、下記方法により偏光子と貼り合わせて偏光板を作成した。
<偏光子>
平均重合度約2400、ケン化度99.9mol%以上、厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の純水に浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.02/2/100の水溶液に30℃で浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が12/5/100の水溶液に56.5℃で浸漬した。引き続き、8℃の純水で洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光子を得た。延伸は、主に、ヨウ素染色およびホウ酸処理の工程で行ない、トータル延伸倍率は5.3倍とした。
<偏光板>
上記のステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムおよびケン化処理したトリアセチルセルロースフィルムの偏光子との貼合面にコロナ処理を施した後、(株)ADEKA社製光硬化樹脂「アデカオプトマー」KR−508を接着剤として厚さ2μmの厚みに塗工した。
各フィルムへ接着剤を塗工した後、直ちに、上記偏光子の一方の面にステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムを、他方の面にケン化処理されたトリアセチルセルロースフィルムを、各々接着剤の塗工面を介するように貼合ロールによって貼合した。その後、メタルハライドランプを320~400nmの波長における積算光量が600mJ/cm2となるように両面から照射した後、50℃で24時間養生させることにより接着剤を硬化させ、偏光板を得た。
得られた偏光板は接着界面にカッターの刃を入れても剥離することは出来ず十分な接着力を有していた。
また、アクリル系粘着剤を介して、得られた偏光板をガラス板に貼り合わせ、90℃で100時間の耐久試験を実施したが、試験後に顕著なヘイズ上昇、偏光度低下は認められず、偏光板として十分な耐久性を有していることが確認できた。なお、耐久試験後の偏光板からステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムだけを削り取り分析したところ、結晶化度(C)は100%であった。
得られた未結晶フィルム及び偏光板の特性を表4に示す。
比較例10
比較例1において、40℃の冷却ドラム表面に密着、固化させた後、剥離することにより得られたフィルムを、熱固定しなかったこと以外は同様の操作を行って、結晶化度(C)が23%の未結晶のステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムおよびこれを用いた偏光板を得た。
得られたステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムは、寸法固定状態で110℃5分熱処理して、結晶化させたところ、顕著なヘイズ上昇が確認できた。
得られた偏光板は接着界面にカッターの刃を入れても剥離することは出来ず十分な接着力を有していた。また、アクリル系粘着剤を介して、得られた偏光板をガラス板に貼り合わせ、90℃で100時間の耐久試験を実施したが、試験後に顕著なヘイズ上昇が認められ、偏光板として十分な耐久性はないことが確認された。
なお、耐久試験後の偏光板からステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムだけを削り取り分析したところ、結晶化度(C)は100%であった。
得られた未結晶フィルム及び偏光板の特性を表4に示す。
実施例6
実施例5において、ステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムを剥離後に寸法固定状態で90℃2分間熱処理したこと以外は同様の操作を行って、結晶化度(C)が78%のステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムおよび偏光板を得た。
このステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムは、寸法固定状態で110℃5分熱処理して、結晶化させた後であっても顕著なヘイズ上昇は確認できなかった。
ただし、得られた偏光板の接着界面にカッターの刃を入れたところ、剥離してしまい、十分な接着力を有していなかった。
アクリル系粘着剤を介して、得られた偏光板をガラス板に貼り合わせ、90℃で100時間の耐久試験を実施したが、試験後に顕著なヘイズ上昇、偏光度低下は認められず、偏光板として十分な耐久性を有していることが確認できた。なお、耐久試験後の偏光板からステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルムだけを削り取り分析したところ、結晶化度(C)は100%であった。
得られたフィルム及び偏光板の特性を表4に示す。
(式中、R1は、1,2,3−プロパントリカルボン酸又は1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸から全てのカルボンキシル基を除いて得られる残基を表す。3個又4個のR2は、互いに同一又は異なって、それぞれ水素原子又は炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基を表す。kは、3又は4の整数を表す。)
Claims (10)
- 結晶化度(C)が90%以上である、請求項1記載のステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルム。
- 結晶化度(C)が70%以下である、請求項1記載のステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルム。
- ステレオコンプレックス結晶化度(S)が90%以上である、請求項1記載のステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルム。
- ヘイズが1%以下である、請求項1記載のステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルム。
- 面外位相差(Rth)の絶対値が20nm以下である、請求項1記載のステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルム。
- 面外位相差(Rth)が−20nm以下である、請求項1記載のステレオコンプレックスポリ乳酸系フィルム。
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