JP2013216016A - 多層フィルム - Google Patents

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雄平 小野
Akihiko Uchiyama
昭彦 内山
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浩平 遠藤
Akimichi Oda
顕通 小田
Masahiro Iwai
正宏 岩井
Ryuji Nonokawa
竜司 野々川
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Abstract

【課題】光学特性、機械特性に優れ、光学フィルム、とりわけ偏光子保護フィルムとして好適に用いることのできる多層フィルムを提供すること。
【解決手段】ポリ乳酸を含む層と高分子からなる層とを積層した多層フィルムであって、少なくとも一方の表面にポリ乳酸を含む層が配され、且つ下記(1)〜(4)の要件を同時に満足することを特徴とする、多層フィルム。
(1)ポリ乳酸を含む層において、ポリ乳酸が該層を構成する全成分を基準として、50重量%以上を占めること。
(2)ポリ乳酸を含む層におけるポリ乳酸が、ポリ乳酸を構成するL−乳酸単位とD−乳酸単位とのモル比(L/D)が95/5〜5/95の範囲にあること。
(3)フィルムの80℃における引張弾性率が100MPa以上3000MPa以下であること。
(4)フィルムの80℃24時間熱処理前後による寸法変化率の絶対値がMD方向、TD方向のいずれも3%以下であること。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリ乳酸系樹脂組成物を含む多層フィルムに関し、更に詳しくは、光学特性、機械特性に優れ、光学フィルム、とりわけ偏光子保護フィルムとして好適に用いることのできる多層フィルムに関する。
ポリ乳酸は植物由来材料として石油系樹脂の代替と成りうる可能性をもつだけではなく、有機溶媒を用いない溶融押出法にてフィルム化が可能であるために環境配慮型の材料としては好適であり、さらに、結晶性であるにも関わらず高い透明性を保有するなど光学特性に特長があり、それを活かした用途展開が期待されている。
このポリ乳酸を光学用途等高機能フィルム、特に、偏光子を偏光子保護フィルムで挟持した偏光板において、偏光子保護フィルムに用いることも提案されている(例えば、特許文献1、2、3等参照。)。しかしながら、これら提案の技術では、偏光板としての実用上の機械特性を満足できず、また、偏光子との接着において接着手段が限られるという問題もあり、未だポリ乳酸の光学用途への展開はなされていないのが実情であった。
特開2002−082223号公報 特開2001−337201号公報 特開2004−252263号公報
本発明の目的は、上記従来技術では達成していなかった、光学特性、機械特性に優れ、光学フィルム、とりわけ偏光子保護フィルムとして好適に用いることのできる多層フィルムを提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、ポリ乳酸の光学純度を特定の範囲に制御することで、上記課題を解決することが出来うることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の目的は、
1.ポリ乳酸を含む層と高分子からなる層とを積層した多層フィルムであって、少なくとも一方の表面にポリ乳酸を含む層が配され、且つ下記(1)〜(4)の要件を同時に満足することを特徴とする、多層フィルムによって達成される。
(1)ポリ乳酸を含む層において、ポリ乳酸が該層を構成する全成分を基準として、50重量%以上を占めること。
(2)ポリ乳酸を含む層におけるポリ乳酸が、ポリ乳酸を構成するL−乳酸単位とD−乳酸単位とのモル比(L/D)が95/5〜5/95の範囲にあること。
(3)フィルムの80℃における引張弾性率が100MPa以上3000MPa以下であること。
(4)フィルムの80℃24時間熱処理前後による寸法変化率の絶対値がMD方向、TD方向のいずれも3%以下であること。
また、本発明には以下も包含される。
2.80℃100時間熱処理後の偏光解消度が0.05%以下である、上記1に記載の多層フィルム。
3.80℃100時間熱処理後の内部ヘイズが1%以下である、上記1に記載の多層フィルム。
4.フィルム全体の厚みを基準として、ポリ乳酸を含む層の厚みの比率が50%未満である、上記1に記載の多層フィルム。
5.高分子からなる層が、ISO527−3に記載の方法に準拠して求めた破断伸度が8%以上200%以下となる材料からなる、上記1に記載の多層フィルム。
6.高分子からなる層が、主としてアクリル系樹脂からなる、上記1に記載の多層フィルム。
7.高分子からなる層が、主としてポリカーボネート系樹脂からなる、上記1に記載の多層フィルム。
8.ISO527−3に記載の方法に準拠して求めた破断伸度がMD方向、TD方向のいずれも4%以上200%以下である、上記1に記載の多層フィルム。
9.光弾性定数の絶対値が10×10−12Pa−1以下である、上記1に記載の多層フィルム。
10.Reの絶対値とRthの絶対値がいずれも10nm以下である、上記1に記載の多層フィルム。
11.上記1〜10のいずれか記載の多層フィルムを少なくとも偏光子の片面に配した偏光板。
本発明によれば、光学特性、機械特性に優れ、光学フィルム、とりわけ偏光子保護フィルムとして好適に用いることのできる多層フィルムならびに、これを用いた偏光板を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<ポリ乳酸を含む層>
本発明の多層フィルムはポリ乳酸を含む層を有するが、まず、ポリ乳酸について説明する。
本発明のポリ乳酸とは、主にL−乳酸単位とD−乳酸単位からなるポリ乳酸共重合体またはそれらの混合物のことをいう。
本発明においては、ポリ乳酸としてL乳酸単位とD乳酸単位とのモル比(L/D)が95/5〜5/95の範囲にあることを特徴とするものである。このように、L/Dが特定の範囲を満足するポリ乳酸を用いることによって、得られるポリ乳酸は、偏光板の偏光子との接着が向上し、更に、偏光解消による輝度低下を抑えることができる。
ポリ乳酸のL/D比は95/5〜5/95であることが必要であり、好ましくは90/10〜10/90、更に好ましくは80/20〜20/80、更には70/30〜30/70とすることが好ましい。特に、L/D比が上記の範囲でも比較的に大きい場合や比較的に小さい場合には、ポリ乳酸以外のポリ乳酸と相溶する樹脂をブレンドすることにより、偏光子との接着性の向上と偏光解消による輝度低下の抑制を実現することができる。その場合、ポリ乳酸以外のポリ乳酸と相溶する樹脂とは、ポリ乳酸と相溶すれば、特に限定されないが、特に、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリブチルメタクリレート(PBMA)などのアクリル系樹脂や、ポリビニルアセテート(EVA)、ポリカプロラクトン(PCL)などの脂肪族ポリエステル系樹脂などが挙げられる。ポリ乳酸にブレンドする樹脂は、特に結晶性の低い樹脂が好ましく、更に好ましくは非晶性樹脂をブレンドすることが好ましい。ポリ乳酸を含む層を構成する全成分としてポリ乳酸が50重量%以上であることが必要である。50重量%未満であると、偏光板の偏光子との接着が悪くなるおそれがある。なお、ポリ乳酸を含む層と偏光子とは接着剤を介して接着されるが、その接着原理としてはポリ乳酸を含む層の表面が接着剤のモノマー成分により溶解されることによるアンカリングにより接着すると推定され、ポリ乳酸比率が50重量%未満ではアンカリングが弱くなり接着力が発現しない。好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは65重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは75重量%以上、最も好ましくは80重量%以下である。
さらに、ポリ乳酸としては、L乳酸またはD乳酸を基本単位とする、異なる2種以上のポリ乳酸の混合物を用いてもよい。この場合、L/D比が本発明で規定する範囲外であるポリ乳酸、例えば、L/Dが95/5を超えるポリ乳酸と、本発明で規定するL/D比を満足するポリ乳酸とを用いて2種類以上組み合わせて、得られるポリ乳酸において、その加重平均のL/D比が95/5〜5/95になればよい。同様に、ポリ乳酸を構成するポリ乳酸として、L/D比が5/95未満のポリ乳酸を用いてもよく、組み合わせて得られるポリ乳酸において、その加重平均のL/Dが95/5〜5/95になればよい。
ポリ乳酸として異なるL/D体を有する2種以上のポリ乳酸が混合されていた場合、接着性や偏光解消による輝度は、加重平均して計算される値と同じL/D比を有するポリ乳酸とほぼ同等になる。たとえ、95/5〜5/95の範囲外のポリ乳酸が含まれていたとしても、加重平均して計算されたL/D比が95/5〜5/95になれば、樹脂組成物全体としての結晶性は低くなり、そのため、接着性の向上や偏光解消による輝度低下は抑制効果は同程度になると考えられる。
本発明においては、ポリ乳酸のL/D比の測定方法は、特に限定はされず、公知の測定方法をいずれも用いることができるが、代表的には、ポリ乳酸部分を取り出し、得られたポリ乳酸部位を乳酸まで加水分解し、(株)住化分析センター製「スミキラル(登録商標)」OA−5000等を用いた高速液体クロマトグラフィー法を例示することができる。
ポリ乳酸のメルトフローレート(以下、MFRと略称する。)は、ISO−1133:1997の記載に準拠し、温度240℃加重21.18Nの測定条件で、0.1〜50g/10分が好ましく、5〜40g/10分がより好ましく、10〜20g/10分がさらに好ましい。MFRが50g/10分を超えると、溶融粘度が低すぎて製膜の際に厚み斑が大きくなる場合がある。一方、MFRが0.1g/10分未満であると押し出し機の負荷が高くなり、押し出しが難しくなるので好ましくない。
ポリ乳酸のMFRを所定の範囲に調節する方法としては、以下の方法が使用できる。MFRが大きい場合は、前記ポリ乳酸の分子量を製造の段階で高くしておくことや、製造後でも少量の鎖長延長剤、例えば、カルボジイミド化合物、ジイソシアネート化合物、ビスオキサゾリン化合物、エポキシ化合物、酸無水物等を用いて樹脂の分子量を増大させる方法が使用できる。逆に、MFRが小さい場合は、MFRの大きな生分解性ポリエステル樹脂や低分子量化合物と混合する方法が挙げられる。
また、多層製膜をする際の製膜性の観点において、各層を構成する材料の粘度は近いほうが好ましく、他の層を形成する材料との粘度差については、例えば同条件にて測定されたMFRなどにより表され、フィードブロック方式では粘度差は10倍以内、好ましくは5倍以内より好ましくは3倍以内にすることがよい。マルチマニホールド方式では粘度差は30倍以内、好ましくは20倍以内より好ましくは10倍以内にすることがよい。
ポリ乳酸は、各種ポリ乳酸のうち、L/D比が本発明で規定する範囲のポリ乳酸を用いることができる。また、L−ラクチド、D−ラクチド、メソラクチドを原料に用い、それぞれ単独もしくはそれらの混合物をL/D比が95/5〜5/95のラクチド公知の溶融重合法で、あるいは、固相重合法を併用して製造したものを用いることができる。また、L/D比が95/5〜5/95になる乳酸、すなわちL−乳酸、D−乳酸単独もしくはそれらの混合物を公知の直接重合法あるいは固相重合法を併用して製造したものも用いることができる。
ポリ乳酸としては、架橋構造が導入されたものを用いてもよい。このようなポリ乳酸を使用することで、溶融混練時の操業性が向上し、樹脂組成物の耐熱性が向上する。架橋の形態としては、ポリ乳酸分子同士が直接架橋したものでも、架橋助剤を介して間接的に架橋したものでも、直接架橋と間接架橋が混在したものでもよい。
本発明のポリ乳酸を含む層を形成する材料には、その特性を大きく損なわない範囲内でグリコール、ジカルボン酸、他のヒドロキシカルボン酸、ラクトン類等を共重合してもよい。グリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオ−ル、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコール、ビスフェノ−ルA、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等が挙げられる。他のヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸等が挙げられる。ラクトン類としては、カプロラクトン、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、ウンデカラクトン等が挙げられる。
本発明のポリ乳酸を含む層を形成する材料中のポリ乳酸の含有量は、50〜100重量%とすることが必要であり、中でも70〜100重量%、更に80〜100重量%が好ましい。ポリ乳酸の含有量が50重量%未満であると、偏光子保護フィルムとして用いようとした際に偏光子との接着性が低下する。
また、本発明に用いるポリ乳酸は、特に限定されるものではないが、カルボジイミド化合物、ジイソシアネート化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物、エポキシ化合物、酸無水物などを単独あるいは2種以上併用して含有することが好ましい。ポリ乳酸を含む層の材料の耐湿熱性を向上させることを目的に配合されるものである。また、先に述べたMFR調整時にこれら剤を使用しても良い。
カルボジイミド化合物とは、(−N=C=N−)で表されるカルボジイミド基を分子内に有する化合物をいう。なお、カルボジイミド基を分子内に1個有する化合物をモノカルボジイミド化合物と表し、カルボジイミド基を分子内に2個以上有する化合物を多価カルボジイミド化合物と表す。
カルボジイミド化合物としては、モノカルボジイミド化合物と多価カルボジイミド化合物を併用することが好ましい。
モノカルボジイミド化合物としては、N,N´−ジ−p−クロルフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−o−クロルフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−3,4−ジクロルフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,5−ジクロルフェニルカルボジイミド、p−フェニレン−ビス−o−トルイルカルボジイミド、p−フェニレン−ビス−ジシクロヘキシルカルボジイミド、p−フェニレン−ビス−ジ−p−クロルフェニルカルボジイミド、ヘキサメチレン−ビス−シクロヘキシルカルボジイミド、エチレン−ビス−ジフェニルカルボジイミド、エチレン−ビス−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N´−ジ−o−トリイルカルボジイミド、N,N´−ジフェニルカルボジイミド、N,N´−ジオクチルデシルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N−トリイル−N´−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジ−tert−ブチルフェニルカルボジイミド、N−トルイル−N´−フェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−アミノフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−トルイルカルボジイミド、N,N’−ベンジルカルボジイミド、N−オクタデシル−N’−フェニルカルボジイミド、N−ベンジル−N’−フェニルカルボジイミド、N−オクタデシル−N’−トリルカルボジイミド、N−シクロヘキシル−N’−トリルカルボジイミド、N−フェニル−N’−トリルカルボジイミド、N−ベンジル−N’−トリルカルボジイミド、N,N’−ジ−o−エチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−エチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−o−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−o−イソブチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−イソブチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジエチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2−エチル−6−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2−イソブチル−6−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,4,6−トリメチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,4,6−トリイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,4,6−トリイソブチルフェニルカルボジイミド等が挙げられる。中でも、湿熱耐久性の点から、N,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドが好ましい。
多価カルボジイミド化合物としては、ポリ(1,6−ヘキサメチレンカルボジイミド)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシルカルボジイミド)、ポリ(1,3−シクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(1,4−シクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(ナフチレンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルカルボジイミド)、ポリ(メチル−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン)カルボジイミド、ポリ(1,5−ジイソプロピルベンゼン)カルボジイミド等が挙げられる。中でも、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシルカルボジイミド)、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン)カルボジイミド、ポリ(1,5−ジイソプロピルベンゼン)カルボジイミドが好ましい。
なお、上記したカルボジイミド化合物を高分子化合物と混練すると、カルボジイミド化合物がポリエステルの末端に結合する反応に伴いイソシアネート基を有する化合物が遊離し、イソシアネート化合物の独特の臭いを発生し、作業環境を悪化させるため、イソシアネート化合物を遊離しない構造のカルボジイミドとして、先に本出願人は、環状カルボジイミドを含有する樹脂組成物について提案している(国際公開WO2010/071213号パンフレット)。この環状カルボジイミドはイソシアネートを遊離せず、耐加水分解性を高い水準で満足する樹脂組成物が得られている。この特許文献に記載されている環状カルボジイミドを用いることが特に好ましい。
また、本発明のポリ乳酸に適用してよい芳香族オキサゾリン化合物は、炭素数1から10個の置換基を保有していてもよい炭化水素基を保有することができ、(酸素、窒素)より選択されるヘテロ原子を含有していても良い芳香族環にオキサゾリン環が2位で直接、単結合で結合した化合物である。
炭素数1から10個の置換基を保有していてもよい炭化水素基としては、たとえばメチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、デシル基等が例示される。
オキサゾリン環が2位で芳香環に単結合で直接結合していることにより、本発明の目的を好適に達成することができる。
本発明において、芳香族オキサゾリン化合物は一分子にオキサゾリン環を少なくとも2個含有することが好ましく、とりわけ2個含有することが好ましい。なかでもビスオキサゾリルベンゼン類が好ましい化合物として例示できる。
本発明において使用できる、分子中に芳香族オキサゾリン化合物としては、例えば、フェニル‐2‐オキサゾリン、4−メチルフェニル‐2‐オキサゾリン、3−ブチルフェニル‐2‐オキサゾリン、4−デシルフェニル‐2‐オキサゾリン、4−フェニルフェニル‐2‐オキサゾリン、1,3−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、1,4−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、4,4’‐ビフェニレンビス(2−オキサゾリン)、3,4’‐ビフェニレンビス(2−オキサゾリン)、3,3’‐ビフェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’‐ビフェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,4’‐ビフェニレンビス(2−オキサゾリン)、4,4’‐テルフェニレンビス(2−オキサゾリン)、3,4’‐テルフェニレンビス(2−オキサゾリン)、3,3’‐テルフェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’‐テルフェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,4’‐テルフェニレンビス(2−オキサゾリン)1−ナフチル‐2‐オキサゾリン、2−ナフチル‐2‐オキサゾリン、1、4−ナフチレンビス(2‐オキサゾリン)、1、5−ナフチレンビス(2‐オキサゾリン)、2、6−ナフチレンビス(2‐オキサゾリン)、2、7−ナフチレンビス(2‐オキサゾリン)などが例示される。
本発明の主たる目的である色相、工業的製造の好適性の観点より、1,2−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、1,3−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、1,4−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、4,4’‐ビフェニレンビス(2−オキサゾリン)、3,4’‐ビフェニレンビス(2−オキサゾリン)などが好適な剤の例として挙げることができる。
本発明で用いることができるオキサジン化合物の例としては2−メトキシ−5,6−ジヒドロ‐4H−1,3−オキサジン、2−ヘキシルオキシ−5,6−ジヒドロ‐4H−1,3−オキサジン、2−デシルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−シクロヘキシルオキシ−5,6−ジヒドロ‐4H−1,3−オキサジン、2−アリルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−クロチルオキシー5,6−ジヒドロ‐4H−1,3−オキサジンなどが挙げられる。
さらに2,2’‐ビス(5,6‐ジヒドロ‐4H‐1,3‐オキサジン)、2,2’‐メチレンビス(5,6−ジヒドロ‐4H−1,3−オキサジン)、2,2’−エチレンビス(5,6−ジヒドロ‐4H‐1,3‐オキサジン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2’−p−フェニレンビス(5,6−ジヒドロ‐4H−1,3−オキサジン)、2,2’−P,P’−ジフェニレンビス(5,6−ジヒドロ‐4H−1,3−オキサジン)などが挙げられる。
さらに上記した化合物をモノマー単位として含むポリオキサジン化合物などが挙げられる。上記オキサゾリン化合物やオキサジン化合物のなかでは2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)や2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、1,3−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、1,4−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、がとりわけ好適な剤として例示される。
本発明で用いることができるエポキシ化合物としては、グリシジルエーテル化合物、グリシジルエステル化合物、グリジジルアミン化合物、グリシジルイミド化合物、グリシジルアミド化合物、脂環式エポキシ化合物を好ましく使用することができる。かかる剤を配合することで、機械的特性、成形性、耐熱性、耐久性に優れた樹脂組成物および成形品を得ることができる。
グリシジルエーテル化合物としては、ステアリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、エチレンオキシドラウリルアルコールグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングルコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、その他ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンなどのビスフェノール類とエピクロルヒドリンとの縮合反応で得られるビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂などを挙げられる。なかでもビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が好ましい。
グリシジルエステル化合物として、安息香酸グリシジルエステル、ステアリン酸グリシジルエステル、パーサティック酸グリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、ドデカンジオン酸ジグリシジルエステル、ピロメリット酸テトラグリシジルエステルなどが挙げられる。なかでも安息香酸グリシジルエステル、バーサティック酸グリシジルエステルが好ましい。
グリシジルアミン化合物として、テトラグリシジルアミンジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、トリグリシジルイソシアヌレートなどが挙げられる。
グリシジルイミド、グリシジルアミド化合物として、N−グリシジルフタルイミド、N−グリシジル−4,5−ジメチルフタルイミド、N−グリシジル−3,6−ジメチルフタルイミド、N−グリシジルサクシンイミド、N−グリシジル−1,2,3,4−テトラヒドロフタルイミド、N−グリシジルマレインイミド、N−グリシジルベンズアミド、N−グリシジルステアリルアミドなどが挙げられる。なかでもN−グリシジルフタルイミドが好ましい。
脂環式エポキシ化合物として、3,4−エポキシシクロヘキシル−3,4−シクロヘキシルカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、N−メチル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミド、N−フェニル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミドなどが挙げられる。
その他のエポキシ化合物として、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化鯨油などのエポキシ変性脂肪酸グリセリド、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などを用いることができる。
また、組成物の透明性を損なうことなく、キャスト時のキャスティングドラムの離型性や耐湿熱性、非晶構造の強化などのために、シリコーン化合物を添加することが有効である。一般にシリコーンオイルといわれるもののうち、側鎖にカルボキシル基、水酸基、フェニル基、エーテル結合含有基、及びエポキシ基からなる群より選ばれる1 種以上を有するものが使用できる。具体的には、メチルカルボキシジメチルシリコーン等のカルボキシ変性シリコーンオイルや、メチルフェニルジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等のフェニル変性シリコーンオイルや、メチルグリシジルジメチルシリコーン等のエポキシ変性シリコーンオイルやエポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイルを使用することができる。なかでもポリ乳酸や高分子からなる層を構成するポリマーとの良好な透明性を維持するために、屈折率が該ポリマーとの屈折率差がプラスマイナス0.05以内、例えばポリ乳酸であれば、1.46±0.05の範囲、に入っているものが好ましい。
本発明で用いることができるイソシアネート化合物の例としては例えば芳香族、脂肪族、脂環族イソシアネート化合物及びこれらの混合物を使用することができる。
モノイソシアネート化合物としてはたとえばフェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどが挙げられる。
ジイソシアネートとしては、具体的化合物としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、(2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート)混合物、シクロヘキサン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンー4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニル−1,4−ジイソシアネート、などを例示することができる。
これらのイソシアネート化合物のなかでは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニルイソシアネートなどの芳香族イソシアネートが好ましい。
これら添加剤を用いる場合、その含有量は、ポリ乳酸を含む層を構成する材料の合計100質量部あたり、0.1〜5質量部であることが好ましく、中でも0.5〜3質量部とすることがより好ましい。これら添加剤の含有量がこの範囲にあることで、得られるポリ乳酸を含む層を構成する材料の湿熱耐久性が向上する。なお、これら添加剤は、単独で用いても、2種以上を併用して用いても良い。
本発明のポリ乳酸を含む層を形成する材料にはその特性を大きく損なわない範囲内で、公知の熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤、耐候剤、耐光剤、顔料、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、充填材、結晶核剤、ポリ乳酸の触媒失活剤等を添加することができる。
<高分子からなる層>
本発明において、高分子からなる層を構成する樹脂としては、特に限定されるものではなく、具体的には、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、環状オレフィン系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などを挙げることができる。これらは共重合されていても、ブレンドしてもよく、また、本発明の高分子には、本発明の効果を奏する限り、ポリ乳酸を含有する層に用いるポリ乳酸がブレンドされていてもよく、公知の添加剤、充填材などをいずれを用いてもよい。
なお、高分子からなる層はISO527−3に記載の方法に準拠して求めた破断伸度が8%以上200%以下となる材料からなることがフィルム全体の機械強度保持の観点から好ましく、このような材料としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂を例示でき、このような材料を用いたときには、特に、光学特性と機械強度とを高水準で兼備できるので好ましい。
また、最終的に得られる多層フィルムの80℃における弾性率を達成する、という観点において、高分子の80℃における弾性率は、100MPa以上であることが好ましく、より好ましく300MPa、さらに好ましくは500MPa、最も好ましくは800MPa以上である。上限としては3000MPaの弾性率であれば十分であり、それより弾性率の高い材料は一般的に脆く、ハンドリングが困難である可能性が高い。
上記の観点から、高分子からなる層は、主としてアクリル系樹脂からなる層、主としてポリカーボネート系樹脂からなる層とすることが好ましい。なお、「主として」とは、該成分が50重量%を占めることを意味する。
ここで、アクリル系樹脂としては、特にポリメチルメタクリレートが好ましい。
また、特に限定されないが、アクリル系耐衝撃剤として、(メタ)アクリル系共重合体、スチレン系モノマーと(メタ)アクリル系モノマーの共重合体、ゴム強化アクリル系化合物、コアシェル型アクリル系化合物、アクリル系オレフィン化合物、およびエポキシ基を有するアクリル系化合物等が添加されていてもよい。
中でも、アクリル系樹脂と同等の屈折率となるように成分調整を行なったコアシェル型アクリル系化合物を使用した場合には、多層フィルムの光学特性を低下させずにアクリル系樹脂の脆性を改善することができるので好ましい。
(メタ)アクリル系共重合体とは、(メタ)アクリル系モノマーを単独で重合したもの、または2種以上の(メタ)アクリル系モノマーを共重合したものである。(メタ)アクリル系モノマーとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソボルニル等のアルキル基(シクロアルキル基を含む)の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー、メタクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル系モノマー、メタクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アラルキルエステル系モノマー等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
スチレン系モノマーと(メタ)アクリルモノマーの共重合体とは、スチレン系モノマーと前記(メタ)アクリル系共重合体を構成するモノマーを共重合したものである。スチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルナフタレン、メトキシスチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、トリブロムスチレンのスチレン誘導体が挙げられる。中でも、スチレン、α―メチルスチレン等が好ましい。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム強化アクリル系樹脂とは、ゴム状重合体の存在下に、(メタ)アクリル系モノマーを共重合したもの、または、2種以上のモノマーを共重合したものである。ゴム状重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン・スチレン共重合体、イソプレン・スチレン共重合体、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、ブタジエン・イソプレン・スチレン共重合体、ポリクロロプレン等のジエン系ゴム、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体、エチレン・ブテン・非共役ジエン共重合体等のエチレン−プロピレン系ゴム、ポリブチルアクリレート等のアクリル系ゴム、ポリオルガノシロキサン系ゴム等のシリコーン系ゴム、これら2種以上のゴムからなる複合ゴム等が挙げられる。中でも、ジエン系ゴムまたはアクリル系ゴムが好ましい。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
コアシェル型アクリル系化合物とは、内層にゴム層を有し、外層に(メタ)アクリル系樹脂を有する層からなるものである。コアシェル構造の一例として、コア(内層)は、アクリル成分、シリコーン成分、スチレン成分、ニトリル成分、共役ジエン成分、ウレタン成分またはエチレン・プロピレン成分等を重合させたゴム等から構成され、シェル(外層)はメタクリル酸メチル重合体等から構成されるものが挙げられ、これらは市販されており、単独あるいは複数種を併用して用いることができる。
アクリル系樹脂は、MFRや機械強度を調整するために、複数種のアクリル系樹脂またはアクリル系樹脂と相溶性のある他の樹脂をブレンドしてもよい。
また、ポリカーボネート系樹脂としては、芳香族ジヒドロキシ化合物と芳香族炭酸ジエステルとから得られるものを用いることができ、芳香族ジオール化合物としては、具体的にはビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキサイド、ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)オキサイド、p,p’−ジヒドロキシジフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン、レゾルシノール、ハイドロキノン、1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジクロロベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−3−メチルベンゼン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド等が挙げられるが、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。また、炭酸ジエステルとしては、具体的にはジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネートなどが用いられる。これらのうち特にジフェニルカーボネートが好ましい。
上記のような芳香族炭酸ジエステルは芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、0.8〜1.5モル、好ましくは0.95〜1.1モル、更に好ましくは1.0〜1.05モルの量で用いられる。
また、多層製膜性の観点において材料間のTg調整、粘度調整などを目的として、公知のあらゆる材料をブレンドすることも可能である。例えばポリカプロラクトンなどはポリカーボネート系樹脂との相溶性がよく、好適にTg調整に用いることができる。
また、多層製膜をする際の製膜性の観点において、各層を構成する材料の粘度は近いほうが好ましく、高分子からなる層を構成する材料の粘度はポリ乳酸を含む層を構成する材料との粘度差については、例えば同条件にて測定されたMFRなどにより表され、フィードブロック方式では粘度差は10倍以内、好ましくは5倍以内より好ましくは3倍以内にすることがよい。マルチマニホールド方式では粘度差は30倍以内、好ましくは20倍以内より好ましくは10倍以内にすることがよい。
さらに本発明の高分子からなる層を形成する材料にはその特性を大きく損なわない範囲内で、公知の熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤、耐候剤、耐光剤、顔料、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、充填材、等を添加することができる。
<多層フィルム>
本発明の多層フィルムは好適に偏光板保護フィルムとして用いられるが、偏光子の保護フィルムの重要な要求特性として、光学特性、耐熱性および耐湿性がある。光学特性については、高い透明性と可視域での着色がない事に加え、偏光子が直線偏光を与えるという重要な特性を有しているために、その偏光度に障害を与えない光学特性が必要である。光学特性についてはフィルムの偏光解消度、位相差特性、内部ヘイズ、光弾性定数により表される。
また、耐熱性については偏光子である延伸されたポリビニルアルコールの収縮を抑える必要があるという観点から剛性が求められる。高温領域におけるフィルムの剛性が低いと偏光子の収縮に伴う偏光度の低下、偏光板のカールの発生が生じてしまう。例えば偏光板が液晶表示装置に組み込まれることを想定した場合には偏光板はバックライトの近傍で使用される。この時に偏光板は50〜60℃程度まで温度上昇する可能性があり、偏光板として80℃での機械特性や80℃24時間程度の耐久性が必要とされる。偏光子保護フィルムとして求められる機能として偏光子の収縮を抑えることが重要であるが、その指標としてフィルムには80℃の引張弾性率と80℃24時間熱処理した場合の寸法変化率により簡易的に表すことができる。
80℃における引張弾性率としては100〜3000MPaである必要がある。100MPaより低い場合には、偏光子の収縮に伴う偏光度の低下、偏光板のカールの発生が生じてしまう。好ましくは200MPa以上、より好ましくは300MPa以上、さらに好ましくは400MPa以上、さらに好ましくは500MPa以上、最も好ましくは600MPa以上である。一方、80℃において3000MPaの弾性率であれば十分であり、そのような弾性率の高い材料は一般的に脆く、ハンドリングが困難である可能性が高い。偏光子保護フィルムとしては一般的には1500MPaの弾性率があれば十分であるがハンドリング性に問題がなければ高くても問題はない。
また、多層フィルム全体として上記のような80℃における弾性率を実現させるにはTgの低いポリ乳酸を含む層の厚み比率は50%以下であることが好ましい。好ましくは45%以下、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは35%以下、さらに好ましくは30%以下、さらに好ましくは25%以下、最も好ましくは20%以下である。
80℃24時間熱処理した場合の寸法変化率の絶対値が、MD方向(機械方向)、TD方向(幅方向)のいずれかが3%より大きい場合は偏光度の低下、カールの発生が生じてしまう。好ましくは2%以下、より好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.8%以下、さらに好ましくは0.6%以下、さらに好ましくは0.4%以下、最も好ましくは0.2%以下である。
偏光解消度としては、本発明の多層フィルムを偏光子保護フィルムとして用いた偏光板を用いた表示装置において視認性を維持するという観点から、80℃100時間熱処理後の偏光解消度が0.05%以下であることが好ましい。0.05%以下であると、表示装置の視認性がさらに向上する。さらに好ましくは0.03%以下、さらに好ましくは0.02%以下、さらに好ましくは0.001%以下、さらに好ましくは0.007%以下、最も好ましくは0.005%以下である。
内部ヘイズも同様に本発明の多層フィルムを偏光子保護フィルムとして用いた偏光板を用いた表示装置において視認性を維持するという観点から80℃100時間熱処理後の内部ヘイズが1%以下であることが好ましい。1%以下であると、表示装置の視認性が更に向上する。さらに好ましくは0.7%以下、さらに好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.3%以下、さらに好ましくは0.2%以下、最も好ましくは0.1%以下である。
位相差も同様に本発明の多層フィルムを偏光子保護フィルムとして用いた偏光板を用いた表示装置において視認性を維持するという観点からReの絶対値とRthの絶対値がいずれも10nm以下であることが好ましい。この範囲にあると表示装置に用いた場合の視野角特性や視認性が更に良好なものとなる。Reの絶対値とRthの絶対値はそれぞれさらに好ましくは8nm以下、さらに好ましくは6nm以下、さらに好ましくは4nm以下、さらに好ましくは3nm以下、最も好ましくは2nm以下である。
本発明のフィルムは、フィルムの製造工程におけるハンドリング性の観点からISO527−3に記載の方法に準拠して求めた破断伸度が、4%以上であることが好ましい。破断伸度が4%以上であれば、製造工程においてフィルムが破断するなどのトラブルがなく、工程歩留りも向上する。さらに好ましくは5%以上、さらに好ましくは6%以上、さらに好ましくは7%以上、さらに好ましくは8%以上、さらに好ましくは9%以上、最も好ましくは10%以上200%以下である。破断伸度は200%あれば十分であり、そのような破断伸度の高い材料は一般的に弾性率が低くなり、実使用上問題が生じるおそれがある。
また、偏光板は実使用環境において偏光子であるポリビニルアルコールの収縮に由来する応力によって光学特性変化を生じる。この応力に対する光学特性の変化を表す指標が光弾性定数であるが、この絶対値が10×10−12Pa−1以下であれば特に良好な視認性を有する偏光板を得ることができるので好ましい。さらに好ましくは8×10−12Pa−1以下、さらに好ましくは6×10−12Pa−1以下、さらに好ましくは4×10−12Pa−1以下、最も好ましくは2×10−12Pa−1以下である。
また、偏光子保護フィルムとして使用される際に、ポリ乳酸を含む層が接着剤を介して偏光子と接着されるが、ポリ乳酸を含む層は、多層フィルムにおいて少なくとも一方の表面に存在すれば良いが、もちろん複数層あってもよい。その場合、それらのポリ乳酸を含む層の組成は異なっていても良い。
<多層フィルムの製造方法>
本発明の多層フィルムを製造する方法としては、特に限定されるものではないが、生産性や厚み精度に優れる点からも、ダイを用いた溶融押出成形法が好ましい。具体的にはそれぞれの層を構成する樹脂を、それぞれ別の押出機にて溶融し、溶融状態で積層した後に、ダイからシート状に押し出し、シートを冷却ロールで引き取ることで、多層フィルムを作製することができる。
溶融状態で各層の溶融樹脂を積層させる方法も特に限定されるものではないが、公知のフィードブロック方式、マルチマニホールド方式、スタックプレート方式などが挙げられる。積層された各層の厚み精度の観点から、各層を構成する材料の粘度は近いほうが好ましい。粘度差については、例えば同条件にて測定されたMFRなどにより表され、フィードブロック方式では粘度差は10倍以内、好ましくは5倍以内より好ましくは3倍以内にすることがよい。マルチマニホールド方式では粘度差は30倍以内、好ましくは20倍以内より好ましくは10倍以内にすることがよい。
また、冷却ロール上でのフィルムの平坦性を確保するために各層を構成する材料のTgは近いほうが好ましく、各層を構成する材料に対して適宜、可塑剤を添加したりポリマーブレンドするなどの方法により調整しても良い。
また、得られるフィルム表面の平面性を保つために、ダイから溶融押し出しし、キャスティングドラムにて冷却個化する際は、キャスティング方法として、キャスティングドラムの温度をガラス転移温度付近まで高くし密着させる方法に加え、静電印加法、気体を吹き付けて溶融状態のシートとキャスティングドラムを密着させるエアーエッジ方式、溶融状態のシートとキャスティングドラムの間を減圧し、密着させる真空チャンバー方式、さらにそれらの組み合わせがあり、特に静電印加法とキャスティングロール温度を上げて密着させる方式の組み合わせが好ましい。
静電印加法とは、両エッジ部分に電極を設置するか、フィルム全幅、または一部に、タングステンなどのワイヤーに3〜10kV程度の電圧をかけることにより、電界を発生させて、溶融状態のシートをキャスティングドラムに静電密着させて、冷却固化されたシート得る方法のことである。
特に脂肪族ポリエステルなどの熱分解しやすいポリマーや、アクリル系樹脂などの昇華性残留物を含むポリマーを使用する場合においては、該ワイヤーが汚染され密着性を低下させたり、密着斑が発生し平面性や厚み斑を悪化させる可能性があるので、分解効果のある材質、例えば白金、パラジウム、チタンなど触媒効果のある金属や化合物を使用するか、それらをコーティングしたワイヤーを使用することが好ましい。
また、該ワイヤー付近の雰囲気を吸引したり、ワイヤーまたはその雰囲気を加熱したり、雰囲気に水蒸気を混合させワイヤー上の汚染物の分解を促進たり、放電効率のよい気体を使用、混合させてもよい。
キャスティングの際に溶融状態のシートとキャスティングドラムが強く密着しすぎると光学用途など表面欠点が製品の品質に大きく影響するので、キャスティングドラムの材質の表面性は鏡面とすることが好ましく、さらに、キャスティングドラムの欠点転写を避けるために、溶融状態のシートとキャスティングドラムの密着を適正な密着度に調整する必要がある。
得られたフィルムは必要に応じて延伸することが可能であり、公知の延伸方法が用いられうる。例えば、MD方向にロール延伸、TD方向にテンター延伸することができ、またロール延伸とテンター延伸の逐次二軸延伸法、テンター延伸による同時二軸延伸法などが挙げられる。もちろん、光学的、機械的特性を満足する範囲であれば延伸温度、延伸倍率、延伸速度などの延伸条件は特に限定されるものではない。
また、該多層フィルムは適正な温度範囲(通常Tg以上Tg+150℃以下)で熱セット処理を行ってもよい。熱セット処理は延伸処理後に実施されるのが好ましい。延伸フィルムの配向が、熱セット処理されることによって緩和されるため熱寸法安定性が向上する。熱寸法安定性を向上させるためにトーイン、トーアウトなどの横方向弛緩や縦方向弛緩を行なうことができる。更に、熱寸法安定性を向上させるためにロールの状態で適切な温度でエージングする方法も可能である。
フィルム全体の厚みとしては特に限定はされないが樹脂コスト、ハンドリング性の観点から10〜100μmであることが好ましい。
また、フィルムの表面に防眩層、ハードコート層、易滑層、反射防止層、位相差層などの公知の機能層を設けることも可能である。
<多層フィルムの用途>
本発明の多層フィルムは偏光板の保護フィルムとして好適に用いられる。本発明の多層フィルムのポリ乳酸を含む層の面に接着剤を介して偏光子を積層することにより、本発明の偏光板が得られる。
本発明の多層フィルムを偏光子の両面に用いても良いし、片面のみに用いても良く、片面に用いた場合に反対面の偏光子保護フィルムは特に限定されるものではない。偏光子としては公知のものを用いることができ、一般的なものとしてポリビニルアルコールフィルムにヨウ素若しくは二色性染料を吸着させ、次いでホウ酸浴中で一軸延伸することによって得られるものや、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素もしくは二色性染料を吸着させ延伸し、さらに分子鎖中のポリビニルアルコール単位の一部をポリビニレン単位に変性することによって得られるものなど、を挙げることができる。偏光子の偏光度は、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。偏光子の厚さ(平均厚さ)は、好ましくは5μm〜80μmである。
なお、接着剤としては、接着する限り、いずれを用いてもよいが、例えば、公知のエポキシ系硬化型接着剤、具体例として、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、1,2−エポキシ−1−メチル−4−(1−メチルエポキシエチル)シクロヘキサン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの4−(1,2−エポキシエチル)−1,2−エポキシシクロヘキサン付加物、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、オキシジエチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、1,4−シクロヘキサンジメチルビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、および3−(3,4−エポキシシクロヘキシルメトキシカルボニル)プロピル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等が挙げられる。
また、上記エポキシ系硬化型接着剤の重合開始剤は特に限定されるものではないが、カチオン重合開始剤を配合するのが好ましい。
カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、および電子線等の活性エネルギー線の照射によってカチオン種またはルイス酸を発生し、エポキシ基の重合反応を開始させるものである。
このカチオン重合開始剤は、潜在性が付与されていることが好ましい。潜在性の付与によって本発明に用いられる活性エネルギー線硬化性組成物の可使時間が長くなり、作業性も良好になる。
活性エネルギー線の照射によりカチオン種やルイス酸を生じる化合物としては、特に限定されるものではないが、たとえば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩のようなオニウム塩、および鉄−アレン錯体等を挙げることができる。接着層の厚みとしては0.01〜10μmの範囲が好ましい。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれにより何等限定を受けるものでは無い。なお、各種特性は以下の方法で求めた。
(1)ポリ乳酸を含む層におけるポリ乳酸の光学純度L/D比:
ポリ乳酸樹脂の光学純度は、「ポリオレフィン等合成樹脂製食品容器包装等に関する自主基準 第3版改訂版 2004年6月追補 第3部 衛生試験法 P12−13」記載のD体含有量の測定方法に従い、ポリ乳酸0.1gに5モル/リットル濃度の水酸化ナトリウム水溶液1.0mL/メタノール1.0mLを加え、65℃に設定した水浴振とう器にセットして、ポリ乳酸が均一溶液になるまで加水分解を行い、さらに加水分解が完了した溶液に0.5モル/リットルの塩酸を加え中和し、その分解溶液を純水にて定溶した後、一定容量をメスフラスコに分液して高速液体クロマトグラフィー(HPLC)移動相溶液により希釈し、pHが3〜7の範囲になるように調整してメスフラスコを定量、メンブレンフィルター(0.45μm)によりろ過した。この調整溶液をHPLCにてD−乳酸、L−乳酸を定量することによってポリ乳酸の光学純度を求めた。
HPLCの測定は以下の条件とした。
<HPLC測定条件>
カラム:キラルカラム
住化分析センター社製「スミキラル(登録商標)」OA−5000(4.6mmφ×150mm)、
移動相:1.0ミリモル/リットルの硫酸銅水溶液
移動相流量:1.0ミリリットル/分
検出器:UV検出器(波長254nm)
注入量:20マイクロリットル
(2)80℃における引張弾性率:
フィルムを試料幅10mm、長さ80mmに切り出し、雰囲気温度80℃の条件で5分間保持し引きつづきチャック間50mm、引っ張り速度5mm/minで引っ張った。そして得られた荷重−伸び曲線から引張弾性率を求めた。
(3)80℃24時間熱処理前後による寸法変化率の絶対値:
フィルムのMD方向およびTD方向に、120mm、幅10mmのサンプルを切り出し、そのサンプルの両端近傍に100mmの間隔の標点を付け、80℃の温度に調整されたオーブン中に24時間放置した。これを取り出して室温(23℃)に放冷した後に標点間距離(mm)を測定し(この長さをSとする)、下記式にて寸法変化率の絶対値を求めた。
[式1]
寸法変化率(%)の絶対値=|((S−100)/100)×100|
(4)80℃100時間熱処理後の偏光解消度:
フジフイルム(株)社製ライトボックス5000の上に、偏光度99.9%の偏光板2枚をクロスニコル配置し、その偏光板の間にフィルムを挿入し、偏光板は固定し、挿入したフィルムのみを面内に回転させ、コニカミノルタオプティクス(株)社製輝度計LS−110で測定しつつ、最も輝度の低くなる角度にフィルムを配置した時の輝度(Cf)と、バックライトの輝度(C0)を測定し、下記式にて偏光解消度を求めた。
[式2]
偏光解消度(%)=Cf/C0×100
なお、フィルムは80℃の温度に調整されたオーブン中に100時間放置した。これを取り出して室温(23℃)に放冷したものを用いた。
(5)80℃100時間熱処理後内部ヘイズ:
光路長10mmのガラスセルに流動パラフィンを満たした状態をベースラインとし、ガラスセルの入光側内壁に平行となるようにフィルムを設置した後、流動パラフィンを満たし、表面ヘイズを除去した状態で、日本電色工業(株)社製ヘイズメーターNDH2000を用いて内部ヘイズを測定した。
なお、フィルムは80℃の温度に調整されたオーブン中に100時間放置した。これを取り出して室温(23℃)に放冷したものを用いた。
(6)フィルム厚み:
アンリツ(株)社製の電子マイクロK402Bで測定した。
(7)各層厚み:
サンプルフィルムの断面を(株)キーエンス社製デジタルマイクロスコープVHX−200で観察し各層厚みを測定した。上記方法での観察が困難な場合には、フィルムサンプルを包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂にて包埋したのちミクロトーム(ライカマイクロシステムズ社製「ULTRACUT(登録商標)」UCT)で切断し透過型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製S−4300)を用いて各層の厚みを測定した。
(8)ISO527−3に記載に準拠した破断伸度:
ISO527−3に記載の方法に準拠し、フィルムを試料幅10mm、長さ80mmに切り出し、チャック間50mm、引っ張り速度100mm/min、雰囲気温度23℃の条件でサンプルを引っ張った。そして得られた荷重−伸び曲線から破断伸度を求めた。
(9)面内位相差(Re)、面外位相差(Rth)の絶対値:
日本分光(株)製分光エリプソメータ(M150)により測定した。
(10)光弾性定数:
フィルムを試料幅10mm、長さ50mmに切り出し、フィルムの長手方向に張力を1N/10mm、2N/10mm、3N/10mm、4N/10mm、5N/10mmの各5点かけた場合の面内位相差(Re)を測定し、面内位相差(Re)を厚みで割ることにより算出される面内複屈折(Δn)をy軸に、フィルムにかかる応力をx軸として5点プロットし、最小二乗法により近似した直線を引き、その直線の傾きを光弾性定数として求めた。
(11)接着性の評価:
フィルム表面(ポリ乳酸を含有する層側)にUV硬化型エポキシ接着剤である(株)ADEKA社製「アデカオプトマー」KR−508をワイヤーバーコーターにて1〜2μmの厚みとなるように塗布し、300nm以下の紫外線をカットするカットフィルターが設置された低圧水銀ランプを有する紫外線硬化装置中に導入し、空気雰囲気下で積算光量1.5J/cmの光を照射した後、50℃、20時間のエージング処理を実施した。その後塗布面にセロテープ(登録商標)を貼り合せ、1分後に垂直方向に素早く剥離する。その時に、接着剤の剥離が認められないものを○と評価、一部でも剥離が認められたものを×と評価した。
(12)偏光板の耐久性:
実施例、比較例で作成した偏光板を粘着剤を介してガラスに貼り合わせた状態で80℃のオーブンに100時間放置した後に、顕著な光学特性の低下や外観不良について確認し、これらが認められず、また接着性に問題が生じなかったものを○と評価し、それ以外は×と評価した。
[参考例1]環状カルボジイミド化合物の製造:
国際公開WO2010/071213号パンフレットの記載に準拠し、環状カルボジイミド化合物を以下の方法で製造した。
o−ニトロフェノール(0.11mol)とペンタエリトリチルテトラブロミド(0.025mol)、炭酸カリウム(0.33mol)、N,N−ジメチルホルムアミド200mlを攪拌装置および加熱装置を設置した反応装置にN雰囲気下仕込み、130℃で12時間反応後、DMFを減圧により除去し、得られた固形物をジクロロメタン200mlに溶かし、水100mlで3回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、ジクロロメタンを減圧により除去し、中間生成物D(ニトロ体)を得た。
次に中間生成物D(0.1mol)と5%パラジウムカーボン(Pd/C)(2g)、エタノール/ジクロロメタン(70/30)400mlを、攪拌装置を設置した反応装置に仕込み、水素置換を5回行い、25℃で水素を常に供給した状態で反応させ、水素の減少がなくなったら反応を終了した。Pd/Cを回収し、混合溶媒を除去すると中間生成物E(アミン体)が得られた。
次に攪拌装置および加熱装置、滴下ロートを設置した反応装置に、N雰囲気下、トリフェニルホスフィンジブロミド(0.11mol)と1,2−ジクロロエタン150mlを仕込み攪拌させた。そこに中間生成物E(0.025mol)とトリエチルアミン(0.25mol)を1,2−ジクロロエタン50mlに溶かした溶液を25℃で徐々に滴下した。滴下終了後、70℃で5時間反応させる。その後、反応溶液をろ過し、ろ液を水100mlで5回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、1,2−ジクロロエタンを減圧により除去し、中間生成物F(トリフェニルホスフィン体)が得られた。
次に、攪拌装置および滴下ロートを設置した反応装置に、N雰囲気下、ジ−tert−ブチルジカーボネート(0.11mol)とN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(0.055mol)、ジクロロメタン150mlを仕込み攪拌させる。そこに、25℃で中間生成物F(0.025mol)を溶かしたジクロロメタン100mlをゆっくりと滴下させた。滴下後、12時間反応させる。その後、ジクロロメタンを除去し得られた固形物を、精製することで、C成分としての、下記構造を有する環状カルボジイミド化合物(CC1:Mw=516)を得た。なお、環状カルボジイミド化合物(CC1)の構造は国際公開WO2010/071213号パンフレットの記載に従い、NMR、IRにより確認した。
Figure 2013216016
[参考例2]ポリ乳酸を含有する層の材料の製造:
真空配管、および窒素ガス配管、触媒、ラクチド溶液添加配管、アルコール開始剤添加配管、碇型掻揚げ翼を具備した縦型攪拌槽にて、系内を窒素置換後、L−ラクチド(ピューラック社製「PURALACT(登録商標)」L polymer grade)175Kg,D−ラクチド(ピューラック社製「PURALACT(登録商標)」D polymer grade)75Kg、ステアリルアルコール0.25kgを仕込み、窒素圧106.4kPa、130℃に昇温した。内容物が溶融した時点で、オクチル酸スズ12.5gを投入し、攪拌を開始、内温をさらに200℃に昇温し、重合を行なった。2時間反応を行い、ペレットを得た。得られたペレットは50℃にて、除湿乾燥を行なった後、ペレットと参考例1の操作で製造した環状カルボジイミド化合物(CC1)を同時に添加し、CC1はペレットに対して0.5重量%添加した。2軸押出機にて2kPa以下の真空下で残存ラクチドを除去した後、チップカッターに押し出しペレットを得た。このペレットを50℃にて除湿乾燥を行なった後、2軸押出機にて再度、真空下にて、残存ラクチドを除去した後、サイドフィーダーより、参考例1の操作で製造した環状カルボジイミド化合物(CC1)を0.7重量%添加して、ポリ乳酸を得た。MFR17.0g/10分、重量平均分子量24万であった。
[参考例3]ポリ乳酸を含有する層の材料の製造:
真空配管、および窒素ガス配管、触媒、ラクチド溶液添加配管、アルコール開始剤添加配管、碇型掻揚げ翼を具備した縦型攪拌槽にて、系内を窒素置換後、L−ラクチド(ピューラック社製「PURALACT(登録商標)」L polymer grade)75Kg,D−ラクチド(ピューラック社製「PURALACT(登録商標)」D polymer grade)175Kg、ステアリルアルコール0.25kgを仕込み、窒素圧106.4kPa、130℃に昇温した。内容物が溶融した時点で、オクチル酸スズ12.5gを投入し、攪拌を開始、内温をさらに200℃に昇温し、重合を行なった。2時間反応を行い、ペレットを得た。得られたペレットは50℃にて、除湿乾燥を行なった後、ペレットと参考例1の操作で製造した環状カルボジイミド化合物(CC1)を同時に添加し、CC1はペレットに対して0.5重量%添加した。2軸押出機にて2kPa以下の真空下で残存ラクチドを除去した後、チップカッターに押し出しペレットを得た。このペレットを50℃にて除湿乾燥を行なった後、2軸押出機にて再度、真空下にて、残存ラクチドを除去した後、サイドフィーダーより、参考例1の操作で製造した環状カルボジイミド化合物(CC1)を0.7重量%添加して、ポリ乳酸を得た。MFR17.3g/10分、重量平均分子量23万であった。
[参考例4]ポリ乳酸を含有する層の材料の製造:
真空配管、および窒素ガス配管、触媒、ラクチド溶液添加配管、アルコール開始剤添加配管、碇型掻揚げ翼を具備した縦型攪拌槽にて、系内を窒素置換後、L−ラクチド(ピューラック社製「PURALACT(登録商標)」L polymer grade)175Kg,D−ラクチド(ピューラック社製「PURALACT(登録商標)」D polymer grade)75Kg、ステアリルアルコール0.25kgを仕込み、窒素圧106.4kPa、130℃に昇温した。内容物が溶融した時点で、オクチル酸スズ12.5gを投入し、攪拌を開始、内温をさらに200℃に昇温し、重合を行なった。2時間反応を行い、ペレットを得た。得られたペレットは50℃にて、除湿乾燥を行なった後、ペレットと参考例1の操作で製造した環状カルボジイミド化合物(CC1)を同時に添加し、CC1はペレットに対して0.5重量%添加した。2軸押出機にて2kPa以下の真空下で残存ラクチドを除去した後、チップカッターに押し出しペレットを得た。
このペレットを50℃にて除湿乾燥を行なったものと90℃にて熱風乾燥したアクリル系樹脂(三菱レイヨン(株)製「アクリペット(登録商標)」VH000)を重量比で8/2にてチップブレンドを行い、2軸押出機へ投入した。真空下にて、残存ラクチドを除去した後、サイドフィーダーより、CC1を0.7重量%添加して、ポリ乳酸を得た。MFR17.9g/10分、重量平均分子量18万であった。
[参考例5]ポリ乳酸を含有する層の材料の製造:
ポリ乳酸として、ネイチャーワークス社製「INGEO(登録商標)」4060Dを50℃にて除湿乾燥を行なった後、2軸押出機に投入し、サイドフィーダーより、参考例1で製造した環状カルボジイミド化合物(CC1)を0.5重量%添加して、ポリ乳酸を得た。MFR12g/10分、重量平均分子量22万であった。
[参考例6]ポリ乳酸を含有する層の材料の製造:
ポリ乳酸として、ネイチャーワークス社製「INGEO(登録商標)」4060Dを50℃にて除湿乾燥を行なったものを100重量部と球状シリカ((株)日本触媒「シーホスター(登録商標)KE−P−100、0.1重量部を同時に2軸押出機に投入し、サイドフィーダーより、参考例1で製造した環状カルボジイミド化合物(CC1)を1.0重量%添加して、ポリ乳酸を得た。MFR17.2g/10分、重量平均分子量19万であった。
[参考例7]ポリ乳酸を含有する層の材料の製造:
ネイチャーワークス社製「INGEO(登録商標)」4060Dを50℃にて除湿乾燥を行なったものと90℃にて熱風乾燥した三菱レイヨン(株)製「アクリペット(登録商標)」VH001を重量比8/2にてチップブレンドしたものを、2軸押出機に投入し、サイドフィーダーより、参考例1で製造した環状カルボジイミド化合物(CC1)を1.0重量%添加して、ポリ乳酸を得た。MFR17.7g/10分、重量平均分子量15万であった。
[参考例8]ポリ乳酸を含有する層の材料の製造:
真空配管、および窒素ガス配管、触媒、ラクチド溶液添加配管、アルコール開始剤添加配管、碇型掻揚げ翼を具備した縦型攪拌槽にて、系内を窒素置換後、L−ラクチド(ピューラック社製「PURALACT(登録商標)」L polymer grade)175Kg,D−ラクチド(ピューラック社製「PURALACT(登録商標)」D polymer grade)75Kg、ステアリルアルコール0.25kgを仕込み、窒素圧106.4kPa、130℃に昇温した。内容物が溶融した時点で、オクチル酸スズ12.5gを投入し、攪拌を開始、内温をさらに200℃に昇温し、重合を行なった。2時間反応を行い、ペレットを得た。得られたペレットは50℃にて、除湿乾燥を行なった後、ペレットと参考例1の操作で製造した環状カルボジイミド化合物(CC1)を同時に添加し、CC1はペレットに対して0.5重量%添加した。2軸押出機にて2kPa以下の真空下で残存ラクチドを除去した後、チップカッターに押し出しペレットを得た。
このペレットを50℃にて除湿乾燥を行なったものと90℃にて熱風乾燥したアクリル系樹脂(三菱レイヨン(株)製「アクリペット(登録商標)」VH000)を重量比で4/6にてチップブレンドを行い、2軸押出機へ投入した。真空下にて、残存ラクチドを除去した後、サイドフィーダーより、CC1を0.7重量%添加して、ポリ乳酸を得た。MFR12.1g/10分、重量平均分子量16万であった。
[参考例9]ポリ乳酸を含有する層の材料の製造:
ポリ乳酸として、ネイチャーワークス社製「INGEO(登録商標)」4032Dを2軸押出機に投入し、サイドフィーダーより、参考例1で製造した環状カルボジイミド化合物(CC1)を0.5重量%添加して、ポリ乳酸を得た。MFR16.1g/10分、重量平均分子量23万であった。
[参考例10]高分子からなる層の材料の製造:
三菱レイヨン(株)製「アクリペット(登録商標)」MD001と「アクリペット(登録商標)」IRS404を重量比5/5にてチップブレンドしたものを、80℃にて熱風乾燥した後、2軸押出機に投入しコンパウンドを行なった。得られたアクリル系樹脂のMFRは5.8g/10分であった。
[参考例11]高分子からなる層の材料の製造:
三菱レイヨン(株)製「アクリペット(登録商標)」MD001と「アクリペット(登録商標)」IRS404を重量比7/3にてチップブレンドしたものを、80℃にて熱風乾燥した後、2軸押出機に投入しコンパウンドを行なった。得られたアクリル系樹脂のMFRは5.7g/10分であった。
[参考例12]偏光子の製造:
厚さ80μmのポリビニルアルコールフィルムを、5重量%(重量比:ヨウ素/ヨウ化カリウム=1/10)の30℃のヨウ素溶液中で1分間染色した。次いで、3重量%のホウ酸および2重量%の30℃のヨウ化カリウムを含む水溶液中に1分間浸漬し、さらに4重量%のホウ酸および3重量%のヨウ化カリウムを含む60℃の水溶液中で1分間浸漬しながら6倍まで延伸した後、30℃の5重量%のヨウ化カリウム水溶液に1分間浸漬した。その後、80℃のオーブンで3分間乾燥を行い、厚さ30μmの偏光子を得た。
[実施例1]
参考例2で作製した樹脂と参考例10で作製した樹脂をそれぞれ50℃、80℃で6時間、除湿乾燥した後、240℃に加熱された2台の押出機に供給し、ドラム面(D面)側層/芯層/エア面(A面)側層=参考例2で作製した樹脂/参考例10で作製した樹脂/参考例2で作製した樹脂となるような2種3層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイスよりシート状に成形し、55℃の冷却ドラム表面に密着、固化させた後、剥離することにより多層フィルムを得た。得られたフィルムの物性は表1に示すとおりであった。
さらに、偏光子の製造例に記載の操作で得た偏光子の両面に、ワイヤーバーコーターを装着したコーターを用いて、(株)ADEKA社製「アデカオプトマー」KR−508を接着剤として1〜2μmの厚みとなるように均一に塗布し、上記の操作で得た多層フィルム2枚で、いずれもエア面(A面)側を接着面として、偏光子を挟み込む形となるようにラミネーターを用いて貼り合わせた。その貼合されたフィルムを、300nm以下の紫外線をカットするカットフィルターが設置された低圧水銀ランプを有する紫外線硬化装置中に導入し、空気雰囲気下で積算光量1.5J/cmの光を照射した後、50℃、20時間のエージング処理を実施し偏光板を得た。得られた偏光板は強固に接着しており、剥離することができなかった。
得られた偏光板を粘着剤を介してガラスに貼り合わせた状態で80℃のオーブンに100時間放置した後に確認したが、顕著な光学特性の低下や外観不良は認められなかった。また接着性も良好だった。
[実施例2]
参考例2で作製した樹脂と帝人化成(株)製「パンライト(登録商標)」AD5503と三菱レイヨン(株)製「アクリペット(登録商標)」TF8とをそれぞれ50℃、120℃、80℃で6時間、除湿乾燥した後、240℃に加熱された3台の押出機に供給し、ドラム面(D面)側層/芯層/エア面(A面)側層=参考例2で作製した樹脂/「パンライト(登録商標)」AD5503/「アクリペット(登録商標)」TF8となるような3種3層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイスよりシート状に成形し、95℃の冷却ドラム表面に密着、固化させた後、剥離することにより多層フィルムを得た。得られたフィルムの物性は表1に示すとおりであった。
さらに、実施例1と同様の操作により偏光板を得た。得られた偏光板は強固に接着しており、剥離することができなかった。
得られた偏光板を粘着剤を介してガラスに貼り合わせた状態で80℃のオーブンに100時間放置した後に確認したが、顕著な光学特性の低下や外観不良は認められなかった。また接着性も良好だった。
[実施例3]
参考例4で作製した樹脂と参考例10で作製した樹脂と三菱レイヨン(株)製「アクリペット(登録商標)」MD001をそれぞれ50℃、80℃、80℃で6時間、除湿乾燥した後、240℃に加熱された3台の押出機に供給し、ドラム面(D面)側層/芯層/エア面(A面)側層=参考例2で作製した樹脂/参考例10で作製した樹脂/「アクリペット(登録商標)」MD001となるような3種3層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイスよりシート状に成形し、95℃の冷却ドラム表面に密着、固化させた後、剥離することにより多層フィルムを得た。得られたフィルムの物性は表1に示すとおりであった。
さらに、実施例1と同様の操作により偏光板を得た。得られた偏光板は強固に接着しており、剥離することができなかった。
得られた偏光板を粘着剤を介してガラスに貼り合わせた状態で80℃のオーブンに100時間放置した後に確認したが、顕著な光学特性の低下や外観不良は認められなかった。また接着性も良好だった。
[実施例4]
参考例3で作製した樹脂と参考例11で作製した樹脂をそれぞれ50℃、80℃で6時間、除湿乾燥した後、240℃に加熱された2台の押出機に供給し、ドラム面(D面)側層/エア面(A面)側層=参考例3で作製した樹脂/参考例11で作製した樹脂となるような2種2層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイスよりシート状に成形し、95℃の冷却ドラム表面に密着、固化させた後、剥離することにより多層フィルムを得た。得られたフィルムの物性は表1に示すとおりであった。
さらに、実施例1と同様の操作により偏光板を得た。得られた偏光板は強固に接着しており、剥離することができなかった。
得られた偏光板を粘着剤を介してガラスに貼り合わせた状態で80℃のオーブンに100時間放置した後に確認したが、顕著な光学特性の低下や外観不良は認められなかった。また接着性も良好だった。
[実施例5]
参考例4で作製した樹脂と参考例11で作製した樹脂をそれぞれ50℃、80℃で6時間、除湿乾燥した後、240℃に加熱された2台の押出機に供給し、ドラム面(D面)側層/芯層/エア面(A面)側層=参考例4で作製した樹脂/参考例11で作製した樹脂/参考例4で作製した樹脂となるような2種3層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイスよりシート状に成形し、55℃の冷却ドラム表面に密着、固化させた後、剥離することにより多層フィルムを得た。得られたフィルムの物性は表1に示すとおりであった。
さらに、実施例1と同様の操作により偏光板を得た。得られた偏光板は強固に接着しており、剥離することができなかった。
得られた偏光板を粘着剤を介してガラスに貼り合わせた状態で80℃のオーブンに100時間放置した後に確認したが、顕著な光学特性の低下や外観不良は認められなかった。また接着性も良好だった。
[実施例6]
参考例7で作製した樹脂と参考例10で作製した樹脂をそれぞれ50℃、80℃で6時間、除湿乾燥した後、240℃に加熱された2台の押出機に供給し、ドラム面(D面)側層/芯層/エア面(A面)側層=参考例7で作製した樹脂/参考例10で作製した樹脂/参考例7で作製した樹脂となるような2種3層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイスよりシート状に成形し、55℃の冷却ドラム表面に密着、固化させた後、剥離することにより多層フィルムを得た。得られたフィルムの物性は表1に示すとおりであった。
さらに、実施例1と同様の操作により偏光板を得た。得られた偏光板は強固に接着しており、剥離することができなかった。
得られた偏光板を粘着剤を介してガラスに貼り合わせた状態で80℃のオーブンに100時間放置した後に確認したが、顕著な光学特性の低下や外観不良は認められなかった。また接着性も良好だった。
[実施例7]
参考例6で作製した樹脂と参考例10で作製した樹脂と参考例5で作製した樹脂をそれぞれ50℃、80℃、80℃で6時間、除湿乾燥した後、240℃に加熱された3台の押出機に供給し、ドラム面(D面)側層/芯層/エア面(A面)側層=参考例6で作製した樹脂/参考例10で作製した樹脂/参考例5で作製した樹脂となるような3種3層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイスよりシート状に成形し、55℃の冷却ドラム表面に密着、固化させた後、剥離することにより多層フィルムを得た。得られたフィルムの物性は表1に示すとおりであった。
さらに、実施例1と同様の操作により偏光板を得た。得られた偏光板は強固に接着しており、剥離することができなかった。
得られた偏光板を粘着剤を介してガラスに貼り合わせた状態で80℃のオーブンに100時間放置した後に確認したが、顕著な光学特性の低下や外観不良は認められなかった。また接着性も良好だった。
[実施例8]
実施例3で得られたフィルムをロール延伸機により120℃で縦1.02倍に延伸した後、テンター延伸機により120℃で横1.02倍に逐次延伸を実施し、多層フィルムを得た。得られたフィルムの物性は表1に示すとおりであった。
さらに、実施例1と同様の操作により偏光板を得た。得られた偏光板は強固に接着しており、剥離することができなかった。
得られた偏光板を粘着剤を介してガラスに貼り合わせた状態で80℃のオーブンに100時間放置した後に確認したが、顕著な光学特性の低下や外観不良は認められなかった。また接着性も良好だった。
[比較例1]
参考例10で作製した樹脂を80℃で6時間、除湿乾燥した後、240℃に加熱された押出機に供給し、ダイスよりシート状に成形し、95℃の冷却ドラム表面に密着、固化させた後、剥離することにより多層フィルムを得た。得られたフィルムの物性は表1に示すとおりであった。
さらに、実施例1と同様の操作により偏光板を得た。得られた偏光板は接着力が弱く、簡単に剥離してしまった。
[比較例2]
参考例2で作製した樹脂を50℃で6時間、除湿乾燥した後、240℃に加熱された押出機に供給し、ダイスよりシート状に成形し、55℃の冷却ドラム表面に密着、固化させた後、剥離することにより多層フィルムを得た。得られたフィルムの物性は表1に示すとおりであった。
さらに、実施例1と同様の操作により偏光板を得た。得られた偏光板は強固に接着しており、剥離することができなかった。
得られた偏光板を粘着剤を介してガラスに貼り合わせた状態で80℃のオーブンに100時間放置した後に確認したところ、顕著な光学特性の低下とガラスからの剥離を伴ったカールが認められた。
[比較例3]
参考例9で作製した樹脂と参考例10で作製した樹脂をそれぞれ50℃、80℃で6時間、除湿乾燥した後、240℃に加熱された2台の押出機に供給し、ドラム面(D面)側層/芯層/エア面(A面)側層=参考例9で作製した樹脂/参考例10で作製した樹脂/参考例9で作製した樹脂となるような2種3層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイスよりシート状に成形し、55℃の冷却ドラム表面に密着、固化させた後、剥離することにより多層フィルムを得た。得られたフィルムの物性は表1に示すとおりであった。
さらに、実施例1と同様の操作により偏光板を得た。得られた偏光板は強固に接着しており、剥離することができなかった。
得られた偏光板を粘着剤を介してガラスに貼り合わせた状態で80℃のオーブンに100時間放置した後に確認したところ、顕著な光学特性の低下が認められた。
[比較例4]
参考例8で作製した樹脂と参考例10で作製した樹脂をそれぞれ50℃、80℃で6時間、除湿乾燥した後、240℃に加熱された2台の押出機に供給し、ドラム面(D面)側層/芯層/エア面(A面)側層=参考例8で作製した樹脂/参考例10で作製した樹脂/参考例8で作製した樹脂となるような2種3層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイスよりシート状に成形し、55℃の冷却ドラム表面に密着、固化させた後、剥離することにより多層フィルムを得た。得られたフィルムの物性は表1に示すとおりであった。
さらに、実施例1と同様の操作により偏光板を得た。得られた偏光板は接着力が弱く、簡単に剥離してしまった。
[比較例5]
実施例3と同様の操作をおこなって厚みが305μm(但し、A面厚み、芯層厚み、D面厚みの、各厚みの比率は実施例3と同じ)であるフィルムを作製し、このフィルムをロール延伸機により120℃で縦2.5倍に延伸した後、テンター延伸機により120℃で横2.5倍に逐次延伸を実施し、多層フィルムを得た。得られたフィルムの物性は表1に示すとおりであった。
さらに、実施例1と同様の操作により偏光板を得た。得られた偏光板は強固に接着しており、剥離することができなかった。
得られた偏光板を粘着剤を介してガラスに貼り合わせた状態で80℃のオーブンに100時間放置した後に確認したところ、顕著な光学特性の低下とガラスからの剥離を伴ったカールが認められた。
Figure 2013216016
本発明によれば、光学特性、機械特性に優れ、光学フィルム、とりわけ偏光子保護フィルムとして好適に用いることのできる多層フィルムならびに、これを用いた偏光板を提供することができる。

Claims (11)

  1. ポリ乳酸を含む層と高分子からなる層とを積層した多層フィルムであって、少なくとも一方の表面にポリ乳酸を含む層が配され、且つ下記(1)〜(4)の要件を同時に満足することを特徴とする、多層フィルム。
    (1)ポリ乳酸を含む層において、ポリ乳酸が該層を構成する全成分を基準として、50重量%以上を占めること。
    (2)ポリ乳酸を含む層におけるポリ乳酸が、ポリ乳酸を構成するL−乳酸単位とD−乳酸単位とのモル比(L/D)が95/5〜5/95の範囲にあること。
    (3)フィルムの80℃における引張弾性率が100MPa以上3000MPa以下であること。
    (4)フィルムの80℃24時間熱処理前後による寸法変化率の絶対値がMD方向、TD方向のいずれも3%以下であること。
  2. 80℃100時間熱処理後の偏光解消度が0.05%以下である、請求項1に記載の多層フィルム。
  3. 80℃100時間熱処理後の内部ヘイズが1%以下である、請求項1に記載の多層フィルム。
  4. フィルム全体の厚みを基準として、ポリ乳酸を含む層の厚みの比率が50%未満である、請求項1に記載の多層フィルム。
  5. 高分子からなる層が、ISO527−3に記載の方法に準拠して求めた破断伸度が8%以上200%以下となる材料からなる、請求項1に記載の多層フィルム。
  6. 高分子からなる層が、主としてアクリル系樹脂からなる、請求項1に記載の多層フィルム。
  7. 高分子からなる層が、主としてポリカーボネート系樹脂からなる、請求項1に記載の多層フィルム。
  8. ISO527−3に記載の方法に準拠して求めた破断伸度がMD方向、TD方向のいずれも4%以上である、請求項1に記載の多層フィルム。
  9. 光弾性定数の絶対値が10×10−12Pa−1以下である、請求項1に記載の多層フィルム。
  10. Reの絶対値とRthの絶対値がいずれも10nm以下である、請求項1に記載の多層フィルム。
  11. 請求項1〜10のいずれか記載の多層フィルムを少なくとも偏光子の片面に配した偏光板。
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