WO2011071087A1 - ポリイミドフィルムの製造方法、およびポリイミドフィルム - Google Patents

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Abstract

 テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを反応させて得られるポリアミック酸の溶液を支持体上に流延し、これを乾燥して自己支持性フィルムを得た後、この自己支持性フィルムの片面または両面に、表面処理剤の溶液を塗布し、加熱してポリイミドフィルムを製造する方法において、表面処理剤溶液の溶媒として、水溶性液体であって、20℃における表面張力が32mN/m以下で、沸点が125℃以上であるものを用いることにより、優れた接着性を有するポリイミドフィルムを製造する。

Description

ポリイミドフィルムの製造方法、およびポリイミドフィルム
 本発明は、接着性が改良されたポリイミドフィルムの製造方法、およびポリイミドフィルムに関する。また、本発明は、ポリイミドフィルムに、接着剤層および/または金属層を積層してなるポリイミド積層体に関する。
 ポリイミドフィルムは、耐熱性、耐薬品性、機械的強度、電気特性、寸法安定性などに優れていることから、電気・電子デバイス分野、半導体分野などの分野で広く使用されている。例えば、フレキシブルプリント配線板(FPC)としては、ポリイミドフィルムの片面または両面に銅箔を積層してなる銅張り積層基板が使用されている。
 しかしながら、ポリイミドフィルムは、一般に、接着性に問題があり、エポキシ樹脂系接着剤などの耐熱性接着剤を介して銅箔などの金属箔と接合した際に、十分な接着強度を有する積層体が得られないことがある。また、ポリイミドフィルムに金属蒸着やスパッタリングなどの乾式めっきにより金属層を設けた場合、またはポリイミドフィルムに無電解めっきなどの湿式めっきにより金属層を設けた場合も、十分に剥離強度の大きい積層体が得られないことがある。
 ポリイミドフィルムの接着性を改良する方法として、特許文献1には、ポリアミック酸の固化フィルムの表面に、耐熱性表面処理剤(カップリング剤)を含有する表面処理液を塗布し、その後、表面処理液の塗布された固化フィルムを100~600℃の温度に加熱して、固化フィルムを形成しているポリアミック酸をイミド化すると共にフィルムを乾燥し熱処理するポリイミドフィルムの製造法が開示されている。
特開昭62-267330号公報
 特許文献1のように、ポリアミック酸の固化フィルムの表面に耐熱性表面処理剤(カップリング剤)の溶液を塗布することによりポリイミドフィルムの接着性は向上するが、高温の環境下、または高温高湿の環境下に置くと接着性が低下することがある。例えば、ポリイミド金属積層体を150℃で長時間処理したり、121℃、100%RHで長時間処理したりすると剥離強度が低下することがある。
 また、近年、電子機器類の小型化、薄型軽量化が進み、それに伴って内部部品の小型化が求められている。フレキシブルプリント配線板(FPC)等として使用される銅張りポリイミドフィルムも更なる薄膜化が求められており、より薄いポリイミドフィルム、具体的には厚さ20μm以下、さらには15μm以下、さらには10μm以下のポリイミドフィルムが使用されるようになってきている。このような薄いフィルムの場合、特に、ポリアミック酸の固化フィルムの表面に耐熱性表面処理剤の溶液を塗布すると、固化フィルムにクラックが発生しやすい傾向がある。また、クラックは発生しなくても、塗布した溶液がはじき、均一な表面のポリイミドフィルムが得られないことがある。
 本発明の目的は、初期だけではなく、熱処理後または高温高湿処理後においても優れた接着性を有するポリイミドフィルムを製造する方法を提供することである。また、ポリアミック酸の固化フィルムのクラックの発生を抑制して、表面の均一な、厚さ20μm以下、さらには15μm以下、さらには10μm以下の薄い、接着性に優れたポリイミドフィルムを製造する方法を提供することである。さらには、この方法により得られるポリイミドフィルムを用いた、接着剤層や金属層との剥離強度の大きなポリイミド積層体を提供することである。
 本発明は以下の事項に関する。
 1. テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを反応させて得られるポリアミック酸の溶液を支持体上に流延し、これを乾燥して自己支持性フィルムを得る工程と、
 この自己支持性フィルムの片面または両面に、表面処理剤の溶液を塗布する工程と、
 表面処理剤の溶液を塗布した自己支持性フィルムを加熱してポリイミドフィルムを得る工程と
を有し、
 前記表面処理剤の溶液は、水溶性液体であって、20℃における表面張力が32mN/m以下で、沸点が125℃以上である溶媒を含むことを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
 2. 前記表面処理剤溶液の溶媒が、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートおよびジアセトンアルコールより選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする上記1に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
 3. 前記テトラカルボン酸成分が、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物および/またはピロメリット酸二無水物を主成分として含むものであり、
 前記ジアミン成分が、パラフェニレンジアミンおよび/またはジアミノジフェニルエーテル類を主成分として含むものであることを特徴とする上記1または2に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
 4. 前記表面処理剤が、シランカップリング剤であることを特徴とする上記1~3のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
 5. ポリイミドフィルムは、熱イミド化で製造されることを特徴とする上記1~4のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
 6. 自己支持性フィルムは、加熱減量が20~50質量%の範囲であることを特徴とする上記1~5のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
 7. 製造されるポリイミドフィルムは、金属層又は接着剤層との積層用に用いられることを特徴とする上記1~6のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
 8. 製造されるポリイミドフィルムの膜厚が20μm以下であることを特徴とする上記1~7のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
 9. 上記1~8のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法により得られるポリイミドフィルム。
 10. 上記9に記載のポリイミドフィルムの、製造時に表面処理剤の溶液を塗布した面に金属層を積層してなるポリイミド金属積層体。
 11. 前記金属層がメタライジング法又は湿式メッキ法により形成されたものである上記10に記載のポリイミド金属積層体。
 12. 上記9に記載のポリイミドフィルムの、製造時に表面処理剤の溶液を塗布した面に接着剤層を積層してなるポリイミド積層体。
 13. 上記12に記載のポリイミド積層体の接着剤層に金属箔を接着してなるポリイミド金属積層体。
 本発明では、ポリイミドフィルムの接着性を改良するために、カップリング剤などの表面処理剤の溶液をポリアミック酸の固化フィルム(自己支持性フィルムとも言う。)の表面に塗布し、これを加熱、イミド化するが、この表面処理剤の溶液の溶媒(塗布溶媒とも言う。)として、水溶性液体であり、20℃における表面張力が32mN/m以下で、沸点が125℃以上のものを用いる。このような溶媒を用いることにより、優れた接着性を有し、高温の環境下、または高温高湿の環境下においても接着性の低下が小さいポリイミドフィルムが得られる。
 また、このような溶媒を用いることにより、表面処理剤の溶液を、例えば厚さ20μm以下、さらには15μm以下、さらには10μm以下の薄いポリアミック酸の固化フィルムの表面に、溶液のはじきやクラックの発生を抑制して、きれいに塗布することができる。そのため、本発明によれば、表面の均一な、接着性に優れた、厚さが20μm以下、さらには15μm以下、さらには10μm以下の薄いポリイミドフィルムを製造することができる。つまり、本発明は薄いポリイミドフィルムにも適用することができ、厚みの制限をほとんど受けることなく積層体を得ることが出来る。
 さらに、本発明は、多量のフィルム製造設備で使用しても火気面での安全性に優れている。
 本発明のポリイミドフィルムは、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを有機溶媒中で反応させて得られるポリアミック酸溶液を支持体上に流延し、これを加熱乾燥して自己支持性フィルムを得て、この自己支持性フィルムの片面または両面に表面処理剤の溶液を塗布し、必要に応じて主に塗布溶媒を除去するために加熱した後、この自己支持性フィルムを加熱、イミド化することにより得ることができる。本発明において用いる表面処理剤の溶液は、表面処理剤が、水溶性液体であり、20℃における表面張力が32mN/m以下で、沸点が125℃以上である溶媒に溶解又は均一に分散している溶液(懸濁液であってもよい。)である。
 本発明のポリイミドフィルムは、熱イミド化および/または化学イミド化により得られるものであり、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを複数含む場合には、ランダム共重合していても、ブロック共重合していてもよく、またはこれらが併用されていてもよい。
 本発明のポリイミドフィルムを製造する方法としては、
(1)ポリアミック酸溶液、またはポリアミック酸溶液に必要に応じてイミド化触媒、脱水剤、離型助剤、無機微粒子などを選択して加えたポリアミック酸溶液組成物をフィルム状に支持体上に流延し、加熱乾燥して自己支持性フィルムを得た後、この自己支持性フィルムの片面または両面に表面処理剤の溶液を塗布し、次いで、熱的に脱水環化、脱溶媒させてポリイミドフィルムを得る方法、
(2)ポリアミック酸溶液に環化触媒及び脱水剤を加え、さらに必要に応じて無機微粒子などを選択して加えたポリアミック酸溶液組成物をフィルム状に支持体上に流延し、化学的に脱水環化させて、必要に応じて加熱乾燥して自己支持性フィルムを得た後、この自己支持性フィルムの片面または両面に表面処理剤の溶液を塗布し、次いで、これを加熱脱溶媒、イミド化することによりポリイミドフィルムを得る方法、
が挙げられる。
 テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s-BPDA)およびピロメリット酸二無水物(PMDA)が挙げられ、その他に、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a-BPDA)、オキシジフタル酸二無水物、ジフェニルスルホン-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,3,3’,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、p-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p-ビフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、m-ターフェニル-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物、p-ターフェニル-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ビフェニル二無水物、2,2-ビス〔(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(2,2-ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物などを挙げることができる。これらは単独でも、2種以上を混合して用いることもできる。用いるテトラカルボン酸二無水物は、所望の特性などに応じて適宜選択することができる。
 テトラカルボン酸成分としては、s-BPDAおよび/またはPMDAを主成分として含むテトラカルボン酸成分が好ましい。例えば、酸成分100モル%中に、s-BPDA及びPMDAから選ばれる酸成分を、好ましくはs-BPDAまたはPMDAのいずれか1種以上を、特に好ましくはs-BPDAを50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、特に好ましくは75モル%以上含むテトラカルボン酸成分が、得られるポリイミドフィルムが機械的特性などに優れるために好ましい。
 ジアミンの具体例としては、
 1)パラフェニレンジアミン(1,4-ジアミノベンゼン;PPD)、1,3-ジアミノベンゼン、2,4-トルエンジアミン、2,5-トルエンジアミン、2,6-トルエンジアミンなどのベンゼン核1つのジアミン、
 2)4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテルなどのジアミノジフェニルエーテル類、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジカルボキシ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、ビス(4-アミノフェニル)スルフィド、4,4’-ジアミノベンズアニリド、3,3’-ジクロロベンジジン、3,3’-ジメチルベンジジン、2,2’-ジメチルベンジジン、3,3’-ジメトキシベンジジン、2,2’-ジメトキシベンジジン、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’-ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホキシドなどのベンゼン核2つのジアミン、
 3)1,3-ビス(3-アミノフェニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェニル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)-4-トリフルオロメチルベンゼン、3,3’-ジアミノ-4-(4-フェニル)フェノキシベンゾフェノン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジ(4-フェニルフェノキシ)ベンゾフェノン、1,3-ビス(3-アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,3-ビス〔2-(4-アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼン、1,4-ビス〔2-(3-アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼン、1,4-ビス〔2-(4-アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼンなどのベンゼン核3つのジアミン、
 4)3,3’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、3,3’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、2,2-ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパンなどのベンゼン核4つのジアミン、
などを挙げることができる。これらは単独でも、2種以上を混合して用いることもできる。用いるジアミンは、所望の特性などに応じて適宜選択することができる。
 ジアミン成分としては、PPDおよび/またはジアミノジフェニルエーテル類を主成分として含むジアミン成分が好ましい。例えば、ジアミン成分100モル%中に、PPD及びジアミノジフェニルエーテル類から選ばれるジアミン成分を、好ましくはPPD、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、または3,4’-ジアミノジフェニルエーテルのいずれか1種以上を、特に好ましくはPPDを50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、特に好ましくは75モル%以上含むジアミン成分が、得られるポリイミドフィルムが機械的特性などに優れるために好ましい。
 ポリイミドとしては、中でも、s-BPDAとPPD、あるいは場合によりPPDおよび4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテルなどのジアミノジフェニルエーテル類とから製造されるポリイミドが好ましい。この場合、PPD/ジアミノジフェニルエーテル類(モル比)は100/0~85/15であることが好ましい。
 また、PMDA、あるいはs-BPDAとPMDAとの組み合わせである芳香族テトラカルボン酸二無水物と、PPD、トリジン(オルト体、メタ体)あるいは4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテルなどのジアミノジフェニルエーテル類などの芳香族ジアミンとから製造されるポリイミドも好ましい。芳香族ジアミンとしては、PPD、あるいはPPD/ジアミノジフェニルエーテル類が90/10~10/90である芳香族ジアミンが好ましい。この場合、s-BPDA/PMDAは0/100~90/10であることが好ましい。
 また、PMDAと、PPDおよび4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテルなどのジアミノジフェニルエーテル類とから製造されるポリイミドも好ましい。この場合、ジアミノジフェニルエーテル類/PPDは90/10~10/90であることが好ましい。
 ポリイミド前駆体であるポリアミック酸は、上記のようなテトラカルボン酸成分とジアミン成分とを公知の方法で反応させて得ることができる。例えば略等モル量のテトラカルボン酸成分とジアミン成分とを有機溶媒中で反応させて、ポリアミック酸の溶液(均一な溶液状態が保たれていれば一部がイミド化されていてもよい)を得ることができる。また、予めどちらかの成分が過剰である2種類以上のポリアミック酸を合成しておき、これらのポリアミック酸溶液を一緒にした後、反応条件下で混合してもよい。このようにして得られたポリアミック酸溶液はそのまま、あるいは必要であれば溶媒を除去または加えて、自己支持性フィルムの製造に使用することができる。
 ポリアミック酸溶液の有機溶媒としては、公知の溶媒を用いることができ、例えばN-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミドなどが挙げられる。これらの有機溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
 ポリアミック酸溶液には、必要に応じて、熱イミド化であればイミド化触媒、有機リン含有化合物、無機微粒子などを加えてもよい。
 ポリアミック酸溶液には、必要に応じて、化学イミド化であれば環化触媒及び脱水剤、無機微粒子などを加えてもよい。
 イミド化触媒としては、置換もしくは非置換の含窒素複素環化合物、該含窒素複素環化合物のN-オキシド化合物、置換もしくは非置換のアミノ酸化合物、ヒドロキシル基を有する芳香族炭化水素化合物または芳香族複素環状化合物が挙げられ、特に1,2-ジメチルイミダゾール、N-メチルイミダゾール、N-ベンジル-2-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、5-メチルベンズイミダゾールなどの低級アルキルイミダゾール、N-ベンジル-2-メチルイミダゾールなどのベンズイミダゾール、イソキノリン、3,5-ジメチルピリジン、3,4-ジメチルピリジン、2,5-ジメチルピリジン、2,4-ジメチルピリジン、4-n-プロピルピリジンなどの置換ピリジンなどを好適に使用することができる。イミド化触媒の使用量は、ポリアミド酸のアミド酸単位に対して0.01~2倍当量、特に0.02~1倍当量程度であることが好ましい。イミド化触媒を使用することによって、得られるポリイミドフィルムの物性、特に伸びや端裂抵抗が向上することがある。
 有機リン含有化合物としては、例えば、モノカプロイルリン酸エステル、モノオクチルリン酸エステル、モノラウリルリン酸エステル、モノミリスチルリン酸エステル、モノセチルリン酸エステル、モノステアリルリン酸エステル、トリエチレングリコールモノトリデシルエーテルのモノリン酸エステル、テトラエチレングリコールモノラウリルエーテルのモノリン酸エステル、ジエチレングリコールモノステアリルエーテルのモノリン酸エステル、ジカプロイルリン酸エステル、ジオクチルリン酸エステル、ジカプリルリン酸エステル、ジラウリルリン酸エステル、ジミリスチルリン酸エステル、ジセチルリン酸エステル、ジステアリルリン酸エステル、テトラエチレングリコールモノネオペンチルエーテルのジリン酸エステル、トリエチレングリコールモノトリデシルエーテルのジリン酸エステル、テトラエチレングリコールモノラウリルエーテルのジリン酸エステル、ジエチレングリコールモノステアリルエーテルのジリン酸エステル等のリン酸エステルや、これらリン酸エステルのアミン塩が挙げられる。アミンとしてはアンモニア、モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノプロピルアミン、モノブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
 環化触媒としては、トリメチルアミン、トリエチレンジアミンなどの脂肪族第3級アミン、ジメチルアニリンなどの芳香族第3級アミン、およびイソキノリン、ピリジン、α-ピコリン、β-ピコリンなどの複素環第3級アミンなどが挙げられる。
 脱水剤としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などの脂肪族カルボン酸無水物、および無水安息香酸などの芳香族カルボン酸無水物などが挙げられる。
 無機微粒子としては、微粒子状の二酸化チタン粉末、二酸化ケイ素(シリカ)粉末、酸化マグネシウム粉末、酸化アルミニウム(アルミナ)粉末、酸化亜鉛粉末などの無機酸化物粉末、微粒子状の窒化ケイ素粉末、窒化チタン粉末などの無機窒化物粉末、炭化ケイ素粉末などの無機炭化物粉末、および微粒子状の炭酸カルシウム粉末、硫酸カルシウム粉末、硫酸バリウム粉末などの無機塩粉末を挙げることができる。これらの無機微粒子は二種以上を組合せて使用してもよい。これらの無機微粒子を均一に分散させるために、それ自体公知の手段を適用することができる。
 ポリアミック酸溶液の自己支持性フィルムは、ポリアミック酸溶液、またはポリアミック酸溶液組成物を支持体上に流延塗布し、自己支持性となる程度(通常のキュア工程前の段階を意味する)、例えば支持体上より剥離することができる程度にまで加熱して製造される。
 本発明において用いるポリアミック酸溶液の固形分濃度は、製造に適した粘度範囲となる濃度であれば特に限定されないが、通常、10質量%~30質量%が好ましく、15質量%~27質量%がより好ましく、18質量%~26質量%がさらに好ましい。
 自己支持性フィルム作製時の加熱温度および加熱時間は適宜決めることができ、熱イミド化では、例えば、温度100~180℃で1~60分間程度加熱すればよい。
 支持体としては、ポリアミック酸溶液をキャストできるものであれば特に限定されないが、平滑な基材を用いることが好ましく、例えばステンレスなどの金属製のドラムやベルトなどが使用される。
 自己支持性フィルムは、支持体上より剥離することができる程度にまで溶媒が除去され、および/またはイミド化されていれば特に限定されないが、熱イミド化では、その加熱減量が20~50質量%の範囲にあることが好ましく、加熱減量が20~50質量%の範囲で且つイミド化率が7~55%の範囲にあることがさらに好ましい。自己支持性フィルムの加熱減量およびイミド化率が上記範囲内であれば、自己支持性フィルムの力学的性質が十分となり、また、自己支持性フィルムの上面に表面処理剤の溶液を均一に、きれいに塗布しやすくなり、イミド化後に得られるポリイミドフィルムに発泡、亀裂、クレーズ、クラック、ひびワレなどの発生が観察されない。
 ここで、自己支持性フィルムの加熱減量とは、自己支持性フィルムの質量W1とキュア後のフィルムの質量W2とから次式によって求めた値である。
 加熱減量(質量%)={(W1-W2)/W1}×100
 また、自己支持性フィルムのイミド化率は、自己支持性フィルムと、そのフルキュア品(ポリイミドフィルム)のIRスペクトルをATR法で測定し、振動帯ピーク面積または高さの比を利用して算出することができる。
 本発明においては、このようにして得られた自己支持性フィルムの片面または両面に、カップリング剤などの表面処理剤の溶液を塗布する。
 表面処理剤の溶液に用いる溶媒(塗布溶媒)としては、水溶性液体であり、20℃における表面張力が32mN/m以下で、沸点が125℃以上である有機溶媒を用いることができる。
 ここで、水溶性液体とは、常温常圧(20℃、1気圧)で、同容量の純水と穏やかに混合して静置した後にも、当該混合液が均一な外観を維持するもののことを言う。塗布溶媒として水溶性液体を用いることは、安全性の点からも好ましい。
 塗布溶媒は、20℃における表面張力が32mN/m以下であり、好ましくは31.5mN/m以下、より好ましくは31.3mN/m以下である。塗布溶媒の表面張力が高すぎると、塗工時に溶液が弾いてしまい、自己支持性フィルムの表面に表面処理剤の溶液を均一に、きれいに塗布できないことがあり、キュア後もはじき跡が表面に残り、均一な表面のポリイミドフィルムが得られないことがある。また、通常、塗布溶媒の20℃における表面張力は、下限値は特に限定されないが、好ましくは20mN/m以上であり、より好ましくは25mN/m以上である。表面張力は、毛管上昇法、輪環法、垂直板法、液適法、泡圧法などにより測定することができる。
 塗布溶媒は、溶媒の沸点が125℃以上であり、好ましくは130℃以上、より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは150℃以上、特に好ましくは160℃以上である。溶媒の沸点が低すぎると、自己支持性フィルムに表面処理剤溶液を塗布後、乾くのが速すぎて、溶媒が表面処理剤の反応場として存在する時間が不足し、得られるフィルムの特性が低下することがある。 本発明で用いられる溶媒の比蒸発速度は、酢酸n-ブチルを1としたとき、0.5以下、好ましくは0.4以下であることが好ましい。ここで、蒸発速度は、通常、溶媒が蒸発した割合(質量%)と、その割合まで蒸発するのに要した時間で表される。また、一般に、蒸発速度は、酢酸n-ブチルなどの基準溶剤との比較として、比蒸発速度で表されることが多い。蒸発速度や比蒸発速度は、ASTM D3539-87に従って測定できる。
 また、溶媒はイミド化のための加熱処理時には揮発させなければならず、特にポリイミドフィルムを連続製造する場合は、自己支持性フィルムの表面に表面処理剤の溶液を塗布した後、コーター炉内でフィルムを乾燥させ、その後、キュア炉内でイミド化のための加熱処理を行うことが好ましい。そのため、溶媒の沸点は、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましく、220℃以下が特に好ましい。
 塗布溶媒としては、ポリイミドフィルムの製造に用いるものと同じテトラカルボン酸成分とジアミン成分とを反応させて得られるポリアミック酸の溶液を、最終的なキュア後のポリイミドフィルムの厚みが10~14μmとなるように、ガラス基板上に塗布した後、加熱乾燥し、ガラス基板から剥離して、加熱減量が39~43質量%、ガラス基板に接していた側の面(B面とも言う。)のイミド化率が7~9%の自己支持性フィルムを調製し、そのB面に塗布溶媒を塗布し、その塗布膜の四辺をピンテンターで固定して、直ちに200℃以上で加熱したときに、クラックが観察されないものを用いることが好ましい。
 塗布溶媒の引火点は、1気圧において好ましくは21℃以上であり、より好ましくは70℃以上である。引火点の低い溶媒は、工業的な製膜プロセスでは安全上の観点から使用しづらい。
 塗布溶媒の接触角は、23℃において好ましくは61°以下、より好ましくは60.5°以下である。塗布溶媒の接触角が上記範囲内である場合に、より優れたポリイミドフィルムを得ることができる。塗布溶媒の接触角は、下限値は特に限定されないが、23℃において40°以上、さらに50°以上であることが好ましい。ここで、塗布溶媒の接触角は、ポリテトラフルオロエチレンシート上での溶媒の接触角を、例えば協和界面科学株式会社製接触角計CA-Xで測定したものである。
 塗布溶媒としては、上記のようなものであれば特に限定されないが、例えば以下のものが挙げられる。
(1)エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルなどのグリコールモノアルキルエーテル類、
(2)ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのグリコールジアルキルエーテル類などのエーテルアルコール類、
(3)ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエーテルエステル類、
(4)ジアセトンアルコールなどのケトン類。
 特に、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルなどのグリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエーテルエステル類、ジアセトンアルコールなどのケトン類を好適に用いることができる。
 また、特に、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジアセトンアルコールのうちの少なくとも1種以上を好適に用いることができる。
 塗布溶媒は、2種以上の混合溶媒であってもよい。
 また塗布溶媒は、上記の条件を満たすものであれば、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド類や、炭素数1~6のアルコール等のアルコール類などの他の有機溶媒を含むものであってもよい。但し、その量は、表面処理剤の溶液の溶媒100質量%中、好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。本発明においては、塗布溶媒に界面活性剤を使用しなくても表面処理剤を固化フィルムに塗工することができる。界面活性剤を使用し表面処理剤を固化フィルムに塗工することもできる。一般には、界面活性剤を加えると表面張力が下がる傾向がある。界面活性剤としては、シリコーン系、フッ素系、炭化水素系などの界面活性剤が挙げられ、イミド化のための加熱処理時に分解・揮発するものが好ましい。
 塗布溶媒として、自己支持性フィルムに浸み込まないか、または浸み込みにくい溶媒を選択して用いることにより、表面処理剤がフィルム表面に偏析するために、優れた接着性を有するポリイミドフィルムを得ることができる。
 自己支持性フィルムに塗布する表面処理剤の溶液は、水分の含有量は20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下であることが好ましい。
 表面処理剤としては、シランカップリング剤、ボランカップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、アルミニウム系キレート剤、チタネート系カップリング剤、鉄カップリング剤、銅カップリング剤などの各種カップリング剤やキレート剤などの接着性や密着性を向上させる処理剤を挙げることができる。表面処理剤は単独でも、2種以上を混合して用いることもできる。
 特に、表面処理剤としては、シランカップリング剤などのカップリング剤を用いることが好ましい。
 シラン系カップリング剤としては、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン系カップリング剤;ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン系カップリング剤;γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリルシラン系カップリング剤;N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(アミノカルボニル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-[β-(フェニルアミノ)-エチル]-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン系カップリング剤;γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプト系シランカップリング剤;γ-クロロプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
 チタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジ-トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート等が挙げられる。
 カップリング剤としてはシラン系カップリング剤、特にN-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピル-トリエトキシシラン、N-(アミノカルボニル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-[β-(フェニルアミノ)-エチル]-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピル-トリメトキシシラン、γ-アミノプロピル-トリメトキシシラン、γ-アミノプロピル-トリエトキシシランなどのアミノシラン系カップリング剤が好適で、その中でも特にN-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピル-トリメトキシシラン、γ-アミノプロピル-トリメトキシシランが好ましい。
 カップリング剤やキレート剤などの表面処理剤溶液は、表面処理剤の含有量が好ましくは0.1~60質量%、より好ましくは0.3~20質量%、特に好ましくは0.5~15質量%、さらに好ましくは1~10質量%の範囲である。
 ポリイミドフィルムの表面処理剤を塗布した面に接着剤を直接積層する場合には、表面処理剤の溶液は、表面処理剤の含有量が0.1~60質量%、より好ましくは0.3~20質量%、さらに好ましくは0.5~10質量%、特に好ましくは1~5質量%であることが好ましい。ポリイミドフィルムの表面処理剤を塗布した面にメタライジング法により金属を直接積層する場合には、表面処理剤の溶液は、表面処理剤の含有量が0.5~60質量%、より好ましくは1~20質量%、特に好ましくは1~15質量%、さらに好ましくは2~10質量%であることが好ましい。ポリイミドフィルムの表面処理剤を塗布した面に湿式めっき法により金属を直接積層する場合には、表面処理剤の溶液は、表面処理剤の含有量が1~60質量%、より好ましくは2~20質量%、特に好ましくは2~15質量%、さらに好ましくは2~10質量%であることが好ましい。
 表面処理剤の溶液の回転粘度(測定温度25℃で回転粘度計によって測定した溶液粘度)は、自己支持性フィルムに塗布できる粘度であればよく、0.5~50000センチポイズであることが好ましい。
 表面処理剤の溶液は、本発明の特性を損なわない範囲で、表面処理剤以外に他の添加成分を含んでいてもよい。
 表面処理剤の溶液の塗布量は適宜決めることができ、例えば、自己支持性フィルムの支持体と接していた側の面、その反対側の面ともに、1~50g/mが好ましく、2~30g/mがさらに好ましく、3~20g/mが特に好ましい。塗布量は、両方の面が同じであってもよいし、異なっていてもよい。塗布するための温度は、塗布が支障なくできる温度であればよく、適宜選択することができる。
 表面処理剤の溶液は、公知の方法で自己支持性フィルムに塗布することができ、例えば、グラビアコート法、スピンコート法、シルクスクリーン法、ディップコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法などの公知の塗布方法を挙げることができる。
 本発明においては、次いで、表面処理剤の溶液を塗布した自己支持性フィルムを加熱処理してポリイミドフィルムを得る。
 加熱処理は、最初に約100℃~400℃の温度においてポリマーのイミド化および溶媒の蒸発・除去を約0.05~5時間、特に0.1~3時間で徐々に行うことが適当である。特に、この加熱処理は段階的に、約100℃~約170℃の比較的低い温度で約0.5~30分間第一次加熱処理し、次いで170℃~220℃の温度で約0.5~30分間第二次加熱処理して、その後、220℃~400℃の高温で約0.5~30分間第三次加熱処理することが好ましい。必要であれば、400℃~550℃の高い温度で第四次高温加熱処理してもよい。
 イミド化のための加熱処理の際、キュア炉中においては、ピンテンタ、クリップ、枠などで、少なくとも長尺の固化フィルムの長手方向に直角の方向、すなわちフィルムの幅方向の両端縁を固定し、必要に応じて幅方向および/または長さ方向に拡縮して加熱処理を行ってもよい。
 本発明のポリイミドフィルムの厚みは特に限定されるものではないが、3~250μm程度、好ましくは4~150μm程度、より好ましくは5~125μm程度、さらに好ましくは5~100μm程度である。本発明によれば、厚みが20μm以下、さらには15μm以下、さらには10μm以下の薄いフィルムでも、優れた接着性を有するポリイミドフィルムを得ることができる。6~16μmという薄いフィルムでも、優れた接着性を有するポリイミドフィルムを得ることができる。
 本発明のポリイミドフィルムの表面処理剤を塗布した面は、さらに、サンドプラスト処理、コロナ処理、プラズマ処理、エッチング処理などを行ってもよい。
 本発明のポリイミドフィルムは、表面処理剤由来の化合物(例えば、シランカップリング剤を用いた場合はSi)が表面に偏析している。本発明によれば、例えばシランカップリング剤の溶液を塗布した場合、塗布面側にSiが高濃度で存在する層が1nm~1μm、好ましくは5nm~900nm、より好ましくは10nm~800nm、特に好ましくは20nm~700nmの厚みで存在するポリイミドフィルムを得ることができる。表面に偏析する層の厚みは、ポリイミドフィルムの断面を透過型電子顕微鏡で観察することで測定できる。
 また、表面のSi濃度(Si原子換算)が0.1~50%、好ましくは1~20%、特に好ましくは2~15%、さらに好ましくは3~10%であるポリイミドフィルムを得ることができる。ポリイミドフィルムの表面のSi濃度は、走査型X線光電子分光装置により測定することができる。
 本発明のポリイミドフィルムの表面処理剤の塗布側の面は、接着剤との接着性に優れている。そのため、ポリイミドフィルムの表面処理剤の塗布側の面に直接接着剤層を設けることができ、ポリイミドフィルムと接着剤層の初期の剥離強度に優れ、高温処理後や高温高湿処理後においても剥離強度に優れ、剥離強度の低下が小さいポリイミド積層体を得ることができる。ポリイミド積層体では、ポリイミドフィルムの厚みは特に限定されないが、例えば25μm以下、さらに20μm以下、さらに15μm以下とすることが出来る。
 ポリイミド積層体は、さらに接着剤層を介して、ガラス基板、シリコンウエハーなどのセラミックス、金属箔、樹脂フィルムや、炭素繊維、硝子繊維、樹脂繊維などの織物や不織布などの他の基材を積層することができる。他の基材は、加圧部材又は加熱・加圧部材を用いて、ポリイミドフィルムの表面処理剤の塗布側の面に設けられたポリイミド積層体の接着剤層に積層することができる。
 加圧部材又は加熱・加圧部材としては、一対の圧着金属ロール(圧着部は金属製、セラミック溶射金属製のいずれでもよい)、ダブルベルトプレスおよびホットプレスが挙げられ、特に加圧下に熱圧着および冷却できるものが好ましく、その中でも特に液圧式のダブルベルトプレスが好ましい。
 ポリイミドフィルムの表面処理剤の塗布側の面は、接着性や密着性が良好であり、上記以外に感光性素材、熱圧着性素材などを直接積層することができる。
 使用する接着剤としては、電気・電子分野で使用されているポリイミド系、エポキシ系、アクリル系、ポリアミド系又はウレタン系などの耐熱性接着剤であれば特に制限はなく、例えばポリイミド系接着剤、エポキシ変性ポリイミド系接着剤、フェノール変性エポキシ樹脂接着剤、エポキシ変性アクリル樹脂系接着剤、エポキシ変性ポリアミド系接着剤などの耐熱性接着剤などが挙げられる。
 接着剤層は、それ自体電子分野で実施されている任意の方法で設けることができ、例えばポリイミドフィルムの表面処理剤の塗布側の面に、接着剤溶液を塗布・乾燥してもよく、別途に形成したフィルム状接着剤を貼り合わせてもよい。
 ポリイミドフィルムに貼り合わせる金属箔としては、単一金属あるいは合金、例えば、銅、アルミニウム、金、銀、ニッケル、ステンレスの金属箔が挙げられるが、好適には圧延銅箔、電解銅箔などの銅箔が挙げられる。金属箔の厚さは特に制限はないが、0.1μm~10mm、特に10~60μmが好ましい。
 厚さ1~10μmの極薄の基材を使用する場合は、取り扱い性を良くするために金属や樹脂のキャリアを用いることができる。
 本発明のポリイミドフィルムの表面処理剤の塗布側の面は、金属との密着性に優れている。そのため、メタライジング法や湿式めっき法により、ポリイミドフィルムの表面処理剤の塗布側の面に直接金属層を設けることができ、ポリイミドフィルムと金属層の初期の剥離強度に優れ、高温処理後や高温高湿処理後においても剥離強度に優れ、剥離強度の低下が小さいポリイミド金属積層体を得ることができる。この中で、湿式めっき法によりポリイミドフィルムに直接金属層を積層した積層体に関して、この積層体の高温処理後の剥離強度は高温処理前のそれと比べて大きくなる場合がある。
 ここでいうメタライジング法は、湿式メッキ法や金属箔の積層とは異なる金属層を設ける方法であり、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、電子ビーム等の公知の方法を用いることができる。
 メタライジング法に用いる金属としては、銅、ニッケル、クロム、マンガン、アルミニウム、鉄、モリブデン、コバルト、タングステン、バナジウム、チタン、タンタル等の金属、又はそれらの合金、或いはそれらの金属の酸化物、それらの金属の炭化物等を用いることができるが、特にこれらの材料に限定されない。
 メタライジング法により形成される金属層の厚さは、使用する目的に応じて適宜選択でき、好ましくは1~1000nm、さらに好ましくは5nm~500nmの範囲が、実用に適するために好ましい。
 メタライジング法により形成される金属層の層数は、使用する目的に応じて適宜選択でき、1層でも、2層でも、3層以上の多層でもよい。
 メタライジング法に用いる金属としては、第1層にニッケル、クロム、マンガン、アルミニウム、鉄、モリブデン、コバルト、タングステン、バナジウム、チタン、タンタル等の金属、又はそれらの合金、或いはそれらの金属の酸化物、それらの金属の炭化物等を用い、第2層に銅又は銅の合金、或いはそれらの金属の酸化物、それらの金属の炭化物等を用いることが好ましい。さらに第2層の上に、湿式メッキ法により、約1~40μm程度の銅などの金属層を設けることができる。
 湿式めっき法は、公知のめっき法を用いることができ、電解めっき、無電解めっきを挙げることができ、また、これらを組み合わせることもできる。
 湿式めっき法に用いる金属としては、湿式めっき可能な金属であれば何ら制限されることはない。
 湿式めっき法により形成される金属層の厚さは、使用する目的に応じて適宜選択でき、好ましくは0.1~50μm、さらに好ましくは1~30μmの範囲が、実用に適するために好ましい。
 湿式めっき法により形成される金属層の層数は、使用する目的に応じて適宜選択でき、1層でも、2層でも、3層以上の多層でもよい。
 湿式めっき法としては特に制限はなく、公知の湿式めっきプロセスを用いることができ、例えば荏原ユージライト株式会社製エルフシードプロセスや、日鉱金属株式会社の表面処理プロセスであるキャタリストボンドプロセスを施した後に無電解銅めっきを行う方法などが挙げられる。
 エルフシードプロセス(荏原ユージライト株式会社)は、ポリイミドフィルム表面を改質し、触媒を付与、還元した後に無電解ニッケルめっきを行うプロセスであり、プロセス後に電解銅めっきを行うことによって導電金属層を得ることができる。また、無電解ニッケル層と電解銅めっき層の密着を確実にする為に、無電解ニッケルめっきと電解銅めっきの間に、還元銅めっきや置換銅めっきなどにより無電解銅めっき層を形成してもよく、また、無電解銅めっき又は電解銅めっきの前に、無電解ニッケルめっき皮膜を活性化させる工程を入れてもよい。
 キャタリストボンドプロセス(日鉱金属株式会社)は、めっきの前処理プロセスであり、前処理により湿式めっき触媒であるパラジウムの吸着性を向上させ、プロセス後に触媒付与を施し、無電解および電解銅めっきによって導電金属層を得ることができる。
 本発明のポリイミドフィルム、ポリイミド金属積層体及びポリイミド積層体は、プリント配線板、フレキシブルプリント基板、TAB用テープ、COF用テープあるいは金属配線など、また、金属配線、ICチップなどのチップ部材などのカバー基材、液晶ディスプレー、有機エレクトロルミネッセンスディスプレー、電子ペーパー、太陽電池などのベース基材等の電子部品や電子機器類の素材として用いることができる。
 ポリイミドフィルムの線膨張係数は、使用する目的に応じて適宜選択すればよい。例えば、FPC、TAB、COFあるいは金属配線基材などの絶縁基板材料、金属配線、ICチップなどのチップ部材などのカバー基材などに用いる場合には、一般的には、ポリイミドフィルムの線膨張係数が金属配線やICチップなどのチップ部材の線膨張係数に近いことが好ましく、具体的には、MDおよびTDともに40ppm/℃以下であることが好ましく、0~30ppm/℃であることがより好ましく、5~25ppm/℃であることがさらに好ましく、8~20ppm/℃であることが特に好ましい。
 また、COFやインターポーザーなど、用途によっては、ポリイミドフィルムの線膨張係数はガラスやシリコンの線膨張係数に近いことが好ましい。本発明によれば、線膨張係数が0~10ppm/℃のポリイミドフィルムを得ることもできる。
 以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
 ポリイミドフィルムの物性の評価は以下の方法に従って行った。
 a)剥離強度は、90°ピールでの剥離強度であり、温度23℃、湿度50%RHの環境下で、50mm/分の剥離速度で測定した。
 b)ポリイミドフィルムの表面は、ポリアミック酸溶液を支持体上にキャスティングしたときの空気側の面をA面とし、支持体側の面をB面とした。
 c)表中のポリイミド積層体及びポリイミド金属積層体の剥離強度の欄において、ポリイミドと被着材との剥離モードを観察し、以下の1)から4)の内容で表示した。
1)ポリイミド/接着剤の界面剥離(接着剤が白濁)と接着剤の凝集破壊の混合。
2)接着剤の凝集破壊。
3)ポリイミド/接着剤の界面剥離。
4)ポリイミド/接着剤の界面剥離で接着剤が白濁。
 接着は、剥離モードが3)<4)<1)≦2)の順によいと考えることができる。ただし、初期の剥離モード、熱処理後の剥離モード、高温高湿処理後の剥離モード間で、処理の相違を単純比較できないことがあるので、同一処理内で比較することが好ましい。
 (1)ポリイミド積層体A(カバーレイ)の剥離強度の測定
 (ポリイミド積層体Aの作製)
 ポリイミドフィルムの表面処理剤の塗布面に、株式会社有沢製作所製カバーレイCVA0525KAを180℃、3MPaで30分プレスして貼り合わせてポリイミド積層体Aを得た。
 (剥離強度の測定)
 ポリイミド積層体Aの剥離強度を測定し、初期剥離強度Aとした。
 ポリイミド積層体Aを、150℃の熱風乾燥機中で24時間処理し、その後剥離強度を測定し、耐熱後剥離強度Aとした。
 (2)ポリイミド積層体B(ポリイミドフィルム/接着剤層/銅箔の3層積層体)の剥離強度の測定
 (ポリイミド積層体Bの作製)
 ポリイミドフィルムの表面処理剤の塗布面に、デュポン株式会社製アクリル系接着剤(パイララックスLF0100)、日鉱金属株式会社製圧延銅箔(BHY-13H-T、18μm厚)の順に重ね合わせ、プレスにて、180℃、9MPaで5分圧着、さらに、180℃で60分熱処理して、ポリイミド積層体Bを得た。
 (剥離強度の測定)
 ポリイミド積層体Bの剥離強度を測定し、初期剥離強度Bとした。
 ポリイミド積層体Bを、150℃の熱風乾燥機中で24時間処理し、その後剥離強度を測定し、耐熱後剥離強度B1とした。
 ポリイミド積層体Bを、150℃の熱風乾燥機中で168時間処理し、その後剥離強度を測定し、耐熱後剥離強度B2とした。
 ポリイミド積層体Bをプレッシャークッカー試験装置を用いて、121℃、100%RHの環境下で24時間処理し、その後剥離強度を測定し、クッカー剥離強度B1とした。
 ポリイミド積層体Bをプレッシャークッカー試験装置を用いて、121℃、100%RHの環境下で96時間処理し、その後剥離強度を測定し、クッカー剥離強度B2とした。
 (3)ポリイミド金属積層体C(メタライジング法)の剥離強度の測定
 (ポリイミド金属積層体Cの作製)
 ポリイミドフィルムの表面処理剤の塗布面に、常法のスパッタ法によって、第1層目として厚み25nmのNi/Cr(質量比:8/2)層と、さらに第1層の上に第2層目として厚み400nmの銅層を形成し、銅層の上に厚み20μmの銅めっき層を形成して、ポリイミド金属積層体Cを得た。
 (剥離強度の測定)
 ポリイミド金属積層体Cの剥離強度を測定し、初期剥離強度Cとした。
 ポリイミド金属積層体Cを、150℃の熱風乾燥機中で24時間処理し、その後剥離強度を測定し、耐熱後剥離強度C1とした。
 ポリイミド金属積層体Cを、150℃の熱風乾燥機中で168時間処理し、その後剥離強度を測定し、耐熱後剥離強度C2とした。
 ポリイミド金属積層体Cをプレッシャークッカー試験装置を用いて、121℃、100%RHの環境下で24時間処理し、その後剥離強度を測定し、クッカー剥離強度C1とした。
 ポリイミド金属積層体Cをプレッシャークッカー試験装置を用いて、121℃、100%RHの環境下で96時間処理し、その後剥離強度を測定し、クッカー剥離強度C2とした。
 (4)ポリイミド金属積層体D(湿式めっき法)の剥離強度の測定
 (ポリイミド金属積層体Dの作製)
 ポリイミドフィルムの表面処理剤の塗布面に、湿式メッキプロセス(荏原ユージライト株式会社製エルフシードプロセス)により、無電解ニッケルめっき層、電解銅めっき層をこの順に形成し、さらに65℃で30分間熱処理して、銅厚み10μmのポリイミド金属積層体Dを得た。
 (剥離強度の測定)
 ポリイミド金属積層体Dの剥離強度を測定し、初期剥離強度Dとした。
 ポリイミド金属積層体Dを、150℃の熱風乾燥機中で24時間処理し、その後剥離強度を測定し、耐熱後剥離強度D1とした。
 ポリイミド金属積層体Dを、150℃の熱風乾燥機中で168時間処理し、その後剥離強度を測定し、耐熱後剥離強度D2とした。
 (塗工液の調製)
 自己支持性フィルムに塗布する溶液(塗工液)は、塗布溶媒、表面処理剤であるシランカップリング剤及び界面活性剤(東レ・ダウコーニング社製:L7001)を表1に示す配合割合で混合し、室温下で均一な溶液になるまで撹拌して調製した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 (ポリアミック酸溶液Aの調製)
 重合槽に所定量のN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、パラフェニレンジアミン(PPD)を加えた後、40℃で撹拌しながら、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s-BPDA)をPPDと略等モルまで段階的に添加して反応させ、固形分濃度が18質量%であるポリアミック酸の重合溶液(ポリイミド前駆体溶液)を得た。そして、このポリアミック酸重合溶液に、ポリアミック酸100質量部に対して0.25質量部の割合でモノステアリルリン酸エステルトリエタノールアミン塩および0.3質量部の割合でコロイダルシリカを添加し、均一に混合し、ポリアミック酸溶液Aを得た。ポリアミック酸溶液Aの30℃における回転粘度は180Pa・sであった。
 (ポリアミック酸溶液組成物Aの調製)
 ポリアミック酸溶液Aに、さらにアミド酸単位に対して0.05当量の1,2-ジメチルイミダゾールを添加し、ポリアミック酸溶液組成物Aを得た。
 (ポリアミック酸溶液組成物Bの調製)
 ポリアミック酸溶液Aに、さらにアミド酸単位に対して0.10当量の1,2-ジメチルイミダゾールを添加し、ポリアミック酸溶液組成物Bを得た。
 (自己支持性フィルムのイミド化率の測定)
 自己支持性フィルムと、そのフルキュアフィルム(ポリイミドフィルム)のFT-IRスペクトルを、日本分光製FT/IR6100を用いて、Geクリスタル、入射角45°の多重反射ATR法で測定し、1775cm-1のイミドカルボニル基の非対称伸縮振動のピーク高さと1515cm-1の芳香環の炭素-炭素対称伸縮振動のピーク高さの比を用いて、次式(1)によりイミド化率を算出した。
 イミド化率(%)={(X1/X2)/(Y1/Y2)}×100     (1)
 但し、
X1:自己支持性フィルムの1775cm-1のピーク高さ、
X2:自己支持性フィルムの1515cm-1のピーク高さ、
Y1:フルキュアフィルムの1775cm-1のピーク高さ、
Y2:フルキュアフィルムの1515cm-1のピーク高さ、とする。
 以下の実施例、比較例及び参考例で使用している自己支持性フィルムは、記載がない場合も、イミド化率は7~55%の範囲にあるものである。
[ポリイミド積層体A(カバーレイ)の評価]
 (実施例1)
 ポリアミック酸溶液組成物AをTダイ金型のスリットから連続的にキャスティングし、乾燥炉中の平滑なベルト状の金属支持体上に押出して薄膜を形成し、145℃で所定時間加熱後、支持体から剥離して自己支持性フィルムを得た。得られた自己支持性フィルムの加熱減量は29.0質量%で、自己支持性フィルムのイミド化率はA面側が13.3%、B面側が22.0%であった。
 さらに自己支持性フィルムを連続的に搬送しながら、自己支持性フィルムのB面にダイコーターを用いて塗工液1を塗布し(塗布量:6g/m)、40℃の乾燥炉を通した。次いで、この自己支持性フィルムの幅方向の両端部を把持して連続加熱炉(キュア炉)へ挿入し、100℃から最高加熱温度が480℃となる条件で当該フィルムを加熱、イミド化して、平均膜厚が8μmの長尺状ポリイミドフィルム(PI-1)を製造した。
 ポリイミドフィルム(PI-1)を用いてポリイミド積層体Aの作製と同様の方法で、カバーレイを積層したポリイミド積層体A(PI-1)を得た。ポリイミド積層体A(PI-1)の剥離強度を測定し、結果を表2に示す。
 (実施例2)
 塗工液1の代わりに塗工液2を用いた以外は実施例1と同様にして長尺状ポリイミドフィルム(PI-2)を製造した。さらに実施例1と同様にして、ポリイミド積層体A(PI-2)を得た。ポリイミド積層体A(PI-2)の剥離強度を測定し、結果を表2に示す。
 (比較例1)
 塗工液1の代わりに塗工液3を用いた以外は実施例1と同様にしてポリイミドフィルム(PI-3)を製造したところ、塗工液の塗布後にはじきおよび裂けが生じ、キュア後のフィルムにもはじき跡および裂けが残り、均一な表面のフィルムを得ることができなかった。
 (参考例1)
 自己支持性フィルムに何も塗工せずに40℃の乾燥炉を通さなかった以外は実施例1と同様にしてポリイミドフィルム(PI-4)を製造した。さらに実施例1と同様にして、ポリイミド積層体A(PI-4)を得た。ポリイミド積層体A(PI-4)の剥離強度を測定し、結果を表2に示す。
 (実施例3)
 ポリアミック酸溶液組成物AをTダイ金型のスリットから連続的にキャスティングし、乾燥炉中の平滑なベルト状の金属支持体上に押出して薄膜を形成し、145℃で所定時間加熱後、支持体から剥離して自己支持性フィルムを得た。得られた自己支持性フィルムの加熱減量は30.5質量%で、自己支持性フィルムのイミド化率はA面側が11.5%、B面側が30.2%であった。
 さらに自己支持性フィルムを連続的に搬送しながら、自己支持性フィルムのB面にダイコーターを用いて塗工液1を塗布し(塗布量:6g/m)、40℃の乾燥炉を通した。
 次いで、この自己支持性フィルムの幅方向の両端部を把持して連続加熱炉(キュア炉)へ挿入し、100℃から最高加熱温度が480℃となる条件で当該フィルムを加熱、イミド化して、平均膜厚が12.5μmの長尺状ポリイミドフィルム(PI-5)を製造した。
 ポリイミドフィルム(PI-5)を用いてポリイミド積層体Aの作製と同様の方法で、カバーレイを積層したポリイミド積層体A(PI-5)を得た。ポリイミド積層体A(PI-5)の剥離強度を測定し、結果を表2に示す。
 (実施例4)
 実施例3と同様にして加熱減量が29.0質量%、自己支持性フィルムのイミド化率はA面側が15.4%、B面側が34.0%の自己支持性フィルムを得た。自己支持性フィルムの塗布溶液として塗工液2を用いた以外は実施例3と同様にして、平均膜厚が12.5μmのポリイミドフィルム(PI-6)を得た。
 ポリイミドフィルム(PI-6)を用いてポリイミド積層体Aの作製と同様の方法で、カバーレイを積層したポリイミド積層体A(PI-6)を得た。ポリイミド積層体A(PI-6)の剥離強度を測定し、結果を表2に示す。
 (実施例5)
 塗工液1の代わりに塗工液4を用いた以外は実施例3と同様にして、平均膜厚が12.5μmの長尺状ポリイミドフィルム(PI-7)を製造し、さらにポリイミドフィルム(PI-7)からポリイミド積層体A(PI-7)を製造した。ポリイミド積層体A(PI-7)の剥離強度を測定し、結果を表2に示す。
 (実施例6)
 塗工液1の代わりに塗工液5を用いた以外は実施例3と同様にして、平均膜厚が12.5μmの長尺状ポリイミドフィルム(PI-8)を製造し、さらにポリイミドフィルム(PI-8)からポリイミド積層体A(PI-8)を製造した。ポリイミド積層体A(PI-8)の剥離強度を測定し、結果を表2に示す。
 (比較例2)
 塗工液1の代わりに塗工液3を用いた以外は実施例3と同様にしてポリイミドフィルム(PI-9)を製造したところ、塗工液の塗布後にはじきが生じ、キュア後のフィルムにもはじき跡が残り、均一な表面のフィルムを得ることができなかった。
 (参考例2)
 自己支持性フィルムに何も塗工せずに40℃の乾燥炉を通さなかった以外は実施例3と同様にしてポリイミドフィルム(PI-10)を製造し、さらにポリイミドフィルム(PI-10)からポリイミド積層体A(PI-10)を製造した。ポリイミド積層体A(PI-10)の剥離強度を測定し、結果を表2に示す。
 (実施例7)
 ポリアミック酸溶液組成物Aをガラス板上に薄膜状にキャストし、ホットプレートを用いて138℃で60秒加熱した後、ガラス板から剥離して、加熱減量が33.9質量%、イミド化率がA面側14.9%、B面側24.3%の自己支持性フィルムを得た。
 この自己支持性フィルムのB面に塗工液6をバーコーターNo.3で塗布し(塗布量:6g/m)、四辺をピンテンターで固定して、オーブンを用いて、100℃で140秒、155℃で50秒、210℃で50秒、370℃で50秒、490℃で50秒と段階的に加熱イミド化して、平均膜厚が13μmのポリイミドフィルム(PI-11)を得た。
 ポリイミドフィルム(PI-11)を用いてポリイミド積層体Aの作製と同様の方法で、カバーレイを積層したポリイミド積層体A(PI-11)を得た。ポリイミド積層体A(PI-11)の剥離強度を測定し、結果を表2に示す。
 (実施例8)
 実施例7と同様にして加熱減量が33.3質量%の自己支持性フィルムを得た。自己支持性フィルムの塗布溶液として塗工液2を用いた以外は実施例7と同様にして、平均膜厚が11μmのポリイミドフィルム(PI-12)を得た。
 ポリイミドフィルム(PI-12)を用いてポリイミド積層体Aの作製と同様の方法で、カバーレイを積層したポリイミド積層体A(PI-12)を得た。ポリイミド積層体A(PI-12)の剥離強度を測定し、結果を表2に示す。
 (実施例9)
 実施例7と同様にして加熱減量が34.5質量%の自己支持性フィルムを得た。自己支持性フィルムの塗布溶液として塗工液7を用いた以外は実施例7と同様にして、平均膜厚が13μmのポリイミドフィルム(PI-13)を得た。
 ポリイミドフィルム(PI-13)を用いてポリイミド積層体Aの作製と同様の方法で、カバーレイを積層したポリイミド積層体A(PI-13)を得た。ポリイミド積層体A(PI-13)の剥離強度を測定し、結果を表2に示す。
 (実施例10)
 実施例7と同様にして加熱減量が35.6質量%の自己支持性フィルムを得た。自己支持性フィルムの塗布溶液として塗工液8を用いた以外は実施例7と同様にして、平均膜厚が16μmのポリイミドフィルム(PI-14)を得た。
 ポリイミドフィルム(PI-14)を用いてポリイミド積層体Aの作製と同様の方法で、カバーレイを積層したポリイミド積層体A(PI-14)を得た。ポリイミド積層体A(PI-14)の剥離強度を測定し、結果を表2に示す。
 (比較例3)
 実施例7と同様にして加熱減量が33.2質量%の自己支持性フィルムを得た。この自己支持性フィルムのB面に塗工液3をバーコーターNo.3で塗布(塗布量:6g/m)したところ、塗工液の塗布後にはじきが生じた。実施例7と同様にキュアして得られた平均膜厚が12μmのポリイミドフィルム(PI-15)にははじき跡が残り、均一な表面のフィルムを得ることができなかった。
 (参考例3)
 実施例7と同様にして加熱減量が33.4質量%の自己支持性フィルムを得た。自己支持性フィルムに何も塗工しなかった以外は実施例7と同様にしてポリイミドフィルム(PI-16)を得た。
 ポリイミドフィルム(PI-16)を用いてポリイミド積層体Aの作製と同様の方法で、カバーレイを積層したポリイミド積層体A(PI-16)を得た。ポリイミド積層体A(PI-16)の剥離強度を測定し、結果を表2に示す。
 (実施例11)
 実施例7と同様にして加熱減量が34.7質量%の自己支持性フィルムを得た。この自己支持性フィルムのA面に塗工液6をバーコーターNo.3で塗布し(塗布量:6g/m)、実施例7と同様にして平均膜厚が14μmのポリイミドフィルム(PI-17)を得た。
 ポリイミドフィルム(PI-17)を用いてポリイミド積層体Aの作製と同様の方法で、カバーレイを積層したポリイミド積層体A(PI-17)を得た。ポリイミド積層体A(PI-17)の剥離強度を測定し、結果を表2に示す。
 (実施例12)
 実施例7と同様にして加熱減量が31.5質量%の自己支持性フィルムを得た。自己支持性フィルムの塗布溶液として塗工液2を用いた以外は実施例11と同様にして、平均膜厚が10μmのポリイミドフィルム(PI-18)を得た。
 ポリイミドフィルム(PI-18)を用いてポリイミド積層体Aの作製と同様の方法で、カバーレイを積層したポリイミド積層体A(PI-18)を得た。ポリイミド積層体A(PI-18)の剥離強度を測定し、結果を表2に示す。
 (実施例13)
 実施例7と同様にして加熱減量が36.0質量%の自己支持性フィルムを得た。自己支持性フィルムの塗布溶液として塗工液9を用いた以外は実施例11と同様にして、平均膜厚が14μmのポリイミドフィルム(PI-19)を得た。
 ポリイミドフィルム(PI-19)を用いてポリイミド積層体Aの作製と同様の方法で、カバーレイを積層したポリイミド積層体A(PI-19)を得た。ポリイミド積層体A(PI-19)の剥離強度を測定し、結果を表2に示す。
 (実施例14)
 ポリアミック酸溶液組成物Aをガラス板上に薄膜状にキャストし、ホットプレートを用いて138℃で120秒加熱した後、ガラス板から剥離して、加熱減量が27.4質量%、イミド化率がA面側17.7%、B面側25.0%の自己支持性フィルムを得た。
 この自己支持性フィルムのB面に塗工液10をバーコーターNo.3で塗布し(塗布量:6g/m)、四辺をピンテンターで固定して、オーブンを用いて、40℃で75秒、140℃で50秒、210℃で50秒、370℃で50秒、490℃で50秒と段階的に加熱イミド化して、平均膜厚が7μmのポリイミドフィルム(PI-20)を得た。
 ポリイミドフィルム(PI-20)を用いてポリイミド積層体Aの作製と同様の方法で、カバーレイを積層したポリイミド積層体A(PI-20)を得た。ポリイミド積層体A(PI-20)の剥離強度を測定し、結果を表2に示す。
 (実施例15)
 実施例14と同様にして加熱減量が28.3質量%の自己支持性フィルムを得た。自己支持性フィルムの塗布溶液として塗工液11を用いた以外は実施例14と同様にして、平均膜厚が6μmのポリイミドフィルム(PI-21)を得た。
 ポリイミドフィルム(PI-21)を用いてポリイミド積層体Aの作製と同様の方法で、カバーレイを積層したポリイミド積層体A(PI-21)を得た。ポリイミド積層体A(PI-21)の剥離強度を測定し、結果を表2に示す。
 (比較例4)
 実施例14と同様にして加熱減量が30.9質量%の自己支持性フィルムを得た。この自己支持性フィルムのB面に塗工液3をバーコーターNo.3で塗布(塗布量:6g/m)したところ、塗工液の塗布後にはじきが生じた。実施例14と同様にキュアして得られた平均膜厚が8μmのポリイミドフィルム(PI-22)にははじき跡が残り、均一な表面のフィルムを得ることができなかった。
 (参考例4)
 実施例14と同様にして加熱減量が32.1質量%の自己支持性フィルムを得た。自己支持性フィルムに何も塗工しなかった以外は実施例14と同様にしてポリイミドフィルム(PI-23)を得た。
 ポリイミドフィルム(PI-23)を用いてポリイミド積層体Aの作製と同様の方法で、カバーレイを積層したポリイミド積層体A(PI-23)を得た。ポリイミド積層体A(PI-23)の剥離強度を測定し、結果を表2に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 表2より、
 1)実施例1~15と参考例1~4とを比較すると、実施例のフィルムは、参考例のフィルムに比べ、初期の剥離強度と熱処理後の剥離強度共に高い値を示している。これは、シランカップリング剤溶液の塗布処理の有無によるものと考えられる。
 2)比較例1~4より、自己支持性フィルムの厚みが薄いと、DMAcを溶媒として用いた塗工液3では、フィルム表面ではじきや裂けが発生する場合があり、外観に問題があり、安定して優れたフィルムを得ることが出来ない。これは、塗布溶媒の相違によるものと考えられる。
 3)実施例7~10を比較すると、熱処理後の剥離強度は、実施例8が一番高く、次に実施例7と9、次に実施例10の順である。これは、塗布溶媒の相違によるものと考えられる。
 4)実施例7~9と実施例11~13とを比較すると、熱処理後の剥離強度はフィルムのB面側が高い。これは、フィルム作製時のキャスティングによる影響と考えられる。
 5)実施例3~5において、熱処理後の剥離強度は、実施例3と4が高い値を示す。これは、表面処理剤の濃度の影響と考えられる。
[ポリイミド積層体B(ポリイミドフィルム/接着剤層/銅箔の3層積層体)の評価]
 (実施例16)
 ポリアミック酸溶液組成物Bを使用した以外は実施例1と同様にして自己支持性フィルムを得た。得られた自己支持性フィルムの加熱減量は29.6質量%で、イミド化率はA面側が15.9%、B面側が33.0%であった。そして、自己支持性フィルムの塗布溶液として塗工液12を用いた以外は実施例1と同様にして、平均膜厚が12.5μmの長尺状ポリイミドフィルム(PI-24)を製造した。
 ポリイミドフィルム(PI-24)を用いてポリイミド積層体Bの作製と同様の方法で、接着剤層を介して銅箔を積層したポリイミド積層体B(ポリイミドフィルム/接着剤層/銅箔)(PI-24)を得た。ポリイミド積層体B(PI-24)の剥離強度を測定し、結果を表3に示す。
 (実施例17)
 塗工液12の代わりに塗工液13を用いた以外は実施例16と同様にしてポリイミドフィルム(PI-25)を製造した。ポリイミドフィルム(PI-25)を用いてポリイミド積層体Bの作製と同様の方法で、接着剤層を介して銅箔を積層したポリイミド積層体B(PI-25)を得た。ポリイミド積層体B(PI-25)の剥離強度を測定し、結果を表3に示す。
 (比較例5)
 塗工液12の代わりに塗工液3を用いた以外は実施例16と同様にしてポリイミドフィルム(PI-26)を製造したところ、塗工液の塗布後にはじきが生じ、キュア後のフィルムにもはじき跡が残り、均一な表面のフィルムを得ることができなかった。
 (参考例5)
 自己支持性フィルムに何も塗工せずに40℃の乾燥炉を通さなかった以外は実施例16と同様にしてポリイミドフィルム(PI-27)を製造した。ポリイミドフィルム(PI-27)を用いてポリイミド積層体Bの作製と同様の方法で、接着剤層を介して銅箔を積層したポリイミド積層体B(PI-27)を得た。ポリイミド積層体B(PI-27)の剥離強度を測定し、結果を表3に示す。
 (実施例18)
 ポリアミック酸溶液AをTダイ金型のスリットから連続的にキャスティング・乾燥炉の平滑な金属支持体上に押出して薄膜を形成し、135℃で所定時間加熱後、支持体から剥離して自己支持性フィルムを得た。得られた自己支持性フィルムの加熱減量は37.4質量%で、イミド化率はA面側が10.0%、B面側が18.8%であった。
 剥離した自己支持性フィルムを連続的に搬送しながら、B面にダイコーターを用いて塗工液12を塗布し(塗布量:6g/m)、40℃の乾燥炉を通した。次いで、この自己支持性フィルムの幅方向の両端部を把持して連続加熱炉(キュア炉)へ挿入し、100℃から最高加熱温度が480℃となる条件で当該フィルムを加熱、イミド化して、平均膜厚が35μmの長尺状ポリイミドフィルム(PI-28)を製造した。
 ポリイミドフィルム(PI-28)を用いてポリイミド積層体Bの作製と同様の方法で、接着剤層を介して銅箔を積層したポリイミド積層体B(PI-28)を得た。ポリイミド積層体B(PI-28)の剥離強度を測定し、結果を表3に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 表3より、
 1)実施例16~18より、厚みに関係なく、剥離強度は、初期、熱処理後及び高温高湿処理後全てで高い値を示し、熱処理後及び高温高湿処理後の剥離強度は初期の値と比べ低下が小さい。
[ポリイミド金属積層体C(メタライジング法)の評価]
 (実施例19~22)
 塗工液12の代わりに表4に示す塗布溶液を用いた以外は実施例18と同様にして、ポリイミドフィルム(PI-30~PI-33)を製造した。ポリイミドフィルム(PI-30~PI-33)を用いてポリイミド金属積層体Cの作製と同様の方法で、メタライジング法により金属を積層したポリイミド金属積層体C(ポリイミドフィルム/銅箔)(PI-30~PI-33)を得た。ポリイミド金属積層体C(PI-30~PI-33)の剥離強度を測定し、結果を表4に示す。
 (比較例6)
 塗工液12の代わりに塗工液3を用いた以外は実施例18と同様にしてポリイミドフィルム(PI-29)を製造した。ポリイミドフィルム(PI-29)では、膜厚みが35μmと厚いために、比較例1等と異なり、外観が良好なフィルムを得ることができた。しかし、初期の剥離強度は小さかった。
 ポリイミドフィルム(PI-29)を用いてポリイミド金属積層体Cの作製と同様の方法で、メタライジング法により金属を積層したポリイミド金属積層体C(PI-29)を得た。ポリイミド金属積層体C(PI-29)の剥離強度を測定し、結果を表4に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 表4より、
 1)実施例19~22と比較例6を比べると、実施例19~22の剥離強度は、初期、熱処理後及び高温高湿処理後全てで高い値を示す。
 2)実施例19~22の熱処理後及び高温高湿処理後の剥離強度は、初期の値に比べ、低下が小さい。
 3)実施例19~21では、塗布溶媒の種類を変えており、実施例19と20が、実施例21に比べ、初期、熱処理後及び高温高湿処理後の剥離強度が高い。
 4)実施例19と実施例22では、表面処理剤の濃度を変えているが、表2の接着剤の結果と比べ、この範囲では濃度による剥離強度の差異はないように思われる。
[ポリイミド金属積層体D(湿式めっき法)の評価]
 (実施例23、24)
 塗工液12の代わりに表5に示す塗布溶液を用いた以外は実施例18と同様にして、ポリイミドフィルム(PI-34、PI-35)を製造した。ポリイミドフィルム(PI-34、PI-35)を用いてポリイミド金属積層体Dの作製と同様の方法で、湿式メッキ法により金属を積層したポリイミド金属積層体D(ポリイミドフィルム/銅箔)(PI-34、PI-35)を得た。ポリイミド金属積層体D(PI-34、PI-35)の剥離強度を測定し、結果を表5に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 表5より、
 1)実施例23と実施例24では、剥離強度は初期および熱処理後で高い値を示す。
 2)実施例23と実施例24では、表面処理剤の濃度を変えているが、表2の接着剤の結果と比べ、この範囲では濃度による剥離強度の差異はないように思われ、結果は表4と同様である。
 3)実施例23及び24と、表4の実施例19~22とを比べると、実施例23及び24では、初期の剥離強度の値は少し小さいが、熱処理後の剥離強度の値は同等の高い値を示す。
 (溶媒の接触角)
 ポリテトラフルオロエチレンシート上での溶媒の接触角を協和界面科学株式会社製接触角計CA-Xで測定した。結果を表6に示す。
 (混合溶媒の沸点)
 エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルにN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)を5質量%の割合で含む混合溶媒を単蒸留装置により常圧で蒸留した。初留の温度は168℃、安定時の温度は170℃であり、安定時の蒸留温度を沸点とした。結果を表6に示す。
 (溶媒の水への溶解性試験;水溶性試験)
 表6に示す溶媒(溶液)を、常温常圧(20℃、1気圧)で、同容量の純水と穏やかに混合して静置したところ、その後も、当該混合液は均一な外観を維持していた。表6に示す溶媒(溶液)は、いずれも水溶性液体であった。
 表6において、DMAcの表面張力は30℃におけるものを示す。一般に液体の表面張力の値は、温度が低いと大きくなる。従って、20℃におけるDMAcの表面張力は、30℃における表面張力(32.4)よりも大きくなることは明らかである。
 (溶媒の蒸発速度)
ASTM D3539-87に従って測定される。蒸発速度は、測定に仕込んだ量の90質量%が蒸発するのに要した時間(秒)で表したデータである。比蒸発速度は、酢酸n-ブチルを基準溶剤として、比蒸発速度で表したデータである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
 (自己支持性フィルムの耐溶媒性試験)
 ポリアミック酸溶液Aをキュア後のフィルムの厚みが10~14μmになる厚みでガラス板上に薄膜状にキャストし、ホットプレートを用いて138℃で30~50秒加熱した後、ガラス板から剥離して自己支持性フィルムを得た。この自己支持性フィルムのB面に表7に示した溶媒をバーコーターNo.14で塗布し(塗布量:29~30g/m)、四辺をピンテンターで固定して、210℃のオーブン中で50秒加熱したときのフィルムの裂けの有無を調べ、結果を表7に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
[自己支持性フィルムおよびポリイミドフィルムの、はじきと外観試験]
 (実施例25)
 ポリアミック酸溶液Aをガラス板上に薄膜状にキャストし、ホットプレートを用いて131℃で210秒加熱した後、ガラス板から剥離した。これにより、加熱減量が38.0質量%、イミド化率がA面側10.0%、B面側18.0%の自己支持性フィルムを得た。この自己支持性フィルムのA面に塗工液2をバーコーターNo.3で塗布(塗布量:6g/m)した。その結果、自己支持性フィルムの表面において、表面処理剤のはじきはなく、外観は良好であった。この塗工後の自己支持性フィルムの四辺をピンテンターで固定して、オーブンを用いて、100℃で240秒、140℃で86秒、200℃で86秒、370℃で86秒、490℃で86秒と段階的に加熱イミド化して、平均膜厚が35μmのポリイミドフィルムを得た。このキュア後のポリイミドフィルムの外観も、はじき跡はなく、良好であった。
 (実施例26)
 塗工液8に変えた以外は、実施例25と同様な試験を行った。その結果、自己支持性フィルムの表面において、表面処理剤のはじきはなく、外観は良好であった。また、このキュア後のポリイミドフィルムの外観も、はじき跡はなく、良好であった。
 (実施例27)
 塗工液6に変えた以外は、実施例25と同様な試験を行った。その結果、自己支持性フィルムの表面において、表面処理剤のはじきはなく、外観は良好であった。また、このキュア後のポリイミドフィルムの外観も、はじき跡はなく、良好であった。
(比較例7)
 塗工液16に変えた以外は、実施例25と同様な試験を行った。その結果、自己支持性フィルムに表面処理剤を塗布した直後は、はじきはなかったが、塗布30秒後にはじきが生じた。また、キュア後のポリイミドフィルムの外観には、はじき跡が残り、外観不良であった。
(比較例8)
 塗工液17に変えた以外は、実施例25と同様な試験を行った。その結果、自己支持性フィルムに表面処理剤を塗布すると、塗工液が自己支持性フィルム表面において、はじいた。また、キュア後のポリイミドフィルムの外観には、はじき跡が残り、外観不良であった。

Claims (13)

  1.  テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを反応させて得られるポリアミック酸の溶液を支持体上に流延し、これを乾燥して自己支持性フィルムを得る工程と、
     この自己支持性フィルムの片面または両面に、表面処理剤の溶液を塗布する工程と、
     表面処理剤の溶液を塗布した自己支持性フィルムを加熱してポリイミドフィルムを得る工程と
    を有し、
     前記表面処理剤の溶液は、水溶性液体であって、20℃における表面張力が32mN/m以下で、沸点が125℃以上である溶媒を含むことを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
  2.  前記表面処理剤溶液の溶媒が、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートおよびジアセトンアルコールより選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  3.  前記テトラカルボン酸成分が、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物および/またはピロメリット酸二無水物を主成分として含むものであり、
     前記ジアミン成分が、パラフェニレンジアミンおよび/またはジアミノジフェニルエーテル類を主成分として含むものであることを特徴とする請求項1または2に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  4.  前記表面処理剤が、シランカップリング剤であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  5.  ポリイミドフィルムは、熱イミド化で製造されることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  6.  自己支持性フィルムは、加熱減量が20~50質量%の範囲であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  7.  製造されるポリイミドフィルムは、金属層又は接着剤層との積層用に用いられることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  8.  製造されるポリイミドフィルムの膜厚が20μm以下であることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  9.  請求項1~8のいずれかに記載のポリイミドフィルムの製造方法により得られるポリイミドフィルム。
  10.  請求項9に記載のポリイミドフィルムの、製造時に表面処理剤の溶液を塗布した面に金属層を積層してなるポリイミド金属積層体。
  11.  前記金属層がメタライジング法又は湿式メッキ法により形成されたものである請求項10に記載のポリイミド金属積層体。
  12.  請求項9に記載のポリイミドフィルムの、製造時に表面処理剤の溶液を塗布した面に接着剤層を積層してなるポリイミド積層体。
  13.  請求項12に記載のポリイミド積層体の接着剤層に金属箔を接着してなるポリイミド金属積層体。
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