WO2011021582A1 - パーライト系レール - Google Patents

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Abstract

 このパーライト系レールは、質量%で、C:0.65~1.20%と、Si:0.05~2.00%と、Mn:0.05~2.00%と、を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物を含み;頭部の少なくとも一部および底部の少なくとも一部がパーライト組織であり;前記パーライト組織である部位の表面硬さがHv320~500の範囲でかつ最大表面粗さが180μm以下である。

Description

パーライト系レール
 本発明は、レールの頭部や底部の耐疲労損傷性を向上させたパーライト系レールに関する。特に、本発明は、国内の急曲線や海外の貨物鉄道で使用されるパーライト系レールに関する。
 本願は、2009年08月18日に、日本に出願された特願2009-189508号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
 海外の貨物鉄道では、鉄道輸送の高効率化を図るため貨物の高積載化を進めている。特に、通過する列車の本数が多い区間や急曲線のレールでは、レールの頭頂部や頭部コーナー部(車輪フランジ部との接触が厳しいレール頭部のコーナー付近)の摩耗が著しく進行し、摩耗量の増加による使用寿命の低下が問題である。
 また、国内の旅客鉄道においても、特に急曲線のレールでは、海外の貨物鉄道と同様に摩耗が著しく進行するため、摩耗量の増加による使用寿命の低下が問題である。
 このような背景から、高い耐摩耗性を有するレールの開発が求められるようになってきた。これらの問題を解決するため、特許文献1に示すようなレールが開発されている。このレールの主な特徴は、パーライト組織を高硬度化するため、熱処理を行い、パーライト組織(ラメラ間隔)を微細にした点にある。
 特許文献1では、高炭素鋼含有の鋼レールに熱処理を施し、金属組織をソルバイト組織または微細パーライト組織とする技術が開示されている。これにより、鋼レールの高硬度化を図り、耐摩耗性に優れたレールを提供することができる。
 しかし、近年、海外の貨物鉄道や国内の旅客鉄道では、鉄道輸送のさらなる高効率化を図るため、貨物のより一層の高積載化や列車の高速化を進めている。特許文献1に記載のレールでは、レール頭部の耐摩耗性の確保が困難となり、レール使用寿命の低下が大きく低下するといった問題があった。
 そこで、この問題を解決するために、高炭素化された鋼のレールが検討された。このレールの特徴は、パーライト組織のラメラ中のセメンタイト体積比率を増加させ、耐摩耗性を向上させている点にある(例えば、特許文献2参照)。
 特許文献2では、鋼レールの炭素量を過共析域まで向上させ、金属組織をパーライト組織としたレールが開示されている。これにより、パーライトラメラ中のセメンタイト相の体積比率を高め、耐摩耗性を向上させ、より高寿命なレールを提供することができる。特許文献2に記載のレールにより、レールの耐摩耗性が向上し、一定の使用寿命の向上が図られた。しかし、近年、鉄道輸送のさらなる過密化が進み、レール頭部や底部からの疲労損傷の発生が健在化するようになった。その結果、特許文献2に記載のレールをもってしても、レール使用寿命が十分ではないといった問題がある。

特開昭51-002616号公報 特開平08-144016号公報 特開平08-246100号公報 特開平09-111352号公報
 このような背景から、高炭素含有のパーライト組織を呈した鋼レールにおいて、レール頭部や底部からの耐疲労損傷性を向上させたレールの提供が望まれるようになった。
 本発明は、上述した問題点に鑑み案出されたものであり、海外の貨物鉄道や国内の旅客鉄道のレールの耐疲労損傷性を向上させたパーライト系レールの提供を目的とする。
(1)本発明の一態様に係るパーライト系レールは、質量%で、C:0.65~1.20%と、Si:0.05~2.00%と、Mn:0.05~2.00%と、を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物を含み;頭部の少なくとも一部および底部の少なくとも一部がパーライト組織であり;前記パーライト組織である部位の表面硬さがHv320~500の範囲でかつ最大表面粗さが180μm以下である。
(2)上記(1)に記載のパーライト系レールでは、最大表面粗さに対する表面硬さの比が3.5以上であることが好ましい。
(3)上記(1)または(2)に記載のパーライト系レールでは、最大表面粗さを測定した部位における、底部から頭部に向かうレール鉛直方向(高さ方向)の粗さの平均値に対する最大表面粗さの0.30倍を超える凹凸の数が、頭部及び底部の表面のレール長手方向の長さ5mmあたり40個以下であることが好ましい。
(4)~(14)上記(1)または(2)に記載のパーライト系レールでは、質量%でさらに、下記(a)~(k)の成分を選択的に含有し、残部がFeおよび不可避的不純物を含むことが好ましい。
(a)Cr:0.01~2.00%、Mo:0.01~0.50%の1種または2種
(b)V:0.005~0.50%、Nb:0.002~0.050%の1種または2種
(c)Co:0.01~1.00%の1種
(d)B:0.0001~0.0050%の1種
(e)Cu:0.01~1.00%の1種
(f)Ni:0.01~1.00%の1種
(g)Ti:0.0050~0.0500%の1種
(h)Ca:0.0005~0.0200%、Mg:0.0005~0.0200%の1種または2種
(i)Zr:0.0001~0.0100%の1種
(j)Al:0.0100~1.00%の1種
(k)N:0.0060~0.0200%の1種
(15)上記(1)または(2)に記載のパーライト系レールによれば、質量%で、さらに、Cr:0.01~2.00%、Mo:0.01~0.50%の1種または2種と;V:0.005~0.50%、Nb:0.002~0.050%の1種または2種と;Co:0.01~1.00%と;B:0.0001~0.0050%と;Cu:0.01~1.00%を含有と;Ni:0.01~1.00%を含有と;Ti:0.0050~0.0500%と;Mg:0.0005~0.0200%、Ca:0.0005~0.0200%と;Zr:0.0001~0.2000%と;Al:0.0040~1.00%と;N:0.0060~0.0200%と;を含有することが好ましい。
 上記(1)に記載のパーライト系レールによれば、C量:0.65~1.20%、Si量:0.05~2.00%、Mn量:0.05~2.00%を含有しているため、パーライト組織の硬度(強度)を維持し、耐疲労損傷性を向上させることができる。さらには、疲労特性に有害なマルテンサイト組織が生成されにくく、疲労限応力範囲の低下を抑えることができるため、疲労強度を向上させることが可能となる。
 また、このパーライト系レールによれば、頭部の少なくとも一部および底部の少なくとも一部がパーライト組織であり、頭部の少なくとも一部および底部の少なくとも一部の表面硬さがHv320~500の範囲であり、最大表面粗さが180μm以下であるため、海外の貨物鉄道や国内の旅客鉄道のレールの耐疲労損傷性を向上させることが可能となる。
 上記(2)に記載のパーライト系レールの場合、最大表面粗さに対する表面硬さの比が3.5以上であるため、疲労限応力範囲を上昇させ、疲労強度を向上させることが可能となる。さらにパーライト系レールの耐疲労損傷性をさらに向上させることが可能となる。
 上記(3)に記載のパーライト系レールの場合、凹凸数が40個以下であるため、疲労限応力範囲が上昇し、疲労強度が大きく向上する。
 上記(4)に記載のパーライト系レールの場合、Cr:0.01~2.00%、Mo:0.01~0.50%の1種または2種を含有するため、パーライト組織のラメラ間隔が微細化し、パーライト組織の硬度(強度)が向上し疲労特性に有害なマルテンサイト組織の生成が抑えられる。その結果、パーライト系レールの耐疲労損傷性を向上させることが可能となる。
 上記(5)に記載のパーライト系レールの場合、V:0.005~0.50%、Nb:0.002~0.050%の1種または2種を含有するため、オーステナイト粒が微細化し、パーライト組織の靭性が向上する。さらには、V及びNbは、溶接継ぎ手熱影響部の軟化を防止することができるので、パーライト組織の靭性や硬度(強度)を向上させることが可能となる。
 上記(6)に記載のパーライト系レールの場合、Co:0.01~1.00%を含有しているため、フェライト組織がより一層微細化され、耐摩耗特性が向上する。
 上記(7)に記載のパーライト系レールの場合、B:0.0001~0.0050%を含有するため、パーライト変態温度の冷却速度依存性が低減され、より均一な硬度分布がパーライト系レールに付与される。その結果、パーライト系レールの高寿命化を図ることが可能となる。
 上記(8)に記載のパーライト系レールの場合、Cu:0.01~1.00%を含有するため、パーライト組織の硬度(強度)が向上し、疲労特性に有害なマルテンサイト組織の生成が抑えられる。その結果、パーライト系レールの耐疲労損傷性を向上させることが可能となる。
 上記(9)に記載のパーライト系レールの場合、Ni:0.01~1.00%を含有するため、パーライト組織の靭性が向上し、疲労特性に有害なマルテンサイト組織の生成が抑えられる。その結果、パーライト系レールの耐疲労損傷性を向上させることが可能となる。
 上記(10)に記載のパーライト系レールの場合、Ti:0.0050~0.0500%を含有するため、オーステナイト粒が微細化し、パーライト組織の靭性が向上する。さらには、溶接継ぎ手部の脆化を防止することができるので、パーライト系レールの耐疲労損傷性を向上させることが可能となる。
 上記(11)に記載のパーライト系レールの場合、Mg:0.0005~0.0200%、Ca:0.0005~0.0200%の1種または2種を含有するため、オーステナイト粒が微細化し、パーライト組織の靭性が向上する。その結果、パーライト系レールの耐疲労損傷性を向上させることが可能となる。
 上記(12)に記載のパーライト系レールの場合、Zr:0.0001~0.2000%を含有するため、パーライト系レールの偏析部にマルテンサイトや初析セメンタイト組織の生成が抑制される。これにより、パーライト系レールの耐疲労損傷性を向上させることが可能となる。
 上記(13)に記載のパーライト系レールの場合、Al:0.0040~1.00%を含有するため、共析変態温度を高温側へ移動させることができる。これにより、パーライト組織が高硬度(強度)となり、耐疲労損傷性を向上させることが可能となる。
 上記(14)に記載のパーライト系レールの場合、N:0.0060~0.0200%を含有するため、オーステナイト粒界からパーライト変態が促進され、パーライトブロックサイズを微細化する。これにより、靭性が向上し、パーライト系レールの耐疲労損傷性を向上させることが可能となる。
 上記(15)に記載のパーライト系レールの場合、Cr、Mo、V、Nb、Co、B、Cu、Ni、Ti、Ca、Mg、Zr、Al、Nを添加することにより、耐疲労損傷性の向上、さらには、耐摩耗性の向上、靭性の向上、溶接熱影響部の軟化の防止、パーライト系レールの頭部内部の断面硬度分布の制御を図ることが可能となる。
本発明の一実施形態にかかるパーライト系レールの疲労試験の結果であり、同パーライト系レールの底部表面の金属組織や硬さと疲労限応力範囲との関係を示すグラフである。 同パーライト系レールの底部表面の最大表面粗さ(Rmax)と疲労限応力範囲との関係を示すグラフである。 同パーライト系レールの底部表面におけるSVH/Rmaxと疲労限応力範囲との関係を示すグラフである。 同パーライト系レールの凹凸の数と疲労限応力範囲との関係を示すグラフである。 同パーライト系レールにおける、硬さHv320~500のパーライト組織が必要な領域を示した縦断面図である。 同パーライト系レールの頭部表面の疲労試験の概要の模式図である。 同パーライト系レールの底部表面の疲労試験の概要の模式図である。 同パーライト系レールの最大表面粗さ(Rmax)に対する表面硬さ(SVH)の比毎における、頭部の表面硬さと疲労限応力範囲との関係を示すグラフである。 同パーライト系レールの最大表面粗さ(Rmax)に対する表面硬さ(SVH)の比毎における、底部の表面硬さと疲労限応力範囲との関係を示すグラフである。 同パーライト系レールの頭部の表面硬さと疲労限応力範囲との関係を、最大表面粗さの0.30倍を超える凹凸の数で区別して示したグラフである。 同パーライト系レールの底部の表面硬さと疲労限応力範囲との関係を、最大表面粗さの0.30倍を超える凹凸の数で区別して示したグラフである。
 以下に、本発明の一実施形態として、耐摩耗性および耐疲労損傷性に優れたパーライト系レールを詳細に説明する。ただし、本実施形態は、以下の説明のみに限定されず、本実施形態の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本実施形態は以下に示す記載内容のみに限定して解釈されるものではない。以下、組成における質量%は、単に%と記載する。また、本実施形態にかかるパーライト系レールを必要に応じて鋼レールと称する。
 まず、本発明者らは、実軌道での鋼レールの疲労損傷の発生状況を調査した。その結果、鋼レールの頭部の疲労損傷は、車輪と接触するころがり面ではなく、その周囲の非接触部の表面から発生していることを確認した。また、鋼レールの底部の疲労損傷は、比較的応力が高い底部の幅方向の中央部付近の表面から発生していることを確認した。したがって、実軌道での疲労損傷は製品レールの頭部、底部の表面から発生していることが明らかになった。
 さらに、本発明者らは、この調査結果に基づき、鋼レールの疲労損傷の発生因子を解明した。鋼の疲労強度は一般的に鋼の引張強度(硬さ)との相関があることが知られている。そこで、C量:0.60~1.30%、Si量:0.05~2.00%、Mn量:0.05~2.00%の鋼を用いて、レール圧延および熱処理を行い、鋼レールを製造し、実軌道の使用条件を再現した疲労試験を行った。なお、試験条件は下記に示すとおりである。
(x1)レール形状:136ポンドの鋼レール(67kg/m)を用いる。
(x2)疲労試験
    試験方法:実物の鋼レールを用いて3点曲げ(スパン長:1m、周波数:5Hz)による試験を行う。
    荷重条件:応力範囲制御(最大-最小、最小荷重は最大荷重の10%)を行う。
(x3)試験姿勢:レール頭部に荷重負荷(底部に引張応力作用)を加える。
(x4)繰り返し回数:200万回、未破断の場合の最大応力範囲を疲労限応力範囲とする。
 実物の鋼レールの3点曲げによる疲労試験の結果を図1に示す。図1は鋼レールの底部表面の金属組織や硬さと疲労限応力範囲との関係を示したグラフである。ここで、鋼レールの底部の表面とは、図5に示す足裏部3である。疲労限応力範囲とは、上記(x2)に示すとおり、疲労試験において最大応力と最小応力とで荷重を変動させて試験を行った際に、最大応力と最小応力との差を疲労試験における応力範囲とし、その中で、上記(x4)に示すとおり、未破断の場合の最大応力範囲を疲労限応力範囲とする。
 図1より、鋼の疲労特性を決める疲労限応力範囲は、鋼の金属組織と相関があることが確認された。パーライト組織中に微量のフェライト組織が混在する図1の矢印Aで示す領域(底部表面硬さ:Hv250~300)の鋼レール、及び、微量のマルテンサイト組織や初析セメンタイト組織が混在する図1の矢印Cで示す領域(底部表面硬さ:Hv530~580)の鋼レールは、疲労限応力範囲が大きく低下し、かつ、疲労強度が大きく低下することが明らかになった。
 また、パーライト単相組織である図1の矢印Bで示す領域(底部表面硬さ:Hv300~530)では、表面硬さが上昇するに従って疲労限応力範囲が増加する傾向を示す。しかしながら、底部表面硬さがHv500を超えると疲労限応力範囲が大きく低下する。したがって、所定の疲労強度を確実に確保するには、表面硬さを一定の範囲に収める必要があることが明らかとなった。
 さらに、本発明者らは、鋼レールの疲労強度を確実に向上させるために、同一の硬さの鋼レールの疲労限応力範囲が大きくばらつく要因を検証した。図1に示したように硬さが同一のパーライト組織においても疲労限応力範囲が200~250MPa程度変動する。そこで、疲労試験において破断した鋼レールの起点を調査した。その結果、起点には凹凸があり、この凹凸から疲労損傷が発生していることが確認された。
 そこで、本発明者らは、鋼レールの疲労強度と表面の凹凸との関係を詳細に調査した。図2にその結果を示す。図2は、C量:0.65~1.20%、Si量:0.50%、Mn量:0.80%、硬さHv320~500の鋼レールの底部表面の粗度を粗さ計で測定し、最大表面粗さ(Rmax)と疲労限応力範囲との関係を示したグラフである。ここで、最大表面粗さとは、測定基準長さにおいて底部から頭部に向かうレール鉛直方向(高さ方向)の平均値を基準として、最大の谷の深さと最大の山の高さの和であり、詳細にはJIS B 0601に記載の粗さ曲線の最大高さ(Rz)のことを示す。なお、表面粗度の測定に際しては事前にレール表面のスケール(酸化膜)を酸洗またはサンドブラスト除去した。
 鋼の疲労強度は最大表面粗さ(Rmax)と相関があり、図2より、最大表面粗さ(Rmax)が180μm以下であると、疲労限応力範囲が大幅に上昇する。これにより、レールに必要とされる最低限の疲労強度(≧300MPa)が確保されることが明らかとなった。また、硬さHv320のレールでは、最大表面粗さ(Rmax)が90μm以下であると、さらに疲労限応力範囲が上昇し、硬さHv400のレールでは、最大表面粗さ(Rmax)が120μm以下であると、さらに疲労限応力範囲が上昇し、硬さHv500のレールでは、最大表面粗さ(Rmax)が150μm以下であると、さらに疲労限応力範囲が上昇する。
 これらの結果から、高炭素含有の鋼レールの疲労強度を向上させるには、金属組織的にはパーライト単相組織とし、鋼レールの表面硬さHv320~500の範囲に収め、さらに、最大表面粗さ(Rmax)を180μm以下に収める必要があることを新たに見いだした。
 ここで、微量であればパーライト組織にフェライト、マルテンサイト、初析セメンタイトが混在していても、大幅に疲労強度を低下させることはない。しかしながら、最も疲労強度を向上させるには、パーライト組織が単相組織であることが好ましい。
 さらに、本発明者らは、鋼レールの疲労限応力範囲と表面硬さ(SVH:Surface Vickers Hardness)、最大表面粗さ(Rmax)の関係を詳細に調査した。その結果、最大表面粗さ(Rmax)に対する鋼レールの表面硬さ(SVH)の比、すなわち、SVH/Rmaxと疲労限応力範囲との間には相関があることを突きとめた。図3は、C量:0.65~1.20%、Si量:0.50%、Mn量:0.80%、硬さHv320~500の鋼レールのSVH/Rmaxと疲労限応力範囲との関係を示したグラフである。Hv320、Hv400、Hv500のいずれの硬さの鋼レールにおいても、SVH/Rmaxの値が3.5以上の鋼レールの疲労限応力範囲は、380MPa以上に上昇し、疲労強度が大きく向上することが新たに知見された。
 これらの実施形態に加えて、本発明者らは、鋼レールの疲労強度を向上させるために、鋼レールの表面の粗さと疲労強度との相関に関して検討した。図4は、C量:1.00%、Si量:0.50%、Mn量:0.80%、硬さHv400であるときの、最大表面粗さ(Rmax)が150μmと50μmとの鋼レールにおける疲労試験を行った結果である。底部表面の粗さと疲労限応力範囲との関係を詳細に検討するため、底部から頭部に向かうレール鉛直方向(高さ方向)の平均値に対して最大表面粗さの0.30倍を超える凹凸の数と疲労限応力範囲との相関を調査した。なお、凹凸の数は、底部のレール長手方向の長さ5mmにおける個数である。最大表面粗さ(Rmax)が150μmと50μmとのいずれの硬さの鋼レールにおいても、凹凸の数が40個以下、望ましくは10個以下の鋼レールを用いることにより、疲労限応力範囲がさらに上昇し、疲労強度が大きく向上することを見いだした。
 すなわち、本実施形態は、鋼レールの頭部および底部の表面硬さ(SVH)をHv320~500の範囲とし、最大表面粗さ(Rmax)を180μm以下である高炭素含有のパーライト組織を呈する鋼レールを用いることにより、海外の貨物鉄道や国内の旅客鉄道に用いられるパーライト系レールの耐疲労損傷性を向上させることができる。さらには、最大表面粗さに対する表面硬さ(SVH/Rmax)の比を3.5以上となる高炭素含有のパーライト組織を呈するパーライト系レールや、凹凸の数が40個以下となる高炭素含有のパーライト組織を呈するパーライト系レールを用いることにより、疲労限応力範囲を上昇させ、疲労強度も大きく向上させることが可能となる。
 本実施形態では、パーライト系レールの底部表面についての結果を図1~図4に示しているが、パーライト系レールの頭部表面についても、図1~図4と同様の結果が得られている。
 また、C量、Si量、Mn量は上記の値のみに限定されず、C量は0.65~1.20%の範囲、Si量は0.05~2.00%の範囲、Mn量は0.05~2.00%の範囲であれば、同様の結果が得られる。
 さらに、パーライト組織である部分、表面硬さ(SVH)がHv320~500の範囲である部分、最大表面粗さ(Rmax)が180μm以下である部分は、パーライト系レールの頭部の少なくとも一部および底部の少なくとも一部であれば良い。
 また、最大表面粗さ(Rmax)に対する表面硬さ(SVH)の比(SVH/Rmax)は、必ずしも3.5以上でなくても良く、凹凸の数は、必ずしも40個以下でなくても良いが、(SVH/Rmax)を3.5以上、凹凸の数を40個以下にすることにより、上述したように、さらなる疲労強度の向上を図ることができる。
 次に、本実施形態の限定理由について詳細に説明する。以下、鋼組成における質量%は、単に%と記載する。
(1)化学成分の限定理由
 パーライト系レールの化学成分をC量が0.65~1.20%の範囲、Si量が0.05~2.00%の範囲、Mn量が0.05~2.00%の範囲に限定した理由について、詳細に説明する。
 Cは、パーライト変態を促進させて、かつ、耐摩耗性を確保することができる。パーライト系レールに含有されるC量が0.65%未満では、パーライト組織中に疲労特性に有害な初析フェライトが生成しやすくなり、さらに、パーライト組織の硬度(強度)を維持することが困難となる。その結果、レールの耐疲労損傷性が低下する。また、パーライト系レールに含有されるC量が1.20%を超えると、パーライト組織中に疲労特性に有害な初析セメンタイト組織が生成しやすくなる。その結果、レールの耐疲労損傷性が低下する。このため、パーライト系レールにおけるC添加量を0.65~1.20%に限定した。
 Siは、脱酸材として必須の成分である。また、Siは、パーライト組織中のフェライト相への固溶強化によりパーライト組織の硬度(強度)を上昇させ、パーライト組織の耐疲労損傷性を向上させることができる。さらに、Siは、過共析鋼において、初析セメンタイト組織の生成を抑制し、疲労特性の低下を抑制することができる。しかし、パーライト系レールに含有されるSi量が0.05%未満では、これらの効果が十分に期待できない。また、パーライト系レールに含有されるSi量が2.00%を超えると、焼入性が著しく増加し、疲労特性に有害なマルテンサイト組織が生成し易くなる。このため、パーライト系レールにおけるSi添加量を0.05~2.00%に限定した。
 Mnは、焼き入れ性を高め、パーライト組織のラメラ間隔を微細化することにより、パーライト組織の硬度(強度)を確保し、耐疲労損傷性を向上させる。しかし、パーライト系レールに含有されるMn量が0.05%未満では、その効果が小さく、レールに必要とされる耐疲労損傷性の確保が困難となる。また、パーライト系レールに含有されるMn量が2.00%を超えると、焼入性が著しく増加し、疲労特性に有害なマルテンサイト組織が生成し易くなる。このため、パーライト系レールにおけるMn添加量を0.05~2.00%に限定した。
 また、上記の成分組成で製造されるパーライト系レールには、パーライト組織の硬度(強度)の向上、すなわち、耐疲労損傷性の向上、さらには、耐摩耗性の向上、靭性の向上、溶接熱影響部の軟化の防止、レール頭部内部の断面硬度分布の制御を図る目的で、Cr、Mo、V、Nb、Co、B、Cu、Ni、Ti、Ca、Mg、Zr、Al、Nの元素が必要に応じて添加される。
 ここで、Cr、Moは、パーライトの平衡変態点を上昇させ、主に、パーライトラメラ間隔を微細化することによりパーライト組織の硬度を確保する。V、Nbは、熱間圧延やその後の冷却課程で生成した炭化物や窒化物により、オーステナイト粒の成長を抑制し、さらに、析出硬化により、パーライト組織の靭性と硬度とを向上させる。また、再加熱時に炭化物や窒化物を安定的に生成させ、溶接継ぎ手熱影響部の軟化を防止する。Coは、摩耗面のラメラ構造やフェライト粒径を微細化し、パーライト組織の耐摩耗性を高める。Bは、パーライト変態温度の冷却速度依存性を低減させ、レール頭部の硬度分布を均一にする。Cuは、フェライト組織やパーライト組織中のフェライトに固溶し、パーライト組織の硬度を高める。Niは、フェライト組織やパーライト組織の靭性と硬度を向上させ、同時に、溶接継ぎ手熱影響部の軟化を防止する。Tiは、熱影響部の組織の微細化を図り、溶接継ぎ手部の脆化を防止する。Ca、Mgは、レール圧延時においてオーステナイト粒の微細化を図り、同時に、パーライト変態を促進し、パーライト組織の靭性を向上させる。Zrは、凝固組織の等軸晶化率を高めることにより、鋳片中心部の偏析帯の形成を抑制し、初析セメンタイト組織の厚さを微細化する。Alは、共析変態温度を高温側へ移動させ、パーライト組織の硬度を高める。Nを添加する主な目的は、オーステナイト粒界に偏析することによりパーライト変態を促進させ、パーライトブロックサイズを微細化することにより、靭性を向上させることである。
 これらの成分のパーライト系レールにおける各添加量の限定理由について、以下に詳細に説明する。
 Crは、平衡変態温度を上昇させ、結果としてパーライト組織のラメラ間隔を微細化し、高硬度(強度)化に寄与する。これと同時に、セメンタイト相を強化して、パーライト組織の硬度(強度)を向上させ、パーライト組織の耐疲労損傷性を向上させる。しかしながら、パーライト系レールに含有されるCr量が0.01%未満ではその効果は小さく、パーライト系レールの硬度を向上させる効果が全く見られなくなる。また、パーライト系レールに含有されるCr量2.00%を超えると、焼入れ性が増加し、パーライト組織中に疲労特性に有害なマルテンサイト組織が生成しやすくなる。その結果、レールの耐疲労損傷性が低下する。このため、パーライト系レールにおけるCr添加量を0.01~2.00%に限定した。
 Moは、Crと同様に平衡変態温度を上昇させ、結果としてパーライト組織のラメラ間隔を微細化し、高硬度(強度)化に寄与し、パーライト組織の耐疲労損傷性を向上させる。しかしながら、パーライト系レールに含有されるMo量が0.01%未満ではその効果が小さく、パーライト系レールの硬度を向上させる効果が全く見られなくなる。また、パーライト系レールに含有されるMo量が0.50%を超えて過剰に添加されると、変態速度が著しく低下し、パーライト組織中に疲労特性に有害なマルテンサイト組織が生成しやすくなる。その結果、レールの耐疲労損傷性が低下する。このため、パーライト系レールにおけるMo添加量を0.01~0.50%に限定した。
 Vは、通常の熱間圧延や高温度に加熱する熱処理が行われる場合に、V炭化物やV窒化物が析出し、ピンニング効果によりオーステナイト粒を微細化する。これにより、パーライト組織の靭性を向上させることができる。さらに、Vは、熱間圧延後の冷却課程で生成したV炭化物、V窒化物による析出硬化により、パーライト組織の硬度(強度)を高め、パーライト組織の耐疲労損傷性を向上させることができる。また、Vは、Ac1点以下の温度域に再加熱された熱影響部において、比較的高温度域でV炭化物やV窒化物を生成させ、溶接継ぎ手熱影響部の軟化を防止するのに有効である。しかし、V量が0.005%未満ではこれらの効果が十分に期待できず、パーライト組織の靭性や硬度(強度)の向上は認められない。また、V量が0.50%を超えると、Vの炭化物や窒化物の析出硬化が過剰となり、パーライト組織の靭性が低下し、レールの靭性が低下する。このため、パーライト系レールにおけるV添加量を0.005~0.50%に限定した。
 Nbは、Vと同様に、通常の熱間圧延や高温度に加熱する熱処理が行われる場合に、Nb炭化物やNb窒化物のピンニング効果によりオーステナイト粒を微細化し、パーライト組織の靭性を向上させる。さらに、熱間圧延後の冷却課程で生成したNb炭化物、Nb窒化物による析出硬化により、パーライト組織の硬度(強度)を高め、パーライト組織の耐疲労損傷性を向上させることができる。さらに、熱間圧延後の冷却課程で生成したNb炭化物、Nb窒化物による析出硬化により、パーライト組織の硬度(強度)を高める。また、Nbは、Ac1点以下の温度域に再加熱された熱影響部において、低温度域から高温度域までNbの炭化物やNb窒化物を安定的に生成させ、溶接継ぎ手熱影響部の軟化を防止する。しかし、その効果は、パーライト系レールに含有されるNb量が0.002%未満では、これらの効果が期待できず、パーライト組織の靭性や硬度(強度)の向上は認められない。また、パーライト系レールに含有されるNb量が0.050%を超えると、Nbの炭化物や窒化物の析出硬化が過剰となり、パーライト組織の靭性が低下し、レールの靭性が低下する。このため、パーライト系レールにおけるNb添加量を0.002~0.050%に限定した。
 Coは、パーライト組織中のフェライト相に固溶し、レール頭部の摩耗面において、車輪との接触により形成させる微細なフェライト組織をより一層微細化し、耐摩耗性を向上させる。パーライト系レールに含有されるCo量が0.01%未満では、フェライト組織の微細化が図れず、耐摩耗性の向上効果が期待できない。また、パーライト系レールに含有されるCo量が1.00%を超えると、上記の効果が飽和し、添加量に応じたフェライト組織の微細化が図れない。また、合金添加コストの増大により経済性が低下する。このため、パーライト系レールにおけるCo添加量を0.01~1.00%に限定した。
 Bは、オーステナイト粒界に鉄炭ほう化物(Fe23(CB))を形成し、パーライト変態の促進効果により、パーライト変態温度の冷却速度依存性を低減させる。これにより、頭表面から内部までより均一な硬度分布をレールに付与し、レールの高寿命化を図ることが可能となる。しかしながら、パーライト系レールに含有されるB量が0.0001%未満では、その効果が十分でなく、レール頭部の硬度分布には改善が認められない。また、パーライト系レールに含有されるB量が0.0050%を超えると、粗大な鉄炭ほう化物が生成し、靭性の低下を招く。このため、パーライト系レールにおけるB添加量を0.0001~0.0050%に限定した。
 Cuは、パーライト組織中のフェライトに固溶し、固溶強化によりパーライト組織の硬度(強度)を向上させ、パーライト組織の耐疲労損傷性を向上させる。しかしながら、パーライト系レールに含有されるCuの量が0.01%未満ではその効果が期待できない。また、パーライト系レールに含有されるCu量が1.00%を超えると、著しい焼入れ性向上により、パーライト組織中に疲労特性に有害なマルテンサイト組織が生成しやすくなる。その結果、レールの耐疲労損傷性が低下する。このため、パーライト系レールにおけるCu量を0.01~1.00%に限定した。
 Niは、パーライト組織の靭性を向上させ、同時に、固溶強化により高硬度(強度)化し、パーライト組織の耐疲労損傷性を向上させる。さらに、Niは、溶接熱影響部においては、Tiと複合でNiTiの金属間化合物が微細に析出し、析出強化により軟化を抑制する。また、Niは、Cu添加鋼において粒界の脆化を抑制する。しかし、パーライト系レールに含有されるNi量が0.01%未満では、これらの効果が著しく小さく、また、パーライト系レールに含有されるNi量が1.00%を超えると、著しい焼入れ性向上により、パーライト組織中に疲労特性に有害なマルテンサイト組織が生成しやすくなる。その結果、レールの耐疲労損傷性が低下する。このため、パーライト系レールにおけるNi添加量を0.01~1.00%に限定した。
 Tiは、通常の熱間圧延や高温度に加熱する熱処理が行われる場合に、Ti炭化物やTi窒化物が析出し、ピンニング効果によりオーステナイト粒を微細化し、パーライト組織の靭性を向上させる。さらに、Tiは、熱間圧延後の冷却課程で生成したTi炭化物、Ti窒化物による析出硬化により、パーライト組織の硬度(強度)を高め、パーライト組織の耐疲労損傷性を向上させる。また、Tiは、溶接時の再加熱において析出したTiの炭化物、Tiの窒化物が溶解しないことを利用して、オーステナイト域まで加熱される熱影響部の組織の微細化を図り、溶接継ぎ手部の脆化を防止する。しかし、パーライト系レールに含有されるTi量が0.0050%未満ではこれらの効果が少ない。また、パーライト系レールに含有されるTi量が0.0500%を超えると、粗大なTiの炭化物、Tiの窒化物が生成して、粗大な析出物から疲労損傷が発生し、レールの耐疲労損傷性が低下する。このため、パーライト系レールにおけるTi添加量を0.0050~0.0500%に限定した。
 Mgは、O、または、SやAl等と結合して微細な酸化物や硫化物を形成し、レール圧延時の再加熱において、結晶粒の粒成長を抑制し、オーステナイト粒の微細化を図り、パーライト組織の靭性を向上させる。さらに、Mgは、MgSがMnSを微細に分散させ、MnSの周囲にフェライトやセメンタイトの核を形成し、パーライト変態の生成に寄与する。その結果、パーライトブロックサイズを微細化することにより、パーライト組織の靭性を向上させる。しかし、パーライト系レールに含有されるMg量が0.0005%未満ではその効果は弱く、パーライト系レールに含有されるMg量が0.0200%を超えると、Mgの粗大酸化物が生成し、粗大な酸化物から疲労損傷が発生し、レールの耐疲労損傷性が低下する。このため、パーライト系レールにおけるMg量を0.0005~0.0200%に限定した。
 Caは、Sとの結合力が強く、CaSとして硫化物を形成し、さらに、CaSがMnSを微細に分散させ、MnSの周囲にMnの希薄帯を形成し、パーライト変態の生成に寄与する。その結果、パーライトブロックサイズを微細化することにより、パーライト組織の靭性を向上させる。しかし、パーライト系レールに含有されるCa量が0.0005%未満ではその効果は弱く、パーライト系レールに含有されるCa量が0.0200%を超えると、Caの粗大酸化物が生成し、粗大な酸化物から疲労損傷が発生し、レールの耐疲労損傷性が低下する。このため、パーライト系レールにおけるCa量を0.0005~0.0200%に限定した。
 Zrは、ZrO介在物がγ-Feとの格子整合性が良いため、γ-Feが凝固初晶である高炭素のパーライト系レールの凝固核となり、凝固組織の等軸晶化率を高めることにより、鋳片中心部の偏析帯の形成を抑制し、レール偏析部に生成するマルテンサイトや初析セメンタイト組織の生成を抑制する。しかし、パーライト系レールに含有されるZr量が0.0001%未満では、ZrO系介在物の数が少なく、凝固核として十分な作用を示さない。その結果、偏析部にマルテンサイトや初析セメンタイト組織が生成し、レールの耐疲労損傷性が低下する。また、パーライト系レールに含有されるZr量が0.2000%を超えると、粗大なZr系介在物が多量に生成し、この粗大なZr系介在物を起点とした疲労損傷が発生し、レールの耐疲労損傷性が低下する。このため、パーライト系レールにおけるZr量を0.0001~0.2000%に限定した。
 Alは、脱酸材として必須の成分である。また、共析変態温度を高温側へ移動させ、パーライト組織の高硬度(強度)化に寄与し、パーライト組織の耐疲労損傷性を向上させる。しかし、パーライト系レールに含有されるAl量が0.0040%未満では、その効果が弱い。また、パーライト系レールに含有されるAl量が1.00%を超えると、鋼中に固溶させることが困難となり、粗大なアルミナ系介在物が生成し、この粗大な析出物から疲労損傷が発生し、レールの耐疲労損傷性が低下する。さらに、溶接時に酸化物が生成し、溶接性が著しく低下する。このため、パーライト系レールにおけるAl添加量を0.0040~1.00%に限定した。
 Nは、オーステナイト粒界に偏析することにより、オーステナイト粒界からのパーライト変態を促進させ、主に、パーライトブロックサイズを微細化することにより、靭性を向上させる。また、Nは、VやAlと同時に添加することで、VNやAlNの析出を促進させ、通常の熱間圧延や高温度に加熱する熱処理が行われる場合に、VNやAlNのピンニング効果によりオーステナイト粒を微細化し、パーライト組織の靭性を向上させる。しかし、パーライト系レールに含有されるN量が0.0060%未満では、これらの効果が弱い。パーライト系レールに含有されるN量が0.0200%を超えると、鋼中に固溶させることが困難となり、疲労損傷の起点となる気泡が生成し、レールの耐疲労損傷性が低下する。このため、パーライト系レールにおけるN添加量を0.0060~0.0200%に限定した。
 上記のような成分組成で構成されるパーライト系レールは、転炉、電気炉などの通常使用される溶解炉で溶製を行う。そして、造塊・分塊法あるいは連続鋳造法により、溶解炉で溶解された溶鋼から鋼片が作られ、さらに熱間圧延を経てパーライト系レールとして製造される。
(2)金属組織の限定理由
 パーライト系レールの頭部表面、底部表面の金属組織をパーライト組織に限定した理由について説明する。
 パーライト組織中にフェライト組織、初析セメンタイト組織、マルテンサイト組織が混在すると、比較的硬度(強度)の低いフェライト組織では歪みが集中し、疲労き裂の発生を誘発する。また、比較的靭性の低い初析セメンタイト組織、マルテンサイト組織では、微小な脆性的な割れが発生し、疲労き裂の発生を誘発する。さらに、パーライト系レールの頭部においては、耐摩耗性を確保する必要があるため、パーライト組織であることが好ましい。このため、頭部の少なくとも一部及び底部の少なくとも一部の金属組織をパーライト組織に限定した。
 また、本実施形態のパーライト系レールの金属組織は、フェライト組織、初析セメンタイト組織、マルテンサイト組織が混在しないパーライト単相組織であることが望ましい。しかし、パーライト系レールの成分系や熱処理製造方法によっては、パーライト組織中に面積率で3%以下の微量な初析フェライト組織、初析セメンタイト組織やマルテンサイト組織が混入することがある。これらの組織が混入しても、レール頭部の耐疲労損傷性や耐摩耗性には大きな悪影響を及ぼさない。したがって、パーライト系レールに、3%以下の微量な初析フェライト組織、初析セメンタイト組織やマルテンサイト組織が混在していても、耐疲労損傷性に優れたパーライト系レールを提供することが可能である。
 言い換えれば、本実施形態のパーライト系レールの頭部の金属組織は、97%以上がパーライト組織であれば良い。耐疲労損傷性や耐摩耗性を十分に確保するためには、頭部の金属組織の99%以上をパーライト組織とすることが望ましい。なお、表1-1、表1-2、表1-3、表1-4、表2-1、表2-2、表3-1及び表3-2におけるミクロ組織の欄に、「パーライト」と記載されている鋼レール(パーライト系レール)は、パーライト組織が97%以上であることを意味する。
(3)表面硬さの限定理由
 次に、パーライト系レールのレール頭部、底部のパーライト組織の表面硬さ(SVH)をHv320~500の範囲に限定した理由について説明する。
 本実施形態では、パーライト組織の表面硬さ(SVH)がHv320未満になると、パーライト系レールの頭部表面、底部表面の疲労強度が低下し、レールの耐疲労損傷性が低下する。また、パーライト組織の表面硬さ(SVH)がHv500を超えると、パーライト組織の靭性が著しく低下し、微小な脆性的な割れが発生し易くなる。その結果、疲労き裂の発生を誘発する。このため、パーライト組織の表面硬さ(SVH)をHv320~500の範囲に限定した。
 なお、SVH(Surface Vickers Hardness)は、本実施形態のレールの頭部、底部のパーライト組織の表面硬さを示すものであり、具体的にはレール表面から1mm深さの位置をビッカース硬度計で測定した時の値である。測定方法は下記に示すとおりである。
(y1)事前処理:パーライト系レールを切断した後、横断面を研摩する。
(y2)測定方法:JIS Z 2244に準じてSVHを測定する。
(y3)測定機:ビッカース硬度計(荷重98N)によりSVHを測定する。
(y4)測定箇所:レール頭部表面、底部表面から1mm深さの位置である。
    ※レール頭部表面、底部表面の具体的な位置は、図5の表示に従う。
(y5)測定数:5点以上測定し、平均値をパーライト系レールの代表値とすることが望ましい。
 次に、表面硬さ(SVH)Hv320~500のパーライト組織の必要範囲をパーライト系レールの頭部表面、底部表面の少なくとも一部に限定した理由を説明する。
 ここで、図5に本実施形態の耐疲労損傷性に優れたパーライト系レールの頭部断面表面位置での呼称、および、表面硬さ(SVH)Hv320~500のパーライト組織が必要な領域を示す。
 パーライト系レール10の頭部11において、図5の一点鎖線で示す中央線Lから幅方向の左右の側面に向かう角部1Aまでを含む領域が頭頂部1であり、この頭頂部1の両側の角部1Aから側面までを含む領域が頭部コーナー部2である。頭部コーナー部2の一方は車輪と主に接触するゲージコーナー(G.C.)部である。本実施形態における「レールの頭部の表面」とは、頭頂部1の表面1Sである。
 また、パーライト系レール10の底部12において、中央線Lから幅方向の左右に足幅(幅)寸法Wの1/4の領域を含む部分が足裏部3である。本実施形態では、「レールの底部の表面」とは足裏部3の表面3Sである。
 パーライト系レール10の頭部11において、頭部11の少なくとも一部、すなわち、頭頂部1の表面1Sを起点として深さ5mmまでの領域R1に、表面硬さ(SVH)Hv320~500範囲のパーライト組織が配置されていれば、頭部11の耐疲労損傷性が確保できる。また、深さ5mmは一例に過ぎず、5mmから15mmの範囲であれば、パーライト系レール10の頭部11の耐疲労損傷性が確保できる。
 また、パーライト系レール10の底部12において、底部12の少なくとも一部、すなわち、足裏部3の表面3Sを起点として深さ5mmまでの領域R3に、表面硬さ(SVH)Hv320~500範囲のパーライト組織が配置されていれば、底部12の耐疲労損傷性が確保できる。また、深さ5mmは一例に過ぎず、5mmから15mmの範囲であれば、パーライト系レール10の底部12の耐疲労損傷性が確保できる。
 したがって、表面硬さ(SVH)Hv320~500のパーライト組織は、レール頭頂部1の表面1S、足裏部3の表面3Sに配置することが望ましく、それ以外の部分はパーライト組織以外の金属組織であってもよい。
 また、頭部11の頭頂部1をパーライト組織としたが、頭部11全体の表面を起点とした領域がパーライト組織であっても良い。さらには、底部12の足裏部3をパーライト組織としたが、底部12全体を起点とした領域がパーライト組織であっても良い。
 特に、レール頭部は車輪との接触により摩耗するため、頭頂部1、コーナー部2を含めて、耐摩耗性確保のため上記のパーライト組織を配置することが望ましい。耐摩耗性の観点では、上記のパーライト組織は表面を起点として深さ20mmの範囲に配置することが望ましい。
 表面硬さ(SVH)Hv320~500のパーライト組織を得る方法としては、圧延後に自然冷却、圧延後、または、必要に応じて再加熱後のオーステナイト領域のある高温のレール頭部表面や底部表面に加速冷却を行うことが望ましい。加速冷却の方法としては、特許文献3、特許文献4等に記載されているような方法で熱処理を行うことにより、所定の組織と硬さを得ることができる。
(4)最大表面粗さの限定理由
 次に、パーライト系レール10の頭部の表面、底部の表面の最大表面粗さ(Rmax)を180μm以下に限定した理由について説明する。
 本実施形態では、パーライト系レールの頭部の表面、底部の表面の最大表面粗さ(Rmax)が180μmを超えると、レール表面での応力集中が過剰となり、レール表面からの疲労き裂の発生を誘発する。このため、パーライト系レールの頭部の表面、底部の表面の最大表面粗さ(Rmax)を180μm以下に限定した。
 なお、最大表面粗さ(Rmax)の下限は特に限定していないが、熱間圧延でレールを製造することを前提とすると、工業製造上20μm程度が下限となる。また、最大表面粗さが20μm~180μmの範囲である領域は、図5に示したように、レール10の頭頂部1の表面1S、足裏部3の表面3Sであり、その最大表面粗さが180μm以下であれば、レールの耐疲労損傷性が確保できる。
 最大表面粗さ(Rmax)の測定は、下記の要領で行うことが望ましい。
(z1)事前処理:レール表面のスケールを酸洗またはサンドブラスト除去する。
(z2)粗さ測定:JIS B 0601に準じて最大表面粗さ(Rmax)を測定する。
(z3)測定器:2次元または3次元の一般的な粗さ測定器により最大表面粗さ(Rmax)を測定する。
(z4)測定箇所:図5に示したレール頭部11の頭頂部1の表面1S、底部12の足裏部3の表面3Sの任意の3箇所である。
(z5)測定数:各箇所3回測定し、その平均値(測定数:9)をパーライト系レールの代表値とすることが望ましい。
(z6)測定長さ(測定1回当たり):測定面のレール長手方向5mm
(z7)測定条件:スキャンスピード:0.5mm/sec
 また、最大表面粗さ(Rmax)の定義は、下記に示すとおりである。
(z8)最大表面粗さ(Rmax):測定基準長さにおいて底部から頭部に向かうレール鉛直方向(高さ方向)の平均値をベースに最大の谷の深さと山の高さとの和であり、JIS2001年では「Rmax」は「Rz」に名称変更された。
(5)最大表面粗さ(Rmax)に対する表面硬さ(SVH)の比(SVH/Rmax)が3.5以上の限定理由
 次に、最大表面粗さ(Rmax)に対する表面硬さ(SVH)の比(SVH/Rmax)が3.5以上に限定した理由について説明する。
 本発明者らは、パーライト系レールの疲労限応力範囲と表面硬さ(SVH)と、最大表面粗さ(Rmax)との関係を詳細に調査した。その結果、パーライト系レール最大表面粗さ(Rmax)に対する表面硬さ(SVH)の比、すなわち、SVH/Rmaxと疲労限応力範囲には相関があること突きとめた。
 さらに実験を進めた結果、図3に示すように、レールの頭部表面や底部表面硬さに関係なく、最大表面粗さ(Rmax)に対する表面硬さ(SVH)の比であるSVH/Rmaxの値が3.5以上になると、疲労限応力範囲が上昇し、疲労強度がさらに向上することを知見した。
 これらの実験的事実に基づき、表面硬さ(SVH)と最大表面粗さ(Rmax)の比、すなわち、SVH/Rmaxの値を3.5以上に限定した。
(6)粗さのレール鉛直方向(高さ方向)の平均値に対して最大表面粗さの0.30倍を超える凹凸の数を長さ5mmあたり40個以下にする限定理由
 次に、粗さの高さ方向の平均値に対して最大表面粗さの0.30倍を超える凹凸の数が、頭部11及び底部12のレール長手方向の長さ5mmあたり40個以下に限定した理由について説明する。ここで言う凹凸数とは、頭部11から底部12に向かうレール鉛直方向(高さ方向)の粗さの平均値から上下方向(高さ方向)に最大表面粗さの0.30倍までの範囲を超える山と谷の数である。
 本発明者らは、パーライト系レールの疲労強度を向上させるため、パーライト系レールの表面の粗さを詳細に調査した。その結果、粗さの高さ方向の平均値に対して最大表面粗さの0.30倍を超える凹凸の数と疲労限応力範囲には相関があること突きとめた。さらに実験を進めた結果、図4に示すように、最大表面粗さ(Rmax)が150μmと50μmとのいずれの硬さのパーライト系レールにおいても、凹凸の数が40個を超えると疲労限応力が低下するために疲労強度が大きく低下し、40個以下になると、疲労限応力範囲が上昇するために疲労強度が大きく向上することを知見した。また、凹凸数が10個以下になると、さらに疲労限応力範囲が上昇して疲労強度が大きく向上することを知見した。したがって、これらの実験的事実に基づき、粗さの高さ方向の平均値に対して最大表面粗さの0.30倍を超える凹凸の数が、頭部及び底部の延在方向の長さ5mmあたり40個以下であることが好ましく、さらには、10個以下であることが好ましい。
 最大表面粗さの0.30倍を超える凹凸の数の測定方法は、最大表面粗さ(Rmax)の測定方法に準じる。最大表面粗さの0.30倍を超える凹凸の数は、粗さデータを詳細に解析して求める。各箇所3回測定した凹凸の数の平均値(測定数:9)をパーライト系レールの代表値とすることが望ましい。
(7)最大表面粗さを制御する製造方法について
 レール表面の凹凸は熱間圧延時の圧延ロールによるスケールの素材側への押し込みにより発生し、その結果、表面の粗度が大きくなることが確認されている。
 そこで、表面粗度を低下させるには、加熱炉内で生成する鋼片の一次スケール生成を軽減、除去する。また、圧延中に生成する鋼片の二次スケールを除去することが有効な手段となる。
 加熱炉内で生成する鋼片の1次スケールの軽減については、加熱炉の加熱温度の軽減、保持時間の短縮、加熱炉の雰囲気制御、加熱炉から抽出した鋼片へのメカニカルデスケーリング、圧延前の高圧水やエアーでのデスケーリングが有効である。
 鋼片の加熱温度の軽減、保持時間の短縮については、圧延造形性確保の観点から、鋼片中心部まで均一に加熱することを前提とすると制約が大きい。このため、実用的な手段としては、加熱炉の雰囲気制御、加熱炉から抽出した鋼片へのメカニカルデスケーリング、圧延前の高圧水やエアーでのデスケーリングが望ましい。
 圧延中に生成する鋼片の二次スケールの除去については、各圧延前での高圧水やエアーでのデスケーリングが有効である。
(8)最大表面粗さの0.30倍を超える凹凸の数を制御する製造方法について
 レールの頭部の表面および底部の表面の大きな凹凸の数は、前記の1次スケールを軽減する鋼片へのメカニカルデスケーリング、圧延前の高圧水の適用、二次スケールを除去する各圧延前での高圧水やエアーでのデスケーリングで変化する。
 そこで、表面のスケールを均一に剥離させて、過剰なデスケーリングにより生成する新たな表面凹凸を抑制する目的から、メカニカルデスケーリング、高圧の水やエアーの噴射における噴霧媒体の寸法や投射速度や噴射圧力の制御や投射、噴射での揺動により、凹凸の数を所定数以下にすることが望ましい。
 以下、それぞれの条件について詳細に説明するが、以下の条件は望ましい条件であり、これらの条件のみに限定されるものではない。
(A)加熱炉の雰囲気制御
 加熱炉の雰囲気制御については、鋼片周囲の酸素をなるべく排除し、鋼材の特性への影響がなく、安価なものとして窒素雰囲気が望ましい。加熱炉での窒素の添加量としては、体積比率で30~80%程度が望ましい。加熱炉での窒素の体積比率が30%未満になると、加熱炉内での一次スケールの生成量が増加し、その後にデスケーリングを行っても、一次スケールの除去が不十分となり、表面粗度が増加する。また、窒素の体積比率が80%を超える添加を行っても、効果が飽和することや経済性が低下する。このため、窒素の添加量は体積比率で30~80%程度が望ましい。
(B)メカニカルデスケーリング
 鋼片へのメカニカルデスケーリングについては、一次スケールが生成しているレール用鋼片の再加熱直後にショットブラストを行うことが望ましい。ショットブラストの条件としては、下記に示す方法が望ましい。
(a)ショット材:硬球の場合
直径:0.05~1.0mm、投射速度:50~100m/sec、投射密度:5~10kg/m2以上
(b)ショット材:鉄製の多角形破片(グリッド)の場合
長片寸法:0.1~2.0mmmm、投射速度:50~100m/sec、投射密度:5~10kg/m2
(c)ショット材:アルミナおよびシリコンカーバイドを含む多角形破片(グリッド)の場合
長片寸法:0.1~2.0mm、投射速度:50~100m/sec、投射密度:5~10kg/m2
 上記の範囲の加熱炉の雰囲気制御、メカニカルデスケーリング、さらにはこれに引き続き、後述の高圧水やエアーでのデスケーリングを行うことにより、表面の粗度を低下させ、最大表面粗さ(Rmax)を180以下に制御することが可能となる。
 なお、加熱炉の雰囲気制御、メカニカルデスケーリングは、高圧水やエアーでのデスケーリングを基本として、耐疲労損傷性の向上を狙って表面硬さ(SVH)/最大表面粗さ(Rmax)を3.5以上に、すなわち、耐疲労損傷性をさらに向上させる場合に、高圧水やエアーでのデスケーリングを付加的に行うことが望ましい。
(C)高圧水やエアーでのデスケーリング
 高圧水やエアーでのデスケーリングについては、一次スケールが生成しているレール用鋼片の再加熱抽出直後および粗圧延中、二次スケールが生成するレール仕上げ圧延中が望ましい。高圧水やエアーでのデスケーリングの条件としては下記に示す方法が望ましい。
(a)高圧水
  噴射圧力:10~50MPa
  デスケーリング温度範囲(噴射鋼片温度)
 再加熱抽出直後および粗圧延中(一次スケール除去):1250~1050℃
  仕上げ圧延中(二次スケール除去):1050~950℃
(b)エアー
  噴射圧力:0.01~0.10MPa
  デスケーリング温度範囲(噴射鋼片温度)
 再加熱抽出直後および粗圧延中(一次スケール除去):1250~1050℃
  仕上げ圧延中(二次スケール除去):1050~950℃
(D)メカニカルデスケーリング、高圧の水やエアーでのデスケーリング詳細制御
 レールの頭部の表面及び底部の表面のスケールを均一に剥離させ、また、デスケーリング時に生成する新たな表面凹凸を抑制し、最大表面粗さの0.30倍を超える凹凸の数を所定数以下にするには、下記の条件で行うことが望ましい。
 メカニカルデスケーリングの場合では、ショット材である鋼球、鉄製の多角形破片(グリッド)、アルミナおよびシリコンカーバイドを含む多角形破片(グリッド)の寸法(直径、長さ)を微細化する、投射速度を過剰にしない等の対策が必要である。
 また、高圧の水やエアーの噴射の場合は、噴霧媒体の寸法を決定する噴射孔を微細化する、噴射圧力を過剰にしない等の対策が必要である。
 また、投射、噴射のノズルの揺動については、鋼片やレールの移動速度に合わせて周期的なノズルの揺動を行うことが望ましい。揺動速度は限定しないが、レール頭部表面、底部表面に相当する部位に均一に噴射媒体が当たるように、揺動速度を制御することが望ましい。
(E)デスケーリング温度範囲
 レール用鋼片の再加熱抽出直後および粗圧延でのデスケーリング温度範囲としては1250~1050℃が望ましい。デスケーリングは鋼片の再加熱(1250~1300℃)抽出直後に行うため、デスケーリング温度は実質1250℃が上限となる。また、デスケーリング温度が1050℃以下になると、一次スケールが強固となり、除去が困難となる。このため、デスケーリング温度範囲としては1250~1050℃が望ましい。
 レール仕上げ圧延中のデスケーリング温度範囲としては、1050~950℃が望ましい。二次スケールは1050℃以下で生成するため、実質1050℃が上限となる。また、デスケーリング温度が950℃以下になると、レール自体の温度が低下し易くなり、特許文献3、特許文献4に示された熱処理時の熱処理開始温度が確保できない。これにより、レールの硬度が低下し、耐疲労損傷性が大きく低下する。このため、デスケーリング温度範囲としては1050~950℃が望ましい。
(F)デスケーリング回数
 再加熱抽出直後および粗圧延での一次スケール除去を十分に行うには、圧延直前にデスケーリングを4~12回程度行うことが望ましい。デスケーリングが4回未満になると、一次スケールが十分に除去できず、スケールの素材側への押し込みにより、レール表面に凹凸が発生し、表面の粗度が大きくなる。即ち、レール表面の最大表面粗さRmaxが180以下となるのは困難となる。一方、デスケーリングが12回を超えると、レール表面の粗さは小さくなるが、レール自体の温度が低下し、特許文献3、特許文献4に示された熱処理時の熱処理開始温度が確保できない。その結果、レールの硬度が低下し、耐疲労損傷性が大きく低下する。このため、再加熱抽出直後および粗圧延でのデスケーリング回数は4~12回行うことが望ましい。
 仕上げ圧延での二次スケール除去を十分に行うには、圧延直前にデスケーリングを3~8回程度行うことが望ましい。デスケーリングが3回未満になると、二次スケールが十分に除去できず、スケールの素材側への押し込みにより発生し、表面の粗度が大きくなる。一方、デスケーリングが8回を超えると、レール表面の粗さは小さくなるが、レール自体の温度が低下し、特許文献3、特許文献4に示された熱処理時の熱処理開始温度が確保できない。その結果、レールの硬度が低下し、耐疲労損傷性が大きく低下する。このため、仕上げ圧延でのデスケーリング回数は3~8回行うことが望ましい。
 耐疲労損傷性のさらなる向上を狙い、パーライト系レールの表面硬さ(SVH)/最大表面粗さ(Rmax)が3.5以上となるには、デスケーリングを粗圧延温度1200~1050℃で8~12回、仕上げ圧延温度1050~950℃で5~8回のデスケーリングを行うことが望ましい。
 デスケーリングを行う部位としては、レール圧延用鋼片において、レール頭部表面、底部表面に相当する位置に行うことが望ましい。それ以外の部位については、積極的なデスケーリングを行っても耐疲労損傷性の向上は望めず、レールが過剰冷却され、逆にレールの材質を悪化させる懸念がある。
 表3-1及び表3-2に、熱間圧延時の加熱炉雰囲気制御の有無、メカニカルデスケーリングの有無、再加熱抽出直後の粗圧延でのデスケーリング仕上げ圧延でのデスケーリングの条件、高圧水エアー及びメカニカルデスケーリング制御の有無、熱処理開始温度、熱処理の有無、と鋼レール(パーライト系レール)A8,A17との諸特性の関係を示す。表3-1及び表3-2の備考に記載した「デスケ」とはデスケーリングのことである。
 雰囲気制御、メカニカルデスケーリングや高圧水やエアーでのデスケーリングをある一定の条件で行い、必要に応じて適切な熱処理を行うことにより、レール頭部表面、底部表面硬さ(SVH)を確保し、さらに、最大表面粗さ(Rmax)を小さくし、最大表面粗さの0.30倍を超える凹凸の数を所定数以下にすることができる。これにより、最大表面粗さ(Rmax)に対する表面硬さ(SVH)の比を大きくすることができ、かつ、凹凸の数を40個、好ましくは10個以下にすることができるので、レールの耐疲労損傷性を大きく向上させることができる。
 次に、本実施形態の実施例について説明する。
 表1-1~表1-4に、本実施例の鋼レール(パーライト系レール)の化学成分と諸特性を示す。表1-1(鋼レールA1~A19)、表1-2(鋼レールA20~A38)、表1-3(鋼レールA39~A52)、表1-4(鋼レールA53~A65)には、化学成分値、レール頭部表面、底部表面のミクロ組織、表面硬さ(SVH)、最大表面粗さ(Rmax)、表面硬さ(SVH)/最大表面粗さ(Rmax)の値、最大表面粗さの0.30倍を超える凹凸の数(NCC:Number of Concavo-Convex)、疲労限応力範囲(FLSR:Fatigue Limit Stress Range)を示す。さらに、図6A及び図6Bに示す方法で行った疲労試験の結果も併記した。
 表2-1(鋼レールa1~a10)及び表2-2(鋼レールa11~a20)に、本実施例の鋼レール(A1~65)と比較する鋼レールの化学成分と諸特性を示す。表2-1及び表2-2には、化学成分値、レール頭部表面、底部表面のミクロ組織、表面硬さ(SVH)、最大表面粗さ(Rmax)、表面硬さ(SVH)/最大表面粗さ(Rmax)、最大表面粗さの0.30倍を超える凹凸の数の値(NCC)、疲労限応力範囲(FLSR)を示す。さらに、図6A及び図6Bに示す方法で行った疲労試験の結果も併記した。
 表1-1~表1-4、表2-1及び表2-2に記載のレールは、(A)加熱炉の雰囲気制御、(B)メカニカルデスケーリング、(C)高圧水やエアーでのデスケーリングを選択的に実施したものである。
 高圧水やエアーでのデスケーリングは、粗圧延温度1250~1050℃で4~12回、仕上げ圧延温度1050~950℃で3~8回実施した。
 圧延後の熱処理については、特許文献3、特許文献4等に記載されているような加速冷却を必要に応じて実施した。
 本実施例の鋼レールA1~A6、比較レールa1~a6については、雰囲気制御なし、メカニカルデスケーリングなし、粗圧延温度1250~1050℃で6回、仕上げ圧延温度1050~950℃で4回の高圧水やエアーでのデスケーリングを行い、圧延後に、特許文献3、特許文献4等に記載されているような加速冷却を行い、一定の条件で製造し、成分の影響を調査した。
  [表1-1]
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000001
  [表1-2]
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000002
  [表1-3]
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000003
  [表1-4]
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000004
  [表2-1]
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000005
  [表2-2]
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000006
  [表3-1]
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000007
  [表3-2]
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000008
 また、表3-1及び表3-2には、表1-1~表1-4に記載の鋼の製造条件と諸特性を示す。表3-1及び表3-2には、熱間圧延時の加熱炉雰囲気制御の有無、メカニカルデスケーリングの有無、再加熱抽出直後、粗圧延、仕上げ圧延での高圧水やエアーでのデスケーリング温度域や回数、高圧水エアー及びメカニカルデスケーリング制御の有無、熱処理開始温度、熱処理の有無、レール頭部表面、底部表面のミクロ組織、表面硬さ(SVH)、最大表面粗さ(Rmax)、表面硬さ(SVH)/最大表面粗さ(Rmax)、最大表面粗さの0.30倍を超える凹凸の数(NCC)、疲労限応力範囲(FLSR)の値を示す。さらに、図6A及び図6Bに示す方法で行った疲労試験の結果も併記した。
 また、各種試験条件は下記のとおりである。
<疲労試験>
 レール形状:136ポンドの鋼レール(67kg/m)を用いる。
 疲労試験(図6A及び図6B参照)
 試験方法:実物の鋼レールを用いて3点曲げ(スパン長:1m、周波数:5Hz)による試験を行う。
 荷重条件:応力範囲制御(最大-最小、最小荷重は最大荷重の10%)を行う。
 試験姿勢(図6A及び図6B参照)
 頭部表面の試験:底部に荷重負荷(頭部に引張応力作用)。
 底部表面の試験:頭部に荷重負荷(底部に引張応力作用)。
 繰り返し回数:200万回、未破断の場合の最大応力範囲を疲労限応力範囲とする。
(1)本実施例レール(65本)
 鋼レールA1~A65は、化学成分値、頭部の表面、底部の表面のミクロ組織、表面硬さ(SVH)、最大表面粗さ(Rmax)の値が本実施例の範囲内では、レールである。
 鋼レールA9、A27、A50、A58、A65の化学成分値、レール頭部表面、底部表面のミクロ組織、表面硬さ(SVH)、最大表面粗さ(Rmax)に加えて、最大表面粗さの0.30倍を超える凹凸の数が本実施例の最も好適な条件である10個以下のレールである。
 鋼レールA10、A11、A14、A15、A17、A19、A21、A23、A25、A28、A32、A34、A38、A40、A42、A45、A48、A51、A56、A59、A61は、化学成分値、レール頭部表面、底部表面のミクロ組織、表面硬さ(SVH)、最大表面粗さ(Rmax)に加えて、表面硬さ(SVH)/最大表面粗さ(Rmax)の値が本実施例の範囲内であるレールである。
 鋼レールA12、A18、A35、A52、A62は、化学成分値、レール頭部表面、底部表面のミクロ組織、表面硬さ(SVH)、最大表面粗さ(Rmax)に加えて、表面硬さ(SVH)/最大表面粗さ(Rmax)の値、最大表面粗さの0.30倍を超える凹凸の数(NCC)が本実施例の最も好適な条件である10個以下のレールである。
 表1-1~表1-4に記載の表面硬さ(SVH)/最大表面粗さ(Rmax)の値が3.5以上のレールは、(A)加熱炉の雰囲気制御、(B)メカニカルデスケーリング、(C)高圧水やエアーでの圧延中のデスケーリングを選択的に実施した。
 特に、高圧水やエアーでのデスケーリングでは、その回数を増やし、粗圧延温度1250~1050℃で8~12回、仕上げ圧延温度1050~950℃で5~8回のデスケーリングを行い、その後、特許文献3、特許文献4等に記載されているような圧延後加速冷却を実施した。
(2)比較レール(20本)
 鋼レールa1~a6は、化学成分が本発明の範囲外であるレールである。
 鋼レールa7~a20は、レール頭部表面、底部表面の表面硬さ(SVH)、最大表面粗さ(Rmax)の値が本発明の範囲外であるレールである。
 表1-1、表1-2、表2-1及び表2-2に示すように、鋼レールa1~a6において、鋼のC、Si、Mnの化学成分が本発明の範囲外であるため、フェライト組織、初析セメンタイト組織、マルテンサイト組織が生成されている。すなわち、本実施例の鋼レールA1~A65に含有されるCが0.65~1.20%の範囲であり、Siが0.05~2.00%の範囲であり、Mnが0.05~2.00%の範囲であるため、鋼レールa1~a6に比べて、耐疲労損傷性に悪影響するフェライト組織、初析セメンタイト組織、マルテンサイト組織を生成させることない。しがたって、鋼レールの頭部の表面及び底部の表面に一定の硬さ範囲内のパーライト組織を安定的に得ることができる。これにより、鋼レールに必要な疲労強度(疲労限応力範囲が300MPa以上)を確保し、レールの耐疲労損傷性を向上させることが可能となる。
 また、表1-1~表1-4、表2-1及び表2-2に示すように、鋼レールa7~a20は、頭部の表面及び底部の表面硬さ(SVH)や最大表面粗さ(Rmax)が、本発明の範囲外であるため、レールに必要な疲労強度(疲労限応力範囲が300MPa以上)を確保することができない。すなわち、本実施例の鋼レールA1~A65は、頭部の表面及び底部の表面硬さがHv320~500の範囲であり、最大表面粗さ(Rmax)が180μm以下であるため、レールに必要な疲労強度(疲労限応力範囲300MPa以上)を確保し、レールの耐疲労損傷性を向上させることが可能となる。
 図7に本実施例の鋼レール(表1-1及び表1-2に示す鋼レールA8、A10~A11、A13~A17、A19~A26、A28、A31~A34、A37~A42、A44~A45、A47~A49、A51、A55~A57、A59~A61、A64))の頭部の表面硬さと疲労限応力範囲との関係を表面硬さ(SVH)/最大表面粗さ(Rmax)の値で区別して示す。
 図8に本実施例の鋼レール(表1-1~表1-4に示す鋼レール:A8、A10~A11、A13~A17、A19~A26、A28、A31~A34、A37~A42、A44~A45、A47~A49、A51、A55~A57、A59~A61、A64)の底部の表面硬さと疲労限応力範囲の関係を表面硬さ(SVH)/最大表面粗さ(Rmax)の値で区別して示す。
 図7、図8に示すように、本実施例の鋼レールは、表面硬さ(SVH)/最大表面粗さ(Rmax)の値を一定範囲内に納めることにより、パーライト組織を呈したレールの疲労強度(疲労限応力範囲)をさらに向上させ、耐疲労損傷性を大きく向上させることができる。
 また、図9に本実施例の鋼レール(表1-1~表1-4に示す鋼レール:A8~A9、A11~A12、A17~A18、A26~A27、A34~A35、A49~A50、A51~A52、A57~A58、A61~A62、A64~A65)の頭部の表面硬さと疲労限応力範囲との関係を最大表面粗さの0.30倍を超える凹凸の数で区別して示す。
 図10に本実施例の鋼レール(表1-1~表1-4に示す鋼レール:A8~A9、A11~A12、A17~A18、A26~A27、A34~A35、A49~A50、A51~A52、A57~A58、A61~A62、A64~A65)の底部の表面硬さと疲労限応力範囲との関係を最大表面粗さの0.30倍を超える凹凸の数で区別して示す。
 図9、図10に示すように、本実施例の鋼レールは、最大表面粗さの0.30倍を超える凹凸の数を一定範囲内に納めることにより、パーライト組織を呈したレールの疲労強度(疲労限応力範囲)をより一層向上させことができる。その結果、耐疲労損傷性を大きく向上させることができる。
 また、表3-1及び表3-2に示すように、雰囲気制御、メカニカルデスケーリングや高圧水やエアーでのデスケーリングをある一定の条件で行う。そして、必要に応じて適切な熱処理を行うことにより、頭部の表面、底部の表面硬さを確保し、最大表面粗さ(Rmax)を小さくし、表面硬さ(SVH)/最大表面粗さ(Rmax)の値、さらには、最大表面粗さの0.30倍を超える凹凸の数を一定範囲内に納めることにより、パーライト組織を呈したレールの疲労強度(疲労限応力範囲)をより一層向上させることができる。その結果、耐疲労損傷性を大きく向上させることができる。
1 頭頂部
2 頭部コーナー部
3 足裏部
10 パーライト系レール
11 頭部
12 底部
1S 頭頂部の表面
3S 足裏部の表面
R1 1Sから5mmの領域
R3 3Sから5mmの領域
1A 頭頂とコーナー部との境界

Claims (15)

  1.  質量%で、
     C:0.65~1.20%と、
     Si:0.05~2.00%と、
     Mn:0.05~2.00%と、
    を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物を含み;
     頭部の少なくとも一部および底部の少なくとも一部がパーライト組織であり;
     前記パーライト組織である部位の表面硬さがHv320~500の範囲でかつ最大表面粗さが180μm以下である;
    ことを特徴とするパーライト系レール。
  2.  前記最大表面粗さに対する前記表面硬さの比が3.5以上であることを特徴とする請求項1に記載のパーライト系レール。
  3.  前記最大表面粗さを測定した部位における、前記底部から前記頭部に向かうレール鉛直方向の粗さの平均値に対する前記最大表面粗さの0.30倍を超える凹凸の数が、前記頭部及び前記底部の表面のレール長手方向の長さ5mmあたり40個以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパーライト系レール。
  4.  質量%で、さらに、Cr:0.01~2.00%、Mo:0.01~0.50%の1種または2種を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパーライト系レール。
  5.  質量%で、さらに、V:0.005~0.50%、Nb:0.002~0.050%の1種または2種を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパーライト系レール。
  6.  質量%で、さらに、Co:0.01~1.00%を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパーライト系レール。
  7.  質量%で、さらに、B:0.0001~0.0050%を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパーライト系レール。
  8.  質量%で、さらに、Cu:0.01~1.00%を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパーライト系レール。
  9.  質量%で、さらに、Ni:0.01~1.00%を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパーライト系レール。
  10.  質量%で、さらに、Ti:0.0050~0.0500%を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパーライト系レール。
  11.  質量%で、さらに、Mg:0.0005~0.0200%、Ca:0.0005~0.0200%の1種または2種を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパーライト系レール。
  12.  質量%で、さらに、Zr:0.0001~0.2000%を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパーライト系レール。
  13.  質量%で、さらに、Al:0.0040~1.00%を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパーライト系レール。
  14.  質量%で、さらに、N:0.0060~0.0200%を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパーライト系レール。
  15.  質量%で、さらに、
     Cr:0.01~2.00%、Mo:0.01~0.50%の1種または2種と;
     V:0.005~0.50%、Nb:0.002~0.050%の1種または2種と;
     Co:0.01~1.00%と;
     B:0.0001~0.0050%と;
     Cu:0.01~1.00%と;
     Ni:0.01~1.00%と;
     Ti:0.0050~0.0500%と;
     Mg:0.0005~0.0200%、Ca:0.0005~0.0200%と;
     Zr:0.0001~0.2000%と;
     Al:0.0040~1.00%と;
     N:0.0060~0.0200%と;
    を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパーライト系レール。
PCT/JP2010/063760 2009-08-18 2010-08-13 パーライト系レール WO2011021582A1 (ja)

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