WO2011007616A1

WO2011007616A1 - 支持装置およびこの支持装置を備える乾燥装置

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Publication number: WO2011007616A1
Application number: PCT/JP2010/058587
Authority: WO
Inventors: 貴翁斉藤; 篤加藤
Original assignee: シャープ株式会社
Priority date: 2009-07-13
Filing date: 2010-05-21
Publication date: 2011-01-20

Abstract

　表示領域となる部分の位置や範囲が異なる複数種類のマザー基板であっても、表示領域となる部分に物理的に接触せずに支持することができる支持装置を提供すること。　第一のマザー基板９ａおよび第二のマザー基板９ｂに設けられる表示領域となる部分９１ａ，９１ｂ以外の部分に位置する第一の可動支持ピン１３ｂ，１３ｃまたは第二の可動支持ピン１４ｂ，１４ｃは、第一のマザー基板９ａおよび第二のマザー基板９ｂに接触して支持できる位置に移動し、表示領域となる部分９１ａ，９１ｂに位置する第一の可動支持ピン１３ｂ，１３ｃまたは第二の可動支持ピン１４ｂ，１４ｃを第一のマザー基板９ａ，９ｂに接触しない位置に移動することにより、表示領域となる部分９１ａ，９１ｂには第一の可動支持ピン１３ｂ，１３ｃおよび第二の可動支持ピン１４ｂ，１４ｃが接触しない状態で第一のマザー基板９ａおよび第二のマザー基板９ｂを支持できる。

Description

支持装置およびこの支持装置を備える乾燥装置

　本発明は、支持装置およびこの支持装置を備える乾燥装置に関するものであり、特に好適には、液晶表示パネルなどに適用される表示パネル用の基板を製造するためのマザー基板などのワークを所定の数のピン部材（支持ピン）により下方から持ち上げるように支持することができる支持装置と、この支持装置を備え、ワークをこの支持装置により支持した状態で乾燥させることができる乾燥装置に関するものである。

　液晶表示パネルに適用される表示パネル用の基板の表面には、種々の所定の要素が形成される。たとえば、アクティブマトリックスタイプの液晶表示パネルに適用されるＴＦＴアレイ基板の表面には、ゲート配線（「走査線」、「ゲートバスライン」などと称することもある）、ソース配線（「データ線」、「ソースバスライン」などと称することもある）、薄膜トランジスタ（ＴＦＴ：Thin Film Transistor）、ゲート絶縁膜、有機絶縁膜、絵素電極などといった要素が形成されるものがある。

　これらの要素には、フォトリソグラフィ法により形成されるものがある。一般的なフォトリソグラフィ法は、基板などのワークの表面にフォトレジスト材料の膜を形成する工程と、形成したフォトレジスト材料の膜に露光処理を施す工程と、露光処理を施したフォトレジスト材料の膜に現像処理を施す工程と、を有する。そして、これらの工程を経ることにより、所定の形状にパターニングされたフォトレジスト材料の膜が得られる。

　具体的には、前記有機絶縁膜の形成方法は、表示パネル用の基板の表面に有機絶縁膜の材料（たとえば感光性の樹脂材料）の膜を形成する工程と、フォトリソグラフィ法によってこの膜を所定の形状にパターニングする工程とを有する。このような工程を経ることにより、所定の形状の有機絶縁膜が形成される。また、ゲート配線やソース配線などの形成方法は、表示パネル用の基板の表面にゲート配線やソース配線の材料となる導体の膜を形成する工程と、この導体膜の表面にフォトレジスト材料の膜を形成する工程と、形成したフォトレジスト材料の膜をフォトリソグラフィ法によって所定の形状にパターニングする工程と、パターニングされたフォトレジスト材料の膜をエッチングマスクとして用いて導体の膜をパターニングする工程とを有する。このような工程を経ることにより、所定の形状を有するゲート配線やソース配線などが形成される。

　フォトレジスト材料の膜を形成する工程は、ワークの表面にフォトレジスト材料の膜の原料である溶液を塗布する工程と、塗布したフォトレジスト材料の溶液を乾燥する工程（＝溶液の溶媒を蒸発させる工程）とを有する。フォトレジスト材料の膜の原料である溶液を乾燥する工程には、減圧乾燥装置が広く用いられている。一般的な減圧乾燥装置は、内部気圧を大気圧以下に維持することができるチャンバと、そして、このチャンバの内部の気圧を調整できる真空ポンプとを備える。このチャンバの内部にフォトレジスト材料の膜の原料である溶液が塗布されたワークを搬入し、その後、真空ポンプによってチャンバの内部気圧を大気圧以下に減圧する。チャンバの内部気圧を大気圧以下に減圧することにより、フォトレジスト材料の膜の原料である溶液の溶媒の蒸発を促し、乾燥を促進する。

　減圧乾燥装置のチャンバの内部におけるワークの支持構成としては、たとえば、複数の支持ピンによりワークを下方から持ち上げるように支持する構成が適用されることがある。このような構成によれば、たとえばワークが表示パネル用の基板を製造するマザー基板であれば、マザー基板の面方向の温度分布が不均一となることを防止または抑制できる。すなわち、たとえば、上面が略平面に形成されるステージにマザー基板を載置する構成であると、マザー基板はステージに面接触しており接触面積が大きいため、マザー基板の温度はステージの温度の影響を受けやすい。このため、ステージの面方向の温度分布が不均一となると、マザー基板の面方向の温度分布も不均一となりやすく、マザー基板の面方向の温度分布が不均一となると、フォトレジスト材料の膜の原料である溶液の乾燥状態（たとえば、乾燥速度など）が不均一となる。この結果、形成されるフォトレジスト材料の膜の厚さが不均一となるおそれがある。これに対して、マザー基板を複数の支持ピンにより支持する構成であると、マザー基板と支持ピンとは略点接触するから、マザー基板と支持ピンとの接触面積が小さい。このため、マザー基板の温度の支持ピンから影響を小さくすることができ、マザー基板の面方向の温度分布の不均一を小さくすることができる。

　ただし、このような構成であっても、マザー基板のうちの支持ピンが接触している部分およびその近傍の温度は、支持ピンの影響を受ける。このため、支持ピンが接触している部分およびその近傍と、それ以外の部分（＝支持ピンが接触しておらず、略宙に浮いた状態の部分）とで温度が相違し、フォトレジスト材料の膜の原料である溶液の乾燥状態が相違することがある。その結果、マザー基板の表面に形成されるフォトレジスト材料の膜の厚さは、支持ピンが接触していた部分およびその近傍と、それ以外の部分とで相違することがある。このため、マザー基板の表面に形成されるフォトレジスト材料の膜には、局所的（＝支持ピンが接触していた部分およびその近傍）に厚さが不均一な部分が点在するように形成されることがある。

　液晶表示パネルに適用される表示パネル用の基板には、絵素が配列される表示領域と、この表示領域を囲繞するように設けられるパネル額縁領域が形成される。そして、表示領域において画像を表示する。このため、液晶表示パネルの表示ムラをなくすには、表示パネル用の基板の表示領域に形成される所定の要素の特性を、表示領域の全面にわたって均一にする必要がある。しかしながら、前記のように、支持ピンの接触に起因してフォトレジスト材料の膜に局所的に厚さが不均一な部分が存在すると、フォトリソグラフィ法により形成される所定の要素の特性は、厚さが不均一な部分と他の部分とで相違することがある。この結果、所定の要素の特性も不均一となり、表示パネルに特性の不均一に起因する表示ムラが発生することがある。

　そこで、支持ピンの影響をなくすため、たとえば次のような構成が用いられることがある。すなわち、減圧乾燥装置のチャンバの内部において、マザー基板のうち、表示パネル用の基板が完成した後においてパネル額縁領域となる部分を支持ピンにより支持し、表示領域となる部分には、支持ピンを含め他の部材が接触しないようにする。このような構成によれば、表示領域となる部分の温度は支持ピンの影響を受けず、面方向の温度分布を均一にすることができる。このため、表示領域となる部分に塗布されたフォトレジスト材料の膜の原料である溶液の乾燥状態を均一にすることができ、均一な厚さのフォトレジスト材料の膜を形成することができる。したがって、表示領域に形成される所定の要素の特性を均一にすることができ、表示ムラの発生を防止できる。

　ところで、現在は、一般的には、一枚のマザー基板から複数の表示パネル用の基板が製造される。このため、マザー基板に形成される表示領域となる部分およびパネル額縁領域となる部分の位置や範囲は、マザー基板から製造される表示パネル用の基板のサイズ（すなわち、画面サイズ）や、表示領域となる部分およびパネル額縁領域となる部分の配置態様に応じて、マザー基板の種類ごとに相違することがある。

　このため、このような種類の異なるマザー基板を、一機の共通の減圧乾燥装置で乾燥させる場合には、すべての種類のマザー基板を、表示領域となる部分に支持ピンが接触しないように支持することが困難なことがある。すなわち、前記のとおり、マザー基板に形成される表示領域となる部分およびパネル額縁領域となる部分の位置や範囲は、マザー基板の種類によって異なることがある。このため、支持ピンの配置態様が、ある特定の種類のマザー基板については表示領域となる部分を避けて配置される態様であったとしても、他の特定のマザー基板については、一部の支持ピンが表示領域となる部分に位置することがある。このように、複数種類のマザー基板のすべてについて、マザー基板に形成される表示領域となる部分に支持ピンが接触しないように支持することができないことがある。このため、マザー基板の種類によっては、形成されるフォトレジスト材料の膜の厚さが不均一となるおそれがある。また、マザー基板の設計変更などによって、マザー基板に形成される表示領域となる部分およびパネル額縁領域となる部分の位置や範囲が変更されると、これに基づいて支持ピンの配置態様を変更する必要がある。

特開２００９－１００８５号公報

　上記実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、ワークに形成される物理的に接触したくない部分に物理的に接触することなくワークを支持することができる支持装置を提供すること、または、ワークに形成される物理的に接触したくない部分に物理的に接触することなくワークを支持して乾燥させることができる乾燥装置を提供すること、または、物理的に接触したくない部分の位置や範囲が異なる複数種類のワークを支持できる支持装置であって、いずれの種類のワークであっても物理的に接触したくない部分には物理的に接触することなく支持することができる支持装置を提供すること、または、物理的に接触したくない部分の位置や範囲が異なる複数種類のワークを乾燥できる乾燥装置であって、いずれの種類のワークであっても物理的に接触したくない部分には物理的に接触することなく支持して乾燥させることができる乾燥装置を提供すること、または、表示パネル用の基板を製造するマザー基板を支持する支持装置であって、マザー基板に形成される表示領域となる部分に物理的に接触することなくマザー基板を支持できる支持装置を提供すること、または、表示パネル用の基板を製造するマザー基板を支持して乾燥させることができる乾燥装置であって、マザー基板に形成される表示領域となる部分に物理的に接触することなくマザー基板を支持して乾燥させることができる乾燥装置を提供すること、または、表示領域となる部分の位置や範囲が異なる複数種類のマザー基板を支持できる支持装置であって、いずれの種類のマザー基板であっても表示領域となる部分に物理的に接触することなく支持することができる支持装置を提供すること、または、表示領域となる部分の位置や範囲が異なる複数種類のマザー基板を支持して乾燥させることができる乾燥装置であって、いずれの種類のマザー基板であっても表示領域となる部分に物理的に接触することなく支持して乾燥させることができる乾燥装置を提供することである。

　前記課題を解決するため、本発明は、所定のワークを支持ピンにより支持することができる支持装置であって、所定の面方向に移動することにより前記ワークの所定の位置に接触して支持することができる支持ピンを有することを要旨とするものである。

　本発明は、所定のワークを支持ピンにより支持することができる支持装置であって、前記所定のワークの物理的に接触したくない部分以外の部分に移動させることにより、前記支持ピンを前記所定のワークの物理的に接触したくない部分以外の部分に接触させて前記所定のワークを支持することができる支持ピンを備えることを要旨とするものである。

　本発明は、所定のワークを支持することができる所定の数の支持ピンを有する支持装置であって、前記所定の数の支持ピンのうちのある所定の一部と、前記所定の数の支持ピンのうちの他の所定の一部は、前記所定のワークに接触して支持できる位置と前記所定のワークに接触しない位置との間を、互いに独立して移動可能に構成されることを要旨とするものである。

　本発明は、所定のワークを所定の数の支持ピンにより支持することができる支持装置であって、前記所定のワークに接触して支持できる位置と前記所定のワークに接触しない位置との間を互いに独立して移動可能な複数の支持ピンを備え、前記複数の支持ピンのうち前記所定のワークの物理的に接触したくない部分以外の部分に位置する支持ピンは前記所定のワークに接触して支持できる位置に移動し、前記複数の支持ピンのうちの前記所定のワークの物理的に接触したくない部分に位置する支持ピンは前記所定のワークに接触しない位置に移動することにより、前記所定のワークの物理的に接触したくない部分に物理的に接触することなく前記所定のワークを支持することができることを要旨とするものである。

　本発明は、所定のワークを所定の数の支持ピンにより支持することができる支持装置であって、前記所定のワークに接触して支持できる位置と前記所定のワークに接触しない位置との間を互いに独立して移動可能な複数の支持ピンの組を備え、前記支持ピンの組のうち前記所定のワークの物理的に接触したくない部分以外の部分に位置する支持ピンの組は前記所定のワークに接触して支持できる位置に移動し、前記支持ピンの組のうちの前記所定のワークの物理的に接触したくない部分に位置する支持ピンの組は前記所定のワークに接触しない位置に移動することにより、前記所定のワークの物理的に接触したくない部分に物理的に接触することなく前記所定のワークを支持することができることを要旨とするものである。

　本発明は、表示パネル用の基板を製造するマザー基板を支持ピンにより支持することができる支持装置であって、所定の面方向に移動可能で、前記マザー基板に設けられる表示領域となる部分以外の部分に移動することにより、前記マザー基板に設けられる表示領域となる部分以外の部分に接触して支持することができる支持ピンを備えることを要旨とするものである。

　本発明は、表示パネル用の基板を製造するマザー基板を支持することができる所定の数の支持ピンを有する支持装置であって、前記所定の数の支持ピンのうちの所定の一部と、前記所定の数の支持ピンのうちの他の所定の一部とは、前記マザー基板に接触して支持できる位置と前記マザー基板に接触しない位置との間を、互いに独立して移動可能に構成されること要旨とするものである。

　本発明は、表示パネル用の基板を製造するマザー基板を所定の数の支持ピンにより支持することができる支持装置であって、前記マザー基板に接触して支持できる位置と前記マザー基板に接触しない位置との間を互いに独立して移動可能な複数の支持ピンを有し、前記マザー基板に設けられる表示領域となる部分以外の部分に位置する支持ピンは前記マザー基板に接触して支持できる位置に移動し、前記マザー基板に設けられる表示領域となる部分に位置する支持ピンは前記マザー基板に接触しない位置に移動することにより、前記マザー基板の表示領域となる部分には前記支持ピンが接触しない状態で前記マザー基板を支持することができることを要旨とするものである。

　本発明は、表示パネル用の基板を製造するマザー基板を所定の数の支持ピンにより支持することができる支持装置であって、前記マザー基板に接触して支持できる位置と前記マザー基板に接触しない位置との間を互いに独立して移動可能な複数の支持ピンの組を有し、前記マザー基板に設けられる表示領域となる部分の外側に位置する支持ピンの組は前記マザー基板に接触して支持できる位置に移動し、前記マザー基板に設けられる表示領域となる部分に位置する支持ピンの組は前記マザー基板に接触しない位置に移動することにより、前記マザー基板の表示領域となる部分には前記支持ピンが接触しない状態で前記マザー基板を支持できることを要旨とするものである。

　本発明にかかる乾燥装置は、前記いずれかの支持装置と、所定のワークを搬入可能なチャンバとを備え、前記所定のワークが前記支持装置に支持された状態で前記所定のワークを乾燥させることができることを要旨とするものである。

　本発明にかかる乾燥装置は、前記いずれかの支持装置と、表示パネル用の基板を製造するマザー基板を搬入可能なチャンバとを備え、前記マザー基板が前記支持装置に支持された状態で前記マザー基板を乾燥させることができることを要旨とするものである。

　前記乾燥装置は減圧乾燥装置であり、前記チャンバの内部気圧を大気圧以下に減圧できる真空ポンプをさらに備える構成であることが好ましい。

　本発明にかかる支持装置によれば、可動支持ピンを移動させて、ワークに設けられる物理的に接触したくない部分以外の部分に位置させることができる。このため、ワークに設けられる物理的に接触したくない部分に支持ピンや他の部材を接触させることなく、ワークを支持することができる。

　また、物理的に接触したくない部分の位置や範囲が異なる複数種類のワークを支持する場合であっても、ワークに設けられる物理的に接触したくない部分の位置や範囲に応じて可動支持ピンを移動させ、ワークに設けられる物理的に接触したくない部分以外の部分を支持することができる。このように、物理的に接触したくない部分の位置や範囲が異なる複数種類のワークについても、いずれも、物理的に接触したくない部分に支持ピンや他の部材を接触させることなく支持できる。

　本発明にかかる乾燥装置によれば、たとえば、支持するワークとして表示パネル用の基板を製造するマザー基板が適用されると、可動支持ピンを移動させて、マザー基板に設けられる表示領域となる部分以外の部分に位置させることができる。このため、マザー基板に設けられる表示領域となる部分に支持ピンや他の部材を接触させることなく支持することができる。

　また、表示領域となる部分の位置や範囲が異なる複数種類のマザー基板を支持する場合であっても、マザー基板の種類に応じて可動支持ピンを表示領域となる部分以外の部分に移動させることにより、マザー基板に設けられる表示領域となる部分以外の部分に接触することなく支持できる。

　本発明にかかる乾燥装置によれば、乾燥させるワークを、本発明にかかる支持装置に支持された状態で乾燥させることができる。すなわち、乾燥装置により乾燥させている最中は、ワークに設けられる物理的に接触したくない部分には、支持ピンを含め他の部材が物理的に接触していない。このため、乾燥している最中において、ワークに設けられる物理的に接触したくない部分の面方向の温度分布を均一にすることができ、乾燥状態（たとえば乾燥速度など）を均一にすることができる。したがって、ワークに設けられる物理的に接触したくない部分に塗布されたフォトレジスト材料の膜の原料である溶液などを乾燥させる場合において、フォトレジスト材料の膜の原料である溶液の乾燥状態を、面方向で均一にすることができ、最終的に形成されるフォトレジスト材料の膜の厚さを均一にすることができる。

　本発明にかかる乾燥装置によれば、たとえば、乾燥させるワークとして表示パネル用の基板を製造するマザー基板が適用されると、マザー基板を乾燥させている最中は、マザー基板に設けられる表示領域となる部分に支持ピンや他の部材が物理的に接触しない状態に維持される。このため、表示領域となる部分の面方向の温度分布を均一にすることができ、乾燥状態を均一にすることができ、最終的に形成されるフォトレジスト材料の膜の厚さを、表示領域となる部分においては均一にすることができる。したがって、表示領域となる部分にフォトリソグラフィ法により所定の要素を形成する場合において、形成される所定の要素の特性を、表示領域となる部分の面内において均一にすることができる。したがって、表示ムラのない表示パネルを製造することができる。

本発明の各実施形態にかかる支持装置により支持されるワークとしてのマザー基板、または本発明の各実施形態にかかる乾燥装置により乾燥されるワークとしてのマザー基板の構成を、模式的に示した平面図であり、（ａ）は、一枚のマザー基板から六枚の表示パネル用の基板が製造される構成を示し、（ｂ）は、一枚のマザー基板から十五枚の表示パネル用の基板が製造される構成を示す。本発明の第一実施形態にかかる支持装置の概略構成を、模式的に示した外観斜視図である。（ａ）は、本発明の第一実施形態にかかる支持装置が、第一のマザー基板を支持している状態を示した平面模式図であり、（ｂ）は、本発明の第一実施形態にかかる支持装置が、第二のマザー基板を支持している状態を示した平面模式図であって、特に、支持されている第一のマザー基板および第二のマザー基板に設けられる表示領域となる部分と、本発明の第一実施形態にかかる支持装置の固定支持ピンおよび可動支持ピンとの位置関係を示す。本発明の第二実施形態にかかる支持装置の概略の構成を模式的に示した外観斜視図である。本発明の第二実施形態にかかる支持装置の概略の構成を模式的に示した断面図であり、（ａ）は、第一の可動支持ピンおよび第一の可動支持ピン昇降機構部が配設される位置での断面図であり、（ｂ）は、第二の可動支持ピンおよび第二の可動支持ピン昇降機構部が配設される位置での断面図である。本発明の第二実施形態にかかる支持装置による第一のマザー基板の支持方法を示した図であり、（ａ）は、第一の可動支持ピンの先端が第一のマザー基板を支持できる高さ位置にあり、第二の可動支持ピンの先端が、第一のマザー基板を支持しない位置にある状態を模式的に示した外観斜視図であり、（ｂ）は、本発明の第二実施形態にかかる支持装置が（ａ）に示す状態にあり、第一のマザー基板を支持している状態を模式的に示した平面図であって、特に、支持されている第一のマザー基板に設けられる表示領域となる部分と、本発明の第二実施形態にかかる支持装置の固定支持ピンおよび第一の可動支持ピンとの位置関係を示す。本発明の第二実施形態にかかる支持装置による第二のマザー基板の支持方法を示した図であり、（ａ）は、第二の可動支持ピンの先端が第二のマザー基板を支持できる高さ位置にあり、第一の可動支持ピンの先端が第二のマザー基板を支持しない位置にある状態を模式的に示した外観斜視図であり、（ｂ）は、本発明の第二実施形態にかかる支持装置が（ａ）に示す状態にあり、第二のマザー基板を支持している状態を模式的に示した平面図であって、特に、支持されている第二のマザー基板に設けられる表示領域となる部分と、本発明の第二実施形態にかかる支持装置の固定支持ピンおよび第二の可動支持ピンとの位置関係を示す。本発明の第三実施形態にかかる支持装置の構成を、模式的に示した断面図であり、（ａ）は、特に第一の支持機構部の構成を模式的に示し、（ｂ）は、特に第二の支持機構部の構成を模式的に示す。本発明の第一実施形態にかかる乾燥装置の概略構成を、模式的に示した断面図である。本発明の第二実施形態にかかる乾燥装置の概略構成を、模式的に示した断面図である。本発明の第三実施形態にかかる乾燥装置の概略構成を、模式的に示した断面図である。

　以下に、本発明の各種実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本発明の各実施形態においては、支持されるワークまたは乾燥されるワークとして、表示パネル用の基板を製造するマザー基板が適用される構成を示す。

　図１は、本発明の各実施形態にかかる支持装置により支持されるワークとしてのマザー基板、または本発明の各実施形態にかかる乾燥装置により乾燥されるワークとしてのマザー基板の構成を、模式的に示した平面図である。これらのマザー基板は、液晶表示パネルに適用される表示パネル用の基板を製造するためのマザー基板である。それぞれ、図１（ａ）は、一枚のマザー基板から六枚の表示パネル用の基板が製造される構成を示し、図１（ｂ）は、一枚のマザー基板から十五枚の表示パネル用の基板が製造される構成を示す。以下、説明の便宜上、図１（ａ）に示すマザー基板９ａを、「第一のマザー基板９ａ」と称し、図１（ｂ）に示すマザー基板９ｂを、「第二のマザー基板９ｂ」と称する。

　第一のマザー基板９ａおよび第二のマザー基板９ｂ（「マザーガラス」、「マザーガラス基板」などと称することがある）は、所定の外形寸法を有し所定の種類のガラスにより形成される基板である。そして、図１（ａ），（ｂ）に示すように、一枚の第一のマザー基板９ａおよび一枚の第二のマザー基板９ｂから、所定の数の表示パネル用の基板が製造される。具体的には、第一のマザー基板９ａからは六枚の表示パネル用の基板が製造され、第二のマザー基板９ｂからは十五枚の表示パネル用の基板が製造される。このため、第一のマザー基板９ａおよび第二のマザー基板９ｂの表面には、表示パネル用の基板が完成した後に表示領域となる部分９１ａ，９１ｂが、製造される表示パネル用の基板の枚数と同じ数だけ形成される。表示領域となる部分９１ａ，９１ｂは、表示パネルが完成した後に画像を表示する領域となる。表示領域となる部分９１ａ，９１ｂ以外の部分は、表示パネル用の基板が完成した後に、パネル額縁領域や検査用の配線や端子が形成される部分となる。

　たとえば、第一のマザー基板９ａおよび第二のマザー基板９ｂから、アクティブマトリックスタイプの液晶表示パネルに適用されるＴＦＴアレイ基板が製造される場合には、第一のマザー基板９ａや第二のマザー基板９ｂの表示領域となる部分９１ａ，９１ｂには、ゲート配線（「走査線」、「ゲートバスライン」などと称することもある）、ソース配線（「データ線」、「ソースバスライン」などと称することもある）、薄膜トランジスタ（ＴＦＴ：Thin Film Transistor）、ゲート絶縁膜、有機絶縁膜、絵素電極などといった要素が形成される。また、第一のマザー基板９ａおよび第二のマザー基板９ｂから、液晶表示パネルに適用されるカラーフィルタが製造される場合には、表示領域となる部分９１ａ，９１ｂには、ブラックマトリックス、所定の色の着色層、共通電極（透明電極）などが形成される。なお、第一のマザー基板９ａおよび第二のマザー基板９ｂには、一般的なマザー基板が適用されるため、詳細な説明は省略する。

　次に、本発明の第一実施形態にかかる支持装置１ａの構成を説明する。図２は、本発明の第一実施形態にかかる支持装置１ａの概略構成を、模式的に示した外観斜視図である。図２に示すように、本発明の第一実施形態にかかる支持装置１ａは、フレーム１１ａと、固定支持ピン１３ａと、可動アーム１２ａと、可動支持ピン１４ａと、可動支持ピン保持部１５ａとを有する。

　フレーム１１ａは、本発明の第一実施形態にかかる支持装置１ａの筐体として機能する構造体である。このフレーム１１ａは、固定支持ピン１３ａ、可動アーム１２ａを後述する態様で配設することができる構成であればよく、形状や構造などは特に限定されるものではない。

　フレーム１１ａには、固定支持ピン１３ａが立設される。固定支持ピン１３ａは、上方（図２中においてはｚ軸方向）に突起する棒状の部材であり、支持対象物のワークである第一のマザー基板９ａや第二のマザー基板９ｂを、その下方の面から支持する。すなわち、本発明の第一実施形態にかかる支持装置１ａが第一のマザー基板９ａまたは第二のマザー基板９ｂを支持している状態において、固定支持ピン１３ａの先端が、第一のマザー基板９ａまたは第二のマザー基板９ｂの下方の面に接触する。また、固定支持ピン１３ａは、本発明の第一実施形態にかかる支持装置１ａが第一のマザー基板９ａまたは第二のマザー基板９ｂを支持している状態において、第一のマザー基板９ａおよび第二のマザー基板９ｂの外周縁部であって、表示領域となる部分９１ａ，９１ｂの外側に接触する位置に立設される。換言すると、固定支持ピン１３ａは、第一のマザー基板９ａおよび第二のマザー基板９ｂの表示領域となる部分９１ａ，９１ｂには接触しない位置に立設される。

　前記のように、第一のマザー基板９ａや第二のマザー基板９ｂから製造される表示パネル用の基板が、表示領域とこの表示領域を囲繞するパネル額縁領域を有する構成であれば、図１（ａ），（ｂ）に示すように、一枚の第一のマザー基板９ａや第二のマザー基板９ｂから製造される表示パネル用の基板の枚数や、一枚の第一のマザー基板９ａや第二のマザー基板９ｂに形成される表示領域となる部分９１ａ，９１ｂの配置の態様に関わりなく、第一のマザー基板９ａおよび第二のマザー基板９ｂの外周縁部は、パネル額縁領域となる部分や検査用の端子などが形成される部分となる。したがって、固定支持ピン１３ａが、第一のマザー基板９ａおよび第二のマザー基板９ｂの外周縁部を支持する構成であれば、固定支持ピン１３ａは、第一のマザー基板９ａであるか第二のマザー基板９ｂであるかにかかわらず（すなわち、マザー基板の種類にかかわらず）、表示領域となる部分９１ａ，９１ｂの外側を支持することができる。

　なお、固定支持ピン１３ａの数や間隔は、特に限定されるものではない。支持する第一のマザー基板９ａや第二のマザー基板９ｂのサイズなどに応じて適宜設定すればよい。

　フレーム１１ａには、可動アーム１２ａが配設される。この可動アーム１２ａは、フレーム１１ａに対して、ある所定の方向（図２においてはｘ軸方向）に往復動することができる部材である。本発明の第一実施形態にかかる支持装置１ａは、この可動アーム１２ａを駆動する駆動機構部（図略）を備えており、この駆動機構部によって可動アーム１２ａを、前記ある方向の所定の位置に移動させることができる。なお、可動アーム１２ａの数は特に限定されるものではないが、図２に示すように、本発明の第一実施形態にかかる支持装置１ａが複数（図２においては、二個）の可動アーム１２ａを備える構成であれば、各可動アーム１２ａは、独立して往復動移動可能に構成される。たとえば、各可動アーム１２ａが、独立して作動する駆動機構部を備える。

　駆動機構部の構成は特に限定されるものではないが、たとえば次のような構成が適用できる。駆動機構部は、外周にねじ山が形成された略棒状の部材である送りねじと、この送りねじを回転させる回転動力源と、貫通孔が形成されるとともにこの貫通孔の内部に送りねじに係合する内ネジが形成される移動子とを有する。そして、回転動力源と送りねじがフレーム１１ａに配設され、移動子が可動アーム１２ａに配設される。具体的には、送りねじが、その軸線方向が可動アーム１２ａの往復動方法（ｘ軸方向）に略平行でかつ回転可能に軸支され、回転動力源により回転することができる。送りねじの外周には移動子が係合しており、送りねじが回転すると、移動子は送りねじ状を軸線方向に移動する。そして、可動アーム１２ａは、移動子と一体となって前記ある方向に移動する。

　また、次のような構成であってもよい。駆動機構部は、モータなどの回転動力源と、この回転動力源の回転動力により回転するピニオンと、ラック（片面または両面に歯が形成された棒状の部材）とを備える。そして、回転動力源が可動アーム１２ａに設けられ、回転動力源の回転軸にピニオンが取り付けられる。また、ラックが、フレーム１１ａに、その軸線方向が可動アーム１２ａの往復動方法に略平行となるように配設される。そして、ラックとピニオンとが係合するように配設される。このような構成によれば、回転動力源の回転軸の回転により、可動アーム１２ａが前記ある方向に往復動することができ、所定の位置に移動することができる。

　このように、駆動機構部は、可動アーム１２ａを前記ある方向に往復動させて所定の位置に移動させることができ、かつ、所定の位置に移動した状態を維持できればよく、その構成は限定されるものではない。

　可動アーム１２ａには、所定の数（図２においては二個）の可動支持ピン保持部１５ａが、前記ある方向に対して略直角な方向（図２においてはｙ軸方向）に往復動可能に設けられる。可動支持ピン保持部１５ａは、可動支持ピン１４ａが設けられる構造物である。なお、可動支持ピン保持部１５ａの構成は特に限定されるものではない。

　可動アーム１２ａおよび可動支持ピン保持部１５ａには、可動支持ピン保持部１５ａを駆動する可動支持ピン保持部駆動部（図略）が設けられる。そして、可動支持ピン保持部１５ａは、この可動支持ピン保持部駆動部により、可動アーム１２ａに対して往復動することができる。可動支持ピン保持部駆動部の構成は、特に限定されるものではない。たとえば、前記のように、可動アーム１２ａがフレーム１１ａに対してある方向に往復動するための駆動機構部と同様の構成が適用できる。したがって、説明は省略する。なお、一つの可動アーム１２ａに複数の可動支持ピン保持部１５ａが設けられる場合には、複数の可動支持ピン保持部１５ａは、互いに独立して往復動することができるように構成される。

　可動支持ピン保持部１５ａには、上方（図２においてはz軸方向）に向かって突起する可動支持ピン１４ａが設けられる。可動支持ピン１４ａは、略棒状の部材であり、第一のマザー基板９ａや第二のマザー基板９ｂの下方の面の表示領域となる部分９１ａ，９１ｂ以外の部分を支持する構造物である。可動支持ピン１４ａの先端の高さ位置は、固定支持ピン１３ａの先端の高さ位置と略同じ高さ位置に設定される。

　このような構成によれば、可動アーム１２ａの駆動機構部と、可動支持ピン保持部１５ａの駆動機構部とを動作させることにより、可動支持ピン１４ａを、面方向（図２においてはｘ－ｙ平面方向）に移動させることができる。

　次に、本発明の第一実施形態にかかる支持装置１ａによる第一のマザー基板９ａおよび第二のマザー基板９ｂの支持方法について説明する。図３（ａ）は、本発明の第一実施形態にかかる支持装置１ａが、第一のマザー基板９ａを支持している状態を示した平面模式図であり、図３（ｂ）は、本発明の第一実施形態にかかる支持装置１ａが、第二のマザー基板９ｂを支持している状態を示した平面模式図である。図３（ａ）は、特に、支持されている第一のマザー基板９ａに設けられる表示領域となる部分９１ａと、本発明の第一実施形態にかかる支持装置１ａの固定支持ピン１３ａおよび可動支持ピン１４ａとの位置関係を示す。図３（ｂ）は、特に、支持されている第二のマザー基板９ｂに設けられる表示領域となる部分９１ｂと、本発明の第一実施形態にかかる支持装置１ａの固定支持ピン１３ａおよび可動支持ピン１４ａとの位置関係を示す。

　図３（ａ）に示すように、本発明の第一実施形態にかかる支持装置１ａにより第一のマザー基板９ａを支持するには、可動アーム１２ａの駆動機構部と可動支持ピン保持部１５ａの駆動機構部とを作動させて、可動支持ピン１４ａを、第一のマザー基板９ａに設けられる表示領域となる部分９１ａ以外の部分に位置するように移動させる。このような構成によれば、固定支持ピン１３ａが、第一のマザー基板９ａの下方の面の外周縁部（表示領域となる部分９１ａの外側）に当接して下から支持するとともに、可動支持ピン１４ａが、第一のマザー基板９ａの下方の面の外周縁部以外の部分（具体的にはたとえば、第一のマザー基板９ａの面方向の中心部）であって、表示領域となる部分９１ａの外側に当接して下から支持する。したがって、固定支持ピン１３ａと可動支持ピン１４ａとによって、第一のマザー基板９ａを、表示領域となる部分９１ａ（すなわち物理的に接触したくない部分）に物理的に接触することなく支持することができる。

　同様に、図３（ｂ）に示すように、本発明の第一実施形態にかかる支持装置１ａにより第二のマザー基板９ｂを支持するには、可動アーム１２ａの駆動機構部と可動支持ピン保持部１５ａの駆動機構部とを作動させて、可動支持ピン１４ａを、第二のマザー基板９ｂに設けられる表示領域となる部分９１ｂ以外の部分に位置するように移動させる。このような構成によれば、固定支持ピン１３ａが、第二のマザー基板９ｂの下方の面の外周縁部（表示領域となる部分９１ｂの外側）に当接して下から支持するとともに、可動支持ピン１４ａが、第二のマザー基板９ｂの下方の面の外周縁部以外の部分（具体的にはたとえば、第二のマザー基板９ｂの面方向の中心部）であって、表示領域となる部分９１ｂの外側に当接して下から支持する。したがって、固定支持ピン１３ａと可動支持ピン１４ａとによって、第二のマザー基板９ｂを、表示領域となる部分９１ｂに物理的に接触することなく支持することができる。

　このように、本発明の第一実施形態にかかる支持装置１ａによれば、表示領域となる部分９１ａ，９１ｂの位置や範囲が異なる複数種類のマザー基板（ここでは、第一のマザー基板９ａと第二のマザー基板９ｂ）を、それぞれ、第一のマザー基板９ａや第二のマザー基板９ｂに設けられる表示領域となる部分９１ａ，９１ｂ（＝物理的に接触したくない部分）に接触することなく支持することができる。

　なお、前記実施形態においては、種類の異なるマザー基板として、第一のマザー基板９ａと第二のマザー基板９ｂの二種類のマザー基板を示したが、支持できるマザー基板の種類は、前記の二種類のマザー基板に限定されるものではない。要は、マザー基板に形成される表示領域となる部分の位置や範囲に応じて、可動支持ピン１４ａの位置を適宜設定すればよい。そうすれば、表示領域となる部分の位置や範囲が前記二種類のマザー基板９ａ，９ｂと異なるマザー基板であっても、表示領域となる部分に物理的に接触することなく支持できる。

　また、可動支持ピン保持部１５ａが、可動支持ピン１４ａを上下方向に往復動させることができる構成を備えてもよい。すなわち、一つの可動アーム１２ａに複数の可動支持ピン保持部１５ａが配設される構成においては、ある可動支持ピン保持部１５ａに設けられる可動支持ピン１４ａが、あるマザー基板の表示領域となる部分以外の部分に位置した場合、他の可動支持ピン保持部１５ａと前記ある可動支持ピン保持部１５ａと物理的に干渉し、前記他の可動支持ピン保持部１５ａに設けられる可動支持ピン１４ａを、マザー基板の表示領域となる部分以外の部分に移動させることができない場合がある。このような場合には、他の可動支持ピン保持部１５ａに設けられる可動支持ピン１４ａを降下させることによって、当該可動支持ピン１４ａがマザー基板に接触しないようにできる。

　次に、本発明の第二実施形態にかかる支持装置１ｂの構成を説明する。図４は、本発明の第二実施形態にかかる支持装置１ｂの概略の構成を模式的に示した外観斜視図である。図５は、本発明の第二実施形態にかかる支持装置１ｂの概略の構成を模式的に示した断面図であり、それぞれ（ａ）は、第一の可動支持ピン１３ｂおよび第一の可動支持ピン昇降機構部１５ｂが配設される位置の断面を示し、（ｂ）は第二の可動支持ピン１４ｂおよび第二の可動支持ピン昇降機構部１６ｂが配設される位置の断面を示す。

　図４と図５（ａ），（ｂ）に示すように、本発明の第二実施形態にかかる支持装置１ｂは、フレーム１１ｂと、固定支持ピン１２ｂと、第一の支持機構部１７ｂと、第二の支持機構部１８ｂとを有する。第一の支持機構部１７ｂは、第一の可動支持ピン１３ｂと、第一の可動支持ピン昇降機構部１５ｂを有する。第二の支持機構部１８ｂは、第二の可動支持ピン１４ｂと、第二の可動支持ピン昇降機構部１６ｂとを有する。

　フレーム１１ｂは、本発明の第二実施形態にかかる支持装置１ｂの筐体として機能する構造体である。このフレーム１１ｂは、固定支持ピン１２ｂ、第一の可動支持ピン昇降機構部１５ｂ、第二の可動支持ピン昇降機構部１６ｂを、後述する態様で配設できる構成であればよく、形状や構造などは特に限定されるものではない。

　フレーム１１ｂには、固定支持ピン１２ｂが立設される。固定支持ピン１２ｂは、上方（図４においてはｚ軸方向）に突起する棒状の部材であり、支持対象物のワークである第一のマザー基板９ａや第二のマザー基板９ｂを、その下方の面から支持する。すなわち、本発明の第二実施形態にかかる支持装置１ｂにより第一のマザー基板９ａまたは第二のマザー基板９ｂが支持されている状態においては、固定支持ピン１２ｂの先端が、第一のマザー基板９ａまたは第二のマザー基板９ｂの下方の面に接触する。また、固定支持ピン１２ｂは、本発明の第二実施形態にかかる支持装置１ｂが第一のマザー基板９ａまたは第二のマザー基板９ｂを支持している状態において、第一のマザー基板９ａや第二のマザー基板９ｂの外周縁部であって、表示領域となる部分９１ａ，９１ｂの外側に接触する位置に立設される。換言すると、固定支持ピン１２ｂは、第一のマザー基板９ａおよび第二のマザー基板９ｂの表示領域となる部分９１ａ，９１ｂには接触しない位置に立設される。

　前記のように、第一のマザー基板９ａや第二のマザー基板９ｂから製造される表示パネル用の基板が、表示領域とこの表示領域を囲繞するパネル額縁領域を有する構成であれば、図１（ａ），（ｂ）に示すように、一枚の第一のマザー基板９ａや一枚の第二のマザー基板９ｂから製造される表示パネル用の基板の枚数や、一枚の第一のマザー基板９ａや一枚の第二のマザー基板９ｂに形成される表示領域となる部分９１ａ，９１ｂの位置や範囲に関わりなく、第一のマザー基板９ａおよび第二のマザー基板９ｂの外周縁部は、パネル額縁領域となる部分や検査用の端子などが形成される部分となる。したがって、固定支持ピン１２ｂが第一のマザー基板９ａや第二のマザー基板９ｂの外周縁部を支持する構成であれば、固定支持ピン１２ｂは、第一のマザー基板９ａであるか第二のマザー基板９ｂであるかにかかわらず（＝マザー基板の種類にかかわらず）、表示領域となる部分９１ａ，９１ｂの外側を支持することができる。

　なお、固定支持ピン１２ｂの数や間隔は、特に限定されるものではない。支持する第一のマザー基板９ａや第二のマザー基板９ｂのサイズなどに応じて適宜設定すればよい。

　フレーム１１ｂの面方向（ｘ－ｙ平面方向）の所定の位置には、第一の支持機構部１７ｂと第二の支持機構部１８ｂとが配設される。第一の支持機構部１７ｂは、フレーム１１ｂに対して上下方向（z軸方向）に往復動（＝昇降）可能な第一の可動支持ピン１３ｂと、この第一の可動支持ピン１３ｂを昇降させる第一の可動支持ピン昇降機構部１５ｂとを有する。同様に、第二の支持機構部１８ｂは、フレーム１１ｂに対して上下方向に往復動可能な第二の可動支持ピン１４ｂと、この第二の可動支持ピン１４ｂを昇降させる第二の可動支持ピン昇降機構部１６ｂとを有する。第一の可動支持ピン１３ｂおよび第二の可動支持ピン１４ｂは、フレーム１１ｂから上方に向かって突起する棒状の部材であり、その先端が第一のマザー基板９ａや第二のマザー基板９ｂの下方の面の所定の位置に当接して第一のマザー基板９ａや第二のマザー基板９ｂを支持する。

　なお、第一の支持機構部１７ｂと第二の支持機構部１８ｂには、同じ構成が適用できる。ただし、第一の支持機構部１７ｂと第二の支持機構部１８ｂは、独立して作動することができる。すなわち、第一の支持機構部１７ｂにより第一の可動支持ピン１３ｂを上昇させつつ、第二の支持機構部１８ｂにより第二の可動支持ピン１４ｂを下降させることができる。そして、第一の可動支持ピン１３ｂの先端の高さ位置と、第二の可動支持ピン１４ｂの先端の高さ位置を、それぞれ異なる高さ位置に維持することができる。

　第一の支持機構部１７ｂは、本発明の第二実施形態にかかる支持装置１ｂが、第一のマザー基板９ａを支持している状態において、第一の可動支持ピン１３ｂの先端が、第一のマザー基板９ａの下方の面の外周縁部以外の部分であって、かつ第一のマザー基板９ａに設けられる表示領域となる部分９１ａに接触しない位置に配設される。一方、第二の支持機構部１８ｂは、本発明の第二実施形態にかかる支持装置１ｂが、第二のマザー基板９ｂを支持している状態において、第二の可動支持ピン１４ｂの先端が、第二のマザー基板９ｂの下方の面の外周縁部以外の部分であって、かつ第二のマザー基板９ｂに設けられる表示領域となる部分９１ｂに接触しない位置に配設される。

　なお、第一の支持機構部１７ｂと第二の支持機構部１８ｂは、前記条件を充足するものであれば、配設される位置や間隔、配設される数は特に限定されるものではない。配設される位置や間隔、数は、支持対象物である第一のマザー基板９ａや第二のマザー基板９ｂのサイズなどに応じて適宜設定すればよい。

　第一の可動支持ピン１３ｂおよび第二の可動支持ピン１４ｂは、上方に向かって移動した場合には、それらの先端の高さ位置が固定支持ピン１２ｂの先端の高さ位置と略同じ高さ位置に移動でき、かつその高さ位置を維持することができる。また、下方に移動した場合には、それらの先端の高さ位置が固定支持ピン１２ｂの先端の高さ位置よりも所定の距離だけ低い位置に移動することができ、かつその位置を維持することができる。なお、「所定の距離」については後述する。

　第一の支持機構部１７ｂの第一の可動支持ピン昇降機構部１５ｂは、第一の可動支持ピン１３ｂを上下方向に往復動させることができるとともに、第一の可動支持ピン１３ｂの先端を所定の高さ位置に維持することができる。同様に、第二の支持機構部１８ｂの第二の可動支持ピン昇降機構部１６ｂは、第二の可動支持ピン１４ｂを上下方向に往復動させることができるとともに、第二の可動支持ピン１４ｂの先端を所定の高さ位置に維持することができる。

　第一の可動支持ピン昇降機構部１５ｂと第二の可動支持ピン昇降機構部１６ｂの構成は、特に限定されるものではないが、たとえば次のような構成が適用できる。第一の可動支持ピン１３ｂおよび第二の可動支持ピン１４ｂには、その軸線方向に沿ってラック（歯）が形成され、第一の可動支持ピン昇降機構部１５ｂおよび第二の可動支持ピン昇降機構部１６ｂは、モータなどの回転動力源と、この回転動力源の回転動力により回転するピニオンを有する。そして、第一の可動支持ピン１３ｂおよび第二の可動支持ピン１４ｂに形成されるラックと、第一の可動支持ピン昇降機構部１５ｂおよび第二の可動支持ピン昇降機構部１６ｂに配設されるピニオンが係合する。これにより、回転動力源の回転動力がラックに伝えられ、第一の可動支持ピン１３ｂおよび第二の可動支持ピン１４ｂが上下方向に移動することができる。

　また、第一の支持機構部１７ｂおよび第二の支持機構部１８ｂが流体圧シリンダ（たとえば、油圧シリンダなど）を備え、第一の可動支持ピン１３ｂおよび第二の可動支持ピン１４ｂにこのシリンダ内を流体の圧力により往復動できるピストンが設けられる構成であってもよい。このような構成によれば、流体シリンダに流体を供給したり流体シリンダから流体を排出したりすることにより、第一の可動支持ピン１３ｂおよび第二の可動支持ピン１４ｂを昇降させることができ、かつ、第一の可動支持ピン１３ｂおよび第二の可動支持ピン１４ｂの先端の高さ位置を、所定の高さ位置に維持することができる。

　このように、第一の支持機構部１７ｂおよび第二の支持機構部１８ｂは、それぞれ、第一の可動支持ピン１３ｂおよび第二の可動支持ピン１４ｂを上下方向（z軸方向）に往復動させることができ、かつ、第一の可動支持ピン１３ｂおよび第二の可動支持ピン１４ｂの先端の高さ位置を、所定の高さ位置に維持できる構成であればよく、その構成は限定されるものではない。

　このように、本発明の第二実施形態にかかる支持装置１ｂは、所定の複数の第一の可動支持ピン１３ｂが一組となって昇降する。同様に、所定の複数の第二の可動支持ピン１４ｂが一組となって昇降する。すなわち、本発明の第二実施形態にかかる支持装置１ｂは、第一の可動支持ピン１３ｂの組と第二の可動支持ピン１４ｂの組を有する。

　次に、本発明の第二実施形態にかかる支持装置１ｂによる第一のマザー基板９ａおよび第二のマザー基板９ｂの支持方法について説明する。図６（ａ）は、第一の可動支持ピン１３ｂの先端が第一のマザー基板９ａを支持できる高さ位置にあり、第二の可動支持ピン１４ｂの先端が、第一のマザー基板９ａを支持しない（＝第一のマザー基板９ａに接触しない）位置にある状態を模式的に示した外観斜視図である。図６（ｂ）は、本発明の第二実施形態にかかる支持装置１ｂが図６（ａ）に示す状態にあり、第一のマザー基板９ａを支持している状態を模式的に示した平面図である。図６（ｂ）は、特に、支持されている第一のマザー基板９ａに設けられる表示領域となる部分９１ａと、本発明の第二実施形態にかかる支持装置１ｂの固定支持ピン１２ｂおよび第一の可動支持ピン１３ｂとの位置関係を示す。

　図６（ａ）に示すように、本発明の第二実施形態にかかる支持装置１ｂが、第一のマザー基板９ａを支持するには、第一の支持機構部１７ｂを作動させ、第一の可動支持ピン１３ｂの先端の高さ位置を、固定支持ピン１２ｂの先端の高さ位置と略同じ高さ位置に移動させ、その高さ位置を維持する。また、第二の支持機構部１８ｂを作動させ、第二の可動支持ピン１４ｂの先端の高さ位置を、固定支持ピン１２ｂの先端の高さ位置よりも所定の距離だけ低い位置に移動させ、その高さ位置を維持する。そして、このような状態として、第一のマザー基板９ａを支持する。

　本発明の第二実施形態にかかる支持装置１ｂがこのような状態にあると、固定支持ピン１２ｂの先端が、第一のマザー基板９ａの下方の面の外周縁部（表示領域となる部分９１ａの外側）に当接して下から支持するとともに、第一の可動支持ピン１３ｂの先端が、第一のマザー基板９ａの下方の面の外周縁部以外の部分（具体的にはたとえば、第一のマザー基板９ａの面方向の中心部）であって、表示領域となる部分９１ａの外側に当接して支持する。一方、第二の可動支持ピン１４ｂの先端の高さ位置は、固定支持ピン１２ｂおよび第一の可動支持ピン１３ｂの先端の高さ位置よりも所定の距離だけ低い位置に維持される。

　「所定の距離」とは、第一の可動支持ピン１３ｂの先端の高さ位置が、固定支持ピン１２ｂの先端の高さ位置と略同じ高さ位置にあり、この状態で第一のマザー基板９ａを固定支持ピン１２ｂおよび第一の可動支持ピン１３ｂにより下から支持している状態において、第二の可動支持ピン１４ｂの先端が、少なくとも第一のマザー基板９ａに接触しない高さ位置であり、好ましくは、第二の可動支持ピン１４ｂが第一のマザー基板９ａに熱的な影響を与えない程度に離れている距離をいう。

　したがって、固定支持ピン１２ｂと第一の可動支持ピン１３ｂとによって、第一のマザー基板９ａを、表示領域となる部分９１ａに物理的に接触することなく支持することができる。特に、第二の可動支持ピン１４ｂの先端の高さ位置は、固定支持ピン１２ｂおよび第一の可動支持ピン１３ｂの先端の高さ位置よりも所定の距離だけ低い位置に維持されるから、第二の可動支持ピン１４ｂが、第一のマザー基板９ａに設けられる表示領域となる部分９１ａに位置していたとしても、第二の可動支持ピン１４ｂの先端は、表示領域となる部分９１ａには接触しない。また、第二の可動支持ピン１４ｂが第一のマザー基板９ａに熱的な影響を与えない。したがって、第一のマザー基板９ａの表示領域となる部分９１ａの面方向の温度分布を均一にすることができる。

　第二のマザー基板９ｂを支持する方法は次のとおりである。図７（ａ）は、第二の可動支持ピン１４ｂの先端が、第二のマザー基板９ｂを支持できる高さ位置にあり、第一の可動支持ピン１３ｂの先端が、第二のマザー基板９ｂを支持しない（＝第二のマザー基板９ｂに接触しない）位置にある状態を模式的に示した外観斜視図である。図７（ｂ）は、本発明の第二実施形態にかかる支持装置１ｂが図７（ａ）に示す状態にあり、第二のマザー基板９ｂを支持している状態を模式的に示した平面図である。図７（ｂ）は、特に、支持されている第二のマザー基板９ｂに設けられる表示領域となる部分９１ｂと、本発明の第二実施形態にかかる支持装置１ｂの固定支持ピン１２ｂおよび第二の可動支持ピン１４ｂとの位置関係を示す。

　図７（ａ）に示すように、本発明の第二実施形態にかかる支持装置１ｂにより第二のマザー基板９ｂを支持するには、第二の支持機構部１８ｂを作動させ、第二の可動支持ピン１４ｂの先端の高さ位置を、固定支持ピン１２ｂの先端の高さ位置と略同じ高さ位置に移動させる。そして、その高さ位置を維持する。また、第一の支持機構部１７ｂを作動させ、第一の可動支持ピン１３ｂの先端の高さ位置を、固定支持ピン１２ｂの先端の高さ位置よりも所定の距離だけ低い位置に移動させる。そして、その高さ位置を維持する。そして、このような状態として、第二のマザー基板９ｂを支持する。

　この場合の「所定の距離」は、第二の可動支持ピン１４ｂの先端の高さ位置が、固定支持ピン１２ｂの先端の高さ位置と略同じ高さ位置にあり、この状態で第二のマザー基板９ｂを固定支持ピン１２ｂおよび第二の可動支持ピン１４ｂにより下から支持している状態において、第一の可動支持ピン１３ｂの先端が、少なくとも第二のマザー基板９ｂに接触しない高さ位置であり、好ましくは、第一の可動支持ピン１３ｂが第二のマザー基板９ｂに熱的な影響を与えない程度に離れている距離をいう。

　本発明の第二実施形態にかかる支持装置１ｂがこのような状態にあると、固定支持ピン１２ｂの先端が、第二のマザー基板９ｂの下方の面の外周縁部に当接して支持するとともに、第二の可動支持ピン１４ｂの先端が、第二のマザー基板９ｂの下方の面の外周縁部以外の部分であって、表示領域となる部分９１ｂの外側に当接して支持する。一方、第一の可動支持ピン１３ｂの先端の高さ位置は、固定支持ピン１２ｂおよび第二の可動支持ピン１４ｂの先端の高さ位置よりも所定の距離だけ低い位置に維持されるから、第一の可動支持ピン１３ｂの先端は、第二のマザー基板９ｂに接触しない。

　したがって、固定支持ピン１２ｂと第二の可動支持ピン１４ｂとによって、第二のマザー基板９ｂを、表示領域となる部分９１ｂに物理的に接触することなく支持することができる。特に、第一の可動支持ピン１３ｂの先端の高さ位置は、固定支持ピン１２ｂおよび第二の可動支持ピン１４ｂの先端の高さ位置よりも所定の距離だけ低い位置に維持されるから、第一の可動支持ピン１３ｂが、第二のマザー基板９ｂに設けられる表示領域となる部分９１ｂに位置していたとしても、第一の可動支持ピン１３ｂの先端は、表示領域となる部分９１ｂには接触しない。また、第一の可動支持ピン１３ｂは、第二のマザー基板９ｂに熱的な影響を与えない。このため、第二のマザー基板９ｂに設けられる表示領域となる部分９１ｂの面方向の温度分布を、均一にすることができる。

　このように、本発明の第二実施形態にかかる支持装置１ｂによれば、表示領域となる部分９１ａ，９１ｂの位置や範囲が異なる複数種類のマザー基板（第一のマザー基板９ａと第二のマザー基板９ｂ）を、それぞれ、表示領域となる部分９１ａ，９１ｂ（＝物理的に接触したくない部分）に接触することなく支持することができる。

　次に、本発明の第三実施形態にかかる支持装置１ｃについて説明する。

　前記の本発明の第二実施形態にかかる支持装置１ｂは、一基の第一の支持機構部１７ｂが、一本の第一の可動支持ピン１３ｂと一個の第一の可動支持ピン昇降機構部１５ｂを備え、一基の第二の支持機構部１８ｂが、一本の第二の可動支持ピン１４ｂと一個の第二の可動支持ピン昇降機構部１６ｂを備える構成を有する。すなわち、一本の第一の可動支持ピン１３ｂが一個の第一の可動支持ピン昇降機構部１５ｂにより昇降し、一本の第二の可動支持ピン１４ｂが一個の第二の可動支持ピン昇降機構部１６ｂにより昇降する構成を有する。

　これに対し、本発明の第三実施形態にかかる支持装置１ｃは、第一の支持機構部１７ｃと、第二の支持機構部１８ｃとを有する。そして、第一の支持機構部１７ｃは、複数の第一の可動支持ピン１３ｃと、これら複数の第一の可動支持ピン１３ｃをまとめて昇降させることができる第一の支持部材昇降機構部１５ｃを有する。一方、第二の支持機構部１８ｃは、複数の第二の可動支持ピン１４ｃと、これら複数の第二の可動支持ピン１４ｃをまとめて昇降させることができる第二の支持部材昇降機構部１６ｃを有する。

　図８は、本発明の第三実施形態にかかる支持装置１ｃの構成を、模式的に示した断面図である。それぞれ、図８（ａ）は、特に第一の支持機構部１７ｃの構成を模式的に示し、図８（ｂ）は、特に第二の支持機構部１８ｃの構成を模式的に示す。

　図８（ａ），（ｂ）に示すように、本発明の第三実施形態にかかる支持装置１ｃは、フレーム１１ｃと、固定支持ピン１２ｃと、第一の支持機構部１７ｃと、第二の支持機構部１８ｃとを有する。なお、フレーム１１ｃの構成および固定支持ピン１２ｃの構成は、本発明の第二実施形態にかかる支持装置１ｂのフレーム１１ｂの構成および固定支持ピン１２ｂの構成と略同じ構成が適用できる。したがって、説明は省略する。

　第一の支持機構部１７ｃは、フレーム１１ｃに対して略上下方向に往復動可能な第一の支持部材１９ｃと、第一の支持部材１９ｃから上方に向かって突起する所定の数（ただし、二以上）の第一の可動支持ピン１３ｃと、第一の支持部材１９ｃを昇降させる（すなわち、第一の支持部材１９ｃに設けられる所定の数の第一の可動支持ピン１３ｃを昇降させる）第一の支持部材昇降機構部１５ｃとを有する。同様に、第二の支持機構部１８ｃは、フレーム１１ｃに対して上下方向に往復動可能な第二の支持部材２０ｃと、第二の支持部材２０ｃから上方に向かって突起する所定の数（ただし、二以上）の第二の可動支持ピン１４ｃと、第二の支持部材２０ｃを昇降させる（すなわち、第二の支持部材２０ｃに設けられる所定の数の第二の可動支持ピン１４ｃを昇降させる）第二の支持部材昇降機構部１６ｃとを有する。なお、第一の支持部材昇降機構部１５ｃと、第二の支持部材昇降機構部１６ｃとは、略同じ構成を有する。ただし、互いに独立して作動させることができる。

　第一の支持部材１９ｃおよび第二の支持部材２０ｃの構成は、特に限定されるものではない。たとえば、平板状の部材であってもよく、骨組み状の部材であってもよい。第一の支持部材１９ｃと第二の支持部材２０ｃが昇降する際に、互いに干渉しないような構成を有していれば、それ以外の構成は特に限定されない。

　第一の支持部材１９ｃに設けられる第一の可動支持ピン１３ｃは、本発明の第三実施形態にかかる支持装置１ｃが、第一のマザー基板９ａを支持している状態において、それらの先端が、第一のマザー基板９ａの下方の面の外周縁部以外の部分であって、かつ第一のマザー基板９ａに設けられる表示領域となる部分９１ａに接触しない位置に配設される。一方、第二の支持部材２０ｃに設けられる第二の可動支持ピン１４ｃは、本発明の第三実施形態にかかる支持装置１ｃが、第二のマザー基板９ｂを支持している状態において、それらの先端が、第二のマザー基板９ｂの下方の面の外周縁部以外の部分であって、かつ第二のマザー基板９ｂに設けられる表示領域となる部分９１ｂに接触しない位置に配設される。

　第一の支持機構部１７ｃの第一の支持部材昇降機構部１５ｃは、第一の支持部材１９ｃ（および第一の支持部材１９ｃに設けられる第一の可動支持ピン１３ｃ）を上下方向に移動させることができるとともに、第一の支持部材１９ｃに設けられる第一の可動支持ピン１３ｃの先端の高さ位置を、所定の高さ位置に維持することができる。具体的には、第一の支持部材１９ｃを上方に向かって移動させた場合には、それに設けられる第一の可動支持ピン１３ｃの先端の高さ位置を、固定支持ピン１２ｃの先端の高さ位置と略同じ高さ位置に移動させることができる。そして、その高さ位置を維持することができる。一方、第一の支持部材１９ｃを下方に移動させた場合には、それに設けられる第一の可動支持ピン１３ｃの先端の高さ位置を、固定支持ピン１２ｃの先端の高さ位置よりも所定の距離だけ低い位置に移動させることができる。そして、その高さ位置を維持できるように構成される。なお、「所定の距離」は前記のとおりである。

　同様に、第二の支持機構部１８ｃの第二の支持部材昇降機構部１６ｃは、第二の支持部材２０ｃ（および第二の支持部材２０ｃに設けられる第二の可動支持ピン１４ｃ）を上下方向に移動させることができるとともに、第二の支持部材２０ｃに設けられる第二の可動支持ピン１４ｃの先端の高さ位置を、所定の高さ位置に維持することができる。具体的には、第二の支持部材２０ｃを上方に向かって移動させた場合には、それに設けられる第二の可動支持ピン１４ｃの先端の高さ位置を、固定支持ピン１２ｃの先端の高さ位置と略同じ高さ位置に移動させることができる。そして、その高さ位置を維持することができる。一方、第二の支持部材２０ｃを下方に移動させた場合には、それに設けられる第二の可動支持ピン１４ｃの先端の高さ位置を、固定支持ピン１２ｃの先端の高さ位置よりも所定の距離だけ低い位置に移動させることができる。そして、その高さ位置を維持できるように構成される。

　第一の支持部材昇降機構部１５ｃと第二の支持部材昇降機構部１６ｃの構成は、特に限定されるものではないが、たとえば次のような構成が適用できる。第一の支持部材昇降機構部１５ｃと第二の支持部材昇降機構部１６ｃは、それぞれ、モータなどの回転動力源と、この回転動力源の回転動力により回転するピニオンを有する。また、第一の支持部材１９ｃおよび第二の支持部材２０ｃには、上方または下方に向かって突起する軸部材が設けられ、これらの軸部材には、その軸線方向に沿ってラック（歯）が形成される。そして、第一の支持部材１９ｃと第二の支持部材２０ｃのそれぞれに設けられる軸部材に形成されるラックと、第一の支持部材昇降機構部１５ｃと第二の支持部材昇降機構部１６ｃのそれぞれのピニオンとが係合する。これにより、回転動力源の回転動力がラックに伝えられ、第一の支持部材１９ｃと第二の支持部材２０ｃとは、それぞれ昇降することができる。

　また、第一の支持機構部１７ｃおよび第二の支持機構部１８ｃが流体圧シリンダ（たとえば、油圧シリンダなど）を備え、第一の支持部材１９ｃおよび第二の支持部材２０ｃに、このシリンダ内を流体の圧力により往復動できるピストンが設けられる構成であってもよい。このような構成によれば、流体シリンダに流体を供給したり流体シリンダから流体を排出したりすることにより、第一の支持部材１９ｃおよび第二の支持部材２０ｃを昇降させることができ、これにより、第一の可動支持ピン１３ｃおよび第二の可動支持ピン１４ｃの先端を、所定の高さ位置に移動させ、かつその高さ位置に維持することができる。

　第一の支持機構部１７ｃと第二の支持機構部１８ｃとは、互いに独立して動作することができる。すなわち、第一の支持機構部１７ｃにより第一の可動支持ピン１３ｃを上昇させつつ、第二の支持機構部１８ｃにより第二の可動支持ピン１４ｃを下降させることができる。同様に、第一の支持機構部１７ｃにより第一の可動支持ピン１３ｃを下降させつつ、第二の支持機構部１８ｃにより第二の可動支持ピン１４ｃを上昇させることができる。そして、第一の可動支持ピン１３ｃの先端の高さ位置と、第二の可動支持ピン１４ｃの先端の高さ位置を、それぞれ異なる高さ位置に維持することができる。

　このように、本発明の第三実施形態にかかる支持装置１ｃは、所定の複数の第一の可動支持ピン１３ｃが一組となって昇降する。同様に、所定の複数の第二の可動支持ピン１４ｃが一組となって昇降する。すなわち、本発明の第三実施形態にかかる支持装置１ｃは、第一の可動支持ピン１３ｃの組と第二の可動支持ピン１４ｃの組を有する。

　なお、本発明の第三実施形態にかかる支持装置１ｃによる第一のマザー基板９ａや第二のマザー基板９ｂの支持方法は、本発明の第二実施形態にかかる支持装置１ｂによる第一のマザー基板９ａや第二のマザー基板９ｂの支持方法と略同じである。したがって、説明は省略する。

　このように、本発明の第三実施形態にかかる支持装置１ｃによれば、表示領域となる部分９１ａ，９１ｂの位置や範囲が異なる複数種類のマザー基板（ここでは、第一のマザー基板９ａと第二のマザー基板９ｂ）を、それぞれ、第一のマザー基板９ａや第二のマザー基板９ｂに設けられる表示領域となる部分９１ａ，９１ｂ（＝物理的に接触したくない部分）に接触することなく支持することができる。したがって、本発明の第一実施形態にかかる支持装置１ａや本発明の第二実施形態にかかる支持装置１ｂと同様の作用効果を奏することができる。

　なお、前記説明においては、本発明の第二実施形態にかかる支持装置１ｂおよび本発明の第三実施形態にかかる支持装置１ｃが、二種類のマザー基板（第一のマザー基板９ａと第二のマザー基板９ｂ）を支持できる構成を有する構成を示したが、マザー基板の種類は二種類には限定されない。すなわち、Ｎ種類（Ｎは二以上の整数）のマザー基板について、それぞれ表示領域となる部分に接触しないようなＮ種類の可動支持ピンを配設し、選択的に作動させる構成であればよい。

　次に、本発明の各実施形態にかかる乾燥装置３ａ，３ｂ，３ｃについて説明する。図９は、本発明の第一実施形態にかかる乾燥装置３ａの概略構成を、模式的に示した断面図である。図１０は、本発明の第二実施形態にかかる乾燥装置３ｂの概略構成を、模式的に示した断面図である。図１１は、本発明の第三実施形態にかかる乾燥装置３ｃの概略構成を、模式的に示した断面図である。

　図９に示すように、本発明の第一実施形態にかかる乾燥装置３ａは、チャンバ３１ａと、真空ポンプ３２ａと、本発明の第一実施形態にかかる支持装置１ａとを有し、チャンバ３１ａの内部に本発明の第一実施形態にかかる支持装置１ａが配設される構成を有する。図１０に示すように、本発明の第二実施形態にかかる乾燥装置３ｂは、チャンバ３１ｂと、真空ポンプ３２ｂと、本発明の第二実施形態にかかる支持装置１ｂとを有し、チャンバ３１ｂの内部に本発明の第二実施形態にかかる支持装置１ｂが配設される構成を有する。図１１に示すように、本発明の第三実施形態にかかる乾燥装置３ｃは、チャンバ３１ｃと、真空ポンプ３２ｃと、本発明の第三実施形態にかかる支持装置１ｃとを有し、チャンバ３１ｃの内部に本発明の第三実施形態にかかる支持装置１ｃが配設される構成を有する。

　なお、本発明の各実施形態にかかる乾燥装置３ａ，３ｂ，３ｃは、チャンバ３１ａ，３１ｂ，３１ｃの内部に配設される支持装置１ａ，１ｂ，１ｃを除いては、共通の構成が適用できる。したがって、以下まとめて説明する。

　本発明の各実施形態にかかる乾燥装置３ａ，３ｂ，３ｃは、減圧乾燥装置である。本発明の各実施形態にかかる乾燥装置３ａ，３ｂ，３ｃのチャンバ３１ａ，３１ｂ，３１ｃは、その内部気圧を大気圧より低い所定の気圧に維持することができる容器である。チャンバ３１ａ，３１ｂ，３１ｃには、乾燥させる対象物であるマザー基板を搬入および搬出できる開口部である搬入・搬出口３１１ａ，３１１ｂ，３１１ｃが形成される。そして、搬入・搬出口３１１ａ，３１１ｂ，３１１ｃには、開閉可能でこの搬入・搬出口３１１ａ，３１１ｂ，３１１ｃを気密状態に閉鎖できる蓋部材３１３ａ，３１３ｂ，３１３ｃが設けられる。また、チャンバ３１ａ，３１ｂ，３１ｃには、外部と連通する排気管３１２ａ，３１２ｂ，３１２ｃが設けられ、この排気管３１２ａ，３１２ｂ，３１２ｃには、真空ポンプ３２ａ，３２ｂ，３２ｃが設けられる。このため、蓋部材３１３ａ，３１３ｂ，３１３ｃにより搬入・搬出口３１１ａ，３１１ｂ，３１１ｃを閉鎖した状態で真空ポンプ３２ａ，３２ｂ，３２ｃを作動させると、チャンバ３１ａ，３１ｂ，３１ｃの内部気圧を、大気圧より低い所定の気圧に減圧し、その後その気圧を維持することができる。また、チャンバ３１ａ，３１ｂ，３１ｃの内部には、チャンバ３１ａ，３１ｂ，３１ｃの内部の気温を調整する（たとえば加熱する）ための温度調整手段（たとえば加熱手段）が配設されることがある。

　なお、本発明の各実施形態にかかる乾燥装置３ａ，３ｂ，３ｃのチャンバ３１ａ，３１ｂ，３１ｃは、公知の減圧乾燥装置のチャンバと同じ構成が適用できる。また、真空ポンプ３２ａ，３２ｂ，３２ｃにも、公知の各種真空ポンプが適用できる。温度調整手段（加熱手段）も、たとえば公知の各種ヒータが適用できる。したがって説明は省略する。

　このような構成を有する本発明の各実施形態にかかる乾燥装置３ａ，３ｂ，３ｃによる第一のマザー基板９ａや第二のマザー基板９ｂの乾燥方法は、次のとおりである。ここでは、第一のマザー基板９ａおよび第二のマザー基板９ｂの表面に塗布されたフォトレジスト材料の溶液を乾燥させることによってフォトレジスト材料の膜（個体の膜）を形成する構成を例に説明する。

　まず、第一のマザー基板９ａや第二のマザー基板９ｂの表面に、フォトレジスト材料の膜の原料となる溶液を塗布する。フォトレジスト材料の膜の原料である溶液の塗布は、公知の各種スリットコータやスピンコータを用いる方法、インクジェット印刷装置などを用いる方法が適用できる。

　そして、フォトレジスト材料の膜の原料である溶液が塗布された第一のマザー基板９ａまたは第二のマザー基板９ｂを、本発明のいずれかの実施形態にかかる乾燥装置３ａ，３ｂ，３ｃのチャンバ３１ａ，３１ｂ，３１ｃの内部に搬入する。チャンバ３１ａ，３１ｂ，３１ｃの内部への搬入は、蓋部材３１３ａ，３１３ｂ，３１３ｃを開放し、搬入・搬出口３１１ａ，３１１ｂ，３１１ｃを通じて行う。

　そして、チャンバ３１ａ，３１ｂ，３１ｃの内部に配設される本発明のいずれかの実施形態にかかる支持装置１ａ，１ｂ，１ｃにより、第一のマザー基板９ａや第二のマザー基板９ｂを支持する。第一のマザー基板９ａや第二のマザー基板９ｂの支持方法は、本発明の各実施形態にかかる支持装置１ａ，１ｂ，１ｃの説明に記したとおりである。

　そして、蓋部材３１３ａ，３１３ｂ，３１３ｃによって搬入・搬出口３１１ａ，３１１ｂ，３１１ｃを閉鎖し、真空ポンプ３２ａ，３２ｂ，３２ｃを作動させてチャンバ３１ａ，３１ｂ，３１ｃの内部を減圧する。真空ポンプ３２ａ，３２ｂ，３２ｃが作動してチャンバ３１ａ，３１ｂ，３１ｃの内部気圧が大気圧よりも低い気圧になると、フォトレジスト材料の膜の原料である溶液の溶媒（溶剤）の蒸発が促進され、第一のマザー基板９ａや第二のマザー基板９ｂの表面には、フォトレジスト材料の膜の原料である溶液の溶質が残る。これにより、第一のマザー基板９ａや第二のマザー基板９ｂの表面に、フォトレジスト材料の膜（固体の膜）が形成される。

　本発明の各実施形態にかかる乾燥装置３ａ，３ｂ，３ｃによれば、第一のマザー基板９ａや第二のマザー基板９ｂは、チャンバ３１ａ，３１ｂ，３１ｃの内部に配設される本発明のいずれかの実施形態にかかる支持装置１ａ，１ｂ，１ｃに支持された状態で乾燥される。すなわち、乾燥している最中において、第一のマザー基板９ａや第二のマザー基板９ｂの表示領域となる部分９１ａ，９１ｂ（すなわち、物理的に接触したくない部分）には、固定支持ピン１３ａ，１２ｂ，１２ｃ、可動支持ピン１４ａ、第一の可動支持ピン１３ｂ，１３ｃ、第二の可動支持ピン１４ｂ，１４ｃは、いずれも物理的に接触していない。

　そして、可動支持ピン１４ａ、第一の可動支持ピン１３ｂ，１３ｃ、第二の可動支持ピン１４ｂ，１４ｃは、第一のマザー基板９ａや第二のマザー基板９ｂの表面の表示領域となる部分９１ａ，９１ｂから所定の距離だけ離れており、表示領域となる部分９１ａ，９１ｂに対して熱的な影響を与えない。また、その他の部材も接触していない。このため、乾燥している最中において、第一のマザー基板９ａや第二のマザー基板９ｂの表示領域となる部分９１ａ，９１ｂの面方向の温度分布を均一にすることができ、乾燥状態（たとえば乾燥速度など）を均一にすることができる。このため、各表示領域となる部分９１ａ，９１ｂに形成されるフォトレジスト材料の膜の厚さを、均一にすることができる。

　このため、たとえば表示領域となる部分９１ａ，９１ｂにフォトリソグラフィ法により所定の要素を形成する場合において、表示領域となる部分９１ａ，９１ｂに形成される要素の特性を、表示領域となる部分９１ａ，９１ｂの面内において均一にすることができる。したがって、表示ムラのない表示パネルを製造することができる。

　以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は前記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変が可能である。

　たとえば、本発明の各実施形態においては、液晶表示パネルに適用される表示パネル用の基板を製造するマザー基板を支持または乾燥する構成を示したが、支持対象物や乾燥対象物は、表示パネル用の基板を製造するマザー基板に限定されるものではない。たとえば、半導体素子を製造するためのシリコンウェハなどにも適用できる。

Claims

　所定のワークを支持ピンにより支持することができる支持装置であって、
所定の面方向に移動することにより前記ワークの所定の位置に接触して支持することができる支持ピンを有することを特徴とする支持装置。
　所定のワークを支持ピンにより支持することができる支持装置であって、
前記所定のワークの物理的に接触したくない部分以外の部分に移動させることにより、前記支持ピンを前記所定のワークの物理的に接触したくない部分以外の部分に接触させて前記所定のワークを支持することができる支持ピンを備えることを特徴とする支持装置。
　所定のワークを支持することができる所定の数の支持ピンを有する支持装置であって、
前記所定の数の支持ピンのうちのある所定の一部と、前記所定の数の支持ピンのうちの他の所定の一部は、前記所定のワークに接触して支持できる位置と前記所定のワークに接触しない位置との間を、互いに独立して移動可能に構成されることを特徴とする支持装置。
　所定のワークを所定の数の支持ピンにより支持することができる支持装置であって、
　前記所定のワークに接触して支持できる位置と前記所定のワークに接触しない位置との間を互いに独立して移動可能な複数の支持ピンを備え、
　前記複数の支持ピンのうち前記所定のワークの物理的に接触したくない部分以外の部分に位置する支持ピンは前記所定のワークに接触して支持できる位置に移動し、前記複数の支持ピンのうちの前記所定のワークの物理的に接触したくない部分に位置する支持ピンは前記所定のワークに接触しない位置に移動することにより、前記所定のワークの物理的に接触したくない部分に物理的に接触することなく前記所定のワークを支持することができる支持装置。
　所定のワークを所定の数の支持ピンにより支持することができる支持装置であって、
　前記所定のワークに接触して支持できる位置と前記所定のワークに接触しない位置との間を互いに独立して移動可能な複数の支持ピンの組を備え、
　前記支持ピンの組のうち前記所定のワークの物理的に接触したくない部分以外の部分に位置する支持ピンの組は前記所定のワークに接触して支持できる位置に移動し、前記支持ピンの組のうちの前記所定のワークの物理的に接触したくない部分に位置する支持ピンの組は前記所定のワークに接触しない位置に移動することにより、前記所定のワークの物理的に接触したくない部分に物理的に接触することなく前記所定のワークを支持することができる支持装置。
　表示パネル用の基板を製造するマザー基板を支持ピンにより支持することができる支持装置であって、
所定の面方向に移動可能で、前記マザー基板に設けられる表示領域となる部分以外の部分に移動することにより、前記マザー基板に設けられる表示領域となる部分以外の部分に接触して支持することができる支持ピンを備えることを特徴とする支持装置。
　表示パネル用の基板を製造するマザー基板を支持することができる所定の数の支持ピンを有する支持装置であって、
前記所定の数の支持ピンのうちの所定の一部と、前記所定の数の支持ピンのうちの他の所定の一部とは、前記マザー基板に接触して支持できる位置と前記マザー基板に接触しない位置との間を、互いに独立して移動可能に構成されることを特徴とする支持装置。
　表示パネル用の基板を製造するマザー基板を所定の数の支持ピンにより支持することができる支持装置であって、
前記マザー基板に接触して支持できる位置と前記マザー基板に接触しない位置との間を互いに独立して移動可能な複数の支持ピンを有し、
前記マザー基板に設けられる表示領域となる部分以外の部分に位置する支持ピンは前記マザー基板に接触して支持できる位置に移動し、前記マザー基板に設けられる表示領域となる部分に位置する支持ピンは前記マザー基板に接触しない位置に移動することにより、前記マザー基板の表示領域となる部分には前記支持ピンが接触しない状態で前記マザー基板を支持することができることを特徴とする支持装置。
　表示パネル用の基板を製造するマザー基板を所定の数の支持ピンにより支持することができる支持装置であって、
前記マザー基板に接触して支持できる位置と前記マザー基板に接触しない位置との間を互いに独立して移動可能な複数の支持ピンの組を有し、
前記マザー基板に設けられる表示領域となる部分の外側に位置する支持ピンの組は前記マザー基板に接触して支持できる位置に移動し、前記マザー基板に設けられる表示領域となる部分に位置する支持ピンの組は前記マザー基板に接触しない位置に移動することにより、前記マザー基板の表示領域となる部分には前記支持ピンが接触しない状態で前記マザー基板を支持できることを特徴とする支持装置。
　請求項１から請求項５のいずれか１項に記載の支持装置と、所定のワークを搬入可能なチャンバとを備え、前記所定のワークが前記支持装置に支持された状態で前記所定のワークを乾燥させることができる乾燥装置。
　請求項６から請求項９のいずれか一項に記載の支持装置と、表示パネル用の基板を製造するマザー基板を搬入可能なチャンバとを備え、前記マザー基板が前記支持装置に支持された状態で前記マザー基板を乾燥させることができる乾燥装置。
　前記乾燥装置は減圧乾燥装置であり、前記チャンバの内部気圧を大気圧以下に減圧できる真空ポンプをさらに備えることを特徴とする請求項１０または請求項１１に記載の乾燥装置。