WO2010110115A1

WO2010110115A1 - 車両用ルーフ装置

Info

Publication number: WO2010110115A1
Application number: PCT/JP2010/054382
Authority: WO
Inventors: 哲也平田; 千年西山
Original assignee: アイシン精機株式会社
Priority date: 2009-03-27
Filing date: 2010-03-16
Publication date: 2010-09-30
Also published as: US20120032476A1; CN102149554A; JP2010228624A

Abstract

　可動パネル、ガイドレール、作動機構、駆動歯車、歯付きベルト、駆動側案内部、摺動部、及び、嵌合部を備える車両用ルーフ装置が開示される。ガイドレールは、車両ルーフに設けられた開口部の車両幅方向の両側縁部において車両前後方向に延びて配置されるように適合されている。前記各ガイドレールによって案内される作動機構が前記可動パネルを支持する。駆動側案内部は、前記駆動歯車と前記各ガイドレールとの間において、歯付きベルトの移動を案内する。レール側案内部は、前記作動機構へと延びて前記歯付きベルトの移動を案内する。摺動部は前記各歯付きベルトに一体形成される。嵌合部は前記各駆動側案内部及び前記各レール側案内部の少なくとも一方に形成され、前記摺動部と摺動可能に嵌合し、前記各歯付きベルトのラック歯が対応する前記駆動側案内部又は前記レール側案内部の対向面に向かって移動することを規制する。

Description

車両用ルーフ装置

　本発明は、車両用ルーフ装置に関するものである。

　従来、車両用ルーフ装置としては、例えば特許文献１に記載されたものが知られている。その車両用ルーフ装置は、車両幅方向両側部において車両前後方向に延びる一対のガイドレールと、両ガイドレールの前端部分を互いに連結するフロントハウジングと、両ガイドレールに沿って案内される可動パネルを支持する一対の作動機構とを備える。そして、各作動機構には、３次元的に変形可能な歯付きベルトが連結されている。フロントハウジングの中央部には、駆動源により回転駆動される駆動歯車が設けられ、歯付きベルトはこの駆動歯車に噛合する。そして、この歯付きベルトは、該歯付きベルトの外形に対応した略四角筒状に成形されかつフロントハウジングに係止された案内部（ケーシングパイプ）に移動可能に収容されている。従って、作動機構に駆動力を伝達すべく駆動歯車を回転駆動して歯付きベルトを移動させる際、該歯付きベルトは、案内部及びガイドレールによりその移動が案内されて作動機構に駆動力を伝達することができる。

特開２００４－２９９４７７号公報

　ところで、特許文献１において、例えば案内部とガイドレールとの境界位置には取付誤差による段差が生じたりすることがある。該段差が存在すると、歯付きベルトの移動時に歯付きベルトの歯が当該段差と干渉し、これに起因して異音が発生することがある。

　本発明の目的は、歯付きベルトと案内部との干渉に伴う異音等を低減した車両用ルーフ装置を提供することにある。

　上記目的を達成するために、本発明の態様に従い、車両用ルーフ装置が提供される。車両用ルーフ装置は、可動パネル、一対のガイドレール、作動機構、駆動歯車、歯付きベルト、駆動側案内部、レール側案内部、摺動部、及び、嵌合部を備える。可動パネルは、車両ルーフに設けられた開口部を開閉可能にする。一対のガイドレールは、前記開口部の車両幅方向の両側縁部において車両前後方向に延びて配置されるように適合されている。作動機構は、前記各ガイドレールによって案内され前記可動パネルを支持する。駆動歯車は、駆動源により回転駆動される。歯付きベルトは、前記駆動歯車と噛合し且つ前記各作動機構に連結される。歯付きベルトは、その長手方向に沿って配置された複数のラック歯を有する。駆動側案内部は、前記駆動歯車と前記各ガイドレールとの間において、対応する前記歯付きベルトを包囲するように延びて同歯付きベルトの移動を案内する。レール側案内部は、前記各ガイドレールに形成され、前記歯付きベルトを包囲するように前記作動機構へと延びて前記歯付きベルトの移動を案内する。摺動部は、前記各歯付きベルトに一体形成される。嵌合部は、前記各駆動側案内部及び前記各レール側案内部の少なくとも一方に形成され、前記摺動部と摺動可能に嵌合する。嵌合部は、前記各歯付きベルトの前記ラック歯が対応する前記駆動側案内部又は前記レール側案内部の対向面に向かって移動することを規制する。

　これによれば、前記歯付きベルトは、前記摺動部と前記嵌合部とが摺動可能に嵌合して、該嵌合部の形成された前記駆動側案内部又は前記レール側案内部の前記対向面に前記ラック歯が移動することが規制される。これにより、前記ラック歯及び前記対向面の間に所要の隙間を確保することができる。従って、前記嵌合部の形成された前記駆動側案内部及び前記レール側案内部のいずれか一方に、いずれか他方から前記歯付きベルトが進入する際に、該当の前記駆動側案内部又は前記レール側案内部の縁端で前記対向面と前記ラック歯とが干渉することを抑制することができ、これに起因する異音の発生を抑制することができる。

　ここで、「歯付きベルトを包囲する」とは、駆動側案内部は必ずしも歯付きベルトの全周に亘って覆うように形成されていることを意味するのではなく、例えば溝のような一部に開口を有する場合等も含むことを意味する。

　好ましくは、前記嵌合部は、前記各駆動側案内部に形成された駆動側嵌合部及び前記各レール側案内部に形成されたレール側嵌合部を含んでいてもよい。
　これによれば、前記歯付きベルトは、前記駆動側案内部及び前記レール側案内部のそれぞれにおいて、各々の前記対向面に前記ラック歯が移動することが規制される。これにより、前記駆動側案内部及び前記レール側案内部のそれぞれにおいて、前記ラック歯及び前記対向面の間に所要の隙間を確保することができる。従って、例えば製造ばらつきや組付誤差等で、前記駆動側案内部及び前記レール側案内部の境界位置で各々の前記対向面間に段差が生じても、前記隙間の範囲で当該段差を吸収することで、前記歯付きベルトの移動時の前記ラック歯の干渉を抑制することができ、これに起因する異音の発生を抑制することができる。

　好ましくは、前記各レール側案内部に繋がる前記駆動側案内部の端部には、レール側案内部に近接するに従い前記対向面と前記ラック歯との隙間を漸増させる傾斜部が設けられていてもよい。

　これによれば、前記傾斜部により、前記駆動側案内部の前記縁端に向かうに従い前記対向面及び前記ラック歯の隙間が漸増し前記縁端において最大となることで、前記レール側案内部から前記駆動側案内部に前記歯付きベルトが進入する際に、前記縁端で前記対向面と前記ラック歯とが干渉することをより確実に抑制することができる。そして、前記歯付きベルトを前記傾斜部にならって前記駆動側案内部内へと円滑に引き込むことができる。

　好ましくは、前記摺動部は、前記各歯付きベルトの幅方向両側に形成され、かつ、該歯付きベルトの長手方向に延在しており、前記嵌合部は、前記各歯付きベルトの両摺動部にそれぞれ対向するように配置された第１嵌合部及び第２嵌合部を含んでいてもよい。

　これによれば、前記歯付きベルトは、その幅方向両側にそれぞれ形成された前記摺動部と前記第１嵌合部及び前記第２嵌合部とが嵌合することで、前記駆動側案内部又は前記レール側案内部の前記ラック歯に対向する前記対向面の形状に制約を受けることなく、より安定した状態で移動することができる。特に、請求項３に記載の構成にこの構成が適用されることで、前記傾斜部の設置に関わらず前記駆動側案内部において前記歯付きベルトの移動を案内できるといった利点も得られるようになる。

本発明の一実施形態に係るサンルーフ装置の平面図。図１において符号“２”で囲まれた部位の拡大図。図２の３－３線に沿った断面図。図２の４－４線に沿った断面図。図１の５－５線に沿った断面図。本実施形態におけるベルトを示す斜視図。図１の７－７線に沿った断面図。図７の８－８線に沿った断面図。本発明の別例に係る、ベルト及びガイド溝の断面図。本発明の別例に係る、ベルト及びガイド溝の断面図。

　以下、本発明を具体化した一実施形態を図１～図８を参照しつつ説明する。
　サンルーフ装置１０は、図１に示されるように、車両のルーフ１１に形成される略四角形の開口部１２に設置される。開口部１２は、車両左右両側において、車両前記方向（ルーフ１１の前後方向）に延びる左右縁部を有する。サンルーフ装置１０は、開口部１２の左右縁部に沿って延びるようにルーフ１１に固定された右側ガイドレール１３ａ及び左側ガイドレール１３ｂを備える。両ガイドレール１３ａ，１３ｂは、例えばアルミニウム合金を押出成形することで形成される。

　両ガイドレール１３ａ，１３ｂには、それぞれ作動機構１４がガイドレール１３ａ，１３ｂに沿って移動可能に支持されている。両作動機構１４間には、開口部１２を閉塞可能にガラス製の可動パネル１５が架け渡されている。可動パネル１５は、両作動機構１４により支持及び固定されている。一対の作動機構１４は、両ガイドレール１３ａ，１３ｂに沿う移動に伴い同ガイドレール１３ａ，１３ｂの形状と連係して、可動パネル１５を移動させると共に、チルトアップ又はチルトダウンさせる。この可動パネル１５の移動等により、開口部１２が開閉される。つまり、作動機構１４は、両ガイドレール１３ａ，１３ｂとの連係によって開口部１２の開閉時における可動パネル１５の姿勢を制御する。

　また、サンルーフ装置１０は、両ガイドレール１３ａ，１３ｂの前端部を互いに連結するように車両幅方向に沿って延在する樹脂製のフロントハウジング２１を備える。当該フロントハウジング２１には、その車両幅方向の中央に駆動源としての電動モータ２２が設けられている。電動モータ２２により回転駆動される、平歯車からなる駆動歯車２３は、車両高さ方向に延びる回転軸を中心にフロントハウジング２１に回転可能に支持されている。

　フロントハウジング２１には、略Ｕ字断面状を有する合計４つの第１～第４のガイド溝２１ａ～２１ｄが形成されている。なお、第１～第４のガイド溝２１ａ～２１ｄは駆動側案内部に相当する。

　第１のガイド溝２１ａは、図１に示されるように、前記駆動歯車２３の位置から車両幅方向における第１の側（車両左側；図１の下方向）に向かって延出するとともに、フロントハウジング２１の第１の端部（左端部）において車両後方に向けて曲成されて左側ガイドレール１３ｂの前端部に接する位置まで延在する。また、第２のガイド溝２１ｂは前記駆動歯車２３の位置からフロントハウジング２１の第２の端部（右側端部）まで、車両幅方向における第２の側（車両右側；図１の上方向）に向かって延出する。さらに、第３のガイド溝２１ｃは第２のガイド溝２１ｂの内側（車両後方側）において前記駆動歯車２３の位置から車両幅方向における前記第２の側（図１の上方向）に向かって延出するとともに、フロントハウジング２１の第２の端部（右端部）において車両後方に向けて曲成されて右側ガイドレール１３ａの前端部に接する位置まで延在する。また、第４のガイド溝２１ｄは第１のガイド溝２１ａの内側（車両後方側）において前記駆動歯車２３の位置から車両幅方向における前記第１の側（図１の下方向）に向かって延出するとともに、同第１のガイド溝２１ａに突き当たる位置で略Ｕ字状に折り返されている。第１のガイド溝２１ａ及び第２のガイド溝２１ｂの合計の長さは、第３のガイド溝２１ｃ及び第４のガイド溝２１ｄの合計の長さと略同等に設定されている。また、右側ガイドレール１３ａには、同ガイドレール１３ａに臨む第３のガイド溝２１ｃの端部に連続するように車両前後方向に延在するレール側案内部としてのレール側ガイド溝１６が形成されている。左側ガイドレール１３ｂには、同ガイドレール１３ｂに臨む第１のガイド溝２１ａに連続するように車両前後方向に延在するレール側案内部としてのレール側ガイド溝１６が形成されている。

　第１のガイド溝２１ａ及び第２のガイド溝２１ｂには、例えば樹脂材又はゴム材からなる第１のベルト２４が移動可能に収容されている。同様に、第３のガイド溝２１ｃ及び第４のガイド溝２１ｄには、第１のベルト２４と同一の形状及び材質の第２のベルト２５が移動可能に収容されている。

　なお、第１のベルト２４のラック歯２６（図２参照）は、第１のガイド溝２１ａ及び第２のガイド溝２１ｂ間において駆動歯車２３の前部で該駆動歯車２３に噛合している。第２のベルト２５のラック歯２６は第３のガイド溝２１ｃ及び第４のガイド溝２１ｄ間において駆動歯車２３の後部で該駆動歯車２３に噛合している。駆動歯車２３の各歯は、車両の上方向に向かうに連れて外径が徐々に小さくように変化した、略円錐台形を成している。すなわち、駆動歯車２３の各歯において、その上部の外径が下部の外径より小さくなるように形成される。

　第１のベルト２４及び第２のベルト２５は、それらのラック歯２６が互いに対向するように、対応するガイド溝２１ａ～２１ｄ内に設けられる。また、第１のベルト２４は、左側ガイドレール１３ｂに進入する第１端が左側の作動機構１４に連結され、第２端が第２のガイド溝２１ｂ内において自由端とされている。第２のベルト２５は、右側ガイドレール１３ａに進入する第１端が右側の作動機構１４に連結され、第２端が第４のガイド溝２１ｄ内において自由端とされている。

　第１のベルト２４は、第１のガイド溝２１ａ及び第２のガイド溝２１ｂによりその移動が案内されている。この際、第１のガイド溝２１ａの端部から延びて作動機構１４に連結される第１のベルト２４の部位は、左側ガイドレール１３ｂのレール側ガイド溝１６によりその移動が案内されている。一方、第２のベルト２５は、第３のガイド溝２１ｃ及び第４のガイド溝２１ｄによりその移動が案内されている。この際、第３のガイド溝２１ｃの端部から延びて作動機構１４に連結される第２のベルト２５の部位は、右側ガイドレール１３ａのレール側ガイド溝１６によりその移動が案内されている。従って、両ベルト２４，２５は、対応する作動機構１４に電動モータ２２からの駆動力を伝達することができる。

　なお、電動モータ２２の駆動時において、両作動機構１４が同期して対応するガイドレール１３ａ，１３ｂ内を進退するように、両ベルト２４，２５の長さ及び駆動歯車２３との噛み合い位置は調整されている。ここで、例えば駆動歯車２３を図１において反時計周り方向に回転させたときには、フロントハウジング２１から第１のベルト２４が左側ガイドレール１３ｂに進入するとともに、フロントハウジング２１から第２のベルト２５が右側ガイドレール１３ａに進入していくことで、両作動機構１４が同期して対応するガイドレール１３ａ，１３ｂに沿って後方に移動する。従って、可動パネル１５は車両幅方向に水平を保ちながら開口部１２を開放する。その際、両ベルト２４，２５の自由端がそれぞれ駆動歯車２３に向かって移動する。一方、電動モータ２２の駆動により、駆動歯車２３を図１において時計周り方向に回転させたときには、両ベルト２４，２５はそれぞれ対応するガイドレール１３ａ，１３ｂからフロントハウジング２１に移動することで、該作動機構１４が同期して対応するガイドレール１３ａ，１３ｂに沿って前方に移動する。従って、可動パネル１５は車両幅方向に水平状態を保ちながら開口部１２を閉鎖する。その際、両ベルト２４，２５の自由端はそれぞれ駆動歯車２３から離間する。

　次に、第１～第４のガイド溝２１ａ～２１ｄに形成されるベルト案内保持構造について図２～図６を参照しつつ更に詳細に説明する。なお、図２は図１において符号“２”で囲まれた部位の拡大図であり、図３は図２の３－３線に沿った断面図であり、図４は図２の４－４線に沿った断面図であり、図５は図１の５－５線に沿った断面図である。

　図１に示されるように、フロントハウジング２１は、その平面視において外形の略全体に亘って広がる平板状の底壁３１を有する。また、図２に示されるように、フロントハウジング２１は、底壁３１から車両高さ方向に延びる互いに平行な平板状の第１側壁３２及び第２側壁３３を一体的に有する。第１側壁３２における第２側壁３３と向き合う対向面３２ａは第１のガイド溝２１ａに収容される第１のベルト２４のラック歯２６に対向し、該ラック歯２６の反対側となる第１のベルト２４の背面２８は第２側壁３３に対向する。

　図３に示されるように、第１のガイド溝２１ａの箇所において、底壁３１には、上方に向かって開口した断面略四角形の駆動側嵌合部３１ａが第１のガイド溝２１ａの長手方向略全長に亘って延びるように形成されている。

　図２及び図４に示されるように、第１側壁３２には、その上端部から第２側壁３３に向かって突出する平板状の押さえ部３５が一体形成されている。当該押さえ部３５は第１のガイド溝２１ａの長手方向に沿って、間欠的に複数配設されている。押さえ部３５において、第１のベルト２４に対向する内側面には、下方に向かって開口した断面略四角形の駆動側嵌合部３５ａが形成されている。押さえ部３５が存在することにより、移動中の第１のベルト２４が第１のガイド溝２１ａに対して上方に位置ずれることが抑制される。押さえ部３５に対向する底壁３１の部位には、車両高さ方向に開口する透孔３６が穿設されており、駆動側嵌合部３１ａは形成されていない。なお、両嵌合部３１ａ，３５ａはそれぞれ第１嵌合部及び第２嵌合部に相当する。また、上述した第１のガイド溝２１ａに対応して設けられた、駆動側嵌合部３５ａ，３１ａ及び押さえ部３５等を含む保持構造は、その他の第２～第４のガイド溝２１ｂ～２１ｄについても同様に構成されるため、その説明を割愛する。

　図５に示されるように、左側ガイドレール１３ｂの前記レール側ガイド溝１６は、車両前後方向（紙面の直交方向）に延在している。前記レール側ガイド溝１６は、前記作動機構１４の移動を案内するレール部４０に対し車両幅方向に隣接しており、その断面形状は前記ガイド溝２１ａの断面形状（図３参照）に概略一致している。すなわち、左側ガイドレール１３ｂは、レール部４０に隣接して車両前後方向（図５の紙面の直交方向）に延在する底壁４１と、レール部４０から車両幅方向に離隔する底壁４１の縁部において車両高さ方向に延びる側壁４２と、該側壁４２の上端から底壁４１と平行に車両幅方向に延出する蓋壁４３とを有する。また、左側ガイドレール１３ｂは、底壁４１及び蓋壁４３におけるレール部４０に隣接する縁部において、互いに対向するように車両高さ方向に沿って延びる一対の保持壁４４ａ，４４ｂを有する。保持壁４４ａ，４４ｂに向き合う側壁４２の対向面４２ａはレール側ガイド溝１６に収容される第１のベルト２４のラック歯２６に対向する。そして、レール側ガイド溝１６は、これら底壁４１等の内壁面によって断面略Ｕ字状を呈するように形成され、レール部４０に向かって車両幅方向に開口する。また、底壁４１及び蓋壁４３は、それらの互いに対向する内壁面にレール側嵌合部２０ａ，２０ｂを有し、両レール側嵌合部２０ａ，２０ｂは互いに向かって開口している。なお、右側ガイドレール１３ａにおいても、図５において左右対称で左側ガイドレール１３ｂと同様の構成を有するため、その説明を割愛する。

　各ベルト２４，２５は、対応するガイド溝２１ａ～２１ｄ及びレール側ガイド溝１６にその長手方向の一部が包囲される態様で移動可能に収容されている（図２～図５参照）。図６に示されるように、各ベルト２４，２５は、帯状のベルト部２７と、そのベルト部２７の長手方向に一定間隔で配列された複数のラック歯２６とを有する。また、各ベルト２４，２５は、ベルト部２７からその幅方向両側に突設された断面略四角形の一対の摺動部２９を有している。両摺動部２９は第１～第４のガイド溝２１ａ～２１ｄに形成される駆動側嵌合部３１ａ，３５ａにそれぞれ摺動可能に嵌合する。従って、各ベルト２４，２５は、両摺動部２９が対応するガイド溝２１ａ～２１ｄの駆動側嵌合部３１ａ，３５ａに嵌合することで、第１側壁３２及び第２側壁３３の対向方向（特にラック歯２６が第１側壁３２の対向面３２ａに近付く方向）への移動（位置ずれ）が規制された状態で、ガイド溝２１ａ～２１ｄに沿って移動する。

　同様に、両摺動部２９はレール側ガイド溝１６に形成されるレール側嵌合部２０ａ，２０ｂにそれぞれ摺動可能に嵌合する。従って、各ベルト２４，２５は、両摺動部２９が対応するレール側ガイド溝１６のレール側嵌合部２０ａ，２０ｂに嵌合することで、側壁４２及び保持壁４４ａ，４４ｂの対向方向（特にラック歯２６が側壁４２の対向面４２ａに近付く方向）への移動（位置ずれ）が規制された状態で、レール側ガイド溝１６に沿って移動する。なお、各ベルト２４，２５には、同ベルト２４，２５の長手方向に沿って延びる複数（本実施形態では、２本）の金属線Ｗが埋設されている。これにより両ベルト２４，２５は変形可能な柔軟性を確保しつつ、所要の強度を有している。

　次に、第１のガイド溝２１ａと左側ガイドレール１３ｂの前記レール側ガイド溝１６との境界位置における第１のベルト２４の受け渡し構造について、図７及び図８を参照しつつ説明する。なお、図７は、図１の７―７線の断面図であり、図８は、図７の８―８線の断面図である。

　図７に示されるように、左側ガイドレール１３ｂに連結される第１のガイド溝２１ａの後端部（連結部）には、両側壁３２，３３及び底壁３１とともに第１のベルト２４を全周に亘って覆う蓋部３４が形成される。そして、蓋部３４には、上側の摺動部２９が摺動可能に嵌合する駆動側嵌合部３４ａが形成されている。駆動側嵌合部３４ａは、押さえ部３５に設けられた前記駆動側嵌合部３５ａと同様の形状である。駆動側嵌合部３４ａは、前記駆動側嵌合部３１ａとともに第１のベルト２４が上下方向及び水平方向、特に第１側壁３２及び第２側壁３３の対向方向（特にラック歯２６が第１側壁３２の対向面３２ａに近付く方向）に移動（位置ずれ）することを規制している。これら駆動側嵌合部３１ａ，３４ａが、左側ガイドレール１３ｂのレール側嵌合部２０ａ，２０ｂに車両前後方向で連続することはいうまでもない。従って、第１のガイド溝２１ａと左側ガイドレール１３ｂのレール側ガイド溝１６とによって案内される第１のベルト２４は、フロントハウジング２１及びガイドレール１３ｂ間において確実に受け渡される。

　また、第１のガイド溝２１ａの後端部（連結部）には、図８に示されるように、第１のベルト２４の厚さ方向において左側ガイドレール１３ｂに接近するに従い、同第１のベルト２４から離間するように湾曲した傾斜部３７が形成されている。すなわち、第１のベルト２４のラック歯２６と第１側壁３２の対向面３２ａとのクリアランスＬ、並びに、第１のベルト２４の背面２８と第２側壁３３の内面とのクリアランスＳは、左側ガイドレール１３ｂの端部に接近するに従い漸増する。傾斜部３７は第１のガイド溝２１ａと一体で、第１のベルト２４の延在方向を中心として線対称に形成されている。なお、駆動側嵌合部３１ａ，３４ａは、両クリアランスＬ，Ｓが最大となる第１のガイド溝２１ａの端部に合わせて配置され、第１のベルト２４の前述の移動（位置ずれ）を規制している。また、第１のガイド溝２１ａ及び左側ガイドレール１３ｂの端部同士は僅かに隙間３９を有して対向している。

　ここで、第１のベルト２４を第１のガイド溝２１ａと左側ガイドレール１３ｂのレール側ガイド溝１６との間で円滑に受け渡すためには、第１のガイド溝２１ａと左側ガイドレール１３ｂのレール側嵌合部２０ａ，２０ｂとが車両前後方向において高い精度で位置合わせされる必要がある。しかしながら、フロントハウジング２１は樹脂で形成されるため、フロントハウジング２１の形状の精度を確保するのは難しい。このため、第１のガイド溝２１ａとレール側ガイド溝１６とが接続された場合には、それらの間の組付誤差や製造ばらつきによって対向面４２ａ，３２ａ間に段差が生じ易い。このような問題は、同一材質間においても生じる。対向面４２ａ，３２ａ間の段差によって、第１のベルト２４は、第１のガイド溝２１ａとレール側ガイド溝１６との間の隙間３９付近において受け渡される際に、その厚さ方向に移動（位置ずれ）することがある。しかし、このような場合であっても、第１のベルト２４と対向面３２ａとの間にはクリアランスＬが確保されているため、同第１のベルト２４のラック歯２６が対向面３２ａに干渉することを抑制でき、異音の発生を低減できる。なお、上述した受け渡し構造は、第３のガイド溝２１ｃと右側ガイドレール１３ａのレール側ガイド溝１６との間においても同様であるため、その説明を割愛する。

　以上の構成において、電動モータ２２の駆動に基づき駆動歯車２３が回転すると、第１のベルト２４及び第２のベルト２５は、第１～第４のガイド溝２１ａ～２１ｄ（正確には、それらの駆動側嵌合部３１ａ等）に沿って移動する。これにより、第１のベルト２４がその厚さ方向に移動することが阻止され、特にラック歯２６が第１側壁３２に干渉することを抑制できる。また、前述したように、各ガイド溝２１ａ～２１ｄには、間欠的に配置された複数の押さえ部３５や蓋部３４が設けられている。これら押さえ部３５及び蓋部３４の駆動側嵌合部３５ａ，３４ａに、両ベルト２４，２５の上側の摺動部２９が嵌合されているため、両ベルト２４，２５は各ガイド溝２１ａ～２１ｄに対して上側へ位置ずれすることが抑制される。また、前述のように、組付誤差等による第１及び第３のガイド溝２１ａ，２１ｃとレール側ガイド溝１６との間の段差で両ベルト２４，２５がその厚さ方向に移動した場合においても、両ベルト２４，２５と第１側壁３２との間にクリアランスＬが確保されているため、両ベルト２４，２５、特にラック歯２６が第１側壁３２に干渉することが抑制される。これにより、両ベルト２４，２５の移動中に生じる振動及び異音等を低減することができる。

　本実施形態は、以下の利点を有する。
　（１）各ベルト２４，２５の一対の摺動部２９が対応する駆動側嵌合部３１ａ，３５ａ，３４ａもしくはレール側嵌合部２０ａ，２０ｂに摺動可能に嵌合することで、ガイド溝１６，２１ａ～２１ｄの対向面４２ａ，３２ａに向かって各ベルト２４，２５のラック歯２６が移動することが規制される。これにより、両ベルト２４，２５の移動中においても、ラック歯２６と対向面４２ａ，３２ａとの間に常に隙間を確保することができる。従って、例えば側壁４２，３２の成形時に対向面４２ａ，３２ａに段差（例えば金型の継ぎ目など）が生じたり、対向面４２ａ，３２ａに切り欠きを設けたりしても、両ベルト２４，２５の移動時にラック歯２６がこれら段差等と干渉することを抑制することができ、これに起因する異音及び振動の発生を抑制することができる。また、両ベルト２４，２５が対応する第１～第４のガイド溝２１ａ～２１ｄから対応するレール側ガイド溝１６に進入する際、若しくは対応するレール側ガイド溝１６から対応する第１～第４のガイド溝２１ａ～２１ｄに進入する際、レール側ガイド溝１６又は第１～第４のガイド溝２１ａ～２１ｄの端部で側壁４２，３２とラック歯２６とが干渉することを抑制することができ、これに起因する異音及び振動の発生を抑制することができる。

　（２）両ベルト２４，２５は、対応するガイド溝１６，２１ａ～２１ｄのそれぞれにおいて、各々の対向面４２ａ，３２ａに向かってラック歯２６が移動することが規制される。これにより、各ガイド溝１６，２１ａ～２１ｄにおいて、ラック歯２６と対向面４２ａ，３２ａとの間に所要の隙間を確保することができる。従って、例えば製造ばらつきや組付誤差等で、第１～第４のガイド溝２１ａ～２１ｄとレール側ガイド溝１６との境界位置で対向面４２ａと対向面３２ａとの間に段差が生じても、前記隙間の範囲で当該段差を吸収することで、両ベルト２４，２５の移動時におけるラック歯２６の干渉を抑制することができ、これに起因する異音及び振動の発生を抑制することができる。

　（３）傾斜部３７は、第１のガイド溝２１ａの端部及び第３のガイド溝２１ｃの端部に向かうに従い対向面３２ａとラック歯２６との間のクリアランスＬが漸増するように延びている。従って、レール側ガイド溝１６から第１のガイド溝２１ａ若しくは第３のガイド溝２１ｃに両ベルト２４，２５が進入する際、それら端部において側壁３２とラック歯２６とが干渉することをより確実に抑制することができる。また、第１のガイド溝２１ａ及びレール側ガイド溝１６の間の組付誤差や製造ばらつきがあっても、クリアランスＬにより側壁３２とラック歯２６とが干渉することが抑制されるため、第１のガイド溝２１ａ及びレール側ガイド溝１６間の位置合わせの精度の管理が容易となる。

　（４）各ベルト２４，２５は、その幅方向両側に形成された一対の摺動部２９が、駆動側嵌合部３１ａ，３５ａ若しくはレール側嵌合部２０ａ，２０ｂに嵌合することで、ラック歯２６に対向する第１～第４のガイド溝２１ａ～２１ｄ若しくはレール側ガイド溝１６の対向面４２ａ，３２ａの形状に制約を受けることなく、より安定した状態で移動することができる。特に、傾斜部３７が形成されている箇所においても、他の箇所と同様に駆動側嵌合部３１ａ，３５ａにより両ベルト２４，２５の移動を案内できる。

　（５）駆動歯車２３の各歯は、その上部の外径が下部の外径よりも小さい、略円錐台形を成している。すなわち、駆動歯車２３の各歯において、その外径が上部から下部に向かって徐々に小さくなるように形成されている。従って、両ベルト２４，２５は駆動歯車２３に常に最小の隙間で噛合することができる。

　なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
　上記実施形態においては、ベルト部２７は、その幅方向両側部に摺動部２９を有しているが、摺動部２９の位置及び形状はこれに限定されない。例えば、図９に示されるように、第１のベルト２４の背面２８に第１のベルト２４の長手方向に亘って延びる断面略Ｔ字状の摺動部５０を形成してもよい。この場合には、各ガイド溝２１ａ～２１ｄの経路に沿って第１側壁３２に前記摺動部５０に嵌合する断面略Ｔ字の嵌合溝３８を形成する。また、図１０に示されるように、第１のベルト２４の背面２８に第１のベルト２４の長手方向に亘って延びる断面略台形状の摺動部５１を形成してもよい。この場合には、各ガイド溝２１ａ～２１ｄの経路に沿って第１側壁３２に前記摺動部２９に嵌合する断面略台形状の嵌合溝５２を形成する。これらの構成により、第１のベルト２４の上下及び水平方向への移動が規制されつつ、第１のベルト２４の長手方向（図９及び図１０紙面方向）への移動が可能となる。なお、以上のように第１のベルト２４の背面２８に摺動部２９が設けられる構成とした場合には、第１のベルト２４の円滑な受け渡しのために、第１のベルト２４の背面２８に対向する傾斜部３７を省略する必要がある。

　上記実施形態においては、両ガイドレール１３ａ，１３ｂはアルミニウムで形成され、第１～第４のガイド溝２１ａ～２１ｄを備えるフロントハウジング２１は樹脂で形成されている。両ガイドレール１３ａ，１３ｂ及びフロントハウジング２１の材質はこれに限定されず、例えば、すべて樹脂または金属で形成してもよい。

　上記実施形態においては、両ベルト２４，２５の厚さ方向において傾斜部３７が形成されている。しかし、当該傾斜部３７は、少なくとも両ベルト２４，２５のラック歯２６に対向する位置に形成されていればよく、背面２８に対向する傾斜部３７は省略可能である。

　上記実施形態において、フロントハウジング２１（底壁３１）上に、ガイド溝２１ａ～２１ｄ等を補強するためのリブを一体形成してもよい。
　上記実施形態において、駆動歯車２３の位置で車両幅方向両側に２分割されたフロントハウジングを採用してもよい。

　上記実施形態において、透孔３６は省略してもよい。
　上記実施形態においては、ガイド溝２１ａ～２１ｄにベルト２４，２５を保持していたが、これに限らず、ベルト２４，２５をケーシングパイプ内に保持するタイプであっても本発明を適用可能である。すなわち、ケーシングパイプの内部に嵌合部３１ａ，３５ａを設けたり、ガイドレール１３ａ，１３ｂに傾斜部３７を設けたりすることで、ベルト２４，２５及びケーシングパイプ間の干渉による異音等を低減することができる。

　１１…ルーフ、１２…開口部、１３ａ…右側ガイドレール、１３ｂ…左側ガイドレール、１４…作動機構、１５…可動パネル、１６…レール側ガイド溝、２１…フロントハウジング（ハウジング）、２０ａ，２０ｂ…レール側嵌合部、２１ａ～２１ｄ…第１～第４のガイド溝（案内部）、２２…電動モータ（駆動源）、２３…駆動歯車、２４…第１のベルト、２５…第２のベルト、２６…ラック歯、２７…背面、２９，５０，５１…摺動部、３１…底壁、３１ａ，３４ａ，３５ａ…駆動側嵌合部、３２…第１側壁、３３…第２側壁、３５…押さえ部、３５ａ…駆動側嵌合部、３６…透孔。

Claims

　車両ルーフに設けられた開口部を開閉可能にする可動パネルと、
　前記開口部の車両幅方向の両側縁部において車両前後方向に延びて配置されるように適合された一対のガイドレールと、
　前記各ガイドレールによって案内され前記可動パネルを支持する作動機構と、
　駆動源により回転駆動される駆動歯車と、
　前記駆動歯車と噛合し且つ前記各作動機構に連結される歯付きベルトであって、その長手方向に沿って配置された複数のラック歯を有する、歯付きベルトと、
　前記駆動歯車と前記各ガイドレールとの間において、対応する前記歯付きベルトを包囲するように延びて同歯付きベルトの移動を案内する駆動側案内部と、
　前記各ガイドレールに形成され、前記歯付きベルトを包囲するように前記作動機構へと延びて前記歯付きベルトの移動を案内するレール側案内部と、
　前記各歯付きベルトに一体形成される摺動部と、
　前記各駆動側案内部及び前記各レール側案内部の少なくとも一方に形成され、前記摺動部と摺動可能に嵌合する嵌合部であって、前記各歯付きベルトの前記ラック歯が対応する前記駆動側案内部又は前記レール側案内部の対向面に向かって移動することを規制する、嵌合部と
を備える、車両用ルーフ装置。
　請求項１に記載の車両用ルーフ装置において、
　前記嵌合部は、前記各駆動側案内部に形成された駆動側嵌合部及び前記各レール側案内部に形成されたレール側嵌合部を含む、車両用ルーフ装置。
　請求項２に記載の車両用ルーフ装置において、
　前記各レール側案内部に繋がる前記駆動側案内部の端部には、レール側案内部に近接するに従い前記対向面と前記ラック歯との隙間を漸増させる傾斜部が設けられている、車両用ルーフ装置。
　請求項１～３のいずれか一項に記載の車両用ルーフ装置において、
　前記摺動部は、前記各歯付きベルトの幅方向両側に形成され、かつ、該歯付きベルトの長手方向に延在しており、
　前記嵌合部は、前記各歯付きベルトの両摺動部にそれぞれ対向するように配置された第１嵌合部及び第２嵌合部を含む、車両用ルーフ装置。