WO2010027003A1 - 細胞検出方法及び該方法に用いるマイクロアレイチップ - Google Patents

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Abstract

本発明は、複数の細胞を含む試料から、該試料に含まれる特定の細胞を検出するための検出方法を提供することを課題とする。複数の細胞を含む試料から、該試料に含まれる特定の細胞を検出するための検出方法であって、(1)複数のマイクロチャンバーを備えたマイクロアレイチップであって、該マイクロチャンバー1つあたりに複数の細胞を格納可能であるマイクロアレイチップに、該試料中の細胞を保持させる工程、及び(2)該マイクロアレイチップに保持された細胞において、特定の細胞の有無を確認する工程、を含有する検出方法により、当該課題を解決することができる。

Description

細胞検出方法及び該方法に用いるマイクロアレイチップ
 本発明は、複数の細胞を含む試料から、該試料に含まれる特定の細胞を検出するための検出方法に関する。また、本発明は、複数の細胞を含む試料から、該試料に含まれる特定の細胞を検出するための検出用キットに関する。また、本発明は、複数のマイクロチャンバーを備えており、該マイクロチャンバー1つあたりに複数個の細胞を格納可能であるマイクロアレイチップに関する。さらにまた、本発明は、複数のマイクロチャンバーを備えたマイクロアレイチップを用いて薬剤候補物質をスクリーニングする方法に関する。
 様々な種類の複数の細胞が含まれる試料から特定の細胞のみを検出することは、非常に幅広い分野にわたって必要とされている。特に医学、薬学に関連するバイオテクノロジーの研究開発及び臨床現場においては、多数の細胞中において、特定の細胞(例えば、特定の物質を有する又は産出する細胞、あるいは病原菌に感染した細胞や癌細胞等)の有無を確認することは、実験の進行や病気の診断のために非常に重要である。
 しかしながら、特に特定の細胞の存在割合が低い場合、多くの細胞が存在する試料中から当該特定の細胞を検出することは困難である。
 例えば、感染症の一つとして、マラリア原虫が赤血球細胞に感染することにより生じるマラリア原虫感染症があるが、該感染症の検出・診断方法としては次のものが例示される。
 例えば、血液細胞をスライドガラスに塗抹、乾燥し、ギムザ染色した後に顕微鏡下でマラリア原虫による感染の有無・程度を観察する方法がある。該方法は染色操作を行うだけで顕微鏡による観察が可能であり、簡便という利点を有する。しかしながら、該方法による検出・診断には時間と高度な観察技術を必要とし、さらに検出感度は非常に低い。例えば、該方法の所要時間は40分と長く、全血液細胞のうち少なくとも0.01%程度の細胞が感染している場合にかろうじて検出できる程度であり、検出感度(検出限界)は高くない。
 別の例としては、イムノクロマトグラフィー法を利用してマラリア原虫による感染の有無・程度を検査・診断する方法がある。該方法も広く知られており、検査が簡便に実施できるように検査キットも販売されている。このため、このような検査キットを使用した場合には、さらに簡単な操作で感染の有無・程度を観察できる。イムノクロマトグラフィー法の所要時間は20分程度と短時間ではあるが、その検出感度は顕微鏡下での観察と同程度であり高くない。また、イムノクロマトグラフィー法は擬陽性も出やすいことから前述の顕微鏡下での観察との併用が常である。
 別の方法としては、PCR法を利用してマラリア原虫による感染の有無・程度を検査・診断する方法がある。該方法は、前述の顕微鏡下での観察等とは異なり比較的高い検出感度を有する。しかしながら、PCR法では結果を得るまでに5時間程度を要し、また操作が煩雑で高度な技術を要する。また、試料の状態やプライマーによっては反応条件設定が難しく検出できない場合もある。従ってPCR法単独では感染診断には向いていない。
 このように、例えばマラリア原虫感染症において、従来の検出・診断方法には検出までに長時間を要する、高度な技術を要する、検出感度が低い等の欠点がある。このため、迅速、簡便かつ検出感度が高い新しい感染症の検出方法が求められている。
 一方、これまでに種々のマイクロアレイチップが報告されており、細胞の検出等に応用されている。例えば、特許文献1には、マイクロチャンバーを集積化し、ヒーター等と連結し、ハイスループットに生体試料の生化学反応等を行うシステムが報告されている。しかしながら、該システムは細胞レベルで検出できるほど感度が高いとはいえず、膨大な数の細胞中に混在する少数の標的細胞を高感度に検出することは困難である。
 また、特許文献2には、ポリマーを基板上にパターニングして、これに何らかの物質を固定させ、固定された該物質に細胞を作用させることにより、該物質の細胞に対する作用を観察する技術が報告されている。しかしながら、該技術においては各パターンに一定数の細胞を固定化することは困難であり、また膨大な数の細胞中に混在する少数の標的細胞を高感度に検出することは困難である。
 また、特許文献3には、1つのリンパ球が格納されるように設計されたマイクロウェルを多数集積化したアレイチップが報告されている。しかしながら、該マイクロウェルには一細胞しか導入できないため、アレイチップ上に集積化されたマイクロウェル数以上の細胞をスクリーニングすることは困難である。従って、当該アレイチップにおいても、膨大な数(100~1000万個)の細胞中に混在する少数の標的細胞を高感度に検出することは困難である。またさらに、当該アレイチップのマイクロウェルでは、導入された細胞をさらに培養やPCRすることは極めて困難であると考えられる。
 このように、従来のマイクロアレイチップを用いる方法であっても、膨大な数の細胞中に混在する少数の標的細胞(特定の細胞)を高感度に検出することは困難である。
 このことから、例えば前述のマラリア原虫感染症をはじめとする種々の感染症に感染した細胞、また、これ以外の種々の標的細胞(特定の細胞)を迅速、簡便かつ高感度に検出可能な新しい検出手段が求められている。また、ベッドサイド等でも容易に使用可能な新しい検出手段が求められている。しかしながら、このような検出手段はこれまでに報告されていない。
特表2004-502929号公報 特開2004-125781号公報 特開2004-187676号公報
 本発明は、膨大な数の細胞中に混在する少数の標的細胞(特定の細胞)を高感度に検出できる方法を提供することを目的とする。また、本発明は、膨大な数の細胞中に混在する少数の標的細胞(特定の細胞)を高感度に検出を可能とする検出キットを提供することを目的とする。また、本発明は、膨大な数の細胞中に混在する少数の標的細胞(特定の細胞)を高感度に検出できるマイクロアレイチップを提供することを目的とする。
 本発明者らが上記課題に鑑み鋭意検討を行ったところ、複数のマイクロチャンバーを備えたマイクロアレイチップであって、該マイクロチャンバー1つあたりに複数個の細胞を格納可能であるマイクロアレイチップを使用することにより、標的とする特定の細胞を迅速、簡便かつ高感度に検出できることを見出した。また、本発明者らは、該マイクロアレイチップに備えられた各マイクロチャンバーに、複数個の細胞を格納できるだけでなく、該マイクロチャンバーの大きさ等を変更することにより、各マイクロチャンバーに格納される細胞数を任意の一定数に制御できることを見出した。また、本発明者らは、複数のマイクロチャンバーを備えており、該マイクロチャンバー1つあたりに複数個の細胞を格納可能であり、かつ表面の水接触角が10°以下であるマイクロアレイチップを用いた場合には、標的とする細胞を各マイクロチャンバーに一定数かつ均一に格納させることができ、また標的とする細胞を一枚のマイクロアレイチップに多数保持させることができ、これにより標的とする細胞を迅速、簡便かつ高感度に検出できることを見出した。
本発明は上記知見に基づきさらに検討を重ねた結果完成されたものであり、例えば以下の項に記載の発明を包含する。
検出方法
項1.
複数の細胞を含む試料から、該試料に含まれる特定の細胞を検出するための検出方法であって、
(1)複数のマイクロチャンバーを備えたマイクロアレイチップであって、該マイクロチャンバー1つあたりに複数の細胞を格納可能であるマイクロアレイチップに、該試料中の細胞を保持させる工程、及び
(2)該マイクロアレイチップに保持された細胞において、特定の細胞の有無を確認する工程
を含有する検出方法。
項2.
前記マイクロチャンバーの(内径:深さ)の比が(1:0.35~1)である、項1に記載の検出方法。
項3.
前記マイクロチャンバーが、内径が20~500μm、深さが20μm以上である、項2に記載の検出方法。
項4.
前記特定の細胞が感染症原因病原体の感染した細胞である、項1~3のいずれかに記載の検出方法。
項5.
前記感染症原因病原体がマラリア原虫類である、項4に記載の検出方法。
項6.
前記複数の細胞を含む試料が複数の血液細胞を含む試料である、項1~5のいずれかに記載の検出方法。
項7.
前記マイクロアレイチップが、前記マイクロチャンバー1つあたりに少なくとも10個以上の細胞を格納可能である、項1~6のいずれかに記載の検出方法。
項8.
前記マイクロアレイチップが、少なくとも1000個以上の前記マイクロチャンバーを備えている、項1~7のいずれかに記載の検出方法。
項9.
 前記マイクロアレイチップの表面の水接触角が10°以下である、項1~8のいずれかに記載の検出方法。
検出用キット
項10.
 複数のマイクロチャンバーを備えたマイクロアレイチップであって、該マイクロチャンバー1つあたりに複数の細胞を格納可能であるマイクロアレイチップを含有する、複数の細胞を含む試料から該試料に含まれる特定の細胞を検出するための検出用キット。
項11.
前記複数の細胞を含む試料が複数の血液細胞を含む試料であり、前記特定の細胞が感染症原因病原体の感染した血液細胞である、項10に記載の検出用キット。
マイクロアレイチップ
項12.
 複数のマイクロチャンバーを備えており、該マイクロチャンバー1つあたりに複数の細胞を格納可能であり、かつ表面の水接触角が10°以下であるマイクロアレイチップ。
項13.
前記マイクロチャンバーの(内径:深さ)の比が(1:0.35~1)である、項12に記載のマイクロアレイチップ。
項14.
前記マイクロチャンバーが、内径が20~500μm、深さが20μm以上である、項13に記載のマイクロアレイチップ。
項15.
 前記マイクロチャンバーが格子状に配置されており、各該マイクロチャンバーの最短距離が10~300μmである、項12~14のいずれかに記載のマイクロアレイチップ。
項16.
前記マイクロチャンバー内に細胞が保持された、項12~15のいずれかに記載のマイクロアレイチップ。
薬剤候補物質のスクリーニング方法
項17.
複数のマイクロチャンバーを備え、該マイクロチャンバー中には細胞が保持されているマイクロアレイチップを用いて、薬剤候補物質をスクリーニングする方法であって、
(1)該細胞が保持されたマイクロチャンバーに薬剤候補物質を添加する工程、
(2)該薬剤候補物質が該細胞に与える影響を測定し、所望の活性を示す物質を選択する工程、
を含む、薬剤候補物質のスクリーニング方法。
項18.
前記工程(1)の後、前記マイクロチャンバー中で細胞を培養し、前記工程(2)に供することを特徴とする、項17に記載の薬剤候補物質のスクリーニング方法。
項19.
前記マイクロチャンバーの(内径:深さ)の比が(1:0.35~1)である、項17又は18に記載の薬剤候補物質のスクリーニング方法。
項20.
前記マイクロチャンバーが、内径が20~500μm、深さが20μm以上である、項19に記載の薬剤候補物質のスクリーニング方法。
検出方法
 本発明の検出方法によれば、従来の検出方法と比較して、複数の細胞を含む試料から、該試料に含まれる特定の細胞を迅速、簡便かつ高感度に検出することができる。
検出用キット
 本発明の検出用キットによれば、複数の細胞を含む試料から、標的とする特定の細胞を迅速、高感度かつより簡便に検出することができる。
マイクロアレイチップ
 本発明のマイクロアレイチップによれば、複数の細胞を含む試料から、標的とする特定の細胞を迅速、高感度かつより簡便に検出することができる。
薬剤候補物質のスクリーニング方法
 本発明の薬剤候補物質のスクリーニング方法により、種々の薬剤候補物質が細胞に与える影響を簡便かつ迅速に測定し、所望の活性を示す物質を効率よく選択することができる。
(a)検出方法
 以下、本発明の検出方法について説明する。
 本発明の検出方法では、1つのマイクロアレイチップに、多数の細胞を保持させ、この中から検出標的となる特定の細胞を検出する。例えば100万個程度という多数の細胞であっても1つのマイクロアレイチップに保持させることができ、そしてこのうち標的とする特定の細胞が一つしか存在しない場合であっても、この特定の細胞を検出することができる。この場合、本発明の検出方法によれば細胞が試料中に0.0001%しか存在していなくとも、特定の細胞を検出することが可能であるといえる。
 本発明の検出方法において、検出標的となる特定の細胞、及びこれを含む多数の細胞(すなわち、細胞群)は特に限定されない。
 例えば、特定の遺伝子を発現している細胞や、核酸、タンパク質、脂質、糖等の生体物質が通常より過剰である、又は不足している細胞を、特定の細胞として種々の細胞群から検出することができる。このような特定の細胞は自然界に存在する細胞であってもよいし、人為的処理が施された細胞であってもよい。当該自然界に存在する細胞としては、特に限定されないが、例えば病原細胞、病変細胞、病原菌又は病原生物に感染された細胞、突然変異した細胞、特定の性質を有する未知の細胞等が挙げられる。また、当該人為的処理は特に限定されないが、例えば物理的処理(例:電磁波照射)、化学的処理(例:薬剤処理)、遺伝子工学的処理(例:遺伝子組み換え処理)等を挙げることができる。
 また、このような人為的処理のうち、細胞に与える影響が既知である処理を細胞群に施し、当該影響が表れない細胞又は当該影響がより強く表れる細胞を特定の細胞として検出することもできる。例えば、薬剤処理へ耐性又は高感受性を示す細胞を特定の細胞として検出することができる。
 また、当該細胞群も特に限定はされない。単細胞生物の群はもちろん、多細胞生物由来の細胞の群であってもよい。多細胞生物由来の細胞としては、例えば生物の正常組織又は病態組織から得られた細胞、及びこれらの細胞に由来する培養細胞等が挙げられる。また、これらの細胞を得る生物は特に限定されない。例えば動物由来細胞又は植物由来細胞であってよく、より具体的には例えば脊椎動物(特に哺乳類及び鳥類)由来細胞、昆虫由来細胞、植物培養細胞等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、同一の細胞の群であっても、複数種の細胞が混在する群であってもよい。
 本発明の検出方法を用いて特定の細胞を検出する、より具体的な例としては、例えば、マラリア原虫感染症患者の血液細胞中から、マラリア原虫感染赤血球を検出する例が挙げられる。マラリア原虫感染症であれば、100万個程度という多数の血液細胞中感染した血液細胞が一つしか存在しない場合であっても、この感染した血液細胞を検出することができる。また、例えば、癌細胞群中に存在する癌幹細胞を探索するにあたっても、好ましく用いることができる。さらに、例えば、人為的処理された細胞の群のなかから、当該処理により特定の性質を有するようになった細胞を選択することができる。また、特に強く当該特定の性質を有する細胞を選択することもできる。より具体的には、例えば、遺伝子組み換え処理により特定の物質を生産するよう形質転換させた複数の細胞の中から、特に効率よく当該物質を生産する細胞を検出することもできる。あるいは、例えば、電磁波照射処理若しくは薬剤処理により特定の機能を失った細胞を検出することができる。また、これらの処理に対し耐性又は高感受性を有する細胞を検出することができる。
 また、本発明の検出方法によれば、迅速、簡便かつ高感度に、例えば上述のような特定の細胞を検出することができるので、研究室のみならず、例えば臨床現場等においても好適に用いることができる。
 研究室においては、例えば、特定の性質(例えば薬剤耐性、薬剤感受性、特定遺伝子の発現、特定生体物質の過剰含有又は不足、等)を有する細胞の検出(ひいてはスクリーニング)、及び検出した細胞のさらなる解析等に用いることができる。特定の細胞を検出した後の解析としては、特に限定されないが、例えば、マイクロチャンバー内で色素又は蛍光染色やPCR解析、培養等を行うことができる。また、マイクロチャンバーから当該細胞を回収して培養し、さらに種々の解析に供することもできる。
 臨床現場においては、例えば、病気の診断(特に細胞診)に好適に用いることができる。病気が疑われる人間の組織を回収し、当該組織の細胞群中に病原細胞、病変細胞、病原菌又は病原生物に感染された細胞等が存在しないかを検出し、診断に役立てることができる。またさらに、このようにして検出された該各種細胞の薬剤耐性や感受性の調査、PCRやFISH等による遺伝子解析等をマイクロチャンバー内で行うこともできる。また、マイクロチャンバー内外において、当該各種細胞を培養してその性質をさらに詳細に検討することもできる。より具体的には、例えばベッドサイド等において、感染症に感染したおそれのある患者のそばで感染細胞の有無・程度を迅速に把握することができる。また、外科的手術により採取された癌(例えば血液癌)組織を用いて、抗ガン剤に耐性又は感受性を有する癌細胞がどの程度の割合で存在するのかを検討し、治療に役立てることもできる。
 また、本発明の検出方法では、複数の細胞(細胞群)をマイクロアレイチップが備える各マイクロチャンバーに格納(保持)させた後、この格納された細胞中、検出標的である特定の細胞を特異的に検出し得る標識を施すことができる。また、複数の細胞(細胞群)を含む試料において、検出標的とする特定の細胞をあらかじめ標識しておくことも可能である。特定の細胞を予め標識しておく方が、標識効率が均一になりやすいため、好ましい。このような標識の方法としては特に限定されず、検出標的である特定の細胞の性質に応じて適宜選択することができるが、検出の簡便性及び毒性等を考慮すると、特に蛍光標識が好適である。そして、該標識の有無(例えば蛍光標識の有無)に基づき当該特定の細胞を検出することができ、さらに、検出される標識の数(例えば蛍光標識の数)に基づけば、試料中の細胞のうち特定の細胞がどの程度存在しているのかについて定量的な分析を行うこともできる。またさらに、該標識の強度(例えば蛍光標識の蛍光強度)に基づき、検出した特定の細胞が有する性質の強度を分析することもできる。具体的には例えば、標的とする特定の細胞が感染症病原体に感染された細胞である場合は、当該定量的データや個々の細胞の標識の強さ(例えば蛍光標識の場合は蛍光強度)に着目することにより、感染症の重傷度やステージを分析することもできる。また、標的とする特定の細胞が人為的処理により特定の性質を与えられた細胞である場合は、その特定の人為的処理により当該特定の性質を与えることのできる割合や各細胞の有する当該性質の発現強度を求めることができる。よって、どのような人為的処理によりどの程度の効率で細胞の性質を変化させることができるか、またどのように性質を変化させることができるかを検討することができる。
 また、本願の検出方法によれば、マイクロアレイチップに備えられたマイクロチャンバー内に細胞が格納される。このため、本願の検出方法においては、検出時、標的とする特定の細胞がマイクロアレイチップのどの部分に存在しているのかが分かり易い。このことから、検出後、当該特定の細胞の回収やPCR法による更なる分析等を容易に行うことができる。
 また、本願の検出方法においては、マイクロアレイチップに備えられた各マイクロチャンバー内に細胞を均一かつ効率よく格納させることが可能である。すなわち、本願の検出方法においては、マイクロアレイチップに備えられた各マイクロチャンバーには、ほぼ同数の細胞を格納させることができる。
 なお、特に限定されないが、備えるマイクロチャンバーの(内径:深さ)の比が例えば(1:0.35~1)である場合、該マイクロチャンバーの底に細胞を均一に一層(単層)として保持させることができる。すなわち、各マイクロチャンバーの底辺に、ほとんど重複することなく細胞を保持することができる。このため、マイクロチャンバー内で細胞が重なり、検出標的である特定の細胞が他の細胞の下に位置することになって、検出が困難になるなどの問題が起きにくい。また、単層であることにより、顕微鏡で観察する際に焦点を容易に合わせることができる。共焦点レーザー顕微鏡による観察においても、バックグラウンドを抑制でき、高感度での観察が可能となる。
また、特に限定されないが、本発明の検出方法に用いるマイクロアレイチップは、下述する本発明のマイクロアレイチップであることが好ましい。
 本発明の検出方法を適用できる、複数の細胞を含む試料は特に限定されず、検出標的となる特定の細胞が存在する細胞群を含む可能性のある試料であればよい。このような細胞群及び検出標的となる特定の細胞として以下に具体的な例を挙げるが、これらに限定されるわけではない。
(a)-1.検出標的となる特定の細胞例
(a)-1-1.感染症における感染血液細胞
 本発明の検出方法により感染症における感染血液細胞を検出することができる。感染症としては、マラリア原虫類に代表される原虫感染症、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に代表されるウイルス感染症、結核菌に代表される細菌感染症等が例示される。
 これらの感染症のうち、例えばマラリア原虫類による感染症では、マラリア原虫類が赤血球に感染する。この場合、本発明の検出方法における検出対象である特定の細胞はマラリア原虫類に感染した血液細胞、すなわちマラリア原虫類に感染した赤血球である。マラリア原虫類は、熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、四日熱マラリア原虫及び卵形マラリア原虫の4種類が例示される。
 また、例えばHIV感染症では、HIVがある種のリンパ球(T細胞)に感染する。この場合、本発明の検出方法における検出対象である特定の細胞は、HIVに感染した血液細胞、すなわちHIVに感染したある種のリンパ球(T細胞)である。HIVには、HIV-1、HIV-2の2種類が例示される。
 また、例えば結核では、結核菌がある種の白血球細胞(単球)に感染する。この場合、本発明の検出方法における検出対象である特定の細胞は、結核菌に感染した血液細胞、すなわち結核菌に感染したある種の白血球細胞(単球)である。
 本発明の検出方法は当然にこのほかの感染症における感染血液細胞も検出の対象とする。
 また、血液細胞としては血液に含まれる細胞であれば限定されない。血液細胞として赤血球、血小板、白血球(リンパ球、単球、好中球、好酸球、好塩基球)が例示される。例えば、これら血液細胞を複数含む試料を、本発明の検出方法へ供する、複数の細胞を含む試料として用いることができる。例えば、複数の血液細胞を含む血液や体液を当該試料として用いることができる。
(a)-1-2.培養細胞中のマーカー発現細胞
 本発明の検出方法により、培養細胞中の特定の細胞を検出することができる。培養細胞は特に限定されないが、哺乳類又は昆虫由来の細胞株(例えばHEK293細胞、Hela細胞、3T3細胞、COS-7細胞、CHO細胞、Jurkat細胞、Sf9細胞等)や酵母が好ましく例示できる。
 特に限定されないが、本発明の検出方法は標的とする特定の細胞が試料中に極微量しか存在していなくとも(例えば試料の細胞中の存在割合が0.0001%であっても)、該特定の細胞を十分に検出することが可能であるため、検出標的となる特定の細胞の存在割合が非常に小さい試料を用いるときに特に有利である。このような例としては、例えば癌細胞群中に存在する癌幹細胞を挙げることができる。癌幹細胞は、自己複製能と増殖能を有し、悪性腫瘍(癌)にごくわずか存在しており、幹細胞と同様のマーカー(例えばCD34、CD133、CD117、Sca-1等)を発現していると言われており、本発明の検出方法によれば、好ましく検出することができると考えられる。
 またあるいは、特定の遺伝子やタンパク質を発現している細胞も、本発明の検出方法の検出対象である。
(a)-2.マイクロアレイチップ
 本発明の検出方法においては、複数のマイクロチャンバーを備えており、かつ該マイクロチャンバー1つあたりに複数個の細胞を格納可能であるマイクロアレイチップを使用することができる。このようなマイクロアレイチップであれば限定されない。
 マイクロアレイチップの基板は限定されず、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、環状オレフィンコポリマー(COC)等のポリマー、シリコン等の金属、ガラス、石英ガラス、またポリマーとガラスや金属等を張り合わせたような複数の素材を組み合わせたもの(例えばPDMSとガラス)等が例示される。好ましくは、ポリスチレン、PMMA、ガラス、シリコン等である。
 マイクロアレイチップの大きさは限定されず、検出標的である特定の細胞を検出・測定する装置に応じて適宜選択される。
 該マイクロアレイチップにはマイクロチャンバーが形成されている。マイクロチャンバーは基板に直接加工を施すことにより作製してもよく、マイクロ貫通孔もしくはマイクロチャンバーが形成されたフィルムをこれらの基板に貼り付けることにより作製してもよい。好ましくは、マイクロチャンバーはこれらの基板に直接加工を施すことにより作製される。この場合、マイクロチャンバーは半導体研究分野における微細加工技術であるリソグラフィー法(光リソグラフィー、電子線リソグラフィー等)によって作製することはもちろんのこと、マイクロドリル等を用いて穴をあける掘削加工技術、レーザー加工等あらゆる微小穴をあける技術によって作製することができる。例えば、LIGA(Lithographie Galvanoformung Abformung)プロセス等が例示される。
 該マイクロアレイチップには、必要に応じて表面処理を施すことができる。表面処理方法は限定されず、プラズマ処理、コロナ放電処理等が例示される。好ましくは、プラズマ処理であり、酸素プラズマ処理等が例示される。例えば、マイクロアレイチップの基板が疎水性の材料(ポリスチレン、PMMA等のポリマー)である場合には、酸素プラズマ処理等の親水化処理を行うことが好ましい。また、マイクロアレイチップの基板が親水性の材料(シリコンやガラス等)である場合には、このような処理をする必要はない。さらに、タンパク質や脂質等でコーティングして表面処理をして調整しても良い。
 マイクロチャンバーの形状は特に限定されない。マイクロチャンバーの形状としては円筒形、逆半球形、逆円錐形、逆角錐形(逆三角錐形、逆四角錐形、逆五角錐形、逆六角錐形、七角以上の逆多角錐形)、直方体等、さらにこれらの形状の二つ以上を組み合わせた形状が例示される。前記円筒形や直方体の場合はマイクロチャンバーの底部は通常平坦であるが、曲面、凸面、凹面とすることもできる。また、前記逆円錐形や逆角錐形の場合は底面がマイクロチャンバーの開口となるが、逆円錐形、逆角錐形の頂上から一部を切り取った形状(マイクロチャンバーの底部は平坦な形状)も例示できる。さらに、逆円錐形、逆角錐形の頂上から一部を切り取った形状の場合は、前述と同様に、マイクロチャンバーの底部を曲面等とすることもできる。マイクロチャンバーの形状は好ましくは円筒形、逆半球形、逆円錐形、逆角錐形であり、より好ましくは円筒形、逆半球形であり、最も好ましくは円筒形である。また、マイクロチャンバーは、一枚のマイクロアレイチップにおいて、好ましくは一種類の形状からなる。
 マイクロチャンバーに格納される細胞数は、試料中に含まれる全細胞の濃度、試料中に含まれる全細胞に占める検出標的である特定の細胞の割合、後述するマイクロチャンバーの寸法及び数等に応じて適宜決定される。また、マイクロアレイチップに保持される細胞数が多ければ多いほど、検出標的である特定の細胞を高感度に検出することができる。
 この観点から、一枚のマイクロアレイチップにできるだけ多数の細胞を保持できることが好ましい。マイクロアレイチップに細胞が保持されるとは、マイクロアレイチップに備えられたマイクロチャンバーに細胞が格納されることであり、従ってマイクロチャンバーの数が多いほど、また1つのマイクロチャンバーに格納できる細胞数が多いほど、マイクロアレイチップは多くの細胞を保持できる。
 特に限定されるわけではないが、一枚のマイクロアレイチップに1万個以上の細胞を保持できるようにすることが好ましい。また、10万個以上がより好ましく、100万個以上がさらに好ましく、1000万個以上がよりさらに好ましい。
 例えば、100万個に1個の割合で存在し得る標的細胞を検出する場合、一枚のマイクロアレイチップに100万個以上の細胞を保持できるようにすることが好ましい。より好ましくは200万~1000万個、さらに好ましくは300万~1000万個の細胞を担持できるようにする。この場合、一枚のマイクロアレイチップに1万個以上のマイクロチャンバーを設けることが特に好ましい。
 このようにマイクロアレイチップに細胞を保持させることができ、かつ各マイクロチャンバーに2個以上の細胞を格納できる限り、各マイクロチャンバーに格納される細胞の数は限定されない。前述と同様に、マイクロアレイチップに保持される細胞数が多ければ多いほど、検出標的である特定の細胞を高感度に検出することができるという観点から、各マイクロチャンバーに10個以上の細胞を格納できるようにすることが好ましく、より好ましくは50~500個、さらに好ましくは100~300個の細胞を格納できるようにする。
 例えば、一枚のマイクロアレイチップに10万個のマイクロチャンバーを設け、各マイクロチャンバーに約10個ずつ細胞を格納させた場合には、マイクロアレイチップ一枚あたり約100万個の細胞が保持されていることとなる。
 このように各マイクロチャンバーに細胞を格納できる限り、各マイクロチャンバーの寸法は限定されない。マイクロチャンバーの寸法は、好ましくは各マイクロチャンバーに同数程度の細胞を格納されるように決定される。このため、各マイクロチャンバーの寸法は同一であることがさらに好ましい。なお、マイクロチャンバーの開口部が円形である場合には、「内径」とはマイクロアレイチップ表面におけるマイクロチャンバーの開口部の直径を意味する。マイクロチャンバーの開口部が円形でない場合には、「内径」とはマイクロチャンバーの開口部の一辺の長さを意味する。また、「深さ」とは、マイクロチャンバーの開口部と、マイクロチャンバーの最も深い場所の距離を意味する。
 特に、マイクロチャンバーの内径と深さは、一定の比の関係にあることが好ましい。具体的には(内径:深さ)の比が(1:0.35~1)であることが好ましく、(1:0.35~0.85)であることがより好ましく、(1:0.4~0.85)であることがさらに好ましく、(1:0.45~0.8)であることがよりさらに好ましい。
 また、マイクロチャンバーの内径は好ましくは20~500μm、より好ましくは20~400μm、さらに好ましくは20~300μm、よりさらに好ましくは30~250μm、特に好ましくは30~200μmである。また、その深さは、内径の値にもよるが、好ましくは20~200μm、より好ましくは20~100μm、さらに好ましくは20~80μm、よりさらに好ましくは20~70μm、特に好ましくは30~70μmである。
 なお、上述の好ましい(内径:深さ)の比により、内径の値が決まれば、マイクロチャンバーの深さの好ましい値を決めることができる。ただし、マイクロチャンバーは細胞を格納するため、20μm以上の深さを有することが好ましい。すなわち、マイクロチャンバーは、内径及び深さが上述の比の関係を有し、内径が上述の値を有し、かつ深さが20μm以上であるものが特に好ましい。
 このようなマイクロチャンバーであれば、細胞をより均一かつ効率よく、単層として、マイクロチャンバーに格納させることができる。
 マイクロチャンバーの数も特に限定されない。前述のように、マイクロアレイチップに保持される細胞数が多ければ多いほど、感染した血液細胞を高感度に検出することができる。この観点から、マイクロチャンバーの数は、一枚のマイクロアレイチップあたり1000個以上、より好ましくは2,000~50,000個、さらに好ましくは2,000~20,000個である。
 各マイクロチャンバーの距離も特に限定されない。図1に示すように、マイクロチャンバーを格子状に配置させる場合、各マイクロチャンバーの最短距離、すなわち図1の(i)の距離は10~300μm、好ましくは50~300μm、より好ましくは100~200μmが例示される。
 例えば、1つのマイクロチャンバーが約100個の細胞を格納し、各マイクロチャンバーの内径が100μm、深さ50~100μmの場合、(i)の距離は100~200μmとすることができる。
 マイクロチャンバーの形状、数、寸法及びマイクロチャンバー間の距離等は、試料中に含まれる全細胞に占める検出標的である特定の細胞の割合、マイクロチャンバー内に格納させたい細胞数、マイクロアレイチップに保持させたい細胞数等に応じて、当業者により適宜決定される。
 また、前述するようにマイクロアレイチップ上に細胞を保持できる限りマイクロアレイチップの表面の状態も限定されない。また、マイクロアレイチップに保持させる細胞の種類にもよるが、マイクロアレイチップの表面は親水性であることが好ましい。具体的には、マイクロアレイチップの表面の水接触角を好ましくは10°以下にすると一層効率よく、また各マイクロチャンバーに同数程度の細胞を均一に単層として格納することができる。この観点から、マイクロアレイチップの表面の水接触角は、より好ましくは8°以下、さらに好ましくは5°以下である。なお、“マイクロアレイチップの表面”とはマイクロチャンバーの内部表面も含む意味である。
 このため、前述のマイクロアレイチップの基板表面の水接触角が前述する好適な範囲にあるものであれば更に処理を施さなくてもよく、前述する好適な範囲にないものは、当該好適な範囲になるよう、その表面が処理されればよい。当業者であれば、細胞の接着の程度等を検討しつつ、最適な水接触角となるようマイクロアレイチップに表面処理を施すことができる。例えばマイクロアレイチップの基板としてポリマー素材のものを使用する場合には、その表面を酸素プラズマ処理等を行うことにより水接触角を調整すればよい。
 なお、水接触角は次のように測定される。水接触角は公知の方法であるθ/2法を用いて測定される。θ/2法とは液滴の左右端点と頂点を結ぶ直線の、固体表面に対する角度から接触角を求める方法である。例えば、マイクロアレイチップの表面において水接触角を求める場合、蒸留水を該表面の異なる複数の場所に滴下し、それぞれ滴下した液滴の接触角を求める。これにより得られる値を水接触角ということができる。例えば、上記方法に従い、接触角計(協和界面科学株式会社製)を用いて、蒸留水1~2μlをマイクロアレイチップ基板の異なる複数の地点(5点以上)に滴下して水接触角を測定することができる。
 例えば、マイクロアレイチップに、前記(i)の距離が100~200μmとなるよう格子状に円筒形のマイクロチャンバーを形成させ、該表面の水接触角を10°以下とする。この際、各マイクロチャンバーの内径を100μm、深さを50~100μmとし、1つのマイクロチャンバーあたり約100個の細胞を格納させる。このようなマイクロアレイチップとした場合には、細胞をより均一かつ効率よく、単層として、各マイクロチャンバーに格納させることができる。
(a)-3.マイクロアレイチップの作製方法
 前述のマイクロアレイチップは、当該分野で従来公知の方法により適宜作製される。例えば、マイクロアレイチップの作製は、リソグラフィーとエッチングという手法を用いてチップの鋳型を作製し、その鋳型からチップを成型する方法が例示される。本発明においては、当該方法により前述のマイクロアレイチップを作製した。具体的には、マイクロアレイチップの基板としてポリマー(プラスチック)素材のチップを使用し、電子線リソグラフィー法の中でも、X線リソグラフィーと、電鋳(メッキ)、形成の技術を用いて作製するLIGAプロセスに従い、前述のマイクロアレイチップを作製することができる。
(a)-4.本発明の検出方法に含有される工程
 本発明の検出方法は、複数の細胞を含む試料から、該試料に含まれる特定の細胞を検出するための検出方法であって
(1)複数のマイクロチャンバーを備えたマイクロアレイチップであって、該マイクロチャンバー1つあたりに複数の細胞を格納可能であるマイクロアレイチップに、試料中の細胞を保持させる工程、及び
(2)該マイクロアレイチップに保持された細胞において、特定の細胞の有無を確認する工程
を少なくとも含有する。
 マイクロアレイチップへの細胞の保持は、細胞をマイクロアレイチップに接触させ、細胞をマイクロアレイチップ上に展開し、細胞を各マイクロチャンバーに格納したのち、過剰な細胞をマイクロアレイチップから除去(洗浄)する手順を少なくとも経ることにより可能となる。
 ここで、細胞のマイクロアレイチップへの接触は、細胞をマイクロアレイチップに接触させられる限り、その方法は限定されない。
 例えば、培養細胞や生体から採取した細胞そのものをマイクロアレイチップに接触させることにより行ってもよく、これらを緩衝液や培養液等の溶液と混合させ、得られた混合液をマイクロアレイチップに接触させることによりおこなってもよい。
 例えば、血液細胞のマイクロアレイチップへの接触は、採取した血液そのものをマイクロアレイチップに接触(添加、滴下等)させることにより行ってもよく、採取した血液を緩衝液や培養液等の溶液と混合させ、得られた混合液をマイクロアレイチップに接触させることにより行ってもよい。また、血液細胞のマイクロアレイチップへの接触は、採取した血液から血液細胞を分取し、これを緩衝液や培養液等の溶液と混合させた後に、該混合液をマイクロアレイチップに接触させることにより行ってもよい。
 また、培養細胞(例えば哺乳類又は昆虫由来細胞、及び酵母等)のマイクロアレイチップへの接触は、培養した細胞を培地ごとマイクロアレイチップに接触(添加、滴下等)させることにより行ってもよく、培養細胞をふくむ培地を緩衝液や培養液等の溶液と混合させ、得られた混合液をマイクロアレイチップに接触させることにより行ってもよい。また、培養細胞を培地から回収し、これを緩衝液や培養液等の溶液と混合させた後に、該混合液をマイクロアレイチップに接触させることにより行ってもよい。
 また、細胞のマイクロアレイチップ上への展開も、細胞をマイクロアレイチップ上に展開できる限り、その方法は限定されない。複数の細胞(細胞群)そのものをマイクロアレイチップに接触させることにより細胞をマイクロアレイチップ上に展開させてもよく、接触させた後さらに展開液を用いて展開させてもよい。展開液としては、緩衝液、培養液、界面活性剤等が例示される。
 例えば、マイクロアレイチップ上への展開させる細胞が血液細胞の場合、前述のように血液細胞をマイクロアレイチップに接触させることにより血液細胞をマイクロアレイチップ上に展開させてもよく、また前述のように接触させた血液細胞を、さらに展開液を用いて展開させてもよい。また例えば、展開させる細胞が培養細胞の場合であっても、血液細胞と同様にしてマイクロアレイチップ上に展開させることができる。少なくともこのような手順を経ることにより、細胞(例えば血液細胞や培養細胞)を各マイクロチャンバーに格納することができる。また、細胞がチップに展開しにくい場合(特にチャンバーの底に空気が残るような場合)、予め培地や緩衝液等の溶液中にチップを入れて超音波処理を行ったり、ブラシ等でチップ表面を擦る等して、マイクロチャンバー内に空気が入らないように溶液を展開してから細胞をマイクロアレイチップに接触、展開しても問題ない。
 マイクロアレイチップ上に細胞を展開する際の細胞の濃度は特に制限されず、細胞種にもよるが、例えば1×1010~1×10(cells/ml)が例示できる。下述するように、細胞を展開後、過剰な細胞の除去を行うことで、各マイクロチャンバー内にほぼ均一に単層として細胞を格納することができる。また、用いる細胞種やマイクロアレイチップに応じて適宜展開させる細胞濃度を調整してもよい。
 過剰な細胞のマイクロアレイチップからの除去(洗浄)も、マイクロアレイチップから(すなわちマイクロチャンバー内及びマイクロチャンバー外から)過剰な細胞を除去できる限り、その方法は限定されない。
 例えば、ピペットマン等を用いて、マイクロアレイチップを軽く傾けて緩衝液、培養液、界面活性剤、酵素等の洗浄液を流すことにより過剰な細胞を除去してよい。また、マイクロチャンバー以外の部分に吸着した余分な細胞を除去、洗浄する際には、セルスクレイパー等の器具を使用しても良い。
 なお、展開する細胞の濃度を薄め(例えば赤血球細胞の場合1×10cells/ml以下)にすることにより、展開する細胞の濃度を濃いめ(例えば赤血球細胞の場合1×10cells/ml以上)にした場合に比べ、除去操作後に各マイクロチャンバーに格納される細胞数を少なくすることができる。この場合でも、各マイクロチャンバーに格納される細胞数はほぼ同数となる。よって、展開する細胞の濃度を薄めに設定することにより、各マイクロチャンバーに1~数個の細胞が均一に単層として格納されるよう調整することも可能である。逆に、展開する細胞の濃度を濃くしても、除去操作後にはマイクロチャンバーに均一に単層として格納されることから、マイクロチャンバーに格納できる細胞数が増えるわけではない。格納される細胞数はマイクロチャンバーの底面積によって制限される。
 また、過剰な細胞のマイクロアレイチップからの除去(洗浄)は、マイクロアレイチップに細胞を接触、展開させた後、マイクロチャンバーに細胞を適度に吸着させた後に実施することが好ましい。該吸着に要する時間は限定されず、当業者により適宜調整される。
 検出標的である特定の細胞の有無を確認するにあたっては、当該特定の細胞を検出できる限り、その方法は限定されない。
 例えば、検出標的である特定の細胞が形態変化を起こす細胞である場合は、顕微鏡観察により細胞の形態を観察することにより、検出することができる。また、当該特定の細胞に特異的に結合する物質が存在する場合、当該物質を用いて結合の有無を確認することで検出することができる。このような物質としては、例えば抗体やアプタマー等を挙げることができるが、これらに限定されない。またあるいは、当該特定の細胞に特異的に反応する物質が存在する場合、当該物質を用いて反応の有無を確認することで検出することもできる。
 このような結合や反応の有無を確認する方法も特に限定されないが、蛍光を用いるのが好適である。例えば、特定の細胞に特異的に結合する物質に蛍光標識を施してから用いれば、試料中の特定の細胞のみを標識することができる。よって、蛍光の有無により該特定の細胞の有無を容易に確認できる。
 特に、マイクロアレイチップに試料を接触させる前に、該試料中の特定の細胞のみが標識されるよう蛍光標識を施し、細胞がマイクロチャンバー内に保持された後に当該蛍光標識を検出して特定の細胞の有無を確認することができる。また、細胞がマイクロチャンバー内に保持された後、特定の細胞のみを蛍光標識してもよい。
 例えば、血液細胞中から病原性微生物が感染した血液細胞を検出する場合、マイクロアレイチップに血液細胞を接触させる前に、感染した血液細胞中の病原性微生物の核を蛍光染色し、蛍光顕微鏡やアレイスキャナー等の装置を用いて、該蛍光に基づき感染した血液細胞を検出できる。あるいは、マイクロアレイチップに形成されたマイクロチャンバーに血液細胞を格納した後に、血液細胞中の病原性微生物の核を蛍光染色し、同様に感染した血液細胞を検出してもよい。例えばベッドサイド等において感染した血液細胞を検出しようとする場合には、マイクロアレイチップに血液細胞を接触、展開させる前に感染した血液細胞中の病原性微生物の核等を蛍光染色させたほうが、接触、展開後の処理が簡便になるため、一層簡単に感染した血液細胞を検出することができる。また、例えば、血液細胞中の病原性微生物の核に限定されず、例えば蛍光標識された抗体を用いることによって特定タンパク質(特定アミノ酸配列)を標的としたり、蛍光標識されたプローブを用いることによって特定の遺伝子配列を標的としてもよい。
 また、例えば、培養細胞中特定のマーカーを発現した細胞を検出したい場合は、当該マーカーに特異的であって蛍光標識された抗体を予め培養細胞に作用させておき、マイクロチャンバー内に保持された後、蛍光顕微鏡やアレイスキャナー等の装置を用いて該蛍光に基づき当該特定の細胞を検出できる。あるいは、マイクロアレイチップに形成されたマイクロチャンバーに培養細胞を格納した後に、培養細胞中の特定のマーカーを発現した細胞を蛍光標識された抗体を用いて標識し、該蛍光に基づき当該細胞を検出してもよい。
 具体的に一例を説明すると、まず、感染赤血球細胞を含む赤血球細胞懸濁液において、原虫等の感染微生物の核が染まるように蛍光染色して感染赤血球細胞を標識し、場合によっては赤血球細胞も蛍光物質等で標識を行う。この標識された感染赤血球細胞を含む赤血球細胞懸濁液をマイクロアレイチップ上に展開し、過剰な血液細胞を除去・洗浄した後、蛍光顕微鏡やマイクロアレイスキャナー等によって、蛍光検出を行う。これにより、蛍光強度や標識された細胞の数等を調べることによって、感染症の有無はもちろん、程度及び種類等についても解析することができる。
 このような本発明の検出方法では、例えば図2のように、マイクロアレイチップ上に縦50個、横200個になるようにマイクロチャンバーを配置させ、各マイクロチャンバーに100個ずつ血液細胞を格納させることもできる。そして、1つのマイクロチャンバーあたり1つの感染した血液細胞が検出された場合には、その感染率は1%と判断することができる。
 また、本発明の検出方法では、例えばマイクロアレイチップに合計100万個の血液細胞を保持させ、そのうち1つの血液細胞が感染した場合であっても、この感染した血液細胞を検出することができる。この場合、本発明の検出方法によれば感染した血液細胞が試料中に0.0001%しか存在していなくとも、検出することが可能であるといえる。
(b)検出用キット
 本発明の検出用キットは、複数の細胞を含む試料から特定の細胞を検出するためのキットであって、複数のマイクロチャンバーを備え、かつ該マイクロチャンバー1つあたりに複数の細胞を格納可能であるマイクロアレイチップを含有することを特徴とする。
 当該検出キットにより、複数の細胞を含む試料から、標的とする特定の細胞を迅速、高感度かつより簡便に検出することができる。例えば感染症における感染血液細胞の有無、程度を迅速、簡便かつ高感度に検出することができる。あるいは、例えば癌細胞群の中から癌幹細胞を迅速に検出できる。またあるいは、例えば特定の遺伝子が発現している細胞を含む細胞群(例えば培養細胞や酵母の群等)から、当該特定の遺伝子が発現している細胞をスクリーニングすることができる。
(b)-1.検出対象となる特定の細胞
 本発明の検出用キットが検出の対象とする特定の細胞は、前述と同様に説明される。
(b)-2.検出用キットに含有されるマイクロアレイチップ
 本発明の検出用キットに含有されるマイクロアレイチップは、前述と同様に説明される。
(b)-3.検出用キットに含有されるマイクロアレイチップの作製方法
 本発明の検出用キットに含有されるマイクロアレイチップの作製方法は、前述と同様に説明される。
(b)-4.検出用キットに含有されるマイクロアレイチップ以外のもの
 本発明の検出用キットに含有されるマイクロアレイチップ以外のものとしては限定されないが、以下のものが例示される。
 本発明の検出用キットにはさらに、マイクロアレイチップに細胞を接触させる際に使用され得る緩衝液、培養液等が含有されていてもよい。
 本発明の検出用キットにはさらに、マイクロアレイチップに細胞を展開させる際に使用され得る緩衝液、培養液、界面活性剤等が含有されていてもよい。
 本発明の検出用キットにはさらに、マイクロアレイチップから過剰な細胞を除去(洗浄)する際に使用され得る緩衝液、培養液、界面活性剤、酵素等の洗浄液等が含有されていてもよい。
 本発明の検出用キットにはさらに、マイクロアレイチップに細胞を接触、展開、さらにマイクロアレイチップから細胞を除去等させる際に使用され得るピペットマン等が含有されていてもよい。
 本発明の検出用キットにはさらに、マイクロチャンバー以外の部分に吸着した余分な細胞を除去、洗浄する際に使用され得るセルスクレイパー等の器具が含有されていてもよい。
 本発明の検出用キットにはさらに、検出標的である特定の細胞を検出するための装置が含有されていてもよい。装置としては、蛍光顕微鏡、マイクロアレイスキャナー等が例示される。
 また、例えば検出標的である特定の細胞が最終的に蛍光染色されることにより検出される場合、本発明の検出用キットには、該特定の細胞を染色するための蛍光染色剤(例えば蛍光色素、蛍光標識済み抗体等)が含有されていてもよい。
 本発明の検出用キットにはさらに、該検出用キットの使用マニュアルが含有されていてもよい。
 このような本発明の検出用キットを使用することにより、検出標的である特定の細胞が試料中に存在する割合が低くても(例えば0.0001%しか存在していなくとも)、迅速かつ簡便に当該特定の細胞を検出することが可能である。
(c)マイクロアレイチップ
 以下、本発明のマイクロアレイチップについて説明する。
 本発明のマイクロアレイチップは、複数のマイクロチャンバーを備えており、該マイクロチャンバー1つあたりに複数個の細胞を格納可能であり、かつ表面の水接触角が10°以下という特徴を少なくとも備えている限り、前述と同様に説明される。
 本発明のマイクロアレイチップは、該特徴を有することにより、各マイクロチャンバーに一定数の細胞を均一に格納することが可能である。さらに効率よく各マイクロチャンバーに一定数の細胞を均一に格納するという観点からは、マイクロアレイチップの水接触角は、好ましくは10°以下、より好ましくは8°以下、さらに好ましくは5°以下である。なお、水接触角は上述のようにして調整することができる。
 また、同様に、より効率よく各マイクロチャンバーに一定数の細胞を均一に格納するという観点から、マイクロチャンバーの内径と深さは、一定の比の関係にあることが好ましい。具体的には(内径:深さ)の比が(1:0.35~1)であることが好ましく、(1:0.35~0.85)であることがより好ましく、(1:0.4~0.85)であることがさらに好ましく、(1:0.45~0.8)であることがよりさらに好ましい。
 また、マイクロチャンバーの内径は好ましくは20~500μm、より好ましくは20~400μm、さらに好ましくは20~300μm、よりさらに好ましくは30~250μm、特に好ましくは30~200μmである。また、その深さは、内径の値にもよるが、好ましくは20~200μm、より好ましくは20~100μm、さらに好ましくは20~80μm、よりさらに好ましくは20~70μm、特に好ましくは30~70μmである。
 なお、上述の好ましい(内径:深さ)の比により、内径の値が決まれば、マイクロチャンバーの深さの好ましい値を決めることができる。ただし、マイクロチャンバーは細胞を格納するため、20μm以上の深さを有することが好ましい。すなわち、本発明のマイクロアレイチップが備えるマイクロチャンバーは、内径及び深さが上述の比の関係を有し、内径が上述の値を有し、かつ深さが20μm以上であるものが特に好ましい。
 このようなマイクロチャンバーであれば、細胞をより均一かつ効率よく、単層として、マイクロチャンバーに格納させることができる。
 このようなマイクロチャンバーを備えるマイクロアレイチップは、例えば、感染症における感染血液細胞、さらには特にマラリア原虫類に感染した血液細胞に好適である。また、各種培養細胞(特に哺乳類又は昆虫由来細胞、及び酵母等)にも好適である。
 本発明のマイクロアレイチップによれば、例えば上記のような細胞を均一にマイクロチャンバー内へ格納できる。すなわち、各マイクロチャンバーにほぼ同数の細胞を格納できる。このため、マイクロアレイチップが備えるマイクロチャンバー数及び1つのマイクロチャンバー内に格納される細胞数を把握すれば、該マイクロアレイチップが保持する細胞数を概算することができる。よって、検出された特定の細胞数がわかれば、当該特定の細胞が試料中の複数の細胞中にどの程度の割合で存在するのか容易に算出することができる。なお、マイクロチャンバー内に格納された細胞の数を数える方法は特に制限されない。例えば、顕微鏡でマイクロチャンバーを観察して格納された細胞数を数えることができる。
 また、本発明のマイクロアレイチップは、下述する薬剤候補物質のスクリーニングにも好ましく用いることができる。各マイクロチャンバーにほぼ同数の細胞が格納されるため各マイクロチャンバー内の細胞の状態が均一となり、異なる薬剤候補物質を各マイクロチャンバーへと添加した際、それぞれの薬剤候補物質がどのような影響を細胞へ与えるのかを比較評価しやすいからである。
 またさらに、上述のように、本発明のマイクロアレイチップによれば、細胞を単層としてマイクロチャンバー内へ格納できる。すなわち、各マイクロチャンバーの底辺に、ほとんど重なることなく細胞を格納することができる。このため、マイクロチャンバー内で細胞が重なり、検出標的である特定の細胞が他の細胞の下に位置することになって、検出が困難になるなどの問題が起きにくい。また、単層であることにより、顕微鏡で観察する際に焦点を容易に合わせることができる。共焦点レーザー顕微鏡による観察においても、バックグラウンドを抑制でき、高感度での観察が可能となる。また、単層に格納された細胞上に、別の種類の細胞をのせて、それぞれの細胞の相互作用を簡便かつ効率よく検討することもできる。また、別の種類の細胞をのせて培養を行い、さらに詳細にそれぞれの細胞の相互作用を検討することもできる。
 なお、マイクロチャンバーに細胞が単層に格納されているか否かは、当業者であれば、光学顕微鏡により観察し、細胞が重なっているか否かを観察することで容易に確認することができる。また、例えば、細胞膜を染色する色素(好ましくは蛍光色素)を用いて細胞を染色しておけば、細胞膜の重なりが存在するか否かを簡便に確認することができるため、マイクロチャンバーに細胞が重なり無く単層に格納されているか否かを簡便に確認することができる。
 またさらに、本発明のマイクロアレイチップによれば、細胞をマイクロチャンバー内で、少なくとも数日以上培養することが可能である。通常、培養細胞は培養スペースが狭い場合、又は培養スタート時点の細胞数が少ない場合等は、適切な培養環境を与えても死滅してしまうことが多い。しかし、本発明のマイクロアレイチップが備えるマイクロチャンバー内であれば、培養細胞を格納させた後、少なくとも数日以上培養を行うことができる。
 よって、本発明のマイクロアレイチップにより検出標的である特定の細胞を検出した後、当該特定の細胞をマイクロチャンバー内で培養することも可能である。これにより、マイクロチャンバー内において、当該特定の細胞に対して経時的な検討を行うことができる。例えば、当該特定の細胞に刺激を与えて培養することで、当該刺激への応答を検討することができる。当該刺激としては、特に制限されないが成長因子やビタミン等の薬剤の添加、培養温度の変化、必須栄養源の無添加等が例示できる。さらに、当該刺激により当該特定の細胞に分化誘導が起こる場合には、マイクロチャンバー内で当該特定の細胞の検出及び分化誘導を行えることとなり、好ましい。マイクロチャンバー内で培養ができない場合は、一度培養シャーレ中で分化誘導刺激を与えて培養し、マイクロチャンバーへ戻すこととなり、手間であるからである。また、シャーレに細胞が接着する場合、当該接着を酵素等により剥がす操作が必要となり、当該操作により細胞を傷つけ、細胞の機能が損なわれるおそれがあるからである。
 具体的には、例えば、マイクロチャンバー内でPC12細胞(Rat adrenal pheochromocytoma cell line)を検出し、これに神経成長因子 (NGF) を添加して数日培養することで、神経細胞様に分化させシナプスネットワークを形成させることができる。
 さらにまた、下述する薬剤候補物質のスクリーニングにおいて、薬剤候補物質の中には、添加後すぐに(数分~数時間)細胞に与える影響が観察できる物質の他に、添加後数日間しなければ細胞に与える影響が観察できない物質も存在することが考えられる。よって、薬剤候補物質のスクリーニングを行うにあたり、薬剤候補物質を添加した後細胞を数日間培養して維持した後、細胞の状態を観察することが求められることがある。このため、本発明のマイクロアレイチップは薬剤候補物質のスクリーニングに好ましく用いることができる。
 本発明のマイクロアレイチップによれば、前述のように、種々の細胞を検出標的とすることができる。例えば、これまでにも例示した血液細胞、ヒト由来の細胞や動物細胞、酵母細胞、微生物細胞幹細胞、ガン細胞等の培養細胞も標的とすることが可能である。そして、本発明のマイクロアレイチップを使用することにより、試料中に存在する細胞の中から、標的とする特定の細胞のみを迅速、簡便かつ高感度に検出、測定、解析等できる。
(d)薬剤候補物質のスクリーニング
 本発明の薬剤候補物質のスクリーニング方法により、種々の薬剤候補物質が細胞に与える影響を簡便かつ迅速に測定し、所望の活性を示す物質を効率よく選択することができる。
 本発明の薬剤候補物質のスクリーニング方法には、複数のマイクロチャンバーを備え、該マイクロチャンバー内には細胞が保持されているマイクロアレイチップを用いる。
 本発明の薬剤候補物質のスクリーニング方法では、まず、前記細胞が保持されたマイクロチャンバーに薬剤候補物質を添加する。マイクロアレイチップが備える全てのマイクロチャンバーに同一の薬剤候補物質を添加してもよいし、マイクロチャンバーによって添加する薬剤候補物質を変えてもよい。また、いくらかのマイクロチャンバーには薬剤候補物質を加えず、これらのマイクロチャンバーに保持された細胞をコントロールとして用いるのが好ましい。
 薬剤候補物質を添加した後、該薬剤候補物質がマイクロチャンバー内に保持される細胞に与える影響を測定する。当該影響の測定の方法は、用いる薬剤候補物質、用いる細胞、及び所望の活性に応じて適宜設定すればよい。
 例えば、抗ガン剤として作用する物質をスクリーニングしたい場合は、マイクロチャンバー内に癌細胞を保持し、薬剤候補物質を添加して、当該癌細胞がどの程度の割合及び時間で死滅するかを測定すればよい。
 そして、当該測定結果に基づいて、実験に供した薬剤候補物質の中から所望の活性を示す物質を選択すればよい。例えば、上記の抗ガン剤として作用する物質をスクリーニングする例であれば、癌細胞が高効率で死滅する作用を示した物質を選択すればよい。
 このようにすることで、多数の薬剤候補物質を簡便かつ迅速にスクリーニングすることができる。
 また、本発明の薬剤候補物質のスクリーニング方法に用いられるマイクロアレイチップは、特に制限されないが、上述の本発明のマイクロアレイチップであることが好ましい。本発明のマイクロアレイチップであれば、細胞をより均一かつ効率よく、単層として、マイクロチャンバーに格納させることができる。
 また、上述のように、本発明のマイクロアレイチップによれば、細胞をマイクロチャンバー内で少なくとも数日以上培養することができる。このため、本発明のマイクロアレイチップを用いて本発明の薬剤候補物質のスクリーニング方法を実施すれば、薬剤候補物質を添加した後細胞を数日以上培養して維持した後、当該物質が細胞に与える影響を測定することができる。
 またさらに、本発明のマイクロアレイチップでは、各マイクロチャンバーにほぼ同数の細胞が保持されるため、各マイクロチャンバー内の細胞の状態を均一とすることができる。よって、本発明のマイクロアレイチップを用いて本発明の薬剤候補物質のスクリーニング方法を実施すれば、異なる薬剤候補物質を各マイクロチャンバーへと添加した際、それぞれの薬剤候補物質がどのような影響を細胞へ与えるのかを比較評価しやすい。
図1は、マイクロチャンバーを格子状に配置させる場合の距離(i)を示す。 図2は、縦50個、横200個になるようにマイクロチャンバーを配置させ、各マイクロチャンバーに100個ずつ血液細胞を格納させたマイクロアレイチップにおいて、1つのマイクロチャンバーあたり1つの感染した血液細胞が検出された例を示す。 図3は、実施例1において使用したマイクロアレイチップの例を示す。当該マイクロアレイチップが備えるマイクロチャンバーは、内径100μm、深さ100μmである。また、各マイクロチャンバー同士の最短距離は200μmである。また、マイクロチャンバーの総数は10752個である。 図4は、実施例1の実験結果を示す。 図5は、マイクロアレイチップが備えるマイクロチャンバー内で、ギムザ染色により検出された、マラリア原虫が感染した赤血球細胞を示す。 図6は、水接触角による細胞展開率の差異を示す。左に示すマイクロアレイチップの表面の水接触角は80度であり、チャンバーに細胞がほとんど入らない(細胞展開率10%以下)。中央に示すマイクロアレイチップの表面の水接触角は25度であり、細胞が入らないチャンバーがいくつか存在する(細胞展開率40%程度)。右に示すマイクロアレイチップの表面の水接触角は10度であり、ほとんどのチャンバーに一定量の細胞が存在する(細胞展開率90%以上)。 図7は、内径及び深さの異なるマイクロチャンバーを備えた3種のマイクロアレイチップにおいて、マイクロチャンバーに赤血球細胞が格納された様子を示す。 図8は、マイクロアレイチップが備えるマイクロチャンバーに保持されたHEK-293細胞をを示す。 図9は、マイクロアレイチップが備えるマイクロチャンバーに保持された酵母をを示す。 図10は、マイクロアレイチップが備えるマイクロチャンバー内で培養されたHEK-293細胞をを示す。
 以下、実施例を挙げて本発明について説明するが、本発明は該実施例に限定されない。
実施例1
1.実施例1で使用したマイクロアレイチップ
 実施例1では、次のマイクロアレイチップを使用した。
マイクロアレイチップの基板:ポリスチレン
マイクロアレイチップの表面処理:酸素プラズマ処理
マイクロチャンバーの形成:LIGAプロセス
1つのマイクロチャンバーあたりの格納細胞数:約100個
マイクロチャンバーの形状:円筒形
マイクロチャンバーの寸法:内径100μm、深さ100μm
1つのマイクロアレイチップあたりのマイクロチャンバーの数:10,752個
マイクロチャンバー同士の距離:図1において(i)に相当する距離200μm
マイクロアレイチップの表面の水接触角:10°
該マイクロアレイチップを図3に示す。
2.実施例1で使用したマイクロアレイチップの作製方法
 前述のマイクロアレイチップは次のようにして製造した。
 実施例1では、LIGAプロセスによって作製されたスターライト工業株式会社製のマイクロアレイチップを使用した。具体的には、該マイクロアレイチップは、X線リソグラフィー法によって、PMMA基板にパターニングし、エッチングによってPMMAの鋳型を作り、そこで電鋳(メッキ)を行い、作製されたニッケルの金型にポリスチレンを流し込んで成型されたものである。
 該マイクロアレイチップの表面を、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)装置(サムコ株式会社製)によって200Wの出力、20秒程度の処理時間で酸素プラズマ処理を行うことにより、チップ基板表面を親水化した。
 このように親水化したマイクロアレイチップ表面の水接触角は次のようにθ/2法により測定した。具体的には、得られたマイクロアレイチップの表面の異なる複数の地点(5点以上)に蒸留水1~2μlを滴下して、接触角計(協和界面科学株式会社製)を用いて、室温にて水接触角を測定した。得られた値の平均値を求めることにより、水接触角を決定した。
 また、マイクロアレイチップ上に細胞懸濁液が展開しやすいように、マイクロチャンバー内に空気が入らないようにするため、親水化したマイクロアレイチップに対して事前に超音波処理を行った。超音波処理は、一般的に用いられる超音波洗浄装置を用いて、培地(RPMI1640)を入れたビーカーに表面処理を行ったマイクロアレイチップを浸して、約5分間処理を行った。
3.マラリア原虫感染赤血球の検出手順(蛍光標識法)
 実施例1では、感染症としてマラリア原虫感染症を対象とし、該感染症に感染した赤血球を検出することを目的とした。蛍光標識法による検出手順は次の通りである。
1)マラリア原虫をマラリア連続培養法(W. Trager, J.B. Jensen, Science (1976) 673-675)にて培養(37℃、5%CO/5%O、3%ヒト赤血球および10%ヒト血清含有RPMI1640培地条件下にて培養)し、マラリア感染赤血球を得た。次いで、これをマラリア感染赤血球1×10cells/mlとなるよう培養液(RPMI1640)で懸濁することにより、マラリア感染赤血球懸濁液を作製した。なお、前記ヒト赤血球は、ヒトから採血し、遠心分離(4℃、1500g、30min)することにより得たものを使用した。
 顕微鏡下で細胞をカウントした結果、このときのマラリア原虫の赤血球への感染率は0.5%であった。
2)マラリア感染赤血球を染色するため、作製したマラリア感染赤血球懸濁液に対し2種類の蛍光色素(Dil、SYTO59)を市販推奨濃度を基準に同時に加えよく懸濁した後、37℃にて5分間インキュベートすることにより蛍光染色した。
3)蛍光染色された赤血球懸濁液200μlを、マイクロピペットを用いて前記マイクロアレイチップ上に添加することにより、マイクロアレイチップに赤血球を接触、展開させた。
4)10分、室温で放置することにより、赤血球をマイクロアレイチップに吸着させた。
5)前記マイクロアレイチップ表面を、マイクロピペットを用いて1mlの培養液(RPMI1640)で洗浄した。
6)洗浄後、マイクロアレイチップを蛍光顕微鏡を用いて観察した。
 結果を図4に示す。図4の左の写真は、明視野像でありマイクロアレイチップの穴底付近の実体像を示している。図4真ん中の写真は、Dilにて細胞の細胞膜を染色しておりマイクロアレイチップ上のすべての赤血球を示す。図4の右の写真は、すべての細胞のうちSYTO59にて核を染色しておりマラリア原虫に感染した赤血球のみを示す(正確には、赤血球に感染した原虫の核が蛍光染色されており、当該核から発せられた蛍光を示す)。
 直径100μmのマイクロチャンバー内に100個程度の赤血球を導入することに成功した。さらに、マイクロチャンバーに格納された赤血球の中から、マラリア原虫に感染した赤血球を検出することができた。
 本結果から、本発明の検出方法によれば全細胞のうち少なくとも0.0001%程度の細胞しか感染していなくとも十分に検出・診断できることが分かった。
4.マラリア原虫感染赤血球の検出手順(ギムザ染色法)
 ギムザ染色法によるマラリア原虫感染赤血球の検出手順は次の通りである。
 マラリア感染赤血球を蛍光染色する工程を省いた以外、上記3.に記載の方法に従い、マイクロアレイチップが備えるマイクロチャンバーへ、マラリア原虫感染赤血球を含む一定数の赤血球細胞を保持させた。
 次に、スライドガラス及びセルスクレーパーを用いて細胞チップ表面に残った水分を除去した。さらに、真空ポンプ及びドライヤーを用いて、細胞が破裂しない程度の温度(室温~60℃)で速やかにマイクロチャンバー内の水分を除去し、細胞を乾燥固定した。その後、マイクロアレイチップを丸ごと100%メタノール中に浸積させ(室温、30分間)、メタノール固定を行った。メタノール固定後、ギムザ染色液(メルク社)へマイクロアレイチップを丸ごと浸積させ(室温、30分間)、染色を行った。
 染色後、マイクロアレイチップを丸ごと蒸留水に浸積させて洗浄する操作を3回繰り返し、真空ポンプ及びドライヤーを用いて、細胞が破裂しない程度の温度(室温~60℃)で速やかマイクロチャンバー内の水分を除去し、乾燥させた。この後、光学顕微鏡にて観察を行った。
 結果を図5に示す。図5に示されるように、マイクロアレイチップが備えるマイクロチャンバー内で、マラリア原虫をギムザ染色し、検出することが可能であることが確認できた。
実施例2
 水接触角と細胞の展開効率について、以下のようにして比較した。
1.マイクロアレイチップの作製
 まず、水接触角の異なる3種のマイクロアレイチップ(水接触角80°、25°、10°)を作製した。これらのマイクロアレイチップは前述の実施例1と同様に作製されるが、酸素プラズマ処理条件を変更することより、水接触角の異なる3種のマイクロアレイチップを作製した。具体的には、以下の条件下で酸素プラズマ処理を実施した。
水接触角80°のマイクロアレイチップ:RIE装置(サムコ株式会社製)を用いて、出力200W、3秒の処理時間で表面処理を行った。
水接触角25°のマイクロアレイチップ:RIE装置を用いて、出力200W、5秒の処理時間で表面処理を行った。
水接触角10°のマイクロアレイチップ:RIE装置を用いて、出力200W、20秒の処理時間で表面処理を行った。
2.赤血球の検出手順
 本実施例2では、マラリア原虫に感染していない赤血球を使用した。具体的には、次のようにして赤血球を検出することにより、細胞の展開効率を比較した。
 まず、前述の実施例1と同様にしてヒトから採血、遠心分離することにより得た赤血球を培地(RPMI1640)で懸濁することにより、ヒト由来の赤血球細胞懸濁液(懸濁液中の赤血球濃度1×10cells/ml)を得た。得られた赤血球細胞懸濁液200μlを実施例1と同様にしてマイクロアレイチップ上に添加することにより、マイクロアレイチップに赤血球を接触、展開させ、顕微鏡下で赤血球が格納されているマイクロチャンバーの数を確認した。なお、赤血球は顕微鏡下で淡赤色であるため、マイクロチャンバーに赤血球が格納されているかどうかは、マイクロチャンバー内の色(赤血球の色)により判別できる。すなわち、マイクロチャンバー内が淡赤色となっていれば該マイクロチャンバーには赤血球が格納されており、淡赤色となっていなければ該マイクロチャンバーには赤血球が格納されていないと判断できる。このことから、本実施例2及び下記実施例4では、蛍光染色は行わなかった。
3.結果
 結果を図6に示す。ここで、細胞の展開効率とは、マイクロアレイチップに備えられた全マイクロチャンバー数に対する、細胞が格納されたマイクロチャンバー数の割合を意味する。
 前述のようにして得られたマイクロアレイチップにおいては、水接触角が80°の場合は、マイクロチャンバーに殆ど細胞が入らなかった。これに対して、水接触角を25°にした場合には、40%程度のマイクロチャンバーに細胞を格納することができた。また、水接触角を10°にした場合には、90%以上のマイクロチャンバーに細胞を格納することができた。
実施例3
1.マイクロアレイチップの作製
 実施例2と同様にして、水接触角80°以上または10°以下のマイクロアレイチップをそれぞれ作製した。
2.赤血球の検出手順
 実施例2と同様にして、マラリア原虫に感染していない赤血球を使用して、各マイクロアレイチップにおける細胞の展開効率を比較した。
3.結果
 前述のようにして得られたマイクロアレイチップにおいては、水接触角が80°以上の場合は、マイクロチャンバーに殆ど細胞が入らなかった。これに対して、水接触角を10°以下にした場合には、90%以上のマイクロチャンバーに細胞を格納することができた。例えば、水接触角を5°以下にした場合も、良好にマイクロチャンバーに細胞を格納することができた。
実施例4:各マイクロチャンバーによる赤血球細胞の保持能力の検討
 マイクロアレイチップが備えるマイクロチャンバーの内径及び深さを変えたとき、マイクロチャンバー内に格納される細胞に違いが見られるかを検討した。
<マイクロアレイチップの製造>
 下記の内径及び深さの円筒形マイクロチャンバーを備えるマイクロアレイチップを3種(マイクロアレイチップA~C)製造した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000001
マイクロアレイチップA~Cは、内径及び深さ、各マイクロチャンバー間の距離、並びに格納細胞数以外の条件は、各マイクロチャンバー間の距離(図1の(i)に相当する距離)を除いて全て実施例1で製造したマイクロアレイチップと同じであり、実施例1に記載の方法と同様にして製造した。なお、各マイクロチャンバー間の距離は、以下の通りである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000002
<マイクロアレイチップへの赤血球細胞の展開>
 前述の実施例1と同様にしてヒトから採血、遠心分離することにより得た赤血球を培地(RPMI1640)で懸濁することにより、ヒト由来の赤血球細胞懸濁液(懸濁液中の赤血球濃度5.0×10cells/ml)を得た。得られた赤血球細胞懸濁液200μlを実施例1と同様にしてマイクロアレイチップ上に添加することにより、マイクロアレイチップに赤血球を接触、展開させ、顕微鏡下で赤血球が格納されているマイクロチャンバーを確認した。
 結果を図7に示す。図7に示されるように、マイクロアレイチップA及びCでは、顕微鏡下、各マイクロチャンバーに重なり無く格納されることが確認できた。また、顕微鏡下、細胞数を数え、各マイクロチャンバーにほぼ同数の細胞が格納されていることが確認できた。よって、各マイクロチャンバーの底に均一に、赤血球が単層に保持されていることがわかった。一方、マイクロチップBでは、マイクロチャンバーによっては、底面のうち赤血球が接着していない部分が多く見られた。これは、マイクロアレイチップを洗浄した際に、マイクロチャンバーの底に接着していた赤血球までも洗浄により洗い流されてしまったためと考えられた。このことから、内径が500μm程度の大きさのマイクロチャンバーでは、深さが150μm以下の場合、細胞を均一に単層にチャンバー内に保持するのが困難であると考えられた。また、マイクロアレイチップA及びCでは各マイクロチャンバーの底に均一に、赤血球が単層に保持されていることから、マイクロチャンバーの(内径:深さ)の比は(1:0.35~1)程度が好ましいと考えられた。
実施例5:マイクロアレイチップへの各種細胞の展開
 実施例4にて製造したマイクロアレイチップA及びマイクロアレイチップCを用い、当該チップのマイクロチャンバー内にHEK-293細胞(以下「HEK細胞」と略す)及び酵母を保持させられるかを検討した。
<HEK細胞>
 HEK細胞を、DMEM/10%FBS培地で常法に従って培養し、これを回収して1×10cells/mlとなるよう当該培地に懸濁した。当該懸濁液200μlを、マイクロピペットを用いてマイクロアレイチップC上に添加することにより、マイクロアレイチップCにHEK細胞を接触、展開させた。さらに該マイクロアレイチップC表面を、マイクロピペットを用いて1mlの前記培養液で洗浄し、光学顕微鏡で明視野像を観察した。結果を図8に示す。
<酵母>
 培地(YPN(基本培地))に縣濁した酵母(細胞濃度3.6x10cells/ml)をピペットマンでマイクロアレイチップA上に200mL展開して静置した後、20分後、チップ表面を培地等で洗浄して、光学顕微鏡で明視野像を観察した。結果を図9に示す。
 図8及び図9に示されるように、HEK細胞及び酵母とも、各マイクロチャンバーに重なり無く格納されることが確認できた。このことから、HEK細胞及び酵母とも、各マイクロチャンバーに均一に単層として保持されることがわかった。当該結果から、本発明のマイクロアレイチップが備えるマイクロチャンバーには、種々の細胞を均一かつ単層に保持させ得ることがわかった。
実施例6:マイクロチャンバー内での細胞の培養
 マイクロチャンバー内で細胞を培養できるか調べるため、実施例4で製造したマイクロアレイチップCを用いてHEK細胞の培養を試みた。
 具体的には次のように培養を行った。実施例5に記載の方法と同様にしてHEK細胞(1×10cells/ml)をマイクロアレイチップCに展開し、洗浄した。次に当該マイクロアレイチップCを丸ごと培養用液体培地(DMEM/10%FBS培地)へ浸積させ、COインキュベーター内(CO濃度5%、37℃)で培養を行った。COインキュベーター内の培養では、24時間毎にマイクロアレイチップを浸積させている培地を新しい培地へ交換した。交換する際には、当該チップ表面を新しい培地で洗浄し、マイクロチャンバー内も培地が交換されるようにした。
 結果を図10に示す。細胞をマイクロアレイチップCへ展開し、マイクロチャンバー内へ保持させた直後に比べ、培養4日目ではHEK細胞数が増え、形態が変化している細胞も存在することから、HEK細胞を培養できたことが確認できた。

Claims (13)

  1. 複数の細胞を含む試料から、該試料に含まれる特定の細胞を検出するための検出方法であって、
    (1)複数のマイクロチャンバーを備えたマイクロアレイチップであって、該マイクロチャンバー1つあたりに複数の細胞を格納可能であるマイクロアレイチップに、該試料中の細胞を保持させる工程、及び
    (2)該マイクロアレイチップに保持された細胞において、特定の細胞の有無を確認する工程
    を含有する検出方法。
  2. 前記マイクロチャンバーの(内径:深さ)の比が(1:0.35~1)である、請求項1に記載の検出方法。
  3. 前記マイクロチャンバーが、内径が20~500μm、深さが20μm以上である、請求項2に記載の検出方法。
  4. 前記特定の細胞が感染症原因病原体の感染した細胞である、請求項1に記載の検出方法。
  5. 前記感染症原因病原体がマラリア原虫類である、請求項4に記載の検出方法。
  6. 前記複数の細胞を含む試料が複数の血液細胞を含む試料である、請求項1に記載の検出方法。
  7. 前記マイクロアレイチップの表面の水接触角が10°以下である、請求項1に記載の検出方法。
  8. 複数のマイクロチャンバーを備えたマイクロアレイチップであって、該マイクロチャンバー1つあたりに複数の細胞を格納可能であるマイクロアレイチップを含有する、複数の細胞を含む試料から該試料に含まれる特定の細胞を検出するための検出用キット。
  9. 前記複数の細胞を含む試料が複数の血液細胞を含む試料であり、前記特定の細胞が感染症原因病原体の感染した血液細胞である、請求項8に記載の検出用キット。
  10.  複数のマイクロチャンバーを備えており、該マイクロチャンバー1つあたりに複数の細胞を格納可能であり、かつ表面の水接触角が10°以下であるマイクロアレイチップ。
  11. 前記マイクロチャンバーの(内径:深さ)の比が(1:0.35~1)である、請求項10に記載のマイクロアレイチップ。
  12.  前記マイクロチャンバーが、内径が20~500μm、深さが20μm以上である、請求項11に記載のマイクロアレイチップ。
  13. 前記マイクロチャンバー内に細胞が格納された、請求項10に記載のマイクロアレイチップ。
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