JP2007526743A - クロマチン分析を利用して細胞の侵襲可能性を評価するための方法 - Google Patents

クロマチン分析を利用して細胞の侵襲可能性を評価するための方法 Download PDF

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Abstract

本発明の実施形態は、細胞のクロマチンの、特定の酵素または特定の物質による、分解または他の改変に対する感受性に従って、細胞の侵襲可能性を評価しまたは推定し、そしてそれにより、正常細胞および癌性細胞の間を区別するための方法に関連する。透過処理された、通常細胞内または非侵襲性細胞内のクロマチン(そこからクロマチン鎖を除く)は、侵襲性細胞由来のクロマチンよりも、エンドヌクレアーゼまたはタンパク質分解酵素による分解に対してより感受性である。

Description

(説明)
本出願は、米国仮特許出願第60/476,580号(2003年6月6日出願);同第60/511,543号(2003年10月14日出願);同第60/526,792号(2003年12月4日出願);および出願番号不明(2004年5月26日出願)に基づく優先権を主張する。これらの全体は本明細書中に参考として援用される。
政府は、アメリカ国立衛生研究所から付与された助成金番号RO1 EY10457に従って、本発明における権利を所有し得る。
(発明の背景)
(I.発明の分野)
本発明は、侵襲性哺乳動物細胞の検出および上記細胞の侵襲性の程度間で区別するための方法についての方法に関連する。特に、本発明は、特定のクロマチン調節因子(例えば、エンドヌクレアーゼALUおよび/またはプロテアーゼ プロテイナーゼKの分解作用)に対するクロマチンの感受性を決定するための方法に関連し、ここでそのような因子に対するクロマチンの感受性は、細胞の癌性状態および/または細胞の侵襲可能性の指標である。
(II.関連技術の説明)
癌の検出について、多くの方法が考案されてきた。それらの範囲は、X線および光学技術による腫瘍塊の画像化から、生検を介して得られた組織試料中の細胞の評価を経る、癌性細胞の表面上に発現されるか、または癌性細胞によって体液(例えば、血液および尿)中に放出されるタンパク質および他の分子種の検出にわたる。一旦、癌細胞が検出され、そして限局された場合、型について上記癌を分類し、そして上記癌の特徴を決定して、適切な予後診断および処置計画に至ることが、必要である。上記癌細胞の侵襲性の推定は、この特徴付けの重要な局面である。
上記癌の検出、診断、分類および特徴付けは、伝統的に、組織または細胞学的な検体を含む細胞の、形態学上の視覚的な顕微鏡的評価を通じて実施されてきた。より最近では、癌性細胞によって特異的または差次的に発現する、特定の細胞表面タンパク質(マーカー)の検出および定量化についての、免疫組織化学的方法および免疫細胞化学的方法の使用が増加してきた。まだ日常的な臨床使用には至っていないが、多故の一組のタンパク質の発現における変化を評価することによって、癌細胞を同定するプロテオミック技術が開発中である。
上記細胞形態学上の評価は一般的に、癌の検出、分類および特徴付けについての最も決定的な方法とみなされる。形態学的評価は、細胞ごとに、差次的に染色された、細胞および組織プレパラートを試験する、特別に訓練され、高度に熟練した人員によって行われる。このことは、大変な労務であり、そして、一部、多数の微妙な形態学的特徴のいずれかの存在のために、非常に多くの個々の細胞を評価する必要性に起因してかなりの誤差率を有する、いささか主観的なマニュアルのプロセスである。これらの形態学的特徴およびそれらの解釈は、細胞の型の間で異なり得、および患者の病歴および患者の人口統計のような要素に影響され得る。さらに、通常の、修復可能でありかつ反応性の細胞プロセスは、しばしば、癌性細胞において観察される形態学的変化を模倣する。
一部臨床使用における、細胞形態の評価について自動画像解析システムは、50年以上に渡り積極的に開発されてきた。上記癌細胞の検出、診断および特徴付けにおけるこれらのシステムの利用は、視覚的な形態学的評価を制限する要素と同じ要素、ならびに自動画像獲得、および分析システムに固有の上記画像取得デバイスのダイナミックレンジのような要素によって制限される。形態学上の評価が免疫化学的着色方法(例えば、後述と組み合わされた画像解析システムは、分析上のあいまいさを減らす手段として開発されているが、いまだ広範な臨床使用において、有効とされておらずそして認められていない。
免疫組織化学的方法および免疫細胞化学的方法は、癌性細胞が、その型の正常細胞中では見られないタンパク質を発現し得るか、または正常細胞中で見られる場合よりもより有意に高い濃度、または異なる局在で、正常細胞中で見られるタンパク質を発現し得るという知見に基づく。これらのタンパク質は、上記標的細胞に特異的に結合する抗体を利用する免疫学的試薬によって、定性的または定量的のいずれかで検出され得る。現在の手法において、これらの免疫学的方法は主として、異常である可能性のある細胞を検出するために使用され、その結果は、形態学的方法を使用して確認され、そして精緻化される。
多くの要因は、癌の検出、分類および特徴付けにおける免疫学的方法の利用を制限する。多くの腫瘍は、その一部が癌性でありそして侵襲性の程度において顕著に異なるのみの細胞型の混合物からなる。従って、免疫学的試薬は、そのような混合物中の上記多様な細胞型の間を区別し得なくてはならない。上記免疫学的方法の開発における2つの重要な工程は、正常細胞および癌性細胞の間の区別を可能にするタンパク質マーカーの同定、ならびにこのマーカーに特異的に結合する抗体の産生である。同定された上記癌性状態に対して真に独特であるマーカータンパク質は、ほとんど無い。それどころか、公知でありかつ癌の検出のために代表的に利用される上記マーカータンパク質は、量、限局化および/または発現のタイミングが正常細胞および癌性細胞の間を区別ための、上記量、に関する正常細胞成分である。従って、マーカー発現の有無を基礎とする2元的様式で、正常細胞および癌性細胞の間を区別し得ることよりもむしろ、染色強度および局在に関連する半経験的な評価を基礎とした、正常細胞および癌性細胞の間の区別が必要である。現在、この目的で利用される多くの免疫学的着色手順の多くは、定量的ではなく、そして形態学上の評価における場合のように、それは、正常な増殖性細胞プロセス(例えば、修復)と関係がある細胞を模倣することは癌細胞における、多様なマーカーの発現パターンにとって珍しいことではない。さらに、これらの要素は、そのような免疫学的評価に対してさらなる多義性を導く。
抗体の、標的分析物に対するその特異性は、免疫学的方法の利用に関して深い関係を有する別の要素である。異なる腫瘍型は、異なる一組のマーカーを発現し、そして異なるマーカーの発現パターンを示し、従って目的の癌型の各々に対して所定の異なる免疫試薬の使用を必要とする。腫瘍が真にモノクローナルでない場合、それらは、その組成、構造および/または細胞の間での標的タンパク質マーカーの、提示において異質性である。極めて特異的な抗体は、この異質な混合物の部分集合のみを認識し得るが、より特異性が低い抗体は、上記標的マーカーの多くの形態だけではなく、その上、関連する他のマーカーの特徴をも認識し得る。さらに、抗体は、上記標的マーカーと関係ない細胞上の部位に、非特異的に結合し得る。標的マーカーはまた、いくつかの様式で遮蔽(mask)され得、そしてそれ故、このマーカーが検出され得る前に、「回復」を必要とする。免疫学的方法の上記臨床利用を制限し得るこれらおよび多くの他の要素は、当業者に公知である。
さらに、予後診断計画および処置計画を確立し得るために、癌性細胞の侵襲可能性を、客観的かつ正確に評価し得る必要性が存在する。現在の形態学的方法および免疫学的方法は、特定の形態学的特徴および免疫学的特徴ならびに臨床結果の間で確立されている経験的相関関係および定性的相関関係に基づいた侵襲可能性の指標を提供する。これらのことおよび他の理由のためである、一般的に広い範囲の癌型に適用可能であり、臨床的に有用な結論に達するために必要とする解釈が最小限の解釈癌細胞の検出のための、客観的かつ明白な方法の必要性が存在する。
(発明の要旨)
上記で議論した理由により、一般的に広い範囲の癌型に適用可能であり、そして臨床的に有用な結論に達するために必要な解釈が最小限である、癌細胞の検出のための客観的でありかつ明白な方法の必要性が存在する。本発明は、哺乳動物細胞の、形態学的特徴および免疫学的特徴の両方の基礎をなす全ての哺乳動物細胞の基本的な特徴に注目して、この必要性に取り組んだ。
さらに、予後診断計画および処置計画を確立し得るために、癌細胞の侵襲可能性を、客観的かつ正確に評価し得る必要がある。現在の形態学的方法および免疫学的方法は、特定の形態学的特徴および免疫学的特徴ならびに臨床結果の間で確立された経験的相関関係および定性的相関関係に基づく侵襲可能性の指標を提供する。本発明は、代表的に、癌細胞の侵襲可能性を推定する定量的方法を提供する。
本発明の実施形態は、特定の酵素または因子による細胞のクロマチンの分解または他の改変に対する感受性に従って細胞の侵襲可能性を、評価および測定するための方法、ならびにそのことにより、正常細胞および癌性細胞の間を区別するための方法に関連する。特に、透過処理された正常かつ非侵襲性の細胞内のクロマチン、およびそこから取り出されたクロマチン鎖は、侵襲性細胞由来のクロマチンよりも、クロマチン改変剤による改変(例えば、エンドヌクレアーゼALUまたはプロテアーゼ プロテイナーゼKによる分解)に対してより感受性である。さらに透過処理された正常細胞内のクロマチンは、透過処理された侵襲性細胞内のクロマチンよりも、DNAaseによる分解に対して、より感受性である。
本発明の特定の実施形態は、細胞の侵襲可能性を評価するための方法を包含し、この方法は、細胞のクロマチンと1つ以上のクロマチン改変剤とを接触させる工程およびクロマチン分解を評価することによってクロマチン安定性を評価する工程を包含する。上記方法は、上記クロマチンと1つ以上のクロマチン改変剤とを接触させる工程の前に、上記細胞から核を単離する工程を包含し得る。上記方法はさらに、上記クロマチンと1つ以上のクロマチン改変剤とを接触させる工程より前に、上記細胞の上記核からクロマチンを単離する工程を含み得る。特定の局面において、上記細胞、上記核膜、または上記細胞および上記核膜は、透過処理される。クロマチン改変剤は、プロテイナーゼKのようなタンパク質分解酵素;ヌクレアーゼ;DNAase;エンドヌクレアーゼ;またはこれらの組み合わせであり得る。好ましい実施形態において、上記ヌクレアーゼはALUまたはMSP1である。
他の局面において、上記クロマチンは、上記クロマチン改変剤と接触させる工程の後に再凝集され得る。好ましい実施形態において、クロマチン再凝集は、クロマチン安定性を評価する工程の前に、上記クロマチンと、DNA結合色素、ポリアミン、ヒストン、トポイソメラーゼ、またはグルタルアルデヒドとを接触させる工程によって、クロマチンの再凝集が開始される。本発明のさらなる局面において、クロマチンの評価は、平面またはほぼ平面な表面上あるいは液体培地中の懸濁液中において行われる。なおさらなる局面において、上記クロマチン分解が、定性的または定量的に評価される。特定の局面において、クロマチン分解が、視覚的な顕微鏡法、画像解析、またはフローサイトメトリーによって評価される。評価の前に、上記クロマチンの光学的コントラストは、クロマチンをDNA結合色素と接触させることによって上昇し得る。上記DNA結合色素は代表的に、クロマチン色素または蛍光色素を含む。上記蛍光色素は、エチジウムブロマイド、アクリジンオレンジ、TO−PRO、YO−YO、YO−PRO、PO−PROまたは当該分野で公知の類似の色素であり得る。
本発明のさらなる実施形態は、候補治療薬の効果を評価するための方法を包含し、この方法は、細胞を候補治療薬と接触させる工程;細胞のクロマチンと、本明細書中に記載されるような、クロマチン改変剤とを接触させる工程;本明細書中に記載されるように、クロマチン分解を評価することによってクロマチン安定性を評価する工程;候補治療薬を用いた細胞の処置によって生じるクロマチン分解と、治療薬を用いて処理してない細胞とを比較することによって上記候補治療薬の有効性を評価する工程を包含する。本発明のさらなる実施形態は、本発明のプロセスによって同定された治療薬に関する。
本発明のなおさらなる実施形態において、上記方法は本明細書中に記載されるような、クロマチン改変剤、好ましくはヌクレアーゼによってクロマチンの分解の程度を評価することによって正常細胞と癌性細胞の間を区別する工程を包含する。
本発明の実施形態はまた、クロマチンを差次的に分解し得る因子を検出するための方法を包含し、この方法は、上記クロマチンと上記評価された因子とを接触させる工程;本明細書に記載されるような、上記評価された因子により、クロマチンが分解される程度を評価する工程;侵襲性の程度が異なる細胞のクロマチンが、本明細書中に記載されるような上記因子によって分解される程度における違いを評価することによって、候補因子の効果を決定する工程を包含する。
本明細書中に記載される上記方法または組成物は、本明細書に記載される他の方法または組成物に関して実施され得ることが企図される。
特許請求の範囲および/または本明細書において、用語「含む」と共に使用される場合の、語句「a」または「an」の使用は、「1つ」を意味し得るが、それはまた、「1つ以上」、「少なくとも1つ」および「1つまたはそれ以上」の意味と一致する。
本発明の他の目的、他の特徴および他の利点は、以下の詳細な説明により明らかになる。しかし、詳細な説明および特定の実施例(本発明の特定の実施形態を示す)は、例示としてのみ与えられる。なぜなら、本発明の精神および範囲内にある種々の変更および改変は、この詳細な説明によって当業者に明らかとなるからである。
(例示的な実施形態の説明)
クロマチン構造は、遺伝子の転写、複製および組み換えを含む細胞調節および細胞機能の多くの局面における重要な要素である。要求されるクロマチン高次構造および細胞周期間におけるその変化を制御する詳細な機構はまだ十分に理解されていないが、クロマチン構造の全局面は、細胞の状態と相関し得、正常細胞と癌細胞との間の形態学的区別における主要な要素として広く使用される。さらに、クロマチンを含む遺伝子の発現は、この目的のために使用される免疫学的特徴および他の形態学的特徴の発生を生じる。クロマチン構造、遺伝子発現、ならびに形態学的特徴および免疫学的特徴の間の上記関係は、積極的に研究されている領域である。
クロマチンの、外部因子(例えば、ヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼおよびプロテアーゼ)による分解のような改変に対する感受性は、クロマチン構造に依存する。用語「外部因子」は、クロマチン構造の一部である核酸、ヒストンおよび他の物質以外の因子を表す。本明細書で使用される「クロマチン改変剤」は、正常細胞および癌性細胞に関連するクロマチンに対して差次的に影響する因子を表す。差次的な影響は、分解(例えば、ヌクレアーゼまたはエンドヌクレアーゼ、あるいはプロテアーゼによる)に対するクロマチンの感受性における違いとして明白であり得る。本発明は、特定のクロマチン改変剤(例えば、特異的なエンドヌクレアーゼ、特異的なヌクレアーゼ、特異的なプロテアーゼおよび他の化学物質または化合物)が、癌性状態の評価および/または細胞の侵襲可能性の評価に対する観察に有利に関連する、独特な様式のクロマチンの分解を生じ得るという観察に基づく。
本発明は、細胞の侵襲可能性を、推定または判定するためおよび/または、より一般的には癌性細胞と非癌性(正常)細胞との間を区別するための方法に関連する。
細胞の全ゲノムを含むクロマチンは、少なくとも部分的にタンパク質(例えば、遺伝子発現を調節するヒストン)に入れられる二重鎖DNAからなる。このDNAの外部因子(例えば、転写因子およびエンドヌクレアーゼ)に対する露出は、その時々で発現されている遺伝子によって決定されるか、またはその遺伝子を決定する。結果として、正常細胞において、細胞のゲノムを含むDNAの特定の部分だけが、外部因子に露出される。この露出のパターンは、細胞が癌性になるときに変化し、そしてさらに癌細胞の侵襲性の程度に依存して変化する。結果として、クロマチン改変剤によるクロマチン鎖の分解に対する感受性は、クロマチンを含む細胞が正常であるか癌性であるかに依存して、系統的様式で異なり、そして癌性の場合は上記癌の侵襲性の程度によって異なる。タンパク質分解による分解に対する、クロマチンDNAを入れるタンパク質の感受性は同様に、細胞が正常であるか癌性であるかによって異なる。
従って、クロマチン改変剤(例えば、ヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼまたはプロテアーゼ)による分解に対する細胞のクロマチンの感受性の判定または評価は、細胞が正常であるか癌性であるかの判断を、そして癌性の場合は、上記癌の侵襲性の程度の判断を可能にする。そのような判定は、癌の検出および集結の目的についての、定性的様式、半定量的様式または定量的様式において実施され得る。本発明の実施形態は、細胞から取り除かれたクロマチン鎖を含む。
(I.クロマチン安定性アッセイに関する方法)
本発明の実施形態は、1つ以上の細胞の、前癌性(pre−cancerous)、癌性および/または侵襲特性を評価するために使用され得る。本方法に使用される適切な試料としては、培養細胞ならびに被験体または患者由来の腫瘍生検、他の組織、器官および細胞を含む体液から得られた細胞が挙げられるが、これに限られない。
正常な内皮細胞株およびメラノーマ細胞株(OCM−1a(非侵襲性)、M619(侵襲性)、およびMUM−2B(転移性、高侵襲性)を含むが、これに限られない)は、本発明の実施に使用され得る任意の細胞型の代表である。これらおよび類似の細胞型は、本発明の特定の実施形態の実例において使用される。
(A.単離されたクロマチンを利用する方法)
クロマチン安定性の判定は、正常細胞および/または癌性細胞から単離されるクロマチンを使用して行われ得る。細胞の全ゲノムを含むクロマチンは、細胞から顕微手術的に除去され得、そして公知技術に従って、単一のクロマチン鎖として外部から操作され得る。クロマチンが顕微手術的に除去されるべき細胞は、固体基材上にコンフルエンスに接近するように細胞を増殖することによって、最も都合よく調製される。このプロセスは、上記基材に強力な付着物を形成する細胞を生じ、そして細胞が、顕微手術手順の間に上記細胞に加わる機械的な力によって移動するのを防ぐ。この固体基材に対する細胞の固着は、操作上の便宜のためだけであり、そして本発明の実施のために必須なものではない。クロマチンの顕微手術抽出に適する付着細胞は、実施例1:材料および方法(後述)に記載されるような方法によって調製され得る。実施例1に記載される上記特定の方法は主に、内皮細胞、メラノーマ細胞、および内皮細胞に由来する他の細胞型に適用され得る。本方法は、当業者にとって公知の様式で増殖培地の組成および関連するパラメータを調節することによって、他の細胞型に適合され得る。
上記細胞性クロマチンの顕微手術抽出は、細胞周期の任意の段階にある細胞において行われ得るが、良好に集中されおよび良好に濃縮された有糸分裂板(mitotic plate)を有する分裂中期の細胞において、非常に都合よく行われる。1ミクロン〜5ミクロンの範囲の先端径および0.5ミクロン未満の上記先端部の内径を有するガラスマイクロピペットは、上記細胞核膜を迅速に貫く(「刺す(harpoom)」)ために使用され得る。上記マイクロピペットの先端部を上記クロマチンと接触させることにより、非共有結合性の力を介して上記クロマチンが上記マイクロピペットの先端部に接着する。弱い吸引は、上記マイクロピペットの先端部へのクロマチンの接着を、さらに向上させるために適用され得る。上記マイクロピペットを引き抜くことで、上記核からクロマチンを抽出する。この顕微手術抽出手順が、分裂終期にある有糸分裂細胞に適用される場合に、上記核から、ただ1組の娘クロマチンが除去される。間期にある細胞または分裂前期、分裂中期または分裂後期にある有糸分裂細胞へのこの手順の適用は、上記核からの全てのクロマチンの除去を生じる。あるいは、上記細胞は、マイクロピペットの先端部を使用して上記細胞の核および細胞膜を破裂させることによって、そのクロマチンを排出することを誘導され得る。その後、上記排出されたクロマチン鎖は、前述のように、マイクロピペットの先端部に固着され得る。
上記マイクロピペットは、上記付着したクロマチン鎖を操作するために使用され得る。1つのそのような操作は、上記細胞が付着する基材以外の、ガラス基材またはプラスチック基材への、上記クロマチン鎖の移動、および後述されるような方法による評価のために調製する際に所望されるように上記鎖を該基材上で配置することからなる。上記クロマチンの空気への露出は、上記クロマチンに回復不能な損傷を引き起こし得るため、上記細胞が付着される上記基材、および上記クロマチンが移動される上記基材が、同じ液体培地のプールに存在することならびに全ての操作を、この培地の表面下で行うことが好ましい。1つの都合の良い実施とは、上記クロマチンの顕微手術抽出を行う前に、同じプラスチック培養皿中に、上記細胞が付着する上記基材および上記クロマチンが移動される上記基材を隣接して配置することである。代替的な実施は、上記クロマチン鎖が移動される上記基材として上記プラスチック培養皿の内面を使用することである。上記受容基材と接触するとすぐに、上記クロマチン鎖は、非共有結合性の力を介して該基材に付着する。同じ細胞型および/または異なる細胞型由来の複数のクロマチン鎖は、単一の基材上の、別々の位置に配置され得る。1つの好ましい構成は、いくつかの細胞型から、各々単離された複数のクロマチン鎖を、1つの基材上に配置する。この構成は、異なるクロマチン源由来の上記クロマチン鎖の間における、重複的な比較を促す。他の配置は、所望されるように、および/または適切に使用され得る。
上記クロマチン鎖を受容する適切な基材としては、ガラス(例えば、カバーガラス)またはプラスチック(ポリスチレン)が挙げられるが、これに限られない。それらの基材は、必要ではないが、上記クロマチン鎖の上記基材への付着を促進するためにコートされ得るか、または処理され得る。いくつかの適切な付着促進コーティングとしては、ゼラチン、血清タンパク質、マトリックスタンパク質(例えば、フィブロネクチン)、ポリアミン(例えば、ポリ−リジン)、またはポリ−アミノシランが挙げられるが、これに限られない。プラスチック基材はまた、上記プラスチックの表面にオキシ官能性および/またはアミン官能性を導入するために、ガスプラズマ、コロナまたはグロー放電を使用して処理され得る。これらおよび他のそのような付着促進の方法は当業者にとって周知である。
上記クロマチン鎖の顕微手術抽出および操作は、好ましくは、クロマチン緊密化および上記クロマチンとの関連において見られるタンパク質の保持を、最大限に維持するため低イオン強度(30mM〜55mM)でありかつ約2mMのMg2+イオン(例えば、後述のもの)を含む培地中で行われる。しかしながら、その後の上記クロマチン鎖の酵素的処理は、好ましくは、利用される酵素の活性を最適化するために、生理学的条件下のイオン強度または生理学的条件に近いイオン強度で実施される。従って、上記クロマチン鎖の受容基材への付着後に、NaClの添加によって、約30mM〜55mMから約0.15Mへ培地のイオン強度を増加することが望ましい。
上記記載された試料調製方法は、広く適用可能であるが、初代細胞または培養細胞の使用、同定される細胞培養条件、ならびに顕微手術技術などであるがこれらに限定されない局面は上記試料または特定の細胞型から調製される試料に適するように、選択されおよび改変され得る。そのような改変は、当業者にとって公知であり、そして本発明の範囲を限定しない。
(B.細胞中のクロマチン安定性アッセイ)
本発明の方法は、完全な細胞ならびに単離されたクロマチン鎖に適用され得る。例として、対象となる完全な細胞は、吸着した血清タンパク質でコートされた固体基材(例えば、カバーガラス片)上に位置決めされ得るか、配置決めされ得るか、または増殖し得、そして界面活性剤(例えば、Triton X−100)を用いる処理によって透過処理され得、残留する界面活性剤を除去するために洗浄され得、そして適切なクロマチン改変剤によって処理され得る。本発明の実施形態は、支持基材および培地中に懸濁されている生存しかつ保存された細胞に付着する、生存しかつ保存された細胞を使用して実施され得る。特定の実施形態において、上記対象となる細胞の核は、クロマチン安定性アッセイが行われる前に、単離され得る。定量的クロマチン安定性アッセイは、特定のエンドヌクレアーゼ、特定のヌクレアーゼおよび特定のプロテアーゼによる消化に対するクロマチンの感受性に基づき、ここでこの感受性は、上記クロマチンを含むかまたは提供する上記細胞の侵襲性の程度を反映する。
本発明の特定の局面において、メチル化は概して、より侵襲的な細胞のゲノム全体にわたる高次クロマチン構造のレベルを増加し得る。代表的に、MSP PCRを使用する特定の遺伝子のメチル化は、種々の会社(例えば、Serologicals Corporation(Norcross,GA)、OncoMethylome Sciences S.A.(Durham,NC)など)から入手可能な一定範囲の、分子「キット」よって検出される。例えば、Qiagen(Valencia,CA)は、いくつかの特異的プロモーターについての、メチル化特異的PCRを利用するMSP PCRを開発した。これらのプロモーターによるメチル化特異的PCRは、DNAのGCリッチ領域におけるDNAメチル化パターンのマッピングを可能にする。プロモーター領域の高メチル化は、しばしば、ヒトの癌における腫瘍抑制遺伝子の不活性化についての決定的要因であると考えられる。
これらの困難性により、溶解細胞モデルにおいて、通常の生理的イオン条件下における細胞集団のクロマチン試験を利用するアッセイが本発明者らによって開発された。ここでこのアッセイは、フローサイトメトリー、およびパパコロニー塗抹標本に類似する塗抹標本を利用する。上記試験は、ヒストン8量体およびトポイソメラーゼのレベル(Maniotisら、1997;Bojanowskiら、1998)のレベルだけではなく、高次クロマチン構造のレベル(Garinisら、2002;Chenら、2003)でも制御される遺伝子的隔離および遺伝子的露出を有する、統合された機械的単位としての上記細胞に基づく。Alu、Eco RI、Mbo、Hind−1、PST−1、および他の特異的ヌクレアーゼおよび非特異的ヌクレアーゼならびに特異的プロテアーゼおよび非特異的プロテアーゼについての感受性を試験することによって、本発明者らは、ジスルフィドが豊富なタンパク質は、細胞がその侵襲的挙動を増すにつれて、Alu配列を差次的に隔離することを確認した。
MSP I消化感受性またはMSP I消化非感受性が、侵襲的悪性疾患的挙動を増す細胞内における核の全般的な特性として試験された。これらの研究の結果は、メチル化された部位の隔離および露出が、特定の推定癌遺伝子および推定癌遺伝子配列のレベルで生じるだけでなく、高次クロマチンフォールディングのレベルで起こることを示す。
(II.組織からの細胞調製)
細胞は、当業者にとって公知な方法(概説について、Freshney,(1987)を参照のこと)による腫瘍生検のような組織から単離され得る。そのような方法は概して、肝臓由来の細胞外マトリックスタンパク質の単離についてのそれらの記載に類似するが、但し、上記組織がタンパク質分解酵素(例えば、細胞間相互作用を分断するトリプシン)を含む培地とともにインキュベートされ得るか、またはこの培地中でホモジナイズされ得ること、および上記所望の細胞が、上記上清中ではなく上記細胞ペレット中に見られることを除く。
細胞培養は、当業者にとって公知の方法に従って行われ得る。ほとんどの場合、適切な増殖培地は、10%ウシ胎仔血清を補充したDMEM(Bio Whittaker,Walkersville,MD)、および、適切な場所には適切な濃度の細胞増殖因子(例えば、塩基性線維芽細胞増殖因子、トランスフォーミング増殖因子β、血管上皮増殖因子、インターロイキンおよび培養される特定の細胞型の適切な増殖に必要とされ得る他の物質であるが、これに限られない)からなる。特定の実施形態において、抗菌剤および抗真菌剤は、主要な細胞型の分化能力を妨げることが知られているので、本発明の実施における使用について、細胞の培養には使用されない。細胞培養は、約5%CO平衡空気からなる雰囲気下において、37℃で行われる。
(III.データ獲得および解釈)
対象となる細胞における核酸染色は、視覚的にモニターされ得るか、かつ/または当業者にとって周知である顕微鏡画像化手段(一般的な方法としては、Current Protocols in Cell Biology (2001);またはMurphy, Fundamentals of Light Microscopy and Electronic Imaging(2001)を参照のこと)によって、その後の定量的分析のために、電子的画像として獲得され得る。視覚的画像化および電子的画像獲得についての1つの適切な顕微鏡プラットフォームは、20倍、40倍、および63倍の拡大率における、透過光、位相差、微分干渉ならびにエピ蛍光視覚的画像および電子的画像に対応したLeica DM IRB倒立顕微鏡(Leica,Wetzlar,Germany Microsystems Inc.,Bannockburn,IL)からなる。この顕微鏡プラットフォームはまた、長期間にわたる反応の時間経過のモニタリングを容易にするための、任意に所望される温度(最も一般的には約25℃または約37℃)において画像化される上記標本を維持する手段を備え得る。Leica model LSまたはLeica model LB(Leica Microsystems Inc.,Bannockburn,IL)のような同等の仕様の正立顕微鏡もまた、利用され得る。
上記標本の画像は、光増幅器を用いてかまたは用いずにCCDビデオカメラ、または類似の装置によって、電子的に獲得され得、コンピュータメモリおよび/または磁気的情報記憶媒体もしくは光学的情報記憶媒体または他の情報記憶媒体(例えば、CD−ROMまたはビデオテープ)中に電子的に保存され得る。画像獲得および画像保存の他の手段もまた、利用され得る。電子的に獲得された画像は、当業者にとって周知の画像分析方法(一般的方法論について、Current Protocols in Cytometry(1997)またはDigital Image Processing:PIKS Inside(2001)を参照のこと)を利用して評価され得る。例えば、クロマチンがDNAseによって消化されて蛍光染色された細胞と、クロマチンがDNAseによって消化されておらず細胞蛍光染色された細胞との間の区別は、上記画像を、閾値より上の画素強度示す領域(推定上の核)および閾値未満の画素強度を示す領域に分割する順応的な閾値方法を利用し、その後、上記閾値領域以上の大きさ、形および意味、または統合画素強度を決定することによって、達成され得る。1つの都合の良い画像解析方法は、それぞれの画素位置での画像シグナルレベルを時間の関数として決定および評価し、染色体に沿って、対象となる明確な領域内の平均画素シグナルレベルを計算する。
そのような方法の多くの可能な適切な実施形態における1つは、上記標本の画像を獲得するためのDAGE MTI(Michigan City,IN)またはPhotometrics(Tucson,AZ)冷却式CCDカメラを利用する。自動画像焦点合わせは、VayTek Microtome画像逆重畳分析ソフトウェアパッケージ(VayTek,Fairfield,IA)に含まれる強制的反復性オートフォーカスアルゴリズムを使用して達成される。対象となる領域は、手動で確定され得、そしてこれらの領域内の上記平均画素シグナルレベルは、Scanalytics IPLab画像定量化ソフトウェア(Scanalytics,Fairfax,VA)を使用して決定され得る。このソフトウェアはまた、フィールド平坦化、バックグラウンド補正および「ホットピクセル(hot pixel)」補正、ならびに固定閾値決定および/または順応的な閾値決めを含むがこれらに限定されない慣用的な画像調製作業を行うために利用され得る。当業者に公知であるより洗練された方法(例えば、画素追跡、形態学的分析、パターン整合、相関アルゴリズム画像分析方法および類似アルゴリズム画像分析方法であるが、これらに限定されない)は、本発明における特定の適用に対して適切なように、有利に利用され得る。本発明の実施形態は、本明細書中に記載された上記方法の自動化を企図する。本明細書中に記載される方法および本プロセスにおける種々の工程は、当業者に公知である自動化に適用可能である。
外因性物質(例えば、透過光顕微鏡技術、反射光顕微鏡技術および蛍光顕微鏡技術における細胞、細胞成分、細胞構造物、および単離されたクロマチンの視感度を亢進するために、一般的に利用される染色物質)の存在は、クロマチン単離、操作および消化を、潜在的に妨げ得る。この理由によって、特定の実施形態における細胞クロマチンの改変(例えば、消化)が完了する時間までに、位相差または、標本の可視化および/または画像化を促進するそのようなコントラスト増強剤の使用を必要としない他の類似の画像化様式を使用することが有利である。クロマチン改変が完了した後、上記標本は、DNA結合色素、染色剤、および上記標本において、上記クロマチンと他の物質とのコントラストを選択的に増加する他の試薬によって処理され得る。例えば、蛍光DNA結合色素であるエチジウムブロマイドが、本発明の好ましい実施形態の以下の説明において指定される。多くのさらなる適切な蛍光剤、吸着剤および他のコントラスト増強剤は、当業者にとって公知である(例えば、本明細書に参考として援用されるMolecular Probes:Handbook,2003年9月7日更新版,probes.com/handbookを参照のこと)。これらのうち、DNAに特異的かつ化学量子論的に結合し、DNAに結合した際に蛍光が、顕著に増強する特定の蛍光DNA結合色素(TO−PRO類,YO−YO類,YO−PRO類およびPO−PRO類の色素(Molecular Probes,Eugene OR.)が挙げられるが、これに限られない)は、本発明の特定の実施形態において特に有利であり、この実施形態において、存在するDNA量の定量化が所望される。蛍光DNA結合色素は、存在するDNA量の定量化が所望される場合に好ましい。多くのDNA結合色素(上記の色素が挙げられるが、これらに限定されない)は、脱濃縮されたクロマチンを濃縮し、それによりその視感度を改善することが可能である。
顕微鏡画像、画像獲得および画像解析の他の適切な多くの方法が、当業者にとって公知である。本明細書中で同定された方法は、例示的な目的のためであり、決して、本発明の範囲を制限するものでも制約するものでもない。
細胞DNAの染色および判定を分析するための方法の1つは、フローサイトメトリーおよびレーザースキャニングサイトメトリーによるものである。さらに、より好ましい実施形態において、定量的DAN染色剤によって染色された細胞は、フローサイトメトリーに供される。フローサイトメトリーは、当該分野で公知の蛍光活性化細胞ソーター(FACS)によって行われる。使用され得る例示的なFACS機械としては、FACS−Calibur(Becton Dickinson;Mountain View,Calif.)およびCoulterフローサイトメーター(Hialeah,Fla.,USA)EPICS Elite(登録商標)が挙げられる。定量化は、CellQuest(Becton Dickinson;Mountain View, Calif.),WinList(Verity Software House,Inc.Topsham,Me.),Multicycleソフトウェア(Phoenix Flow Systems,San Diego,Calif.USA)およびFACScan(Becton Dickinson,Mountain View,Calif.)ソフトウェアを使用して行われ得る。
フローサイトメーターは、それぞれの細胞に関連した発光物質の量を測定し、そして、例えば、ヒストグラム、ドットプロット、またはフラクション表の形態で出力する。それぞれの細胞に関連した1つの発光物質の量は、その細胞の他の特性(例えば、細胞集団が、露光される別の発光物質の量、大きさ、粒度、または固有の発光)と比較され得る。
細胞を含む鞘流体(sheath fluid)は上記レーザーを通過するとき、代表的に1つずつ、種々の波長の光に露出される。上記サイトメーターによって検出されたそれぞれの粒子は、「事象」と称される。事象が任意の入射光を伝達しまたは散乱する程度は、上記事象の特徴(例えば、関連した発光物質)の測定を提供する。例えば、上記事象は、それ自身が調和した光を発し得るか、または上記事象に伝わる蛍光物質により発生する蛍光を発し得る。その様な物質の例は、蛍光DNA染色物質である。フルオロフォアは、例えば、上記サイトメーターの光電子倍増管(PMT)によって検出される既知の周波数の光の発光による特定の周波数の入射光に応じる。上記発光または反射光の強度はサイトメーターによって、測定されおよび保存される。
上記サイトメーターは、発光データをヒストグラムに編集する。上記ヒストグラムは、一元的な形態で報告され得る。あるいは、それは、他の入射波長から生じる発光のヒストグラムとの組み合わせであり得る。そのような組み合わせは、代表的に、「ドットプロット」として報告され、ここで事象は、格子上にプロットされ、格子の軸は測定される2つのパラメータに対応する。例えば、事象は、特定の波長の入射光に露光され、そして別の波長における前方光散乱および発光についてアッセイされ得る。
細胞集団は、それらのDNA含有量に基づいて分離され得る。ピークは、細胞の正常なDNA含有量に対応するヨウ化プロピジウム(PI)染色によって生じる。ピークはまた、半数体数nのより高い倍数(おそらく、倍数体細胞または有糸分裂細胞に対応する)によって生じる。ピークまたはバックグラウンド上の平坦部は、半数体数nの倍数に対応しないPI染色レベルで生じ得る。これらの事象は種々のDNA分解剤に対して感受性の細胞に対応し得る。ゲート(gate)は、細胞を異なるDNA含有量を伴う細胞から種々の範囲のDNA含有量に入る細胞を区別するように形成され得る。
細胞のDNA含有量を同定するための他の方法は、定量的DNA染色および組織化学を使用する。これらの技術はまた、フローサイトメトリー分析と組み合わされ得る。例えば、特定の細胞は、フローサイトメトリーを介して他の細胞から分離され得る。その後、これらの細胞は、非フローサイトメトリー技術を使用して、DNA含有量について分析され得る。
クロマチン濃縮はまた、非染色試薬(例えば、ヒストンH1、トポイソメラーゼIおよびトポイソメラーゼIIのようなトポイソメラーゼ、ポリアミン11172およびポリアミン11158のようなポリアミン、グルタルアルデヒドのようなDNA架橋試薬、ならびにイオン強度および上記クロマチンを取り巻く培地のイオン強度および組成物の変化を含むが、これに限られない)により達成される。
顕微鏡画像化、画像獲得および画像分析の他の適切な方法の多くは、当業者にとって公知である。特定の実施形態において、フローサイトメトリーは、当業者に公知の方法に従って処理された、細胞および/または核の評価に使用され得る。本明細書中で同定された方法は、例示的な目的のみを意図し、そして決して本発明の範囲を確定しまたは制約するものではない。
(IV.クロマチン改変剤)
本発明の実施形態は、癌性細胞(特に、侵襲性表現型を伴う癌性細胞)のクロマチンに対する非侵襲性細胞(正常細胞)のクロマチンを、差次的に改変しまたはこのクロマチンに作用する特定のクロマチン改変剤を利用する。
(A.ヌクレアーゼ)
エンドヌクレアーゼは、特定の部位でのDNA鎖の開裂をその主な機能とする広い酵素の分類を含む。いくつかのエンドヌクレアーゼは、核酸配列およびDNAコンホメーションに対する非常に特異的な組み合わせによって決められた部位においてのみDNA鎖を開裂するが、他のエンドヌクレアーゼは、開裂するDNAの部位の特徴についてより厳しくない。しかし、いくつかの事例において、上記DNAは、開裂が起こるためには、上記エンドヌクレアーゼに接近可能であるべきである。クロマチンのDNA成分が外部因子にさらされるクロマチン鎖に沿った位置の数および同一性は、クロマチンが得られた細胞の状態によって判断される。エンドヌクレアーゼによるクロマチンの開裂は、それらの位置においてのみ起こり、この位置において、露出されたDNAのセグメントの、核酸配列および物理的コンホメーションは、上記エンドヌクレアーゼの特異性に対応する。従って、クロマチン鎖が、いくつかの特定のエンドヌクレアーゼによって処理された場合に得られるDNA鎖開裂のパターンは、特定のクロマチン鎖の構造の代用となる。このパターンは、ゲル電気泳動のような公知の方法によって明確に評価され得るか、または本発明の方法によって絶対的に評価され得る。
クロマチンは、エンドヌクレアーゼ(ALUまたはMSP 1)の作用あるいは、代替的に、ヌクレアーゼ(DNAase)の作用に露出され、クロマチンは、クロマチンが生成された細胞の侵襲可能性に相関する様式および程度に分解される。HIND III、BAM、EMBO、PST I、SAU−I、RNase A、RNase Iまたは小球菌ヌクレアーゼによるクロマチンの分解は、クロマチンが得られた細胞の侵襲可能性に相関しない。しかし、異なるクロマチン開裂パターンを示す、他のヌクレアーゼおよび他のエンドヌクレアーゼは、本明細書中に記載される方法によって同定され得る。
(B.プロテイナーゼ)
ヒストンH1のようなタンパク質は、クロマチン組織において重要な役割を果たすことが知られている。例えば、プロテイナーゼK(50μg/ml)またはヘパリン(5mg/ml)(両者ともクロマチンからタンパク質を除去することが知られている)のような物質による正常細胞由来クロマチンの処理は、拡散したDNA群への、迅速なクロマチンの脱濃縮を生じることが知られている。この脱濃縮は、周囲の培地における、イオン強度の増加または減少、あるいはMg2+濃度の増加または減少によっては反転され得ないが、ヒストンH1の添加による元のクロマチン形態の再編成によって、本質的かつ完全に反転する。この再編成はまた、イオン強度およびMg2+濃度の変化に応じて濃縮および/または再濃縮するクロマチンの能力を回復する。
本発明の1つの局面は、プロテアーゼ(プロテイナーゼK)の使用によって、異常かつ侵襲性の細胞より得られたクロマチン鎖からタンパク質を除去することの効果は、正常細胞由来のクロマチン鎖をプロテイナーゼKで処理した場合に観察される効果、ならびに正常細胞由来および異常細胞由来のクロマチン鎖を他の物質(プロテアーゼ(トリプシン)あるいはタンパク質結合修飾物質(例えば、ヘパリン、ドデシル硫酸ナトリウム、メルカプトエタノールおよび/またはジチオスレイトール)を含むが、これに限られない)で処理した場合に観察される効果に比べ、新規でありかつ有用な様式である点で異なるものである。
(V.候補物質をスクリーニングする方法)
本発明に基づくアッセイは、侵襲性細胞と非侵襲性細胞を区別するため;細胞の侵襲性を修飾し得るか、または他に変更し得る物質を、検出および評価するため;およびクロマチンを、クロマチンが得られた細胞の侵襲性に依存する様式に従って差次的に分解し得る物質を、検出および評価するために使用され得る。
侵襲性細胞および非侵襲性細胞または正常細胞の間を区別するアッセイは、予後診断計画および処置計画の開発の一環として、癌の特徴付けのような応用における有用性を見出す。そのような目的のためのアッセイは、以下のように構築され得る:癌性細胞を標準方法に従って、腫瘍または他の癌から単離する。類似の様式において、同一型または類似型の正常細胞または非癌性細胞は、対照として機能するために、同一の組織または関連した組織から得られる。類似型の培養された侵襲性細胞は、別の対照として使用され得る。上記クロマチンは、癌性細胞および対照細胞の両方から、節IAに記載されるように単離され;節IBに記載されるようにALUまたは別の物質で処理され;可視化を促進するためにDNA染色物質(例えば、エチジウムブロマイド)によって処理され;そして、その結果は、視覚的に評価されるか、または節IIに記載される方法の使用によって評価される。上記癌から単離された細胞の侵襲性は、このアッセイにおいてクロマチンが分解される程度に反比例する。
細胞の侵襲性を改変し得るか、または他に変更し得る物質の検出および評価についてのアッセイは、潜在的な抗癌治療剤を同定する目的のための新規化合物(NCE)および他の物質のスクリーニングにおいて主に有用なアッセイである。そのようなアッセイはまた、治療レジメンを計画する工程または治療の効果を観察する工程において、特定の癌に対する特定の治療剤の有効性を決定する工程に使用されるアッセイであり得る。この同じアッセイ形式は、環境モニタリングのような目的において、癌の形成または癌の侵襲性を促進する物質を検出するために使用され得る。そのようなアッセイは、以下の様式に従って構築される:対象となる癌型および対応する型の正常対照細胞の、主細胞または培養細胞は、対象となる用途に適した細胞源より得られる。これらの細胞の1組は、適切なプロトコルに従った試験の下で、上記物質によって処理される。これらの細胞の第2の1組は、対照として機能するために、上記物質で処理されないまま置かれる。上記クロマチンは、癌性細胞および対照細胞の両方から、節IAに記載されるように単離され;節IBに記載されるようにALUまたは別の物質で処理され;可視化を促進するためにDNA染色物質(例えば、エチジウムブロマイド)によって処理され;そして、その結果は、視覚的に評価されるか、または節IIに記載される方法の使用によって評価される。癌の侵襲性の減少または遮断における物質の有効性は、対応する対照細胞に対する試験下で、上記物質によって処理された細胞由来の、増加したクロマチンの分解によって証明される。このアッセイが侵襲性を促進する物質を検出するために行われる場合に、上記実験細胞は代表的に、正常細胞であるかまたは低い侵襲性の細胞であり、そしてこの促進物質の存在は、対応する対照に対するクロマチン分解の減少によって証明される。
上記アッセイが、クロマチンが得られた細胞の侵襲性の程度に従って、クロマチンを差次的に分解する物質の検出を対象とする場合に、このアッセイに使用されるクロマチンは異なる公知の侵襲性の程度を有する細胞から得られる。上記クロマチンは、節IAに記載されるこれらの細胞から単離され、そして2つの群に分割される。上記実験群は、試験下で、上記物質によって処理される一方で、1つの対照群は、ALUまたは節IBに記載されるような別の公知の差次的作用物質によって処理され、そして第2の対照群は、処理されないまま置かれる。これらの群由来のクロマチンは、可視化を促進するためにDNA染色物質(例えば、エチジウムブロマイド)によって処理され;そして、その結果は、視覚的に評価されるか、または節IIに記載される方法の使用によって評価される。差次的な分解は、上記実験群中の他の細胞のクロマチンよりも、より完全に分解されている、1以上の侵襲性のレベルの実験細胞に由来するクロマチンによって証明される。この型のアッセイは、ALUおよび他の公知の差次的作用物質よりも、より特異的でありおよび/またはより強力である差次的作用物質の、検出、同定および特徴付けにおいて有用なアッセイである。
(実施例)
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために含まれる。以下の本実施例中に開示された技術は、本発明の実施において良好に機能することが、本発明者によって見出された技術を表し、そしてそれ故、その実施についての好ましい形態を構成すると考えられ得ることが、当業者によって十分理解されるべきである。しかし、当業者は、本開示に照らして、開示された特定の実施形態において多くの改変がされ得、そしてなお、本発明の精神および本発明の範囲から外れることなく、同様の結果または類似の結果を得ることを十分理解するべきである。
(実施例1:単離されたクロマチン鎖の調製)
本発明の特定の実施形態において、標本として利用される単離されたクロマチン鎖を、上述した一般的な方法および以下のような特定の方法によって調製し得る。
クロマチンを顕微手術的に除去した培養細胞を、固体基材上にコンフルエンスに接近するように細胞を増殖することによって、最も都合よく調製する。同様に、組織標本または他の細胞源から得られた初代細胞を、分散し得、そして標準的方法に従って適切な固体基材に対して付着させ得る。このプロセスは、上記基材に強力な付着物を形成する細胞を生じ、そして細胞が、顕微手術手順の間に上記細胞に加わる機械的な力によって移動するのを防ぐ。この固体基材に対する細胞の固着は操作上の便宜のためだけであり、そして本発明の実施のために必須なものではない。本実施例において、クロマチンの顕微手術抽出に適した、付着性のヒトメラノーマ細胞および付着性内皮細胞を、DMEM、10%仔ウシ血清およびpH7.4の25mM Hepes緩衝液を含む完全培地において、ゼラチンコートされたカバーガラス上でコンフルエンスに接近するように細胞を培養する工程;細胞が付着したカバーガラスを、Hepesを用いてpH7.4に緩衝化した約2mLのDMEMを含みならびに約30mM〜55mMのNaClおよび約2mMのMgCl(上記培地)を含む35mmプラスチック培養皿に移動する工程;そして顕微手術の前に、これらの調製物を、約10% CO/平衡空気の雰囲気中において、37℃で平衡化させる工程によって調製し得る。
細胞クロマチンの顕微手術抽出を、細胞周期の任意の段階にある細胞において行われ得るが、良好に中央に集まり濃縮された有糸分裂板を有する分裂中期の細胞において、最も都合よく行う。1ミクロン〜5ミクロンの範囲の先端径および0.5ミクロン未満の上記先端部の内径を有するガラスマイクロピペットを、上記細胞核膜を迅速に貫く(「刺す」)ために使用し得る。上記マイクロピペットの先端部を上記クロマチンと接触させることにより、非共有結合性の力を介して上記クロマチンが上記マイクロピペットの先端部に接着する。弱い吸引を、上記マイクロピペットの先端部へのクロマチンの接着を、さらに向上させるために適用し得る。上記マイクロピペットを引き抜くことで、上記核からクロマチンを、単一鎖として抽出する。この顕微手術抽出手順を、分裂終期にある有糸分裂細胞に適用する場合に、上記核から、ただ1組の娘クロマチンを除去する。間期にある細胞、または分裂前期、分裂中期もしくは分裂後期にある有糸分裂細胞へのこの手順の適用は、上記核からの、単一鎖としての全てのクロマチンの除去を生じる。あるいは、上記細胞を、マイクロピペットの先端部を使用して上記細胞の核および細胞膜を破裂させることによって、そのクロマチンを排出することを誘導し得る。その後、上記排出されたクロマチン鎖を、前述のように、マイクロピペットの先端部に固着し得る。
(実施例2:ヌクレアーゼ感受性)
図1Aは、上述のようにガラス基材に付着し、位相差において画像化された、OCM−1aメラノーマ細胞株、M619メラノーマ細胞株、およびMUM−2Bメラノーマ細胞株から単離されたクロマチン鎖を示す。OCM−1a、M619およびMUM−2Bは、それぞれ、非侵襲性メラノーマ細胞株、侵襲性(原発性)、および高侵襲性(転移性)メラノーマ細胞株であることが独立した手段により知られている。図1Bは、5単位のエンドヌクレアーゼAULを、上記クロマチン鎖を取り囲む液体培地に添加した後30分の位相差において表示される同一クロマチン鎖を示し、一方、図1Cは、ALUの添加およびその後のエチジウムブロマイドによるクロマチンの染色後60分における、これらの同一クロマチン鎖の蛍光画像を示す。エチジウムブロマイドは、DNAに特異的に結合し、そして結合したDNAを、濃縮および沈殿させる蛍光色素である。非侵襲性OCM−1aメラノーマ細胞株から得られたクロマチンは、ALUを用いた処理によって、本質的に完全に分解される一方で、侵襲性M619細胞株由来および高侵襲性MUM−2B細胞株由来のクロマチンは、この処理によってはほとんど影響を受けない。
それぞれのクロマチン鎖中に存在するDNAの量を、上述した方法によって定量化し得る。それぞれのクロマチン鎖中に、最初に存在するDNAの量に対して標準化した場合に、高侵襲性MUM−B由来のクロマチンの10%未満が、指示された条件下において、ALUを用いて60分処理する間に分解される一方で、約30%の侵襲性M619細胞由来のクロマチンおよび非侵襲性OCM−1a由来のクロマチンの85%以上が、同じ条件下で分解された。正常上皮細胞(図示せず)から単離されたクロマチン鎖は、同じ条件下で、本質的かつ完全に分解された。
図1は、正常ヒト内皮細胞および非侵襲性ヒトメラノーマ細胞から単離された上記クロマチンが、侵襲性ヒトメラノーマ細胞型由来および高侵襲性ヒトメラノーマ細胞型由来の上記クロマチンよりも、ALUによってより広範に分解されることを例示する。侵襲性細胞から単離されたクロマチンが、正常細胞由来および非侵襲性細胞由来のクロマチンよりも、ALUによる分解に対してより抵抗性であるという挙動の同一パターンを、評価される全てのヒト細胞型および試験したあらゆる他の哺乳動物種由来の細胞型において常に観察した。さらに、1つの付加的遺伝子、2つの付加的遺伝子または3つの付加的遺伝子の挿入による正常細胞のトランスフェクションは、ALUによる消化に対する得られたクロマチンの抵抗性を徐々に増加させ、正常細胞由来のクロマチンは最も強力に分解され、3重トランスフェクト細胞由来のクロマチンは、最も分解が少なかった。
ALUによる消化に対するクロマチン鎖の感受性は、クロマチン鎖を抽出した細胞の倍数性に相関しない。例として、非侵襲性OCM−1a細胞は、三倍体に近いことが周知であるのに対して、高侵襲性MUM−2B細胞は、二倍体近くから多数体であることが周知である。しかし、全ての事例において、三倍体OCM−1a細胞由来のクロマチンは、二倍体MUM−2B細胞由来または多数体MUM−2B細胞由来のクロマチンよりも、ALUによる消化に対してより感受性である。さらに、二倍体MUM−2B細胞由来または多数体MUM−2B細胞由来のクロマチン鎖は、ALUによる消化に対して等しく抵抗性である。
他のエンドヌクレアーゼ(HIND III、BAM、EMBO、PST−1、SAU−1、RNase A RNase 1、および小球菌ヌクレアーゼを含むが、これに限られない)によるクロマチン鎖の消化は、クロマチンを得た細胞の侵襲可能性に相関するクロマチン開裂パターンを示さない。
(実施例3:クロマチン濃縮およびクロマチン再凝集)
非侵襲性細胞型および侵襲性細胞型から単離されるクロマチンにおけるプロテイナーゼKの効果を、図2に例示する。参照の目的で示される、図2A、図2Bおよび図2Cは、上述の様式における、正常ヒト微小血管内皮細胞由来および侵襲性HT1080線維肉腫細胞由来のクロマチン鎖のALUを用いる処理の効果を例示する。正常内皮細胞由来のクロマチンは、広範に分解される一方で、線維肉腫由来のクロマチンは、概ね完全な状態を維持する。
図2Dおよび図2Eは、プロテイナーゼK(5mg/ml)をALUの代わりに用い、そしてインキュベーション時間を60分間から5分間に短縮することを除き、上述の条件下における、正常ヒト微小血管内皮細胞由来および侵襲性HT1080線維肉腫細胞由来のクロマチン鎖のプロテイナーゼKによる処理の効果を例示する。線維肉腫細胞由来のクロマチンは広く分散する一方で、正常内皮細胞由来のクロマチンは概ね完全な状態を維持した。さらに、図2Fに例示するように、プロテイナーゼK消化されたクロマチン鎖の、ポリアミン11172(分散したクロマチンを再濃縮し得ることが知られている物質)による処理は、内皮細胞クロマチンを広く再濃縮する一方で、プロテアーゼ処理した線維肉腫クロマチンの任意の再濃縮はあったとしても、ほとんど起こらない。
正常ラット間葉幹細胞由来および侵襲性ヒト分裂中期M619メラノーマ細胞由来のクロマチン鎖のプロテイナーゼK処理、その後のグルタルアルデヒドによるDNAの非特異的沈殿の効果は、図2G、図2Hおよび図2Iに示される。繰り返すが正常細胞由来のクロマチンは、侵襲性細胞由来のクロマチンよりも、より分散しない。
プロテイナーゼKの差次的分散効果は、正常細胞および異常細胞の両方由来のクロマチンに対する評価される任意の他のタンパク質分解剤および任意の他のタンパク質結合修飾剤の効果が再濃縮剤(例えば、ポリアミン11172またはポリアミン11158、ヒストンH1、またはトポイソメラーゼIIa、あるいはグルタルアルデヒドもしくは特定のDNA結合色素のようなDNA沈殿剤)の添加によって広く反転し得るという点で、これらの他の物質の効果においての効果とは異なる。本明細書に記載されるアッセイを、本明細書中に記載されるスクリーニングおよび診断方法における使用のために、クロマチン安定性における差次的効果を示す他のプロテアーゼを同定するために使用し得る。
(実施例4:薬物候補のスクリーニング)
実施例2の方法は、癌細胞の侵襲性挙動を抑制または遮蔽する工程におけるポリアミン11158およびポリアミン11172のような抗癌剤の有効性を評価するために使用され得る。この有効性を、上記薬物を用いて癌細胞を処理する工程;前述のように細胞からクロマチンを除去する工程;DMEM中で5単位のALUまたは5単位のDNAaseで30〜60分間処理する工程;可視化を促進するために、エチジウムブロマイドまたは他のDNA結合色素を用いてサンプルを染色する工程;そして、クロマチン分解の程度を、薬物によって処理されていない癌細胞から単離されたクロマチンおよび同型の非癌性細胞から単離されたクロマチンの処理などによって得られたクロマチン分解の程度とを比較する工程によって評価し得る。侵襲性癌細胞のクロマチンは大部分は、この処理によって影響されないが、正常細胞のクロマチンおよび非侵襲性細胞のクロマチンは大部分分解される。薬物効果は、薬物で処理していない他の同一の細胞由来のクロマチンの分解に対する薬物処理された細胞由来のクロマチンの分解の増加によって証明される。同じ型の正常細胞由来のクロマチンは、本方法において対照の役目をする。
(実施例5:クロマチン分解剤の同定)
本発明の方法は、正常細胞のクロマチンに対して癌性細胞のクロマチンを差次的に分解する薬物および他の化学物質ならびに生物学的存在を検出しおよび同定するために使用され得る。例として、そのような物質としては、ALUおよびDNAase以外のヌクレアーゼおよびエンドヌクレアーゼ、カスパーゼ、触媒RNA、ならびに他の物質が挙げられるが、これらに限定されない。同じ型の、正常細胞由来のクロマチン鎖および癌性細胞由来のクロマチン鎖を、事前に選択した期間、同一条件下で、評価される物質に露出し;可視化を促進するためにエチジウムブロマイドまたは他のDNA結合色素を用いて染色し;癌性細胞由来のクロマチンまたは正常細胞由来のクロマチンが優先的に分解されるか否かを決定するために比較した。
(実施例6:細胞を使用する方法)
上記実施形態の方法は、インタクトな細胞ならびに単離されたクロマチン鎖に適用され得る。例として、上述したゼラチンコートされたカバーガラス上で増殖したインタクトなメラノーマ細胞を、DMEM中の0.5%界面活性剤Triton X−100溶液で2分間処理することにより透過処理し;残りの界面活性剤を除去するためにDMEMで洗浄し;そして、DMEM中において100単位のALUで1〜3時間処理し得る。この実施形態は、支持基材ならびに培地中に懸濁した生きた細胞および保存された細胞に付着した生きた細胞または保存された細胞、を使用して実施し得る。
図3は、非侵襲性OCM−1aヒトメラノーマ細胞および高侵襲性MUM−2Bヒトメラノーマ細胞に対するこの処理の効果を例示する。図3aおよび図3bの左側の列における位相差画像は、それぞれ、培養された間期OCM−1a細胞および培養された間期MUM−2B細胞を示し、一方、これらの図の右側の列の蛍光画像は、Triton X100による透過処理;ALUによる消化;そしてエチジウムブロマイドによる染色後の同じ細胞を示す。
癌細胞の侵襲性の評価について有用であることに加えて、この実施形態はまた、正常細胞および癌性細胞によって示される、クロマチン分解パターン中の特有の相違に起因する癌細胞の存在についての標本のスクリーニングにおける有用性を見出す。本発明のこの適用の特定の利点は、本発明が侵襲性細胞と良性反応性を示す細胞のと間を本質的に選別すること、ならびに多くの場合形態学的試験および免疫学的試験における診断上の誤りを引き起こす変化を修復することである。
前述した実施形態はエンドヌクレアーゼ ALUに対して特異的である。しかし、本実施形態および次に記載する侵襲性の程度が異なる細胞間を区別する能力における特異性のいくらかの喪失を伴う実施形態において、ALUをヌクレアーゼ DNAaseで代用し得る。しかし、十分な特異性は正常細胞と癌性細胞との間の区別のためのこのヌクレアーゼの使用を許容し続ける。
(実施例7:核を使用する方法)
細胞は、上述のように調製した直径12mmのカバーガラスに付着する。細胞が付着したカバーガラスを、10mg/mlサイトカラシンBを正常増殖培地中に5cc含有する50cc円錐形遠心チューブ内に、細胞側を下にして配置し、その結果、カバーガラスの端は、チューブの円錐形の壁に対しておさまり(seat)、そしてカバーガラスの平面は、チューブの長軸に対して垂直になる。遠心分離は、結果として細胞核が細胞膜を通過して移動し、そして遠心チューブの底にペレットとして回収される核を生じる。除核された細胞は、カバーガラスへの付着したままである。
回収した細胞核を、DMEM中で洗浄し、そしてALUまたはDNAaseで処理する前に、DMEM中の0.1%界面活性剤Triton X−100溶液で2分間処理することで透過処理した。上述のように、ALUは、正常細胞由来および非侵襲性細胞由来の核内のクロマチンを選択的に分解する。さらに、透過処理された核のDMEM中100単位のDNAaseでの30〜60分間の処理は、正常細胞由来および非侵襲性細胞由来の核のクロマチンを消化する一方で、ほぼインタクトな侵襲性細胞由来の核内のクロマチンは、そのままである。
(実施例8:MSP I消化)
(方法)
ヒト線維芽細胞、低侵襲性ヒトメラノーマ細胞(OCM−1)、および高侵襲性ヒトメラノーマ細胞(MUM−2B)を、それらのクロマチン構造がEGTAによってか、またはそれらのグリコカリスがトリプシンによって破壊されるのを避けるために、ラバーポリスマンを用いてプラスチック細胞培養フラスコの底から擦り取った。各細胞スラリーの25μL滴を、スライドガラス上に配置し、そして細胞を含む液滴が完全に乾燥するまで、30分〜1時間インキュベートした。その後、0.5μLのMSP Iを、DMEMの25μL滴またはPBSの25μL滴に添加し、そしてその25μL滴を乾燥した細胞ブロット(blot)上に滴下し、次いでそのスライドガラスを37℃のインキュベーターの密封加湿チャンバー内に24時間配置した。消化後、MSP Iを除去し、そしてエチジウムブロマイドで置換し、エピ蛍光顕微鏡下で視覚化し、そしてそのブロットを撮影した。
(結果)
MSP I中で、1時間、2時間、4時間、5時間、6時間、および24時間インキュベートしようが、MSP Iによる消化からの隔離は、侵襲性細胞挙動が増加すると共に増加するようであった。正常間質細胞(例えば、線維芽細胞)は、低侵襲性細胞または高侵襲性細胞と比較して、より多く消化された。細胞は代表的に、機械的に得られる。なぜならトリプシン−EGAT溶液における細胞のトリプシン処理は、酵素に対して、非特異的感受性および時として完全な非感受性を生じるからである。例えば、トリプシンEGTAを利用した場合、細胞クロマチン(細胞型に関係なく)は、機械的に単離された細胞と比較して、あらゆる制限酵素による消化に対してよりいっそう安定であった。ほとんどの場合、細胞は、最も感受性である正常細胞、感受性が減少した低侵襲性細胞、そしてMSP Iならびに他の制限酵素による消化に対して完全に非感受性ではないとしても、最も非感受性である高侵襲性細胞をともなう感受性の漸次的変化を示した(図4A〜図4C)。
フラスコからの細胞の擦り出しは、フラスコ由来の細胞のEGTA−トリプシン処理よりもむしろ、代表的に以下の2つの目的を果たす:1)翻訳配列に利用されるMSP I消化の予測(anticipation)(トリプシンのようなプロテアーゼは通常は、ヒト患者由来細胞を得るために使用されず、そして使用され得ないため)、および2)組織または組織培養フラスコからの細胞の解離を加速するために一般的に利用される試薬(EGTA)の回避。さらに、EGTAまたはEDTAによる必須のイオン(例えば、マグネシウム)の使用中止が、接着受容体を特異的に破壊するという仮説が、これらのキレート剤はクロマチン組織およびクロマチン構造に多大な影響を有するという事実(Maniotisら、1997)によって、単純化されすぎていることが示された。細胞単離の手段としてEGTA−トリプシンを利用する実験は、異なる細胞型間の制限酵素に対する感受性が、消化に対して根本的により安定であることを示し、おそらくこれはEGTAの効果、およびトリプシンが誘導する凝集による細胞凝集の相違によるものである。従って、臨床利用の可能性を向上するため、およびクロマチン組織の変化を避けるために、MSP Iを、プロテアーゼ消化またはEGTAの存在を伴わない代わりに、患者から細胞が除去される環境からの細胞の単純な機械的除去を利用した。
MSP I消化が、正常細胞、低侵襲性細胞および高侵襲性細胞に属する細胞の核の間を区別し得るという事実は、高次構造のメチル化が重要であり、そして細胞の癌性状態または非癌性状態、ならびに細胞のメチル化のパターンの調節において重要な因子であり得ることを示唆する。なぜなら、消化は、遺伝子型に特異的であるというよりはむしろ細胞型に特異的であり、上記アッセイは潜在的に、散発的性の腫瘍(99%)(連鎖群が知られておらず、そして家族性の連鎖が証明していない)、ならびに家族性腫瘍(1%)(擬似オンコジーン(p53、p21、網膜芽細胞腫(rb)など)が、いくつかの原因となる役割を果たしていると考えられる)に由来する、正常細胞、低侵襲性細胞および高侵襲性細胞の間を区別し得るからである。
(実施例9:フローサイトメトリーによる侵襲性細胞の検出)
本発明の上記実施例に記載された侵襲性細胞の検出のための方法は、クロマチン分解剤による細胞の処理の前に、細胞が基材(代表的には、吸着されたタンパク質の層)と接触することを必要とする。この工程は、臨床設定において不都合であり得る。血液学的な癌の細胞は代表的に、液体培地(例えば、血液またはリンパ液)において、細胞の懸濁液として収集される。同様に、固形腫瘍からの標本の初期収集のために一般に臨床使用される特定の方法(例えば、微細針吸引(FNA))は、液体培地において、収集された細胞の懸濁液の形成を生じる。さらに、液体培地中への細胞の分散は、顕微鏡スライド上に単層調製物を調製するプロセス、ならびに組織培養および類似の方法による、評価のための標本調製において本質的な要素である。この理由により、細胞を最初に固体基材(例えば、カバーガラス)に移動させることを求めるのではなく、懸濁液中の標本細胞を直接利用する様式で本発明を実施し得ることは好都合である。この方法に直接的に類似する様式での本発明の実施における懸濁された細胞の利用は、上で記載した。
侵襲性の程度の異なる培養細胞が、本実施例における例示的な目的のために利用される。患者標本に由来する細胞の懸濁液が、同様に利用され得る。本実施例において利用した培養細胞株は:WI−38線維芽細胞(正常細胞);OCM1(低侵襲性初期ブドウ膜メラノーマ);M619(高侵襲性初期ブドウ膜メラノーマ);およびMUM2B(高侵襲性の転移性ブドウ膜メラノーマ)である。全ての細胞を、周知な標準的方法に従って単層培養で増殖し;DMEM培地に機械的に収集し、そして卓上遠心分離機において1400RPMで5分間遠心分離することでペレットにした。
細胞ペレットを0.1% Triton X−100中に再懸濁し;室温で1分間インキュベートし;再び1400rpmで5分間遠沈し;そしてDMEM中に再懸濁した。ヨウ化プロピジウム(10μl/ml;Molecular Probes,Eugene,OR)を、この懸濁液のアリコートに添加した。0.5μlのAlu I制限酵素を含む40μlのDMEMを、残りの細胞懸濁液に添加し、そしてその調製物を37℃でインキュベートした。この混合物のアリコートを、ALU添加の、0時間後(ベースライン)、1時間後、3時間後、および5時間後において評価した。ヨウ化プロピジウム(PI;10μl/ml;Molecular Probes,Eugene,OR)を、これらの消化された各サンプルに添加した。結果生じる消化され、染色された細胞懸濁液を、488nmレーザー励起、前方散乱および側方散乱用の検出器、ならびに蛍光シグナル用の520nm、575nmおよび675nmの検出器を備えたFACS Caliburフローサイトメーター(BD Bioscience,San Jose,CA)を使用する標準的方法に従って分析した。10,000個の細胞を計測し、そしてその結果をFACSドットプロットおよびFACSヒストグラムを用いて分析した。CellQuestソフトウェア(BD Bioscience)を、統計学的分析に使用した。
ヨウ化プロピジウム(PI)は、化学量子論的なDNA蛍光染色剤であり、それ故、評価される細胞のDNA含有成分を、フローサイトメトリーによって測定される蛍光シグナル強度から決定することを可能にする。透過処理後に、PIによって処理したがALUによって消化されなかった細胞懸濁液のアリコートを、処理開始前の細胞調製物の各々に存在するDNAの量に対する参照として供給する。図5は、1時間、3時間および、5時間のAlu I制限酵素への露出後にPIで染色した各細胞株について測定したフローサイトメーター蛍光強度ヒストグラムプロットを示す。
非消化対照に対するWI−38線維芽細胞についてのPIシグナルの減少が、1時間で検出され、さらなる減少が3時間および5時間で検出された。5時間までに、ベースラインシグナルの有意な成分は、機器の検出限界の制限を下回って減少した(図5、最上段)。これは、正常線維芽細胞におけるDNAの顕著な分解を示す。低侵襲性OCM1aメラノーマ細胞は、Alu I酵素消化1時間後のPIシグナルにおいて同様の減少を示したが、その後、シグナル強度は有意に減少しなかった(図5、第2段目)。
WI−38線維芽細胞および低侵襲性OCM1aメラノーマ細胞とは異なり、高侵襲性M619メラノーマ細胞または高侵襲性MUM2Bメラノーマ細胞は、1時間のAlu I酵素消化では、PIシグナルの有意な減少を示さなかった(図5、下2段)。しかし、高侵襲性初期M619メラノーマ細胞由来のPIシグナルは、3時間までに減少し、一方で高侵襲性転移性MUM2Bメラノーマ細胞におけるシグナルは、5時間でさえ、ベースラインシグナルと有意に異ならなかった。従って、透過処理された細胞の異を様々な期間の間Alu I制限酵素に対して露出した後のPIシグナルの測定に基づいて、4つの細胞株の各々の間の区別が可能であり、そしてそれ故、侵襲性細胞の、検出および分類のためにフローサイトメトリーの利用が可能である。
また、前方散乱(細胞の大きさを表す)、および側方散乱(細胞内部の複雑性を表す)を、4つの細胞株の各々について、Alu Iに対する露出前および消化1時間後、消化3時間後、および消化5時間後(図6)に測定した。前方散乱および側方散乱における有意な変化を、Alu Iに対する露出後にWI−38線維芽細胞において検出した(図6、最上段)。消化1時間で、前方散乱は劇的に減少したが、側方散乱は増加した。細胞の大きさおよび細胞内部の複雑性におけるこれらの変化は、3時間および5時間を通じて進行した。5時間までに、検出可能な細胞の数は有意に減少し、これはDNAの大規模な消化を示す。3時間および5時間でのこれらのパラメータにおける有意な付加的変化を伴わない、前方散乱における緩やかな減少および側方散乱における緩やかな増加を、OCM1a細胞およびMUM2B細胞において1時間で検出した。対照的に、MUM2B細胞については、Alu I制限酵素に対する露出後のいかなる時点でも、前方散乱または側方散乱のどちらにも、検出される有意な変化はなかった。従って、5時間のAlu I制限酵素消化にわたる非消化のベースライン参照サンプルに対する、PIシグナル、前方散乱、および側方散乱の変化は、本発明に従うフローサイトメトリーによってWI−38正常線維芽細胞、OCM1a低侵襲性初期メラノーマ細胞、M619高侵襲性初期メラノーマ細胞、およびMUM2B高侵襲性転移性メラノーマ細胞を、客観的に分類し得ることを示す。
(実施例10:核を使用する薬物評価)
直径12mmのカバーガラスに付着した細胞を、本明細書中に記載されるように調製した。細胞が付着したカバーガラスを、標準的な増殖培地中の10mg/mlサイトカラシンB(5cc)を含む50ccの円錐形遠心チューブ内に、カバーガラスの端が、チューブの円錐形の壁におさまり(seat)、そしてカバーガラスの平面が、チューブの長軸に対して垂直になるように細胞を下にして置いた。1400RPMで5分間の遠心分離は、細胞膜を通過して移動し、そして遠心チューブの底にペレットとして集まる細胞核を生じる。
集めた細胞核を、DMEM中で洗浄し、そしてALUまたはDNAaseで処理する前に、DMEM中の界面活性剤Triton X−100の0.1%溶液で2分間処理することで透過処理した。上述のように、ALUは、正常細胞由来および非侵襲性細胞由来の核内のクロマチンを選択的に分解する。さらに、透過化された核の100単位のDNAaseを用いたDMEM中での30〜60分間の処理は、正常細胞由来および非侵襲性細胞由来の核のクロマチンを消化する一方で、概ねインタクトな侵襲性細胞由来の核内のクロマチンには作用しない。実施例15に示した散乱データは、細胞核内のクロマチンの分解は、数分から1時間の期間にわたって起こる細胞の細胞質構造における変化に相関し、そしておそらくそれが原因として関連していることを示唆する。実施例13に関連する他のデータは、本明細書中には記載されないが、光散乱によって検出可能であり得る細胞骨格の変化は、細胞核中のクロマチンの状態に影響し得ることを示唆する。本発明の方法によって生じる細胞膜を通過する核の移動は、交絡する相互作用効果の有意なレベルを伴わずに核要素と細胞質要素との間の区別を可能にすることに関して、十分に迅速であるようである。
上述の特定の実施形態の記載は、本発明の例示であることを意図し、本発明を限定することを意図しない。本発明のさらなる実施形態は、特許請求の範囲の範囲内でありかつ精神の内にある。
本明細書中で開示されかつ特許請求された全ての組成物および/または方法は、本開示に照らして過度の実験を伴わずに作製され得そして実行され得る。本発明の組成物および方法は、好ましい実施形態の用語に記載されるが、本発明の概念、精神、および範囲から逸脱することなく、本明細書中に記載される方法の工程または一連の工程における組成物および/または方法に変更が加えられることは、当業者にとって明白である。より具体的には、本明細書中に記載される物質を、化学的および物理的の両方に関連した特定の物質置換し得ることは明白であり、同一または類似の結果が達成される。当業者にとって明白なそのような同様の置換および改変の全ては、添付の特許請求の範囲よって規定される本発明の精神、範囲および概念の範囲内であると見なされる。
(参考文献)
以下の参考文献は、それらが提供する模範的手順または本明細書中に示される他の補足的な詳説の範囲で、本明細書中に参考として具体的に援用される。
以下の参考文献は、それらが提供する模範的手順または本明細書中に示される他の補足的な詳説の範囲で、本明細書中に参考として具体的に援用される。
Figure 2007526743
以下の図は、本明細書の一部を形成し、そして本発明の特定の局面をさらに明示することを含む。本発明は、本明細書中に示される特定の実施形態の詳細な説明との組み合わせにおいて、これらの図の1つ以上を参照することによって、より理解され得る。
図1Aは、OMC−1aメラノーマ細胞、M619メラノーマ細胞およびMUM−2Bメラノーマ細胞からとりだされたクロマチン鎖の位相差画像を示す。図1Bは、ALUによる処理の30分後における同一クロマチン鎖の位相差画像を示す。図1Cは、ALUによる60分間の処理、続くエチジウムブロマイドでの染色後の同一クロマチン鎖の蛍光画像を示す。 図2Aは、正常ヒト微小血管内皮細胞およびHT1080線維肉腫細胞からとりだされたクロマチン鎖の位相差画像を示す。図2Bは、ALUによる処理の1.25時間後における図2Aに示されるクロマチン鎖と同じクロマチン鎖の位相差画像を示す。図2Cは、ALUによる処理の2.25時間後における図2Aに示されるクロマチン鎖と同じクロマチン鎖の位相差画像を示す。図2Dは、正常ヒト微小血管内皮細胞およびHT1080線維肉腫細胞からとりだされたクロマチン鎖の位相差画像を示す。図2Eは、プロテイナーゼKによる処理の5分後における、図2Dに示されるクロマチン鎖の位相差画像を示す。図2Fは、プロテイナーゼKによる5分間の処理、続くDNA凝集剤ポリアミン11172による処理後における図2Dに示されるクロマチン鎖の位相差画像を示す。図2Gは、間葉系幹細胞およびHT1080線維肉腫細胞から単離されたクロマチン鎖の位相差画像を示す。図2Hは、プロテイナーゼKによる処理の5分後、間葉系幹細胞およびHT1080線維肉腫細胞から単離されたクロマチン鎖の位相差画像を示す。図2Iは、プロテイナーゼKによる5分間の処理およびグルタルアルデヒドによるDNAの濃縮後における、間葉系幹細胞およびHT1080線維肉腫細胞から単離されたクロマチン鎖の位相差画像を示す。 図3Aは、低侵襲性OCM−1aヒトメラノーマ細胞の位相差画像を示す。図3Bは、透過処理、ALUによる処理、およびエチジウムブロマイドによる染色後における、図3Aに示される細胞と同じ細胞の蛍光画像を示す。図3Cは、高侵襲性MUM−2Bヒトメラノーマ細胞の位相差画像を示す。図3Dは、透過処理、ALUによる処理、およびエチジウムブロマイドによる染色後における、図3Cに示される細胞と同じ細胞の蛍光画像を示す。 24時間のMSP Iとのインキュベーション後に、線維芽細胞の感受性(図4A)、OCM 1a(低侵襲性メラノーマ)の感受性(図4B)、およびMUM 2B(高侵襲性メラノーマ)の感受性(図4C)を示す研究。注釈として、線維芽細胞核は、24時間で完全に消化される。OCM 1a核は、いくつかの焦点となる残存染色を示したが、MUM 2B核は、メチル化特異的酵素からの、完全な安定性および完全な隔離を示した。 図5は、Alu I制限酵素に対する1時間、3時間および5時間の露出後、続くPIによる染色の際、WI−38線維芽細胞(正常細胞);OCM1(低侵襲性原発性ブドウ膜メラノーマ);M619(高侵襲性原発性ブドウ膜メラノーマ);およびMUM2B(高侵襲性転移性ブドウ膜メラノーマ)のそれぞれについて測定した、フローサイトメーター蛍光強度ヒストグラムプロットを示す。 図6は、WI−38線維芽細胞(正常細胞);OCM1(低侵襲性原発性ブドウ膜メラノーマ);M619(高侵襲性原発性ブドウ膜メラノーマ);およびMUM2B(高侵襲性転移性ブドウ膜メラノーマ)の4つの細胞株のそれぞれについての、Alu Iに対する露出前ならびに1時間、3時間および5時間の消化後における前方散乱(細胞の大きさを表す)、および側方散乱(細胞内部の複雑性を表す)を示す。

Claims (67)

  1. 細胞の侵襲可能性を評価するための方法であって、以下の工程:
    a)細胞のクロマチンを1つ以上のクロマチン改変剤と接触させる工程;および
    b)クロマチン分解を評価することによってクロマチン安定性を評価する工程
    を包含する、方法。
  2. 前記クロマチンを1つ以上のクロマチン改変剤と接触させる工程の前に、前記細胞から核を単離する工程をさらに包含、請求項1に記載の方法。
  3. クロマチンを1つ以上のクロマチン改変剤と接触させる工程の前に、前記細胞からクロマチンを単離する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
  4. 前記細胞および核膜が透過処理される、請求項1に記載の方法。
  5. 核膜が透過処理される、請求項2に記載の方法。
  6. 前記クロマチン改変剤がタンパク質分解酵素である、請求項1に記載の方法。
  7. 前記タンパク質分解酵素がプロテイナーゼKである、請求項6に記載の方法。
  8. クロマチンが、前記クロマチン改変剤との接触後に再凝集される、請求項6に記載の方法。
  9. 前記クロマチン安定性を評価する工程の前に、前記クロマチンを、DNA結合色素、ポリアミン、ヒストン、トポイソメラーゼ、またはグルタルアルデヒドとが接触する工程によって、クロマチン再凝集が開始される、請求項8に記載の方法。
  10. 前記クロマチン改変剤がヌクレアーゼである、請求項1に記載の方法。
  11. 前記ヌクレアーゼがDNAaseである、請求項10に記載の方法。
  12. 前記ヌクレアーゼがエンドヌクレアーゼである、請求項10に記載の方法。
  13. 前記エンドヌクレアーゼが、ALUまたはMSP 1である、請求項12に記載の方法。
  14. 前記クロマチンの評価が、平面またはほぼ平面の表面上で行われる、請求項1に記載の方法。
  15. 前記クロマチンの評価が、液体培地中の懸濁液において行われる、請求項1に記載の方法。
  16. 前記評価がフローサイトメトリーによって行われる、請求項15に記載の方法。
  17. クロマチン分解が定性的に評価される、請求項1に記載の方法。
  18. 前記クロマチン分解が定量的に評価される、請求項1に記載の方法。
  19. クロマチン分解が、視覚的な顕微鏡法、画像解析、またはフローサイトメトリーによって評価される、請求項1に記載の方法。
  20. クロマチンの光学的コントラストが、評価の前に、クロマチンとDNA結合色素と接触させることによって上昇する、請求項1に記載の方法。
  21. 前記DNA結合色素がクロマチン色素を含有する、請求項20に記載の方法。
  22. 前記DNA結合色素が蛍光色素を含有する、請求項20に記載の方法。
  23. 前記蛍光色素が、エチジウムブロマイド、アクリジンオレンジ、TO−PRO、YO−YO、YO−PROまたはPO−PROである、請求項22に記載の方法。
  24. 候補治療薬の有効性を評価するための方法であって、以下の工程:
    a)細胞を該候補治療薬と接触させる工程;
    b)該細胞のクロマチンをクロマチン改変剤と接触させる工程;
    c)クロマチン分解を評価することによって染色体の安定性を評価する工程;および
    d)該候補治療薬を用いた該細胞の処置によって生じるクロマチン分解と、該治療薬を用いて処理してない細胞とを比較することによって該候補治療薬の有効性を評価する工程
    を包含する、方法。
  25. クロマチンを前記クロマチン改変剤と接触させる工程の前に、前記細胞からクロマチンを単離する工程をさらに包含する、請求項24に記載の方法。
  26. 前記細胞が高増殖性細胞である、請求項24に記載の方法。
  27. 前記高増殖性細胞が癌細胞である、請求項26に記載の方法。
  28. クロマチンをクロマチン改変剤と接触させる工程の前に、前記細胞から核を単離する工程をさらに包含する、請求項24に記載の方法。
  29. 前記細胞の前記核からクロマチンを単離する工程をさらに包含する、請求項24に記載の方法。
  30. 前記細胞および核膜が透過処理される、請求項24に記載の方法。
  31. 前記クロマチン改変剤がタンパク質分解酵素である、請求項24に記載の方法。
  32. 前記タンパク質分解酵素がプロテイナーゼKである、請求項31に記載の方法。
  33. クロマチン安定性を評価する工程の前に、クロマチンが再凝集される、請求項31に記載の方法。
  34. クロマチン安定性の評価の前に、クロマチンを、DNA結合色素、ポリアミン、ヒストン、トポイソメラーゼ、またはグルタルアルデヒドと接触させる工程によって、クロマチン再凝集が開始される、請求項33に記載の方法。
  35. 前記クロマチン改変剤がヌクレアーゼである、請求項24に記載の方法。
  36. 前記ヌクレアーゼがDNAaseである、請求項35に記載の方法。
  37. 前記ヌクレアーゼがエンドヌクレアーゼである、請求項35に記載の方法。
  38. 前記ヌクレアーゼが、ALUまたはMSP 1である、請求項37に記載の方法。
  39. クロマチン安定性の評価が、平面またはほぼ平面の表面上で行われる、請求項24に記載の方法。
  40. クロマチン安定性の評価が、液体培地中の細胞懸濁液として行われる、請求項24に記載の方法。
  41. 前記評価がフローサイトメトリーによって行われる、請求項40に記載の方法。
  42. 前記クロマチン分解が定性的に評価される、請求項24に記載の方法。
  43. 前記クロマチン分解が定量的に評価される、請求項24に記載の方法。
  44. クロマチン分解が、視覚的な顕微鏡法、画像解析、フローサイトメトリーによって評価される、請求項24に記載の方法。
  45. クロマチンの光学的コントラストが、評価の前に、クロマチンをDNA結合色素と接触させることによって上昇する、請求項24に記載の方法。
  46. 前記DNA結合色素がクロマチン色素を含有する、請求項45に記載の方法。
  47. 前記DNA結合色素が蛍光色素を含有する、請求項45に記載の方法。
  48. 前記蛍光色素が、エチジウムブロマイド、アクリジンオレンジ、TO−PRO、YO−YO、YO−PROまたはPO−PROである、請求項47に記載の方法。
  49. ヌクレアーゼによるクロマチン分解の程度を評価することによって、正常細胞と侵襲性癌細胞との間を区別する工程を包含する、方法。
  50. 前記ヌクレアーゼがDNAaseである、請求項49に記載の方法。
  51. 前記ヌクレアーゼがエンドヌクレアーゼである、請求項49に記載の方法。
  52. 前記エンドヌクレアーゼが、ALUまたはMSP 1である、請求項51に記載の方法。
  53. 前記クロマチンを1つ以上のクロマチン改変剤とが接触させる工程の前に、前記細胞から核を単離する工程をさらに包含する、請求項49に記載の方法。
  54. 前記クロマチンを1つ以上のクロマチン改変剤と接触させる工程の前に、前記細胞の前記核からクロマチンを単離する工程をさらに包含する、請求項53に記載の方法。
  55. 前記細胞および核膜が透過処理される、請求項49に記載の方法。
  56. クロマチン分解を評価する工程の前に、クロマチンが再凝集される、請求項49に記載の方法。
  57. 前記クロマチン安定性を評価する工程の前に、クロマチンを、DNA結合色素、ポリアミン、ヒストン、トポイソメラーゼ、またはグルタルアルデヒドと接触する工程によって、クロマチン再凝集が開始される、請求項56に記載の方法。
  58. 前記クロマチンの評価が、平面またはほぼ平面の表面上で行われる、請求項49に記載の方法。
  59. 前記クロマチンの評価が、液体培地中の懸濁液として行われる、請求項49に記載の方法。
  60. 前記評価がフローサイトメトリーによって行われる、請求項59に記載の方法。
  61. クロマチン分解が定性的に評価される、請求項49に記載の方法
  62. 前記クロマチン分解が定量的に評価される、請求項49に記載の方法。
  63. クロマチン分解が、視覚的な顕微鏡法、画像解析、またはフローサイトメトリーによって評価される、請求項49に記載の方法。
  64. クロマチンの光学的コントラストが、評価の前に、クロマチンをDNA結合色素と接触させることによって上昇する、請求項49に記載の方法。
  65. 前記DNA結合色素がクロマチン色素を含有する、請求項64に記載の方法。
  66. 前記DNA結合色素が蛍光色素を含有する、請求項64に記載の方法。
  67. 前記蛍光色素が、エチジウムブロマイド、アクリジンオレンジ、TO−PRO、YO−YO、YO−PROまたはPO−PROである、請求項66に記載の方法。
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