明 細 書
多色燐光発光有機エレクト口ルミネッセンス素子及び照明装置
技術分野
[0001] 本発明は、発光波長の異なる複数の燐光発光ドーパントを有し、特に白色発光を 呈する多色燐光発光有機エレクト口ルミネッセンス素子及びそれを用いた照明装置 に関するものである。
背景技術
[0002] 発光型の電子ディスプレイデバイスとして、エレクト口ルミネッセンスディスプレイ(以 下、 ELDと略記する)がある。 ELDの構成要素としては、無機エレクト口ルミネッセン ス素子(以下、無機 EL素子ともいう)や有機エレクト口ルミネッセンス素子(以下、有機 EL素子ともいう)が挙げられる。無機 EL素子は平面型光源として使用されてきたが、 発光素子を駆動させるためには交流の高電圧が必要である。
[0003] 一方、有機エレクト口ルミネッセンス素子は、発光する化合物を含有する発光層を、 陰極と陽極で挟んだ構成を有し、発光層に電子及び正孔を注入して、再結合させる ことにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出( 蛍光 ·燐光)を利用して発光する素子であり、数 V〜数十 V程度の電圧で発光が可能 であり、更に自己発光型であるために視野角に富み、視認性が高ぐ薄膜型の完全 固体素子であるために省スペース、携帯性等の観点から注目されている。
[0004] また、有機エレクト口ルミネッセンス素子は、従来実用に供されてきた主要な光源、 例えば、発光ダイオードや冷陰極管と異なり、面光源であることも大きな特徴である。 この特性を有効に活用できる用途として、照明用光源や様々なディスプレイのバック ライトがある。特に近年、需要の増加が著しい液晶フルカラーディスプレイのバックラ イトとして用いることも好適である。
[0005] 有機エレクト口ルミネッセンス素子をこのような照明用光源、あるいはディスプレイの ノ ックライトとして用いる場合には、白色もしくは、いわゆる電球色(以下、総合して白 色と称す)を呈する光源として用いることになる。有機エレクト口ルミネッセンス素子で 白色発光を得るには、 1つの素子中に発光波長の異なる複数の発光ドーパントを調
整し、混色により白色を得る方法、多色の発光画素、例えば、青 '緑'赤の 3色を塗り わけ同時に発光させ、混色して白色を得る方法、色変換色素を用いて白色を得る方 法 (例えば、青発光材料と色変換蛍光色素の組み合わせ)などがある。
[0006] しかしながら、低コスト、高生産性、簡便な駆動方法など照明用光源、ノ^クライトに 求められる様々な要求から判断すると、 1つの素子中に発光波長の異なる複数の発 光ドーパントを調整し、混色により白色を得る方法がこれらの用途には有効であり、近 年、研究開発が意欲的に進められている。
[0007] 上述の方法により白色光を得る方法について更に詳細に述べれば、素子中に補色 の関係にある 2色の発光ドーパント、例えば、青色発光ドーパントと黄色発光ドーパン トを用い混色して白色を得る方法、青 '緑'赤の 3色の発光ドーパントを用い、混色し て白色を得る方法が挙げられる。
[0008] 例えば、効率の高い青、緑、赤の 3色の蛍光体を発光材料としてドープすることによ つて、白色の有機エレクト口ルミネッセンス素子を得る方法が開示されている(例えば 、特許文献 1、 2参照。)。
[0009] また、白色発光を呈する有機エレクト口ルミネッセンス素子において、発光色の異な る層を各々別個の層にするのではなぐ 2色以上の発光ドーパントを 1層中に共存さ せ、高発光エネルギーの発光ドーパントから相対的に効率の低い発光ドーパントへ のエネルギー移動により、 2色を発光させる方式がある。この方式は、有機層数を削 減できること、また発光ドーパントの使用量を減少できることから、白色発光の有機 E L素子を得るにあたり有力な方法の一つである。例えば、特許文献 3には、陽極から 赤色発光層及び青色発光層が順次設けられてなり、かつ赤色発光層は少なくとも一 つの緑色発光ドーパントを含有することを特徴とする有機電界発光素子が開示され ている。
[0010] ところで、近年、蛍光材料に対し、より高輝度の有機エレクト口ルミネッセンス素子が 得られる燐光発光ドーパントの開発が精力的に進められている(例えば、特許文献 4 、非特許文献 1、 2参照。)。従来の蛍光材料からの発光は、励起一重項からの発光 であり、一重項励起子と三重項励起子の生成比が 1 : 3であるため、発光性励起種の 生成確率は 25%であるのに対し、励起三重項からの発光を利用する燐光発光ドー
パントの場合には、励起子生成比率と一重項励起子から三重項励起子への内部変 換により、内部量子効率の上限が 100%となるため、蛍光発光ドーパントの場合に比 ベ、原理的に発光効率が最大 4倍となる。
[0011] しかしながら、燐光発光ドーパントを用いて、 2色以上の発光ドーパントを 1層に共 存させ、高発光エネルギーの発光ドーパントから相対的に効率の低いドーパントにェ ネルギー移動により 2色を発光させることにより、白色発光の有機エレクト口ルミネッセ ンス素子を得ようとした場合、電力効率、寿命、色度の対駆動電流安定性が必ずしも 十分ではなぐ従来の蛍光発光ドーパントにおいて知られている方法、条件では期 待する効果は得られなレ、のが現状である。
特許文献 1 :特開平 6— 207170号公報
特許文献 2 :特開 2004— 235168号公報
牛寺言午 tS½ : WO2004/077886^|"明糸田 »
特許文献 4 :米国特許第 6, 097, 147号明細書
非特許文献 1 : M. A. Baldo et al. , nature, 395巻、 151〜; 154頁(1998年) 非特許文献 2 : M. A. Baldo et al. , nature, 403巻、 17号、 750〜753頁(200 0年)
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0012] 本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、発光波長の異なる複 数の燐光発光ドーパントを有し、特に白色発光を呈する有機エレクト口ルミネッセンス 素子において、電力効率に優れ、長寿命で、保存安定性に優れ、かつ色度の対駆 動電流安定性に優れた多色燐光発光有機エレクト口ルミネッセンス素子と、それを用 いた照明装置を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0013] 本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
[0014] 1.発光波長の異なる 2種以上の燐光発光ドーパントを含有し、かつ少なくとも 2層 の発光層を有し、発光ドーパントが全て燐光型の発光ドーパントである有機エレクト口 ノレミネッセンス素子において、同一層中に発光波長の異なる 2種以上の燐光発光ド
一パントを含有する発光層 Aを少なくとも 1層有し、該発光層 Aで用いられる最も高濃 度の発光ドーパントの含有量が 4質量%以上、 20質量%以下であり、かつ該発光層 Aより陰極側に、発光極大波長が 480nm以下である発光層 Bを有することを特徴と する多色燐光発光有機エレクト口ルミネッセンス素子。
2.前記同一層中に発光波長の異なる 2種以上の燐光発光ドーパントを含有する発 光層 Aと、該発光層 Aより陰極側に位置する前記発光極大波長が 480nm以下であ る発光層 Bとがそれぞれ含有するホスト化合物の 30質量%以上が、同一の化合物で あることを特徴とする前記 1に記載の多色燐光発光有機エレクト口ルミネッセンス素子
[0016] 3.前記同一層中に発光波長の異なる 2種以上の燐光発光ドーパントを含有する発 光層 Aと、該発光層 Aより陰極側に位置する前記発光極大波長が 480nm以下であ る発光層 Bとが含有するホスト化合物力 同一の化合物であることを特徴とする前記 1 に記載の多色燐光発光有機エレクト口ルミネッセンス素子。
[0017] 4.前記陰極側に位置する発光極大波長が 480nm以下である発光層 Bが含有す る発光ドーパントは、下記一般式 (A)〜(C)から選ばれる少なくとも 1つの部分構造 を有することを特徴とする前記;!〜 3のいずれか 1項に記載の多色燐光発光有機エレ タトロルミネッセンス素子。
[0018] [化 1] 一般式 {A》
〔式中、 Raは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、 Rb、 Rcは各々 水素原子または置換基を表し、 A1は芳香族環または芳香族複素環を形成するのに 必要な残基を表し、 Mは Irまたは Ptを表す。〕
[0020] [化 2]
[0021] 〔式中、 Raは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、 Rb、 Rc、 Rb、
1
Rcは各々水素原子または置換基を表し、 A1は芳香族環または芳香族複素環を形
1
成するのに必要な残基を表し、 Mは Irまたは Ptを表す。〕
[0022] [化 3]
—般式《C》
[0023] 〔式中、 Raは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、 Rb、 Rcは各々 水素原子または置換基を表し、 A1は芳香族環または芳香族複素環を形成するのに 必要な残基を表し、 Mは Irまたは Ptを表す。〕
5.前記発光極大波長が 480nm以下である発光層 Bが、下記一般式 (a)で表され るホスト化合物を含有することを特徴とする前記 1〜4のいずれ力、 1項に記載の多色 燐光発光有機エレクト口ルミネッセンス素子。
[0025] 〔式中、 Xは、 NR' 、〇、S、CR' R/f または SiR' R/f を表す。 R' 、 R" は、各々 水素原子または置換基を表す。 Arは芳香環を表す。 nは 0から 8の整数を表す。〕
6.前記発光極大波長が 480nm以下の発光層 Bが含有するホスト化合物のガラス 転移温度が 90°C以上であり、かつ最低励起 3重項エネルギーが 2. 7eV以上である ことを特徴とする前記 1〜5のいずれ力、 1項に記載の多色燐光発光有機エレクト口ルミ ネッセンス素子。
[0026] 7.陰極側に位置する前記発光極大波長が 480nm以下である発光層 Bと陰極間 に、 2種以上の燐光発光ドーパントを同一層内に含有する前記発光層 Aの中で、最 も発光極大波長の長い発光ドーパントを含有する発光層 Cを、前記発光層 Bに隣接 して有することを特徴とする前記;!〜 6のいずれか 1項に記載の多色燐光発光有機ェ レクト口ルミネッセンス素子。
[0027] 8.陰極側に位置する前記発光極大波長が 480nm以下である発光層 Bと陰極間 に、 2種以上の燐光発光ドーパントを同一層内に含有する前記発光層 Aの中で、最 も発光極大波長の長い発光ドーパントと前記発光層 Bに含有される発光ドーパントと を含有する発光層 Dを、前記発光層 Bに隣接して有することを特徴とする前記 7に記 載の多色燐光発光有機エレクト口ルミネッセンス素子。
[0028] 9.発光色が、 CIE1931表色系の色度に準拠した X値が 0. 37 ± 0. 1、 y値が 0. 3 7 ± 0. 07の範囲にある白色または電球色であることを特徴とする前記 1〜8のいず れカ、 1項に記載の多色燐光発光有機エレクト口ルミネッセンス素子。
[0029] 10.前記 1〜9のいずれ力、 1項に記載の多色燐光発光有機エレクト口ルミネッセンス 素子を用いることを特徴とする照明装置。
発明の効果
[0030] 本発明により、発光波長の異なる複数の燐光発光ドーパントを有し、特に白色発光
を呈する有機エレクト口ルミネッセンス素子において、電力効率に優れ、長寿命で、 保存安定性に優れ、かつ色度の対駆動電流安定性に優れた多色燐 光発光有機ェ レクト口ルミネッセンス素子と、それを用いた照明装置を提供することができた。
図面の簡単な説明
[0031] [図 1]本発明の有機 EL素子を組み込んだ照明装置の一例を示す概略図である。
[図 2]本発明の有機 EL素子を組み込んだ照明装置の一例を示す断面図である。 符号の説明
[0032] 101 有機 EL素子
102 ガラスカバー
105 陰極
106 有機 EL層
107 透明電極付きガラス基板
108 窒素ガス
109 捕水剤
発明を実施するための最良の形態
[0033] 以下、本発明の多色燐光発光有機エレクト口ルミネッセンス素子(以下、本発明の 有機 EL素子ともいう)の各構成要素の詳細について、順次説明する。
[0034] 《有機エレクト口ルミネッセンス素子の発光色と正面輝度》
本発明の有機 EL素子ゃ該素子に係る化合物の発光色は、「新編色彩科学ハンド ブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、 1985)の 108頁の図 4. 16において、 分
光放射輝度計 CS - 1000 (コニ力ミノルタセンシング社製)で測定した結果を、 CIE 色度座標に当てはめたときの色で決定される。
[0035] 本発明における白色素子としての好ましい色度は、 CIE1931表色系において X値 力 0. 37 ± 0. 1、 ィ直カ 0. 37 ± 0. 07の範囲にある。
[0036] 《有機 EL素子の層構成》
次に、本発明の有機 EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示す力 S、本発明 はこれらに限定されない。
[0037] (i)陽極/発光層ユニット/電子輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層ユニット/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層ユニット/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層ユニット/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッ ファー層/陰極
(V)陽極/陽極バッファ一層/正孔輸送層/発光層ユニット/正孔阻止層/電子 輸送層/陰極バッファー層/陰極
本発明の有機 EL素子においては、発光層ユニットは、少なくとも 2層の発光層を有 することを特徴とする力 S、各発光層間には非発光性の中間層を有していてもよい。
[0038] 《発光層》
本発明に係る発光層は、電極または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる 電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であつ ても発光層と隣接層との界面であってもよい。
[0039] 本発明に係る発光層は、本発明で規定する要件を満たしていれば、その構成には 特に制限はない。また、発光層の数が 3層より多い場合には、同一の発光スペクトル や発光極大波長を有する層が複数層あってもよい。
[0040] 発光層の膜厚の総和は、特に制限はないが、形成する膜の均質性や、発光時に不 必要な高電圧を印加するのを防止し、且つ、駆動電流に対する発光色の安定性向 上の観点から、 2nm〜200nmの範囲に調整することが好ましぐ更に好ましくは 5n m以上、 40nm以下の範囲に調整される。また、個々の発光層の膜厚としては、 2nm 〜; !OOnmの範囲に調整することが好ましぐ更に好ましくは、 5nm以上、 30nm以下 の範囲に調整することである。
[0041] 発光層を形成する方法としては、後述する発光ドーパントやホスト化合物を、例えば 、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、 LB法 (ラングミュア—プロジェット法)、イン クジェット法等の公知の薄膜形成法により製膜して形成することができる。
[0042] 本発明においては、同一発光層中に発光波長の異なる 2種以上の発光ドーパント を含有する発光層 Aを少なくとも 1層有し、該発光層 Aに用いられる最も高濃度の発 光ドーパントの含有量が 4質量%以上、 20質量%以下であり、該発光層 Aより陰極側
に、より短波に発光する発光層 Bを設けることを特徴とし、該高濃度発光ドーパントの 含有量としては、更に好ましくは 7質量%以上、 15質量%以下である。
[0043] また、本発明にお!/、ては、波長の異なる 2種以上の燐光発光ドーパントを含有し、 かつ少なくとも 2層の発光層を有し、発光ドーパントが全て燐光型発光ドーパントであ ることを特徴とする。
[0044] 例えば、 WO2004/077886号明細書には、蛍光発光ドーパントを用い、 2種の 発光ドーパントを含有する発光層の事例が開示されている力 該層におけるドーパン ト濃度は多いものでも 1質量%以下である。また、該明細書の一般記載には、燐光発 光ドーパントを用いてもよぐそのドープ濃度は、一般には 0· 0;!〜 30質量%とされる とある力 S、燐光材料についての具体的実施態様の記載はない。
[0045] しかしながら、本発明者らの検討によれば、燐光材料においては、前記発光層の構 成において、より優れた発光効率と駆動寿命を得るためにはより限定された好ましい 上記ドープ濃度範囲があることが判明した。 4質量%より低い濃度では発光効率が低 下し、また 20質量%以上では、駆動寿命においてよい結果を得ることができない。
[0046] また、同一層中に発光波長の異なる 2種以上の燐光発光ドーパントを含有する発 光層 Aと、該発光層 Aより陰極側に位置する前記発光極大波長が 480nm以下であ る発光層 Bの更に陰極間に、 2種以上の燐光発光ドーパントを同一層内に含有する 発光層 Aの中で、最も発光極大波長の長い発光ドーパントを含有する発光層 Cを、 発光極大波長が 480nm以下である発光層 Bに隣接して有することが好ましい。
[0047] 〔ホスト化合物〕
次に、発光層に含まれるホスト化合物、発光ドーパント (発光ホスト化合物、発光ド 一パント化合物ともいう)について説明する。
[0048] 本発明の有機 EL素子の発光層に含まれるホスト化合物とは、室温(25°C)におけ る燐光発光の燐光量子収率が、 0. 1未満の化合物であることが好ましぐ更に好まし くは燐光量子収率が 0. 01未満の化合物である。また、発光層に含有される化合物 の中で、その層中での質量比が 20質量%以上であることが好ましい。
[0049] ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよぐまたは複数種併 用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整すること
が可能となり、有機 EL素子を高効率化することもできる。
[0050] 本発明に用いられる発光ホスト化合物としては、構造的には特に制限はないが、代 表的には力ルバゾール誘導体、トリアリールァミン誘導体、芳香族ボラン誘導体、含 窒素複素環化合物、チォフェン誘導体、フラン誘導体、オリゴァリーレン化合物等の 基本骨格を有するもの、または、カルボリン誘導体やジァザ力ルバゾール誘導体 (こ こで、ジァザ力ルバゾール誘導体とは、カルボリン誘導体のカルボリン環を構成する 炭化水素環の少なくとも一つの炭素原子が窒素原子で置換されているものを表す。 ) 等が挙げられる。
[0051] 本発明に係る発光層に用いられる発光ホスト化合物としては、前記一般式 (a)で表 される化合物が好ましい。
[0052] 前記一般式(a)において、 Xは、 NR 、〇、 S、 CR R" または SiR R" を表し、
R' 、R〃 は各々水素原子または置換基を表す。 Arは芳香環を表す。 nは 0から 8の 整数を表す。
[0053] 一般式(a)において、 Xにおいて R' 、 R〃 で各々表される置換基としては、アルキ ル基(例えば、メチル基、ェチル基、プロピル基、イソプロピル基、 tert ブチル基、 ペンチル基、へキシル基、ォクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、 ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロへキシノレ 基等)、アルケニル基(例えば、ビニノレ基、ァリノレ基、 1 プロぺニル基、 2—ブテュル 基、 1 , 3 ブタジェニル基、 2 ペンテュル基、イソプロぺニル基等)、アルキニル基 (例えば、ェチュル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基 (芳香族炭素環基、 ァリール基等ともいい、例えば、フエニル基、 p—クロ口フエ二ル基、メシチル基、トリル 基、キシリノレ基、ナフチル基、アントリノレ基、ァズレニル基、ァセナフテュル基、フルォ レニル基、フエナントリル基、インデュル基、ピレニル基、ビフエ二リル基等)、芳香族 複素環基 (例えば、フリル基、チェニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル 基、ピラジュル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナ ゾリ二ノレ基、カルバゾリル基、カノレポリニノレ基、ジァザカルバゾリル基(前記カルボリニ ル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったも のを示す)、フタラジュル基等)、複素環基 (例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、
モルホリル基、ォキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、 プロピルォキシ基、ペンチルォキシ基、へキシルォキシ基、ォクチルォキシ基、ドデシ ルォキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルォキシ基、シクロへキシ ノレォキシ基等)、ァリーノレォキシ基 (例えば、フエノキシ基、ナフチノレオキシ基等)、ァ ルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、ェチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチ ォ基、へキシルチオ基、ォクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基 (例えば、シクロペンチルチオ基、シクロへキシルチオ基等)、ァリールチオ基(例えば 、フエ二ルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルォ キシカノレポ二ノレ基、ェチノレ才キシカノレポ二ノレ基、ブチノレ才キシカノレポ二ノレ基、才クチ ルォキシカルボニル基、ドデシルォキシカルボニル基等)、ァリールォキシカルボ二 ル基(例えば、フエニルォキシカルボニル基、ナフチルォキシカルボニル基等)、スル ファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルァミノ スルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、へキシルアミノスルホニル基、シクロへキ シルアミノスルホニル基、ォクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、 フエニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、 2—ピリジルアミノスルホニ ル基等)、ァシル基(例えば、ァセチル基、ェチルカルボニル基、プロピルカルボニル 基、ペンチルカルボニル基、シクロへキシルカルボニル基、ォクチルカルボニル基、 2 ェチルへキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フエニルカルボニル基、ナ フチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、ァシルォキシ基(例えば、ァセチノレ ォキシ基、ェチルカルボニルォキシ基、ブチルカルボニルォキシ基、ォクチルカルポ ニルォキシ基、ドデシルカルポニルォキシ基、フエ二ルカルポニルォキシ基等)、アミ ド基(例えば、メチルカルボニルァミノ基、ェチルカルボニルァミノ基、ジメチルカルポ ニノレアミノ基、プロピルカルボニルァミノ基、ペンチルカルポニルァミノ基、シクロへキ シルカルボニルァミノ基、 2—ェチルへキシルカルボニルァミノ基、ォクチルカルボ二 ルァミノ基、ドデシルカルポニルァミノ基、フエ二ルカルポニルァミノ基、ナフチルカル ボニルァミノ基等)、力ルバモイル基(例えば、ァミノカルボニル基、メチルァミノカルボ 二ノレ基、ジメチルァミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルァミノ力 ノレボニノレ基、シクロへキシルァミノカルボニル基、ォクチルァミノカルボニル基、 2—ェ
チルへキシルァミノカルボニル基、ドデシルァミノカルボニル基、フエニルァミノカルボ ニル基、ナフチルァミノカルボニル基、 2—ピリジルァミノカルボニル基等)、ウレイド基 (例えば、メチルウレイド基、ェチルウレイド基、ペンチルゥレイド基、シクロへキシルゥ レイド基、才クチノレウレイド基、ドデシノレウレイド基、フエ二ノレウレイド基ナフチノレゥレイ ド基、 2—ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィエル基(例えば、メチルスルフィエル基 、ェチルスルフィエル基、ブチルスルフィエル基、シクロへキシルスルフィエル基、 2— ェチノレへキシノレスノレフィニノレ基、ドデシノレスノレフィニノレ基、フエニノレスノレフィニノレ基、 ナフチルスルフィエル基、 2—ピリジルスルフィエル基等)、アルキルスルホニル基(例 えば、メチルスルホニル基、ェチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロへキシ ノレスノレホニノレ基、 2—ェチルへキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、ァリ 一ルスルホニル基またはへテロアリールスルホニル基(例えば、フエニルスルホニル 基、ナフチルスルホニル基、 2—ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基 、ェチルァミノ基、ジメチルァミノ基、ブチルァミノ基、シクロペンチルァミノ基、 2—ェ チルへキシノレアミノ基、ドデシノレアミノ基、ァニリノ基、ナフチルァミノ基、 2—ピリジル アミノ基等)、ハロゲン原子 (例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭 化水素基(例えば、フルォロメチル基、トリフルォロメチル基、ペンタフルォロェチル 基、ペンタフルオロフェニル基等)、シァノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シ リル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロビルシリル基、トリフエニルシリル基、フ ェニルジェチルシリル基等)、ホスホノ基等が挙げられる。
[0054] これらの置換基は、上記の置換基によってさらに置換されていてもよい。また、これ らの置換基は複数が互いに結合して環を形成して!/、てもよレ、。
[0055] 一般式(a)において、好ましい Xは NR' または Oであり、 としては芳香族炭化 水素基、芳香族複素環基が特に好ましい。
[0056] 一般式 (a)にお!/、て、 Arで表される芳香環としては、芳香族炭化水素環または芳 香族複素環が挙げられる。また、該芳香環は単環でもよぐ縮合環でもよぐ更に未 置換でも、後述するような置換基を有していてもよい。
[0057] 一般式 (a)にお!/、て、 Arで表される芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ビフ ェニル環、ナフタレン環、ァズレン環、アントラセン環、フエナントレン環、ピレン環、ク
リセン環、ナフタセン環、トリフエ二レン環、 o—テルフエニル環、 m—テルフエニル環、 p—テルフエニル環、ァセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環 、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ビラ ントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。これらの環は更に置換基を有して いてもよい。
[0058] 一般式 (a)において、 Arで表される芳香族複素環としては、例えば、フラン環、ジ ベンゾフラン環、チォフェン環、ォキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン 環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、ォキサジァゾール 環、トリァゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ィ ンダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾォキサゾール環、 キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、 ナフチリジン環、力ルバゾール環、カルボリン環、ジァザ力ルバゾール環(カルボリン 環を構成する炭化水素環の炭素原子の一つが更に窒素原子で置換されている環を 示す)等が挙げられる。これらの環は更に置換基を有して!/、てもよ!/、。
[0059] 上記の中でも、一般式 (a)において、 Arで表される芳香環として好ましく用いられる のは、力ルバゾール環、カルボリン環、ジベンゾフラン環、ベンゼン環であり、特に好 ましく用いられるのは、カノレバゾール環、カルボリン環、ベンゼン環である。上記の中 でも、置換基を有するベンゼン環が好ましぐ特に好ましくは、力ルバゾリル基を有す るベンゼン環が好ましい。
[0060] また、一般式(a)において、 Arで表される芳香環としては、下記に示すような、各々 3環以上の縮合環が好ましい一態様であり、 3環以上が縮合した芳香族炭化水素縮 合環としては、具体的には、ナフタセン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン 環、へキサセン環、フエナントレン環、ピレン環、ベンゾピレン環、ベンゾァズレン環、 タリセン環、ベンゾクリセン環、ァセナフテン環、ァセナフチレン環、トリフエ二レン環、 コロネン環、ベンゾコロネン環、へキサベンゾコロネン環、フルオレン環、ベンゾフルォ レン環、フルオランテン環、ペリレン環、ナフトペリレン環、ペンタベンゾペリレン環、ベ ンゾペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピラントレン環、コロネン環、ナフトコロネ ン環、ォバレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。尚、これらの環は更に、置
換基を有していてもよい。
[0061] また、 3環以上が縮合した芳香族複素環としては、具体的には、アタリジン環、ベン ゾキノリン環、力ルバゾール環、カルボリン環、フエナジン環、フエナントリジン環、フエ ナント口リン環、カルボリン環、サイクラジン環、キンドリン環、テぺニジン環、キュンドリ ン環、トリフエノジチアジン環、トリフエノジォキサジン環、フエナントラジン環、アントラ ジン環、ペリミジン環、ジァザ力ルバゾール環 (カルボリン環を構成する炭素原子の任 意の一つが窒素原子で置き換わったものを表す)、フエナント口リン環、ジベンゾフラ ン環、ジベンゾチォフェン環、ナフトフラン環、ナフトチォフェン環、ベンゾジフラン環 アントラジフラン環、アントラチ才フェン環、アントラジチ才フェン環、チアントレン環、フ エノキサチイン環、チォファントレン環(ナフトチォフェン環)等が挙げられる。尚、これ らの環は更に置換基を有して!/、てもよレ、。
[0062] ここで、一般式 (a)にお!/、て、 Arで表される芳香環が有してもょレ、置換基は、 R' 、
R〃 で、各々表される置換基と同義である。
[0063] また、一般式(a)において、 nは 0〜8の整数を表す力 0〜2であることが好ましく、 特に Xが〇、 Sである場合には 1または 2であることが好ましい。
[0064] 以下に、一般式 (a)で表される発光ホスト化合物の具体例を示すが、これらに限定 されるものではない。
[0065] [化 5]
[9^1 ] [9900]
£86110/ LOOZdT/lDd 91- .TSS.0/800Z OAV
[O] 900]
£86110/ LOOZdT/lDd 91- .TSS.0/800Z OAV
[8^1 ] [8900]
£86110/ LOOZdT/lDd 81- .TSS.0/800Z OAV
[0070] [化 10]
[ΐΐ¾] [uoo]
£86110/ LOOZdT/lDd 03 .TSS.0/800Z OAV
0072
[0073] また、本発明に用いるホスト化合物は、低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高 分子化合物でもよぐビュル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合 物 (蒸着重合性発光ホスト)でもレ、レ、。
[0074] ホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、且つ、発光の長波長 化を防ぎ、高 Tg (ガラス転移温度)である化合物が好まし!/、。
[0075] 本発明に係るホスト化合物としては、更に、公知のホスト化合物を複数種併用して 用いてもよい。ホスト化合物を複数種もちいることで、電荷の移動を調整することが可 能であり、有機 EL素子を高効率化することができる。また、リン光性化合物を複数種 用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得るこ
と力できる。リン光性化合物の種類、ドープ量を調整することで白色発光が可能であ り、照明、ノ ックライトへの応用もできる。
[0076] 従来公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物 力 適である。例えば、特開 2001— 257076号公報、同 2002— 308855号公報、 同 2001— 313179号公報、同 2002— 319491号公報、同 2001— 357977号公報 、同 2002— 334786号公報、同 2002— 8860号公報、同 2002— 334787号公報 、同 2002— 15871号公報、同 2002— 334788号公報、同 2002— 43056号公報 、同 2002— 334789号公報、同 2002— 75645号公報、同 2002— 338579号公 報、同 2002— 105445号公報、同 2002— 343568号公報、同 2002— 141173号 公報、同 2002— 352957号公報、同 2002— 203683号公報、同 2002— 363227 号公報、同 2002— 231453号公報、同 2003— 3165号公報、同 2002— 234888 号公報、同 2003— 27048号公報、同 2002— 255934号公報、同 2002— 26086 1号公報、同 2002— 280183号公報、同 2002— 299060号公報、同 2002— 302 516号公報、同 2002— 305083号公報、同 2002— 305084号公報、同 2002— 3 08837号公報等が挙げられる。
[0077] 本発明においては、ホスト化合物は発光層ごとに異なっていてもよいが、前記同一 発光層に発光波長の異なる 2種以上の発光ドーパントを含有する発光層と、該層より 陰極側に位置する、より短波に発光する発光層のホスト化合物の各 30質量%以上が 同一の化合物であることが優れた駆動寿命特性が得られることから好ましぐより好ま しくは前記各ホスト化合物の 50質量%以上が同一であり、更には全ホスト化合物が 同一の化合物であることが好ましレ、。
[0078] また、前記ホスト化合物は、その最低励起 3重項エネルギー (T )力 2. 7Evより大
1
き!/、ことがより高!/、発光効率を得られることから好ましレ、。本発明でレ、う最低励起 3重 項エネルギーとは、ホスト化合物を溶媒に溶解し、液体窒素温度において観測した 燐光発光スペクトルの最低振動バンド間遷移に対応する発光バンドのピークェネル ギーを言う。
[0079] 本発明においては、ガラス転移点が 90°C以上の化合物が好ましぐ更には 130°C 以上の化合物が優れた駆動寿命特性を得られることから好ましい。
[0080] ここで、ガラス転移点(Tg)とは、 DSC (Differential Scanning Colorimetry: 示差走査熱量法)を用いて、 JIS— K— 7121に準拠した方法により求められる値であ
[0081] 本発明の有機 EL素子においては、ホスト材料はキャリアの輸送を担うため、キヤリ ァ輸送能を有する材料が好ましい。キャリア輸送能を表す物性としてキャリア移動度 が用いられるが、有機材料のキャリア移動度は、一般的に電界強度に依存性が見ら れる。電界強度依存性の高い材料は、正孔と電子注入 ·輸送バランスを崩しやすい 為、中間層材料、ホスト材料は、移動度の電界強度依存性の少ない材料を用いるこ とが好ましい。
[0082] 〔発光ドーパント〕
次レ、で、本発明に係る発光ドーパントにつ!/、て説明する。
[0083] 本発明に係る発光ドーパントとしては、燐光型発光ドーパント(以下、燐光発光体、 燐光性化合物、燐光発光性化合物ともレ、う)を用いることを特徴とする。
[0084] (燐光発光体)
本発明に係る燐光発光体は、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、 具体的には、室温(25°C)にて燐光発光する化合物であり、燐光量子収率が、 25°C において 0. 01以上の化合物であると定義される力 S、好ましい燐光量子収率は 0. 1 以上である。
[0085] 上記燐光量子収率は、例えば、第 4版実験化学講座 7の分光 IIの 398頁(1992年 版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中での燐光量子収率は種々の溶媒 を用いて測定できる力 本発明に係る燐光発光体は、任意の溶媒のいずれかにおい ても、上記燐光量子収率(0. 01以上)が達成されればよい。
[0086] 燐光発光体の発光の原理としては、 2タイプが挙げられ、一つのタイプはキャリアが 輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が 生成し、このエネルギーを燐光発光体に移動させることで燐光発光体からの発光を 得るというエネルギー移動型、もう一つのタイプは、燐光発光体がキャリアトラップとな り、燐光発光体上でキャリアの再結合が生じ、燐光発光体からの発光が得られるとい うキャリアトラップ型である力 S、いずれの場合においても、燐光発光体の励起状態の
エネルギーは、ホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
[0087] 燐光発光体は、有機 EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択 して用いること力 Sでさる。
[0088] 本発明に係る燐光発光体としては、好ましくは元素の周期表で 8族〜 10族の金属 を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物
、または白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましい のはイリジウム化合物である。
[0089] 以下に、燐光発光体として用いられる化合物の具体例を示すが、本発明はこれら に限定されない。これらの化合物は、例えば、 Inorg. Chem. 40巻、 1704〜; 1711 に記載の方法等により合成できる。
[0090] [化 13]
[0091] [化 14]
[0092] [化 15]
[0093] [化 16]
[0094] [化 17]
[0095] (一般式 (A)〜(C)で表される部分構造)
また、同一発光層に発光波長の異なる 2種以上の発光ドーパントを含有する発光 層 Aと、該発光層 Aより陰極側に位置する、発光極大波長が 480nm以下の発光層 B を有する本発明の有機エレクト口ルミネッセンス素子において、陰極側に位置する発 光層 Bに含有される発光ドーパントは前記一般式 (A) (C)から選ばれる少なくとも 1つの部分構造を有する化合物であることが好ましい。
[0096] 前記一般式 (A)において、 Raは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基 を表し、 Rb Rcは各々水素原子または置換基を表し、 A1は芳香族環または芳香族 複素環を形成するのに必要な残基を表し、 Mは Irまたは Ptを表す。
[0097] また、前記一般式 (B)において、 Raは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素 環基を表し、 Rb Rc Rb Rcは各々水素原子または置換基を表し、 A1は芳香族
1 1
環または芳香族複素環を形成するのに必要な残基を表し、 Mは Irまたは Ptを表す。
[0098] また、前記一般式 (C)において、 Raは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素 環基を表し、 Rb Rcは各々水素原子または置換基を表し、 A1は芳香族環または芳 香族複素環を形成するのに必要な残基を表し、 Mは Irまたは Ptを表す。
[0099] 一般式 (A) (C)において、 Raは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基 を表し、 Raで表される脂肪族基としては、アルキル基 (例えば、メチル基、ェチル基、 プロピル基、ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、 2—ェチル キシル基、オタ チル基、ゥンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基)、シクロアルキル基(例えば、シ クロペンチル基、シクロへキシル基)が挙げられ、芳香族基としては、例えば、フエ二 ル基、トリノレ基、ァズレニル基、アントラニル基、フエナントリノレ基、ピレニル基、クリセ 二ノレ基、ナフタセニル基、 o—テルフエニル基、 m—テルフエニル基、 p—テルフエ二 ル基、ァセナフテュル基、コロネ二ル基、フルォレニル基、ペリレニル基等を挙げるこ とができ、これらの基はそれぞれ置換基を有していてもよい。複素環基としては、例え ば、ピロリル基、インドリル基、フリル基、チェニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ィ ンドリジニル基、キノリニル基、カルバゾリル基、インドリニル基、チアゾリル基、ピリジ ル基、ピリダジニル基、チアジアジニル基、ォキサジァゾリル基、ベンゾキノリニル基、 チアジアゾリル基、ピロ口チアゾリル基、ピロロピリダジニル基、テトラゾリル基、ォキサ ゾリル基、クロマ二ル基等を挙げることができ、これらの基はそれぞれ置換基を有して
いてもよい。
一般式 (A)〜(C)において、 Rb、 Rc、 Rb、 Rcが表す置換基としては、アルキル
1 1
基(例えば、メチル基、ェチル基、プロピル基、イソプロピル基、 tert ブチル基、ぺ ンチル基、へキシル基、ォクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペン タデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基等) 、アルケニル基(例えば、ビュル基、ァリル基等)、アルキニル基(例えば、ェチュル基 、プロパルギル基等)、ァリール基 (例えば、フエニル基、ナフチル基等)、芳香族複 素環基 (例えば、フリル基、チェニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、 ピラジュル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリ二 ル基、フタラジュル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホ リル基、ォキサゾリジル基等)、アルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロ ピルォキシ基、ペンチルォキシ基、へキシルォキシ基、ォクチルォキシ基、ドデシノレ ォキシ基等)、シクロアルコキシル基(例えば、シクロペンチルォキシ基、シクロへキシ ノレォキシ基等)、ァリーノレォキシ基 (例えば、フエノキシ基、ナフチノレオキシ基等)、ァ ルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、ェチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチ ォ基、へキシルチオ基、ォクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基 (例えば、シクロペンチルチオ基、シクロへキシルチオ基等)、ァリールチオ基(例えば 、フエ二ルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルォ キシカノレポ二ノレ基、ェチノレ才キシカノレポ二ノレ基、ブチノレ才キシカノレポ二ノレ基、才クチ ルォキシカルボニル基、ドデシルォキシカルボニル基等)、ァリールォキシカルボ二 ル基(例えば、フエニルォキシカルボニル基、ナフチルォキシカルボニル基等)、スル ファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルァミノ スルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、へキシルアミノスルホニル基、シクロへキ シルアミノスルホニル基、ォクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、 フエニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、 2—ピリジルアミノスルホニ ル基等)、ァシル基(例えば、ァセチル基、ェチルカルボニル基、プロピルカルボニル 基、ペンチルカルボニル基、シクロへキシルカルボニル基、ォクチルカルボニル基、 2 ェチルへキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フエニルカルボニル某、ナ
フチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、ァシルォキシ基(例えば、ァセチノレ ォキシ基、ェチルカルボニルォキシ基、ブチルカルボニルォキシ基、ォクチルカルポ ニルォキシ基、ドデシルカルポニルォキシ基、フエ二ルカルポニルォキシ基等)、アミ ド基(例えば、メチルカルボニルァミノ基、ェチルカルボニルァミノ基、ジメチルカルポ ニノレアミノ基、プロピルカルボニルァミノ基、ペンチルカルポニルァミノ基、シクロへキ シルカルボニルァミノ基、 2—ェチルへキシルカルボニルァミノ基、ォクチルカルボ二 ルァミノ基、ドデシルカルポニルァミノ基、フエ二ルカルポニルァミノ基、ナフチルカル ボニルァミノ基等)、力ルバモイル基(例えば、ァミノカルボニル基、メチルァミノカルボ 二ノレ基、ジメチルァミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルァミノ力 ノレボニノレ基、シクロへキシルァミノカルボニル基、ォクチルァミノカルボニル基、 2—ェ チルへキシルァミノカルボニル基、ドデシルァミノカルボニル基、フエニルァミノカルボ ニル基、ナフチルァミノカルボニル基、 2—ピリジルァミノカルボニル基等)、ウレイド基 (例えば、メチルウレイド基、ェチルウレイド基、ペンチルゥレイド基、シクロへキシルゥ レイド基、才クチノレウレイド基、ドデシノレウレイド基、フエ二ノレウレイド基ナフチノレゥレイ ド基、 2—ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィエル基(例えば、メチルスルフィエル基 、ェチルスルフィエル基、ブチルスルフィエル基、シクロへキシルスルフィエル基、 2— ェチノレへキシノレスノレフィニノレ基、ドデシノレスノレフィニノレ基、フエニノレスノレフィニノレ基、 ナフチルスルフィエル基、 2—ピリジルスルフィエル基等)、アルキルスルホニル基(例 えば、メチルスルホニル基、ェチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロへキシ ノレスノレホニノレ基、 2—ェチルへキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、ァリ 一ノレスノレホニノレ基(フエニノレスノレホニノレ基、ナフチノレスノレホニノレ基、 2—ピリジノレスノレ ホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、ェチルァミノ基、ジメチノレアミノ基、ブチル アミノ基、シクロペンチルァミノ基、 2—ェチルへキシルァミノ基、ドデシルァミノ基、ァ 二リノ基、ナフチルァミノ基、 2—ピリジルァミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素 原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基 (例えば、フルォロメチル基、トリ フルォロメチル基、ペンタフルォロェチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シァノ 基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリ イソプロビルシリル基、トリフエニルシリル基、フエ二ルジェチルシリル基等)等が挙げ
られる。これらの置換基は上記の置換基によって更に置換されて!/、てもよ!/、。
[0101] 一般式 (A)〜(C)において、 A1は芳香族環、芳香族複素環を形成するのに必要 な残基を表し、該芳香族環としてはベンゼン環、ビフエ二ル環、ナフタレン環、ァズレ ン環、アントラセン環、フエナントレン環、ピレン環、タリセン環、ナフタセン環、トリフエ 二レン環、 o テルフエニル環、 m—テルフエニル環、 p—テルフエニル環、ァセナフ テン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環 、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン 環等が挙げられ、該芳香族複素環としては、フラン環、チォフェン環、ピリジン環、ピリ ダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、ォキサジァ ゾール環、トリァゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール 環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾォキサゾール環、キノキサリ ン環、キナゾリン環、フタラジン環、力ルバゾール環、カルボリン環、ジァザカルバゾー ル環 (カルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の一つが更に窒素原子で置 換されて!/、る環を示す)等が挙げられる。
[0102] 一般式 (A)〜(C)の構造は部分構造であり、それ自身が完成構造の発光ドーパン トとなるには、中心金属の価数に対応した配位子が必要である。具体的には、ハロゲ ン (例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子または沃素原子等)、ァリール基 (例え ば、フエニル基、 p クロ口フエ二ル基、メシチル基、トリノレ基、キシリノレ基、ビフエニル 基、ナフチル基、アントリル基、フエナントリル基等)、アルキル基(例えば、メチル基、 ェチル基、イソプロピル基、ヒドロキシェチル基、メトキシメチル基、トリフルォロメチル 基、 t ブチル基等)、アルキルォキシ基、ァリールォキシ基、アルキルチオ基、ァリー ルチオ基、芳香族複素環基 (例えば、フリル基、チェニル基、ピリジル基、ピリダジニ ル基、ピリミジニル基、ピラジュル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チ ァゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、フタラジュル基等)、 一般式 (A)〜(C)の金属を除!/、た部分構造等が挙げられる。
[0103] 一般式 (A)〜(C)において、 Mは Ir、 Ptを表し、特に Irが好ましい。また一般式 (A) 〜(C)の部分構造 3個で完成構造となるトリス体が好まし!/、。
[0104] 以下、本発明に係る発光ドーパントの前記一般式 (A)〜(C)の部分構造を持つ化
[0106] [化 19]
[0107] [化 20]
[0108] [化 21]
[0109] [化 22]
[0110] [化 23]
[0111] [化 24]
更に、本発明においては、前記発光ドーパントのイオン化ポテンシャルエネルギー が 5. leVより高い(エネルギーが小さい)ものであることが高い電力効率を得る上で 好ましい。
[0113] 《中間層》
本発明の有機 EL素子においては、発光層間に非発光性の中間層(非ドープ領域 ともいう)を設けてもよい。
[0114] 非発光性の中間層の膜厚としては、;!〜 50nmの範囲にあるのが好ましぐ更には 3 〜; !Onmの範囲にあることが、隣接発光層間のエネルギー移動など相互作用を抑制 し、かつ有機 EL素子の電流電圧特性に大きな負荷を与えな!/、と!/、うことから好まし い。
[0115] この非発光性の中間層に用いられる材料としては、発光層のホスト化合物と同一で も異なっていてもよいが、隣接する 2つの発光層の少なくとも一方の発光層のホスト材 料と同一であることが好ましい。
[0116] 非発光性の中間層は、非発光各発光層と共通の化合物(例えば、ホスト化合物等) を含有していてもよぐ各々共通ホスト材料 (ここで、共通ホスト材料が用いられるとは 、燐光発光エネルギー、ガラス転移点等の物理化学的特性が同一である場合やホス ト化合物の分子構造が同一である場合等を示す)を含有することにより、発光層と非 発光層との層間の注入障壁が低減され、電圧(電流)を変化させても正孔と電子の注 入バランスが保ちやすいという効果を得ることができる。更に、非ドープ発光層に各発 光層に含まれるホスト化合物とが、同一の物理的特性または同一の分子構造を有す るホスト材料を用いることにより、従来の有機 EL素子作製の大きな問題点である素子 作製の煩雑さをも併せて解消す
ること力 S出来る。
[0117] また、正孔ゃ電子の注入バランスを最適に調整するためには、非発光性の中間層 は、後述する阻止層、すなわち正孔阻止層、電子阻止層として機能することも好まし い態様として挙げられる。
[0118] 《注入層:電子注入層、正孔注入層》
注入層は必要に応じて設けることができ、陽極と発光層または正孔輸送層の間、及 び陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
[0119] 注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設ける層 のことで、例えば、「有機 EL素子とその工業化最前線(1998年 11月 30日ェヌ 'ティ
一.エス社発行)」の第 2編第 2章「電極材料」(123〜166頁)にその詳細に記載され ており、正孔注入層(陽極バッファ一層)と電子注入層(陰極バッファ一層)とがある。
[0120] 陽極バッファ一層(正孔注入層)としては、特開平 9— 45479号公報、同 9— 2600 62号公報、同 8— 288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、 銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファ一層、酸化バナジウムに代表さ れる酸化物バッファ一層、アモルファスカーボンバッファ一層、ポリア二リン(ェメラル ディン)やポリチォフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファ一層等が挙げら れる。また、特表 2003— 519432号公報に記載される材料を使用することも好ましい
〇
[0121] 陰極バッファ一層(電子注入層)としては、特開平 6— 325871号公報、同 9— 175 74号公報、同 10— 74586号公報等にその詳細が記載されており、具体的にはスト ロンチウムゃアルミニウム等に代表される金属バッファ一層、フッ化リチウムに代表さ れるアルカリ金属化合物バッファ一層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類 金属化合物バッファ一層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファ一層等が挙 げられる。
[0122] 上記バッファ一層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましぐ使用する素材にもよ る力 その膜厚は 0. 11 111〜5 111の範囲が好ましい。
[0123] 《阻止層:正孔阻止層、電子阻止層》
阻止層は、有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものであ る。例えば、特開平 11— 204258号公報、同 11— 204359号公報、及び「有機 EL 素子とその工業化最前線(1998年 11月 30日ェヌ 'ティー ·エス社発行)」の 237頁等 に記載されて!/、る正孔阻止(ホールブロック)層がある。
[0124] 正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有 しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつ つ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、 後述する電子輸送層の構成を必要に応じて、正孔阻止層として用いることができる。
[0125] 本発明の有機 EL素子に設ける正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられている ことが好ましい。
[0126] 一方、電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機 能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電 子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述 する正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。
[0127] 本発明に係る正孔阻止層、電子輸送層の膜厚としては、好ましくは 3nm〜100nm であり、更に好ましくは 5nm〜30nmである。
[0128] 《正孔輸送層》
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味 で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層または複 数層設けること力できる。
[0129] 正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性の!/、ずれかを有す るものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリァゾール誘導体 、ォキサジァゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ビラ ゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フエ二レンジァミン誘導体、ァリールァミン誘導 体、ァミノ置換カルコン誘導体、ォキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、 フルォレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、ァニリ ン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチォフェンオリゴマー等が挙げら れる。
[0130] 正孔輸送材料としては上記のものを使用することができる力 更には、ポルフィリン 化合物、芳香族第 3級ァミン化合物及びスチリルァミン化合物、特に芳香族第 3級ァ ミン化合物を用いることが好ましレ、。
[0131] 芳香族第 3級ァミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、 N, N, N ' , N ーテトラフエニノレー 4, A' ージァミノフエ二ノレ; N, N ージフエニノレー N, N ' —ビス(3—メチルフエ二ル)一〔1 , 1' —ビフエ二ル〕一 4, 4' —ジァミン(TPD) ; 2, 2—ビス(4—ジ一 p トリルァミノフエニル)プロパン; 1 , 1—ビス(4—ジ一 p トリ ノレアミノフエ二ノレ)シクロへキサン; N, N, N' , N' —テトラ一 p トリノレ一 4, A' - ジアミノビフエニル; 1 , 1—ビス(4—ジ一 p トリルァミノフエニル) 4—フエ二ルシク 口へキサン;ビス(4 -ジメチルァミノ一 2 メチルフエ二ノレ)フエニルメタン;ビス(4 -ジ
—p トリルァミノフエ二ノレ)フエニルメタン; N, N' —ジフエ二ノレ一 N, N' —ジ(4— メトキシフエ二ル)一 4, 一ジアミノビフエ二ノレ; N, N, N' , N' —テトラフエ二ノレ 4, 4' ージアミノジフエニルエーテル; 4, 4' ビス(ジフエニルァミノ)クオ一ドリフ ェニル; N, N, N—トリ(p—トリル)ァミン; 4—(ジ—p—トリルァミノ)ー 一〔4—(ジ —p—トリルァミノ)スチリル〕スチルベン; 4— N, N ジフエニルアミノー(2 ジフエ二 ノレビニノレ)ベンゼン; 3—メトキシ一 4' — N, N ジフエ二ルアミノスチルベンゼン; N フエ二ルカルバゾール、更には、米国特許第 5, 061 , 569号明細書に記載されて いる 2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、 4, 4' —ビス〔N— ( 1—ナ フチル) N フエニルァミノ〕ビフヱニル(NPD)、特開平 4 308688号公報に記 載されているトリフエニルァミンユニットが 3つスターバースト型に連結された 4, 4' , A" —トリス〔N— (3—メチルフエニル) N フエニルァミノ〕トリフエニルァミン(MTD ATA)等が挙げられる。
[0132] 更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とし た高分子材料を用いることもできる。また、 p型 Si、 p型 SiC等の無機化合物も正 孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
[0133] また、特開平 4— 297076号公報、特開 2000— 196140号公報、特開 2001— 10 21 75号公報、 J. Appl. Phys. , 95, 5773 (2004)、特開平 1 1— 251067号公報、 J. Huang et. al.著文献(Applied Physics Letters 80 (2002) , p. 139)、特 表 2003— 519432号公報に記載されて!/、るような、 V、わゆる p型半導体的性質を有 するとされる正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発 光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましレ、。
[0134] 正孔輸送層は上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャス ト法、インクジェット法を含む印刷法、 LB法等の公知の方法により、薄膜化することに より形成すること力できる。正孔輸送層の膜厚については、特に制限はないが、通常 は 51 111〜5 111程度、好ましくは 5nm〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料 の 1種または 2種以上からなる一層構造であってもよい。
[0135] 《電子輸送層》
電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注
入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層または複数層設け ること力 Sでさる。
[0136] 従来、単層の電子輸送層、及び複数層とする場合は、発光層に対して陰極側に隣 接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料 (正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰 極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよぐその材料として は従来公知の化合物の中力も任意のものを選択して用いることができ、例えば、ニト 口置換フルオレン誘導体、ジフヱ二ルキノン誘導体、チォピランジオキシド誘導体、力 ルポジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導 体、ォキサジァゾール誘導体等が挙げられる。更に、上記ォキサジァゾール誘導体 において、ォキサジァゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘 導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、 電子輸送材料として用いること力できる。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、 またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
[0137] また、 8 キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8 キノリノール)アルミ二 ゥム(Alq)、トリス(5, 7—ジクロロ一 8—キノリノール)アルミニウム、トリス(5, 7—ジブ 口モー 8 キノリノール)ァノレミニゥム、トリス(2 メチノレー 8 -キノリノール)アルミユウ ム、トリス(5—メチル 8—キノリノール)アルミニウム、ビス(8—キノリノール)亜鉛(Zn q)等、及びこれらの金属錯体の中心金属が In、 Mg、 Cu、 Ca、 Sn、 Gaまたは Pbに 置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフ リーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基ゃスルホン酸基 等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発 光層の材料として例示したジスチリルビラジン誘導体も、電子輸送材料として用いる こと力 Sできるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様に、 n型 Si、 n型 SiC等の無機半 導体も電子輸送材料として用いることができる。
[0138] 電子輸送層は上記電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャス ト法、インクジェット法を含む印刷法、 LB法等の公知の方法により、薄膜化することに より形成すること力できる。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は 51 111〜5 111程度、好ましくは 5〜200nmである。電子輸送層は上記材料の 1種ま
たは 2種以上からなる一層構造であってもよレ、。
[0139] また、不純物をドープした n型半導体的性質を有するとされる電子輸送材料を用い ることもできる。その例としては、特開平 4— 297076号公報、特開平 10— 270172 号公報、特開 2000— 196140号公報、特開 2001— 102175号公報、 J. Appl. Ph ys. , 95, 5773 (2004)などに記載されたもの力挙げ、られ
[0140] 本発明にお!/、ては、このような η型半導体的性質を有するとされる電子輸送材料を 用いることがより低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
[0141] 《支持基板》
本発明の有機 EL素子に適用する支持基板(以下、基体、基板、基材、支持体等と もいう)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなぐまた、透明であ つても不透明であってもよい。支持基板側から光を取り出す場合には、支持基板は 透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な支持基板としては、ガラス、石 英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい支持基板は、有機 EL素子 にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
[0142] 樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナ フタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セル口 ースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セル口 ースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セル ロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデ ン、ポリビニノレアノレコーノレ、ポリエチレンビニノレアノレコーノレ、シンジォタクティックポリス チレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケト ン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフエ二レンスルフイド、ポリスルホン 類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポ リメチルメタタリレート、アクリル或いはポリアリレート類、アートン(商品名 JSR社製)或 いはァペル (商品名三井化学社製)とレ、つたシクロォレフィン系樹脂等を挙げられる。 樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜 が形成されていてもよぐ JIS K 7129— 1992に準拠した方法で測定された水蒸
気透過度が、 0. 01g/m2' day atm以下のバリア性フィルムであることが好ましぐ 更には、 JIS K 7126— 1992に準拠した方法で測定された酸素透過度力 10— 3g /m2/day以下、水蒸気透過度が、 10— 3g/m2/day以下の高バリア性フィルムであ ること力 S好ましく、前記の水蒸気透過度、酸素透過度がいずれも 10— 5g/m2/day以 下であることが、更に好ましい。
[0143] ノ リア膜を形成する材料としては、水分や酸素など素子の劣化をもたらすものの浸 入を抑制する機能を有する材料であればよぐ例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒 化珪素などを用いることができる。更に該膜の脆弱性を改良するためにこれら無機層 と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の 積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好まし い。
[0144] ノ リア膜の形成方法については、特に限定はなぐ例えば、真空蒸着法、スパッタリ ング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、 イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマ CVD法 、レーザー CVD法、熱 CVD法、コーティング法などを用いることができる力 特開 20 04— 68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に 好ましい。
[0145] 不透明な支持基板としては、例えば、アルミ、ステンレス等の金属板'フィルムゃ不 透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。
[0146] 《封止》
本発明の有機 EL素子の封止に用いられる封止手段としては、例えば、封止部材と 、電極、支持基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。
[0147] 封止部材としては、有機 EL素子の表示領域を覆うように配置されておればよぐ凹 板状でも、平板状でもよい。また、透明性、電気絶縁性は特に限定されない。
[0148] 具体的には、ガラス板、ポリマー板'フィルム、金属板'フィルム等が挙げられる。ガ ラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、ノ リウム 'ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス 、アルミノケィ酸ガラス、ホウケィ酸ガラス、ノ リウムホウケィ酸ガラス、石英等を挙げる こと力 Sできる。また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属板 としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チ タン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウムおよびタンタルからなる群から選ばれる一種 以上の金属または合金からなるものが挙げられる。
[0149] 本発明においては、有機 EL素子を薄膜化できるということからポリマーフィルム、金 属フィルムを好ましく使用することができる。更には、ポリマーフィルムは、酸素透過度 10— 3g/m2/day以下、水蒸気透過度 10— 3g/m2/day以下のものであることが好ま しい。また、前記の水蒸気透過度、酸素透過度がいずれも 10— 5g/m2/day以下で あること力 更に好ましい。
[0150] 封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使 われる。接着剤として具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマー の反応性ビュル基を有する光硬化および熱硬化型接着剤、 2—シァノアクリル酸エス テルなどの湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系などの熱 および化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド 、ポリエステル、ポリオレフインを挙げること力 Sできる。また、カチオン硬化タイプの紫外 線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
[0151] なお、有機 EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から 80°Cまでに 接着硬化できるものが好ましい。また、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいても よい。封止部分への接着剤の塗布は、市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリ ーン印刷のように印刷してもよレ、。
[0152] また、有機層を挟み支持基板と対向する側の電極の外側に、該電極と有機層を被 覆し、支持基板と接する形で無機物、有機物の層を形成し封止膜とすることも好適に できる。この場合、該膜を形成する材料としては、水分や酸素など素子の劣化をもた らすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよぐ例えば、酸化珪素、二酸 化珪素、窒化珪素などを用いることができる。更に該膜の脆弱性を改良するためにこ れら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることが好ましい。これらの膜 の形成方法については、特に限定はなぐ例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反 応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレ
一ティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマ CVD法、レーザー CVD法、熱 CVD法、コーティング法などを用いることができる。
[0153] 封止部材と有機 EL素子の表示領域との間隙には、気相および液相では、窒素、ァ ルゴン等の不活性気体や、フッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注 入すること力 S好ましい。また、真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合 物を封人することもできる。
[0154] 吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム 、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩( 例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属 ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タ ンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等)、過塩 素酸類 (例えば過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等があげられ、硫酸塩 、金属ハロゲン化物および過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
[0155] 《保護膜、保護板》
有機層を挟み支持基板と対向する側の前記封止膜あるいは前記封止用フィルムの 外側に、素子の機械的強度を高めるために、保護膜あるいは保護板を設けてもよい 。特に、封止が前記封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずし も高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。これに使用するこ と力 Sできる材料としては、前記封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板'フィル ム、金属板'フィルム等を用いることができる力 軽量かつ薄膜化ということからポリマ 一フィルムを用いることが好ましレ、。
[0156] 《陽極》
有機 EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい (4eV以上)金属、合金、電 気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。こ のような電極物質の具体例としては Au等の金属、 Cul、インジウムチンォキシド(ITO )、 SnO、 ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、 IDIXO (In O— ZnO)等 非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極物質を 蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィ一法で所望
の形状のパターンを形成してもよぐあるいはパターン精度をあまり必要としない場合 は(100 m以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマ スクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布 可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式など湿式製膜法を用い ることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を 10%より大きくするこ とが望ましぐまた陽極としてのシート抵抗は数百 Ω /口以下が好ましい。更に膜厚 は材料にもよる力 通常 10nm〜; 1000nm、好ましくは 10nm〜200nmの範囲で選 ば'れる。
[0157] 《陰極》
一方、陰極としては、仕事関数の小さい (4eV以下)金属(電子注入性金属と称する )、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる 。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム—カリウム合金、マグネ シゥム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム /アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミ ニゥム (Al O )混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が 挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子 注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物 、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシゥ ム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム (Al O )混合物、リチウム/ アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着 やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。 また、陰極としてのシート抵抗は数百 Ω /口以下が好ましぐ膜厚は通常 10nm〜5 m、好ましくは 50nm〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させる ため、有機 EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が、透明または半透明であれ ば発光輝度が向上し好都合である。
[0158] また、陰極に上記金属を lnm〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げ た導電性透明材料をその上に作製することで、透明または半透明の陰極を作製する ことができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製す
ること力 Sでさる。
[0159] 《有機 EL素子の作製方法》
本発明の有機 EL素子の作製方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層 /発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極からなる有機 EL素子の作製法につい て説明する。
[0160] まず適当な支持基板上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質力 なる薄膜を 1
〃m以下、好ましくは 10nm〜200nmの膜厚になるように、蒸着やスパッタリング等 の方法により形成させ、陽極を作製する。次に、この上に有機 EL素子材料である正 孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層の有機化合物薄膜を形 成させる。
[0161] この有機化合物薄膜の薄膜化の方法としては、前記の如く蒸着法、ウエットプロセス
(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法)等がある力 均質な膜が得ら れやすぐ且つピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法、スピンコート法、 インクジェット法、印刷法が特に好ましい。更に層毎に異なる製膜法を適用してもよい 。製膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異 なる力 一般にボート加熱温度 50°C〜450°C、真空度 10— 6Pa〜; 10— 2Pa、蒸着速度 0 . Olnm/秒〜 50nm/秒、基板温度 50°C〜300°C、膜厚 0. 11 111〜5 111、好ま しくは 5nm〜200nmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。これらの層を形成後、その 上に陰極用物質からなる薄膜を、 1 μ m以下好ましくは 50nm〜200nmの範囲の膜 厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設け ることにより所望の有機 EL素子が得られる。この有機 EL素子の作製は、一回の真空 引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出し て異なる製膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行 う等の配慮が必要となる。
[0162] また作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、 正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして得られた多色の 表示装置に、直流電圧を印加する場合には、陽極を +、陰極を一の極性として電圧 2V〜40V程度を印加すると、発光が観測できる。また交流電圧を印加してもよい。な
お、印加する交流の波形は任意でよい。
[0163] 有機エレクト口ルミネッセンス素子は、空気よりも屈折率の高い(屈折率 1. 6〜2. 1 程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち 15%から 20%程度の光しか取 り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度 Θで界面(透明 基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことがで きないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が 透明電極ないし発光層を導波し、結果として、光が素子側面方向に逃げるためであ
[0164] この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸 を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法 (例えば、米国特許第 47744 35号明細書)、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法 (例えば、 特開昭 63— 314795号公報)、素子の側面等に反射面を形成する方法 (例えば、特 開平 1— 220394号公報)、基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入 し、反射防止膜を形成する方法 (例えば、特開昭 62— 172691号公報)、基板と発 光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法 (例えば、特開 2001 — 202827号公報)、基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と 外界間)に回折格子を形成する方法 (特開平 11— 283751号公報)などが挙げられ
[0165] 本発明においては、これらの方法を本発明の有機エレクト口ルミネッセンス素子と組 み合わせて用いることができるが、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平 坦層を導入する方法、あるいは基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む 、基板と外界間)に回折格子を形成する方法を好適に用いることができる。
[0166] 本発明は、これらの手段を組み合わせることにより、更に高輝度あるいは耐久性に 優れた素子を得ることができる。
[0167] 透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚みで形成する と、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど、外部への取り出し効率が 高くなる。
[0168] 低屈折率層としては、例えば、エア口ゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ
素系ポリマーなどが挙げられる。透明基板の屈折率は一般に 1. 5〜; 1. 7程度である ので、低屈折率層は、屈折率がおよそ 1. 5以下であることが好ましい。またさらに 1. 35以下であることが好まし!/、。
[0169] また、低屈折率媒質の厚みは、媒質中の波長の 2倍以上となるのが望ましい。これ は、低屈折率媒質の厚みが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電 磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。
[0170] 全反射を起こす界面または、いずれかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光 取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。この方法は、回折格子が 1次の回 折や、 2次の回折といった、いわゆるブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる 特定の向きに変えることができる性質を利用して、発光層から発生した光のうち、層 間での全反射等により外に出ることができない光を、いずれかの層間もしくは、媒質 中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外 に取り出そうとするものである。
[0171] 導入する回折格子は、二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは 、発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周 期的な屈折率分布を持っている一般的な 1次元回折格子では、特定の方向に進む 光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。
[0172] しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む 光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
[0173] 回折格子を導入する位置としては、いずれかの層間、もしくは媒質中(透明基板内 や透明電極内)でも良いが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい 。このとき、回折格子の周期は、媒質中の光の波長の約 1/2〜3倍程度が好ましい 。回折格子の配列は、正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状など 、 2次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
[0174] 本発明の有機エレクト口ルミネッセンス素子は、支持基板(基板)の光取出し側に、 例えばマイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工したり、あるいは、所謂集光 シートと組み合わせることにより、特定方向、例えば素子発光面に対し正面方向に集 光することにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
[0175] マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が 30〃 mでその頂 角が 90度となるような四角錐を 2次元に配列する。一辺は 10 m〜; 100 mが好ま しい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付ぐ大きすぎると厚みが厚くなり 好ましくない。
[0176] 集光シートとしては、例えば液晶表示装置の LEDバックライトで実用化されているも のを用いることが可能である。このようなシートとして例えば、住友スリーェム社製輝度 上昇フィルム(BEF)などを用いることができる。プリズムシートの形状としては、例え ば基材に頂角 90度、ピッチ 50〃 111の八状のストライプが形成されたものであってもよ いし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状 であっても良い。
[0177] また、有機 EL素子からの光放射角を制御するために光拡散板'フィルムを、集光シ ートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム (ライトアップ)などを用いる こと力 Sでさる。
[0178] 《表示装置》
本発明の有機 EL素子を適用した表示装置について説明する。
[0179] 本発明の有機 EL素子は、多色または白色の表示装置に用いられる。多色または 白色の表示装置の場合は、発光層形成時のみシャドーマスクを設け、一面に蒸着法 、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で膜を形成できる。発光層 のみパターユングを行う場合、その方法に限定はないが、好ましくは蒸着法、インクジ エツト法、印刷法である。蒸着法を用いる場合においてはシャドーマスクを用いたバタ 一ユングが好ましい。
[0180] また、作製順序を逆にして陰極、電子輸送層、正孔阻止層、発光層ユニット(上記 の発光層 A、 B及び Cの少なくとも 3層を有し、各発光層間に非発光性の中間層を有 していてもよい)、正孔輸送層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして 得られた多色または白色の表示装置に直流電圧を印加する場合には、陽極を +、 陰極を-の極性として電圧 2〜40V程度を印加すると、発光が観測できる。また、逆 の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。更に、交流電圧を 印加する場合には、陽極が +、陰極が-の状態になったときのみ発光する。なお、
印加する交流の波形は任意でよ!/、。
[0181] 《照明装置》
本発明の有機 EL素子を適用した照明装置について説明する。
[0182] 本発明の有機 EL素子は、照明用や露光光源のような一種のランプとして使用して もよいし、画像を投影するタイプのプロジェクシヨン装置や、静止画像や動画像を直 接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。動画再生用の表 示装置として使用する場合の駆動方式は、単純マトリクス (パッシブマトリクス)方式で もアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。
[0183] 本発明に用いられる白色有機エレクト口ルミネッセンス素子においては、必要に応 じ製膜時にメタルマスクやインクジェットプリンティング法等でパターユングを施しても よい。パターユングする場合は、電極のみをパターユングしてもよいし、電極と発光層 をパターユングしてもよいし、素子全層をパターユングしてもよい。発光層に用いる発 光ドーパントとしては特に制限はなぐ例えば、液晶表示素子におけるバックライトで あれば、 CF (カラーフィルタ)特性に対応した波長範囲に適合するように、本発明に 係る白金錯体
、また公知の発光ドーパントの中力 任意のものを選択して組み合わせて、また本発 明係る光取り出し及び/または集光シートと組み合わせて、白色化すればよい。
[0184] このように、本発明の白色の有機 EL素子は、 CF (カラーフィルタ)と組み合わせて、 また、 CF (カラーフィルタ)パターンに合わせ素子及び駆動トランジスタ回路を配置す ることで、請求の範囲 7項に記載されるように有機エレクト口ルミネッセンス素子から取 り出される白色光をバックライトとして、青色フィルタ、緑色フィルタ、赤色フィルタを介 して青色光、緑色光、赤色光を得ることで、低駆動電圧で長寿命のフルカラーの有 機エレクト口ルミネッセンスディスプレイができ、好ましい。
[0185] 《本発明の有機 EL素子を適用した産業分野》
本発明の有機 EL素子は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いる ことができる。発光光源として、例えば、家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバ ックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信 処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではな!/、が
、特にカラーフィルタや光拡散板、光取り出しフィルムなどと組み合わせた各種表示 装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
[0186] 本発明の有機 EL素子の特徴を活力もて、以下に示すような様々な照明器具や発 光表示体等への適用が可能である。
[0187] 〔商品展示'ディスプレイ用〕
商品展示 ·ディスプレイ用としては、店舗の商品ディスプレイ、冷凍'冷蔵ショーケー ス、博物館 ·美術館 ·展示会場などの展示品のライトアップ、自動販売機、遊戯台、交 通広告などがある。
[0188] 店舗の商品ディスプレイは店舗自体の装飾的なディスプレイやショーケース、 POP やサインなどがある。店舗の中でも高級ブランドショップや貴金属、ファッション系、高 級飲食店など、そのブランドイメージを重視するような店舗では照明が与える店舗ィメ ージへの影響は非常に大きいことから、強い拘りをもって照明が選択されている分野 である。有機 ELを用いることによって、今までは直接光源が見えないよう建築物の構 造に工夫を凝らすことで雰囲気を作り出していた間接照明の分野で光源 ·機器分の スペースが省略でき複雑な構造が不要になったり、インテリアやサインなどで拡散光 を作り出す際に光源の形が透けて見えないために必要な光源と拡散板の間のスぺ ースが省略できるなど、施工性があがることがあげられる。また、店舗のイメージを変 える際のツールとしても、ディスプレイ棚、床、什器として組み込むなどスペースを取 らず、軽量な光源であるという特徴を活かし、デザイン自由度があり、施工性がよぐ 手軽に採用できるという利点がある。
[0189] 冷凍'冷蔵ショーケースはスーパーやコンビニエンスストアなどに置かれ、野菜ゃ果 物、鮮魚、精肉などの鮮食品を"美しざ'や"鮮度"にあふれる商品として、より見やす ぐ鮮やかに、取りやすくするために照明設備も重要な部品の 1つである。有機 EL光 源を用いることによって、低温発光のため冷却機能への影響が小さぐ薄型であるの で光源スペースを大幅に削減ことができること力も収納スペースを拡大でき、スマート なデザインで食品を選びやすぐ取りやすくすることができる。また、食品の良さが判 りやすい色光で消費者に自然とアピールすることができ、売上に貢献できる。
[0190] 博物館 '美術館'展示会場などでの展示品のライトアップでは、展示物への視認ゃ
日焼けなどの観点から使用条件に適した光源を選ぶ必要があり、退色防止型で紫外 線比率の低!/、で蛍光ランプが開発されて!/、る。有機 EL光源は紫外線を含まな!/、こと 、発熱量が低いことから展示物に悪影響がなぐ面光源で均一に光ることによりグレア がなぐ高い演色性によって展示物のありのままを忠実に鑑賞することができる。また 、大きな光源器具を必要としないため、視界に余計な機材の出っ張りが入ることなぐ 展示物だけに注目することができる。またショーなど大規模な展示会場においては、 注目を集める大型電飾装飾もその軽量 ·薄型という特徴から比較的簡易に組み立て ること力 Sでさる。
[0191] 自動販売機では、押しボタン、商品サンプル、販売機前面のポスター部に光源が 使われている。
[0192] 機器全体の大きさに対し、取り込みたい追加機能の為のスペースと収納スペースの 取り合!/、となってレ、ることから、薄く光源のスペースをとらな!/、有機 ELの利点が活か せる分野であり、特に取り出し口上のポスタースペースでニーズが高い。また、近年 は販売と共に当たり/はずれなどゲーム性を持たせた機器も多く見られ、前面のボス ターに部分に画素コントロール機能を持たせた光源 (動画ディスプレイ)を搭載するこ とで更にメリットを活かすことができる。
[0193] 遊戯台にはパチンコ 'パチスロなどがある。これら遊戯台では、利用者にアミユーズ メント性 (ゲーム性 ·ギャンブル性など)を体感し、楽しんでいただくことが最も重要。光 源を薄くする事で 1台の機器の厚みを低減できる薄さのメリットもあるが、 自動販売機 同様、画素コントロール機能を持たせた光源 (動画ディスプレイ)を搭載することで更 にメリットを活かすことができる。
[0194] 交通広告には公共スペースにあるポスターや看板、電車'バスなどの社内のポスタ 一や画面、車体に張られている広告などがある。特にポスターや看板は蛍光灯をバ ックライトを用いたボックスタイプのものがあり、有機 ELに変えることでボックス自体を 薄ぐ軽量にすることができる。
[0195] また、吊り下げ看板についてはボックスを薄くすることで、埃、ゴミの蓄積がなくなる ことや鳥による粪害の防止にもなる。
[0196] 〔インテリア'家具 ·建築材料用の組み込み照明〕
建築関係では、床 ·壁 ·天井などと照明とを融合して一体化したものは「建築化照明 」と呼ばれる。 「建築化照明」の代表的なものとしては、その方式により、コーニス照明 、トロファ照明、コープ照明、光天井、ルーバ天井などがある。これらは照明光源が天 井 '壁'床に組み込まれ、照明としての存在や気配を消し、建築素材自体が光を発す ることを求めている。
[0197] 有機 EL素子を用いた光源は、「建築化照明」に対して、その薄さ、軽さ、色調整、 デザイン可変性から最も適した光源であり、さらにインテリア、家具、什器にまで適用 が可能である。従来は店舗や美術館のみで用いられてきたこのような建築化照明を、 有機 EL光源の展開によって一般住宅にまで広げることができ、新たな需要を発掘す ること力 Sでさる。
[0198] 商業施設においては、半地下店舗、アーケードの天井などに有機 EL光源を採用し 、照明の明るさや色温度を変化させることで、天候や昼夜に左右されない最適な商 業空間を構築することができる。
[0199] インテリア '什器 '家具の一例としては、机や椅子、食器棚 ·靴箱'ロッカーなどの収 納、洗面化粧台、仏壇 ·祭壇、ベッドライト、フットライト、手すり、ドア、障子 ·襖などが 挙げられる力 S、それに限定されるものではない。
[0200] 一方で、有機 EL光源に透明な電極を用い消灯/発光させることで、透明/不透明 を切り替えることもできる。それによつて、あらゆる窓、ドア、カーテンやブラインド、パ 一テーシヨンとしての利用も可能となる。
[0201] 〔自動車用照明、発光表示体〕
自動車用としては、外部の照明器具や発光表示体、車内の照明器具や発光表示 体などに、有機 EL素子が利用できる。前者は、前部に(小分類)ヘッドランプ、補助 灯、車幅灯、フォッグランプ、方向指示灯など、後部にはリアコンビネーションランプと してストップランプ、車幅灯、バック灯、方向指示灯、およびナンバープレート灯など がある。特に、有機 EL素子を用いてリアコンビネーションランプを 1枚で形成し、後部 に貼り付けることによって、後部ランプのためのスペースを削減して、トランクルームを 広くすること力可能となる。また、雨や霧で見通しが悪い時には、車幅灯やストップラ ンプの面積を広くして、視認性を高めることもできる。一方、ホイールを有機 EL素子
で発光させることによって、側面からの視認性を高めることもできる。さらには、ボディ 全体を有機 EL素子で形成して発光させ、ボディカラーやデザインに新たな発想を盛 り込むことが可能となる。
[0202] 後者の車内の照明器具や発光表示体としては、室内灯、マップライト、ドア下部の 乗降ライト、メーター類表示、カーナビゲーシヨンディスプレイ、警告灯などがある。特 に、有機 EL素子の透明性を活かして、昼間はサンルーフとし、夜間は発光させて面 光源の穏やかな室内灯とすることもできる。またタクシーなどでは、前部座席の背面 に有機 EL素子からなる照明器具を貼り付けることによって、ドライバーの運転に支障 なぐかつ室内空間を犠牲にすることなぐ顧客が利用しやすい手元照明システムを 構築できる。
[0203] 〔公共交通機関〕
電車、地下鉄、バス、航空機、船舶などの公共交通機関における車内の照明や表 示体において、本発明の有機 ELは、その特徴を活かすことができる。
[0204] 航空機には多くの照明器具が搭載されているが、機体内部に搭載されている、客 室照明、貨物室照明、操縦室照明などのうち特に客室の間接照明については有機 E L照明のメリットが充分発揮される。
[0205] 客室照明には蛍光灯や電球が使われている力 S、これらは天井は側面に反射した間 接照明が使われており、客室に落ち着いた雰囲気を与えると共に万が一のトラブル の際にも割れてガラス破片が客席に降りかからないような工夫がされている。
[0206] 有機 EL光源を用いれば、その薄さから間接照明が作りやすくなり、また直接照明 にした場合でも割れて破片が飛び散る危険がなぐ拡散光で落ち着いた雰囲気をつ くることあでさる。
[0207] また、航空機には電力消費量や機体軽量化が重要である面から考えても、消費電 力が小さぐ軽量な有機 EL光源は好ましい。このようなメリットは、お客様を照らすだ けでなぐ手荷物収納内の照明でも発揮され、荷物の取り残しの低減に貢献すること もできる。
[0208] 公共交通機関に付属する駅やバス停、空港などの施設にも、顧客を誘導するため の表示や照明が利用できる。また、夜間、屋外のバス停などにおいては、バス待ちの
人を検出して照明を明るくし、防犯に寄与することもできる。
[0209] 〔OA機器用光源〕
OA機器用光源としては、読み取り用センサーが搭載されているファクシミリ、複写 機
、スキャナ、プリンタ、それらの複合機などがあげられる。
[0210] 読み取り用センサーは等倍光学系と組合せる密着型センサー(CIS)と縮小光学系 と組み合わせる縮小型センサー(CCDリニア)とに分かれる。
[0211] CISについてはメーカーによっては定義が異なり、センサ'ロッドレンズアレイ 'LED 基盤をモジュール化したものを CISと呼ぶ場合や、モジュール化したものを CISM (コ ンタクトイメージセンサモジュール)と呼びモジュールの中に入っているセンサチップ を CISと呼ぶ場合もある。それらの光源には LED、キセノン、 CCFLランプ、 LDなど が使われている。
[0212] OA機器としては、更なる小型化、低電圧駆動の要望があり、有機 ELの厚みがなく 、低発熱量'低電圧で駆動可能であるという特徴は、それらの要望にこたえることが可 能である。
[0213] 〔産業用検査システム〕
製造会社では、かっては目視による検品工程に多くの工数と人力をかけていた力 それを撮影画像を利用し欠品判定することで自動化をはかっている。 CCDカメラでと らえた対象物の画像をデジタル信号に変換し、種々の演算処理を行なうことで、対象 物の面積、長さ、個数、位置などの特徴を抽出し、設定された基準をもとに判定結果 を出力するものが、その画像撮影の為に光源が必要。このような検査システムはパッ ケージや形状サイズ検査、マイクロ部品の検査などでも利用される。
[0214] 画像センサ用に使用される照明光源には、蛍光灯、 LED、ハロゲンなどがある。そ の中でも、透明容器やリードフレームなどを背景から照らすバックライトとしては面状 に均一な光が必要。
[0215] また、シートの汚れ検出には直線状に均一な光でシートの幅方向前面を照らせる 光が必要であるなど、検査する物品により光源への要求がことなる。
[0216] この分野に有機 EL光源を採用することによって、例えば、ボトリングの工程などで
はボトル周囲 360度全方位に照明を配置し、一度に照明し撮影することも可能となり 、短時間での検品が可能となる。また検査機器内で光源自体に取られるスペースを 大幅に小さくすること力 Sできる。また、面光源であることで、光反射により撮影画像が 判定しに《なることによる検知ミスを回避可能である。
[0217] 〔農産物栽培用光源〕
植物工場とは『環境制御や自動化などハイテクを利用した植物の周年生産システム 』である。植物栽培の環境をコンピュータ一により制御することで、天候に左右される ことなぐ人手を必要とせずに作物を自動的に生産する技術。今後の世界の人口増 、環境問題を考えると、農業にハイテクを導入することで、安定な食糧生産につなが るいわゆる農業の工業化が必要になる。最近は LED、 LDが、植物栽培の光源として の可能性が高まってきた。従来からよく使われて!/、る高圧ナトリウムランプなどの光源 は赤色光と青色光のスペクトルバランスが悪ぐまた多量の熱放射が空調負荷を大き くし、植物との距離を十分にとる必要があるために、施設が大型化する欠点がある。
[0218] 有機 EL光源は光源の厚みがなぐ多くの棚を設置でき、また発熱量が少ないことか ら植物に近接させことで高効率であり栽培量を増やすことができる。
[0219] また、一般家庭においても省スペースのメリットを活かし、キッチンなど室内の狭い 場所に家庭菜園を作ることができ、庭やべランダ、屋上などの屋外スペースのみで可 能であった家庭菜園の概念を変えて、広く人々が楽しむことを可能とする。
[0220] 〔避難用照明〕
消防法や建築基準法で規定されている防災照明設備は、建築物火災に際して非 難の為の出口や経路を示す誘導灯と、避難経路の明るさを確保し、迅速な避難を担 保する非常灯とがある。
[0221] FA*民生用に用いられるシグナルや誘導灯 ·非常灯などは、見やすいことが前提と なる力 その為の大型化は設置場所によっては建物と不釣合いになり、建築化ゃデ ザイナ一から指摘されることが多かった。その対策として、 1目でわ力、る表示のプクト グラフ化や、光源で誘目効果を高める対処が取られている。従来誘導灯の光源には 、蛍光ランプが用いられることが多いが、最近では LEDを使用した誘導灯も出てきて いる。
[0222] これらの誘導灯に有機 EL光源を用いることで、輝度班、角度特性による輝度低下 がなぐ視認性を向上でき、低電力で、薄型であるために特別な工事の必要がなく設 置が容易で、従来の蛍光灯を使うタイプに比べ交換の必要がなぐメンテナンスを容 易すること力 Sできる。また発熱も少ない為発光面の色焼けも少ない。したがって、避難 経路の床、階段の手すり、防火扉など、多くの場所に設置して安全性を高めることが できる。また現在、蛍光灯で問題視されている水銀の問題もなぐ割れに《、安全性 に優れている。更に省スペース薄型設計で美観を損ねることなぐ誘目効果を高める こと力 Sできる光原と言える。
[0223] 〔撮影用照明〕
写真館やスタジオ、照明写真ボックスなどで使われる光源には、ハロゲン、タンダス テン、ストロボ、蛍光灯などが用いられている。これらの光源を被写体に直接直線的 に当て陰影を強くつける、もしくは光を拡散させ、あまり陰影のない柔らかな光をつく るという、大きくは 2つの光の種類を色々な角度から組み合わせて 1つの絵がつくられ ている。光を拡散させるためには、光源と被写体の間にディフユーザーを挟むこと、ま たは他の面(レフ板など)に当てた反射光を用いるなどの方法がある。
[0224] 有機 EL光源は拡散光であり、この後者に対応する光をディフユーザーを用いること なく発光することができる。その際には、既存光源で必要な光源とディフューザ一の 間の空間が不用になることや、レフ板などで光の向きを微妙な角度で調整し、細かな 陰影を調整して!/、たものをフレキシブルタイプの有機 EL自体を曲げることで実施す ることができるなどのメリットがある。
[0225] 撮影で利用される光源には、演色性が求められることがある。太陽光線で見たときと の色の見え方の差が大きいと演色性が悪ぐその差が少なければ演色性が良いと評 価される。一般家庭で使用されている蛍光灯はその波長特性から撮影には好ましい とは言えず、光があたっている部分が緑色に偏る傾向がある。肌やメイキャップ、髪、 着物、宝石などの色は、そのもの自体の色で写ることが求められる場合が多ぐ演色 性はライトにとって重要なファクターの 1つである。有機 EL光源は演色性に優れ、前 述のような色の忠実さが求められる撮影に好ましい。この特徴は印刷'染色関連など 色を忠実に評価したい場所でも同様に活力、される。
[0226] 有機 EL光源のような面光源をスタジオの天井一面に配置することによって、子供や ペットの撮影などでは子供やペットを室内で自由に遊ばせておき、自由 ·自然な表情 を光源移動のわずらわしさなぐ自然な色で撮影することができる。
[0227] 〔家電製品〕
家電製品には細部の見易さ、作業のしゃすさ、デザインの為、光源がつけられてい る場合が多い。一例を挙げると、ミシン、電子レンジ、食器洗浄乾燥機、冷蔵庫、 AV 機器などは従来より光源が付レ、てレ、る力 新しレ、ものでは洗濯乾燥機は横型モデル で取り残しが増えたことから光源が付けられるようになった。既存のものには白熱電球 や LEDがつけられている場合が多い。今後、掃除機の先端に照明を設置して家具 などの影の部分の清掃状況を確認したり、シェーバーに特定波長光の光源を設置し て、髭剃り状況を確認したりするなど、色々と展開が考えられる。
[0228] このような家電製品は、全体を軽量'小型化し、更に収納スペースが大きいことが求 められ、光源部分はできるだけスペースをとらずに全体を照明できることが求められる 。有機 ELの薄レ、面光源はその要望に充分こたえることができる。
[0229] 〔遊技施設〕
スケートリンクの氷の下に有機 ELを用いた照明を配置することによって、上からのス ポットライトとは異なる演出が可能である。有機 ELは発光温度が低!/、ので特に有利 である。また、スケーターの位置を検知して、その動きに合わせて発光させるようなこ とも可能である。スポットライトとの組み合わせ効果や、音楽のリズムに連動させた発 光などもショーアップに有効である。
[0230] プラネタリウムにおいては、従来のような下からの投影ではなぐドーム全体に有機 ELの微細ピクセルを配置して、ドームそのものが星々を発光する方式が可能であり、 投影機のないプラネタリウムが実現できる。
[0231] 〔イルミネーション用照明〕
一般的にイルミネーションというと樹木へのイルミネーションのことを指していることが 大半であつたが、近年環境保護の観点から家屋や門、垣根などの造形物への装飾 に移行する事例も数多くなつている。これは点光源を多数利用、ライン状に装飾した ものが主流であり、 LEDの出現により一層広がりを見せると見られている。
[0232] この分野に有機 EL照明を用いることによって、今までは点光源をつなげることでの 表現のみであったものが、同じ樹木へのイルミネーションにおいても、葉形の照明を つけることや、樹木に巻きつけ樹木全体を光らせる、また逆に定型面モジュールとし て点光源同様につなぎ合わせ、様々な色に光らせるカクテルパレットとして用いて全 体として文字や絵を映し出すなどのノ リエーシヨンが出せ、より一層照明による演出 効果を高めることが可能となる。
[0233] 〔持ち物 ·衣服につける照明〕
夜間屋外の歩行や運動で自動車'バイクなどから認識されやすくする目的で、自分 の持ち物や靴、衣服に添付し、ヘッドライトの光を反射することで歩行者の安全を守 る反射材製品(反射シートなど)が販売、利用されている。
[0234] ガラスビーズタイプの場合、細かなガラスビーズが表面に存在し入ってきた光がこの レンズの役目で光源の方向に再帰反射し、車からヘッドライトの光があたるとドライバ 一の目の位置に光が帰っていき強く輝いて見える。プリズムタイプの場合も機能は同 じだがレンズの構造がことなる。ガラスビーズタイプとプリズムタイプの特長は、ガラス ビーズタイプは、斜めからの光に対して高い反射効果があり、プリズムタイプは正面か らの光に対しては、ガラスビーズタイプより反射する力 斜めからの光には比較的反 射効果が低いことがある。また、貝占り付ける場所の硬度によって、素材と接着方法を 選ぶこともできる。従来の場合はいずれにしても、歩行者を認識させるためには、光 が当たることが必要であり、背設置場所なども下に向いたヘッドライトができるだけ早 く当たり認識してもらうために足に貼り付けるなどの工夫が必要であった。
[0235] これらの代替に有機 EL光源を用いることで、ヘッドライトがあたる範囲になる前から 、運転者に歩行者を認識させることができ、より安全を確保できる。また他の光源に対 しては軽量で薄くシート状にできる点からも、シールのメリットを維持したままで効果を あげること力 Sできる。これらは人間だけでなぐペットの衣服などにも利用できる。また 、歩くことで発電して衣服などを発光させることも、低消費電力の有機 ELであれば可 能である。特に、人物特定用衣服に応用することもでき、例えば徘徊者の早期保護 に役立てることもできる。ダイビング用のウエットスーツを発光させることによって、ダイ バーの所在確認や、鮫などから身を守ることにも可能性がある。もちろん、ショーなど
での舞台衣装、ウェディングドレスなどにも利用できる。
[0236] 〔通信用光源〕
有機 EL素子を用いた発光体は、可視光を使って簡単なメッセージや情報などを送 る「可視光タグ」にも有効に活用できる。すなわち、極めて短時間の明滅による信号を 発光させることによって、それを受信する側に多量の情報を送ることができる。
[0237] 発光体が信号を発光させていても、極めて短時間であることから、人間の視覚上は 単なる照明として認識される。道路、店舗、展示場、ホテル、アミューズメントパークな ど、場所毎に設置された照明が、それぞれ場所特有の情報信号を発信して、必要な 情報を受信者に提供できる。また有機 ELの場合は、 1つの発光体中に波長の異なる 複数の発光ドーパントを組み込んでおいて、異なる波長ごとに異なる信号を発生させ ることによって、 1つの発光体が複数の異なる情報を提供することもできる。この場合 も、発光波長や色調が安定している有機 ELは優位である。
[0238] 音声、電波、赤外光などによる情報提供と異なり、「可視光タグ」は照明設備として 一緒に組み込めるので、煩雑な追加設置工事なども不要である。
[0239] 〔医療用光源〕
現在はハロゲンランプなどが使用されている内視鏡や、ワイヤーを揷入して手術す る腹腔手術用の照明などに有機 ELを利用することによって、小型、軽量化、用途拡 大に貢献する。特に近年注目されている、体内検査や治療に用いられる内視鏡カブ セル (飲む内視鏡)などにも利用が可能で、期待されている。
[0240] 〔その他〕
さらに本発明の有機 EL素子を組み込んだ発光体は、色調を容易に選択でき、蛍 光灯のような明滅がなぐ低消費電力で色調が安定しているので、特開 2001— 269 105号公報に示されるような害虫防除装置として、特開 2001— 286373号公報に示 されるような鏡用の照明として、特開 2003— 288995号公報に示されるような浴室照 明システムとして、特開 2004— 321074号公報に示される植物育成用人工光源とし て、特開 2004— 354232号公報に示されるような水質汚れ測定装置の発光体として 、特開 2004— 358063号公報に示されるような光感受性薬剤を用いた治療用被着 体として、特開 2005— 322602号公報に示されるような医療用無影灯として、有用
である。
実施例
[0241] 以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定され るものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いる力 特に 断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
[0242] 実施例 1
《有機 EL素子の作製》
〔有機 EL素子 1の作製〕
陽極として 30mmX 30mm、厚さ 0. 7mmのガラス基板上に、 ITO (インジウムチン ォキシド)を 120nmの厚さで成膜した支持基板にパターユングを行った後、この ITO 透明電極を付けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒 素ガスで乾燥し、 UVオゾン洗浄を 5分間行った後、この透明支持基板を市販の真空 蒸着装置の基板ホルダーに固定した。
[0243] 真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、各層の構成材料を各々素子作製に最 適の量充填した。蒸着用るつぼはモリブデン製またはタングステン製の抵抗加熱用 材料で作製されたものを用いた。
[0244] 次いで、真空度 1 X 10— 4Paまで減圧した後、 m— MTDATAの入った前記蒸着用 るつぼに通電して加熱し、蒸着速度 0. Inm/秒で透明支持基板に蒸着し、 lOnm の正孔注入層を設けた。次いで、 a—NPDを同様にして蒸着し 30nmの正孔輸送 層を設けた。
[0245] 次いで、以下の手順で各発光層を設けた。
[0246] 例示化合物 Ir 1及び例示化合物 1 7を、例示化合物 Ir 1が 6質量%の濃度に なるように、蒸着速度 0. Inm/秒で共蒸着し、 2nmの緑色燐光発光層(表 1に記載 の発光層 1)を形成した。次いで、例示化合物 Ir 14及び例示化合物 1 7を、例示 化合物 Ir 14が 12質量%の濃度になるように蒸着速度 0. Inm/秒で共蒸着し、 5 nmの赤色燐光発光層(表 1に記載の発光層 2)を形成した。次いで、例示化合物 D 66及び例示化合物 1 7を、例示化合物 D' — 66が 10質量%になるように蒸 着速度 0. Inm/秒で共蒸着し、 18nmの青色燐光発光層(表 1に記載の発光層 3)
を形成した。
[0247] その後、化合物 M— 1を膜厚 5nmに蒸着して正孔阻止層を形成し、更に CsFを 10 質量%の濃度になるように化合物 M— 1と共蒸着し、厚さ 45nmの電子輸送層を形 成した。更に、アルミニウム 11 Onmを蒸着して陰極を形成し、有機 EL素子 1を作製し た。
[0248] 〔有機 EL素子 2の作製〕
上記有機 EL素子 1の作製において、正孔注入層、正孔輸送層を設けた後、例示 化合物 Ir 1、例示化合物 Ir 14及び例示化合物 1 7を、例示化合物 Ir 1が 3質 量%、例示化合物 Ir 14が 3質量%の濃度になるように蒸着速度 0. lnm/秒で共 蒸着し、 20nmの緑赤色燐光発光層(表 1に記載の発光層 1)を形成し、次いで、例 示化合物 D' — 66及び例示化合物 1 7を、例示化合物 D' — 66が 10質量%の 濃度になるように共蒸着し、 18nmの青色燐光発光層(表 1に記載の発光層 2)を形 成した以外は同様にして、有機 EL素子 2を作製した。
[0249] 〔有機 EL素子 3〜7の作製〕
上記有機 EL素子 1の作製において、緑赤色燐光発光層(表 1に記載の発光層 1) の例示化合物 ー 1及び例示化合物 ー 14の濃度、同発光層の膜厚を表 1記載の ように変更した以外は同様にして、有機 EL素子 3〜7を作製し、それを用いて照明装 置 3〜 7を作製した。
[0250] なお、有機 EL素子;!〜 7の各発光層は発光色度が x = 0. 40 ± 0. 03、 y=0. 41
± 0. 02 (CIE1931)になるように最適調整されている。
[0251] [表 1]
匿〕〔
* 1 : m-MTDATA
* 2 : a -NPD
()内の数値は、 含有率 (%)を表す。 ただし、 電子輸送層のドーパン トについては、 電子輸送層全体に対する膜厚比(%)を表す。
《照明装置の作製》
上記作製した有機 EL素子 1〜7のそれぞれについて、非発光面をガラスケースで 覆い、図 1、図 2に示す構成力もなる照明装置!〜 7を作製した。
[0255] 図 1は照明装置の概略図を示し、有機 EL素子 101は、ガラスカバー 102で覆われ ている。尚、ガラスカバーでの封止作業は、有機 EL素子 101を大気に接触させること なく窒素雰囲気下のグローブボックス(純度 99. 999%以上の高純度窒素ガスの雰 囲気下)で行った。図 2は照明装置の断面図を示し、図 2において、 105は陰極、 10 6は有機 EL層、 107は透明電極付きガラス基板を示す。尚、ガラスカバー 102内に は窒素ガス 108が充填され、捕水剤 109が設けられている。
[0256] 得られた各照明装置に通電したところ、ほぼ白色の光が得られ、照明装置として使 用できることが確認できた。
[0257] 《有機 EL素子の評価》
〔電力効率の測定〕
分光放射輝度計 CS— 1000 (コニ力ミノルタセンシング社製)を用いて、各有機 EL 素子の正面輝度及び輝度角度依存性を測定し、正面輝度 lOOOcd/m2における電 力効率を求めた。なお、表 2には、有機 EL素子 5の電力効率を 100とした際の相対 値で表示した。
[0258] 〔駆動寿命の測定〕
正面輝度 4000cd/m2を初期輝度として連続駆動時の輝度変動を測定し、その輝 度半減時間を駆動寿命として求めた。なお、表 2には、有機 EL素子 5の駆動寿命を 100とした際の相対値で表示した。
[0259] [表 2]
[0260] 表 2に記載の結果より明らかなように、本発明の有機 EL素子 3〜6は、比較例であ
る有機 EL素子 1、 7に対し、電力効率、駆動寿命のいずれにおいても優れていること が分かる。特に、本発明の好ましいドーパント濃度範囲にある有機 EL素子 4、 5は、 電力効率及び駆動寿命の両者のバランスが取れた好ましレ、性能を発現して!/、ること 力 s カゝる。
[0261] 実施例 2
《有機 EL素子の作製》
〔有機 EL素子 8〜; 11の作製〕
実施例 1に記載の有機 EL素子 5において、緑赤色発光層(実施例 1における発光 層 1)のホスト化合物及び膜厚を、表 3の示す様に変更した以外は同様にして、有機 EL素子 8〜; 11を作製した。
[0262] なお、有機 EL素子 8〜; 11の各発光層は、発光色度が x = 0. 40 ± 0. 03、 y=0. 4 1 ± 0· 02 (CIE1931)になるように最適調整されている。
[0263] [表 3]
* 1 : m MTDATA
* 2 : 一 NPD
()内の数値は、 含有率(%)を表す。
ただし、 電子輸送層のドーパントについては、 電子輸送層全体に対する膜厚比(%)を表す。
[0266] 《有機 EL素子の評価》
実施例 1に記載の方法と同様にして、電力効率と駆動寿命を評価した。表 4には、 有機 EL素子 5の電力効率、駆動寿命を 100%とした相対値で、各特性値を示す。
[0267] [表 4]
[0268] 表 4に記載の結果より明らかなように、隣接する緑赤色発光層と青色発光層とのホ スト化合物を同一とすることにより、特に、寿命特性において優れた性能を発現できる ことが分かる。
[0269] 実施例 3
〔有機 EL素子 12〜; L 4の作製〕
実施例 1に記載の有機 EL素子 5におレ、て、青色発光層のホスト化合物及び膜厚を 表 5のように変更した以外は同様にして、有機 EL素子 12〜; 14を作製した。なお、青 色発光層のホスト例示化合物 1 6、 1 7、 1 10、 1 31の本発明の記載で定義 される三重項エネルギー(T )は、いずれも 2. 7eVより大き力、つた。また、有機 EL素
1
子 12〜; 14の各発光層 ίま発光色度力 x = 0. 40 ± 0. 03、y=0. 41 ± 0. 02 (CIE19
31 )になるように最適調整されてレ、る。
[0270] [表 5]
-vaJJI
[0271] なお、表 5に略称で記載の化合物で、表 1で記載した以外の化合物の詳細は、以 下の通りである。
[0272] [化 27]
[0273] 《有機 EL素子の評価》
実施例 1に記載の方法と同様にして、電力効率と駆動寿命と、下記の方法に従って 保存安定性を評価した。
[0274] 〔保存安定性の評価〕
70°C環境下で各有機 EL素子を 100時間保存した後、 2. 5mA/cm2の一定電流 値で駆動した際の輝度変化率(未処理時の輝度を 100%とした時の 70°Cで 200h保 存した後における輝度比)を測定し、これを有機 EL素子の保存安定性の尺度とした
[0275] 表 6には、有機 EL素子 5の電力効率、駆動寿命を 100%とした相対値で、各特性 値を示す。また、青色発光層に用いたホスト化合物のガラス転移温度も併せて示す。
[0276] [表 6]
有機 B- 各評倒結梁
素子 電力'効率 駆動寿命 保存安定性 ガラス転移温度 備考
番号 ( % ) { % ) ( % ) (。C )
5 100 100 97 166 本発明
12 93 92 84 91 本発明
13 too 94 98 132 本鋼
) 4 93 75 30 64 本発明
[0277] 表 6に記載の結果より明らかなように、青色発光層に用いるホスト化合物により保存 安定性は著しく変化し、その特性はホスト化合物のガラス転移温度を対応してレ、るこ とが分かる。特に、ガラス転移温度が 130°C以上のホスト化合物を用いた有機 EL素 子 5、 13の特性が優れていることが明らかである。
[0278] 実施例 4
《有機 EL素子 15の作製》
実施例 1に記載の有機 EL素子 5において、緑赤色発光層の膜厚及び青色発光層 の発光ドーパント、膜厚を表 7に示されるように変更した以外は同様にして、有機 EL 素子 15を作製した。
[0279] [表 7]
奮〔〕〔0821 ノ 〔〕 ¾ί080。2
* 1 : m-MTDATA
氺 2 : α— NPD
0内の数値は、 含有率(%)を表す。
ただし、 電子輸送層のドーパントについては、 電子輪送層全体に対する膜厚比(%)を表す。
lr-12
[0282] 《有機 EL素子の評価》
実施例 1に記載の方法と同様にして電力効率の評価と、下記の方法に従ってィォ ン化ポテンシャルの測定を行った。なお、電力効率は、有機 EL素子 5の電力効率を 100とした相対値で表示した。 青色発光ドーパント例示化合物 D' — 66、例示化合物 Ir 12のイオン化ポテンシ ャルを、サイクリックボルタメトリー法から求めた。
[0284] [表 8]
[0285] 表 8に記載の結果より明らかなように、有機 EL素子 5に対し、イオン化ポテンシャノレ の大きい青色発光ドーパント例示化合物 Ir 12を用いた有機 EL素子 15は、電力効 率に劣る。これは、上記色度内の白色発光を得るために青色発光層及び正孔阻止 層の膜厚を厚くせざるを得な力、つたため、駆動電圧が上昇し、これはドーパント例示 化合物 Ir 12のイオン化ポテンシャルが大きぐ正孔捕獲能がドーパント例示化合 物び —66より劣るためと推定される。従って、本発明の構成の有機 EL素子におい ては、イオン化ポテンシャルが 5. leVより高い(エネルギーが小さい)ものであること が高!/、電力効率を得る上で好ましレ、ことが分かる。
[0286] 実施例 5
《有機 EL素子 16及び 17の作製》
実施例 1に記載の有機 EL素子 5において、青色発光層の陰極側に隣接して、最も 極大発光波長の長い発光ドーパント例示化合物 Ir 14を含有する発光層 3を設け、 また有機 EL素子 5の緑赤色発光層及び青色発光層の膜厚を表 9に示されるように変 更した以外は同様にして、有機 EL素子 16及び 17を作製した。
[0287] なお、有機 EL素子 16及び 17の各発光層は、各々発光色度が x = 0. 40 ± 0. 03、 y = 0. 41 ± 0· 02 (CIE1931)になるように最適調整されている。
[0288] [表 9]
《有機 EL素子の評価》
実施例 1、実施例 3に記載の方法と同様にして、電力効率、駆動寿命及び保存安 定性と、下記の方法に従って色度変動幅 ΔΕを評価した。
[0290] 〔色度変動幅の測定〕
色度変動幅は、正面輝度 300cd/m2〜; 1500cd/m2における CIE1931 x、 y^tの変動最大距離 Δ Εを下式で求めた。
[0291] Δ Ε= ( Δ χ2+ A y2) 1 2
以上により得られた結果を、表 10に示す。
[0292] [表 10]
[0293] 表 10に記載の結果より明らかなように、有機 EL素子 5に対し、青色発光層の陰極 側に隣接して最も極大発光波長の長い発光ドーパント例示化合物 Ir 14を含有す る発光層 3を設けた有機 EL素子 16及び 17は、電力効率及び駆動寿命を取り崩すこ となぐ駆動電流変化(輝度変化)に対する色度安定性に優れた性能を有することが 分かる。
[0294] 実施例 6
実施例 1に記載の有機 EL素子 5において、発光層 1と発光層 2の積層順を入れ替 えた以外は同様にして、有機 EL素子 A— 1を作製し、更にこの有機 EL素子 A— 1を 用いて、実施例 1に記載の方法と同様にして、照明装置 A—1を作製した。次いで、 実施例 1に記載の方法と同様にして、電力効率を測定し、得られた結果を表 11に示 す。なお、表 1 1においては、有機 EL素子 5の電力効率を 100とした際の相対値を示 す。
[0295] [表 11] 評価結果
有機 EL素子番号 備 考
電力効率(%)
5 100 本発明
A— 1 45 比蛟例
表 1 1に記載の結果より明らかな様に、本発明で規定する発光層積層順とは異なる 有機 EL素子 A— 1は、著しく電力効率が劣ることが分かり、本発明で規定する発光 層積層順の効果性を確認することができた。