JP2010161357A - 有機電界発光素子及び発光装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一対の電極14,16と、該一対の電極間に配置された少なくとも一層の発光層30とを有し、該発光層は、420nm以上500nm未満に発光ピークを持つ青色燐光発光材料と、500nm以上570nm未満に発光ピークを持つ緑色燐光発光材料と、570nm以上650nm以下に発光ピークを持つ赤色燐光発光材料と、最低励起三重項エネルギー準位が2.7eV以上であり、かつ、前記青色燐光発光材料の最低励起三重項エネルギー準位よりも0.08eV以上高い電荷輸送材料とを含む。発光層として、隣接して積層されている第1の発光層32と第2の発光層34とを有し、第1の発光層は、青色燐光発光材料と電荷輸送材料とを含み、第2の発光層は、緑色燐光発光材料と、赤色燐光発光材料とを含んでもよい。
【選択図】図1
Description
有機電界発光素子を用いて白色に発光させる場合には、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色にそれぞれ発光する発光層を三層積層させる方法や、一層の発光層中にRGBにそれぞれ対応した発光材料を分散させる方法がある。
また、白色発光における発光効率と色純度を向上させるため、発光材料とホスト材料を含む発光層を有し、最大発光ピーク波長が500nmであり、且つ、ホスト材料の最低励起三重項エネルギー準位が発光材料の最低励起三重項エネルギー準位よりも高い発光素子が提案されている(特許文献2参照)。
また、発光効率の向上と長寿命化を図るため、青色発光層と、緑色と赤色の混合発光層を形成し、緑色と赤色の混合発光層には正孔輸送性材料、電子輸送性材料、及び燐光材料を含有させる白色有機発光素子が提案されている(特許文献3参照)。
<1> 一対の電極と、該一対の電極間に配置された少なくとも一層の発光層とを有し、該発光層は、420nm以上500nm未満に発光ピークを持つ青色燐光発光材料と、500nm以上570nm未満に発光ピークを持つ緑色燐光発光材料と、570nm以上650nm以下に発光ピークを持つ赤色燐光発光材料と、最低励起三重項エネルギー準位が2.7eV以上であり、かつ、前記青色燐光発光材料の最低励起三重項エネルギー準位よりも0.08eV以上高い電荷輸送材料とを含むことを特徴とする有機電界発光素子。
<2> 前記発光層における前記緑色燐光発光材料と前記赤色燐光発光材料の濃度がそれぞれ0.2質量%以上であることを特徴とする<1>に記載の有機電界発光素子。
<3> 前記発光層として、前記一対の電極間において隣接して積層されている第1の発光層と第2の発光層とを有し、前記第1の発光層は、前記青色燐光発光材料と前記電荷輸送材料とを含み、前記第2の発光層は、前記緑色燐光発光材料と、前記赤色燐光発光材料とを含むことを特徴とする<1>に記載の有機電界発光素子。
<4> 前記発光層として、前記一対の電極間において隣接して積層されている第1の発光層と第2の発光層とを有し、前記第1の発光層は、前記青色燐光発光材料を含み、前記第2の発光層は、前記緑色燐光発光材料と、前記赤色燐光発光材料と、前記電荷輸送材料とを含むことを特徴とする<1>に記載の有機電界発光素子。
<5> 前記第2の発光層における前記緑色燐光発光材料と前記赤色燐光発光材料の濃度がそれぞれ0.2質量%以上であることを特徴とする<3>又は<4>に記載の有機電界発光素子。
<6> <1>〜<5>のいずれかに記載の有機電界発光素子を備えたことを特徴とする発光装置。
一般的に、発光層中にRGBの各色に対応した発光材料を含ませて白色発光する有機電界発光素子を製造する場合、最低励起三重項エネルギー準位(T1)が高い青色発光材料から、T1が低い緑色発光材料又は赤色発光材料に励起子のエネルギー移動が生じるため、例えば各発光材料のドープ濃度を同等にすると、青色がほとんど発光せず、白色発光が得られない。そのため、例えば、蒸着によって発光層を形成する場合は、RGBの各発光材料のドープ濃度が、B:15%、G:0.13%、R:0.13%となるように共蒸着を行う。この場合、青色発光材料に関しては、ドープ濃度が多少変動しても影響は少ないが、緑色と赤色の各発光材料は特に低レートで蒸着する必要があるため、蒸着レートのわずかな変動により色むらが生じ易く、白色発光の有機電界発光素子を安定して製造することが難しい。
・陽極/発光層/陰極
・陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
・陽極/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/陰極
・陽極/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/陰極
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極
・陽極/正孔輸送層/ブロック層/発光層/電子輸送層/陰極
・陽極/正孔輸送層/ブロック層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
・陽極/正孔注入層/ブロック層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
・陽極/正孔注入層/ブロック層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
・陽極/第1の発光層/第2の発光層/陰極
・陽極/正孔輸送層/第1の発光層/第2の発光層/電子輸送層/陰極
・陽極/正孔輸送層/第1の発光層/第2の発光層/ブロック層/電子輸送層/陰極
・陽極/正孔輸送層/第1の発光層/第2の発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/第1の発光層/第2の発光層/ブロック層/電子輸送層/陰極
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/第1の発光層/第2の発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極
・陽極/正孔輸送層/ブロック層/第1の発光層/第2の発光層/電子輸送層/陰極
・陽極/正孔輸送層/ブロック層/第1の発光層/第2の発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
・陽極/正孔注入層/ブロック層/正孔輸送層/第1の発光層/第2の発光層/電子輸送層/陰極
・陽極/正孔注入層/ブロック層/正孔輸送層/第1の発光層/第2の発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
また、図2は、本発明に係る有機電界発光素子の構成の他の例(第2実施形態)を概略的に示している。この有機電界発光素子11では、発光層30は、第1の発光層32と第2の発光層34に分けて積層されている。
以下の説明においては、適宜、支持基板12上に下部電極14として陽極を形成する構成について説明するが、支持基板12上に陰極から逆に形成することも可能である。
発光層30は電界印加時に、陽極、正孔注入層、又は正孔輸送層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層、又は電子輸送層から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。
第1の実施形態に係る有機電界発光素子10では、一層の発光層30に、420nm以上500nm未満に発光ピークを持つ青色燐光発光材料と、500nm以上570nm未満に発光ピークを持つ緑色燐光発光材料と、570nm以上650nm以下に発光ピークを持つ赤色燐光発光材料と、最低励起三重項エネルギー準位が2.7eV以上であり、かつ、前記青色燐光発光材料の最低励起三重項エネルギー準位よりも0.08eV以上高い電荷輸送材料が含まれている。
遷移金属原子としては、特に限定されないが、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、及び白金が挙げられ、より好ましくは、レニウム、イリジウム、及び白金である。
ランタノイド原子としては、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテシウムが挙げられる。これらのランタノイド原子の中でも、ネオジム、ユーロピウム、及びガドリニウムが好ましい。
具体的な配位子としては、好ましくは、ハロゲン配位子(好ましくは塩素配位子)、含窒素ヘテロ環配位子(例えば、フェニルピリジン、ベンゾキノリン、キノリノール、ビピリジル、フェナントロリンなど)、ジケトン配位子(例えば、アセチルアセトンなど)、カルボン酸配位子(例えば、酢酸配位子など)、一酸化炭素配位子、イソニトリル配位子、シアノ配位子であり、より好ましくは、含窒素ヘテロ環配位子である。上記錯体は、化合物中に遷移金属原子を一つ有してもよいし、また、2つ以上有するいわゆる複核錯体であってもよい。異種の金属原子を同時に含有していてもよい。
電子輸送性発光材料としては、好ましくは、その電子親和力(Ea)が2.5eV以上3.5eV以下であり、イオン化ポテンシャル(Ip)が5.7eV以上7.0eV以下の電子輸送性発光材料である。
好ましく用いることのできる材料は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、及びルテシウム錯体を挙げる事ができる。より好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、又は白金錯体であり、最も好ましくは白金錯体である。白金錯体の具体例を以下に示すが、これらに限定されものではない。
本発明における燐光発光材料として、正孔輸送性燐光発光材料を用いることができる。正孔輸送性燐光発光材料としては、好ましくは、その電子親和力(Ea)が2.4eV以上3.4eV以下であり、イオン化ポテンシャル(Ip)が5.0eV以上6.3eV以下の正孔輸送性燐光発光材料である。
好ましく用いることのできる材料は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、及びルテシウム錯体を挙げる事ができ、より好ましくは、イリジウム錯体である。
具体的イリジウム錯体の例を以下に例示するが、本発明はこれらに限定されものではない。
第1の実施形態における発光層30は、420nm以上500nm未満に発光ピークを持つ青色燐光発光材料と、500nm以上570nm未満に発光ピークを持つ緑色燐光発光材料と、570nm以上650nm以下に発光ピークを持つ赤色燐光発光材料と、最低励起三重項エネルギー準位が2.7eV以上であり、かつ、前記青色燐光発光材料の最低励起三重項エネルギー準位よりも0.08eV以上高い電荷輸送材料とを含み、青色光、緑色光、及び赤色光を発する。
発光層30を構成するホスト材料は電荷輸送材料であることが好ましい。ホスト材料は1種であっても2種以上であっても良く、例えば、電子輸送性のホスト材料とホール輸送性のホスト材料を混合した構成が挙げられる。
また、発光層30中における赤色燐光発光材料の濃度は、0.2〜5質量%であることが好ましく、0.2〜2質量%であることがより好ましい。
上記範囲であれば、緑色光及び赤色光を確実に発させることができるとともに、成膜の際にドープ量の調整が容易となり、安定して成膜することができる。また、青色に比べて緑色又は赤色が強くなり過ぎることが抑制され、白色光を発する有機電界発光素子をより確実に製造することができる。
なお、電荷輸送性を低下させない観点から、上記電荷輸送材料のT1は3.9eV以下であることが好ましく、3.6eV以下であることが特に好ましい。
第1の発光層32は、420nm以上500nm未満に発光ピークを持つ青色燐光発光材料を含み、青色光を発する。このようなピーク波長を持つ青色燐光発光材料としては、例えば前記B−1及びB−2として示したものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
第1の発光層32を構成するホスト材料は電荷輸送材料であることが好ましい。ホスト材料は1種であっても2種以上であっても良く、例えば、電子輸送性のホスト材料とホール輸送性のホスト材料を混合した構成が挙げられる。
なお、電荷輸送性を低下させない観点から、上記電荷輸送材料のT1は3.9eV以下であることが好ましく、3.6eV以下であることが特に好ましい。
第2の発光層34は、500nm以上570nm未満に発光ピークを持つ緑色燐光発光材料と、570nm以上650nm以下に発光ピークを持つ赤色燐光発光材料と、最低励起三重項エネルギー準位が2.7eV以上であり、かつ、第1の発光層32に含まれる青色燐光発光材料の最低励起三重項エネルギー準位よりも0.08eV以上高い電荷輸送材料とを含み、緑色光と赤色光を発する。
なお、第2の発光層34に含まれる上記電荷輸送材料のT1は電荷輸送性を低下させない観点から、3.9eV以下であることが好ましく、3.6eV以下であることが特に好ましい。
また、第2の発光層34に含まれる上記電荷輸送材料の濃度は、第1の発光層32から励起子の移動を効果的に抑制するため、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。
また、第1の発光層32の厚み(X)と第2の発光層34の厚み(Y)の比は、好ましくは、X/Y=1〜8、より好ましくは、2〜5である。X/Yが特に2以上5以下の範囲であれば耐久性、色度などの点で好ましい。
各発光層32,34は、蒸着法やスパッタ法等の乾式成膜法のほか、転写法、印刷法、塗布法、インクジェット法、スプレー法等の公知の方法によって形成することができる。
正孔注入層、正孔輸送層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。正孔注入層、正孔輸送層は、具体的には、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、有機シラン誘導体、カーボン、フェニルアゾールやフェニルアジンを配位子に有するIr錯体に代表される各種金属錯体等を含有する層であることが好ましい。
正孔輸送層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜200nmであるのが更に好ましい。また、正孔注入層の厚さとしては、0.1nm〜200nmであるのが好ましく、0.5nm〜200nmであるのがより好ましく、1nm〜200nmであるのが更に好ましい。
正孔注入層、正孔輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
電子注入層、電子輸送層は、陰極又は陰極側から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。電子注入層、電子輸送層は、具体的には、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン誘導体、等を含有する層であることが好ましい。
電子輸送層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。また、電子注入層の厚さとしては、0.1nm〜200nmであるのが好ましく、0.2nm〜100nmであるのがより好ましく、0.5nm〜50nmであるのが更に好ましい。
電子注入層、電子輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
正孔ブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が、陰極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。発光層と陰極側で隣接する有機化合物層として、正孔ブロック層を設けることができる。
正孔ブロック層を構成する有機化合物の例としては、BAlq等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、BCP等のフェナントロリン誘導体、等が挙げられる。
正孔ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
正孔ブロック層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
発光層30で生じた光が透過するように、一対の電極14,16のうち少なくとも一方は透明の電極とする。通常は、支持基板12側の電極(下部電極)14を陽極とし、封止基板(不図示)側の電極(上部電極)16を陰極とするが、下部電極14を陰極、上部電極16を陽極とすることもできる。
陽極14を構成する材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、導電性化合物、又はこれらの混合物が好適に挙げられる。具体例として、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、及びこれらとITOとの積層物などが挙げられる。この中で好ましいのは導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からはITOが好ましい。
陽極14を形成する位置は、有機電界発光素子10,11の用途、目的等に応じて適宜選択することができ、支持基板12の全体に形成してもよいし、一部に形成してもよい。
また、陽極14の抵抗値は、有機EL層に確実に正孔を供給するために、103Ω/□以下が好ましく、102Ω/□以下がより好ましい。
陰極16は、通常、有機層に電子を注入する電極としての機能を有し、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、有機電界発光素子10,11の用途、目的等に応じて公知の電極材料の中から適宜選択することができる。陰極16を構成する材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられる。具体例としてアルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(たとえばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属、などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点から、2種以上を好適に併用することができる。
陰極16の形成位置は特に制限はなく、有機層上の全体に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
支持基板12は、有機電界発光素子全体を支持することができる耐熱性、強度、光透過性等を有するものであれば特に限定されず、公知のものを使用することができる。例えば、ジルコニア安定化イットリウム(YSZ)、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の有機材料が挙げられる。
また、熱可塑性基板を用いる場合には、更に必要に応じて、ハードコート層、アンダーコート層などを設けてもよい。
本発明の有機電界発光素子10,11は、保護層によって保護されていてもよい。保護層を構成する材料としては、水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであればよい。
その具体例としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、またはNi等の金属、MgO、SiO、SiO2、Al2O3、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe2O3、Y2O3、またはTiO2等の金属酸化物、SiNx、SiNxOy等の金属窒化物、MgF2、LiF、AlF3、またはCaF2等の金属フッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質等が挙げられる。
本発明の有機電界発光素子10,11は、封止容器などの封止部材によって封止されてもよい。また、封止容器と発光素子の間の空間に水分吸収剤又は不活性液体を封入してもよい。
水分吸収剤としては、特に限定されることはないが、例えば、酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、酸化マグネシウム等を挙げることができる。不活性液体としては、特に限定されることはないが、例えば、パラフィン類、流動パラフィン類、パーフルオロアルカンやパーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等のフッ素系溶剤、塩素系溶剤、シリコーンオイル類が挙げられる。
本発明の有機電界発光素子10,11の用途は限定されるものではないが、例えば、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、光通信等に好適に利用することができる。
ITO(100nm)/2−TNATA+1.0%F4−TCNQ(160nm)/NPD(10nm)/発光層/BAlq(39nm)/BCP(1nm)/LiF(1nm)/Al(100nm)
ITOが陽極、Alが陰極である。また、「%」は各層における濃度(質量%)を表し、括弧内は厚みを表している。各層は概ね以下のようにして形成した。
25mm×25mm×0.7mmのガラス基板上に酸化インジウム錫(以後、ITOと略記)を100nmの厚さで蒸着し成膜したもの(東京三容真空(株)製)を透明支持基板とした。この透明支持基板のITO膜をエッチングによりパターニングした後、洗浄した。
正孔注入層:4,4’,4”−トリス(2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATAと略記する)および2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(F4−TCNQと略記する)を、2−TNATAに対してF4−TCNQが1.0質量%となるように共蒸着した。厚みは160nmとした。
正孔輸送層:N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(α−NPDと略記する)により形成した。厚みは10nmとした。
発光層:正孔輸送層上に、発光材料として、青色、緑色、及び赤色の領域でそれぞれ発光する3種の燐光発光材料を含む発光層、又は、青色領域で発光する燐光発光材料を含む第1の発光層と、緑色及び赤色領域で発光する2種類の燐光発光材料を含む第2の発光層を蒸着によって順次成膜した。
続いて、発光層の上に、下記の電子輸送層、および電子注入層を設けた。
電子輸送層:Aluminum(III)bis(2−methyl−8−quinolato)−4−phenylphenolate(BAlqと略記する)を厚みが39nmとなるように蒸着した。
電子注入層:バソクプロイン(BCPと略記する)を厚みが1nmとなるように蒸着した。
さらに、LiFを厚み1nmに蒸着後、シャドウマスクによりパターニングして陰極として厚み100nmのAlを設けた。各層はいずれも抵抗加熱真空蒸着により設けた。
なお最低励起三重項エネルギー準位(T1値)は、りん光測定よりその立ち上がり波長から求めた。
前記標準構成において、発光層を以下の構成として有機電界発光素子を作製した。
発光層:H−1+15%B−1+10%G−1+1%R−1(30nm)
また、色度は、CIE1931色度座標において(x,y)=(0.31,0.36)であった。
前記標準構成において、発光層を以下の構成として有機電界発光素子を作製した。
発光層:H−1+15%B−2+10%G−1+1%R−1(30nm)
467nm/503nm/620nmに発光ピークが現れ、それらの強度比は、0.65:1:0.8であった。
また、色度は、CIE1931色度座標において(x,y)=(0.31,0.34)であった。
前記標準構成において、第1及び第2の発光層を以下の構成として有機電界発光素子を作製した。
第1の発光層:H−1+15%B−1(20nm)
第2の発光層:H−3+10%G−1+1%R−1(10nm)
456nm/503nm/620nmに発光ピークが現れ、それらの強度比は、0.75:1:0.78であった。
また、色度は、CIE1931色度座標において(x,y)=(0.31,0.36)であった。
前記標準構成において、第1及び第2の発光層を以下の構成として有機電界発光素子を作製した。
第1の発光層:H−1+15%B−2(20nm)
第2の発光層:H−3+10%G−1+1%R−1(10nm)
実施例1と同様にして素子に直流電圧を印加し発光させたところ、白色に発光した。
466.8nm/503nm/620nmに発光ピークが現れ、それらの強度比は、0.85:1:0.6であった。
また、色度は、CIE1931色度座標において(x,y)=(0.29,0.35)であった。
前記標準構成において、第1及び第2の発光層を以下の構成として有機電界発光素子を作製した。
第1の発光層:H−3+15%B−2(20nm)
第2の発光層:H−1+10%G−1+1%R−1(10nm)
466.8nm/503nm/620nmに発光ピークが現れ、それらの強度比は、0.8:1:0.75であった。
また、色度は、CIE1931色度座標において(x,y)=(0.34,0.35)であった。
前記標準構成において、発光層を以下の構成として有機電界発光素子を作製した。
発光層:H−1+15%B−3+10%G−2+1%R−2(30nm)
実施例1と同様にして素子に直流電圧を印加し発光させたところ、白色に発光した。
463nm/517nm/620nmに発光ピークが現れ、それらの強度比は、0.6:1:0.85であった。
また、色度は、CIE1931色度座標において(x,y)=(0.33, 0.38)であった。
前記標準構成において、発光層を以下の構成として有機電界発光素子を作製した。
発光層:H−1+15%B−4+10%G−3+1%R−3(30nm)
実施例1と同様にして素子に直流電圧を印加し発光させたところ、白色に発光した。
465nm/522nm/635nmに発光ピークが現れ、それらの強度比は、0.6:1:0.9であった。
また、色度は、CIE1931色度座標において(x,y)=(0.35, 0.38)であった。
前記標準構成において、第1及び第2の発光層を以下の構成として有機電界発光素子を作製した。
第1の発光層:H−1+15%B−3(20nm)
第2の発光層:H−3+10%G−2+1%R−2(10nm)
実施例1と同様にして素子に直流電圧を印加し発光させたところ、白色に発光した。
463nm/517nm/620nmに発光ピークが現れ、それらの強度比は、0.8:1:0.75であった。
また、色度は、CIE1931色度座標において(x,y)=(0.31, 0.32)であった。
前記標準構成において、第1及び第2の発光層を以下の構成として有機電界発光素子を作製した。
第1の発光層:H−1+15%B−3(20nm)
第2の発光層:H−5+10%G−2+1%R−2(10nm)
実施例1と同様にして素子に直流電圧を印加し発光させたところ、白色に発光した。
463nm/517nm/620nmに発光ピークが現れ、それらの強度比は、0.75:1:0.75であった。
また、色度は、CIE1931色度座標において(x,y)=(0.32, 0.33)であった。
前記標準構成において、第1及び第2の発光層を以下の構成として有機電界発光素子を作製した。
第1の発光層:H−1+15%B−4(20nm)
第2の発光層:H−3+10%G−3+1%R−3(10nm)
実施例1と同様にして素子に直流電圧を印加し発光させたところ、白色に発光した。
465nm/522nm/635nmに発光ピークが現れ、それらの強度比は、0.8:1:0.8であった。
また、色度は、CIE1931色度座標において(x,y)=(0.33, 0.32)であった。
前記標準構成において、第1及び第2の発光層を以下の構成として有機電界発光素子を作製した。
第1の発光層:H−3+15%B−3(20nm)
第2の発光層:H−1+10%G−2+1%R−2(10nm)
実施例1と同様にして素子に直流電圧を印加し発光させたところ、白色に発光した。
463nm/517nm/620nmに発光ピークが現れ、それらの強度比は、0.75:1:0.85であった。
また、色度は、CIE1931色度座標において(x,y)=(0.34, 0.33)であった。
前記標準構成において、発光層を以下の構成として有機電界発光素子を作製した。
発光層:H−2+15%B−1+10%G−1+1%R−1(30nm)
また、色度はCIE1931色度座標において(x,y)=(0.42,0.35)であった。
前記標準構成において、発光層を以下の構成として有機電界発光素子を作製した。
発光層:H−3+15%B−1+10%G−1+1%R−1(30nm)
456nm/503nm/620nmに発光ピークが現れ、それらの強度比は、0.3:0.7:1であった。
色度は、CIE1931色度座標において(x,y)=(0.45,0.36)であった。
前記標準構成において、第1及び第2の発光層を以下の構成として有機電界発光素子を作製した。
第1の発光層:H−3+15%B−1(20nm)
第2の発光層:H−3+10%G−1+1%R−1(10nm)
456nm/503nm/620nmに発光ピークが現れ、それらの強度比は、0.3:0.7:1であった。
色度は、CIE1931色度座標において(x,y)=(0.45,0.36)であった。
前記標準構成において、発光層を以下の構成として有機電界発光素子を作製した。
発光層:H−5+15%B−3+10%G−2+1%R−2(30nm)
実施例1と同様にして素子に直流電圧を印加し発光させたところ、赤色が強くまじった白色発光した。
463nm/517nm/620nmに発光ピークが現れ、それらの強度比は、0.4:0.7:1であった。
色度は、CIE1931色度座標において(x,y)=(0.47, 0.36)であった。
前記標準構成において、発光層を以下の構成として有機電界発光素子を作製した。
発光層:H−5+15%B−4+10%G−3+1%R−3(30nm)
実施例1と同様にして素子に直流電圧を印加し発光させたところ、赤色が強くまじった白色発光した。
465nm/522nm/635nmに発光ピークが現れ、それらの強度比は、0.35:0.65:1であった。
色度は、CIE1931色度座標において(x,y)=(0.49, 0.35)であった。
前記標準構成において、第1及び第2の発光層を以下の構成として有機電界発光素子を作製した。
第1の発光層:H−5+15%B−3(20nm)
第2の発光層:H−5+10%G−2+1%R−2(10nm)
実施例1と同様にして素子に直流電圧を印加し発光させたところ、赤色が強くまじった白色に発光した。
463nm/517nm/620nmに発光ピークが現れ、それらの強度比は、0.5:0.9:1であった。
色度は、CIE1931色度座標において(x,y)=(0.45, 0.40)であった。
前記標準構成において、第1及び第2の発光層を以下の構成として有機電界発光素子を作製した。
第1の発光層:H−5+15%B−4(20nm)
第2の発光層:H−5+10%G−3+1%R−3(10nm)
実施例1と同様にして素子に直流電圧を印加し発光させたところ、赤色が強くまじった白色に発光した。
465nm/522nm/635nmに発光ピークが現れ、それらの強度比は、0.45:0.85:1であった。
色度は、CIE1931色度座標において(x,y)=(0.48, 0.39)であった。
12 支持基板
14 下部電極
16 上部電極
20 正孔輸送層
24 電子輸送層
30 発光層
32 第1の発光層
34 第2の発光層
40 電子輸送層
Claims (6)
- 一対の電極と、該一対の電極間に配置された少なくとも一層の発光層とを有し、該発光層は、420nm以上500nm未満に発光ピークを持つ青色燐光発光材料と、500nm以上570nm未満に発光ピークを持つ緑色燐光発光材料と、570nm以上650nm以下に発光ピークを持つ赤色燐光発光材料と、最低励起三重項エネルギー準位が2.7eV以上であり、かつ、前記青色燐光発光材料の最低励起三重項エネルギー準位よりも0.08eV以上高い電荷輸送材料とを含むことを特徴とする有機電界発光素子。
- 前記発光層における前記緑色燐光発光材料と前記赤色燐光発光材料の濃度がそれぞれ0.2質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
- 前記発光層として、前記一対の電極間において隣接して積層されている第1の発光層と第2の発光層とを有し、前記第1の発光層は、前記青色燐光発光材料と前記電荷輸送材料とを含み、前記第2の発光層は、前記緑色燐光発光材料と、前記赤色燐光発光材料とを含むことを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
- 前記発光層として、前記一対の電極間において隣接して積層されている第1の発光層と第2の発光層とを有し、前記第1の発光層は、前記青色燐光発光材料を含み、前記第2の発光層は、前記緑色燐光発光材料と、前記赤色燐光発光材料と、前記電荷輸送材料とを含むことを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
- 前記第2の発光層における前記緑色燐光発光材料と前記赤色燐光発光材料の濃度がそれぞれ0.2質量%以上であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の有機電界発光素子。
- 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を備えたことを特徴とする発光装置。
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