JP4850521B2 - 有機電界発光素子 - Google Patents
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Description
発光層のホスト材料として2種以上の化合物を使用し、それぞれを電子輸送性ホストと正孔輸送性ホストとして用い、消費電力の低減や、駆動耐久性の向上を行うことが開示されている(例えば、特許文献1、2等参照)。しかしながら、特許文献1,2に記載の発光素子では、燐光発光材料がキャリアをトラップして、劣化することから駆動耐久性および発光率が低下するため、更なる向上が望まれる。
これにより、特に燐光発光材料のキャリアによる劣化を抑制することができ、駆動耐久性及び高い発光効率に優れる有機電界発光素子を得ることができたものである。
即ち、本発明は下記の手段により達成される。
(a)前記燐光発光材料のイオン化ポテンシャルをIp(D1),前記少なくとも2種のホスト化合物のイオン化ポテンシャルのうち、最小のものをIp(H)minとしたときに、ΔIp1=Ip(D1)−Ip(H)minで定義されるΔIp1が、ΔIp1<0eVの関係を満たす、
(b)前記燐光発光材料の電子親和力をEa(D1),前記少なくとも2種のホスト化合物の電子親和力のうち最大のものをEa(H)maxとしたときに、ΔEa1=Ea(H)max−Ea(D1)で定義されるΔEa1が、ΔEa1<0eVの関係を満たす、
の少なくともいずれか一方を満たし、前記燐光発光材料のうちの少なくとも1つのIp(D1)およびEa(D1)が4.6eV<Ip(D1)<7.5eV、かつ、1.2eV<Ea(D1)<4.0eVを満たし、前記2種の燐光発光材料が遷移金属原子又はランタノイド原子を含み、配位子としてハロゲン配位子、含窒素ヘテロ環配位子、ジケトン配位子、カルボン酸配位子、一酸化炭素配位子、イソニトリル配位子、及びシアノ配位子から選択される少なくとも1種を含む燐光発光材料であり、前記2種のホスト化合物が正孔輸送性ホスト及び電子輸送性ホストであり、前記正孔輸送性ホストがカルバゾール誘導体、及び芳香族第三級アミン化合物から選択される少なくとも1種であり、前記電子輸送性ホストが金属に配位する少なくとも1つの窒素原子または酸素原子または硫黄原子を有する配位子をもつ金属錯体、アゾール誘導体、及びアジン誘導体から選択される少なくとも1種であることを特徴とする有機電界発光素子。
(c)該燐光発光材料のイオン化ポテンシャルをIp(D2),前記少なくとも2種のホスト化合物のイオン化ポテンシャルのうち、最小のものをIp(H)minとしたときに、ΔIp2=Ip(D2)−Ip(H)minで定義されるΔIp2が、ΔIp2>0eVの関係を満たし、かつ、
(d)前記燐光発光材料の電子親和力をEa(D2),前記少なくとも2種のホスト化合物の電子親和力のうち最大のものをEa(H)maxとしたときに、ΔEa2=Ea(H)max−Ea(D2)で定義されるΔEa2が、ΔEa2>0eVの関係を満たす、
ことを特徴とする上記<1>に記載の有機電界発光素子。
本発明の有機電界発光素子は、陽極及び陰極間に少なくとも1層の発光層を含む有機化合物層を有する有機電界発光素子であって、前記発光層は、少なくとも2種のホスト化合物と、少なくとも2種の燐光発光材料とを含有し、かつ、該燐光発光材料のうちの少なくとも1つは、以下の条件、
の少なくともいずれか一方を満たし、前記燐光発光材料のうちの少なくとも1つのIp(D1)およびEa(D1)が4.6eV<Ip(D1)<7.5eV、かつ、1.2eV<Ea(D1)<4.0eVを満たし、前記2種の燐光発光材料が遷移金属原子又はランタノイド原子を含み、配位子としてハロゲン配位子、含窒素ヘテロ環配位子、ジケトン配位子、カルボン酸配位子、一酸化炭素配位子、イソニトリル配位子、及びシアノ配位子から選択される少なくとも1種を含む燐光発光材料であり、前記2種のホスト化合物が正孔輸送性ホスト及び電子輸送性ホストであり、前記正孔輸送性ホストがカルバゾール誘導体、及び芳香族第三級アミン化合物から選択される少なくとも1種であり、前記電子輸送性ホストが金属に配位する少なくとも1つの窒素原子または酸素原子または硫黄原子を有する配位子をもつ金属錯体、アゾール誘導体、及びアジン誘導体から選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
本発明の有機電界発光素子は前記構成とする事により、優れた発光特性及び駆動耐久性を奏する。
(c)該燐光発光材料のイオン化ポテンシャルをIp(D2),前記少なくとも2種のホスト化合物のイオン化ポテンシャルのうち、最小のものをIp(H)minとしたときに、ΔIp2=Ip(D2)−Ip(H)minで定義されるΔIp2が、ΔIp2>0eVの関係を満たし、かつ
ことが発光特性及び駆動耐久性の点から好ましい。
前記イオン化ポテンシャル(Ip)、前記電子親和力(Ea)、及び後述の三重項状態準位(T1)は、石英上に各材料を真空蒸着法により製膜した単層膜を測定して得られた値である。
本発明の有機電界発光素子は、陽極及び陰極間に少なくとも1層の発光層を含む有機化合物層を有し、更に、該発光層に隣接してキャリア輸送層を有することが好ましい。キャリア輸送層が電子輸送層及び/又は正孔輸送層であることがより好ましい。
発光素子の性質上、前記陽極及び陰極のうち少なくとも一方の電極は、透明電極であることが好ましい。
尚、各層は複数の二次層に分かれていてもよい。
本発明における有機化合物層について説明する。
本発明の有機電界発光素子は、少なくとも一層の発光層を含む有機化合物層を有しており、発光層以外の他の有機化合物層としては、前述したごとく、発光層に隣接したキャリア輸送層(正孔輸送層又は電子輸送層)、正孔ブロック層、正孔注入層、電子注入層等の各層が挙げられる。
発光層と陽極側で隣接する層としては、正孔注入層であっても良く、また、発光層と陰極側で隣接する層としては、電子注入層、電荷ブロック層であっても良い。これらの層の詳細については後述する。
本発明の有機電界発光素子において、有機化合物層を構成する各層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法等いずれによっても好適に形成することができる。
発光層は、電界印加時に、陽極、正孔注入層、又は正孔輸送層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層、又は電子輸送層から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。
本発明における発光層は、少なくとも2種の燐光発光材料と少なくとも2種のホスト化合物とを含む。
また、発光層は1層であっても2層以上であってもよく、それぞれの層が異なる発光色で発光してもよい。発光層が複数の場合であっても、発光層の各層に、少なくとも1種の燐光発光材料と少なくとも2種のホスト化合物とを含有することが好ましい。より好ましくは2種以上の燐光発光材料を含有することである。
遷移金属原子としては、特に限定されないが、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、及び白金が挙げられ、より好ましくは、レニウム、イリジウム、及び白金である。
ランタノイド原子としては、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテシウムが挙げられ、これらの中でも、ネオジム、ユーロピウム、及びガドリニウムが好ましい。
具体的な配位子としては、好ましくは、ハロゲン配位子(好ましくは塩素配位子)、含窒素ヘテロ環配位子(例えば、フェニルピリジン、ベンゾキノリン、キノリノール、ビピリジル、フェナントロリンなど)、ジケトン配位子(例えば、アセチルアセトンなど)、カルボン酸配位子(例えば、酢酸配位子など)、一酸化炭素配位子、イソニトリル配位子、シアノ配位子であり、より好ましくは、含窒素ヘテロ環配位子である。上記錯体は、化合物中に遷移金属原子を一つ有してもよいし、また、2つ以上有するいわゆる複核錯体であってもよい。異種の金属原子を同時に含有していてもよい。
なお、発光層に、少なくとも2種含有されるドーパントの含有比としては、特に限定されないが、発光スペクトルの由来となるドーパント/その他のドーパントの比は、色純度の観点から、100/1〜1/10が好ましく、20/1〜1/5がより好ましく、5/1〜1/2が更に好ましい。
(a)前記燐光発光材料のイオン化ポテンシャルをIp(D1),前記少なくとも2種のホスト化合物のイオン化ポテンシャルのうち、最小のものをIp(H)minとしたときに、ΔIp1=Ip(D1)−Ip(H)minで定義されるΔIp1が、ΔIp1<0eVの関係を満たす。
(b)前記燐光発光材料の電子親和力をEa(D1),前記少なくとも2種のホスト化合物の電子親和力のうち最大のものをEa(H)maxとしたときに、ΔEa1=Ea(H)max−Ea(D1)で定義されるΔEa1が、ΔEa1<0eVの関係を満たす。
のいずれか一方を満たすことが必要である。以下、本条件を条件(1)と呼ぶ。
(c)前記燐光発光材料のイオン化ポテンシャルをIp(D2),前記少なくとも2種のホスト化合物のイオン化ポテンシャルのうち、最小のものをIp(H)minとしたときに、ΔIp2=Ip(D2)−Ip(H)minで定義されるΔIp2が、ΔIp2>0eVの関係を満たし、かつ
(d)前記燐光発光材料の電子親和力をEa(D2),前記少なくとも2種のホスト化合物の電子親和力のうち最大のものをEa(H)maxとしたときに、ΔEa2=Ea(H)max−Ea(D2)で定義されるΔEa2が、ΔEa2>0eVの関係を満たす。
ことが好ましい。以下、本条件を条件(2)と呼ぶ。
最も長波長に発光を有する燐光発光材料は、駆動耐久性の観点から、更に前記ホスト化合物との間で、1.2eV>ΔIp2>0.2eV、及び/又は1.2eV>ΔEa2>0.2eVの関係を満たすドーパントであることが好ましく、1.2eV>ΔIp2>0.4eV、及び/又は1.2eV>ΔEa2>0.4eVの関係を満たすことがより好ましく、0.8eV>ΔIp2>0.4eV、及び/又は0.8eV>ΔEa2>0.4eVの関係を満たすことが特に好ましい。
また上記ドーパントD2のIpおよびEaについては、「4.6eV<Ip(D2)<7.5eV、かつ1.2eV<Ea(D2)<4.0eV」が好ましく、より好ましい範囲としては、「5.4eV≦Ip(D2)<7.1eVかつ1.2eV<Ea(D2)≦2.8eV」である。
発光層に用いられるホスト化合物は、少なくとも2種類のホスト化合物を用いることが必要であるが、前記条件(1)を満たすものであれば、特に限定されることなく用いることができる。また、前記条件(2)も満たすものであることが好ましい。前記条件(2)については、1.2eV>ΔIp2>0.2eV、及び/又は1.2eV>ΔEa2>0.2eVの関係を満たすホスト化合物であることがより好ましい、特に1.2eV>ΔIp2>0.4eV、及び/又は1.2eV>ΔEa2>0.4eVであることが好ましい。
このとき前記Ip(H)minとして用いられるホスト化合物としては、正孔輸送性ホストが挙げられ、Ea(H)maxとして用いられるホスト化合物としては、電子輸送性ホストが挙げられる。
前記少なくとも2種のホスト化合物としては、正孔輸送性に優れる正孔輸送性ホスト化合物(正孔輸送性ホスト)及び電子輸送性に優れる電子輸送性ホスト化合物(電子輸送性ホスト)を用いることができる。
本発明に用いられる発光層内の正孔輸送性ホストとしては、公知の正孔輸送性材料で前記条件(1)を満たすものであればよい。また、前記条件(2)も満たすものであることが好ましい。中でも、耐久性、色純度の観点から、イオン化ポテンシャルが、4.6〜7.5eVの範囲であることが好ましく、5.1〜7.1eVであることが更に好ましく、5.4〜7.1eVが特に好ましい。
このような正孔輸送性ホストとしては、具体的には、例えば、以下の材料を挙げることができる。
ピロール、カルバゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、イミダゾール、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、有機シラン、カーボン膜、及び、それらの誘導体等が挙げられる。
中でも前記条件(2)を満たす正孔輸送層ホストとしては、カルバゾール誘導体、芳香族第三級アミン化合物、チオフェン誘導体が好ましく、特に分子内にカルバゾール骨格および/または芳香族第三級アミン骨格を複数個有するものが好ましい。
このような正孔輸送層ホストとしての具体的化合物としては、例えば下記のものが挙げられる。
本発明に用いられる発光層内の電子輸送性ホストとしては、公知の電子輸送性材料で前記条件(1)を満たすものであればよい。また、前記条件(2)も満たすものであることが好ましい。中でも、耐久性、色純度の観点から、電子親和力Eaが、1.2〜4.0eVの範囲であることが好ましく、1.2〜3.4eVがより好ましく、1.2〜3.0eVが更に好ましい、1.2〜2.8eVが特に好ましい。
具体的には、例えば、以下の材料を挙げることができる。ピリジン、ピリミジン、トリアジン、イミダゾール、トリアゾ−ル、オキサゾ−ル、オキサジアゾ−ル、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、フッ素置換芳香族化合物、ナフタレン、及びペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物及びイミド、ベンゼン及びナフタレン等の芳香環ジカルボン酸の無水物及びイミド、フタロシアニン、およびそれらの誘導体(他の環と縮合環を形成してもよい)、8−キノリノ−ル誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾ−ルやベンゾチアゾ−ルを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体等を挙げることができる。
T1(D1)の値としては、前記条件(1)が満たされる燐光発光材料であり、かつ、ホスト化合物との関係で決まるものであるが、色度の観点から、1.6eV<T1(D1)<3.1eVが好ましく、1.8eV<T1(D1)<3.0eVが更に好ましい。
T1(H)minの値としては、前記条件(1)が満たされるホスト化合物であれば、特に限定されるものではなく、前記燐光発光材料との関係で決まるものであるが、駆動耐久性の観点から、1.7eV<T1(H)min<3.3eVが好ましく、1.9eV<T1(H)min<3.1eVが更に好ましい。
本発明における少なくとも2種のホスト化合物間の含有比率として、2種のホスト化合物間(Ip(H)minのホスト化合物:Ea(H)maxのホスト化合物)では、5:95〜95:5が好ましく、10:90〜90:10がより好ましく、15:85〜85:15が特に好ましい。
該発光層のキャリア移動度は、後述の前記キャリア輸送層のキャリア移動度より小さいことが駆動耐久性の観点から好ましい。
該キャリア移動度は、TOF法(タイム・オブ・フライト法)により測定し、得られた値をキャリア移動度とした。TOF法については、堀江一之編集「光・電子機能有機材料ハンドブック」朝倉書店1995年刊287ページを参照にした。
正孔注入層、正孔輸送層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。
正孔注入層、正孔輸送層は、具体的には、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、有機シラン誘導体、カーボン、等を含有する層であることが好ましい。
正孔注入層、正孔輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
正孔輸送層におけるIp(HTL)は、前記Ipの測定方法により測定することができる。
該キャリア移動度は、前記発光層のキャリア移動度の測定方法と同様の方法により測定した値を採用する。
また、該正孔輸送層のキャリア移動度は、前記発光層のキャリア移動度より大きいことが駆動耐久性の観点から好ましい。
電子注入層、電子輸送層は、陰極から電子を注入する機能、電子を輸送する機能、陽極から注入され得た正孔を障壁する機能のいずれかを有している層である。
電子注入層、電子輸送層の材料としては、具体的には、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、イミダゾール、トリアゾ−ル、オキサゾ−ル、オキサジアゾ−ル、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、フッ素置換芳香族化合物、ナフタレン、及びペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物及びイミド、ベンゼン及びナフタレン等の芳香環ジカルボン酸の無水物及びイミド、フタロシアニン、およびそれらの誘導体(他の環と縮合環を形成してもよい)、8−キノリノ−ル誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾ−ルやベンゾチアゾ−ルを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体等を挙げることができる。
電子注入層、電子輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
前記発光層に隣接したキャリア輸送層が電子輸送層であるとき、該電子輸送層のEa(ETL)は前記発光層中に含有されるドーパントのEa(D)より大きいことが駆動耐久性の点で好ましい。
該Ea(ETL)は、前記Eaの測定方法と同様の方法により測定した値を用いる。
また、該電子輸送層のキャリア移動度は、前記発光層のキャリア移動度より大きいことが駆動耐久性の観点から好ましい。該キャリア移動度は、前記正孔輸送層の測定方法と同様に行った。
本発明における発光素子のキャリア移動度において、正孔輸送層、電子輸送層、及び発光層におけるキャリア移動度としては、(電子輸送層≧正孔輸送層)>発光層であることが、駆動耐久性の点で好ましい。
正孔ブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が、陰極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明においては、発光層と陰極側で隣接する有機化合物層として、正孔ブロック層を設けることができる。
正孔ブロック層は、特に限定されるものではないが、具体的には、BAlq等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、ピラザボール誘導体等を含有することができる。
また、正孔ブロック層の厚さは、駆動電圧を下げるため、一般的に50nm以下であることが好ましく、1〜50nmであることが好ましく、5〜40nmであることが更に好ましい。
陽極は、通常、有機化合物層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。前述のごとく、陽極は、通常透明陽極として設けられる。
陰極は、通常、有機化合物層に電子を注入する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、アルミニウムと0.01〜10質量%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属との合金若しくはこれらの混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。
また、陰極と前記有機化合物層との間に、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物、酸化物等による誘電体層を0.1〜5nmの厚みで挿入してもよい。この誘電体層は、1種の電子注入層と見ることもできる。誘電体層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成することができる。
また、陰極は、透明であってもよいし、不透明であってもよい。なお、透明な陰極は、陰極の材料を1〜10nmの厚さに薄く成膜し、更にITOやIZO等の透明な導電性材料を積層することにより形成することができる。
本発明においては基板をもちいることができる。用いられる基板としては、有機化合物層から発せられる光を散乱又は減衰させない基板であることが好ましい。その具体例としては、ジルコニア安定化イットリウム(YSZ)、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の有機材料が挙げられる。
例えば、基板としてガラスを用いる場合、その材質については、ガラスからの溶出イオンを少なくするため、無アルカリガラスを用いることが好ましい。また、ソーダライムガラスを用いる場合には、シリカなどのバリアコートを施したものを使用することが好ましい。有機材料の場合には、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
透湿防止層(ガスバリア層)の材料としては、窒化珪素、酸化珪素などの無機物が好適に用いられる。透湿防止層(ガスバリア層)は、例えば、高周波スパッタリング法などにより形成することができる。
熱可塑性基板を用いる場合には、更に必要に応じて、ハードコート層、アンダーコート層などを設けてもよい。
本発明において、有機EL素子全体は、保護層によって保護されていてもよい。
保護層に含まれる材料としては、水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであればよい。
その具体例としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO2、Al2O3、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe2O3、Y2O3、TiO2等の金属酸化物、SiNx、SiNxOy等の金属窒化物、MgF2、LiF、AlF3、CaF2等の金属フッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質等が挙げられる。
さらに、本発明の有機電界発光素子は、封止容器を用いて素子全体を封止してもよい。
また、封止容器と発光素子の間の空間に水分吸収剤又は不活性液体を封入してもよい。水分吸収剤としては、特に限定されることはないが、例えば、酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、酸化マグネシウム等を挙げることができる。不活性液体としては、特に限定されることはないが、例えば、パラフィン類、流動パラフィン類、パーフルオロアルカンやパーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等のフッ素系溶剤、塩素系溶剤、シリコーンオイル類が挙げられる。
該外部量子効率の数値は、20℃で素子を駆動したときの外部量子効率の最大値、もしくは、20℃で素子を駆動した時の100〜300cd/m2付近(好ましくは200c
d/m2)での外部量子効率の値を用いることができる。
また、発光素子の外部量子効率は、発光輝度、発光スペクトル、電流密度を測定し、その結果と比視感度曲線から算出することができる。すなわち、電流密度値を用い、入力した電子数を算出することができる。そして、発光スペクトルと比視感度曲線(スペクトル)を用いた積分計算により、発光輝度を発光したフォトン数に換算することができる。これらから外部量子効率(%)は、「(発光したフォトン数/素子に入力した電子数)×100」で計算することができる。
(実施例1)
なお、AC−1(理研計器社)にて測定した正孔ブロック材料Cのイオン化ポテンシャルは5.8であった。
また、陽極及び陰極より、それぞれアルミニウムのリード線を結線した。
以上のようにして、実施例1の有機EL素子を得た。
尚、蒸着時は、所望の膜厚が得られるよう、水晶発振式成膜コントローラ(ULVAC社製CRTM6000)を用いてモニターした。
これら測定結果から、外部量子効率、発光波長ピークの値を得た。
なお、実施例1により得られた素子の発光スペクトルの最大波長は584nmであり、ドーパントB由来であることが同定された。
更に、耐久性については、初期輝度200cd/m2で定電流駆動を行い、輝度が100cd/m2になるまでに要する時間を測定し、表1に示した。
実施例1において、発光層に含有されるホスト材料として、下記正孔輸送ホスト3と下記電子輸送性ホスト2の混合物(重量比75:25)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製し、実施例1と同様の測定を行った。
なお、実施例2により得られた素子の発光スペクトルの最大波長は、584nmであり、ドーパントB由来であることが同定された。
実施例1において発光層に含有されるドーパントを、ドーパントBのみとした以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製し、実施例1と同様の測定を行った。
また、発光層にドーパントBのみを含有する比較例1の素子は、発光ピークが2つあることから色純度が悪く、実施例1の素子のように発光層に少なくとも2種のドーパントを両方ドープすることによって、発光ピークが1つになって色純度が向上し、且つ、高い発光強度、駆動耐久性が得られることがわかった。
また、実施例1および2について、ホスト混合比を30:70〜75:25の範囲とした有機EL素子についても良好な結果が得られる。またドーパントAおよびBのドーパント濃度を各々1質量%〜10質量%にして作製した有機EL素子についても良好な結果が得られる。
実施例1において、発光層に含有されるホスト材料として、下記に示す、正孔輸送性ホスト3と電子輸送性ホスト3の混合物(重量比75:25)と、ドーパント材料の燐光性有機金属錯体として、前記トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(ドーパントA)と、下記に示すイリジウム錯体(ドーパントC)とを加熱し、3元同時蒸着法により発光層の成膜を行ったこと以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。燐光発光材料とホスト化合物のイオン化ポテンシャルおよび電子親和力の関係については表2に示した。
また、実施例3について、ホスト混合比を30:70〜75:25の範囲とした有機EL素子についても良好な結果が得られる。またドーパント濃度をドーパントAおよびBを各々1質量%〜10質量%にして作製した有機EL素子についても良好な結果が得られる。
2 第1燐光発光材料の電子親和力のエネルギーレベル:Ea(D1)
3 第1ホスト化合物のイオン化ポテンシャルのエネルギーレベル:Ip(H)min
4 第1燐光発光材料のイオン化ポテンシャルのエネルギーレベル:Ip(D1)
Claims (3)
- 陽極及び陰極間に少なくとも一層の発光層を含む有機化合物層を有する有機電界発光素子であって、前記発光層は、少なくとも2種のホスト化合物と、少なくとも2種の燐光発光材料とを含有し、かつ、該燐光発光材料のうちの少なくとも1つが、以下の条件、
(a)前記燐光発光材料のイオン化ポテンシャルをIp(D1),前記少なくとも2種のホスト化合物のイオン化ポテンシャルのうち、最小のものをIp(H)minとしたときに、ΔIp1=Ip(D1)−Ip(H)minで定義されるΔIp1が、ΔIp1<0eVの関係を満たす。
(b)前記燐光発光材料の電子親和力をEa(D1),前記少なくとも2種のホスト化合物の電子親和力のうち最大のものをEa(H)maxとしたときに、ΔEa1=Ea(H)max−Ea(D1)で定義されるΔEa1が、ΔEa1<0eVの関係を満たす。
の少なくともいずれか一方を満たし、前記燐光発光材料のうちの少なくとも1つのIp(D1)およびEa(D1)が4.6eV<Ip(D1)<7.5eV、かつ、1.2eV<Ea(D1)<4.0eVを満たし、前記2種の燐光発光材料が遷移金属原子又はランタノイド原子を含み、配位子としてハロゲン配位子、含窒素ヘテロ環配位子、ジケトン配位子、カルボン酸配位子、一酸化炭素配位子、イソニトリル配位子、及びシアノ配位子から選択される少なくとも1種を含む燐光発光材料であり、前記2種のホスト化合物が正孔輸送性ホスト及び電子輸送性ホストであり、前記正孔輸送性ホストがカルバゾール誘導体、及び芳香族第三級アミン化合物から選択される少なくとも1種であり、前記電子輸送性ホストが金属に配位する少なくとも1つの窒素原子または酸素原子または硫黄原子を有する配位子をもつ金属錯体、アゾール誘導体、及びアジン誘導体から選択される少なくとも1種であることを特徴とする有機電界発光素子。 - 前記燐光発光材料のうちの少なくとも1つが、以下の条件、
(c)該燐光発光材料のイオン化ポテンシャルをIp(D2),前記少なくとも2種のホスト化合物のイオン化ポテンシャルのうち、最小のものをIp(H)minとしたときに、ΔIp2=Ip(D2)−Ip(H)minで定義されるΔIp2が、ΔIp2>0eVの関係を満たし、かつ、
(d)前記燐光発光材料の電子親和力をEa(D2),前記少なくとも2種のホスト化合物の電子親和力のうち最大のものをEa(H)maxとしたときに、ΔEa2=Ea(H)max−Ea(D2)で定義されるΔEa2が、ΔEa2>0eVの関係を満たす。
ことを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。 - 前記少なくとも2種のホスト化合物の最低励起三重項のエネルギーのうち、最小のものをT1(H)minとしたとき、前記燐光発光材料(ドーパント)(D1)の最低三重項励起エネルギーT1(D1)との間に、T1(H)min>T1(D1)の関係を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の有機電界発光素子。
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