JP2006270053A - 有機電界発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】駆動耐久性および発光特性が良好な発光素子を提供する。
【解決手段】陽極及び陰極間に少なくとも一層の発光層を含む有機化合物層を有する有機電界発光素子であって、前記発光層は、少なくとも2種のホスト化合物と、少なくとも2種の燐光発光材料とを含有し、かつ、該燐光発光材料のうちの少なくとも1つが、以下の条件の少なくともいずれか一方を満たすことを特徴とする有機電界発光素子。
(a)前記燐光発光材料のイオン化ホ゜テンシャルをIp(D1),前記少なくとも2種のホスト化合物のイオン化ホ゜テンシャルのうち、最小のものをIp(H)minとしたときに、ΔIp1=Ip(D1)-Ip(H)minで定義されるΔIp1が、ΔIp1<0eVの関係を満たす。
(b)前記燐光発光材料の電子親和力をEa(D1),前記少なくとも2種のホスト化合物の電子親和力のうち最大のものをEa(H)maxとしたときに、ΔEa1=Ea(H)max-Ea(D1)で定義されるΔEa1が、ΔEa1<0eVの関係を満たす。
【選択図】なし

Description

本発明は、電気エネルギーを光に変換して発光できる有機電界発光素子(以下、「有機EL素子」、「発光素子」、または「EL素子」ともいう。)に関する。
今日、種々の表示素子に関する研究開発が活発であり、中でも有機電界発光(EL)素子は、低電圧で高輝度の発光を得ることができるため、有望な表示素子として注目されている。
発光層のホスト材料として2種以上の化合物を使用し、それぞれを電子輸送性ホストと正孔輸送性ホストとして用い、消費電力の低減や、駆動耐久性の向上を行うことが開示されている(例えば、特許文献1、2等参照)。しかしながら、特許文献1,2に記載の発光素子では、燐光発光材料がキャリアをトラップして、劣化することから駆動耐久性および発光率が低下するため、更なる向上が望まれる。
また、発光層に、(1)電子輸送性及び/又は正孔輸送性を有するホスト材料、(2)室温で燐光発光を示す化合物A、及び(3)室温で燐光発光又は蛍光発光を示し、かつ、その最大発光波長が上記化合物Aの最大発光波長より長波長である化合物B、を含有させることにより、該化合物Bを高効率で発光させることができる電界発光素子が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。すなわち、単独では高効率で発光しない燐光化合物であるか、又は、様々な発光色を示すが何れも燐光化合物ほどの高い発光効率を示さない蛍光化合物である、化合物Bに対し、構成要素(2)の室温で燐光発光を示す化合物Aを併用することにより、化合物Aが増感剤の役割を果たし、化合物Bの発光が強められることを見出している。しかしながら、特許文献3に記載の素子は、駆動耐久性の点で十分ではなく更なる向上が望まれる。
特開2002−313583号公報 特開2002−324673号公報 特開2003−77674号公報
本発明の目的は、駆動耐久性および発光特性が良好な有機電界発光素子の提供にある。
本発明者らは、検討の結果、発光層中に少なくとも2種のホスト材料と少なくとも2種の燐光発光材料を含有し、その電子親和力やイオン化ポテンシャル等のエネルギーレベルをある特定の範囲とすることにより、高い発光効率と駆動耐久性の向上を見いだした。
これにより、特に燐光発光材料のキャリアによる劣化を抑制することができ、駆動耐久性及び高い発光効率に優れる有機電界発光素子を得ることができたものである。
即ち、本発明は下記の手段により達成される。
<1> 陽極及び陰極間に少なくとも一層の発光層を含む有機化合物層を有する有機電界発光素子であって、前記発光層は、少なくとも2種のホスト化合物と、少なくとも2種の燐光発光材料とを含有し、かつ、該燐光発光材料のうちの少なくとも1つが、以下の条件、
(a)前記燐光発光材料のイオン化ポテンシャルをIp(D1),前記少なくとも2種のホスト化合物のイオン化ポテンシャルのうち、最小のものをIp(H)minとしたときに、ΔIp1=Ip(D1)−Ip(H)minで定義されるΔIp1が、ΔIp1<0eVの関係を満たす、
(b)前記燐光発光材料の電子親和力をEa(D1),前記少なくとも2種のホスト化合物の電子親和力のうち最大のものをEa(H)maxとしたときに、ΔEa1=Ea(H)max−Ea(D1)で定義されるΔEa1が、ΔEa1<0eVの関係を満たす、
の少なくともいずれか一方を満たすことを特徴とする有機電界発光素子。
<2> 前記燐光発光材料のうちの少なくとも1つが、以下の条件、
(c)該燐光発光材料のイオン化ポテンシャルをIp(D2),前記少なくとも2種のホスト化合物のイオン化ポテンシャルのうち、最小のものをIp(H)minとしたときに、ΔIp2=Ip(D2)−Ip(H)minで定義されるΔIp2が、ΔIp2>0eVの関係を満たし、かつ、
(d)前記燐光発光材料の電子親和力をEa(D2),前記少なくとも2種のホスト化合物の電子親和力のうち最大のものをEa(H)maxとしたときに、ΔEa2=Ea(H)max−Ea(D2)で定義されるΔEa2が、ΔEa2>0eVの関係を満たす、
ことを特徴とする上記<1>に記載の有機電界発光素子。
<3> 前記少なくとも2種のホスト化合物の最低励起三重項のエネルギーのうち、最小のものをT1(H)minとしたとき、前記燐光発光材料(ドーパント)(D1)の最低三重項励起エネルギーT1(D1)との間に、T1(H)min>T1(D1)の関係を満たすことを特徴とする上記<1>又は<2>に記載の有機電界発光素子。
本発明によれば、駆動耐久性および発光効率が良好な有機電界発光素子の提供することができる。
[有機電界発光素子]
本発明の有機電界発光素子は、陽極及び陰極間に少なくとも1層の発光層を含む有機化合物層を有する有機電界発光素子であって、前記発光層は、少なくとも2種のホスト化合物と、少なくとも2種の燐光発光材料とを含有し、かつ、該燐光発光材料のうちの少なくとも1つは、以下の条件、
(a)燐光発光材料のイオン化ポテンシャルをIp(D1),前記少なくとも2種のホスト化合物のイオン化ポテンシャルのうち、最小のものをIp(H)minとしたときに、ΔIp1=Ip(D1)−Ip(H)minで定義されるΔIp1が、ΔIp1<0eVの関係を満たす。
(b)燐光発光材料の電子親和力をEa(D1),前記少なくとも2種のホスト化合物の電子親和力のうち最大のものをEa(H)maxとしたときに、ΔEa1=Ea(H)max−Ea(D1)で定義されるΔEa1が、ΔEa1<0eVの関係を満たす。
のいずれか一方を満たすことを特徴とする。
本発明の有機電界発光素子は前記構成とする事により、優れた発光特性及び駆動耐久性を奏する。
更に、該燐光発光材料のうちの少なくとも1つが、以下の条件、
(c)該燐光発光材料のイオン化ポテンシャルをIp(D2),前記少なくとも2種のホスト化合物のイオン化ポテンシャルのうち、最小のものをIp(H)minとしたときに、ΔIp2=Ip(D2)−Ip(H)minで定義されるΔIp2が、ΔIp2>0eVの関係を満たし、かつ
(d)該燐光発光材料の電子親和力をEa(D2),前記少なくとも2種のホスト化合物の電子親和力のうち最大のものをEa(H)maxとしたときに、ΔEa2=Ea(H)max−Ea(D2)で定義されるΔEa2が、ΔEa2>0eVの関係を満たす。
ことが発光特性及び駆動耐久性の点から好ましい。
更に、本発明の有機電界発光素子は、前記ΔIp2が1.2eV>ΔIp2>0.2eV、及び前記ΔEa2が1.2eV>ΔEa2>0.2eVの少なくともいずれか1つの関係を満たすことが駆動耐久性の観点から更に好ましく、特に、前記ΔIp2が1.2eV>ΔIp2>0.4eV、及び前記ΔEa2が1.2eV>ΔEa2>0.4eVの少なくともいずれか1つの関係を満たすことが好ましい。
ここで、本発明における前記イオン化ポテンシャル(Ip)、前記電子親和力(Ea)、及び後述の三重項状態準位(T1)について説明する。
前記イオン化ポテンシャル(Ip)、前記電子親和力(Ea)、及び後述の三重項状態準位(T1)は、石英上に各材料を真空蒸着法により製膜した単層膜を測定して得られた値である。
該イオン化ポテンシャル(Ip)は、紫外線光電子分析装置AC−1(理研計器製)により室温・大気下で測定した値で規定する。AC−1の測定原理については、安達千波矢等著「有機薄膜仕事関数データ集」シーエムシー出版社2004年発行に記載されている。
また、前記電子親和力(Ea)は、単層膜の吸収スペクトルの長波端からバンドギャップを算出し、これと前記イオン化ポテンシャルの値から電子親和力(Ea)を算出した値で規定する。
該最低三重項励起エネルギー(三重項状態準位T1)は、室温での燐光発光スペクトルを測定し、その短波端から算出した値で規定する。該温度は窒素冷却温度においても行うことができる。
次に、本発明の有機電界発光素子における構成について説明する。
本発明の有機電界発光素子は、陽極及び陰極間に少なくとも1層の発光層を含む有機化合物層を有し、更に、該発光層に隣接してキャリア輸送層を有することが好ましい。キャリア輸送層が電子輸送層及び/又は正孔輸送層であることがより好ましい。
発光素子の性質上、前記陽極及び陰極のうち少なくとも一方の電極は、透明電極であることが好ましい。
本発明における有機化合物層の積層の形態としては、陽極側から、正孔輸送層、発光層、電子輸送層の順に積層されている態様が好ましい。更に、正孔輸送層と発光層との間に電子ブロック層等、又は、発光層と電子輸送層との間には、正孔ブロック層等を有していてもよい。また、正孔注入層を陽極と正孔輸送層との間に、同様に電子注入層を陰極と電子輸送層との間に設けても良い。
本発明の有機電界発光素子における有機化合物層の好適な態様は、陽極側から順に、少なくとも、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔ブロック層、電子輸送層、及び電子注入層、を有する態様である。
尚、発光層と電子輸送層との間に正孔ブロック層を有した場合には、発光層と隣接する有機化合物層は、陽極側が正孔輸送層になり、陰極側が正孔ブロック層となる。
尚、各層は複数の二次層に分かれていてもよい。
次に、本発明の発光素子を構成する要素について、詳細に説明する。
<有機化合物層>
本発明における有機化合物層について説明する。
本発明の有機電界発光素子は、少なくとも一層の発光層を含む有機化合物層を有しており、発光層以外の他の有機化合物層としては、前述したごとく、発光層に隣接したキャリア輸送層(正孔輸送層又は電子輸送層)、正孔ブロック層、正孔注入層、電子注入層等の各層が挙げられる。
該有機化合物層としては、駆動電圧を下げる観点から、厚さが50nm以下であることが好ましく、5〜50nmであることが更に好ましく、10〜40nmであることが特に好ましい。
発光層と陽極側で隣接する層としては、正孔注入層であっても良く、また、発光層と陰極側で隣接する層としては、電子注入層、電荷ブロック層であっても良い。これらの層の詳細については後述する。
(有機化合物層の形成)
本発明の有機電界発光素子において、有機化合物層を構成する各層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法等いずれによっても好適に形成することができる。
(発光層)
発光層は、電界印加時に、陽極、正孔注入層、又は正孔輸送層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層、又は電子輸送層から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。
本発明における発光層は、少なくとも2種の燐光発光材料と少なくとも2種のホスト化合物とを含む。
また、発光層は1層であっても2層以上であってもよく、それぞれの層が異なる発光色で発光してもよい。発光層が複数の場合であっても、発光層の各層に、少なくとも1種の燐光発光材料と少なくとも2種のホスト化合物とを含有することが好ましい。より好ましくは2種以上の燐光発光材料を含有することである。
発光層に含有される燐光発光材料は、一般に、遷移金属原子又はランタノイド原子を含む錯体が挙げられる。
遷移金属原子としては、特に限定されないが、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、及び白金が挙げられ、より好ましくは、レニウム、イリジウム、及び白金である。
ランタノイド原子としては、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテシウムが挙げられ、これらの中でも、ネオジム、ユーロピウム、及びガドリニウムが好ましい。
錯体の配位子としては、例えば、G.Wilkinson等著,Comprehensive Coordination Chemistry, Pergamon Press社1987年発行、H.Yersin著,「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」 Springer-Verlag社1987年発行、山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」裳華房社1982年発行等に記載の配位子などが挙げられる。
具体的な配位子としては、好ましくは、ハロゲン配位子(好ましくは塩素配位子)、含窒素ヘテロ環配位子(例えば、フェニルピリジン、ベンゾキノリン、キノリノール、ビピリジル、フェナントロリンなど)、ジケトン配位子(例えば、アセチルアセトンなど)、カルボン酸配位子(例えば、酢酸配位子など)、一酸化炭素配位子、イソニトリル配位子、シアノ配位子であり、より好ましくは、含窒素ヘテロ環配位子である。上記錯体は、化合物中に遷移金属原子を一つ有してもよいし、また、2つ以上有するいわゆる複核錯体であってもよい。異種の金属原子を同時に含有していてもよい。
本発明における発光層は、色純度を向上させる観点から、少なくとも2種の燐光発光材料をドーパントとして含有することが必要である。この少なくとも2種の燐光発光材料としては、少なくとも2種の金属錯体であることが好ましい。更には、少なくとも2種の金属錯体は、各々中心金属が異なる金属錯体であることが好ましい。また、素子製造上の観点からは、発光層に含有される燐光発光材料からなるドーパントは2種類のみであることが特に好ましい。
燐光発光材料は、発光層中に、それぞれ0.1〜20質量%含有されることが好ましく、0.5〜10質量%含有されることが駆動耐久性の観点からより好ましい。
なお、発光層に、少なくとも2種含有されるドーパントの含有比としては、特に限定されないが、発光スペクトルの由来となるドーパント/その他のドーパントの比は、色純度の観点から、100/1〜1/10が好ましく、20/1〜1/5がより好ましく、5/1〜1/2が更に好ましい。
本発明における発光層に含有する前記燐光発光材料のうちの少なくとも1つは、以下の条件、
(a)前記燐光発光材料のイオン化ポテンシャルをIp(D1),前記少なくとも2種のホスト化合物のイオン化ポテンシャルのうち、最小のものをIp(H)minとしたときに、ΔIp1=Ip(D1)−Ip(H)minで定義されるΔIp1が、ΔIp1<0eVの関係を満たす。
(b)前記燐光発光材料の電子親和力をEa(D1),前記少なくとも2種のホスト化合物の電子親和力のうち最大のものをEa(H)maxとしたときに、ΔEa1=Ea(H)max−Ea(D1)で定義されるΔEa1が、ΔEa1<0eVの関係を満たす。
のいずれか一方を満たすことが必要である。以下、本条件を条件(1)と呼ぶ。
更に、本発明における発光層に含有する前記燐光発光材料のうちの少なくとも1つが、以下の条件、
(c)前記燐光発光材料のイオン化ポテンシャルをIp(D2),前記少なくとも2種のホスト化合物のイオン化ポテンシャルのうち、最小のものをIp(H)minとしたときに、ΔIp2=Ip(D2)−Ip(H)minで定義されるΔIp2が、ΔIp2>0eVの関係を満たし、かつ
(d)前記燐光発光材料の電子親和力をEa(D2),前記少なくとも2種のホスト化合物の電子親和力のうち最大のものをEa(H)maxとしたときに、ΔEa2=Ea(H)max−Ea(D2)で定義されるΔEa2が、ΔEa2>0eVの関係を満たす。
ことが好ましい。以下、本条件を条件(2)と呼ぶ。
最も長波長に発光を有する燐光発光材料は、駆動耐久性の観点から、更に前記ホスト化合物との間で、1.2eV>ΔIp2>0.2eV、及び/又は1.2eV>ΔEa2>0.2eVの関係を満たすドーパントであることが好ましく、1.2eV>ΔIp2>0.4eV、及び/又は1.2eV>ΔEa2>0.4eVの関係を満たすことがより好ましく、0.8eV>ΔIp2>0.4eV、及び/又は0.8eV>ΔEa2>0.4eVの関係を満たすことが特に好ましい。
上記ドーパントD1のIpおよびEaについては、「4.6eV<Ip(D1)<7.5eVかつ1.2eV<Ea(D1)<4.0eV」が好ましく、より好ましいD1のIpおよびEaの範囲は、「4.6eV<Ip(D1)<5.7eVかつ1.2eV<Ea(D1)≦2.8eV」、もしくは「5.4eV≦Ip(D1)<7.1eVかつ2.4eV<Ea(D1)<4.0eV」のいずれか一方の組み合わせを満たすことである。
また上記ドーパントD2のIpおよびEaについては、「4.6eV<Ip(D2)<7.5eV、かつ1.2eV<Ea(D2)<4.0eV」が好ましく、より好ましい範囲としては、「5.4eV≦Ip(D2)<7.1eVかつ1.2eV<Ea(D2)≦2.8eV」である。
前記燐光発光材料は、上記条件(1)の関係を満たす燐光発光材料であれば、特に限定せずに用いることができる。その具体例としては、例えば下記化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
Figure 2006270053
Figure 2006270053
Figure 2006270053
上記の中でも、更に好ましい条件(2)の関係を満たす燐光発光材料としては、D−2、D−3、D−4、D−5、D−6、D−7、D−8、D−9、D−10、D−11、D−12、D−13、D−14、D−22が挙げられる。
−ホスト化合物−
発光層に用いられるホスト化合物は、少なくとも2種類のホスト化合物を用いることが必要であるが、前記条件(1)を満たすものであれば、特に限定されることなく用いることができる。また、前記条件(2)も満たすものであることが好ましい。前記条件(2)については、1.2eV>ΔIp2>0.2eV、及び/又は1.2eV>ΔEa2>0.2eVの関係を満たすホスト化合物であることがより好ましい、特に1.2eV>ΔIp2>0.4eV、及び/又は1.2eV>ΔEa2>0.4eVであることが好ましい。
このとき前記Ip(H)minとして用いられるホスト化合物としては、正孔輸送性ホストが挙げられ、Ea(H)maxとして用いられるホスト化合物としては、電子輸送性ホストが挙げられる。
前記少なくとも2種のホスト化合物としては、正孔輸送性に優れる正孔輸送性ホスト化合物(正孔輸送性ホスト)及び電子輸送性に優れる電子輸送性ホスト化合物(電子輸送性ホスト)を用いることができる。
=正孔輸送性ホスト=
本発明に用いられる発光層内の正孔輸送性ホストとしては、公知の正孔輸送性材料で前記条件(1)を満たすものであればよい。また、前記条件(2)も満たすものであることが好ましい。中でも、耐久性、色純度の観点から、イオン化ポテンシャルが、4.6〜7.5eVの範囲であることが好ましく、5.1〜7.1eVであることが更に好ましく、5.4〜7.1eVが特に好ましい。
このような正孔輸送性ホストとしては、具体的には、例えば、以下の材料を挙げることができる。
ピロール、カルバゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、イミダゾール、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、有機シラン、カーボン膜、及び、それらの誘導体等が挙げられる。
中でも前記条件(2)を満たす正孔輸送層ホストとしては、カルバゾール誘導体、芳香族第三級アミン化合物、チオフェン誘導体が好ましく、特に分子内にカルバゾール骨格および/または芳香族第三級アミン骨格を複数個有するものが好ましい。
このような正孔輸送層ホストとしての具体的化合物としては、例えば下記のものが挙げられる。
Figure 2006270053
Figure 2006270053
=電子輸送性ホスト=
本発明に用いられる発光層内の電子輸送性ホストとしては、公知の電子輸送性材料で前記条件(1)を満たすものであればよい。また、前記条件(2)も満たすものであることが好ましい。中でも、耐久性、色純度の観点から、電子親和力Eaが、1.2〜4.0eVの範囲であることが好ましく、1.2〜3.4eVがより好ましく、1.2〜3.0eVが更に好ましい、1.2〜2.8eVが特に好ましい。
具体的には、例えば、以下の材料を挙げることができる。ピリジン、ピリミジン、トリアジン、イミダゾール、トリアゾ−ル、オキサゾ−ル、オキサジアゾ−ル、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、フッ素置換芳香族化合物、ナフタレン、及びペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物及びイミド、ベンゼン及びナフタレン等の芳香環ジカルボン酸の無水物及びイミド、フタロシアニン、およびそれらの誘導体(他の環と縮合環を形成してもよい)、8−キノリノ−ル誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾ−ルやベンゾチアゾ−ルを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体等を挙げることができる。
電子輸送性ホストとして好ましくは、金属錯体、アゾール誘導体(ベンズイミダゾール誘導体、イミダゾピリジン誘導体等)、アジン誘導体(ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体)であり、中でも、本発明においては耐久性の点から金属錯体が好ましい。金属錯体は金属に配位する少なくとも1つの窒素原子または酸素原子または硫黄原子を有する配位子をもつ金属錯体であり、金属錯体中の金属イオンは特に限定されないが、好ましくはベリリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、亜鉛イオン、インジウムイオン、錫イオンであり、より好ましくはベリリウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、亜鉛イオンであり、更に好ましくはアルミニウムイオン、亜鉛イオンである。
前記金属錯体中に含まれる配位子としては種々の公知の配位子が有るが、例えば、「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」 Springer−Verlag社 H.Yersin著 1987年発行、「有機金属化学−基礎と応用−」 裳華房社 山本明夫著 1982年発行 等に記載の配位子が挙げられる。
前記配位子として、好ましくは含窒素ヘテロ環配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数3〜15であり、単座配位子であっても2座以上の配位子であっても良い。好ましくは2座配位子である。例えばピリジン配位子、ビピリジル配位子、キノリノール配位子、ヒドロキシフェニルアゾール配位子(ヒドロキシフェニルベンズイミダゾール、ヒドロキシフェニルベンズオキサゾール配位子、ヒドロキシフェニルイミダゾール配位子)などが挙げられる)、アルコキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ、2,4,6−トリメチルフェニルオキシ、4−ビフェニルオキシなどが挙げられる。)、
ヘテロアリールオキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、アルキルチオ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロアリールチオ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミダゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、シロキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数3〜25、特に好ましくは炭素数6〜20であり、例えば、トリフェニルシロキシ基、トリエトキシシロキシ基、トリイソプロピルシロキシ基などが挙げられる)であり、より好ましくは含窒素ヘテロ環配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ配位子、シロキシ配位子であり、更に好ましくは含窒素ヘテロ環配位子、アリールオキシ配位子、シロキシ配位子が挙げられる。
このような電子輸送性ホストとしては、具体的には、例えば、以下の材料を挙げることができる。
Figure 2006270053
Figure 2006270053
中でも(2)を満たす電子輸送層ホストとしては、E−1〜E−6が好ましく、特にE−3が好ましい。
本発明における発光層において、含有される燐光発光材料のうち前記条件(1)を満たすものの最低三重項励起エネルギーT1(D1)と前記少なくとも2種のホスト化合物の最低励起三重項エネルギーのうち最小のもの前記T1(H)minとが、T1(H)min>T1(D1)の関係を満たすことが色純度、発光効率の点で好ましい。
T1(D1)の値としては、前記条件(1)が満たされる燐光発光材料であり、かつ、ホスト化合物との関係で決まるものであるが、色度の観点から、1.6eV<T1(D1)<3.1eVが好ましく、1.8eV<T1(D1)<3.0eVが更に好ましい。
T1(H)minの値としては、前記条件(1)が満たされるホスト化合物であれば、特に限定されるものではなく、前記燐光発光材料との関係で決まるものであるが、駆動耐久性の観点から、1.7eV<T1(H)min<3.3eVが好ましく、1.9eV<T1(H)min<3.1eVが更に好ましい。
また、本発明の複数のホスト化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、駆動性の観点から、発光層を形成する全化合物質量に対して、それぞれ5質量%以上95質量%以下であることが好ましい。より好ましい範囲は10質量%以上90質量%以下、更に好ましい範囲は15質量%以上85質量%以下である。
本発明における少なくとも2種のホスト化合物間の含有比率として、2種のホスト化合物間(Ip(H)minのホスト化合物:Ea(H)maxのホスト化合物)では、5:95〜95:5が好ましく、10:90〜90:10がより好ましく、15:85〜85:15が特に好ましい。
また、発光層におけるキャリア移動度は、一般的に、10-7cm2/V/s以上10-1cm2/V/s以下であり、中でも、発光効率の点から10-5cm2/V/s以上10-1cm2/V/s以下が好ましく、10-4cm2/V/s以上10-1cm2/V/s以下が更に好ましく、10-3cm2/V/s以上10-1cm2/V/s以下が特に好ましい。
該発光層のキャリア移動度は、後述の前記キャリア輸送層のキャリア移動度より小さいことが駆動耐久性の観点から好ましい。
該キャリア移動度は、TOF法(タイム・オブ・フライト法)により測定し、得られた値をキャリア移動度とした。TOF法については、堀江一之編集「光・電子機能有機材料ハンドブック」朝倉書店1995年刊287ページを参照にした。
発光層の厚さは、特に限定されるものではないが、通常、1nm〜500nmが好ましく、中でも、発光効率の観点より、5nm〜200nmがより好ましく、10nm〜100nmが更に好ましい。
(正孔注入層、正孔輸送層)
正孔注入層、正孔輸送層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。
正孔注入層、正孔輸送層は、具体的には、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、有機シラン誘導体、カーボン、等を含有する層であることが好ましい。
正孔注入層、正孔輸送層の厚さは、特に限定されるものではないが、通常1nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは5nm〜1μmであり、更に好ましくは10nm〜500nmである。
正孔注入層、正孔輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
前記発光層に隣接したキャリア輸送層が正孔輸送層であるとき、該正孔輸送層のIp(HTL)は前記発光層中に含有されるドーパントのIp(D)より小さいことが駆動耐久性の点で好ましい。
正孔輸送層におけるIp(HTL)は、前記Ipの測定方法により測定することができる。
本発明の有機EL素子の正孔注入層あるいは正孔輸送層には、素子の駆動電圧の低下のために、電子受容性ドーパントを含有させることができる。正孔注入層、あるいは正孔輸送層に導入する電子受容性ドーパントとしては、電子受容性で有機化合物を酸化する性質を有すれば、無機化合物でも有機化合物でも使用でき、具体的には、無機化合物は塩化第二鉄や塩化アルミニウム、塩化ガリウム、塩化インジウム、五塩化アンチモンなどのルイス酸化合物を好適に用いることができる。
有機化合物の場合は、置換基としてニトロ基、ハロゲン、シアノ基、トリフルオロメチル基などを有する化合物、キノン系化合物、酸無水物系化合物、フレーレンなどを好適に用いることができる。
これらの電子受容性ドーパントは、単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。電子受容性ドーパントの使用量は、材料の種類によって異なるが、正孔輸送層又は正孔注入層材料に対して0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.05質量%〜20質量%であることが更に好ましく、0.1質量%〜10質量%であることが特に好ましい。
また、正孔輸送層におけるキャリア移動度は、一般的に、10-7cm2/V/s以上10-1cm2/V/s以下であり、中でも、発光効率の点から10-5cm2/V/s以上10-1cm2/V/s以下が好ましく、10-4cm2/V/s以上10-1cm2/V/s以下が更に好ましく、10-3cm2/V/s以上10-1cm2/V/s以下が特に好ましい。
該キャリア移動度は、前記発光層のキャリア移動度の測定方法と同様の方法により測定した値を採用する。
また、該正孔輸送層のキャリア移動度は、前記発光層のキャリア移動度より大きいことが駆動耐久性の観点から好ましい。
(電子注入層、電子輸送層)
電子注入層、電子輸送層は、陰極から電子を注入する機能、電子を輸送する機能、陽極から注入され得た正孔を障壁する機能のいずれかを有している層である。
電子注入層、電子輸送層の材料としては、具体的には、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、イミダゾール、トリアゾ−ル、オキサゾ−ル、オキサジアゾ−ル、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、フッ素置換芳香族化合物、ナフタレン、及びペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物及びイミド、ベンゼン及びナフタレン等の芳香環ジカルボン酸の無水物及びイミド、フタロシアニン、およびそれらの誘導体(他の環と縮合環を形成してもよい)、8−キノリノ−ル誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾ−ルやベンゾチアゾ−ルを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体等を挙げることができる。
電子注入層、電子輸送層の厚さは、特に限定されるものではないが、駆動電圧を下げるという観点から、通常1nm〜5μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは5nm〜1μmであり、更に好ましくは10nm〜500nmである。
電子注入層、電子輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
前記発光層に隣接したキャリア輸送層が電子輸送層であるとき、該電子輸送層のEa(ETL)は前記発光層中に含有されるドーパントのEa(D)より大きいことが駆動耐久性の点で好ましい。
該Ea(ETL)は、前記Eaの測定方法と同様の方法により測定した値を用いる。
本発明の有機EL素子の電子注入層あるいは電子輸送層には、素子の駆動電圧の低下のために、電子供与性ドーパントを含有させることができる。電子注入層、あるいは電子輸送層に導入される電子供与性ドーパントとしては、電子供与性で有機化合物を還元する性質を有していればよく、Liなどのアルカリ金属、Mgなどのアルカリ土類金属、希土類金属を含む遷移金属や還元性有機化合物などが好適に用いられる。金属としては、特に仕事関数が4.2eV以下の金属が好適に使用でき、具体的には、Li、Na、K、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、Cs、La、Sm、Gd、およびYbなどが挙げられる。また、還元性有機化合物としては、例えば、含窒素化合物、含硫黄化合物、含リン化合物などが挙げられる。
これらの電子供与性ドーパントは、単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。電子供与性ドーパントの使用量は、材料の種類によって異なるが、電子輸送層又は電子注入層材料に対して0.1質量%〜99質量%であることが好ましく、1.0質量%〜80質量%であることが更に好ましく、2.0質量%〜70質量%であることが特に好ましい。
また、電子輸送層におけるキャリア移動度は、一般的に、10-7cm2/V/s以上10-1cm2/V/s以下であり、中でも、発光効率の点から、10-5cm2/V/s以上10-1cm2/V/s以下が好ましく、10-4cm2/V/s以上10-1cm2/V/s以下が更に好ましく、10-3cm2/V/s以上10-1cm2/V/s以下が特に好ましい。
また、該電子輸送層のキャリア移動度は、前記発光層のキャリア移動度より大きいことが駆動耐久性の観点から好ましい。該キャリア移動度は、前記正孔輸送層の測定方法と同様に行った。
本発明における発光素子のキャリア移動度において、正孔輸送層、電子輸送層、及び発光層におけるキャリア移動度としては、(電子輸送層≧正孔輸送層)>発光層であることが、駆動耐久性の点で好ましい。
(正孔ブロック層)
正孔ブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が、陰極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明においては、発光層と陰極側で隣接する有機化合物層として、正孔ブロック層を設けることができる。
正孔ブロック層は、特に限定されるものではないが、具体的には、BAlq等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、ピラザボール誘導体等を含有することができる。
また、正孔ブロック層の厚さは、駆動電圧を下げるため、一般的に50nm以下であることが好ましく、1〜50nmであることが好ましく、5〜40nmであることが更に好ましい。
(陽極)
陽極は、通常、有機化合物層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。前述のごとく、陽極は、通常透明陽極として設けられる。
陽極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、導電性化合物、又はこれらの混合物が好適に挙げられ、仕事関数が4.0eV以上の材料が好ましい。陽極材料の具体例としては、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、及びこれらとITOとの積層物などが挙げられる。この中で好ましいのは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からはITOが好ましい。
陽極は、例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式などの中から、陽極を構成する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って、前記基板上に形成することができる。例えば、陽極の材料として、ITOを選択する場合には、陽極の形成は、直流又は高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等に従って行うことができる。
本発明の有機電界発光素子において、陽極の形成位置としては特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができる。陽極は、基板における一方の表面の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
なお、陽極を形成する際のパターニングとしては、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
陽極の厚みとしては、陽極を構成する材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常、10nm〜50μm程度であり、50nm〜20μmが好ましい。
陽極の抵抗値としては、103Ω/□以下が好ましく、102Ω/□以下がより好ましい。陽極が透明である場合は、無色透明であっても、有色透明であってもよい。透明陽極側から発光を取り出すためには、その透過率としては、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。
なお、透明陽極については、沢田豊監修「透明導電膜の新展開」シーエムシー刊(1999)に詳述があり、ここに記載される事項を本発明に適用することができる。耐熱性の低いプラスティック基材を用いる場合は、ITO又はIZOを使用し、150℃以下の低温で成膜した透明陽極が好ましい。
(陰極)
陰極は、通常、有機化合物層に電子を注入する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
陰極を構成する材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられ、仕事関数が4.5eV以下のものが好ましい。具体例としてはアルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(たとえばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。
これらの中でも、陰極を構成する材料としては、電子注入性の点で、アルカリ金属やアルカリ土類金属が好ましく、保存安定性に優れる点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。
アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、アルミニウムと0.01〜10質量%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属との合金若しくはこれらの混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。
なお、陰極の材料については、特開平2−15595号公報、特開平5−121172号公報に詳述されており、これらの公報に記載の材料は、本発明においても適用することができる。
陰極の形成方法については、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式などの中から、前記した陰極を構成する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って形成することができる。例えば、陰極の材料として、金属等を選択する場合には、その1種又は2種以上を同時又は順次にスパッタ法等に従って行うことができる。
陰極を形成するに際してのパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
本発明において、陰極形成位置は特に制限はなく、有機化合物層上の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
また、陰極と前記有機化合物層との間に、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物、酸化物等による誘電体層を0.1〜5nmの厚みで挿入してもよい。この誘電体層は、1種の電子注入層と見ることもできる。誘電体層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成することができる。
陰極の厚みは、陰極を構成する材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜5μm程度であり、50nm〜1μmが好ましい。
また、陰極は、透明であってもよいし、不透明であってもよい。なお、透明な陰極は、陰極の材料を1〜10nmの厚さに薄く成膜し、更にITOやIZO等の透明な導電性材料を積層することにより形成することができる。
(基板)
本発明においては基板をもちいることができる。用いられる基板としては、有機化合物層から発せられる光を散乱又は減衰させない基板であることが好ましい。その具体例としては、ジルコニア安定化イットリウム(YSZ)、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の有機材料が挙げられる。
例えば、基板としてガラスを用いる場合、その材質については、ガラスからの溶出イオンを少なくするため、無アルカリガラスを用いることが好ましい。また、ソーダライムガラスを用いる場合には、シリカなどのバリアコートを施したものを使用することが好ましい。有機材料の場合には、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
基板の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができる。一般的には、基板の形状としては、板状であることが好ましい。基板の構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、単一部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよい。
基板は、無色透明であっても、有色透明であってもよいが、発光層から発せられる光を散乱又は減衰等させることがない点で、無色透明であることが好ましい。
基板には、その表面又は裏面に透湿防止層(ガバリア層)を設けることができる。
透湿防止層(ガスバリア層)の材料としては、窒化珪素、酸化珪素などの無機物が好適に用いられる。透湿防止層(ガスバリア層)は、例えば、高周波スパッタリング法などにより形成することができる。
熱可塑性基板を用いる場合には、更に必要に応じて、ハードコート層、アンダーコート層などを設けてもよい。
(保護層)
本発明において、有機EL素子全体は、保護層によって保護されていてもよい。
保護層に含まれる材料としては、水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであればよい。
その具体例としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO2、Al23、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe23、Y23、TiO2等の金属酸化物、SiNx、SiNxy等の金属窒化物、MgF2、LiF、AlF3、CaF2等の金属フッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質等が挙げられる。
保護層の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、コーティング法、印刷法、転写法を適用できる。
(封止)
さらに、本発明の有機電界発光素子は、封止容器を用いて素子全体を封止してもよい。
また、封止容器と発光素子の間の空間に水分吸収剤又は不活性液体を封入してもよい。水分吸収剤としては、特に限定されることはないが、例えば、酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、酸化マグネシウム等を挙げることができる。不活性液体としては、特に限定されることはないが、例えば、パラフィン類、流動パラフィン類、パーフルオロアルカンやパーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等のフッ素系溶剤、塩素系溶剤、シリコーンオイル類が挙げられる。
本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜15ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
有機電界発光素子の重要な特性値として、外部量子効率がある。外部量子効率は、「外部量子効率φ=素子から放出されたフォトン数/素子に注入された電子数」で算出され、この値が大きいほど消費電力の点で有利な素子と言える。
前記外部量子効率としては、消費電力を下げられる点、駆動耐久性を上げられる点で、6%以上が好ましく、12%以上が特に好ましい。
該外部量子効率の数値は、20℃で素子を駆動したときの外部量子効率の最大値、もしくは、20℃で素子を駆動した時の100〜300cd/m2付近(好ましくは200c
d/m2)での外部量子効率の値を用いることができる。
また、発光素子の外部量子効率は、発光輝度、発光スペクトル、電流密度を測定し、その結果と比視感度曲線から算出することができる。すなわち、電流密度値を用い、入力した電子数を算出することができる。そして、発光スペクトルと比視感度曲線(スペクトル)を用いた積分計算により、発光輝度を発光したフォトン数に換算することができる。これらから外部量子効率(%)は、「(発光したフォトン数/素子に入力した電子数)×100」で計算することができる。
本発明においては、東陽テクニカ製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流定電圧をEL素子に印加し発光させ、その輝度をトプコン社製分光放射輝度計SR−3を用いて測定し、200cd/m2における外部量子効率を算出した値を用いる。
本発明の有機電界発光素子の駆動方法については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号の各公報、特許第2784615号、米国特許5828429号、同6023308号の各明細書、等に記載の駆動方法を適用することができる。
本発明の有機EL素子は、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、光通信等に好適に利用できる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
(実施例1)
ガラス基板上に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を150nm堆積したもの(ジオマテック社製)に対し、フォトリソグラフィーと塩酸エッチングを用いてパターニングし、陽極を形成した。パターン形成したITO基板を、アセトンによる超音波洗浄、純水による水洗、イソプロピルアルコールによる超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行って、真空蒸着装置内に設置した。その後、蒸着装置内の真空度が2.7×10-4Pa以下になるまで排気した。
続いて、上記蒸着装置内にて下記に示す銅フタロシアニン(CuPc)を加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で蒸着を行い、膜厚10nmの正孔注入層を形成した。
Figure 2006270053
次いで、上記により形成された正孔注入層の上に、下記に示す、4,4'−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)をヒーターで加熱して、蒸着速度0.2nm/秒で蒸着を行い、膜厚60nmの正孔輸送層を形成した。
Figure 2006270053
引続き、上記により形成された正孔輸送層の上に、発光層に含有されるホスト材料として、下記に示す、4,4'−N,N'−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP)と電子輸送性ホスト1の混合物(重量比75:25)と、ドーパント材料の燐光性有機金属錯体として、下記に示す、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(ドーパントA)と、下記に示す白金錯体(ドーパントB)とを加熱し、3元同時蒸着法により発光層の成膜を行った。CBPの蒸着速度は0.2nm/秒に制御し、ドーパントAが5質量%、ドーパントBが5質量%含有された膜厚30nmの発光層を正孔輸送層の上に積層した。
Figure 2006270053
Figure 2006270053
Figure 2006270053
更に、下記に示す化合物(正孔ブロック材料C)を、蒸着速度0.1nm/秒で蒸着を行い、膜厚10nmの正孔ブロック層を発光層の上に積層した。
なお、AC−1(理研計器社)にて測定した正孔ブロック材料Cのイオン化ポテンシャルは5.8であった。
Figure 2006270053
更に続いて、正孔ブロック層の上に、下記に示すトリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq)を蒸着速度0.2nm/秒で蒸着し、35nmの膜厚の電子輸送層を形成した。
Figure 2006270053
その後、フッ化リチウム(LiF)を蒸着速度0.1nm/秒、1.5nmの膜厚で電子輸送層の上に成膜して電子注入層を形成し、更に、アルミニウムを蒸着速度0.5nm/秒、膜厚100nmの陰極を形成した。
また、陽極及び陰極より、それぞれアルミニウムのリード線を結線した。
以上のようにして、実施例1の有機EL素子を得た。
尚、蒸着時は、所望の膜厚が得られるよう、水晶発振式成膜コントローラ(ULVAC社製CRTM6000)を用いてモニターした。
以上より得られた有機EL素子に対し、ケースレー社製ソースメジャーユニット2400型を用いて直流電圧を印加し、トプコン社製SR−3を用いて分光放射輝度を測定した。
これら測定結果から、外部量子効率、発光波長ピークの値を得た。
なお、実施例1により得られた素子の発光スペクトルの最大波長は584nmであり、ドーパントB由来であることが同定された。
更に、耐久性については、初期輝度200cd/m2で定電流駆動を行い、輝度が100cd/m2になるまでに要する時間を測定し、表1に示した。
(実施例2)
実施例1において、発光層に含有されるホスト材料として、下記正孔輸送ホスト3と下記電子輸送性ホスト2の混合物(重量比75:25)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製し、実施例1と同様の測定を行った。
なお、実施例2により得られた素子の発光スペクトルの最大波長は、584nmであり、ドーパントB由来であることが同定された。
Figure 2006270053
(比較例1)
実施例1において発光層に含有されるドーパントを、ドーパントBのみとした以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製し、実施例1と同様の測定を行った。
実施例1〜2、比較例1の測定結果を下記表1に示す。
Figure 2006270053
表1に示されるように、実施例1〜2の素子は、外部量子効率が高く、耐久性に優れた素子であることが分かった。
また、発光層にドーパントBのみを含有する比較例1の素子は、発光ピークが2つあることから色純度が悪く、実施例1の素子のように発光層に少なくとも2種のドーパントを両方ドープすることによって、発光ピークが1つになって色純度が向上し、且つ、高い発光強度、駆動耐久性が得られることがわかった。
また、実施例1および2について、ホスト混合比を30:70〜75:25の範囲とした有機EL素子についても良好な結果が得られる。またドーパントAおよびBのドーパント濃度を各々1質量%〜10質量%にして作製した有機EL素子についても良好な結果が得られる。
(実施例3)
実施例1において、発光層に含有されるホスト材料として、下記に示す、正孔輸送性ホスト3と電子輸送性ホスト3の混合物(重量比75:25)と、ドーパント材料の燐光性有機金属錯体として、前記トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(ドーパントA)と、下記に示すイリジウム錯体(ドーパントC)とを加熱し、3元同時蒸着法により発光層の成膜を行ったこと以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。燐光発光材料とホスト化合物のイオン化ポテンシャルおよび電子親和力の関係については表2に示した。
Figure 2006270053
Figure 2006270053
実施例3の素子についても、実施例1と同様に測定し評価した。発光効率について優れた性能が得られることが分かった。
また、実施例3について、ホスト混合比を30:70〜75:25の範囲とした有機EL素子についても良好な結果が得られる。またドーパント濃度をドーパントAおよびBを各々1質量%〜10質量%にして作製した有機EL素子についても良好な結果が得られる。
本発明の有機電界発光素子のエネルギー状態図である。 実施例1〜3における有機電界発光素子のエネルギー状態図である。
符号の説明
1 第2ホスト化合物の電子親和力のエネルギーレベル:Ea(H)max
2 第1燐光発光材料の電子親和力のエネルギーレベル:Ea(D1)
3 第1ホスト化合物のイオン化ポテンシャルのエネルギーレベル:Ip(H)min
4 第1燐光発光材料のイオン化ポテンシャルのエネルギーレベル:Ip(D1)

Claims (3)

  1. 陽極及び陰極間に少なくとも一層の発光層を含む有機化合物層を有する有機電界発光素子であって、前記発光層は、少なくとも2種のホスト化合物と、少なくとも2種の燐光発光材料とを含有し、
    かつ、該燐光発光材料のうちの少なくとも1つが、以下の条件、
    (a)前記燐光発光材料のイオン化ポテンシャルをIp(D1),前記少なくとも2種のホスト化合物のイオン化ポテンシャルのうち、最小のものをIp(H)minとしたときに、ΔIp1=Ip(D1)−Ip(H)minで定義されるΔIp1が、ΔIp1<0eVの関係を満たす。
    (b)前記燐光発光材料の電子親和力をEa(D1),前記少なくとも2種のホスト化合物の電子親和力のうち最大のものをEa(H)maxとしたときに、ΔEa1=Ea(H)max−Ea(D1)で定義されるΔEa1が、ΔEa1<0eVの関係を満たす。
    の少なくともいずれか一方を満たすことを特徴とする有機電界発光素子。
  2. 前記燐光発光材料のうちの少なくとも1つが、以下の条件、
    (c)該燐光発光材料のイオン化ポテンシャルをIp(D2),前記少なくとも2種のホスト化合物のイオン化ポテンシャルのうち、最小のものをIp(H)minとしたときに、ΔIp2=Ip(D2)−Ip(H)minで定義されるΔIp2が、ΔIp2>0eVの関係を満たし、かつ、
    (d)前記燐光発光材料の電子親和力をEa(D2),前記少なくとも2種のホスト化合物の電子親和力のうち最大のものをEa(H)maxとしたときに、ΔEa2=Ea(H)max−Ea(D2)で定義されるΔEa2が、ΔEa2>0eVの関係を満たす。
    ことを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
  3. 前記少なくとも2種のホスト化合物の最低励起三重項のエネルギーのうち、最小のものをT1(H)minとしたとき、前記燐光発光材料(ドーパント)(D1)の最低三重項励起エネルギーT1(D1)との間に、T1(H)min>T1(D1)の関係を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の有機電界発光素子。
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