明 細 書
作業車両
技術分野
[0001] 本願発明は、コンバイン等の農作業機のような作業車両に係り、より詳しくは、当該 作業車両の車速制御を実行するための構成に関するものである。
背景技術
[0002] 従来から、作業車両としてのコンバインにおいては、走行機体に搭載されたェンジ ンからの動力を油圧式駆動手段にて適宜変速し、この変速出力を刈取部や脱穀部 等の作業部と走行部とに別々に伝達するように構成されている。そして、コンバインの 作業状態や作物条件等によってエンジンの負荷が変動しても、エンジンの回転数を 略一定に保つ定回転制御(ァイソクロナス制御)を実行することは知られて 、る(例え ば特許文献 1参照)。力かる定回転制御はエンジンの負荷が所定値を超えない範囲 で行われるものである。
[0003] また、特許文献 1には、エンジンの過負荷時にエンジンストップするのを回避するた めに、エンジンの負荷が所定値以上になると走行機体の車速を所定比率又は所定 量だけ減速するように制御することも開示されている。
特許文献 1 :特開平 10— 339181号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0004] しかし、前記特許文献 1の構成では、エンジンの過負荷時に走行機体の車速を所 定比率又は所定量し力減速しな 、ので、例えば普通型コンバイン (全量投入式のコ ンバイン)のように、脱穀部の負荷ひ!、てはエンジンの負荷の変動が極めて大き!/、と きには、走行機体の車速が十分減速せずにエンジンの負荷が高いままとなり、その 結果、エンジンストップを引き起こすというおそれがあった。
[0005] そこで、本願発明は上述の問題を解消した作業車両を提供することを技術的課題 とするちのである。
課題を解決するための手段
[0006] この技術的課題を解決するため、請求項 1の発明は、走行機体に搭載されたェン ジン力 の動力を、油圧式駆動手段を介して作業部と走行部とに伝達するように構 成されており、前記エンジンへの燃料供給手段に関連させて前記エンジンの負荷を 検出する負荷検出手段と、前記エンジンの過負荷時に前記走行機体の車速を減速 するように制御する車速制御手段とを備えて!/、る作業車両であって、前記車速制御 手段は、前記走行機体の車速を減速する制御を実行するときは、前記走行機体が実 質上停止する状態まで減速するように制御すると!/、うものである。
[0007] 請求項 2の発明は、請求項 1に記載した作業車両において、前記車速制御手段は 、前記走行機体の車速を減速する制御を実行するときは、前記走行機体の減速前の 車速に比例して減速量が大きくなるように制御すると 、うものである。
[0008] 請求項 3の発明は、請求項 1又は 2に記載した作業車両において、前記車速制御 手段は、前記エンジンの過負荷が解消していなければ、解消するまで前記走行機体 の車速を減速する制御を繰り返すと ヽぅものである。
[0009] 請求項 4の発明は、請求項 1〜3のうちいずれかに記載した作業車両において、前 記油圧式駆動手段の変速出力を増減速操作するための変速操作手段を備えており 、前記油圧式駆動手段の変速出力を調節するための調節部には、変速ァクチユエ ータが、前記変速操作手段力 前記調節部に向かう操作系統とは別系統の連係機 構を介して関連付けられており、前記エンジンの過負荷時は、前記油圧式駆動手段 の前記調節部を減速方向に作動させるベぐ前記車速制御手段からの指令にて前 記変速ァクチユエータを駆動させるように構成されて 、ると 、うものである。
[0010] 請求項 5の発明は、請求項 4に記載した作業車両において、前記油圧式駆動手段 の前記調節部が減速方向に作動するように、前記車速制御手段からの指令にて前 記変速ァクチユエータを駆動させたときは、前記変速操作手段は連動せず、その時 点での操作位置に保持されるように構成されて 、ると 、うものである。
[0011] 請求項 6の発明は、請求項 5に記載した作業車両において、前記エンジンの過負 荷が解消したときは、前記油圧式駆動手段の前記調節部を前記変速操作手段の前 記操作位置に対応した元の状態に戻すベぐ前記車速制御手段からの指令にて前 記変速ァクチユエータを駆動させるように構成されて 、ると 、うものである。
発明の効果
[0012] 請求項 1の発明によると、エンジンの過負荷時に走行機体の車速を減速するように 制御する車速制御手段は、前記走行機体の車速を減速する制御を実行するときに、 前記走行機体が実質上停止する状態まで減速するように制御するから、前記ェンジ ンの過負荷時に、油圧式駆動手段ひいては前記エンジンからの動力を、前記走行 機体の走行駆動には使わずに、ほとんど作業部の駆動のために使えることになる。こ のため、例えば普通型コンバインのように負荷変動の激しい作業車両であっても、前 記作業部の急停止やエンジンストップを確実に抑制でき、前記走行機体の車速を減 速する制御の実効性 (安定性)が向上するという効果を奏する。
[0013] 請求項 2の発明によると、前記車速制御手段は、前記走行機体の車速を減速する 制御を実行するときは、前記走行機体の減速前の車速に比例して減速量が大きくな るように制御するので、前記走行機体の減速前の車速が高速であれば、減速量を大 きくすることによって前記エンジンの負荷を速やかに低くできる。また、前記車速が低 速であれば、減速量をできるだけ小さく抑えて、前記作業部の駆動維持ひいては作 業能率の維持を図れる。従って、そのときの車速に見合った適切な減速制御を実行 でき、作業車両を用いての作業の効率ィ匕に寄与できると 、う効果を奏する。
[0014] 請求項 3の発明によると、前記車速制御手段は、前記エンジンの過負荷が解消して Vヽなければ、解消するまで前記走行機体の車速を減速する制御を繰り返すと!ヽぅも のであるから、減速動作の繰り返しにて前記エンジンの負荷を確実に低減できる。こ のため、負荷変動の激しい作業車両であっても、前記作業部の急停止やエンジンス トップの抑制に効果を発揮でき、前記走行機体の車速を減速する制御の実効性 (安 定性)をより一層向上できるという効果を奏する。
[0015] ところで、特開 2000— 69838号公報にも、定回転制御を実行するコンバインにお いて、エンジンの過負荷時にエンジンストップするのを回避するための構成が開示さ れている。
[0016] この場合、走行機体の操縦部に配置された主変速レバー及び操向ハンドルが機械 的連動機構を介して油圧式駆動手段に連動連結されており、この機械的連動機構 中に電動モータが介設されている。そして、エンジンの負荷が所定値以上であれば、
主変速レバーの操作位置に拘らず、電動モータの駆動にて油圧式駆動手段を減速 方向に作動させ、その結果、走行機体の車速が減速するように構成されている。
[0017] しかし、前記特開 2000— 69838号公報の構成では、主変速レバー及び操向ハン ドルと油圧式駆動手段とを連動連結する機械的連動機構中に電動モータが介設さ れているため、電動モータの駆動力を機械的連動機構に関連させつつ油圧式駆動 手段に伝達するための構造は、いきおい複雑にならざるを得ず、部品点数が増大し て製造コストが嵩むという問題がある。
[0018] この点、請求項 4の発明によると、前記油圧式駆動手段の変速出力を調節するため の調節部に、変速ァクチユエータが、変速操作手段力も前記調節部に向力 操作系 統とは別系統の連係機構を介して関連付けられており、前記エンジンの過負荷時は 、前記油圧式駆動手段の前記調節部を減速方向に作動させるベぐ前速制御手段 力 の指令にて前記変速ァクチユエータを駆動させるように構成されて 、るので、自 動車速制御を実行するものでありながら、前記従来のように、変速操作手段から油圧 式駆動手段の調節部に向力う操作系統と変速ァクチユエ一タとを連動連結しなくて 済む。
[0019] このため、前記変速ァクチユエータゃ前記連係機構のレイアウト等の制約が格段に 少なくなり、自動車速制御のための連動構造を設計する上での自由度が向上する。 その結果、前記連動構造の簡素化や部品点数の削減が可能になり、製造コストの抑 制に寄与できると 、う効果を奏する。
[0020] 請求項 5及び 6の発明は、請求項 4の発明に係るコンバインの構成をより具体化し たものであり、いずれの発明においても、請求項 4の作用効果を確実に奏する。
[0021] 特に請求項 5の発明によると、前記油圧式駆動手段の前記調節部が減速方向に作 動するように、前記車速制御手段力 の指令にて前記変速ァクチユエータを駆動さ せたときは、前記変速操作手段は連動せず、その時点での操作位置に保持されるよ うに構成されているから、前記変速ァクチユエータの駆動力が前記操作系統を介して 前記変速操作手段に伝播することはない。従って、自動車速制御の実行中に走行 機体が強制減速するたびに、目の前で前記変速操作手段が勝手に動くというような 煩わしさがな 、と 、う効果を奏する。
[0022] また、請求項 6の発明によると、前記エンジンの過負荷が解消したときは、前記油圧 式駆動手段の前記調節部を前記変速操作手段の前記操作位置に対応した元の状 態に戻すベぐ前記車速制御手段からの指令にて前記変速ァクチユエータを駆動さ せるように構成されているから、オペレータは、自動車速制御にて前記走行機体の車 速が強制減速した後、車速を元に戻すために、前記変速操作手段の操作を一々や り直す必要がない。このため、前記変速操作手段の操作頻度が少なくて済み、オペ レータの操作負担を軽減できるという効果を奏する。
[0023] し力も、復帰車速は前記変速操作手段の操作位置に対応した速度以上になること 力 いから、車速が異常に大きくなるおそれを確実に回避でき、安全性を十分に確 保できるという効果も奏する。
図面の簡単な説明
[0024] [図 1]コンバインの平面図である。
[図 2]コンバインの走行駆動系統を示すスケルトン図である。
[図 3]操縦部の平面図である。
[図 4]サイドコラムの斜視図である。
[図 5]主変速レバー及び操向ハンドルと油圧式駆動手段との連結関係を模式的に示 す説明図である。
[図 6]デテント手段と連係機構と電動モータとの関係を示す正面図である。
[図 7]図 6の VII— VII視側断面図である。
[図 8] (a)は直進用デテント杆を前進増速方向に回動させた状態を示す図、 (b)は電 動モータの駆動にてセクタギヤ及び中継アームを最大強制減速位置に回動させた 状態を示す図、(c)は電動モータの駆動にてセクタギヤ及び中継アームを初期位置 に復帰回動させた状態を示す図である。
[図 9]コントローラの機能ブロック図である。
[図 10]走行機体の車速と減速量との関係を示す制御マップの図である。
[図 11]自動車速制御の第 1実施形態を示すフローチャートである。
[図 12]自動車速制御の第 1実施形態を示すタイムチャートである。
[図 13]自動車速制御の第 2実施形態を示すフローチャートである。
[図 14]自動車速制御の第 2実施形態を示すタイムチャートである。
[図 15]第 3実施形態におけるサイドコラムの斜視図である。
[図 16]第 3実施形態におけるコントローラの機能ブロック図である。
[図 17]自動車速制御の第 3実施形態を示すフローチャートである。
[図 18]自動車速制御の第 3実施形態を示すタイムチャートである。
[図 19]自動車速制御の第 4実施形態を示すフローチャートである。 符号の説明
1 走行機体
2 走行クローラ
5 操縦部
6 エンジン
31 油圧式駆動手段
35 直進用 HST式変速機構
38 旋回用 HST式変速機構
70 操縦座席
73 操向ハンドル
76 サイドパネル体
77 主変速レバー
82 自動車速スィッチ
83 負荷率設定ダイヤル
100 機械的切換手段
101 二重軸
104 直進用リンク機構
105 直進用回動軸
106 旋回用リンク機構
107 旋回用回動軸
115 直進用操作アーム
116 直進用連動杆
132 直進用デテント手段
133 旋回用デテント手段
170 変速ァクチユエータとしての電動モータ
171 連係機構
190 車速制御手段としてのコントローラ
194 刈取クラッチセンサ
197 車速センサ
198 燃料供給手段としての燃料噴射ポンプ
200 負荷検出手段としてのラック位置センサ
発明を実施するための最良の形態
[0026] 以下に、本願発明を具体化した実施形態を、作業車両としての普通型コンノインに 適用した場合の図面(図 1〜図 19)に基づいて説明する。図 1はコンバインの側面図 、図 2はコンバインの走行駆動系統を示すスケルトン図、図 3は操縦部の平面図、図 4 はサイドコラムの斜視図、図 5は主変速レバー及び操向ハンドルと油圧式駆動手段と の連結関係を模式的に示す説明図、図 6はデテント手段と連係機構と電動モータと の関係を示す正面図、図 7は図 6の VII— VII視側断面図、図 8のうち(a)は直進用デ テント杆を前進増速方向に回動させた状態を示す図、 (b)は電動モータの駆動にて セクタギヤ及び中継アームを最大強制減速位置に回動させた状態を示す図、(c)は 電動モータの駆動にてセクタギヤ及び中継アームを初期位置に復帰回動させた状 態を示す図、図 9はコントローラの機能ブロック図、図 10は走行機体の車速と減速量 との関係を示す制御マップの図、図 11は自動車速制御の第 1実施形態を示すフロ 一チャート、図 12は自動車速制御の第 1実施形態を示すタイムチャート、図 13は自 動車速制御の第 2実施形態を示すフローチャート、図 14は自動車速制御の第 2実施 形態を示すタイムチャート、図 15は第 3実施形態におけるサイドコラムの斜視図、図 1 6は第 3実施形態におけるコントローラの機能ブロック図、図 17は自動車速制御の第 3実施形態を示すフローチャート、図 18は自動車速制御の第 3実施形態を示すタイ ムチャート、図 19は自動車速制御の第 4実施形態を示すフローチャートである。
[0027] (1) .コンバインの概略構造
まず、図 1を参照しながら、コンノ インの概略構造について説明する。
[0028] 実施形態における普通型コンバインは、走行部としての左右一対の走行クローラ 2 にて支持された走行機体 1を備えている。走行機体 1の前部には、稲、麦、大豆等の 植立穀稈を刈り取りながら取り込む刈取部 3が単動式の油圧シリンダ 4にて昇降調節 可能に装着されている。
[0029] 走行機体 1の前部一側(実施形態では前部右側)には、キャビンタイプの操縦部 5 が搭載されている。操縦部 5の後方には、動力源としてのディーゼル式エンジン 6 (図 2参照)と、脱穀後の穀粒を貯留するための穀粒タンク 7が配置されている。
[0030] 走行機体 1の他側(実施形態では左側)には、刈取部 3から送られてきた刈取穀稈 を脱穀処理するための脱穀部 8が搭載されている。脱穀部 8の下方には、揺動選別 及び風選別を行うための選別部 9が配置されている。
[0031] 走行部としての左右の走行クローラ 2は、走行機体 1の下方にある前後長手のトラッ クフレーム 10の前後端にそれぞれ配置された駆動輪 11及び従動輪 12と、トラックフ レーム 10の長手中途部に複数個配置された転動輪 13と、これら車輪 11〜13の外 周に巻き掛けられた履帯 14とを備えている。左右の駆動輪 11が後述するミッションケ ース 30から左右外向きに突出した駆動出力軸 60 (図 2参照)からの動力にて回転駆 動することにより、左右の履帯 14が各車輪 11〜13の周りを回行駆動するように構成 されている。
[0032] 刈取部 3は、脱穀部 8の前部開口に連通した角筒状のフィーダノ、ウス 15と、フィー ダハウス 15の前端に連設された横長パケット状のプラットホーム 16とを備えている。 フィーダハウス 15の下面部と走行機体 1の前端部とが単動式の油圧シリンダ 4を介し て連結されている。
[0033] プラットホーム 16内には横送りオーガ 17が回転可能に軸支されている。横送りォー ガ 17の前部上方にはタインバー付きの搔き込みリール 18が配置されている。プラット ホーム 16の下面側には横長バリカン状の刈刃 19が配置されている。プラットホーム 1 6の前部には左右一対の分草体 20が突設されている。
[0034] 搔き込みリール 18にて後方に引き倒された植立穀稈は、刈刃 19にて刈り取られた のち、横送りオーガ 17の回転駆動にてプラットホーム 16の左右中央部付近に集めら
れる。集められた刈取穀稈は、フィーダハウス 15内のチェーンコンペャ 21を介して脱 穀部 8に送り込まれる。
[0035] 脱穀部 8の扱室には、刈取穀稈を脱穀処理するための前後長手の扱胴 22が内蔵 されている。なお、詳細は図示していないが、扱胴 22の外周面には、複数の切歯を 有するスクリュー羽根が螺旋状に卷回突設されている。扱室内に搬送された刈取穀 稈は、扱胴 22の各切歯にて細かく切断される。
[0036] 脱穀部 8の下方に配置された選別部 9は、受網ゃチヤフシ一ブ等を有する揺動選 別装置 23と、唐箕ファン等を有する風選別装置 24とを備えている。受網から漏下し た穀粒は、揺動選別装置 23及び風選別装置 24にて、精粒等の一番物、枝梗付き穀 粒等の二番物及び排稈 (藁屑)等に選別される。
[0037] 揺動選別装置 23及び風選別装置 24による選別を経て、走行機体 1の下部にある 一番受け樋に集められた精粒等の一番物は、一番コンペャ 25及び揚穀コンペャ(図 示せず)を介して穀粒タンク 7に集積される。枝梗付き穀粒等の二番物は、二番コン べャ 26及び還元コンペャ 27等を介して扱室に戻され、扱胴 22にて再脱穀される。 再脱穀後の二番物は選別部 9にて再選別される。排稈等は、脱穀部 8の後部下方に 配置されたスプレッダ 28にて細力べ切断されたのち、走行機体 1の後方に排出される
[0038] 穀粒タンク 7内の穀粒は、走行機体 1の後部に立設された排出オーガ 29を介して、 輸送用トラックの荷台等 (走行機体 1の外部)に搬出される。
[0039] (2) .コンバインの走行駆動系統
次に、図 2を参照しながら、コンバインの走行駆動系統について説明する。
[0040] 実施形態の普通型コンバインでは、エンジン 6からの動力をミッションケース 30内の 油圧式駆動手段 31等にて適宜変速し、ミッションケース 30から左右外向きに突出し た駆動出力軸 60を介して左右の駆動輪 11に出力するように構成されて 、る。
[0041] この場合、ミッションケース 30内には、エンジン 6からの動力を変速するための油圧 式駆動手段 31と、低速、中速、高速及び中立の各変速段を有する副変速機構 32と 、左右一対の遊星ギヤ機構 51等を有する差動ギヤ機構 33とが内装されている。
[0042] エンジン 6からの動力は、当該エンジン 6の出力軸 34からプーリ及びベルト伝動系
を経由して、油圧式駆動手段 31に伝達される。油圧式駆動手段 31は、第 1油圧ボン プ 36及び第 1油圧モータ 37からなる直進用 HST式変速機構 35と、第 2油圧ポンプ 39及び第 2油圧モータ 40からなる旋回用 HST式変速機構 38とを備えている。
[0043] 出力軸 34から油圧式駆動手段 31に向力 動力は、ミッションケース 30の外側にお いて両油圧ポンプ 36, 39の共通ポンプ軸 41に伝達される。直進用及び旋回用のい ずれの HST式変速機構 35, 38においても、共通ポンプ軸 41に伝達された動力に て、油圧ポンプ 36, 39から油圧モータ 37, 40に向けて作動油が送り込まれる。
[0044] 直進用 HST式変速機構 35においては、操縦部 5に配置された主変速レバー 77 ( 詳細は後述する)のシフト位置等に応じて、第 1油圧ポンプ 36の回転斜板の傾斜角 度を変更調節して、第 1油圧モータ 37への作動油の吐出方向及び吐出量を変更す ることにより、第 1油圧モータ 37から突出した直進用モータ軸 42の回転方向及び回 転数を任意に調節するように構成されている。
[0045] 第 1油圧モータ 37における直進用モータ軸 42の回転動力は、直進用モータ軸 42 に固着された直進出力ギヤ 43から伝動ギヤ機構 44を介して副変速機構 32に伝達さ れる。なお、直進用モータ軸 42の回転動力は、出力ギヤ 45を介して、クラッチ手段 4 7を有する PTO軸 46にも分岐して伝達される。詳細は図示していないが、 PTO軸 46 に分岐した回転動力にて、刈取部 3や脱穀部 8等の作業部を駆動させるように構成さ れている。
[0046] 副変速機構 32は従来力 周知の歯車機構力 なるものであり、操縦部 5に配置さ れた副変速レバー 78 (詳細は後述する)の操作にて、直進用モータ軸 42からの回転 動力(回転方向及び回転数)の調節範囲を低速、中速、高速及び中立という 4段階 の変速段に切り換え可能に設定されている。副変速機構 32の構成要素であるブレ ーキ軸 48には、湿式多板ディスク等のブレーキ手段 49が設けられている。なお、実 施形態では、走行機体 1の車速を検出するためのロータリエンコーダ等の車速セン サ 197がブレーキ軸 48に関連させて設けられて!/、る。
[0047] 副変速機構 32からの回転動力は、ブレーキ軸 48に固着された副変速出力ギヤ 50 力も差動ギヤ機構 33に伝達される。差動ギヤ機構 33の構成要素である左右一対の 遊星ギヤ機構 51は左右対称状に形成されており、複数個の遊星ギヤ 53を同一半径
上に回転可能に軸支してなる左右一対のキヤリャ 52を備えて 、る。これら両キヤリャ 52は、同一軸線上において適宜間隔を開けて相対向するように配置されている。
[0048] 左右両キヤリャ 52の間に位置した太陽軸 54の中央部にはセンターギヤ 55が固着 されている。このセンターギヤ 55が副変速機構 32側の副変速出力ギヤ 50と嚙み合 つている。太陽軸 54のうちセンターギヤ 55を挟んで左右両側には太陽ギヤ 56が固 着されている。各太陽ギヤ 56は、これに対応するキヤリャ 52の各遊星ギヤ 53と嚙み 合っている。太陽軸 54における左右の端部は各キヤリャ 52の回転中心部に位置し た軸受け(図示せず)に回転可能に軸支されている。
[0049] 内周面の内歯と外周面の外歯とを有する左右一対のリングギヤ 57は、その内歯を 複数個の遊星ギヤ 53に嚙み合わせるようにして、太陽軸 54と同心状に配置されてい る。各リングギヤ 57は、キヤリャ 52の外側面力も左右外向きに突出したキヤリャ軸 58 に、軸受け(図示せず)を介して回転可能に軸支されて 、る。
[0050] 副変速機構 32における副変速出力ギヤ 50からの回転動力は、太陽軸 54に固着さ れたセンターギヤ 55を介して左右の遊星ギヤ機構 51に伝達される。左右の遊星ギ ャ機構 51に伝達された回転動力は、各キヤリャ 52のキヤリャ軸 58から伝達ギヤ機構 59を介して左右の駆動出力軸 60に出力される。
[0051] 他方、旋回用 HST式変速機構 38においては、操縦部 5に配置された操向ハンド ル 73 (詳細は後述する)の回動操作量に応じて、第 2油圧ポンプ 39の回転斜板の傾 斜角度を変更調節して、第 2油圧モータ 40への作動油の吐出方向及び吐出量を変 更することにより、第 2油圧モータ 40から突出した旋回用モータ軸 61の回転方向及 び回転数を任意に調節するように構成されている。
[0052] 第 2油圧モータ 40における旋回用モータ軸 61の回転動力は、旋回用モータ軸 61 に固着された旋回出力ギヤ 62から歯車機構 63を介して左右一対の回転ギヤ 64に 伝達される。左回転ギヤ 64は逆転ギヤ 65を介して左リングギヤ 57の外歯と嚙み合つ ている。右回転ギヤ 64は右リングギヤ 57の外歯と直接嚙み合っている。従って、第 2 油圧モータ 40の正回転により左リングギヤ 57が所定回転数にて正回転すると、右リ ングギヤ 57は左リングギヤ 57と同一回転数にて逆回転することになる。
[0053] 力かる構成によると、例えば旋回用 HST式変速機構 38の駆動を停止させれば、左
右両リングギヤ 57が回転不能なロック状態(固定状態)となる。このとき、湿式多板デ イスク等のブレーキ手段 66にて、第 2油圧モータ 40の旋回用モータ軸 61をロック(固 定)するのが好ましい。
[0054] 旋回用 HST式変速機構 38の駆動を停止させた状態で、直進用 HST式変速機構 35を駆動させると、直進用モータ軸 42の直進出力ギヤ 43から太陽軸 54のセンター ギヤ 55に伝達された回転動力は左右の太陽ギヤ 56に同一回転数で伝達され、左右 の遊星ギヤ 53及びキヤリャ 52を介して、左右の駆動出力軸 60ひ 、ては駆動輪 11に 同一方向及び同一回転数にて出力される。その結果、走行機体 1は直進走行する。 この場合、直進用モータ軸 42が正回転方向に駆動すれば走行機体 1は前進し、逆 回転方向に駆動すれば走行機体 1は後退することになる。
[0055] 逆に、直進用 HST式変速機構 35の駆動を停止させた場合は、太陽軸 54及び左 右両太陽ギヤ 56が回転不能なロック状態(固定状態)となる。このときも、湿式多板デ イスク等のブレーキ手段 67にて、第 1油圧モータ 37の直進用モータ軸 42をロック(固 定)するのが好ましい。
[0056] 直進用 HST式変速機構 35の駆動を停止させた状態で、旋回用 HST式変速機構 38を駆動させると、旋回用モータ軸 61からの回転動力は、左回転ギヤ 64及び逆転 ギヤ 65を介して左リングギヤ 57を所定回転数にて正 (逆)回転させる一方、右回転ギ ャ 64を介して右リングギヤ 57を左リングギヤ 57と同一回転数にて逆 (正)回転させる
[0057] 左リングギヤ 57に伝達された正 (逆)方向の回転動力は、左側の各遊星ギヤ 53及 びキヤリャ 52を経由して、左駆動出力軸 60ひ 、ては左駆動輪 11を正 (逆)方向に回 転させる。右リングギヤ 57に伝達された逆 (正)方向の回転動力は、右側の各遊星ギ ャ 53及びキヤリャ 52を経由して、右駆動出力軸 60ひいては右駆動輪 11を逆 (正) 方向に回転させる。
[0058] すなわち、旋回用 HST式変速機構 38からの回転動力は、左右の遊星ギヤ機構 51 に互いに逆方向の回転力を付与するように伝達され、左右の走行クローラ 2の駆動 輪 11のうち一方が前進回転、他方が後退回転して、走行機体 1はその場でスピンタ ーンする。
[0059] また、直進用 HST式変速機構 35を駆動させつつ旋回用 HST式変速機構 38を駆 動させると、左右の走行クローラ 2の駆動速度に差が生じることになり、走行機体 1は 前進又は後退しながらスピンターン旋回半径より大きい旋回半径で左又は右に旋回 する。このときの旋回半径は左右の走行クローラ 2の駆動速度差に応じて決定される
[0060] (3) .操縦部内の詳細構造
次に、図 3及び図 4を参照しながら、操縦部内の詳細構造について説明する。
[0061] キャビンタイプの操縦部 5内に配置された操縦座席 70の前方には、縦長のステアリ ングコラム 71が立設されている。ステアリングコラム 71から上向きに突出したノヽンドル 軸 72 (図 5参照)には、走行機体 1の進行 (旋回)方向及び旋回速度を変更操作する ための丸型の操向ハンドル 73が取り付けられている。実施形態では、操向ハンドル 7 3の回動可能範囲が中立位置を挟んで左右に約 135° ずつ程度の大きさに設定さ れている。いうまでもないが、操向ハンドル 73から手を離せば、当該操向ハンドル 73 は中立位置に自動的に復帰するように構成されて 、る。
[0062] 操向ハンドル 73における略環状のハンドルホイル部の内側には、液晶表示装置 7 5等を有するセンターパネル体 74が配置されている。なお、センターパネル体 74は ステアリングコラム 71にのみ固定されて ヽて、操向ハンドノレ 73には連結して!/ヽな!、の で、操向ハンドル 73を回動操作しても、センターパネル体 74ひいては液晶表示装置 75は動かず、常にオペレータ力 画面が見易 、状態になって!/、る。
[0063] 操縦座席 70の一側方(実施形態では左側)には、前後に長 、サイドパネル体 76が 配置されている。このサイドパネル体 76上には、前方から順に、主変速レバー 77、副 変速レバー 78及びクラッチレバー 79が配置されている。
[0064] 主変速レバー 77は、走行機体 1の前進、停止、後退及びその車速を無段階に変更 操作するためのものである。実施形態の主変速レバー 77は、サイドパネル体 76にお ける平面視クランク状のガイド溝 80に沿って前後傾動可能に構成されている。
[0065] 詳細については後述する力 主変速レバー 77をほぼ垂直姿勢の中立 (停止)位置 から前方に倒すと、直進用 HST式変速機構 35の駆動にて走行機体 1が前進するよ うに構成されている。そして、主変速レバー 77の前方への倒れ角度が大きいほど、走
行機体 1の前進速度が速くなるように構成されている。反対に、主変速レバー 77を中 立位置から後方に倒すと、直進用 HST式変速機構 35の駆動にて走行機体 1が後退 するように構成されている。そして、主変速レバー 77の後方への倒れ角度が大きい ほど、走行機体 1の後退速度が速くなるように構成されて ヽる。
[0066] 副変速レバー 78は、作業状態に応じてミッションケース 30内の副変速機構 32を変 更操作して、油圧式駆動手段 31の出力(直進用モータ軸 42の回転方向及び回転数 )の調節範囲を低速、中速、高速及び中立という 4段階に設定保持するためのもので ある。副変速レバー 78も、主変速レバー 77と同様に前後傾動可能に構成されている
[0067] クラッチレバー 79は、刈取部 3の動力継断操作用のレバーと脱穀部 8の動力継断 操作用のレバーとを 1本で兼ねたものであり、サイドパネル体 76における平面視略 L 字状のガイド溝 81に沿って左右及び前後方向に傾動可能に構成されて 、る。
[0068] 実施形態のクラッチレバー 79は、ガイド溝 81における左右溝部 81aの左端位置に 傾動させると刈取クラッチ及び脱穀クラッチ (共に図示せず)が共に切り状態となり、 左右溝部 81aの右端位置 (前後溝部 8 lbの後端位置でもある)に傾動させると脱穀ク ラッチのみが入り状態となり、前後溝部 81bの前端位置に傾動させると両クラッチとも 入り状態となるように構成されて 、る。
[0069] サイドパネル体 76上には、操作用の各種スィッチ類及び設定用のダイヤル類も複 数配置されている。実施形態では、サイドパネル体 76のうち主変速レバー 77より前 方の箇所には、自動車速スィッチ 82、負荷率設定手段としての負荷率設定ダイヤル 83、待機時間設定手段としての待機時間設定器 98、自動刈高さスィッチ 84、刈高さ 設定ダイヤル 85、自動水平スィッチ 86、及び傾斜設定ダイヤル 87等が配置されて いる。
[0070] 自動車速スィッチ 82は、エンジン 6の過負荷時に車速を減速して刈取部 3や脱穀 部 8の回転駆動を一定に保持する自動車速制御の入り切りを操作するためのもので ある。負荷率設定ダイヤル 83は、自動車速制御時におけるエンジン 6の設定負荷率 LFaを手動にて設定操作するためのものである。詳細については後述する力 実施 形態では、エンジン 6の負荷率 LFが設定負荷率 LFa以上になると、走行機体 1の前
進方向の車速を強制減速するように設定されている。
[0071] ここで、エンジン負荷率 LFについて説明すると、エンジン負荷率 LFとは、後述する ラック位置センサ 200にて検出されたエンジン負荷が最高のときを 100%として、メ IJ 取脱穀作業中のエンジン負荷の比率を算出したものである。アイドリング状態のェン ジン負荷率 LF力 ^ (零)になる。
[0072] 設定負荷率 LFaは、エンジン 6が過負荷のときに相当するしきい値である。換言す ると、設定負荷率 LFaは、エンジン 6が過負荷状態力否かを判別するための基準値 になっている。この場合、負荷率設定ダイヤル 83は、その摘み (指針)の位置を連続 的 (アナログ的)又は段階的 (デジタル的)に変更 '調節して、設定負荷率 LFaを 70〜 100%の範囲で任意に調節し得るように構成されて 、る。
[0073] 詳細については後述するが、実施形態では、設定負荷率 LFaが決まるとこれに対 応した復帰負荷率 LFbが自動的に設定される。この復帰負荷率 LFbは設定負荷率 LFaより所定割合だけ小さ 、値 (LFb (%) =LFa- a )になって!/、る。自動車速制御 での強制減速後に、エンジン負荷率 LFが復帰負荷率 LFb以下になると、走行機体 1 の前進方向の車速を主変速レバー 77の前向き傾動操作位置に対応した元の車速 にまで増速するように設定されて!、る。
[0074] 待機時間設定器 98は、自動車速制御において先の減速動作終了時点力も次の減 速動作又は復帰増速動作開始時点までの待機時間 tw (以下、設定待機時間 twと 、 う。図 11及び図 12参照)を手動設定するためのものであり、この設定器 98も、前述の 負荷率設定ダイヤル 83と同様に、その摘み (指針)の位置を連続的 (アナログ的)又 は段階的(デジタル的)に変更 '調節し得るように構成されている。
[0075] 自動刈高さスィッチ 84は、刈取部 3を所定の刈高さ位置に維持する自動刈高さ制 御の入り切りを操作するためのものである。刈高さ設定ダイヤル 85は、自動刈高さ制 御時の刈高さ位置を設定操作するためのものである。自動水平スィッチ 86は、走行 機体 1を左右水平な姿勢に維持する自動水平制御の入り切りを操作するためのもの である。傾斜設定ダイヤル 87は、走行機体 1の左右傾斜角度を設定操作するための ものである。
[0076] また、サイドパネル体 76のうち主変速レバー 77より後方の箇所には、定回転制御ス
イッチ 88、アクセルダイヤル 89、リール高さ調節ダイヤル 90、及びリール変速自動ス イッチ 91等が配置されている。
[0077] 定回転制御スィッチ 88は、エンジン 6の回転数を一定に保持する定回転制御の入 り切りを操作するためのものである。アクセルダイヤル 89は、エンジン 6の回転数を調 節操作するためのものである。リール高さ調節ダイヤル 90は、刈取部 3の搔き込みリ ール 18の高さ位置を調節操作するためのものである。リール変速自動スィッチ 91は 、走行機体 1の車速に合わせて搔き込みリール 18の回転速度を自動調節するモード の入り切りを操作するためのものである。
[0078] 操縦座席 70の下面側には、当該操縦座席 70にオペレータが座っているか否かを 検出するためのシートスィッチ 92が配置されている。操縦座席 70と操向ハンドル 73 との間に位置するステップ板 93の下面側には、当該ステップ板 93上にオペレータの 足が載っている力否かを検出するための左右一対のステップスィッチ 94が配置され ている。
[0079] シートスィッチ 92及び両ステップスィッチ 94は、操縦部 5内にオペレータが居るか 否かを検出するための存在検出手段に相当する。シートスィッチ 92及び両ステップ スィッチ 94のうち少なくとも 1つが入り作動しているときは、エンジン 6の始動を許可す ると共に、エンジン 6から走行部や作業部への動力伝達を許容するように設定されて いる。また、シートスィッチ 92及び両ステップスィッチ 94の全てが切り作動していると きは、エンジン 6の駆動を停止する力、又はエンジン 6から走行部や作業部への動力 伝達を自動的に遮断するように設定されている。なお、これらスィッチ 92, 94は少な くとも 1つ備えていればよい。
[0080] (4) .主変速レバー及び操向ハンドルと油圧式駆動手段との連結構造
次に、図 5〜図 7を参照しながら、主変速レバー及び操向ハンドルと油圧式駆動手 段との連結構造にっ 、て説明する。
[0081] 変速操作手段としての主変速レバー 77は、中継リンク機構 95を介してステアリング コラム 71内に配置された機械的切換手段 100に連動連結されている。また、操向ハ ンドル 73のハンドル軸 72も機械的切換手段 100に連動連結されている。
[0082] 実施形態の機械的切換手段 100は、
1.主変速レバー 77を中立位置以外の位置に傾動操作した状態で、操向ハンドル 7 3を中立位置以外の位置に回動操作すると、その回動操作量が大きいほど小さな旋 回半径で走行機体 1が左又は右に旋回し、且つ旋回半径が小さいほど走行機体 1の 車速 (前進及び後退時の旋回速度)が減速する、
2.主変速レバー 77を前進及び後退のいずれの方向に傾動操作した場合であって も、操向ハンドル 73の回動操作方向と走行機体 1の旋回方向とがー致する (操向ハ ンドル 73を右に回せば走行機体 1は右旋回し、操向ハンドル 73を左に回せば走行 機体 1は左旋回する)、
3.主変速レバー 77が中立位置にあると操向ハンドル 73を操作しても機能しない、 t 、う各種動作を実行するために、主変速レバー 77や操向ハンドル 73からの操作力 を適宜変換して、ステアリングコラム 71の下端部に回動可能に配置された縦長の二 重軸 101に伝達するように構成されて 、る。
[0083] なお、機械的切換手段 100自体は本願発明と直接的に関係しないので詳述しない 力 必要であれば特開 2002— 274421号公報等を参照されたい。
[0084] 機械的切換手段 100に関連付けられた二重軸 101は、互いに独立して回動可能 な直進用外筒軸 102と旋回用内軸 103とにより縦長同心状に形成されている。直進 用外筒軸 102は、ミッションケース 30の前面力も前向きに突出した直進用回動軸 10 5に、直進用リンク機構 104を介して連動連結されている。一方、旋回用内軸 103は 、ミッションケース 30の前面力も前向きに突出した旋回用回動軸 107に、旋回用リン ク機構 106を介して連動連結されて 、る。
[0085] ここで、直進用回動軸 105は、直進用 HST式変速機構 35における第 1油圧ポンプ 36の回転斜板の傾斜角度を調節するためのものであり、直進用 HST式変速機構 35 の変速出力を調節する調節部として機能する。旋回用回動軸 107は、旋回用 HST 式変速機構 38における第 2油圧ポンプ 39の回転斜板の傾斜角度を調節するための ものであり、旋回用 HST式変速機構 38の変速出力を調節する調節部として機能す る。
[0086] 直進用リンク機構 104は、ミッションケース 30の上面にブラケット 108を介して固定 された支持筒 109に回動可能に挿入された横支軸 110、直進用外筒軸 102に突設
された直進用回動アーム 111と横支軸 110の一端 (実施形態では右端)に固着され た直進用第 1揺動アーム 112とをつなぐ直進用中継杆 113、並びに、横支軸 110の 他端 (実施形態では左端)に固着された直進用第 2揺動アーム 114と直進用回動軸 105に取り付けられた直進用操作アーム 115とをつなぐ直進用連動杆 116とを備え ている。
[0087] 直進用中継杆 113の一端部(実施形態では前端部)は、直進用外筒軸 102側の直 進用回動アーム 111に、縦向きの枢着ピン 117にて回動可能に枢着されている。直 進用中継杆 113の他端部(実施形態では後端部)は、横支軸 110側の直進用第 1揺 動アーム 112に、左右横向きの枢着ピン 118を介して回動可能に枢着されて 、る。
[0088] 直進用連動杆 116の一端部(実施形態では上端部)は、横支軸 110側の直進用第 2揺動アーム 114に、左右横向きの枢着ピン 119にて回動可能に枢着されている。 直進用連動杆 116の他端部(実施形態では下端部)は、直進用回動軸 105側の直 進用操作アーム 115に、前後横向きの枢着ピン 120を介して回動可能に枢着されて いる。
[0089] 主変速レバー 77を中立位置力も前方に傾動操作した場合は、中継リンク機構 95を 介して機械的切換手段 100が直進用外筒軸 102及び直進用回動アーム 111を旋回 用内軸 103回りの矢印 SA方向に一体的に回動させることにより、直進用中継杆 113 が前方に引っ張られて (移動して)、直進用第 1揺動アーム 112、横支軸 110及び直 進用第 2揺動アーム 114が横支軸 110回りの矢印 SB方向に一体的に回動する。
[0090] そして、直進用第 2揺動アーム 114が矢印 SB方向への回動移動にて直進用連動 杆 116を引き上げることにより、直進用操作アーム 115ひいては直進用回動軸 105 が矢印 SC方向(前進増速方向(又は後退減速方向)、図 5及び図 6参照)に回動す る。その結果、走行機体 1は主変速レバー 77の前向き傾動操作量に比例して前進 動作を実行する。
[0091] 反対に、主変速レバー 77を中立位置力も後方に傾動操作した場合は、中継リンク 機構 95を介して機械的切換手段 100が直進用外筒軸 102及び直進用回動アーム 1 11を矢印 SD方向に一体的に回動させることにより、直進用中継杆 113が後方に移 動して、直進用第 1揺動アーム 112、横支軸 110及び直進用第 2揺動アーム 114が
先ほどとは逆の矢印 SE方向に一体的に回動する。
[0092] そして、直進用第 2揺動アーム 114が矢印 SE方向への回動移動にて直進用連動 杆 116を押し下げることにより、直進用操作アーム 115ひ 、ては直進用回動軸 105 が矢印 SF方向(後退増速方向(又は前進減速方向)、図 5及び図 6参照)に回動する 。その結果、走行機体 1は主変速レバー 77の後ろ向き傾動操作量に比例して後退 動作を実行する。
[0093] 一方、旋回用リンク機構 106は、横支軸 110における支持筒 109からの突出部位 に回動可能に被嵌された回動筒 121、旋回用内軸 103に突設された旋回用回動ァ ーム 122と回動筒 121に突設された略棒状の旋回用第 1揺動アーム 123とをつなぐ 旋回用中継杆 124、並びに、回動筒 121に突設された略 L字状の旋回用第 2揺動ァ ーム 125と旋回用回動軸 107に取り付けられた旋回用操作アーム 126とをつなぐ旋 回用連動杆 127とを備えている。
[0094] 旋回用中継杆 124の一端部(実施形態では前端部)は、旋回用内軸 103側の旋回 用回動アーム 122に、縦向きの枢着ピン 128にて回動可能に枢着されている。旋回 用中継杆 124の他端部(実施形態では後端部)は、回動筒 121側の旋回用第 1揺動 アーム 123に、左右横向きの枢着ピン 129を介して回動可能に枢着されている。
[0095] 旋回用連動杆 127の一端部(実施形態では上端部)は、回動筒 121側の旋回用第 2揺動アーム 125に、左右横向きの枢着ピン 130にて回動可能に枢着されている。 旋回用連動杆 127の他端部(実施形態では下端部)は、旋回用回動軸 107側の旋 回用操作アーム 126に、前後横向きの枢着ピン 131を介して回動可能に枢着されて いる。
[0096] 例えば主変速レバー 77を前傾させた状態で操向ハンドル 73を左方向に回動操作 した場合は、ハンドル軸 72を介して機械的切換手段 100が旋回用内軸 103及び旋 回用回動アーム 122を矢印 TA方向に一体的に回動させることにより、旋回用中継杆 124が前方に引っ張られて、旋回用第 1揺動アーム 123、回動筒 121及び旋回用第 2揺動アーム 125が横支軸 110回りの矢印 TB方向に一体的に回動する。
[0097] そして、旋回用第 2揺動アーム 125が矢印 TB方向への回動移動にて旋回用連動 杆 127を引き上げることにより、旋回用操作アーム 126ひいては旋回用回動軸 107
が矢印 TC方向(前進左旋回方向、図 5及び図 6参照)に回動する。その結果、走行 機体 1は操向ハンドル 73の左方向への回動操作量に比例して左旋回動作を実行す る。
[0098] この場合、直進用リンク機構 104は、機械的切換手段 100の作用により、操向ハン ドル 73の左方向への回動操作量に比例して直進用回動軸 105を矢印 SF方向(前 進減速方向)に回動させ、そのときの旋回半径に対応して走行機体 1の前進旋回速 度を減速させる。
[0099] 反対に、主変速レバー 77を前傾させた状態で操向ハンドル 73を右方向に回動操 作した場合は、ハンドル軸 72を介して機械的切換手段 100が旋回用内軸 103及び 旋回用回動アーム 122を矢印 TD方向に一体的に回動させることにより、旋回用中継 杆 124が後方に移動して、旋回用第 1揺動アーム 123、回動筒 121及び旋回用第 2 揺動アーム 125が先ほどとは逆の矢印 TE方向に一体的に回動する。
[0100] そして、旋回用第 2揺動アーム 125が矢印 TE方向への回動移動にて旋回用連動 杆 127を押し下げることにより、旋回用操作アーム 126ひいては旋回用回動軸 107 が矢印 TF方向(前進右旋回方向、図 5及び図 6参照)に回動する。その結果、走行 機体 1は操向ハンドル 73の右方向への回動操作量に比例して右旋回動作を実行す る。
[0101] この場合も、直進用リンク機構 104は、機械的切換手段 100の作用により、操向ハ ンドル 73の右方向への回動操作量に比例して直進用回動軸 105を矢印 SF方向(前 進減速方向)に回動させ、そのときの旋回半径に対応して走行機体 1の前進旋回速 度を減速させる。
[0102] なお、主変速レバー 77を後傾させた状態で操向ハンドル 73を左右に回動操作し た場合は、旋回用リンク機構 106及び直進用リンク機構 104の動作がそれぞれ前記 態様の逆になる。すなわち、前進左旋回時の両リンク機構 106, 104の動作は後退 右旋回時のそれと同じである一方、前進右旋回時の両リンク機構 106, 104の動作 は後退左旋回時のそれと同じに設定されて 、る。
[0103] 図 6及び図 7に示すように、直進用回動軸 105には、主変速レバー 77が中立位置 にあるときに第 1油圧ポンプ 36の回転斜板を中立位置に保持するための直進用デテ
ント手段 132が取り付けられている。また同様に、旋回用回動軸 107には、操向ハン ドル 73が中立位置にあるときに第 2油圧ポンプ 39の回転斜板を中立位置に保持す るための旋回用デテント手段 133が取り付けられている。
[0104] 図 6から明らかなように、直進用デテント手段 132と旋回用デテント手段 133とは左 右対称状に配置されており、基本的に同じような構成である。直進用デテント手段 13 2においては、直進用 HST式変速機構 35の調節部としての直進用回動軸 105に、 略円筒状のボス部材 134がー体的に回動するように被嵌されている(図 7参照)。直 進用回動軸 105の先端部には、略 Y字板状に形成された直進用デテント杆 135の中 途部がナット 136で固定されている。
[0105] ミッションケース 30における左右中央寄りの箇所に突設された枢支軸 137には、略 L字板状に形成された中立保持アーム 138のコーナ部が回動可能に枢支されている 。中立保持アーム 138における横アーム部 138aの先端には、直進用デテント杆 135 の上端面に形成された中立保持カム面 135aに当接する中立保持ローラ 139が回動 可能に取り付けられている。中立保持ローラ 139は、付勢ばね 140の弾性付勢力に て、直進用デテント杆 135の中立保持カム面 135aに常時押圧当接するように構成さ れている。なお、実施形態の付勢ばね 140は、直進用である中立保持アーム 138の 縦アーム部 138bと旋回用である中立保持アーム 158の縦アーム部 158b (詳細は後 述する)との間に装架されて 、る。
[0106] 一方、ボス部材 134の中途部に回動可能に被嵌された円筒部材 141には、略 L字 状の直進用操作アーム 115のコーナ部とストッパー板 142とが固着されている。直進 用操作アーム 115においては、横アーム部 115aの先端が直進用連動杆 116の他端 部(実施形態では下端部)に前後横向きの枢着ピン 120にて回動可能に枢着されて V、る。直進用操作アーム 115の縦アーム部 115bは正面視で直進用デテント杆 135 の縦杆部 135bに重なるように延びて 、る。
[0107] 円筒部材 141の外周部には、戻し付勢手段としてのねじりばね 143が被嵌されて いる。このねじりばね 143の両端部は交差しながら下方に延びていて、直進用操作 アーム 115の縦アーム部 115bと直進用デテント杆 135の縦杆部 135bとを挟み込ん でいる。
[0108] なお、直進用デテント杆 135における縦杆部 135bの左右両側には、直進用デテン ト杆 135及び直進用操作アーム 115の直進用回動軸 105回りの回動を規制するた めの一対のストッパー受け体 144が配置されている。これらストッパー受け体 144はス トッパー板 142の前面下部に固定されている。縦杆部 135bに後ろ向き突設された当 接体 145が各ストッパー受け体 144に当たることにより、直進用デテント杆 135及び 直進用操作アーム 115が直進用回動軸 105回りに所定角度以上回動しな 、ように 規制されている。
[0109] また、ミッションケース 30の前面側に配置されたブラケット 146には、上下回動可能 な感知アーム 148を有するポテンショメータ式の主変速位置センサ 147が取り付けら れている。この主変速位置センサ 147は、直進用デテント杆 135の上端部に設けら れた作動ピン 149との当接による感知アーム 148の回動角度から、第 1油圧ポンプ 3 6における回転斜板の傾斜角度や主変速レバー 77の傾動操作量を検出するというも のである。
[0110] 旋回用デテント手段 133においては、旋回用 HST式変速機構 38の調節部として の旋回用回動軸 107に、略円筒状のボス部材(図示せず)がー体的に回動するよう に被嵌されている。旋回用回動軸 107の先端部には、略 Y字板状に形成された旋回 用デテント杆 155の中途部がナット 156にて固定されている。
[0111] ミッションケース 30における左右中央寄りの箇所に突設された枢支軸 157には、略 L字板状に形成された中立保持アーム 158のコーナ部が回動可能に枢支されている 。中立保持アーム 158における横アーム部 158aの先端には、旋回用デテント杆 155 の上端面に形成された中立保持カム面 155aに当接する中立保持ローラ 159が回動 可能に取り付けられている。中立保持ローラ 159は、付勢ばね 140の弾性付勢力に て、旋回用デテント杆 155の中立保持カム面 155aに常時押圧当接するように構成さ れている。
[0112] 一方、ボス部材の中途部に回動可能に被嵌された円筒部材(図示せず)には、略し 字状の旋回用操作アーム 126のコーナ部とストッパー板 162とがそれぞれ固着され ている。旋回用操作アーム 126においては、横アーム部 126aの先端が旋回用連動 杆 127の他端部(実施形態では下端部)に前後横向きの枢着ピン 131にて回動可能
に枢着されている。旋回用操作アーム 126の縦アーム部 126bは、正面視で旋回用 デテント杆 155の縦杆部 155bに重なるように延びている。
[0113] 円筒部材(図示せず)の外周部には、戻し付勢手段としてのねじりばね 163が被嵌 されている。このねじりばね 163の両端部は交差しながら下方に延びていて、旋回用 操作アーム 126の縦アーム部 126bと旋回用デテント杆 155の縦杆部 155bとを挟み 込んでいる。
[0114] なお、旋回用デテント杆 155における縦杆部 155bの左右両側には、旋回用デテン ト杆 155及び旋回用操作アーム 126の旋回用回動軸 107回りの回動を規制するた めの一対のストッパー受け体 164が配置されている。これらストッパー受け体 164はス トッパー板 162の前面下部に固定されている。縦杆部 155bに後ろ向き突設された当 接体 165が各ストッパー受け体 164に当たることにより、旋回用デテント杆 155及び 旋回用操作アーム 126が旋回用回動軸 107回りに所定角度以上回動しな!、ように 規制されている。
[0115] (5) .電動モータと油圧式駆動手段との連動構造
次に、図 6〜図 8を参照しながら、電動モータと油圧式駆動手段との連動構造につ いて説明する。
[0116] 直進用 HST式変速機構 35の調節部である直進用回動軸 105には、変速ァクチュ エータとしての電動モータ 170力 主変速レバー 77から直進用回動軸 105に向かう 操作系統(中継リンク機構 95、機械的切換手段 100及び直進用リンク機構 104)とは 別系統の連係機構 171を介して関連付けられている。
[0117] 実施形態では、ミッションケース 30上の支持筒 109に固定されたブラケット板 169 の背面側に、変速ァクチユエータとしての正逆回転可能な電動モータ 170がねじ止 めされている。電動モータ 170のモータ出力軸 172には、駆動側ギヤとしてのピ-ォ ンギヤ 173が固着されている。一方、ブラケット板 169の背面のうち電動モータ 170よ り下方の箇所には、従動側ギヤとしてのセクタギヤ 174が、直進用回動軸 105や旋回 用回動軸 107と平行に延びる枢軸 175にて回動可能に枢着されている。これら両ギ ャ 173, 174を嚙み合わせることによって、電動モータ 170からの回転駆動力が連係 機構 171を介して直進用回動軸 105に伝達可能となるように構成されて!ヽる。
[0118] 連係機構 171は、調節部材としての直進用デテント杆 135の縦杆部 135bと、前述 したセクタギヤ 174及びその枢軸 175に固定された中継アーム 176と、縦杆部 135b と中継アーム 176とを連動して回動させるための連係ロッド 177とを備えている。
[0119] 実施形態では、直進用デテント杆 135の縦杆部 135bが旋回用デテント杆 155の縦 杆部 155bより長く延びた形態になっている。直進用デテント杆 135における縦杆部 1 35bの下端部は、連係ロッド 177の一端部に、前後横向きの枢着ピン 178にて回動 可能に枢着されている。
[0120] 連係ロッド 177における中継アーム 176側の他端部には、その長手方向に延びる ガイド溝穴 179が形成されている。連係ロッド 177の他端部と中継アーム 176とは、ガ イド溝穴 179に挿入された枢支ピン 180を介して連結されて 、る。
[0121] 中継アーム 176及びセクタギヤ 174は、電動モータ 170によるピ-オンギヤ 173の 回転駆動にて、図 6及び図 8 (a) (c)に示す初期位置(自動車速制御を実行していな いときの待機位置)から、図 8 (b)に示す最大強制減速位置までの範囲において、枢 軸 175回りに回動可能に構成されて ヽる。
[0122] なお、ブラケット板 169におけるセクタギヤ 174の左右両側には、セクタギヤ 174の 枢軸 175回りの回動を規制するための一対のストッパー軸体 181が配置されている。 セクタギヤ 174における回動方向の側縁部が各ストッパー軸体 181に当たることによ り、セクタギヤ 174及び中継アーム 176が枢軸 175回りに初期位置〜最大強制減速 位置の範囲を超えて回動しな 、ように規制されて!、る。
[0123] 以上のように構成すると、前記従来 (特開 2000— 69838号公報の構成)のように、 主変速レバー 77から直進用回動軸 105に向力 操作系統と電動モータ 170とを連 動連結しなくて済むことになる。このため、電動モータ 170や連係機構 171のレイァゥ ト等の制約が格段に少なくなり、自動車速制御のための連動構造を設計する上での 自由度が向上する。その結果、前記連動構造の簡素化や部品点数の削減が可能に なり、製造コストの抑制に寄与できる。
[0124] 直進用デテント杆 135が中立位置にあり且つセクタギヤ 174及び中継アーム 176 が初期位置にある場合(図 6参照)、すなわち、主変速レバー 77が中立位置にあって 走行機体 1が停止して 、る場合は、中継アーム 176に固着された枢支ピン 180が連
係ロッド 177におけるガイド溝穴 179の長手中央部に位置するように設定されている
[0125] 自動車速スィッチ 82が切り状態である(自動車速制御を実行して 、な 、)場合は、 セクタギヤ 174及び中継アーム 176は常に初期位置に保持されている。そして、この 状態では、主変速レバー 77を前後いずれの方向に傾動操作しても、中継アーム 17 6側の枢支ピン 180がガイド溝穴 179における長手方向の両縁部に当たらないように 、ガイド溝穴 179の長径寸法が設定されている。すなわち、自動車速制御を実行して いない場合において主変速レバー 77を傾動操作したときに、中継アーム 176側の枢 支ピン 180は連係ロッド 177のガイド溝穴 179内をスライド移動するものの、ガイド溝 穴 179における長手方向の両縁部に引っ掛力 ずに遊んだ状態となり、連係機構 1 71の存在が主変速レバー 77の傾動操作を妨げることはない。
[0126] 主変速レバー 77を中立位置力も前方に傾動操作した場合は、直進用リンク機構 1 04を介して直進用操作アーム 115が矢印 SC方向(前進増速方向)に回動する。直 進用操作アーム 115の縦アーム部 115bは、ねじりばね 143の両端部にて直進用デ テント杆 135の縦杆部 135bと一緒に挟み込まれているため、直進用デテント杆 135 及びこれに固着された直進用回動軸 105も矢印 SC方向(前進増速方向)に回動す る(図 8 (a)参照)。その結果、走行機体 1の前進方向の車速が増速する。
[0127] 直進用デテント杆 135が直進用回動軸 105回りに矢印 SC方向(前進増速方向)に 回動すると、連係ロッド 177は中継アーム 176側の枢支ピン 180に向けて斜め上向き に押しやられ、枢支ピン 180は連係ロッド 177におけるガイド溝穴 179の下縁部(縦 杆部 135b寄りの縁部)近傍に相対的にスライド移動する(図 8 (a)参照)。
[0128] 自動車速スィッチ 82が入り状態である(自動車速制御を実行している)場合に、電 動モータ 170によるピ-オンギヤ 173の回転駆動にて、中 ϋアーム 176及びセクタギ ャ 174を初期位置力も最大強制減速位置に向力 矢印 RE方向に回動させると(図 8 (b)参照)、中継アーム 176側の枢支ピン 180が連係ロッド 177におけるガイド溝穴 1 79の下縁部に当たって、連係ロッド 177を直進用デテント杆 135の縦杆部 135bに 向けて斜め下向きに押しやり、直進用デテント杆 135ひいては直進用回動軸 105を 矢印 SF方向(前進減速方向)に回動させる。その結果、走行機体 1の前進方向の車
速が減速する。
[0129] 実施形態では、中継アーム 176及びセクタギヤ 174を最大強制減速位置まで回動 させると、直進用デテント杆 135が中立位置まで戻り回動して(図 8 (b)参照)、直進 用回動軸 105ひいては第 1油圧ポンプ 36の回転斜板を中立位置に移動させるように 構成されている。このため、自動車速制御の実行中にエンジン 6が過負荷になると、 走行機体 1は実質上停止する状態まで減速することが可能になっている。
[0130] 力かる構成によると、エンジン 6の過負荷時に、直進用 HST式変速機構 35ひいて はエンジン 6からの動力を、走行機体 1の前進動には使わずに、ほとんど刈取部 3や 脱穀部 8の回転駆動のために使えることになるから、負荷変動の激しい普通型コンパ インであっても、刈取部 3の詰まりや脱穀部 8の回転低下ひいてはエンジンストップを 確実に抑制でき、自動車速制御の実効性 (安定性)が向上する。
[0131] また、直進用デテント杆 135の縦杆部 135bと直進用操作アーム 115の縦アーム部 115bとは、ねじりばね 143の両端部にて一緒に挟み込まれている力 ねじりばね 14 3の弾性復原力は、直進用操作アーム 115を含む直進用リンク機構 104を動かすた めの力に比べれば格段に小さ 、。
[0132] このため、自動車速制御の実行時において走行機体 1の前進方向の車速を減速さ せる場合は、直進用デテント杆 135 (ひ ヽては直進用回動軸 105)は矢印 SF方向( 前進減速方向)に回動するものの、直進用操作アーム 115は主変速レバー 77の前 向き傾動操作位置に対応した位置に位置保持される(図 8 (b)参照)。
[0133] 従って、直進用デテント杆 135の矢印 SF方向(前進減速方向)の回動力が直進用 リンク機構 104及び機械的切換手段 100を介して主変速レバー 77に伝播することは なぐ自動車速制御の実行中に走行機体 1が強制減速するたびに、 目の前で主変速 レバー 77が勝手に動くと 、うような煩わしさがな!/、。
[0134] 自動車速制御の実行時において走行機体 1の前進方向の車速を減速させた後、 電動モータ 170によるピ-オンギヤ 173の回転駆動にて、中継アーム 176及びセクタ ギヤ 174を矢印 BA方向に回動させて初期位置にまで復帰移動させると(図 8 (c)参 照)、中継アーム 176側の枢支ピン 180は連係ロッド 177のガイド溝穴 179内をスライ ド移動して、当該ガイド溝穴 179の下縁部カゝら離れる。
[0135] そうすると、枢支ピン 180がガイド溝穴 179の下縁部力も離れた分だけ、ねじりばね 143の弾性復原力の作用する余地が生じ、この弾性復原力にて、直進用操作アーム 115における縦アーム部 115の位置まで直進用デテント杆 135ひいては直進用回動 軸 105が緩やかな速度で戻り回動して、図 8 (a)に示す状態に戻る。
[0136] このときの直進用デテント杆 135の戻り回動位置は、主変速レバー 77の前向き傾 動操作位置に対応した元の位置(中継アーム 176及びセクタギヤ 174を矢印 RE方 向に回動させる前の位置)である。その結果、走行機体 1の前進方向の車速が主変 速レバー 77の前向き傾動操作位置に対応した元の車速にまで緩やかに増速するの である。
[0137] この場合、直進用デテント杆 135の矢印 SC方向への戻り回動にて、連係ロッド 177 が中継アーム 176側の枢支ピン 180に向けて斜め上向きに押しやられ、枢支ピン 18 0が連係ロッド 177におけるガイド溝穴 179の下縁部近傍に相対的にスライド移動す ることは!、うまでもな 、(図 8 (a)参照)。
[0138] 力かる構成によると、オペレータは、自動車速制御にて走行機体 1の前進方向の車 速が強制減速した後、車速を元に戻すために、主変速レバー 77の前傾操作を一々 やり直す必要がない。このため、主変速レバー 77の操作頻度が少なくて済み、オペ レータの操作負担を軽減できる。
[0139] また、ねじりばね 143の弾性復原力を利用して、直進用操作アーム 115における縦 アーム部 115の位置まで直進用デテント杆 135ひいては直進用回動軸 105を緩や 力な速度で戻り回動させ、走行機体 1の前進方向の車速を主変速レバー 77の前向 き傾動操作位置に対応した元の車速にまで緩やかに増速させるから、走行機体 1が 急激にスピードアップすることがなく安全である。
[0140] し力も、復帰車速は主変速レバー 77の前向き傾動操作位置に対応した速度以上 になることがないから、車速が異常に大きくなるおそれを確実に回避でき、安全性を 十分に確保できる。
[0141] なお、実施形態では、自動車速制御の実行中であっても、主変速レバー 77を後方 に傾動操作して、直進用デテント杆 135及び直進用回動軸 105を矢印 SF方向(後 退増速方向)に回動させた場合 (走行機体 1が後退している場合)は、電動モータ 17
0が駆動しな 、ように構成されて 、る。
[0142] また、図 6及び図 7に示すように、ミッションケース 30上の支持筒 109に固定された ブラケット板 169には、上下回動可能な感知アーム 183を有するポテンショメータ式 の強制減速位置センサ 182が取り付けられている。この強制減速位置センサ 182は 、中継アーム 176とは別に枢軸 175に固着された回動プレート 184の作動ピン 185と の当接による感知アーム 183の回動角度から、枢支ピン 180やセクタギヤ 174の位 置を検出するというものである。
[0143] (6) .制御手段の構成
次に、図 9及び図 10を参照しながら、走行機体の自動車速制御等を実行するため の構成について説明する。
[0144] 詳細は図示して 、な 、が、走行機体 1に搭載された車速制御手段としてのマイクロ コンピュータ等のコントローラ 190は、各種演算処理や制御を実行するための中央処 理装置 191 (CPU)、制御プログラムやデータを記憶させるための読み出し専用メモ リ 192 (ROM)、制御プログラムやデータを一時的に記憶させるための随時読み書き 可能メモリ 193 (RAM)、タイマ機能としてのクロック、各入出力系機器 (センサゃァク チユエータ等)とデータのやり取りをする入出力インターフェイス(図示せず)等を備え ている。
[0145] コントローラ 190の ROM192〖こは、ブレーキ軸 48 (図 2参照)に関連させて設けら れた車速検出用の車速センサ 197の検出値 V (走行機体 1の車速)と、この車速 Vに 対する自動車速制御実行時の減速量 vrとの関係を示す関係式又は制御マップが予 め記憶されている。
[0146] この場合の関係式としては例えば vr=AXVが挙げられる。ここで Aは比例定数で ある。力かる関係式を制御マップとした場合を図 10に示している。図 10では走行機 体 1の車速 Vを横軸に採り、減速量 vrを縦軸に採っている。
[0147] 図 10に示すように、比例定数 Aは 0より大きく 1以下(0<A≤1)の値になっており、 車速 Vと減速量 vrとの関係が正の傾きを持つ直線で表されている。すなわち、車速 V と減速量 vrとは、車速 Vが大きくなる(高速になる)ほど減速量 vrが大きくなる(大きく 減速する)という関係にある。そして、 0<A≤1という関係にあるから、減速量 vrが車
速 Vを超えることはない。すなわち、 自動車速制御の実行時に減速し過ぎて走行機 体 1が後退動することはない。なお、車速 Vとこれに対応する減速量 vrとの対のデー タを、テープノレマップとしてコントローラ 190の ROM 192〖こ記 '慮させるようにしてもよ い。
[0148] コントローラ 190の入力インターフェイスには、例えば自動車速スィッチ 82、負荷率 設定ダイヤル 83、自動刈高さスィッチ 84、刈高さ設定ダイヤル 85、自動水平スイツ チ 86、傾斜設定ダイヤル 87、定回転制御スィッチ 88、アクセルダイヤル 89、リール 高さ調節ダイヤル 90、リール変速自動スィッチ 91、主変速位置センサ 147、副変速 レバー 78、刈取部 3に対する動力継断用の刈取クラッチの入り切り状態を検出する ための刈取クラッチセンサ 194、脱穀部 8に対する動力継断用の脱穀クラッチの入り 切り状態を検出するための脱穀クラッチセンサ 195、強制減速位置センサ 182、シー トスイッチ 92、左右両ステップスィッチ 94、エンジン 6の回転数を検出するためのェン ジン回転センサ 196、車速センサ 197、燃料供給手段である電子ガバナ 198付き燃 料噴射ポンプ 199のラック位置から燃料供給量を検出する負荷検出手段としてのラ ック位置センサ 200、コンバイン全体の電源を入り切り操作するための電源スィッチ 2 01、待機時間設定手段としての待機時間設定器 98等が接続されている。
[0149] 他方、コントローラ 140の出力インターフェイスには、例えばエンジン 6の負荷(出力 )を調節制御する電子ガバナ 198、エンジン 6の回転数が所定値となるように燃料噴 射ポンプ 199のラック位置を調節するラックァクチユエータ 202、変速ァクチユエータ としての電動モータ 170、液晶表示装置 75等が接続されている。
[0150] (7) . 自動車速制御の第 1実施形態
次に、図 11のフローチャート及び図 12のタイムチャートを参照しながら、自動車速 制御の第 1実施形態について説明する。
[0151] 車速制御手段としてのコントローラ 190は、ラック位置センサ 200の検出情報力も得 られたエンジン負荷率 LFが設定負荷率 LFa以上になると、直進用 HST式変速機構 35の直進用回動軸 105が連係機構 171を介して矢印 SF方向(前進減速方向)に回 動するように電動モータ 170を駆動させ、その後エンジン負荷率 LFが復帰負荷率 L Fb以下になると、直進用回動軸 105が連係機構 171を介して元の状態まで矢印 SC
方向(前進増速方向)に復帰回動するように電動モータ 170を駆動させ、その結果、 刈取部 3や脱穀部 8の回転駆動を一定に保持するという自動車速制御を実行する。
[0152] ここで、自動車速スィッチ 82は入り状態に設定されているものとする。また、設定負 荷率 LFaは負荷率設定ダイヤル 83にて予め設定され、復帰負荷率 LFbと共にコント ローラ 190の RAM193に記憶されているものとする。また、設定待機時間 twも待機 時間設定器 98にて予め設定され、コントローラ 190の RAM 193に記憶されて ヽるも のとする。
[0153] また、後述する減速時間 trに関するデータは、例えばコントローラ 190の ROM192 等に記憶させているものとする。減速時間 trとは自動車速制御における強制減速動 作に要する時間のことである(図 12参照)。この減速時間 trが短過ぎると、強制減速 時にオペレータが慣性力にて操縦座席 70から前方につんのめるおそれがあるし、逆 に長過ぎると、減速が緩や力過ぎて刈取脱穀作業のスムーズな履行に支障をきたす おそれがある。そこで、実施形態の減速時間 trは、上記のいずれの問題も生じ難い 程度の所定値 (一定値)に設定されている。なお、この場合は、減速時間 trのほうが 設定待機時間 twより十分に長い。
[0154] まず、自動車速制御のスタートに続いて、刈取クラッチセンサ 194の検出情報に基 づいて刈取クラッチが入り状態か否かを判別する (ステップ Sl)。刈取クラッチが切り 状態であると判断されたときは(SI :NO)、コンバインが刈取脱穀作業を行っていな いことを意味するので、そのままリターンする。
[0155] 刈取クラッチが入り状態であると判断されたときは(S1: YES)、少なくとも刈取部 3 への動力伝達がなされ、刈取脱穀作業の実行中又は準備完了状態であることを意 味する。そこで、次に、シートスィッチ 92及び左右両ステップスィッチ 94のうち少なく とも 1つが入り状態力否かを判別する (ステップ S2)。シートスィッチ 92及び左右両ス テツブスイッチ 94が全て切り状態であると判断されたときは(S2 :NO)、操縦部 5にォ ペレータが居ないことを意味するので、この状態で走行機体 1が自動的に増減速す る自動車速制御を実行するのを回避すベぐそのままリターンする。
[0156] シートスィッチ 92及び左右両ステップスィッチ 94のうち少なくとも 1つが入り状態で あると判断されたときは(S2 : YES)、操縦部 5にオペレータが居ることを意味するの
で、次いで、主変速位置センサ 147の検出情報に基づいて主変速レバー 77を前方 に傾動操作している力否かを判別する (ステップ S3)。主変速レバー 77を前方に傾 動操作して!/ヽな 、 (中立又は後傾して!/ヽる)と判断されたときは (S3: NO)、走行機体 1が停止又は後退動している状態であり、力かる状態で刈取脱穀作業をすることはま ずないから、そのままリターンする。
[0157] 主変速レバー 77を前方に傾動操作していると判断されたときは(S3 : YES)、走行 機体 1が前進動している状態であり、自動車速制御の実行に支障がないから、次い で、負荷率設定ダイヤル 83の設定値である設定負荷率 LFaと、復帰負荷率 LFbと、 車速センサ 197の検出値 (走行機体 1の車速 V)と、ラック位置センサ 200の検出値( エンジン負荷)とを読み込み (ステップ S4)、該エンジン負荷に基づ!/、て現在のェン ジン負荷率 LFを演算する (ステップ S 5)。
[0158] 次いで、現在のエンジン負荷率 LFがステップ S4にて読み込まれた設定負荷率 LF a以上であるカゝ否かを判別する(ステップ S6)。現在のエンジン負荷率 LFが設定負荷 率 LFaより小さいと判断されたときは(S6 : NO)、刈取部 3や脱穀部 8ひいてはェンジ ン 6にかかる負荷が小さぐ刈取脱穀作業に支障がない状態であるから、そのままリタ ーンする。
[0159] 現在のエンジン負荷率 LFが設定負荷率 LFa以上であると判断されたときは(S6: Y ES、図 12の tlの時点(このときのエンジン負荷率は LFl)参照)、例えば大量の刈取 穀稈を処理している等の理由で、刈取部 3や脱穀部 8ひいてはエンジン 6に大きな負 荷が力かっている状態である。このような状態で刈取脱穀作業を続行すると、ェンジ ン 6が過負荷で停止する(エンジンストップする)おそれがある。
[0160] そこで、この場合は、ステップ S4にて読み込まれた時点の車速 V (図 12で VIと表 記)と、コントローラ 190の ROM192に予め記憶された関係式又は制御マップとから 、自動車速制御実行時の減速量 vr (=AXV)を算出する (ステップ S7)。そして、電 動モータ 170の駆動にて、直進用 HST式変速機構 35の直進用回動軸 105を連係 機構 171を介して矢印 SF方向(前進減速方向)に回動させることによって、所定の減 速時間 tr (図 12では tr = t2— 1 )を要して、走行機体 1の前進方向の車速 Vを減速 量 vrだけ減速させ(図 12に V2と表記)、これに連動してエンジン負荷率 LFを適宜低
下させる(ステップ S8、図 12の t2の時点(このときのエンジン負荷率は LF2)参照)。
[0161] このように、減速前の車速 Vに比例して減速量 vrが大きくなる制御を採用すると、走 行機体 1の前進方向の車速 Vが高速であれば、大きく減速することによってエンジン 負荷率 LFを速やかに低くできる。また、車速 Vが低速であれば、減速量 vrをできるだ け小さく抑えて、刈取部及び脱穀部の回転維持、ひいては刈取脱穀作業の能率維 持を図れる。従って、そのときの車速に見合った適切な自動車速制御を実行でき、刈 取脱穀作業の効率ィ匕に寄与できるのである。
[0162] 走行機体 1の前進方向の車速 Vを減速量 vrだけ減速させた後は、再び車速センサ 197の検出値 (走行機体 1の車速 V)と、ラック位置センサ 200の検出値 (エンジン負 荷)とを読み込み (ステップ S9)、該エンジン負荷に基づ 、て現在のエンジン負荷率 LFを演算する(ステップ S 10)。
[0163] そして、ステップ S10にて求められた現在のエンジン負荷率 LFがステップ S4にて 読み込まれた復帰負荷率 LFb以下であるカゝ否かを判別する (ステップ Sl l)。現在の エンジン負荷率 LFが復帰負荷率 LFb以下であると判断されたときは(S11: YES)、 エンジン負荷が十分に低下し、刈取脱穀作業に支障がない状態になったことを意味 するので、後述するステップ S 15へ移行する。
[0164] 現在のエンジン負荷率 LFが復帰負荷率 LFbより大きいと判断されたときは(S11: NO、図 12の t3の時点(このときのエンジン負荷率は LF2)参照)、エンジン負荷が未 だ十分に低下していないことを意味するので、次いで、ステップ S9にて読み込まれた 時点の車速 Vと、コントローラ 190の ROM192に予め記憶された関係式又は制御マ ップと力ゝら、自動車速制御実行時の減速量 vr ( = A X V)を新たに算出する (ステップ S12) 0
[0165] 次いで、ステップ S8における走行機体 1の減速動作が終了して力もの時間 t (待機 時間)が設定待機時間 tw以上力否か、走行機体 1の減速動作が終了して力も設定 待機時間 twが経過したか否かを判別する (ステップ S 13)。
[0166] 設定待機時間 twが経過していないときは(S13 : NO)、再びステップ S13へ戻る。
設定待機時間 twが経過しているときは(S13 :YES、図 12では tw=t3—t2のとき)、 次いで、電動モータ 170の駆動にて、直進用 HST式変速機構 35の直進用回動軸 1
05を連係機構 171を介して矢印 SF方向(前進減速方向)に回動させることによって 、所定の減速時間 tr (図 12では tr=t4 t3)を要して、走行機体 1の前進方向の車 速 Vを減速量 vrだけ減速させ(図 12に V3と表記)、これに連動してエンジン負荷率 L Fを再び適宜低下させる(ステップ S14、図 12の t4の時点(このときのエンジン負荷 率は LF3)参照)。そして、ステップ S9に戻る。
[0167] すなわち、ステップ S9〜S 14の一連の流れから明らかなように、現在のエンジン負 荷率 LFが復帰負荷率 LFb以下になるまで、走行機体 1の強制減速動作が繰り返さ れるのである。
[0168] このように制御すると、強制減速動作の繰り返しにてエンジン負荷率 LFを確実に低 減できるから、負荷変動の激しい普通型コンバインであっても、刈取部 3の詰まりや脱 穀部 8の回転低下ひいてはエンジンストップの抑制に効果的であり、 自動車速制御 の実効性 (安定性)の更なる向上を図れるのである。
[0169] ステップ S15では、現在のエンジン負荷率 LFが既に復帰負荷率 LFb以下になって いるので、ステップ S14における走行機体 1の減速動作が終了してからの時間 ( 待機時間)が設定待機時間 tw以上カゝ否かを判別する。
[0170] 設定待機時間 twが経過していないときは(S15 : NO)、再びステップ S15へ戻る。
設定待機時間 twが経過しているときは(S15 :YES、図 12では tw=t5—t4のとき)、 電動モータ 170の駆動にて、直進用 HST式変速機構 35の直進用回動軸 105を連 係機構 171を介して矢印 SC方向 (前進減速方向)に回動させ、所定時間で、走行機 体 1の前進方向の車速 Vを主変速レバー 77の前向き傾動操作位置に対応した元の 車速 VIにまで復帰増速させる(ステップ S 16、図 12の t5の時点以降参照)。その後 、リターンするのである。
[0171] 実施形態においては、操縦部 5内のサイドパネル体 76上に待機時間設定器 98が 配置されているので、当該待機時間設定器 98の設定操作により、自動車速制御に おける先の減速動作終了時点から次の減速動作又は復帰増速動作開始時点まで の待機時間 twを簡単に変更 ·調節できる。
[0172] 従って、刈取脱穀作業をできるだけ手早く (スムーズに)行いたいときは設定待機時 間 twを短くすればょ 、し、走行機体 1がハンチングに近 、状態で進行するのを抑制
して乗り心地及び操縦安全性の向上を図りたいときは設定待機時間 twを長くすれば よい。つまり、作業状況やオペレータの好み等に合わせた状態で自動車速制御を実 行できる。
[0173] また、操縦部 5内のサイドパネル体 76上に負荷率設定ダイヤル 83も配置されてい るので、当該負荷率設定ダイヤル 83の設定操作により、エンジン 6が過負荷状態か 否力 すなわち走行機体 1の前進方向の車速 Vを強制減速する力否かを判別するた めの基準値を任意(実施形態では 70〜100%の範囲)に調節できる。このため、自 動車速制御を実行する際に、作業状況やオペレータの好み等に合わせた適切な設 定を簡単に採用でき、この点でも、自動車速制御の適正化を図れるのである。
[0174] なお、実施形態では、設定負荷率 LFaが決まるとこの値に対応した復帰負荷率 LF bが自動的に定まるという構成を採用することにより、復帰負荷率 LFbについての手 動設定の手間を省略している。この点ではオペレータの操作負担の抑制に寄与して いる。
[0175] (8) . 自動車速制御の第 2実施形態
図 13及び図 14は自動車速制御の第 2実施形態を示している。この例では、コント口 ーラ 190が、走行機体 1の車速を減速する制御をー且実行した後、ラック位置センサ 200の検出情報力 得られたエンジン負荷率 LFが復帰負荷率 LFbより大きく且つ設 定負荷率 LFaより小さくなると (LFbく LFく LFa)、直進用 HST式変速機構 35の直 進用回動軸 105を位置保持させて、走行機体 1の車速をその時点の状態で維持す るように制御するという点において、第 1実施形態と相違している。その他の構成は第 1実施形態と同じである。
[0176] 第 2実施形態における自動車速制御のスタートからステップ T10までの制御態様は 、第 1実施形態におけるスタートからステップ S10までの制御態様(図 11参照)と同様 である。
[0177] ステップ T10にて現在のエンジン負荷率 LFを演算した後は、このエンジン負荷率 L Fがステップ T4にて読み込まれた復帰負荷率 LFb以下であるか否かを判別する (ス テツプ Tl 1)。現在のエンジン負荷率 LFが復帰負荷率 LFb以下であると判断された ときは (T11 :YES)、エンジン負荷が十分に低下し、刈取脱穀作業に支障がない状
態になったことを意味するので、ステップ T16へ移行する。
[0178] ステップ T16においては、現在のエンジン負荷率 LFが既に復帰負荷率 LFb以下 になっているので、走行機体 1の先の減速動作が終了してからの時間 (待機時間 )が設定待機時間 tw以上カゝ否かを判別する。
[0179] 設定待機時間 twが経過していないときは(T16 : NO)、再びステップ T16へ戻る。
設定待機時間 twが経過しているときは(T16 : YES)、電動モータ 170の駆動にて、 直進用 HST式変速機構 35の直進用回動軸 105を連係機構 171を介して矢印 SC 方向(前進減速方向)に回動させ、所定の減速時間 trで、走行機体 1の前進方向の 車速 Vを主変速レバー 77の前向き傾動操作位置に対応した元の車速 VIに向けて 復帰増速させる (ステップ T17)。その後、リターンする。
[0180] 一方、ステップ T11において、現在のエンジン負荷率 LFが復帰負荷率 LFbより大 きいと判断されたときは (Ti l : NO)、次いで、現在のエンジン負荷率 LFが設定負荷 率 LFa以上である力否かを再び判別する(ステップ T12)。
[0181] 現在のエンジン負荷率 LFが設定負荷率 LFa以上であると判断されたときは (T12 :
YES、図 14の t2^ の時点(このときのエンジン負荷率は LF )参照)、エンジン負 荷が未だ低下していないことを意味するので、次いで、ステップ T9にて読み込まれた 時点の車速 Vと、コントローラ 190の ROM192に予め記憶された関係式又は制御マ ップと力ゝら、自動車速制御実行時の減速量 vr ( = A X V)を新たに算出する (ステップ T13)。
[0182] 次いで、走行機体 1の先の減速動作が終了して力もの時間 t (待機時間)が設定待 機時間 tw以上か否か、換言すると、走行機体 1の減速動作が終了してから設定待機 時間 twが経過したか否かを判別する (ステップ T14)。
[0183] 設定待機時間 twが経過していないときは(T14 :NO)、再びステップ T14へ戻る。
設定待機時間 twが経過しているときは(T14 :YES、図 14では tw=t3' — 12' のと き)、次いで、電動モータ 170の駆動にて、直進用 HST式変速機構 35の直進用回 動軸 105を連係機構 171を介して矢印 SF方向(前進減速方向)に回動させることに よって、所定の減速時間 tr (図 14では tr=t4^ t3' )を要して、走行機体 1の前進 方向の車速 Vを所定時間で減速量 vrだけ減速させ(図 14に V3' と表記)、これに連
動してエンジン負荷率 LFを再び適宜低下させる(ステップ Tl 5、図 14の t4' の時点 (このときのエンジン負荷率は LF2' )参照)。そして、ステップ T9に戻る。
[0184] すなわち、ステップ T9〜T15の一連の流れから明らかなように、現在のエンジン負 荷率 LFが設定負荷率 LFa以下になるまで、走行機体 1の強制減速動作が繰り返さ れるのである。
[0185] ステップ T12において、現在のエンジン負荷率 LFが設定負荷率 LFaより小さいと 判断されたときは (T12 :NO)、エンジン負荷率 LFが復帰負荷率 LFbより大きく且つ 設定負荷率 LFaより小さくなつた状態であるので (LFb<LF<LFa、図 14の t4' の 時点(このときのエンジン負荷率は LF2' )参照)、次 、で、直進用 HST式変速機構 35の直進用回動軸 105を位置保持させて、走行機体 1の車速 Vをその時点 (ステツ プ T9にて読み込んだ車速 V、図 14に と表記)の状態で維持する (ステップ T18 )。その後、リターンする。
[0186] このように制御すると、自動車速制御の実行時に、エンジン負荷率 LFが復帰負荷 率 LFbより大きく且つ設定負荷率 LFaより小さくなれば、その時点での所定車速 Vを 維持した状態で走行機体 1が走行することになる。従って、自動車速制御実行中の 車速変動が極力抑えられ、当該制御実行中の乗り心地の悪ィ匕を抑制できるのである
[0187] (9) . 自動車速制御の第 3実施形態
次に、図 15〜図 18を参照しながら、自動車速制御の第 3実施形態について説明 する。この例のサイドパネル体 76上には、前述した待機時間設定器 98に代えて、減 速度設定手段としての減速度設定器 96と、加速度設定手段としての加速度設定器 9 7とが配置されている。
[0188] 減速度設定器 96は、自動車速制御において走行機体 1が強制減速するときの減 速度 (負の加速度)を手動設定するためのものである。加速度設定器 97は、自動車 速制御において走行機体 1が復帰増速するときの加速度 (正の加速度)を手動設定 するためのものである。これら両設定器 96, 97はいずれも、その摘み (指針)の位置 を連続的 (アナログ的)又は段階的 (デジタル的)に変更 ·調節し得るように構成され ている。また、両設定器 96, 97とも、待機時間設定器 98に代えて、コントローラ 190
の入力インターフェイスに接続されて 、る。
[0189] 減速度設定器 96による減速度の調節可能範囲は、 0 (零)より大きく且つ減速前の 元の車速 Voを所定時間 tで割った値 (VoZt)以下という範囲内に含まれた所定レン ジになっている。ここで、元の車速 Voを所定時間 tで割った値 (VoZt)は、所定時間 tを要して走行機体 1を元の車速 Vo力 実質上停止するまで強制減速させるときの 減速度 (負の加速度)の絶対値に相当する。
[0190] このため、減速度設定器 96にて設定減速度 α (図 16及び図 17参照)を上限値に 手動設定した場合は、自動車速制御での強制減速にて走行機体 1は実質上停止す るまで減速するが、減速し過ぎて後退動することはない。
[0191] 加速度設定器 97による加速度の調節可能範囲は、減速度設定器 96にて手動設 定された設定減速度 exを基準として、後述するコントローラ 190にて自動的に設定さ れる。この場合の調節可能範囲は、 0より大きく且つ設定減速度 αの絶対値より小さ いというレンジが採用されている。換言すると、加速度設定器 97による設定加速度 |8 (図 16及び図 17参照)の上限値は、設定減速度 αの絶対値より小さくなるように( < I a I )、後述するコントローラ 190にて制限されている。力かる上限値は設定減 速度 αの絶対値の 1/2以下( ≤ I a | /2)であるのが望ましい。
[0192] 図 17及び図 18に示す自動車速制御の第 3実施形態を実行するに当たって、自動 車速スィッチ 82は入り状態に設定されて 、るものとする。設定負荷率 LFaは負荷率 設定ダイヤル 83にて予め設定され、復帰負荷率 LFbと共にコントローラ 190の RAM 193に記憶されているものとする。また、設定減速度 αは減速度設定器 96にて、設 定加速度 j8は加速度設定器 97にて予め設定され、これらの値もコントローラ 190の R AM193に記憶されているものとする。更に、強制減速に要する所定時間 tに関する データは、例えばコントローラ 190の ROM192等に記憶させることにより予め設定さ れているものとする。
[0193] 第 3実施形態における自動車速制御のスタートからステップ E3までの制御態様は、 第 1及び第 2実施形態におけるスタートからステップ S3, T3までの制御態様(図 11 及び図 13参照)と同様である。
[0194] ステップ E4では、負荷率設定ダイヤル 83の設定値である設定負荷率 LFaと、復帰
負荷率 LFbと、減速度設定器 96の設定値である設定減速度 αと、加速度設定器 97 の設定値である設定加速度 βと、車速センサ 197の検出値 (走行機体 1の車速 V)と 、ラック位置センサ 200の検出値 (エンジン負荷)とを読み込み、次いで、該エンジン 負荷に基づ 、て現在のエンジン負荷率 LFを演算する (ステップ Ε5)
[0195] 次いで、現在のエンジン負荷率 LFがステップ Ε4にて読み込まれた設定負荷率 LF a以上であるカゝ否かを判別する(ステップ E6)。現在のエンジン負荷率 LFが設定負荷 率 LFaより小さいと判断されたときは (E6 : NO)、刈取部 3や脱穀部 8ひいてはェンジ ン 6にかかる負荷が小さぐ刈取脱穀作業に支障がない状態であるから、そのままリタ ーンする。
[0196] 現在のエンジン負荷率 LFが設定負荷率 LFa以上であると判断されたときは (E6 Y ES、図 18の tl の時点(このときのエンジン負荷率は LF1 )参照)、例えば大量の 刈取穀稈を処理している等の理由で、刈取部 3や脱穀部 8ひいてはエンジン 6に大き な負荷力かかっている状態である。このような状態で刈取脱穀作業を続行すると、ェ ンジン 6が過負荷で停止する(エンジンストップする)おそれがある。
[0197] そこで、この場合は、ステップ E4にて読み込まれた現在の車速 V (図 18で VIと表 記)と設定減速度 αと所定時間 tとから、自動車速制御における強制減速後の車速 V R ( =V+ a X t αは負の値)を算出する(ステップ E7)。そして、電動モータ 170の 駆動にて、直進用 HST式変速機構 35の直進用回動軸 105を連係機構 171を介し て矢印 SF方向(前進減速方向)に回動させ、所定時間 t (図 18では t=t2 —tl ) を要して、走行機体 1の前進方向の車速 Vを車速 VR (図 11に V2〃 と表記)まで減速 させ、これに連動してエンジン負荷率 LFを適宜低下させる(ステップ E8、図 18の t2 " の時点(このときのエンジン負荷率は LF2〃 )参照)。
[0198] 第 3実施形態においては、操縦部 5内のサイドパネル体 76上に減速度設定器 96 が配置されているので、当該減速度設定器 96の設定操作により、自動車速制御に おける強制減速時の設定減速度 OCひいては走行機体 1の減速量を、圃場状況ゃォ ペレータの好み等に合わせて簡単に変更 *調節できる。従って、現状に見合った適 切な自動車速制御を実行できると共に、制御実行中の乗り心地も向上する。
[0199] 走行機体 1の前進方向の車速 Vを VR (図 18では V2〃 )まで減速させた後は、再び
車速センサ 197の検出値 (走行機体 1の車速 V)と、ラック位置センサ 200の検出値( エンジン負荷)とを読み込み (ステップ E9)、該エンジン負荷に基づ!/、て現在のェン ジン負荷率 LFを演算する (ステップ E10)
[0200] そして、ステップ E10にて求められた現在のエンジン負荷率 LFがステップ E4にて 読み込まれた復帰負荷率 LFb以下であるカゝ否かを判別する (ステップ El l)。現在の エンジン負荷率 LFが復帰負荷率 LFb以下であると判断されたときは (E11 YES) エンジン負荷が十分に低下し、刈取脱穀作業に支障がない状態になったことを意味 するので、後述するステップ E 14へ移行する。
[0201] 現在のエンジン負荷率 LFが復帰負荷率 LFbより大きいと判断されたときは (E11 NO、図 18の t3 の時点(このときのエンジン負荷率は LF2 )参照)、エンジン負荷 が未だ十分に低下していないことを意味するので、次いで、ステップ E9にて読み込 まれた現在の車速 Vと設定減速度 ocと所定時間 とから、自動車速制御における強 制減速後の車速 VR ( =V+ a X t αは負の値)を新たに算出する (ステップ E12)。
[0202] 次いで、電動モータ 170の駆動にて、直進用 HST式変速機構 35の直進用回動軸 105を連係機構 171を介して矢印 SF方向(前進減速方向)に回動させ、所定時間 t ( 図 18では t=t4" -13" )を要して、走行機体 1の前進方向の車速 Vを車速 VR (図 18に V3 と表記)まで減速させ、これに連動してエンジン負荷率 LFを再び適宜低 下させる(ステップ E13、図 18の t4 の時点(このときのエンジン負荷率は LF3 )参 照)。そして、ステップ E9に戻る。すなわち、ステップ E9 E13の一連の流れから明 らかなように (第 1及び第 2実施形態と同様に)、現在のエンジン負荷率 LFが復帰負 荷率 LFb以下になるまで、走行機体 1の強制減速動作が繰り返される。
[0203] このように制御すると、強制減速動作の繰り返しにてエンジン負荷率 LFを確実に低 減できるから、負荷変動の激しい普通型コンバインであっても、刈取部 3の詰まりや脱 穀部 8の回転低下ひいてはエンジンストップの抑制に効果的であり、 自動車速制御 の実効性 (安定性)の更なる向上を図れるのである。
[0204] ステップ E14では、現在のエンジン負荷率 LFが既に復帰負荷率 LFb以下になって いるので、適宜時間経過後に、電動モータ 170の駆動にて、直進用 HST式変速機 構 35の直進用回動軸 105を連係機構 171を介して矢印 SC方向(前進減速方向)に
回動させ、走行機体 1の前進方向の車速 Vを、ステップ E4にて読み込まれた設定カロ 速度 j8にて、主変速レバー 77の前向き傾動操作位置に対応した元の車速 VIにま で復帰増速させる(図 18の t5の時点以降参照)。その後、リターンするのである。
[0205] 第 3実施形態においては、操縦部 5内のサイドパネル体 76上に加速度設定器 97も 配置されているので、当該加速度設定器 97の設定操作により、設定減速度 αだけ でなぐ復帰増速時の設定加速度 j8についても、圃場状況やオペレータの好み等に 合わせて簡単に変更 '調節できる。このため、オペレータ自らの設定操作により、走 行機体 1が急激にスピードアップするおそれを回避でき、オペレータは安全に操縦で きる。
[0206] また、第 3実施形態では、設定加速度 βの上限値が設定減速度 ocの絶対値より小 さくなるように制限されているので(j8 < I α I )、自動車速制御における復帰増速 時の安全性確保に高い効果を発揮できる。特に、設定加速度 βの上限値が設定減 速度 αの絶対値の 1/2以下(|8≤ I a | /2)であれば、自動車速制御における復 帰増速時の安全性を確実に確保できるのである。
[0207] ( 10) . 自動車速制御の第 4実施形態
図 19は自動車速制御の第 4実施形態を示している。この例では、減速度設定器 96 がなぐ走行機体 1の車速を減速する制御を実行するに際して、コントローラ 190が現 在の車速と所定の関係式又は制御マップとから減速量 vrを算出し、この算出結果( 減速量 vr)分だけ走行機体 1の車速を減速させるように制御すると!/、う点にぉ 、て、 第 3実施形態と相違して ヽる。
[0208] この場合、コントローラ 190の ROM192〖こ、ブレーキ軸 48 (図 2参照)に関連させて 設けられた車速検出用の車速センサ 197の検出値 V (走行機体 1の車速)と、この車 速 Vに対する自動車速制御実行時の減速量 vrとの関係を示す関係式又は制御マツ プを予め記憶させる。
[0209] 関係式としては例えば vr=K X Vが挙げられる。ここで Kは比例定数であり、当該比 例定数 Kは 0より大きく 1以下 (0< K≤1)の値とし、車速 Vが大きくなる(高速になる) ほど減速量 vrが大きくなる(大きく減速する)という関係に設定する。力かる設定を採 用すると、 0 < K≤1という関係にあるから、減速量 vrが車速 Vを超えることはない。す
なわち、 自動車速制御の実行時に減速し過ぎて走行機体 1が後退動することはない 。なお、車速 Vとこれに対応する減速量 vrとの対のデータを、テーブルマップとしてコ ントローラ 190の ROM192に記憶させるようにしてもよい。その他の構成は第 3実施 形態と同じである。
[0210] 第 4実施形態における自動車速制御のスタートからステップ P14までの制御態様は 、第 3実施形態におけるスタートからステップ E14までの制御態様(図 17参照)と基本 的に同じであるが、ステップ P7及び P 12での演算態様だけが第 3実施形態の場合と 異なっている。
[0211] ステップ P7又は P12では、先のステップ P4又は P9にて読み込まれた時点の車速 Vと、コントローラ 190の ROM192に予め記憶された関係式又は制御マップとから、 自動車速制御実行時の減速量 vr (=KXV)を算出する。
[0212] そして、電動モータ 170の駆動にて、直進用 HST式変速機構 35の直進用回動軸 105を連係機構 171を介して矢印 SF方向(前進減速方向)に回動させ、所定時間 t を要して、走行機体 1の前進方向の車速 Vを減速量 vrだけ減速させ、これに連動して エンジン負荷率 LFを適宜低下させるのである(ステップ P8又は P13)。
[0213] 力かる制御を採用すると、走行機体 1の前進方向の車速 Vが高速であれば、大きく 減速することによってエンジン負荷率 LFを速やかに低くできる。また、車速 Vが低速 であれば、減速量 vrをできるだけ小さく抑えて、刈取部 3及び脱穀部 8の回転維持、 ひいては刈取脱穀作業の能率維持を図れる。従って、そのときの車速に見合った適 切な自動車速制御を実行でき、刈取脱穀作業の効率ィ匕に寄与できるのである。
[0214] (11) .その他
本願発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体ィ匕できる。例えば、本 願発明は、前述のような普通型コンノインに限らず、自走自脱型コンバインやトラクタ 等の農作業機やクレーン車等の特殊作業用車両のような各種作業車両に対して広く 適用できる。
[0215] また、前述の実施形態に採用されたエンジンはいずれもディーゼル式のものであつ た力 ガソリン式エンジンであってもよい。この場合、燃料噴射ポンプは、気化器にお ける燃料調節用のスロットル弁の箇所に配置される。スロットル弁の移動位置を調節
する手段としては、該スロットル弁に取り付けられた弁操作軸を回動させる電磁ソレノ イド等のァクチユエータを採用すればよい。スロットル弁の移動位置検出手段 (特許 請求の範囲に記載した負荷検出手段に相当する)は、該スロットル弁の回動角度を 検出するポテンショメータ等の回動角センサを用いればよ!、。
[0216] 更に、前述の実施形態では、自動車速制御においてエンジンの過負荷が解消する まで繰り返し減速する形式を採用したが、これに限らず、自動車速制御において 1回 減速すれば、その後復帰増速する形式 (減速動作と復帰増速動作とが 1対 1対応し た形式)であってもよ 、ことは 、うまでもな!/、。
[0217] その他、各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなぐ本願発明の趣 旨を逸脱しな 、範囲で種々変更が可能である。