JP3755097B2 - 作業機における車速制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、稲、麦、大豆等の収穫のためのスレッシャやコンバイン等の収穫機等の農作業機または地面の土砂を削り、蓄積した後他の運搬車に放出するためのモータスクレーパーやコンクリートミキサー車等の土木用作業機(作業車)における車速を制御する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
脱穀等の処理部が搭載された走行機体の前部に刈取前処理装置を備えたスレッシャやコンバイン等の収穫機においては、走行機体に搭載したガソリンエンジンやデイーゼルエンジン等の一つのエンジンからの動力を、走行駆動部や前記刈取前処理装置、並びに脱穀等の作業部に各々伝達して各箇所に所定の仕事を成さしめる。
【0003】
この場合、湿田走行時には走行負荷が大きい状態で低速走行するので、刈取速度が遅く脱穀部等の負荷はあまり大きくない。反対に乾田における雨濡れ穀稈を刈取るときには、走行負荷がそれ程大きくなくても、雨濡れ穀稈の脱穀のため脱穀部での負荷が大きくなるというように、走行部の負荷の変動と、作業部の負荷の変動とは必ずしも連動しない。
【0004】
従って、先行技術の特開平2−2573号公報に開示されているように、エンジンからの動力を変速制御可能な油圧駆動手段を介して走行部に伝達する一方、前記油圧駆動手段と並列的にエンジンからの動力を作業部に伝達するように構成し、走行部と作業部との変速操作を別系統にしていることが多い。
ところで、特公昭49−34494号公報では、油圧ポンプと油圧モータとからなるHST式無段階変速機構の油圧回路中にチャージポンプと、制御弁とを設け、該制御弁をエンジンの負荷に応じて作動するガバナーに連動させることにより、油圧ポンプの斜板の傾斜角度を変更するように作動させて、作業機の負荷に応じて最適な車速にて走行させるように制御するコンバインの車速制御手段が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記車速制御では、ガバナーによる負荷設定値を基準とし、負荷設定値より少しでも過負荷状態になれば減速し、逆に負荷設定値より少しでも大きくなれば増速させ、コンバインの扱胴の回転速度が常時一定となるように車速制御するものであるから、車速制御にハンチング現象が発生し易いという問題があった。
【0006】
また作業場の条件によっては、前記車速制御だけでは、作業が安定しないという問題もあった。
本発明は、上記の問題を解決して、車速の制御にハンチング現象発生させず、且つ制御の適用範囲を大きくすることができる、作業機における車速制御装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明の作業機における車速制御装置は、作業機に搭載したエンジンからの動力を変速制御可能な油圧ポンプと油圧モータとからなる油圧駆動手段を介して走行部に伝達する一方、エンジンの負荷を電子ガバナー装置等の燃料供給量の検知にて検出し、車速を増減制御する車速制御手段を備えてなる作業機において、主変速レバーの操作に関連させて前記油圧駆動手段における油圧ポンプの斜板を操作して圧油の吐出量を増減制御するように構成し、前記車速制御手段は、車速制御モードと減速制御モードとに選択的に切換可能に構成し、車速制御モードにおいては、エンジン負荷率が一定値を越えると減速し、前記一定値以下なら増速するように制御し、減速制御モードにおいては、前記エンジンの負荷率が一定値以上になったことを検知して、前記主変速レバーの操作位置に対応する保持車速に対して一定比率もしくは一定量だけ車速を減速し、前記エンジンの負荷が適正値に戻ると、所定時間を要して前記保持車速に復帰させるように制御するものである。
【0008】
【発明の作用・効果】
以上のように、車速制御手段は、減速制御モードにおいては、前記主変速レバーの操作位置に対応する車速を保持するように制御する一方、前記エンジンの負荷率が一定値以上になったことを検知して、前記保持車速に対して一定比率もしくは一定量だけ車速を減速し、前記エンジンの負荷が適正値に戻ると、前記保持車速に復帰させるように制御するから、従来のような車速制御にハンチング現象が発生することがない。
【0009】
さらに、所定時間を要して車速を次第に増加させるのであるから、作業機に搭乗しているオペレータが安全に操縦できるし、車速(作業速度)の復元は、予め設定された主変速レバーの位置に対応する速度以上にはならないから、車速が異常に大きくならず安全性を確保することができる。
他方、車速制御モードにおいては、作業中にエンジンの負荷率が一定値を越えると減速し、且つエンジンの負荷率が一定値以下なら増速することによって、エンジンの回転数を定格回転数に維持したまま、エンジン負荷を適正に保持する制御であり、この車速制御モードを実行することにより、作業を安定化するものである。
【0010】
そして、車速制御モードと減速制御モードとに選択的に切換できることにより、作業条件、例えば、車速制御だけでは、倒伏穀稈を刈取脱穀すると、刈取部の穀稈引き起こし能力以上に車速が早くなってトラブルが発生したり、圃場条件や作物の条件が一定していない時には、車速制御でハンチングを起こし易く、搭乗しているオペレータの乗り心地が悪くなるが、そのような場合に、減速制御モードに切り換えると、オペレータが予め設定された主変速レバーの位置に対応する速度以上にはならないためにトラブルの発生やハンチングの発生を防止できる効果を有する。また、圃場条件や作物条件が良い場合には車速制御モードに切り換えて、作業の能率化を図ることができる。
【0011】
このように、モードの切換により、制御の適用範囲を広げることができるという効果を奏する。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に本発明を収穫機であるコンバインに適用した実施形態について説明する。図1は左右一対の走行クローラ2a,2bを有する走行車両であるコンバインの走行機体1の側面図であり、該走行機体1上の一側には脱穀装置3を搭載し、該脱穀装置3の前部には、刈取前処理装置4が図示しない油圧シリンダにて昇降可能に装着されており、該刈取前処理装置4は、その下部フレームの下面側にバリカン式の刈取装置5を、前方には六条分の穀稈引起装置6が配置され、穀稈引起装置6と脱穀装置3におけるフイードチェン7との間には穀稈搬送装置が配置れ、穀稈引起装置6の下部前方には分草体8が突出している。
【0013】
脱穀装置3における扱室内の扱胴をその軸線が走行機体1の進行方向に沿うように配設し、扱室の一側に配置された前記フイードチェン7にて根元部を挟持しつつ搬送される穀稈の穂先部が扱室内の扱胴3aにて脱穀される。扱室の下方には受け網とシーブ等による揺動選別装置と唐箕フアンの風による風選別装置とを備え、脱穀装置3の側方に脱穀済みの穀粒を貯留する籾タンク9が搭載されている。また、走行機体1の後部から突出する穀粒放出オーガ10は、籾タンク9から機体外の図示しない運搬車に脱穀した穀粒を放出するための水平回動可能及び俯仰回動可能に構成されている。走行機体1の前部一側に設けた運転室11内には、図2に示すように、走行機体1を操向するための丸ハンドル12及び速度変更のための主変速レバー13と副変速レバー14、さらには各種操作用のスイッチ(図示せず)が配置されている。
【0014】
左右の走行クローラ2a,2bは、それぞれ、図3に示す動力伝達装置20の左右の出力軸21a,21bから出力される動力にて回転駆動する起動輪22,22と、走行機体1の後端側に後向き付勢された誘導輪23,23とに巻掛けられた履帯24,24と、各履帯24の下側内周面を支持する下部転輪25等からなる。
【0015】
次に、2ポンプ2モータ型のHST式無段階変速機構からなる動力伝達装置20の構成について説明する。図3に示す実施例は、ミッションケース30内に、後述する左右一対の遊星歯車機構31,31等からなる差動歯車機構と、第1油圧ポンプ33及び第1油圧モータ34からなる走行用油圧式駆動手段と、第2油圧ポンプ36及び第2油圧モータ37からなる旋回用油圧式駆動手段と動力伝達用歯車機構等を内装する。走行機体1に搭載したエンジン17からの回転力は、チェンスプロケットと無端チェン60、もしくはベルト及びプリーとを介して、ミッションケース30の外側にて両方の油圧ポンプ33,36の入力軸33aに伝達し、伝達ケース61内の油圧路を介してそれぞれの油圧モータ34,37に油圧動力伝達する。なお、前記共通軸33aの一端部には、後述する油圧サーボ手段に圧油を供給するためのチャージポンプ71が装着されている(図3、図5参照)。
【0016】
図3及び図4に示すように、左右一対の遊星歯車機構31,31は左右対称状であって、同一半径上に複数(実施例では3つ)の遊星歯車39,39,39がそれぞれ回転自在に軸支された左右一対の腕輪38,38をミッションケース30内にて同軸線上にて適宜隔てて相対向させて配置する。前記各遊星歯車39にそれぞれ噛み合う太陽歯車40,40を固着した太陽軸41の左右両端は、両腕輪38,38の内側にてその回転中心部に位置する軸受に回転自在に軸支されている。内周面の内歯と外周面の外歯とを備えたリングギヤ42は、その内歯が前記3つの遊星歯車39,39,39にそれぞれ噛み合うように、太陽軸41と同心状に配置されており、このリングギヤ42は、前記太陽軸41上または、前記腕輪38の外側面から外向きに突出する中心軸43上に軸受を介して回転自在に軸支されている。
【0017】
前記走行用油圧式駆動手段における容量可変式の第1油圧ポンプ33の回転斜板の傾斜角度を変更調節することにて、第1油圧モータ34への圧油の吐出方向と吐出量を変更して、当該第1油圧モータ34の出力軸の回転方向及び回転数が調節可能に構成されている。そして、第1油圧モータ34の入力軸からの回転動力は、歯車44,45,46,47を介して従来から周知の歯車機構にて構成された副変速機構50に伝達され、その出力歯車48を介して太陽軸41に固定したセンター歯車49に伝達される。
【0018】
なお、歯車44の軸44aに関連させた歯車機構51を介して作業機等への回転力を伝達するPTO軸52に出力する。この場合、PTO軸52の中途部にはクラッチ手段52aが備えられている。
従って、前記走行用油圧式駆動手段からの回転動力は、伝動歯車機構及び副変速機構50を介してセンター歯車49に伝達され、次いで、前記左右一対の遊星歯車機構31,31に伝達され、前記左側の腕輪38の中心軸43に固着した伝動歯車53を、左側の出力軸21aに固着した伝動歯車54に噛み合わせて出力する。同様に、右側の腕輪38の中心軸43に固着した伝動歯車53を、右側の出力軸21bに固着した伝動歯車54に噛み合わせて出力する。
【0019】
他方、旋回用油圧式駆動手段における容量可変式の第2油圧ポンプ36の回転斜板の傾斜角度を変更調節する等にて、第2油圧モータ37への圧油の吐出方向及び吐出量を変更して、当該第2油圧モータ37の出力軸の回転方向及び回転数を調節可能に構成されている。そして、第2油圧モータ37からの回転動力は、歯車機構55を介して一対の伝動歯車56,57に伝達される。次いで、図3に示すように左側のリングギヤ42の外歯に対しては伝動歯車56と直接噛み合い、右側の伝動歯車57が逆転軸58に取付く逆転歯車59に噛み合い、この逆転歯車59と右側のリングギヤ42の外歯とが噛み合う。
【0020】
従って、第2油圧モータ37の正回転にて、左側のリングギヤ42が所定回転数にて逆回転すると、右側のリングギヤ42が前記と同一回転数にて正回転することになる。
この構成により、例えば、旋回用油圧式駆動手段を停止させておけば、左右両側のリングギヤ42,42の回転は停止した固定状態である。この状態で走行用油圧式駆動手段を駆動すると、第1油圧モータ34からの回転力は、太陽軸41のセンター歯車49に入力され、その回転力は、左右両側の太陽歯車40,40に同一回転数にて伝達され、左右両側の遊星歯車機構の遊星歯車39、腕歯車38を介して左右両側の出力軸21a,21bに平等に同方向の同一回転数にて出力されるので、直進走行ができる。従って、走行用油圧式駆動手段のみを正回転駆動すると、走行機体1は直進前進し、逆回転駆動したときには直進後退する。
【0021】
反対に、走行用油圧式駆動手段を停止した状態では、前記太陽軸41及び左右両側の太陽歯車40,40は固定される。この場合、図示しないブレーキ手段を作動させるのが好ましい。この状態にて、旋回用の油圧式駆動手段(第2油圧モータ37)を例えば正回転駆動させると、左の遊星歯車39、腕歯車38からなる遊星歯車機構は逆回転する一方、右の遊星歯車39、腕歯車38からなる遊星歯車機構は正回転することになる。従って、左走行クローラ2aは後進する一方、右走行クローラ2bは前進するので、走行機体1はその場で、左にスピンターンすることになる。
【0022】
同様にして、旋回用油圧式駆動手段(第2油圧モータ37)を逆回転駆動させると、左の遊星歯車機構31は正回転し、右の遊星歯車機構31は逆回転して、左走行クローラ2aは前進する一方、右走行クローラ2bは後退するので、走行機体1はその場で、右にスピンターンすることになる。
そして、走行用油圧式駆動手段を駆動しつつ旋回用油圧式駆動手段を駆動した場合には、前進時及び後退時において、前記スピンターン旋回半径より大きい旋回半径で右また左に旋回できることになり、その旋回半径は左右走行クローラ2a,2bの速度に応じて決定されることになる。
【0023】
前記各場合、副変速レバー14を移動させて、路上走行モード、農作業モード、超低速モード等にセットする。この状態で、主変速レバー13を直立姿勢にすれば、中立位置(N位置)となり、主変速レバー13を前傾させると走行車両は前進し、その前傾角度が大きいと、その前進速度が増大する。逆に、主変速レバー13を後傾させると走行車両は後退し、その後傾角度が大きいと、その後退速度が増大するというように構成するのである。また、ハンドル12を右または左に回動することより、走行車両は所定方向に旋回できるのである。
【0024】
図7は、前記走行用油圧式駆動手段における車速制御と、減速制御とに切り換えることができる車速制御の第1実施例における油圧回路70を示し、前記エンジン17にて別途チャージポンプ71を駆動し、ここからの圧油を後述する油圧サーボ手段72に送る。走行用の第1油圧ポンプ33から第1油圧モータ34への閉回路からなる油圧通路中にはその下流側バイパス通路にて油圧モータ34に作用する慣性を吸収するためのブレーキバルブとしての一対の油圧調整弁73が接続されている。各油圧調整弁73は図示するように、チェック弁とリリーフ弁との対からなる。また、この一対の油圧調整弁73より上流側バイパス通路には、チェック弁と絞り弁とからなり、主の油圧回路70(閉回路)の圧油を少しずつ入替えるための一対の圧油調整弁74,74が接続され、前記チャージポンプ71からの圧油通路76を一対の圧油調整弁74,74間に接続する一方、ドレンに圧油を逃がすためのリリーフ弁75に接続している。
【0025】
また、前記圧油通路76の延長部に設けた油圧サーボ手段72は、ピストン100を直進的に移動(実施例では上下方向に移動)させることによりクレイドル型の第1油圧ポンプ33の斜板(図示せず)の傾斜角度を変更させて、車速を変速するように構成するものであって、車速自動制御のための4ポート3位置の電磁制御弁77と、手動切換弁79(後述するスプール101をピストン100に対して相対的に移動させるように構成してもの)とが並列状に接続されている。手動切換弁79は、前記主変速レバー13と図示しない連動機構を介して連結され、主変速レバー13の操作位置に基づいて手動切換弁79を切り換えすることができ、主変速レバー13の手動操作に基づいて、油圧サーボ手段72におけるピストン100を駆動させ、この動きに応じて、連動機構80を介して第1油圧ポンプ33の斜板の斜板の傾斜角度を変更し、以て主変速レバー13のセット位置に応じた車速に保持できるように構成されている。他方、電磁制御弁77からの出力ポートを前記手動切換弁79の出力ポートからピストン100への通路に並列に接続する。この電磁制御弁77は後述するコンピュータ式のコントローラからの所定の指令信号(エンジンの負荷の程度に応じた信号)を、減速用ソレノイド77aまたは増速用ソレノイド77bに送り、前記手動切換弁79が前進位置にある場合のみ、前記油圧サーボ手段72におけるピストン100を移動させて、上述のように第1油圧ポンプ33の斜板の傾斜角度を変更して、車速を増減変速制御することができる。なお、主変速レーバー13ひいては手動切換弁79が中立位置及び後退位置にあるときには、電磁制御弁77への増減速の指令信号は出さない(禁止される)。
【0026】
次に、図5〜図12を参照しながら、油圧サーボ手段72としてのピストン100及びスプール101及び手動切換弁79の構成について説明する。図5は2ポンプ2モータ型のHST式無段階変速機構からなる動力伝達装置20の平面図(一部仮想線)を示し、図5の右側に走行用の第1油圧ポンプ33を、左側に旋回用の第2油圧ポンプ36を入力軸33aにて駆動させるように配置し、図5の上側に走行用の第1油圧モータ34を配置する。なお、旋回用の第2油圧モータ37は前記第2油圧ポンプ36の下方側に配置されている。第1油圧ポンプ33の下方には、同じケースブロック110内に油圧サーボ手段72として、車速用ピストン100と該車速用ピストン100の内径部に摺動可能に嵌挿されたスプール101とを配置する。
【0027】
動力伝達装置20のケースブロック110の外面側(図5の下方側)に突出するボス103の内径に回動枢軸104を回動可能に嵌合し、該回動枢軸104には、走行ストッパー杆105の中途部をナット108にて固定し、該走行ストッパー杆105の先端面に形成された中立保持カム面105aに対して当接する中立保持ローラ106aが中立保持アーム106の先端に回動自在に設けられている。中立保持アーム106は、前記ケースブロック110から突設する支軸106bに回動自在に枢支され、付勢ばね107の付勢力にて中立保持ローラ106aが中立保持カム面105aに常時押圧するように構成されている(図6及び図8参照)。
【0028】
前記ボス103に回動自在に被嵌した筒軸109には、ストッパー板111及び主変速レバー13と図示しない連動機構を介して回動する操作アーム102の基端を各々固定連結し、筒軸109に被嵌した衝撃吸収用の捩じりばね112の両端部を前記走行ストッパー杆105に係止する。
なお、走行ストッパー杆105の他端に設けた係合部105bとストッパー板111の係合切欠き部111aとが係合して、前記操作アーム102が所定角度以上に回動しないよう規制されている。
【0029】
前記回動枢軸104の内端に固定したクランクアーム113の自由端から突設したピン114は、スプール101における下部凹溝115に係合している。従って、操作アーム102の回動角度に応じてクランクアーム113の自由端側を回動させ、スプール101が車速用ピストン100の内径部100cに対して相対的に上下(軸線方向)に移動できるように構成されている。これにより手動切換弁79が構成されている。
【0030】
図11(a)はピストン100の縦断面図、図11(b)は図11(a)のXIb−XIb線矢視図、図11(c)は右側面図、図11(d)は図11(c)の右端面図、図11(e)は図11(a)のXIe−XIe線矢視図、図11(f)は図11(e)のXIf−XIf線矢視断面図である。これらの図から理解できるように、ピストン100の内径部100cにはスプール101が軸線に沿って移動可能な内径部100aを有し、外周の中途部に切欠き形成した凹所の一側面には、前記ピン114が遊嵌できる挿通孔100bが穿設されている。ケースブロック110に穿設したシリンダ116の一側周面には、チャージポンプ71から圧油が供給されるための圧油孔117を穿設し、ピストン100の外周一側面には、軸線方向に長手のポンプポート118を凹み形成し、該ポンプポート118からピストン100の内径部100cに向かって穿設油路118aが形成されている。また、ピストン100の内径部100cには、前記穿設油路118aの部位を軸線方向に挟んだ位置に第1ポート119、第2ポート120が形成されている(図11(a)及び図11(e)参照)。そして、ピストン100の内径部100cより外側には、軸線方向に沿い且つピストン100の各端面に開放される2本の油路121,122が穿設され、油路121は、第1ポート119とシリンダ116の第1端室123とに連通するように形成され、他方の油路122は第2ポート120とシリンダ116の第2端室124とに連通するように形成されている(図8及び図11(a)参照)。
【0031】
図12(a)はスプール101の縦断面図、図12(b)はスプール101の外周側面図を示し、スプール101の内径部には軸線方向に沿いスプール101の両端面に貫通する内径通路125を備え、また、スプール101の外周面には、前記下部凹溝115の位置よりも上位置に、第1外周油路126、第2外周油路127、第3外周油路128が各々所定の間隔にて形成されており、第1外周油路126及び第3外周油路128には各々前記内径通路125に連通する排出通路129,130が穿設されている。
【0032】
さらに、第1外周油路126と第2外周油路127との間のランド部には、軸線方向に所定寸法の矩形状の平行切欠き部131、132を形成し、第2外周油路127と第3外周油路128との間のランド部には、軸線方向に所定寸法の矩形状の平行切欠き部133、134を形成する(図12(b)参照)。この平行切欠き部131と132とは、電磁制御弁77もしくは主変速レバー13の操作によりスプール101に対して相対的に上移動又は下移動したピストン100における第1内径通路119と各々オーバラップし得る。平行切欠き部133と134とは、同じくスプール101に対して相対的に上移動又は下移動したピストン100における第2内径通路120と各々オーバラップし得る。
【0033】
従って、スプール101とピストン100との上下方向の相対移動により、スプール101の第3外周通路128(及び平行切欠き部134)がピストン100の第2ポート120と連通するとき、ピスト100における油路122とスプール101の内径通路125とが連通する。同様に、スプール101の第1外周通路126(及び平行切欠き部131)がピストン100の第1ポート119と連通するとき、ピスト100における油路121とスプール101の内径通路125とが連通する。
【0034】
そして、前記上下移動するピストン100の外周凹所135に係合した連動機構80としての連結ピン136は、クレイドル型の第1油圧ポンプ33の斜板(図示せず)に連結し、ピストン100の移動に応じて斜板の傾斜角度変更すべく当該斜板を回動させ、もって車速を制御するように構成する。
図8は、電磁制御弁77の減速用ソレノイド77a及び増速用ソレノイド77bに指令信号が入力されていない状態を示し、シリンダ116の第1端室123及び第2端室124のいずれにもチャージポンプ71からの圧油は作用しない。
【0035】
他方、主変速レバー13を中立位置に位置させると、操作アーム102及び中立保持アーム106を介して走行ストッパ杆105の中立保持カム面105aの中立位置に前記中立保持ローラ106aが位置する一方、ストッパ杆105、回動枢軸104及びクランクアーム113を介してその先端のピン114、下部凹溝115にてスプール101を前記ピストン100に対して所定位置で停止する。この状態では、チャージポンプ71からの圧油が圧油孔117を介してピストン100外周面のポンプポート118に供給されるが、スプール101が中立位となり、当該スプール101における第1外周油路126と第2外周油路127との間のランド部に圧油が入るだけで、他のランド部がピストン100の内周における第1ポート119及び第2ポート120を塞ぐので油圧カットされ、従って、ピストン100は上下移動しない。従って、コンバインは前進・後退は停止する。
【0036】
電磁制御弁77がOFFの状態において、主変速レバー13を中立位置よりも前方向に回動させると、その回動角度に応じた速度で前進させる制御では、該主変速レバー13の動きに連動する連動機構を介して前記操作アーム120が所定方向に回動し、この動きを走行ストッパ杆105、回動枢軸104を介してクランクアーム113を所定方向に所定角度だけ回動させる。このクランクアーム113先端のピン114がスプール101の下部凹溝115に嵌合しているので、当該スプール101は上又は下位置に所定量だけ移動する。そして、例えば、スプール101がピストン100に対して相対的に上移動し、第2外周油路127がピストン110における第2ポート120に連通する位置に来たときには、チャージポンプ71からの圧油が圧油孔117→ポンプポート118→第2外周油路127→第2ポート120→油路122を介してピストン100の下端側の第2端室124に送られ、当該ピストン100を上向きに移動させるから、連結ピン136を介して第1油圧ポンプ33の斜板を所定角度回動して、第1油圧モータ34を所定速度にて回転駆動させるように圧油を送ることになる。なお、第1端室123からの戻り油は、油路121→第1ポート119→第1外周路126→排出通路129→内径通路125を経てドレンに戻される。
【0037】
逆に、中立位置よりも後方向に主変速レバー13を回動させると、その回動角度に応じた速度で後退するように制御するに当たり、前記スプール101が下降移動し、第2外周油路127がピストン110における第1ポート119に連通する位置に来ることにより、チャージポンプ71からの圧油が圧油孔117→ポンプポート118→第2外周油路127→第1ポート119→油路121を介してピストン100の上端側の第1端室123に送られ、当該ピストン100を下向きに移動させ、斜板を回動させてコンバインを後退移動させるべく第2油圧モータ34に圧油を送る。このとき、第2端室124からの戻り油は、油路122→第2ポート120→第3外周路128→排出通路130→内径通路125を経てドレンに戻される。しかして、この構成が手動切換弁79に対応することは以上の説明にて容易に理解できるであろう。
【0038】
また、前記主変速レバー13ひいては手動切換弁79が前進位置にある場合のみ、電磁制御弁77の減速用ソレノイド77aもしくは増速用ソレノイド77bに所定の信号が入ると、ピストン100をスプール101に対して相対的に上移動または下移動させることで、前記走行用の第1油圧ポンプ33における斜板の回動角度を変更制御すべく連結ピン136を上または下に所定量移動させることができる。例えば、前進の自動車速制御において、増速用ソレノイド77bに所定のデューティ比のパルス信号を付与し、図9に示すように、第1端室123にチャージポンプ71からの圧油が電磁制御弁77を介して送られ始めると、ピストン100の上端に油圧が作用して当該ピストン100を下降させる。そして、スプール101の第1外周通路126とピストン100内径の第1ポート119とが連通すると、余剰の油は排出通路129から内径通路125を介してドレンに戻される。なお、スプール101の第1外周通路126に連通する平行切欠き部131が第1ポート119と連通すると、平行切欠き部131の絞り効果により流量制御を行う。さらに、ピストン100が下降すると、第2外周通路127と第2ポート120とが連通し、チャージポンプ71からの圧油がポンプポート118→第2外周通路127→第2ポート120→油路122を介してピストン100の下端側に対する第2端室124に供給されるが、電磁制御弁77側の戻り油回路を介してドレンに戻され、ピストン10を上移動させない安定時となる(図10参照)。
【0039】
なお、旋回用の第2油圧ポンプ36における斜板の角度を変更調節するための旋回用の油圧サーボ機構137は、図5の左側に示すごとく、第2油圧ポンプ36の近傍に配置され、この旋回用の油圧サーボ機構137と前記走行用(車速制御用)のサーボ手段72とはほぼ同じ構成であって、旋回用丸ハンドル12の操作にて旋回時に前述のごとく車速の変更も実行するので、前記連結ピン136を介して旋回用の油圧サーボ機構137におけるピストン(図示せず)と前記走行用のサーボ手段72におけるピストン100とが連結されて、連動するように構成されている。
【0040】
次に、この構成における車速制御モードと、減速制御モードについて説明する。ここで、車速制御モードにおいては、作業中にエンジン17の負荷率が一定値を越えると減速し、且つエンジンの負荷率が一定値以下なら増速することによって、エンジンの回転数を定格回転数に維持したまま、エンジン負荷を適正に保持する制御であり、この車速制御モードを実行することにより、作業を安定化するものである。
【0041】
他方、減速制御モードでは、作業中に、エンジン17の負荷率が一定値を越えると、車速を一定量もしくは一定比率だけ減速させ、エンジン負荷が適正値に戻ると、車速を元の設定値に復帰させるように制御するものであって、エンジン負荷の変動による車速変更の時のハンチング現象を回避すると共に、車速(作業速度)の復元は、予め設定された主変速レバーの位置に対応する速度以上にはならないから、車速が異常に大きくならず安全性を確保することができる。
【0042】
図13に示す符号81は、走行機体の車速制御やエンジンへの燃料供給量調節制御により、前記車速制御モード及び減速制御モードを実行する制御手段としての制御装置であって、少なくとも、エンジンの負荷率が一定値以上になると、前記油圧サーボ手段72を介して第1油圧ポンプ33の斜板の傾斜角度を変更調節し、圧油吐出量を調整して、最終的には、前記第1油圧モータ34の回転速度、ひいては車速を減速制御することができる。該制御装置81は、マイクロコンピュータ等の電子制御による中央処理装置(CPU)と、中央処理装置で演算処理するのに必要な制御プログラム、初期値、後述の演算に必要な演算マップ等を予め記憶しておく読み取り専用メモリ(ROM)と、演算処理するのに用いられる各種入力データを一時的に記憶するための読み書き可能メモリ(RAM)と、入出力インターフェイス等から成り、以下のような入出力部を接続する。
【0043】
即ち、自動車速制御モードと減速制御モードとに切替えるためのモード切替えスイッチ82、走行部における車速センサ83、エンジン17の回転数を検出するために当該エンジン17の出力軸またはミッションケースの出力軸等に設けたパルスエンコーダ等のエンジン回転数センサ84、エンジンの負荷状態を検知することができる負荷センサとしての、燃料供給装置における燃料供給量を検知する負荷センサ85、刈取前処理装置4をONにより動力接続作動させる刈取りクラッチ装置のON・OFFスイッチ86、脱穀部3をONにより動力接続作動させる脱穀クラッチ装置のON・OFFスイッチ87、及び主変速レバー13の操作位置を検知するためのレバー位置センサ88等は制御装置81の入力ポートに接続する。
【0044】
また、制御装置81の出力ポートには、走行クローラ2a,2bの走行用の第1油圧ポンプ33の斜板の角度を変更調節する前記電磁制御弁77の減速用ソレノイド77aと増速用ソレノイド77b、さらには旋回用の第2油圧ポンプ36の斜板の角度を変更調節する電磁制御弁の右旋回用ソレノイド89a及び左旋回用ソレノイド89b、燃料供給装置84a、自動操作中であることを表示する表示ランプ90と、エンジンの負荷状態を液晶等の文字にて表示したり、作業部の過負荷など負荷状態を警告表示ランプにて示すことができる表示装置91を制御装置28の出力ポートに各々接続している。
【0045】
なお、図示しないが、刈取クラッチ装置の電磁ソレノイド、籾タンクから外に穀物を排出する排出オーガ10のオーガクラッチ装置の電磁ソレノイド、走行クラッチ装置の電磁ソレノイド、脱穀クラッチ装置の電磁ソレノイド等も制御装置28の出力ポートに各々接続している。
前記燃料供給装置84aは、エンジン17がガソリンエンジンであるときには吸気系のキャブレタのスロットル弁やエアフローメータ等の箇所に設置する燃料噴射ポンプであり、エンジン17がデイーゼルエンジンであるときはシリンダ内に直接噴射する燃料噴射ポンプであり、これらの燃料供給量の調節位置駆動手段としては、前記スロットル弁の場合にはその弁の開閉度を操作する弁操作軸を回動するソレノイド等のアクチェータであり、燃料噴射ポンプの場合にはその噴射量を調節するプランジャの位置を調節するラックに取付いてこれを移動させるステップモータ等のアクチェータ等である。
【0046】
また、負荷センサ85はスロットル弁の回動角度を検出するポテンショメータ、または前記ラックと並行状に取付き当該ラックの移動位置を検出できる直線差動トランス形変位センサなどがある。
次に、減速制御モードにおける車速制御の態様について説明する。モード切換スイッチ82を減速制御モード側に切り換える。主変速レバー13を中立位置(停止位置)から前方に回動すると、その回動角度に応じた車速Vsにて前進走行できる。なお、主変速レバー13を中立位置から後方に回動するとその角度に応じて後退走行する。このコンバインの走行速度は、主変速レバー13のセット位置に対応した速度に保持される。なお、主変速レバー13の回動位置は、前記レバー位置センサ88にて検知され、主変速レバー13が前進位置にあると検知されるときにはコントローラ(制御装置)81から電磁制御弁77への指令信号の出力を許容するが、主変速レバー13が中立位置(停止位置)及び後退位置にあると検知されるときには、コントローラ(制御装置)81から電磁制御弁77への指令信号の出力を禁止し、不用意にコンバインが動き、または後退時に増速する等の事態が発生しないようにして安全性を確保している。
【0047】
そして、エンジン負荷が図14(a)に示すように、定格値の95%以上になれば、減速指令信号をOFFからONとし、逆に定格値の85%以下になればONからOFFに切り替わるように制御装置81から信号を出す。減速指令信号がONの状態では、前記主変速レバー13の前進時における回動位置の如何に拘らず、前記電磁制御弁77の減速用ソレノイド77aに対して減速用の連続駆動信号もしくはパルス幅変調制御用のパルス信号を出力して、前記保持速度Vsの一定割合だけ減速する(図14(b)参照)。
【0048】
次いで、エンジン負荷が適正値(実施例の場合、定格値の85%以下)に戻れば、減速指令信号がONからOFFに切り替わり、図14(b)に示すように、元の保持速度Vsに復帰するが、その場合、急激に増速するのではなく、所定時間t(例えば数秒)を要して順次増大させるのである。このように車速を次第に増加させると、コンバインに搭乗しているオペレータが安全に操縦できるし、動力伝達機構部にも悪影響を及ぼすことがない。
【0049】
次に、車速制御モード時における制御態様について説明する。このモードでは、電子ガバナによりエンジン17の回転数を一定に保持するという、いわゆるアイソクロナス制御を実行すると共に、このエンジン17の負荷率に応じて車速制御して作業機における負荷を一定に保持しようとするものである。即ち、エンジン17の負荷率が一定値を越えると減速し、且つエンジンの負荷率が一定値以下なら増速することによって、エンジンの回転数を定格回転数に維持したまま、エンジン負荷を適正に保持する制御である。切換スイッチ82を車速制御モードに切り換えると、コントローラ81から燃料供給装置84aの電子ガバナにエンジン回転数を一定に保持する制御信号を与える。この信号を受けた電子ガバナはアクチュエータにより燃料噴射ポンプのラックを移動させることより燃料供給量を調節する。エンジン回転数制御部では、検出されたエンジン回転数が負荷によって設定回転数と異なった場合にその回転数を設定回転数に復帰させるために設定する補正設定回転数を求めるための数表(テーブルマップ)もしくは演算式、エンジンの無負荷ときにおける補正設定回転数と、これを得ることができるラックの位置(無負荷相当ラック位置)との関係を求めるためのテーブルマップ又は演算式、前記無負荷相当ラック位置と検出ラック位置とから設定回転数を得るのに必要とするラック位置(目標ラック位置)を求めるための数表(テーブルマップ)もしくは演算式、及び前記各回転数におけるラックの最大許容位置が記憶されている。
【0050】
そして、負荷の変動によって検出回転数が設定回転数と異なった場合に、補正設定回転数を算出し、その補正設定回転数に対応する無負荷相当ラック位置を読出し、この無負荷相当ラック位置と実際のラック位置とから目標ラック位置を算出する。エンジン回転数制御部では、このようにして求められた目標ラック位置へラックを移動させるための信号を電子ガバナに出力するのである。
【0051】
この実施例では一定に保持すべきエンジン回転数は所定の設定されたものであり、例えば定格回転数とする。車速制御部では、前記エンジン回転数制御部の制御出力信号に応じて前記電磁制御弁77を制御して油圧サーボ手段72により走行用の第1油圧ポンプ33の斜板の変位にて回転速度を増速変更し、エンジン負荷を略一定にする。即ち、エンジンの負荷状態を負荷センサ(ラック位置センサ)85にて検知し、エンジンの定格回転数はエンジン回転数センサ84から検知する。エンジン回転数を定格回転数に維持する制御状態において、エンジンの負荷率を一定値にするため、車速変更を行わない不感帯をラック位置の移動範囲内のある範囲に選定する。その不感帯の範囲外に位置するときには車速を増速(減速)する制御を実行するのである。なお、この場合も、主変速レバー13が前進位置にあるときのみ前記車速制御モードとなるのであって、主変速レバー13が中立位置及び後退位置にあるときには、前記車速制御モードは実行されない。
【0052】
図15及び図16は別の実施例を示し、前記実施例におけると同様の構成のマイクロコンピュータ等の制御装置(コントローラ)81の入力部には、自動車速制御モードと減速制御モードとに切替えるためのモード切替えスイッチ82、走行部における車速センサ83、エンジン17の回転数を検出するために当該エンジン17の出力軸またはミッションケースの出力軸等に設けたパルスエンコーダ等のエンジン回転数センサ84、エンジンの負荷状態を検知することができる負荷センサとしての、燃料供給装置における燃料供給量を検知する負荷センサ85、刈取前処理装置4をONにより動力接続作動させる刈取りクラッチ装置のON・OFFスイッチ86、脱穀部3をONにより動力接続作動させる脱穀クラッチ装置のON・OFFスイッチ87、及び主変速レバー13の操作位置を検知するためのレバー位置センサ88等は制御装置81の入力ポートに接続する。
【0053】
また、制御装置81の出力ポートには、燃料供給装置84a、走行用の第1油圧ポンプ33の斜板の角度を変更調節するための正逆回転可能なモータ等のアクチュエータ92、さらには旋回用の第2油圧ポンプ36の斜板の角度を変更調節する電磁制御弁の右旋回用ソレノイド89a及び左旋回用ソレノイド89b、自動操作中であることを表示する表示ランプ90と、エンジンの負荷状態を液晶等の文字にて表示したり、作業部の過負荷など負荷状態を警告表示ランプにて示すことができる表示装置91を制御装置28の出力ポートに各々接続している。なお、前記アクチュエータ92は主変速レバー13の前進、後退等の回動位置に対応した出力信号に応じて作動するものである。
【0054】
この実施例においては、切換スイッチ82のモード切換に応じて前記車速モードの制御及び減速制御モードの制御を実行するとき、前記の油圧サーボ手段72に代えてアクチュエータ92にて図16の第1油圧ポンプ33における斜板の回動位置変更を実行する。車速モードの制御態様及び減速制御モードの制御態様は前記実施例とほぼ同じであるので詳細な説明は省略する。
【0055】
この実施形態の場合も、主変速レバー13が前進位置にあるときのみ、前記車速制御モード及び減速制御モードとなるのであって、主変速レバー13が中立位置及び後退位置にあるときには、前記両制御モードは実行されない。
以上の各実施例において、車速制御モードと減速制御モードとに切換できることにより、作業条件、例えば、車速制御だけでは、倒伏穀稈を刈取脱穀すると、刈取部の穀稈引き起こし能力以上に車速が早くなってトラブルが発生したり、圃場条件や作物の条件が一定していない時には、車速制御でハンチングを起こし易く、搭乗しているオペレータの乗り心地が悪くなるが、そのような場合に、減速制御モードに切り換えると、オペレータが予め設定された主変速レバーの位置に対応する速度以上にはならないためにトラブルの発生やハンチングの発生を防止できる効果を有する。また、圃場条件や作物条件が良い場合には車速制御モードに切り換えて、作業の能率化を図ることができる。
【0056】
このように、モードの切換により、制御の適用範囲を広げることができるという効果を奏する。
なお、本発明は、前記コンバインばかりでなく、他の種類の農作業機や土木作業機にも適用できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンバインの側面図である。
【図2】コンバインの正面図である。
【図3】2ポンプ2モータ型油圧式無段階変速機構のスケルトン図である。
【図4】一対の遊星歯車機構部の一部断面図である。
【図5】2ポンプ2モータ型油圧式無段階変速機構の一部平面図である。
【図6】図5のVI-VI 線矢視で示す第1油圧ポンプ部分の一部切欠き前面図である。
【図7】第1実施形態の油圧回路図である。
【図8】電磁制御弁の中立時における油圧サーボ手段の断面図である。
【図9】動作初期時の油圧サーボ手段の断面図である。
【図10】安定時の油圧サーボ手段の断面図である。
【図11】(a)はピストン100の縦断面図、(b)は図11(a)のXIb−XIb線矢視図、(c)は右側面図、(d)は図11(c)の右端面図、(e)は図11(a)のXIe−XIe線矢視図、(f)は図11(e)のXIf−XIf線矢視断面図である。
【図12】(a)はスプールの縦断面図、(b)はスプールの外周側面図である。
【図13】第1実施形態の車速制御装置の機能ブロック図である。
【図14】(a)はエンジン負荷と減速指令信号のON・OFFとの関係を示す説明図、(b)は減速指令信号のON・OFFに伴う車速の変動を示すタイムチャートである。
【図15】第2実施形態の車速制御装置の機能ブロック図である。
【図16】第2実施形態の油圧回路図である。
【符号の説明】
1 走行機体
2a,2b 走行装置
3 脱穀装置
4 刈取前処理装置
17 エンジン
33 第1(走行用)油圧ポンプ
34 第1(走行用)油圧モータ
70 油圧回路
71 チャージポンプ
77 電磁制御弁
72 油圧サーボ手段
79 手動切換弁
81 制御装置
82 モード切換スイッチ
100 ピストン
101 スプール
Claims (1)
- 作業機に搭載したエンジンからの動力を変速制御可能な油圧ポンプと油圧モータとからなる油圧駆動手段を介して走行部に伝達する一方、エンジンの負荷を電子ガバナー装置等の燃料供給量の検知にて検出し、車速を増減制御する車速制御手段を備えてなる作業機において、主変速レバーの操作に関連させて前記油圧駆動手段における油圧ポンプの斜板を操作して圧油の吐出量を増減制御するように構成し、前記車速制御手段は、車速制御モードと減速制御モードとに選択的に切換可能に構成し、車速制御モードにおいては、エンジン負荷率が一定値を越えると減速し、前記一定値以下なら増速するように制御し、減速制御モードにおいては、前記エンジンの負荷率が一定値以上になったことを検知して、前記主変速レバーの操作位置に対応する保持車速に対して一定比率もしくは一定量だけ車速を減速し、前記エンジンの負荷が適正値に戻ると、所定時間を要して前記保持車速に復帰させるように制御することを特徴とする作業機における車速制御装置。
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