JP2011188757A - 作業車 - Google Patents

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【課題】原動機部が過負荷状態に至る前に予備減速することで、原動機部の過負荷をできるだけ回避し作業能率を向上させる。
【解決手段】原動機部の負荷を検出する負荷検出手段と、負荷検出手段により検出される負荷検出情報に基づいて走行部の走行速度を自動的に制御する走行速度制御手段とを備え、走行速度制御手段は作業中に負荷検出情報から算出される原動機部負荷率が負荷率設定手段により予め設定した設定負荷率La以上である場合、過負荷と判断して、走行部の走行速度を強制的に減速して原動機部の過負荷状態を解消し、その後、元の走行速度に復帰させる制御を行う。また、記走行速度制御手段では設定負荷率Laに達する前に予備的に設定される予備設定負荷率Lcが設定負荷率Laに基づく所定の関係式から算出されて、原動機部負荷率が予備設定負荷率Lcに達した場合には、走行速度制御手段が走行部の走行速度を予備減速する。
【選択図】図8

Description

本発明は、原動機部の負荷を検出して走行速度を段階的に減速するコンバイン等の作業車に関する。
従来、作業車の一形態として、特許文献1に開示されたものがある。すなわち、かかる作業車は、自走可能な走行部と作業を行う作業部とこれら走行部と作業部を駆動する原動機部とを備えている。そして、原動機部の負荷を検出する負荷検出手段と、負荷検出手段により検出される負荷検出情報に基づいて走行部の走行速度を自動的に制御する走行速度制御手段とを備えて、負荷検出手段が原動機部の過負荷を検出した場合には、走行速度制御手段が走行部の走行速度を強制的に減速して原動機部の過負荷状態を解消し、その後、元の走行速度に復帰させる制御を行うようにしている。また、走行速度制御手段にて走行部の走行速度を減速するときの減速度を手動設定するための減速度設定手段を備えている。走行速度制御手段は、減速度設定手段により予め設定された設定減速度にて、所定時間を要して走行部の走行速度を減速する制御を実行するようにしている。
特開2008−61616
ところが、前記作業車では、圃場状況やオペレータの好み等に合わせて走行速度を減速することができるようにしているが、オペレータの好みは多種多様で、オペレータの好みを十分に満足させることができるものではなかった。すなわち、オペレータは、減速度設定手段を操作することで予め減速度を設定することができ、その設定によって、所定時間をかけて走行速度制御手段が走行部の走行速度を減速する制御を実行させることができるが、基本的に、所定時間をかけて減速制御を行うために場合によっては作業能率が低下するという不具合がある。
そこで、本発明は、上記課題を解決すべく、原動機部が過負荷状態に至る前に予備減速することで、原動機部の過負荷をできるだけ回避して、作業能率を向上させることができる作業車を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するための手段として、次のように構成したことを特徴とする。
請求項1記載の発明に係る作業車は、自走可能な走行部と作業を行う作業部とこれら走行部と作業部を駆動する原動機部とを備える作業車において、原動機部の負荷を検出する負荷検出手段と、負荷検出手段により検出される負荷検出情報に基づいて走行部の走行速度を自動的に制御する走行速度制御手段とを備え、走行速度制御手段は、作業中に負荷検出情報から算出される原動機部負荷の比率である原動機部負荷率が、負荷率設定手段により予め設定した設定負荷率以上である場合には過負荷と判断して、走行部の走行速度を強制的に減速して原動機部の過負荷状態を解消し、その後、元の走行速度に復帰させる制御を行う作業車であって、前記走行速度制御手段では、設定負荷率に達する前に予備的に設定される予備設定負荷率が設定負荷率に基づく所定の関係式から算出されて、原動機部負荷率が予備設定負荷率に達した場合には、走行速度制御手段が走行部の走行速度を予備減速することを特徴とする。ここで、設定負荷率に基づく所定の関係式は、設定負荷率から一定値(例えば、3%)を減ずる式とすることができる。
かかる作業車では、予め設定負荷率を設定することで予備設定負荷率が設定負荷率に達する前に予備的に設定される。そして、原動機部負荷率が予備設定負荷率に達した時点で、走行速度制御手段が走行部の走行速度を予備減速するため、原動機部負荷率が瞬時に激しく変動する場合でも、設定負荷率には達し難くすることができる。そのため、設定負荷率に達することで過負荷と判断されて、走行部の走行速度が強制的に減速される頻度を低減することができる。その結果、作業能率を向上させることができる。例えば、作業車として普通型コンバインに適用した場合には、刈取部に多量の稈が急に取り込まれた場合にも適宜対応するため、オペレータは安心して作業することができる。
請求項2記載の発明に係る作業車は、請求項1記載の発明に係る作業車であって、前記予備設定負荷率に達した場合に予備減速される減速度合いは、前記設定負荷率に達した場合に減速される減速度合いよりも小さく設定していることを特徴とする。
かかる作業車では、予備減速の減速度合いを、設定負荷率に達した場合の減速度合いよりも小さく設定、すなわち、頻繁に予備減速制御がなされたとしてもオペレータにはそれほど気にならない程度となすことで、オペレータの減速制御によるイライラ等の精神的負担を軽減することができるとともに、作業能率を良好に確保することができる。
請求項3記載の発明に係る作業車は、請求項2記載の発明に係る作業車であって、前記走行速度制御手段では、複数の予備設定負荷率が有段階に算出されるとともに、予備設定負荷率毎に走行部の走行速度に基づく所定の関係式から予備減速の減速度合いが算出されることを特徴とする。ここで、走行部の走行速度に基づく所定の関係式は、予備設定負荷率毎に走行部の走行速度に異なる係数(例えば、0.95)を乗じた式とすることができる。
かかる作業車では、予備設定負荷率が有段階に設定されているため、予備設定負荷率毎に予備減速の減速度合いをきめ細かく設定することができる。そのため、減速制御がスムーズになされてオペレータの減速制御によるイライラ等の精神的負担をより一層軽減することができる。
請求項4記載の発明に係る作業車は、請求項2記載の発明に係る作業車であって、前記走行速度制御手段では、走行部の走行速度に基づく所定の関係式から任意の予備設定負荷率に対する予備減速の減速度合いが算出されることを特徴とする。
かかる作業車では、任意の予備設定負荷率に対する予備減速の減速度合いが無段階に算出されるため、予備減速の減速制御がスムーズになされてオペレータの減速制御によるイライラ等の精神的負担を解消することができる。
本発明は、原動機部が過負荷状態に至る前に予備減速することで、原動機部が過負荷状態に至るのをできるだけ回避することができる。そのため、原動機部が過負荷状態にいたることで走行部の走行速度が比較的大きく減速される制御の頻度を減少させることができる。その結果、作業中における走行部の走行速度を安定化させることができて、作業能率を向上させることができる
本発明に係る作業車としてのコンバインの側面説明図。 運転部の平面説明図。 サイドコラムの斜視説明図。 ステアリングホイールの平面説明図。 ミッション部の概念説明図。 操作系の概念説明図。 制御ブロック図。 エンジン負荷率データの説明図。
以下に、本発明の実施形態におけるコンバインを、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態における選別装置を備えたコンバインMとしての汎用(普通型)コンバインを示している。まず、コンバインMの全体を概略説明する。
[コンバイン全体の概略説明]
コンバインMの全体について、図1を参照しながら説明する。すなわち、コンバインMは、走行機体1の下部に左右一対のクローラ式の走行部2を配設している。走行機体1の左側前端縁部に搬送部3を介して刈取部4を昇降自在に取り付けている。搬送部3の直後方位置には脱穀部5を配設し、脱穀部5の直下方位置に選別装置としての選別部6を配設している。選別部6の後方上部であって、脱穀部5の直後方位置には排藁処理部7を配設している。
図1において、12は刈取部4を昇降させるための昇降用油圧シリンダ、13は刈取部4に設けたプラットホーム、14はプラットホーム13内に設けた横送りオーガ、15はプラットホーム13の上方に配設した掻き込みリール、16はプラットホーム13の下端部に設けた刈刃、17はプラットホーム13の前端部に設けた左右一対の分草体である。
図1において、30は脱穀部5に設けた扱胴、31は選別部6に設けた揺動選別体、32は揺動選別体31の前部下方に配設して揺動選別体31の後部に向けて選別風を送風する第1唐箕、33は揺動選別体31の中途部下方に配設して揺動選別体31の後部に向けて選別風を送風する第2唐箕、34は第2唐箕33の直前方位置に配設した一番穀粒受樋、35は一番穀粒受樋34内に配置した一番コンベア、36は第2唐箕33の直後方位置に配設した二番穀粒受樋、37は二番穀粒受樋36内に配置した二番コンベア、38は二番コンベア37に接続して穀粒を脱穀部5に還元する還元コンベア、39は揺動選別体31の直前方に配設して揺動選別体31に送風するプレクーリングファンである。
また、コンバインMは、走行機体1の前部であって、搬送部3の右側方位置に運転部8を配設している。運転部8の直後方位置であって、脱穀部5の右側方位置に穀粒貯留部9を配設している。穀粒貯留部9の直後方位置にエンジン18(図5参照)等からなる原動機部10を配設して、エンジン18を駆動させることによって、各動力機構部が連動して作動するようにしている。20は搬出オーガである。
また、走行機体1の前部には、ミッション部19を設けている。ミッション部19は、原動機部10が有するエンジン18の動力を走行部2や刈取部4や脱穀部5等に伝達する前に調整(変速)する。
このようにして、コンバインMでは、稲、麦、大豆等の穀稈が植立している圃場内を走行部2により自走させながら次のような作業をする。すなわち、刈取部4で刈り取った穀稈を搬送部3を通して脱穀部5に搬入させる。そして、脱穀部5の扱胴30で脱穀した穀粒を選別部6で選別する。選別部6では揺動選別体31により穀粒を揺動選別する。続いて、第1・第2唐箕32,33から選別風を送風して風選別する。その結果、清粒等の一番穀粒は、一番穀粒受樋34で受けて、一番穀粒受樋34内に配置した一番コンベア35により揚穀コンベア(図示せず)を介して穀粒貯留部9に貯留される。枝梗付き穀粒等の二番穀粒は、二番穀粒受樋36で受けて、二番穀粒受樋36内に配置した二番コンベア37により還元コンベア38を介して脱穀部5に還元される。脱穀部5に還元された二番穀粒は扱胴30で再脱穀されて、選別部6で再選別される。また、脱穀部5で脱穀された穀稈は排藁として排藁処理部7に搬送されて、排藁処理(細断して機外へ排出)される。穀粒貯留部9内の穀粒は、搬出オーガ20を介して輸送用車両の荷台等内に搬出される。
[運転部の説明]
次に、運転部8について、図2〜図4を参照しながら説明する。すなわち、運転部8は、床部40の前部にステアリングコラム41を立設し、ステアリングコラム41の上端部から上方に突出させたホイール支軸42(図6参照)にステアリングホイール43(丸型の操向ハンドル)を取り付けている。そして、ステアリングホイール43により走行機体1の旋回方向及び旋回速度を変更操作するようにしている。ステアリングホイール43の回動可能範囲は中立位置を挟んで左右にそれぞれ一定角度、例えば、約135°の大きさに設定している。なお、ステアリングホイール43から手を離せば、ステアリングホイール43は中立位置に自動的に復帰するように構成している。44はステアリングホイール43の後方に配置した運転席である。
ステアリングホイール43における略環状のホイール部43aの内側には、液晶表示装置45等を有するセンターパネル体46を配置している。センターパネル体46の左側下部には後述する強弱調節手段としての強弱調節ボリューム47を設けている(図4参照)。強弱調節ボリューム47はボリューム式スイッチである。48は強弱調節ボリューム47に設けた指標であり、強弱調節ボリューム47の回動操作位置を示すようにしている。49は目安表示片であり、指標48が指し示す目安表示片49の位置で調節量の強弱状態の目安とすることができる。かかる強弱調節ボリューム47により設定された調節量は電気信号に変換されて、入力情報として後述するコントローラ170に送信される。そして、その入力情報に基づいてコントローラ170は制御情報を生成する。なお、センターパネル体46はステアリングコラム41に固定して、ステアリングホイール43には連結していない。したがって、ステアリングホイール43を回動操作しても、センターパネル体46ひいては液晶表示装置45は連動して回動することはない。その結果、液晶表示装置45は運転席44に着座してステアリングコラム41を操作しているオペレータにとって、常に画面が視認し易い状態に保持されている。
運転席44の左側方には、前後に伸延させて形成したサイドコラム50を配置している。サイドコラム50上には、前方から順に、主変速レバー51、副変速レバー52及びクラッチレバー53を配置している。
主変速レバー51は、サイドコラム50の上面に形成した平面視クランク状のガイド溝54に沿って前後傾動可能に構成している。そして、主変速レバー51により走行機体1の前進、停止、後退及びその車速を無段階に変更操作するようにしている。
主変速レバー51をほぼ垂直の起立姿勢である中立(停止)位置から前方に傾倒させると、後述する直進用HST(静油圧式無段変速機)70の駆動にて走行機体1が前進するように構成している。そして、主変速レバー51の前方への傾倒角度が大きいほど、走行機体1の前進速度が増速されるように構成している。反対に、主変速レバー51を中立位置から後方に傾倒させると、直進用HST70の駆動にて走行機体1が後退するように構成している。そして、主変速レバー51の後方への傾倒角度が大きいほど、走行機体1の後退速度が増速されるように構成している。
副変速レバー52は、作業状態に応じて後述するトランスミッション90内の副変速機構110を変更操作して、直進用HST70の出力(直進モータ軸76の回転方向及び回転数)の調節範囲を低速、中速、高速及び中立という4段階に設定保持するようにしている。副変速レバー52も、主変速レバー51と同様に前後傾倒操作可能に構成している。
クラッチレバー53は、刈取部4の動力接続・切断操作用のレバーと脱穀部8の動力接続・切断操作用のレバーとを1本で兼用している。そして、サイドコラム50の上面に形成した平面視略L字状のガイド溝55に沿って左右及び前後方向に傾倒操作可能に構成している。
サイドコラム50の上面には、操作用の各種スイッチ類及び設定用のダイヤル類も複数配置している。すなわち、サイドコラム50の上面において、主変速レバー51より前方の箇所には、自動車速制御スイッチ60、負荷率設定ダイヤル61、自動刈高さスイッチ62、刈高さ設定ダイヤル63、自動水平スイッチ64、及び傾斜設定ダイヤル65等を配置している。
自動車速制御スイッチ60は、自動車速制御の入り切りを操作するためのスイッチである。このスイッチ60を入り操作すると自動車速制御が開始される。すなわち、自動車速制御は、エンジン18の過負荷時には車速が自動的に減速されてエンジン18の負荷が軽減されることで、刈取部4や脱穀部8の回転駆動を一定に保持する制御である。負荷率設定ダイヤル61は、自動車速制御時におけるエンジン6の設定負荷率Laを設定操作するためのダイヤル式スイッチである。自動車速制御において、エンジン負荷率Lが設定負荷率La以上になると、走行機体1の前進方向の車速を強制減速するように設定している。
ここで、エンジン負荷率Lとは、後述するラック位置センサ180にて検出されたエンジン負荷が最高のときを100%として、刈取脱穀作業中のエンジン負荷の比率を算出したものである。アイドリング状態のエンジン負荷率Lは0(零)である。負荷率設定ダイヤル61は、設定負荷率Laを70〜100%の範囲で任意に調節して設定できるように構成している。
そして、負荷率設定ダイヤル61で設定負荷率Laが決定されると、これに対応した復帰負荷率Lbが自動的に設定される。この復帰負荷率Lbは設定負荷率Laより所定割合だけ小さい値(Lb(%)=La−α)としている。自動車速制御での強制減速中に、エンジン負荷率Lが復帰負荷率Lb以下になると、走行機体1の前進方向の車速を主変速レバー51の前傾操作位置に対応した元の車速に向けて増速して自動復帰するように設定している。
自動刈高さスイッチ62は、刈取部4を所定の刈高さ位置に維持する自動刈高さ制御の入り切りを操作するためのスイッチである。刈高さ設定ダイヤル63は、自動刈高さ制御時の刈高さ位置を設定操作するためのダイヤル式スイッチである。自動水平スイッチ64は、走行機体1を左右水平な姿勢に維持する自動水平制御の入り切りを操作するためのスイッチである。傾斜設定ダイヤル65は、走行機体1の左右傾斜角度を設定操作するためのダイヤル式スイッチである。
また、サイドコラム50の上面において、主変速レバー51より後方の箇所には、定回転制御スイッチ66、アクセルダイヤル67、リール高さ調節ダイヤル68、及びリール変速自動スイッチ69等を配置している。
定回転制御スイッチ66は、エンジン18の回転数を一定に保持する定回転制御の入り切りを操作するためのスイッチである。アクセルダイヤル67は、エンジン6の回転数を調節操作するためのスイッチである。リール高さ調節ダイヤル68は、刈取部4の掻き込みリール15の高さ位置を調節操作するためのダイヤル式スイッチである。リール変速自動スイッチ69は、走行機体1の車速に合わせて掻き込みリール15の回転速度を自動調節するモードの入り切りを操作するためのスイッチである。
[ミッション部の説明]
次に、ミッション部19について、図5を参照しながら説明する。すなわち、ミッション部19は、直進用HST70と、旋回用HST80と、トランスミッション90とを備える。これら直進用HST70、旋回用HST80、及びトランスミッション90は、ミッションケースに収容され、コンバインMの走行系の伝動機構を構成する。
(直進用HST)
直進用HST70は、可変容積型の直進ポンプ70Pと、可変容積型の直進モータ70Mとを備える。直進ポンプ70Pと直進モータ70Mとは、互いに流体接続されている。
直進ポンプ70Pは、容積量を変更するための機構として、可動斜板71と制御軸72とを有し、制御軸72にて可動斜板71を傾転させることにより、容積量を変更するように構成している。そして、直進ポンプ70Pから直進モータ70Mへの作動油の吐出方向及び吐出量を変更するようにしている。直進ポンプ70Pは、エンジン18の出力軸に連動連結される直進ポンプ軸73を有する。つまり、直進用HST70は、直進ポンプ70Pの直進ポンプ軸73がエンジン18の出力軸に連動連結されることで、エンジン18からの動力の伝達を受ける。なお、エンジン18の出力軸には、脱穀部5、選別部6、排藁処理部7、穀粒貯留部9等に対してエンジン18の動力を伝達するための回転軸を、クラッチ等を介して連動連結している。
直進モータ70Mは、容積量を変更するための機構として、可動斜板74と制御軸75とを有している。そして、直進ポンプ70Pから直進モータ70Mへの作動油の吐出方向及び吐出量が変更されることで、直進モータ70Mの可動斜板74が傾転されて、直進モータ70Mの制御軸75の回転方向及び回転数、さらには、制御軸75と連動連結した直進モータ軸76が任意に調節されるようにしている。直進モータ軸76は、後述する副変速機構110の出力軸と連動連結している。つまり、直進用HST70は、直進モータ70Mの直進モータ軸76が副変速機構110の入力軸に連動連結されることで、副変速機構110に対して動力を伝達する。
(旋回用HST)
旋回用HST80は、可変容積型の旋回ポンプ80Pと、固定容積型の旋回モータ80Mとを備える。旋回ポンプ80Pと旋回モータ80Mとは、互いに流体接続されている。
旋回ポンプ80Pは、容積量を変更するための機構として、可動斜板81と制御軸82とを有し、制御軸82にて可動斜板81を傾転させることにより、容積量を変更するように構成している。旋回ポンプ80Pは、エンジン18の出力軸に連動連結される旋回ポンプ軸83を有する。つまり、旋回用HST80は、旋回ポンプ80Pの旋回ポンプ軸83がエンジン18の出力軸に連動連結されることで、エンジン18からの動力の伝達を受ける。
旋回モータ80Mは、容積量を固定するための機構として、固定斜板を有し、この固定斜板により、容積量が一定となるように構成している。旋回モータ80Mは、後述する伝動歯車機構120の出力軸と連動連結される旋回モータ軸84を有する。つまり、旋回用HST80は、旋回モータ80Mの旋回モータ軸84が伝動歯車機構120の入力軸に連動連結されることで、伝動歯車機構120に対して動力を伝達する。
(トランスミッション)
図5に示すように、トランスミッション90は、遊星歯車機構部100と、副変速機構110と、伝動歯車機構120とを備える。
遊星歯車機構部100は、一対の遊星歯車機構を含む遊星歯車群として構成し、一対の遊星歯車機構として、第一遊星歯車機構101と第二遊星歯車機構102とを有する。遊星歯車機構部100においては、一対の遊星歯車機構101,102から、左右に出力軸を延出している。すなわち、第一遊星歯車機構101から、第一出力軸103を延出し、第二遊星歯車機構102から、第二出力軸104を延出している。各出力軸103,104は、それぞれ左右方向で対応する走行部2のクローラの駆動輪に回転動力を伝達する。これにより、左右の走行部2の走行駆動が行われる。
副変速機構110は、直進モータ軸76に連結される回転軸を有し、この回転軸を介して直進モータ70Mの直進モータ軸76に連動連結している。副変速機構110は、直進モータ軸76の回転動力を多段変速させることができるように構成している。また、副変速機構110にはロータリエンコーダ等の車速センサ177を設けて、車速センサ177により走行機体1の車速を検出するようにしている。
伝動歯車機構120は、第一遊星歯車機構101に動力を伝達するための歯車群と、第二遊星歯車機構102に動力を伝達するための歯車群を有して、第一遊星歯車機構101と第二遊星歯車機構102に相互に反対方向の回転力を伝達するように構成している。
また、トランスミッション90には、ポテンショメータ等の主変速位置センサ184(図7参照)を設けて、主変速位置センサ184により直進ポンプ70Pにおける可動斜板71の傾斜角度、及び主変速レバー51の傾倒操作量を検出するようにしている。
以上のような構成を備えるコンバインMにおいて、ステアリングホイール43は左右に回転操作することで、機械的に連動連結した旋回用HST80を操作することができる。また、主変速レバー51を前後に傾倒操作することで、機械的に連動連結した直進用HST70を操作することができる。
旋回用HST80の旋回モータ80Mが停止し、直進用HST70の直進モータ70Mが駆動する場合、直進モータ70Mの回転動力が、直進モータ軸76から、副変速機構110を介して遊星歯車機構部100に伝達され、第一出力軸103及び第二出力軸104から出力される。なお、旋回モータ80Mには湿式多板ディスク等のブレーキ手段(図示せず)を連動連設しておき、ブレーキ手段により旋回モータ軸84を固定することで旋回モータ80Mを停止させることができる。
この直進モータ70Mから第一出力軸103及び第二出力軸104に対する回転動力の伝達によって、第一出力軸103及び第二出力軸104が正回転方向または逆回転方向の同一方向に回転させられる。これにより、左右のクローラ式の走行部2が有する駆動輪が、同一回転方向に同一回転数で回転する。その結果、左右の走行部2が駆動され、コンバインMの機体前後方向についての直進走行が行われる。
また、直進用HST70の直進モータ70Mが停止し、旋回用HST80の旋回モータ80Mが駆動する場合、旋回モータ80Mの回転動力が、旋回モータ軸84から、伝動歯車機構120を介して遊星歯車機構部100に伝達され、第一出力軸103及び第二出力軸104から出力される。なお、直進モータ70Mには湿式多板ディスク等のブレーキ手段(図示せず)を連動連設しておき、ブレーキ手段により直進モータ軸76を固定することで直進モータ70Mを停止させることができる。
この旋回モータ80Mから第一出力軸103及び第二出力軸104に対する回転動力の伝達によって、第一出力軸103及び第二出力軸104が互いに反対方向に回転させられる。これにより、左右のクローラ式の走行部2が有する駆動輪が、互いに反対方向に回転する。その結果、左右の走行部2が駆動され、コンバインMの機体の急旋回であるスピンターンが行われる。スピンターンによれば、例えば圃場や枕地での急速・小半径での方向転換が可能となる。また、いずれか一方の走行部2が有する駆動輪が停止状態となった場合には、停止状態の走行部2側を中心に旋回されるターンが行われる。
また、直進用HST70の直進モータ70Mが駆動すると共に、旋回用HST80の旋回モータ80Mが駆動する場合、直進モータ70Mから副変速機構110を介して遊星歯車機構部100に伝達される回転動力と、旋回モータ80Mから伝動歯車機構120を介して遊星歯車機構部100に伝達される回転動力とが、遊星歯車機構部100において合成されて合成動力が生成される。そして、その合成動力が第一出力軸103及び第二出力軸104から出力される。
この直進モータ70M及び旋回モータ80Mから第一出力軸103及び第二出力軸104に対する回転動力(合成動力)の伝達によって、第一出力軸103及び第二出力軸104が互いに異なる回転数で回転される。その結果、左右の走行部2が相互に速度差をもって駆動され、コンバインMの走行機体の直進走行と左方向又は右方向への旋回操向とが同時に行われて、緩旋回がなされる。なお、コンバインMの旋回方向及び旋回半径は、左右の走行部2の速度差に応じて決定される。そして、ステアリングホイール43が所定の操作量まで操作された時点(例えば、ハンドル切れ角度の4分の3あたり)では、旋回側の走行部2が停止される。さらに、ステアリングホイール43が旋回操作されると左右の走行部2が相互に反対方向に駆動されて、走行機体は急旋回であるスピンターンに入り込む。
[走行機構の説明]
走行機構について、図6を参照しながら説明する。すなわち、ステアリングホイール43を支持しているホイール支軸42は、機械的切替手段130と旋回用連動連結機構140を介して旋回用HST80に設けた旋回ポンプ80Pの制御軸82に連動連結している(図5参照)。また、主変速レバー51は、機械的切替手段130と直進用連動連結機構150を介して直進用HST70に設けた直進ポンプ70Pの制御軸72に連動連結している(図5参照)。しかも、制御軸72には強制的変速機構160を連動連結して、前記した自動車速制御が行えるようにしている。
機械的切替手段130としては、例えば、特開2002−274421号公報に変速機構及び操向機構等として開示されている構造を採用することができる。旋回用連動連結機構140や直進用連動連結機構150としては、回転動力を伝達可能なリンク機構等を適用することができる。強制的変速機構160は、電動モータ等のアクチュエータにより直進ポンプ70Pの制御軸72を制御可能に構成している。具体的には、例えば、特開2008−72907号公報に電動モータと油圧式駆動手段との連動構造として開示されている構造を強制的変速機構160として採用することができる。
(コントローラ)
走行機体1には、走行速度制御手段としてマイクロコンピュータ等のコントローラ170(図7参照)を搭載している。コントローラ170は、各種演算処理や制御を実行するための中央処理装置171(CPU)、制御プログラムやデータを記憶させるための読み出し専用メモリ172(ROM)、制御プログラムやデータを一時的に記憶させるための随時読み書き可能メモリ173(RAM)、タイマ機能としてのクロック、各入出力系機器(センサやアクチュエータ等)とデータのやり取りをする入出力インターフェイス(図示せず)等を備えている。
コントローラ170のROM172には、副変速機構110に設けた車速検出用の車速センサ177の検出値V(走行機体1の車速)と、この車速Vに対する自動車速制御実行時の減速量vrとの関係を示す関係式又は制御マップを予め記憶させている。この場合の関係式としては、一次関数、例えばvr=A×Vが挙げられる。ここでAは比例定数である。走行機体1の車速Vを横軸に採り、減速量vrを縦軸に採ることで、上記関係式を制御マップとなすことができる。また、比例定数Aは0<A<1の値で、車速Vと減速量vrとの関係が正の傾きを持つ直線となるようにしている。すなわち、車速Vと減速量vrとは、車速Vが大きくなる(高速になる)にしたがって、減速量vrが大きくなる(大きく減速する)という比例関係にある。そして、0<A≦1という関係にあるから、減速量vrが車速Vを超えることはない。すなわち、自動車速制御の実行時に減速し過ぎて走行機体1が後退動することはない。なお、車速Vとこれに対応する減速量vrとの対のデータを、テーブルマップとしてコントローラ170のROM172に記憶させるようにしてもよい。
コントローラ170の入力インターフェイスには、例えば自動車速制御スイッチ60、負荷率設定ダイヤル61、自動刈高さスイッチ62、刈高さ設定ダイヤル63、自動水平スイッチ64、傾斜設定ダイヤル65、定回転制御スイッチ66、アクセルダイヤル67、リール高さ調節ダイヤル68、リール変速自動スイッチ69、主変速位置センサ、副変速レバー52、刈取部4に対する動力継断用の刈取クラッチの入り切り状態を検出するための刈取クラッチセンサ174、脱穀部5に対する動力継断用の脱穀クラッチの入り切り状態を検出するための脱穀クラッチセンサ175、エンジン18の回転数を検出するためのエンジン回転センサ176、車速センサ177、燃料供給手段である電子ガバナ178付き燃料噴射ポンプ179のラック位置から燃料供給量を検出する負荷検出手段としてのラック位置センサ180、コンバイン全体の電源を入り切り操作するための電源スイッチ181等を接続している。
他方、コントローラ170の出力インターフェイスには、例えばエンジン18の負荷(出力)を調節制御する電子ガバナ178、エンジン18の回転数が所定値となるように燃料噴射ポンプ179のラック位置を調節するラックアクチュエータ182、強制的変速機構160の一部を形成する減速アクチュエータとしての電動モータ183、液晶表示装置45等が接続されている。
[自動車速制御]
走行速度制御手段としてのコントローラ170は、基本的に、次の自動車速制御(走行機体1の車速を自動的に減速・復帰する制御)を実行することで、刈取部4や脱穀部5の回転駆動を一定に保持して作業性を良好に確保することができるようにしている。
(1)ラック位置センサ180の検出情報から得られたエンジン負荷率Lが設定負荷率La以上になると、直進用HST40の制御軸72が強制的変速機構160を介して前進減速方向に回動するように電動モータ183を駆動させる。
(2)前記(1)の減速制御を一旦実行した後、エンジン負荷率Lが復帰負荷率Lbよりも大きく、かつ、設定負荷率Laより小さくなると(Lb<L<La)、直進用HST40の制御軸72を位置保持させて、走行機体1の車速をその時点の状態で維持する。
(3)エンジン負荷率Lが復帰負荷率Lb以下になると、制御軸72が強制的変速機構160を介して元の状態に向けて前進増速方向に復帰回動するように電動モータ183を段階的に駆動させる。
かかる自動車速制御において、本発明の要旨は、ラック位置センサ180(負荷検出手段として機能する)によって検出される負荷検出情報を加工処理するコントローラ170(情報加工処理手段としても機能する)と、コントローラ170が加工処理する負荷検出情報の加工処理度合いを強弱調節する強弱調節ボリューム47(強弱調節手段として機能する)とを備えていることにある。
コントローラ170は、ラック位置センサ180によって検出される負荷検出情報からエンジン18の負荷率データを単位時間毎の時系列に算出し、その時系列の負荷率データから移動平均値を算出して加工処理(フィルタ処理ともいう)データとなすようにしている。移動平均には、単純移動平均(Simple Moving Average; SMA)、加重移動平均(Weighted Moving Average; WMA)、指数移動平均(Exponential Moving Average; EMA)、及び修正移動平均(Modified Moving Average; MMA)等がある。本実施形態では単純移動平均値を算出するようにしている。
すなわち、フィルタ処理とは、ラック位置センサ180により単位時間毎に時系列に検出されるn個の負荷率データからコントローラ170のCPU171が移動平均値SMAを算出して加工処理することをいう。なお、数1の関係式SMAは、予めROM172に記憶されている。例えば、20ms(ミリ秒)毎に時系列に検出される5個の負荷率データからコントローラ170のCPU171が移動平均値SMAを算出して、0.1s(秒)毎のデータとして加工処理することをいう。
Figure 2011188757
強弱調節ボリューム47は、上記した負荷検出情報の加工処理度合いを弱から強に調節する操作と、移動平均値を算出するデータの数の増大調節処理とを比例させる。すなわち、図4に示す強弱調節ボリューム47を時計廻りに回動操作すると、移動平均値を算出するデータの数が正比例的に増大して、データの加工処理度合いが強くなる。また、図4に示す強弱調節ボリューム47を反時計廻りに回動操作すると、移動平均値を算出するデータの数が正比例的に減少して、データの加工処理度合いが弱くなる。データの加工処理をしていない状態が20ms(ミリ秒)毎に時系列に検出される負荷率データである。
作業部としての刈取部4が駆動されない非作業状態、すなわち、刈取クラッチセンサ174が刈取クラッチの切り状態を検出した場合、その検出情報がコントローラ170のCPU171に送信されて、CPU171が自動車速制御を停止する制御情報を生成する。
また、コントローラ170のROM172には、設定負荷率Laに達する前に予備的に設定される予備設定負荷率Lcが、設定負荷率Laに基づく所定の関係式Lc=La−β(βは一定値、例えば、3%)として、予め記憶されている。かかる関係式又は制御マップから、予備設定負荷率LcがCPU171により算出されるようにしている。そして、エンジン負荷率Lが予備設定負荷率Lcに達した場合には、CPU171が走行部2の走行速度、つまり車速Vを予備減速するようにしている。ここで、予備設定負荷率Lcに達した場合に予備減速される減速度合いは、設定負荷率Laに達した場合に減速される減速度合いよりも小さく設定することができる。すなわち、予備減速される減速量vc=B×V(0<A<B<1)の関係式又は制御マップが予めROM172に記憶されている。そして、かかる関係式から、減速量vcがCPU171により算出されるようにしている。例えば、図8に示すように、設定負荷率La=93%、β=3%とすると、予備設定負荷率Lc=90%となり、A=0.89、B=0.95とすると、エンジン負荷率Lが予備設定負荷率Lcを上回った場合には、車速Vは0.95倍の車速に少し予備減速される。そして、エンジン負荷率Lが設定負荷率Laを上回った場合には、車速Vは0.89倍の車速に大きく減速される。
また、設定負荷率Laに基づく所定の関係式Lc=La−β/n(βは一定値、nは1以上の整数)が、予めROM172に記憶されていて、かかる関係式から、複数個の予備設定負荷率がCPU171により有段階に算出されるようにすることもできる。関係式に代えて制御マップであってもよい。この場合、予備設定負荷率Lcは、第1予備設定負荷率Lc1、第2予備設定負荷率Lc2、第3予備設定負荷率Lc3・・・第n予備設定負荷率Lcnというように有段階に算出される。そして、予備設定負荷率Lc毎に走行部2の車速Vに基づく所定の関係式から予備減速の減速度合いが算出される。すなわち、予備減速される減速量vcn=C×V/(0<A<C<1)の関係式又は制御マップが予めROM172に記憶されている。そして、かかる関係式から、減速量vcnがCPU171により算出されるようにすることができる。
このように、本実施形態では、強弱調節ボリューム47を操作することで、コントローラ170が加工処理する負荷検出情報の加工処理度合いを強弱調節することができる。
例えば、オペレータの熟練度や好みや作業条件(湿田や作物の倒伏状態等の圃場条件、稲や麦等の作物条件)等に応じて、強弱調節ボリューム47を操作することができる。この際、負荷検出情報の加工処理度合いを強くする方向(図4の時計廻り)に調節すると、負荷検出情報が強く加工処理されて、負荷検出情報の変動が緩やかになる。そのため、ラック位置センサ180によってエンジン18の過負荷(エンジン負荷率L<設定負荷率La)が検出される割合が少なくなり、コントローラ170により走行部2の走行速度が強制的に減速される制御の割合が減少する。その結果、負荷検出情報が過負荷限界(設定負荷率La)の近傍において変動している状態で、コンバインMによる作業を能率良く行うことができる。この場合、熟練者としてのオペレータ好みの仕様となすことができる。
一方、負荷検出情報の加工処理度合いを弱くする方向に調節すると、負荷検出情報が弱く加工処理されて、負荷検出情報の変動が先鋭的になる。そのため、ラック位置センサ180によってエンジン18の過負荷が瞬時の変動で突発的に検出される割合が比較的多くなり、コントローラ170により走行部2の走行速度が強制的に減速される制御の割合が比較的増大する。その結果、負荷検出情報が過負荷限界から少し離隔した位置において変動している状態で、コンバインMによる作業を安心して行うことができる。すなわち、過負荷による脱穀部5等の作動停止等の不具合を可及的に回避することができる。この場合、初心者としてのオペレータ好みの仕様となすことができる。
本実施形態に係るコンバインMでは、走行機体1が旋回作動中において、刈取部4が、上昇されて刈作業をしない状態では非作業状態として、自動車速制御を停止させて迅速に旋回移動するようにしている。
かかるコンバインMでは、予め設定負荷率Laを設定することで予備設定負荷率Lcが設定負荷率Laに達する前に予備的に設定される。そして、エンジン負荷率Lが予備設定負荷率Lcに達した時点で、コントローラ170が走行部2の走行速度を予備減速するため、エンジン負荷率Lが瞬時に激しく変動する場合でも、設定負荷率には達し難くすることができる。そのため、設定負荷率Laに達することで過負荷と判断されて、走行部2の走行速度が強制的に減速される頻度を低減することができる。その結果、作業能率を向上させることができる。例えば、刈取部4に多量の稈が急に取り込まれた場合にも適宜対応するため、オペレータは安心して作業することができる。
かかるコンバインMでは、予備減速の減速度合いを、設定負荷率Lに達した場合の減速度合いよりも小さく設定、すなわち、頻繁に予備減速制御がなされたとしてもオペレータにはそれほど気にならない程度となすことで、オペレータの減速制御によるイライラ等の精神的負担を軽減することができるとともに、作業能率を良好に確保することができる。
かかるコンバインMでは、予備設定負荷率Lcが有段階に設定されているため、予備設定負荷率Lc毎に予備減速の減速度合いをきめ細かく設定することができる。そのため、減速制御がスムーズになされてオペレータの減速制御によるイライラ等の精神的負担をより一層軽減することができる。
かかるコンバインMでは、任意の予備設定負荷率Lcに対する予備減速の減速度合いがこんとろーら170のCPU171により無段階に算出されるため、予備減速の減速制御がスムーズになされてオペレータの減速制御によるイライラ等の精神的負担を解消することができる。
以下に、自動車速制御を補足説明する。自動車速制御は自動車速制御スイッチ60が入り状態に設定されることで実行される。また、設定負荷率Laは負荷率設定ダイヤル61にて予め設定して、復帰負荷率Lbと共にコントローラ170のRAM173に記憶させておく。
まず、自動車速制御のスタートに続いて、コントローラ170のCPU171が刈取クラッチセンサ174の検出情報に基づいて刈取クラッチが入り状態か否かを判別する。刈取クラッチが切り状態であると判断されたときは、コンバインMが刈取脱穀作業を行っていないことを意味することになる。
刈取クラッチが入り状態であると判断されたときは、少なくとも刈取部4への動力伝達がなされ、刈取脱穀作業の実行中又は準備完了状態であることを意味する。主変速位置センサ184の検出情報に基づいて主変速レバー51を前方に傾動操作しているか否かを判別する。
主変速レバー51を前方に傾動操作していると判断されたときは、走行機体1が前進動している状態であり、自動車速制御の実行に支障がないから、次いで、負荷率設定ダイヤル61の設定値である設定負荷率Laと、復帰負荷率Lbと、車速センサ177の検出値(走行機体1の車速V)と、ラック位置センサ180の検出値(エンジン負荷)とを読み込み、エンジン負荷に基づいて現在のエンジン負荷率Lを演算する。
次いで、現在のエンジン負荷率Lが先に読み込まれた設定負荷率La以上であるか否かを判別する。現在のエンジン負荷率Lが設定負荷率Laより小さいと判断されたときは、刈取部4や脱穀部5ひいてはエンジン18にかかる負荷が小さく、刈取脱穀作業に支障がない状態であるから、減速制御はされない。
現在のエンジン負荷率Lが設定負荷率La以上であると判断されたときは、例えば大量の刈取穀稈を処理している等の理由で、刈取部4や脱穀部5ひいてはエンジン18に大きな負荷がかかっている状態である。このような状態で刈取脱穀作業を続行すると、エンジン18が過負荷で停止(エンジンストップ)する虞がある。
そこで、この場合は、その時点の車速Vと、コントローラ170のROM172に予め記憶された関係式又は制御マップとから、自動車速制御実行時の減速量vr(=A×V)を算出する。そして、電動モータ183の駆動にて、直進用HST70の制御軸72を強制的変速機構160を介して前進減速方向に回動させ、走行機体1の前進方向の車速Vを所定時間で減速量vrだけ減速させて、これに連動してエンジン負荷率Lを適宜低下させる。
このように制御すると、走行機体1の前進方向の車速Vが高速であれば、大きく減速することによってエンジン負荷率Lを速やかに低下させることができる。また、車速Vが低速であれば、減速量vrをできるだけ小さく抑えて、刈取部4及び脱穀部5の回転維持、ひいては刈取脱穀作業の能率維持を図ることができる。従って、そのときの車速に見合った適切な自動車速制御を実行でき、刈取脱穀作業を効率化できる。
走行機体1の前進方向の車速Vを減速量vrだけ減速させた後は、再び車速センサ177の検出値(走行機体1の車速V)と、ラック位置センサ180の検出値(エンジン負荷)とを読み込み、エンジン負荷に基づいて現在のエンジン負荷率Lを演算する。
そして、エンジン負荷率Lが先に読み込まれた復帰負荷率Lb以下であるか否かを判別する。エンジン負荷率Lが復帰負荷率Lbより大きいと判断されたときは、次いで、現在のエンジン負荷率Lが設定負荷率La以上であるか否かを再び判別する。
エンジン負荷率Lが設定負荷率La以上であると判断されたときは、エンジン負荷が未だ低下していないことを意味するので、次いで、読み込まれた時点の車速Vと、コントローラ170のROM172に予め記憶された関係式又は制御マップとから、自動車速制御実行時の減速量vr(=A×V)を新たに算出する。
次いで、電動モータ183の駆動にて、直進用HST70の制御軸72を強制的変速機構160を介して前進減速方向に回動させ、走行機体1の前進方向の車速Vを所定時間で減速量vrだけ減速させ、これに連動してエンジン負荷率Lを再び適宜低下させる。そして、エンジン負荷率Lが設定負荷率La以下になるまで、走行機体1の強制減速動作が繰り返される。
このように制御すると、強制減速動作の繰り返しにてエンジン負荷率Lを確実に低減できるから、負荷変動の激しい普通型のコンバインMであっても、刈取部4の詰まりや脱穀部5の回転低下ひいてはエンジンストップの抑制に効果的であり、自動車速制御の実効性(安定性)の向上が図れる。
エンジン負荷率Lが設定負荷率Laより小さいと判断されたときは、エンジン負荷率Lが復帰負荷率Lbより大きくかつ設定負荷率Laより小さくなった状態であるので(Lb<L<La)、次いで、直進用HST70の制御軸72を位置保持させて、走行機体1の車速Vをその時点の状態で維持する。
このように制御すると、自動車速制御の実行時に、エンジン負荷率Lが復帰負荷率Lbより大きくかつ設定負荷率Laより小さくなれば、その時点での所定車速Vを維持した状態で走行機体1が走行することになる。従って、自動車速制御実行中の車速変動が極力抑えられ、当該制御実行中の乗り心地の悪化を抑制できる。
エンジン負荷率Lが復帰負荷率Lb以下であると判断されたときは、エンジン負荷が十分に低下し、刈取脱穀作業に支障がない状態になったことを意味する。
電動モータ183の段階的な駆動にて、直進用HST70の制御軸72を前進減速方向に段階的に回動させ、走行機体1の前進方向の車速Vを主変速レバー51の前傾操作位置に対応した元の車速Vに向けて徐々に復帰増速させる。
なお、本実施形態では、電動モータ183がそのピニオンギヤ(図示せず)を適宜角度だけ回動駆動させるのに対応した増速量分の復帰増速と、一定時間だけ待機(車速保持)というサイクルを繰り返すことにより、走行機体1の前進方向の車速Vを元の車速Vに向けて徐々(段階的)に復帰増速させるように設定することができる。かかる制御を採用すると、走行機体1の前進方向の車速が一気にではなく徐々に復帰増速することになるので、走行機体1が急激にスピードアップすることがなく安全である。
なお、本発明は、前記した実施形態に限らず、様々な態様に適用できる。例えば、自脱型コンバインやトラクタ等の農作業機やクレーン車等の特殊作業用車両のような各種作業車両に対して広く適用できる。また、前記実施形態に採用したエンジンはいずれもディーゼル式のものであったが、ガソリン式エンジンであってもよい。この場合、燃料噴射ポンプは、気化器における燃料調節用のスロットル弁の箇所に配置される。スロットル弁の移動位置を調節する手段としては、該スロットル弁に取り付けられた弁操作軸を回動させる電磁ソレノイド等のアクチュエータを採用することができる。スロットル弁の移動位置検出手段(本実施形態の負荷検出手段に相当する)は、スロットル弁の回動角度を検出するポテンショメータ等の回動角センサを用いることができる。
M コンバイン
L エンジン負荷率
La 設定負荷率
Lb 復帰負荷率
Lc 予備設定負荷率
1 走行機体
2 走行部
3 搬送部
4 刈取部
5 脱穀部
10 原動機部
18 エンジン
47 強弱調節ボリューム
160 強制的変速機構
170 コントローラ

Claims (4)

  1. 自走可能な走行部と作業を行う作業部とこれら走行部と作業部を駆動する原動機部とを備える作業車において、
    原動機部の負荷を検出する負荷検出手段と、負荷検出手段により検出される負荷検出情報に基づいて走行部の走行速度を自動的に制御する走行速度制御手段とを備え、走行速度制御手段は、作業中に負荷検出情報から算出される原動機部負荷の比率である原動機部負荷率が、負荷率設定手段により予め設定した設定負荷率以上である場合には過負荷と判断して、走行部の走行速度を強制的に減速して原動機部の過負荷状態を解消し、その後、元の走行速度に復帰させる制御を行う作業車であって、
    前記走行速度制御手段では、設定負荷率に達する前に予備的に設定される予備設定負荷率が設定負荷率に基づく所定の関係式から算出されて、
    原動機部負荷率が予備設定負荷率に達した場合には、走行速度制御手段が走行部の走行速度を予備減速することを特徴とする作業車。
  2. 前記予備設定負荷率に達した場合に予備減速される減速度合いは、前記設定負荷率に達した場合に減速される減速度合いよりも小さく設定していることを特徴とする請求項1記載の作業車。
  3. 前記走行速度制御手段では、複数の予備設定負荷率が有段階に算出されるとともに、予備設定負荷率毎に走行部の走行速度に基づく所定の関係式から予備減速の減速度合いが算出されることを特徴とする請求項2記載の作業車。
  4. 前記走行速度制御手段では、走行部の走行速度に基づく所定の関係式から任意の予備設定負荷率に対する予備減速の減速度合いが算出されることを特徴とする請求項2記載の作業車。
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