明 細 書 各有莢膜型インフルエンザ菌の検出方法、 検出用プライマーセット、
及び検出用キット 技術分野
本発明は、 有莢膜型インフルエンザ菌の検出方法に関する。 詳しくは、 莢膜 b 型以外 (莢膜 a , C,d,e,f 型) の各有莢膜型インフルエンザ菌を検出する方法 に関する。 背景技術
インフノレエンザ菌 Haemophilus influenzae;
と略す こともある。 ) は、 中耳炎、 肺炎、 髄膜炎及ぴ菌血症などの原因菌の一つであり、 近年様々な耐性菌が出現して問題となっている。 このインフルエンザ菌には、 有 莢膜型と無莢膜型が存在し、 有莢膜型は莢膜の相違によってさらに莢膜 a〜f型 に分類される。
従来、 このようなインフルエンザ菌の型別法としては、 培養法と生化学的検査 との併用によりインフルエンザ菌と認められる菌株を選択し、 その後、 この菌株 に対してスライド凝集法などの血清学的方法により莢膜の型別を行うのが一般的 であった。 しかし、 培養法及び生化学的検查においては、 感染が判明するまでに 3日以上を要することに加え、 コロニーの形状や色の相違などから精確にインフ ルェンザ菌を選別するためには熟練した技術が必要であった。 また、 その後の血 清学的方法では、 交差反応や自己凝集などにより非感染を陽性と誤診断したり、 あるいは検出感度の低さから感染を陰性と誤診断してしまうことがあった。 その ため、 確度が不十分な型別結果しか得られず、 臨床診断及びその後の処置等に支 障をきたすおそれがあつた。
このような問題に鑑み、 近年においては、 分子生物学的手法としての POR法 を利用した型別法が知られている (T. J. FaUa et al., J. Clin. Microbiol., 1994 Oct, 32(10), p.2382-2386) 。 しかし、 通常、 PGR法による型別法は、 コスト、
手技及び時間を要し、 さらにサーマルサイクラ一等の特別な設備が必要なため、 人材や設備が不十分な病院の検査室等では容易に実施することができない。 また、 この方法 (T. J. FaUa et al., J. Clin. Microbiol., 1994 Oct, 32(10), p.2382-2386
) では、 3種類のプライマーを用いて 2回の PGRを行わなければならず、 煩雑 であり迅速性に欠けるものであった。
インフルエンザ菌には、 前述の通り、 無莢膜型及ぴ複数の有莢膜型が存在し、 これらの中でも有莢膜型インフルエンザ菌が、 特に小児において髄膜炎、 喉頭蓋 炎、 菌血症及ぴ肺炎等の深刻な病気をもたらす病原の 1つとなっている。 また、 各莢膜型間においてもその病原性及び発症後の重篤度については微妙な相違が存 在し、 このため、 臨床現場においては感染の早期発見という本来の目的に加えて、 ヮクチン接種後の効果の確認という要請からも、 簡便で感度に優れた莢膜型ィン フルェンザ菌の型別法が求められている。 さらに、 開発途上国においても、 イン フルェンザ菌感染症モニタリングゃワクチン応用等の観点から、 簡便かつ迅速に 行える型別法が求められている。 従って、 当該型別法に対する社会的要請度はき わめて高いと言える。
ところで、 PCR法以外の分子生物学的手法の一つとして、 Loop -mediated isothermal amplification (LAMP) 法が知られている (K. Nagamine et al., Mol. Cell. Probes, 2002 Jun, 16(3), p .223-229 ; Nucleic Acid Research, 2000, Vol.28, No.12, e63) 。 LAMP法では、 偶然による非特異的な相補鎖合成に伴う 増幅反応を効果的に防止し、 かつ、 高効率の増幅メカニズムを実現するために、 標的 DNA中から選択した 6箇所 (最大 8箇所) の領域に基づく少なくとも 4種 (最大 6種) ものプライマー (LAMPプライマーセット) が厳密に設計される必 要がある。 発明の開示
本発明が解決しょうとする課題は、 迅速かつ簡便でしかも精確な、 莢膜 b型以 外 (莢膜 a, c , d, e , f型) の各有莢膜型インフルエンザ菌の検出方法、 各有莢 膜型インフルエンザ菌検出用プライマーセット、 及び各有莢膜型インフルエンザ 菌検出用キットを提供することにある。
本発明者は、 上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。 その結果、 PCR法 による増幅反応よりも特異性に優れ、 かつ迅速性おょぴ簡便性の高い LAMP法に 着目し、 各有莢膜型インフルエンザ菌をそれぞれ特異的に型別し得る LAMPブラ イマ一セットを設計し使用すれば、 前述した課題を解決できることを見出し、 本 発明を完成した。 すなわち、 本発明は以下の通りである。
(1A) 莢膜 a型インフルエンザ菌由来の莢膜遺伝子座第 II領域の塩基配列領域 中の部分配列と同一又は相補的な塩基配列からなる 1種以上のプライマーを備え た LAMPプライマーセットを用いて当該莢膜遺伝子座第 II領域を増幅し、 得られ る増幅産物を検出することを特徴とする、 莢膜 a型ィンフルェンザ菌の検出方法。 上記 LAMPプライマーセットとしては、 例えば、 前記莢膜遺伝子座第 II領域中 の配列番号 2 7で表される塩基配列領域から設計される FIPプライマー、 BIPプ ライマー、 F3プライマー及ぴ B3プライマーからなるものが挙げられる。 また、 上記 LAMPプライマーセットとしては、 さらにループプライマーとして LFプラ イマ一及び/又は LBプライマーを含むものが挙げられる。
上記 FIPプライマーとしては、 例えば、 配列番号 2 7で表される塩基配列のう ち第 3216番目から第 3288番目の領域から設計されるものが挙げられる。
上記 BIPプライマーとしては、 例えば、 配列番号 2 7で表される塩基配列のう ち第 3305番目から第 3387番目の領域から設計されるものが挙げられる。
上記 F3プライマーとしては、 例えば、 配列番号 2 7で表される塩基配列のう ち第 3197番目から第 3214番目の領域から設計されるものが挙げられる。
上記 B3プライマーとしては、 例えば、 配列番号 2 7で表される塩基配列のう ち第 3408番目から第 3429番目の領域から設計されるものが挙げられる。
上記 LFプライマーとしては、 例えば、 配列番号 2 7で表される塩基配列のう ち第 3239番目から第 3263番目の領域から設計されるものが挙げられる。
上記 LBプライマーとしては、 例えば、 配列番号 2 7で表される塩基配列のう ち第 3340番目から第 3364番目、 又は第 3339番目から第 3362番目の領域から設計 されるものが挙げられる。
上記 LAMP プライマーセットとしては、 例えば、 以下の (a)、 Ob)又は (c)に示 される塩基配列の組み合わせのものが挙げられる。
(a) 配列番号 1、 配列番号 2、 配列番号 3及び配列番号 4で表される塩基配 列の組み合わせ
(b) 配列番号 1、 配列番号 2、 配列番号 3、 配列番号 4、 配列番号 5及び配 列番号 6で表される塩基配列の組み合わせ
(c)配列番号 1、 配列番号 2、 配列番号 3、 配列番号 4、 配列番号 5及び配 列番号 7で表される塩基配列の組み合わせ
(2A) 以下の (a)、 (b)又は (c)に示される塩基配列の組み合わせを含む、 莢膜 a 型インフルエンザ菌の検出用 LAMPプライマーセット。
(a) 配列番号 1、 配列番号 2、 配列番号 3及び配列番号 4で表される塩基配 列の組み合わせ
(b) 配列番号 1、 配列番号 2、 配列番号 3、 配列番号 4、 配列番号 5及び配 列番号 6で表される塩基配列の組み合わせ
(c)配列番号 1、 配列番号 2、 配列番号 3、 配列番号 4、 配列番号 5及び配 列番号 7で表される塩基配列の組み合わせ
(3A) 上記 (2A)に記載の LAMPプライマーセッ トを含む、 莢膜 a型インフルェ ンザ菌の検出用キット。 (1B) 莢膜 c型インフルエンザ菌由来の莢膜遺伝子座第 II領域の塩基配列領域 中の部分配列と同一又は相補的な塩基配列からなる 1種以上のプライマーを備え た LAMPプライマーセットを用いて当該莢膜遺伝子座第 II領域を増幅し、 得られ る増幅産物を検出することを特徴とする、 莢膜 c型インフルエンザ菌の検出方法。 上記 LAMPプライマーセットとしては、 例えば、 前記莢膜遺伝子座第 II領域中 の配列番号 2 9で表される塩基配列領域から設計される FIPプライマー、 BIPプ ライマー、 F3プライマー及び B3プライマーからなるものが挙げられる。
上記 FIPプライマーとしては、 例えば、 配列番号 2 9で表される塩基配列のう ち第 64番目から第 140番目の領域から設計されるものが挙げられる。
上記 ΒΓΡプライマーとしては、 例えば、 配列番号 2 9で表される塩基配列のう
ち第 141番目から第 219番目の領域から設計されるものが挙げられる。
上記 F3プライマーとしては、 例えば、 配列番号 2 9で表される塩基配列のう ち第 42番目から第 61番目の領域から設計されるものが挙げられる。
上記 B3プライマーとしては、 例えば、 配列番号 2 9で表される塩基配列のう ち第 229番目から第 252番目の領域から設計されるものが挙げられる。
上記 LAMP プライマーセットとしては、 例えば、 配列番号 8、 配列番号 9、 配列番号 1 0及び配列番号 1 1で表される塩基配列の組み合わせのものが挙げら れる。
(2B) 配列番号 8、 配列番号 9、 配列番号 1 0及び配列番号 1 1で表される塩 基配列の組み合わせを含む、 莢膜 c型インフルエンザ菌の検出用 LAMPプライマ ーセット。
(3B) 上記 (2B)に記載の LAMPプライマーセットを含む、 莢膜 c型インフルェ ンザ菌の検出用キット。 (1C) 莢膜 d型インフルエンザ菌由来の莢膜遺伝子座第 II領域の塩基配列領域 中の部分配列と同一又は相補的な塩基配列からなる 1種以上のプライマーを備え た LAMPプライマーセットを用いて当該莢膜遺伝子座第 II領域を増幅し、 得られ る増幅産物を検出することを特徴とする、 莢膜 d型ィンフルェンザ菌の検出方法。 上記 LAMPプライマーセットとしては、 例えば、 前記莢膜遺伝子座第 II領域中 の配列番号 3 0で表される塩基配列領域から設計される FIPプライマー、 BIPプ ライマー、 F3プライマー及ぴ B3プライマーからなるものが挙げられる。
上記 FIPプライマーとしては、 例えば、 配列番号 3 0で表される塩基配列のう ち第 346番目から第 410番目の領域から設計されるものが挙げられる。
上記 BIPプライマ一としては、 例えば、 配列番号 3 0で表される塩基配列のう ち第 445番目から第 519番目の領域から設計されるものが挙げられる。
上記 F3プライマーとしては、 例えば、 配列番号 3 0で表される塩基配列のう ち第 320番目から第 342番目の領域から設計されるものが挙げられる。
上記 B3プライマーとしては、 例えば、 配列番号 3 0で表される塩基配列のう ち第 527番目から第 550番目の領域から設計されるものが挙げられる。
上記 LAMP プライマーセットとしては、 例えば、 配列番号 1 2、 配列番号 1 3、 配列番号 1 4及び配列番号 1 5で表される塩基配列の組み合わせのものが挙 げられる。
(2C) 配列番号 1 2、 配列番号 1 3、 配列番号 1 4及び配列番号 1 5で表され る塩基配列の組み合わせを含む、 莢膜 d型インフルエンザ菌の検出用 LAMPブラ ィマ1 ~~セ、ソ ト。
(3C) 上記 (2C)に記載の LAMPプライマーセットを含む、 莢膜 d型インフルェ ンザ菌の検出用キット。 (1D) 莢膜 e型インフルエンザ菌由来の莢膜遺伝子座第 II領域の塩基配列領域 中の部分配列と同一又は相補的な塩基配列からなる 1種以上のプライマーを備え た LAMPプライマーセットを用いて当該莢膜遺伝子座第 II領域を増幅し、 得られ る増幅産物を検出することを特徴とする、 莢膜 e型インフルエンザ菌の検出方法。 上記 LAMPプライマーセットとしては、 例えば、 前記莢膜遺伝子座第 II領域中 の配列番号 3 1で表される塩基配列領域から設計される FIPプライマー、 BIPプ ライマー、 F3プライマ一及び B3プライマーからなるものが挙げられる。
上記 FIPプライマーとしては、 例えば、 配列番号 3 1で表される塩基配列のう ち第 608番目から第 667番目の領域から設計されるものが挙げられる。
上記 BIPプライマーとしては、 例えば、 配列番号 3 1で表される塩基配列のう ち第 687番目から第 770番目の領域から設計されるものが挙げられる。
上記 F3プライマーとしては、 例えば、 配列番号 3 1で表される塩基配列のう ち第 582番目から第 599番目の領域から設計されるものが挙げられる。
上記 B3プライマーとしては、 例えば、 配列番号 3 1で表される塩基配列のう ち第 781番目から第 798番目の領域から設計されるものが挙げられる。
上記 LAMP プライマーセットとしては、 例えば、 配列番号 1 6、 配列番号 1 7、 配列番号 1 8及ぴ配列番号 1 9で表される塩基配列の組み合わせのものが挙 げられる。
(2D) 配列番号 1 6、 配列番号 1 7、 配列番号 1 8及び配列番号 1 9で表され る塩基配列の組み合わせを含む、 莢膜 e型ィンフルェンザ菌の検出用 LAMPブラ
ィマーセット。
(3D) 上記 (2D)に記載の LAMPプライマーセットを含む、 莢膜 e型インフルェ ンザ菌の検出用キット。 (1E) 莢膜 f 型インフルエンザ菌由来の莢膜遺伝子座第 II領域の塩基配列領域 中の部分配列と同一又は相補的な塩基配列からなる 1種以上のプライマーを備え た LAMPプライマーセットを用いて当該莢膜遺伝子座第 II領域を増幅し、 得られ る増幅産物を検出することを特徴とする、 莢膜 f型ィンブルエンザ菌の検出方法。 上記 LAMPプライマーセットとしては、 例えば、 前記莢膜遺伝子座第 II領域中 の配列番号 3 3で表される塩基配列領域から設計される FIPプライマー、 BIPプ ライマー、 F3プライマー及ぴ B3プライマーからなるものが挙げられる。 また、 上記 LAMPプライマーセットとしては、 さらにループプライマーとして LFプラ イマ一及びノ又は LBプライマーを含むものが挙げられる。
上記 FIPプライマーとしては、 例えば、 配列番号 3 3で表される塩基配列のう ち第 12086番目から第 12169番目の領域から設計されるものが挙げられる。
上記 BIPプライマーとしては、 例えば、 配列番号 3 3で表される塩基配列のう ち第 12184番目から第 12266番目の領域から設計されるものが挙げられる。
上記 F3プライマーとしては、 例えば、 配列番号 3 3で表される塩基配列のう ち第 12063番目から第 12084番目の領域から設計されるものが挙げられる。
上記 B3プライマーとしては、 例えば、 配列番号 3 3で表される塩基配列のう ち第 12281番目から第 12304番目の領域から設計されるものが挙げられる。
上記 LFプライマーとしては、 例えば、 配列番号 3 3で表される塩基配列のう ち第 12116番目から第 12139番目の領域から設計されるものが挙げられる。
上記 LBプライマーとしては、 例えば、 配列番号 3 3で表される塩基配列のう ち第 12210番目から第 12234番目、 又は第 12117番目から第 12139番目の領域か ら設計されるものが挙げられる。
上記 LAMP プライマーセットとしては、 例えば、 以下の (a)、 (b)又は (c)に示 される塩基配列の組み合わせのものが挙げられる。
(a) 配列番号 2 0、 配列番号 2 1、 配列番号 2 2及び配列番号 2 3で表され
る塩基配列の組み合わせ
(b) 配列番号 2 0、 配列番号 2 1、 配列番号 2 2、 配列番号 2 3、 配列番号 2 4及び配列番号 2 5で表される塩基配列の組み合わせ
(c)配列番号 2 0、 配列番号 2 1、 配列番号 2 2、 配列番号 2 3、 配列番号 2 4及ぴ配列番号 2 6で表される塩基配列の組み合わせ
(2E) 以下の (a)、 (b)又は (c)に示される塩基配列の組み合わせを含む、 莢膜 f 型インフルエンザ菌の検出用 LAMPプライマーセット。
(a) 配列番号 2 0、 配列番号 2 1、 配列番号 2 2及び配列番号 2 3で表され る塩基配列の組み合わせ
(b) 配列番号 2 0、 配列番号 2 1、 配列番号 2 2、 配列番号 2 3、 配列番号
2 4及び配列番号 2 5で表される塩基配列の組み合わせ
(c)配列番号 2 0、 配列番号 2 1、 配列番号 2 2、 配列番号 2 3、 配列番号 2 4及び配列番号 2 6で表される塩基配列の組み合わせ
(3E) 上記 (2E)に記載の LAMPプライマーセットを含む、 莢膜 f 型インフルェ ンザ菌の検出用キット 図面の簡単な説明
図 1は、 莢膜 a型ィンフルェンザ菌由来の莢膜遺伝子座第 II領域の塩基配列領 域の一例 (配列番号 2 7 ) の一部 (配列番号 2 8 ) 、 及び、 本発明の第 1態様に おける各 LAMPプラィマ一の設計のための標的領域の一例を示す図である。 図 2は、 莢膜 c型ィンフルェンザ菌由来の莢膜遺伝子座第 II領域の塩基配列領 域の一例 (配列番号 2 9 ) 、 及ぴ、 本発明の第 2態様における各 LAMPプライマ 一の設計のための標的領域の一例を示す図である。
図 3は、 莢膜 d型ィンフルェンザ菌由来の莢膜遺伝子座第 II領域の塩基配列領 域の一例 (配列番号 3 0 ) 、 及ぴ、 本発明の第 3態様における各 LAMPプライマ 一の設計のための標的領域の一例を示す図である。
図 4は、 莢膜 e型ィンフルェンザ菌由来の莢膜遺伝子座第 II領域の塩基配列領 域の一例 (配列番号 3 1 ) の一部 (配列番号 3 2 ) 、 及び、 本発明の第 4態様に おける各 LAMPプライマーの設計のための標的領域の一例を示す図である。
図 5は、 莢膜 f型ィンフルェンザ菌由来の莢膜遺伝子座第 II領域の塩基配列領 域の一例 (配列番号 3 3 ) の一部 (配列番号 3 4 ) 、 及び、 本発明の第 5態様に おける各 LAMPブライマ一の設計のための標的領域の一例を示す図である。 図 6は、 LAMPプライマーセット HiAlを使用した場合のリアルタイム濁度測 定の結果を示す図である。
図 7は、 LAMPプライマーセット HiAlを使用した場合のスレッシュホールド タイム (Tt)と、 当初铸型 DNA濃度の常用対数との関係を示すグラフである。 図 8は、 LAMPプライマーセット HiClを使用した場合のリアルタイム濁度測 定の結果を示す図である。
図 9は、 LAMPプライマーセット HiClを使用した場合のスレッシュホールド タイム (Tt)と、 当初錡型 DNA濃度の常用対数との関係を示すグラフである。 図 1 0は、 LAMPプライマーセット HiDlを使用した場合のリアルタイム濁度 測定の結果を示す図である。
図 1 1は、 LAMPプライマーセッ ト HiDlを使用した場合のスレッシュホール ドタイム (Tt)と、 当初鎵型 DNA濃度の常用対数との関係を示すグラフである。 図 1 2は、 LAMPプライマーセット HiElを使用した場合のリアルタイム濁度 測定の結果を示す図である。
図 1 3は、 LAMPプライマーセット HiElを使用した場合のスレッシュホール ドタイム (Tt)と、 当初铸型 DNA濃度の常用対数との関係を示すグラフである。 図 1 4は、 LAMPプライマーセット HiFlを使用した場合のリアルタイム濁度 測定の結果を示す図である。
図 1 5は、 LAMPプライマーセット HiFlを使用した場合のスレッシュホール ドタイム (Tt)と、 当初铸型 DNA濃度の常用対数との関係を示すグラフである。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明を詳細に説明する。 本発明の範囲はこれらの説明に拘束されるこ とはなく、 以下の例示以外についても、 本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変 更し実施し得る。
なお、 本明細書は、 本願優先権主張の基礎となる特願 2006-116104号明細書
の全体を包含する。 また、 本明細書において引用された全ての刊行物、 例えば先 行技術文献、 及ぴ公開公報、 特許公報その他の特許文献は、 参照として本明細書 に組み込まれる。 1 . 本発明の概要
本発明は、 莢膜 b型以外 (莢膜 a,C , d,e,f 型) の有莢膜型インフルエンザ 菌由来の染色体 DNA における、 各莢膜型に特異的な塩基配列領域に着目して LAMP プライマーセットを設計することにより、 莢膜 b型以外のインフルェン ザ菌をそれぞれ特異的に検出する (型別する) ことを可能としたものである。 こ こで、 「LAMP プライマーセット」 とは、 LAMP法による核酸増幅に用いられ る少なくとも 4種 (最大 6種) のプライマーのセットを意味する (本明細書にお いて同様) 。
LAMP プライマーセットは、 各莢膜型に特異的な塩基配列領域中における異 なる 6領域 (5 '末端側から順に F3, F2, Fl, Blc, B2c, B3c) 及ぴこれに相補的 な領域 (5 '末端側から順に B3, B2, Bl, Flc, F2c, F3c) から設計されるプライ マーを組み合わせて構成される。 具体的には、 LAMP プライマーセットは、 各 莢膜型に特異的な塩基配列領域の 5,末端側から、 Flc領域及ぴ F2領域のヌクレ ォチドを連結してなる Forward Inner Primer (以下、 「FIP」 と略すこともあ る。 ) と、 5'末端側から Blc領域及び B2 領域のヌクレオチドを連結してなる Backward Inner Primer (以下、 「: ΒΓΡ」 と略すこともある。 ) と、 F3領域の ヌクレオチドからなる F3 プライマーと、 Β3領域のヌクレオチドからなる Β3 プライマーとを組み合わせてなるものである。 なお、 所望によりさらにループプ ライマーを設計し、 これらを用いて DNAの増幅を行い、 増幅産物を検出しても よい。 ループプライマーを使用すると、 検出までの時間をさらに短縮することが 可能であるため、 より一層検出の効率化を図ることができる。 ループプライマー としては、 Flc領域及ぴ F2c領域の間の領域のヌクレオチドからなる Loop Primer Forward (以下、 「LF」 と略すこともある。 ) と、 B2領域及ぴ B1領 域の間の領域のヌクレオチドからなる Loop Primer Backward (以下、 「LB」 と略すこともある。 ) が使用できる。
LAMP法では、 酵素活性を維持し得る一定温度のままインキュベートするだ けで、 増幅反応を進行させることが可能である。 このため、 PCR法で必要とな る各温度調節のための設備が不要であり、 低コストでかつ簡便に検出を行うこと ができるとともに、 温度変化に伴う時間ロスもないので迅速に検出が可能である。
2 . 各莢膜型のインフルエンザ菌の検出
( 1 ) 莢膜 a型インフルエンザ菌の検出
本発明の第 1の態様においては、 莢膜 a型ィンフルェンザ菌由来の莢膜遺伝子 座第 II領域の塩基配列領域に着目して LAMPプライマーセットを設計すること により、 莢膜 a型インフルエンザ菌を特異的に検出することができる。
莢膜 a型インフルエンザ菌由来の莢膜遺伝子座第 II領域の塩基配列領域の一 例を、 図 1及び配列番号 2 7に示す。 ここで、 当該塩基配列領域は、 莢膜遺伝子 座第 II領域の全部に対応する領域であってもよいし、 一部に対応する領域であ つてもよく、 限定はされない。 なお、 図 1では、 配列番号 2 7で表される塩基配 列中の一部 (第 3001番目〜第 3600番目) の塩基配列 (配列番号 2 8 ) のみを 示す。 配列番号 2 7の塩基配列は、 GenBank (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/) において Accession number (ァクセッション番号) : Z37516 として公表され ている。
図 1中、 「番号」 と付された行は塩基の位置を表し、 具体的には、 各行に一つ 記載された数字が、 直下の塩基の行の塩基配列の一番右端の塩基の位置を示す。 「プライマー」 と付された行は FIP、 BIP、 F3、 B3、 LF及び LBプライマーを 設計するための標的領域の位置の一例を示す。 また、 「塩基」 と付された行は、 配列表での表示方法と同様に、 塩基配列を左側から右側に向かって 5 '→ 3 '方向 となるように示しており、 各行の右端の塩基はその一段下の塩基配列の行の左端 の塩基につながる。 なお、 図 1の 「プライマー」 行中の矢印は、 プライマーの塩 基配列の 5 '→ 3,方向を示す。 従って、 左向きの矢印で領域指定している場合は、 当該領域の塩基配列に相補的な配列がプライマーの塩基配列に含まれることを示 し、 右向きの矢印で領域指定している場合は、 当該領域の塩基配列がプライマー の塩基配列に含まれることを示す。 図 1に関するこれらの定義説明は、 本発明の
第 2〜 5の態様におレ、て例示する図 2〜 5においても同様である。
本発明の第 1態様では、 LAMP プライマーセットのうち少なくとも 1種 (好 ましくは少なくとも 2種、 より好ましくは少なくとも 4種、 さらに好ましくは 6 種) の LAMPプライマーが、 上記莢膜遺伝子座第 II領域の塩基配列領域中の一 部の配列 (部分配列) と同一又は相補的な塩基配列からなっている。 本発明の第 1態様においては、 さらに、 LAMP プライマーセットが、 上記莢膜遺伝子座第 II領域中の配列番号 2 7で表される塩基配列領域から設計される各 LAMPブラ イマ一からなるものであることが好ましく、 より好ましくは、 配列番号 2 7で表 される塩基配列中の第 3001番目〜第 3600番目の塩基配列領域、 特に好ましく は、 配列番号 2 7で表される塩基配列中の第 3100番目〜第 3500番目の塩基配 列領域、 最も好ましくは、 配列番号 2 7で表される塩基配列中の第 3197番目〜 第 3429番目の塩基配列領域から設計される各 LAMP プライマーからなるもの である。 このような LAMP プライマーセットを用いた場合には、 莢膜 a型イン フルェンザ菌の検出において、 特異性に優れるのみでなく、 検出感度及び検出の 迅速性に優れると共に、 さらに、 増幅曲線に線形性が認められ、 定量性も良好と なる。
本発明の第 1態様において、 FIPプライマーは、 例えば、 配列番号 2 7で表さ れる塩基配列のうち第 3216番目から第 3288番目 (以下、 「3216-3288」 のよ うに表示することもある。 他のプライマーについても同様。 ) の領域から設計す ることができ、 その内訳は、 例えば F2として 3216-3238の領域 (F2cはその相 補鎖領域) 、 F1 として 3267-3288の領域 (Flcはその相補鎖領域) から設計し たもの (配列番号 1 ) が好ましい。
BIP プライマーは、 例えば、 配列番号 2 7で表される塩基配列のうち 3305- 3387 の領域から設計することができ、 その内訳は、 例えば Blc として 3305- 3327 (B1の 3305-3327の相補鎖) 、 B2として 3365-3387の領域から設計した もの (配列番号 2 ) が好ましい。
F3 プライマーは、 例えば、 配列番号 2 7で表される塩基配列のうち 3197- 3214の領域から設計したもの (配列番号 3 ) が好ましく、 B3プライマーは、 例 えば、 配列番号 2 7で表される塩基配列のうち 3408-3429 の領域から設計した
もの (配列番号 4 ) が好ましい。
本発明においては、 さらにループプライマーを使用することもできる。
LF プライマーは、 例えば、 配列番号 2 7で表される塩基配列のうち 3239- 3263 の領域から設計したもの (配列番号 5 ) が好ましく、 LB プライマーは、 例えば、 配列番号 2 7で表される塩基配列のうち 3340-3364 の領域から設計し たもの (配列番号 6 ) が好ましい。 また、 LB プライマーとしては、 配列番号 2 7で表される塩基配列のうち 3339-3362 の領域から設計したもの (配列番号 7 ) を使用することもできる。
ここで、 上述した配列番号 1〜 6で表される塩基配列のプライマーから構成さ れる LAMP プライマーセット (以下、 HiAl と称することがある。 ) について、 各プライマーの塩基配列を表 1に示す。 なお、 配列番号 6で表される塩基配列の LBプライマーと同様に使用できる、 配列番号 7で表される塩基配列の LBブラ イマ一についても、 表 1に併記した。 さらに、 これら各プライマーを設計するた めに選択した 8箇所の標的領域 (Fl, F2, Bl, B2, F3, B3, LF, LB) の位置を、 表 2 A及ぴ表 2 Bに示す。 表 1
LAMPプライマーセッ卜 HiA1
表 2
( 2 ) 莢膜 c型インフルエンザ菌の検出
本発明の第 2の態様においては、 莢膜 c型ィンフルェンザ菌由来の莢膜遺伝子 座第 II領域の塩基配列領域に着目して LAMPプライマーセットを設計すること により、 莢膜 c型ィンフルェンザ菌を特異的に検出することができる。
莢膜 c型ィンフルェンザ菌由来の莢膜遺伝子座第 II領域の塩基配列領域の一 例を、 図 2及び配列番号 2 9に示す。 ここで、 当該塩基配列領域は、 莢膜遺伝子 座第 II領域の全部に対応する領域であってもよいし、 一部に対応する領域であ つてもよく、 限定はされない。 なお、 配列番号 2 9で表される塩基配列領域は、 莢膜 c型ィンフルェンザ菌由来の染色体 DNAを錶型とし、 GenBankに公表さ れている公知の: PCRプライマー (Accession number (ァクセッション番号) : Z33387, Z33388) を用いて PCR により得られた増幅産物をシークェンスして 得られた塩基配列に基づく領域である。
本発明の第 2態様では、 LAMP プライマーセットのうち少なくとも 1種 (好 ましくは少なくとも 2種、 より好ましくは少なくとも 4種) の LAMP プライマ —が、 上記莢膜遺伝子座第 II領域の塩基配列領域中の一部の配列と同一又は相 補的な塩基配列からなっている。 本発明の第 2態様においては、 さらに、 LAMP
プライマーセットが、 上記莢膜遺伝子座第 II領域中の配列番号 2 9で表される 塩基配列領域から設計される各 LAMP プライマーからなるものであることが好 ましく、 より好ましくは、 配列番号 2 9で表される塩基配列中の第 5番目〜第 280番目の塩基配列領域、 特に好ましくは、 配列番号 2 9で表される塩基配列中 の第 30番目〜第 270番目の塩基配列領域、 最も好ましくは、 配列番号 2 9で表 される塩基配列中の第 42 番目〜第 252 番目の塩基配列領域から設計される各 LAMPプライマーからなるものである。 このような LAMPプライマーセットを 用いた場合には、 莢膜 c型インフルエンザ菌の検出において、 特異性に優れるの みでなく、 検出感度及び検出の迅速性に優れると共に、 さらに、 増幅曲線に線形 性が認められ、 定量性も良好となる。
本発明の第 2態様において、 FIPプライマーは、 例えば、 配列番号 2 9で表さ れる塩基配列のうち 64- 140 の領域から設計することができ、 その内訳は、 例え ば F2 として 64-88の領域 (F2cはその相補鎖領域) 、 F1 として 118-140の領 域 (Flcはその相補鎖領域) から設計したもの (配列番号 8 ) が好ましい。
BIPプライマーは、 例えば、 配列番号 2 9で表される塩基配列のうち 141-219 の領域から設計することができ、 その内訳は、 例えば Blc として 141-165 (B1 の 141-165の相補鎖) 、 B2として 195-219の領域から設計したもの (配列番号 9 ) が好ましい。
F3プライマーは、 例えば、 配列番号 2 9で表される塩基配列のうち 42-61の 領域から設計したもの (配列番号 1 0 ) が好ましく、 B3 プライマーは、 例えば、 配列番号 2 9で表される塩基配列のうち 229-252 の領域から設計したもの (配 列番号 1 1 ) が好ましい。
本発明においては、 さらにループプライマーとして LFプライマー及び/又は LBプライマーを設計して使用してもよい。
ここで、 上述した配列番号 8〜1 1で表される各プライマーから構成される LAMPプライマーセット (以下、 HiClと称することがある。 ) について、 各プ ライマーの塩基配列を表 3に示す。 また、 これら各プライマーを設計するために 選択した 6箇所の標的領域 (Fl, F2, Bl, B2, F3, B3) の位置を、 表 4に示す。
表 3
( 3 ) 莢膜 d型インフルエンザ菌の検出
本発明の第 3の態様においては、 莢膜 d型インフルエンザ菌由来の莢膜遺伝子 座第 II領域の塩基配列領域に着目して LAMPプライマーセットを設計すること により、 莢膜 d型インフルエンザ菌を特異的に検出することができる。
莢膜 d型インフルエンザ菌由来の莢膜遺伝子座第 II領域の塩基配列領域の一 例を、 図 3及び配列番号 3 0に示す。 ここで、 当該塩基配列領域は、 莢膜遺伝子 座第 II領域の全部に対応する領域であってもよいし、 一部に対応する領域であ つてもよく、 限定はされない。 なお、 配列番号 3 0で表される塩基配列領域中、 第 491 番目〜第 645 番目の塩基配列領域については、 GenBank において
Accession number (ァクセッション番号) : Z33389として公表されている。 本発明の第 3の態様では、 LAMP プライマーセットのうち少なくとも 1種 (好ましくは少なくとも 2種、 より好ましくは少なくとも 4種) の LAMP ブラ イマ一が、 上記莢膜遺伝子座第 II領域の塩基配列領域中の一部の配列と同一又 は相補的な塩基配列からなっている。 本発明の第 3の態様においては、 さらに、
LAMPプライマーセットが、 上記莢膜遺伝子座第 II領域の塩基配列領域中の配 列番号 3 0で表される塩基配列領域から設計される各 LAMP プライマーからな るものであることが好ましく、 より好ましくは、 配列番号 3 0で表される塩基配 列中の第 1番目〜第 640番目の塩基配列領域、 特に好ましくは、 配列番号 3 0 で表される塩基配列中の第 160番目〜第 600番目の塩基配列領域、 最も好まし くは配列番号 3 0で表される塩基配列中の第 320番目〜第 550番目の塩基配列 領域から設計される各 LAMP プライマーからなるものである。 このような LAMP プライマーセットを用いた場合には、 莢膜 d型インフルエンザ菌の検出 において、 特異性に優れるのみならず、 検出感度及び検出の迅速性に優れると共 に、 さらに、 増幅曲線に線形性が認められ、 定量性も良好となる。
本発明の第 3の態様において、 FIPプライマーは、 例えば、 配列番号 3 0で表 される塩基配列のうち 346-410 の領域で設計することができ、 その内訳は、 例 えば F2 として 346-367の領域 (F2cはその相補鎖領域) 、 : F1は 386-410の領 域 (Flcはその相補鎖領域) から設計したもの (配列番号 1 2 ) が好ましい。
BIPプライマーは、 例えば、 配列番号 3 0で表される塩基配列のうち 445-519 の領域で設計することができ、 その内訳は、 例えば Blc として 445-469の領域 (B1の 445-469の相補鎖) 、 B2は 498-519の領域から設計したもの (配列番 号 1 3 ) が好ましい。
F3 プライマーは、 例えば、 配列番号 3 0で表される塩基配列のうち 320-342 の領域から設計したもの (配列番号 1 4 ) が好ましく、 B3 プライマーは、 例え ば、 配列番号 3 0で表される塩基配列のうち 527-550 の領域から設計したもの (配列番号 1 5 ) が好ましい。
本発明においては、 さらにループプライマーとして、 LF プライマー及び Z又 は LBプライマーを設計して使用してもよい。
ここで、 上述した配列番号 1 2〜1 5で表される各プライマーから構成される LAMPプライマーセッ 1、 (以下、 HiDlと称することがある) について、 各プラ イマ一の塩基配列を表 5に示す。 また、 これらの各プライマーを設計するために 選択した 6箇所の標的領域 (F1,F2,B1, B2,F3,B3) の位置を、 表 6に示す。
表 5
( 4 ) 莢膜 e型インフルエンザ菌の検出
本発明の第 4の態様においては、 莢膜 e型インフルエンザ菌由来の莢膜遺伝子 座第 II領域の塩基配列領域に着目して LAMPプライマーセットを設計すること により、 莢膜 e型インフルエンザ菌を特異的に検出することができる。
莢膜 e型インフルエンザ菌由来の莢膜遺伝子座第 II領域の塩基配列領域の一 例を、 図 4及び配列番号 3 1に示す。 ここで、 当該塩基配列領域は、 莢膜遺伝子 座第 II領域の全部に対応する領域であってもよいし、 一部に対応する領域であ つてもよく、 限定はされない。 なお、 図 4では、 配列番号 3 1で表される塩基配 列領域の一部 (第 391番目〜 1090番目) の塩基配列 (配列番号 3 2 ) のみを示 す。 配列番号 3 1で表される塩基配列領域は、 莢膜 e型インフルエンザ菌由来の 染色体 DNAを錄型とし、 GenBankに公表されている公知の PCRプライマー (Accession number (ァクセッション番号) : 233390、 233391、 Z33392) を 用いて PCR により得られた増幅産物をシークェンスして得られた塩基配列に基 づく領域である。
07 059004 本発明の第 4態様では、 LAMP プライマーセットのうち少なくとも 1種 (好 ましくは少なくとも 2種、 より好ましくは少なくとも 4種) の LAMP プライマ 一が上記莢膜遺伝子座第 II領域の塩基配列領域中の一部の配列と同一又は相補 的な塩基配列からなっている。 本発明の第 4態様においては、 さらに、 LAMP プライマーセットが、 上記莢膜遺伝子座第 II領域中の配列番号 3 1で表される 塩基配列領域から設計される各 LAMP プライマーからなるものであることが好 ましく、 より好ましくは、 配列番号 3 1で表される塩基配列中の第 400番目〜 第 1000番目の塩基配列領域、 特に好ましくは、 配列番号 3 1で表される塩基配 列中の第 500番目〜第 900番目の塩基配列領域、 最も好ましくは、 配列番号 3 1で表される塩 S配列中の第 582番目〜第 798番目の塩基配列領域から設計さ れる各 LAMPプライマーからなるものである。 このような LAMPプライマーセ ットを用いた場合には、 莢膜 e型インフルエンザ菌の検出において、 特異性に優 れるのみでなく、 検出感度及び検出の迅速性に優れると共に、 さらに、 増幅曲線 に線形性が認められ、 定量性も良好となる。
本発明の第 4態様において、 FIPプライマーは、 例えば、 配列番号 3 1で表さ れる塩基配列のうち 608-667 の領域から設計することができ、 その内訳は、 例 えば F2 として 608-628の領域 (F2cはその相補鎖領域) 、 F1 として 648-667 の領域 (Flcはその相補鎖領域) から設計したもの (配列番号 1 6 ) が好ましい。
BIPプライマーは、 例えば、 配列番号 3 1で表される塩基配列のうち 687-770 の領域から設計することができ、 その内訳は、 例えば Blc として 687-711 (B1 の 687-711の相補鎖) 、 B2として 752-770の領域から設計したもの (配列番号 1 7 ) が好ましい。
F3 プライマーは、 例えば、 配列番号 3 1で表される塩基配列のうち 582-599 の領域から設計したもの (配列番号 1 8 ) が好ましく、 B3 プライマーは、 例え ば、 配列番号 3 1で表される塩基配列のうち 781-798 の領域から設計したもの (配列番号 1 9 ) が好ましい。
本発明においては、 さらにループプライマーとして LFプライマー及び Z又は LBプライマーを設計して使用してもよい。 ' ここで、 上述した配列番号 1 6〜1 9で表される各プライマーから構成される
LAMPプライマーセット (以下、 HiElと称することがある。 ) について、 各プ ライマーの塩基配列を表 7に示す。 また、 これら各プライマーを設計するために 選択した 6箇所の標的領域 (Fl, F2, Bl, B2, F3, B3) の位置を、 表 8に示す。
LAMPプライマーセヅ卜 HiE1
( 4 ) 莢膜 f 型インフルエンザ菌の検出
本発明の第 5の態様においては、 莢膜 f型ィンフルェンザ菌由来の莢膜遺伝子 座第 II領域の塩基配列領域に着目して LAMPプライマーセットを設計すること により、 莢膜 f型インフルエンザ菌を特異的に検出することができる。
莢膜 f型インフルエンザ菌由来の莢膜遺伝子座第 II領域の塩基配列領域の一 例を、 図 5及び配列番号 3 3に示す。 ここで、 当該塩基配列領域は、 莢膜遺伝子 座第 II領域の全部に対応する領域であってもよいし、 一部に対応する領域であ つてもよく、 限定はされない。 なお、 図 5では、 配列番号 3 3で表される塩基配 列領域の一部 (第 11861番目〜第 12600番目) の塩基配列 (配列番号 3 4 ) の みを示す。 配列番号 3 3の塩基配列は、 GenBank において Accession number
(ァクセッション番号) : AF549211 として公表されている。
本発明の第 5態様では、 LAMP プライマーセットのうち少なくとも 1種 (好 ましくは少なくとも 2種、 より好ましくは少なくとも 4種、 さらに好ましくは 6 種) の LAMPプライマーが上記莢膜遺伝子座第 II領域の塩基配列領域中の一部 の配列と同一又は相補的な塩基配列からなっている。 本発明の第 5態様において は、 さらに、 LAMPプライマーセットが、 上記莢膜遺伝子座第 II領域中の配列 番号 3 3で表される塩基配列領域から設計される各 LAMP プライマーからなる ものであることが好ましく、 より好ましくは、 配列番号 3 3で表される塩基配列 中の第 11900番目〜第 12500番目の塩基配列領域、 特に好ましくは、 配列番号 3 3で表される塩基配列中の第 12000番目〜第 12400番目の塩基配列領域、 最 も好ましくは、 配列番号 3 3で表される塩基配列中の第 12063番目〜第 12304 番目の塩基配列領域から設計される各 LAMP プライマーからなるものである。 このような LAMP プライマーセットを用いた場合には、 莢膜 f型インフルェン ザ菌の検出において、 特異性に優れるのみでなく、 検出感度及び検出の迅速性に 優れると共に、 さらに、 増幅曲線に線形性が認められ、 定量性も良好となる。 本発明の第 5態様において、 FIPプライマーは、 例えば、 配列番号 3 3で表さ れる塩基配列のうち 12086-12169 の領域から設計することができ、 その内訳は、 例えば F2 として 12086-12106 の領域 (F2c はその相補鎖領域) 、 F1 として 12145-12169 の領域 (Flc はその相捕鎖領域) から設計したもの (配列番号 2 0 ) が好ましい。
BIP プライマーは、 例えば、 配列番号 3 3で表される塩基配列のうち 12184- 12266の領域から設計することができ、 その内訳は、 例えば Blcとして 12184- 12208 (B1の 12184-12208の相補鎖) 、 : B2 として 12244-12266の領域から設 計したもの (配列番号 2 1 ) が好ましい。
F3 プライマーは、 例えば、 配列番号 3 3で表される塩基配列のうち 12063- 12084 の領域から設計したもの (配列番号 2 2 ) が好ましく、 B3 プライマーは、 例えば、 配列番号 3 3で表される塩基配列のうち 12281-12304 の領域から設計 したもの (配列番号 2 3 ) が好ましい。
本発明においては、 さらにループプライマーを使用することもできる。
LF プライマーは、 例えば、 配列番号 3 3で表される塩基配列のうち 12116-
12139の領域から設計したもの (配列番号 2 4 ) が好ましく、 LBプライマーは、 例えば、 配列番号 3 3で表される塩基配列のうち 12210-12234 の領域から設計 したもの (配列番号 2 5 ) が好ましい。 また、 LB プライマーとしては、 配列番 号 3 3で表される塩基配列のうち 12117-12139 の領域から設計したもの (配列 番号 2 6 ) を使用することもできる。
ここで、 上述した配列番号 2 0〜2 5で表される各プライマーから構成される LAMPプライマーセット (以下、 HiFl と称することがある。 ) について、 各プ ライマーの塩基配列を表 9に示す。 なお、 配列番号 2 5で表される塩基配列の LBプライマーと同様に使用できる、 配列番号 2 6で表される塩基配列の LBプ ライマーについても、 表 9に併記した。 さらに、 これら各プライマーを設計する ために選択した 8箇所の標的領域 (Fl, F2, Bl, B2, F3, B3, LF, LB) の位置を、 表 1 0 A及び表 1 0 Bに示す。
LAMPプライマーセッ卜 HiF1
§ 1 O A
( 5 ) LAMPプライマーの調製及び検出操作等
本発明の第 1〜第 5の態様で使用する各 LAMPプライマーは、 例えば、 DNA 自動合成機を用いて化学的に合成することで調製することができる。 なお、 本発 明において、 各 LAMP プライマーは、 それぞれ、 前述したような所定の塩基配 列を有し、 他の塩基と塩基対形成が可能なオリゴヌクレオチドであって、 その 3'末端において相補鎖合成の基点となる- OH 基を備えるものを意味する。 した がって、 この条件を満たす限り、 そのバックボーンは必ずしもホスホジエステル 結合によるものに限定されず、 例えば Pでなく Sをバックボーンとしたホスホチ ォエート体ゃぺプチド結合に基づくぺプチド核酸からなるものであってもよい。 本発明の第 1〜第 5の態様において、 LAMP 法に使用できる铸型依存性核酸 合成酵素としては、 鎖置換活性を有するものであればよく、 特に限定はされなレ、。 このような酵素としては、 Bst DNA ポリメラーゼ (ラージフラグメント) 、 Bca(exo-)DNA ポリメラーゼ、 大腸菌 DNA ポリメラーゼ Iのタレノウフラグ メント、 Vent(Exo-)DNAポリメラーゼ (Vent DNAポリメラーゼからェクソヌク レアーゼ活性を除いたもの) 、 Deep Vent(Exo- )DNA ポリメラーゼ (DeeiD Vent
DNA ポリメラーゼからェクソヌクレアーゼ活性を除いたもの) および KOD DNAポリメラーゼ等が挙げられ、 好ましくは Bst DNAポリメラーゼ (ラージ フラグメント) が挙げられる。 Bst DNAポリメラーゼを用いる場合は、 その反 応至適温度である 60〜65°C付近で反応を行うのが望ましい。
また、 増幅産物の検出には公知の技術が適用できる。 例えば増幅された遺伝子 配列を特異的に認識する標識オリゴヌクレオチドを用いたり、 あるいは、 反応終 了後の反応液をそのままァガロース電気泳動にかけても容易に検出することがで きる。 また、 本発明で用いる LAMPプライマーは、 例えば DNAチップのよう にそれ自身を固相に結合させておくこともできる。 固相化プライマーを合成開始 点とする場合には、 核酸の合成反応生成物が固相に捕捉されることから、 分離お よび検出が容易となる。
さらに、 LAMP 法による増幅反応は加速度的かつ効率的に行なわれるので、 反応液中にあらかじめ二本鎖核酸の分子内に特異的に取り込まれるインターカレ 一ターであるェチジゥムプロマイドゃ SYBR (登録商標) Green I等を添加す ることにより増幅を確認できる。 また、 LAMP法では核酸の合成により基質が 大量に消費され、 副産物であるピロリン酸が、 共存するマグネシゥムと反応して ピロリン酸マグネシウムとなり、 肉眼でも確認できる程に白濁する。 この白濁を 反応終了後に観察して、 あるいは、 反応開始時から経時的に (リアルタイムに) 濁度上昇を観察して、 増幅確認を行うことができる。 経時的に確認する場合は、 光学的な測定機器 (分光光度計など) を使用して、 例えば 650nmの吸光度の変 化を観察すればよい。 また、 経時的に確認する方法によれば、 被験試料中の各莢 膜型インフルエンザ菌由来の染色体 DNA量 (铸型 DNA量) を定量することも 可能である。 3 . 検出用キット
LAMP法による増幅反応に必要な各種の試薬類は、 予めパッケージングして、 各種莢膜型ィンブルエンザ菌の検出用キットとして供給することができる。 具体 的には、 本発明のキットは、 前述した各種有莢膜型インフルエンザ菌検出用の LAMPプライマーセットを含むものであるが、 その他に、 相捕鎖合成の基質とな
る dNTP、 鎖置換型の相補鎖合成を行う DNAポリメラ一ゼ、 酵素反応に好適な 条件を与える緩衝液など、 さらに必要に応じて合成反応生成物の検出のために必 要な試薬類を含めることができる。 また、 核酸の 2重鎖を不安定にするための試 薬 (ベタインなど) を含めることもできる。 以下に、 実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、 本発明はこれらに 限定されるものではない。
〔実施例 1〕
<特異性確認試験〉
本発明の検出方法を実施し、 その特異性を確認したので、 以下に説明する。
( 1 ) 染色体 DNAの準備
まず、 試験に供する各種の菌から染色体 DNAを精製し、 増幅反応の铸型とな る DNAを準備した。
染色体 DNA は、 酵母用の Dr.GenTLE (登録商標;タカラバイオ株式会社 製) を用いて各種の菌体から抽出し、 QIAamp (登録商標) DNA ミニキット (キアゲン社製) を用いて精製することで得た。 抽出及び精製の操作は、 添付の マ二ユアノレに従って行った。
本試験では、 7種のインフルエンザ菌、 及び 2 1種のインフルエンザ菌以外の 菌に分類される計 2 8種の菌株から染色体 DNAを抽出して用いた。 これら 2 8 種の菌株を下記表 1 1に示す。
表 1 1
LAMPフ°ライマーセット 菌株名 HiA1 HiC1 HiD1 HiE1 HiF1
Streptococcus mitis ATCC9811 — 一 一 一 -
Streptococcus oralis ATCC10557 - - - - -
Streptococcus gordonii ATCC10558 一 一 一 一 一
Streptococcus mutans XC47 一 — 一 一 一
Streptococcus sanguis ATCC10556 一 一 一 一 一
Streptococcus salivarius HHT 一 一 一 一 一
Streptococcus pneumoniae ATCC6305 一 一 一 一 一
Streptococcus pneumoniae R6 一 — 一 一 一
Streptococcus pneumoniae GTC261 一 一 一 一 一
Streptococcus pneumoniae IID553 一 一 一 一 一
Streptococcus pneumoniae 11 D554 一 一 一 一 一
Escherichia col i DH5a 一 一 一 一 一
Actinobaci I lus act inomycetemcomi tans Y- 4 - 一 一 一 一
Porphyromonas gingival is 381 - - - - -
Porphyromonas gingival is ATCC49417 一 一 一 一 一
Actinomyces naeslundii WVU627 一 - 一 一 一
Prevotella intermedia ATCC25611 - - - - -
Prevotella nigrescens ATCC25261 - - - - -
Haewopm lus para influenzae I ID991 - - - - - Haemophi lus parahaemo lyticus GTC1529 一 一 一 一 一
Haemophi lus aegyptius IID993 — 一 一 一 一
Haemophilus influenzae type a IID983 + 一 一 一 一
Haemophi lus influenzae type b IID984 - 一 一 一 一
Haemophilus influenzae type G IID985 一 + 一 一 一
Haemophilus influenzae type d IID986 一 - + 一 一
Haemophi lus influenzae type e IID987 一 一 一 + 一
Haemophi lus influenzae type f IID988 一 一 一 一 +
Haemophi lus influenzae nontypeab I e IID989
( 2 ) LAMP反応について
次に、 前記表 1、 3、 5、 7及び 9に記載の各 LAMP プライマーセット (HiAl、 HiCl、 HiDl、 HiEl及ぴ HiFl) を用い、 (1 ) で精製した各種の菌 由来の染色体 DNAを錶型に LAMP反応を行つた。
LAMP反応液 (25 μ ΐ)は、 FIPプライマー及び ΒΙΡプライマー各 1.6 / M、 F3 プライマー及び Β3プライマー各 0.2 μ Μ、 LFプライマー及ぴ LBプライマー各 0.4 (LAMP プライマーセット HiAl 及ぴ HiFl の場合のみ) 、 8U の BstDNAポリメラーゼラージフラグメント (New England Biolabs社製)、 デォ キシヌクレオシド トリフォスフエ一ト各 1.4mM、 ベタイン 0.8M、 Tris-HCl緩 衝液 (pH8.8)20mM、 KC1 10mM、 (NH4)2S04 10mM、 MgS04 8mM、 ツイーン 20を 0.1%、 及び上記 (1 ) で精製した錶型 DNA溶液 2 μ ΐ (铸型 DNA濃度: 約 106コピー) を添カ卩して調製した。
そして、 この LAMP 反応液を、 63°Cで 60 分間インキュベートすることで LAMP反応を進行させ、 最後に 80°Cで 2分間加温することで反応を終了させた。
( 3 ) 増幅の有無の確認について
増幅の有無は、 反応チューブを直接目視し、 LAMP反応液の白濁の有無を観 察することで検出した。 すなわち、 複製配列が存在する場合には反応の副産物と して複製配列の量に比例した量のピロリン酸マグネシウムが産生されるので LAMP反応液が白濁し、 一方存在しない場合には LAMP反応液は透明のままで あるため、 その白濁を指標として増幅産物の検出を行った。
また、 増幅の有無は、 増幅産物のァガロースゲル電気泳動 (3 %のァガロース ゲル、 ェチジゥムブ口マイド染色) によっても確認した。 その結果、 複製配列は LAMP反応に特徴的なラダー状のパターンとして現われた (図示せず) 。
( 4 ) 試験結果について
上述の試験の結果を表 1 1 (前記) に示した。 結果は、 60 分間のインキュべ ーシヨンにより目視によって増幅 (白濁) が確認された場合を 「十」 とし、 60 分間のインキュベーションでも増幅が確認できなかった場合を 「一」 とした。
この結果、 LAMP プライマーセット HiAl を使用した場合は、 莢膜 a型イン フルェンザ菌由来の染色体 DNAを錡型としたときのみ多量の増幅産物が確認さ れ、 対照的に、 他の菌種では増幅産物は確認されなかった。
LAMP プライマーセット HiCl を使用した場合は、 莢膜 c型インフルエンザ 菌由来の染色体 DNAを銹型としたときのみ多量の増幅産物が確認され、 対照的 に、 他の菌種では増幅産物は確認されなかった。
LAMP プライマーセット HiDl を使用した場合は、 莢膜 d型インフルエンザ 菌由来の染色体 DNAを铸型としたときのみ多量の増幅産物が確認され、 対照的 に、 他の菌種では増幅産物は確認されなかった。
LAMP プライマーセット HiEl を使用した場合は、 莢膜 e型インフルエンザ 菌由来の染色体 DNAを鎵型としたときのみ多量の増幅産物が確認され、 対照的 に、 他の菌種では増幅産物は確認されなかった。
LAMP プライマーセット HiFl を使用した場合は、 莢腠 f型インフルエンザ 菌由来の染色体 DNAを铸型としたときのみ多量の増幅産物が確認され、 対照的 に、 他の菌種では増幅産物は確認されなかった。
以上のことから、 本発明に係る各莢膜型インフルエンザ菌の検出方法は、 特異 性に優れ、 型別法として有用であることが確認された。
〔実施例 2〕
<感度確認試験 >
各 LAMP プライマーセット (HiAl、 HiCl、 HiDl, HiEl及ぴ HiFl) を用 いた場合の検出感度を確認したので、 以下に説明する。
( 1 ) 染色体 DNAの調製
本試験では、 各莢膜型のインフルエンザ菌 (莢膜 a型 (IID983)、 莢膜 c型 (IID985)、 莢膜 d型 (IID986)、 莢膜 e型 (IID987) 及ぴ莢膜 f 型 (IID988)) から、 実施例 1 ( 1 ) と同様の方法で染色体 DNAを精製し、 铸型とした。 反応液中の 铸型 DNAの濃度 (コピー数) は、 Ultrospec 3300 pro(Amersham Biosciences 社製)を用い、 分子サイズを 1.9Mbpとして定量した。
( 2 ) LAMP法及び PCR法について
上記 ( 1 ) で定量した鎵型 DNA溶液を 10倍ずつ希釈して 1〜: 1,000,000倍の 溶液を調製し、 これを LAMP反応の鍀型 DNA溶液として用いることで、 検出 限界を確認した。 また、 ネガティブコントロールとして鎵型 DNA濃度が 0のも のについても確認した。 LAMP反応液は、 铸型 DNA溶液の濃度が異なる以外、 鏡型 DNA溶液の添加量及びその他の添加物の添加量に関して、 実施例 1の特異 性確認試験と同様とした。 また、 LAMP反応は、 63°Cで 35分間又は 60分間ィ ンキュペートすることで反応を進行させ、 最後に 80°Cで 2分間加温することで 反応を終了させた。
( 3 ) 増幅の有無の確認について
LAMP反応による増幅の有無は、 Loopamp (登録商標) リアルタイム濁度測 定装置 (テラメッタス株式会社製、 型番: LA-200) を用いて経時的に濁度を測 定し、 濁度が 0.1以上となった場合に増幅したと判定した。
また、 実施例 1の特異性確認試験と同様に、 目視、 及び 3 %ァガロースゲル電 気泳動 (図示せず) による確認も行った。
( 4 ) 試験結果について
試験結果は、 上記のように増幅産物が確認された場合には 「 +」 とし、 増幅産 物が確認されなかった場合は 「一」 とした。 試験結果を、 下記表 1 2に示す。
表 1 2
錶型 DNA濃度(コピー数)
LAMPフ。ライマ一セット
106 105 104 103 102 10 1
ΗΪΑ1 (35分) + + + + + — 一 一
ΗΪΑ1 (60分) + + + + + - - -
HiC1 (35分) + 一 一 - 一 一 一 一
HiC1 (60分) + + + + 一 一 — —
HiD1 (35分) + + + + 一 一 一 一
HiD1 (60分) + + + + + + - -
HiE1 (35分) + 一 一 - 一 一 一 —
HiE1 (60分) + + + + + 一 一 一
HiF1 (35分) + + + + + - - -
HiF1 (60分) + + + + + + - -
表 1 2に示すように、 HiAl、 HiCl、 HiDl、 HiEl 及ぴ HiFl のいずれの LAMP プライマーセットを使用した場合も、 LAMP反応を 60分間行うことで 103コピーの鎵型 DNA を検出することができた。 なかでも、 HiEl及ぴ HiAl は 102コピーの錶型 DNAを、 HiDl及ぴ HiFlは 10コピーの铸型 DNAを検出 することができ、 特に感度が高かった。
また、 HiAl及び HiFl については、 LAMP反応が 35分間であっても、 102 コピーの铸型 DNAを検出することができ、 感度及び迅速性のいずれにも優れる ことが確認された。 HiAl及び HiFl はループプライマーも含むものであるため、 HiClや HiElに比べ、 上記の優れた結果が得られたものと考えられる。
JP2007/059004
〔実施例 3〕
<リアルタイム濁度測定試験 >
各 LAMP プライマーセット (HiAl、 HiCl、 HiDl、 HiEl及び HiFl) を用 いた LAMP反応についてリアルタイム濁度測定を行い、 鎳型 DNAの定量性に ついて検討した。
本試験では、 反応チューブ 1本当たりの铸型 DNA濃度を 0〜: 106コピーに調 製し、 上記各 LAMPプライマーセットを用いて LAMP反応を行い、 この反応中 に、 Loopamp (登録商標) リアルタイム濁度測定装置 (テラメッタス株式会社 製、 型番: LA-200) を用いて 6秒毎に 650nmの吸光度を測定した。
LAMP プライマーセット HiAl を使用した場合について、 リアルタイム濁度 測定の結果を図 6に示す。 図 6に示すように、 錡型 DNA濃度が 102コピー以上 であれば、 60分以内に濁度が 0.1 以上になることが確認され、 この結果は実施 例 2の感度試験における目視及び電気泳動による增幅の有無の判別結果と一致し た。 また、 最初に用いた鎵型 DNA濃度の増加に伴い、 スレッシュホールドタイ ム (濁度が 0.1を超えるまでの時間) が短くなることが確認された。
図 7のグラフは、 HiAl を使用した場合のスレッシュホールドタイム (Tt)と、 当初の铸型 DNA濃度の常用対数との関係を示す。 これらの間には線形性が認め られ、 相関係数!:2 =0.9743と高い相関を示した。 これは、 錡型 DNAの初期濃度 が未知の場合に、 その存在の有無のみでなくその濃度も定量可能であることを意 味する。 すなわち、 例えば、 濃度未知のサンプルについても、 同様に希釈倍率の 異なる希釈液を調製し、 各希釈液を用いて LAMP反応を行つた場合のスレッシ ュホールドタイムを測定することで回帰直線を作成すれば、 この回帰直線から、 未知の錡型 DNAの初期濃度を特定することができる。
LAMP プライマーセット HiCl を使用した場合について、 リアルタイム濁度 測定の結果を図 8に示す。 図 8に示すように、 鎵型 DNA濃度が 103コピー以上 であれば、 60 分以内に濁度が 0.1 以上になることが確認され、 この結果は実施 例 2の感度試験における目視及ぴ電気泳動による増幅の有無の判別結果と一致し た。 また、 最初に用いた铸型 DNA濃度の増加に伴い、 スレッシュホールドタイ ム (濁度が 0.1を超えるまでの時間) が短くなることが確認された。
図 9のグラフは、 HiCl を使用した場合のスレッシュホールドタイム (Tt)と、 当初の铸型 DNA濃度の常用対数との関係を示す。 これらの間には線形性が認め られ、 相関係数 ι'2=0.987 と高い相関を示した。 これは、 铸型 DNAの初期濃度 が未知の場合に、 その存在の有無のみでなくその濃度も定量可能であることを意 味する。
LAMP プライマーセット HiDl を使用した場合について、 リアルタイム濁度 測定の結果を図 1 0に示す。 図 1 0に示すように、 錡型 DNA濃度が 10 コピー 以上であれば、 60 分以内に濁度が 0.1 以上になることが確認され、 この結果は 実施例 2の感度試験における目視及ぴ電気泳動による増幅の有無の判別結果と一 致した。 また、 最初に用いた铸型 DNA濃度の増加に伴い、 スレッシュホールド タイム (濁度が 0.1を超えるまでの時間) が短くなることが確認された。
図 1 1のグラフは HiDl を使用した場合のスレッシュホールドタイム (Tt) と当初の铸型 DNA濃度の常用対数との関係を示す。 これらの間には線形性が認 められ、 相関係数!:2 =0.999 と高い相関を示した。 これは、 鎵型 DNA濃度の初 期濃度が未知の場合に、 その存在の有無のみでなくその濃度も定量可能であるこ とを意味する。
LAMP プライマーセット HiEl を使用した場合について、 リアルタイム濁度 測定の結果を図 1 2に示す。 図 1 2に示すように、 铸型 DNA濃度が 102コピー 以上であれば、 60 分以内に濁度が 0.1 以上になることが確認され、 この結果は 実施例 2の感度試験における目視及び電気泳動による増幅の有無の判別結果と一 致した。 また、 最初に用いた铸型 DNA濃度の増加に伴い、 スレッシュホールド タイム (濁度が 0.1を超えるまでの時間) が短くなることが確認された。
図 1 3のグラフは、 HiEl を使用した場合のスレッシュホールドタイム (Tt)と、 当初の铸型 DNA濃度の常用対数との関係を示す。 これらの間には線形性が認め られ、 相関係数 ι'2=0.9875と高い相関を示した。 これは、 铸型 DNAの初期濃度 が未知の場合に、 その存在の有無のみでなくその濃度も定量可能であることを意 味する。
LAMP プライマーセット HiFl を使用した場合について、 リアルタイム濁度 測定の結果を図 1 4に示す。 図 1 4に示すように、 铸型 DNA濃度が 10 コピー
以上であれば、 60 分以内に濁度が 0.1 以上になることが確認され、 この結果は 実施例 2の感度試験における目視及ぴ電気泳動による増幅の有無の判別結果と一 致した。 また、 最初に用いた鎵型 DNA濃度の増加に伴い、 スレッシュホールド タイム (濁度が 0.1を超えるまでの時間) が短くなることが確認された。
図 1 5のグラフは、 HiFl を使用した場合のスレッシュホールドタイム (Tt)と、 当初の鎵型 DNA濃度の常用対数との関係を示す。 これらの間には線形性が認め られ、 相関係数 r2=0.9625と高い相関を示した。 これは、 鑤型 DNAの初期濃度 が未知の場合に、 その存在の有無のみでなくその濃度も定量可能であることを意 味する。
以上のことから、 HiAl、 HiCl、 HiDl、 HiEl及び HiFlのいずれの LAMPプ ライマーセットを用いた場合でも、 各莢膜型インフルエンザ菌のリアルタイム検 出が可能であり、 定量性に優れていた。 中でも、 HiAl及び HiFlの LAMPプライ マーセットを用いた場合は、 スレッシュホールドタイムが極めて短く、 検出の迅 速性にも優れていた。 産業上の利用可能性
本発明によれば、 莢膜 b型以外 (すなわち莢膜 a , c,d,e , f 型) の各有莢膜 型ィンフルェンザ菌の検出方法、 並びに当該方法に用い得る検出用プライマーセ ット、 及び検出用キットを提供することができる。
本発明の検出方法は、 LAMP法により、 莢膜 b型以外の各有莢膜型インフルェ ンザ菌を、 迅速、 簡便かつ精確に型別することができる点で、 臨床診断及びその 後の処置において極めて有用である。 配列表フリーテキスト
配列番号 1 :合成 DNA
配列番号 2 :合成 DNA
配列番号 3 :合成 DNA
配列番号 4 :合成 DNA
配列番号 5 :合成 DNA
配列番号 6 :合成 DNA 配列番号 7 :合成 DNA 配列番号 8 :合成 DNA 配列番号 9 :合成 DNA 配列番号 1 0 :合成 DNA 配列番号 1 1 :合成 DNA 配列番号 1 2 :合成 DNA 配列番号 1 3 :合成 DNA 配列番号 1 4 :合成 DNA 配列番号 1 5 :合成 DNA 配列番号 1 6 :合成 DNA 配列番号 1 7 :合成 DNA 配列番号 1 8 :合成 DNA 配列番号 1 9 :合成 DNA 配列番号 2 0 :合成 DNA 配列番号 2 1 :合成 DNA 配列番号 2 2 :合成 DNA 配列番号 2 3 :合成 DNA 配列番号 2 4 :合成 DNA 配列番号 2 5 :合成 DNA 配列番号 2 6 :合成 DNA