明 細 書
血圧計用腕帯
技術分野
[0001] 本発明は、血圧計用腕帯に関する。特に、この血圧計用腕帯は、締付機構及び保 持機構が機械的強度に優れている。これにより、血圧計用腕帯は、耐久性が向上し ているとともに小型化されている。また、血圧計用腕帯は、血圧の測定精度及び操作 性が向上している。さらに、血圧計用腕帯は、可撓性腕帯の両端を連結し、かつ、開 放方向に付勢する弾性体を備えている。これにより、可撓性腕帯に対して、腕を容易 に挿脱することができる。
背景技術
[0002] 近年、血圧計は、健康管理を目的として、一般家庭にも広く普及してきた。一般家 庭用の血圧計は、通常、測定部と、血圧計用腕帯とからなつている。測定部は、血圧 を自動的に測定し表示する。また、血圧計用腕帯は、空気袋等を有する。上記測定 部によって、短時間でかつ容易に、血圧を測定することが可能となった。ただし、血 圧計の使用者にとっては、血圧計用腕帯を腕に巻き付けたり、腕から取り外す作業 力 最もおつくうな作業となっていた。
このため、上記のおつくうな作業を改善し、老人等でも一人で容易に測定できるよう に、様々な技術が開発されてきた。
[0003] (従来例)
たとえば、特許文献 1に記載された血圧計用締付装置は、カーラ、ァクチユエータ、 第一のラック、二段ギア、第二のラック及び電極を有している。
カーラは、空気袋を上腕に対して締め付け固定する。ァクチユエータは、電圧を印 加することによって、電場方向に収縮し、また、電場方向と垂直な方向に膨張する。 第一のラックは、ァクチユエータの一端に固定されている。二段ギアは、第一のラック と嚙み合うように配置されている。第二のラックは、二段ギアと嚙み合っている。電極 は、電圧を印加するために配置されている。
上記血圧計用締付装置は、モータやクラッチ等の複雑な機構を必要としない。また
、この血圧計用締付装置は、簡便な構成によって、モータより応答性のよい締付動作 を行うことができる。さらに、この血圧計用締付装置は、小型化及び軽量化されている
[0004] 特許文献 2に記載された血圧測定用カフは、ケース体、撮み軸及びカフ本体とから なっている。
ケース体の内部には、送り出し用ローラ及び従動ギアを備える回転軸が設けられて いる。撮み軸は、駆動ギアとインナーホイールを備えている。この駆動ギアは、ケース 体に対し上方へばね付勢され、下端が従動ギアと螺合する。また、インナーホイール の上端は、スプリングボールを介して、撮みカバーに嵌め込まれている。このインナ 一ホイールは、撮みカバーが回動されると、回動する。また、一定の回転負荷によつ て、撮みケースが空回りする。カフ本体は、一端がケース体の適所に固定され、他端 力 送り出し用ローラを介して、ケース体に挿入されている。
この血圧測定用カフは、逆回転防止用ギアと、ラチエツト部を有している。逆回転防 止用ギアは、撮み軸の逆回転を防止する。ラチェット部は、逆回転防止用ギアと嚙み 合っている。これにより、血圧測定用カフは、撮みカバーを回すと、カフ本体の径が 小さくなる。また、血圧測定用カフは、撮みカバーを押下すると、ラチェット部が外れ、 カフ本体の径が元の大きさにもどる。
[0005] 特許文献 3に記載された血圧計の腕帯は、空気袋と、弾性板とを内部に有している 。この弾性板は、空気袋の外側に設けられており、該弾性板の環状形態を保持する 。また、この弾性板は、その腕軸方向の厚さを部分的に薄くした薄肉部分を有する。 この血圧計の腕帯によれば、薄肉部分によって、弾性板 (腕帯)がねじれ易くなる。 したがって、血圧計の腕帯は、ストレートな腕や先細りの腕等のあらゆる形状の腕に 容易にフィットする。
特許文献 1:特開 2006— 6450号公報
特許文献 2:実開平 2— 37604号公報
特許文献 3:特許第 3740985号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0006] ところで、上記従来例の血圧計は、いずれもカフを腕に巻き、締め付けた後、空気 袋に空気を送圧する。この際、腕が圧迫されるとともに、周方向にカーラゃカフ本体 を押し広げようとする大きな力が作用する。
しかし、上記血圧計用締付装置は、ラックや二段ギアの歯が欠ける危険性がある。 この危険性を回避するには、ラックや二段ギアの形状'材質等を厳選する必要があり 、機械的強度を確保しずらい構造であった。
また、上記血圧測定用カフは、逆回転防止用ギアとラチエツト部を備えているものの 、逆回転防止用ギアの歯が欠ける危険性がある。この危険性を回避するには、逆回 転防止用ギアの形状'材質等を厳選する必要があり、機械的強度を確保しずらい構 造であった。
これらの機械的強度不足は、耐久性に悪影響を及ぼし、壊れやすいといった問題 かあつた。
[0007] さらに、血圧計用締付装置は、カーラを自動的に開閉できるものの、カーラが腕形 状に追随することができず、フィット性が悪いといった問題があった。また、構造が大 掛カりとなり、製造原価のコストダウンを図ることができないといった問題があった。
[0008] また、血圧測定用カフは、ラチヱット部を上方に付勢するばねに、ばね定数の大き いものを用いた場合、撮みカバーを回転させるのに、大きな力が必要となる。このた め、操作性が低下するといつた心配もあった。
[0009] さらに、上記血圧計用締付装置や血圧測定用カフは、カフを円筒状に保持したま ま、カフの径が小さくなる。このため、截頭円錐状の腕形状に追随しにくい。したがつ て、筋肉質の腕などの場合、空気袋による腕の圧迫が均一に行われず、精度よく血 圧を測定できな 、場合があると 、つた問題があった。
[0010] また、上記血圧計の腕帯は、腕帯を腕に巻き付ける際、弾性体の一端を測定する 腕に引っ掛けつつ他端を腕に巻き付ける。この作業は、熟練 (こつ)のいる作業であ る。さらに、使用者一人で腕帯を巻き付けるには、片手で腕帯を持って上記熟練のい る作業を行う必要がある。この作業は、手先の運動性や握力が衰えてきた老人等に は、酷であるといった問題があった。
また、上記血圧計の腕帯は、弾性板に腕軸方向の厚さを部分的に薄くした薄肉部
分を形成することにより、様々な形状の腕に対するフィット性を向上させようとしている 。ただし、これを実現するには、一般的に、弾性板が十分な可撓性を有している必要 があるが、弾性板が十分な可撓性を有する構造とすると、弾性板が容易に変形してし まう。すなわち、腕を挿入する際、弾性板を拡開状態に維持したり、血圧測定後に、 弾性体を開いて腕を取り外さなければならず、操作性が低下するといつた問題があつ た。
[0011] 本発明は、以上のような従来の技術が有する問題を解決するために提案されたも のである。すなわち、本発明は、締付機構及び保持機構を機械的強度に優れた構 造とすることにより、耐久性を向上させるとともに小型化することができ、さらに、腕へ のフィット性を向上させることにより、血圧の測定精度を向上させ、また、操作性を向 上させることの可能な血圧計用腕帯の提供を目的とする。
課題を解決するための手段
[0012] 上記目的を達成するため、本発明の血圧計用腕帯は、締付部材により生体の一部 を締め付ける血圧計用腕帯において、ラック及び該ラックに嚙み合うラック送り手段を 備えた締付機構と、保持用孔及び該保持用孔に係入する保持用部材を備えた保持 機構とを有し、前記ラックが、前記締付部材と一体的に形成されるとともに、前記保持 用孔が、前記締付部材に穿設された構成としてある。
このようにすると、ラックが締付部材に形成されるので、スペースを効果的に利用し て、ラック及びラック送り手段の歯を大型化することができる。したがって、締付機構の 機械的強度を容易に向上させることができ、締付機構を単純ィ匕及び小型化すること ができる。また、保持用孔が締付部材に形成され、係入される保持用部材によって保 持されるので、スペースを効果的に利用して、保持機構の機械的強度を向上させ強 固に保持することができる。したがって、保持機構を小型化することができる。さらに、 締付機構とは別に保持強度を計算することが可能となるので、設計を容易に行うこと ができる。
[0013] また、好ましくは、前記締付部材を、ベルト形状とするとよ 、。
このようにすると、構造が単純化され、小型化及び軽量ィ匕を図ることができる。
[0014] また、好ましくは、前記締付部材が、可撓性腕帯を備え、前記ラックを、前記可撓性
腕帯に形成するとよい。
このようにすると、部品点数が削減され、製造原価のコストダウンを図ることができる 。なお、この可撓性腕帯は、一般的に、腕にフィットした状態で巻き付けるための可撓 性に優れた部分と、ラックが形成される機械的強度に優れた部分を有して!/ヽる。
[0015] また、好ましくは、前記締付部材が、可撓性腕帯と、該可撓性腕帯の外周に巻かれ た締付用ベルトを備え、前記ラックを、前記締付用ベルトに形成するとよい。
このようにすると、締付機構が可撓性腕帯を締め付ける際、可撓性腕帯の周方向全 体力 締め付けることができる。したがって、使用者にとっては、違和感なく腕への締 付けが行なわれる。また、空気袋に空気を送圧する際も、締付用ベルトの周方向全 体に力が分散されるので、保持機構に急激な力が加わることを防止でき、保持機構 の耐久性を向上させることができる。
[0016] また、好ましくは、前記可撓性腕帯の一端が他端の内側に巻き込まれており、前記 可撓性腕帯の一端と他端が、該可撓性腕帯を開放方向に付勢する布状、帯状又は 紐状の少なくとも 、ずれかの弾性体によって連結されて 、るとょ 、。
このよう〖こすると、可撓性腕帯の締付け状態が解除されると、弾性体の復元力によ つて可撓性腕帯が確実かつ自動的に開かれる。したがって、血圧測定後、可撓性腕 帯力も腕を容易かつ迅速に抜くことができる。また、可撓性腕帯の締付け状態が解除 されているとき、弾性体の復元力によって可撓性腕帯が大きく開かれた状態に維持さ れるので、腕を容易に可撓性腕帯に挿入することができる。
さらに、弾性体として、布状、帯状又は紐状の少なくともいずれかの弾性体を用いる 。これにより、可撓性腕帯を腕に締め付ける際、弾性体がフレキシブルに変形するの で、フィット感を損なうといった不具合を回避することができる。また、腕帯の可撓性を 妨げることないので、様々な腕形状に追随することができる。したがって、たとえば、 筋肉質の腕であっても、空気袋による腕の圧迫が均一に行われ、精度よく血圧を測 定することができる。
[0017] また、好ましくは、前記布状の弾性体が、前記可撓性腕帯とほぼ同じ幅を有すると よい。
このようにすると、可撓性腕帯と弾性体がほぼ円筒形の環状体となる。これにより、
形状を単純化できるとともに、可撓性腕帯の腕形状に対する追随性が向上し、さらに 、締付手段の締付け力を可撓性腕帯の上端部や下端部にも作用させることができる 。したがって、フィット性をさらに向上させることができる。
[0018] また、好ましくは、前記締付用ベルトが、前記可撓性腕帯の一端が他端の内側に卷 き込まれた状態を保持するとよ!/ヽ。
このよう〖こすると、空気袋に空気が送圧されても、締付用ベルトが、可撓性腕帯の 状態を保持することができる。また、可撓性腕帯の締付け状態が解除されているとき
、可撓性腕帯の一端が他端の内側に巻き込まれた状態が保持される。これにより、可 撓性腕帯に腕を挿入する際の操作性を向上させることができる。
[0019] また、好ましくは、前記締付用ベルトが、前記可撓性腕帯の幅の 20%〜80%以下 の幅を有し、さらに、前記可撓性腕帯の中央部に掛けられるとよい。
このようにすると、締付用ベルトの掛カもない可撓性腕帯の部分が自在に変形し、 截頭円錐状の腕形状に追随することができる。したがって、空気袋による腕の圧迫が 均一に行われ、精度よく血圧を測定することができる。
[0020] また、好ましくは、前記ラックが、前記締付部材の長手方向側面に設けられており、 前記ラックの歯厚を、前記締付部材の厚さとするとよ 、。
このようにすると、構造を単純化でき、製造原価のコストダウンを図ることができる。
[0021] また、好ましくは、前記ラックを、前記締付部材の長手方向に形成された開口部に 設けるとよい。
このようにすると、ラックが外側に突出しないので、ラックへのダメージが軽減され、 耐久性を向上させることができる。
[0022] また、好ましくは、前記ラック送り手段を、ピニオンギア、ウォームギア又はウォームと するとよ 、。
このようにすると、構造を単純化でき、製造原価のコストダウンを図ることができる。
[0023] また、好ましくは、前記保持用部材を、保持用ピンとするとよ!/、。
このようにすると、単純な構造で、十分強固な機械的強度を実現することができる。
[0024] また、好ましくは、前記締付機構が、前記ラック送り手段を回転させるための撮みを 有し、かつ、前記保持機構が、前記保持用部材を前記保持用孔の係入方向に付勢
する付勢手段を有し、前記撮みを締付方向に回転させると、前記付勢手段の付勢力 に抗して、前記保持用部材が前記保持用孔から抜け、前記撮みをさらに締付方向に 回転させると、前記締付部材が締付方向に移動し、該保持用孔より開放方向側の前 記保持用孔が前記保持用部材の位置に移動すると、前記付勢力により、前記保持 用部材が移動してきた前記保持用孔に係入するとよい。
このよう〖こすると、締付部材は、随時保持用部材が移動してきた保持用孔に係入さ れながら、締付方向に移動し、生体の一部(上腕)を締め付けることができる。
[0025] また、好ましくは、前記撮みが、前記前記ラック送り手段を締付方向に回転させるラ チェット機構と、トルクリミッター機構を有するとよい。
このようにすると、トルクリミッター機構によって、使用者が締め付け過ぎるといった 不具合を回避することができる。また、測定に好ましい締付け位置まで確実に締め付 けることができる。さらに、ラチェット機構によって、使用者が誤って撮みをゆるめる方 向に大きな力で回転させても、保持機構が破損するといつた不具合を防止することが できる。
[0026] また、好ましくは、前記撮みが、防音手段を備えて 、るとょ 、。
このようにすると、ラチヱット機構やトルクリミッター機構が作動する際の騒音を小さく することができる。
[0027] また、好ましくは、前記防音手段が、前記撮みに取り付けられた遮音部材、及び Z 又は、前記撮み内の音源に取り付けられた防音シートであるとよい。
このようにすると、効果的に騒音を小さくすることができる。また、構造を単純化でき
、製造原価のコストダウンを図ることができる。
[0028] また、好ましくは、前記保持機構が、前記保持用部材を前記保持用孔から強制的 に抜くための開放レバーを有するとよい。
このようにすると、開放レバーを押下することにより、確実に可撓性腕帯をゆるめるこ とができ、操作性を向上させることができる。
[0029] また、好ましくは、前記開放レバーが閉じる際の衝撃音を低減する、干渉部材を備 えるとよい。
このようにすると、効果的に衝撃音を小さくすることができる。また、構造を単純化で
き、製造原価のコストダウンを図ることができる。
[0030] また、好ましくは、前記締付機構が、前記ラック送り手段を回転させる駆動手段を有 するとよ 、。
このよう〖こすると、締付部材の締付けを自動化することができ、使い勝手をより向上 させることがでさる。
[0031] また、好ましくは、前記ラックを、前記締付部材の長手方向の両端に、対向して形成 するとよ 、。
このようにすると、撮みの回転角に対する締付け距離を二倍にすることができるとと もに、締付機構の機械的強度を向上させることができる。
[0032] また、好ましくは、前記ラックを、ダブルラックとするとよ!/、。
このようにすると、締付部材の長手方向の移動をバランスよく行うことができるととも に、締付機構の機械的強度を向上させることができる。
図面の簡単な説明
[0033] [図 1]図 1は、本発明の血圧計用腕帯の第一実施形態の概略斜視図を示している。
[図 2]図 2は、本発明の血圧計用腕帯の第一実施形態にかかる、保護カバーが取り 外された状態の概略斜視図を示して!/ヽる。
[図 3]図 3は、図 2の概略下面図を示している。
[図 4]図 4は、図 2の概略側面図を示している。
[図 5]図 5は、本発明の血圧計用腕帯の第一実施形態にかかる、締付機構及び保持 機構を説明するための正面方向の概略断面図を示している。
[図 6]図 6は、本発明の血圧計用腕帯の第一実施形態にかかる、締付機構及び保持 機構を説明するための上面方向の概略拡大断面図を示している。
[図 7]図 7は、本発明の血圧計用腕帯の第一実施形態にかかる、開放レバーが押下 された状態を説明するための上面方向の概略拡大断面図を示している。
[図 8]図 8は、本発明の血圧計用腕帯の第一実施形態にかかる、撮みの構造を説明 するための概略拡大斜視図を示している。
[図 9]図 9は、本発明の血圧計用腕帯の第一実施形態にかかる、撮みの構造を説明 するための概略拡大平面図を示して 、る。
[図 10]図 10は、本発明の血圧計用腕帯の第一実施形態の第一応用例にかかる、締 付用ベルトを説明するための概略拡大平面図を示している。
[図 11]図 11は、本発明の血圧計用腕帯の第一実施形態の第二応用例にかかる、締 付用ベルトを説明するための概略拡大平面図を示している。
[図 12]図 12は、本発明の血圧計用腕帯の第二実施形態にかかる、可撓性腕帯及び 布状弾性体を説明するための概略斜視図を示して ヽる。
[図 13]図 13は、図 12の上面図であり、(a)は最大直径 Dの状態における概略図を示 しており、 (b)は測定可能直径 dの状態における概略図を示している。
[図 14]図 14は、本発明の血圧計用腕帯の第三実施形態にかかる、保護カバーが取 り外された状態の概略斜視図を示して!/ヽる。
[図 15]図 15は、本発明の血圧計用腕帯の第三実施形態にかかる、撮みの外部構造 を説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)が側面図を示しており 、(c)は裏面図を示している。
[図 16]図 16は、本発明の血圧計用腕帯の第三実施形態にかかる、撮みの内部構造 を説明するための概略拡大裏面図を示している。
[図 17]図 17は、図 14の概略上面図を示している。
[図 18]図 18は、本発明の血圧計用腕帯の第三実施形態にかかる、締付機構及び保 持機構を説明するための正面方向の概略断面図を示している。
発明を実施するための最良の形態
[第一実施形態]
以下、本発明の血圧計用腕帯の第一実施形態について、図面を参照して説明す る。
図 1は、本発明の血圧計用腕帯の第一実施形態の概略斜視図を示している。 同図において、血圧計用腕帯 1は、締付機構 2、保持機構 3、締付部材としての締 付用ベルト 4と可撓性腕帯 11、ノイブ 121が設けられた空気袋 12及び保護カバー 1
3などを備えている。
この血圧計用腕帯 1は、血圧を測定する際、円筒状に丸められた可撓性腕帯 11に 腕(図示せず)が挿入される。次に、可撓性腕帯 11を巻き締めると、可撓性腕帯 11の
径が小さくなる。これにより、可撓性腕帯 11が腕に巻き付けられる。
[0035] <可撓性腕帯 >
図 2は、本発明の血圧計用腕帯の第一実施形態にかかる、保護カバーが取り外さ れた状態の概略斜視図を示して!/ヽる。
また、図 3は、図 2の概略下面図を示している。
さらに、図 4は、図 2の概略側面図を示している。
図 2, 3, 4において、可撓性腕帯 11 (一般的に、カフと呼称される。)は、榭脂製の 円筒状のシートである。また、可撓性腕帯 11の長手方向の両端は、周方向に約 180 ° 重なっている。可撓性腕帯 11は、可撓性を有しており、腕の太さに応じて径が増 減する。
また、可撓性腕帯 11は、内面に、円筒状の空気袋 12が貼り付けられている。この 空気袋 12は、腕方向にパイプ 121が突設されている。血圧を測定する際には、パイ プ 121を介して空気が空気袋 12に送圧される。
[0036] <締付用ベルト >
締付用ベルト 4は、榭脂製の円弧状に成形されたベルトである。締付用ベルト 4の 長手方向のほぼ中央力も他端にかけて、長穴状の開口部 41が形成されている。この 開口部 41には、ピ-オンギア 22が収納される。開口部 41の上部(開口部 41の長手 方向の側面部)に、ピ-オンギア 22と嚙み合うラック 42が形成されている。ラック 42の 歯厚は、締付用ベルト 4の厚さとなっている。
また、締付用ベルト 4は、全長にわたって幅方向の上部と下部に、複数の保持用孔 43が並設されている。この保持用孔 43に、保持用ピン 31が係入される。保持用孔 4 3のピッチは、保持用孔 43の直径の 2倍より短い。これにより、保持位置の微調整が 可能となる。
[0037] さらに、開口部 41が形成されていない部分では、上方の保持用孔 43と下方の保持 用孔 43の間に、二つの貫通孔 44が配設されている。このようにすると、材料費を削 減することができる。また、開口部 41が形成されていない部分の剛性力 開口部 41 が形成された部分の剛性とほぼ等しくなる。したがって、保持位置にかかわらず、可 撓性腕帯 11は、ほぼ円筒状を維持することができる。
また、締付用ベルト 4は、通常、約 2〜3mmの厚さを有しており、ラック 42として十分 な機械的強度を備えている。
[0038] 締付用ベルト 4の長手方向の一端は、連結板 24を介して、基台 20と連結されて 、 る。この連結板 24は、基台 20に回動自在に軸支されている。また、締付用ベルト 4の 長手方向の他端は、基台 20の溝 201に装入されている。すなわち、締付用ベルト 4 は、可撓性腕帯 11の外周に巻かれている。
このようにすると、締付機構 2が可撓性腕帯 11を締め付ける際、可撓性腕帯 11の 周方向全体力 締め付けることができる。したがって、使用者にとって違和感なく腕 への締付けが行なわれる。
また、空気袋 12に空気を送圧する際、締付用ベルト 4の周方向全体に力が分散さ れる。したがって、保持機構 3に急激な力が加わることを防止でき、保持機構 3の耐久 性を向上させることができる。
[0039] また、好ましくは、締付用ベルト 4力 可撓性腕帯 11の幅の約 20〜80%以下の幅 を有し、さらに、可撓性腕帯 11の腕方向のほぼ中央部に掛けられるとよい。このよう にすると、締付用ベルト 4の掛カもない可撓性腕帯 11の部分が自在に変形し、截頭 円錐状の腕形状に追随することができる。したがって、空気袋 12による腕の圧迫が 均一に行われ、精度よく血圧を測定することができる。なお、可撓性腕帯 11の幅の約 20%以上とする理由は、約 20%未満であると、可撓性腕帯 11を全体的に締め付け ることができなくなる力もである。また、可撓性腕帯 11の幅の約 80%以下とする理由 は、 80%を超えると、可撓性腕帯 11の自在に変形する部分力 、さくなりすぎて、截 頭円錐状などの様々な腕形状に追随することができなくなるからである。
[0040] <締付機構 >
締付機構 2は、締付用ベルト 4に形成されたラック 42と、ピ-オンギア 22を備えてい る。ピ-オンギア 22は、基台 20の底板に回転自在に突設された回転軸 23に、圧入 されている。このピ-オンギア 22は、溝 201のほぼ中央部に設けられている。
また、締付機構 2は、ピ-オンギア 22を回転させるための撮み 21を有している。こ の撮み 21には、ピ-オンギア 22が螺着されている。ピ-オンギア 22は、撮み 21に螺 着された状態で、回転軸 23に圧入される。このような構成とすることにより、スペース
を効果的に利用して、ラック 42及びピ-オンギア 22の歯を大型化することができる。 したがって、締付機構 2の機械的強度を容易に向上させるとともに、締付機構 2が単 純化及び小型化される。
本実施形態の締付機構 2は、使用者が、撮み 21を時計回り方向に回転させると、ピ 二オンギア 22が時計回り方向に回転する。これにより、ラック 42が締付方向に送られ 、締付機構 2は、可撓性腕帯 11を締め付ける。
[0041] また、上記溝 201の四箇所に、係止部 25及び突起部 26が、それぞれ形成されて いる。係止部 25は、締付用ベルト 4の表面を係止する。突起部 26は、半球状であり、 締付用ベルト 4の側面と当接する。このよう〖こすると、締付用ベルト 4の正面方向への 移動を規制するとともに、締付用ベルト 4のスムースな移動を可能とする。さらに、締 付用ベルト 4が斜め方向に移動しな 、ように、その移動方向を整えて!/、る。
また、基台 20は、可撓性腕帯 11の標準的な曲率半径の斜面を有する当接板 27が 、底板の上部端面及び下部端面から、可撓性腕帯 11の方向に突設されている。これ により、締付用ベルト 4が締付けられた際に、基台 20の底面が可撓性腕帯 11と直接 当接しない。したがって、可撓性腕帯 11の円筒形状がほぼ維持される。
なお、本実施形態では、基台 20が可撓性腕帯 11に固定されておらず、移動自在 な構成としてある。ただし、この構成に限定されるものではない。たとえば、接着剤な どにより、基台 20を可撓性腕帯 11に固定する構成としてもよい。
[0042] <保持機構 >
保持機構 3は、保持用孔 43と、一対の保持用ピン 31と、ばね 35と、開放レバー 36 を備えている。
保持用孔 43は、上述した締付用ベルト 4の長手方向の複数箇所に形成されて!ヽる 。この保持用孔 43に、一対の保持用ピン 31が係入する。付勢手段としてのばね 35 は、保持用ピン 31を保持用孔 43の係入方向に付勢する。開放レバー 36は、保持用 ピン 31を保持用孔 43から強制的に抜く際に、用いられる。
[0043] 保持用ピン 31は、上方及び下方の保持用孔 43に対応する高さ位置に、軸 32によ つて、回動自在に軸支されている。なお、軸 32は、ボルト 34によって基台 20に取り付 けられている。
また、ばね(ねじりばね) 35は、軸 33によって軸支されている。ばね 35の一方の端 部は、保持用ピン 31を保持用孔 43の係入方向に付勢している。なお、軸 33は、ボ ルト 34によって基台 20に取り付けられて!/、る。
また、軸 32, 33は、両端にボルト 34が螺着されることによって、基台 20に固定され ている。ただし、軸 32, 33の固定手段は、このボルト 34に限定されるものではない。 たとえば、 Eリング等を軸 32, 33の両端に嵌めて、基台 20に固定してもよい。
[0044] ここで、保持用ピン 31は、図 6に示すように、ピン中央点に対して、左斜め上方に配 設された軸 32を回動中心として軸支されている。このため、撮み 21を時計回り方向( 締付方向)に回転させると、保持用ピン 31が係入していた保持用孔 43の側壁が、保 持用ピン 31に当接し押圧する。この力の作用によって、軸 32を回動中心とする保持 用ピン 31は、ばね 35の付勢力に抗して保持用孔 43から容易に抜ける。次に、撮み 2 1をさらに時計回り方向(締付方向)に回転させると、締付用ベルト 4が締付方向に移 動する。続いて、抜けた保持用孔 43より開放方向側の保持用孔 43が保持用ピン 31 の位置に移動すると、ばね 35の付勢力により、保持用ピン 31が移動してきた保持用 孔 43に係入する。上記動作が繰り返されると、保持用ピン 31は、移動してきた保持 用孔 43に随時係入される。また、締付用ベルト 4は、締付方向に移動し、可撓性腕 帯 11を締め付ける。
[0045] これに対し、保持用ピン 31が保持用孔 43に係入された状態で、締付用ベルト 4が 開放方向に移動しょうとしても、ばね 35の付勢力及び軸 32の軸支位置によって、保 持用ピン 31は、保持用孔 43から抜けることはない。すなわち、保持用ピン 31が保持 用孔 43へ係入した状態が維持されるので、締め付けられた可撓性腕帯 11の締付位 置が保持される。このよう〖こすると、保持機構 3は、スペースを効果的に利用すること によって、保持機構 3の機械的強度を容易に向上させ強固に保持するとともに、保持 機構 3を小型化することができる。さらに、締付機構 2とは別に保持強度を計算するこ とが可能となるので、設計を容易に行なうことができる。
[0046] また、保持機構 3は、開放レバー 36が、連結部 37を介して保持用ピン 31と連結さ れている。これにより、開放レバー 36及び連結部 37は、ばね 35によって、可撓性腕 帯 11と反対の方向 (閉方向)に付勢される。また、付勢された連結部 37は、基台 20の
ストッパー 28(図 5参照)と当接する。これにより、保持用ピン 31のピン中央点が、締付 用ベルト 4の厚さ方向のほぼ中央部に位置する (図 6参照)。
可撓性腕帯 11の締付けを開放する際には、開放レバー 36が可撓性腕帯 11方向( 開方向)に押される。この操作により、図 7に示すように、連結部 37及び保持用ピン 3 1が反時計回り方向に回動し、保持用ピン 31が保持用孔 43から抜ける。そして、締 付用ベルト 4が開放方向に移動し、可撓性腕帯 11の締付けが開放される。すなわち 、開放レバー 36を押下することにより、確実かつ容易に可撓性腕帯 11をゆるめること ができ、操作性が向上する。
[0047] <撮み >
図 8は、発明の血圧計用腕帯の第一実施形態にかかる、撮みの構造を説明するた めの概略拡大斜視図を示している。
また、図 9は、本発明の血圧計用腕帯の第一実施形態にかかる、撮みの構造を説 明するための概略拡大平面図を示している。
図 8, 9にお!/、て、撮み 21は、撮み本体 210と、ピニ才ンギア 22と、つめ車 211と、 ホイール 214と、一対の板ばね 213とからなっている。
撮み本体 210は、有底円筒状としてある。ピ-オンギア 22は、撮み本体 210の内側 に、一部が嵌入された状態で螺着されている。つめ車 211は、八つのつめ 212が突 設されており、撮み本体 210の外周側面に螺着されている。ホイール 214は、有底円 筒状としてあり、撮み本体 210の底部(ピ-オンギア 22の反対側)に回転自在に設け られている。一対の板ばね 213は、ほぼコ字状に形成され、撮み 21の中心に対して 点対称となるように配設されている。
[0048] 板ばね 213の一端は、ホイール 214に螺着され、その他端は、ホイール 214の内側 側面と移動自在に当接する。さらに、板ばね 213におけるつめ車 211側の当接面は 、つめ 212とほぼ対向している。この板ばね 213は、ラチェット機構におけるもどり止 めとして機能する。このラチェット機構は、トルクリミッター機能を有している。
使用者がホイール 214を開放方向に回転させると、板ばね 213がつめ 212の斜面 を乗り越えるので、ピ-オンギア 22は、開放方向に回転せず、停止した状態が維持さ れる。これに対し、設定された締付けトルクより小さいトルクで、ホイール 214を締付方
向に回転させると、板ばね 213の当接面がつめ 212を押して、つめ車 211、撮み本 体 210及びピ-オンギア 22が締付方向に回転する。また、設定された締付けトルク 以上のトルクで、ホイール 214を締付方向に回転させると、板ばね 213の当接面がつ め 212と当接するものの、板ばね 213が変形してつめ 212を乗り越えるので、ピ-ォ ンギア 22は、締付方向に回転せず、停止した状態が維持される。
[0049] このように、本実施形態の撮み 21は、ピ-オンギア 22を締付方向に回転させるラチ エツト機構と、トルクリミッター機構を有している。撮み 21は、トルクリミッター機構によ つて、使用者が締め付け過ぎるといった不具合を回避するとともに、測定に好ましい 締付け位置まで確実に締め付けることができる。さらに、ラチェット機構によって、使 用者が誤って撮み 21をゆるめる方向に強い力で回転させても、保持機構が破損する といった不具合を防止する。
なお、本実施形態では、撮み 21にピ-オンギア 22が設けられている。ただし、これ に限定されるものではない。たとえば、ピ-オンギア 22が基台 20に設けられ、撮み 2 1が、継手などを介して、ピ-オンギア 22を回転させてもよい。
[0050] 上記構成の血圧計用腕帯 1の使用方法及び動作について、説明する。
まず、血圧を測定する血圧計用腕帯 1の使用者は、開放レバー 36を可撓性腕帯 1 1の方向に押下する。これにより、血圧計用腕帯 1は、締付用ベルト 4及び Z又は可 撓性腕帯 11の復元力により、締付用ベルト 4が開放方向に移動し、可撓性腕帯 11 及び空気袋 12の径が大きくなる。
続いて、使用者は、撮み 21が上方を向くように、血圧計用腕帯 1を横置きとして、空 気袋 12に、たとえば、左腕を挿入する。
[0051] 次に、使用者は、撮み 21を時計回り方向(締付方向)に回転させる。この操作により 、ピ-オンギア 22がラック 42を締付方向に送り出し、締付用ベルト 4が締付方向に移 動し、可撓性腕帯 11及び空気袋 12の径が小さくなる。この間、保持機構 3は、保持 用ピン 31が保持用孔 43に対する抜けと係入を繰り返す。この際、左腕と空気袋 12の 間に隙間があるときは、小さな力で撮み 21を回転させることができる。
[0052] 続いて、使用者が、撮み 21をさらに時計回り方向(締付方向)に回転させると、可撓 性腕帯 11及び空気袋 12の径がさらに小さくなり、左腕と空気袋 12の間に隙間がなく
なり、撮み 21を回転させるトルクが大きくなる。このため、使用者は、このトルクに応じ た力で、撮み 21を回転させる。使用者は、徐々に大きくなるトルクに応じて、より大き な力で撮み 21を回転させる。そして、設定されたトルクに到達すると、撮み 21のトル クリミッター機構が作動し、撮み 21のホイール 214が空回りする。この際、保持用ピン 31は、すでに保持用孔 43に係入しているので、可撓性腕帯 11の締付け状態を良好 に維持している。
[0053] 次に、空気袋 12に空気が送圧され、血圧が測定される。
この際、空気袋 12に空気が送圧されると、締付用ベルト 4に周方向に大きな外力が 作用する。血圧計用腕帯 1は、上述したように、締付用ベルト 4の保持用孔 43に保持 用ピン 31が係入されているので、可撓性腕帯 11の締付け位置を保持することができ る。
[0054] 次に、血圧の測定結果が表示され、空気袋 12から空気が抜かれると、使用者は、 開放レバー 36を押下する。これにより、血圧計用腕帯 1は、締付用ベルト 4及び Z又 は可撓性腕帯 11の復元力により、締付用ベルト 4が開放方向に移動し、可撓性腕帯 11及び空気袋 12の径が大きくなる。
続いて、使用者は、空気袋 12から左腕を取り出し、血圧計用腕帯 1をもとの場所に もどし、血圧測定を終了する。
[0055] このように、本実施形態の血圧計用腕帯 1によれば、締付機構 2及び保持機構 3を 機械的強度に優れた構造とすることにより、耐久性を向上させるとともに小型化するこ とができる。さらに、可撓性腕帯 11を腕形状に追随させることができるので、測定ミス を防止できるとともに、血圧の測定精度を向上させることができる。さらに、撮み 21と 開放レバー 36を片手で確実に操作することができるので、血圧計用腕帯 1を締め付 ける作業がおっくうであるといった従来の感覚を払拭することができる。
[0056] また、上記実施形態では、締付用ベルト 4の他方の端部に、開口部 41を形成し、開 口部 41の一方の側(上方の側)にラック 42を形成する構成としてある力 これに限定 されるものではない。
たとえば、図 10に示すように、長手方向の一方の端部に、開口部 41aを形成し、開 口部 41aの下方の側にラック 42aを形成し、さらに、他方の端部に、開口部 41を形成
し、開口部 41の上方の側にラック 42を形成した締付用ベルト 4aを用いてもよい。この ようにすると、ピ-オンギア 22の回転角に対する締付け距離を二倍にすることができ るとともに、締付機構 2の機械的強度を向上させることができる。
[0057] また、図 11に示すように、長手方向の一方の端部に、開口部 41bを形成し、開口部 41bの下方の側にラック 42を形成し、さらに、開口部 41bの上方の側にラック 42bを 形成した締付用ベルト 4bを用いて、ピ-オンギア 22と螺合し、かつ、ラック 42bと螺合 するピ-オンギア 22bを設け、ダブルラック構造としてもよい。このようにすると、締付 用ベルト 4bの長手方向の移動をバランスよく行うことができるとともに、締付機構の機 械的強度を向上させることができる。
[0058] [第二実施形態]
以下、本発明の血圧計用腕帯の第二実施形態について、図面を参照して説明す る。
本実施形態の血圧計用腕帯は、第一実施形態の血圧計用腕帯 1と比べると、可撓 性腕帯 11の代わりに、布状弾性体を有する可撓性腕帯 1 lcを備えた点が相違する。 なお、その他の構成は、ほぼ第一実施形態と同様としてある。
[0059] 図 12は、本発明の血圧計用腕帯の第二実施形態にかかる、可撓性腕帯及び布状 弾性体を説明するための概略斜視図を示して 、る。
また、図 13は、図 12の上面図であり、(a)は最大直径 Dの状態における概略図を 示しており、(b)は測定可能直径 dの状態における概略図を示している。なお、図 13 では、布状弾性体 110の構造を理解しやすいように、内側端部 111と外側端部 112 の間に隙間を設けて、図示してある。
図 12, 13において、可撓性腕帯 11c (一般的に、カフと呼称される。)は、可撓性を 有する榭脂製のシートからなり、内側端部 111に外側端部 112を巻き付けるように重 ねた状態で、最大直径 D以上の円筒状に湾曲'形成されている。また、可撓性腕帯 1 lcは、内側端部 111と外側端部 112が、布状弾性体 110によって連結されている。 なお、最大直径 Dは、可撓性腕帯 11cに腕(図示せず)を挿入する際の直径である。
[0060] また、本実施形態の可撓性腕帯 11cは、腕形状に対する追随性を向上させるため に薄型化されており、この結果、可撓性腕帯 11cの形状復元力は、微小なものとなつ
ている。
さらに、可撓性腕帯 l ieは、内面に、円筒状の空気袋 12が貼り付けられている。こ の空気袋 12は、腕方向にパイプ 121が突設されており、血圧を測定する際には、パ イブ 121を介して空気が送圧される。
[0061] <布状弾性体 >
布状弾性体 110は、織布(たとえば、 2WAY生地)からなつており、腕方向に長い ほぼ矩形状に形成されている。布状弾性体 110は、折り曲げ自在であり、全方向に 伸びるとともに、伸びた状態力も元の形状に復元する。この布状弾性体 110の一方 の端部は、縫い付け、接着又は溶着などによって、可撓性腕帯 11cの内側端部 111 の表面に取り付けられている。また、他方の端部は、同じく縫い付け、接着又は溶着 などによって、可撓性腕帯 11cの外側端部 112の裏面に取り付けられている。
なお、布状弾性体 110の取り付け位置は、上記位置に限定されるものではなぐた とえば、布状弾性体 110の各端部を、内側端部 111側の端縁及び外側端部 112側 の端縁に取り付けてもよい。
[0062] 上記布状弾性体 110は、伸びた状態力も元の形状に復元すると、図 13 (a)に示す ように、可撓性腕帯 11cが最大直径 Dの円筒状となる。すなわち、可撓性腕帯 11cは 、保持機構 3が可撓性腕帯 11cの締付けを開放すると、布状弾性体 110の復元力に よって、最大直径 Dまで自動的に拡開され、さらに、可撓性腕帯 11cの微小な剛性( 形状保持力)によって、円筒状に保持される。したがって、使用者は、可撓性腕帯 11 cに容易に腕を挿入することができる。
また、布状弾性体 110は、腕が挿入された状態で、締付機構 2により締め付けられ ると、図 13 (b)に示すように周方向に伸びて、可撓性腕帯 11cが測定可能直径 d (dく D)の円筒状となる。なお、布状弾性体 110は、可撓性腕帯 11cが測定可能最小直 径 (Γ (図示せず)の円筒状となるまで、伸びることができる。
[0063] ここで、布状弾性体 110は、全方向に伸びることができるので、布状弾性体 110が フレキシブルに変形し、フィット感を損なうといった不具合を回避することができる。す なわち、肘から徐々に細くなる腕に対して、可撓性腕帯 11cの上側の直径が下側の 直径より小さくなるように伸びることができ、可撓性腕帯 11cの可撓性を妨げない構造
としてあるので、可撓性腕帯 l ieのフィット性を向上させることができる。また、種々の 腕形状にも追随することができるので、たとえば、筋肉質の腕であっても、空気袋 12 による腕の圧迫が均一に行われ、精度よく血圧を測定することができる。
[0064] また、布状弾性体 110は、可撓性腕帯 11cの腕方向の幅とほぼ同じ長さ(幅)を有 している。これにより、可撓性腕帯 11cと布状弾性体 110がほぼ円筒形の環状体とな るので、形状を単純化できるとともに、可撓性腕帯 11cの腕形状に対する追随性が向 上する。また、締付機構 2の締付け力を可撓性腕帯 11cの上端部や下端部にも作用 させることができるので、フィット性をさらに向上させることができる。
[0065] なお、本実施形態では、一枚の布状弾性体 110を使用している力 これに限定され るものではない。たとえば、図示してないが、布状弾性体 110の代わりに、複数の帯 状や紐状の弾性体 (たとえば、接触抵抗の小さな材料により覆われたゴム紐など)を 使用することができる。また、これら帯状や紐状の弾性体は、通常、平行に、あるいは 、交差した状態で (たすきがけの状態など)使用される。また、可撓性腕帯 11cの上部 と下部に配設される弾性体の復元力や最大伸び率などを調節することによって、腕 へのフィット性をさらに向上させることも可能である。
[0066] 上記構成の血圧計用腕帯の使用方法及び動作について説明する。
まず、本実施形態の血圧計用腕帯は、布状弾性体 110の復元力、可撓性腕帯 11 cの剛性及び締付機構 2によって、可撓性腕帯 11cが最大直径 Dまで拡開された状 態に維持されている。このため、血圧を測定する血圧計用腕帯の使用者は、十分拡 開された可撓性腕帯 11cに、測定に使用する方の腕を容易に挿入することができる。
[0067] 次に、使用者は、撮み 21を回転させ、可撓性腕帯 11cを周方向全体力 締め付け る。この際、布状弾性体 110は、可撓性腕帯 11cに応じて自在に伸びるので、可撓 性腕帯 11cは、腕形状に応じた形状に変形しながら、腕を締め付けることができ、腕 へのフィット性を向上させることができる。
[0068] 次に、空気袋 12に空気が送圧され、血圧が測定される。空気袋 12に空気が送圧さ れると、可撓性腕帯 11cが適度に変形するので、特定の部分が強く圧迫されるといつ た不具合を防止することができる。
[0069] 次に、血圧の測定結果が表示され、空気袋 12から空気が抜かれると、使用者は、
開放レバー 36を押して、保持状態を解除する。この際、保持状態が解除されると、布 状弾性体 110の復元力によって、可撓性腕帯 11cが確実かつ自動的に拡開し、最 大直径 Dまで拡開される。そして、可撓性腕帯 11cは、腕を容易に挿脱可能な状態 に維持される。
続いて、使用者は、空気袋 12から左腕を取り出し、血圧計用腕帯をもとの場所にも どし、血圧測定を終了する。
[0070] このように、本実施形態の血圧計用腕帯によれば、血圧測定後、可撓性腕帯 11c 力ゝら腕を容易かつ迅速に抜くことができる。また、締付機構 3が開放されているとき、 腕を容易に挿入することができるので、使用者におっくうな感じを与えることなぐ操 作性を向上させることができる。すなわち、従来の技術では実現できなかった、フイツ ト性及び操作性の両方を向上させることができる。また、フィット性を向上させることに より、空気袋 12による腕の圧迫が均一に行われ、精度よく血圧を測定することができ る。
[0071] [第三実施形態]
以下、本発明の血圧計用腕帯の第三実施形態について、図面を参照して説明す る。
図 14は、本発明の血圧計用腕帯の第三実施形態にかかる、保護カバーが取り外さ れた状態の概略斜視図を示して!/ヽる。
同図において、血圧計用腕帯 Idは、第一実施形態の血圧計用腕帯 1と比べると、 撮み 21dが防音手段を備えている点が相違する。また、開放レバー 36が閉じる際の 衝撃音を低減する、干渉部材 281を備えている点が相違する。なお、その他の構成 は、ほぼ第一実施形態と同様としてある。
[0072] 図 15は、本発明の血圧計用腕帯の第三実施形態にかかる、撮みの外部構造を説 明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)が側面図を示しており、 (c) は裏面図を示している。
同図において、撮み 21dは、防音手段として遮音部材が取り付けられている。本実 施形態の遮音部材は、表面カバー 215、側面ラバー 216及び裏面カバー 217である
表面カバー 215は、金属など力もなる円板である。この表面カバー 215は、撮み 21 dの上面に、接着剤や両面テープなどによって取り付けられている。
側面ラバー 216は、ゴム製のベルトである。また、側面ラバー 216は、複数の凹部が 形成されており、滑り止めとして機能する。この側面ラバー 216は、撮み 21dの側面 に取り付けられている。
裏面カバー 217は、金属など力もなる円環板である。この裏面カバー 217は、撮み 21dの上部に、ねじなどによって取り付けられている。また、この裏面ラバー 217に、 遮音性を有するシート (図示せず)などを貼り付けてもよい。
[0073] 図 16は、本発明の血圧計用腕帯の第三実施形態にかかる、撮みの内部構造を説 明するための概略拡大裏面図を示している。
同図において、撮み 21dは、音源である板ばね 213に防音シート 218が取り付けら れている。
防音シート 218は、粘弾性高分子化合物やウレタンなど力もなる帯状体である。 このようにすると、ラチヱット機構やトルクリミッター機構が作動する際の騒音を効果 的に小さくすることができる。すなわち、板ばね 213に取り付けられた防音シート 218 力 騒音自体を小さくし、さらに、表面カバー 215、側面ラバー 216及び裏面カバー 2 17が、発生した騒音が撮み 21dの外部に伝わりに《している。また、構造を単純ィ匕 でき、製造原価のコストダウンを図ることができる。
また、防音シート 218は、騒音の周波数を低くする効果を有している。これにより、 高い周波数の騒音が、低い周波数の騒音となるので、耳ざわりな音を効果的に抑制 することができる。
[0074] 図 17は、図 14の概略上面図を示している。
また、図 18は、本発明の血圧計用腕帯の第三実施形態にかかる、締付機構及び 保持機構を説明するための正面方向の概略断面図を示している。
図 17, 18において、血圧計用腕帯 Idは、ストッパー 28に干渉部材 281が取り付け られている。
[0075] この干渉部材 281は、ゴムやウレタンなど力もなる厚い円板である。この円板の中央 部に、ほぼ矩形状の貫通孔が形成されている。この貫通孔にストッパー 28が挿入さ
れることによって、干渉部材 281は、ストッパー 28に取り付けられている。 締付用ベルト 4が、締付方向に移動するとき、保持用ピン 31は、保持用孔 43から抜 ける動作と、保持用孔 43に挿入される動作とを繰り返す。そして、保持用ピン 31が、 保持用孔 43に挿入される際、干渉部材 281の側面に、開放レバー 36と連結された 連結部 37が当接する。すなわち、連結部 37は、ばね 35のばね力により、干渉部材 2 81にぶつかって停止する。この際、連結部 37は、干渉部材 281にぶつ力るので、衝 突音を大幅に低減することができる。
なお、第一実施形態では、連結部 37は、ばね 35のばね力により、直接的にストツ パー 28と衝突する。これに対し、干渉部材 281を設けることにより、衝突音を大幅に 低減することができる。
[0076] このように、本実施形態の血圧計用腕帯 Idは、操作する際に発生する騒音を効果 的に小さくすることができる。また、構造を単純化でき、製造原価のコストダウンを図る ことができる。
[0077] 以上、本発明の血圧計用腕帯について、好ましい実施形態を示して説明したが、 本発明に係る血圧計用腕帯は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなぐ 本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態では、締付用ベルト 4にラック 42及び保持用孔 43を形成し た構成としてあるが、これに限定されるものではない。図示してないが、たとえば、厚く 形成した可撓性腕帯、あるいは、可撓性腕帯 11と一体的に形成したベルトに、ラック 42及び保持用孔 43を形成してもよい。また、厚く形成した可撓性腕帯、あるいは、可 撓性腕帯 11と一体的に形成したベルトに、ラック 42及び保持用孔 43を形成し、さら に、締付用ベルト 4にもラック 42及び保持用孔 43を形成してもよい。
[0078] また、上記実施形態では、撮み 21を使用者が手で回転させる構成としてあるが、こ れに限定されるものではない。たとえば、図示してないが、撮み 21の代わりに、モー タなどの駆動手段を用いて、ピ-オンギア 22を回転させてもよい。このようにすると、 可撓性腕帯 11の締付けを自動化することができ、使 、勝手をより向上させることがで きる。
さらに、上記実施形態では、ラック送り手段としてピニオンギア 22を用い、ピニオン
ギア 22の回転運動をラック 42の直線運動に変換した力 ラック送り手段は、ピ-オン ギア 22に限定されるものではない。たとえば、ピニオンギア 22の代わりに、ウォームギ ァ(あるいは、単なるウォーム)を用いて、ウォームギア(あるいは、単なるウォーム)の 回転運動をラック 42の直線運動に変換してもよ 、。