明 細 書
画像表示装置および画像表示方法
技術分野
[0001 ] 本発明は、 画像を表示する表示画面を備えた画像表示装置および画像表示 方法に係わり、 特に、 比較的小さな表示画面を備えた携帯型の電話機等の情 報処理装置やデジタルカメラあるいは小型ビデオカメラに好適な画像表示装 置および画像表示方法に関する。
背景技術
[0002] 情報処理装置の多くは、 扱う情報が増大している一方で、 持ち歩きに便利 なように小型化される傾向がある。 このような情報処理装置の代表的なもの が携帯電話機、 P H S (Persona l Handy-phone System) 、 P D A (Persona l D i g i ta l Ass i stant) といったポケットサイズの装置である。
[0003] このような小型の情報処理装置は通信技術や各種技術の発展と共に非常に 持ち歩きやすくなつている半面で、 ディスプレイに割り当てられる面積が極 度に限定されている。 このため、 画像や文字情報をより多く表示しようとす ると、 これらを縮小して表示する必要があり、 これにより画像を判読し難く なるという問題がある。
[0004] そこで、 1つの大画面を分割してそれぞれの情報処理装置に表示すること が提案されている (たとえば特許文献 1参照) 。 この提案では、 たとえば、 大画面として将棋盤を示そうとするときに、 第 1の情報処理装置にはその将 棋盤の先手側半分を表示する。 また、 第 2の情報処理装置にはその将棋盤の 後手側半分を表示するようにしている。 これにより、 2つの情報処理装置を 併せて、 将棋盤の全部が表示され、 その将棋盤の上の複数の駒を互いに識別 可能に表示可能である。
特許文献 1 :特開 2 0 0 4 _ 1 4 4 8 2 2号公報 (第 0 0 4 0段落、 図 3 ) 発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0005] ところが、 この提案では、 複数の情報処理装置に分割して画像を表示する ので、 その場に携帯電話機等の複数の情報処理装置が存在することが必要と なる。 次にこれらの情報処理装置に画像を分配する通信手段が必要になり、 通信システムが複雑化するだけでなく、 複数の情報処理装置を通信によって 連携させるので、 通信コストも高くなる。 更に、 各情報処理装置を互いに接 近させて配置したとしても、 ディスプレイの表示領域が連続して配置される 訳ではない。 したがって、 将棋盤の先手側半分と後手側半分をそれぞれ別の 情報処理装置のディスプレイに表示する場合には問題が少ないが、 人物の顔 の部分を複数の情報処理装置に分割して表示するような場合であると、 全体 的な画像認識ができなくなる。
[0006] 図 1 5は、 画像を途切れなく拡大表示する従来の手法を表わしたものであ る。 この手法では、 液晶セル 1 0 1に導光板1 0 2を介してバックライ ト 1 0 3から光を均一に照射して、 この液晶ディスプレイ 1 0 5に、 たとえば矢 印型の画像 1 0 6を表示させる。 この画像 1 0 6を、 虫眼鏡等の凸レンズ 1 0 7を用いて図の上方から視いて見ると、 虚像 1 0 8によって画像 1 0 6を 拡大して認識することができる。
[0007] 図 1 6は、 液晶ディスプレイと、 これによつて拡大された画像を原理的に 示したものである。 液晶ディスプレイ 1 0 5に示された画像に対して、 これ よりも表示面積の広い拡大された画像 1 1 1が生じている。 ここでは、 液晶 ディスプレイ 1 0 5上の山の上に雲が存在する画像が、 拡大された画像 1 1 1 として認識されるようになっている。
[0008] 図 1 5あるいは図 1 6に示した凸レンズ 1 0 7を用いて画像 1 0 6を拡大 して見る手法では、 比較的重い凸レンズ 1 0 7を常に携行する必要がある。 また、 画像を見る者が机やテーブルの傍に座っているような場合を除いては 、 画像を拡大するときに情報処理装置を一方の手で保持した状態で、 凸レン ズ 1 0 7を他方の手で保持する必要がある。 すなわち、 両手を使って拡大画 像を得ることになるので、 画像を見ながら片手でメモを取るような操作が不 可能になる。 また、 凸レンズ 1 0 7によって画像が拡大されるものの、 液晶
ディスプレイ等のディスプレイは 1つ 1つの画素の集合で画像を表示してい る。 このため、 拡大しても画像の荒さが目立つだけの結果に終わってしまう 場合も多い。 いわゆる馬鹿拡大と呼ばれる画像と同じになって、 拡大によつ て得られる情報が増加するものではない。
[0009] 更に凸レンズ 1 0 7を用いた手法は、 画像自体が拡大されるものであり、 画像領域を拡大するものではない。 また、 凸レンズ 1 0 7を用いることで、 画像に光学歪が発生したり、 色ずれが発生するといった不都合が生じる場合 ものる。
[0010] そこで本発明の目的は、 1つのディスプレイでその表示面積以上の広い画 像領域を表示することのできる画像表示装置および画像表示方法を提供する ことにある。
課題を解決するための手段
[001 1 ] 本発明では、 1枚分の画像を表示する表示板と、 この表示板上に表示され る画像を互いに異なった空間位置から視認できる複数の空間領域を設定する 空間領域設定手段と、 表示板の表示面積に対応した 1枚の画像よりも表示面 積の大きな 1つの画像を前記した複数の空間領域のそれぞれに 1つずつ個別 に対応する 1枚ずつの画像に分割する画像分割手段と、 この画像分割手段に よって分割された 1枚ずつの画像が互いに異なった空間位置から対応付けて 視認されるように表示方向を異にして表示板に 1つの画像を分割して表示さ せる画像表示手段とを画像表示装置に具備させる。
[0012] すなわち本発明では、 表示板に表示される画像が異なった空間位置からそ れぞれ視認できる複数の空間領域を空間領域設定手段によって設定しておき
、 画像分割手段で分割した 1つの画像をそれぞれの空間領域に対応させてお く。 そして、 画像分割手段によって分割された 1枚ずつの画像が互いに異な つた空間位置から対応付けて視認されるように表示方向を異にして表示板に
1つの画像を分割して表示させる制御を、 画像表示手段によって行う。
[0013] 表示の態様としては、 1枚ずつの画像を異なった方向から見えるように分 割した 1枚ずつの画像を時分割で並列表示してもよいし、 目の相対的な空間
位置に応じて、 それら 1枚ずつの画像の中から 1つを選択して表示させても よい。 空間領域の切り替えは、 目の方を移動させることで行ってもよいし、 表示板を左右または上下に回転させることで行ってもよい。 また、 複数の表 示板が平面上に並べられているときにそれぞれの表示板を選択して見るよう に、 表示板を水平方向に移動させることで表示のための空間領域を切り替え るようにしてもよい。
[0014] また、 本発明では、 表示板の表示面積に対応した 1枚の画像よりも表示面 積の大きな 1つの画像を予め定めた複数の空間領域のそれぞれに 1つずつ個 別に対応する 1枚ずつの画像に分割する画像分割ステップと、 この画像分割 ステツプで分割された 1枚の画像のうち前記した複数の空間領域のうちの視 認対象とされる 1つの領域に対応するものを逐次選択して表示板に表示させ る逐次画像選択表示ステップとを画像表示方法に具備させる。
[0015] すなわち本発明では、 画像を 1枚の表示板で表示できる以上の大きな領域 で表示できるように画像分割ステツプで所定数に分割し、 複数の空間領域の うちの視認対象とされる 1つの領域に対応するものを逐次選択して表示板に 表示させることで、 大きな領域における画像を逐次分割して表示することが できる。 また、 画像は静止画だけでなく動画も可能である。
発明の効果
[001 6] 以上説明したように本発明によれば、 1枚分の画像を表示する表示板に表 示される画像が空間領域に対応して切り替えられるので、 表示板の表示面積 に対応した 1枚の画像よりも表示面積の大きな 1つの画像を時分割で表示す ることができる。 したがって、 携帯電話機のような小型の装置でも広い範囲 の画像を表示することができ、 小型、 軽量で安価な画像表示装置を実現する ことができる。 しかも同一の画像範囲を縮小して表示板に表示する必要がな いので、 画像の解像度を低下させる必要がなく、 高品位な画像を表示するこ とができる。
図面の簡単な説明
[001 7] 上述した目的、 およびその他の目的、 特徴および利点は、 以下に述べる好
適な実施の形態、 およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかに なる。
[図 1 ]本発明の一実施例における画像表示装置を使用した携帯電話機の使用状 態を示す斜視図である。
[図 2]本実施例の携帯電話機のディスプレイに表示された画像の一例を示した 説明図である。
[図 3]本実施例の携帯電話機の回路構成の概要を表わしたブロック図である。
[図 4]本実施例のディスプレイの断面構造と、 目の位置によつて画像の切り替 わる様子を表わした説明図である。
[図 5]本実施例で 2画面に画像が表示される場合の光の目に入る 2つの方向を 示す説明図である。
[図 6]本実施例で静止画の表示の指示があつたときの表示制御の様子を表わし た流れ図である。
[図 7]本実施例でディスプレイに第 1の画像が表示される状態を示した原理図 である。
[図 8]本実施例でディスプレイに第 2の画像が表示される状態を示した原理図 である。
[図 9]本発明の第 1の変形例による光学系の要部を示した原理図である。
[図 10]本発明の第 2の変形例による光学系の要部を示した断面図である。
[図 1 1 ]第 2の変形例で山の上に雲と月が出ている風景が表示された様子を表 わした説明図である。
[図 1 2]本発明の第 3の変形例の携帯電話機の回路構成の概要を表わしたプロ ック図である。
[図 13]第 3の変形例における大画面表示の表示処理の様子を表わした流れ図 である。
[図 14]本発明の第 4の変形例による大画面表示モードでの動画の表示処理を 表わした流れ図である。
[図 15]画像を途切れなく拡大表示する従来の手法を示した原理図である。
[図 1 6]液晶ディスプレイとこれによつて拡大された画像を示した説明図であ る。
発明を実施するための最良の形態
[001 9] 以下実施例につき本発明を詳細に説明する。
[0020] 図 1は、 本発明の一実施例における画像表示装置を使用した携帯電話機の 外観を表わしたものである。 この携帯電話機 2 0 0は、 これを手 2 0 1に持 つたユーザの目 2 0 2がディスプレイ 2 0 3を見る位置を変えることで、 デ イスプレイに表示されている画像力《複数の画像に切り替わる。 これら複数の 画像の継ぎ目が連続していることで、 ディスプレイ 2 0 3に表示される画像 が連続した 1つの画像として見え、 画角の広い画像を認識することができる
[0021 ] 図 2は、 本実施例の携帯電話機のディスプレイに表示された画像の一例を 示したものである。 ここでは、 ディスプレイ 2 0 3に、 その見る位置 (空間 領域) で 2つの画像が表示されるものとする。 このうち第 1の画像 2 1 1は 、 図 1で左側に示した位置に存在する (移動した) ユーザの目 2 0 2 Lがデ イスプレイ 2 0 3を見たときの画像の状態であり、 第 2の画像 2 1 2は、 図 1で右側に示した位置に存在する (移動した) ユーザの目 2 0 2 Rがデイス プレイ 2 0 3を見たときの画像の状態である。 実際には図 1に示したデイス プレイ 2 0 3に対して顔を左右に移動させると、 これに伴って画像 2 1 1、 2 1 2が切り替わることになる。
[0022] 図 3は、 この携帯電話機の回路構成の概要を表わしたものである。 携帯電 話機 2 0 0は、 この全体的な制御を行う主制御部 2 2 1を備えている。 主制 御部 2 2 1は、 C P U (Centra l Process i ng Un i t) 2 2 2、 制御プログラム を格納した R O M (Read
On l y Memory) 2 2 3および作業用メモリとしての R A M (Random Access Me mory) 2 2 4を備えている。 主制御部 2 2 1は、 バス等の信号伝達手段 2 2 5を介して装置内の各部と接続されている。
[0023] このうち通信制御部 226は、 図示しない無線基地局と通話のための通信 を制御する他に、 赤外線等の他の無線通信も行えるようになつている。 更に 、 図示しない US B (Universal Serial Bus) ポートを使用して図示しない 外部装置とデータの通信も行えるようになつている。 操作入力部 227は、 図 1に示した各種キーからなり、 ダイヤル番号等の各種のデータを入力する ようになつている。 カメラ部 228は、 CCD (Charged Coupled Device) 等の撮像素子を用いて静止画や動画を撮影するようになっている。 画像処理 部 229は、 カメラ部 228の撮影した画像や、 通信制御部 226を介して 入力された画像の処理を行うようになっている。 本実施例ではディスプレイ 203に表示する画像の分割等の処理も行う。 音声入出力部 231は、 通話 のための音声の入出力やアラーム音の出力を行うようになっている。 表示制 御部 232は、 ディスプレイ 203を駆動する回路部分である。
[0024] なお、 通信制御部 226等の主制御部 221以外の部品の一部は、 ROM 223に格納された制御プログラムを CPU 222が実行することによって ソフトウエア的に実現するものであってもよい。
[0025] 図 4は、 本実施例のディスプレイの断面構造と、 目の位置によって画像の 切り替わる様子を表わしたものである。 ディスプレイ 203は、 図示しない マトリックス状の電極によって画像を表示する液晶表示板 (LCD : Liquid Crystal Display) 241を備えている。 液晶表示板 241の下には、 所定の 間隔を置いてプリズムシート 242が配置されている。 本実施例のプリズム シート 242は、 第 1の方向 243と第 2の方向 244の 2つの方向に光線 の進路を切り替えるための光学部品であり、 片面 (図では下面) が鋸状に加 ェされている。 プリズムシート 242は、 幾つかのメーカから市販されてい る。
[0026] 図 5は、 図 4に示した 2つの方向の関係を示したものである。 液晶表示板 241に垂直な線分 251に対して第 1の方向 243と第 2の方向 244は 対称の関係にあり、 共に出射角は 0となっている。 これらの方向 243、 2 44は、 必ずしも入射角が対称の関係である必要はなく、 一般にはこれら 2
つの方向が異なつた 2つの角度となっていればよい。
[0027] 図 4に戻って説明を続ける。 プリズムシート 2 4 2の下方には所定の間隔 を置いて光線を反射させる反射シート 2 4 5が配置されている。 プリズムシ ート 2 4 2と反射シート 2 4 5の間には、 光線を透過させる透明な導光板 2 4 6が配置されている。 導光板 2 4 6の図で右端部には、 第 1の発光ダイォ 一ド群 2 4 7が紙面に垂直方向に間隔を置いて 1個ずつ配置されており、 こ れによって図 2に示した第 1の画像 2 1 1が形成されるようになっている。 導光板 2 4 6の図で左端部には、 第 2の発光ダイォード群 2 4 8が紙面に垂 直方向に間隔を置いて同様に 1個ずつ配置されており、 これによつて図 2に 示した第 2の画像 2 1 2が形成されるようになっている。
[0028] 液晶表示板 2 4 1は、 交互に第 1の画像 2 1 1 と第 2の画像 2 1 2を、 た とえば 6 0分の 1秒という速度で交互に表示するようになっている。 第 1の 画像 2 1 1が液晶表示板 2 4 1に表示されるタイミングで、 第 1の発光ダイ オード群 2 4 7が点灯し、 第 1の方向 2 4 3にその画像の光が出射する。 ま た、 第 2の画像 2 1 2が液晶表示板 2 4 1に表示されるタイミングで、 第 2 の発光ダイォード群 2 4 8が点灯し、 第 2の方向 2 4 4にその画像の光が出 射するようになっている。
[0029] ここでは説明を簡単にするために片目で画像を見ることを前提とする。 図 4で左側の空間領域にいるときのユーザの目 2 0 2 Lは第 1の画像 2 1 1を 見ることができ、 図 4で右側の空間領域にいるときのユーザの目 2 0 2 Rは 第 2の画像 2 1 2を見ることができる。 目 2 0 2が両者の中間の中央位置を 移動しているときに、 第 1の画像 2 1 1 と第 2の画像の境界位置を脳で連続 した画像に認識する過程を経て、 一方から他方に画像が切り替わることにな る。 このような脳の画像認識処理は、 たとえば立体視を行うために左右の目 に別々の画像を見せた時に行われる処理と類似している。 第 1の画像 2 1 1 と第 2の画像の境界を繋ぎ合わせるための"こつ"を掴むと、 それ以後は、 合 成された 1つの画像の認識を簡単に行えるようになる。
[0030] 図 6は、 静止画の表示の指示があつたときの表示制御の様子を表わしたも
のである。 たとえば図 3に示したカメラ部 228が撮影した画像をプレビュ 機能を用いて見るときや、 送られてきた電子メールに添付されている画像を 見るときに、 この表示制御が行われる。 図 3と共に説明する。
[0031] 携帯電話機 200のユーザが操作入力部 227を操作して画像の表示を行 おうとすると、 これに伴って電話機内部で画像の取り込みの指示が発生する (ステップ S 301 ) 。 この指示があると (Y) 、 主制御部 221は指示さ れた画像を画像処理部 229内の独自のメモリ (図示せず) あるいは作業用 の RAM 224に保存する (ステップ S 302) 。 ここでは RAM 224の 所定の領域に保存するものとして説明を行う。
[0032] この状態で主制御部 221は、 ユーザの指示が、 ディスプレイ 203のサ ィズの 1枚分の画像を表示する通常モードによる表示か、 2枚分の画像を表 示する大画面表示モードによる表示であるかをチェックする (ステップ S 3 03) 。 大画面表示モードによる表示を指示するものであれば (Y) 、 RA M 224に保存した 1つの画像を左右に 2つの画像に分割する (ステップ S
304) 。 このとき、 画像の整合を行いやすいように境界部分がわずかに重 複するように分割してもよい。 このようにして RAM 224には、 たとえば 図 2に示した第 1の画像 21 1 と第 2の画像 21 2が別々に保存されること になる。
[0033] この後、 主制御部 221は、 交互にたとえば 60分の 1秒ずつの間隔で交 代する第 1のタイミングと第 2のタイミングのいずれのタイミングが到来す るか、 あるいは表示の停止の指示があるかをチェックする (ステップ S 30 5〜ステップ 307) 。 第 1のタイミングが到来すると (ステップ S 305 : Y) 、 主制御部 221は RAM 224から第 1の画像 21 1の読み出しを 行い、 これと共に表示制御部 232の第 1の発光ダイオード (LED) 群 2
47を点灯させる (ステップ S 308) 。 これにより、 図 4に示した液晶表 示板 241には第 1の画像 21 1が表示される。
[0034] 図 7は、 ディスプレイに第 1の画像が表示される状態を示したものである 。 この状態では第 1の発光ダイオード群 247が点灯し、 第 2の発光ダイォ
ード群 2 4 8は消灯している。 したがって、 第 1の発光ダイオード群 2 4 7 から出力された光線 2 6 1は、 プリズムシート 2 4 2に直接入射し、 あるい は図 4に示した反射シート 2 4 5によって反射され、 透明な導光板 2 4 6の 中を往復した後にプリズムシート 2 4 2に入射する。 そして、 これらの光線 は第 1の方向 2 4 3に出射する。 したがって、 第 1の方向 2 4 3に目 2 0 2 Lが存在する (図 4参照) と、 第 1の画像 2 1 1を見ることができる。 この 瞬間、 第 2の画像 2 1 2は形成されていない。 したがって、 目 2 0 2 Rの位 置 (図 4参照) では第 2の画像 2 1 2を認識することができない。
[0035] 図 6に戻って説明を続ける。 第 1の画像が表示された状態で主制御部 2 2
1は、 表示の停止の指示がなければ (ステップ S 3 0 7 : N ) 、 更に 6 0分 の 1秒が経過して第 2のタイミングが到来した時点で (ステツプ S 3 0 6 : Y ) 、 R A M 2 2 4から第 2の画像 2 1 2の読み出しを行い、 これと共に表 示制御部 2 3 2の第 2の発光ダイォード群 2 4 8を点灯させる (ステップ S 3 0 9 ) 。 これにより、 図 4に示した液晶表示板 2 4 1には第 2の画像 2 1 2が表示される。
[0036] 図 8は、 ディスプレイに第 2の画像が表示される状態を示したものである 。 この状態では第 2の発光ダイオード群 2 4 8が点灯し、 第 1の発光ダイォ ード群 2 4 7は消灯している。 したがって、 第 2の発光ダイオード群 2 4 8 から出力された光線 2 6 2は、 プリズムシート 2 4 2に直接入射し、 あるい は図 4に示した反射シート 2 4 5によって反射され、 透明な導光板 2 4 6の 中を往復した後にプリズムシート 2 4 2に入射する。 そして、 これらの光線 は第 2の方向 2 4 4に出射する。 したがって、 第 2の方向 2 4 4に目 2 0 2 Rが存在すると (図 4参照) 、 第 2の画像 2 1 2を見ることができる。 この 瞬間、 第 1の画像 2 1 1は形成されていない。 したがって、 目 2 0 2 Lの位 置 (図 4参照) では第 1の画像 2 1 1を認識することができない。
[0037] 再び図 6に戻って説明を続ける。 以上のようにして第 2の画像 2 1 2が表 示されたら、 再びステツプ S 3 0 4の画像分割が行われた後の状態に戻り、 以後、 電話機内部で画像の表示停止の指示が発生するまで (ステップ S 3 0
7 : Y ) 、 第 1の画像と第 2の画像が 6 0分の 1秒ごとに繰り返して表示さ れることになる。 左右に移動した 1つの目 2 0 2 L、 2 0 2 Rは、 残像現象 により第 1の画像 2 1 1 と第 2の画像 2 1 2は常時存在する画像として認識 する。 しかも、 これらの切替時に目 2 0 2 L、 2 0 2 Rが物理的に左右に移 動するので、 人間は頭を左右に振って視野を広げたものと錯覚し、 これらの 画像の接合を行うことで 1枚の画像と認識することができる。 これにより、 1枚のディスプレイ 2 0 3が実質的に 2倍の視野面積を有した状態で画像が 表示されることになる。 なお、 ステップ S 3 0 7で表示停止が指示された場 合 (Y ) 、 表示が終了することになる (エンド) 。
[0038] なお、 ユーザが通常モードによる表示を選択した場合には (ステップ S 3 0 3 : N ) 、 通常の携帯電話機等の画像表示装置に使用されるディスプレイ で行われる表示制御が実行される (ステップ S 3 1 0 ) 。 すなわち、 画像を ディスプレイ 2 0 3の 1枚分のサイズに調整して表示する。 このときは、 画 像の切り替えを行う必要がない。 そこで、 第 1の発光ダイオード群 2 4 7と 第 2の発光ダイォード群 2 4 8を共に点灯させて、 ユーザは広い角度範囲で 1枚の画像を見ることになる。 この通常モードによる表示の場合にも、 表示 の停止が指示された時点で (ステップ S 3 1 1 : Y ) 、 表示が終了する (ェ ンド) 。
[0039] ぐ発明の第 1の変形例 >
[0040] 図 9は、 本発明の第 1の変形例による光学系の要部を示したものである。
この変形例では先の実施例の導光板 2 4 6 (図 4 ) に相当するもので、 入射 角に応じて光の進行する方向を 2方向に切り替える導光板 4 0 1を使用して いる。 導光板 4 0 1の 1つの側面 4 0 2には、 これとほぼ直交する方向に光 を入射させる第 1の発光ダイォード 4 0 3と、 導光板 4 0 1の射出面 4 0 4 と平行な面内で、 その入射角を第 1の発光ダイォード 4 0 3のそれから所定 の角度だけ回転させた第 2の発光ダイォード 4 0 5を、 側面 4 0 2の長さ方 向に一定間隔で交互に配置した構成となっている。
[0041 ] この第 1の変形例の導光板 4 0 1は、 第 1の発光ダイォード 4 0 3から入
射した光を導光板の射出面 4 0 4から所定の角度だけ傾斜した第 1の方向 4 1 1に射出し、 第 2の発光ダイオード 4 0 5から入射した光を導光板の射出 面 4 0 4に対して垂直方向である第 2の方向 4 1 2に射出する。 第 2の方向 4 1 2は必ずしも射出面 4 0 4に対して垂直方向である必要はなく、 第 1の 方向 4 1 1 と異なる方向であればよい。
[0042] このように第 1の方向 4 1 1 と第 2の方向 4 1 2に分かれた光は、 実施例 のプリズムシート 2 4 2と同様のシートあるいは平板に入射することで、 実 施例の図 4に示した第 1の方向 2 4 3と第 2の方向 2 4 4に変換される。 し たがって、 残像の残るような画像の切替速度で第 1の発光ダイォード 4 0 3 を実施例で説明した第 1の画像 2 1 1 と同期して点灯させ、 第 2の発光ダイ オード 4 0 5を第 1の画像 2 1 2と同期して点灯させれば、 1枚のディスプ レイ 2 0 3が実質的に 2倍の視野面積を有した状態で画像が表示されること になる。
[0043] <発明の第 2の変形例 >
[0044] 図 1 0は、 本発明の第 2の変形例による光学系の要部を示したものである 。 この第 2の変形例では、 実施例のプリズムシート 2 4 2のような進路変更 シート 5 0 1から第 1〜第 3の方向 5 1 1 - 5 1 3に光線が切り替わって出 力されるようになっている。 この結果、 第 1〜第 3の画像 5 2 1 ~ 5 2 3が 残像の残る時間でそれぞれ表示されることになる。
[0045] 図 1 1は、 山の上に雲と月が出ている風景が第 2の変形例で表示された様 子を表わしたものである。 第 1〜第 3の画像が見る位置で次々と現われるの で、 携帯電話機のユーザは画像を横に順に繋いだ形で 3画面分の画像を認識 することができる。 もちろん、 一度に見ることができる画像は 1枚分のディ スプレイ 2 0 3のサイズであるが、 目をずらしていくことで画像の表示領域 がほぼ 3倍に広がることになる。
[0046] なお、 この第 2の変形例では大画面表示を第 1〜第 3の画像の切り替えで 実現したが、 この場合の通常モードの画像表示は、 第 1〜第 3の方向 5 1 1 〜5 1 3のすべてに光線を出力することで行ってもよいし、 たとえば中央の
第 2の方向 5 1 2の光線のみを使用することもできる。 第 2の方向 5 1 2の 光線のみを使用した場合には、 ディスプレイ 2 0 3を良好に見ることのでき る視野範囲が狭まる。 したがって、 たとえば電車の中で隣に座っている人に 画像を見せたくない場合には、 第 2の方向 5 1 2の光線のみを出力するよう にすればよい。 このように通常モードの画像表示では、 出力する光線の方向 を選択することで、 視野角の広狭を調整することができる。
[0047] <発明の第 3の変形例 >
[0048] 図 1 2は、 本発明の第 3の変形例の携帯電話機の回路構成の概要を表わし たものである。 この変形例の携帯電話機 2 0 0 Cは、 先の実施例の携帯電話 機 2 0 0に水平角検出部 6 0 1を追加した構成となっている。 水平角検出部 6 0 1は携帯電話機 2 0 0 Cのディスプレイ面がほぼ水平に配置されている 力、、 傾斜した状態にあるかを検出するようにしている。 そして、 検出した 3 つの角度に応じてディスプレイ 2 0 3に表示される画像を切り替えるように している。 主制御部 2 2 1 Cはその構成が実施例の主制御部 2 2 1 と同じで あるが、 R O M 2 2 3 Cはこの変形例の携帯電話機 2 0 0 C用の制御プログ ラムを格納している。 水平角検出部 6 0 1は傾斜を検出する各種のセンサを 使用して実現することができる。
[0049] 図 1 3は、 この第 3の変形例における大画面表示の表示処理の様子を表わ したものである。 図 6のステップ S 3 0 2で表示の対象となる画像がメモリ に格納されているものとする。 この状態で主制御部 2 2 1 Cは、 大画面表示 モードになっているかを判別する (ステップ S 7 0 1 ) 。 通常表示モードで あれば (N ) 、 図 6のステップ S 3 1 0以降の処理が行われるので、 その図 示および説明を省略する。
[0050] これに対して大画面表示モードになっている場合には (ステップ S 7 0 1
: Y ) 、 画像を 3分割して、 それぞれを対応するメモリ領域に記憶させる ( ステップ S 7 0 2 ) 。 そして、 水平角検出部 6 0 1がほぼ水平位置に保たれ ているかを判別する (ステップ S 7 0 3 ) 。 ここで 「ほぼ水平位置」 とは、 人の顔の正面とディスプレイ 2 0 3の面がほぼ平行になっていることをいう
。 したがって、 ディスプレイ 2 0 3が文字通りほぼ水平になっている場合と 、 目に見やすいように手で携帯電話機 2 0 0 Cのディスプレイを前方向に傾 斜するように持っている場合を含んでいる。 これは、 ディスプレイを正面か ら見ている状態である。
[0051 ] 携帯電話機 2 0 0 Cがほぼ水平位置にある場合には (ステップ S 7 0 3 : Y ) 、 図 1 0における第 2の方向 5 1 2に光線を出力する発光ダイオード群 を点灯させ、 この状態で第 2の画像 5 2 2を該当するメモリ領域から読み出 して表示する (ステップ S 7 0 4 ) 。 第 2の画像 5 2 2の表示は、 水平角検 出部 6 0 1がほぼ水平位置に保たれていることを検出している間、 表示停止 の指示が行われない限り (ステップ S 7 0 5 : N ) 、 継続する。
[0052] ユーザは現在表示されている第 2の画像 5 2 2の左側に延長する画像を見 たいときには、 手に持っている携帯電話機 2 0 0 Cを正面位置からそのディ スプレイ 2 0 3の面の左側部を遠ざける方向としての時計方向に少し回転さ せる。 これにより、 水平角検出部 6 0 1がこの回転を検出すると (ステップ S 7 0 6 : Y ) 、 主制御部 2 2 1 Cは代わって第 1の方向 5 1 1に光線を出 力する発光ダイオード群を点灯させ、 この状態で第 1の画像 5 2 1を該当す るメモリ領域から読み出して表示する (ステップ S 7 0 7 ) 。 第 1の画像 5 2 1の表示は、 水平角検出部 6 0 1が前記した時計方向に回転した状態が保 たれている間、 表示停止の指示が行われない限り (ステップ S 7 0 5 : N ) 、 継続する。
[0053] —方、 ユーザが第 2の画像 5 2 2の右側に延長する画像を見たいときには 、 手に持っている携帯電話機 2 0 0 Cを正面位置から前記した時計方向とは 逆の反時計方向に少し回転させる。 これにより、 水平角検出部 6 0 1がこの 回転を検出すると (ステップ S 7 0 6 : N ) 、 主制御部 2 2 1 Cは代わって 第 3の方向 5 1 3に光線を出力する発光ダイオード群を点灯させ、 この状態 で第 3の画像 5 2 3を該当するメモリ領域から読み出して表示する (ステツ プ S 7 0 8 ) 。 第 3の画像 5 2 3の表示は、 水平角検出部 6 0 1が前記した 反時計方向に回転した状態が保たれている間、 表示停止の指示が行われない
限り (ステップ S 7 0 5 : N ) 、 継続する。
[0054] このように本発明の第 3の変形例によれば、 ユーザは顔を動かすことなく 携帯電話機 2 0 0 Cをそのディスプレイ 2 0 3の面の一方の側部が遠ざかり 他方の側部が近づく方向に回転させるだけで、 空間領域を順次切り替えて、 3つの画像があたかも 1枚の画像として連続しているように認識することが できる。 しかも、 この場合には各空間位置の画像を残像現象を利用して表示 する必要がないので、 消費電力を低減させることができる。 もちろん、 水平 角検出部 6 0 1を用いずに携帯電話機を実施例と同一の構成としても、 その 回転によって画像を切り替えることができる。
[0055] 同様の 2画面あるいは 3画面以上の多数画面の切り替え表示は、 携帯電話 機 2 0 O Cを上記したように回転させずに、 ディスプレイ 2 0 3を正面に見 ている位置から左右に移動させることによつても行うことができる。 すなわ ち、 携帯電話機 2 0 0 Cを持っている手のひらを右方向に移動させてこれが 検出されれば第 1の画像 5 2 1をディスプレイ 2 0 3に表示し、 反対に左方 向に移動させてこれが検出されれば第 3の画像 5 2 3をディスプレイ 2 0 3 に表示することになる。 どの方向に移動したかは、 たとえば携帯電話機 2 0 O Cのカメラ部 2 2 3がディスプレイと同一面側に配置されている場合、 こ のカメラを用いて被写体としてのユーザの顔が左右どの位置に偏っているか を判別することで検出することができる。 もちろん、 移動方向の判別には加 速度センサを用いることも可能である。
[0056] ぐ発明の第 4の変形例 >
[0057] 図 1 4は、 本発明の第 4の変形例による大画面表示モードでの動画の表示 処理を表わしたものである。 この第 4の変形例では、 実施例と同一のハード ウェアで動画の再生を行うものとする。 大画面表示モードによる動画の再生 指示があると (ステップ S 8 0 1 : Y ) 、 表示処理を行う画像のフレームを 特定するパラメータ mを初期化して" 1 "とする (ステップ S 8 0 2 ) 。 そし て、 第 mフレーム (この場合には第 1 フレーム) の画像を取り込む (ステツ プ S 8 0 3 ) 。 そして、 取り込んだ画像を第 1の画像の表示と第 2の画像の
表示を別々に行うために 2分割し、 図示しない 2つのメモリ領域に 2分割後 の画像データを別々に格納する (ステップ S 8 0 4 ) 。
[0058] この変形例では、 たとえば 6 0分の 1秒置きに第 1の画像と第 2の画像を 順に表示するのであれば、 第 1の画像を表示するための第 1のタイミングが 到来するのを待機する (ステップ S 8 0 5 ) 。 第 1のタイミングが到来した ら (Y ) 、 ステップ S 8 0 4で 2分割してメモリ領域に格納した第 1の画像 を読み出す。 このとき、 第 1の発光ダイオード (L E D ) 群 2 4 7を点灯さ せる (ステップ S 8 0 6 ) 。 これにより、 第 1の発光ダイオード群 2 4 7が 点灯し、 第 1の方向 2 4 3にその画像の光が出射する。
[0059] この後、 第 2の画像を表示するための第 2のタイミングが到来するのを待 機する (ステップ S 8 0 7 ) 。 第 2のタイミングが到来したら (Y ) 、 ス亍 ップ S 8 0 4で 2分割してメモリ領域に格納した第 2の画像を読み出す。 こ のとき、 第 2の発光ダイオード (L E D ) 群 2 4 7を点灯させる (ステップ S 8 0 8 ) 。 これにより、 第 1の発光ダイォード群 2 4 7が点灯し、 第 1の 方向 2 4 3にその画像の光が出射する。
[0060] 以上のようにして最初の 1 フレームの画像が 2画面分のサイズで表示され たら、 動画の終了あるいはユーザの指示等の理由によって、 大画面表示モー ドでの動画の表示処理の停止が指示されているかどうかをチェックする (ス テツプ S 8 0 9 ) 。 大画面表示モードでの動画の表示処理の停止が指示され ていなければ (N ) 、 パラメータ mが〃 1〃だけ加算されて、 ステップ S 8 0 3に戻る。 すなわち、 この場合には mが" 2〃としてステップ S 8 0 3に戻つ て、 2番目のフレームの画像の取り込みが行われる。 以下同様に処理が行わ れる。 そして、 ステップ S 8 0 9で表示停止指示が出されていることを確認 した場合には、 表示処理を終了する (エンド) 。
[0061 ] このようにして大画面で動画の再生が指示されたときには、 動画を構成す る 1つずつのフレームが順番に読み出されて、 実施例の静止画と同様に 2画 面が連続して見える状態で動画の再生が行われていくことになる。 ステップ S 8 0 1で通常モードでの動画の再生が指示された場合には、 通常モードに
よる動画の表示処理が行われる。
[0062] この第 4の変形例では 2画面に動画を再生する場合を説明したが、 3画面 に動画を再生することも同様に可能である。
[0063] 更に実施例および各変形例では、 片目による画像の大画面表示を実現する ことにしたが、 これに限定するものではない。 すなわち、 ユーザが両目で画 像を見る場合にも本発明を同様に適用することができる。
[0064] また、 実施例では携帯電話機の画像表示装置に本発明を適用した場合を示 したが、 非常に大型のディスプレイを除く画像を表示するあらゆる装置に本 発明を適用することができることは当然である。