JP2001103515A - 立体画像表示装置および立体画像表示システム - Google Patents

立体画像表示装置および立体画像表示システム

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JP2001103515A
JP2001103515A JP27833999A JP27833999A JP2001103515A JP 2001103515 A JP2001103515 A JP 2001103515A JP 27833999 A JP27833999 A JP 27833999A JP 27833999 A JP27833999 A JP 27833999A JP 2001103515 A JP2001103515 A JP 2001103515A
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dimensional image
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JP27833999A
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English (en)
Inventor
Ken Yoshii
謙 吉井
Manami Kuiseko
真奈美 杭迫
Makoto Miyazaki
誠 宮崎
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Minolta Co Ltd
Original Assignee
Minolta Co Ltd
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  • Controls And Circuits For Display Device (AREA)
  • Testing, Inspecting, Measuring Of Stereoscopic Televisions And Televisions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 スクリーンの任意の方向に対して隠面消去処
理の施された立体画像の表示を行うこと。 【解決手段】 表示対象物300を上方側から見たとき
の、表示対象物300の所定の原点P0を中心として所
定角度幅ごとに放射状に分割された複数の領域R1〜R
8のそれぞれについて仮想的な視点である代表点P1〜
P8を設定する。立体表示に先立って、各代表点P1〜
P8から表示対象物300を見たときの隠面を消去処理
を行い、立体表示像を各領域R1〜R8から観察すると
きの投影用画像となる2次元的な隠面消去画像を予め生
成しておく。そして、立体表示の際に、立体画像表示装
置の周囲のどの領域に観察者が位置するかをカメラ画像
等に基づいて特定し、その領域についての隠面消去画像
を投影用画像としてスクリーンに投影する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、所定空間を周期
的に走査するスクリーンに対して投影用画像を投影する
ことによって、残像効果を生じさせて表示対象物の立体
画像を表示する立体画像表示装置および立体画像表示シ
ステムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より発明・考案されてきた立体画像
の表示方法の一つとして、人間の眼の残像効果を利用す
る体積走査法と呼ばれるものがある。
【0003】従来の体積走査法による表示装置の一つ
に、スクリーンをその投影面に垂直な方向に高速で直進
移動させ、投影面の位置に応じて物体の断面の2次元像
あるいは断面の輪郭を時々刻々と変化させつつ投影する
ものがあった。この装置は、高速移動するスクリーンを
目視することによって、人間の眼に残像効果がもたらさ
れ、断面画像が配置されて全体として立体像が表示され
ているように見えるのである。
【0004】また、別の表示装置として、スクリーンを
回転させ、投影面の回転角に応じて物体の断面の2次元
像あるいは断面の輪郭を時々刻々と変化させつつ投影す
るものもあった。この装置も人間の眼に残像効果を生じ
させ、立体画像が表示されているように見えるのであ
る。この装置では、回転スクリーンの周囲の任意の方向
から立体画像を視認することができるという点でメリッ
トが大きい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のような装置で
は、スクリーンに対して3次元的な物体(表示対象物)
の断面の2次元像あるいは輪郭をそのまま表示するた
め、表示される立体画像は半透明像となり、本来なら、
観察者の位置からは見えるはずのない物体の隠面までも
が見えてしまうことになる。
【0006】このため、スクリーンに対して画像を投影
する際に、3次元形状である表示対象物の投影用画像に
おいて、実際には隠れて見えない面を表示しないように
する隠面消去処理を施しておくことが必要である。
【0007】ここで、体積走査法による立体画像表示装
置おいて、隠面消去処理を適用する際には、スクリーン
の周囲の任意の方向に対して隠面消去処理の施された立
体画像を瞬時に表示することが必要である。また、隠面
消去処理を行う際には観察者が表示対象物をどの視点か
ら観察しているかが重要な要素となるため、観察者の位
置に応じて隠面消去された立体画像を表示することも必
要である。
【0008】特に、上記の回転スクリーン方式の場合に
は、回転スクリーンの周囲の任意の位置から表示対象物
の周囲を良好に観察することができる必要があり、観察
者の位置に応じた隠面消去表示をリアルタイムで行うこ
とが望ましい。
【0009】そこで、この発明は、人間の眼の残像効果
を利用する体積走査法において、スクリーンの任意の方
向に対して隠面消去処理の施された立体画像の表示を行
うことのできる立体画像表示装置および立体画像表示シ
ステムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明は、所定空間を周期的に走査
するスクリーンに対して表示対象物から得られる投影用
画像を投影することによって、残像効果を生じさせて前
記表示対象物の立体画像を表示する立体画像表示装置で
あって、前記スクリーンの周囲を所定角度幅で分割して
得られた複数の領域のうちからいずれか1つの領域を選
択する選択手段と、選択された前記領域内の代表点を基
準として前記表示対象物に関する画像に隠面消去処理を
施して得られた隠面消去画像を前記投影用画像として前
記スクリーンに投影する手段とを備えている。
【0011】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の立体画像表示装置において、前記選択手段が、前記立
体画像を観察する観察者の位置する方向を特定する手段
を備え、前記複数の領域のうちから、特定された前記観
察者の位置が含まれる領域を選択することを特徴として
いる。
【0012】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載
の立体画像表示装置において、前記選択手段が、所定時
間ごとに繰り返し前記観察者の位置を特定することを特
徴としている。
【0013】請求項4に記載の発明は、請求項1ないし
請求項3のいずれかに記載の立体画像表示装置におい
て、前記隠面消去画像が、前記立体画像の表示に先立っ
て、前記複数の領域のそれぞれについて予め生成されて
いることを特徴としている。
【0014】請求項5に記載の発明は、所定空間を周期
的に走査するスクリーンに対して表示対象物から得られ
る投影用画像を投影することによって、残像効果を生じ
させて前記表示対象物の立体画像を表示する立体画像表
示装置であって、前記立体画像を観察する観察者の位置
する方向を特定する手段と、特定された前記観察者の位
置を基準として前記表示対象物に関する画像に隠面消去
処理を施して得られた隠面消去画像を前記スクリーンに
投影する手段とを備えている。
【0015】請求項6に記載の発明は、立体画像表示シ
ステムであって、表示対象物の3次元画像を供給する手
段と、前記3次元画像に基づいて、前記表示対象物の周
囲を所定角度ごとに分割して得られる複数の領域のそれ
ぞれに対して所定の代表点を設定し、該代表点を基準と
して隠面消去処理を施した3次元隠面消去画像を複数生
成する手段と、前記複数の3次元隠面消去画像のそれぞ
れを複数の面で切断した隠面消去画像を生成する手段
と、前記複数の領域のうちから1の領域を選択し、選択
された領域に対応付けられる前記隠面消去画像を、所定
空間を周期的に走査するスクリーンに対して順次に投影
することで前記表示対象物に関する隠面消去処理の施さ
れた立体画像を表示する立体画像表示装置とを備えてい
る。
【0016】
【発明の実施の形態】<1.全体のシステム構成>この
発明に係る立体画像表示システムの実施の形態として、
立体画像表示システムの全体的な構成を図1に示す。こ
の立体画像表示システム1は、体積走査法によって表示
対象物の立体表示を行う立体画像表示装置100と、立
体画像表示装置100に対して3次元的な表示対象物か
ら得られる投影用画像としての2次元画像データを供給
するホストコンピュータ3と、観察者の位置に応じて隠
面消去された立体画像を行うために観察者の位置を検出
する検出手段となるカメラ10とを備えて構成されてい
る。
【0017】立体画像表示装置100は、後述するよう
に所定の回転軸を中心に高速で回転するスクリーンに対
して表示対象物の断面画像を断続的に投影することによ
って残像効果を発生させて立体画像を表示する。そし
て、回転するスクリーンの位置(角度)に応じて投影用
画像を高速で更新していくことにより、様々な表示対象
物の立体像を表示する。
【0018】ホストコンピュータ3は、CPU3aとデ
ィスプレイ3bとキーボード3cとマウス3dとを含ん
で構成されるいわゆる一般的なコンピュータシステムで
ある。このホストコンピュータ3には、予め入力されて
いる表示対象物の3次元画像データからスクリーンが回
転する際の各角度に対応する断面画像の2次元画像デー
タを生成する処理、および、表示対象物の3次元画像デ
ータに対して隠面消去処理を施したデータ(3次元隠面
消去画像データ)からスクリーンが回転する際の各角度
に対応する断面画像の2次元画像データ(隠面消去画像
データ)を生成する処理を行うソフトウェアが組み込ま
れている。このため、ホストコンピュータ3は、表示対
象物の3次元画像データからスクリーンの回転角度に応
じてスクリーン上に投影すべき表示対象物の断面画像に
関する2次元画像データを生成することができ、その生
成された2次元画像データを投影用の画像データとして
立体画像表示装置100に供給する。
【0019】ホストコンピュータ3と立体画像表示装置
100との間では、オンラインによるデータの受け渡し
が可能であるとともに、可搬型の記録メディア4を介し
てのオフラインによるデータの受け渡しも可能である。
記録メディア4としては、光磁気ディスク(MO)、コ
ンパクトディスク(CD−RW)、ディジタルビデオデ
ィスク(DVD−RAM)、メモリカード等がある。
【0020】そして立体画像表示装置100では、隠面
消去処理が施された隠面消去画像と、隠面消去処理の施
されていない断面画像とのいずれかを選択的に投影用画
像としてスクリーン上に投影することができるように構
成されている。
【0021】図2は、カメラ10と立体画像表示装置1
00との設置関係の一例を示す図である。カメラ10
は、立体画像表示装置100が設置される部屋5の天井
部分5aに設置される。立体画像表示装置100は部屋
5の中央に設置され、カメラ10はその視野範囲の中心
に立体画像表示装置100を撮像することができるよう
に設置される。カメラ10の視野範囲は、部屋5内の任
意の位置の観察者を撮像することができるように設定す
ることが望ましい。そして、カメラ10によって得られ
る画像データは伝送線11を介して立体画像表示装置1
00に導かれる。なお、ホストコンピュータ3は部屋5
内に設置されてもよいし、外部に配置されてもよい。
【0022】<2.立体画像表示装置>次に、立体画像
表示装置100の一実施形態について説明する。図3
は、立体画像表示装置100の概観を示す図である。こ
の立体画像表示装置100は、スクリーン38に断面画
像を投影するための光学系や各種データ処理を行うため
の制御機構が内蔵されたハウジング20と、そのハウジ
ング20の上部側に設けられて内部に回転するスクリー
ンを収容する円筒状の風防20aとを備えている。
【0023】風防20aはガラスやアクリル樹脂等の透
明な材質で形成されており、内部側で回転するスクリー
ン38に投影される画像を外部より視認することができ
るように構成されている。また、風防20aは内部空間
を密封しており、そのことによってスクリーン38の回
転の安定化や回転駆動するモータの消費電力の低減を図
っている。
【0024】ハウジング20の前面側には液晶ディスプ
レイ(LCD)21、着脱可能な操作スイッチ22、記
録メディア4の着脱口23が配置されており、また側面
側にはディジタル入出力端子24が設けられている。液
晶ディスプレイ21は、操作入力を行う際の操作案内画
面の表示手段及び表示対象物のインデックスのための2
次元画像の表示手段として用いられる。ディジタル入出
力端子24はSCSI端子あるいはIEEE1394端
子等である。さらにハウジング20の外周面の4箇所に
は音声出力のためのスピーカ25が配置されている。
【0025】図4は、着脱可能な操作スイッチ22の拡
大図である。この操作スイッチ22は、各種動作パラメ
ータを入力するための操作入力手段として機能させるべ
く、電源ボタン221、スタートボタン222、ストッ
プボタン223、カーソルボタン224、セレクトボタ
ン225、キャンセルボタン226、メニューボタン2
27、ズームボタン228、音量調節ボタン229等の
各種ボタンが配置されている。
【0026】スクリーン38による立体画像の表示は、
操作スイッチ22の各ボタン221〜227を操作する
ことによって記録メディア4に記録されているデータフ
ァイルから立体表示を行いたい2次元画像データを選択
したり、又はホストコンピュータ3側に保存されている
データファイルから2次元画像データを選択することに
より開始される。
【0027】次に、立体画像表示装置100においてス
クリーン38上に投影用画像を投影するための光学系に
ついて説明する。図5は、立体画像表示装置100にお
ける光学系を含む構成を示す図である。図5に示すよう
に立体画像表示装置100における光学系は、照明光学
系40と投影光学系50とDMD(ディジタル・マイク
ロミラー・デバイス)33とTIRプリズム44とを備
えて構成される。
【0028】まず、DMD33について説明する。DM
D33は、スクリーン38に投影する投影用画像を生成
する画像生成手段として機能するものであり、1辺が1
6μm程度の矩形の金属片(例えばアルミニウム片)の
極めて小さなミラーを1画素として1チップあたり数十
万枚の規模で平面に敷き詰めた構造を有し、各画素直下
に配置されたSRAM出力の静電電界作用により各ミラ
ーの傾斜角を個々に±10度で制御できるデバイスであ
る。なお、ミラーの角度制御は、SRAM出力の
「1」、「0」に対応して、ON/OFFのバイナリ制
御であり、光源からの光が当たると、ON(またはOF
F)の方向を向いているミラーで反射した光だけが投影
光学系50の方向に進み、OFF(またはON)の方向
を向いているミラーで反射した光は有効な光路から外れ
投影光学系50の方向には進まない。このミラーのON
/OFF制御により、ON/OFFのミラー分布に対応
した断面画像が生成されてスクリーン38に投影される
ことになる。
【0029】なお、各ミラーの傾斜角を制御して反射す
る光の方向を切り換えるが、この切り換え時間の調整
(反射する時間の長さ)により各画素の濃淡(階調)を
表現することができ、1色につき256階調が表現でき
る。そして、光源からの白色光を周期的に切り替わるR
(赤)、G(緑)、B(青)の3色のカラーフィルター
に通し、通過した各色にDMDチップを同期させること
でカラー画像を形成したり、R、G、Bの各色ごとにD
MDチップを準備して3色の光を同時に投影することで
カラー画像を形成することができる。
【0030】このようなDMD33は、第一に光利用効
率が非常に高いこと、第二に高速応答性を有することの
2つの大きな特徴を有しており、一般にはその高い光利
用効率を活かしてビデオプロジェクタ等の用途に使用さ
れている。
【0031】この実施形態においては、DMD33のも
う一つの大きな特徴である高速応答性を利用することに
より、残像効果を利用する体積走査法において表示対象
物の立体画像(立体的静止画像および立体的動画像を含
む)を適切に表示することができるように実現される。
【0032】DMD33は一枚一枚のミラーの偏向の応
答性が約10μsecであることと、画像データの書き
込みが一般的なSRAMとほぼ同様の方法でできること
から、1枚の画像を生成するのに要する時間は1mse
cあるいはそれ以下ときわめて高速である。仮に1ms
ecであるとすると、残像効果を実現するために1/1
8secで180゜(すなわち毎秒9回転)の体積走査
を行う場合に生成できる断面画像の数は約60枚とな
る。従来の体積走査法で画像生成手段として使用されて
いたCRTや液晶ディスプレイ等と比較すると、DMD
33は単位時間当たりはるかに多くの投影用画像をスク
リーン38上に投影することができ、非回転対称形状の
立体的静止画像の表示のみならず、立体的動画像の表示
にも対応することができるのである。
【0033】また、DMD33の特徴の1つである光の
利用効率の高さも、より明るい投影用画像をスクリーン
38上に投影することで残像効果を高めることに寄与
し、CRT方式等と比較して高品位の立体画像の表示を
可能にする。
【0034】なお、図5に示すようにDMD33の画像
生成面側には、照明光学系40からの照明光を各微小ミ
ラーに導くとともに、DMD33で生成された投影用画
像を投影光学系50に導くためにTIRプリズム44が
配設されている。
【0035】照明光学系40は、白色光源41と照明レ
ンズ系42とを有しており、白色光源41からの照明光
は照明レンズ系42により平行光とされる。照明レンズ
系42はコンデンサレンズ421、インテグレータ42
2、カラーフィルタ43およびリレーレンズ423によ
り構成される。白色光源41からの照明光はコンデンサ
レンズ421により集光されてインテグレータ422に
入射する。そして、インテグレータ422によって光量
分布が均一な状態とされた照明光は、回転式のカラーフ
ィルタ43によってR,G,Bのいずれかの色成分に分
光される。分光された照明光はリレーレンズ423によ
り平行光とされた上で、TIRプリズム44に入射し、
DMD33上に照射される。
【0036】DMD33は、ホストコンピュータ3から
与えられる2次元画像データに基づいて個々の微小ミラ
ーの傾斜角度を変化させることにより照明光のうちの投
影用画像を投影するのに必要な光成分のみを投影光学系
50に向けて反射させる。
【0037】投影光学系50は投影レンズ系51とスク
リーン38とを有している。投影レンズ系51は両テレ
セントリックレンズ511と投影レンズ513と投影ミ
ラー36,37と像回転補償機構34とを備えており、
このうち投影レンズ513と投影ミラー36,37はス
クリーン38を回転軸Zのまわりに回転させる回転部材
39の内部側に配置されている。
【0038】DMD33で反射された光(投影用画像)
は両テレセントリックレンズ511により平行光にさ
れ、投影用画像の回転補償を行うために像回転補償機構
34を通過する。そして、像回転補償機構34において
回転補償が行われた光束は投影ミラー36、投影レンズ
513、投影ミラー37を経由して最終的にスクリーン
38の主面(投影面)上に投影される。したがって、投
影光学系50とDMD33とで、複数の投影用画像を2
次元画像データに基づいて順次に生成し、スクリーン3
8の回転走査に同期して複数の投影用画像をスクリーン
上に順次に投影する投影手段を形成する。
【0039】この光学系において、投影ミラー36、投
影レンズ513、投影ミラー37及びスクリーン38は
回転部材39に固定されており、回転部材39の回転と
ともにスクリーン38の中心軸を含む垂直な回転軸Zの
回りに角速度Ωで回転する。つまり、体積走査を行うた
めにスクリーン38を回転させる際には、回転部材39
内部に配置された投影ミラー36、投影レンズ513及
び投影ミラー37もスクリーン38と一体となって回転
するため、スクリーン38がいかなる角度となっても常
にその正面側から投影用画像の投影を行うことができる
のである。
【0040】なお、スクリーン53の回転角度は位置検
出器73により常に検出されている。
【0041】こうしてDMD33において生成された投
影用画像がスクリーン38上に投影される。投影レンズ
513の役割は、光束がスクリーン38上に至るところ
で適切な画像サイズをなすようにすることである。ま
た、投影ミラー37はスクリーン38に投影される立体
像を観察する際に観察者の視線を妨げないように、スク
リーン38の正面の斜め下方向(図5の場合は回転部材
39の内部側)から断面画像を投影するように配置され
ている。なお、投影レンズ513の投影ミラー36及び
37に対する位置的な順序関係は必ずしも本実施形態に
とらわれるものではない。
【0042】ここで、像回転補償機構34について説明
する。図5に示す像回転補償機構34は、いわゆるイメ
ージローテータの構成によって実現されている。スクリ
ーン38が取り付けられている回転部材39がある回転
角度に位置する場合に、スクリーン38上に投影されて
いる投影用画像を基準像とする。もし像回転補償機構3
4を用いないとすると、回転部材39が回転するにつれ
て投影用画像はスクリーン38上で面内回転し、回転部
材39が180゜回転したところで投影用画像は基準像
に対し上下が逆転した像になってしまう。この現象を防
ぐものが像回転補償機構34である。
【0043】図5に示す像回転補償機構34は複数のミ
ラーを組み合わせて構成されるイメージローテータを使
用している。イメージローテータを光軸まわりに回転さ
せると、入射画像に対する出射画像がイメージローテー
タの角速度の2倍の角速度で回転して出射される性質が
ある。したがって、スクリーン38が取り付けられてい
る回転部材39の角速度の1/2の角速度でイメージロ
ーテータを回転させることによって、スクリーンの回転
にかかわらず正立した投影用画像を常に投影できる。
【0044】なお、像回転補償機構としてはイメージロ
ーテータ以外にダブ(タイプ)プリズムを使用しても同
様の効果が得られる。また、ここに説明した像回転補償
機構34を使用せず、DMD33の表面上に生成する投
影用画像をスクリーン38の回転角度に応じて光軸まわ
りに回転するような画像とすることで投影用画像の回転
を打ち消すようにしても良い。
【0045】すなわち、DMD33の表面上で生成され
る投影用画像が、体積走査の開始時では正立像(あるい
は倒立像)であり、スクリーン38の回転とともに自転
して体積走査が完了した時点では倒立像(あるいは正立
像)となるように投影用画像の生成のための2次元画像
データを、DMD33に与える前の段階で補正するよう
にしても良い。
【0046】ここで、スクリーン38および回転部材3
9の斜視概観図の一例を図6に示す。図6に示すように
回転部材39は円盤形状をなし、その側面に回転駆動手
段となるモータ74の回転軸が接することによって回転
駆動される。なお、回転部材39の中心軸にモータを直
結したり、歯車やベルトを介して駆動させるようにして
も良い。
【0047】図6に示すようにスクリーン38がある回
転角度θ1にあるとき、θ1に対応した表示対象物の断
面の投影用画像G1(DMD33で生成)が、図5に示
した投影ミラー36と投影レンズ513と投影ミラー3
7とを経由してスクリーン38上に投影される。そこか
ら微小時間が経過してスクリーン38が回転し、その回
転角度がθ2になったとき、今度はθ2に対応した表示
対象物の断面の投影用画像G2(DMD33で生成)
が、図5に示した投影ミラー36と投影レンズ513と
投影ミラー37とを経由してスクリーン38上に投影さ
れる。
【0048】投影ミラー36、投影レンズ513および
投影ミラー37はスクリーン38に対して一定の位置関
係を保ったまま共に回転するので、スクリーン38上に
は回転にかかわらず常に投影用面像が投影され続ける。
そして、静止画像を表示する場合には、回転部材39を
180゜回転(若しくは360°回転)させた時点で再
び始めと同じ投影用画像が現れ、1回の体積走査が完了
する。以上の動作を回転部材39の回転の速度を残像効
果が起きるように十分に速く、かつ、スクリーン38が
1回転する間に投影される画像の枚数を十分に多くする
ことによって、観察者は投影用画像の包絡として表示対
象物の立体像を視認することができるのである。
【0049】次に投影用画像の大きさ(解像度)につい
て述べる。図7はスクリーン38に投影される投影用画
像の大きさを示す図である。投影用画像は256画素
(水平方向)×256画素(垂直方向)の大きさで、ス
クリーン38の回転軸に対して対称に投影される。すな
わち、回転軸を中心として周方向に向かって左右128
画素の大きさとなる。投影される画像はスクリーン38
と一定の関係を保ったまま共に回転するので、スクリー
ン38の回転にかかわらず、投影される画像の大きさは
一定である。なお、図7に示す投影用画像の大きさは単
なる一例であり、使用されるDMD33に設けられた微
小ミラーの数に応じて任意の大きさが設定可能である。
【0050】<3.立体画像表示システムにおける制御
機構>次に、この立体画像表示システム1において立体
画像を表示するための制御機構について説明する。
【0051】図8は、立体画像表示システム1の機能構
成を示すブロック図である。図8において実線矢印は電
気信号の流れを示しており、破線矢印は光の流れを示し
ている。なお、図8に示す照明光学系40および投影光
学系50は上述した内容のものである。
【0052】表示対象物の投影用画像に関する2次元画
像データはディジタル入出力端子24を経由してホスト
コンピュータ3からインタフェース66に入力された
り、あるいは記録メディア4からインタフェース66に
入力される。
【0053】一般に画像データは他の種類のデータに比
べデータ量が多いため、インタフェース66に入力され
る2次元画像データにはMPEG2方式等によるデータ
圧縮が施されている場合も多い。この場合は、圧縮され
た2次元画像データを伸張(復元)する必要がある。そ
こで、図8の構成では圧縮された2次元画像データを伸
張するためのデータ伸張器65が設けられている。な
お、インタフェース66に入力される2次元画像データ
にデータ圧縮が施されていない場合ではデータ伸張器6
5を設ける必要性はない。
【0054】伸張された2次元画像データは、DMD3
3における投影用画像の生成を制御するDMD駆動部6
0に与えられる。DMD駆動部60はDMD33とDM
Dコントローラ62とメモリ63a,63bとを備えて
いる。メモリ63a及び63bはそれぞれ独立に書き込
み又は読み出しが制御されるように構成され、それぞれ
が複数の2次元画像データを記憶する記憶手段として機
能する。DMDコントローラ62はDMD33に対して
階調信号を与えたり、位置検出器73で検出されるスク
リーン38の回転角度に応じてカラーフィルタ43を駆
動するためのドライバ71を制御するとともにメモリ6
3a,63bにおける書き込み動作と読み出し動作とを
制御する。
【0055】ここで、記憶手段となるメモリの構成につ
いて説明する。上述した例示のように体積走査を行う場
合にDMD33で生成できる投影用画像の数を60枚と
する。立体表示を行うには投影用画像をスクリーン38
の回転角度に応じて断続的に投影するので、60枚の投
影用画像群を1シーンとするとその投影用画像群に含ま
れる2次元画像データを順次に繰り返してDMD33に
データ転送する必要がある。このため、DMD33に2
次元画像データを供給するためのメモリの記憶容量は、
少なくとも1シーンに相当する60枚分の2次元画像デ
ータを記憶しておくことのできるメモリサイズが必要に
なる。
【0056】つまり、2次元画像データ用のメモリサイ
ズが小さい場合、例えば60枚に満たない画像分の2次
元画像データしかメモリに記憶することができない場合
は、ホストコンピュータ3あるいは記録メディア4から
画像ごとに2次元画像データを繰り返し転送し続けない
と静止画像ですら適切に立体表示することができない。
一般にはホストコンピュータ3あるいは記録メディア4
から2次元画像データを転送する際の速度はメモリから
DMD33に対して2次元画像データを供給する際の速
度に比べて低速であるため、高速回転するスクリーン3
8の回転位置に応じた2次元画像データの供給が間に合
わないという事態が生じ、適切な立体表示ができなくな
るのである。
【0057】これに対して、60枚分以上のメモリサイ
ズがあれば、1シーンを構成する投影用画像群について
の2次元画像データを全てメモリに格納しておくことが
できるので、一旦メモリに2次元画像データを格納して
おけば、このメモリからスクリーン38の回転位置に応
じて2次元画像データを順次にDMD33に与えること
によって適切に立体画像の表示を行うことができるので
ある。
【0058】以上のことは、立体表示を行う際に静止画
像を表示する場合であっても動画像を表示する場合であ
っても同様である。
【0059】そして次に、動画像を表示する場合のメモ
リ構成について説明する。カラー表示を行うためにR,
G,Bの各色成分ごとの画像を構成すると、これらR,
G,B画像が一組で1枚の投影用画像を構成することに
なる。したがって、60枚分をR,G,Bの各色成分に
対応させると各色成分ごとの画像は20枚の構成とな
る。このため、1枚の立体表示を行うために必要なメモ
リサイズは、上記図7に示した投影用画像の大きさにつ
いて考えると、256×256×3×20=3.75M
Byte(=30Mbit)となる。
【0060】図9は、メモリの構成例を示す図である。
図9(a)はR,G,Bの各色成分の画像ごとに1つの
メモリを使用する例を示しており、R,G,Bに対応す
る3つのメモリで1つの投影用画像についての2次元画
像データを記憶する。したがって、図9(a)の場合は
個々のメモリのメモリサイズは小さくてもよいが1シー
ン分の2次元画像データを記憶するために少なくとも6
0個のメモリが必要となる。また、図9(b)は1つの
メモリで構成した例を示しており、図9(c)は2つの
メモリで構成した例を示している。
【0061】表示する立体画像が静止画像であれば、図
9(b)のようにメモリ1つの構成で1シーン全ての投
影用画像群に関する2次元画像データを記憶しておき、
それを順次に繰り返してDMD33に出力することによ
り立体表示することができる。しかしながら、動画像を
表示する場合には、スクリーン38の回転に伴って1シ
ーンとして表示すべき投影用画像の内容が時々刻々と変
化していくため、メモリ内の2次元画像データを順次に
更新していく必要がある。つまり、動画像を扱う場合に
は、2次元画像データの読み出し(表示)と書き込み
(更新)とを並列的に同時に行うことが必要である。こ
のため、図9(b)に示すようなメモリ1つの構成では
記憶された2次元画像データの読み出しと新たな2次元
画像データの書き込みとを同時に行うことができず、動
画像表示に対応することができない。
【0062】一方、図9(a)および(c)に示すよう
に複数のメモリを備える構成の場合は、読み出し対象と
なるメモリと書き込み対象となるメモリとを順次に切り
換えていくようにすれば、2次元画像データの読み出し
と書き込みとを時間的に並行して行うことができ、動画
像表示に対応することができる。
【0063】そこで、図9(a)と(c)とのメモリ構
成を比較した場合、(a)の構成では60個のメモリが
存在するため、装置構成が複雑化するとともに、読み出
し対象となるメモリと書き込み対象となるメモリとを順
次に切り換えていく際のメモリ制御も複雑化するのに対
し、(c)の構成では2つのメモリで読み出し対象と書
き込み対象とを交互に切り換えていけばよいため構成お
よびメモリ制御が比較的簡単になる。このため、この実
施形態では表示対象物の動画像を立体表示することので
きるメモリ構成として図9(c)のメモリ構成を採用し
たものを一例として図8に示している。
【0064】ところが、図9(c)に示すメモリ構成を
採用するにあたってはデータ転送速度の問題を解決する
必要がある。図9(c)の構成の場合は、1シーン分の
256×256×3×20Byteの2次元画像データ
を2つのメモリで分離して記憶する。この場合は、第1
メモリに格納された256×256×3×10Byte
の2次元画像データを読み出してDMD33に供給して
いる間に第2メモリに対して次の256×256×3×
10Byteの2次元画像データを格納しなければなら
ない。既述したようにホストコンピュータ3あるいは記
録メディア4から2次元画像データを転送する際の速度
はメモリからDMD33に対して2次元画像データを供
給する際の速度に比べて低速であるため、一方のメモリ
からの1/2シーン分の2次元画像データを読み出して
いる間に他方のメモリに次の1/2シーン分の2次元画
像データの書き込みが完了しないことも考えられる。こ
のような事態が発生すると、スクリーン38が1回転す
るときの後半部分については投影用画像の投影ができな
くなるのである。
【0065】この問題を解決するために、この実施形態
においては図9(c)に示すメモリ構成を採用するにあ
たって、各メモリの記憶容量を少なくとも1シーン分の
2次元画像データを記憶することができるように構成す
る。例えば、図10に示すようにそれぞれのメモリにつ
いて256×256×3×20Byteのメモリサイズ
を確保し、それぞれのメモリで1シーン分の2次元画像
データを記憶することができるように構成するのであ
る。このような構成を採用することによって、一方のメ
モリからの1シーン分の2次元画像データ(先に入力し
た先行データ群)を読み出している間に他方のメモリに
次の1シーン分の2次元画像データ(先行データ群より
も後に入力される後続データ群)の書き込みが完了して
いない場合には、もう一度繰り返して前回と同じシーン
を表示することができるのである。この結果、投影用画
像がとぎれることなくスクリーン38上に投影され続け
るため、残像効果を維持することができる。
【0066】したがって、この実施形態では図8に示す
メモリ63aとメモリ63bとのそれぞれは、1シーン
分、すなわち、表示対象物の立体画像を表示するのに必
要な投影用画像群の全ての2次元画像データを記憶する
ことができるメモリサイズを有するように構成される。
【0067】図8の説明に戻り、システムコントローラ
64は、投影レンズ系51における像回転補償機構34
の回転動作及びモータ74の動作を制御するスクリーン
コントローラ72に対して駆動指令を与える。また、シ
ステムコントローラ64は白色光源41を駆動するドラ
イバ70の制御や、インタフェース66及びデータ伸張
器65を管理・制御してDMD駆動部60に対する2次
元画像データの供給状況等のDMDコントローラ62へ
の伝達等を行う。
【0068】また、システムコントローラ64は、表示
対象物についての立体表示の形態を隠面消去処理が施さ
れていない半透明像とするか、隠面消去処理を施した表
面のみ視認可能とするかの切り換え制御も行う。隠面消
去処理を施した立体画像を表示する際には、システムコ
ントローラ64がカメラ10から得られる画像に基づい
て立体画像表示装置1に対する観察者の位置する方向を
特定し、それによってスクリーン38の周囲のどの位置
を基準として隠面消去処理が施された立体表示を行うか
を特定する。そして、システムコントローラ64は、特
定された位置を基準として隠面消去処理された投影用画
像に関する2次元画像データをメモリ63a,63bに
格納させるように動作する。この処理の詳細については
後述する。
【0069】さらに、システムコントローラ64はキャ
ラクタジェネレータ69に対して液晶ディスプレイ21
の画面上に適切な文字や記号等を表示させるための指示
を与えるとともに、着脱可能な操作スイッチ22からの
入力情報をも入力することができるように構成されてい
る。操作スイッチ22と立体画像表示装置100とは赤
外線通信を行うように構成されており、立体画像表示装
置100側には赤外線通信用の送受信部75aとドライ
バ75bとを有し、操作スイッチ22側には送受信部7
6aとドライバ76bとを有している。
【0070】なお、2次元画像データに含まれる音声デ
ータは、データ伸張器65の内部に設けられた図示しな
いオーディオデコーダによって復元され、そこで得られ
た音声データはD/A変換器68aとアンプ部68bと
を経由してスピーカ25から出力される。また、電源6
7は図8に示す立体画像表示装置100の各部に対して
電源供給を行う。
【0071】図11は、図8に示した構成のうちのメモ
リの読み出し及び書き込みの制御を行うための要部を抜
き出した図である。上述したようにこの実施形態におい
ては表示対象物の立体像を時々刻々と変化させて表示対
象物に関する動画像を表示させるために2個のメモリ6
3a,63bを設け、一方のメモリへの書き込み動作と
他方のメモリからの読み出し動作とを時間的に並行して
行うような構成とされている。具体的には、DMDコン
トローラ62内におけるメモリ制御部62aが読み出し
対象となるメモリと書き込み対象となるメモリとを切り
換える制御手段として機能し、位置検出器73によって
得られるスクリーン38の回転角度に応じてメモリ63
a及び63bの読み出し動作と書き込み動作とを交互に
切り換える。なお、このメモリ制御部62aと2個のメ
モリ63a,63bが一体となって表示対象物の1シー
ンの全体を複数の投影用画像によって集合的に表現した
2次元画像データ群を入力した際に一時的にバッファす
るバッファ手段として機能する。
【0072】データ伸張器65から供給される2次元画
像データはメモリ63a,63bの双方に供給される
が、2つのメモリのうちのメモリ制御部62aによって
書き込み指令の与えられたメモリのみが指定されたアド
レスから順次2次元画像データを書き込んでいく(又は
更新していく)。その一方で、メモリ制御部62aから
読み出し指令の与えられたメモリは既に格納している複
数の2次元画像データをメモリ制御部62aからの指令
に基づいて順次に出力してDMD33に与える。
【0073】メモリ制御部62aは位置検出器73から
得られる回転角度に基づいてDMD33において投影用
画像の生成を行わせるべく、一方のメモリ63a(又は
63b)に対して読み出しアドレスを指定することによ
って2次元画像データの読み出し動作を制御することに
より、投影用画像の表示を制御する。そして、1シーン
分の投影用画像群の投影を完了したときに、他方のメモ
リ63b(又は63a)に対する次の1シーン分の2次
元画像データの書き込みが終了しているかどうかを調
べ、終了している場合には読み出し対象と書き込み対象
とのメモリを切り換え、終了していない場合には読み出
し対象である一方のメモリ63a(又は63b)から再
度繰り返して同じシーンを投影させるべく、1シーン分
の2次元画像データを順次読み出すように制御する。
【0074】図12はこのようなメモリ63a,63b
における動作の一例を示すタイミング図である。なお、
図12に示す「W」は1シーン分の書き込み動作時間を
示しており、「R」は1シーン分の読み出し動作時間を
示している。上記のように1シーン分の2次元画像デー
タ群を一方のメモリに書き込んでいる間は他方のメモリ
からの読み出し動作を繰り返し行うようにすると、メモ
リ63a,63bのタイミング動作は図12(a)と
(b)との2つのパターンが考えられる。図12(a)
では書き込み対象となっているメモリへの1シーン分の
2次元画像データの書き込みが終了した時点で直ちに書
き込み対象と読み出し対象とのメモリを切り換えるので
はなく、読み出し対象のメモリがその時点で読み出し動
作を行っている1シーン分の2次元画像データを全て読
み出した後の時点で切り換えを行うようなタイミング動
作となっている。一方、図12(b)では書き込み対象
となっているメモリへの1シーン分の2次元画像データ
の書き込みが終了した時点で直ちに書き込み対象と読み
出し対象とのメモリを切り換えるようなタイミング動作
となっている。
【0075】これらいずれのタイミング動作もメモリ制
御部62aによる制御で実現可能であるが、図12
(b)の場合は書き込み対象となっているメモリへの1
シーン分の2次元画像データの書き込みが終了した時点
で直ちに切り換えを行うため、その時点で表示中である
表示対象物の1シーンがとぎれてしまうとともに、シー
ンごとの表示における原点角度がずれてしまうことにな
る。このような不都合は、表示対象物の形状等によって
は特に問題とならないこともあると考えられるが、図1
2(a)のようなタイミング動作を行うように制御すれ
ば予めそのような不都合を回避することができるので好
ましい。
【0076】このような制御を行うメモリ制御部62a
の詳細を機能ブロック図として示すと図13に示すよう
になる。すなわち、位置検出器73から得られる回転角
度に応じたパルス信号をカウンタ81がカウントしてそ
の結果を読み出しアドレス発生部82と切換部84に送
る。読み出しアドレス発生部82では、カウント結果に
基づいてスクリーン38の現在位置に適した断面画像を
特定してその2次元画像データを読み出すための読み出
しアドレスを発生させる。一方、書き込みアドレス発生
部83は、システムコントローラ64から伝達されるデ
ータ伸張器65からの2次元画像データの供給状況に基
づいて供給される2次元画像データの書き込みアドレス
を発生させる。読み出しアドレス発生部82と書き込み
アドレス発生部83とで発生するアドレスはそれぞれ切
換部84に導かれる。そして切換部84はカウンタ81
からの回転角度に基づいて1シーン分の投影用画像群の
投影を完了したと判断したときに他方のメモリに対する
次の1シーン分の2次元画像データの書き込みが終了し
ているかどうかを調べて、終了している場合には読み出
し対象と書き込み対象とのメモリを切り換えて読み出し
アドレスと書き込みアドレスとの送出先を切り換え、終
了していない場合には切り換え動作を行わない。
【0077】このような構成および制御を行うことによ
り、スクリーン38の回転に伴ってスクリーン38上に
投影される投影用画像を更新していくことができ、体積
走査による立体表示において表示対象物の動画像をも表
示することが可能になる。また、読み出し対象となって
いるメモリから1シーン分の投影用画像群に関する2次
元画像データの読み出しが終了したときに、ホストコン
ピュータ3等からの入力又はデータ伸張器65における
伸張処理が未だ終了しておらず、他方のメモリに対する
2次元画像データの書き込み(更新)が完了していない
場合であっても、スクリーン38上に投影される投影用
画像がとぎれることを回避することができ、常に適切な
立体表示を維持することが可能になる。
【0078】次に、投影用画像に関する2次元画像デー
タの生成について説明する。図14は図8のホストコン
ピュータ3における機能構成を示すブロック図である。
ホストコンピュータ3のCPU3aは、立体データ記憶
部91、立体表示条件入力部92、断面画像演算部9
3、隠面処理部94として機能する。そして、表示対象
物の3次元画像データ及び表示対象物の3次元画像デー
タに対して隠面消去処理を施した3次元隠面消去画像デ
ータから、スクリーン38の回転角度に対応させた断面
画像ごとに2次元画像データを導出することで、予め断
面画像および隠面消去画像を生成して、それらの画像デ
ータを立体画像表示装置100側に供給する。
【0079】立体データ記憶部91は表示対象物の3次
元画像データを記憶する。表示対象物の形態が時間的に
変化するような場合、立体データ記憶部91に記憶され
る3次元画像データは表示対象物の動画像についてのデ
ータとなる。一例を挙げると、表示対象物の初期状態か
ら最終状態に至るまでの各形態をそれぞれ1つの3次元
画像データとして立体データ記憶部91に格納すること
によって、表示対象物の動画像に関する3次元画像デー
タを記憶させておくことができる。
【0080】立体表示条件入力部92は表示対象物をど
のような大きさや姿勢で表示するかについての表示条件
等を設定入力するためのものである。
【0081】隠面処理部94は立体データ記憶部91に
記憶されている表示対象物の3次元画像データに対して
隠面消去処理を施して所定の視点を基準として隠面消去
のされた3次元画像データ、すなわち3次元隠面消去画
像データを生成する。
【0082】隠面消去処理を行う際には、表示対象物の
周囲のどの視点を基準として隠面消去を行うかが重要な
要素となる。一方、立体画像表示装置100は回転する
スクリーン38の周囲の任意の位置から表示対象物に関
する立体像を視認することができる。したがって、隠面
処理部94は、図15に示すように表示対象物300を
上方側から見たときの、表示対象物300の外形の中心
位置に原点P0を設定し、その原点P0を中心として所
定角度幅ごとに放射状に分割された複数の領域R1〜R
8を設定する。なお、分割によって生成される領域の数
は任意であるが、この実施の形態では8個の場合を例示
して説明する。図15に示すように、表示対象物300
の中心を基準として放射状に設定された複数の領域R1
〜R8のそれぞれに一つの代表点が設定されている。代
表点は各領域における観察者の視点を仮定するための点
であり、各領域R1〜R8にはそれぞれ代表点P1〜P
8が設定されている。なお、各代表点P1〜P8は、そ
れぞれの領域R1〜R8において原点P0から均等な距
離であって、かつ、原点P0を通って各領域R1〜R8
を等分するような線上に定められる。
【0083】そして、隠面処理部94は、上記のように
設定された各領域R1〜R8のそれぞれについて、代表
点から表示対象物を見たときの隠面を消去するための処
理を行い、3次元隠面消去画像データを生成する。すな
わち、3次元隠面消去画像データは、各領域R1〜R8
のそれぞれについて生成されるのである。
【0084】3次元隠面消去画像データの生成について
説明する。図16は3次元隠面消去画像データを生成す
るための概念を示す図である。なお、図16では、図1
5における領域R5における代表点P5を基準として隠
面消去処理を施す場合について例示している。図16
(a)に示すように、代表点P5から3次元画像データ
で規定される表示対象物に対して多数の仮想線301を
設定する。そして、代表点P5を起点として表示対象物
300に向かって各仮想線301を探索していき、最初
に表示対象物300の表面と交差する点Qを特定する。
この交点Qが代表点P5を視点として表示対象物300
を観察したときに観察者によって視認される点となる。
したがって、このような交点Qの集合を用いて3次元デ
ータを表現すると、3次元画像データのうちの代表点P
5からは見えない部分についてはデータが無効とされた
3次元隠面消去画像データが生成される。なお、仮想線
301の数は多いほど3次元隠面消去画像データの精度
が向上することは明らかである。この結果、図16
(b)に示すように表示対象物300のうち代表点P5
から視認できる部分(実線部分)については有効な3次
元画像データとなり、代表点P5からは視認できない部
分(点線部分)については無効な3次元画像データとな
って、有効な3次元画像データのみで構成された3次元
隠面消去画像データが生成される。
【0085】なお、上記図16においては、領域R5の
代表点P5を例示して説明したが、他の全ての領域につ
いても同様の手順で各代表点を基準とした3次元隠面消
去画像データが生成される。また、動画像の場合は、表
示対象物の初期状態から最終状態に至るまでの各形態の
それぞれについて上記のような隠面消去処理を行い、そ
れぞれの形態について3次元隠面消去画像データが生成
される。
【0086】図14に戻り、断面画像演算部93は立体
データ記憶部91から与えられる3次元画像データ、お
よび、隠面処理部94から与えられる3次元隠面消去画
像データに対して、立体表示条件入力92から得られる
表示条件に基づいて所定の角度刻みごとに表示対象物を
切断した断面画像の2次元画像データを生成する。つま
り、3次元画像データに基づいて2次元画像データを生
成すると、その2次元画像データは隠面消去処理の施さ
れていない表示対象物の断面画像を表現するものである
のに対し、3次元隠面消去画像データに基づいて2次元
画像データを生成すると、その2次元画像データは隠面
消去処理の施された表示対象物の断面画像(隠面消去画
像)を表現するものとなる。
【0087】図17は、断面画像演算部93において行
われる3次元画像データから2次元画像データへの変換
過程を示す図である。まず、図17(a)のような表示
対象物の3次元画像データ(3次元隠面消去画像データ
を含む)に対して、回転表示を行う際の中心軸となる回
転軸を設定する。この状態が図17(b)である。そし
て、3次元画像データを1回転で何分割するかを設定
し、図17(c)に示すように分割数に応じて表示対象
物をほぼ均等な角度ごとの放射面状に切断する。この切
断によって導かれる表示対象物の断面像を画像データと
して表現することにより、図17(d)に示すような所
定角度ごとに切断された表示対象物の断面画像に関する
2次元画像データが生成される。
【0088】図17(d)に示すような1回転する際に
表示対象物の立体画像を表示するのに必要な断面画像群
の全ての2次元画像データが1シーン分の2次元画像デ
ータとなる。この1シーン分の2次元画像データに基づ
いて立体表示を行うことにより、表示対象物がある一つ
の状態にあるときの立体画像を投影することができるの
である。そして、動画像の場合は、断面画像演算部93
において表示対象物の初期状態から最終状態に至るまで
の各形態のそれぞれについて、1シーンを1つのまとま
りとする2次元画像データが複数シーン分順次に導出さ
れていき、それらデータが順次に立体画像表示装置10
0側に供給されていくのである。
【0089】なお、3次元隠面消去画像データに対して
も上記と同様の処理を行うことにより、断面画像におい
て隠面が消去された隠面消去画像に関する2次元画像デ
ータが生成される。
【0090】図18は、上記のようなホストコンピュー
タ3の処理によるデータフローを示す図である。図18
に示すように、ホストコンピュータ3は表示対象物に関
する3次元画像データWDを入力すると、その3次元画
像データWDから複数の領域のそれぞれを基準として隠
面消去処理した3次元画像データHD1,HD2,…,
HD8が生成される。そして断面画像演算部93にて、
3次元画像データWDからは2次元画像データWCが生
成され、隠面消去処理された複数の3次元画像データH
D1〜HD8のそれぞれからは2次元画像データHC
1,HC2,…,HC8が生成される。そして、2次元
画像データWC,HC1,HC2,…,HC8は、それ
ぞれ所定角度ごとに切断された断面画像に関する複数の
2次元画像データを含むことになる。
【0091】なお、導出された2次元画像データは必要
に応じてMPEG2等の方式によりデータ圧縮が行われ
る。
【0092】<4.立体表示における隠面消去表示>次
に、立体画像表示システム1での立体像の隠面消去表示
のための制御機構について説明する。
【0093】既述したように、システムコントローラ6
4には、カメラ10によって得られる画像が入力されて
おり、システムコントローラ64はこの画像に基づいて
観察者の位置を特定する。
【0094】図19は、立体画像表示装置100におけ
る観察者の位置を特定するための概念を示す図である。
図19(a)は部屋5内に観察者がいない状態でカメラ
10が取り込んだ画像G10を示しており、その中央部
分には立体画像表示装置100を上方側から撮像した画
像が含まれる。また、図19(b)は複数の観察者が部
屋5内に存在する状態でカメラ10が取り込んだ画像G
20を示しており、図19(c)はシステムコントロー
ラ64によって生成される観察者特定のための画像G3
0を示している。
【0095】まず、図19(a)に示すようにシステム
コントローラ64は観察者のいない状態で部屋5内を撮
像した画像G10を記憶しておく。そして、システムコ
ントローラ64は、画像G10に対し、3次元隠面消去
画像データを生成するときと同様に、立体画像表示装置
100の中心位置、すなわちスクリーン38の回転軸を
基準にして、その周囲を所定角度幅ごとに放射状に分割
された複数の領域R1〜R8を設定する。この複数の領
域R1〜R8は図15に示した複数の領域と対応するよ
うに設定される。
【0096】そして、観察者Bが部屋5内に存在する状
態で得られた画像G20を入力すると、システムコント
ローラ64は画像G10と画像G20との画像成分の差
分を求めることによって画像G30を生成する。すなわ
ち、画像G30=画像G20−画像G10となる。この
演算によって、部屋5内に存在する固定配置されたもの
については画像G30からは除去されるため、観察者B
の分布状態のみが画像G30の構成要素となる。
【0097】したがって、システムコントローラ64は
画像G30における複数の領域R1〜R8のうちのどの
領域に観察者Bが位置するかを特定することができる。
ただし、複数の観察者Bが存在する場合には、図19
(c)に示すように複数の領域に観察者Bが位置する場
合がある。その場合、システムコントローラ64は複数
の領域R1〜R8のうちのどの領域に観察者が最も多い
かを特定する。このため、図19(c)の場合には、領
域R2が特定されることになる。換言すれば、システム
コントローラ64はスクリーン38の周囲を所定角度幅
で分割して得られた複数の領域R1〜R8のうちからい
ずれか1つの領域を選択するのである。この選択される
領域は、立体像の隠面消去表示を行うための基準となる
視点が含まれる領域である。
【0098】そして、システムコントローラ64は立体
表示における隠面消去表示を行う際に、選択された領域
R2について隠面消去処理の施された2次元画像データ
(2次元隠面消去画像データ)をメモリ63a,63b
に供給するように動作する。
【0099】具体的には、図8に示す記録メディア4に
2次元画像データおよび各領域ごとの2次元隠面消去画
像データが記録されている場合は、システムコントロー
ラ64が記録メディア4から領域R2に関する2次元隠
面消去画像データを読み出すように指令することで、記
録メディア4からデータ伸張器65を介してメモリ63
a,63bに導かれる投影用画像のデータが観察者の位
置に応じて隠面消去処理された2次元隠面消去画像デー
タとなるように制御される。
【0100】一方、ホストコンピュータ3から直接的に
投影用画像に関するデータを入力する場合には、システ
ムコントローラ64はホストコンピュータ3に対し、供
給するデータを領域R2についての2次元隠面消去画像
データとするように指令する。この指令によって、ホス
トコンピュータ3は投影用画像として立体画像表示装置
100に対して供給する画像を領域R2の代表点P2を
基準として生成された隠面消去画像とし、その隠面消去
画像についての2次元隠面消去画像データを供給する。
【0101】ここで、この実施の形態では、隠面消去さ
れた立体表示と隠面消去のされていない立体表示との双
方を行うことができるように構成されており、いずれの
形態で立体表示を行うかは、表示モードの切り換えによ
って行われる。この表示モードの切り換えは、観察者が
操作スイッチ22に対して所定の操作を行うことにより
システムコントローラ64が行う。
【0102】まず、静止画像の場合のモード切り換え制
御について説明する。
【0103】例えば、隠面消去のされていない表示対象
物に関する静止画像を表示しているときの表示モードの
切り換えにおいては、モード切り換え操作が行われたと
きに、システムコントローラ64が記録メディア4等か
ら隠面消去画像についての2次元画像データを読み出し
てメモリ63a(又は63b)に対して供給する。メモ
リ63a,63bのうちの一方には、現在表示中の隠面
消去のされていない2次元画像データが格納されている
ため、メモリ制御部62aは他方のメモリに対して書き
込みアドレスを発生させて記録メディア4等から供給さ
れる隠面消去された2次元画像データの書き込みを制御
する。そして、他方のメモリへの書き込み動作が終了す
ると、メモリ制御部62aが読み出し対象のメモリを隠
面消去された2次元画像データが格納されたメモリに切
り換えることによって、隠面消去された2次元画像デー
タがDMD33に供給されることとなり、隠面消去画像
が投影用画像としてスクリーン38に投影されることに
なる。なお、隠面消去画像の立体表示中に隠面消去され
ていない立体表示に表示モードを切り換える制御動作も
上記と同様にして行うことができる。
【0104】次に、動画像の場合のモード切り換え制御
について説明する。
【0105】例えば、隠面消去のされていない表示対象
物に関する動画像の表示中は、記録メディア4等からメ
モリ63a,63bに対して順次に連続するシーンの2
次元画像データが供給され続けている。そして、モード
切り換え操作が行われると、システムコントローラ64
は、記録メディア4等からの読み出し対象となる2次元
画像データを隠面消去されていない断面画像から隠面消
去画像に切り換える。このとき、動画像表示がn番目
(nは任意の数)のシーンまで進んでいるときには、隠
面消去画像の動画像は(n+1)番目のシーンから読み
出しが行われる。こうすることによって、一連の動画像
の再生の途中における表示モードの切り換えが良好に行
えることになる。具体的には、隠面消去されていない動
画像の立体表示中においてメモリ63a,63bに対し
て連続するシーンが順次に与えられており、書き込み対
象となるメモリと読み出し対象となるメモリが図12に
示したように順次に切り換えられている。そして、例え
ば、メモリ63aに対してn番目のシーンの隠面消去さ
れていない2次元画像データが書き込まれているとき
に、モード切り換え操作が行われると、次にメモリ63
bには(n+1)番目のシーンの隠面消去画像に関する
2次元画像データが書き込まれていくのである。このよ
うに制御することによって、隠面消去された動画像に関
する2次元画像データがDMD33に供給されることと
なり、隠面消去画像が投影用画像としてスクリーン38
に投影されることになる。なお、隠面消去画像の立体表
示中に隠面消去されていない立体表示に表示モードを切
り換える制御動作も上記と同様にして行うことができ
る。
【0106】このようにこの実施の形態では、隠面消去
された立体表示と隠面消去されていない立体表示とを表
示モードの切り換えによって選択的に行うことが可能と
なっている。一般に、隠面消去された立体像は既述のよ
うに表面のみ視認可能となるため、表示対象物の外観形
象を立体表示するような場合に適しているのに対し、隠
面消去されていない立体像は既述のように半透明像とな
るため、表示対象物の内部構造等を把握するための立体
表示に適している。したがって、この実施の形態のよう
に表示モードの切り換えを行うことができるように構成
することによって、観察者が所望の表示形態を選択する
ことが可能である。
【0107】<5.投影用画像の補正>次に、投影用画
像の補正の必要性について説明する。投影用画像を補正
することが必要な点として、2つの点がある。第1に
は、スクリーン38への投影用画像の投影においてスク
リーン38の上方と下方との間での光路長の相違による
投影用画像のひずみを補正することである。第2には、
スクリーン38を180゜回転させた時点で1回の体積
走査が完了するようにした場合に、スクリーン38の投
影面が観察者に対して前面側にあるときと裏面側にある
ときとで、投影する投影用画像を左右反転させることで
ある。
【0108】まず、第1の投影用画像の補正について説
明する。立体画像表示装置100においては立体像の観
察に際して観察者の視線を防げないために、図5に示す
ように、投影ミラー37はスクリーン38の正面よりも
斜め下方にずらした位置に配置されている。従ってスク
リーン38の上方と下方とで光路長が異なり、スクリー
ン38の下方に比べて上方では断面像が相対的に大きく
拡大されて投影されることになる。この状態では立体像
がいびつになるので、投影用画像のスケールの差違を補
正する必要がある。
【0109】投影用画像の補正方法の一例としては、D
MD33で生成される投影用画像に、予め像の上方と下
方とでスケールに差を与える補正を施す方法がある。具
体的には、実際に投影したい投影用画像G3が図20
(a)に示すような矩形環状であるとき、DMD33で
生成される投影用画像G4は、図20(b)に示すよう
に下方に比べ上方でスケールを縮小した台形環状の像と
なるようにDMD33に与える2次元画像データを補正
しておく。この補正を行う補正手段としては、ホストコ
ンピュータ3側で2次元画像データを生成する際に下方
に比べて上方のスケールを縮小するようにしてホストコ
ンピュータ3自体を補正手段としてもよく、また図8に
示すデータ伸張器65において伸張を行う際に補正する
ようにしてデータ伸張器65を補正手段としてもよく、
さらにはデータ伸張器65の後段側に上記のようは補正
を行う補正手段を単体で設けてもよい。なお、スケール
の縮小率は、スクリーン38への投影の際の拡大係率を
打ち消すように設定することが好ましいため、補正手段
は立体画像表示装置100側に設けることが好ましい。
【0110】また、投影用画像の補正方法の他の例とし
ては、例えば、光軸に対して非対称な屈折特性を有する
レンズ系(上方側には倍率が小さく、下方側には倍率が
大きくなるレンズ系)を投影光学系に配置する方法があ
る。この場合、当該レンズ系は、投影ミラー36と投影
ミラー37の間、投影ミラー37とスクリーン38との
間、DMD33と像回転補償機構の間に配設することが
できる。
【0111】また、投影ミラー36と投影ミラー37の
いずれかを上方側に投影される光に対しては像を縮小
し、下方側に投影される光に対しては像を拡大するよう
な複数の曲率を有する曲面ミラーにする方法を採用して
も良い。なお、投影ミラー36と投影ミラー37をとも
に曲面ミラーにして、最終的にスクリーン38に投影す
る際に、上方側に投影される光に対しては像を縮小し、
下方側に投影される光に対しては像を拡大するようにし
ても良い。
【0112】次に、第2の投影用画像の補正について説
明する。スクリーン38が360°回転する際に投影す
る投影用画像群の全ての2次元画像データをメモリ63
a,63bに格納し、スクリーン38の360°回転を
1回の体積走査とする場合はスクリーン38の投影面が
観察者に対して前面側と裏面側のいずれにあるときでも
適切な投影用画像の投影を行うことができる。
【0113】しかしながら、スクリーン38が180°
回転する際に投影する投影用画像群の2次元画像データ
をメモリ63a,63bに格納し、スクリーン38の1
80°回転を1回の体積走査とする場合はスクリーン3
8上に非回転対称の立体像を投影する際には投影面が前
面側にあるときと裏面側にあるときとで投影用画像を左
右反転させることが必要になる。なぜなら、例えば表示
対象物としてコーヒーカップの立体像を表示させようと
して左右反転を行わない場合には表示対象物のコーヒー
カップには取っ手部分が1つしかないにもかかわらず、
立体表示される表示像には回転軸に対して対称な位置関
係に2つの取っ手部分が表示されることになるからであ
る。
【0114】この左右反転を行う方法の一例として、メ
モリ63a,63bからDMD33に対して2次元画像
データを供給する際におけるメモリ63a,63bの読
み出しアドレスをスクリーン38の回転角度に応じて切
り換える方法がある。この方法では、スクリーン38が
180°回転するごとに投影用画像を反転させるため
に、投影用画像における水平方向についてのデータ読み
出し順序を切り換えるだけでよく、投影用画像の垂直方
向については変更する必要がない。
【0115】例えば、投影用画像の大きさが図7に示し
たような256画素(水平方向)×256画素(垂直方
向)である場合、各メモリ63a,63bから2次元画
像データを読み出す際の水平アドレスは8ビットとな
り、水平方向の0番目〜255番目までの画素を指定す
ることができる。そして、図11に示したメモリ制御部
62aが位置検出器73から得られるスクリーン38の
回転角度に応じてメモリ63a,63bからDMD33
に与える2次元画像データの水平方向の読み出し順序を
切り換える。
【0116】図21は、スクリーン38の回転角度θに
応じてメモリ63a,63bからの読み出し順序を示す
図である。図21に示すように、メモリ63a,63b
にはスクリーン38が180°回転する際に投影する投
影用画像群としてn枚分の2次元画像データが格納され
る。そして図21(a)に示すようにスクリーン38の
回転角度θが0°≦θ<180°の範囲内である場合に
は、n枚分の2次元画像データはそれぞれ水平方向の右
方向に順次1画素ずつの画像データD0、D1、D2、
…、D255が読み出されてDMD33に供給される。
これに対し、図21(b)に示すようにスクリーン38
の回転角度θが180°≦θ<360°の範囲内である
場合には、n枚分の2次元画像データはそれぞれ水平方
向の左方向に順次1画素ずつの画像データD255、D
254、D253、…、D0が読み出されてDMD33
に供給される。
【0117】つまり、スクリーン38の回転角度θが0
°≦θ<180°の範囲内である場合には第1の読み出
しモードとして2次元画像データのそれぞれの画像デー
タを回転軸Zに直交する水平方向の右方向に順次読み出
していくのに対し、スクリーン38の回転角度θが18
0°≦θ<360°の範囲内である場合には第2の読み
出しモードとして2次元画像データのそれぞれの画像デ
ータを回転軸Zに直交する水平方向の左方向に順次読み
出していくのである。
【0118】このような読み出し順序を切り換えるため
の制御機構の一例を図22に示す。図22には図13に
示した読み出しアドレス発生部82の詳細構成を示して
いる。図22に示すように読み出しアドレス発生部82
は第1アドレス発生部82aと第2アドレス発生部82
bとアドレス選択部82cとを備える。第1アドレス発
生部82aはスクリーン38の回転角度θが0°≦θ<
180°の範囲内にあるときの読み出しアドレスを発生
し、第2アドレス発生部82bはスクリーン38の回転
角度θが180°≦θ<360°の範囲内にあるときの
読み出しアドレス(すなわち第1アドレス発生部82a
で発生される水平方向の読み出し順序を逆順序に設定し
た読み出しアドレス)を発生する。第1アドレス発生部
82aおよび第2アドレス発生部82bは双方ともカウ
ンタ81から得られるカウント結果に基づいてスクリー
ン38の現在位置に適した投影用画像を特定してその2
次元画像データを読み出すための読み出しアドレスを常
時発生させる。
【0119】図23はこれらのアドレス発生部82a,
82bで発生される8ビットの水平アドレス信号の一例
を示す図である。図23において、(a)は第1アドレ
ス発生部82aで発生されるアドレス信号を示してお
り、(b)は第2アドレス発生部82bで発生されるア
ドレス信号を示している。なお、図23(a),(b)
においてA0〜A7はビット単位ごとの信号を示してい
る。
【0120】図23に示すように、スクリーン38の回
転角度が0°≦θ<180°の範囲内にあるときと18
0°≦θ<360°の範囲内にあるときとでは各ビット
信号A0〜A7はレベル反転した関係にある。この結
果、0°≦θ<180°の範囲内にあるときには図21
(a)に示した順序で1画素ごとのデータが読み出され
ていき、180°≦θ<360°の範囲内にあるときに
は図21(b)に示した順序で1画素ごとのデータが読
み出されていく。なお、図23に示すように2次元画像
データの2ライン目以降についても1ライン目と同様の
読み出し手順(方向)で読み出しアドレスを設定する。
【0121】このようにして第1アドレス発生部82a
と第2アドレス発生部82bとの双方で発生された読み
出しアドレスはアドレス選択部82cに導かれる。アド
レス選択部82cではカウンタ81から得られる回転角
度θが0°≦θ<180°の範囲と180°≦θ<36
0°の範囲とのいずれの範囲内にあるかを調べ、0°≦
θ<180°の範囲内にある場合には第1アドレス発生
部82aで発生されたアドレス信号(図23(a)参
照)を上述した切換部84に供給し、また、180°≦
θ<360°の範囲内にある場合には第2アドレス発生
部82bで発生されたアドレス信号(図23(b)参
照)を上述した切換部84に供給する。
【0122】以上のような構成を採用することにより、
メモリ63a又は63bから2次元画像データを読み出
す際に投影用画像の水平方向に相当する読み出し順序を
スクリーン38の回転角度に応じて反転させる(切り換
える)ことが可能になる。この結果、DMD33に与え
られる2次元画像データはスクリーン38の180°回
転ごとに左右の反転されたデータとなり、スクリーン3
8上に投影される投影用画像も180°回転ごとに左右
反転が行われる。そして、スクリーン38の180°回
転を1回の体積走査とする場合における投影用画像の左
右反転を実現することが可能になり、投影用画像の補正
が良好に行えるのである。
【0123】<6.立体画像表示装置100における処
理手順の概要>次に、立体画像表示装置100において
実際に立体画像を表示する際の処理手順の概要について
説明する。図24ないし図26はこの処理手順を示すフ
ローチャートであり、特に図25は隠面消去されていな
い静止画像の表示から隠面消去表示に表示モードを切り
換える処理に関するフローチャートであり、図26は隠
面消去されていない動画像の表示から隠面消去表示に表
示モードを切り換える処理に関するフローチャートであ
る。
【0124】図24のフローチャートにおいて、まず初
期設定が行われる(ステップS1)。この初期設定の内
容には電源の安定化や各種処理条件に関するパラメータ
の初期化等が含まれる。
【0125】そしてステップS2に進み、観察者(操作
者)は操作スイッチ22からデータファイルの選択のた
めの入力を行う。例えば、図8の構成において2次元画
像データが記録メディア4内に格納されている場合に
は、その2次元画像データに関するファイル名等が液晶
ディスプレイ21上に表示され、観察者はこの液晶ディ
スプレイ21の表示内容を視認しながら所望するデータ
ファイルの選択を行う。また、2次元画像データがホス
トコンピュータ3側に格納されている場合には、システ
ムコントローラ64の指令の下に立体画像表示装置10
0とホストコンピュータ3との間でデータ通信が行わ
れ、ホストコンピュータ3において格納されている2次
元画像データに関するファイル名等が液晶ディスプレイ
21上に表示される。その結果、観察者はこの液晶ディ
スプレイ21の表示内容を視認しながら所望するデータ
ファイルの選択を行う。
【0126】そして、データファイルの選択が行われる
とステップS3に進み、ステップS2で選択されたデー
タファイルのヘッダファイルの入力が行われる。すなわ
ち、システムコントローラ64が記録メディア4又はホ
ストコンピュータ3からヘッダファイルを取得する。こ
のヘッダファイルには、投影用画像の大きさ、すなわち
投影用画像の水平方向および垂直方向がそれぞれ何画素
で構成されているかという情報、1シーンを構成する投
影用画像の数、1回の体積走査が180°回転とするか
360°回転とするかという情報、動画像の場合におけ
るシーン数、2次元画像データが静止画像形式であるか
動画像形式であるかを示すデータ形式、隠面消去処理が
施されているか否か等の立体表示のために必要な各種情
報が含まれている。
【0127】そしてステップS4に進み、システムコン
トローラ64はヘッダファイルからデータ形式を識別
し、表示すべき立体像が静止画像であるのか動画像であ
るのかを識別する。そして上記各種情報を各部に伝達し
て立体表示の準備段階に入る。
【0128】その後、操作スイッチ22からの入力待機
状態となり(ステップS5)、観察者からの表示開始指
示(すなわちスタートボタン222の操作)があった場
合にはステップS6に進み、表示開始指示がない場合に
はステップS2に戻る。なお、観察者は静止画像につい
ての表示開始指示を入力する場合にはその静止画像の表
示時間の設定をも行うものとする。
【0129】ステップS6では、ステップS4で識別し
たデータ形式が静止画像であるか動画像であるかを判断
し、静止画像である場合はステップS7に進んで静止画
像を表示するための処理を行い、動画像である場合はス
テップS8に進んで動画像を表示するための処理を行
う。
【0130】ここで、静止画像表示処理中(ステップS
7)において観察者より表示モード切り換えの操作があ
った場合には、割り込み処理(ステップS10)が作用
して、図25のフローチャートに示す処理が開始され
る。
【0131】図25に示すように、静止画像隠面消去表
示モードに入ると、まず、システムコントローラ64が
カメラ10から得られる画像に基づいて観察者が立体画
像表示装置100の周囲のどの位置にいるかを特定する
(ステップS11)。そしてステップS12に進み、シ
ステムコントローラ64は特定された観察者の位置に応
じて装置の周囲を分割した複数の領域R1〜R8のうち
から1つの領域を選択する。次に、システムコントロー
ラ64は選択された領域についての隠面消去画像を投影
用画像としてスクリーン38に投影するように制御する
ことで、観察者の位置から見て隠面消去された立体像を
表示する(ステップS13)。そしてステップS14に
おいてシステムコントローラ64は観察者より立体表示
を終了させるための操作入力があったか否かを判断し、
操作入力がない場合には上記ステップS11〜S13の
処理を繰り返し行う。つまり、継続して隠面消去された
静止画像の立体表示を行う際には、システムコントロー
ラ64が所定の時間ごとに観察者の位置を特定するよう
になっている。したがって、隠面消去された立体像の表
示中に観察者が移動した場合であっても、観察者の移動
に伴って、異なる視点を基準として隠面消去された立体
像を表示することが可能になっている。なお、既述のよ
うに隠面消去された隠面消去画像に関する2次元画像デ
ータはホストコンピュータ3にて予め生成されているた
め、基準となる視点の切り換えを比較的短時間で行うこ
とができるので、観察者の移動に応じてリアルタイムで
隠面消去された立体表示を行うことが可能になる。
【0132】また、動画像表示処理中(ステップS8)
において観察者より表示モード切り換えの操作があった
場合にも、割り込み処理(ステップS20)が作用し
て、図26のフローチャートに示す処理が開始される。
【0133】図26に示すように、動画像隠面消去表示
モードに入ると、まず、システムコントローラ64がカ
メラ10から得られる画像に基づいて観察者が立体画像
表示装置100の周囲のどの位置にいるかを特定する
(ステップS21)。そしてステップS22に進み、シ
ステムコントローラ64は特定された観察者の位置に応
じて装置の周囲を分割した複数の領域R1〜R8のうち
から1つの領域を選択する。次に、システムコントロー
ラ64は選択された領域についての隠面消去画像を投影
用画像として順次にスクリーン38に投影するように制
御することで、観察者の位置から見て隠面消去された立
体像を表示する(ステップS23)。このとき、割り込
み処理が作用するまでに既に投影されたシーン番号を取
得し、それ以降のシーンに関する隠面消去画像を投影す
ることによって動画像の連続的な表示を継続させる。そ
してステップS14に進み、システムコントローラ64
は動画像を構成する全てのシーンの投影が終了したか否
かを判断し、終了していない場合には上記ステップS2
1〜S23の処理を繰り返し行う。つまり、静止画像の
場合と同様に、隠面消去された動画像の立体表示を行う
際には、システムコントローラ64が所定の時間ごとに
観察者の位置を特定するようになっている。したがっ
て、隠面消去された立体像の表示中に観察者が移動した
場合であっても、観察者の移動に伴って、異なる視点を
基準として隠面消去された立体像を表示することが可能
になっている。なお、動画像の場合でも、隠面消去され
た隠面消去画像に関する2次元画像データはホストコン
ピュータ3にて予め生成されているため、基準となる視
点の切り換えを比較的短時間で行うことができるので、
観察者の移動に応じてリアルタイムで隠面消去された立
体表示を行うことが可能になる。
【0134】<7.特徴的作用効果>以上説明したよう
に、この実施形態における立体画像表示装置100にお
いては、スクリーン38の周囲を所定角度幅で分割して
得られた複数の領域R1〜R8のうちからいずれか1つ
の領域を選択し、その選択された領域内の代表点を基準
として表示対象物に関する画像に隠面消去処理を施して
得られた隠面消去画像を投影用画像としてスクリーン3
8に投影するように構成されている。したがって、スク
リーン38周囲の任意の方向に対して隠面消去処理の施
された立体画像の表示を行うことが可能となっている。
また、各領域は所定角度幅を有するように構成されてい
るため、同一の角度範囲内に対応する隠面消去画像は同
一画像を用いることができ、立体画像表示装置にて取り
扱うデータ量を低減することができる。また、その角度
幅で同一の隠面消去画像を用いることにより、不必要な
隠面消去画像の切り換えを行う必要がなく、立体表示の
際のちらつき等を防止することも可能である。
【0135】また、1つの領域を選択する際に、立体画
像を観察する観察者の位置する方向を特定し、その特定
された観察者の位置が含まれる領域を選択するように構
成されているので、観察者の位置に応じて隠面消去され
た立体画像を表示することが可能となっており、観察者
の視点位置との整合性を図ることができる。
【0136】また、観察者の位置を所定時間ごとに特定
することで、立体表示中に観察者が移動した場合であっ
ても、その移動に応じてリアルタイムで、隠面消去され
た立体画像の表示状態を変更することが可能になる。
【0137】また、立体画像の表示に先立って、隠面消
去画像を、複数の領域のそれぞれについて予め生成して
おくようにすることで、立体表示中の表示モードの切り
換え処理を短時間で行うことが可能になっている。
【0138】<8.変形例>以上、この発明に係る立体
画像表示装置および立体画像表示システムについての一
実施形態を詳細に説明したが、この発明は上記説明した
ものに限定されるものではない。
【0139】例えば、上記実施の形態においては、主と
して所定の回転軸Zを中心に回転するスクリーン上に投
影用画像を投影することによって表示対象物の立体像を
表示する形態について説明したが、この発明はこれに限
定されるものではなく、スクリーンの投影面に対して垂
直な方向に直進移動するような体積走査であってもよ
い。つまり、スクリーンが3次元的な所定空間内を周期
的に走査するものであればよいのである。
【0140】また、上記実施の形態においては、観察者
の位置を特定するための方法として、立体画像表示装置
100の上方位置にカメラ10を設置し、このカメラ1
0から得られる画像に対して所定の画像処理を行うこと
によって観察者の位置を特定する形態について説明した
が、他の形態を採用してもよい。以下に、立体画像を観
察する観察者の位置を特定するためのいくつかの変形例
について説明する。
【0141】まず、第1には、立体画像表示装置の周囲
に複数のカメラを配置することで装置周囲の観察者を検
出することができるため、それによって観察者の位置を
特定することができる。図27は、このような立体画像
表示装置100aを示す図である。なお、(a)は斜視
図であり、(b)は上方側から見た図である。図27
(a)に示すように立体画像表示装置100aのハウジ
ングの側面部にほぼ等間隔で複数のカメラ10a,10
b,10c,10d,…を配置する。なお、図27にお
いては側面部の全周にカメラ10a〜10hが8台設置
される場合を例示している。各カメラは、図27(b)
に示すように立体画像表示装置100aの周囲を所定角
度幅で分割して得られた複数の領域R1〜R8のうちの
1つの領域を撮影するように設置されている。そして、
各カメラの撮影した画像をシステムコントローラ64に
入力すれば、観察者の位置を特定することが可能にな
る。
【0142】例えば、図27の立体画像表示装置100
aで、図19(b)に示すように観察者Bが分布する状
態を撮影すると、各カメラで得られる画像は図28に示
すようになる。図28(a)〜(h)に示すような各画
像に対して周知の画像認識処理等を施せば、いずれの画
像に観察者が最も多く含まれているかを容易に判定する
ことができ、観察者の位置を特定することが可能にな
る。
【0143】次に、第2には、立体画像表示装置周囲の
観察者を光ビームや赤外線等を用いて検出し、それによ
って観察者の位置を特定することもできる。例えば、図
27に示した複数のカメラ10a〜10hの代わりに、
立体画像表示装置の側面部に複数の光センサを設置する
のである。そして、各光センサから放射状に光ビームや
赤外線光等を投射すれば、その光路上に観察者が位置す
る場合に反射光を検出することができる。したがって、
複数の光センサのうち反射光を検出した光センサに対向
する位置に観察者が位置すると判定することができ、観
察者の位置を特定することが可能になる。また、光セン
サ以外に熱センサ等を用いても同様に観察者の位置を特
定することが可能になる。このようにセンサからの出力
を用いて観察者の位置を特定するように構成すれば、画
像処理を行う場合に比べて比較的高速に特定を行うこと
ができる。
【0144】さらに、第3には、観察者が所定の操作を
行うことにより、立体画像表示装置にその位置を特定さ
せることもできる。例えば、上述の操作スイッチ22は
着脱可能でありリモート操作が可能なようになっている
ため、立体画像表示装置100の全周に操作スイッチ2
2との送受信部を設けておき、周囲のどの位置から操作
スイッチ22に対する操作が行われたかを判定すること
によって観察者の位置を特定することもできる。また、
立体画像表示装置100の全周に観察者が直接操作する
スイッチを複数個ほぼ等間隔で設置しておき、観察者の
操作したスイッチの位置を特定することによって観察者
の位置を特定するようにしてもよい。
【0145】このように、上記のいずれを採用しても立
体画像表示装置のシステムコントローラ64において観
察者の位置を特定することが可能であるため、観察者を
検出するための構成(検出手段等)は上記のうちのいず
れを採用してもよい。また、立体画像表示装置の周囲に
おいて、観察者の位置が特定できれば十分であるため、
上記以外の他の形態を採用してもよいことは明らかであ
る。
【0146】また、上記実施の形態においては、スクリ
ーンの周囲を所定角度幅で分割して得られた複数の領域
から1つの領域を選択して、その領域に対して予め生成
された隠面消去画像を投影する場合について説明した
が、ホストコンピュータ3において2次元画像データを
生成する際の負荷を低減するためには、観察者の位置が
特定された際にその特定された位置を基準に隠面消去処
理のされた隠面消去画像を生成するようにしてもよい。
この場合、立体表示の切り換えには時間がかかることと
なるが、観察者の位置に応じて任意の方向に対する隠面
消去表示を行うことは可能である。
【0147】なお、上記実施の形態においては、スクリ
ーン38の材質については特に言及しなかったが、スク
リーン38の材質を工夫することで立体画像が表示され
ているデューティー比を倍増させることができる。
【0148】すなわち、スクリーン38を180゜回転
させることで体積走査が完了するが、スクリーン38が
不透明な材質で構成されている場合、投影用画像が投影
されているスクリーンの投影面が観察者から見て裏面側
(反対側)に向いている間は投影用画像を視認すること
ができない。従って、立体画像が表示されているデュー
ティー比は1/2となる。このため、体積走査終了後、
観察者の眼に残像があるうちにさらにスクリーン38を
回転させて、結果的に360゜回転させる必要がある。
【0149】しかし、スクリーン38の材質として、投
影用画像が投影側から十分に視認できるだけの拡散反射
性能を有すると同時に、その像をスクリーン38の裏側
の方向からも視認できるような光透過性を有する材質を
採用することで、スクリーン38の表裏両方から投影像
を視認することが可能となる。したがって、スクリーン
38の角度にかかわらず投影用画像を視認することがで
き、立体画像表示のデューティー比は1となる。このた
め、残像効果を維持できる時間内にスクリーン38を回
転させなければならない角度は180゜で済む。これに
より、スクリーン38の回転数を1/2に抑えることが
可能となり、その分だけ投影用画像の角度刻みを細かく
でき、投影用画像の数を増して表示される立体画像の品
位を向上させることができる。
【0150】スクリーン38の材質としては、例えば、
すりガラスや、透明樹脂板の表面をすりガラス状に加工
して白く曇らせたものや、薄い紙などのように半透明の
材質を利用すれば良い。
【0151】
【発明の効果】本発明に係る請求項1に記載の立体画像
表示装置によれば、スクリーンの周囲を所定角度幅で分
割して得られた複数の領域のうちからいずれか1つの領
域を選択し、その選択された領域内の代表点を基準とし
て表示対象物に関する画像に隠面消去処理を施して得ら
れた隠面消去画像を投影用画像としてスクリーンに投影
するように構成されているため、スクリーンの周囲の任
意の方向に対して隠面消去処理の施された立体画像の表
示を行うことが可能である。
【0152】請求項2に記載の立体画像表示装置によれ
ば、選択手段が立体画像を観察する観察者の位置する方
向を特定する手段を備えており、複数の領域のうちか
ら、特定された観察者の位置が含まれる領域を選択する
ように構成されているため、観察者の位置に応じて隠面
消去された立体画像を表示することが可能である。
【0153】請求項3に記載の立体画像表示装置によれ
ば、観察者の位置を所定時間ごとに繰り返して特定する
ため、観察者の移動に応じて隠面消去された立体画像の
表示を行うことができる。
【0154】請求項4に記載の立体画像表示装置によれ
ば、隠面消去画像は、立体画像の表示に先立って、複数
の領域のそれぞれについて予め生成されているため、隠
面消去表示の切り換え処理を短時間で行うことが可能で
ある。
【0155】請求項5に記載の立体画像表示装置によれ
ば、立体画像を観察する観察者の位置する方向を特定
し、その特定された観察者の位置を基準として表示対象
物に関する画像に隠面消去処理を施して得られた隠面消
去画像をスクリーンに投影するように構成されているた
め、観察者の位置に応じてスクリーンの周囲の任意の方
向に対して隠面消去処理の施された立体画像の表示を行
うことが可能である。
【0156】請求項6に記載の立体画像表示システムに
よれば、スクリーンの任意の方向に対して隠面消去処理
の施された立体画像の表示を瞬時に行うことが可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る立体画像表示シス
テムの全体的な構成を示す図である。
【図2】カメラと立体画像表示装置との設置関係の一例
を示す図である。
【図3】立体画像表示装置の概観を示す図である。
【図4】着脱可能な操作スイッチの拡大図である。
【図5】立体画像表示装置における光学系を含む構成を
示す図である。
【図6】スクリーンおよび回転部材の斜視概観図であ
る。
【図7】スクリーンに投影される投影用画像の大きさ
(解像度)を示す図である。
【図8】立体画像表示システムの機能構成を示すブロッ
ク図である。
【図9】メモリの構成例を示す図である。
【図10】この発明の実施の形態におけるメモリの構成
例を示す図である。
【図11】図8に示した構成のうちのメモリの読み出し
及び書き込みの制御を行うための要部を抜き出した図で
ある。
【図12】メモリの切り換えタイミングを示す図であ
る。
【図13】メモリ制御部の詳細を示すブロック図であ
る。
【図14】ホストコンピュータにおける機能構成を示す
ブロック図である。
【図15】領域分割および代表点の概念を示す図であ
る。
【図16】3次元隠面消去画像データを生成するための
概念を示す図である。
【図17】3次元画像データから2次元画像データへの
変換過程を示す図である。
【図18】ホストコンピュータの処理によるデータフロ
ーを示す図である。
【図19】立体画像表示装置における観察者の位置を特
定するための概念を示す図である。
【図20】投影用画像の補正の一例を示す図である。
【図21】スクリーンの回転角度θに応じたメモリから
の読み出し順序を示す図である。
【図22】2次元画像データの読み出し順序を切り換え
るための制御機構の一例を示す図である。
【図23】アドレス発生部で発生される8ビットの水平
アドレス信号の一例を示す図である。
【図24】立体画像表示装置において実際に立体画像を
表示する際の処理手順を示すフローチャートである。
【図25】隠面消去されていない静止画像の表示から隠
面消去表示に表示モードを切り換える処理に関するフロ
ーチャートである。
【図26】隠面消去されていない動画像の表示から隠面
消去表示に表示モードを切り換える処理に関するフロー
チャートである。
【図27】立体画像表示装置の周囲に複数のカメラを配
置した例を示す図である。
【図28】図27の立体画像表示装置の複数のカメラか
ら得られる画像の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 立体画像表示システム 3 ホストコンピュータ 10 カメラ 33 DMD(ディジタル・マイクロミラー・デバイ
ス) 38 スクリーン 62 DMDコントローラ 62a メモリ制御部 63a,63b メモリ 64 システムコントローラ 91 立体画像データ記憶部 93 断面画像演算部 94 隠面処理部 100,100a 立体画像表示装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮崎 誠 大阪府大阪市中央区安土町二丁目3番13号 大阪国際ビル ミノルタ株式会社内 Fターム(参考) 5C061 AA06 AA29 AB08 AB12 AB14 AB16 AB17 AB24 5C082 AA27 BA20 BA34 BA35 BA46 BB15 BB26 CB01 MM05 MM10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定空間を周期的に走査するスクリーン
    に対して表示対象物から得られる投影用画像を投影する
    ことによって、残像効果を生じさせて前記表示対象物の
    立体画像を表示する立体画像表示装置であって、 前記スクリーンの周囲を所定角度幅で分割して得られた
    複数の領域のうちからいずれか1つの領域を選択する選
    択手段と、 選択された前記領域内の代表点を基準として前記表示対
    象物に関する画像に隠面消去処理を施して得られた隠面
    消去画像を前記投影用画像として前記スクリーンに投影
    する手段と、を備えることを特徴とする立体画像表示装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の立体画像表示装置にお
    いて、 前記選択手段は、 前記立体画像を観察する観察者の位置する方向を特定す
    る手段を備え、 前記複数の領域のうちから、特定された前記観察者の位
    置が含まれる領域を選択することを特徴とする立体画像
    表示装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の立体画像表示装置にお
    いて、 前記選択手段は、所定時間ごとに繰り返し前記観察者の
    位置を特定することを特徴とする立体画像表示装置。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれかに記
    載の立体画像表示装置において、 前記隠面消去画像は、前記立体画像の表示に先立って、
    前記複数の領域のそれぞれについて予め生成されている
    ことを特徴とする立体画像表示装置。
  5. 【請求項5】 所定空間を周期的に走査するスクリーン
    に対して表示対象物から得られる投影用画像を投影する
    ことによって、残像効果を生じさせて前記表示対象物の
    立体画像を表示する立体画像表示装置であって、 前記立体画像を観察する観察者の位置する方向を特定す
    る手段と、 特定された前記観察者の位置を基準として前記表示対象
    物に関する画像に隠面消去処理を施して得られた隠面消
    去画像を前記スクリーンに投影する手段と、を備えるこ
    とを特徴とする立体画像表示装置。
  6. 【請求項6】 立体画像表示システムであって、 表示対象物の3次元画像を供給する手段と、 前記3次元画像に基づいて、前記表示対象物の周囲を所
    定角度ごとに分割して得られる複数の領域のそれぞれに
    対して所定の代表点を設定し、該代表点を基準として隠
    面消去処理を施した3次元隠面消去画像を複数生成する
    手段と、 前記複数の3次元隠面消去画像のそれぞれを複数の面で
    切断した隠面消去画像を生成する手段と、 前記複数の領域のうちから1の領域を選択し、選択され
    た領域に対応付けられる前記隠面消去画像を、所定空間
    を周期的に走査するスクリーンに対して順次に投影する
    ことで前記表示対象物に関する隠面消去処理の施された
    立体画像を表示する立体画像表示装置と、を備えること
    を特徴とする立体画像表示システム。
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