明 細 書
工作機械用主軸バランサ
技術分野
[0001] 本発明は、ガススプリングにより主軸ユニットを上方へ引っ張り付勢して、主軸ュニ ットを昇降駆動する昇降駆動手段の負荷を軽減可能な工作機械用主軸バランサに 関する。
背景技術
[0002] 従来、マシニングセンタ等の工作機械には、工具を装着する為の主軸とこの主軸を 回転駆動する電動モータとを有する主軸ユニットが設けられ、この主軸ユニットが昇 降駆動機構により支持されて昇降駆動される。この種の昇降駆動機構は、通常、鉛 直のボールネジシャフトと、このボールネジシャフトに螺合されて主軸ユニットに連結 されたボールネジナットと、電動モータとを有し、電動モータでボールネジシャフトを 回転駆動することにより、ボールネジナットと共に主軸ユニットを昇降駆動するように 構成されている。
[0003] しかし、この種の工作機械では、昇降駆動機構により重量が重い主軸ユニットを支 持して昇降駆動しなければならないため、昇降駆動機構の負荷が大きくなる。従って 、主軸ユニットの上下方向の位置精度が低下する虞があること、主軸ユニットの昇降 速度の一層の高速化を実現するのが難しいこと、昇降駆動機構が大型化し製作コス トが高価になること、等の問題が生じる。そこで、工作機械の昇降駆動機構の負荷を 軽減するようにした種々の主軸バランサが実用に供されてレ、る(例えば、特許文献 1 〜4参照)。
[0004] 特許文献 1の主軸バランサは、主軸ユニットの上側に設けられた油圧シリンダと、油 圧シリンダのピストンで仕切られた両油室に接続された方向切換弁と、方向切換弁を 介して油圧シリンダに油圧を供給する油圧供給機構と、方向切換弁を切換え制御す る制御装置とを備え、油圧シリンダのピストンロッドが下方へ延びて主軸ユニットに連 結されている。昇降駆動機構により主軸ユニットを昇降駆動する際に、主軸ユニット の昇降に同期して油圧シリンダのピストンロッドを伸縮駆動すると共に、その油圧シリ
ンダにより主軸ユニットの重量と略同等の上向きの力を発生させる。
[0005] 特許文献 2の主軸バランサは、引っ張りパネとチェーンとスプロケットを備え、引っ張 りパネがコラムの内部に鉛直に配設され、チェーンが主軸ユニットの上側においてス プロケットに Uターン状に掛装されている。引っ張りパネの下端部がベッドに連結され 、チェーンの両端部が引っ張りパネの上端部と主軸ユニットに連結され、この引っ張り パネによりチェーンとスプロケットを介して主軸ユニットが上方へ引っ張り付勢される。 この主軸バランサには、引っ張りパネの振動を制振する制振装置が必要になる。
[0006] 一方、本願出願人は、特許文献 3、 4のように、ガススプリングを備えた主軸バランサ を提案し実用化している。この主軸バランサでは、ガススプリングが、圧縮ガスが充填 されたシリンダ本体と、シリンダ本体に進退移動可能に揷通されたロッドとを有する。 ガススプリングは主軸ユニットとその下側のべッドとの間に介在して下向きに配設され 、シリンダ本体が主軸ユニットに内嵌状に装着され、前記圧縮ガスによりシリンダ本体 に対してロッドが下方へ付勢され、ロッドの下端部がベッドで受け止められて、このガ ススプリングにより主軸ユニットが押し上げ付勢される。
[0007] 特許文献 1 :特開平 6— 297217号公報
特許文献 2 :特開 2003— 191145号公報
特許文献 3 :特開 2002— 96229号公報
特許文献 4 :特開 2002— 254265号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0008] 特許文献 1の主軸バランサでは、昇降駆動機構により主軸ユニットを昇降駆動する 際、油圧シリンダにより主軸ユニットの重量と略同等の上向きの力を発生させるように 、制御装置で方向切換弁を制御するのが難しい。それ故、主軸ユニットが油圧シリン ダによる制約を受けて高速で昇降することが難しぐ油圧シリンダの他に方向切換弁 と油圧供給機構と制御装置等を設けなければならないため、構造が複雑化し製作コ ストが高価になる。
[0009] 特許文献 2の主軸バランサでは、引っ張りパネにより主軸ユニットを上方へ引っ張り 付勢するが、この引っ張りパネは主軸ユニットの昇降と共に弾性変形して伸縮するた
め、引っ張りパネの所期の機能を維持して、主軸ユニットの昇降ストロークを大きくす るこが難しぐしかも、引っ張りパネでは、初期張力が必要であり、端部には応力集中 も起こるため、劣化や破損する虞が高ぐ主軸ユニットを安定的に上方へ引っ張り付 勢することができない。また、引っ張りパネ用の制振装置が必要になるため、構造を 簡単化し製作コストを低減するのに不利である。
[0010] 特許文献 3, 4の主軸バランサでは、ガススプリングにより主軸ユニットが上方へ付 勢されるので、特許文献 1 , 2の問題点は改善される。しかし、このガススプリングは、 主軸ユニットを下側から押し上げ付勢するものであり、主軸ユニットとその下側のべッ ドとの間に介在して配置されるため、このガススプリングが機械加工作業等の邪魔に なる虞があり、し力、も、主軸ユニットにシリンダ本体を装着する必要があるため、既存 の工作機械に容易に適用することが難しい。
[0011] また、主軸ユニットの大型化によりその重量が重くなり、更に、昇降駆動機構では、 主軸ユニットと共にシリンダ本体を昇降駆動することになり、つまり、ガススプリングが 非常に重量が重い主軸ユニットとシリンダ本体を押し上げ付勢することになるため、 ガススプリングが大型化する。尚、ガススプリングを上下逆向きに配置して、シリンダ 本体をベッドに装着した場合も、同等の課題が生じる。
[0012] 本発明の目的は、主軸ユニットを安定的に上方へ引っ張り付勢して、主軸ユニット を昇降駆動する昇降駆動手段の負荷を確実に且つ効果的に軽減し、既存の工作機 械に容易に適用することができて、耐久性に優れ、小型化でき、簡単な構造で製作 コスト的に有利になる、工作機械用主軸バランサを提供することである。
課題を解決するための手段
[0013] 請求項 1の工作機械用主軸バランサは、工具を装着する為の主軸とこの主軸を回 転駆動する電動モータとを有する主軸ユニットと、この主軸ユニットを昇降駆動する昇 降駆動手段とを備えた工作機械において、シリンダ本体と、シリンダ本体に対して少 なくとも前記主軸ユニットの昇降ストロークにほぼ等しい所定ストローク進退移動可能 で少なくとも一端側部分がシリンダ本体の一端部から外部へ突出したロッドと、シリン ダ本体の内部の少なくとも一部に収容され且つ前記ロッドをその一端側部分のシリン ダ本体からの突出量が減少する退入方向へ付勢する圧縮ガスとを有するガススプリ
ングを備え、前記ガススプリングのロッドに作用する付勢力により前記主軸ユニットを 上方へ引っ張り付勢できるように前記ロッドの一端部が主軸ユニットに連結され、前 記ガススプリングの付勢力により前記昇降駆動手段の負荷を軽減するように構成され たことを特徴とする。
[0014] 請求項 1の発明において、前記ロッドの基端部に、シリンダ本体に気密摺動自在に 内嵌されたピストン部が形成され、前記シリンダ本体の内部のうち前記ピストン部より もロッド側に前記圧縮ガスが収容された圧縮ガス作動室が形成され、この圧縮ガス作 動室とは独立に形成されて圧縮ガスが充填され且つガス連通路により圧縮ガス作動 室に連通された圧縮ガス充填室が設けられてもよレ、(請求項 2)。
[0015] 前記圧縮ガス充填室は、ガススプリングと別体に設けられてもよいし、ガススプリング に一体に設けられてもよい。前記後者の場合、前記シリンダ本体は、前記ピストン部 が内嵌される内筒と、この内筒の径方向外側に位置する外筒とを有し、この内筒と外 筒との間に前記圧縮ガス作動室が形成されてもよい(請求項 3)。
[0016] 請求項 1の発明において、前記ロッドは、前記一端側部分を形成する一端側ロッド 部と、この一端側ロッド部よりも大径でその基端部に同軸状に連結されてシリンダ本 体の他端部から外部へ突出する他端側ロッド部とを有し、前記シリンダ本体の内部の ほぼ全域に前記圧縮ガスが収容された圧縮ガス作動室が形成され、前記一端側ロッ ド部と他端側ロッド部の連結部がシリンダ本体の内部に収容され、その連結部に前記 圧縮ガス作動室の圧縮ガスのガス圧を受圧する環状の受圧部が形成されてもょレ、 ( 請求項 4)。
[0017] 請求項:!〜 4の発明において、前記ガススプリングのシリンダ本体力 主軸ユニット の上方位置に鉛直姿勢で配設され、前記ロッドの一端部が主軸ユニットの上端部に 連結されてもよい(請求項 5)。また、前記ロッドの一端部がチェーン部材とスプロケッ トを介して主軸ユニットの上端部に連結されてもよい(請求項 6)。
[0018] また、請求項 1のガススプリングを備え、前記ガススプリングのシリンダ本体に作用す る付勢力により前記主軸ユニットを上方へ引っ張り付勢できるように前記シリンダ本体 の他端部が主軸ユニットに連結され、前記ガススプリングの付勢力により前記昇降駆 動手段の負荷を軽減するように構成されてもよい。この場合、請求項 2〜4の発明を
適用可能であり、請求項 5, 6の発明において、ロッドの一端部の代わりにシリンダ本 体の他端部としたものを適用可能である。
発明の効果
[0019] 請求項 1の工作機械用主軸バランサによれば、伸縮自在のガススプリングにより、 主軸ユニットの昇降の自由度を確保しながら、主軸ユニットを確実に上方へ引っ張り 付勢し、主軸ユニットが昇降している状態でも、主軸ユニットに対してその重量と略同 等の上向きの力を発生させて、主軸ユニットを効果的に支持できる。つまり、主軸ュ ニットの重量に応じて、ガススプリングのサイズ及び形状と圧縮ガスの圧力を適宜設 定し、その圧縮ガスの圧力を利用して、ガススプリングにより主軸ユニットを安定的に 上方へ引っ張り付勢して、昇降駆動手段の負荷を確実に且つ効果的に軽減でき、そ の結果、昇降駆動手段を小型化でき、昇降駆動手段による主軸ユニットの上下方向 の位置精度つまり機械加工精度を確実に高め、主軸ユニットの昇降速度の一層の高 速化を実現可能になる。
[0020] しカゝも、ガススプリングを主軸ユニットとその下側のベッドとの間に介在させずに、ェ 作機械作業等の邪魔にならないように配置でき、しかも、主軸ユニットにガススプリン グを装着不要になるため、主軸ユニットに特別なガススプリングの取り付け構造を設 ける必要もなぐロッドと主軸ユニットとの連結も簡単に行えるので、既存の工作機械 に容易に適用することが可能になる。ガススプリングは、引っ張りパネとは違って耐久 性に優れ、シリンダ本体に収容された圧縮ガスが減少しても容易に補充して再起可 能になる。主軸ユニットにガススプリングを装着不要になるため、主軸ユニットを必要 以上に大型化する必要がなぐその主軸ユニットのみをガススプリングで付勢すれば よいので、ガススプリングを小型化でき、構造も簡単になり製作コスト的に有利になる
[0021] 請求項 2の工作機械用主軸バランサによれば、ロッドの基端部に、シリンダ本体に 気密摺動自在に内嵌されたピストン部が形成されているので、ロッドをシリンダ本体に 進退移動自在に確実にガイドでき、シリンダ本体の内部のうちピストン部よりもロッド側 に圧縮ガスが収容された圧縮ガス作動室が形成されてレ、るので、この圧縮ガス作動 室の圧縮ガスによりロッドを退入方向へ確実に付勢することができ、この圧縮ガス作
動室とは独立に形成されて圧縮ガスが充填され且つガス連通路により圧縮ガス作動 室に連通された圧縮ガス充填室が設けられているので、ロッドの進退移動による圧縮 ガス作動室の体積変化は大きレ、が、その際の圧縮ガスのガス圧の変化量を抑制して 、主軸ユニットを略一定の付勢力で引っ張り付勢することができる。
[0022] 請求項 3の工作機械用主軸バランサによれば、シリンダ本体は、ピストン部が内嵌さ れる内筒と、この内筒の径方向外側に位置する外筒とを有し、この内筒と外筒との間 に圧縮ガス作動室が形成されているので、ガススプリングに圧縮ガス作動室を一体に コンパクトに設けることができ、主軸バランサの全体的な構造をコンパクトにして、既存 の工作機械への取り付け等に有利になる。
[0023] 請求項 4の工作機械用主軸バランサによれば、ロッドは、一端側部分を形成する一 端側ロッド部と、この一端側ロッド部よりも大径でその基端部に同軸状に連結されてシ リンダ本体の他端部から外部へ突出する他端側ロッド部とを有するので、ロッドをシリ ンダ本体に進退移動自在に確実にガイドでき、シリンダ本体の内部のほぼ全域に圧 縮ガスが収容された圧縮ガス作動室が形成され、一端側ロッド部と他端側ロッド部の 連結部がシリンダ本体の内部に収容され、その連結部に圧縮ガス作動室の圧縮ガス のガス圧を受圧する環状の受圧部が形成されてレ、るので、ロッドを抜け止めした状態 で圧縮ガスにより退入方向へ確実に付勢することができ、ロッドの進退移動による圧 縮ガス作動室の体積変化、つまり、圧縮ガスのガス圧の変化量を抑制して、主軸ュニ ットを略一定の付勢力で引っ張り付勢することができる。また、シリンダ本体の内面に はロッドが直接摺動しないため、シリンダ本体の内面に精密な鏡面加工が不要にな るため、シリンダ本体の製造面で有利になる。
[0024] 請求項 5の工作機械用主軸バランサによれば、ガススプリングのシリンダ本体が、主 軸ユニットの上方位置に鉛直姿勢で配設され、ロッドの一端部が主軸ユニットの上端 部に連結されているので、構造を極力簡単化して、主軸ユニットを上方へ確実に引つ 張り付勢することができる。
[0025] 請求項 6の工作機械用主軸バランサによれば、ロッドの一端部がチヱーン部材とス プロケットを介して主軸ユニットの上端部に連結されているので、ガススプリングを配 置する自由度を高めて、主軸ユニットを上方へ確実に引っ張り付勢することができる
図面の簡単な説明
[0026] [図 1]実施例 1の主軸バランサを含む工作機械の側面図である。
[図 2]実施例 1のガススプリングの縦断面図である。
[図 3]実施例 2のガススプリングの縦断面図である。
[図 4]実施例 3のガススプリングの縦断面図である。
[図 5]実施例 4のガススプリングの縦断面図である。
[図 6]実施例 5の主軸バランサを含む工作機械の側面図である。 符号の説明
[0027] M 工作機械
10 主軸ユニット
13 主軸
14 工具
15 電動モータ
20 昇降駆動機構
30, 30A, 30B, 30C, 30D 工作機械用主軸バランサ 31 , 31A, 31B, 31C, 31D ガススプリング
32, 32A, 32B, 32C, 32D シ];ンダ本体
33, 33B, 33C, 33D ロッド
34 圧縮ガス
40 内筒
40a ガス連通路
40b ガス連通ポート
41 外筒
50, 50B, 50C 圧縮ガス作動室
51 , 51 A 圧縮ガス充填室
51a ガスホース
55 ピストン音
80, 80C 一端側ロッド部
81 , 81C 他端側ロッド部
82, 82C 連結部
85, 85C 受圧部
95 チェ -ン部材
96 スプ c ίケット
発明を実施するための最良の形態
[0028] 本発明の工作機械用主軸バランサは、シリンダ本体と、シリンダ本体に対して少なく とも主軸ユニットの昇降ストロークにほぼ等しい所定ストローク進退移動可能で少なく とも一端側部分がシリンダ本体の一端部から外部へ突出したロッドと、シリンダ本体の 内部の少なくとも一部に収容され且つロッドをその一端側部分のシリンダ本体からの 突出量が減少する退入方向へ付勢する圧縮ガスとを有するガススプリングを備え、ガ ススプリングのロッドに作用する付勢力により主軸ユニットを上方へ引っ張り付勢でき るようにロッドの一端部が主軸ユニットに連結されている。
実施例 1
[0029] 図 1に示すように、本発明の工作機械用主軸バランサ 30 (以下、主軸バランサ 30と レ、う)は、立型のマシユングセンタ等の工作機械 Μに適用されている。尚、図 1の矢印 Αの方向を前方として説明する。
[0030] 工作機械 Mは、コラム 1と、コラム 1に昇降可能にガイドされた主軸ユニット 10と、主 軸ユニット 10を昇降駆動する昇降駆動機構 20等が備えられ、この工作機械 Mに、主 軸ユニット 10を支持して昇降駆動機構 20の負荷を軽減するガススプリング 31を備え た工作機械用主軸バランサ 30 (以下、主軸バランサ 30という)が付設されている。
[0031] コラム 1の前端部には、鉛直のガイドレール 2が設けられ、主軸ユニット 10のフレー ム部材 11の後端部にスライダ 12が固着され、ガイドレーノレ 2にスライダ 12が係合され て、主軸ユニット 10が昇降自在にガイドされている。
[0032] 主軸ユニット 10は、フレーム部材 11と、フレーム部材 11の前部に鉛直軸心回りに 回転自在に支持され工具 14を下端部に着脱可能に装着する為の主軸 13と、主軸 1 3を回転駆動する電動モータ 15とを有する。電動モータ 15は、フレーム部材 11の前
部の上部側に取り付けられて主軸 13に直結されている。電動モータ 15は、制御装置 16に電気的に接続され、この制御装置 16により駆動制御されて、主軸 13と共にェ 具 14が回転駆動される。
[0033] 昇降駆動機構 20は、コラム 1の上端部側に取り付られた電動モータ 21と、電動モ ータ 21に直結されて下方へ延びる鉛直のボールネジシャフト 22と、ボールネジシャ フト 22に螺合されて主軸ユニット 10に連結部 24を介して連結されたボールネジナツ ト 23とを有する。電動モータ 21は、制御装置 16に電気的に接続され、この制御装置 16により駆動制御されて、ボールネジシャフト 22が回転駆動されると、ボールネジナ ット 23と共に主軸ユニット 10が昇降駆動される。
[0034] 次に、主軸バランサ 30について詳細に説明する。
図 1、図 2に示すように、主軸バランサ 30は、ガススプリング 31により主軸ユニット 10 を上方へ引つ張り付勢し、このガススプリング 31の付勢力により昇降駆動機構 20の 負荷を軽減するように構成されてレヽる。
[0035] ガススプリング 31は、主軸ユニット 10の上方位置に鉛直姿勢で配設されている。ガ ススプリング 31は、シリンダ本体 32とロッド 33と圧縮ガス 34 (例えば、圧縮窒素ガス) とを有し、シリンダ本体 32が、例えば、ブラケット 35によりコラム 1の前壁部に固定され 、このシリンダ本体 32からロッド 33が下方へ延びている。
[0036] 図 2に示すように、シリンダ本体 32は、内筒 40と、内筒 40の径方向外側に位置する 外筒 41と、内筒 40及び外筒 41の上下両端部に固着された上側端壁部材 42及び下 側端壁部材 43と、下側端壁部材 43に固定されたロッドガイド部材 44とを有する。外 筒 41と上下両端壁部材 42, 43の間はシール部材 45, 46でシールされている。
[0037] 内筒 40にはロッド 33のピストン部 55が気密摺動自在に内嵌され、そのために、内 筒 40の内面に鏡面加工が施されている。内筒 40の下端側部分に複数の貫通孔から なるガス連通路 40aが形成されている。上側端壁部材 42にはエア抜き孔 42aが形成 され、下側端壁部材 43にはロッドガイド取付孔 43aが形成されてレ、る。
[0038] ロッドガイド部材 44は、筒状部 44aと筒状部 44aの下端部から張り出す鍔状の当接 部 44bとを有し、筒状部 44aがロッドガイド取付孔 43aに内嵌され、筒状部 44aと下側 端壁部材 43との間がシール部材 47によりシールされている。また、当接部 44bが下
側端壁部材 43に下側から当接して固定され、この状態で、筒状部 44aが下側端壁 部材 43よりも上側へ突出して、筒状部 44aの上端部がガス連通路 40aより少し上方 に位置している。ピストン部 55が筒状部 44aの上端部に係止されると下方へ移動不 能となり、ガス連通路 40aがピストン部 55によって塞がれることはない。
[0039] シリンダ本体 32の内部には、ピストン部 55の下側において、ロッド 55と筒状部 44a と下側端壁部材 43と内筒 40とで囲まれた部分に、圧縮ガス 34が収容された圧縮ガ ス作動室 50が形成され、内筒 40と外筒 41との間において、内筒 40と外筒 41と上下 両端壁部材 42, 43とで囲まれた部分に、圧縮ガス 34が充填された圧縮ガス充填室 51が形成されている。このように、ガススプリング 31には、圧縮ガス作動室 50と、圧 縮ガス作動室 50とは独立に形成された圧縮ガス充填室 51とが一体に設けられ、圧 縮ガス充填室 51はガス連通路 40aにより圧縮ガス作動室 50に連通されている。
[0040] ロッド 33は、シリンダ本体 32に対して少なくとも主軸ユニット 10の昇降ストロークに ほぼ等しい所定ストローク進退移動可能に、ロッド 33及びシリンダ本体 32の長さ等が 設定されている。ロッド 33は、その上端部に形成されたピストン部 55と、ピストン部 55 力 下方へ延びるロッド部 56とを有し、ピストン部 55が内筒 40にシール部材 57を介 して気密摺動自在に内嵌され、ロッド部 56力 ロッドガイド部材 44にシール部材 58を 介して気密摺動自在に挿通され下方外部へ突出している。
[0041] ピストン部 55の下面のロッド部 56の回りに環状の受圧部 55aが形成され、この受圧 部 55aが圧縮ガス作動室 50の圧縮ガス 34のガス圧を受圧して、ロッド 33が上方へ付 勢されている。ここで、 W (ガススプリング 31の付勢力) P (圧縮ガス 34のガス圧) X S (受圧部 55aの面積)となり、 Wが主軸ユニット 10の重量と同等になるように、圧縮ガ ス 34のガス圧 Pと受圧部 55aの面積 Sが設定されている。
[0042] ロッド部 56の下端部にはネジ軸部 56aが設けられ、このネジ軸部 56aにロックナット 59が螺合されている。一方、主軸ユニット 10のフレーム部材 11の上端部にネジ穴 1 laが形成され、このネジ穴 1 1aにネジ軸部 56aが螺合され、ロックナット 59がフレー ム部材 11の上面に圧着されて、ロッド 33の下端部が主軸ユニット 10の上端部に連 結されている。尚、ネジ軸部 56aに対するロックナット 59の螺合位置を調節することで 、ロッド 33と主軸ユニット 10との連結位置を微調節することができる。
[0043] 上記主軸バランサ 30の作用.効果について説明する。
前記のように、ガススプリング 31がシリンダ本体 32とロッド 33と圧縮ガス 34とを有し 、このガススプリング 31を主軸ユニット 10の上方位置に鉛直姿勢で配設し、ロッド 33 の下端部を主軸ユニット 10の上端部に連結して、ガススプリング 31により主軸ュニッ ト 10を上方へ引っ張り付勢することができる。
[0044] そして、ガススプリング 31により主軸ユニット 10が上方へ引っ張り付勢された状態を 維持して、昇降駆動機構 20により主軸ユニット 10が下降駆動されると、ガススプリン グ 31のシリンダ本体 32に対してロッド 33が進出して、ガススプリング 31が伸長し、昇 降駆動機構 20により主軸ユニット 10が上昇駆動されると、ガススプリング 31のシリン ダ本体 32に対してロッド 33が退入して、ガススプリング 31が収縮する。
[0045] このように、伸縮自在のガススプリング 31により、構造を極力簡単化して、主軸ュニ ット 10の昇降の自由度を確保しながら、主軸ユニット 10を確実に上方へ引っ張り付 勢し、主軸ユニット 10が静止している状態は勿論、昇降している状態でも、主軸ュニ ット 10に対してその重量と略同等の上向きの力を発生させて、主軸ユニット 10を効果 的に支持することができる。
[0046] つまり、主軸ユニット 10の重量に応じて、ガススプリング 31のサイズ及び形状と圧縮 ガス 34の圧力を適宜設定し、その圧縮ガス 34の圧力を利用して、ガススプリング 31 により主軸ユニット 10を安定的に上方へ引っ張り付勢して、昇降駆動機構 20の負荷 を確実に且つ効果的に軽減でき、その結果、昇降駆動機構 20を小型化でき、昇降 駆動機構 20による主軸ユニット 10の上下方向の位置精度つまり機械加工精度を確 実に高め、主軸ユニット 10の昇降速度の一層の高速化を実現可能になる。
[0047] し力、も、ガススプリング 31を主軸ユニット 10とその下側のベッドとの間に介在させず に、工作機械作業等の邪魔にならないように配置でき、しかも、主軸ユニット 10にガ ススプリング 31を装着不要になるため、主軸ユニット 10に特別なガススプリング 31の 取り付け構造を設ける必要もなぐロッド 33と主軸ユニット 10との連結も簡単に行える ので、既存の工作機械 Mに容易に適用することが可能になる。
[0048] ガススプリング 31は、引っ張りパネとは違って耐久性に優れ、シリンダ本体 32に収 容された圧縮ガス 34が減少しても容易に補充して再起可能になる。主軸ユニット 10
にガススプリング 31を装着不要になるため、主軸ユニット 10を必要以上に大型化す る必要がなぐその主軸ユニット 10のみをガススプリング 31で付勢すればよいので、 ガススプリング 31を小型化でき、構造も簡単になり製作コスト的に有利になる。
[0049] ロッド 33の上端部に、シリンダ本体 32に気密摺動自在に内嵌されたピストン部 55 を形成したので、ロッド 33をシリンダ本体 32に進退移動自在に確実にガイドでき、シ リンダ本体 32の内部のうちピストン部 55よりもロッド側(下側)に圧縮ガス 34が収容さ れた圧縮ガス作動室 50を形成したので、この圧縮ガス作動室 50の圧縮ガス 34によ りロッド 33を上方へ確実に付勢することができ、この圧縮ガス作動室 50とは独立に形 成されて圧縮ガス 34が充填され且つガス連通路 40aにより圧縮ガス作動室 50に連 通された圧縮ガス充填室 51を設けたので、ロッド 33の進退移動による圧縮ガス作動 室 50の体積変化は大きレ、が、その際の圧縮ガス 34のガス圧の変化量を抑制して、 主軸ユニット 10を略一定の付勢力で引っ張り付勢することができる。
[0050] シリンダ本体 32は、ピストン部 55が内嵌される内筒 40と、この内筒 40の径方向外 側に位置する外筒 41とを有し、この内筒 40と外筒 41との間に圧縮ガス作動室 51を 形成したので、ガススプリング 31に圧縮ガス作動室 51を一体にコンパクトに設けるこ とができ、主軸バランサ 30の全体的な構造をコンパクトにして、既存の工作機械 Mへ の取り付け等に有利になる。
実施例 2
[0051] 図 3に示すように、主軸バランサ 30Aは、ガススプリング 31Aと、ガススプリング 31 A と別体に設けられた圧縮ガス充填室 51Aとを備え、このガススプリング 31 Aを、実施 例 1のガススプリング 31の代わりに工作機械 Mに適用したものである。尚、実施例 1と 同じものには同一符号を付して説明を省略する。
[0052] ガススプリング 31Aは、シリンダ本体 32Aとロッド 33と圧縮ガス 34とを有し、シリンダ 本体 32Aは、実施例 1のシリンダ本体 32において、外筒 41を省略し、内筒 40と上側 端壁部材 42と下側端壁部材 43を部分的に変更した形に形成され、シリンダ本体 32 Aの内部に圧縮ガス作動室 50が形成されている。
[0053] シリンダ本体 32Aは、筒部材 40Aと、筒部材 40Aの上下両端部に固着された上側 端壁部材 42A及び下側端壁部材 43Aと、下側端壁部材 43Aに固定されたロッドガ
イド部材 44とを有する。筒部材 40Aが実施例 1の内筒 40に相当するものであり、この 筒部材 40Aには、実施例 1の複数の連通路 40aの代わりに、圧縮ガス作動室 50に 臨む連通ポート 40bが形成されている。筒部材 40Aと上下両端壁部材 42A, 43Aの 間はシール部材 45A, 46Aでシールされている。上側端壁部材 42Aにエア抜き孔 4 2aが形成され、下側端壁部材 43Aにロッドガイド取付孔 43aが形成されてレ、る。
[0054] 圧縮ガス充填ユニット 51Aaに、圧縮ガス 34が充填された圧縮ガス充填室 51 Aが 設けられ、この圧縮ガス充填ユニット 51 Aaから延びるガスホース 51 Abが連通ポート 40b接続されて、ガス連通路に相当するガスホース 51Abと連通ポート 40bにより、圧 縮ガス作動室 50と圧縮ガス充填室 51 Aが連通されている。この主軸バランサ 30Aに よれば、ガススプリング 31Aを実施例 1のガススプリング 31よりも小型化でき、ガスス プリング 31Aの設置スペースを小さくできる点で有利になる。その他は実施例 1と同 様の作用'効果を奏する。
実施例 3
[0055] 図 4に示すように、主軸バランサ 30Bは、ガススプリング 31Bを備え、このガススプリ ング 31 Bを、実施例 1のガススプリング 31の代わりに工作機械 Mに適用したものであ る。ガススプリング 31Bは、シリンダ本体 32Bとロッド 33Bと圧縮ガス 34とを有し、シリ ンダ本体 32Bからロッド 33が上下両方へ延び、シリンダ本体 32Bの内部のほぼ全域 に圧縮ガス 34が収容された圧縮ガス作動室 50Bが形成されている。
[0056] シリンダ本体 32Bは、筒部材 60と、筒部材 60の上下両端部に固着された上側端壁 部材 61及び下側端壁部材 62と、上側端壁部材 61に固定された上側ロッドガイド部 材 63と、下側端壁部材 62に固定された下側ロッドガイド部材 64とを有する。筒部材 6 0と上下両端壁部材 61 , 62の間はシール部材 65, 66でシーノレされ、上下両端壁部 材 61 , 62にはロッドガイド取付孔 61a, 62aが形成されている。
[0057] 上側ロッドガイド部材 63は、筒状部 63aと筒状部 63aの上端部から張り出す鍔状の 当接部 63bとを有し、筒状部 63aがロッドガイド取付孔 61aに内嵌され、筒状部 63aと 上側端壁部材 61との間がシール部材 67によりシールされている。筒状部 63aの内 面部において、上端部にダストシール 70が装着され、その下側にシール部材 71が 装着され、その下側に凹部 63cが形成されて、その凹部 63cに潤滑用のグリス 72が
充填され、その下側に摺動性が良いロッドガイド 73が装着されている。尚、凹部 63c には潤滑用のオイルを充填してもよいし、何も充填しないでもよい。
[0058] 下側ロッドガイド部材 64は、筒状部 64aと筒状部 64aの下端部から張り出す鍔状の 当接部 64bとを有し、筒状部 64aがロッドガイド取付孔 62aに内嵌され、筒状部 64aと 下側端壁部材 62との間がシール部材 68によりシールされている。筒状部 64aの内 面部において、下端部にダストシール 75が装着され、その上側にシール部材 76が 装着され、その上側に凹部 64cが形成されて、その凹部 64cに潤滑用のグリス 77が 充填され、その上側に摺動性が良いロッドガイド 78が装着されている。尚、凹部 64c には潤滑用のオイルを充填してもよいし、何も充填しないでもよい。
[0059] ロッド 33Bは、シリンダ本体 32Bに対して少なくとも主軸ユニット 10の昇降ストローク にほぼ等しレ、所定ストローク進退移動可能に、ロッド 33B及びシリンダ本体 32Bの長 さ等が設定されている。ロッド 33Bは、シリンダ本体 32Bの下側ロッドガイド部材 64か ら下方外部へ突出する下端側部分を形成する一端側ロッド部 80と、一端側ロッド部 8 0よりも大径でその上端部に同軸状に連結されてシリンダ本体 32Bの上側ロッドガイ ド部材 63から上方外部へ突出する他端側ロッド部 81とを有する。
[0060] 一端側ロッド部 80が下側ロッドガイド部材 64にロッドガイド 78を介して摺動自在に 挿通され、この一端側ロッド部 80と下側口ッドガイド部材 64との間が、ダストシール 75 、シール部材 76、グリス 77によりシールされ、他端側ロッド部 81が上側ロッドガイド部 材 63にロッドガイド 73を介して摺動自在に挿通され、この他端側ロッド部 81と上側口 ッドガイド部材 63との間力 ダストシール 70、シール部材 71、グリス 72によりシールさ れている。
[0061] 一端側ロッド部 80と他端側ロッド部 81の連結部 82がシリンダ本体 32Bの内部に収 容され、その連結部 82においては、一端側ロッド部 80の上端部に設けられたネジ軸 部 83が、他端側ロッド部 81よりも大径の円板状の係止部材 84を介して他端側ロッド 部 81に螺合されて、一端側ロッド部 80と他端側ロッド部 81が連結され、これらロッド 部 80, 81に係止部材 84が固定されている。
[0062] 係止部材 84が上側ロッドガイド部材 63の筒状部 63aに当接すると、ロッド 32B力 S上 限位置になり、係止部材 84が下側ロッドガイド部材 64の筒状部 64aに当接すると、口
ッド 32Bが下限位置になり、ロッド 32Bは、ロッド部 80, 81力 Sロッドガイド部材 64, 63 に挿通された状態を維持して、この上限位置と下限位置との間で抜け止めされた状 態で進退移動可能になる。
[0063] 係止部材 84の下面の一端側ロッド部 80の回りに環状の受圧部 85が形成され、こ の受圧部 85が圧縮ガス作動室 50Bの圧縮ガス 34のガス圧を受圧して、ロッド 33B力 S 上方へ付勢されている。ここで、 W (ガススプリング 31Bの付勢力) P (圧縮ガス 34 のガス圧) X S (受圧部 85の面積)となり、 Wが主軸ユニット 10の重量と同等になるよ うに、圧縮ガス 34のガス圧 Pと受圧部 85の面積 S (つまり、一端側ロッド部 80と他端 側ロッド部 81の直径)が設定されている。
[0064] 一端側ロッド部 80の下端部にはネジ軸部 87が設けられ、このネジ軸部 87にロック ナット 88が螺合され、実施例 1と同様に、主軸ユニット 10のフレーム部材 11のネジ穴 11aにネジ軸部 87が螺合され、ロックナット 88がフレーム部材 11の上面に圧着され て、ロッド 33Bの下端部が主軸ユニット 10の上端部に連結されている。
[0065] この主軸バランサ 30Bによれば、ロッド 33Bは、シリンダ本体 32Bの下側ロッドガイド 部材 64から下方外部へ突出する下端側部分を形成する一端側ロッド部 80と、この一 端側ロッド部 80よりも大径でその基端部に同軸状に連結されてシリンダ本体 32Bの 下側ロッドガイド部材 63から上方外部へ突出する他端側ロッド部 81とを有するので、 ロッド 33Bをシリンダ本体 32Bに進退移動自在に確実にガイドできる。
[0066] そして、シリンダ本体 32Bの内部のほぼ全域に圧縮ガス 34が収容された圧縮ガス 作動室 50Bを形成し、一端側ロッド部 80と他端側ロッド部 81の連結部 82をシリンダ 本体 32Bの内部に収容し、その連結部 82に圧縮ガス作動室 50Bの圧縮ガス 34のガ ス圧を受圧する環状の受圧部 85を形成したので、ロッド 33Bを抜け止めした状態で 圧縮ガス 34により上方へ確実に付勢することができ、ロッド 33Bの進退移動による圧 縮ガス作動室 50Bの体積変化、つまり、圧縮ガス 34のガス圧の変化量を抑制して、 主軸ユニット 10を略一定の付勢力で引っ張り付勢することができる。
[0067] また、シリンダ本体 32Bの内面にはロッド 33Bが直接摺動しないため、シリンダ本体 32B (筒部材 60)の内面に精密な鏡面力卩ェが不要になるため、シリンダ本体 32Bの 製造面で有利になる。このガススプリング 31Bでは、シリンダ本体 32Bの直径を比較
的に大径に形成し、一端側ロッド部 80を小径化し過ぎることなぐ受圧部 85の面積を 大きくして、付勢力を大きくすることができ、大重量の主軸ユニット 10を上方へ確実に 付勢すること力 Sできる。その他は基本的に実施例 1と同様の作用 ·効果を奏する。 実施例 4
[0068] 図 5に示すように、主軸バランサ 30Cは、ガススプリング 31Cを備え、このガススプリ ング 31Cを、実施例 1のガススプリング 31の代わりに工作機械 Mに適用したものであ る。このガススプリング 31Cは、シリンダ本体 32C、ロッド 33C、圧縮ガス 34を有し、シ リンダ本体 32Cは、圧縮ガス作動室 50C、筒部材 60C、上側端壁部材 61C、下側端 壁部材 62C、上側ロッドガイド部材 63C、下側ロッドガイド部材 64Cを有し、ロッド 33 Cは、一端側ロッド部 80C、他端側ロッド部 81C、係止部 84Cと受圧部 85Cを有する 連結部 82Cを有する。
[0069] このガススプリング 31 Cは、実施例 3のガススプリング 31 Bとサイズ ·形状が異なるが 基本的に同じ構成であるので、詳細な説明を省略する。但し、このガススプリング 31 Cには、圧縮ガス作動室 50Cに圧縮ガス 34を補充し、また、その圧縮ガス 34のガス 圧を調節するための手段として、一端側ロッド部 80Cと上側ロッドガイド部材 63Cに、 圧縮ガス作動室 50Cと外部とを繋ぐガス通路 90, 91が形成され、ガス通路 90にチェ ック弁 92が設けられている。
[0070] そして、ガス通路 90に所定のガス供給装置(図示略)を接続して、圧縮ガス 34の補 充とガス圧の調節を行うことが可能になる。この主軸バランサ 30Cによれば、ガススプ リング 31Cを小型化して、小重量の主軸ユニット 10を上方へ付勢するものに最適なも のとなる。その他は実施例 3と同様の作用 ·効果を奏する。尚、圧縮ガス作動室に圧 縮ガスを補充し、また、その圧縮ガスのガス圧を調節するための手段を、実施例:!〜 3 のガススプリング 31, 31A, 31Bに備えてもよい。
実施例 5
[0071] 図 6に示すように、主軸バランサ 30Dは、ガススプリング 31Dを備え、ガススプリング 31Dのロッド 33Dの一端部がチェーン部材 95とスプロケット 96, 97を介して主軸ュ ニット 10の上端部に連結されている。この主軸バランサ 30Dが適用された工作機械 Mは実施例 1のものと同様であり、主軸バランサ 30Dのシリンダ本体 32Dは、例えば
、ブラケット 35Dによりコラム 1の後壁部に固定され、このシリンダ本体 32Dからロッド 3 3Dが上方へ延びている。
[0072] スプロケット 96は、ガススプリング 31Dの上方位置に配置されて、コラム 1に固定さ れたブラケット 96aに回転自在に支持され、スプロケット 97は、主軸ユニット 10の上方 位置に配置されて、コラム 1に固定されたブラケット 97aに回転自在に支持され、チェ 一ン部材 95の両端部がロッド 33Dの上端部と主軸ユニット 10の上端部に連結された 状態で、チェーン部材 95が、スプロケット 96, 97に掛装されている。ガススプリング 3 1Dとしては、実施例 1〜4のガススプリング 31 , 31A, 31B, 31Cを適用可能である。
[0073] この主軸バランサ 30Dによれば、ロッド 33Dの一端部をチェーン部材 95とスプロケ ット 96, 97を介して主軸ユニット 10の上端部に連結したので、ガススプリング 31Dを 配置する自由度を高めて、主軸ユニット 10を上方へ確実に引っ張り付勢することが できる。故に、例えば、ガススプリング 31Dをコラム 1の上壁に横向き姿勢に取り付け て、或いは、その他の種々の位置に種々の姿勢でガススプリング 31Dを取り付けて、 そのロッド 33Dと主軸ユニット 10をチェーン部材とスプロケットを介して連結して、主 軸ユニット 10を上方へ引っ張り付勢することが可能になる。
実施例 6
[0074] 図示省略するが、ガススプリングのシリンダ本体に作用する付勢力により主軸ュニッ トを上方へ引っ張り付勢できるようにシリンダ本体の他端部が主軸ユニットに連結され 、ガススプリングの付勢力により昇降駆動機構の負荷を軽減するように構成してもよ レヽ。この場合、ガススプリングとして、実施 ί列:!〜 5のガススプリング 31, 31A, 31B, 3 1C, 31Dを適用可能である。
[0075] その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、前記開示事項以外の種々の 変更を付加して実施可能であり、また、主軸ユニットと主軸ユニットを昇降駆動する昇 降駆動機構とを備えた種々の工作機械に本発明を適用可能である。