WO2007072733A1

WO2007072733A1 - 冷凍機油組成物、これを用いた冷凍機用圧縮機及び冷凍装置

Info

Publication number: WO2007072733A1
Application number: PCT/JP2006/324955
Authority: WO
Inventors: Masato Kaneko; Hiroaki Koshima
Original assignee: Idemitsu Kosan Co., Ltd.
Priority date: 2005-12-20
Filing date: 2006-12-14
Publication date: 2007-06-28
Also published as: EP1967573B1; KR20080079266A; EP1967573A4; KR101333963B1; US8137577B2; CN101341234B; JP2007169396A; EP1967573A1; US20090277212A1; CN101341234A; JP4885534B2

Abstract

　本発明は、鉱油及び合成油から選ばれる少なくとも１種である基油に、イミド化合物を冷凍機油組成物全量基準で０．０１～５質量％含むことを特徴とする冷凍機油組成物、これを用いた圧縮機及び冷凍装置であり、スラッジ分散性と冷凍機用圧縮機のアルミニウム及び／又は鉄からなる摺動部における摩耗、焼付け防止との双方を満足し得る冷凍機用組成物、これを用いた圧縮機及び冷凍装置を提供するものである。

Description

明細書

冷凍機油組成物、これを用いた冷凍機用圧縮機及び冷凍装置

技術分野

[0001] 本発明は、冷凍機油組成物、これを用いた冷凍機用圧縮機及び冷凍装置に関し、さらに詳しくは、基油に特定の化合物を添加した冷凍機油組成物、これを用いた冷凍機用圧縮機であって、アルミニウム及び Z又は鉄力なる摺動部に有機コーティング膜又は無機コーティング膜を摺動材としてコーティングした冷凍機用圧縮機及び冷凍装置に関する。

背景技術

[0002] 冷凍機用として用いられる圧縮機の各摺動部の潤滑性は、冷媒と相溶性のある冷凍機油によって確保されるものであるが、アルミニウム及び Z又は鉄力もなる摺動部における摩耗、焼付けの問題が依然としてあった。さらに、スラッジ分散性が低いことに因るキヤビラリ詰まりの問題もあった。

これに対し、特許文献 1において、特定のポリエーテル類力もなる基油にアルキルホスフォロチォネート類、ァリールホスフォロチォネート類等のホスフォロチォネート類を含む冷凍機油組成物を用いることが提案されて、る。

また、特許文献 2において、鉱油及び Z又は合成油に、チオールを 0. 05〜5重量 %の割合で含有する摺動部材用潤滑油組成物が提案されている。

しかしながら、スラッジ分散性と摺動部における摩耗、焼付け防止性能との双方を満足するまでには至らな力つた。

そこで、冷凍機油を更に改良することにより、あるいは冷凍機油と摺動材との双方を改良することにより、スラッジ分散性と摺動部における摩耗、焼付け防止性能との双方を満足する冷凍機潤滑システムを確立することが要望されている。

[0003] 特許文献 1 :特開 2000— 17282号公報

特許文献 2：特開平 5 - 117680号公報

発明の開示

[0004] 本発明は、前記の課題を解決するためになされたもので、スラッジ分散性と冷凍機用圧縮機のアルミニウム及び z又は鉄力なる摺動部における摩耗、焼付け防止との双方を満足し得る冷凍機用組成物、これを用いた圧縮機及び冷凍装置を提供することを目的とするものである。

本発明者らは、前記目的を達成するために、鋭意研究を重ねた結果、特定の組成の冷凍機油組成物を用いることにより、さらに、特定の組成の冷凍機油組成物と、圧縮機構部を構成する部材の少なくとも一部の摺動部にコーティングする特定の摺動材とを組み合わせることによって、前記課題を解決し得ることを見出した。本発明はか力る知見に基づいて完成されたものである。

すなわち、本発明は、（1)鉱油及び合成油から選ばれる少なくとも 1種である基油に、イミド化合物を冷凍機油組成物全量基準で 0. 01〜5質量％含むことを特徴とする冷凍機油組成物、（2)鉱油及び合成油から選ばれる少なくとも 1種である基油に、イミドィ匕合物を冷凍機油組成物全量基準で 0. 01〜5質量％含む冷凍機油組成物を用いる圧縮機であって、圧縮機構部を構成する部材のアルミニウム及び Z又は鉄からなる摺動部に、窒素原子、酸素原子及び Z又は硫黄原子を含む榭脂をバインダーとし、二硫化モリブデン、フッ素含有榭脂、黒鉛及びカーボンブラックカゝら選ばれる少なくとも 1種を含む潤滑皮膜形成用組成物がコーティングされていることを特徴とする冷凍機用圧縮機、及び (3)圧縮機、放熱器、膨張機構及び蒸発器を含む冷凍回路に、二酸化炭素、ハイド口フルォロカーボン、ハイド口カーボン及びアンモニアから選ばれる冷媒を循環させる冷凍装置であって、圧縮機に用いる冷凍機油組成物力鉱油及び合成油から選ばれる 40°Cの動粘度 2〜500mm²Zsである基油に、イミドィ匕合物を組成物全量基準で 0. 01〜5質量％含む冷凍機油組成物を使用し、かつ、バインダ一としてポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンゾァゾール、ポリフエ-レンスルフイド及びポリアセタール力なる群力選ばれる少なくとも 1種を含む樹脂と、二硫ィ匕モリブデン、フッ素含有榭脂、黒鉛及びカーボンブラック力も選ばれる少なくとも 1種とを含有する潤滑皮膜形成用組成物をアルミニウム及び Z又は鉄カゝらなる摺動部にコーティングした圧縮機であることを特徴とする冷凍装置、を提供するものである。

発明を実施するための最良の形態 [0006] 本発明の冷凍機油組成物は、基油として、鉱油及び合成油から選ばれる少なくとも 1種が用いられる。鉱油としては、ナフテン鉱油、ノフィン鉱油が挙げられる。一方、合成油としては、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ポリ一 α—ォレフイン、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンモノエーテル、ポリオキシアルキレンジェ一テル、ポリビュルエーテル、ポリビュルエーテルポリアルキレングリコール共重合体、ポリオールエステル、ポリカーボネート等が挙げられる。

これらの鉱油又は合成油の内、ポリビュルエーテル、ポリアルキレングリコール、ポリォキシアルキレンモノエーテル、ポリオキシアルキレンジエーテル、ポリビニルエーテルーポリアルキレングリコール共重合体、ポリオールエステル及びポリカーボネートが好ましい。

[0007] 本発明の冷凍機油組成物に用いる基油の 40°Cの動粘度は、 2〜500mm²Zsが好ましぐ 3〜300mm²Zsがさらに好ましい。 2mm²Zs以上であれば潤滑性が良好であり、 500mm²Zs以下であれば粘性抵抗が小さく省エネルギー性に優れると共に油戻りも良好である。

[0008] 本発明の冷凍機油組成物に配合されるイミド化合物として、モノイミド、ビスイミド及び Z又分子内にイミド基を 3個以上有するポリイミドィ匕合物が好ましい。

本発明の冷凍機油組成物は、これらのイミドィ匕合物の 1種以上を冷凍機油組成物全量基準で 0. 01〜5質量％、好ましくは 0. 1〜4質量％、特に好ましくは 0. 2〜2質量％含むものである。 0. 01質量％未満では潤滑性ゃスラッジ分散性が劣り、 5質量 %を超えると安定性が劣るからである。

[0009] モノイミドとしては、フタルイミド、グルタルイミド、コハク酸イミド、ノ-ルフタルイミド、ノ-ルグルタルイミド、ラウリルグルタルイミド、ノ -ルコハク酸イミド、ラウリルコハク酸ィミド、ォレイルコハク酸イミド、ステアリルコハク酸イミド、ポリブテュルコハク酸イミド、 N — ( (1, 2 エチレンジァミン）モノエチレン） 3— (2 ノエル)スクシンイミド、 N— ( ( 1, 2—エチレンジァミン）モノエチレン） 3— (2—ラウリル)スクシンイミド、 N- ( (l, 2 エチレンジァミン）モノエチレン） 3— (2—ォクタデセ -ル)スクシンイミド、 N— ( ピぺラジンモノエチレン） 3— (2 ラウリル)スクシンイミド、 N— (ピペラジンモノェチレン） 3— (2 へキサデセ -ル)スクシンイミド、 N- ( (l, 2 エチレンジァミン）モノエチレン） 3— (2 ノエル)スクシンイミドのホウ酸塩、 N— ( (1, 2 エチレンジアミン）モノエチレン）ー3—（2 ラウリル)スクシンイミドのホウ酸塩及び N— ( (1, 2 ビスージヒドロキシボ口エチレンジァミノ）モノエチレン）ー3—（2—ォクタデセ -ル)スクシンイミドが好適に挙げられる。

[0010] また、ビスイミドとしては、ノ -ルコハク酸ビスイミド、ラウリルコハク酸ビスイミド、ォレィルコハク酸ビスイミド、ステアリルコハク酸ビスイミド、ポリブテュルコハク酸ビスイミド、 2, 2 '—ビス（3—（2 ノ -ル)スクシンィミノ）ジェチルァミン、 2, 2 '—ビス（3— (2— ラウリル)スクシンィミノ）ジェチルァミン及び 2, 2 '—ビス（3—（2—ォクタデセ -ル)スクシンィミノ)ジェチルァミンが好適に挙げられる。

さらに、分子内にイミド基を 3個以上有するポリイミドィ匕合物を用いてもよい。

[0011] これらのイミド化合物の内、ノ-ルフタルイミド、ラウリルグルタルイミド、ォレイルコノヽク酸イミド、ポリブテュルコハク酸イミド、ノ -ルコハク酸ビスイミド、ォレイルコハク酸ビスイミド、 N— ( (1, 2 エチレンジァミン）モノエチレン） 3—（2 ラウリル)スクシンィミド、 N— ( (1, 2 エチレンジァミン）モノエチレン） 3— (2 ラウリル)スクシンイミドのホウ酸塩、 N— (ピペラジンモノエチレン） 3—（2 ラウリル)スクシンイミド及び 2, 2 '—ビス（3—（2 ラウリル)スクシンィミノ)ジェチルァミン力潤滑性とスラッジ分散性に優れ、特に好ましい。

[0012] 本発明の冷凍機油組成物は、必要に応じ公知の各種の添加剤を配合することができる。本発明の冷凍機油組成物においては、極圧剤としてリン酸エステル類を含有することが好ましい。ここで、リン酸エステル類とは、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、亜リン酸エステル、酸性亜リン酸エステル、及びそれらのアミン塩を包含する。

[0013] リン酸エステルとしては、トリアリールホスフェート，トリアルキルホスフェート，トリアルキルァリールホスフェート，トリアリールアルキルホスフェート，トリアノレケニノレホスフエート等があり、具体的には、例えばトリフエ-ルホスフェート，トリクレジルホスフェート，ベンジノレジフエ-ノレホスフェート，ェチノレジフエ-ノレホスフェート，トリブチノレホスフエート，ェチノレジブチノレホスフェート，クレジノレジフエ二ノレホスフェート，ジクレジノレフエ二ノレホスフェート，ェチノレフエ-ノレジフエ-ノレホスフェート，ジェチノレフェ-ノレフエ-ノレホスフェート，プロピノレフエ-ノレジフエ-ノレホスフェート，ジプロピノレフエ-ノレフエ-ノレホスフエート，トリェチノレフエ-ノレホスフェート，トリプロピノレフエ-ノレホスフェート，ブチノレフエニルジフエニルホスフェート，ジブチルフエ-ルフエ-ルホスフェート，トリブチルフエ二ノレホスフェート，トリへキシルホスフェート，トリ（2—ェチルへキシル）ホスフエ一ト，トリデシルホスフェート，トリラウリルホスフェート，トリミリスチルホスフェート，トリパルミチルホスフェート，トリステアリルホスフェート，トリオレィルホスフェート等を挙げることができる。

[0014] 酸性リン酸エステルとしては、具体的には、例えば 2—ェチルへキシルアシッドホスフェート，ェチルアシッドホスフェート，ブチルアシッドホスフェート，ォレイルアシッドホスフェート，テトラコシルアシッドホスフェート，イソデシルアシッドホスフェート，ラウリルアシッドホスフェート，トリデシルアシッドホスフェート，ステアリルアシッドホスフエ一ト，イソステアリルアシッドホスフェート等を挙げることができる。

[0015] 亜リン酸エステルとしては、具体的には、例えばトリェチルホスファイト，トリブチルホスフアイト，トリフエ-ルホスフアイト，トリクレジルホスファイト，トリ（ノ -ルフエ-ル）ホスファイト，トリ（2—ェチルへキシル）ホスファイト，トリデシルホスフアイト，トリラウリルホスファイト，トリイソォクチルホスファイト，ジフエ-ルイソデシルホスファイト，トリステアリルホスファイト，トリオレィルホスファイト等を挙げることができる。

[0016] 酸性亜リン酸エステルとしては、具体的には、例えばジブチルノヽイドロゲンホスファイト，ジラウリルハイドロゲンホスファイト，ジォレイルハイドゲンホスファイト，ジステアリルハイドロゲンホスファイト，ジフエ-ルハイドロゲンホスファイト等を挙げることができる。以上のリン酸エステル類の中で、ォレイルアシッドホスフェート，ステアリルァシッドホスフェートが好適である。

[0017] 上述のリン酸エステル、酸性リン酸エステル、亜リン酸エステル又は酸性亜リン酸ェステルアミン塩に用いられるアミンを以下に例示する。

モノ置換ァミンの例としては、ブチルァミン，ペンチルァミン，へキシルァミン，シクロへキシルァミン，ォクチルァミン，ラウリルァミン，ステアリルァミン，ォレイルァミン，ベンジルアミン等を挙げることができ、ジ置換ァミンの例としては、ジブチルァミン，ジぺンチルァミン，ジへキシルァミン，ジシクロへキシルァミン，ジォクチルァミン，ジラゥリルァミン，ジステアリルァミン，ジォレイルァミン，ジベンジルァミン，ステアリル'モノエタノールァミン，デシル 'モノエタノールァミン，へキシル 'モノプロパノールァミン，ベンジル 'モノエタノールァミン，フエ-ル 'モノエタノールァミン，トリル'モノプロパノール等を挙げることができる。また、トリ置換ァミンの例としては、トリプチルァミン，トリべンチルァミン，トリへキシルァミン，トリシクロへキシルァミン，トリオクチルァミン，トリラウリルァミン，トリステアリルァミン，トリオレィルァミン，トリベンジルァミン，ジォレイル 'モノエタノールアミン，ジラウリル'モノプロパノールァミン，ジォクチル'モノエタノールァミン，ジへキシル 'モノプロパノールァミン，ジブチル 'モノプロパノールァミン，ォレイル.ジエタノールァミン，ステアリル 'ジプロパノールァミン，ラウリル 'ジエタノールアミン，ォクチル'ジプロパノールァミン，ブチル 'ジエタノールァミン，ベンジル 'ジェタノールァミン，フエ二ル'ジエタノールァミン，トリル 'ジプロパノールァミン，キシリル'ジエタノールァミン，トリエタノールァミン，トリプロパノールアミン等を挙げることができる

[0018] また、本発明の冷凍機油組成物は、酸化防止剤、酸捕捉剤を含有することが好ましい。

酸ィ匕防止剤としては、フエノール系、ァミン系の酸ィ匕防止剤が挙げられ、具体的には、 2, 6 ジ— tert ブチル 4—メチルフエノール（DBPC)、 2, 6 ジ— tert—ブチルー 4 ェチルフエノール、 2, 2，ーメチレンビス（4ーメチルー 6—tert—ブチルフェノール）、 2, 4 ジメチルー 6 tert ブチルフエノール、 2, 6 ジ—tert ブチルフエノール等のフエノール系、 N, N，一ジイソプロピル一 p フエ-レンジァミン、 N, N，一ジ一 sec ブチル p フエ二レンジァミン、フエニル一 a—ナフチルァミン、 N . N，ージ—フエ-ルー p—フエ-レンジァミン等のアミン系の酸化防止剤を配合するのが好ましい。酸化防止剤は、効果及び経済性等の点から、組成物中に通常 0. 01 〜5質量％、好ましくは 0. 05〜3質量％配合する。

[0019] 酸捕捉剤としては、例えばフエ-ルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、アルキレングリコールグリシジルエーテル、シクロへキセンォキシド、 aーォレフィンォキシド、エポキシィ匕大豆油等のエポキシィ匕合物を挙げることができる。中でも相溶性の点でフエ-ルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、アルキレングリコールグリシジルエーテル、シクロへキセンォキシド、 _aーォレフインォキシドが好ましい。

このアルキルグリシジルエーテルのアルキル基、及びアルキレングリコールグリシジルエーテルのアルキレン基は、分岐を有していてもよぐ炭素数は通常 3〜30、好ましくは 4〜24、特に 6〜16のものである。また、 a—ォレフインォキシドは全炭素数が一般〖こ 4〜50、好ましくは 4〜24、特に 6〜16のものを使用する。本発明においては、上記酸捕捉剤は 1種用いてもよぐ 2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その配合量は、効果及びスラッジ発生の抑制の点から、組成物に対して、通常 0. 005 〜5質量％、特に 0. 05〜3質量％の範囲が好ましい。

[0020] その他、本発明の冷凍機油組成物には、従来潤滑油に用いられる公知の添加剤を含有することができ、例えば、上記記載以外の極圧剤を含有することができる。該極圧剤としては、例えば、モノスルフイド類、ポリスルフイド類、スルホキシド類、スルホン類、チォスルフィネート類、硫化油脂、チォカーボネート類、チォフェン類、チアゾール類、メタンスルホン酸エステル類等の有機硫黄ィ匕合物系のもの、チォリン酸トリエステル類等のチォリン酸エステル系のもの、高級脂肪酸，ヒドロキシァリール脂肪酸類，多価アルコールエステル類，アクリル酸エステル類等のエステル系のもの、塩素化炭化水素類，塩素化カルボン酸誘導体等の有機塩素系のもの、フッ素化脂肪族カルボン酸類、フッ素化工チレン榭脂、フッ素化アルキルポリシロキサン類、フッ素ィ匕黒鉛等の有機フッ素化系のもの、高級アルコール等のアルコール系のもの、ナフテン酸塩類 (ナフテン酸鉛等)、脂肪酸塩類 (脂肪酸鉛等)、チォリン酸塩類 (ジアルキルジチォリン酸亜鉛等）、チォカルバミン酸塩類、有機モリブデン化合物、有機スズ化合物、有機ゲルマニウム化合物、ホウ酸エステル等の金属化合物系のもの等が挙げられる。

その他、ベンゾトリアゾールやその誘導体等の銅不活性化剤等を適宜配合すること力 Sできる。また、耐荷重添加剤、塩素捕捉剤、清浄分散剤、粘度指数向上剤、油性剤、防鲭剤、腐食防止剤、流動点降下剤、消泡剤等を所望に応じて添加することができる。これらの添加剤は、通常、冷凍機油組成物全量基準で 0. 1〜10質量％、好ましくは 0. 5〜10質量％含有される。

[0021] 本発明においては、冷凍機用圧縮機の圧縮機構部を構成する部材の少なくとも一部のアルミニウム及び z又は鉄力なる摺動部に、摺動材をコーティングすることを特徴とする。この摺動材として、有機コーティング膜又は無機コーティング膜が好適に用いられる。

[0022] 上述の有機コーティング膜が、熱変形温度が 100°C以上の榭脂をバインダーとし、固体潤滑剤を含む潤滑皮膜形成用組成物カゝらなることが更に好ましい。

ここで、熱変形温度（HDT:Heat Distortion Temperature)とは、一定の荷重をかけた状態で、一定速度で昇温したときにプラスチックが変形する温度をいい、本発明においては、熱変形温度試験 ASTM D648 (l. 8MPa)による温度で示す。

[0023] また、無機コーティング膜としては、黒鉛、ダイヤモンドライクカーボン (DLC)、炭化チタン (TiC)、窒化ボロン (BN)等の無機材料膜及び Z又は金属メツキ膜が好適に用いられる。金属メツキ膜としては、ニッケルメツキ、モリブデンメツキ、スズメツキ、クロムメツキ、力-フロンメツキ、力-ゼンメツキ、鉄系合金メッキ、アルミニウム系合金メッキ及び銅系合金メッキ力もなる群力も選ばれる少なくとも 1種であることが好ましい。これらの無機材料膜及び金属メツキ膜の製法としては、真空蒸着法が好ましい。真空蒸着法として、プラズマ CVD方式等の化学蒸着 (CVD)法や、イオンプレーティング方式やスパッター方式等の物理蒸着 (PVD)法が挙げられる。また、金属メツキ膜の製法としては、電解メツキや無電解メツキを用いてもょ、。

[0024] 本発明において、摺動材として、上述の潤滑皮膜形成用組成物を用いれば、上述のイミド化合物との交互作用により冷凍機用圧縮機の起動時及び運転時におけるァルミ-ゥム及び Z又は鉄力もなる摺動部の潤滑性が大幅に向上し、特に好ましい。

[0025] 上述の潤滑皮膜形成用組成物に用いるバインダーとしては、熱変形温度が 100°C 以上の榭脂であることが好ましぐ熱変形温度が 150°C以上であることがより好ましく、さらには 200°C以上、特には 250°C以上であることが好ましい。

具体的には、窒素原子、酸素原子及び Z又は硫黄原子を含む樹脂が好ましぐェポキシ榭脂、フエノール榭脂、フッ素含有榭脂、不飽和ポリエステル、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフエ-レンスルフイド、ポリべンゾァゾール等が挙げられる力特に、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾァゾール、ポリフエ-レンスルフイド及びポリアセタールが熱安定性に優れてヽる点で好まヽ。

ポリアミドとしては、芳香族ポリアミド、ポリエーテルアミド及びこれらの変性体等が挙げられ、ポリイミドとしては、芳香族ポリイミド、ポリエーテルイミド、及びこれらの変性体等が挙げられ、ポリアミドイミドとしては、芳香族ポリアミドイミド及びこれらの変性体等が挙げられる。また、ポリべンゾァゾールとしては、ポリべンゾイミダゾール等が好適に挙げられる。これらの榭脂は 1種単独で又は 2種以上を混合して用いることができる。本発明におヽて好適には、上記バインダーは潤滑被膜形成用組成物に含有され、圧縮機構部を構成する部材の少なくとも一部のアルミニウム及び Z又は鉄力なる摺動部にコーティングされる。該潤滑被膜形成用組成物中のノインダ一の含有量は

、該組成物全量基準で 20〜： LOO質量％の範囲であることが好ましい。 20質量％以上であると、後述する固体潤滑剤を潤滑被膜中に強固に保持することができ、十分な潤滑性が得られる。なお、固体潤滑剤を配合する上では、潤滑被膜形成用組成物中のバインダーの含有量は、 20〜80質量⁰ /₀の範囲であることがさらに好ましい。

[0026] 次に、固体潤滑剤としては、固体状態で潤滑性を示すものであれば特に制限はなぐ具体的には、黒鉛、カーボンブラック、二硫ィ匕モリブデン、硫化タングステン、フッ素含有ポリマー (特に、フッ素含有樹脂）、窒化ホウ素、グラフアイト等が挙げられ、これらのうち、二硫化モリブデン、フッ素含有榭脂、黒鉛及びカーボンブラックが好ましい。これらの固体潤滑剤は、 1種単独で又は 2種以上を混合して使用することができる。

固体潤滑剤の潤滑被膜中における平均粒子径は特に限定されるものではなヽが、 1〜： LOO μ mの範囲が緻密な潤滑皮膜を形成する点力も好ま U、。

固体潤滑剤の含有量は、上記バインダー榭脂 100質量部に対して、 20〜80質量部の範囲であることが好ましい。 20質量部以上であると十分な潤滑性が得られ、 80 質量部以下であると、ノインダ一の含有量が減少することによる、潤滑被膜中での固体潤滑剤の保持性が低下せず、固体潤滑剤の摩耗や剥離が生じない。さらに好ましくは、固体潤滑剤の含有量が、バインダー榭脂 100質量部に対して、 30〜70質量部の範囲である。

[0027] また、潤滑被膜形成用組成物には、皮膜形成補助剤を添加することが好ましい。皮膜形成補助剤としては、例えば、エポキシ基を持つ化合物、シランカップリング剤等が好適に挙げられ、固体潤滑剤の保持性を向上させることができる。

前記バインダー榭脂に対する皮膜形成補助剤の含有量は、バインダー榭脂と皮膜形成補助剤の質量比として、 99 : 1〜70： 30の範囲が好ましい。

[0028] 潤滑被膜形成用組成物には、必要に応じ公知の各種の添加剤を配合することができる。例えば、トリクレジルホスフェート（TCP)等のリン酸エステルやトリ（ノ -ルフエ- ル)ホスファイト等の亜リン酸エステル等の極圧剤；フエノール系、ァミン系の酸ィ匕防止剤；フエ-ルグリシジルエーテル、シクロへキセンォキシド、エポキシ化大豆油等の安定剤；ベンゾトリアゾールやその誘導体等の銅不活性化剤等を適宜配合することができる。これらの他、耐荷重添加剤、塩素捕捉剤、清浄分散剤、粘度指数向上剤、油性剤、防鲭剤、腐食防止剤、流動点降下剤等を所望に応じて添加することができる。これらの添加剤は、通常、潤滑被膜形成用組成物全量基準で 0. 1〜10質量％、好ましくは 0. 5〜10質量％含有される。

[0029] 潤滑被膜の膜厚に関しては、本発明の効果を奏する範囲で特に限定されないが、 2〜50 μ mの範囲であることが好ましい。 2 μ m以上であると十分な潤滑性が確保され、 50 m以下であると耐疲労性が維持される。以上の観点から、潤滑被膜の膜厚は 4〜25 μ mの範囲であることがさらに好ましい。

上記潤滑被膜形成用組成物は、圧縮機構部を構成する少なくとも一部の部材のァルミ-ゥム及び Z又は鉄力なる摺動部にコーティングされる力コーティング方法としては特に限定はなぐ例えば、有機溶媒に前記バインダーを溶解させ、固体潤滑剤を分散させて潤滑被膜形成用組成物を調製した後、該組成物をアルミニウム及び Z又は鉄力なる摺動部に直接塗布する方法、該組成物にアルミニウム及び Z又は鉄力なる摺動部を浸漬する方法等が挙げられる。アルミニウム及び Z又は鉄力なる摺動部に塗布等された組成物は溶媒を、乾燥等の方法により除去して、潤滑皮膜が形成される。

[0030] 本発明の冷凍機油は、種々の冷媒に用いることができる。二酸化炭素冷媒、ハイド口カーボン系冷媒、アンモニア系冷媒、ハイド口フルォロカーボン系冷媒等に好適に使用することができる。これらの冷媒のうち、特に二酸化炭素冷媒に好適に用いられる。

[0031] 次に、本発明において冷凍機用圧縮機は、上述の冷凍機油組成物を用いる圧縮機であって、圧縮機構部を構成する部材のアルミニウム及び z又は鉄力なる摺動部に、窒素原子、酸素原子及び Z又は硫黄原子を含む榭脂をバインダーとし、ニ硫化モリブデン、フッ素含有榭脂、黒鉛及びカーボンブラックカゝら選ばれる少なくとも 1 種を含む潤滑皮膜形成用組成物がコーティングされてヽることが好まヽ。ここで、圧縮機の圧縮機構が、スクロール、ロータリー、スイング及びピストン式力なる群から選ばれる少なくとも 1種であることが好ましい。また、圧縮機構部を構成する部材とは、例えば、往復動ピストン式圧縮機にあっては、ピストン、シリンダー等をいい、これらの部材のアルミニウム及び Z又は鉄力なる摺動部に前記潤滑皮膜形成用組成物をコーティングし、前記冷凍機油組成物を用いることで、これらのアルミニウム及び Z又は鉄力なる摺動部の潤滑性を確保するものである。

[0032] また、本発明は上記圧縮機、放熱器、膨張機構及び蒸発器を含む冷凍回路に二酸化炭素、ハイド口フルォロカーボン、ハイド口カーボン及びアンモニアから選ばれる冷媒を循環させる冷凍装置をも包含するものである。

そして、この冷凍装置のシステム内の水分含有量が 300ppm以下であること力加水分解や腐食を抑えるためにより好ましい。また、残存空気が 50ppm以下であること力酸ィ匕劣化を抑えるためにより好ましい。

実施例

[0033] 次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によつてなんら限定されるものではな!/、。

冷凍機油組成物の評価は、以下の方法により行った。

( 1)密閉ブロックオンリング摩耗試験

荷重 100N、回転数 1000rpm、時間 20分、温度 50°C、冷媒：二酸化炭素、冷媒圧： lMPa、ブロック Zリング =A4032Zモ-クロ铸鉄の条件で、ブロック摩耗巾（m m)を評価した。

(2)分散性試験

各供試油にノリウムスルホネート系防鲭剤 0. 5%を混合し、— 5°Cに保持し、析出の有無を比較した。

[0034] 実施例 1〜15及び比較例 1〜3

表 1に示す配合内容により、 18種類の冷凍機油組成物を調製した。上記方法に従つて評価した結果を表 1に示す。

[0035] [表 1]

表 1により明らかなごとぐ本発明の冷凍機油組成物は、冷凍機用圧縮機のアルミ

-ゥム及び Z又は鉄力なる摺動部における摩耗、焼付け防止性能とスラッジ分散性との双方に優れるものである。

[0037] 次に、圧縮機構部を構成する部材のアルミニウム及び Z又は鉄力もなる摺動部に、ポリアミドイミドをバインダーとし、固体潤滑剤として二硫ィ匕モリブデン及びポリテトラフルォロエチレン（PTFE)を、ポリアミドイミド Z二硫化モリブデン ZPTFE= 100Z25 /25 (質量部）の比率で用いた潤滑皮膜形成用組成物を、厚さが 30 μ mとなるように塗布した後、膜厚を10〜20 111、表面粗さ Rz (10点平均粗さ）を 3. 以下となるように加工した冷凍機用圧縮機に実施例 1〜 15の 15種類の冷凍機油組成物を夫々用いて運転し、冷凍機用圧縮機の起動時及び運転時におけるアルミニウム摺動部及び鉄摺動部の潤滑性を評価した所、いずれの摺動部においても、実施例 1〜1 5の冷凍機油組成物は優れて、た。

産業上の利用可能性

[0038] 本発明の冷凍機油組成物、これを用いた圧縮機及び冷凍装置は、開放型、半密閉型及び密閉型冷凍機に用いられ、カーエアコン、ガスヒートポンプ、空調設備、冷蔵庫、自動販売機、ショーケース等の冷凍システム、給湯システム及び床暖房システムに好適に用いられる。

Claims

請求の範囲

[1] 鉱油及び合成油から選ばれる少なくとも 1種である基油に、イミド化合物を冷凍機油組成物全量基準で 0. 01〜5質量％含むことを特徴とする冷凍機油組成物。

[2] 基油がナフテン鉱油、パラフィン鉱油、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ポリ aーォレフイン、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンモノエーテル、ポリオキシアルキレンジエーテル、ポリビニルエーテル、ポリビニルエーテルポリアルキレングリコール共重合体、ポリオールエステル、ポリカーボネートからなる群から 1種以上選ばれる請求項 1に記載の冷凍機油組成物。

[3] 基油の 40°Cの動粘度が 2〜500mm²Zsである請求項 1又は 2に記載の冷凍機油組成物。

[4] イミドィ匕合物がモノイミド、ビスイミド及び分子内にイミド基を 3個以上有するポリイミド化合物からなる群から 1種以上選ばれる請求項 1〜3のいずれかに記載の冷凍機油組成物。

[5] さらに、リン酸エステル類を含有する請求項 1〜4のいずれかに記載の冷凍機油組成物。

[6] さらに、酸化防止剤及び酸捕捉剤から選ばれる少なくとも 1種を含有する請求項 1 〜5の、ずれかに記載の冷凍機油組成物。

[7] 鉱油及び合成油から選ばれる少なくとも 1種である基油に、イミド化合物を冷凍機油組成物全量基準で 0. 01〜5質量％含む冷凍機油組成物を用いる圧縮機であって、圧縮機構部を構成する部材のアルミニウム及び Ζ又は鉄力なる摺動部に、窒素原子、酸素原子及び Ζ又は硫黄原子を含む榭脂をバインダーとし、二硫化モリブデン、フッ素含有榭脂、黒鉛及びカーボンブラックカゝら選ばれる少なくとも 1種を含む潤滑皮膜形成用組成物がコーティングされていることを特徴とする冷凍機用圧縮機。

[8] 圧縮機が、二酸化炭素、ハイド口フルォロカーボン、ハイド口カーボン及びアンモ- ァから選ばれる冷媒を圧縮するものである請求項 7に記載の冷凍機用圧縮機。

[9] 圧縮機の圧縮機構が、スクロール、ロータリー、スイング及びピストン式力もなる群から選ばれる少なくとも 1種である請求項 7又は 8に記載の冷凍機用圧縮機。

[10] 圧縮機、放熱器、膨張機構及び蒸発器を含む冷凍回路に、二酸化炭素、ハイド口フルォロカーボン、ハイド口カーボン及びアンモニア力選ばれる冷媒を循環させる冷凍装置であって、圧縮機に用いる冷凍機油組成物が、鉱油及び合成油から選ばれる 40°Cの動粘度 2〜500mm²Zsである基油に、イミド化合物を組成物全量基準で 0. 01〜5質量％含む冷凍機油組成物を使用し、かつ、バインダーとしてポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンゾァゾール、ポリフエ二レンスルフイド及びポリアセタール力なる群力選ばれる少なくとも 1種を含む樹脂と、二硫ィ匕モリブデン、フッ素含有榭脂、黒鉛及びカーボンブラックカゝら選ばれる少なくとも 1種とを含有する潤滑皮膜形成用組成物をアルミニウム及び Z又は鉄力なる摺動部にコーティングした圧縮機であることを特徴とする冷凍装置。