WO2007046441A1

WO2007046441A1 - ペットフード

Info

Publication number: WO2007046441A1
Application number: PCT/JP2006/320778
Authority: WO
Inventors: Tsutomu Shiba; Tomoshige Umeda; Kazuya Otsuji; Takeshi Ban
Original assignee: Kao Corporation
Priority date: 2005-10-18
Filing date: 2006-10-18
Publication date: 2007-04-26
Also published as: DE602006020903D1; EP1946651A1; US20090148560A1; EP1946651B1; EP1946651A4

Abstract

　（Ａ）油脂、並びに（Ｂ）炭水化物源として加工デンプン、大麦、ソルガム、コーン及び高アミロースデンプンから選択される１種又は２種以上を含有し、全油脂中のジアシルグリセロール含有量が２０重量％以上であるペットフード。　本発明のペットフードは、肥満の防止又は抑制効果に優れるとともに、摂取性が低下せず、かつ便の状態に影響を与えない。

Description

明細書

へッフード

技術分野

[0001] 本発明は、ペットフードに関する。

背景技術

[0002] ペットブームによりペットの飼育数は増大しており、それに伴いペットの高齢化、運動不足、栄養過多等によりペットの肥満、糖尿病、肝臓疾患等のヒトにおける成人病が増大している。また、避妊手術後のホルモンバランスの狂いによって肥満する犬や猫が多くなつている。

[0003] このような肥満や体重増加を防止するためのペットフードが数多く開発されている。

例えば、アミラーゼ阻害物質である月桂樹葉の抽出物 (特許文献 1)、ヘスペリジン等のリパーゼ阻害物質 (特許文献 2)、ま、たけ粉末又は Z及びま、たけ抽出物 (特許文献 3)等を配合したペットフードが知られている。また、ペットフードに限った技術ではな!/、が、アミロースを高含有した穀粉により脂質代謝を改善すると!、う技術 (特許文献 4)、ペットフードに高アミロースデンプンを一定量含有させた技術 (特許文献 5)がある。更に、食後の血糖反応を調整する穀粉として大麦、トウモロコシ、サトウモロコシを一定比でペットフードに含有させる技術 (特許文献 6)がある。

また、不飽和脂肪酸含量の高、油脂 (特許文献 7)等を配合したペットフードが知られている。また、抗肥満効果を訴求し、ジァシルグリセロール含量及び不飽和脂肪酸含量を高くした油脂を用い、かつミネラルを高配合した場合のペットフードの長期保存安定性を向上させようとした技術もある (特許文献 8)。

更に皮膚の免疫機能を改善するために、プロバイオテイクスとしてペットに乳酸菌を使用する技術 (特許文献 9)、炎症を改善するために、プロバイオテイクスとしてオリゴ糖を配合した組成物（特許文献 10)、ペットの活力を向上させるために、プロピオティック微生物とプレビォティックとしてフルクトオリゴ糖を組み合わせる方法 (特許文献 1 1)等の技術が提案されて、る。

特許文献 1：特開平 05— 192092号公報特許文献 2特開平 09 - 187230号公報

特許文献 3特開平 08 - 38069号公報

特許文献 4特開平 10 - 279487号公報

特許文献 5特開 2005- -095174号公報

特許文献 6特表 2002- - 510474号公報

特許文献 7特開平 06 - 217710号公報

特許文献 8特開 2005- - 204659号公報

特許文献 9特表 2004- - 510740号公報

特許文献 10：特表 2004— 529910号公報

特許文献 11：特表 2003 - 509074号公報

発明の開示

[0004] 本発明は、（A)油脂、並びに (B)炭水化物源としてカ卩エデンプン、大麦、ソルガム、コーン及び高アミロースデンプン力選択される 1種又は 2種以上を含有し、全油脂中のジァシルグリセロール含有量が 20重量％以上であるペットフードを提供するものである。

図面の簡単な説明

[0005] [図 1]ペットフード給餌後の血中中性脂肪濃度変化を示す図である。

[図 2]ペットフード給餌後の血中インシュリン濃度変化を示す図である。

[図 3]表 8に示す試験食給餌後の毛づゃ及び全体評価の結果を示す図である。発明の詳細な説明

[0006] し力しながら、前記の従来技術によるペットフードには特殊な物質が配合されていることからペットの摂取性が低下する、便の-オイが変化する等の現象が生じる場合がある。

[0007] 本発明は、肥満の防止又は抑制効果に優れるとともに、摂取性が低下せず、かつ便の状態に影響を与えないペットフードを提供することにある。

[0008] そこで本発明者らは、肥満防止効果に優れたペットフードを得るべく検討を行った。

従来から、インシュリンが血中の中性脂肪を体脂肪に蓄積するホルモンであること、また、血糖値の上昇力 Sインシュリンの分泌を促進することが知られている。即ち、食後に血中の中性脂肪濃度が上昇し、かつ同時に血糖値が上昇することにより、インシユリンが分泌され、血中の中性脂肪が体脂肪に蓄積する。よって、原因物質である中性脂肪濃度の上昇を抑制すると共に、インシュリンの分泌を抑制することにより体脂肪の蓄積をより効果的に抑えることができる。そこで、これらの濃度上昇を抑制する素材につ、て検討した結果、中性脂肪の上昇を抑制する素材としてジァシルグリセロールを、また、血糖値の上昇を抑制する剤として加工デンプン等の特定の炭水化物源とを組み合せて用いることにより、優れた肥満防止効果を有するペットフードが得られることを見出した。

[0009] 本発明のペットフードは、ペットの肥満防止又は抑制効果、体重増加抑制効果に優れ、かつ摂取性が良好であることから、栄養のバランスを損ねることがない。また、ペットの便の状態や二オイも通常食と比べて変化がない。

[0010] 本発明のペットフードに用いられる油脂 (A)としては、サフラワー油、ォリーブ油、綿実油、コーン油、ナタネ油、大豆油、パーム油、ひまわり油、亜麻仁油、ごま油、鶏脂、ラード、牛脂、魚油、乳脂等が挙げられるが、油脂として配合したものに限られず、他の植物原料、又は動物原料中に油脂が含有されている場合にはこれも含む。油脂は本発明のペットフード中 1〜50重量％ (以下、単に「％」と記載）、更に 3〜40%、特に 5〜30%含有するの力肥満防止効果及び摂取性の点で好ま U、。

[0011] 本発明のペットフードは、全油脂中にジァシルグリセロールを 20%以上含有することが必要である。また、ジァシルグリセロールは、食後の血中中性脂肪濃度上昇抑制、肥満防止効果の点から、好ましくは全油脂中に 20〜85%、更に 25〜50%含有することが好ましい。

[0012] ジァシルグリセロールは、その構成脂肪酸の 80〜100%が不飽和脂肪酸 (UFA) であること力 S好ましく、より好ましくは 90〜： LOO%、更に 93〜： LOO%、特に 93〜98% 、殊更 94〜98%であるのが食後の血中中性脂肪濃度上昇抑制、肥満防止効果の点で好ましい。ここで、この不飽和脂肪酸の炭素数は 14〜24、更に 16〜22であるのが好ましい。

[0013] ジァシルグリセロールを構成する脂肪酸のうち、ォレイン酸の含有量は 20〜65%、更に 25〜60%、特に 30〜50%、殊更 30〜45%であるのが肥満防止効果及び摂取性の点で好ましい。

[0014] ジァシルグリセロールを構成する脂肪酸のうち、リノール酸の含有量は 15〜65%、更に 20〜60%、特に 30〜55%、殊更 35〜50%であるのが肥満防止効果及び摂取性の点で好ましい。更に、酸化安定性、肥満防止効果の点から、ジァシルグリセ口ール中のリノール酸 Zォレイン酸の含有重量比が 0. 01〜2. 0、更に 0. 1〜1. 8、特に 0. 3〜1. 7であることが好ましい。

[0015] ジァシルグリセロールを構成する脂肪酸のうち、リノレン酸の含有量は 15%未満、更に 0〜13%、特に 1〜10%、殊更 2〜9%であるのが肥満防止効果、摂取性、及び酸ィ匕安定性の点で好ましい。リノレン酸には、異性体として α—リノレン酸と γ—リノレン酸が知られているが、 α—リノレン酸が好ましい。

[0016] ジァシルグリセロールを構成する脂肪酸のうち、飽和脂肪酸 (SFA)の含有量は 20 %未満であることが好ましぐ更に 0〜10%、更に 0〜7%、特に 2〜7%、殊更 2〜6 %であるのが肥満防止効果、摂取性、及び酸ィ匕安定性の点で好ましい。飽和脂肪酸としては、炭素数 14〜24、特に 16〜22のものが好ましぐパルミチン酸、ステアリン酸が特に好ましい。

[0017] ジァシルグリセロールを構成する脂肪酸中、炭素数 12以下の脂肪酸の含有量は、風味、摂取性の点で 5%以下であるのが好ましぐ更に 0〜2%、特に 0〜1%、実質的に含まないのが殊更好ましい。残余の構成脂肪酸は炭素数 14〜24、特に 16〜2 2であるのが好ましい。

[0018] また、食後の血中中性脂肪濃度上昇抑制、肥満防止効果の点から、ジァシルグリセロール中の 1, 3—ジァシルグリセロールの割合が 50%以上、より好ましくは 52〜1 00%、更に 54〜90%、特に 56〜80%であるジァシルグリセロールを用いるのが好ましい。

[0019] ジァシルグリセロールは、上述した天然油脂中に含有されるものを含んでいても良いが、ジァシルグリセロールの含有量を調整するために、上述した油脂由来の脂肪酸とグリセリンとのエステルイ匕反応、油脂とグリセリンとのエステル交換反応等により得たものを配合することが好ましい。なお、ジァシルグリセロールは、アルカリ触媒等を用いたィ匕学反応によっても得ることができる力 1, 3—位選択的リパーゼ等の酵素を経て温和な条件の反応によって得たものであることが、酸化安定性、嗜好性の点で好ましい。

[0020] 本発明のペットフードにおける油脂中には、その他にトリァシルグリセロールが含まれ、また、若干のモノァシルグリセロール、遊離脂肪酸等が含まれていても良い。これらは、上述した天然油脂中に含有されるものの他、製造したジァシルグリセロール含有油脂、配合される植物原料、又は動物原料中に含まれる油脂に含有されるものも含む。

[0021] 本発明のペットフードにおいては、（B)炭水化物源として、加工デンプン、大麦、ソルガム、コーン及び高アミロースデンプン力選択される 1種又は 2種以上を含有する

[0022] 本発明のペットフードにおける加工デンプンとは、通常のデンプン、例えば、ヮキシ一コーンデンプン、コーンデンプン、小麦デンプン、米デンプン、糯米デンプン、馬鈴薯デンプン、甘露デンプン、タピオ力デンプン、サゴデンプン等に、化学的処理を施したもの、化学修飾したもの等をいう。加工デンプンの含有量は、炭水化物源中に 3%以上、更に 3〜30%、特に 3〜20%含有するの力経済性、食後の血糖値上昇抑制、食後のインシュリン濃度上昇抑制、肥満防止効果、摂取性及び便の状態の点力好ましい。

[0023] 具体的には、ァセチル化デンプン、オタテュルコハク酸化デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプン、ァセチル化アジピン酸架橋デンプン、ァセチル化リン酸架橋デンプン、酢酸デンプン、酸化デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプン、リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン等が挙げられる力デンプン力簡単な工程で、高純度で比較的安価に製造できる点、食後の血糖値上昇抑制、食後のインシュリン濃度上昇抑制、肥満防止効果、摂食性、安全性の点から、ァセチル化デンプン、ォクテニルコハク酸化デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプンが好まし、。

[0024] ァセチル化デンプンは、デンプン又は加工デンプンを通常の方法によりァセチルィ匕することにより得ることができる。具体的には無水酢酸、又は酢酸ビュルをデンプンに反応させること〖こより得ることができる。また、 Z— 700 (タピオ力由来、ァセチル化、日澱ィ匕学社）、 MT— 01B (タピオ力由来、ァセチル化、日本食品化工）、 ADIX— H (ヮキシーコーン由来、ァセチル化、日本食品化工）、マプス # 449 (ヮキシ一コーン由来、ァセチル化、日本食品化工)等の市販品を用いることもできる。ァセチルイ匕の程度としては、ァセチル価（デンプン中の無水グルコース 1残基当たりのァセチル基の数）力 SO. 001〜1であるの力 S好ましく、より好ましく ίま 0. 005〜0. 5であり、更に 0. 01〜0. 1であるのが好ましい。

[0025] オタテュルコハク酸化デンプンは、デンプン又は加工デンプンを通常の方法によりォクテニルコハク酸ィ匕することにより得ることができる。具体的にはオタテュルコハク酸無水物をデンプンに反応させることにより得ることができる。また、アミコール乳華 (タピオ力由来、オタテュルコハク酸化、日澱ィ匕学社)等の市販品を用いることもできる。オタテュルコハク酸化の程度としては、オタテュルコハク酸価（デンプン中の無水グルコース 1残基当たりのオタテュルコハク酸基の数）が 0. 001〜1であるのが好ましぐより好ましく ίま 0. 005〜0. 5であり、更に 0. 01〜0. 1であるの力好まし!/、。

[0026] ヒドロキシプロピル化デンプンは、デンプン又は加工デンプンを通常の方法によりヒドロキシプロピルィ匕することにより得ることができる。具体的にはプロピレンオキサイドをデンプンに反応させることにより得ることができる。また、ナショナルフリジエックス (タピオ力由来、ナショナルスターチアンドケミカル社）、ナショナル 1658 (コーン由来、ナショナルスターチアンドケミカル社）、サームフロー（ヮキシーコーン由来、ナショナルスターチアンドケミカル社）、サームテックス（ヮキシーコーン由来、ナショナルスターチアンドケミカル社)等の市販品を用いることもできる。ヒドロキシプロピルィ匕の程度としては、置換度（デンプン中の無水グルコース 1 残基当たりのヒドロキシプロピル基の数）力 SO. 001〜1であるの力 S好ましく、より好ましく ίま 0. 05〜0. 5であり、更に 0. 1 〜0. 3であるのが好ましい。

[0027] また、前記加工デンプンは、それぞれ他の加工処理を組み合わせることにより別の加工デンプンとしても良い。組み合わせることのできる加工処理としては酢酸、リン酸等のエステル化処理ゃヒドロキシプロピル化、カルボキシメチルエーテル化等によるエーテル化処理、トリメタリン酸塩、へキサメタリン酸塩、ォキシ塩化リン、アジピン酸、ェピクロルヒドリン等、常用の架橋剤を用いた架橋化処理、酸化処理、酸処理、漂白処理、湿熱処理、熱処理、酵素処理等が挙げられ、その内 1種又は 2種以上の加工を組み合わせても良い。中でも、エステルイ匕処理が好ましぐリン酸化処理、特にリン酸架橋処理が好ましい。リン酸化処理の程度としては、結合リン含量が 0. 0001〜2 o/oの範囲力 S挙げ、られる力 0. 0001〜0. 5%,更に 0. 0001〜0. 2⁰/₀であるもの力 S 摂食性等の点力も好まし、。

[0028] 大麦はニ条大麦又は六条大麦のどちらでも良ぐ飼料用として使用されているこれらの混合物をも含む。大麦は炭水化物源中に 5%以上、更に 5〜80%、特に 10〜7 0%含有するのが、経済性、食後の血糖値上昇抑制、食後のインシュリン濃度上昇抑制、肥満防止効果、摂取性及び便の状態の点力好ましい。

[0029] ソルガムとはイネ科の植物であり、別名コゥリヤンと称されるものの他、別名ホウキモ口コシと称されるブルームコーン、別名サトウモロコシと称されるスウイ一トソルガム、別名マイ口と称されるグレインソルガム等がある。ソルガムは、炭水化物源中に 3%以上、更に 3〜60%、特に 5〜50%含有するの力経済性、食後の血糖値上昇抑制、食後のインシュリン濃度上昇抑制、肥満防止効果、摂取性及び便の状態の点力好ましい。

[0030] コーンとは通常のトウモロコシをいう力これを粉にしたトウモロコシ粉のみならず、コーンスターチも含む。コーンは、炭水化物源中に 3%以上、更に 3〜60%、特に 5〜 50%含有するのが、経済性、肥満防止効果、摂取性及び便の状態の点力好ましい。

[0031] 高アミロースデンプンとは、アミロース含量力 0〜99%であるデンプンであり、特にハイアミロースコーンスターチ、六条皮麦の Glacier AC38、 su2トウモロコシ等が挙げられる。巿販品としては、ノ、ィアミロースコーンスターチアミ口メイ XV (アミロース含量が 50〜60%)、アミ口メイ XVI (アミロース含量が 60〜70%)、アミ口メイ XVII (アミロース含量が 70〜80%)以上日本食品加工社製、フアイポーズ（同約 70%)日澱ィ匕学社製、等のハイアミロースコーンスターチが挙げられる。

[0032] これらの高アミロースデンプンは、炭水化物源中に 3%以上、更に 3〜30%、特に 3 〜20%含有するのが、経済性、食後の血糖値上昇抑制、食後のインシュリン濃度上昇抑制、肥満防止効果、摂取性及び便の状態の点力好ましい。 [0033] 本発明のペットフードにおいては、加工デンプンと、高アミロースデンプン、コーン、大麦及びソルガム力選択される 1種又は 2種以上とを併用することが、食後の血糖値上昇抑制、食後のインシュリン濃度上昇抑制、肥満防止又は抑制効果、体重増加抑制効果、摂取性の点力好ましい。

[0034] 本発明のペットフードにおいては、炭水化物源として大麦と、ソルガム及び Z又は高アミロースデンプンとを含有する場合、肥満防止、摂食性、便の状態に影響を与えない点力好ましい。この場合、大麦の含有量が、ソルガム又は高アミロースデンプンに対して、それぞれ 5重量倍超であることが好ましい。すなわち、これらの重量比が大麦 Zソルガム > 5、及び Z又は、大麦 Z高アミロースデンプン> 5であるのが好ましい。より好ましい重量比は、大麦 Zソルガム≥ 5. 2、大麦 Z高アミロースデンプン≥ 5 . 2、更に好ましくは、大麦 Zソルガム≥ 5. 5、大麦 Z高アミロースデンプン≥ 5. 5である。

[0035] 本発明のペットフードに、更に (C)マルトオリゴ糖及び乳酸菌を含有させることにより、単にペットの体調を整え、健康を増進させるのみならず、ペットの毛づゃ等の外観をより健康的に、美しくするという効果が得られる。

[0036] 本発明のペットフードに用いられるマルトオリゴ糖は、グルコースが 3〜10分子、 (X

- 1, 4ダルコシド結合で直鎖状に重合したオリゴ糖である。グルコースが 2分子重合したマルトースは、天然には麦芽水飴の主成分として存在し、 3分子以上重合したマルトオリゴ糖も水飴中に含まれる。これらのマルトオリゴ糖のうち、特にグルコースの重合度が 4〜7であるもの、すなわち、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトへキソース力ペットの毛づゃ等の外観を良くする点力好ましい。

[0037] マルトオリゴ糖の製造法としては、特に制限されないが、例えば澱粉等力も酸、 (X

アミラーゼ等で部分加水分解する方法、特定の重合度のマルトオリゴ糖を特異的に生成する微生物起源のマルトオリゴ糖生成アミラーゼを利用する方法等により製造することができる。これらのマルトオリゴ糖はその用法、用途、剤型、その他目的に応じて精製すればよいが、内服する場合の投与量、あるいはその効果等を勘案して、できる限り高純度のマルトオリゴ糖を用いることが好ましい。糖全体に占めるマルトォリゴ糖の含有量は 30%以上、更に 50%以上、特に 80%以上であること力ペットの毛づゃ等の外観を良くする点力好ましい。また、糖全体に占める糖の重合度力〜 7のマルトオリゴ糖の含有量が 20%、更に 30%、特に 50%であること力同様の点から好ましい。

[0038] このようにして得られるマルトオリゴ糖は、一般には、無色透明の液状又は白色粉末である。マルトオリゴ糖は無臭で味覚に優れ、まろや力な甘味を有し、また、耐酸性、耐熱性にも優れた糖質である。また、 LD はラットで 20g/kg以上と、安全性にも

50

優れたものである。従って、これをそのままペットフード中に配合することができる。ぺットフード中に配合される量は、ペットの年齢等によっても異なる力マルトオリゴ糖として、体重 lkg、 1曰あたり 10〜3000mg、更に 100〜1000mg力 S好ましく、これを 1 日 1回又は数回摂取することが、ペットの毛づゃ等の外観を良くする点力も好ましい。

[0039] 本発明のペットフードに用いられる乳酸菌は、プロバイオテイクスとして使用できるものであることが好ましい。すなわち、ペットの腸内細菌の均衡を改良することができるものである。具体的には、ラクトバチルス'ァシドフィルス、ラクトバチルス 'サ一モフィノレス菌、ラクトバチルス 'ブルガリカス、ラクトバチルス 'カゼィ、ェンテロコッカス 'フイカリス、ビフイドバタテリゥム 'ロンガム、ビフイドバタテリゥム.ブレーべ等が挙げられ、これらカも選択される 1種又は 2種以上を用いることが好ましいが、中でもェンテロコッカスを含有することが、ペットの毛づゃ等の外観を良くする点力好ましい。なお、プ口バイオテイクスとして使用できる乳酸菌は、生菌、死菌のいずれでも良い。

[0040] 乳酸菌は、ペットフード中に 10⁸個 ZlOOg以上、更に 10⁹個 ZlOOg以上、特に 10

^1G個 Zioog以上であること力ペットの毛づゃ等の外観を良くする点力も好ましい。

[0041] 本発明のペットフードが、マルトオリゴ糖と乳酸菌を含有する場合、油脂の構成脂肪酸中に ω 3系の不飽和脂肪酸を 2. 5%以上、好ましくは 3%以上、更に 5%以上含む油脂を 8%以上含有するのが、皮膚被毛の健康を維持する点から好ましい。好ましい ω 3系不飽和脂肪酸の含有量は 2. 5〜12%であり、より好ましくは 3〜10%、特に好ましくは 5〜10%である。またこのような油脂のペットフード中の含有量は 8〜 20%、特に 9〜18%が好ましい。

[0042] また、本発明のペットフードは、（A1)構成脂肪酸中 2重結合を 2以上含む不飽和脂肪酸含量が 20%以上である油脂 3〜50%、（D)天然由来の抗酸化剤又はその誘導体、（E)次の式（1)を満たす量の鉄イオン及び銅イオンを含量するミネラル

[Cu (mg/kg) ] + [Fe (mg/kg) ] / 10≤ 80 (1)

を含有するのが、十分量のミネラルを含有していながら、長期保存安定性に優れるため、特に好ましい。このペットフードは、長期保存安定性に優れており、長期保存しても臭いの変化、嗜好性の低下等がない。また、不飽和脂肪酸含量が高ぐかつジァシルグリセロール含量も高、ので、抗肥満効果に優れる。

[0043] ここで用いられる油脂 (A1)は、構成脂肪酸中 2重結合を 2以上含む不飽和脂肪酸含量が 20%以上であり、油脂中のジァシルグリセロール含量が 20%以上である。このようなジァシルグリセロールは、例えば（1)構成脂肪酸中に 2重結合が 2つ以上の不飽和脂肪酸を 20%以上含有する油脂（例、サフラワー油、ォリーブ油、綿実油、コーン油、ナタネ油、大豆油、パーム油、ひまわり油、亜麻仁油、ごま油；ラード、牛脂、魚油、乳脂、あるいはそれらの分別油、ランダム化油、硬化油、エステル交換油）から選ばれた油脂とグリセリンとを、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸ィ匕物の存在下でエステル交換させる力、又は（2)これらの油脂由来の前記不飽和脂肪酸含量 20%以上の脂肪酸混合物とグリセリンとのエステルイ匕反応により得ることができる。この際 2種以上の油脂を混合してもよい。なお、これらの反応は上記のようなアルカリ触媒等を用いたィ匕学反応によっても実施することができるが、 1, 3—位選択的リパーゼ等の酵素を経て温和な条件で反応を行う方が、酸化安定性、嗜好性の点で好ましい

[0044] また、本発明のペットフードにおいては、（A1)油脂の構成脂肪酸中、 2重結合が 2 以上の不飽和脂肪酸含量が 20%以上であることが抗肥満効果、皮膚及び被毛の健康の点力も好ましぐより好ましくは 20〜90%、更に 23〜80%、特に 25〜70%であることが好ましい。 2重結合が 2以上の不飽和脂肪酸としては、リノール酸、リノレン酸、 EPA、 DHA、ァラキドン酸等の炭素数 18〜24の不飽和脂肪酸が挙げられる。

[0045] 本発明で用いる油脂 (A1)を構成する脂肪酸としては、 2重結合が 2以上の不飽和脂肪酸以外に、 2重結合が 1つの不飽和脂肪酸及び飽和脂肪酸が挙げられる。ここで 2重結合力^つの不飽和脂肪酸としてはォレイン酸、パルミトォレイン酸等の炭素数 16〜24の不飽和脂肪酸が挙げられる。 [0046] 本発明のペットフードにおける油脂（Al)中には、その他にトリァシルグリセロールが含まれ、また、若干のモノァシルグリセロール、遊離脂肪酸等が含まれていても良い。これらは、上述した天然油脂中に含有されるものの他、製造したジァシルグリセ口ール含有油脂、配合される植物原料、又は動物原料中に含まれる油脂に含有されるものも含む。特に、油脂中の遊離脂肪酸の含有量は、油脂力もの不快臭の発生のしやすさ及び嗜好性の点で 20%以下が好ましぐより好ましくは 15%以下、更に 10% 以下、特に 5%以下、殊更 2%以下であるのが好ましい。

[0047] 成分 (A1)油脂のペットフード中の含有量は、抗肥満効果、ペットフードの不快臭除去の, 力ら 3〜50⁰/₀、更に 5〜45⁰/₀、更に 5〜40⁰/₀、特に 8〜35⁰/₀、殊更 10〜3 0%であることが好ましい。

[0048] 本発明のペットフードは、成分 (D)として、天然の抗酸化剤又はその誘導体を含むことが好ましい。成分 (D)としては、ァスコルビン酸 (ビタミン C)、その誘導体としてァスコルビン酸パルミテート、ァスコルビン酸ステアレート、又はこれらの混合物；クェン酸等の有機酸；カロチン、リコピン、ルティン、ァスタキサンチン等のカロテノイド； _a トコフェローノレ、 β トコフェローノレ、 γ トコフェローノレ及び δ トコフェローノレのトコフェローノレ類；ローズマリーエキス、ターメリックエキス、セージエキス等のハーブエキス；カテキン、サポニン、フラボノイド、アントシァニンなどのポリフエノール類が挙げられ、これら力選択される 1種又は 2種以上を用いることができる。これら天然の抗酸化剤又はその誘導体 (D)は、成分 (A1)に対して 0. 01%以上、更に 0. 01〜1 %、特に 0. 02〜0. 5%であることが、酸化安定性、肥満防止効果の点力も好ましい

[0049] 本発明のペットフードは、成分）としてミネラルを含有する力ペットフード中の鉄イオン及び銅イオンの含有量にっ、て、次の式（1)を満たすことが好ま、。

[Cu (mg/kg) ] + [Fe (mg/kg) ] / 10≤ 80 (1)

式 (1)を満たさない場合は、当該ミネラル成分が触媒として作用し、不飽和脂肪酸の酸化が促進され、ペットフードの保存安定性が低下する。 [Cu (mg/kg) ] + [Fe ( mgZkg) ] Zl〇の範囲は、更に 70以下、特に 10〜70、殊更 10〜60であることが、栄養バランス、保存安定性の点から好ましい。また、各ミネラルの下限値は、鉄イオンは 80mgZkg、銅イオンは 7. 3mgZkgであることが栄養の点力も好ましぐ上限値は鉄イオンは 727mg/kg、銅イオンは 72mg/kgであることが酸ィ匕安定性の点から好ましい。

[0050] 本発明のペットフードには、ミネラルとして銅、鉄以外に、マンガン、コバルト、カルシゥム、リン、ナトリウム、カリウム等を含有していてもよい。これらミネラルは、例えば、硫酸銅、硫酸鉄、酸ィ匕マンガン、炭酸コバルト、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、塩ィ匕ナトリウム、塩ィ匕カリウム等として配合される。

[0051] 本発明のペットフードに用いられるその他の炭水化物源としては、単糖類、マルトォリゴ糖以外のオリゴ糖類、多糖類、食物繊維、デンプン類等が含まれる。食物繊維としては、動物の消化酵素では分解されない素材をいい、水不溶性食物繊維と水溶性食物繊維を含むが、前者の具体例としては、セルロース、へミセルロース等を含有したビートファイバー、ピーファイバー、チコリ根、アルフアルファミール、小麦ふすま等が挙げられ、後者の具体例としては、ガラタトオリゴ糖、フラタトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、キシロオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフイノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、 -ゲロオリゴ糖、ゲンチォオリゴ糖等の難消化性オリゴ糖、ポリデキストロース、難消化性デキストリン、グァガム酵素分解物、サイリウム種皮、ダルコマンナン、寒天、水溶性大豆多糖類、水溶性コーンファイバー、ィヌリン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸等が挙げられる。中でも、水不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の両者を含んだビートパルプが好ましい。デンプン類としては、上記の他に小麦デンプン、米デンプン、馬鈴薯デンプン、甘露デンプン、タピオ力デンプン等が挙げられる。また炭水化物は、穀物類として含有させてもよぐ穀物類としては、小麦、ライ麦、マイ力、米、ひえ、あわ、アマランサス、キヌァ等が挙げられる。炭水化物は、ペットフード中に 10 〜70%、更に 20〜60%、特に 30〜50%含有するの力経済性、肥満防止効果、摂取性及び便の状態の点から好まし、。

[0052] 本発明のペットフードにおいては、更に (F)動物性又は植物性のタンパク質を含むことが、肥満防止効果、摂取性、栄養バランスの点力好ましいが、摂食性の点から動物性タンパク質が好ましい。動物性タンパク質としては、カゼイン等の乳タンパク質も挙げられるが、肥満防止効果及び摂取性の点から、動物性肉類タンパク質が好ましい。このような動物性肉類タンパク質としては、牛、豚、羊、うさぎ、カンガルーなどの畜肉及び獣肉、ならびにその副生成物及び加工品；鶏、七面鳥、うずらなどの鳥肉ならびにその副生物及び加工品；魚、白身魚などの魚肉ならびにその副生物及び加工品；ミートミール、ミートボーンミール、チキンミール、フィッシュミール等の上記原料のレンダリング等が挙げられる。このうち肥満防止効果の点で鶏肉、魚肉が特に好ましい。複数の肉類タンパク質を混合して用いる場合には、鶏肉及び Z又は魚肉を肉類中の 30〜100%、特に 50〜100%含有させるのが好ましい。

[0053] 植物性タンパク質としては、大豆タンパク質、小麦タンパク質、小麦ダルテン、コーングルテン等が好ましい。

[0054] 本発明ペットフード中に動物性又は植物性タンパク質は、乾燥減量で 5〜70%、更に 10〜60%、特に 15〜40%含有するのが好ましい。

[0055] 本発明のペットフードには、更に植物ステロールを含有してもよい。植物ステロールは、ペットフード中に、コレステロール低下効果の点で 0. 1%以上、更に 0. 5%以上含有するのが好ましい。また植物ステロール含量の上限は、 30%までであればよい。ここで植物ステロールとしては、例えば α—シトステロール、 j8—シトステロール、スチグマステロール、カンペステローノレ、 aーシトスタノール、 βーシトスタノール、スチグマスタノール、カンペスタノール、シクロアルテノール等のフリー体、及びこれらの脂肪酸エステル、フェルラ酸エステル、桂皮酸エステル等のエステル体が挙げられる。

[0056] 本発明のペットフードには、更に、ぬか類、粕類、野菜、ビタミン類、ミネラル類等を配合することができる。ぬカゝ類としては、米ぬか、ふすま等が、粕類としては、大豆粕等が挙げられる。野菜類としては野菜エキス等が挙げられる。ビタミン類としては、 Α、 Bl、 B2、 D、 E、ナイァシン、パントテン酸、カロチン等が挙げられ、 0. 05〜10%含有するのが好ましい。この他、一般的にペットフードに使用されるゲル化剤、保型剤、 PH調整剤、調味料、防腐剤、栄養補強剤等も含有することができる。なお製造過程において、油脂の酸化を抑制する目的で、容器内の空気を窒素などの不活性ガスで置換したり脱気しながら製造することが、特に加熱工程で有効であるため好ま、。また、本発明のペットフードとしては、ドライタイプ、ウエットタイプ、セミモイストタイプ、ジャーキータイプ、ビスケットタイプ、ガムタイプ、粒状、粉状、スープ状等いずれの形態であってもよい。

[0057] 本発明のペットフードは、ジァシルグリセロールを 20%以上含有する油脂、及びカロエデンプン等の前記の炭水化物源を含有することにより、ペットに通常の食餌量を与えても、体重の増加を防止又は抑制する効果がある。また、内臓脂肪蓄積も防止又は抑制し、また、肥満に起因する高脂血症の予防、心不全等の心臓病の予防、血栓症の予防、高血圧の予防等の効果を発揮し得る。食後高血糖、すなわち食後の急激な血糖値の上昇を抑制する作用を有すると共に、定常時の血糖値の上昇を抑制する作用を有し、糖尿病やそれに起因する種々の合併症、例えば白内障や歯周病、糖尿病腎症、網膜症、神経障害を予防する等の効果を発揮し得る。更に、動物性タンパク質、特に肉由来の不快臭を低減する効果もある。

[0058] 以上のような点から、本発明のペットフードを摂取することにより、ペットの肥満防止又は抑制効果、体重増加抑制効果がある。従って、本発明のペットフードの容器には、「ペットの肥満を防止する効果がある」、「ペットの肥満を抑制する効果がある」、「ペットの体重増加を抑制する効果がある」、「肥満が気になるペットに適しています」等、表示することができる。

実施例

[0059] 試験例 1〜4

表 1に示す組成の試験食を、表 2に示す肥満ビーグル犬 10頭（2〜4歳、ォス、 BC S (ボディ一'コンディシン'スコア） 4以上）に、各犬 200g給餌した時の食後の血中中性脂肪濃度変化、及び血中インシュリン濃度変化を測定し (試験例 1及び 2)、結果を図 1及び 2に示した。また、試験例 1〜4の全てについて、ペットの便の状態、及びフードへの食いつきの評価を行い、結果を表 1に示した。なお、 BCSは、下記基準に従い、目視又は触診による官能評価で判断した。

[0060] 〔BCSの評価基準〕

1 (痩せすぎ）：皮下脂肪がない;肋骨などの骨格構造が浮き出ており、尻尾の付け根の骨が突出している；腹部ひだ (後ろ足付け根付近のひだ）が深い;腰部が明瞭にくびれている

2 (痩せ気味）：皮下脂肪が薄い;肋骨などの骨格構造が認知でき簡単に触ることができ、尻尾の付け根の骨が出ている；腹部ひだがある；腰部がくびれている

3 (理想的状態）：適度な皮下脂肪がある;肋骨などの骨格構造が認知できず触るのが難しぐ尻尾の付け根の骨の突出はゆるや力腹部ひだはほとんどない;腰部のくびれはほとんどない

4 (太り気味）：皮下脂肪が厚!、；肋骨などの骨格構造が認知できず触ることができず、尻尾の付け根の骨を力ろうじて触ることができる;腹部に脂肪が付き、腹部ひだが分からなヽ；腰部のくびれがな、

5 (太りすぎ）：厚い皮下脂肪に覆われている;肋骨などの骨格構造が認知できず触ることができず、尻尾の付け根の骨を触ることができな、；腹部に厚、脂肪がつき張り出して垂れ下がり、腹部ひだが分力ない;腰部のくびれがない

[0061] 〔血中中性脂肪濃度の測定法〕

血中中性脂肪濃度は、市販の測定用キットである「トリグリセライド G—テストヮコー（和光純薬 (株)）を用いた。キットの発色剤（36UZmLリポプロテインリパーゼ、 1. 8 mM ATP、 2. 2U/mLグリセロールキナーゼ、 4.

酸ォキシダーゼ、 2. lU/mLペルォキシダーゼ、 0. 69mM 4—ァミノアンチピリン )を緩衝液（50mMトリス緩衝液 pH7. 5、 5. 4mM p—クロロフヱノール）で溶解して発色試液とした。血清 10 1に発色試薬を 700 1添加し、混和後、 37°Cで 10分間ィンキュペートした。紫外可視分光光度計 UV— 2200A ( (株)島津製作所)を用い 5 05nmの吸光度を測定した。

[0062] 〔血中インシュリン濃度の測定法〕

血中インシュリン濃度は、 IRMA法により、ダイナボット (株）のインシュリン 'リアビーズ IIキットを用い、次に示す手順で測定した。試験管に検量線のための標準品とサンプルを各 50 μ 1量りとり、 I— 125でラベルした抗インシュリン抗体 200 μ 1を加えよく混ぜ合わせた。その後抗体でコーティングしたビーズを入れ振とう機に 2. 5時間かけ、その後ビーズを取り出し蒸留水 lmLでよく洗浄した。その後、ビーズに吸着したインシュリンをシンチレーシヨンカウンターで測定した。

[0063] 〔便の状態の評価法〕

便の状態の評価は、排便直後の「硬さ」、「二オイ」及び「全体評価」について、試験食を与える前に比べた変化を、下記の評価基準に従って評価し、各犬の平均値を求めた。

•便の硬さ

5:硬くなつた

4:やや硬くなつた

3:変わらなかった

2:やや軟ら力べなった

1:軟らかくなった

'便の二オイ

5:二オイが弱くなつた

4:二オイがやや弱くなつた

3:変わらなかった

2:二オイがやや強くなつた

1:二オイが強くなつた

'全体評価

5:良くなつた

4:やや良くなつた

3:変わらなかった

2:やや悪くなつた

1:悪くなつた

[0064] 〔食いつきの評価法〕

試験例 1〜4の各試験食 4つを同じ形状の皿に 50gずつ入れて並べ、犬から 3m離れた場所に設置し、表 2に示した犬に対して 1頭ずつ、各 2回食べさせた。また、皿を並べる順番は個体ごとに変えて行った。最初に食べ終わったフードを 1ポイントとし、各フードの合計ポイントで評価した (全ポイントは 20)。

[0065] [表 1] (重量％)

*1：グリセリド中の脂肪酸組成（重量％)

C16 3.1%、 C18 1.2%、 C18:l 40.5%, C18:246.0%、 C18:3 8.7% その他 0.5% グリセリド組成（重量％)

遊離脂肪酸 1.4%、モノァシルグリセロール 2.1%、ジァシルグリセロール 85.0%、トリァシルグリセロール 11.5%

«：グリセリド中の脂肪酸組成（重量％)

C16 5.3%、 C18 2.3%, C18:l 37.7%, C18:246.5%, C18:3 7.8%、その他 0.4% グリセリド組成（重量％)

遊離脂肪酸 3.1%、モノァシルグリセロール 1.9%、ジァシルグリセロール 4.6%、トリァシルグリセロール 90.4%

*3：ナショナルフリジエックス（夕ピオ力由来、ナショナルスターチアンドケミカル社） 2]

個体番号体重 (kg) B C S

1 18. 3 4. 5

2 17. 8 4. 5

3 19. 4 5

4 17. 0 4

5 19. 1 5

6 18. 4 4. 5

7 12. 8 4

8 13. 0 4

9 13. 4 4. 5

10 12. 7 5

[0067] 図 1及び 2に示すように、ジァシルグリセロールを 20%以上含有する油脂、及びカロエデンプンを配合したペットフードは、加工デンプンを配合してヽな、ペットフードに比べて食後の血中中性脂肪濃度（図 1)、及び血中インシュリン濃度（図 2)を抑制した。

[0068] また、試験例 1のペットフードの摂取性（喰いつきのよさ）は、試験例 2〜4に比べて良好であった。更に、試験例 1のペットフード摂取後の便の状態は良好であり、かつ二オイは通常食と比べて変化がな力つた。

[0069] 試験例 5〜8

表 3に示す一般のモニター犬 12頭（2〜6歳、 BCS (ボディ一'コンディショニング' スコア） 4以上）に、表 4に示すコントロール食 (試験例 6)を 2ヶ月間食べさせ、体重の変化しない維持カロリーを求めた。その後、群分けを行い、各群に表 4に示す試験食をコントロール食で求めた体重維持カロリー分与えた。給餌した時の食後の体重変化を測定し、結果を表 5に示した。また、試験例 1の場合と同様にしてペットの便の状態、及びフードへの食いつきの評価を行い、結果を表 6、及び 7に示した。なお、 BC Sは、試験例 1と同じ基準に従い、目視又は触診による官能評価で判断した。

[0070] [表 3] 年齢犬番号性別

(才）

1 パグ 2. 0

2 チワワ 4. 7

3 シャックラッセルテリア 2. 1

4 チワワ早 2. 8

5 チワワ 4. 2

6 ミニチュアダックスフント 5. 3

7 M i x 5. 1

8 ヨークシャ一テリァ 2. 1

9 ラプラドールレトリ一バ 5. 2

10 ウエルシュコ一ギ一カーディガン 5. 4

11 ウエルシュコ一ギ一ペンブローク 6. 3

12 ミニチュアダックスフント早 6. 0

ォス去勢済みォス早：メス：避妊済みメス

原材料（重量％) 試験例 5 試験例 6 試験例 7 試験例 8

(コントロール食）

大麦 36 10 15 10

玄米 ― 30 一 30

ソルガム 7 10 13 10

ハイアミロースコーン 6 ― 20 一

チキンミール 25 25 25 25

コ一ングルテン 20 20 20 20

ジァシルグリセロール 5 5 5 ―

高含有油 *1

トリァシルグリセロール ― ― ― 5

(菜種、大豆混合油）

チキンオイル 1 1 1 1

ビタミンノミネラル 1 1 1 1

* 1 ：ジァシルグリセロール高含有油

グリセリド中の脂肪酸組成（重量％)

C16 3.1%、 C18 1.2%、 C18:l 40.5%、 C18:246.0%、 C18:3 8.7%、その他 0.5% グリセリド組成（重量％)

遊離脂肪酸 1.4%、モノァシルグリセロール 2.1%、ジァシルグリセロール 85.0%、トリァシルグリセロール 5%

* 2 ：トリァシルグリセロール

グリセリド中の脂肪酸組成（重量％ )

C16 5.3%、 C18 2.3%、 C18:l 37.1%. C18:246.5%、 C18:3 7.8%、その他 0.4% グリセリド組成（重量％)

遊離脂肪酸 3.1%、モノァシルグリセ口一ル 1.9%、ジァシルグリセロール 4.6%、トリァシルグリセロール 90.4% 5]

0 w e e k 8 w e e k

試験犬番"^ BW BW 抗肥満効果（平均体重減少率）

BC S BCS

(kg) (kg)

1 9. 8 4. 5 9. 1 3. 5

10. 2%

2 4. 55 4. 5 3. 80 3. 5

試験例 5 減少

3 8. 65 4. 0 8. 05 3. 5

◎

4 4. 75 4. 5 4. 25 4. 0

5 3. 4 4. 0 3. 3 4. 0 0. 4% 試験例 6 6 7. 25 4. 0 7. 25 4. 0 減少

7 12. 3 4. 0 12. 5 4. 0 △

8 3. 65 4. 0 嗜好性悪いため中止

試験例 7 評価できず

9 38. 9 4. 0 便状態悪化のため中止

10 20. 6 5. 0 21. 5 5. 0 7. 09% 試験例 8 1 1 12. 4 4. 0 13. 2 4. 0 増加

12 6. 1 4. 0 6. 9 4. 5 X

[0073] [表 6]

[0074] [表 7] 試験食いつきポイント評価

試験例 5 1 2 ◎

試験例 6 4 Δ

試験例 7 1 X

試験例 8 3 X

[0075] 表 5に示すように、炭水化物源として大麦、ソルガム及び Z又は高アミロースデンプンを、重量比で大麦 Zソルガム > 5、及び Z又は、大麦 Z高アミロースデンプン> 5、となる量含有するペットフードはこれらの範囲外のペットフードに比較して体重の減少が見られた。

[0076] また、表 6に示すように、試験例 5のペットフード摂取後の便の状態は良好であり、かつ-オイは通常食と比べて変化がな力つた。更に、表 7に示すように、試験例 5のペットフードの摂取性（喰いつきのよさ）は、試験例 6〜8に比べて良好であった。ただし、試験例 6及び 7のペットフードの摂取性及び便の状態は、ジァシルグリセロールを 20%以上配合しない場合に比べて良好であった。

[0077] 試験例 9〜12

表 8に示す組成の試験食を、表 9に示す家庭飼育犬 16頭 (4群に分け、各試験食 4 頭とした）に、 28日間、自由摂食で給餌した。乳酸菌は、ェンテロコッカスフイカリス E C— 12株 (コンビ社)、マルトオリゴ糖は、フジオリゴ 450P (日本食品加工 (株）、ダルコース重合度 4〜7のマルトオリゴ糖 70%)を使用した。 28日後の各ペットの「毛づや」、及び「全体評価」を下記基準で評価し、各群で平均値を求めた。結果を表 8及び図 3に示した。

[0078] 〔毛づやの評価基準〕

質問項目として「本試験食に変更する前に比べて「毛づや」はどのように変化しましたか。」という質問に関し、下記基準から 1つを選択させた。

5 :良くなつた

4 :やや良くなつた

3 :変わらない

2 :やや悪くなつた 1:悪くなつた

[0079] 〔全体評価の評価基準〕

質問項目として「本試験食に変更する前に比べて健康的に見えますか。」という質問に関し、下記基準から 1つを選択させた。

5:健康的に見える

4:やや健康的に見える

3:変わらない

2:やや不健康に見える

1:不健康に見える

[0080] [表 8]

(重量％)

[0081] [表 9]

試験例犬種年齢体重（k g ) 試験例 1 0 パピヨン 4才 1ヶ月 2. 5 チワワ 2才 10ヶ月 2. 4 柴 5才 3ヶ月 7 ミニチュアダックスフンド 1才 2ヶ月 5 試験例 1 1 柴犬は 3 ビジョンフリーゼ 3才 7 ミニチュアダックスフンド不明 6 パピヨン 2才 5ヶ月 3 試験例 1 2 ァメリカンコッカースパニエル 2才 8ヶ月 10. 5 バーニーズマウンテンドッグ 3才 7ヶ月 35 ミニチュアダックスフンド 4才 1ヶ月 5. 6 パビヨン 2才 5ヶ月 2. 5 試験例 9 ゥェルツシュ .コーギ一ペンプ C —ク 3才 10. 3 トイプードル 2才 6ヶ月 3 ロングコートチワワ 1才 7ヶ月 1. 5 キヤバリア ·キング ·チャールズ ·スパニエル 3才 2ヶ月 3. 5

[0082] 表 8及び図 3に示すように、乳酸菌及びマルトオリゴ糖!、ずれも含まな!/、試験食 (試験例 10)に比べ、乳酸菌のみの試験食 (試験例 11)、マルトオリゴ糖のみの試験食（試験例 12)を与えたペットは、「毛づや」、「全体評価」ともにやや良い結果となったが、乳酸菌及びマルトオリゴ糖の両物質を含む試験を与えたペットは (試験例 9)、「毛づや」、「全体評価」ともに大幅に良くなることが分力つた。ただし、試験例 10〜12のペットフードは摂食性及び便の状態は良好であった。

[0083] 試験例 13〜18

表 10に示す組成のジァシルグリセロール高含有油脂を用い、表 11に示す配合に従ってペットフードをエタストルーダーを用いて製造し、温度 40°C、相対湿度 75%の環境下に 12週間保存後、油脂を抽出し、その過酸ィ匕物価 (POV)を測定し、結果を表 12に示した。なお、ペットフード製造直後の POVは 3meqZkgであった。

[0084] [表 10] 脂肪酸組成（重量％)

C16:0 3.1

C18:0 1.2

C18:l 40.5

C18:2 46.0 その他 0.5 グリセリド組成（重量％) 遊離脂肪酸 1.4 モノァシルグリセロール 2.1 ジァシルグリセロール 85.0 トリァシルグリセロール 11.5

[0085] [表 11]

[0086] 〔油脂の抽出法〕ペットフードからの油脂の抽出法は、次に示す手順に従って行った。 50gのペットフードを粉砕し lmm目開きのふるいに通した。そのサンプルを円筒ろ紙に充填し、コック付きのオープンカラムにセットした。コックを閉じたまま、上方力も滴下ロートで 150 mLのジェチルエーテルを滴下し、滴下終了後カラムのコックを開けてジェチルエーテルを回収した。次に、 50mLのジェチルエーテルにて同様の操作を行った。回収したジェチルエーテルをトッピングすることにより除去し、ペットフードからの抽出油脂を得た。

[0087] 〔POV測定法〕

ペットフードから抽出した油脂の POVは、次に示す手順に従って行った。抽出した油脂 5gを 250mL三角フラスコに量り取り、酢酸 Zクロ口ホルム = 3/1 (容積比）の溶液 30mLに溶力した。 0. 5mLの飽和ヨウ化カリウム溶液をフラスコに加え、 1分間よく振とうした。その後、蒸留水を 30mLをカ卩え、更に 1%澱粉溶液を 0. 5mLカ卩えて滴定サンプルとした。この滴定サンプルを 0. 01Nチォ硫酸ナトリウムで滴定した。紫色が消えたところで終点として滴定量を下記式に代入し POV値とした。

A: 0. 01Nチォ硫酸ナトリウムの量（mL)

F: 0. 01Nチォ硫酸ナトリウムのファクター

S :サンプル量 (g)

ペットフードから抽出した油脂の脂肪酸組成、グリセリド組成を表 12に示した。

[0088] [表 12]

脂肪酸組成（重量％)

C16:0 11.7

C16:l 2.3

C18:0 3.2

C18:l 38.2

C18:2 37.3

C18:3 3.5

その他 3.8

グリセリド組成（重量％)

遊離脂肪酸 18.7

モノァシルグリセロール 0.6

ジァシルグリセロール 31.1

トリァシルグリセロール 49.6 表 11に示すように、構成脂肪酸中 2重結合を 2以上含む不飽和脂肪酸を 20%以上含むジァシルグリセロール高含有油脂を含むペットフードにぉ、て、抗酸化剤を含有した場合であっても、銅イオン及び鉄イオンの含量が、前記（1)式を満たさない場合 (試験例 17及び 18)には、例えミネラル成分の量が少なくても（試験例 18)、保存安定性が低、ことが判明した。

一方、前記（1)式を満たす本発明品については、ミネラル成分が多くても、保存安定性が優れて、ることが判明した。

なお、試験例 17及び 18のペットフードは、摂食性及び便の状態は良好であった。

Claims

請求の範囲

[I] (A)油脂、並びに（B)炭水化物源としてカ卩エデンプン、大麦、ソルガム、コーン及び高アミロースデンプン力選択される 1種又は 2種以上を含有し、全油脂中のジァシルグリセロール含有量が 20重量％以上であるペットフード。

[2] 炭水化物源として加工デンプンを含有し、ペットフード中の加工デンプン含有量が

3重量％以上である請求項 1記載のペットフード。

[3] 更に、（C)マルトオリゴ糖及び乳酸菌を含む請求項 1記載のペットフード。

[4] マルトオリゴ糖力グルコース重合度力〜7のものである請求項 3記載のペットフード、。

[5] 糖全体に占めるグルコース重合度が 4〜7のマルトオリゴ糖の含有量が 20重量％以上である請求項 3又は 4に記載のペットフード。

[6] 乳酸菌がェンテロコッカスである請求項 3〜5のいずれか 1項に記載のペットフード

[7] 油脂の構成脂肪酸中に ω 3系の不飽和脂肪酸を 2. 5重量％以上含む油脂を 8重量％以上含む請求項 3〜6のいずれか 1項に記載のペットフード。

[8] 炭水化物源として大麦、ソルガム及び Ζ又は高アミロースデンプンを含有し、これらの重量比が、大麦 Ζソルガム > 5、及び Ζ又は、大麦 Ζ高アミロースデンプン> 5である請求項 1記載のペットフード。

[9] (A1)構成脂肪酸中 2重結合を 2以上含む不飽和脂肪酸含量が 20重量％以上である油脂 3〜50重量％、（D)天然由来の抗酸化剤又はその誘導体、（Ε)次の式（1) を満たす量の鉄イオン及び銅イオンを含量するミネラル

[Cu (mg/kg) ] + [Fe (mg/kg) ] / 10≤ 80 (1)

を含有する請求項 1記載のペットフード。

[10] 成分 (D)天然由来の抗酸化剤又はその誘導体が、ァスコルビン酸又はその誘導体

、有機酸、カロテノイド、トコフエロール類、ハーブエキス、及びポリフエノール類又はその誘導体力選択される 1種又は 2種以上である請求項 9記載のペットフード。

[II] 成分 (D)を成分 (A1)に対して 0. 01重量％以上含有する請求項 9又は 10に記載のペットフード。

[12] 更に、（F)動物性又は植物性タンパク質を含有する請求項 1〜11のいずれ力 1項に記載のペットフード。

[13] 動物性タンパク質が、動物性肉類タンパク質である請求項 12に記載のペットフード

[14] 肥満を防止又は抑制するものである、請求項 1〜13のいずれか 1項に記載のペットフード。