WO2007007687A1 - クリップ - Google Patents

Abstract

　アウター部材３の当接片３２が、インナー部材２の作動壁７をアウター部材３の挿通部１６に挿通し係止片１７が斜面状カム部９によるカム作用を受けていない状態で、インナー部材２の位置決め孔３３からずれて挿通不可能な位置に配置されるとともに、係止片１７が斜面状カム部９によるカム作用を受けていない状態を保持しつつアウター部材３を被取付部材２１の取付孔２２に挿通した際に、内側に弾性変形して位置決め孔３３に挿通可能な位置に配置されるように構成する。

Description

明 細 書

クリップ

技術分野

[0001] 本発明は、自動車の車体等の被取付部材に対して、コンソールボックス、インパネ 等の取付部材を取り付けるクリップに関し、特に、クリップを構成するインナ一部材と アウター部材とを仮ロック状態で常時一体的に取り扱うことが可能であるとともに、ァゥ ター部材を被取付部材に取り付ける前にインナ一部材とアウター部材とが誤って本口 ック状態になることを確実に防止可能であり、取付部材を被取付部材に取り付けるに 際して極めて簡単なワンタッチ動作で取り付けることが可能なクリップに関するもので ある。

背景技術

[0002] 従来、自動車の車体を構成する各種パネルに対して、コンソールボックス、インパネ 等を取り付ける際に使用される各種のクリップが提案されている。

例えば、特開平 11— 70838号公報には、車体のフロアに形成された 2つの嵌合孔 のそれぞれに対して、コンソールボックスのフランジに形成された嵌合孔及び台座部 に形成された貫通孔とを合致させた状態で、外側部材と内側部材とから構成されるク リップを挿通することにより、車体のフロアに取り付けられるコンソール装置が記載さ れている。

[0003] 特許文献 1 :特開平 11— 70838号公報（明細書の第 4ページ、図 2)

[0004] ここに、前記特許文献 1に記載された外側部材と内側部材とから構成されるクリップ にお 、て、外側部材は、内側部材を外側部材から引き出したときに小径となってタリ ップを、フロア及びフランジにおける各嵌合孔及びフロアの嵌合孔、台座部の貫通孔 力も取り外すことができ、また、外側部材は、内側部材を外側部材に挿入したときに 大径となって、クリップを各嵌合孔、貫通孔で拘束してコンソールボックスを車体のフ ロアに固定するものである。

発明の開示

発明が解決しょうとする課題 [0005] し力しながら、前記特許文献 1に記載されたコンソール装置に使用されるクリップを 使用してコンソールボックスを車体のフロアに固定する場合、内側部材を上方へ引き 出して外側部材を小径としたクリップをフランジの嵌合孔及び台座部の貫通孔に揷 通した後、内側部材を上方力 押して内側部材を外側部材に挿入して外側部材を大 径にする必要がある。

[0006] このように、コンソールボックスを車体のフロアに固定するには、内側部材を外側部 材から引き出す作業、この状態でクリップを嵌合孔、貫通孔に揷通する作業、及び、 内側部材を外側部材内に押圧して挿入する作業が必要である。これらの作業はかな り煩雑なものであり、結果的に、車体のフロアに対するコンソールボックスの固定作業 に時間が力かってしまう問題がある。

[0007] 本発明は前記従来技術における問題点を解消するためになされたものであり、タリ ップを構成するインナ一部材とアウター部材とを仮ロック状態で常時一体的に取り扱 うことが可能であるとともに、アウター部材を被取付部材に取り付ける前にインナ一部 材とアウター部材とが誤って本ロック状態になることを確実に防止可能であり、取付部 材を被取付部材に取り付けるに際して極めて簡単なワンタッチ動作で取り付けること が可能なクリップを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0008] 前記目的を達成するため請求項 1に係るクリップは、取付部材に設けられるとともに 作動壁を有するインナ一部材と、前記インナ一部材の作動壁が挿通される挿通部が 形成され、インナ一部材の作動壁が挿通部に挿通されるに従って弾性変形可能な 係止片を有するアウター部材とを備え、前記アウター部材を被取付部材の取付孔に 挿通するとともにインナ一部材の作動壁をアウター部材の揷通部に挿通することによ り、アウター部材の係止片を弾性変形させて取付部材を被取付部材に取り付けるタリ ップにおいて、前記アウター部材は、前記係止片が形成された側と反対側に延設さ れた弾性変形可能な当接片を備え、前記インナ一部材は、前記作動壁の一端部に 形成された斜面状カム部と、前記アウター部材の当接片に対向する位置に形成され た位置決め孔とを備え、前記当接片は、前記インナ一部材の作動壁をアウター部材 の揷通部に挿通し前記係止片が斜面状カム部によるカム作用を受けて 、な 、状態 で前記位置決め孔からずれて挿通不可能な位置に配置されるとともに、前記状態を 保持しつつアウター部材を被取付部材の取付孔に揷通した際に内側に弾性変形し て前記位置決め孔に揷通可能な位置に配置されることを特徴とする。

[0009] また、請求項 2に係るクリップは、請求項 1のクリップにお 、て、前記インナ一部材の 作動壁は、前記斜面状カム部に隣接して形成された係止溝、及び、係止溝に隣接し て形成された係止孔を備え、前記アウター部材は、前記係止片に隣接して形成され た係止爪を備え、前記係止爪は、前記インナ一部材の作動壁をアウター部材の揷通 部に挿通し前記係止片が斜面状カム部によるカム作用を受けていない状態で前記 係止溝に係止されるとともに、作動壁を揷通部に更に挿通し係止片が斜面状カム部 によるカム作用を受けて外側に弾性変形する状態で前記係止孔に係止されることを 特徴とする。

[0010] ここに、前記クリップにおいて、請求項 3に記載されているように、前記斜面状カム 部の先端側には薄板状部が形成されており、前記係止片は、前記係止片が斜面状 カム部によるカム作用を受けて 、な 、状態にお 、て前記薄板状部に当接されて 、る ことが望ましい。

発明の効果

[0011] 前記構成を有する請求項 1に係るクリップでは、アウター部材の当接片は、インナー 部材の作動壁をアウター部材の揷通部に挿通し係止片が斜面状カム部によるカム作 用を受けていない状態で、インナ一部材の位置決め孔力 ずれて挿通不可能な位 置に配置されるので、係止片が斜面状カム部によるカム作用を受けていないアウター 部材を被取付部材に取り付ける前においては当接片が位置決め孔に揷通されてィ ンナ一部材とアウター部材とが誤って相互に締結されたロック状態になってしまうこと を確実に防止することができる。また、アウター部材の当接片は、係止片が斜面状力 ム部によるカム作用を受けて 、な 、状態を保持しつつアウター部材を被取付部材の 取付孔に揷通した際に、内側に弾性変形して位置決め孔に揷通可能な位置に配置 されるので、アウター部材を被取付部材に取り付ける際には、アウター部材の当接片 力 sインナ一部材の位置決め孔に揷通され、これによりインナ一部材とアウター部材と を相互に締結されたロック状態にすることができる。 [0012] これにより、インナ一部材とアウター部材とを仮ロック状態で相互に一体に保持しつ つクリップを輸送している間に、アウター部材とインナ一部材とが、誤って本ロック状 態になってしまったり、また、インナ一部材に対してアウター部材を挿入する挿入作 業の間に、アウター部材とインナ一部材とが、誤ってロック状態になってしまうことを確 実に防止することができる。

[0013] また、アウター部材とインナ一部材とを仮ロック状態で一体に保持しつつ被取付部 材の取付孔に挿入した際には、当接片は内側に弾性変形して位置決め孔に揷通可 能な位置に配置されるので、被取付部材の取付孔に挿入した時点で初めて当接片 が位置決め孔に揷通可能となり、従って、アウター部材とインナ一部材との仮ロック状 態を極めて安全に維持することができる。

[0014] また、請求項 2に係るクリップでは、係止爪は、インナ一部材の作動壁をアウター部 材の揷通部に挿通し係止片が斜面状カム部によるカム作用を受けて 、な 、状態で 係止溝に係止されるので、取付部材に設けられたアウター部材とインナ一部材とを仮 ロック状態で常時一体的に取り扱うことが可能となる。

[0015] このとき、斜面状カム部によるカム作用を受けていない状態でアウター部材の係止 片は、弾性変形されておらず、従って、アウター部材とインナ一部材とを一体に保持 している間に、係止片の弹性力が低下してしまうことを確実に防止することができる。

[0016] また、係止爪が係止溝に係止された状態で作動壁を揷通部に更に挿通し、係止片 が斜面状カム部によるカム作用を受けて外側に弾性変形する状態では、係止爪は係 止孔に係止されて本ロック状態となるので、前記のように仮ロック状態で相互に保持 されたインナ一部材及びアウター部材を被取付部材の取付孔に揷通して被取付部 材に対してクリップを保持させた後、取付部材と共にインナ一部材を被取付部材に向 力つて押圧して作動壁をアウター部材の揷通部に更に挿通させるだけの極めて簡単 な作業により、クリップのアウター部材とインナ一部材とを介して取付部材を被取付部 材に取り付けることができる。

図面の簡単な説明

[0017] [図 1]本実施形態に係るクリップを構成するインナ一部材とアウター部材を模式的に 示す分解斜視図である。 [図 2A]インナ一部材の平面図である。

[図 2B]図 2Aにおけるインナ一部材の A— A線断面図である。

[図 2C]図 2Aにおけるインナ一部材の B— B線断面図である。

[図 3A]アウター部材の平面図である。

[図 3B]アウター部材の側面図である。

[図 3C]図 3Aにおけるアウター部材の C - C線断面図である。

[図 3D]図 3Aにおけるアウター部材の D—D線断面図である。

[図 4]作動壁の幅方向に沿って切断した図 2Aにおける A— A線断面図である。

[図 5]作動壁の厚さ方向に沿って切断した図 3Aにおける C C線断面図である。

[図 6]作動壁の厚さ方向に沿って切断した図 3Aにおける D— D線断面図である。

[図 7]作動壁の幅方向に沿って切断した図 3Aにおける D— D線断面図である。

[図 8]作動壁の厚さ方向に沿って切断した図 3Aにおける C C線断面図である。

[図 9]作動壁の幅方向に沿って切断した図 3Aにおける D— D線断面図である。

[図 10]作動壁の厚さ方向に沿って切断した図 3Aにおける C— C線断面図である。

[図 11]作動壁の幅方向に沿って切断した図 3Aにおける D—D線断面図である。

[図 12]作動壁の厚さ方向に沿って切断した図 3Aにおける C— C線断面図である。 符号の説明

1 クリップ

2 インナ一部材

3 アウター部材

4 取付部材

7 作動壁

8 薄板状部

9 斜面状カム部

10 平板状壁部

11 係止溝

12 係止孔

14 周壁部 15 底部

16 揷通部

17 係止片

18 係止爪

19 第 1爪部

21 被取付部

22 取付孔

32 当接片

33 位置決め孔

発明を実施するための最良の形態

[0019] 以下、本発明に係るクリップについて、本発明を具体化した実施形態に基づき図面 を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るクリップの全体構成につい て図 1に基づき説明する。図 1は第 1実施形態に係るクリップを構成するインナ一部 材とアウター部材を模式的に示す分解斜視図である。

図 1において、クリップ 1は、基本的に、インナ一部材 2とアウター部材 3とから構成さ れている。

[0020] ここで、先ず、インナ一部材 2の構成について、図 1及び図 2A乃至 2Cに基づき説 明する。図 2A乃至 2Cはインナ一部材を多面的に示す説明図であり、図 2Aはインナ 一部材の平面図、図 2Bは図 2Aにおけるインナ一部の A— A線断面図、図 2Cは図 2 Aにおけるインナ一部の B—B線断面図である。

[0021] 図 1及び図 2において、インナ一部材 2は、各種の榭脂、例えば、ポリプロピレンから コンソールボックス、インパネ等の取付部材 4に一体成形されている。インナ一部材 2 は、取付部材 4の一面側（図 1中上面側）に設けられており、各種の成形方法により 取付部材 4と一体に成形される平板部 5を有する。平板部 5には、台状に形成された 基台部 6が形成されており、力かる基台部 6の上面における略中央部には作動壁 7が 立設されている。また、基台部 6の上面において、相互に対向する側縁からは一対の 壁部 30が立設されている。

[0022] 作動壁 7は、その先端側から、薄板状部 8、薄板状部 8から下方に連続形成された 尖塔状の 2つの斜面状カム部 9、及び、各斜面状カム部 9から連続形成された平板状 壁部 10から構成されている。また、各斜面状カム部 9には、係止溝 11が形成されて いる。更に、平板状壁部 10の幅方向の略中央部には、係止溝 11に隣接して長孔状 の係止孔 12が形成されている。力かる係止溝 11及び係止孔 12には、アウター部材 3に対する作動壁 7の挿入程度に応じて、連続してアウター部材 3の係止爪 (後述す る）が係止される。

尚、各係止溝 11、係止孔 12の両側で作動壁 7の両面には、 2つの補強溝 13が形 成されている。これらの各補強溝 13は、作動壁 7の強度を向上するために設けられ ている。

[0023] 次に、アウター部材 3について図 1及び図 3A乃至 3Dに基づき説明する。図 3A乃 至 3Dはアウター部材を多面的に示す説明図であり、図 3Aはアウター部材の平面図 、図 3Bはアウター部材の側面図、図 3Cは図 3Aにおけるアウター部材の C C線断 面図、図 3Dは図 3Aにおけるアウター部材の D— D線断面図である。

[0024] アウター部材 3は、各種の榭脂、例えば、ポリプロピレンから一体成形されて 、る。

かかるアウター部材 3は、周壁部 14が設けられた底部 15を有しており、また、底部 15 の幅方向の略中央位置には、揷通部 16が形成されている。かかる揷通部 16には、 後述するように、インナ一部材の作動壁 7が挿通される。更に、揷通部 16の両側にお いて、底部 15の上面からは 2対 (4個）の係止片 17が立設されており、これらの各係 止片 17は、揷通部 16に作動壁 7が挿通されるに従って外側に弾性変形可能に構成 されている。

[0025] また、底部 15の長手方向において、各係止片 17の間で揷通部 16の両側には、弹 性変形可能な一対の係止爪 18が底部 15の上面から立設されている。各係止爪 18 には、第 1爪部 19及び第 2爪部 31 (図 3D参照）が形成されており、各第 1爪部 19は 、インナ一部材 2の作動壁 7に形成された係止溝 11、係止孔 12に弾性的に係止され 、また、第 2爪部 31は、第 1爪部 19が係止溝 11に係止された状態で係止孔 12に係 止される。

[0026] また、アウター部材 3にお ヽて、係止片 17及び係止爪 18が形成された側と反対側 、即ち、底部 15の裏面における四隅位置には、弾性変形可能な 2対 (4個）の当接片 32がー体に形成されて 、る。

[0027] また、インナ一部材 2の基台部 6における上面には、前記各当接片 32の内、底部 1 5の短手方向における 1対の当接片 32のそれぞれに対向する位置にて、 2つの位置 決め孔 33が形成されている。

[0028] ここに、後述するように、アウター部材 3の各係止爪 18における第 1爪部 19がインナ 一部材 2の作動壁 7における係止溝 11に係止されて、アウター部材 3の各係止片 17 が作動壁 7の斜面状カム部 9によるカム作用を受けていない仮ロック状態において、 各 1対の当接片 32は、位置決め孔 33からずれて挿通不可能な位置に設けられてお り、従って、仮ロック状態において各 1対の当接片 32を位置決め孔 33内に挿通する ことができない。

[0029] 続いて、前記のように構成されたインナ一部材 2とアウター部材 3とからなるクリップ 1 を介して取付部材 4を、自動車の車体を構成する金属板 (ボディ)である被取付部材 に取り付ける方法について図 4乃至図 12を参照して説明する。図 4乃至図 6はインナ 一部材をアウター部材に取り付ける前の状態を示し、図 4は作動壁の幅方向に沿つ て切断した図 2Aにおける A— A線断面図、図 5は作動壁の厚さ方向に沿って切断し た図 3Aにおける C C線断面図、図 6は作動壁の厚さ方向に沿って切断した図 3A における D— D線断面図である。図 7及び図 8はアウター部材の係止爪における爪部 をインナ一部材の係止溝に係止して両部材を仮ロックした状態を示す説明図であり、 図 7は作動壁の幅方向に沿って切断した図 3Aにおける D— D線断面図、図 8は作動 壁の厚さ方向に沿って切断した図 3Aにおける C C線断面図である。図 9及び図 10 は仮ロックしたインナ一部材及びアウター部材を被取付部材の取付孔に揷通した状 態を示す説明図であり、図 9は作動壁の幅方向に沿って切断した図 3Aにおける D— D線断面図、図 10は作動壁の厚さ方向に沿って切断した図 3Aにおける C C線断 面図である。図 11及び図 12はアウター部材の係止爪における爪部をインナ一部材 の係止孔に係止して両部材を本ロックし取付部材を被取付部材に取り付けた状態を 示す説明図であり、図 11は作動壁の幅方向に沿って切断した図 3Aにおける D— D 線断面図、図 12は作動壁の厚さ方向に沿って切断した図 3Aにおける C C線断面 図である。 [0030] 本実施形態に係るクリップ 1を使用して取付部材 4を被取付部材に取り付けるには、 先ず、図 4乃至図 6に示すように、別個独立して形成されたインナ一部材 2の作動壁 7とアウター部材 3の揷通部 16とを対応させる。この後、アウター部材 3を揷通部 16に 向力つて移動させ、インナ一部材 2の作動壁 7を揷通部 16に挿通させる。これにより、 アウター部材 3の各係止爪 18に形成された第 1爪部 19は作動壁 7の係止溝 11に係 止され、また、第 2爪部 31は係止孔 12に係止される。このとき、各係止片 17は、作動 壁 7の薄板状部 8の両側に当接されている。この状態が図 7、 8に示されている。

[0031] 図 7、図 8に示すように、アウター部材 3の各係止爪 18に形成された第 1爪部 19が、 インナ一部材 2の作動壁 7における係止溝 11に係止されるとともに第 2爪部 31が係 止孔 12に係止された状態では、各係止片 17は、作動壁 7の薄板状部 8の両側に当 接されているだけであり、インナ一部材 2の作動壁 7における各斜面状カム部 9による カム作用を受けてはいない。従って、各係止片 17は弾性変形されることなく略元の 状態を保持している。このように、アウター部材 3の各係止片 17が各斜面状カム部 9 によるカム作用を受けていない状態で、係止爪 18の第 1爪部 19が係止溝 11に、第 2 爪部 31が係止孔 12に係止されて、インナ一部材 2とアウター部材 3とは、相互に仮口 ックされること力ら、取付部材 4に設けられたインナ一部材 2とアウター部材 3とを常時 一体的に取り扱うことが可能となる。

[0032] この時点で、インナ一部材 2とアウター部材 3とは、前記したように、相互に仮ロック される力 アウター部材 3の底部 15に形成された 4つの当接片 32の内各 1対の当接 片 32は、図 7、図 8に示すように、インナ一部材 2の位置決め孔 33とは若干離間され ており、各 1対の当接片 32の外側部は、位置決め孔 33からずれて挿通不可能な位 置に配置されている。

[0033] 従って、アウター部材 3の係止片 17がインナ一部材 2の作動壁 7における斜面状力 ム部 9によるカム作用を受けることなく係止爪 18を係止溝 11に係止した仮ロック状態 において、インナ一部材 2とアウター部材 3とを相互に一体に保持しつつクリップ 1を 輸送している間に、アウター部材 3とインナ一部材 2とが、誤って本ロック状態になつ てしまったり、また、インナ一部材 2に対してアウター部材 3を挿入する挿入作業の間 に、アウター部材 3とインナ一部材 2とが、誤って本ロック状態になってしまうことを確 実に防止することができる。

[0034] 続、て、前記したように、インナ一部材 2に対してアウター部材 3が仮ロックされた状 態で、取付部材 4にお 、てインナ一部材 2が設けられた面側とは反対の面側力 取 付部材 4を押圧し、アウター部材 3及びインナ一部材 2を被取付部材 21の取付孔 22 に挿通する。力かる挿通作業は、アウター部材 3の底部 15に形成された周壁部 14の 上面側が被取付部材 21の取付孔 22における周縁部の裏面に当接するまで行われ る。この状態が図 9、図 10に示されている。図 9に示す状態では、アウター部材 3の各 係止爪 18における第 1爪部 19が、インナ一部材 2の作動壁 7における係止溝 11に 係止され、また、第 2爪部 31が係止孔 12に係止され、更に、アウター部材 3の底部 1 5における周壁部 14の上面が被取付部材 21における取付孔 22の周縁部の裏面側 に当接されている。

[0035] このように、仮ロックされたインナ一部材 2及びアウター部材 3を被取付部材 21の取 付孔 22に挿通した時点においては、各係止片 17は、図 10に示すように、その上下 方向の中央部で取付孔 22による規制力を受け、各係止片 17の上半分は外側に弾 性変形するとともに、下半分は内側に弾性変形する。この結果、各一対の当接片 32 は、図 11に示すように、内側に弾性変形して、位置決め孔 33に揷通可能な位置に 配置される。

このように、アウター部材 3とインナ一部材 2との仮ロック状態を保持しつつ被取付 部材 21の取付孔 22に挿入した際には、各一対の当接片 32は内側に弾性変形して 位置決め孔 33に揷通可能な位置に配置されるので、被取付部材 21の取付孔 22に 挿入した時点で初めて当接片 32が位置決め孔 33に揷通可能となり、従って、ァウタ 一部材 3とインナ一部材 2との仮ロック状態を極めて安全に保持することができる。

[0036] そして、図 9、図 10に示す状態から、取付部材 4を、アウター部材 3及びインナ一部 材 2が更に取付孔 22内に揷通される方向（図 9、図 10中上方向）に押圧する。このと き、アウター部材 3の周壁部 14の上面は、被取付部材 21における取付孔 22の周縁 部に当接されており、前記取付部材 4の押圧時にアウター部材 3が移動されることは ない。

[0037] これに対して、インナ一部材 2の作動壁 7は取付孔 22内を被取付部材 21の方向に 挿通されていく。力かる挿通動作に従って、アウター部材 3の各係止片 17は、インナ 一部材 2の作動壁 7における各斜面状カム部 9によりカム作用を徐々に受け、外側に 弾性変形していく。そして、各係止片 17が斜面状カム部 9のカム作用によって更に外 側に弾性変形していくと、各係止爪 18の第 1爪部 19は、インナ一部材 2の作動壁 7 における係止孔 12に係止される。この状態が図 11、図 12に示されている。

[0038] 図 11、 12に示す状態では、アウター部材 3の各係止爪 18の第 1爪部 19がインナ 一部材 2の作動壁 7における係止孔 12に係止され、また、アウター部材 3の底部 15 における周壁部 14の上面が被取付部材 21の裏面に当接し、更に、インナ一部材 2 の基台部 6の上面に形成された各壁部 30の上端面が被取付部材 21の裏面に当接 している。

これにより、インナ一部材 2とアウター部材 3とが本ロック状態となり、取付部材 4は被 取付部材 21に取り付けられるものである。

[0039] 前記したように、アウター部材 3の各係止爪 18における第 1爪部 19が係止溝 11に 係止されるとともにアウター部材 3が被取付部材 21の取付孔 22に挿通されて底部 15 の周壁部 14が取付孔 22の周縁部に当接された状態で、取付部材 4が、インナ一部 材 2が設けられた面側とは反対の面側力も被取付部材 21に向力つて押圧されること により、各係止爪 18の第 1爪部 19は、各係止片 17が各斜面状カム部 9によるカム作 用を受けて外側に弾性変形する本ロック状態で第 2係止溝孔 12に係止されるので、 取付部材 4を被取付部材 21に取り付けるには、仮ロック状態で相互に保持されたィ ンナ一部材 2及びアウター部材 3を被取付部材 21の取付孔 22に挿通して被取付部 材 21に対してクリップ 1を保持させた後、取付部材 4と共にインナ一部材 2を被取付 部材 21に向力つて押圧して作動壁 7をアウター部材 3の揷通部 16に更に挿通させる だけの極めて簡単な作業により、クリップ 1のアウター部材 3とインナ一部材 2とを介し て取付部材 4を被取付部材 21に取り付けることができる。

[0040] また、図 11、図 12に示すように、アウター部材 3の底部 15における周壁部 14の上 面が被取付部材 21の裏面に当接し、また、インナ一部材 2の基台部 6の上面に形成 された各壁部 30の上端面が被取付部材 21の裏面に当接している。更に、各一対の 当接片 32は、内側に弾性変形した状態で位置決め孔 33内に挿通されている。 これにより、インナ一部材 2とアウター部材 3とが本ロック状態となり、取付部材 4は被 取付部材 21に取り付けられるものである。

[0041] 以上説明した通り本実施形態に係るクリップ 1では、アウター部材 3の当接片 32は、 インナ一部材 2の作動壁 7をアウター部材 3の揷通部 16に挿通し係止片 17が斜面状 カム部 9によるカム作用を受けていない状態で、インナ一部材 2の位置決め孔 33から ずれて挿通不可能な位置に配置されるので、係止片 17が斜面状カム部 9によるカム 作用を受けて 、な 、アウター部材 3を被取付部材 21に取り付ける前における仮ロック 状態においては当接片 32が位置決め孔 33に挿通されてインナ一部材 2とアウター 部材 3とが誤って相互に締結された本ロック状態になってしまうことを確実に防止する ことができる。また、アウター部材 3の当接片 32は、係止片 17が斜面状カム部 9によ るカム作用を受けて 、な 、状態を保持しつつアウター部材 3を被取付部材 21の取付 孔 22に挿通した際に、内側に弾性変形して位置決め孔 33に揷通可能な位置に配 置されるので、アウター部材 3を被取付部材 21に取り付ける際には、アウター部材 3 の当接片 32がインナ一部材 2の位置決め孔 33に挿通され、これによりインナ一部材 2とアウター部材 3とを相互に締結された本ロック状態にすることができる。

[0042] これにより、インナ一部材 2とアウター部材 3とを仮ロック状態で相互に一体に保持し つつクリップ 1を輸送している間に、アウター部材 3とインナ一部材 2とが、誤って本口 ック状態になってしまったり、また、インナ一部材 2に対してアウター部材 3を挿入する 挿入作業の間に、アウター部材 3とインナ一部材 2とが、誤って本ロック状態になって しまうことを確実に防止することができる。

[0043] また、アウター部材 3とインナ一部材 2とを仮ロック状態で一体に保持しつつ被取付 部材 21の取付孔 22に挿入した際には、当接片 32は内側に弾性変形して位置決め 孔 33に揷通可能な位置に配置されるので、被取付部材 12の取付孔 22に挿入した 時点で初めて当接片 32が位置決め孔 33に揷通可能となり、従って、アウター部材 3 とインナ一部材 2との仮ロック状態を極めて安全に維持することができる。

[0044] また、係止爪 17は、インナ一部材 2の作動壁 7をアウター部材 3の揷通部 16に揷通 し係止片 17が斜面状カム部 9によるカム作用を受けて 、な 、状態で係止溝 11に係 止されるので、取付部材 4に設けられたアウター部材 3とインナ一部材 2とを常時一体 的に取り扱うことが可能となる。

[0045] このとき、斜面状カム部 9によるカム作用を受けていない状態でアウター部材 3の係 止片 17は、弾性変形されておらず、従って、アウター部材 3とインナ一部材 2とを仮口 ック状態で一体に保持している間に、係止片 17の弾性力が低下してしまうことを確実 に防止することができる。

[0046] また、係止爪 18が係止溝 11に係止された状態で作動壁 7を揷通部 16に更に挿通 し、係止片 17が斜面状カム部 9によるカム作用を受けて外側に弾性変形する状態で は、係止爪 18は係止孔 12に係止されて本ロック状態となるので、前記のように仮ロッ ク状態で相互に保持されたインナ一部材 2及びアウター部材 3を被取付部材 21の取 付孔 22に挿通して被取付部材 21に対してクリップ 1を保持させた後、取付部材 4と共 にインナ一部材 2を被取付部材 21に向力つて押圧して作動壁 7をアウター部材 3の 揷通部 16に更に挿通させるだけの極めて簡単な作業により、クリップ 1のアウター部 材 3とインナ一部材 2とを介して取付部材 4を被取付部材 12に取り付けることができる

[0047] 尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなぐ本発明の要旨を逸脱しな い範囲内で各種の改良、変形が可能であることは勿論である。

産業上の利用可能性

[0048] 本発明は、クリップを構成するインナ一部材とアウター部材とを仮ロック状態で常時 一体的に取り扱うことが可能であるとともに、アウター部材を被取付部材に取り付ける 前にインナ一部材とアウター部材とが誤って本ロック状態になることを確実に防止可 能であり、取付部材を被取付部材に取り付けるに際して極めて簡単なワンタッチ動作 で取り付けることが可能なクリップを提供することができる。

Claims

請求の範囲

[1] 取付部材に設けられるとともに作動壁を有するインナ一部材と、

前記インナ一部材の作動壁が挿通される挿通部が形成され、インナ一部材の作動 壁が挿通部に挿通されるに従って弾性変形可能な係止片を有するアウター部材とを 備え、

前記アウター部材を被取付部材の取付孔に揷通するとともにインナ一部材の作動 壁をアウター部材の揷通部に挿通することにより、アウター部材の係止片を弹性変形 させて取付部材を被取付部材に取り付けるクリップにおいて、

前記アウター部材は、前記係止片が形成された側と反対側に延設された弾性変形 可能な当接片を備え、

前記インナ一部材は、前記作動壁の一端部に形成された斜面状カム部と、前記ァ ウタ一部材の当接片に対向する位置に形成された位置決め孔とを備え、

前記当接片は、前記インナ一部材の作動壁をアウター部材の揷通部に挿通し前記 係止片が斜面状カム部によるカム作用を受けていない状態で前記位置決め孔から ずれて挿通不可能な位置に配置されるとともに、前記状態を保持しつつアウター部 材を被取付部材の取付孔に揷通した際に内側に弾性変形して前記位置決め孔に揷 通可能な位置に配置されることを特徴とするクリップ。

[2] 前記インナ一部材の作動壁は、前記斜面状カム部に隣接して形成された係止溝、 及び、係止溝に隣接して形成された係止孔を備え、

前記アウター部材は、前記係止片に隣接して形成された係止爪を備え、 前記係止爪は、前記インナ一部材の作動壁をアウター部材の揷通部に挿通し前記 係止片が斜面状カム部によるカム作用を受けていない状態で前記係止溝に係止さ れるとともに、作動壁を揷通部に更に挿通し係止片が斜面状カム部によるカム作用を 受けて外側に弾性変形する状態で前記係止孔に係止されることを特徴とする請求項 1に記載のクリップ。

[3] 前記斜面状カム部の先端側には薄板状部が形成されており、

前記係止片は、前記係止片が斜面状カム部によるカム作用を受けていない状態に おいて前記薄板状部に当接されていることを特徴とする請求項 1又は請求項 2に記 載のクリップ。