WO2007007612A1 - ガスケット - Google Patents

Abstract

　シールリップ間に亀裂が発生することを抑制し、密封性能の向上を図ったガスケットを提供する。 　カムカバーに設けられた溝に装着されて、シリンダーヘッドとカムカバー間の隙間を封止する第１ガスケット１０において、シリンダーヘッドに密着すると共に、並行に設けられる一対のシールリップ１３と、一対のシールリップ１３間に設けられ、それぞれのシールリップ１３に接続して、接続されている付近でシールリップ１３間の間隔を保持する複数の接続部１５とを備えることを特徴とする。

Description

明 細 書

ガスケット

技術分野

[0001] 本発明は、 2部材間の隙間を封止するガスケットに関するものである。

背景技術

[0002] 2部材間の隙間を封止するガスケットの従来例について、図 13〜図 15を参照して 説明する。図 13は従来例に係るガスケットの平面図である。図 14は従来例に係るガ スケットが装着状態を示す模式的断面図である。なお、図 14のうちガスケットについ ては、図 13の DD断面に相当する。図 15は従来例に係るガスケットにおけるつぶし 率とリップ間伸張率との関係を示すグラフである。

[0003] 図示の従来例に係るガスケット 500は、シリンダーヘッド 200とカムカバー 300との 間を封止するために用いられる。このガスケット 500は、カムカバー 300に設けられた 溝 301に装着される。また、ガスケット 500には、胴体部の側面側に一対の突起 501 が所定間隔で複数設けられている。この突起 501は、溝 301内でのガスケット 500の 座屈や倒れを防止したり、溝 301からのガスケット 500の抜けを防止したりするために 設けられている。なお、図 14においては、突起 501が設けられていない部分の断面 を示している力 一対の突起 501は、溝 301の両側面に当接する。これにより、ガスケ ット 500は、溝 301内で位置決めされる。

[0004] また、ガスケット 500には、溝 301への装着側とは反対側に、一対のシールリップ 50 2が設けられている。この一対のシールリップ 502は並行に設けられており、シリンダ 一ヘッド 200に対して密着する。一般的に、ガスケットのシール面の形状は様々であ る力 ここで示した従来例のように一対のシールリップを設けたタイプのものは、密封 性能を高めるのに適している。

[0005] 上記のように構成されたガスケット 500は、装着時には、シリンダーヘッド 200とカム カノく一 300により、図 14中矢印 P方向に圧縮される。これにより、一対のシールリップ 502には、図中矢印 W方向にモーメントが作用する。そのため、一対のシールリップ 502の中央付近（図中矢印 X付近）には、引張応力が作用し、応力が集中する。 [0006] この引張応力は、ガスケット 500の曲率半径が小さいほど大きくなり、また、上記一 対の突起 501が設けられている付近よりも、これが設けられていない付近の方が大き くなることを確認している。この点について、以下に説明する。

[0007] 断面の形状及び大きさが同一で、曲率半径が 9. 25mmのもの（図 13に示す形状 で外径が 18. 5mmのもの），曲率半径が 18. 45mmのもの（図 13に示す形状で外 径が 36. 9mmのもの）、及び曲率半径が無限大のもの（直線形状のもの）について、 ある一定圧力で圧縮したときの一対のシールリップの中央付近（図 14の矢印 X付近） の引張応力は、 FEM解析によれば、それぞれ 1. IMPa, 0. 78MPa, 0. 45MPa であった。

[0008] このように曲率半径が小さいほど、引張応力が大きくなる原因は、曲率半径が小さ

V、ほど、変形量が大きくなることなどが考えられる。

[0009] また、一対の突起 501が設けられている付近と設けられていない付近を比較した結 果は図 15に示す通りである。なお、

横軸のつぶし率 (％) = (つぶし代 ÷圧縮前の高さ） X 100

= { (圧縮前の高さ 溝の深さ） ÷圧縮前の高さ } X 100 であり、

縦軸のリップ間伸張率 (％) = { (圧縮時のリップ間距離-圧縮前のリップ間距離） ÷ 圧縮前のリップ間距離 } X 100

である。

[0010] また、図 15に示すグラフにおいては、突起 501が設けられていない付近（隣接する 一対の突起 501の中央付近 (例えば、図 13の DD断面付近)） Z1と、一対の突起 50 1が設けられて 、る付近 Z3につ 、て、それぞれ室温環境下の場合と 150°Cの環境下 の場合を解析したものを示して 、る。

[0011] 以上のことから、曲率半径が小さく（例えば、図 13に示すような円形のガスケットで、 外径が約 30mm以下のもの）、一対の突起 501が設けられていない付近では、一対 のシールリップの中央付近の応力集中が大きくなり、亀裂などが入ることがあった。こ のような亀裂が入ったからといって、直ちに密封流体の漏れが発生するというわけで はないが、密封性能や耐久性が低下するおそれがあるため、このような亀裂の発生 は望ましくない。

特許文献 1：特開平 11― 248002号公報

特許文献 2：特開 2003 - 240122号公報

特許文献 3：特開 2003— 269613号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0012] 本発明の目的は、シールリップ間に亀裂が発生することを抑制し、密封性能の向上 を図ったガスケットを提供することにある。

課題を解決するための手段

[0013] 本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。

[0014] すなわち、本発明のガスケットは、

2部材のうちの一方の部材に設けられた溝に装着されて、前記 2部材間の隙間を封 止するガスケットにおいて、

前記 2部材のうちの他方に密着すると共に、並行に設けられる一対のシールリップ と、

一対のシールリップ間に設けられ、それぞれのシールリップに接続して、接続されて V、る付近でシールリップ間の間隔を保持する複数の接続部と、を備えることを特徴と する。

[0015] 本発明によれば、接続部により接続して!/ヽる付近で、シールリップ間の間隔を保持 させることによって、装着時においてシールリップの変形を抑制することができる。

[0016] ガスケットの側面側には、前記溝の両側面に当接する一対の突起が複数設けられ ており、

前記接続部は、隣り合う一対の突起間の中間部に設けられているとよい。

[0017] これにより、最もシールリップが変形しやすい付近で、シールリップの変形を抑制す ることがでさる。

[0018] 前記接続部は、前記 2部材のうちの他方に密着する平面部を有しており、

該平面部と前記一対のシールリップ先端は同一面上にあるとよい。

[0019] これにより、シールリップの変形をより確実に抑制できる。 [0020] 前記接続部の横幅は、一対のシールリップ間の間隔以上であるとよい。

[0021] これにより、シールリップの変形をより確実に抑制できる。

[0022] なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。

発明の効果

[0023] 以上説明したように、本発明によれば、シールリップの変形を抑制することにより、シ ールリップ間の応力集中を抑制できる。これにより、シールリップ間に亀裂が発生する ことを抑制し、密封性能の向上を図ることができる。

図面の簡単な説明

[0024] [図 1]図 1はガスケット装着前の様子を示す部品展開斜視図である。

[図 2]図 2は本発明の実施例に係るガスケットの平面図である。

[図 3]図 3は本発明の実施例に係るガスケットの底面図である。

[図 4]図 4は本発明の実施例に係る第 1ガスケットの平面図である。

[図 5]図 5は本発明の実施例に係る第 1ガスケットの底面図である。

[図 6]図 6は図 4, 5における AA断面図である。

[図 7]図 7は図 4, 5における BB断面図である。

[図 8]図 8は図 4, 5における CC断面図である。

[図 9]図 9はガスケットの装着途中の様子を示す模式的断面図である。

[図 10]図 10はガスケットの装着状態を示す模式的断面図である。

[図 11]図 11はガスケットの装着状態を示す模式的断面図である。

[図 12]図 12はつぶし率に対するリップ間伸張率の関係について、従来例と本実施例 を比較したグラフである。

[図 13]図 13は従来例に係るガスケットの平面図である。

[図 14]図 14は従来例に係るガスケットが装着状態を示す模式的断面図である。

[図 15]図 15は従来例に係るガスケットにおけるつぶし率とリップ間伸張率との関係を 示すグラフである。

符号の説明

[0025] 10 第 1ガスケット

11 胴体部 12 平板部

13 シーノレリップ

14 突起

15 接続部

20 第 2ガスケット

30 第 3ガスケット

40 連結部

100 ガスケット

200 シリンダーヘッド

201 端面

300 カムカバー

301 溝

302 端面

発明を実施するための最良の形態

[0026] 以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づ いて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸 法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の 範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。

実施例 1

[0027] 図 1〜図 12を参照して、本発明の実施例に係るガスケットについて説明する。

[0028] <ガスケット全体 >

特に、図 1〜図 3を参照して、ガスケット全体について説明する。図 1はガスケット装 着前の様子を示す部品展開斜視図である。図 2は本発明の実施例に係るガスケット の平面図である。図 3は本発明の実施例に係るガスケットの底面図である。

[0029] 本実施例に係るガスケット 100は、シリンダーヘッド 200とカムカバー 300との間を 封止するために用いられる。なお、図 1においては、シリンダーヘッド 200内に配置さ れる各種部品については省略している。

[0030] また、ガスケット 100は、イダ-シヨンコイルボルト部分を封止するための第 1ガスケッ ト 10と、イダ-シヨンコイル部分を封止するための第 2ガスケット 20と、シリンダーへッ ド 200とカムカバー 300の外枠部分を封止するための第 3ガスケット 30と、これらを連 結するための連結部 40とを備えている。第 1ガスケット 10,第 2ガスケット 20,第 3ガス ケット 30及び連結部 40は一体的に成形されており、ガスケット 100は 1部品として構 成されている。

[0031] ここで、第 2ガスケット 20については比較的外径が大きぐ第 3ガスケット 30につい ては大部分が直線的であり曲がった部分の曲率半径も大きいため、一対のシールリ ップ間に大きな応力集中が発生することはない。これに対して、第 1ガスケット 10は外 径が小さいことから、一対のシールリップ間に応力が集中し易い。そこで、本実施例 に係るガスケット 100では、この応力集中を抑制するように構成されている。この点に ついて、以下に詳細に説明する。

[0032] <第 1ガスケットの詳細 >

特に、図 4〜図 11を参照して、第 1ガスケット 10について詳細に説明する。図 4は本 発明の実施例に係る第 1ガスケットの平面図である。図 5は本発明の実施例に係る第 1ガスケットの底面図である。なお、図 4, 5においては第 1ガスケット 10の部分のみを 示しており、連結部 40については示していない。図 6は図 4, 5における AA断面図で ある。図 7は図 4, 5における BB断面図である。図 8は図 4, 5における CC断面図であ る。図 9はガスケットの装着途中の様子を示す模式的断面図である。なお、図 9中の 第 1ガスケットの断面図は図 6に示す断面図に相当する。図 10及び図 11はガスケット の装着状態を示す模式的断面図である。なお、図 10中の第 1ガスケットの断面図は 図 7に示す断面図に相当し、図 11中の第 1ガスケットの断面図は図 8に示す断面図 に相当する。

[0033] 第 1ガスケット 10は、胴体部 11と、胴体部 11の一端側に設けられる平板部 12と、平 板部 12における胴体部 11とは反対側の面に、並行に設けられる一対のシールリップ 13とを備えている。また、第 1ガスケット 10には、胴体部 11の側面側に一対の突起 1 4が一定間隔で複数 (本実施例では 6箇)設けられている。更に、第 1ガスケット 10に は、隣り合う一対の突起 14間の中央部に、一対のシールリップ 13を接続する接続部 15がそれぞれ設けられている。 [0034] なお、図 6,図 9は、突起 14も接続部 15もない部分の断面図を示しており、図 7,図 10は、突起 14の部分の断面図を示しており、図 8,図 11は、接続部 15の部分の断 面図を示している。

[0035] 胴体部 11は、カムカバー 300に設けられたイダ-シヨンコイルボルト用の溝 301に 装着される。溝 301に装着された胴体部 11は、その先端が溝 301の底面に密着する 。平板部 12は、胴体部 11の両側に突出した部分が、カムカバー 300の端面 302と、 シリンダーヘッド 200の端面 201との間に挟み込まれるように配置される。一対のシ ールリップ 13は、シリンダーヘッド 200の端面 201に密着する。なお、一対のシールリ ップ 13は、ガスケット 10の周囲に沿って全周に設けられている。

[0036] 一対の突起 14は、溝 301の両側面に当接する。これにより、第 1ガスケット 10が、溝 301内で座屈したり倒れたりすることが防止されると共に、第 1ガスケット 10が溝 301 力も簡単に抜けてしまうことが防止される。

[0037] 接続部 15は、その表面が平面で構成されており、この平面部とシールリップ 13の 先端は同一面上にあるように構成されている。従って、この接続部 15の平面部は、シ リンダ一ヘッド 200の端面 201に密着する。また、接続部 15の幅を L,一対のシール リップ 13間の距離を Mとすると（図 5参照）、 L≥Mとなるように構成されている。これ により、接続部 15の強度は十分なものとなり、装着時 (圧縮時）においても、接続部 1 5により接続された付近において、一対のシールリップ 13間の間隔が変化しないよう に保持される。

[0038] <本実施例に係る第 1ガスケットの優れて 、る点 >

本実施例に係る第 1ガスケット 10においても、接続部 15が設けられて 、な 、部分に ついては、図 9に示すように、第 1ガスケット 10は、装着時にシリンダーヘッド 200と力 ムカノく一 300により、図 9中矢印 P方向に圧縮され、一対のシールリップ 13には、図 中矢印 W方向にモーメントが作用する。しかしながら、本実施例に係る第 1ガスケット 10においては、上記の通り、接続部 15によって接続された付近では、一対のシール リップ 13間の間隔が変化しな ヽように保持される。この接続部 15は一定の間隔で複 数 (6個)設けられており、シールリップ 13は、複数の部分で変形が抑制される。その ため、シールリップ 13全体の変形も抑制される。従って、一対のシールリップ 13間の 応力集中を抑制でき、シールリップ 13間に亀裂が生じてしまうことを抑制できる。

[0039] また、接続部 15の表面は、シールリップ 13の先端と同一面となる平面で構成されて いるので、接続部 15の部分では、一対のシールリップ 13間の部分に相当する付近 に応力が集中することもない。そして、この接続部 15は、最もシールリップ 13が変形 し易い、隣り合う一対の突起 14間の中央部に設けられているので、効果的にシール リップ 13の変形を抑制することができる。また、接続部 15の幅 Lは、一対のシールリツ プ 13間の距離 M以上であることから、接続部 15の強度は十分高ぐ接続部 15により 接続された付近において、一対のシールリップ 13の間隔をより確実に変化しないよう にすることができる。

[0040] なお、図 12はつぶし率に対するリップ間伸張率の関係について、従来例と本実施 例を比較したグラフである。図中 Z1は、接続部を備えていないガスケット (従来例）に おいて、装着時に最も伸張する付近 (一対の突起の中央付近）について解析したも のを示し、 Z2は、接続部を備えたガスケット (本実施例）において、装着時に最も伸張 する付近 (接続部 15と突起 14との間の中央付近）につ 、て解析したものを示して!/ヽ る。このグラフから、接続部 15を設けることで伸張率を低減させることができ、シールリ ップ 13の変形を抑制することができることが分かる。

[0041] くその他〉

上記実施例では、 3種類のガスケット (第 1ガスケット 10,第 2ガスケット 20,第 3ガス ケット 30)を連結部により一体成形されたものを例にして説明したが、本発明は、これ らのガスケットが個別のものについても適用できることは言うまでもない。

[0042] また、上記実施例では、シリンダーヘッドとカムカバーとの間の隙間をシールするガ スケットを例にして説明した力 S、ガスケットが適用される部分はこれに限られるもので はない。本発明のガスケットは、 自動車及びその補機，一般産業機器，家電機器な ど各種装置等に適用可能である。

[0043] また、上記実施例では、ガスケットの形状が円形で、かつ、外径の小さなものに接続 部を設ける場合を例にして説明したが、本発明が適用可能なガスケットの形状は、こ れに限定されるものではない。曲率半径が小さなものに特に効果的である力 シール リップが変形しやすいものに対しては、曲率半径の大小に関係なぐ効果が発揮され

l7ClC/900Zdf/X3d 6 ΖΪ9.00/.00Ζ OAV

Claims

請求の範囲

[1] 2部材のうちの一方の部材に設けられた溝に装着されて、前記 2部材間の隙間を封 止するガスケットにおいて、

前記 2部材のうちの他方に密着すると共に、並行に設けられる一対のシールリップ と、

一対のシールリップ間に設けられ、それぞれのシールリップに接続して、接続されて V、る付近でシールリップ間の間隔を保持する複数の接続部と、を備えることを特徴と するガスケット。

[2] ガスケットの側面側には、前記溝の両側面に当接する一対の突起が複数設けられ ており、

前記接続部は、隣り合う一対の突起間の中間部に設けられていることを特徴とする 請求項 1に記載のガスケット。

[3] 前記接続部は、前記 2部材のうちの他方に密着する平面部を有しており、

該平面部と前記一対のシールリップ先端は同一面上にあることを特徴とする請求項 1または 2に記載のガスケット。

[4] 前記接続部の横幅は、一対のシールリップ間の間隔以上であることを特徴とする請 求項 1, 2または 3に記載のガスケット。