地図情報補正装置および地図情報補正方法、プログラムおよびこれを用 レ、た情報提供装置ならびに情報取得装置
技術分野
[0001] 本発明は、地図情報補正装置および地図情報補正方法、プログラムおよびこれを 用いた情報提供装置ならびに情報取得装置に関する。
背景技術
[0002] 高度道路交通システム(ITS: Intelligent Transportation Systems)の一環として、道 路の渋滞状況や交通規制の情報等を、専用の受信機を介して提供するシステム (VI CS : Vehicle
Information Communication system)力;!^用されて 、る。
[0003] VICSでは、 VICSセンタ(交通情報を集中管理する交通情報提供センタ)にて編 集、処理された道路交通情報をリアルタイムで無線送信し、それらの情報を、カーナ ピゲーシヨンシステムに用意されている地図の上に、図形や文字等として重ね書きし て表示したり、渋滞情報を考慮したルート案内を行っている。
[0004] ユーザ側の地図(背景画や、主要な道路線等が描かれている)の上に、センタから 送られてきた道路交通情報 (文字や画像)を正確に重ね書きを行ったり、交通情報を 加味したルート案内等を行う場合、ユーザ側の地図上において、その道路交通情報 を重ね書きする位置や渋滞が発生している道路区間が、正確に特定されなければな らない。
[0005] 一般に、交通情報提供センタにて使用される地図と、道路交通情報の提供を受け る側 (ユーザ側)で用意される地図とは異なるため、地図間で誤差が生じる。
[0006] したがって、センタ側から送られてくる位置情報 (例えば、緯度、経度の情報)に従 つて、ユーザ側の地図上における位置を決めると、異なる地図間の誤差によって、対 象物の相対的な位置関係がずれてしま 、、正確な位置の特定ができな 、場合がある
[0007] 例えば、ある道路の右側の地点に、所定のマークを配置する場合を想定する。
[0008] センタ側にてそのマークの位置を緯度および経度により指定したとする。そして、ュ 一ザ側の地図上において、指定された位置にマークを配置すると、地図の背景画や 道路形状のずれ等により、結果的に、道路の左側にマークが配置される (本来は、道 路の右側に配置されなければならない)、といった不都合が生じる場合がある。
[0009] そこで、このような異なる地図間の誤差を吸収する技術 (ユーザ側の地図上にて正 確な位置を特定する技術:以下、「位置参照技術」 t 、う)が必要となる。
[0010] 出願人は、先に、道路形状を位置参照の基準として、ユーザ側の地図上で、正確 な位置を特定する技術を提案している (特許文献 1)。例えば、ある道路の近傍で事 故が発生したとする。このとき、交通情報提供センタからは、その事故位置を示す位 置情報だけではなぐ近傍の道路区間の形状を示す、複数の座標データも送信する 。また、事故位置を示す位置情報は、その道路区間を基準とした座標データとして送 信する。
[0011] ユーザ側の機器では、まず、複数の座標データ力 道路形状 (例えば、道路が直 線であるとか、すこし曲がっているとか)を判定し、その判定された形状と、自地図上 の道路形状とがー致する区間を探す (形状マッチング)。
[0012] 形状がマッチングすれば、交通情報提供センタ力 送られてきた道路区間が、自地 図上のどの道路区間に対応するのかが特定される。事故位置は、その道路区間を基 準とした位置座標となっているから、道路区間が特定されれば、事故位置も特定され ることになる。
[0013] ここで、主要な道路は、どのような地図にも描かれるものであり、普遍性が高い。した がって、道路形状のマッチングによって、ユーザ側の地図上にて道路区間を特定で きれば、その道路区間を基準として、所定の位置 (例えば、事故位置)を、ユーザ側 の地図上にて正確に特定することができる。このようにして、異なる地図間の誤差を 吸収し、道路交通情報の適切な利用を確保することができる。
特許文献 1 :特開 2001— 41757号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0014] 上述したとおり、従来の高度道路交通システム (ITS)の利用形態としては、道路交
通情報の提供と 、う形態が一般的である。
[0015] しかし、今後は、より高度な地図情報の提供が実現されると予想される。
[0016] 例えば、レストランや観光スポットのような対象点、 POI (Point Of Interest)の位置の みならず、敷地形状、敷地内に存在する施設、その施設の内部構造等についても情 報を提供するようなサービス、あるいは、ユーザ側の装置が使用する粗い電子地図 上には記載されていない、より細かい道路網の情報をセンタ力も送って、ユーザ側の 装置のディスプレイ上に表示できるようにするサービス等が活発化してくるものと考え られる。
[0017] 現状の VICSやカーナビゲーシヨンシステムにお!/、て、例えば、 POIは、点情報(一 つのアイコンとして表現される)として提供されている。これは、縮尺 1Z2500の地図 では、やむを得ないものである。ただし、今後は、縮尺 1Z500の地図に対応した、よ り細かいデジタル地図データの提供も可能となると考えられる。
[0018] この場合、上述のように、部屋の構成 (ビル内のテナントの場所や会議室の場所)、 駐車場の区画、広大な敷地をもつ施設の全体構成等も、 POIとして表現できるように なる可能性がある。この場合は、 POIを「面」で表現していることになる。
[0019] しかし、そのような面状の POI情報の提供 (あるいは、ユーザ側の装置が使用する 電子地図には表示されていない、より細かな道路網の情報提供等)が可能となったと しても、上述したように、地図情報を提供する側の地図と、その情報提供を受ける側 の地図とは異なる場合がほとんどであり、その地図間の誤差に起因して、正確な地図 情報の表示ができな 、場合が起こり得る。
[0020] つまり、せつ力べ高度な地図情報の提供がなされても、その情報提供に力かる対象 物力 ユーザ側の装置では正確な地点に表示されない、あるいは、提供された地図 情報に含まれる幾何形状がユーザ側の地図の幾何形状とは整合せず、したがって、 2つの幾何形状が少しずれた位置に二重に表示される、といった不都合が生じるお それがある。
[0021] 本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、異なる地図間の誤差に起 因する対象物についてのずれを補正することが可能な地図情報補正装置および地 図情報補正方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0022] 本発明の地図情報補正装置は、電子地図に関連した対象物の情報について、異 なる電子地図間で発生するずれを補正する地図情報補正装置であって、第 1の電子 地図に対応した、前記対象物に近接または近傍する位置参照用の対象の情報を含 む前記対象物の情報を受信する地図情報受信部と、前記受信した対象物の情報に 基づいて、前記位置参照用の対象の位置を特定する位置参照部と、前記位置参照 用対象力も抽出される少なくとも一つの基準点の、前記第 1の電子地図上における 位置および第 2の電子地図上における位置の各情報を利用して補間処理を実行し、 前記対象物の位置および形状の少なくとも一方を、前記第 2の地図に適合するように 補正する補正部と、を備える。
[0023] この構成により、電子地図に関連した対象物に対して、異なる地図間の誤差に起因 するずれを補正することができる。
[0024] また、本発明の地図情報補正装置において、前記補正部は、前記位置参照用対 象から抽出される一つの前記基準点の、前記第 1の電子地図上における位置と前記 第 2の電子地図上における位置との位置ずれ量に基づいて、平行移動処理および 回転処理のいずれか少なくとも一方の処理による補間処理を行い、前記第 1の電子 地図上の対象物の位置を、前記第 2の地図に適合するように補正する。この構成に より、位置参照用対象力 抽出される基準点についての位置ずれの情報から、対象 物の位置 (地点)を補正することができる。
[0025] また、本発明の地図情報補正装置において、前記位置参照用対象から抽出される 一つの前記基準点は、前記位置参照用対象の重心である。この構成により、第 1およ び第 2の電子地図における位置参照用対象の重心位置の変化から、対象物の位置 補正用の情報 (地図間の位置誤差の情報)を得ることができる。
[0026] また、本発明の地図情報補正装置において、前記補正部は、前記位置参照用対 象力 抽出される複数の前記基準点の各々についての、前記第 1の電子地図上に おける位置および前記第 2の電子地図上における位置の各情報を利用して、重み付 け補間、ノ ィリニア補間またはァフィン変換のいずれかの補間処理を実行し、前記第 1の電子地図上の対象物の幾何形状を、前記第 2の地図に適合するように整形する
。この構成により、異なる地図間の誤差により、敷地や施設の形状 (幾何形状)が異な つてしまった場合でも、第 1の電子地図上の対象物を、第 2の電子地図上に正確に 重ね合わせることができる。
[0027] また、本発明の地図情報補正装置において、前記位置参照用対象は道路である。
この構成により、地図における普遍性が高い道路を利用するため、使用される地図が どのようなものであっても補正を実施することができる。
[0028] また、本発明の地図情報補正装置において、前記位置参照用対象から抽出される 前記複数の基準点は、前記道路上の複数の交差点である。この構成により、位置参 照用対象として、地図における普遍性が高い道路を使用し、かつ、その道路に含ま れる複数の交差点を、基準点として抽出して利用することで、普遍性の高い道路情 報を利用するため、使用される地図がどのようなものであっても補正を実施することが できる。
[0029] また、本発明の地図情報補正装置において、前記複数の交差点の各々の位置は、 交差点の位置を示す座標情報または交差点の属性情報により特定され、ある 、は、 前記道路の形状に基づく分岐箇所の判定結果によって特定される。この構成により、 座標情報 (例えば、緯度、経度)を利用する方法、交差点の名称等の属性を利用す る方法 (例えば、「A施設出口交差点」といった名称にて交差点を特定する方法)、第 2の電子地図を利用する装置が、道路の形状データに基づき分岐位置を調べ、分岐 のある部分を交差点と認識し、これによつて交差点の位置を特定する方法、のいず れかにより、道路上の交差点の位置を特定することができる。
[0030] また、本発明の地図情報補正装置において、前記位置参照部は、前記位置参照 用対象の形状情報を用いたマッチングによって、前記位置参照用対象の、前記第 2 の電子地図上における位置を特定する。この構成により、形状マッチングを用いて位 置参照対象の位置を特定することができる。
[0031] また、本発明の地図情報補正装置において、前記位置参照部は、前記位置参照 用対象の形状を、複数の代表点の各々を結ぶ最短経路によって決定し、その決定さ れた前記位置参照用対象の形状情報を用いたマッチングによって、前記位置参照 用対象の前記第 2の電子地図上における位置を特定する。この構成により、位置参
照用対象の第 2の電子地図上における位置を特定するのに形状マッチングを使用し 、かつ、位置参照用対象の形状を特定する際に、形状情報を与えるのではなぐ複 数の代表点を特定する情報を与え、その代表点間を最短距離で結ぶことにより得ら れる形状を、位置参照用対象の形状とするものである。
[0032] また、本発明の地図情報補正装置において、前記位置参照用対象は道路であり、 その道路の形状は、位置が特定されている複数の交差点の各々を最短経路によつ て接続することにより決定され、前記位置参照部は、その決定された前記道路の形 状情報を用いたマッチングによって、前記位置参照用対象である道路の、前記第 2 の電子地図上における位置を特定する。この構成により、位置参照用対象として道 路を使用し、その道路形状の形状マッチングによって第 2の電子地図上における位 置を特定し、かつ、その道路の形状を特定する際に、道路の形状情報を与えるので はなぐ複数の交差点を特定する情報を与え、その交差点間を最短距離で結ぶこと により得られる形状を、道路の形状とするものである。
[0033] また、本発明の地図情報補正装置において、前記位置参照用対象の形状は、前 記対象物の全部または一部を囲む形態である。この構成により、特に、幾何形状の 補正 (整形)を行う場合、補正対象である対象物の一点の位置を補正するのに、複数 の基準点の位置変位情報が必要であり、形状の正確な補正のためには、この複数の 基準点の各々力 その補正対象である一点の周囲にバランスよく配置されているの が望ましい。よって、位置参照用対象 (複数の基準点を提供する)を、その補正対象 物の周囲を取り囲むように配置し、バランスよく配置された複数の基準点を抽出でき るようにするものである。
[0034] また、本発明の地図情報補正装置において、前記対象物は、面、線、点のいずれ 力 または組合せによって表現された POI (Point Of Interest)、または、前記 POIの 一部である。この構成により、面状の POIについての形状または位置のずれの補正 を行うことができる。
[0035] また、本発明の地図情報補正装置において、前記対象物は、前記第 1の電子地図 には存在し、前記第 2の電子地図には存在しない道路である。この構成により、第 2 の電子地図には記載されていない、より細かい道路網の情報の提供、その有効利用
が実現される。
[0036] 本発明の地図情報法制方法は、電子地図に関連した対象物の情報について、異 なる電子地図間で発生するずれを補正する地図情報補正方法であって、第 1の電子 地図に対応した、前記対象物に近接または近傍する位置参照用の対象の情報を含 む前記対象物の情報を受信するステップと、前記受信した対象物の情報に基づ 、て 、前記位置参照用の対象の位置を特定するステップと、前記位置参照用対象から抽 出される少なくとも一つの基準点の、前記第 1の電子地図上における位置および第 2 の電子地図上における位置の各情報を利用して補間処理を実行して、前記対象物 の位置および形状の少なくとも一方を、前記第 2の地図に適合するように補正するス テツプと、を有する。
[0037] この方法により、電子地図に関連した対象物に対して、異なる地図間の誤差に起因 するずれを補正することができる。
[0038] また、本発明は、コンピュータに、上記の地図情報補正装置における各手段の機能 を実現させるためのプログラムを提供する。このプログラムにより、電子地図に関連し た対象物に対して、異なる地図間の誤差に起因するずれを補正することができる。
[0039] また、本発明は、上記位置情報補正装置を備えた情報提供装置を提供する。また 、上記位置情報補正装置を備えた情報取得装置を提供する。この装置により、電子 地図に関連した対象に対して異なる地図間の誤差に起因するずれを補正可能な情 報提供装置または情報取得装置を提供することができる。
発明の効果
[0040] 本発明によれば、異なる地図間の誤差に起因する対象物についてのずれを補正 することが可能な地図情報補正装置および地図情報補正方法、プログラムおよびこ れを用いた情報提供装置ならびに情報取得装置を提供することができる。
図面の簡単な説明
[0041] [図 1]レストランや観光スポット等の POI (Point Of Interest)の表現例を示す図であり、
(a)は従来の点による表現を示す図、(b)は、面状の POI (建物)の表現を示す図、 ( c)は、面状の POI (敷地)の近傍に位置する道路形状も含めて表現した例を示す図 [図 2]第 1の地図上の対象物を第 2の地図上に重ね合わせて表示する際の、対象物
の位置や形状の補正の必要性について説明するための図であり、(a)は、対象物の 位置補正の必要性を示す図、(b)は、対象物の全部または一部の幾何形状等の補 正 (整形)の必要性を示す図
圆 3]面状の POIに関する地図情報の提供に関し、第 1および第 2の地図間で位置 や形状のずれが生じる場合の不都合を説明するための図であり、(a)は、第 1の地図 上における面状の POIの形態を示す図、(b)は第 2の地図上における面状の POIの 形態を示す図、(c)は、第 1の地図上における面状の POIの一部を第 2の地図に重 ね合わせた場合に生じる問題点を示す図
圆 4]地図情報 (POI情報)を提供する側の装置にて使用される地図上における、面 状の POIの例を示す図
圆 5]地図情報 (POI情報)を提供を受ける側の装置にて使用される地図の画像、お よび、その地図上に、受信した面状の POIを重ね合わせて表示した場合の画像を示 す図
圆 6]道路の形状マッチングにより道路位置を特定し、その位置特定情報を利用して 、下位階層の対象の位置を補正した場合の、地図上における POI画像を示す図 圆 7]敷地の形状マッチングにより敷地の位置を特定し、その位置特定情報を利用し て、下位階層の対象の位置を補正した場合の、地図上における POI画像を示す図 [図 8] (a)〜(e)は各々、対象物の外郭形状に基づいて、対象物の内部の構造の形 状全体を補正する (対象物の形状を整形する)具体例を示す図
圆 9] (a)〜 (d)は各々、対象物の位置や幾何形状を補正するために実施される、補 間処理の原理について説明するための図
[図 10]面状の POIの形状や位置を補正する場合に、基準点を確保する方法の一例 を説明するための図
[図 ll] (a)〜(c)は各々、第 2の地図には表わされていない、より細かい道路網を、第 2の地図上にも表示する場合の問題点を説明するための図
[図 12] (a)〜(d)の各々は、第 2の地図には表わされていない、より細かい道路網を 第 2の地図上にも表示する際に、主要道路の形状力も抽出される複数の基準点の変 位に基づいて、細かい道路網の位置および形状を補正する例を説明するための図
[図 13] (a)〜 (d)の各々は、位置参照対象として道路を使用する場合の、各種の位置 参照方式の態様を説明するための図
[図 14] (a)〜(c)の各々は、一または複数の、略線状の位置参照対象を用いて内部 の形状や位置を補正する例を示す図
[図 15]地図情報通信システム (地図情報利用システム)の構成を示すブロック図
[図 16]地図情報を提供する側の装置の動作を示すフロー図
[図 17]地図情報の提供を受ける側の装置の動作を示すフロー図
[図 18]図 13 (a)に示される例に対応した、階層化されたデータ構造を示す図
[図 19]図 13 (b)に示される例に対応した、階層化されたデータ構造を示す図
[図 20]図 13 (c)に示される例に対応した、階層化されたデータ構造を示す図
[図 21]地図情報を提供する側の装置では位置参照用対象を特に指定せず、地図情 報の配信を受ける側の装置にて、位置参照用情報を自主的に選別する方式に対応 したデータ構造を示す図
[図 22]図 14 (b)に示す例 (位置参照用対象を複数使用する例)に対応した、階層化 されたデータ構造を示す図
[図 23]図 18〜図 22に示される各種のデータ構造についての基本的なコンセプトを 説明するための図
符号の説明
500 情報提供装置
502 オブジェクト決定部
503 オブジェクトデータベース
504 データ抽出部
505 外郭位置参照情報抽出部
506 内部形状抽出部
507 デジタル地図データベース A
508 位置情報送信部
600 情報取得装置
601 位置情報受信部
602 外郭位置特定部
603 デジタル地図データベース B
604 代表点抽出部
605 内部形状補正部
606 内部形状活用部
発明を実施するための最良の形態
[0043] 以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
[0044] (第 1の実施形態)
まず、 POI情報の提供について説明する。図 1は、レストランや観光スポット等の PO
I (Point Of Interest)の表現例を示す図であり、(a)は従来の点による表現を示し、 (b
)は、面状の POI (建物)の表現を示し、 (c)は、面状の POI (敷地)の近傍に位置する 道路形状も含めて表現した例を示して ヽる。
[0045] 図 1 (a)に示すように、従来は、 POI (レストランや観光スポット等)を、アイコン 10で 示している。
[0046] すなわち、 POIの点による表現である。点により表現できるのは、 POIが位置する地 点だけであり、表現できる情報量が少ない。
[0047] そこで、本発明の実施形態では、複雑な構造も表現可能な面状の POI情報の提供 を想定する。
[0048] すなわち、 POIを、面、線、点の 、ずれか、または組合せ (例えば、面、面と線の組 合せ、または、面と線と点の組合せ、のいずれか)によって階層的に把握し、そして、 階層化されたデータ構造として表現し、これを、ユーザ側の装置に提供するといぅサ 一ビスを想定する。
[0049] 図 1 (b)では、敷地および敷地内の建物を含む 2次元の POIを、敷地の形状 20と、 敷地に設けられた駐車場の区画 24a、 24bと、敷地内の建物の外郭形状 22と、 3つ の会議室の構造、すなわち、大会議室 25、会議室 A (参照符号 26)、会議室 B (参照 符号 27)とに分けて階層的に把握する。図 1 (b)では、 POIを、面と線の組合せで把 握している。
[0050] なお、図 1 (b)において、参照符号 21は建物の入口を示し、参照符号 23は会議室
の入口を示し、また、図中の矢印は、敷地内の案内ルートを示している。
[0051] このような POIが、ユーザの、 GPSシステム等に対応したカーナビゲーシヨン装置や 携帯電話機等のディスプレイ上に示されれば、ユーザは、車を所定の駐車場に止め 、かつ、目的の会議室に、効率的にたどり着くことができる。
[0052] 図 1 (c)では、敷地 30と、敷地 30内部の建物 32の形状と、敷地への入口を示す点 Aと、駐車場の位置を示す点 Bと、建物 32の入口を示す点 Cと、打ち合わせが行わ れる会議室 (最終目的地)を示す点 Dと、に分けて、面、線および点の組合せにて、 P OIを階層的に把握する。
[0053] このような POIが、ユーザの、 GPSシステムに対応した携帯電話機等のディスプレイ 上に示されれば、ユーザは、敷地内の入口から進入し、車を所定の駐車場に止め、 かつ、打ち合わせが行われる会議室に、効率的にたどり着くことができる。
[0054] 図 1 (b)、(c)の場合は、 POIの内部構造力 入れ子関係になっているため、その内 部構造の関係に沿って順に階層化し、階層的に把握した面状の POIの各構成要素 毎にデータ化することにより、地図情報を効率的に生成することができる。階層的に 把握された各構成要素の形状 (面や線の場合)あるいは位置 (点の場合)を、データ として表現する手法としては、絶対座標による表現と、相対座標による表現の 2種類 がある。
[0055] 以上、面状の POIの地図情報の提供、利用について説明した力 これに限定され るものではなぐユーザ側の装置が使用する地図上にない、より詳細な道路網の情報 等を提供、利用する場合にも、本発明の実施形態の利用が可能である (この点につ いては後述する)。
[0056] 次に、第 1の電子地図に基づいて面状の対象物(上記の POIや道路網)の地図情 報を生成し、その地図情報を送信し、受信側にて、その対象物の位置や幾何形状等 を特定し、第 1の地図とは異なる第 2の地図上に重ね合わせて表示する場合におけ る、対象物の位置や形状の補正の必要性について説明する。
[0057] 図 2は、第 1の地図上の対象物を第 2の地図上に重ね合わせて表示する際の、対 象物の位置や形状の補正の必要性について説明するための図であり、(a)は、対象 物の位置補正の必要性を示す図であり、(b)は、対象物の全部または一部の幾何形
状等の補正 (整形)の必要性を示す図である。
[0058] 図 1 (a)において、第 1の地図上の対象物 40a (実線で表されている)の位置は、第
2の地図上における対象物 40b (点線で表されて 、る)の位置と異なって!/、る。
[0059] 例えば、第 1の地図上の対象物 40aの絶対座標を指定し、第 2の地図上に、着色し て重ね合わせて表示する場合を想定する。このとき、図示されるような位置の誤差が あると、第 2の地図上における対象物 40bの位置は正確性を欠くことになり、地図情 報の利用の妨げとなる。
[0060] そこで、この場合には、対象物 40aの重心 G1と対象物 40bの重心 G2に着目し、位 置変位を測定し、第 2の地図上において、その測定された変位の分だけ、対象物 40 aの位置をずらせる(平行移動する)。これにより、対象物 40aが対象物 40bに重なる
。なお、平行移動と回転を併用する場合も考えられる。
[0061] 図 2 (b)の場合は、第 1の地図上における 2つの対象物(42a、 44a :ここでは、地下 鉄の駅とする)の位置と幾何形状力 第 2の地図上における対象物 (42b、 44b)のそ れとは異なっている。
[0062] また、第 1の地図上における売店の位置(46a、 48a)と、第 2の地図上における売 店の位置(46b、 48b)との間にも、位置ずれが生じている。
[0063] このような、地図間において、施設等の形状について誤差が存在する場合には、対 象物を単純に平行移動するだけでは、第 2の地図上における位置の正確な重なりを 実現することができない。したがって、この場合は、幾何形状の整形が必用となる。
[0064] 図 3は、面状の POIに関する地図情報の提供に関し、第 1および第 2の地図間で位 置や形状のずれが生じる場合の不都合を説明するための図であり、(a)は、第 1の地 図上における面状の POIの形態を示し、 (b)は第 2の地図上における面状の POIの 形態を示し、(c)は、第 1の地図上における面状の POIの一部を第 2の地図に重ね合 わせた場合に生じる問題点を示す図である。
[0065] 図 3 (a)において、参照符号 50a、 50bは各々、第 1および第 2の地図上における建 物(例えば、ホテル)の形状を示し、参照符号 52a、 52bは各々、ロビーの形状を示し 、参照符号 54a、 54bは、待ち合わせ場所を示している。
[0066] そして、(a)に示される POIのロビー 52aおよび待ち合わせ場所 54aの緯度、経度
を取得し、その座標情報に基づいて、第 2の地図上に重畳すると、 (c)に示すように、 ロビー 52aの一部が、建物 50bの外に出てしまう。
[0067] ここで、位置参照技術 (形状マッチング等)を利用して、ロビー 52aの重心の位置を 補正したとしても、形状の整合がとれないという点では変わりがない。したがって、この 場合には、ロビーの形状の整形が必用となる。
[0068] 次に、異なる地図間の誤差を吸収するために、対象物の「位置」および「幾何形状」 を補正する場合の具体例について説明する。
[0069] まず、対象物の「位置」を補正する場合の具体例について、図 4〜図 7を参照して説 明する。
[0070] 図 4は、地図情報 (POI情報)を提供する側の装置にて使用される地図上における 、面状の POIの例を示す図である。
[0071] 図示されるように、ユーザに提供される面状の POI情報は、構成要素として、ある会 社の敷地の形状 (一点鎖線で囲まれて示される:参照符号 30)と、その敷地の入口を 示す地点の情報 (A)と、駐車場の地点を示す情報 (B)と、その敷地 30内にある建物 32の形状と、建物 32の入口の地点を示す情報 (C)と、会合が開かれる会議室の地 点の情報 (D)と、敷地 30の左端部に隣接する主要道路 100aと、その主要道路に沿 つて配置される、進路ガイドとしての太い矢印 102aと、を含む。
[0072] なお、図 4【こお!/ヽて、参照符号 110a、 120a, 130aiま、敷地 30を取り囲むよう【こ延 びる道路を示す。
[0073] 図 5は、地図情報 (POI情報)を提供を受ける側の装置にて使用される地図の画像 、および、その地図上に、受信した面状の POIを重ね合わせて表示した場合の画像 を示す図である。
[0074] 地図情報の提供を受ける側の装置にて使用される地図の内容が、図 5の左上に点 線で囲んで示されている。明らかなように、地図の精度は、地図情報提供側の装置 の地図に比べ、かなり劣る。
[0075] 参照符号 100b、 110b, 120b, 130bで示される道路は、各々、図 4に示される道 路 100a、 110a, 120a, 130a【こ対応して!/ヽる。
[0076] また、参照符号 40は、会社の敷地を示しており、図 4の敷地 30に対応するものであ
る。
[0077] 図 4の地図に基づいて作成され、送信された POI情報を、図 5の左上に示されるよう な異なる(精度の劣る)地図上に重ね合わせると、図 5の右側に示されるように、位置 がずれてしまう。
[0078] すなわち、一点鎖線で示される敷地 30は、実線で示される敷地 40に対し、右斜め 方向に位置がずれて表示され、進路ガイドとしての太線の矢印 102bも、主要道路 1 00bとは一致せず、右側にずれて表示される。
[0079] このような位置の不一致があつたのでは、視覚的に不合理であり、ユーザの使用に 耐えない。
[0080] そこで、図 6に示すように、位置特定と位置補正を実施する。
[0081] 図 6は、道路の形状マッチングにより道路位置を特定し、その位置特定情報を利用 して、下位階層の対象の位置を補正した場合の、地図上における POI画像を示す図 である。
[0082] 図 6では、道路の形状マッチングにより道路位置を特定し、この位置特定により得ら れた基準点の移動量の情報に基づいて、下位階層 (敷地、敷地の入口、駐車場、建 物、建物の入口、会議室の位置)を補正する。
[0083] すなわち、敷地 30を含む POI全体を、左方向に、少しだけ平行移動させる。
[0084] 上記の位置補正処理により、左右の位置ずれは、ほとんどなくなる。ただし、上下方 向には、位置の誤差が残っている。
[0085] 次に、図 7に示すように、さらに、位置特定と位置補正を実施し、 POIの位置を、ュ 一ザ側の装置の地図に、さらに適合させる。
[0086] 図 7は、敷地の形状マッチングにより敷地の位置を特定し、その位置特定情報を利 用して、下位階層の対象の位置を補正した場合の、地図上における POI画像を示す 図である。
[0087] 図 7では、敷地の形状マッチングにより敷地の位置を特定し、この位置特定により得 られた基準点の移動量の情報に基づいて、下位階層(敷地の入口、駐車場、建物、 建物の入口、会議室の位置)を補正する。
[0088] すなわち、敷地 30を含む POI全体を、左下方向に、少しだけ平行移動させる。
[0089] これにより、面状の POIは、ユーザ側の装置の地図にぴったりと適合し、違和感の ない、重ね合わせ表示が実現される。
[0090] 次に、対象物の幾何形状を整形 (補正)する場合の具体例につ!、て説明する。
[0091] 図 8 (a)〜(e)は、対象物の外郭形状に基づいて、対象物の内部の構造の形状全 体を補正する(対象物の形状を整形する)具体例を示す図である。
[0092] 図 8 (a)において、参照符号 200は、第 1の地図上における建物(例えば、ホテル) の外郭形状を示し、参照符号 210は、ロビーの外郭形状を示し、参照符号 220は、 待ち合わせ場所を示して!/ヽる。
[0093] この建物 (ホテル)の外郭形状、内部の形状、点の位置を示す各情報を階層的に 把握し、地図データ化する。
[0094] その地図データに基づき、図 8 (b)〜(e)に示すように、第 2の地図上にぉ 、て、そ の建物(ホテル)の外郭形状やロビーの形状、ならびに、待ち合わせ場所の位置を補 正する。
[0095] すなわち、図 8 (b)に示すように、地図データに基づいて、建物(ホテル)の外郭形 状 (略台形であり、参照符号 200が付され、かつ、点線で示されている)から、複数 (こ こでは 4つ)の基準点(代表点) Pel〜Pe4を抽出する。
[0096] なお、図 8 (b)において、参照符号 230は第 2の地図上における建物(ホテル)の外 郭形状を示す (図中、実線で示されている)。
[0097] 次に、図 8 (c)に示すように、地図データに基づき、第 2の地図上において、建物( ホテル)の形状を再現し、その再現された建物(ホテル)の形状を、第 2の地図上に存 在する形状と比較して形状の一致を判定し (形状マッチング)、地図データに基づき 再現される建物 (ホテル)の形状が、第 2の地図中のどの形状に対応するの力を特定 する(形状マッチングによる位置特定)。これにより、建物 (ホテル)の外郭形状 (およ び位置) 230が、第 2の地図上において特定される。
[0098] 次に、図 8 (d)に示すように、形状マッチングにより位置が特定された建物(ホテル) 外郭形状 (および位置) 230の 4隅から、基準点 Pdl〜pd4を抽出する(これが、形状 マッチングによる位置および形状の特定後における、 Pe 1〜Pe4に対応する点であ る)。
[0099] そして、図 8 (e)に示すように、 Pel〜Pe4の各々と、それらに対応する Pdl〜Pd4 の各々の位置情報に基づいて、各点の位置変位量を求め、その変位量に基づき、 所定の「補間処理」を行 、、建物(ホテル)内部のロビーの形状および待ち合わせ場 所の位置を補正する。なお、図 8 (e)において、参照符号 211は補正後のロビーの形 状を示し、参照符号 221は補正後の待ち合わせ場所を示す。
[0100] 次に、図 9を参照して、対象物の位置や幾何形状を補正するために実施される、「 補間処理」の原理 (基本的な考え方))につ 、て説明する。
[0101] ここで 、う「補間処理」とは、対象物の位置や幾何形状を補正するための具体的な 手段であって、決まった規則がなく変換される (べき)地点 (位置)や幾何形状を、一 または複数の基準点についての、既知の位置変位情報に基づき、最も適した位置に 配置する処理である。
[0102] 適切な補正がなされることによって、対象物を、第 2の地図上に正確かつ違和感な く重ね合わせ表示することが可能となる。
[0103] 図 9 (a)〜 (d)は、対象物の位置や幾何形状を補正するために実施される、「補間 処理」の原理について説明するための図である。
[0104] 図 9 (a)は、対象物の「位置」の補正のために使用される、平行移動(最もシンプル な補間処理方法)を示す。
[0105] 図 9 (a)において、 G3は、形状マッチングによる位置特定前の対象物(点線で示さ れ、 4隅の代表点は Pel〜Pe4である)の重心であり、 G4は、形状マッチングによる 位置特定後の対象物(実線で示され、 4隅の代表点は Pdl〜Pd4である)の重心で ある。
[0106] 重心 G3および重心 G4の(第 2の地図上における)座標は既知であり、したがって、 G3から G4にシフトするための変位量 (補正量)は既知である。
[0107] 一方、点 J1は、補間処理の対象である点 (補間処理後の点の位置は不明)である。
この点 J1を、重心 G3、 G4間の変位量 (既知)の分だけ、平行移動する。この平行移 動後の点が J2である。
[0108] 面積をもった対象物は、複数の点の集まりと見ることができるから、各点を同じように 平行移動させることで、その対象物全体の位置をシフトさせることができる。
[0109] 次に、図 9 (b)、(c)を用いて、対象物の「幾何形状 (および地点)」の補正に用いら れる「重み付け補間」について説明する。
[0110] ここでいう「重み付け補間」とは、補間対象の点の近傍に位置する複数の基準点の 各々と、上記補間対象の点との間の距離に基づき、各基準点が補間対象の点に与 える影響の度合を推定し、その影響の度合を距離の逆数により表現し、各基準点の 変位量を総合的に勘案して、補間対象の点の補間後の位置を、重み付け演算により 求める処理である。
[0111] 図 9 (b)において、 PeZは補間対象の点であり、その周囲に存在する 4つの点(Pel 〜Pe4)が基準点であり、また、 S1〜S4は、補間対象の点(PeZ)と、各基準点(Pel 〜Pe4)との間の距離を示す。
[0112] 同様に、図 9 (c)において、 PdZは、補間処理後の補間対象の点であり、その周囲 に存在する 4つの点(Pdl〜Pd4)力 変位後の基準点を示している。
[0113] 図 9 (b)において、 4つの基準点(Pel〜Pe4)は、補間対象の点(PeZ)を囲むよう に、バランスよく配置されている。ここで、 4つの基準点(Pel〜Pe4)の各々が、相互 の連関なく個別に変位した場合 (ただし、各基準点の変位は既知とする)、補間対象 の点(PeZ)も、各基準点(Pel〜Pe4)力も個別に影響を受ける。
[0114] このときの影響の度合は、各基準点までの距離に反比例とすると考えられる。つまり 、最も近くに位置する基準点の変位が、補間対象の点 (PeZ)に最も強い影響を与え る。
[0115] したがって、補間対象の点 (PeZ)と各基準点 (Pel〜Pe4)との距離の逆数を重み ( ウェイト)とし、下記の式による重み付け補間演算を行って、補間対象の点 (PeZ)の、 補間処理後の補間対象の点(図 9 (c)の PdZ)の、 X、 Yの各座標を求める。
[0116] 面積をもった対象物の幾何形状 (外郭形状等)は、その形状を構成する複数の点 の集まりと見ることができるから、それらの各点について、複数の基準点の各々からの 距離の逆数の重みを用いた重み付け演算を実施し、座標位置を個別に決めていくこ とで、結果的に、その対象物の幾何形状 (外郭形状等)の整形 (ならびに、地点の移 動)が実現される。
[0117] なお、重み付け補間において、基準点の数は 4つに限定されるものではない。
[0118] この重み付け補間は、複数の基準点が、補間対象の点の周隨こバランスよく配置さ れて 、な 、ような場合 (条件が厳 、場合)でも使用できることから、本発明の実施形 態の第 2の地図上における対象物の位置や形状を補正する手段として、最も有効と 考えられる。
[0119] なお、ここでは、重み付け補間を利用しているが、バイリニア補間 (双線形補間)を 使用することもできる。基本的な考え方は、重み付け補間に似ている。
[0120] ノ ィリニア補間では、補間対象の点を原点とする円を描き、その円を X軸、 Y軸で区 切られる 4つの領域に分割し、その分割された 4つの領域の各々内に基準点を設け、 その 4つの基準点の変位量に基づいて線形補間を行い、補間対象の点の、補間後 の位置 (座標)を決める。
[0121] 次に、図 9 (d)を用いて、対象物の「幾何形状 (および地点)」の補正に用いられる「 ァフィン変換」について説明する。
[0122] ここで、「ァフィン変換」とは、変換対象の点の周囲に位置する 4つの基準点の変化 量を、「X方向の平行移動量」、「Y方向の平行移動量」、「X座標の回転量」、「Υ座標
の回転量」、「X方向の拡大率」、「Y方向の拡大率」に分解し、分解された各変位量 をパラメータとして、未知の点の変位量 (補正量)を求める変換方式である。基本的に は、ユークリッド幾何学的な線形変換と平行移動の組合せによる図形や形状の移動
、変形を行うものである。
[0123] ァフィン変換の場合、元の図形で直線上に並ぶ点は、変換後も直線上に並び、平 行線は、変換後も平行線であるなど、幾何学的な性質が保たれる。
[0124] 図 9 (d)にお 、て、 PeZが補間前の点(補間対象の点)であり、 PdZが補間後の点で ある。
[0125] ァフィン変換による点の移動を実現するために、図示されるように、 4つの基準点(P el〜Pe4)が用いられる。この 4つの基準点(Pel〜Pe4)の各々力 (Pdl〜Pd4)に 変位したとする(この変位は既知である)。
[0126] このとき、点(PeZ)をァフィン変換して得られる点(PdZ)は、以下のように求められ る。
[0127] まず、点(PeZ)を通る、 2つの直線 xl、 ylを決める。ここで、 xlは、その傾きが、基 準点(Pel)と (Pe2)を結ぶ直線の傾きと、基準点(Pe3)と(Pe4)を結ぶ直線の傾き との中間の直線である。
[0128] 同様に、 ylは、その傾きが、基準点(Pel)と (Pe3)を結ぶ直線の傾きと、基準点 e2)と(Pe4)を結ぶ直線の傾きとの中間の直線である。
[0129] ここで、直線 xlに関し、点(PeZ)により左右に分離される線分の長さの比は C で ある。また、直線 ylに関し、点(PeZ)により上下に分離される線分の長さの比は A: B である。
[0130] 次に、変換後の 4つの基準点(Pdl〜Pd4)により規定される面上で、上記の A: B、
C : Dの比率が保たれるように、直線 x2、 y2を決定する。
[0131] そして、その直線 x2、 y2の交点の座標を求め、その座標を、ァフィン変換後の点(
PdZ)の座標とする。
[0132] 面積をもった対象物の幾何形状 (外郭形状等)は、その形状を構成する複数の点 の集まりと見ることができるから、それらの各点について、複数の基準点の各々からの 距離の逆数の重みを用いた重み付け演算を実施し、座標位置を個別に決めていくこ
とで、結果的に、その対象物の幾何形状 (外郭形状等)の整形 (ならびに、地点の移 動)が実現される。
[0133] 次に、補間処理に必要な基準点を、地図上でどのように確保するかについて説明 する。
[0134] 図 10は、面状の POIの形状や位置を補正する場合に、基準点を確保する方法の 一例を説明するための図である。
[0135] 図 10の POIは、図 4〜図 7に示されるものと同じである。
[0136] すなわち、図示されるように、面状の POIは、構成要素として、ある会社の敷地の形 状 (一点鎖線で囲まれて示される:参照符号 30)と、その敷地の入口を示す地点の情 報 (A)と、駐車場の地点を示す情報 (B)と、その敷地 30内にある建物 32の形状と、 建物 32の入口の地点を示す情報 (C)と、会合が開かれる会議室の地点の情報 (D) と、を含む。
[0137] ここで、注目すべきは、敷地 30を取り囲むように、 4本の道路(100a、 110a, 120a 、 130a)が存在することである。道路は、先にも述べたとおり、最も普遍性が高ぐど のような地図上にも存在する可能性が極めて高 、。
[0138] また、地図上に重ね合わされる対象(面状の POI)の周囲を取り囲むように存在して いることから、この道路を位置参照対象とし、第 2の地図上において、形状マッチング 等によって位置決めできれば、それらの道路形状から、面状の POIの位置や形状の 補正に必要な複数の基準点(図 9に示すように、補正対象の周囲(の四隅)にバラン スよく配置されて 、るのが望ま 、)を、効率的に抽出することができる。
[0139] そこで、図 10では、面状の POIを取り囲む道路の形状(図中、太線で示される)を 位置参照対象とし、その道路上の 5つの点 (AP1〜AP5)を基準点として利用する。
[0140] このように、位置や形状の補正対象の周囲を、ぐるりと取り囲む道路形状を、位置参 照対象とするのが、最も効率的である。
[0141] ただし、これに限定されるものではない。図 9を用いて説明したように、複数の基準 点の各々が満たすべき条件は、補間処理の前後 (すなわち、第 2の地図上における 位置参照対象の位置特定の前後)における座標位置 (緯度、経度)が明確であり(こ れにより、基準点の変位量が判明する)、かつ、望ましくは、位置や形状の補正対象
の周囲(の四隅付近)にバランスよく存在して ヽることである。
[0142] この条件を満たす対象であれば、適宜、位置参照用対象として利用することができ る。また、複数の基準点を抽出できれば十分であり、したがって、位置参照対象は、 位置や形状の補正対象の回りを、完全に取り囲む必要もない。
[0143] (第 2の実施形態)
本実施形態では、道路形状を利用した位置特定あるいは補間 (補正)についての、 各種のバリエーションにつ 、て説明する。
[0144] 図 l l (a)〜(c)は、第 2の地図には表わされていない、より細かい道路網を、第 2の 地図上にも表示する場合の問題点を説明するための図である。
[0145] 図 11 (a)は、第 1の地図上における、主要道路 (太線で示される) RD1と、その主要 道路 RD 1の内側に存在する細!、道路 (道路網) RS 1を示して 、る。
[0146] 図 11 (b)は、第 2の地図上における、主要道路 QD1 (図 11 (a)の RD1に相当する 道路であり、太 、点線で示される)を示して 、る。
[0147] 第 2の地図上における主要道路 QD1の形状は、第 1の地図上における主要道路 R
D1の形状とは完全には一致しない(地図間の誤差による)。
[0148] また、第 2の地図は、第 1の地図に比べて精度が低ぐ第 1の地図上に存在する細 い道路 RS 1は掲載されない。
[0149] そこで、第 1の地図に基づいて生成された図 11 (a)の地図画像の情報の提供を受 け、第 2の地図上に重ね合わせる。これにより、細い道路 RS1も、第 2の地図上に表 示することができる。
[0150] 図 11 (c)は、(a)および (b)に示される各地図を重ね合わせて得られる地図画像を 示す。
[0151] 図示されるように、主要道路 RD1および QD1の形状が一致しないため、このままで は、視覚的に見苦しぐまた、提供される道路情報 (主要道路 RD1および細い道路 R S 1の位置情報等)も正確性を欠く。
[0152] そこで、主要な道路を位置参照対象とし、また、その主要な道路形状から複数の基 準点を抽出し、第 2の地図上において形状マッチングを行い、第 2の地図上における 、その主要な道路の絶対位置を特定し、そして、複数の基準点の位置特定前後の変
位量に基づき、主要道路の内側にある細い道路の形状を補正する、という処理を実 行する。
[0153] 図 12 (a)〜(d)は、第 2の地図には表わされていない、より細かい道路網を第 2の地 図上にも表示する際に、主要道路の形状力 抽出される複数の基準点の変位に基 づ 、て、細か!/、道路網の位置および形状を補正する例を説明するための図である。
[0154] 図 12 (a)に示すように、第 1の地図上にて、提供する地図情報を特定し (ここでは、 主要道路 RD1および細い道路 RS1の地図情報を提供する)、主要道路 RD1の四隅 の交差点を、基準点(Pe5〜Pe8)とする。
[0155] そして、主要道路 RD1および細い道路 RS1の形状を特定するための多数の座標 点の位置情報と、基準点(Pe5〜Pe8)の位置情報とを生成し、その情報を、第 2の地 図を使用する側に送る。
[0156] 次に、図 12 (b)に示すように、情報提供を受けた側の装置では、送られてきた情報 に基づいて、主要道路 RD1および細い道路 RS1の形状を再現し、第 2の地図上に 重畳する。
[0157] 再現された主要道路 RD1の形状と、第 2の地図の背景画像として描かれている主 要道理 QD1の形状は完全には一致しない。
[0158] 次に、図 12 (c)に示すように、主要道路 RD1の形状を手がかりとして、この形状に マッチングする(すなわち、その道路形状に近い形状をもつ)道路が、第 2の地図上 に存在するかを調べる(マップマッチング処理)。
[0159] これにより、第 1の地図上の主要道路 RD1は、第 2の地図上では、主要道路 QD1 に相当することが判明する。これにより、主要道路 RD1の位置特定がなされる。
[0160] また、この位置特定の結果として、位置特定の前と後にお 、て、 4つの基準点(Pe5
〜Pe8)の各々の位置が、点(Pd5〜Pd8)の位置に変位していることが判明する。
[0161] そこで、この各基準点の位置特定の前後における変位量の情報に基づき、細い道 路 RS1の形状を構成する複数の点 (代表点)の各々について、図 9を用いて説明し た各種の補間処理を実行し、それらの点を、第 2の地図上において新たにマッピング
(配置)する。
[0162] これにより、図 12 (d)に示すように、細い道路(第 1の地図上における RS1)の位置
および形状が、第 2の地図に適合するように、補正される。図 12 (d)では、補正後の 主要道路には参照符号 QD2を付し、同じぐ補正後の細い道路には参照符号 RS2 を付してある。
[0163] このようにして、第 2の地図上に、細!、道路にっ 、ての情報を正確に重ね合わせて 表示することができる。
[0164] なお、ここでは道路の補正方法について述べた力 第 1の実施形態で記述した PO Iの位置や形状の補正と組合せて利用することも可能である。例えば、都市部密集地 等の細かい道路脇に存在する POIと、そこに至る細街路の両方を提供したり、幹線 道路に面した POIの位置をより明確に示すために、周辺目標物として細街路も提供 したりしてちょい。
[0165] 次に、位置参照対象として道路を使用する場合の、各種の位置参照方式の態様に ついて説明する。
[0166] 図 10や図 12の例では、位置参照対象である道路の形状を、複数の座標点により 特定していた。つまり、地図情報として道路形状を示すデータを送り、受信側で、道 路の形状を再現している。
[0167] しかし、位置参照対象の道路の形状を特定する方法は、これに限定されるものでは ない。
[0168] 図 13 (a)〜 (d)は、位置参照対象として道路を使用する場合の、各種の位置参照 方式の態様を説明するための図である。
[0169] 図 13 (a)では、地図情報の提供側の装置から複数の代表点(Pe9〜Pel6)の座標 データを送り、その座標データを受信した側の装置にて、各代表点間を結ぶ最短経 路を探索し、各代表点間を最短経路で接続し、これにより、位置参照対象である道路 形状 RD3 (—点鎖線で示される)を特定する。
[0170] なお、この後、マップマッチング(形状マッチング)処理を行う。これにより、第 1の地 図上における道路形状 RD3は、第 2の地図の背景に描かれている道路形状 QD3に 相当することが判明し、その道路の位置特定がなされる。そして、複数の基準点 (Pe 9〜Pel5)の変位量に基づいて、細部の道路 RS 3の位置や形状を補正する。
[0171] 図 13 (b)では、地図情報の提供側の装置から交差点(Pel7〜Pe20)の座標デー
タ、または、交差点の名称等の属性を示すデータを送り、その座標データを受信した 側の装置にて、交差点(Pel7〜Pe20)の位置を特定する。
[0172] そして、特定された各交差点 (Pel7〜Pe20)間の最短経路を探索し、その最短経 路で構成される形状を、位置参照対象の道路 RD3の形状とする。
[0173] 以下、図 13 (a)の場合と同様の処理を行い、道路の位置特定、内部の細い道路 R
S3の補正を実行する。
[0174] 図 13 (c)では、地図情報提供側の装置から、位置参照対象の道路 RD4の形状 (太 Vヽ矢印で示される)を示す「形状データ」と、「交差点ノードデータ(交差点の座標や 名称等の属性を特定する情報) Jとを送る。
[0175] 地図情報の提供を受ける側の装置では、形状データを用いて道路位置を特定し、 また、交差点ノードデータを用いて基準点となる、複数の交差点(Pel7〜Pe20)の 位置を特定し、その複数の基準点を用いて、細い道路 RS3の位置および形状を補 正する。
[0176] また、図 13 (d)では、地図情報提供側の装置から、位置参照対象の道路 RD4の形 状 (太ヽ矢印で示される)を示す「形状データ」のみを送る。
[0177] このとき、この形状データに、交差点付近 (C1〜C4)にみられる、道路の分岐形状 を示すデータも付加する。
[0178] 地図情報の提供を受ける側の装置にて、形状データに基づいて道路形状を再現 する際、道路の分岐形状も判断し、その分岐のある箇所 (C1〜C4)を交差点と判断 し、その交差点を補正の基準点とする。
[0179] 次に、位置参照用対象として、略線状の形状をもつ対象を使用する場合、および、 複数の位置参照用対象を用いる場合について説明する。
[0180] 図 14 (a)〜(c)の各々は、一または複数の、略線状の位置参照対象を用いて内部 の形状や位置を補正する例を示す図である。
[0181] 上述の例では、提供される地図情報に係る対象を、ぐるりと取り囲むようにして存在 する道路の形状等を位置参照対象とし、その位置参照対象の形状から、補正用の基 準点を得ていた。
[0182] しかし、第 2の地図上における絶対位置の特定が可能であり、かつ、補正用の基準
点の情報の取得が可能ならば、ぐるりと取り囲む形態の対象でなくても、位置参照用 対象として採用することができる。
[0183] また、そのような位置参照用対象を複数、用いることも可能である。この複数の位置 参照対象を用いる方式では、上述の、周囲を取り囲むような対象の形状を用いる場 合よりも、さらに高精度の補正の実現が期待される。
[0184] 図 14 (a)では、補正の対象は家屋 300aの位置(および形状)であり、この家屋 300 aの位置は、補正により、 300bの地点にシフトされる。
[0185] このような補正を行うために、家屋の近傍にある一本の道路 L1の一部(図中、太い 実線で示される部分:曲線部分はあるものの、家屋を取り囲むような形態ではない)の 形状を使用し、ここから、複数の基準点 Pe30〜Pe33を抽出する。
[0186] マップマッチングを行うと、第 1の地図上の道路 L1は、第 2の地図上では道路 L2に 相当することが判明し、第 2の地図上における位置特定がなされる。
[0187] このマップマッチングによる道路 (L2)の位置特定の結果として、複数の基準点(Pe
30〜Pe33)は各々、点(Pd30〜Pd33)の位置に変位する。そして、この基準点の 変位量の情報を用いて、家屋 300aの位置(および形状)を補正する。
[0188] 図 14 (b)では、 2本の道路 L3、 L4の各々の、部分的形状(曲線を含む力 家屋を ぐるりと囲む形状ではない)を位置参照対象として用いて、位置特定と、基準点の抽 出、形状等の補正処理を実行する。
[0189] 道路 L3には、複数の基準点 Pe40〜Pe43が含まれる。また、道路 L4には、複数の 基準点 Pe50〜Pe52が含まれる。
[0190] マップマッチングの結果として、これらの複数の基準点の位置は、点(Pd40〜Pd4
3、 Pd50〜Pd52)の位置にシフトされる。
[0191] これらの各基準点の変位量の情報を用いて、家屋 301aの位置 (および形状)を補 正する。これにより、家屋の位置(および形状)は、 301bに示すようになる。
[0192] また、図 14 (c)は、複数の位置参照対象を、第 2の地図上には掲載されていない細 部の道路形状および POIの位置を特定するために使用する。
[0193] 図 14 (c)において、道路 400、 410は、第 1および第 2の地図の双方に掲載されて いるが、道路 420および POI430は、第 2の地図には掲載されていない。
[0194] この場合、地図情報提供側の装置から、道路 400、 410、 420および POI430の各 情報を送信し、受信側の装置にて、まず、道路 400、 410の位置をマップマッチング により特定する。そして、位置特定された、これら 2本の道路の形状から基準点を抽 出し、補間処理を行って、道路 420や POI430の位置や形状を補正する。
[0195] これにより、細かな地図情報を、第 2の地図上において、より精度良く再現すること ができる。
[0196] (第 3の実施形態)
本実施形態では、地図情報通信システム (地図情報利用システム)の構成と動作、 ならびに、提供される地図情報のデータ構造の具体例について説明する。
[0197] 図 15は、地図情報通信システム (地図情報利用システム)の構成を示すブロック図 である。
[0198] 図示されるように、地図情報を提供する側の、情報提供装置 500は、情報提供の対 象物(オブジェクト)を決定するオブジェクト決定部 502と、オブジェクトデータベース 5 03と、データ抽出部 504 (外部位置参照情報抽出部 505と、内部形状抽出部 506と を含む)と、デジタル地図データベース A (参照符号 507)と、位置情報送信部 508と 、を有する。
[0199] また、地図情報を受信する側の、情報取得装置 600は、位置情報受信部 601と、 外郭位置特定部 602と、デジタル地図データベース B (参照符号 603)と、代表点抽 出部 604と、内部形状補正部 605と、内部形状活用部 606と、を有する。この情報取 得装置 600は、電子地図に関連した対象物の情報について、異なる電子地図間で 発生するずれを補正する地図情報補正機能を有するものである。また、情報提供装 置も、地図情報補正機能を有していてもよい。
[0200] 図 16は、情報提供装置 500の動作を示すフロー図である。
[0201] 図 15のオブジェクト決定部 502は、オブジェクトデータベース 503を検索し、送信 すべきオブジェクト(対象)を決定する(S700)。
[0202] 次に、図 15のデータ抽出部 504において、オブジェクト決定部 502によって決定さ れたオブジェクトについての地図情報、ならびに位置参照用対象 (主要な道路形状 等)を、デジタル地図データベース A (参照符号 507)力も抽出し、各情報を階層化し
て把握し、外郭位置参照用情報とオブジェクトの内部構造の情報とに分けてデータ 化する(S701)。
[0203] また、位置参照用情報から、代表点 (補正用の基準点)を抽出し、その位置を特定 するための情報をデータ化する(S702)。
[0204] そして、各情報を階層化して、所定形式の送信データに変換し、送信する(S703)
[0205] 図 17は、情報取得装置 600の動作を示すフロー図である。
[0206] まず、位置情報受信部 601にて、送られてきた情報を受信し、次に、外郭位置特定 部 (位置参照部) 602にて、位置参照に用いる対象を決定する(S710)。
[0207] 送信側で、位置参照に用いる情報が指定されているときは、その指定に従って位 置参照用情報を取得し、また、送信側にて指定されていない場合は、送信されてきた データを分析し、位置参照用情報として使用できる情報を選出する (S711)。
[0208] そして、外郭位置特定部 602にて、位置参照(マップマッチング)を行 、、位置参照 対象の自地図上における位置を特定する(S712)。
[0209] 次に、代表点 (基準点)抽出部 604にて、補正用の基準点を抽出し、位置特定前後 の変位量 (移動量)を算出する (S713)。
[0210] 次に、その変位量 (移動量)が所定の範囲内であるかを判定し (S714)、所定の範 囲内であれば、内部形状補正部 605にて、オブジェクトの形状を補正し (S715)、 S7 14にて所定の範囲外であれば、内部形状の補正 (整形)はあきらめ、平行移動や回 転による位置の補正を実施する(S716)。
[0211] そして、内部形状活用部 606が、自地図上に、送られてきた対象物の画像を重ね 合わせて表示する。
[0212] 次に、情報提供装置 500から提供 (送信)される地図情報のデータ構造の例につ いて説明する。
[0213] 図 18は、図 13 (a)に示される例に対応した、階層化されたデータ構造を示す図で ある。
[0214] 図示されるように、このデータ構造は、ヘッダ部 650と、外枠の道路形状を特定する ための代表点(ノード: Pe9〜Pel5)を特定するための情報 652と、内部の細い道路
RS3の道路形状を特定するための多数の座標データを含む情報(654、 656)と、を 含む。
[0215] また、図 19は、図 13 (b)に示される例に対応した、階層化されたデータ構造を示す 図である。
[0216] ヘッダ部 660、内部形状等を特定するための情報 666、 668をもつのは、図 18と同 様であるが、図 19では、交差点の位置を特定するための、交差点の属性情報を含む 情報部分 662、 664をもつことが特徴である。
[0217] また、図 20は、図 13 (c)に示される例に対応した、階層化されたデータ構造を示す 図である。
[0218] ヘッダ部 670、内部形状等を特定するための情報 674、 676をもつのは、図 18と同 様であるが、図 20のデータ構造では、補正の基準点を特定するための、ノード種別 の情報を含む情報部分 672をもつことが特徴である。
[0219] また、図 21は、地図情報を提供する側の装置では位置参照用対象を特に指定せ ず、地図情報の配信を受ける側の装置にて、位置参照用情報を自主的に選別する 方式に対応したデータ構造を示す図である。
[0220] 図示されるように、ヘッダ部 680と、複数の対象 (構成要素)につ 、ての情報 682〜
686と力 階層的に配列されている。
[0221] また、図 22は、図 14 (b)に示す例 (位置参照用対象を複数使用する例)に対応し た、階層化されたデータ構造を示す図である。
[0222] 図示されるように、データ構造には、ヘッダ部 690と、外郭データ (位置参照用デー タ)の総数を示す情報 691と、複数の外郭データ (外郭 1〜外郭 Pのデータ)と、内部 形状等を示す複数のデータ(内部 1〜内部 Q)と、が含まれる。
[0223] 図 23は、図 18〜図 22に示される各種のデータ構造についての基本的なコンセプ トを説明するための図である。
[0224] この図は、概ね、以下の内容を示している。
[0225] つまり、地図情報を提供する側の装置から提供される地図情報は、基本的に、外枠 用位置参照用情報と、オブジェクトの点、形状等を示す情報とを含み、さらに、位置 参照用情報には、形状等の補正のための基準点を特定するための情報が含まれて
いる。そして、地図情報の提供を受ける側の装置で使用される地図上にて、オブジェ タトの点、形状等は、外枠用位置参照情報や基準点情報を参照して、位置特定され たり、補正されたりする。
[0226] このように、階層化されたデータ構造中に、地図情報の提供に係る対象物のデータ のみならず、位置参照用対象の情報や、補正用の基準点の情報を含ませ、これら全 体を地図情報として提供することで、地図情報の提供を受ける側の装置にて、複雑 な構造の面状の対象物を再現すると共に、自地図上に正確に、違和感なく表示する ことが可能となる。
[0227] 以上説明したように、本発明の実施形態によれば、第 1の電子地図上の対象物を 第 2の電子地図上に重ね合わせる際に、対象物の位置や幾何形状を、第 2の電子地 図に適合するように補正することができる。したがって、第 2の電子地図上において、 対象物が不正確な位置に表示されたり、あるいは、対象物の形状と、第 2の電子地図 上の背景としての形状とが合致せずに、 V、びつな形態で表示されると!/、つた不都合 が生じない。
[0228] すなわち、適切な補正がなされることによって、対象物を、第 2の電子地図上に正 確かつ違和感なく重ね合わせ表示することが可能となる。
[0229] 特に、対象の位置の補正 (対象物の平行移動)のみならず、幾何形状の補正 (重み 付け補間、ノ ィリニア補間、ァフィン変換等を利用した補正)も行えるため、複雑な構 造をもつ面状の POI等の情報の提供ならびに利用を、不都合なく行うことができるよう になる。
[0230] また、補正に必要な、異なる地図間の誤差情報を得るために、各種の位置参照技 術を活用することにより、位置参照対象の位置特定を効果的かつ効率的に行うことが できる。
[0231] 例えば、普遍性の高い道路の形状を用いた形状マッチングの利用、道路上の交差 点を基準点として活用する手法の利用、複数の代表点 (交差点等)を最短接続して 道路等の形状を簡易的に再現する手法の利用、位置参照対象として、対象物を取り 囲むように存在する道路形状等を利用し、 V、ろ 、ろな位置に配置された複数の基準 点をバランスよく抽出する手法の利用、複数の位置参照対象を利用して、補正に必
要な情報を豊富に取得し、補正の精度を向上させる手法の利用、等により、きわめて 効率的かつ精度の高!、、位置参照対象の位置特定が実現される。
[0232] 位置参照技術の活用により、地図情報の提供を受ける側で採用される電子地図( 第 2の電子地図)が粗い場合でも、対象物の正確な位置決め、重ね合わせ表示が可 能となる。
[0233] これにより、カーナビゲーシヨンシステム等を用いた、複雑な構造をもつ面状の POI についての地図情報の提供、その有効利用(その POIを、自地図上の正確な位置に 違和感なく表示すること等)が可能となる。
[0234] また、カーナビゲーシヨンシステム等を用いた、第 2の電子地図には記載されていな い、より細かい道路網の情報の提供、その有効利用(その道路網の情報を、自地図 上の正確な位置に違和感なく表示すること等)が可能となる。
[0235] また、地図情報を提供する側の装置から、位置参照情報および対象物の情報 (位 置、幾何形状の情報)を送信し、地図情報の提供を受ける側の装置において、位置 参照情報を利用した補正を適宜、行って、対象物を自地図上に正確に位置決めす る、新規な地図情報通信方法が実現される。
[0236] これにより、複雑な構造をもつ POIや、詳細な道路網の情報等の提供、利用が可能 な、新規な地図情報利用システムが実現される。
[0237] また、 ITS (高度道路交通システム)の有効利用が可能となる。
[0238] 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲 を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明ら かである。
産業上の利用可能性
[0239] 本発明は、異なる地図間の誤差に起因する対象物についてのずれを補正すること が可能な効果を奏し、カーナビゲーシヨンシステムや移動通信システム等を用いた地 図情報通信システム等に有用である。