WO2006134634A1

WO2006134634A1 - ミシン用ビーズ供給装置

Info

Publication number: WO2006134634A1
Application number: PCT/JP2005/010822
Authority: WO
Inventors: Sei Kato
Original assignee: Sei Kato
Priority date: 2005-06-14
Filing date: 2005-06-14
Publication date: 2006-12-21

Abstract

　ミシン用ビーズ供給装置２では、偏心運動部材９の水平腕部９ｂにビーズＢが受けられる透孔部９ｃを形成し、水平腕部９ｂに偏心運動を伝達し、振動でビーズＢが方向転換することにより差込ピン１５に差し込まれるようにしている。このため、個人の技量に関係なくビーズＢを布地Ｔに直接縫込むことがきて刺繍装飾の多様化を図ることがきる。この場合、布地Ｔの縫製過程でミシン本体１にビーズＢを供給しながら布地Ｔに縫付けることができ、装飾を施したい箇所にだけビーズＢを布地Ｔに縫い付け、本縫いとビーズＢの縫付け作業とを同時に進行させ、ビーズＢを縫い付ける縫い目が本縫いのまま残る縫付け技術を実現させることができる。

Description

明細書

ミシン用ビーズ供給装置

技術分野

[0001] 本発明は、運針によりビーズを布地に縫い付けてビーズによる刺繍などが布地に施されるようにしたミシン用ビーズ供給装置に関する。

背景技術

[0002] ビーズは装飾品であり、全縫製が完了して力飾りとして手作業で、一個づっ布地に縫い込まれていた。手縫いのビーズは、装飾用の縫い付けに限られ、式典用のブラウスや婚礼用のドレスに対するビーズの縫製操作は、ビーズを手作業で一個づっ縫い付けるため、手間がかかり、個人の技量に委ねられるところが多ぐ美しく揃えることが難しい点がある。

[0003] また、手縫いによりビーズを縫、付けた布地の裏側には、余分な縫、糸が残るため、仕上げの見栄えが悪く製品として成立しない点がある。総じて、ビーズ刺繍のアバレル製品では、縫製品として工場生産の自動的なシステム化に適用することが難しかった。

[0004] このため、新たな試みとして、布地の縫製過程でミシンにビーズを供給しながら布地に縫い付けることができ、装飾を施したい箇所にだけビーズを布地に縫い付け、本縫いとビーズの縫付け作業とを同時に進行させ、ビーズを縫い付ける縫い目が本縫いのまま残る縫付け技術を実現させることが望まれて、た。

[0005] この種の縫付け技術を実現させる試みとしてビーズ刺繍ミシンが提案されている。このビーズ刺繍ミシンでは、縫製の多様ィ匕の一環としてビーズを布地に縫い込み、装飾性や美しさを付加価値として一層向上させて購買意欲の増進につなげる構想が注目されている。この構想の具体例として、糸体連結ビーズ物の縫付け用ガイド装置をミシン機に装着するようにしたものがある（例えば、特許文献 1、 2参照)。

[0006] 特許文献 1の縫付け用ガイド装置では、糸体に数珠つなぎに連結したビーズ体を整列部に配置している。ビーズ体は、整列部から略 V字形のガイド溝を有する樋構造に導出され、縫製針に向けて延出している。ビーズ体の縫い付け時、整列部から引き出した糸体連結ビーズ物を縫製針側に運び、縫製ポイント付近に糸体の先端を置く

[0007] この状態で、縫製針を上下に動作させて上糸および下糸により糸体を先端から布地に縫い付ける。この際、縫製動作に連動するミシン機の送り歯により布地が送り出されるため、糸体連結ビーズ物は、布地の送り動作に同期して整列部の樋構造から間欠的に引出されるようになる。

特許文献 2のビーズ通し装置は、シュートの貫通孔を通過したビーズを一個づっ通すことができる大きさの案内体を有している。この案内体は、ベルト、プーリーおよびモータ力なる駆動機構により駆動されるようになっている。案内体の回転駆動に伴い、案内体の内周面に接触するビーズに接触子を介して回転力が与えられ、ビーズの孔部が上針体に挿通して落下する。

特許文献 1 :特開 2002— 113271号公報

特許文献 2 :特許第 2915351号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0008] し力しながら、特許文献 1の縫付け用ガイド装置では、螺旋状の整列部を縫製針の近辺に設ける構成のため、整列部の占有スペースが大きくなり、整列部が運針に干渉する虞がある。また、糸体連結ビーズ物が布地に載置されることにより、整列部から引き出される構成のため、糸体連結ビーズ物の送りが不確実となり、糸体の正確な縫い付けが不可能になる虞がある。さらに、糸体連結ビーズ物の糸体を布地に縫い付ける構成になっており、ビーズ自体を直接布地に縫い付けていないので、糸体の縫い付け後にビーズが不安定になって刺繍による装飾性が減殺されて実用化が難しくなる虞がある。

また、特許文献 2では、ビーズ通し装置が案内体、ベルト、プーリー、モータおよび接触子力なる駆動機構を有し、部品点数が多くて構造が複雑で大型化し、長期使用に伴、生じる故障を排除できず、耐久性ゃ使、易さの点力問題を抱えて、る。

[0009] 本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的はビーズを布地に直接縫!ヽ込むことがきて、個人の技量に関係なくビーズによる刺繍装飾の多様ィ匕が図られながらも、運針に支障を来すことなぐかつ簡素な構造で省スペース化が図られて全体のコンパクトィ匕を達成し、耐久性に優れてコスト的にも有利となるミシン用ビーズ供給装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0010] (請求項 1について）

ミシン本体に取り付けられて複数のビーズをミシンテーブルの布地上に供給するミシン用ビーズ供給装置において、断面略 L字状の偏心運動部材は、水平腕部にビーズが受けられる透孔部を形成し、垂直腕部に遊嵌孔部を形成している。略 U字状の板ばね部は、一端部が偏心運動部材の垂直腕部に取付けられ、他端部が静止部位に取付けられている。駆動モータは、遊嵌孔部に遊嵌された偏心部を有する回転軸を嵌着し、駆動時に回転軸の偏心部を介して偏心運動部材が板ばね部の弾性変形を伴う偏心回転して、ビーズを透孔部内で回転させる。昇降腕部は、水平腕部の下方に水平腕部に対して接離方向に移動可能に設けられ、透孔に対向してビーズを受ける差込ピンを有する。チャック部材は、ミシン本体が有する縫製針の運針により、縫製糸をビーズに通してビーズを布地に縫い合わせるため、差込ピンに差し込まれたビーズを掴み、弓 Iき出してミシンテーブル上の布地に運ぶ。

[0011] (請求項 2について）

ミシン用ビーズ供給装置は、布地に対するビーズの縫込み時、ビーズの孔部同士が略直列的に向き合う状態で、布地と略平行状態に並ぶように運針を制御する制御部を有する。

[0012] (請求項 3について）

制御部はプログラムにより、縫製針を初期位置から 1針分だけ前進せて布地に刺し込み、一針後退させて元の初期位置で布地に置かれたビーズの孔部を通過して布地を縫ヽ、初期位置から 1針分だけ前進せて布地に刺し込む操作を繰り返すように指令する。

[0013] (請求項 4について）

透孔部の内周壁部は、鋸歯状の凹凸面をなしている。

[0014] (請求項 5について）前記透孔部の内周壁部は、上下方向に所定のリードピッチを有する螺旋突条のスクリュー面をなしている。

[0015] (請求項 6について）

偏心運動部材が偏心回転時に水平に変位する振り距離は、ビーズにおける直径寸法の 30%あるいは 30%前後程度に設定されている。

発明の効果

[0016] (請求項 1について）

ミシン用ビーズ供給装置では、偏心運動部材の水平腕部にビーズが受けられる透孔部を形成し、水平腕部に偏心運動を伝達し、振動でビーズが方向転換すること〖こより差込ピンに差し込まれるようにして、る。

このため、ビーズが自動的に差込ピンに差し込まれて、ミシンテーブル上の布地に搬送されるので、個人の技量に関係なくビーズを布地に直接縫い込むことがきて刺繍装飾の多様ィ匕を図ることができる。

[0017] この場合、布地の縫製過程でミシン本体にビーズを供給しながら布地に縫い付けることができ、装飾を施したい箇所にだけビーズを布地に縫い付け、本縫いとビーズの縫付け作業とを同時に進行させ、ビーズを縫い付ける縫い目が本縫いのまま残る縫付け技術を実現させることができる。

[0018] 布地へのビーズの供給は、偏心運動部材の水平腕部にビーズが受けられる透孔部を形成し、水平腕部に駆動モータで偏心回転を与える簡素な構造で済むので、全体がコンパクトになり省スペース化が図られるとともに、コスト的に有利になる。しかも、偏心運動部材、駆動モータおよびビーズは、ミシン本体にコンパクトに取り付けられるので、運針の支障になることがなぐ効率的な縫製作業を維持することができる。

[0019] この場合、縫製針の昇降速度は大きくても、ビーズを布地に供給する応答速度を縫製針の昇降速度に見合ったものに設定でき、差込ピンに対してビーズの孔部を位置決めする構成は、省スペース、堅牢かつ信頼性に富み、高速応答性を実現できるものになつている。

[0020] (請求項 2について）

ミシン用ビーズ供給装置は、布地と略平行状態に並ぶように運針を制御する制御部を有する。このため、ビーズは、孔部同士が略直列的に向き合うように布地に縫い込まれるので、ビーズの孔部が外部に露呈されず、ビーズによる良好な装飾性を維持することができる。

[0021] (請求項 3について）

制御部はプログラムにより、ビーズは孔部同士が略直列的に向き合うように布地に縫い込まれて、ビーズの孔部が外部に露呈されず、ビーズによる良好な装飾性を維持することができる。

[0022] (請求項 4について）

透孔部の内周壁部は、鋸歯状の凹凸面をなしており、ビーズに偏心回転を伝達し易くしている。

[0023] (請求項 5について）

前記透孔部の内周壁部は、上下方向に所定のリードピッチを有する螺旋突条のスクリュー面をなしており、請求項 4と同様にビーズに偏心回転を伝達し易くしている。

[0024] (請求項 6について）

偏心運動部材が偏心回転時に水平に変位する振り距離の設定により、偏心運動部材に惹起させてビーズに偏心回転を伝える平行微振動回転を設定する上で理想的となる。

図面の簡単な説明

[0025] [図 1]ミシン本体に取付けた状態のミシン用ビーズ供給装置を示す部分縦断面図である（実施例 1)。

[図 2]平行微振動発生部の分解斜視図である (実施例 1)。

[図 3] (a)、（b)は、ビーズが差込ピンに差し込まれる様子を示す平行微振動発生部の作用説明である（実施例 1)。

[図 4] (a)、（b)は、差込ピンと縫製針との間で往復搬送される様子を示すチャック爪の平面図である（実施例 1)。

[図 5] (a)、（b)は、ビーズが差込ピンに差し込まれる様子を示す平行微振動発生部の作用説明である（実施例 1)。

[図 6] (a)、 (b)は、板ばね部と偏心運動部材との相互作用を示す説明図である (実施例 1)。

[図 7] (a)、（b)は、ビーズを掴んで受取位置力縫製位置に運ぶ様子を示すチャック爪およびその周辺部の作用説明である（実施例 1)。

[図 8] (a)、 (b)は、布地上に搬送されたビーズに縫製針を差し込む過程を示す作用説明図である (実施例 1)。

[図 9] (a)、 (b)は、布地上に搬送されたビーズに縫製針を差し込む過程を示す作用説明図である (実施例 1)。

[図 10]布地上に搬送されたビーズに縫製針を差し込む過程を示す作用説明図である（実施例 1)。

[図 11] (a)は縫製針の運針の様子を示すタイミンググラフ、 (b)はタイミンググラフに応じて駆動される制御チャートである（実施例 1)。

[図 12] (a)、 (b)は、本縫いの途中でビーズを布地に縫い付ける使用例の説明図である（実施例 1)。

[図 13] (a)、（b)は、ビーズを布地に一個飛びに縫い付ける使用例の説明図である（実施例 1)。

[図 14] (a)〜 (h)は、ビーズの孔部が直列に並ぶように布地に縫い付ける使用例の説明図である (実施例 1)。

[図 15]ビーズを布地に直列に縫い付ける機構を示す説明図である（実施例 1)。

[図 16] (a)、 (b)は、ビーズを並列させて布地に縫い付ける使用例の説明図である（実施例 1)。

[図 17] (a)、（b)、（c)は、ビーズを空縫いにより布地に縫い付ける使用例の説明図である（実施例 1)。

[図 18] (a)〜 (d)は、既製服にビーズを所定のパターンで縫、付ける使用例の説明図である（実施例 1)。

[図 19]透孔部を有する偏心運動部材を示す拡大斜視図である（実施例 2)。

符号の説明

1 ミシン本体

lc ミシンテーブル 2 ミシン用ビーズ供給装置

3 支持板 (静止部位）

4 ホッノ一

9 偏心運動部材

9a 垂直腕部

9b 水平腕部

9c 透孔部

9d 遊嵌孔部

10 板ばね部

15 差込ピン

16 ピン支持腕 (昇降腕部）

18 駆動モータ

18a 回転軸

19 偏心部

B ビーズ

b ビーズの孔部

h 縫製針

T 布地

M 平行微振動発生部

U 上糸

W 下糸

L 受取位置

N 縫製位置

発明を実施するための最良の形態

本発明のミシン用ビーズ供給装置は、ブラウスやドレスなどの縫製品にビーズをミシンで自動的に縫!、付けて装飾性を付与するために実現されたもので、偏心運動部材の水平腕部にビーズが受けられる透孔部を形成し、水平腕部に偏心運動を伝達し、振動でビーズが方向転換することにより落下して差込ピンに差し込まれるようにしている。

実施例 1

[0028] 図 1ないし図 18は本発明の実施例 1を示す。

工業用などのミシン本体 1に着脱可能に取り付けられたミシン用ビーズ供給装置 2 を示す図 1において、断面略 L字状の支持板 3が静止部位としてミシン本体 1の頭部 laにねじなどの締結手段により固定されている。支持板 3は、縦方向に設けられた落下筒 8に連通する通過孔 3aを形成し、上面部に落下孔 6aを形成したシャツタ板 6を摺動可能に設けている。

[0029] シャツタソレノイド 7は、支持板 3に設けられており、プランジャー 7aによりシャツタ板 6 を水平方向 Fに摺動させて、落下孔 6aが支持板 3の通過孔 3aに合致する開位置と落下孔 6aが通過孔 3aと合致しない閉位置との間で変位可能になっている。

シャツタ板 6の上方には、ビーズ Bが供給される漏斗状のホッパー 4が設けられ、その径小な筒部 4aの下端部をシャツタ板 6に近接させて、る。シャツタ板 6が開位置にある時、ホッパー 4の筒部 4aがシャツタ板 6に閉鎖され、閉位置では、ホッパー 4の筒部 4aがシャツタ板 6の落下孔 6aに合致する。

[0030] 支持板 3の裏面には、略 U字状の板ばね部 10が設けられ、その一端部を支持板 3 に固定し、他端部を断面略 L字状の偏心運動部材 9の上端部に固定している。偏心運動部材 9は、後述する平行微振動発生部 Mを構成するもので、図 2および図 3の（ a)、 (b)にも示すように垂直腕部 9aと透孔部 9cを有する水平腕部 9bとからなる。

[0031] チャック支持板 14は、偏心運動部材 9の直下に設けられたもので、上面にビーズ B を掴むチャック 11を設けている。チャック支持板 14は搬送シリンダー 13のロッド 13a に取付けられ、偏心運動部材 9の直下となる受取位置から、図 1の右方に破線で示すように縫製針 hの直下となる縫製位置 Nまで往復搬送される。縫製位置 Nでは、ビーズ Bがチャック 11に掴まれた状態でミシンテーブル lcに配された布地 T上に置かれる。

[0032] 図 4の（a)、 (b)に示すように、チャック 11は、チャックソレノイド 12により開閉制御される一対のチャック爪 11aを有している。チャック爪 11aは、プランジャー 11cに連結されたリンク l ld、 l ie, l lf、 l lg、 l lhからなるパンタグラフ状の伝達機構を有する。ピンソレノイド 17は、落下筒 8と並列状態に設けられ、ロッド 17aにピン支持腕 16を昇降腕部として連結している。ピン支持腕 16は、チャック爪 11aに対向するように配されて、ビーズ Bに差し込む差込ピン 15を突設している。

[0033] 差込ピン 15に差し込まれたビーズ B (図 4参照）をチャック爪 11aが掴み、ミシン本体 1側に搬送する過程では、チャックソレノイド 12への通断電により、プランジャー 11 cを移動させ、伝達機構のリンク l ld〜l lhを介してチャック爪 11aが開閉する。チヤック爪 11aが閉じる時、チャック爪 11aはストローク Sに沿って前進し、後述するように縫製針 hがビーズ Bに刺さってチャック爪 11aが開く時、チャック爪 11aはストローク S に沿って後退する。

[0034] ピン支持腕 16の差込ピン 15にビーズ Bが差し込まれて待機している時 {図 4の（a) 、（b)参照 }、チャック 11が差込ピン 15側に戻るため、チャック爪 11aがビーズ Bと干渉しないような逃げストロークを確保している。搬送シリンダー 13のチャック支持板 14 が差込ピン 15側に戻り、チャック爪 11aがビーズ Bを掴む前の状態では、チャック爪 1 laの先端とビーズ Bとの間に距離が生じ、ビーズ Bに対するチャック爪 11aの把持が確実に行われる。

[0035] 上記構成でホッパー 4内のビーズ Bをミシンテーブル lc上の布地 Tに搬送する作動を簡単に説明する。

先ず、シャツタ板 6の摺動により、落下孔 6aが受けたビーズ Bを通過孔 3aを介して落下筒 8に落とす。落下筒 8を落下するビーズ Bは、偏心運動部材 9における水平腕部 9bの透孔部 9a内で待機する差込ピン 15に遭遇する。

[0036] ビーズ Bの孔部 bが差込ピン 15と合致する場合、ビーズ Bが差込ピン 15に差し込まれ、合致しない場合、ビーズ Bが差込ピン 15の先端に当接する。ビーズ Bが差込ピン 15に差し込まれる力、当接するかの確率は、ビーズ Bの全表面積と透孔部 9aの横断面積との演算比となる。

[0037] 図 5の（a)に示すように、差込ピン 15の先端に当接したビーズ Bは、外周の一部を透孔部 9cの内周壁に接触させる。ビーズ Bは、平行微振動発生部 Mにより透孔部 9c に対して接触する部分から摩擦力を受け、差込ピン 15の先端上で回転して孔部の指向方向を変換し、その指向方向が差込ピン 15に合致した時、図 5の (b)に示すように、ビーズ Bが差込ピン 15に差し込まれる。

[0038] 差込ピン 15に差し込まれたビーズ Bは、チャック爪 11aで掴まれた時、ピンソレノイド 17に通電されてロッド 17aが進出することによりピン支持腕 16が下方に移動してビーズ B力も差込ピン 15が抜き出る。ビーズ Bを掴んだチャック爪 11aは、搬送シリンダー 13により、チャック支持板 14とともに、縫製針 hの直下の縫製位置 Nに搬送される。

[0039] 縫製位置 Nでは、縫製針 hが下降し、縫製位置 Nでチャック爪 1 laで掴まれたビーズ Bに刺さる。縫製針 hが上昇し始める時点で、チャック爪 11aが開いてビーズ Bを布地 T上に置いたまま受取位置 Lに戻る。受取位置 Lでは、ビーズ Bが水平腕部 9bの透孔部 9c内で、縫製針 hの昇降タイミングに合わせてチャック爪 11aにより掴まれることを待つ。これら一連の動作が繰り返されて縫製針 hに所望個数のビーズ Bが搬送される。

[0040] この場合、差込ピン 15に差し込まれたビーズ Bは、チャック爪 11aにより、図 4の（a) に示すように掴まれて、縫製位置 Nで縫製針 hの下降を待つ。ビーズ Bは、下降する縫製針 hを受けて布地 Tに縫い付けられ、布地 Tが送り歯 21により、図 4の（a)に矢印 Aで示す方向に間欠的に送られて、布地 Tにビーズ Bによる刺繍が施される。

[0041] ここで、図 5および図 6に基づいて平行微振動発生部 Mを詳述する。平行微振動発生部 Mにおける駆動モータ 18の回転軸 18aは、図 5の（a)、（b)に示すように偏心部 19を有している。偏心部 19の先端部 19aは、垂直腕部 9aに形成した遊嵌孔部 9d内に係合している。偏心部 19の先端部 19aが、駆動モータ 18の回転軸 18aに対して偏心量 Eだけ偏心することにより、駆動モータ 18は偏心部 19を介して偏心運動部材 9 に偏心回転を伝える。

[0042] この際、偏心運動部材 9は、板ばね部 10に拘束されているため、偏心運動部材 9 は十分に旋回することができず、板ばね部 10に弾性変形を伴わせる。偏心運動部材 9には、駆動モータ 18の回転軸 18aからの偏心量 Eが残されているため、駆動モータ 18への通電に伴って偏心運動部材 9は偏心量 Eの偏心回転を行う。偏心運動部材 9の偏心量 Eは、図 6の (b)に橈み量 Vで示すように、板ばね部 10が弾性変形により吸収されることになる。これに伴い、図 6の (b)に示す振り距離 Rの範囲内で、透孔部 9c内のビーズ Bも同様な偏心回転変位を平行微振動回転として受ける。 [0043] 差込ピン 15の先端に当接したビーズ Bは、透孔部 9cの内周壁に接触して回転摩擦を受け、図 6の（a)に矢印 Cで示すように、差込ピン 15上で回転を発生する。この時、ビーズ Bは左右方向に振られるようにして透孔部 9cの内周壁に当たる力いずれの方向であっても、透孔部 9cの内周壁に対するビーズ Bの回転摩擦の方向は変わらない。ビーズ Bは、差込ピン 15に差し込まれない限り、差込ピン 15の先端で回転する 1S 実際のところ、ビーズ Bは透孔部 9cに落下した際、瞬間的に差込ピン 15に差し込まれることが分かって、る。

[0044] 偏心運動部材 9の偏心量 Eは、偏心運動部材 9の偏心運動に伴って、図 6の（b)に示す橈み量 Vにより板ばね部 10に吸収されるが、水平腕部 9bが偏心回転時に水平方向に変位する振り距離 Rは、ビーズ Bにおける直径寸法の 30%あるいは 30%前後程度が平行微振動回転を設定する上で適してヽる。振り距離 Rがビーズ Bの直径寸法を超えると、ビーズ Bは透孔部 9cから外部に飛び出すことが予測される。

[0045] 図 7ないし図 10は、ミシン針の回転角 Θ (以後、ミシン針角 Θと称す）によって、チヤック 11が搬送シリンダー 13のチャック支持板 14 (図 1参照）と一緒に変位する様子を示す。

図 7の（a)では、ミシン針角 Θが 80度で、ビーズ Bがチャック爪 11aと一緒に縫製位置 Nにあり、縫製針 hが上死点力もビーズ Bに対して下降し始めている。

[0046] 図 7の（b)では、ミシン針角 Θ力度で、ビーズ Bがチャック爪 11aと一緒に縫製位置 Nにあり、縫製針 hが下降してビーズ Bに刺さった状態を示して、る。

図 8の（a)では、ミシン針角 Θが下死点直前の 160度で、チャック爪 11aが縫製位置 Nで開いている。図 8の（b)では、ミシン針角 Θが下死点直後の 200度で、縫製針 hが刺さったビーズ Bを残してチャック爪 1 laが縫製位置 N力離れた様子を示してヽる。

[0047] 図 9の（a)では、ミシン針角 Θが 240度で、チャック爪 11aが受取位置に戻り、縫製針 hが上昇してビーズ Bから離れ始めている。図 9の（b)では、ミシン針角 Θ力 ¾80度で、チャック爪 11aが受取位置 Lでビーズ Bを掴み、縫製針 hが上昇して上死点に接近し始めている。

[0048] 図 10では、ミシン針角 Θが 320度で、チャック爪 11aが受取位置 Lでビーズ Bを掴み、ピン支持腕 16が下方に移動して差込ピン 15がビーズ B力も抜け出て、縫製針 h が上死点直前に位置している。これにより、ビーズ Bがチャック爪 11aと一緒に受取位置 Lから縫製位置 Nに運搬される態勢を整える。

[0049] 図 11の（a)は、縫製針 hの昇降ストロークをミシン針角 Θに対してサインカーブで示し、ミシン針角 Θの進行に伴いプログラム化されたスタート信号を発する。電気信号による作動対象は、図 11の (b)に示すように、差込ピン 15側（受取位置 L)への搬送、縫製針 h側 (縫製位置 N)への搬送、チャック爪 11aの開閉、ビーズ Bに対する差込ピン 15の昇降（上昇 ·下降）、シャツタ板 6の前進 ·後退および駆動モータ 18への通断電制御である。

[0050] 縫製針 hの上死点で一個あるいは数個のスタート信号を発することにより、縫製針 h の上下一回の運針で単一作動サイクルを完了し、一個のビーズ Bを布地 Tに縫、付けることができる。スタート信号を発生しない時は通常の本縫いを続行する。本縫いを続けながら、布地 Tの任意の位置にビーズ Bを縫、込むことができる便宜が得られる。

[0051] 上記構成のミシン用ビーズ供給装置 2では、偏心運動部材 9の水平腕部 9bにビーズ Bが受けられる透孔部 9cを形成し、水平腕部 9bに偏心運動を伝達し、振動でビーズ Bが方向転換することにより差込ピン 15に差し込まれるようにしている。

このため、ビーズ Bが自動的に差込ピン 15に差し込まれて縫製位置 Nに搬送されるので、個人の技量に関係なくビーズ Bを布地 Tに直接縫、込むことがきて刺繍装飾の多様ィ匕を図ることができる。

[0052] この場合、布地 Tの縫製過程でミシン本体 1にビーズ Bを供給しながら布地 Tに縫ヽ付けることができ、ビーズ Bによる装飾を施した、箇所にだけビーズ Bを布地 Tに縫ヽ付け、本縫いとビーズ Bの縫い付け作業とを同時に進行させ、ビーズ Bを縫い付ける縫い目が本縫いのまま残る縫付け技術を実現させることができる。

[0053] 布地 Tへのビーズ Bの供給は、偏心運動部材 9の水平腕部 9bにビーズ Bが受けられる透孔部 9cを形成し、水平腕部 9bに駆動モータ 18で偏心回転を与える簡素な構造で済むので、全体がコンパクトになり省スペース化が図られるとともに、コスト的に有禾 IJになる。し力も、偏心運動部材 9、駆動モータ 18およびビーズ Bは、ミシン本体 2にコンパクトに取り付けられるので、運針の支障になることがなぐ効率的な縫製作業を維持することができる。

[0054] この場合、縫製針 hの昇降速度は大きくても、ビーズ Bを布地 Tに供給する応答速度を縫製針 hの昇降速度に見合ったものに設定でき、差込ピン 15に対してビーズ B の孔部 bを位置決めする構成は、省スペース、堅牢かつ信頼性に富み、高速応答性を実現できるものである。

[0055] 図 12は、布地 Tに対して縫い目毎にビーズ Bを連続的に縫い付けた使用例を示す。布地 Tは、布送り装置（図示せず）により、図 12の（a)に示すように左側に送られて左半分は本縫いであり、途中からビーズ Bを縫い付けている。この場合、図 12の（b) に示すように、縫製糸は縫製針 h力もの上糸 Uとボビン 22から繰り出す下糸 Wとから成り、これら上糸 Uと下糸 Wとの交点 Qでビーズ Bが布地 Tに縫い込まれる。布地丁に縫、込まれたビーズ Bは、孔部 bを上向きにした樽状を呈して、る。

[0056] 図 13の（a)、 (b)は、布地 Tに対してビーズ Bを一個飛びに縫い付けて隣接するビーズ Bの間に縫い目が形成される使用例を示す。

[0057] 図 14の（a)〜（h)は、隣接するビーズ Bの孔部 bが布地 T上で直列に並ぶ使用例を示す。

この使用例において、図 14の（a)に示すように、布地 Tに縫い付けられた初期位置のビーズ Bから一個分置いて一針進める。図 14の（b)に示す状態では、先に一針進めた位置から一針後退しながらビーズ Bを縫製位置に移動させる。

[0058] この位置で、図 14の（c)に示すように、縫製針 hが下死点の位置でビーズ Bに刺し込まれ、図 14の（d)に示すように、チャック爪 11aが開いて受取位置の方向に移動する。これに伴い、図 14の（e)、（f)に示すように、縫製針 hが上昇し始めて上糸 Uが引かれ、今回のビーズ Bが、先に縫い付けたビーズ Bに引き寄せられる。

[0059] っ、で、図 14の（f)に示すように、縫製針 hが布地 Tに刺し込まれ、図 14の（g)に示すように、図 14の（a)の場合と同様に一針前進する。この一連のサイクルを繰り返すことにより、ビーズ Bが所定の縫製パターンで布地 Tに連続状に縫い付けられるとともに、布地 Tの裏側は、本縫いと変わらない強度の大きな縫い目が形成される。

[0060] 布地 Tに対するビーズ Bの縫製パターンは、ミシン用ビーズ供給装置 2に組み込まれた制御部（図示せず）にプログラム化されており、ビーズ Bの縫付け作業は、自動パターンサイクル化された運針により指示選択ボタン（図示せず)を押すだけで済む。

[0061] 図 14に示す使用例は、三針毎に一個のビーズ Bが布地 Tに縫い付けられるため、この使用例を端的に纏めると下記のようになる。すなわち、制御部は指令を発するプログラムにより、図 15に Xで示すように、縫製針 hを初期位置から 1針分だけ前進せて布地 Tに刺し込み、図 15に Yで示すように、一針後退させて元の初期位置で布地 T に置かれたビーズ Bの孔部 bを通過して布地 Tを縫い、図 15に Zで示すように、初期位置から 1針分だけ前進せて布地 Tに刺し込む操作を繰り返す。

[0062] この使用例では、本縫、を行、ながら所望の位置でビーズ Bを布地 Tに縫、付けることができ、ビーズ Bによる縫製模様に大きな自由度が得られる。上糸 Uがビーズ Bの孔部 bを二度掛かることになり、布地 Tに対する大きな縫付け強度が得られる。また、ビーズ Bを布地 Tに手で縫、付ける場合と異なり、布地 Tの裏側に手縫ヽの付け糸が残らない。

[0063] また、ビーズ Bに掛かる上糸 Uや下糸 Wが切れてビーズ Bが布地 Tから外れても、布地 Tに対する上糸 Uや下糸 Wの結び目が解けることがないので、一個のビーズ B の脱落が他のビーズ Bに連鎖的に影響することがない。これにより、ビーズ Bの縫付けの自動化が図られ、ビーズ Bの縫付け時間が短縮するとともに、ビーズ Bの縫付け間隔および縫付け位置が正確になる。

[0064] 図 16は、ビーズ Bを並列させる使用例を示す。図 16の（a)において、図示の左側力ら右佃 Jに向力つて、 Nl、 N2、 N3、 N4、 N5、 N4、……、 Ni川頁に縫製金†hをビーズ Bに一個づっ刺し込むことにより、図 16の（b)に示すように布地 Tにジグザグ状の千鳥縫いを実現している。

[0065] 図 17は、ビーズ Bを布地 Tの外側端部に縫い付ける使用例（空縫い）を示す。図 16 に示す使用例と同様な運針を行い {図 17の (a)参照 }、図 17の (b)、（c)に示すように、布地 Tの外側端部で縫製針 hがビーズ Bに刺し込まれて布地 Tの裏側で上糸 U がボビンからの下糸 Wに引っ掛って絡められる。この場合、上糸 Uと下糸 Wが布地 T の外側端部で交差してビーズ Bを拘束して布地 Tに縫い付ける態様となる。

[0066] 図 28は既製服にビーズ Bを所定のパターンで縫い付ける使用例を示す。図 18の（ a)は、ビーズ Bをブラウスの袖周りや前身頃の襟合わせ力も縦に沿って縫い付けた使用例を示す。図 18の (b)は、ビーズ Bをブラウスの胸元に沿って横列状に縫い付けた使用例を示す。図 18の（c)は、ビーズ Bをブラウスの襟元に格子状に縫い付けた使用例を示す。

[0067] 図 18の（d)は、ジーンズや舞台衣装などのパンツにビーズ Bを縫い目に沿って縫い付ける使用例を示す。この場合、ジーンズやパンツに対して、縫い目の縫合とビーズ Bの縫付けを前後に分けて行う必要がなぐ縫い目を縫合しながら同時にビーズ B を迅速に縫、込むことができる。

[0068] これにより、ビーズ Bの縫付け糸がジーンズやパンツの裏側に生じず、本縫いの状態のままビーズ Bが縫い目に縫い付けられるため、仕上がりが際立って美しぐジーンズゃパンツなどの縫製品に大きな付加価値を付与することができる。

実施例 2

[0069] 図 19は本発明の実施例 2を示す。

実施例 2が実施例 1と異なるところは、透孔部 19cの内周壁部を鋸歯状の凹凸面をなすように形成したことである。これにより、偏心運動部材 9に起因する偏心回転をビーズ Bに伝達させ易くしている。また、変形例として、透孔部 19cの内周壁部を上下方向に所定のリードピッチを有する螺旋突条のスクリュー面をなすように形成してもよい。

産業上の利用可能性

[0070] ミシン用ビーズ送り装置では、偏心運動部材の水平腕部にビーズが受けられる透孔部を形成し、水平腕部に偏心運動を伝達し、振動でビーズが方向転換すること〖こより差込ピンに差し込まれるようにしている。このため、布地の縫製過程でミシンにビーズを供給しながら布地に縫、付けることができ、装飾を施した、箇所にだけビーズを布地に縫、付け、本縫、とビーズ縫付け作業とを同時に進行させることができる。この縫付け作業の便利性と多様性のため、縫製針が刺し込まれるビーズを用いて布地に縫製を行うミシン製造業界に広く適用することができる。

Claims

請求の範囲

[1] ミシン本体に取り付けられて複数のビーズをミシンテーブルの布地上に供給するミシン用ビーズ供給装置にぉ、て、

水平腕部に前記ビーズが受けられる透孔部を形成し、垂直腕部に遊嵌孔部を形成した断面略 L字状の偏心運動部材と、

一端部が前記偏心運動部材の前記垂直腕部に取付けられ、他端部が静止部位に取付けられた略 U字状の板ばね部と、

前記遊嵌孔部に遊嵌された偏心部を有する回転軸を嵌着し、駆動時に前記回転軸の前記偏心部を介して前記偏心運動部材が前記板ばね部の弾性変形を伴う偏心回転して、前記ビーズを前記透孔部内で回転させる駆動モータと、

前記水平腕部の下方に前記水平腕部に対して接離方向に移動可能に設けられ、前記透孔に対向して前記ビーズを受ける差込ピンを有する昇降腕部と、

前記ミシン本体が有する縫製針の運針により、縫製糸を前記ビーズに通して前記ビーズを前記布地に縫、合わせるため、前記差込ピンに差し込まれた前記ビーズを掴み、引き出して前記ミシンテーブル上の前記布地に運ぶチャック部材とからなることを特徴とするミシン用ビーズ供給装置。

[2] 前記布地に対する前記ビーズの縫込み時、前記ビーズの孔部同士が略直列的に向き合う状態で、前記布地と略平行状態に並ぶように運針を制御する制御部を有することを特徴とする請求項 1に記載のミシン用ビーズ供給装置。

[3] 前記制御部は、前記縫製針を初期位置から 1針分だけ前進せて前記布地に刺し込み、一針後退させて元の前記初期位置で前記布地に置かれた前記ビーズの孔部を通過して前記布地を縫!、、前記初期位置から 1針分だけ前進せて前記布地に刺し込む操作を繰り返すように指令するプログラムを有することを特徴とする請求項 2に記載のミシン用ビーズ供給装置。

[4] 前記透孔部の内周壁部は、鋸歯状の凹凸面をなしていることを特徴とする請求項 1 な、し請求項 3の、ずれかに記載のミシン用ビーズ供給装置。

[5] 前記透孔部の内周壁部は、上下方向に所定のリードピッチを有する螺旋突条のスクリュー面をなして、ることを特徴とする請求項 1な、し請求項 3の、ずれかに記載のミシン用ビーズ供給装置。

前記偏心運動部材が偏心回転時に水平に変位する振り距離は、前記ビーズにおける直径寸法の 30%あるいは 30%前後程度に設定されていることを特徴とする請求項 1な、し請求項 5の、ずれかに記載のミシン用ビーズ供給装置。