WO2006132173A1

WO2006132173A1 - 有機金属錯体及びこれを用いた有機電界発光素子

Info

Publication number: WO2006132173A1
Application number: PCT/JP2006/311203
Authority: WO
Inventors: Toshihiro Yamamoto; Takahiro Kai; Masaki Komori; Hiroshi Miyazaki
Original assignee: Nippon Steel Chemical Co., Ltd.
Priority date: 2005-06-07
Filing date: 2006-06-05
Publication date: 2006-12-14
Also published as: KR20080021121A; KR101010846B1; US8709614B2; JPWO2006132173A1; US20090026923A1; CN101193875B; JP4976288B2; CN101193875A

Abstract

発光効率を改善し、駆動安定性を充分に確保し、かつ簡略な構成をもつ有機電界発光素子（有機ＥＬ素子）及びそれに適する有機金属錯体に関する。この有機金属錯体は、下記一般式（Ｉ）で表される。（式中、Ａｒ１は置換基を有してもよい芳香族炭化水素基又は複素芳香族基を示し、Ａｒ２、Ａｒ３は置換基を有してもよい芳香族炭化水素基又は複素芳香族基を示す。Ｍは３価の金属を示し、ＬはＭに対し配位結合可能な窒素を少なくとも1つ環構成原子として有する複素環部位を含むアリレート配位子を示す。）。この有機金属錯体は、燐光発光ドーパントと共に有機ＥＬ素子の発光層を構成する材料として適する。

Description

明細書

有機金属錯体及びこれを用レ、た有機電界発光素子

技術分野

[0001] 本発明は有機金属錯体及びこれを用いた有機電界発光素子（以下、有機 EL素子という）に関するものである。

背景技術

[0002] —般に、有機物を用いた電界発光素子は、その最も簡単な構造としては発光層及び該層を挟んだ一対の対向電極から構成されている。すなわち、有機 EL素子では、両電極間に電界が印加されると、陰極から電子が注入され、陽極から正孔が注入され、これらが発光層において再結合エネルギー準位が伝導帯力ら価電子帯に戻る際にエネルギーとして光を放出する現象を利用する。

[0003] 有機 EL素子及びそれに使用される有機 EL材料は多数の文献で知られている。また、素子の発光効率を上げる試みとして、蛍光ではなく燐光を用いることも検討されている。すなわち、三重項励起状態からの発光を利用すれば、従来の蛍光（一重項) を用いた素子と比べて、 3倍程度の効率向上が期待される。この目的のために燐光発光ドーパントの開発が多数行われている。

[0004] 本発明に関連する文献としては次の特許文献がある。

特許文献 1：特表 2003-515897号公報

特許文献 2：特開 2001-313178号公報

特許文献 3：特開 2002-305083号公報

特許文献 4：特開 2002-352957号公報

[0005] 特許文献 1は、有機 EL素子用の燐光性ドーパントとしての L MX錯体が示されて

2

いる。ここで、 Lは置換べンゾォキサゾール等であり、 Mはイリジウムであり、 Xは電子又はホールをトラップする機能を果たす配位子である錯体が好ましいものとして例示されている。そして、発光層に用いるホスト材料として提案されているのは、カルバゾール化合物であり、特に 4，4'-N，N-ジカルバゾールビフエニル（CBP)が好ましいとしている。 [0006] 特許文献 2は、燐光性のイリジウム錯体を 0. 5〜8wt%含む発光層を有する有機 E L素子を開示している。ここで、イリジウム錯体としてはトリス (2-フエニルピリジン)イリジゥム（Ir(ppy)3)力発光層に用いるホスト材料としては CBPが好ましいものとして例示されている。

[0007] ホスト材は燐光性ドーパントを含まない場合は、蛍光発光の EL素子材料として有用であるが、上記のように燐光発光の EL素子は発光効率が高いという利点がある。そこで、燐光発光の EL素子とする場合は、燐光性ドーパントとの適合性が重要となる。上記 CBPを用いると、 CBPは正孔を流し易く電子を流しにくい特性上、電荷注入バランスが崩れ、過剰の正孔は電子輸送側に流出し、結果として Ir(ppy)3からの発光効率が低下するという問題点がある。

[0008] 特許文献 3は、燐光発光を利用した有機 EL素子であって、 7〜： 11族の金属を含む有機金属錯体 (1)と [-A-B-0-] M-L (ここで、 Aはジァゾール環のような複素環であり

、 Bはベンゼン環のような環であり、 Mは 1〜3族又は 12〜： 13族の金属であり、 Lは置換基であり、 nは Mの価数である）で表される有機金属錯体 (2)を発光層に含む有機 E L素子が開示されている。ここで、有機金属錯体 (1)としては、 Ir(ppy)3等のイリジウム錯体ゃ白金錯体等が例示されている。そして、従来の Ir(ppy)3等のイリジウム錯体と C BPのようなホスト材料との組合せからなる発光層では、 CBPが結晶化しやすレ、ため膜の安定性が悪ぐ駆動安定性に問題があるとして、有機金属錯体 (2)をホスト材料として提案している。し力ながら、上記のような式で表される有機金属錯体 (2)の数は、 L は任意の置換基としているため無限に近いほどあるにも係らず、具体的に使用された有機金属錯体 (2)の例は、 Aがフエニル置換ベンゾジァゾール環で、 Bがベンゼン環で、 Mが亜鉛で、 nが 2で、 jが 0である錯体と、 Aがチアゾール環で、 Bがベンゼン環で、 Mがベリリウムで、 nが 2で、 jが 0である錯体の 2例にとどまる。すなわち、任意の置換基 Lにつレ、ての検討はなされてレ、ないに等しいとレ、える。

[0009] 特許文献 4は、燐光発光を利用した有機 EL素子であって、発光層に存在させるド一パントとして公知の Ir (卯 y)3等のイリジウム錯体、白金錯体等を用い、ホスト材料としてォキサジァゾール基又はトリァゾール基を有する化合物を使用することを開示している。ォキサジァゾール基又はトリァゾール基を有する化合物を使用することにより、湿式法により発光層を形成でき、ホスト材料とドーパントとは十分に混合されて発光むらの少ない高輝度の発光をえることができるとしている。し力ながら、ホスト材料としてのォキサジァゾール基又はトリァゾール基を有する化合物は、金属を含まなレ、ィ匕合物のみが開示されているにとどまり、金属錯体であることを教える記載はなレ、。しかも、トリァゾール基を有する化合物として紹介されている 3-フエニル _4-(1しナフチル） _5_フエニル -1，2,4 -トリアゾール (TAZ)は、電子を流しやすく正孔を流しにくい特性上、発光領域が正孔輸送層側となる。したがって、正孔輸送層の材料によっては Ir(p py)3との相性問題により、 Ir(ppy)3からの発光効率が低下することも考えられる。例えば、正孔輸送層として高性能、高信頼性、高寿命の点から最も良く使用されている 4, 4'-ビス (N-(l-ナフチル) -N-フエニルァミノ)ビフヱニル（NPB)は、 Ir(ppy)3との相性が悪ぐ Ir(ppy)3から NPBにエネルギー遷移が起き、発光効率が低下するという問題がある。

[0010] 上記の解決手段として、 4,4'-ビス (N,N'-(3-トルィル)ァミノ) -3、 3'-ジメチルビフエ二ル（HMTPD)のような Ir(ppy)3からエネルギー遷移が起こらない材料を正孔輸送層として用いる手段が考えられる力発光効率等の点で優れたものとはいえない。

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0011] 有機 EL素子をフラットパネル ·ディスプレイ等の表示素子に応用するためには、素子の発光効率を改善すると同時に駆動時の安定性を十分に確保する必要がある。本発明は、上記現状に鑑み、高効率かつ高い駆動安定性を有した有機 EL素子及びそれに適する有機金属錯体を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0012] 本発明者らは、鋭意検討した結果、発光層の正孔及び電子のバランスを適正化することで、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、正孔輸送性の高いトリフヱニルァミン骨格を金属錯体に導入することにより、錯体自身の正孔輸送性を向上することができ、その結果、電子と正孔のバランスが適正化され、より広い発光領域を有することが可能となり、発光効率の向上が図れることを見出し、本発明に至ったものである。 [0013] 本発明は、下記一般式 (I)で表される有機 EL用有機金属錯体である。

Ar,

/

LpiVi—— O—— Ar ~~

\

( I )

(式中、 Arは置換基を有してもよい 2価の芳香族炭化水素基又は置換基を有しても

1

よい 2価の複素芳香族基を示す。 Ar、 Arは置換基を有してもよい芳香族炭化水素

2 3

基又は置換基を有してもよい複素芳香族基を示すが、 Arと Arが結合して環を形成

2 3

することはない。 Mは 3価の金属を示し、 Lは Mに対し配位結合可能な窒素を少なくとも 1つ環構成原子として有する複素環部位を含む置換基を有してもよいァリレート又はへテロァリレート配位子を示す。）

[0014] 一般式 (I)において、 Lとしては下記一般式 (II)〜（IV)で表される配位子が例示される。

( I I )

(式中、環 Aは置換基を有していてもよい含窒素複素環を示し、環 Bは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を示し、環 A及び環 Bが各々の環において置換基を 2以上有する場合は相互に結合して環を構成してもよい。 Xは炭素原子又は窒素原子を示す。 )

[0016]

R₆ R₇

( III)

(式中、 R〜Rは H又は任意の置換基を示し、隣り合う置換基は相互に結合して環を

1 8

構成してもよい。 Xは酸素原子又は硫黄原子を示す。 )

( I V)

(式中、 R〜Rは、各々に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ァラルキル基、ァ

1 8

ルケニル基、アルキニル基、シァノ基、ジァノレキルアミノ基、ジァリールアミノ基、ジァラルキノレアミノ基、アミノ基、ニトロ基、アシノレ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシル基、アルキルスルホニル基、ハロアルキル基、水酸基、アミド基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい複素芳香族基を示す。 )

一般式 (I)において、 Arとしては下記一般式 (IX)で表される基が例示される。

( IX)

(式中、 R〜R は独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ァラルキル基、ァ

9 12

ルケニル基、アルキニル基、シァノ基、ジアルキルアミノ基、ジァリーノレアミノ基、ジァラノレキノレアミノ基、アミノ基、ニトロ基、アシノレ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシル基、アルキルスルホニル基、ハロアルキル基、水酸基、アミド基

、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有してもよい複素芳香族基を示し、隣り合う置換基は相互に結合して環を構成してもよい。 )

一般式 (I)において、 Ar、 Arとしては、下記一般式 (X)で表される基が例示される

(式中、 R 〜R は、独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ァラルキル基、

13 17

アルケニル基、アルキニル基、シァノ基、ジアルキルアミノ基、ジァリーノレアミノ基、ジァラルキルアミノ基、アミノ基、ニトロ基、ァシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシノレ基、アルコキシル基、アルキルスルホニル基、ハロアルキル基、水酸基、アミド基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい複素芳香族基を示し、隣り合う置換基は相互に結合して環を構成してもよい。 )

[0020] また、本発明は、上記の有機 EL用有機金属錯体を含む有機層を有する有機電界発光素子である。この有機 EL用有機金属錯体を含む有機層が、更に燐光発光ドーパントを含有する発光層であると燐光発光性の有機 EL素子が得られる。

[0021] 以下、本発明を更に説明する。

[0022] 本発明の有機金属錯体は前記一般式 (I)で表わされる。一般式 (I)において、 L、 A r、Ar又は Arとしては、一般式 (11)、（111)、（IV)、（IX)又は（X)で表される基が好ま

1 2 3

しいものとして挙げられる。また、一般式（ΙΠ)、 (IV)において、 R〜Rは前記のとおり

1 8

であるが、好ましくは水素原子、炭素数 1〜6のアルキル基、炭素数 1〜6のアルコキシル基、炭素数 1〜6のアルキル基が置換してもよいフエニル基である。

[0023] Arは前記のとおりであるが、置換基を有してもよい 2価の芳香族炭化水素基又は

1

置換基を有してもよい 2価の複素芳香族基としてはフエ二レン基、ナフチレン基、ピリジレン基等の芳香族炭化水素基又は複素芳香族基が好ましく例示され、より好ましくはフエ二レン基又は炭素数 1〜6のアルキル基が置換したフエ二レン基が挙げられる [0024] Ar、 Arは前記のとおりであるが、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基として

2 3

はフヱニル基、ナフチル基、ァセナフチル基、アントリル基等の芳香族炭化水素基が好ましく例示され、より好ましくはフヱニル基、ナフチル基が挙げられる。置換基を有してもよい複素芳香族基としては、ピリジル基、キノリル基、チェニル基、カルバゾール基、インドリル基、フリル基等の複素芳香族基が好ましく例示され、より好ましくはピリジノレ基又はキノリル基が挙げられる。芳香族炭化水素基及び複素芳香族基が置換基を有する場合、置換基としては炭素数 1〜6の低級アルキル基、炭素数 1〜6の低級アルコキシ基、フエノキシ基、メチルフエニルォキシ基、ベンジルォキシ基、フエ二ル基、ナフチル基、ジメチルァミノ基等が挙げられる。

[0025] なお、 Ar、 Ar、 Arは、それぞれが Nと結合してトリアリールァミン構造を形成する

1 2 3

。このトリアリールァミン構造は、ある種の正孔輸送性有機化合物が有する構造であり、力かる正孔輸送性有機化合物からも好ましい Ar、 Ar、 Arが理解できる。そして、力かる正孔輸送性有機化合物は、特許文献 1〜4等において多数知られている。

[0026] Mは 3価の金属を表す。好ましい 3価の金属としては、ァノレミニゥム、ガリウム、インジゥム等が挙げられる。

[0027] 一般式 (I)において、 Lは金属 Mと 0 (酸素原子）を介して結合しているが、更に金属 Mと配位結合可能なヘテロ原子を含む複素環を有する。そして、上記 0は芳香族環構成炭素に直接結合しており、配位結合可能なヘテロ原子は環構成原子として存在する。そして、 Mと結合する 0と、 Mと配位結合するへテロ原子は、近接位に存在することになる。ここで、ヘテロ原子は上記のとおりである力 S、好ましくは窒素原子である。なお、 Mと配位結合するへテロ原子以外のへテロ原子を有することもでき、この場合これらは同一であっても、異なってもよい。また、 2つの Lは同一であっても、異なっていても差し支えなレ、が、合成の点では同一であるものが容易で有利である。しかし、有機 EL材料の用途とは直接の関係はない。

[0028] Lとしては、一般式 (Π)、 (III)、 (IV)で表される配位子が好ましレ、ものとして挙げられる。

[0029] 一般式 (II)において、環 Aは Mと配位結合可能なヘテロ原子を有する環であり、環 Bは 0と結合する環構成炭素を有する環である。環 A及び環 Bは、その他のヘテロ原子を有してもよぐ置換基を有してもよい。 Xは上記のとおりである力好ましくは C (炭素原子）である。

[0030] 一般式 (II)で表される基は、特許文献 3等で知られているものがある。好ましくは、一般式 (III)、より好ましくは一般式 (IV)で表される基である。

[0031] 一般式 (II)において、好ましい環 Aとしては、置換基を有していてもよい 5員環又は

6員環の含窒素複素環があり、この環に 5又は 6員環の芳香族炭化水素環又は複素環が 1又は 2個縮合して縮合環を形成していてもよい。そして、この環は上記のような置換基を有しうる。また、好ましい環 Bとしては、置換基を有してもよい 6員環の芳香族炭化水素環又は芳香族複素環であり、この環に 5又は 6員環の芳香族炭化水素環又は複素環力 ^又は 2個縮合して縮合環を形成していてもよい。そして、この環は上記のような置換基を有しうる。

[0032] 具体的には、好ましい環 Aとしては、それぞれ置換基を有していてもよレ、、ジァゾ一ル環、チアゾール環、ォキサゾール環、チアジアゾール環、ォキサジァゾール環、トリァゾール環、ピリジン環、ジァジン環、トリアジン環等やこれらとベンゼン環が縮合したベンゾジァゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ベンゾォキサジァゾール環、ベンゾトリアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、ベンゾジァジン環、ベンゾトリアジン環等がある。好ましい環 Bとしては、それぞれ置換基を有していてもよレ、、ベンゼン環、ピリジン環、ジァジン環、トリアジン環等やこれらとベンゼン環が縮合した環がある。

[0033] 一般式 (IV)において、 R〜Rは上記のとおりである力 S、好ましくは水素、炭素数 1

1 8

〜6のアルキル又は炭素数 1〜6のアルキルが置換してもよいフエニル基である。

[0034] 本発明の有機金属錯体は公知の方法で製造することができる。例えば、アルミユウムトリアルコキシドのような金属 Mのトリアルコキシド化合物と、 2-(2-ヒドロキシフエニル )ベンゾォキサゾールのようなフエノール環とヘテロ環の両者を有する化合物を反応させて中間体としての錯体を得て、この錯体に 4-ジフヱニルァミノフエノールのようなトリァリールァミン型のフエノール化合物と反応させることにより、本発明の有機金属錯体を得る。

[0035] これを化学式で表せば次のようになる。まず、 M (OR)で表わされる金属 Mのトリア

3

ルコキシド化合物と、 2-(2-ヒドロキシフエニル)ベンゾォキサゾールのようなフエノール環とヘテロ環の両者を有する化合物を反応させて中間体としての錯体 (XI)を一旦形成させ、その後 Ar Ar N- Ar -OHで表される化合物と反応させることによって製造す

2 3 1

ること力 sできる。

本発明の有機金属錯体の好ましい具体例を以下に示すが、これらに限定するものではない。

次に、本発明の有機金属錯体を用いた、有機 EL素子について説明する。本発明の有機 EL素子は、基板上に陽極及び陰極と、これらの間に設けられた有機層を有し、該有機層の少なくとも 1層が該有機金属錯体を含有する。本発明の有機金属錯体を含む有機層は、発光層に適し、特に燐光発光ドーパントを含む発光層に適する。発光層に使用する場合、本発明の有機金属錯体は、発光層における主成分であることが好まし特に、この発光層は該有機金属錯体をホスト材料とし、該ホスト材料に対して燐光発光ドーパントをドープしてなる発光層であることが望ましい。

[0039] 燐光発光ドーパント材料としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金及び金から選ばれる少なくとも一つの金属を含む有機金属錯体を含有するものが例示される。かかる有機金属錯体は、前記特許文献等で公知であり、これらが選択されて使用可能である。

[0040] 好ましい燐光発光ドーパントとしては、 Ir等の貴金属元素を中心金属として有する Ir (ppy)3等の錯体類、 Ir(bt)2 'a_CaC3等の錯体類、 PtOEt3等の錯体類が挙げられる。これらの錯体類の具体例を以下に示す力下記の化合物に限定されない。

[0042]

[0044] 燐光発光ドーパントが発光層中に含有される場合、その量は 5〜 10重量％の範囲にあることが好ましい。

図面の簡単な説明

[0045] [図 1]有機 EL素子の一例を示した模式断面図。

符号の説明

[0046] 1 基板、 2 陽極、 3 正孔注入層、 4 正孔輸送層、 5 発光層、 6 電子輸送層、

7 陰極

発明を実施するための最良の形態

[0047] 次に、本発明の有機 EL素子の構造について、図面を参照しながら説明する力本発明の有機 EL素子の構造は何ら図示のものに限定されるものではない。

[0048] 図 1は一般的な有機 EL素子を模式的に示す断面図であり、 1は基板、 2は陽極、 3 は正孔注入層、 4は正孔輸送層、 5は発光層、 6は電子輸送層、 7は陰極を各々表わす。有機 EL素子は、基板、陽極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び陰極を必須の層とすることが望ましい。この場合、正孔注入層 3等は省略可能であり、また必要により正孔阻止層等の他の層を設けてもよい。

[0049] なお、図 1とは逆の構造、すなわち、基板 1上に陰極 7、電子輸送層 6、発光層 5、正孔輸送層 4、陽極 2の順に積層することも可能であり、少なくとも一方が透明性の高レ、 2枚の基板の間に本発明の有機 EL素子を設けることも可能である。

[0050] 本発明は、有機 EL素子が、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子

、陽極と陰極が X—Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用することがでさる。

実施例

[0051] 以下、本発明を実施例によって更に詳しく説明するが、これらの実施例に限定されるものではない。なお、化合物番号は本発明の有機金属錯体の好ましい具体例として挙げた化学式に付した番号に対応する。

[0052] 実施例 1

脱気窒素置換した 100ml三口フラスコにアルミニウムトリイソプロボキシド 3.0g、 2-(2- ヒドロキシフエ二ノレ)ベンゾォキサゾール 6.2gを加え、これに無水トルエン 50mlを加えて溶解させた。その後 60。Cまで加熱し、 30分攪拌した。これに 4-ジフエニルァミノフエノール 3.8gの溶けた無水トルエン 50mlをゆっくり滴下して、そのまま 60°Cにて 3時間攪拌した。室温まで冷却した後、生じた白色沈殿を濾取した後、ろ液を 1/2量まで濃縮した。 1/2量まで濃縮したろ液中に析出した結晶をろ別し、トルエンで洗浄した。これを、減圧乾燥して黄色粉末 (化合物 l ; M=Al) 9.0gを得た。この一部を昇華精製し、素子作成に用いた。

化合物 1の EI— MS (M+ 1)は 708、融点は 274°Cであった。

[0053] 実施例 2

ガラス基板上に真空蒸着法にて、真空度 4.0 X 10— ⁴ Paの条件にて化合物 1と Ir(ppy )3とを異なる蒸着源力蒸着し、 lK y)3の濃度が 7.0 %である薄膜を 1.0A/秒にて 50nmの厚さで形成した。

作成した薄膜を、蛍光測定装置にて評価した。励起波長は化合物 1の極大吸収波長であり、そのときに出てくる光を観察した。ホストからの発光ではなぐドーパントからの発光が観測された。

[0054] 比較例 1

薄膜主成分である化合物 1を Alq3に変えて薄膜を作成した以外は、実施例 2と同様に評価した。ホストからの発光が観測され、ドーパントからの発光は観測されなかった

[0055] 実施例 3

図 1において、正孔注入層を省略し、電子注入層を追加した構成の有機 EL素子を作成した。膜厚 150議の ITOからなる陽極が形成されたガラス基板上に、各薄膜を真空蒸着法にて、真空度 4.0 X 10— ⁴ Paで積層させた。まず、 ITO上に正孔輸送層として NPBを 60nmの厚さに形成した。

次に、正孔輸送層上に、発光層として化合物 1と Ir(ppy)とを異なる蒸着源から、共

3

蒸着し、 25議の厚さに形成した。 Ir(ppy)の濃度は 7.0 %であった。次に、電子輸送

3

層として Alq3を 50nmの厚さに形成した。更に、電子輸送層上に、電子注入層としてフッ化リチウム（LiF)を 0.5匪の厚さに形成した。最後に、電子注入層上に、電極としてアルミニウム (A1)を 170nmの厚さに形成し、有機 EL素子を作成した。 [0056] 得られた有機 EL素子に外部電源を接続し直流電圧を印加したところ、表 1のような発光特性を有することが確認された。表 1において、輝度、電圧及び発光効率は、 10 mAん m²での値を示す。なお、素子発光スペクトルの極大波長は 517 nmであり、 Ir(ppy )力もの発光が得られていることがわ力つた。

3

[0057] 比較例 2

正孔輸送層として HMTPDを、発光層の主成分として TAZを用いた以外は実施例 3 と同様にして有機 EL素子を作成した。

[0058] 比較例 3

発光層の主成分として、 TAZを用いた以外は実施例 3と同様にして有機 EL素子を作成した。

[0059] [表 1]

産業上の利用の可能性

[0060] 本発明の有機 EL素子は、低電圧において高輝度 ·高効率で発光させることが可能となる。従って、本発明による有機 EL素子をフラットパネル ·ディスプレイ (例えば、〇 Aコンピュータ用や壁掛けテレビ）、車載表示素子、携帯電話表示や面発光体としての特徴を生力した光源 (例えば、複写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光源）、表示板、標識灯等への応用が広がる。

Claims

請求の範囲

[1] 下記一般式 (I)で表される有機 EL用有機金属錯体。

( I )

1

よい 2価の複素芳香族基を示す。 Ar 、 Arは置換基を有してもよい芳香族炭化水素

2 3

[2] Lが下記一般式 (Π)で表される配位子である請求項 1記載の有機 EL用有機金属錯体。

( I I )

[3] Lが下記一般式 (III)で表される配位子である請求項 1記載の有機 EL用有機金属

(III)

1 8

構成してもよい。 Xは酸素原子又は硫黄原子を示す。 )

Lが下記一般式 (IV)で表される配位子である請求項 1記載の有機 EL用有機金属錯体。

(IV) (式中、 R〜Rは、各々に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ァラルキル基、ァ

1 8

ルケニル基、アルキニル基、シァノ基、ジアルキルアミノ基、ジァリーノレアミノ基、ジァラノレキノレアミノ基、アミノ基、ニトロ基、アシノレ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシル基、アルキルスルホニル基、ハロアルキル基、水酸基、アミド基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい複素芳香族基を示す。 )

Arが下記一般式 (IX)で表される請求項 1〜4のいずれかに記載の有機 EL用有機

1

金属錯体。

( I X)

9 12

ルケニル基、アルキニル基、シァノ基、ジアルキルアミノ基、ジァリーノレアミノ基、ジァラノレキノレアミノ基、アミノ基、ニトロ基、アシノレ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシル基、アルキルスルホニル基、ハロアルキル基、水酸基、アミド基、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有してもよい複素芳香族基を示し、隣り合う置換基は相互に結合して環を構成してもよい。 )

Ar、 Arが下記一般式 (X)で表されるァリール基である請求項 1〜5のいずれかに

2 3

記載の有機 EL用有機金属錯体。

13 17

[7] 請求項:!〜 6のいずれかに記載の有機 EL用有機金属錯体を含む有機層を有する有機電界発光素子。

[8] 有機 EL用有機金属錯体を含む有機層が、更に燐光発光ドーパントを含有する発光層である請求項 7記載の有機電界発光素子。