明 細 書
起泡性水中油型乳化物
技術分野
[0001] 本発明は、ケーキ等のトッピングやサンド等に用いられる起泡性水中油型乳化物( 当該乳化物を起泡したものがホイップクリーム)に関する。更に詳しくは、食感、口溶 け、風味に優れており、且つ高い乳化安定性、ホイップ性を有する起泡性水中油型 乳化物に関する。
背景技術
[0002] ホイップクリームの食感、口溶けを改良するにあたり、従来では澱粉、乳化剤、増粘 多糖類やセルロース等を使用していた。しかし、多量に添加しなければ、有意な食感 、 口溶けを得ることは出来ず、そのために澱粉、乳化剤、増粘多糖類、セルロース自 体の風味が影響し、期待する優れた風味ものを得るには限界があった。特許文献 1 ではプルラン、セルロースを使用したり、特許文献 2でのゼラチン、カラギーナンを使 用したものがそれらにあたる。本発明は油脂に着目し、特定の油脂を特定の油脂分 の範囲内において、特定の量使用することによって食感、口溶け、風味に優れた起 泡性水中油型乳化物を提供することが可能となったものである。本発明で使用する 油脂とは S2L型トリグリセリド (但し、式中の Sはステアリン酸及びパルミチン酸、 Lはリ ノール酸)である力 この種の油脂を使用している文献として特許文献 3や特許文献 4があるが、前者はホイップタイムが極端に短ぐ乳化安定性に優れた起泡性水中油 型乳化物を提供しており、後者はチョコレートの持つ独特の風味を有する水中油型 乳化物を提供しており、何れも本発明よりも S2L型トリグリセリドの使用量が多ぐ本発 明のような少量使用ではない。又、本発明が提供するような食感、口溶け、風味を有 するものの開示は全く見られな力つた。
[0003] 特許文献 1 :特開平 7— 236443号公報
特許文献 2 :特開平 5— 000063号公報
特許文献 3:特開平 6 - 98678号公報
特許文献 4:特開平 5 - 30911号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0004] 本発明の目的は、食感、口溶け、風味に優れており、且つ高い乳化安定性、ホイツ プ性を有する起泡性水中油型乳化物を提供する事にある。
課題を解決するための手段
[0005] 本発明者らは鋭意研究を行った結果、水中油型乳化物の油脂分に応じて油脂分 中に特定の油脂、 S2L型トリグリセリドを特定量それも添加物的な少量の使用によつ て、本発明の目的を達成し、本発明を完成するに至った。即ち本発明の第 1は、油脂 、無脂乳固形分及び水を含む水中油型乳化物において、油脂分中の S2L型トリダリ セリド(但し、式中の Sはステアリン酸及びパルミチン酸、 Lはリノール酸)の含有量が 0 . 8〜18%であることを特徴とする起泡性水中油型乳化物である。第 2は、油脂分中 の S2L型トリグリセリドの含有量力 油脂分を X% (但し Xは 10〜45)として、 8/900 X (X— 45) 2 + 8より小さい、第 1記載の起泡性水中油型乳化物である。第 3は、油脂 の SFCが 10°Cにおいて 50〜95の範囲の油脂である、第 1又は第 2記載の起泡性水 中油型乳化物である。
発明の効果
[0006] 本発明により、食感特にみずみずしい食感を有し、口溶け、風味に優れており、且 つ高い乳化安定性、ホイップ性を有する起泡性水中油型乳化物を提供することが可 會 こなった。
発明を実施するための最良の形態
[0007] 本発明の起泡性水中油型乳化物は、油脂、無脂乳固形分及び水を含む水中油型 乳化物であって、流動状態の乳化物であり、 "ホイップ用クリーム"と呼ばれたりもする 。これを泡立器具、または専用のミキサーを用いて空気を抱き込ませるように攪拌し たとき、俗に"ホイップドクリーム"または"ホイップクリーム"と称される、起泡状態を呈 するちのとなる。
[0008] 本発明の起泡性水中油型乳化物は、油脂、無脂乳固形分及び水を含む水中油型 乳化物であって、油脂分中の S2L型トリグリセリド (但し、式中の Sはステアリン酸 St、
パルミチン酸 Pを示し、 Lはリノール酸を示す)の含有量が 0. 8〜18%と少量であり、 好ましくは、油脂分中の S2L型トリグリセリドの量 Y%力 油脂分 Χ%が、 10< =Χ< =45の範囲内において、 Υ=8/900 Χ (X— 45) 2 + 8より/ J、さく、 Y=8/900 X (X —45) 2+0. 8より大きいことが好ましい。 S2L型トリグリセリドの量が少ないと使用効 果が乏しくなり、多いと起泡性、保形性が悪くなつたり、食感が重たいものとなる。 本発明でいう S2L型トリグリセリドとは、 Sはステアリン酸 St、パルミチン酸 Pの飽和脂 肪酸であり、 Lはリノール酸の多価不飽和脂肪酸であり、 L力 Sひ位に結合した SSL、 β位に結合した SLS及びそれらの混合物の 、ずれでもよ 、が β位に結合した SLS が好ましい。
そして、 S2L型トリグリセリドの量 Υは、 Y=Ys+Ypで表わせれ、 Ysは St2L型トリグ リセリドの量を表わし、 Ypは P2L型トリグリセリドの量を表わす。
S2L型トリグリセリドはリノール酸を多く含む油脂、例えばサフラワー油、ひまわり油 、コーン油、菜種油、大豆油とりわけ前 2者の油脂を飽和脂肪酸 (ステアリン酸、パル ミチン酸)に富むエステル又は脂肪酸と公知の方法でエステル交換し、必要に応じて 分別を行うことにより得られる。
又、 S2L型トリグリセリドを多く含む油脂例えば綿実油等力も分別し高濃度に含有 する S2L含有油脂を使用するのが好ましぐ濃度としては 40%以上含有するのが好 ましい。
本発明では S2L型トリグリセリドの量が添加物的な使用である力 起泡性水中油型 乳化物全体の概ね数%以下の使用であり、好ましくは 0. 4〜4. 0%であり、更に好ま しくは 0. 4〜3. 5%であり、最も好ましくは 0. 4〜3. 0%である。
し力しながら、 S2L型トリグリセリドの量は、油脂分 Χ%の範囲内において変動する ものであって、先に挙げた、油脂分中の S2L型トリグリセリドの量丫%が、油脂分 Χ% が、 10く =Χく =45の範囲内において、 Υ=8Ζ900 Χ (X— 45) 2 + 8より小さく、 Υ = 8/900 Χ (Χ-45) 2 + 0. 8より大きいことが好ましい、が優先するのは当然のこと である。
S2L型トリグリセリドの由来は、 S2L型トリグリセリドを高濃度に含有する S2L含有油 脂を使用するのが好ましぐ全油脂中の S2L型トリグリセリドの 40%以上が S2L含有
油脂由来であるのが好ましい。
[0010] 本発明の起泡性水中油型乳化物の油脂分 X%は 10〜45%、好ましくは 12〜45 %、更に好ましくは 15〜45%である。油脂分が上限を超える場合には、起泡性水中 油型乳化物がボテ (可塑ィヒ状態)易くなり、下限未満では起泡性、保形性が悪化する 傾向になる。
油脂分 X%が、 10〜45%の範囲内において、油脂分中の S2L型トリグリセリドの量 、 Y%が、上記の式、 Υ=8/900 Χ (X— 45)2 + 8より小さく、 Υ=8Ζ900 Χ (X— 4 5) 2 + 0. 8より大きいことを満たすのである力 Υ%が、 Υ=8/900 Χ (X— 45) 2+8 、更に Υ= 1Ζ160 Χ (X— 45) 2+8より小さいことが好ましい。
この式は、全油脂中における S2L型トリグリセリドの含有量が少量であることを意味 し、油脂分が 10〜30%の低油分と 30〜45%の高油分において、 S2L型トリグリセリ ドの含有量が少量ではあるが、低油分では高ぐ高油分では低いことを意味する。
Υ%が、 Υ= 8/900 X (X— 45) 2+ 8より大きい場合は、低油脂分においては起泡 性、保形性が悪くなり、高油脂分においては食感が重たいものとなる。また、 Υ=8Ζ 900 X (X— 45) 2 + 0. 8より小さい場合は S2L型トリグリセリドの使用効果が乏しいも のとなる。
上記の式、油脂分 Χ%と油脂分中の S2L型トリグリセリドの量¥%の関係について は、数多くの試行錯誤を繰り返し得られた実験値に基づく経験則であります。
[0011] 本発明の起泡性水中油型乳化物の油脂は、油脂の SFCが 10°Cにおいて 50〜95 の範囲の油脂であることが好ましい。低い場合は起泡性、保形性が悪化する傾向に なり、高い場合は食感が重たいものとなる。
油脂の SFCが 10°Cにおいて 50〜95の範囲の油脂は、上記 S2L型トリグリセリドを 含有する油脂はもちろんのこと、動植物性油脂及びそれらの硬化油脂の単独又は 2 種以上の混合物或いはこれらのものに種々の化学処理又は物理処理を施し得ること ができる。力かる油脂としては、大豆油、綿実油、コーン油、サフラワー油、ォリーブ 油、パーム油、菜種油、米ぬか油、ゴマ油、カポック油、ヤシ油、パーム核油、乳脂、 ラード、魚油、鯨油等の各種の動植物油脂及びそれらの硬化油、分別油、エステル 交換油等の加工油脂が例示できる。
本発明での乳脂は、牛乳、生クリーム、バター等の乳由来の乳脂はもちろんのこと、 これらの原料をカ卩ェ処理して得られるバターオイルも含むのもである。
油脂の SFC (固体脂含量)の測定法は、 IUPAC2. 150 (Solid Content Deter mination in Fats by NMR)に準じて行なった。
[0012] 本発明の無脂乳固形分としては、牛乳の全固形分力 乳脂肪分を差し引いた成分 をいい、生乳、牛乳、脱脂乳、生クリーム、濃縮乳、無糖練乳、加糖練乳、全脂粉乳、 脱脂粉乳、バターミルクパウダー、ホエー蛋白、カゼイン、カゼインナトリウム等の乳 由来の原料が例示でき、無脂乳固形分が 1〜14重量%が好ましぐさらに好ましくは 2〜12重量%、最も好ましくは 4〜 10重量%である。無脂乳固形分が少ない場合は 、水中油型乳化物の乳化安定性が悪くなり、乳味感も少なくなつて風味が悪くなる。 多い場合は、水中油型乳化物の粘度が高くなり、コストも高くなり、量に見合った効果 が得難くなる。
[0013] 本発明の起泡性水中油型乳化物については、乳化剤、塩類、糖類、安定剤、香料 、着色料、保存料も含むことが出来る。糖類としては、澱粉、澱粉分解物、少糖類、二 糖類、単糖類、糖アルコール、セルロース、ィヌリン等が例示でき、これらの単独又は 2種以上混合使用するのが好ましい。更に糖類が澱粉、澱粉分解物、少糖類、セル ロース、ィヌリンカ 選ばれてなる 1種又は 2種以上であること力 甘味の低減と風味 のスツキリ感で好ましい。
[0014] 本発明の乳化剤は、起泡性水中油型乳化物を調整する際に通常使用する乳化剤 を適宜選択使用することが出来る。例えば、レシチン、モノグリセリド、ソルビタン脂肪 酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポ リオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の合成乳化剤 が例示でき、これらの乳化剤の中から 1種又は 2種以上を選択して適宜使用すること が出来る。
[0015] 本発明の起泡性水中油型乳化物については、各種塩類を使用するのが好ましぐ へキサメタリン酸塩、第 2リン酸塩、クェン酸ナトリウム、、ポリリン酸塩、重曹等を単独 又は 2種以上混合使用することが好ましい。
[0016] 本発明の起泡性水中油型乳化物は、オーバーランが 50〜140%、好ましくは 60
〜130%、更に好ましくは 70〜110%であることが好ましい。オーバーランが高すぎ る場合には食感が軽くなりすぎたり、風味の乏しいものとなる傾向がある。オーバーラ ンが低すぎる場合には、本発明の目的とする風味、口溶け感が得難くなる。
上記したように、油脂として特異な S2L型トリグリセリドを起泡性水中油型乳化物に 使用することによって、特異な結晶状態を形成することによって高い乳化安定性と良 好なホイップ性状が得られ、ホイップされた起泡状態のものは、食感、口溶け、風味 に優れたものとなると推察して 、る。
[0017] 本発明の起泡性水中油型乳化物の製造法としては、油脂、無脂乳固形分及び水 を主要原料に、適宜乳化剤、塩類等の原料を混合後、予備乳化、殺菌又は滅菌処 理し均質化処理することにより得ることができる。起泡性水中油型乳化物の保存性の 点で滅菌処理することが好ましい。具体的には、各種原料を 60〜70°Cで 20分間予 備乳化した後(乳化装置はホモミキサー)、必要により 0〜250Kg/cm2の条件下にて 均質化 (乳化装置は均質機)する。次いで超高温瞬間殺菌処理 (UHT)した後、再 度、 0〜300Kg/cm2の条件化にて均質化し、冷却後、約 24時間エージングする。
[0018] 超高温瞬間 (UHT)殺菌には、間接加熱方式と直接加熱方式の 2種類があり、間接 加熱処理する装置としては APVプレート式 UHT処理装置 (APV株式会社製)、 CP-U HT滅菌装置 (クリマティー ·パッケージ株式会社製)、ストルク ·チューブラー型滅菌装 置 (ストルク株式会社製)、コンサ一ム搔取式 UHT滅菌装置 (テトラパック 'アルファラ ベル株式会社製)等が例示できる力 特にこれらにこだわるものではない。また、直接 加熱式滅菌装置としては、超高温滅菌装置 (岩井機械工業 (株)製)、ユーべリゼ一 シヨン滅菌装置 (テトラパック ·アルファラバル株式会社製)、 VTIS滅菌装置 (テトラパ ック ·アルファラバル株式会社製)、ラギア一 UHT滅菌装置 (ラギア一株式会社製)、 パラリゼ一ター (パッシュ 'アンド'シルケ一ボーグ株式会社製)等の UHT滅菌装置が 例示でき、これらの何れの装置を使用してもよい。
実施例
[0019] 以下に本発明の実施例を示し本発明をより詳細に説明する力 本発明の精神は以 下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、%及び部は重量基準を意味す る。特に、添加剤の添加順序或いは油相を水相へ又は水相を油相へカ卩える等の乳
化順序が以下の例示によって限定されるものではないことは言うまでもない。また、結 果につ 、ては以下の方法で評価した。
[0020] A 水中油型乳化物のボテテスト (水中油型乳化物の安定性)を評価した。
ボテテスト:水中油型乳化物を 100ml容ビーカーに 50g採り、 20°Cで 2時間インキ ュペートし、その後 5分間、横型シェーカーを用い、振動させ、水中油型乳化物のボ テの発生の有無を確認した。
B 水中油型乳化物を起泡させた場合の評価方法
(1)ホイップタイム:水中油型乳化物 lkg、グラニュー糖 80g添加し、ホバードミキサ 一(HOBART CORPORATION製 MODEL N— 5) 3速(300rpm)にてホイッ プし、最適起泡状態に達するまでの時間。
(2)オーバーラン: [ (一定容積の水中油型乳化物重量)一 (一定容積の起泡後の起 泡物重量)] ÷ (一定容積の起泡後の起泡物重量) X 100
(3)保形性、離水:造花した起泡物を 15°Cで 24時間保存した場合の美しさを調べる 。優れている順に、「良好」、「可」、「不可」の三段階にて評価をつける。
(4)風味、食感、口溶け:専門パネラーに 20名により、優れている順に「良好」、「可」 、「不可」の三段階にて評価を行い、平均化した評価を結果とした。
[0021] 実験例 1 ; S2L含有油脂の調製 (1)
サフラワー油 20部、ステアリン酸 80部を 1, 3位特異性を有するリパーゼを用いてェ ステル交換し、蒸留によりェチルエステル部を除去し、 S2L含有油脂(1)を得た。
[0022] 実験例 2; S2L含有油脂の調製 (2)
綿実油:アセトン = 20: 80の比率の混合物を混合溶解し、攪拌しながら混合物を— 10°Cまで冷却し、 30分保持し結晶を析出させた。その後、減圧濾過して結晶部と液 状部に分画した。
得られた結晶部は常法によりアセトンを除去し、更に常法により脱色、脱臭し、 S2L 含有油脂 (2)を得た。
[0023] 実験例 3
起泡性水中油型乳化物の調製に使用した S2L含有油脂(1)、 S2L含有油脂 (2)、 パーム中融点部、大豆パーム混合硬化油、菜種パーム混合硬化油について、液体
クロマトグラフィー法、ガスクロマトグラフィー法を用いて St2L、 P2L量を求め、結果を 表 1に纏めた。
[表 1]
[0024] 実施例 1
パーム中融点部(融点 34°C) 13部、 S2L含有油脂(1) 2部にレシチン 0. 2部、ダリ セリン脂肪酸エステル 0. 1部を添加混合溶解し油相とする。これとは別に水 68. 9部 に脱脂粉乳 5. 5部、デキストリン 10部、ショ糖脂肪酸エステル 0. 1部、タエン酸ナトリ ゥム 0. 2部を溶解し水相を調製する。上記油相と水相を 65°Cで 30分間ホモミキサー で攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置 (岩井機械工業 (株)製)によって、 145 °Cにおいて 4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、 100Kg/cm2の均質 化圧力で均質ィ匕して、直ちに 5°Cに冷却した。冷却後約 24時間エージングして、起 泡性水中油型乳化物を得た。この乳化物を上記のホイップ方法に従って評価した。 風味 '食感'口溶けは良好であり、油脂分が 15重量%と低油分であるにもかかわらず 、みずみずみずしい食感であった。結果を表 2に纏めた。実施例 1の油脂分と S2L型 トリグリセリド含量を図 1のグラフに示した。
[0025] 実施例 2
パーム中融点部(融点 34°C) 9部、精製ヤシ油 18部、菜種パーム混合硬化油 4部、 S2L含有油脂(1) 4部にレシチン 0. 1部を添加混合溶解し油相とする。これとは別に 水 58. 9部に脱脂粉乳 5. 5部、ショ糖脂肪酸エステル 0. 3部、クェン酸ナトリウム 0. 2部を溶解し水相を調整する。上記油相と水相を 65°Cで 30分間ホモミキサーで攪拌
し予備乳化した後、超高温滅菌装置 (岩井機械工業 (株)製)によって、 145°Cにお いて 4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、 100Kg/cm2の均質化圧力 で均質化して、直ちに 5°Cに冷却した。冷却後約 24時間エージングして、起泡性水 中油型乳化物を得た。この乳化物を上記のホイップ方法に従って評価した。風味'食 感-口溶けは良好であり、みずみずしい食感であり、乳味が良く感じられた。結果を表 2に纏めた。実施例 2の油脂分と S2L型トリグリセリド含量を図 1のグラフに示した。
[0026] 実施例 3
パーム中融点部(融点 34°C) 5. 5部、硬化ヤシ油 5. 5部、菜種パーム混合硬化油 5部、 S2L含有油脂(1) 1部、乳脂 20部にレシチン 0. 2部、グリセリン脂肪酸エステ ル 0. 1部を添加混合溶解し油相とする。これとは別に水 56. 8部に脱脂粉乳 5. 5部 、ショ糖脂肪酸エステル 0. 2部、クェン酸ナトリウム 0. 2部を溶解し水相を調整する。 上記油相と水相を 65°Cで 30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅 菌装置 (岩井機械工業 (株)製)によって、 145°Cにおいて 4秒間の直接加熱方式に よる滅菌処理を行った後、 100Kg/cm2の均質ィ匕圧力で均質ィ匕して、直ちに 5°Cに冷 却した。冷却後約 24時間エージングして、起泡性水中油型乳化物を得た。この乳ィ匕 物を上記のホイップ方法に従って評価した。風味 '食感'口溶けは良好であり、みず みずしい食感であり、乳味が良く感じられた。結果を表 2に纏めた。実施例 3の油脂 分と S2L型トリグリセリド含量を図 1のグラフに示した。
[0027] 実施例 4
パーム中融点部(融点 34°C) 9部、硬化ヤシ油 8部、菜種パーム混合硬化油 4部、 S 2L含有油脂(2) 4部、乳脂 15部にレシチン 0. 1部、グリセリン脂肪酸エステル 0. 05 部を添加混合溶解し油相とする。これとは別に水 54. 0部に脱脂粉乳 5. 5部、ショ糖 脂肪酸エステル 0. 15部、クェン酸ナトリウム 0. 2部を溶解し水相を調整する。上記 油相と水相を 65°Cで 30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装 置 (岩井機械工業 (株)製)によって、 145°Cにおいて 4秒間の直接加熱方式による滅 菌処理を行った後、 100Kg/cm2の均質ィ匕圧力で均質ィ匕して、直ちに 5°Cに冷却した 。冷却後約 24時間エージングして、起泡性水中油型乳化物を得た。この乳化物を上 記のホイップ方法に従って評価した。風味 '食感'口溶けは良好であり、みずみずし
い食感であり、乳味が良く感じられた。結果を表 2に纏めた。実施例 4の油脂分と S2 L型トリグリセリド含量を図 1のグラフに示した。
[0028] 実施例 5
パーム中融点部(融点 34°C) 9部、硬化ヤシ油 8部、菜種パーム混合硬化油 5. 5部 、 S2L含有油脂(1) 2. 5部、乳脂 15部にレシチン 0. 1部、グリセリン脂肪酸エステル 0. 05部を添加混合溶解し油相とする。これとは別に水 54. 0部に脱脂粉乳 5. 5部、 ショ糖脂肪酸エステル 0. 15部、クェン酸ナトリウム 0. 2部を溶解し水相を調整する。 上記油相と水相を 65°Cで 30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅 菌装置 (岩井機械工業 (株)製)によって、 145°Cにおいて 4秒間の直接加熱方式に よる滅菌処理を行った後、 100Kg/cm2の均質ィ匕圧力で均質ィ匕して、直ちに 5°Cに冷 却した。冷却後約 24時間エージングして、起泡性水中油型乳化物を得た。この乳化 物を上記のホイップ方法に従って評価した。風味 '食感'口溶けは良好であり、みず みずしい食感であり、乳味が良く感じられた。結果を表 2に纏めた。実施例 5の油脂 分と S2L型トリグリセリド含量を図 1のグラフに示した。
[0029] 実施例 6
パーム中融点部(融点 34°C) 3部、硬化ヤシ油 3. 5部、菜種パーム混合硬化油 3部 、 S2L含有油脂(1) 0. 5部、乳脂 31部にレシチン 0. 1部、グリセリン脂肪酸エステル 0. 05部を添加混合溶解し油相とする。これとは別に水 52. 7部に脱脂粉乳 5. 5部、 ショ糖脂肪酸エステル 0. 15部、クェン酸ナトリウム 0. 2部を溶解し水相を調整する。 上記油相と水相を 65°Cで 30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅 菌装置 (岩井機械工業 (株)製)によって、 145°Cにおいて 4秒間の直接加熱方式に よる滅菌処理を行った後、 100Kg/cm2の均質ィ匕圧力で均質ィ匕して、直ちに 5°Cに冷 却した。冷却後約 24時間エージングして、起泡性水中油型乳化物を得た。この乳化 物を上記のホイップ方法に従って評価した。風味 '食感'口溶けは良好であり、みず みずしい食感であり、乳味が良く感じられた。結果を表 2に纏めた。実施例 6の油脂 分と S2L型トリグリセリド含量を図 1のグラフに示した。
[0030] 実施例 7
パーム中融点部(融点 34°C) 2. 5部、硬化ヤシ油 3部、菜種パーム混合硬化油 2.
5部、 S2L含有油脂(1) 2部、乳脂 31部にレシチン 0. 1部、グリセリン脂肪酸エステ ル 0. 05部を添加混合溶解し油相とする。これとは別に水 53. 0部に脱脂粉乳 5. 5 部、ショ糖脂肪酸エステル 0. 15部、クェン酸ナトリウム 0. 2部を溶解し水相を調整す る。上記油相と水相を 65°Cで 30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温 滅菌装置 (岩井機械工業 (株)製)によって、 145°Cにおいて 4秒間の直接加熱方式 による滅菌処理を行った後、 100Kg/cm2の均質ィ匕圧力で均質ィ匕して、直ちに 5°Cに 冷却した。冷却後約 24時間エージングして、起泡性水中油型乳化物を得た。この乳 化物を上記のホイップ方法に従って評価した。風味 '食感'口溶けは良好であり、み ずみずしい食感であり、乳味が良く感じられた。結果を表 2に纏めた。実施例 7の油 脂分と S2L型トリグリセリド含量を図 1のグラフに示した。
[0031] 実施例 8
大豆パーム混合硬化油 24部、精製ヤシ油 10部、 S2L含有油脂(1) 1部、乳脂 10 部にレシチン 0. 3部を添加混合溶解し油相とする。これとは別に水 48. 9部に脱脂 粉乳 5. 5部、ショ糖脂肪酸エステル 0. 15部、クェン酸ナトリウム 0. 2部を溶解し水相 を調整する。上記油相と水相を 65°Cで 30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した 後、超高温滅菌装置 (岩井機械工業 (株)製)によって、 145°Cにおいて 4秒間の直 接加熱方式による滅菌処理を行った後、 100Kg/cm2の均質化圧力で均質化して、 直ちに 5°Cに冷却した。冷却後約 24時間エージングして、起泡性水中油型乳化物を 得た。この乳化物を上記のホイップ方法に従って評価した。風味 '食感'口溶けは可 であり、油脂分が 45%と高油分であるにもかかわらず、ネタつきがなぐみずみずし い食感であった。結果を表 2に纏めた。実施例 8の油脂分と S2L型トリグリセリド含量 を図 1のグラフに示した。
[0032] 表 2に実施例 1〜実施例 8の結果を纏めた。
[0033] 比較例 1
パーム中融点部(融点 34°C) 15部にレシチン 0· 2部、グリセリン脂肪酸エステル 0. 1部を添加混合溶解し油相とする。これとは別に水 68. 9部に脱脂粉乳 5. 5部、デキ ストリン 10部、ショ耱脂肪酸エステル 0. 1部、クェン酸ナトリウム 0· 2部を溶解し水相 を調製する。上記油相と水相を 65°Cで 30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した 後、超高温滅菌装置 (岩井機械工業 (株)製)によって、 145°Cにおいて 4秒間の直 接加熱方式による滅菌処理を行った後、 lOOKg/cm2の均質化圧力で均質ィヒして、 直ちに 5でに冷却した。冷却後約 24時間エージングして、起泡性水中油型乳化物を 得た。この乳化物を上記のホイップ方法に従って評価した。風味は良好であるが、食 感'口溶けは不可であった。結果を表 3に纏めた。比較例 1の油脂分と S2L型トリダリ セリド含量を図 1のグラフに示した。
[0034] 比較例 2
パーム中融点部(融点 34°C) 10部、 S2L含有油脂(1) 5部にレシチン 0. 2部、ダリ セリン脂肪酸エステル 0. 1部を添加混合溶解し油相とする。これとは別に水 68. 9部 に脱脂粉乳 5. 5部、デキストリン 10部、ショ糖脂肪酸エステル 0. 1部、クェン酸ナトリ ゥム 0. 2部を溶解し水相を'調製する。上記油相と水相を 65°Cで 30分間ホモミキサー で攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置 (岩井機械工業 (株)製)によって、 145
差替え用紙(, 6)
°Cにおいて 4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、 100Kg/cm2の均質 化圧力で均質ィ匕して、直ちに 5°Cに冷却した。冷却後約 24時間エージングして、起 泡性水中油型乳化物を得た。この乳化物を上記のホイップ方法に従って評価した。 風味 '食感'口溶けは良好であった力 15°Cの保形性、離水が不可であった。結果 を表 3に纏めた。比較例 2の油脂分と S2L型トリグリセリド含量を図 1のグラフに示した
[0035] 比較例 3
パーム中融点部(融点 34°C) 8部、精製ヤシ油 16. 5部、菜種パーム混合硬化油 3 . 5部、 S2L含有油脂(1) 7部にレシチン 0. 1部を添加混合溶解し油相とする。これと は別に水 58. 9部に脱脂粉乳 5. 5部、ショ糖脂肪酸エステル 0. 3部、タエン酸ナトリ ゥム 0. 2部を溶解し水相を調整する。上記油相と水相を 65°Cで 30分間ホモミキサー で攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置 (岩井機械工業 (株)製)によって、 145 °Cにおいて 4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、 100Kg/cm2の均質 化圧力で均質ィ匕して、直ちに 5°Cに冷却した。冷却後約 24時間エージングして、起 泡性水中油型乳化物を得た。この乳化物を上記のホイップ方法に従って評価した。 風味'口溶けは良好であった力 食感が重たく不可であった。結果を表 3に纏めた。 比較例 3の油脂分と S2L型トリグリセリド含量を図 1のグラフに示した。
[0036] 比較例 4
硬化ヤシ油 6. 5部、菜種パーム混合硬化油 3部、 S2L含有油脂(1) 0. 5部、乳脂 31部にレシチン 0. 1部、グリセリン脂肪酸エステル 0. 05部を添加混合溶解し油相と する。これとは別に水 53. 0部に脱脂粉乳 5. 5部、ショ糖脂肪酸エステル 0. 15部、ク ェン酸ナトリウム 0. 2部を溶解し水相を調整する。上記油相と水相を 65°Cで 30分間 ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置 (岩井機械工業 (株)製)に よって、 145°Cにおいて 4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、 lOOKg/ cm2の均質ィ匕圧力で均質ィ匕して、直ちに 5°Cに冷却した。冷却後約 24時間エージン グして、起泡性水中油型乳化物を得た。この乳化物を上記のホイップ方法に従って 評価した。風味'口溶けは良好であった力 食感がみずみずしさに欠け不可であった 。結果を表 3に纏めた。比較例 4の油脂分と S2L型トリグリセリド含量を図 1のグラフに
示した。
[0037] 比較例 5
大豆パーム混合硬化油 24部、精製ヤシ油 10. 5部、 S2L含有油脂(1) 0. 5部、乳 脂 10部にレシチン 0. 3部を添加混合溶解し油相とする。これとは別に水 48. 9部に 脱脂粉乳 5. 5部、ショ糖脂肪酸エステル 0. 15部、クェン酸ナトリウム 0. 2部を溶解し 水相を調整する。上記油相と水相を 65°Cで 30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化 した後、超高温滅菌装置 (岩井機械工業 (株)製)によって、 145°Cにおいて 4秒間の 直接加熱方式による滅菌処理を行った後、 100Kg/cm2の均質化圧力で均質化して 、直ちに 5°Cに冷却した。冷却後約 24時間エージングして、起泡性水中油型乳化物 を得た。この乳化物を上記のホイップ方法に従って評価した。風味'口溶けは可であ つたが、食感がみじみずしさに欠け不可であった。結果を表 3に纏めた。比較例 5の 油脂分と S2L型トリグリセリド含量を図 1のグラフに示した。
[0038] 比較例 6
大豆パーム混合硬化油 18部、精製ヤシ油 8部、 S2L含有油脂(1) 9部、乳脂 10部 にレシチン 0. 3部を添加混合溶解し油相とする。これとは別に水 48. 9部に脱脂粉 乳 5. 5部、ショ糖脂肪酸エステル 0. 15部、クェン酸ナトリウム 0. 2部を溶解し水相を 調整する。上記油相と水相を 65°Cで 30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、 超高温滅菌装置 (岩井機械工業 (株)製)によって、 145°Cにおいて 4秒間の直接カロ 熱方式による滅菌処理を行った後、 100Kg/cm2の均質ィ匕圧力で均質ィ匕して、直ち に 5°Cに冷却した。冷却後約 24時間エージングして、起泡性水中油型乳化物を得た 。この乳化物を上記のホイップ方法に従って評価した。風味'口溶けは可であつたが 、食感が重たく不可であった。結果を表 3に纏めた。比較例 6の油脂分と S2L型トリグ リセリド含量を図 1のグラフに示した。
[0039] 表 3に比較例 1〜比較例 6の結果を纏めた。
産業上の利用可能性
[0040] 本発明は、食感、口溶け、風味に優れており、且つ高い乳化安定性、ホイップ性を 有する起泡性水中油型乳化物に関するものである。
図面の簡単な説明
[0041] [図 1]油脂分と油脂分中の S2L型トリグリセリド含量を示す図
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