明 細 書
ポリアミド—ポリフエ二レンエーテル樹脂組成物
技術分野
[0001] 本発明は、ポリアミドとポリフエ-レンエーテルを含有する榭脂組成物であって、該 榭脂組成物中に含有する水分率が幅広!/、範囲で変動しても成形時の流動性変化の 少ない榭脂組成物およびそれから得られる成形体に関する。さらに、成形時の滞留 安定性および成形体の熱安定性、特に熱暴露後の塗装密着性が著しく改良された 榭脂組成物および該榭脂組成物カゝらなる成形体に関する。
背景技術
[0002] ポリフエ-レンエーテルは機械的性質'電気的性質及び耐熱性が優れており、しか も寸法安定性に優れるため幅広い用途で使用されている。ポリフエ-レンエーテル単 独では成形加工性に劣っており、これを改良するためにポリアミドを配合する技術が 提案されている。ポリフエ-レンエーテルは現在では非常に多種多様な用途に使用 される材料となっている。
[0003] 最近になって、ポリアミド ポリフエ-レンエーテルァロイは自動車等の外装部品( フェンダー ·ドアパネル等)への用途展開が急速に進んでおり、自動車外装部品の大 型化や形状の複雑化にともない、高温での成形や成形機の能力の上限で成形され ることが多くなつてきている。特に、自動車フェンダーのような大型成形品では、成形 体外観の品質を確保するためには成形時の滞留安定性が必要不可欠となる。特に、 成形時における滞留安定性が悪いと、成形品の外観不良を生じ、塗装密着性の低 下及び塗装後外観の鮮映性の悪ィ匕を招く。滞留安定性を向上させるために、ポリア ミド一ポリフエ-レンエーテルァロイにァセタールとポリリン酸塩を配合する技術 (特許 文献 1)、ポリアミド ポリフエ-レンエーテルァロイに有機リン系安定剤と酸ィ匕亜鉛お よび Zまたは硫化亜鉛を配合する技術 (特許文献 2)、リン系熱安定剤を配合する技 術 (特許文献 3)などが開示されて 、る。
[0004] また、ポリアミドの一次縮合物とポリフエ-レンエーテルとを、一次縮合物の相対粘 度が上がるように重合反応を進めながらァロイ化する製造方法及びそれによつて得ら
れた組成物が開示されている(特許文献 4, 5)。これら文献には、次亜リン酸ソーダが ポリアミドの高重合度化促進に有効であり、組成物の色調改善に有効であることが記 載されている。
[0005] 一般に、ポリアミド ポリフエ-レンエーテルァロイを成形する際、水分が多く含まれ ているポリマーでは、シルバーストリークが発生するなどの問題があるため、水分を減 らす必要がある。その一方で、必要以上に水分を減らしすぎると流動性が低下してし まい、金型に完全に充填できないという成形不良を発生するなどの問題が生じる。こ のように水分をある一定範囲内に管理することが必須である。その範囲内にお ヽても ポリアミドの重合触媒である次亜リン酸ソーダが通常量存在する場合、ポリマー中の 水分率により成形時にポリアミドの粘度が変化するため、流動性の制御が困難であつ た。
[0006] したがって、成形体外観の品質を確保し、成形時の加工安定性を向上させるため に、幅広い水分範囲においても流動性の変化が少なぐかつ滞留安定性に優れた 榭脂組成物が待望されて 、た。
さらに静電塗装性を要求される用途においては、塗装密着性及び塗装後外観の鮮 映性を確保するために成形体外観の品質を確保することが重要である。特に、自動 車フェンダーの中には、オンラインによる静電塗装後、金属パネルに塗布された鲭止 め塗料を硬化させるために、金属パネルと共に榭脂成形体も熱処理工程を通される ことになる。これらの熱処理工程は、約 170°C〜200°Cまたはそれ以上の温度で 10 〜50分程度暴露されるのが通例である。したがって、使用される榭脂成形体には熱 安定性、特に熱暴露後の塗装密着性の向上も求められているのが現状であった。
[0007] 特許文献 1 :日本国特開平 8— 73730号公報
特許文献 2 :日本国特開平 7— 26134号公報
特許文献 3 :日本国特開平 7—41658号公報
特許文献 4:日本国特開平 7— 331063号公報
特許文献 5 :日本国特開平 7— 166053号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0008] 本発明の課題は、自動車外装部品等の大型成形品に好適であり、上述した技術で は達成し得な力つた、幅広い水分率範囲における流動性の変化が少なぐ成形機内 での滞留安定性に優れるポリアミド ポリフエ-レンエーテルァロイ樹脂組成物及び 該榭脂組成物からなる成形体を提供することである。さらに、成形体外観の品質を向 上させ、かつ熱暴露後の塗装密着性を著しく向上させるポリアミド ポリフエ-レンェ 一テルァロイ樹脂組成物および成形体を提供することである。
課題を解決するための手段
[0009] 発明の概要
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、リン酸、亜リン酸 、次亜リン酸の金属塩、リン酸エステル等のリンィ匕合物を含み、ポリアミド、ポリフエ- レンエーテル、エラストマ一およびリンィ匕合物の合計 100質量%に対し、リン元素とし て l〜35ppm含む榭脂組成物が、上記特性に優れた榭脂組成物及び成形体を得る ために有効であることを見出した。以上の知見に基づいて、本発明を完成した。
[0010] 本発明の上記及びその他の解決課題、諸特徴ならびに諸利益は、以下の詳細な 説明及び請求の範囲の記載から明らかになる。
[0011] 発明の詳細な説明
本発明は (A)ポリアミド、(B)ポリフエ-レンエーテル、(C)エラストマ一および (D)リ ン酸類、亜リン酸類、次亜リン酸類、リン酸金属塩類、亜リン酸金属塩類、次亜リン酸 金属塩類およびリン酸エステル類カゝら選ばれる 1種以上のリンィ匕合物を含む榭脂組 成物であって、該榭脂組成物中に、(A)〜(D)成分の合計 100質量%に対し、リン 元素を l〜35ppm含むことを特徴とする榭脂組成物、及びその成形体に関する。
[0012] 次に、本発明の理解を容易にするために、本発明の基本的特徴及び好ましい諸態 様を列挙する。
1. (A)ポリアミド、(B)ポリフエ-レンエーテル、(C)エラストマ一および (D)リン酸類 、亜リン酸類、次亜リン酸類、リン酸金属塩類、亜リン酸金属塩類、次亜リン酸金属塩 類およびリン酸エステル類カゝら選ばれる 1種以上のリンィ匕合物を含む榭脂組成物で あって、該榭脂組成物中に、(A)〜(D)成分の合計 100質量%に対し、リン元素を 1 〜35ppm含むことを特徴とする榭脂組成物。
[0013] 2. (D)成分が、リン酸金属塩類、亜リン酸金属塩類、次亜リン酸金属塩類から選ば れる 1種以上のリンィ匕合物であることを特徴とする請求項 1に記載の榭脂組成物。
[0014] 3. (D)成分が、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸力も選ばれる 1種以上のリンィ匕合物と、 周期律表第 1族及び第 2族、マンガン、亜鉛、アルミニウム力 選ばれる 1種以上の金 属との塩であることを特徴とする請求項 1に記載の榭脂組成物。
[0015] 4.該榭脂組成物中の水分率 lOOppm当たりのメルトフローレート(MFR;ASTM
D1238に従い、 280°C、 5kg荷重下で測定)の差(A MFR;該榭脂組成物中の水分 率が約 200ppm〜約 1200ppmの範囲で少なくとも 3つの異なる水分率を有するぺ レットにっ 、て MFRを測定し、測定した MFRの値を MFRと水分率との関係を示す グラフ上にプロットし、該プロットを最小二乗近似した直線の傾き力も水分率 lOOppm 当たりの MFRの差を得ることにより決定される)が 0. 80gZl0min以下であることを 特徴とする請求項 1〜3のいずれかに記載の榭脂組成物。
[0016] 5. (D)成分が (A)成分に予め配合されていることを特徴とする請求項 1〜4のいず れかに記載の榭脂組成物。
[0017] 6. (D)成分が (A)成分の重合時に添加されていることを特徴とする請求項 5に記載 の榭脂組成物。
[0018] 7. (A)成分が、リン元素の濃度が異なる 2種類以上のポリアミドの混合物であることを 特徴とする請求項 1〜6のいずれかに記載の榭脂組成物。
[0019] 8. (A)成分力 (A— 1)リン元素を 35ppm以上 250ppm以下含有したポリアミド、 (
A— 2)リン元素を Oppm以上 35ppm未満含有したポリアミドの混合物であることを特 徴とする請求項 7に記載の榭脂組成物。
[0020] 9. (E1)酸化物、炭酸塩、アルコキシド、重炭酸塩及び水酸化物から選択された周 期律表第 IA族塩基及び Zまたは(Ε2) ΠΑ族、亜鉛およびアルミニウム力 選ばれる
1種以上の金属のカルボン酸塩及び ΠΑ族、亜鉛およびアルミニウム力 選ばれる 1 種以上の金属の水溶性化合物から選択された多価金属化合物を更に含むことを特 徴とする請求項 1〜8のいずれかに記載の榭脂組成物。
[0021] 10. (E1)周期律表第 ΙΑ族塩基が、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、水酸ィ匕カリウ ムおよび水酸ィ匕ナトリウム力も選ばれた少なくも 1つの化合物であることを特徴とする
請求項 9に記載の榭脂組成物。
[0022] 11. (E2)多価金属化合物が、 ΠΑ族、亜鉛およびアルミニウム力 選ばれる 1種以上 の金属のカルボン酸塩、 ΠΑ族、亜鉛およびアルミニウム力 選ばれる 1種以上の金 属のハロゲン化物、 ΠΑ族、亜鉛およびアルミニウムから選ばれる 1種以上の金属の 硝酸塩力 選択されたィ匕合物であることを特徴とする請求項 9に記載の榭脂組成物。
[0023] 12.該榭脂組成物が、(D)リン化合物及び (E1)周期律表第 IA族塩基及び Zまたは
(E2)多価金属化合物を含み、かつ、多価金属と一価金属のモル数の和とリン (P)元 素のモル数との比、すなわち、(多価金属のモル数 H "—価金属のモル数) Z(Pのモ ル数)の値が 1を超え 8以下であることを特徴とする請求項 9〜: L 1のいずれかに記載 の榭脂組成物。
[0024] 13. (D)成分及び (E1)成分及び Zまたは (E2)成分力 予め (A)成分に添加されて 配合されることを特徴とする請求項 9〜 12のいずれかに記載の榭脂組成物。
[0025] 14. (F)—般式 (M O) (Al O ) (X+Y= 1、かつ Mは周期律表第 1族金属元素)
2 X 2 3 Υ
で示される可溶性アルミン酸金属塩類を更に含むことを特徴とする請求項 1〜8のい ずれかに記載の榭脂組成物。
[0026] 15. (F)可溶性アルミン酸金属塩類力 一般式 (Na O) (Al O ) (X+Y= lかつ 0
2 X 2 3 Υ
. 35≤Υ/Χ≤1. 25である)で示されるアルミン酸ナトリウムであることを特徴とする 請求項 14に記載の榭脂組成物。
[0027] 16.該榭脂組成物が、 A1金属と一価金属とのモル比 (A1金属のモル数 Ζ—価金属 のモル数)が 0. 10〜: L 0であることを特徴とする請求項 14または請求項 15に記載 の榭脂組成物。
[0028] 17. (D)成分及び (F)成分が、予め (Α)成分に添加されて配合されることを特徴とす る請求項 14〜16のいずれかに記載の榭脂組成物。
[0029] 18.該榭脂組成物が、更にハロゲンィ匕アルカリ金属化合物及び Ζ又は銅化合物を 含むことを特徴とする請求項 1〜17のいずれかに記載の榭脂組成物。
[0030] 19.該榭脂組成物の全量 100質量%に対し、銅元素を 1〜: LOOppm含むことを特徴 とする請求項 18に記載の榭脂組成物。
[0031] 20. (A)ポリアミドが、脂肪族ポリアミドであることを特徴とする請求項 1〜19のいずれ
力に記載の榭脂組成物。
[0032] 21. (B)ポリフエ-レンエーテル力 ポリ(2, 6 ジメチルー 1, 4 フエ-レンエーテ ル)及び Z又は 2, 6 ジメチルー 1, 4 フエノールと 2, 3, 6 トリメチルー 1, 4ーフ ェノールとの共重合体であることを特徴とする請求項 1〜19のいずれかに記載の榭 脂組成物。
[0033] 22. (G)スチレン系重合体を更に含むことを特徴とする請求項 1〜21のいずれかに 記載の榭脂組成物。
[0034] 23. (H)無機充填材を更に含むことを特徴とする請求項 1〜22のいずれかに記載の 榭脂組成物。
[0035] 24. (H)無機充填材が、ガラス繊維、タルク、クレイ、ウォラストナイト、酸ィ匕チタンから 選ばれる 1種以上であることを特徴とする請求項 23に記載の榭脂組成物。
[0036] 25. (C)エラストマ一力 芳香族ビ-ルイ匕合物を主体とする重合体ブロックと共役ジ ェンィ匕合物を主体とする重合体ブロック力 なるブロック共重合体の水素添加物であ ることを特徴とする請求項 1〜24のいずれかに記載の榭脂組成物。
[0037] 26. (I)導電性炭素系フイラ一を更に含み、該導電性炭素系フイラ一が、カーボンフ イブリル及びカーボンブラック力 選ばれる 1種以上であることを特徴とする請求項 1 〜25の 、ずれかに記載の榭脂組成物。
[0038] 27.請求項 1〜26のいずれかに記載の榭脂組成物からなる射出成形体。
発明の効果
[0039] 本発明の榭脂組成物は、該榭脂組成物中の水分率の幅広い範囲において MFR の変化が少なぐ成形機内での滞留安定性に優れるポリアミド ポリフエ-レンエー テルァロイ樹脂組成物及び該榭脂組成物からなる成形体を提供することができる。 幅広 、水分率範囲で該榭脂組成物の MFRの変化が少なくなると 、うことは、生産時 や成形前の榭脂組成物に対する厳しい水分率管理を簡略ィ匕することができるため、 榭脂組成物や成形品の生産効率を向上することができるとともに、成形時の金型へ の充填不良などを減らすことができることを意味する。該榭脂組成物は、成形時にお ける滞留安定性が著しく向上しているため、成形条件幅が極めて広い範囲で成形品 良外観を達成できる。さらに、熱暴露後の塗装密着性を著しく向上させたポリアミド—
ポリフエ-レンエーテルァロイ樹脂組成物および成形体を提供することができる。 発明を実施するための最良の形態
[0040] 以下に、本発明の榭脂組成物を構成する各成分について詳しく述べる。
[0041] 本発明で (A)成分として使用することのできるポリアミドの種類としては、ポリマー主 鎖のくり返し構造単位中にアミド結合 { NH— C ( = O) }を有するものであれば、 特別な制限はなく使用することができる。
[0042] 一般にポリアミドは、ラタタム類の開環重合、ジァミンとジカルボン酸の重縮合、アミ ノカルボン酸の重縮合などによって得られる力、これらに限定されるものではない。
[0043] 上記ジァミンとしては脂肪族、脂環式および芳香族ジァミンが挙げられ、具体例とし ては、テトラメチレンジァミン、へキサメチレンジァミン、ゥンデカメチレンジァミン、ドデ カメチレンジァミン、トリデカメチレンジァミン、 1 , 9ーノナンジァミン、 2—メチルー 1 , 8—オクタンジァミン、 2, 2, 4 卜リメチルへキサメチレンジァミン、 2, 4, 4 卜リメチ ルへキサメチレンジァミン、 5 メチルノナメチレンジァミン、 1 , 3 ビスアミノメチルシ クロへキサン、 1 , 4 ビスアミノメチルシクロへキサン、 m—フエ二レンジァミン、 p フ ェ-レンジァミン、 m—キシリレンジァミン、 p キシリレンジァミンなどが挙げられる。
[0044] ジカルボン酸としては、脂肪族、脂環式および芳香族ジカルボン酸が挙げられ、具 体例としては、アジピン酸、スベリン酸、ァゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、 1 , 1 , 3 トリデカン二酸、 1 , 3 シクロへキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル 酸、ナフタレンジカルボン酸、ダイマー酸などが挙げられる。
[0045] ラタタム類としては、具体的には ε力プロラタタム、ェナントラクタム、 ωラウ口ラタタム などが挙げられる。
[0046] また、アミノカルボン酸としては、具体的には ε—アミノカプロン酸、 7 ァミノへプタ ン酸、 8 ァミノオクタン酸、 9 アミノノナン酸、 11—アミノウンデカン酸、 12 ァミノ ドデカン酸、 13 アミノトリデカン酸などが挙げられる。
[0047] 本発明にお 、ては、これらラタタム類、ジァミン、ジカルボン酸、 ω—ァミノカルボン 酸は、単独で重合して得られるポリアミド及び二種以上の混合物にして重縮合を行つ て得られる共重合ポリアミドの 、ずれもが使用できる。
[0048] また、これらラタタム類、ジァミン、ジカルボン酸、 ω—ァミノカルボン酸を重合反応
機内で低分子量のオリゴマーの段階まで重合し、押出機等で高分子量ィ匕したものも 好適に使用することができる。
[0049] 本発明に用いるポリアミドの重合方法は特に限定されず、溶融重合、界面重合、溶 液重合、塊状重合、固相重合、および、これらを組み合わせた方法のいずれでもよ い。これらの中では、溶融重合がより好ましく用いられる。
[0050] 特に本発明で有用に用いることのできるポリアミドとしては、ポリアミド 6、ポリアミド 6 , 6、ポリアミド 4, 6、ポリアミド 11,ポリアミド 12,ポリアミド 6, 10、ポリアミド 6, 12、ポリ アミド、 6/6, 6、ポジアミド、 6/6, 12、ポジアミド、 MXD (m—キシジレンジァミン), 6、ポジ T^ 6,下、ポリアミド、 6, I、ポリアミド、 6/6,下、ポリアミド、 6/6, I、ポリアミド、 6, 6/6, Τ、ポジアミド、6, 6/6, I、ポジアミド、6/6, Τ/6, I、ポジアミド、6, 6/6, Τ/6, I、ポジ ァ 丁、ポリア 6/12/6,丁、ポリア I、ポリアミド、6 , 6/12/6, I,ポリアミド 9, Τなどが挙げられ、複数のポリアミドを押出機等で共重 合ィ匕したポリアミド類も使用することができる。
[0051] 好ましいポリアミドは、脂肪族ポリアミドであり、さらに好ましくは、ポリアミド 6、ポリアミ ド 6, 6、ポリアミド 6Ζ6, 6及び、それらの混合物であり、最も好ましくはポリアミド 6、ポ リアミド 6, 6、及びそれらの混合物である。
[0052] 本発明の各種榭脂組成物に使用可能なポリアミドの好ましい粘度範囲は、 ISO30 7に従い 96%硫酸中で測定した粘度数が 90〜160mlZgの範囲である。より好まし くは 100〜 150mlZgの範囲である。
[0053] 本発明にお 、てはポリアミドの混合物であっても使用可能である。例えば、粘度数 1
70mlZgのポリアミドと粘度数 80mlZgのポリアミドの混合物、粘度数 120mlZgの ポリアミドと粘度数 115mlZgのポリアミドの混合物等が挙げられる。
[0054] ポリアミド混合物のなかで特に好ま 、混合形態は、各々のポリアミドが粘度数 90 〜 160mlZgの範囲内にあり、かつ粘度数の異なるポリアミドの混合物である。
[0055] これら混合物の粘度数は、混合する質量比で 96%硫酸に溶解して、 ISO307に従 Vヽ粘度数を測定することで確認することができる。
[0056] ポリアミドは末端基として一般にアミノ基、カルボキシル基を有して 、るが、本発明に おけるこれらの好ましい比はァミノ基 Zカルボキシル基濃度比で、 9Zl〜lZ9であ
り、より好ましくは 8Z2〜: LZ9、更に好ましくは 6Z4〜: LZ9である。
[0057] また、末端のァミノ基の濃度としては少なくとも 1 X 10_5molZg以上であることが好 ましい。更に好ましくは 1 X 10_5以上、 4 X 10_5mol/g以下である。
[0058] 末端のカルボキシル基の濃度としては少なくとも 5 X 10_5molZg以上であることが 好ましい。更に好ましくは 7 X 10—5以上、 13 X 10_5molZg以下である。
[0059] これらポリアミド榭脂の末端基の調整方法は、公知の方法を用いることができる。例 えばポリアミド榭脂の重合時に所定の末端濃度となるようにジァミンィ匕合物、モノアミ ン化合物、ジカルボン酸ィ匕合物、モノカルボン酸ィ匕合物など力 選ばれる 1種以上を 添加する方法が挙げられる。
[0060] さらに、上記の他にポリアミドに添加することが可能な公知の添加剤等もポリアミド 1
00質量部に対して 10質量部未満の量で添加しても力まわない。
[0061] 本発明で (B)成分として使用できるポリフエ-レンエーテルとは、下記式(1)の構造 単位からなる、単独重合体及び Zまたは共重合体である。
[0062] [化 1]
〔式中、 Oは酸素原子、各 Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、第一級もしくは 第二級の C1〜C7アルキル基、フエ-ル基、 C1〜C7ハロアルキル基、 C1〜C7アミ ノアルキル基、 C1〜C7ヒドロカルビロキシ基、又はハロヒドロカルビ口キシ基(但し、 少なくとも 2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を隔てている)を表わす。〕
本発明のポリフエ-レンエーテルの具体的な例としては、例えば、ポリ(2, 6 ジメ チルー 1, 4 フエ-レンエーテル)、ポリ(2—メチルー 6 ェチルー 1, 4 フエ-レ ンエーテル)、ポリ(2—メチルー 6 フエ-ルー 1, 4 フエ-レンエーテル)、ポリ(2, 6 ジクロロ一 1, 4 フエ-レンエーテル)等が挙げられ、さらに 2, 6 ジメチルフエノ ールと他のフエノール類との共重合体 (例えば、 日本国特公昭 52— 17880号公報 に記載されているような 2, 3, 6 トリメチルフエノールとの共重合体や 2—メチルー 6 ブチルフエノールとの共重合体)のごときポリフエ-レンエーテル共重合体も挙げら れる。
[0064] これらの中でも特に好ましいポリフエ-レンエーテルとしては、ポリ(2, 6 ジメチル —1, 4 フエ二レンエーテル)、 2, 6 ジメチル一 1, 4 フエノールと 2, 3, 6 トリメ チルー 1, 4 フエノールとの共重合体、またはこれらの混合物である。
[0065] また、 2, 6 ジメチノレー 1, 4 フエノーノレと 2, 3, 6 トリメチノレー 1, 4 フエノーノレ との共重合体を使用する場合の各単量体ユニットの比率は、ポリフエ-レンエーテル 共重合体全量を 100質量%としたときに、約 80〜約 90質量%の 2, 6 ジメチルー 1 , 4 フエノーノレと、約 10〜約 20質量0 /0の 2, 3, 6 トリメチノレー 1, 4 フエノーノレ力 らなる共重合体がさらに好ま U、。
[0066] 本発明で用いるポリフエ-レンエーテルの製造方法は公知の方法で得られるもので あれば特に限定されるものではない。例えば、米国特許第 3306874号明細書、同 第 3306875号明細書、同第 3257357号明細書及び同第 3257358号明細書、特 開昭 50— 51197号公報、特公昭 52— 17880号公報及び同 63— 152628号公報 等に記載された製造方法等が挙げられる。
[0067] 本発明で使用することのできるポリフエ-レンエーテルの還元粘度( 7? sp/c :0. 5g Zdl、クロ口ホルム溶液、 30°C測定)は、 0. 15〜0. 70dlZgの範囲であることが好ま しく、さらに好ましくは 0. 20〜0. 60dlZgの範囲、より好ましくは 0. 40〜0. 55dl/ gの範囲である。
[0068] 本発明においては、 2種以上の還元粘度の異なるポリフエ-レンエーテルをブレン ドしたものであっても何ら問題なく使用することができる。例えば、還元粘度 0. 45dl Zg以下のポリフエ-レンエーテルと還元粘度 0. 50dlZg以上のポリフエ-レンエー
テルの混合物、還元粘度 0. 40dlZg以下の低分子量ポリフエ-レンエーテルと還元 粘度 0. 50dlZg以上のポリフエ-レンエーテルの混合物等が挙げられる力 もちろ ん、これらに限定されることはない。
[0069] また、本発明で使用できるポリフエ-レンエーテルは、全部が変性されたポリフエ- レンエーテル又は未変性のポリフエ-レンエーテルと変性されたポリフエ-レンエー テルとの混合物であっても構わな 、。
[0070] ここでいう変性されたポリフ -レンエーテルとは、分子構造内に少なくとも 1個の炭 素 炭素二重結合または、三重結合及び少なくとも 1個のカルボン酸基、酸無水物 基、アミノ基、水酸基、又はグリシジル基を有する、少なくとも 1種の変性ィ匕合物で変 性されたポリフエ-レンエーテルを指す。
[0071] 該変性されたポリフエ-レンエーテルの製法としては、(1)ラジカル開始剤の存在 下又は非存在下で 100°C以上、ポリフエ-レンエーテルのガラス転移温度未満の温 度範囲でポリフエ-レンエーテルを溶融させることなく変性ィ匕合物と反応させる方法、 (2)ラジカル開始剤の存在下又は非存在下でポリフエ-レンエーテルのガラス転移 温度以上 360°C以下の温度範囲で変性ィ匕合物と溶融混練し反応させる方法、(3)ラ ジカル開始剤の存在下又は非存在下でポリフエ-レンエーテルのガラス転移温度未 満の温度で、ポリフエ-レンエーテルと変性ィ匕合物を溶液中で反応させる方法等が 挙げられる。これらいずれの方法でも構わないが、(1)及び(2)の方法が好ましい。
[0072] 次に分子構造内に少なくとも 1個の炭素 炭素二重結合または、三重結合及び少 なくとも 1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、又はグリシジル基を有 する少なくとも 1種の変性化合物につ 、て具体的に説明する。
[0073] 分子内に炭素 炭素二重結合とカルボン酸基及び Z又は酸無水物基を同時に有 する変性化合物としては、マレイン酸、フマル酸、クロロマレイン酸、シスー4ーシクロ へキセン 1, 2—ジカルボン酸及びこれらの酸無水物などが挙げられる。これらの内 フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましぐフマル酸、無水マレイン酸が特に 好ましい。
[0074] また、これら不飽和ジカルボン酸のカルボキシル基の、 1個または 2個のカルボキシ ル基がエステル化されたィ匕合物も使用可能である。
[0075] 分子内に炭素 炭素二重結合とグリシジル基を同時に有する変性ィヒ合物としては 、ァリルグリシジルエーテル、グリシジルアタリレート、グリシジルメタアタリレート、ェポ キシィ匕天然油脂等が挙げられる。
[0076] これらの中でグリシジルアタリレート、グリシジルメタアタリレートが特に好ましい。
[0077] 分子内に炭素 炭素二重結合と水酸基を同時に有する変性ィ匕合物としては、ァリ ルアルコール、 4 ペンテン 1 オール、 1, 4 ペンタジェンー3 オールなどの 一般式 C H OH (nは正の整数)の不飽和アルコール、一般式 C H OH、 C n 2n-3 n 2n-5 n
H OH (nは正の整数)等の不飽和アルコール等が挙げられる。
2n- 7
[0078] 上述した変性ィ匕合物は、それぞれ単独で用いても良 、し、 2種以上を組み合わせ て用いても良い。
[0079] 変性されたポリフエ-レンエーテルを製造する際の変性ィ匕合物の添加量は、ポリフ ェ-レンエーテル 100質量部に対して 0. 1〜10質量部が好ましぐ更に好ましくは 0 . 3〜5質量部である。
[0080] 上記ラジカル開始剤の例としては、公知の有機化酸化物、ジァゾィ匕合物などが挙 げられる。具体例としては、ベンゾィルパーォキシド、ジクミルパーォキシド、ジ tert ブチルパーォキシド、 tert ブチルタミルパーォキシド、 tert ブチルハイドロパ ーォキシド、クメンハイド口パーォキシド、ァゾビスイソブチ口-トリルなどが挙げられる
[0081] ラジカル開始剤を用いて変性されたポリフエ-レンエーテルを製造する際の好まし いラジカル開始剤の量は、ポリフエ-レンエーテル 100質量部に対して 0. 001〜1質 量部である。
[0082] また、変性されたポリフエ-レンエーテル中の変性化合物の付加率は、 0. 01〜5 質量%が好ましい。より好ましくは 0. 1〜3質量%である。
[0083] 該変性されたポリフエ二レンエーテル中には、未反応の変性ィ匕合物及び Zまたは、 変性化合物の重合体が残存して 、ても構わな 、。
[0084] また、ポリフエ-レンエーテルの安定ィ匕の為に公知となっている各種安定剤も好適 に使用することができる。安定剤の例としては、酸化亜鉛、硫化亜鉛等の金属系安定 剤、ヒンダードフエノール系安定剤、リン酸エステル系安定剤、ヒンダードアミン系安
定剤等の有機安定剤である。これらの好ましい配合量は、ポリフエ-レンエーテル 10 0質量部に対して 5質量部未満である。
[0085] 更に、ポリフエ-レンエーテルに添加することが可能な公知の添加剤等もポリフエ- レンエーテル 100質量部に対して 10質量部未満の量で添加しても構わない。
[0086] 本発明におけるポリアミドとポリフエ-レンエーテルの配合比に特に制限はないが、 ポリアミド Zポリフ -レンエーテルが 30Z70〜80Z20が好ましぐより好ましくは 4 0/60~75/25,さらに好ましくは 45Ζ55〜70Ζ30である。
[0087] 本発明で (C)成分として使用できるエラストマ一としては、少なくとも 1個の芳香族ビ 二ルイヒ合物を主体とする重合体ブロックと少なくとも 1個の共役ジェン化合物を主体 とする重合体ブロック力 なるブロック共重合体及びその水素添加物、エチレン α ーォレフイン共重合体、ゴム変性ポリスチレン (HIPS)、及びスチレン ゴム質重合 体—アクリロニトリル共重合体 (ABS榭脂)力もなる群より選ばれる 1種以上である。
[0088] 本発明の芳香族ビニルイ匕合物を主体とする重合体ブロックにおける「主体とする」と は、当該ブロックにおいて、少なくとも 50質量%以上が芳香族ビニルイ匕合物であるブ ロックを指す。より好ましくは 70質量%以上、更に好ましくは 80質量%以上、最も好 ましくは 90質量%以上である。また、共役ジェンィ匕合物を主体とする重合体ブロック における「主体とする」に関しても同様で、少なくとも 50質量%以上が共役ジェンィ匕 合物であるブロックを指す。より好ましくは 70質量%以上、更に好ましくは 80質量% 以上、最も好ましくは 90質量%以上である。
[0089] この場合、例えば芳香族ビ-ルイ匕合物ブロック中にランダムに少量の共役ジェンィ匕 合物もしくは他の化合物が結合されているブロックの場合であっても、該ブロックの 5 0質量%が芳香族ビニル化合物より形成されて ヽれば、芳香族ビュル化合物を主体 とするプロ
ク共重合体とみなす。また、共役ジェンィ匕合物の場合においても同様である。
[0090] 芳香族ビュル化合物の具体例としてはスチレン、 atーメチルスチレン、ビュルトルェ ン等が挙げられ、これら力 選ばれた 1種以上の化合物が用いられる力 中でもスチ レンが特に好ましい。
[0091] 共役ジェン化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、 1 , 3—
ペンタジェン等が挙げられる。これら力 選ばれた 1種以上の化合物が用いられるが
、中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組み合わせが好ましい。
[0092] ブロック共重合体の共役ジェンィ匕合物ブロック部分のミクロ構造は 1, 2 ビュル含 量もしくは 1, 2 ビュル含量と 3, 4 ビュル含量の合計量が 5〜80%が好ましぐさ らには 10〜50%が好ましぐ 15〜40%が最も好ましい。
[0093] 本発明におけるブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブ ロック [A]と共役ジェンィ匕合物を主体とする重合体ブロック [B]が、 A— B型、 A-B A型、 A— B— A— B型力 選ばれる結合形式を有するブロック共重合体である事 が好ましぐこれらの混合物であっても構わない。これらの中でも A— B型、 A— B— A 型、又はこれらの混合物がより好ましぐ A— B— A型力もっとも好ましい。
[0094] また、本発明で使用することのできる芳香族ビ-ルイ匕合物と共役ジェンィ匕合物のブ ロック共重合体は、水素添加されたブロック共重合体であることがより好ましい。水素 添加されたブロック共重合体とは、上述の芳香族ビュル化合物と共役ジェン化合物 のブロック共重合体を水素添加処理することにより、共役ジェンィ匕合物を主体とする 重合体ブロックの脂肪族二重結合を 0を越えて 100%の範囲で制御したものをいう。 該水素添加されたブロック共重合体の好ま 、水素添加率は 80%以上であり、最も 好ましくは 98%以上である。
[0095] これらブロック共重合体は水素添加されて ヽな 、ブロック共重合体と水素添加され たブロック共重合体の混合物としても問題なく使用可能である。
[0096] また、これら芳香族ビ-ルイ匕合物―共役ジェンィ匕合物のブロック共重合体は、本発 明の趣旨に反しない限り、結合形式の異なるもの、芳香族ビニル化合物種の異なる もの、共役ジェンィ匕合物種の異なるもの、 1, 2—結合ビュル含有量もしくは 1, 2—結 合ビュル含有量と 3, 4—結合ビニル含有量の異なるもの、芳香族ビニル化合物成分 含有量の異なるもの等を混合して用いても構わな 、。
[0097] 本発明に使用するブロック共重合体として、低分子量ブロック共重合体と高分子量 ブロック共重合体との混合物であることが望ましい。具体的には、数平均分子量 120 , 000未満の低分子量ブロック共重合体と、数平均分子量 120, 000以上の高分子 量ブロック共重合体の混合物である。より好ましくは、数平均分子量 120, 000未満
の低分子量ブロック共重合体と、数平均分子量 170, 000以上の高分子量ブロック 共重合体の混合物である。
[0098] これら低分子量ブロック共重合体と高分子量ブロック共重合体の質量比は、低分子 量ブロック共重合体 Z高分子量ブロック共重合体 = 95Z5〜5Z95である。好ましく は 90ZlO〜10Z90である。
[0099] また、本発明にお ヽて、低分子量ブロック共重合体中の芳香族ビニル化合物を主 体とする重合体ブロックの含有量の好ま 、範囲は、 55質量%以上 90質量%未満 である。低分子量ブロック共重合体に、この範囲内の芳香族ビニル重合体ブロックを 持つブロック共重合体を用いることにより、耐熱性を向上させることができるため、より 好適に使用することができる。
[0100] 更に、低分子量ブロック共重合体を、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体プロ ックを 55質量%以上 90質量%未満の量で含有するブロック共重合体と、芳香族ビ- ル化合物を主体とする重合体ブロックを 20質量%以上 55質量%未満の量で含有す るブロック共重合体との混合物としても構わな 、。
[0101] また、本発明で使用するブロック共重合体は、全部が変性されたブロック共重合体 であっても、未変性のブロック共重合体と変性されたブロック共重合体との混合物で あっても構わない。
[0102] ここでいう変性されたブロック共重合体とは、分子構造内に少なくとも 1個の炭素 炭素二重結合または、三重結合及び少なくとも 1個のカルボン酸基、酸無水物基、ァ ミノ基、水酸基、又はグリシジル基を有する、少なくとも 1種の変性ィ匕合物で変性され たブロック共重合体を指す。
[0103] 該変性されたブロック共重合体の製法としては、(1)ラジカル開始剤の存在下又は 非存在下でブロック共重合体の軟ィ匕点温度以上 250°C以下の温度範囲で変性ィ匕合 物と溶融混練し反応させる方法、 (2)ラジカル開始剤の存在下又は非存在下でプロ ック共重合体の軟ィヒ点以下の温度で、ブロック共重合体と変性ィヒ合物を溶液中で反 応させる方法、 (3)ラジカル開始剤の存在下又は非存在下でブロック共重合体の軟 化点以下の温度で、ブロック共重合体と変性ィヒ合物を溶融させることなく反応させる 方法等が挙げられる。これらいずれの方法でも構わないが、(1)の方法が好ましぐ
更には(1)の中でもラジカル開始剤存在下で行う方法が最も好ま ヽ。
[0104] ここでいう分子構造内に少なくとも 1個の炭素 炭素二重結合または、三重結合及 び少なくとも 1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、又はグリシジル基 を有する少なくとも 1種の変性ィ匕合物とは、変性されたポリフエ-レンエーテルで述べ た変性ィ匕合物と同じものが使用できる。
[0105] 本発明におけるエラストマ一の配合量としては、ポリアミドとポリフエ-レンエーテル の合計量 100質量部に対し、 50質量部未満であることが好ましい。
[0106] 本発明にお 、て、公知のポリアミドとポリフエ-レンエーテルの相溶化剤を添加する ことが可能である。
[0107] 相溶化剤を使用する主な目的は、ポリアミド ポリフエ-レンエーテル混合物の物 理的性質を改良することである。本発明で使用できる相溶化剤とは、ポリフエ二レンェ 一テル、ポリアミドまたはこれら両者と相互作用する多官能性の化合物を指すもので ある。この相互作用は化学的(たとえばグラフト化)であっても、または物理的(たとえ ば分散相の表面特性の変化)であってもよ 、。
[0108] いずれにしても得られるポリアミド ポリフエ-レンエーテル混合物は改良された相 溶性を示す。
[0109] 本発明において使用することのできる相溶化剤の例としては、 WO01Z81473号 明細書中に詳細に記載されており、これら公知の相溶化剤はすべて使用可能であり
、併用使用も可能である。
[0110] これら、種々の相溶化剤の中でも、特に好適な相溶化剤の例としては、マレイン酸
、無水マレイン酸、クェン酸が挙げられる。
[0111] 本発明における相溶化剤の好ましい量は、ポリアミドとポリフエ-レンエーテルの混 合物 100質量部に対して 0. 01〜10質量部であり、より好ましくは 0. 1〜5質量部、 最も好ましくは 0. 1〜1質量0 /0である。
[0112] 本発明で (D)成分として使用することのできるリンィ匕合物は、 1)リン酸類、亜リン酸 類および次亜リン酸類、 2)リン酸金属塩類、亜リン酸金属塩類および次亜リン酸金属 塩類、および 3)リン酸エステルおよび亜リン酸エステル類等のリン酸ィ匕合物、亜リン 酸化合物、次亜リン酸化合物から選ばれる 1種以上である。
[0113] 前記 1)のリン酸類、亜リン酸類および次亜リン酸類とは、例えばリン酸、亜リン酸、 次亜リン酸、ピロ亜リン酸、二亜リン酸などを挙げることができる。
[0114] 前記 2)のリン酸金属塩類、亜リン酸金属塩類および次亜リン酸金属塩類とは、前記 1)のリン化合物と周期律表第 1族及び第 2族、マンガン、亜鉛、アルミニウム、アンモ 二了、アルキルァミン、シクロアルキルァミン、ジァミンとの塩を挙げることができる。
[0115] 前記 3)のリン酸エステルおよび亜リン酸エステル類とは下記一般式で表される。
[0116] リン酸エステル;(OR) PO (OH)
亜リン酸エステル;(OR) P (OH)
ここで、 nは 1、 2あるいは 3を表し、 Rはアルキル基、フエ-ル基、あるいはそれらの 基の一部が炭化水素基などで置換されたアルキル基を表す。 nが 2以上の場合、前 記一般式内の複数の (RO)基は同じでも異なって 、てもよ 、。
[0117] 前記 Rとしては、メチル基、ェチル基、 n—プロピル基、 n—ブチル基、 t—ブチル基 、 n—へキシル基、シクロへキシル基、 n—ォクチル基、ノニル基、デシル基、ステアリ ル基、ォレイル基などの脂肪族基、フ ニル基、ビフヱ-ル基などの芳香族基、ある いはヒドロキシル基、メチル基、ェチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基などの 置換基を有する芳香族基などをあげることができる。
[0118] 本発明の好ましいリンィ匕合物は、リン酸金属塩類、亜リン酸金属塩類あるいは次亜 リン酸金属塩類力 選ばれる 1種以上である。中でも、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸か ら選ばれるリンィ匕合物と、周期律表第 1族及び第 2族、マンガン、亜鉛、アルミニウム 力も選ばれる金属との塩であることが好ましい。より好ましくは、リン酸、亜リン酸およ び次亜リン酸力も選ばれるリンィ匕合物と周期律表第 1族金属とからなる金属塩であり 、更に好ましくは亜リン酸あるいは次亜リン酸と周期律表第 1族金属とからなる金属塩 であり、もっとも好ましくは次亜リン酸ナトリウム(NaH PO )あるいはその水和物(Na
2 2
H PO ·ηΗ Ο)である。
2 2 2
[0119] 本発明における (D)成分の配合量としては、該榭脂組成物中に、(A)〜(D)成分 の合計 100質量%に対し、リン元素が l〜35ppmになるように配合する必要がある。 リン元素が lppm未満であると高温成形時にシルバーストリークなどが発生しやすい 。またリン元素が 35ppmより多くなると流動性が水分の影響を受けて大きく変動する
ようになる。より好ましくは l〜30ppm、さらに好ましくは 2〜25ppm、最も好ましくは 2 〜20ppmである。
[0120] 該榭脂組成物中のリン元素の定量は、例えば、装置は ThermoJarrellAsh製 IRIS ZIPを用いて、高周波誘導結合プラズマ (ICP)発光分析により、波長 213. 618 (n m)にて定量できる。
[0121] 本発明の (D)成分を榭脂組成物中に配合する方法としては特に制限はな 、が、例 えば、(1)ポリアミドの重合前にポリアミド形成成分中に予め(D)成分を配合して重合 する方法、あるいは(2)ポリアミドの重合中の任意の時点で溶融状態のポリアミドに( D)成分を配合する方法、(3)押出機等を用いてポリアミド中に (D)成分を配合する 方法、あるいは (4)ポリアミドとポリフエ-レンエーテルを押出機で溶融混練する時に (D)成分を配合する方法等が挙げられる。中でも、ポリアミドとポリフエ-レンエーテ ルを溶融混練する前に (D)成分を予めポリアミド中に配合しておくことが好ま U、。そ の方法としては、例えば上記(1)〜(3)の方法がある。その中でも特に好ましい方法 は、上記(1)の方法である。更に好ましい方法は、(D)成分を水溶液にしてポリアミド 形成成分に配合し重合を行う方法である。これにより本発明の課題をより顕著に達成 することができる。
[0122] また、本発明においては、前記のように予め(D)成分を配合したポリアミド力 リン元 素濃度が異なる 2種類以上のポリアミドの混合物であることが好ましい。また、リン元素 として 35ppm以上含有したポリアミドと、リン元素として 35ppm未満含有したポリアミ ドの混合物であることがより好ましい。さらに好ましくは、リン元素として 35ppm以上 2 50ppm未満含有したポリアミドとリン元素として Oppm以上 35ppm未満含有したポリ アミドの混合物である。これにより本発明の課題をより顕著に達成することができる。
[0123] 本発明においては、該榭脂組成物中の水分率 lOOppm当たりの MFR (ASTM
D1238に従い、 280°C、 5kg荷重下で測定)の差(A MFR)が 0. 80gZl0min以下 であることが好ましい。より好ましくは、 A MFRが 0. 70gZl0min以下、さらに好まし くは、 A MFRが 0. 65gZlOmin以下である。
[0124] 本発明にお ヽては、(E1)酸化物、炭酸塩、アルコキシド、重炭酸塩及び水酸化物 カゝら選択された周期律表第 IA族塩基及び Zまたは (E2) ΠΑ族、亜鉛およびアルミ-
ゥム力 選ばれる 1種以上の金属のカルボン酸塩及び ΠΑ族、亜鉛およびアルミ-ゥ ム力 選ばれる 1種以上の金属の水溶性ィ匕合物力 選択された多価金属化合物を更 に含むことが好ましい。
[0125] 本発明の (E1)周期律表第 ΙΑ族塩基は、酸化物、炭酸塩、アルコキシド、重炭酸塩 及び水酸ィ匕物から選ばれることが好ましい。特に、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム 、水酸ィ匕カリウムまたは水酸ィ匕ナトリウムがより好ましぐさらに好ましくは重炭酸ナトリ ゥム、重炭酸カリウムである。
[0126] 本発明の (Ε2)多価金属化合物は、 ΠΑ族、亜鉛、アルミニウム力 選ばれる 1種以 上の金属のカルボン酸塩及び ΠΑ族、亜鉛、アルミニウム力 選ばれる 1種以上の金 属の水溶性ィ匕合物力も選ばれることが好ましい。特に、 ΠΑ族、亜鉛およびアルミ-ゥ ムカゝら選ばれる 1種以上の金属のカルボン酸塩 (酢酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸 塩、ステアリン酸塩等)、 ΠΑ族、亜鉛、アルミニウム力 選ばれる 1種以上の金属のハ ロゲン化物、 ΠΑ族、亜鉛、アルミニウム力 選ばれる 1種以上の金属の硝酸塩がより 好ましぐさらに好ましくは酢酸カルシウム、ジステアリン酸アルミニウムである。
[0127] 本発明においては、榭脂組成物 1, 000, OOOg当たり周期律表第 ΙΑ族塩基及び Zまたは多価金属化合物をトータル濃度で 0. 10〜50モル含有することが好ましぐ 0. 10〜10モル含有することがより好ましぐ 0. 10〜3モル含有することがさらに好ま しい。
[0128] 本発明の榭脂組成物は、多価金属と一価金属のモル数の和とリン (P)元素のモル 数との比、すなわち、(多価金属のモル数 +—価金属のモル数) Z(Pのモル数)の 値が 1を超え 8以下であることが好ましぐ 2〜7. 5であることがより好ましぐ 2〜7が最 も好ましい。各濃度を上記範囲にすることにより、本発明の目的である溶融粘度が安 定し、滞留安定性および熱暴露後の塗装性等がより向上する傾向にある。
[0129] 本発明に用いる (D)リン化合物及び (E1)周期律表第 IA族塩基及び Zまたは (E2 )多価金属化合物の添加方法には、ポリアミドの重合前にポリアミド形成成分中に予 め添加する方法、あるいはポリアミドの重合中の任意の時点で溶融状態のポリアミド に添加する方法、押出機等を用いてポリアミド中に配合する方法、あるいはポリアミド とポリフ -レンエーテルを押出機で溶融混練する時に添加する方法等が挙げられ
る。これらの方法に特に限定はされないが、ポリアミドとポリフエ-レンエーテルを溶融 混練する前に予めポリアミド中に配合しておくことが好ましい。特に好ましい方法は、( D)リンィ匕合物と (E1)周期律表第 IA族塩基及び Zまたは (E2)多価金属化合物の!/ヽ ずれも、ポリアミド形成成分に予め配合して重合を行う方法および (D)リン化合物を ポリアミド形成成分に予め配合して重合を行い、次いで、重合工程の途中段階又は 重合終了後に (E1)周期律表第 IA族塩基及び Zまたは (E2)多価金属化合物を溶 融状態のポリアミド中に配合する方法である。
[0130] また、予めポリアミド中に配合される(D)リンィ匕合物と (E1)周期律表第 IA族塩基及 び Zまたは (E2)多価金属化合物は、固形または水溶液の形で、ポリアミド形成成分 中あるいは溶融ポリアミド中に添加することができる。
[0131] 本発明において、(F)—般式 (M O) (Al O ) (X+Y= l、かつ Μは周期律表第
2 X 2 3 Υ
1族金属元素)で示される可溶性アルミン酸金属塩類を更に含むことが好ま 、。
[0132] 本発明のより好ましい (F)成分は、上記一般式中の Μの主たる成分がナトリウムで あるアルミン酸ナトリウムである。
[0133] 上記一般式中のアルミニウム (A1)と周期律表第 1族金属 Μとのモル比 ΥΖΧの値 は、好ましくは 0. 35≤Υ/Χ≤1. 25であり、より好ましくは 0. 35≤Υ/Χ≤1. 00で あり、更に好ましくは 0. 5≤Υ/Χ≤0. 90である。
[0134] 本発明においては、榭脂組成物中の A1金属と一価金属とのモル比 (A1金属のモル 数 Ζ—価金属のモル数)は、 0. 10〜1. 0であり、好ましくは 0. 25〜0. 9、より好まし くは 0. 30〜0. 75である。各濃度を上記範囲にすることにより、本発明の目的である 溶融粘度が安定し、滞留安定性および熱暴露後の塗装性等がより向上する傾向に ある。
[0135] 本発明においては、榭脂組成物 1, 000, OOOg当たり A1金属 0. 10〜10モルかつ 一価金属 0. 10〜 10モルを含有することが好ましぐ A1金属 0. 20〜7. 5モルかつ 一価金属 0. 20〜7. 5モルを含有することがより好ましい。
[0136] 本発明の榭脂組成物は、 A1金属と一価金属のモル数の和とリン(P)元素のモル数 との比、すなわち、(A1金属のモル数 H "—価金属のモル数) Z(Pのモル数)の値が 1 を超え 8以下であることが好ましぐ 2〜7. 5であることがより好ましぐ 3〜7. 5が最も
好ましい。
[0137] 本発明に用いる(D)リン化合物及び (F)可溶性アルミン酸金属塩類の添加方法に は、ポリアミドの重合前にポリアミド形成成分中に添加する方法、あるいはポリアミドの 重合中の任意の時点で溶融状態のポリアミドに添加する方法、押出機等を用いてポ リアミド中に配合する方法、あるいはポリアミドとポリフエ-レンエーテルを押出機で溶 融混練する時に添加する方法等が挙げられる。これらの方法に特に限定されないが 、ポリアミドとポリフエ-レンエーテルを溶融混練する前に予めポリアミド中に配合して おくことが好ましい。特に好ましい方法は、(D)リンィ匕合物と (F)可溶性アルミン酸金 属塩の 、ずれも、ポリアミド形成成分中に配合して重合を行う方法および (D)リンィ匕 合物をポリアミド形成成分中に配合して重合を行い、次いで、重合工程の途中段階 あるいは重合終了後に (F)可溶性アルミン酸金属塩を溶融状態のポリアミドに配合 する方法である。
[0138] 更に好ましい方法は、(D)リンィ匕合物と (F)可溶性アルミン酸金属塩とを水溶液に して配合することが好ま U、。特に (F)可溶性アルミン酸塩類は pHが 9を超える水溶 液として添加するのがより好ましい。水溶液として添加すると、粉末として添加するより もポリアミド形成成分、重合工程中のポリアミド及び溶融したポリアミドに対して (F)可 溶性アルミン酸塩類が均一に混合しやすい傾向にある。これにより本発明の課題をよ り顕著に達成することができる。該 pHが 9を超える水溶液を調製するために、可溶性 アルミン酸塩類を直接水に溶解してもよいし、予めアルカリ成分、好ましくはポリアミド 形成成分となるジァミンゃモノアミン等のアルカリ成分を含有する水溶液を調製し、そ の後アルミン酸塩類を溶解させてもょ 、。
[0139] また、本発明にお 、ては、ポリアミド榭脂の耐熱安定性を向上させる目的で公知と なっている特開平 1— 163262号公報に記載されてあるような金属系安定剤も、問題 なく使用することができる。
[0140] これら金属系安定剤の中で特に好ましく使用することのできるものとしては、 Cul、 C uCl 、酢酸銅、ステアリン酸セリウム等が挙げられ、 Cul、酢酸銅等に代表される銅
2
化合物がより好ましい。さらに好ましくは Culである。これら銅化合物の好ましい配合 量としては、銅元素として該榭脂組成物中に、該榭脂組成物の全量 100質量%に対
し、 1〜: LOOppm含む量、より好ましくは l〜30ppm、さらに好ましくは 1〜: LOppm含 む量である。
[0141] 該榭脂組成物中の銅元素の定量は、リン元素の定量同様に、例えば、装置は The rmoJarrellAsh製 IRISZIPを用いて、高周波誘導結合プラズマ (ICP)発光分析に より定量することができる。
[0142] また、ヨウ化カリウム、臭化カリウム等に代表されるハロゲンィ匕アルキル金属化合物 も好適に使用することができ、銅化合物とハロゲンィ匕アルキル金属化合物を併用添 加することが好ましい。
[0143] さらに、本発明では(G)スチレン系重合体を含んでいてもよい。本発明でいうスチレ ン系重合体とは、ホモポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン (HIPS)、スチレン一アタリ 口-トリル共重合体 (AS榭脂)、スチレン—ゴム質重合体—アクリロニトリル共重合体( ABS榭脂)等が挙げられる。スチレン系重合体を含むことで、本発明の課題を達成 する他に、耐候性を向上することができる。スチレン系重合体の好ましい配合量とし ては、ポリアミド、ポリフエ-レンエーテルの合計 100質量部に対し、 50質量部未満の 量である。
[0144] また、本発明にお 、ては (H)無機充填材を添加しても構わな 、。本発明にお!/、て 使用できる無機充填材の例としては、ガラス繊維、ウォラストナイト、タルク、カオリン、 ゾノトライト、酸化チタン、チタン酸カリウム、酸ィ匕亜鉛等が挙げられる。中でもガラス 繊維、ウォラストナイト、タルク、クレイ、酸化チタン、酸ィ匕亜鉛が好ましぐより好ましく はガラス繊維、ウォラストナイト、タルク、酸ィ匕チタンである。
[0145] 本発明で使用することができるガラス繊維に特に制限はなぐ長繊維タイプのロー ビング、短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバ一等力も選択して使用でき る。これらの中でも、平均繊維径 5〜20 /ζ πιのものが好ましぐより好ましくは平均繊 維径 8〜17 mのものである。
[0146] これらのガラス繊維には、カップリング剤(例えば、シラン系、チタネート系、アルミ二 ゥム系、ジルコニウム系等)等で表面処理しても構わない。また、集束剤が塗布されて いてもよく、エポキシ系、ウレタン系、ウレタン Zマレイン酸変性系、ウレタン Zアミン変 性系の化合物が好ましく使用できる。これら表面処理剤と集束剤は併用してもよい。
これらガラス繊維の好ましい配合量は、ポリアミド、ポリフエ-レンエーテルの合計 10 0質量部に対して 2〜80質量部である。より好ましくは 2〜70質量部であり、さらに好 ましくは 5〜60質量部である。
[0147] 本発明で使用することができるウォラストナイトは、珪酸カルシウムを成分とする天然 鉱物を精製、粉砕及び分級したものである。また、人工的に合成したものも使用可能 である。ウォラストナイトの大きさとしては、平均粒子径 2〜9 /ζ πι、アスペクト比 5以上 のものが好ましぐより好ましくは平均粒子径 3〜7 /ζ πι、アスペクト比 5以上のもの、さ らに好ましくは平均粒子径 3〜7 μ m、アスペクト比 8以上 30以下のものである。
[0148] また、これらのウォラストナイトには、表面処理剤として、高級脂肪酸またはそのエス テル、塩等の誘導体 (例えば、ステアリン酸、ォレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸 マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸アミド、 ステアリン酸ェチルエステル等)やカップリング剤(例えば、シラン系、チタネート系、 アルミニウム系、ジルコニウム系等)を必要により使用することができる。その使用量と してはウォラストナイトに対して 0. 05〜5質量%であることが好ましい。
[0149] これらウォラストナイトの好まし 、配合量は、ポリアミド、ポリフエ-レンエーテルの合 計 100質量部に対して 2〜80質量部である。より好ましくは 2〜70質量部であり、さら に好ましくは 5〜60質量部である。
[0150] 本発明で使用することができるタルクは、珪酸マグネシウムを成分とする天然鉱物 を精製、粉砕及び分級したものである。
[0151] また、これらのタルクには、表面処理剤として、高級脂肪酸またはそのエステル、塩 等の誘導体 (例えば、ステアリン酸、ォレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸マグネシ ゥム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸アミド、ステアリ ン酸ェチルエステル等)やカップリング剤(例えば、シラン系、チタネート系、アルミ- ゥム系、ジルコニウム系等)を必要により使用することができる。その使用量としてはタ ルクに対して 0. 05〜5質量%であることが好ましい。
[0152] これらタルクの好ましい配合量は、ポリアミド、ポリフエ-レンエーテルの合計 100質 量部に対して 2〜80質量部である。より好ましくは 2〜70質量部であり、さらに好まし くは 5〜60質量部である。
[0153] また、本発明では (I)導電性炭素系フイラ一を添加しても構わない。
[0154] 本発明で使用可能な導電性炭素系フイラ一の具体例としては、導電性カーボンブ ラック、カーボンフィブリル (カーボンナノチューブともいう)、カーボンファイバー等が 挙げられる。
[0155] 本発明で使用できる導電性カーボンブラックとしては、ジブチルフタレート(DBP) 吸油量が 250mlZlOOg以上のものが好ましぐより好ましくは DBP吸油量が 300ml ZlOOg以上、更に好ましくは 350mlZl00g以上のカーボンブラックである。ここで 言う DBP吸油量とは、 ASTM D2414に定められた方法で測定した値である。
[0156] また、本発明で使用できる導電性カーボンブラックは BET比表面積 (JIS K6221
- 1982)が 200m2Zg以上のものが好ましぐ更には 400m2Zg以上のものがより好 ましい。巿販されているものを例示すると、ケッチェンブラックインターナショナル社の ケッチェンブラック ECゃケッチェンブラック EC— 600JD等が挙げられる。
[0157] 本発明で使用できるカーボンフィブリルとしては、米国特許 4663230号明細書、米 国特許 5165909号公報、米国特許 5171560号公報、米国特許 5578543号明細 書、米国特許 5589152号明細書、米国特許 5650370号明細書、米国特許 62356 74号明細書等に記載されている繊維径が 75nm未満で中空構造をした分岐の少な い炭素系繊維を言う。また、 1 m以下のピッチでらせんが一周するコイル状形状の ものも含まれる。巿販されているものとしては、ハイペリオンキヤタリシスインターナショ ナル社力 入手可能なカーボンフィブリル(BNフィブリル)を挙げることができる。
[0158] 本発明で使用できるカーボンファイバーとしては、ポリアクリロニトリル系カーボンフ アイバー、レーヨン系カーボンファイバー、リグニン系カーボンファイバー、ピッチ系力 一ボンファイバ一等が挙げられる。これらを単独で使用しても構わないし、 2種類以上 を併用しても構わない。
[0159] 本発明における導電性炭素系フイラ一の好ま 、配合量は、ポリアミド、ポリフエ- レンエーテルの合計量 100質量%に対して、 0. 3〜3質量%の範囲である。より好ま しくは、 0. 3〜2質量0 /0である。
[0160] これら導電性炭素系フイラ一の添加方法に関しては特に制限はないが、ポリアミドと ポリフエ-レンエーテルの溶融混合物中に、該フイラ一を添加して溶融混練する方法
、ポリアミドに該フイラ一を予め配合したマスターバッチの形態で添加する方法等が挙 げられる。特に、ポリアミド中に該フイラ一を配合したマスターバッチの形態で添加す ることが好ましい。
[0161] 該フイラ一がカーボンフィブリルの場合には、マスターバッチとして、ハイペリオンキ ャタリストインターナショナル社力も入手可能なポリアミド 66Zカーボンフィブリルマス ターバッチ(商品名: Polyamide66 with Fibril TM Nanotubes RMB4620 00 :カーボンフィブリル量 20%)を使用することができる。
[0162] これらマスターバッチ中の導電性炭素系フイラ一の量としては、マスターバッチを 10 0質量%としたとき、導電性炭素系フイラ一の量が 5〜25質量%である事が望ましい
[0163] これらマスターバッチの製造方法の例としては、上流側に 1箇所と下流側に 1箇所 以上の供給口を有する二軸押出機を使用して、上流側よりポリアミドを供給し、下流 側より導電性炭素系フイラ一を添加して溶融混練する製造方法、上流側よりポリアミド の一部を供給し、下流側より残りのポリアミドと導電性炭素系フイラ一を同時添加して 溶融混練する製造方法が挙げられる。
[0164] また、これらマスターバッチを製造する際の加工機械の設定温度として特に制限は ないが、 240〜350°Cの範囲であることが好ましい。より好ましくは 240〜300°Cの範 囲、更に好ましくは 240〜280°Cの範囲である。
[0165] 本発明では、上記した成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じ て付加的成分を添加しても構わな 、。
[0166] 付加的成分の例を以下に挙げる。
[0167] 無機充填材と榭脂との親和性を高める為の公知の密着性改良剤、難燃剤 (ハロゲ ン化された榭脂、シリコーン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸ィ匕アルミニウム、有 機燐酸エステル化合物、ポリ燐酸アンモニゥム、赤燐など)、滴下防止効果を示すフ ッ素系ポリマー、可塑剤(オイル、低分子量ポリオレフイン、ポリエチレングリコール、 脂肪酸エステル類等)及び、三酸化アンチモン等の難燃助剤、帯電防止剤、各種過 酸化物、硫化亜鉛、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等である。
[0168] 本発明の組成物を得るための具体的な加工機械としては、例えば、単軸押出機、
二軸押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリ一ミキサー等 が挙げられる。中でも二軸押出機が好ましぐ特に、上流側供給口と 1力所以上の下 流側供給口を備えたスクリュー直径 25mm以上で LZDが 30以上の二軸押出機が 好ましぐスクリュー直径 45mm以上で LZDが 30以上の二軸押出機が最も好ましい
[0169] この際の加工機械のシリンダー設定温度は特に限定されるものではなぐ通常 240 〜360°Cの中力も好適な組成物が得られる条件を任意に選ぶことができる。
[0170] このようにして得られる本発明の組成物は、従来から公知の種々の方法、例えば、 射出成形により各種部品の成形体として成形できる。
[0171] これら各種部品としては、例えばリレーブロック材料等に代表されるオートバイ'自 動車の電装部品、 ICトレー材料、各種ディスクプレーヤ一等のシャーシー、キャビネ ット等の電気'電子部品、各種コンピューターおよびその周辺機器等の OA部品や機 械部品、さらにはオートバイのカウルや、自動車のバンパー 'フェンダー 'ドア一パネ ル ·各種モール ·エンブレム ·アウタードアハンドル ·ドアミラーハウジング ·ホイールキ ヤップ.ルーフレール及びそのスティ材.スポイラ一等に代表される外装品や、インスト ウルメントパネル、コンソールボックス、トリム等に代表される内装部品等に好適に使 用できる。
実施例
[0172] 以下、本発明を実施例及び比較例により、更に詳細に説明するが、本発明はこの 実施例に示されたものに限定されるものではない。
[0173] (使用した原料)
(1)ポリアミド 6, 6 (以下、 PAと略記)
(1 1)ポリアミド 6, 6 (以下、 PA— 1と略記)
ポリアミド 66形成成分(へキサメチレンジァミンとアジピン酸との等モル塩) 1600kg を含有する 50重量%水溶液に、酢酸 828gとへキサメチレンジァミン 828gを末端封 止剤として配合し、更に次亜リン酸ナトリウム(NaH PO )の 10重量%水溶液 394g
2 2 、 シリコーン系消泡剤 55gを配合した混合液を調整した。その混合液を濃縮槽に仕込 み、約 50°Cの温度条件で混合し窒素で置換した。次に該混合液の温度を約 50°Cか
ら約 150°Cまで昇温した。
[0174] この際濃縮槽内の圧力をゲージ圧にして約 0. 05〜0. 15MPaに保っため水を系 外に除去しながら加熱を続け該混合液の濃度を約 80%まで濃縮した。得られた濃縮 溶液をオートクレープに移送し該濃縮溶液の温度を 150°C力も約 220°Cまで昇温し てオートクレーブ内の圧力をゲージ圧にして約 1. 77MPaまで上昇させた。その後、 温度を約 220°Cから約 260°Cまで昇温するが、圧力は約 1. 77MPaで保つように水 を系外に除去しながら加熱を行った。最後に温度を約 280°Cまで昇温しながら圧力 を大気圧までゆっくり降圧した。オートクレープ内を窒素で加圧し下部ノズルから生成 ポリマーをストランド状に排出し、水冷、カッティングしてペレットを得た。得られたペレ ットを窒素気流中 150°Cの条件下で 60分間乾燥し、下記の粘度数、リン元素濃度、 銅元素濃度を有するポリアミドを得た。
粘度数: 141 (ISO307に従い 96%硫酸中で測定)
ジン元素: lOppm
3元素: Oppm
[0175] (1 2)ポリアミド 6, 6 (以下、 PA— 2と略記)
次亜リン酸ナトリウム (NaH PO )の 10重量%水溶液の配合量を 2957gとした以外
2 2
は、実施例 1と同様な方法で実施し、下記のポリアミドが得られた。
粘度数: 141 (ISO307に従い 96%硫酸中で測定)
ジン元素: 75ppm
3元素: Oppm
[0176] (1 3)ポリアミド 6, 6 (以下、 PA— 3と略記)
実施例 1と同様な方法で実施し、下記のポリアミドが得られた。ただし、次亜リン酸 ナトリウム(NaH PO )の 10重量%水溶液の配合量を 5914gとした。また、ポリアミド
2 2
中の沃化銅の濃度が 270ppmになるように重合時に添加した。
粘度数: 141 (ISO307に従い 96%硫酸中で測定)
ジン元素: 150ppm
銅元素: 90ppm
[0177] (1—4)ポリアミド 6, 6 (以下、 PA— 4と略記)
次亜リン酸ナトリウム (NaH PO )水溶液を配合しな力つた以外は、実施例 1と同様
2 2
な方法で実施し、下記のポリアミドが得られた。
粘度数: 141 (ISO307に従い 96%硫酸中で測定)
ジン元 : 0ppm
3元素: Oppm
[0178] (1 5)ポリアミド 6, 6 (以下、 PA— 5と略記)
ポリアミド 66形成成分(へキサメチレンジァミンとアジピン酸との等モル塩) 1600kg を含有する 50重量%水溶液に、酢酸 828gとへキサメチレンジァミン 828gを末端封 止剤として配合し、更に、粉末の次亜リン酸ナトリウム 138g、重炭酸カリウム 345g、シ リコーン系消泡剤 55gを配合した混合液を調整した。その混合液を濃縮槽に仕込み 、約 50°Cの温度条件で混合し窒素で置換した。以後の操作は実施例 1と同様に実施 し、下記のポリアミドが得られた。
粘度数: 141 (ISO307に従い 96%硫酸中で測定)
ジン元 : 35ppm
3元素: Oppm
[0179] (1— 6)ポリアミド 6, 6 (以下、 PA— 6と略記)
ポリアミド 66形成成分 (へキサメチレンジァミンとアジピン酸との等モル塩)を含有す る 50重量%水溶液を 40°Cから 100°Cまで予備加熱した。次 、で約 3000KgZhrの 速度で連続法重合用の濃縮'反応装置に注入し、該装置内の圧力をゲージ圧にし て約 0. 1〜0. 5MPaに保っために水を系外に除去しながら、 200°C力 270°Cの温 度で該溶液の濃度を約 90%まで濃縮した。
[0180] 次いで該濃縮液をフラッシャーに排出し、圧力をゆっくり大気圧まで降圧した。次の 重合容器に移送し、約 280°Cの温度、大気圧以下の条件下で保持して重合工程を 行った。次いで、生成したポリマーをノズルより押し出してストランドとし、冷却、カッテ イングしてペレットとなり、下記のポリアミドが得られた。ただし、該連続法の重合にお いて、ポリアミド形成成分水溶液に次亜リン酸ナトリウム水溶液を配合し、また重合ェ 程中のポリアミドに酢酸カルシウムを配合した。次亜リン酸ナトリゥム及び酢酸カルシ ゥムの配合量は、ポリアミド中の濃度がそれぞれ lOOppm及び 500ppmになるように
した。
粘度数: 141 (ISO307に従い 96%硫酸中で測定)
ジン元 : 35ppm
3元素: Oppm
[0181] (1 7)ポリアミド 6, 6 (以下、 PA— 7と略記)
ポリアミド 66形成成分(へキサメチレンジァミンとアジピン酸との等モル塩) 1600kg を含有する 50重量%水溶液に、酢酸 828gとへキサメチレンジァミン 828gを末端封 止剤として配合し、更にアルミン酸ナトリウム((Na O) (Al O ) (X+Y= lかつ YZ
2 X 3 2 Y
Χ=0. 59) )の 38重量%の水溶液 726g、次亜リン酸ナトリウム(NaH PO )の 10重
2 2 量%水溶液 1380g、シリコーン系消泡剤 55gを配合した混合液を調整した。その混 合液を濃縮槽に仕込み、約 50°Cの温度条件で混合し窒素で置換した。以後の操作 は実施例 1と同様に実施し、下記のポリアミドが得られた。
粘度数: 141 (ISO307に従い 96%硫酸中で測定)
ジン元 : 35ppm
3元素: Oppm
[0182] (1— 8)ポリアミド 6, 6 (以下、 PA— 8と略記)
アルミン酸ナトリウム((Na O) (AI O ) (X+Y= lかつ YZX=0. 59) )の 38重
2 X 3 2 Y
量0 /0の水溶液 726gを、粉末アルミン酸ナトリウム((Na O) (Al O ) (X+Y= lか
2 X 2 3 Υ
つ YZX=0. 81) ) 550gとした以外は(1— 7)と同様に実施し、下記のポリアミドが得 られた。
粘度数: 141 (ISO307に従い 96%硫酸中で測定)
ジン元 : 35ppm
3元素: Oppm
[0183] (2)ポリフエ-レンエーテル(以下、 PPEと略記)
ポリ(2, 6 ジメチル一 1, 4 フエ-レンエーテル)
還元粘度: 0. 52dlZg、 (0. 5gZdl、クロ口ホルム溶液、 30°C測定)
(3)エラストマ一
ポリスチレン一水素添カ卩ポリブタジエン ポリスチレンブロック共重合体
(以下、 SEBSと略記)
商品名:クレイトン G1651 (クレイトンポリマー社製)
(4)ポリスチレン (以下、 GPPSと略記)
商品名:ポリスチレン 685 (PSジャパン社製)
[0184] (5)無機充填材
(5— 1)ガラス繊維(以下、 GFと略記)
商品名: CS— 03— MA-FT2A (旭ファイバーグラス社製)
(6)導電性炭素系フイラ一
商品名:ケッチェンブラック EC— 600JD (ケッチェンブラックインターナショナル社製 ) (以下、 CBと略記)
上流側と下流側にそれぞれ 1箇所の供給口を有する二軸押出機を用いて、シリン ダー温度 270°Cに設定した条件下で、上流側供給口より 90質量部のポリアミド 66(P A— 4)を供給し、溶融させた後、下流側供給口より 10質量部の導電性炭素系フイラ 一を添加して溶融混練し、マスターバッチを作製した。(以下、 PAZCB— MBと略記 )
(7)無水マレイン酸 (以下、 MAHと略記)
商品名: CRYSTALMAN— AB (日本油脂社製)
[0185] (評価方法)
以下に、評価方法について述べる。
<金属分析 >
組成物中およびポリアミド中のリンの定量は、装置は ThermoJarrellAsh製 IRIS/ IPを用いて、高周波誘導結合プラズマ (ICP)発光分析により、波長 213. 618 (nm) にて定量した。その他の金属元素も同様にして、それぞれの特性波長で定量した。
[0186] <ペレットの水分率調整 >
実施例および比較例で得られた榭脂組成物ペレットを、乾燥機を用いて窒素雰囲 気下、 80°Cで 24時間乾燥した。乾燥した榭脂ペレットをアルミ防湿袋中に密閉して 2 3°Cで 24時間放置した。この時の榭脂ペレットの水分率は約 200ppmであった。この ペレットを 23°C、 50RH%の恒温恒湿室中に放置し、 20分、 45分経過後にそれぞ
れアルミ防湿袋中に再度密閉して 23°Cで 24時間放置した。この時の榭脂ペレットの 水分率はそれぞれ約 500ppm、約 1, 200ppmであった。
[0187] <メルトフローレート(MFR) >
水分率を調整したペレットについて、 ASTM D1238に従って、 280°C、 5kg荷重 下における MFRを測定した。
[0188] < A MFR>
榭脂組成物中の水分率が約 200ppm〜約 1200ppmの範囲で少なくとも 3つの異 なる水分率を有するペレットにつ 、て MFRを測定し、測定した MFRの値を MFRと 水分率との関係を示すグラフ上にプロットし、該プロットを最小二乗近似した直線の 傾きから水分率 lOOppm当たりの MFRの差を得ることにより、 A MFRを決定した。
[0189] くシルバーストリーク〉
ペレット 2 (水分約 500ppm)を使用し、東芝 IS— 80EPN成形機 (溶融榭脂温度 28 0°C、金型温度を 80°Cに設定)を用いて、 90 X 50 X 2. 5mmの平板成形片を成形し た。成形条件は射出速度 700mmZ秒、保圧 40MPa、射出時間 +保圧時間の合計 10秒、冷却時間 15秒とした。まず 10ショット成形した後、成形機を 20分間停止させ た後、成形を再開し、最初の 5ショット分の平板成形片を目視で確認し、シルバースト リークが観察された成形片の枚数を数えた。
[0190] <塗装密着性試験 >
試験片の作成は、射出成形機 (日精榭脂工業 (株)製: FS80S)を用い、シリンダー 温度 305°C、金型温度 80°C、充填時間 1秒で 10cm X 10cm (厚み 2mm)の平板を 作成した。
[0191] 塗装密着性の測定は、 204°Cで 40分間の熱暴露後の平板について実施した。自 動吹き付け塗装装置を用いて、塗膜厚みが 20 mになるよう調節し、塗装を実施し た。塗料はアクリルウレタン系塗料 (オリジン電気社製、 OP— Z— NY)を使用した。 吹き付け塗装後、 150°Cの温度で 20分間焼付けを実施した。
[0192] 塗装実施後、温度 23°C、湿度 50%の環境下に静置し、 24時間後、 2cm X 2cmの 範囲で一目が 2mm四方になるようにカッターナイフで碁盤目状に傷を付け (合計で 100目となる)、粘着テープ貼付し一気に引き剥がす塗膜剥離試験を実施した。 100
目の内、剥離試験後に剥離せずに残った碁盤目数を測定した。
[0193] [実施例 1〜12、比較例 1〜3]
押出機上流側から 1番目のバレルに上流側供給口、 6番目のバレルに下流側供給 口を有し、 LZD (押出機のシリンダーの長さ Z押出機のシリンダー径) =44 (バレル 数: 11)の二軸押出機 [ZSK— 40:コぺリオン社製 (ドイツ) ]を用いて、上流側供給 口から下流側供給口の手前までを 320°C、下流側供給口力 ダイまでを 280°Cに設 定し、スクリュー回転数 300rpm、吐出量 60kgZhで、表 1記載の割合となるように、 上流側供給口より PPE、 SEBS、 GPPS、 MAHを供給し溶融混練した後、下流側供 給口より PA、 NaH POを供給して、榭脂組成物ペレットを作製した。得られた榭脂
2 2
組成物を水分調整した後、 MFRとシルバーストリークを評価した。なお、物性値を組 成と共に表 1および表 2に併記した。
[0194] [実施例 13〜16、比較例 4]
押出機上流側から 1番目のバレルに上流側供給口、 6番目のバレルに下流側第 1 供給口、 8番目のバレルに下流側第 2供給口を有し、 LZD (押出機のシリンダーの 長さ Z押出機のシリンダー径) =44 (バレル数: 11)の二軸押出機 [ZSK— 40 :コぺ リオン社製 (ドイツ) ]を用いて、上流側供給口から下流側第 1供給口の手前までを 32 0°C、下流側第 1供給ロカもダイまでを 280°Cに設定し、スクリュー回転数 300rpm、 吐出量 60kgZhで、上流側供給口より PPE、 SEBS、 MAHを供給し溶融混練した 後、下流側第 1供給口より PA、 PAZCB— MBを供給した。さらに、 GFは下流側第 2 供給口より供給した。表 2記載の割合となるように、榭脂組成物ペレットを作製した。 得られた榭脂組成物を水分調整した後、 MFRとシルバーストリークを評価した。また 、導電性炭素系フイラ一を配合した榭脂組成物については、成形後、塗装密着性を 評価した。なお、物性値を組成と共に表 3に併記した。
[0195] [表 1]
〔〕^0196
% s s
産業上の
[0198] 本発明により、幅広い水分率範囲におけるメルトフローレートの変化が少なぐ成形