WO2006082857A1 - 皮革加工方法及び立体形状皮革 - Google Patents

Abstract

　本発明は硬化剤等を多量に用いなくても、立体形状、特に微細なデザイン性の高い立体形状を長期間維持でき、しかも皮革本来の柔軟性を残して伸縮性に富み、復元性の高い皮革の加工方法、および立体形状皮革、とりわけ絞り状模様と形状をもった加工皮革を提供する。 　本発明は平面状の皮革を凹凸部を備えた立体形状に変形させるとともに、前記凹凸部を構成する凸部２および凹部１の一方又は双方の少なくとも一部を、加熱して硬化させ、前記硬化により立体形状を保持させてなり、より詳しくは、前記凸部２および凹部１の加熱部分を除き、残部を断熱し、前記加熱部分のみ硬化させた。                                                                                 

Description

皮革加工方法及び立体形状皮革

技術分野

[0001] 本発明は、皮革に立体加工を施す際に好適に利用される皮革加工方法及び立体 形状皮革に関する。

背景技術

[0002] 従来、皮革に対する立体加工方法としては、皮革特有の事情を鑑みた種々の技法 が知られている。

[0003] その一例としては、凹凸を有する金型を用いて立体力卩ェを施す型押カ卩ェ方法が挙 げられる。具体的には、まず望みの立体デザインを定め、当該デザインに合わせた 凹凸を有する雄型と雌型の金型を作成する。その後、前記雄型と雌型の金型間に皮 革を挟持させた状態で金型に圧力をかけて皮革全体を型押しする。すると、皮革は、 金型の凹凸に合わせて変形し立体加工が施される。（特許文献 1を参照）

また他には、前記金型等を必要とせず簡便に立体加工を施す方法として、皮革を 高圧下で縮めてわざと皮革全体にシヮを表出させるクラッシュ加工方法がある。

[0004] しかし、上記加工方法は、圧力をかけて皮革全体を変形させて!/、るだけであるため 、経時変化に伴って凹凸が無くなってしまい立体加工を施した当初の状態を長期間 保持することができない。

[0005] 特に、例えばソファのカバーなどは、着座者との間に頻繁に摩擦が生じるため、より 早期に立体形状を保持できなくなってしまう。従って、当該皮革を利用できる製品の 選択自由度が極端に限られたものとなっている。

[0006] 力！]えて、立体加工を施す際に皮革全体に圧力をかけているため皮革が劣化し易く なっている。

[0007] また、型押加工方法などは、デザインに合わせた金型を逐次用意する必要がある ため、製作費の高騰を招くば力りか製作工程も煩雑であるという不具合が生じる。ま た、従来では硬化剤を皮革に塗布して立体形状を固定しているが、この場合、皮革 全面が硬化されているため、得られた皮革は伸縮性に乏しぐ該皮革を利用できる製 品の選択自由度が限られたものとなっている。

[0008] 一方、クラッシュ加工方法等であれば、金型は不要である力 製作者の意図通りに 凹凸をつけることができないため、例えば、一定のモチーフを有するようなデザイン性 の高 、製品を作成することができな 、。

[0009] 更に、例えば手袋などの製品は、伸縮性に富む素材を使用する必要があるため、 従来、皮革を利用する際には布などと組合した複合素材として使用しなければならな かった。

[0010] 特許文献 1 :特開平 7— 138600号

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0011] そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しょうとするところは、硬化剤等を多量に 用いなくても、立体形状、特に微細なデザイン性の高い立体形状を長期間維持でき 、し力も皮革本来の柔軟性を残して伸縮性に富み、復元性の高い皮革の加工方法、 および立体形状皮革、とりわけ皮革への絞り加工法を適用し、絞り状模様が立体的 に配された皮革加工製品を提供する点にある。

課題を解決するための手段

[0012] 本発明は、前述の課題解決のために、平面状の皮革を、凹凸部を備えた立体形状 に変形させる工程と、前記凹凸部を構成する凸部および凹部の一方又は双方の少 なくとも一部を、加熱して硬化させる工程と、よりなり、前記硬化により立体形状を保 持させる皮革加工方法を提供する。ここに凹凸部とは、皮革が曲がるまたは折れるこ とで形成された凹凸形状の部分を示し、表面側に突出している部分を凸部、裏面側 に突出して 、る部分を凹部とする。

[0013] ここで、前記凸部および凹部の加熱部分を除き、残部を断熱する工程を備えたカロ ェ方法が好ましい。ここに断熱とは、少なくとも加熱により皮革に供される熱が、皮革 を硬化できな 、程度にまで皮革に伝わるのを防ぐことを 、 、、たとえば加熱液などが 触れな 、ようにカバー（シール)したり、冷却水などの冷却媒体を通した冷却装置に 皮革を近接または接触させて積極的に冷却することが例示される。

[0014] また、平面状の皮革に糸や紐等の線状の締結材を差し入れ、長さを持つ連続した 山状の凸部が複数並んだ状態に絞括することにより、前記凹凸部を備えた立体形状 に変形させることが好ましい。ここに絞括とは、皮革を絞り、その状態を固定することを いう。具体的に、本発明でいう絞括とは、締結材を差し入れた皮革を当該糸等に沿つ て絞り、絞った皮革が広がらな 、ように皮革の外側に出て 、る糸等を固定することを いい、凸部どうしが完全に密着するもの以外に、凸部どうしの間が少し広がっている ように緩やかに絞られて 、るものも含む。

[0015] また、前記凸部の長さ方向両端又はその近傍に、前記締結材を通すことや、前記 凸部の長さ方向両端又はその近傍及び中間部に、前記締結材を通すことが好ましく 、更に具体的には、前記凸部の突出高さ方向の中間位置よりも上方の位置に、前記 締結材を通すことが好まし ヽ。

[0016] さらに、長さを持つ連続した山状の凸部が複数並んだ状態に絞括して、凸部と凹部 の間の側壁部を互いに重合し、外部から側壁部への熱伝導を低減したり、熱をもつ た液体が浸漬 (浸透)しな 、ようにした断熱状態とすることが好ま 、。

[0017] また、前記凸部および凹部の一方を、外部力 断熱素材を密着状態に固定するこ とにより断熱しつつ、他方を加熱手段により加熱硬化させる加工方法が好ましい。

[0018] 前記加熱手段としては、ヒーターを用いることや、少なくとも加熱部分を浸漬させる 加熱液を用いることが好まし 、。

[0019] より具体的には、平面状の皮革に糸や紐等の線状の締結材を差し入れ、長さを持 つ連続した山状の凸部が複数並んだ状態に絞括することにより、前記凹凸部を備え た立体形状に変形させるとともに、凸部と凹部の間の側壁部を互いに重合した断熱 状態とする工程と、当該皮革の全体を加熱液に浸漬し、凸部および凹部を硬化させ る工程と、よりなり、前記硬化により立体形状を保持させる皮革加工方法が好ましい。

[0020] また、平面状の皮革に糸や紐等の線状の締結材を差し入れ、長さを持つ連続した 山状の凸部が複数並んだ状態に絞括することにより、前記凹凸部を備えた立体形状 に変形させるとともに、凸部と凹部の間の側壁部を互いに重合した断熱状態とするェ 程と、前記凸部又は凹部の一方を、外部力 断熱素材を密着状態に固定することに より断熱する工程と、当該皮革の全体を加熱液に浸漬し、前記凸部又は凹部の他方 を硬化させる工程と、よりなり、前記硬化により立体形状を保持させる皮革加工方法 が好ましい。

[0021] 皮革を染色したいときは、前記加熱液として、所定温度の染液を用いることが好まし い。

[0022] さらに、硬化により立体形状を保持した皮革の外面に、合成樹脂又は合成樹脂組 成物を塗布、散布、浸漬などにより被着させることが好ましい実施例である。

[0023] また、本発明は、平面状の皮革を、凹凸部を備えた立体形状に変形させるとともに 、前記凹凸部を構成する凸部および凹部の一方又は双方の少なくとも一部を、加熱 して硬化させ、前記硬化により立体形状を保持させてなることを特徴とする立体形状 皮革をも提供する。

[0024] ここで、前記凸部および凹部の加熱部分を除き、残部を断熱し、前記加熱部分の み硬化させたものが選択されうる。

[0025] また、平面状の皮革に糸や紐等の線状の締結材を差し入れ、長さを持つ連続した 山状の凸部が複数並んだ状態に絞括することにより、前記凹凸部を備えた立体形状 に変形させるとともに、凸部と凹部の間の側壁部を互いに重合した断熱状態とし、当 該皮革の全体を加熱液に浸漬して凸部および凹部を硬化させ、この硬化により立体 形状を保持させてなることを特徴とする立体形状皮革が好ましい。

[0026] さらに、平面状の皮革に糸や紐等の線状の締結材を差し入れ、長さを持つ連続し た山状の凸部が複数並んだ状態に絞括することにより、前記凹凸部を備えた立体形 状に変形させるとともに、凸部と凹部の間の側壁部を互いに重合した断熱状態とし、 前記凸部又は凹部の一方を、外部から断熱素材を密着状態に固定することにより断 熱し、当該皮革の全体を加熱液に浸漬して前記凸部又は凹部の他方を硬化させ、こ の硬化により立体形状を保持させてなることを特徴とする立体形状皮革が好ましい。

[0027] これら皮革の各凸部の稜線は、互いに平行状態に配置されているものが好ましぐ また、各凸部の稜線の長さ及び長さ方向の配置が、平面視で互いにランダムである ものが選択されうる。

[0028] さらに、稜線が平面視で略ノ、の字状または略 V字状となるように配される凸部が縦 横に所定間隔をおいて複数設けられたものでは、展開した皮革の平面視で変化した 絞り状模様が不規則的な凸部で形成された立体形状が配されており、該凸部は表面 から加圧された場合にも立体形状を保持できる支持強度 (コシ)を有する。

発明の効果

[0029] 以上にしてなる本願発明によれば、加熱硬化により立体形状、とりわけ皮革に絞り 状模様と形状を与え、維持させるため、立体形状の保持期間を飛躍的に向上させる ことが可能となる。このように、立体形状の耐摩擦性等に優れているため、使用者と接 触する機会の多いソファなどの製品にも好適に使用でき、用途選択の自由度を高め ることがでさる。

また、従来のように皮革全面を高圧で加圧することなぐ皮革が劣化し難ぐ該皮革 を用いた製品の耐久性を高めることができ、また、薬品などを一切使用せずに立体 加工を施すことができるため、皮革の加工段階のみならず廃棄段階においても環境 に悪影響を及ぼさない。

[0030] また、前記凸部および凹部の加熱部分を除き、残部を断熱する工程を備えたので 、該断熱部分に皮革本来の柔軟性が維持され、加工後の皮革は伸縮性に富み、立 体形状の復元性の高いストレッチ素材が得られる。したがって、例えば伸縮性を要す る手袋などの製品も当該皮革のみでデザインすることができ、皮革を使用した製品の デザイン選択の幅を飛躍的に向上させることができ、種々の用途に用いることができ る。

[0031] また、平面状の皮革に糸や紐等の線状の締結材を差し入れ、長さを持つ連続した 山状の凸部が複数並んだ状態に絞括することにより、前記凹凸部を備えた立体形状 に変形させるので、凸部と凹部の途中の側壁部が互いに重合して断熱させ、加熱に よる硬化を防止できるため、皮革の柔軟性が維持される。また、立体形状の付与と断 熱を同時に行うことができ、作業工程を簡便化できる。さらに、立体形状の付与につ いて圧力をかけないため皮革の劣化が防止できる。また、糸や紐等の線状の締結材 を差し入れて絞括するので、微細なデザイン性の高 、立体形状を付与することが可 能である

[0032] また、凸部の長さ方向両端又はその近傍に、より好ましくは凸部の長さ方向両端又 はその近傍及び中間部に締結材を通すので、絞括時に凸部を確実に形成すること ができる。 [0033] また、複数の糸幅間隔を用いて前記皮革を絞括することにより、凹凸形状を明確に 形成することができ、特に、凸部の突出高さ方向の中間位置よりも上方の位置に、前 記締結材を通したので、凸部がより確りと重合することにより表出面積をより小さくする ことができる。

[0034] また、長さを持つ連続した山状の凸部が複数並んだ状態に絞括して、凸部と凹部 の間の側壁部を互いに重合した断熱状態とするので、側壁部が皮革本来の柔軟性 が維持され、凹凸部に良好な伸縮性が得られる。

[0035] また、前記凸部および凹部の一方を、外部から断熱素材を密着状態に固定するこ とにより断熱しつつ、他方を加熱手段により加熱硬化させるので、一方のみ硬化させ

、他方の非硬化部分により皮革全体の柔軟性を向上させることができる。

[0036] また、加熱手段としてヒーターを用いることで、容易に加熱硬化させることができる。

[0037] また、加熱手段として、少なくとも加熱部分を浸漬させる加熱液を用いることにより、 より確実に且つ適正な温度で加熱硬化させることができる。

[0038] また、加熱液として所定温度の染液を用いたので、染色工程と立体加工工程とを同 時に行うことができ、作業工程の簡略化を実現できる。

[0039] また、硬化により立体形状を保持した皮革の外面に、榭脂又は榭脂組成物を被着 させたので、保型性をより向上させることができる。

[0040] また、各凸部の稜線が互いに平行状態に配置されるので、凸部の重合が容易とな り、側壁部等の断熱をより確実に行うことができる。

[0041] 各凸部の稜線の長さ及び長さ方向の配置を、平面視で互いにランダムとすることに より自然に近い凹凸形状が得られ、また、稜線が平面視で略ノ、の字状または略 V字 状となるように配され、皮革に支持強度 (コシ)を与える凸部を、縦横に間隔をおいて 複数設けることにより、魅力のある立体形状の模様を付与できる。

図面の簡単な説明

[0042] [図 1]本発明の代表的実施形態に係る立体形状皮革を示す斜視図。

[図 2]同じく立体形状皮革の平面図。

[図 3]同じく断面図。

[図 4]同じく立体形状皮革の加工方法の手順を示すフロー図。 圆 5]平面状の皮革に糸を通す位置を示す説明図。

圆 6] (a)及び (b)は、糸を通す様子を示す説明図。

[図 7] (a)は、絞括した状態を示す平面図、（b)は、同じく断面図。

圆 8] (a)〜 (c)は、糸により絞括される様子を示す説明図。

[図 9] (a)は、凹部側に断熱素材を取り付けた例を示す説明図、（b)は、染液に浸漬 させた様子を示す説明図。

[図 10]断熱素材を用いない変形例を示す説明図。

[図 11]同じく断熱素材を用 ヽな ヽ他の変形例を示す説明図。

圆 12]ヒーターを用いる変形例を示す説明図。

圆 13]プレス型を用いる変形例を示す説明図。

符号の説明

1 凹部

2 凸部

2a 凸部形成線

3 側壁部

4 断熱素材

5 糸

5c 位置

6 染液

7 ヒーター

8 冷却層

9a, 9b プレス型

10 発熱線

11 冷媒管

20 中央部

21 端部

90 凹部位

A 立体形状皮革 Wl, W2 糸幅間隔

発明を実施するための最良の形態

[0044] 次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。

[0045] 図 1は、本発明に係る立体形状皮革の代表的な実施形態を示す説明図であり、図 中符号 Aは皮革、 1は凹部、 2は凸部、 3は側壁部をそれぞれ示している。

[0046] 本実施形態の立体形状皮革 Aは、図 1〜3に示すように、凸部 2および凹部 1を組 み合わせたモチーフ力 なる立体形状の皮革であり、平面状の皮革を凹凸部を備え た立体形状に変形させるとともに、前記凹凸部を構成する凸部 2および凹部 1の一方 又は双方の少なくとも一部を、加熱して硬化させ、前記硬化により立体形状を保持さ せてなることを特徴として 、る。

[0047] より詳しくは、前記凸部 2および凹部 1の加熱部分を除き、残部を断熱し、前記加熱 部分のみ硬化させて、該硬化部分により立体形状を保持させつつ断熱部分により柔 らかさを維持させたものであり、本例では、凸部 2に後述の熱硬化処理が施されてお り、凹部 1を含む他の部分を断熱し、凸部 2と凹部 1との柔軟度が異なるものである。

[0048] 凹部 1は、皮革の裏面側に膨出する形状を有しており、デザインに合わせて皮革全 面に複数設けられている。当該凹部 1は、後述する染色の際には防染される箇所で あるため、後述する温度を有した染液に接触しな ヽように断熱される。

[0049] また、凸部 2は、皮革の表面側に膨出する形状を有しており、前記凹部 1と交互に 側壁部 3を介して連続的に皮革全面に複数設けられている。各凸部 2は、加熱の際 に染液に触れ、加熱されて硬化する部分であり、糸で絞括された状態で外側に表出 する面となる頂上付近の外表面が染液にて染め上げられて色模様を形成することに なる。

[0050] 本例の立体形状皮革 Aは、縦方向に沿って各凸部 2の稜線が所定間隔をお 、て 互いに略平行となり、かつ横方向に並ぶ一対の凸部 2、 2の各稜線が作る形力 平面 視で略ノ、の字状または略 V字状となるように配されている。各凸部 2の稜線の長さは ランダムであり、長さ方向の配置についてもランダムに構成することが可能である。こ の稜線に沿って凸部 2の頂上が染液に染め上げられ、皮革表面側には、上記略ノ、 の字状または略 V字状の色模様が形成されて 、る。 なお、染液を用いて色模様を形成すること、模様を上記ハの字状等に形成すること に何ら限定されないことは勿論であり、一部で絞ることにより該絞り部分力 放射状に 凸部が延びる模様や、その他の模様、まったくランダムな模様などとしてもよい。

[0051] 以下、本実施形態の立体形状皮革 Aの加工方法について詳細に説明する。

[0052] 本実施形態の加工方法は、図 4に示すように、まず平面状の皮革素材を選び、デ ザインして下絵を書く工程 (S1)と、該皮革 Aに糸や紐等の線状の締結材を差し入れ 、長さを持つ連続した山状の凸部 2が複数並んだ状態に絞括することにより、前記凹 凸部を備えた立体形状に変形させるとともに、凸部 2と凹部 1の間の側壁部 3を互い に重合した断熱状態とする工程 (S2)と、前記凹部 1を外部から断熱素材 4を密着状 態に固定することにより断熱，防染する工程 (S3)と、当該皮革 Aの全体を加熱液 (染 液）に浸漬し、該加熱液に触れる前記凸部 2を染色'硬化させる工程 (S4)と、仕上げ の工程 (S5)とよりなり、この硬化により立体形状を保持させるものである。

[0053] どのような皮革が立体ィ匕に適しているかを判断する基準としては、様々なものがある 力 まず、きめ細かい子牛皮を用いる力、きめの粗い成牛皮を用いるか等、皮自体の 選定力 始まり、皮の性質に応じた厚みの設定、なめし方法等を勘案する必要がある 。牛皮以外にも、例えば、豚皮、山羊皮、羊皮、馬皮、鳥類、爬虫類、魚類などの動 物皮などの天然皮などを使用することもできる。

[0054] ここで、例えば一枚の皮に対して複数のなめし方法を組み合わせて施すことも考え られる。具体的には、クロームなめしとタンニンなめしの双方を混在させて用いても良 い。

[0055] (S 1：デザイン選定 ·下絵）

まず立体形状に変形させる前に、完成する立体形状のデザインを定め、想定した デザインに従って皮革に下絵を施し、糸を通す位置を決定する。本例では、山折りし て凸部を形成する位置に沿って、図 5に示すように略ノヽの字状または略 V字状に線 を書き入れる。特に、その方向、長さはランダムに設定している。そして、糸を通す位 置 5cは、これら凸部形成線 2aに略直角に交差するようにジグザグに通すように設定 される。これにより、より確りと絞括し、側壁部の断熱をより確実に行うことができる。

[0056] また、糸を通す位置 5cは、好ましくは、少なくとも各凸部の長さ方向両端又はその 近傍の端部 21, 21に、より好ましくは更に中央部 20等の途中部にも糸が通るように 設定され、これにより凸部 2を確実に形成できる。さらに本例では、糸幅間隔を一律 にせず複数の異なる間隔を用いて縫っていく。具体的には、凸部 2を形成する際の 糸幅間隔 W1を、凹部 1を形成する際の糸幅間隔 W2より狭く設定し、交互に異なる 糸幅間隔にて糸を差し入れている。

[0057] これにより、図 6 (b)に示すように、前記凸部 2の突出高さ方向の中間位置よりも上 方の位置に糸 5が通されることとなり、後述の絞括により、凸部 2がより確りと重合する ことにより表出面積、すなわち染液と接触して染色される面積がより小さくなり、細長 V、形状のシャープな色模様を得ることができるのである。このような糸を通す位置の 高さを適宜設定することにより、染色される模様の太さを思い通りに設定でき、デザィ ン設計の幅を広げることが可能となり、例えばデザインに合わせて、凸部 2の一部分 を細いシャープな模様としたり、一部分を太い模様とすることも上記糸幅間隔の設定 により可能となる。

[0058] (S2 :糸による変形'絞括）

次に、図 6 (a) , (b)に示すように、上記のデザインの下絵に合わせて長さを有する 山状の凸部 2、凹部 1を形成しながらジグザグに糸 5を差し入れて皮革に凹凸の立体 形状を付与していく。具体的には、凸部 2を形成するように皮革の一部を稜線に長さ を備えた山状に折る山折して糸を差し入れ、続いて凹部 1を形成するように皮革の裏 面方向に谷折して糸を差し入れ、端部までこれを繰り返してゆき、隣接する凸部 2, 2 同士が絞括時に重合するように縫っていく。糸の差し入; ^立置力 後の工程にて染 色される染色面と染色されない非染色面との境界線付近となる。

[0059] 各列への糸の差し入れは、各列別の糸を用いているが、例えば皮革の一端から差 し入れて他端まで通し終えた後、当該他端側にある別の列の孔力 逆方向に差し入 れてゆくことを繰り返して、 1本の糸で複数列を縫いあげてもよい。また、本例では図 7 (a)、図 8 (c)に示すように糸を複数列通しているが、大きさやデザインに応じて一列 のみとすることも勿論可能である。

[0060] 使用する糸や針は、皮革の種類等に応じて公知のものを使用できる。糸は、絹、綿 、麻などの植物系、動物系などの天然繊維力もなる糸、ナイロン系、ポリエステル系、 ポリアクリル系、ポリビュル'アルコール系、ポリプロピレン系などの合成繊維、半合成 繊維、無機繊維などの人造繊維カゝらなる糸、混紡糸、紡績糸などを用いることができ る。中でも、皮革を絞括する場合、天然繊維カゝらなる糸は、水を含むと縮んで皮革を 強固に絞括できるため、好ましい。

糸以外にも、線状の締結材であれば、紐やワイヤなども使用できる。紐は、前記の 糸を一条以上よつたものやまとめたものであり、糸よりも径が大きなものをいう。使用さ れる糸、紐、ワイヤ等の締結材の太さは、皮革に差し入れた際に皮革を傷めない程 度の大きさとすることが好ましい。なお、これら糸等の締結材は、加熱手段の熱に耐 えるものを選択する必要がある。

また、針は、平針、ツイスト針、レザー針、逆ツイスト針、クロス針、ゥヱッジ針、丸針 等を用いることができる。

[0061] 次に、皮革の両端力も延び出ている糸 5を縛って絞括する。この絞括により、図 7、 8 に示すように、皮革が凹凸部を備えた立体形状に変形されると同時に、略ハの字な V、し略 Vの字に配置されて 、た凸部同士（図 8 (a) )が互いに平行に密着し（図 8 (b) ) 、凸部 2と凹部 1の間の側壁部 3が互いに重合して、皮革全体を浸漬しても加熱液が 入り込まな 、断熱状態とされる。

[0062] 絞括の仕方は、本例では後述するように凹部側に断熱素材 4を取り付けるため、該 素材と一緒に巻き付けて縛るか、他の糸で断熱素材を縛り付けるように構成している 力 その他の方法、たとえば端部へ通した糸を係止部材に巻き付けて皮革を絞括す る方法など種々の方法が考えられる。また、本例では各列を一本の糸で端部まで通 して絞括しているが、途中の適所のみ糸で縛ったり、途中を残して縛ったりすることも 加工するデザインに合わせて適宜採用できる。

[0063] (S3 :凹部の防染）

また、図 9 (a)に示すように、皮革裏面側力も凹部 1に当接する断熱素材 4を、たとえ ば絞括に用いた糸とは別の糸 5を用いて縛り付け、該凹部 1に加熱液が触れないよう にする。ここで、この断熱素材 4の縛り付けにより皮革を絞括してもよいし、絞括後に 残りの糸で断熱素材を縛りつけてもよい。その他、断熱素材の取付態様については 皮革を傷めなければどのような手段でも採用し得る。 このように断熱素材 4を密着して固定すれば、繊細な凹凸部でも断熱でき、側壁部 へのシールとしても機能する。断熱素材 4は、皮革表面から簡単に取り除ける部材で あればよぐ木材や合成樹脂製の部材、金属製部材などが挙げられる。金属製部材 は、熱伝導の小さいものを用いることにより凹部の硬化を防止できるが、熱伝導が大 きく凹部が硬化するものであっても、これにより染色は防止できる点で好適に採用で きる。

[0064] (S4 :染色'硬化）

次に、図 9 (b)に示すように、絞括された皮革 Aを、断熱素材 4とともに加熱液として 該皮革を硬化させる温度を有する染液 6に全体を漬け、断熱されずに外側に露出し ている凸部 2に染液 6を接触させてその部分を硬化 ·染色する。染液の温度は、凸部 2の皮革が硬化するに足る温度である 40°C以上が好ましぐさらに皮革の劣化を防 止する観点力も 45〜85°Cがより好ましい。

[0065] 本例では、絞括により重合した側壁部 3と断熱素材 4が当接した凹部 1がそれぞれ 染液 6が触れないように防染されると同時に、該染液の熱から断熱されるように構成さ れており、染液に触れる凸部 2のみ染色 '硬化されることになる。

[0066] このように、本例では断熱素材 4を用いて、硬化させる凸部 (染色部分）と硬化させ ない凹部 (非染色部分)を染め分けているが、図 10に示すように、断熱素材 4を省略 し、凸部だけでなく凹部も硬化させることも好ましぐこれにより加熱液として染液 6を 用いた場合には皮革表裏に色模様を形成することができる。この場合、上述の糸幅 間隔に関して、例えば、凸部 2の突出高さ方向の中間位置よりも上方の位置に通す 列と、下方すなわち凹部側の位置に通す列とを交互に設定すれば、凸部も凹部も、 それぞれ互いに確りと重合させ、硬化される皮革部分が細長い、シャープな色模様 を皮革表裏に形成することも可能である。

[0067] また、図 11に示すように、染液 6 (加熱液）に皮革全体を漬けるのではなぐ少なくと も加熱硬化させたい凸部 2を浸漬し、凹部 1は漬けずに液外に出るようにすれば、上 記断熱素材 4を省略しつつ凹部 1の熱硬化を防止することが可能である。

[0068] さらに、絞括した皮革凸部 2の表出面に接するように、一部露出して加熱液に触れ る開口部を有するマスキング機能を備えた断熱素材を装着させ、凸部 2のうち露出し た特定部分（開口部に対応する部分)のみ染色 ·硬化させるようにすることも可能であ り、凹部 1の断熱についても同様に考えることができる。これによりデザイン設計の幅 が広がり、より柔軟性を高めることも可能となる。

[0069] 加熱液として、本例では所定温度の染液を用い、硬化させる凸部を染色させたが、 本発明はこれに限らず、染液以外の加熱液を用いてもよぐ皮革を傷めない媒体 (例 えば、水）を含むものが良い。本例のように染液を用いると、該染液と接触した皮革の 凹凸部の一部は硬化されるとともに着色されるため、加熱硬化と着色を同時に行うこ とができるメリットがある。

[0070] なお、本例では染色と同一工程にて皮革の熱硬化を行っているため、染色に必要 な温度や時間と、皮革の熱硬化に必要な温度と時間とを皮革の種類に応じて調整す る必要がある。

[0071] (S5 :仕上げ）

次に、必要に応じて皮革 Aの色止め等を行い、糸を解き水洗いをした後、乾燥させ る。すると、凸部 2は熱硬化しているため凹凸形状を有する立体形状が保持された皮 革が完成する。

[0072] さらに、硬化により立体形状を保持した皮革の外面に、合成樹脂、天然榭脂又はこ れらの榭脂組成物を塗布又はスプレーにより全面に薄ぐあるいは凸部 2にのみ被着 させ、保形性をより向上させるものも好ましい実施例である。中でも、デンプン系、シリ コン系などの弾力性のある合成樹脂または合成樹脂組成物を皮革の凸部の裏面側 に凹部の表面との段差がなくなる程度にまで塗布することで、弾力性に富む凹凸形 状を維持することができるため、ソファのカバーなどの着座者との間に頻繁に摩擦が 生じる部材の材料として好適に用いることができる。

[0073] なお、本加工方法では、熱硬化するに足りる温度を有する染液を用いて、染色と熱 硬化を同時に行っているが、染液以外の加熱液で熱硬化処理を行い、その後に染 色を行うこともできる。

[0074] 次に、図 12に基づき、本発明に係る皮革加工方法の他の例を説明する。

[0075] 本例は、同じく皮革を糸や紐等の線状の締結材を用いて凹凸部を有する立体形状 に絞括した後、加熱液を用いる代わりに、ヒーター 7で加熱硬化させるものであり、図 示した例では、凹部 1側に冷却層 8を当接させ、加熱されないように断熱した状態で、 外部の露出している凸部 2に対してヒーターの熱を照射し、該凸部 2を加熱硬化させ ている。

[0076] これにより、上述の加熱液を用いた方法と同様、凸部 2のみ加熱硬化して立体形状 を保持するように機能すると同時に、側壁部 3及び凹部 1は皮革本来の柔軟性を維 持し、全体として伸縮性を維持した立体形状皮革を作成することができる。ヒーター の代わりに、凸部 2などに一定の皮革硬化温度を有する熱板等を押し当てても良い。

[0077] ここで、加熱液全体に浸漬する場合と異なり、冷却層 8等の断熱素材は必ずしも必 要でなぐこれを省略しつつ凸部 2のみヒーターで加熱することもできる。また、更に 加工後に凸部 2のみ染色する場合は、凹部 1や側壁部等の防染したい箇所に糊や 蝌を付着させることにより染液のしみこみを防止して染液に漬けて処理すればよい。

[0078] 次に、図 13に基づき、本発明に係る皮革カ卩ェ方法の更に他の例を説明する。

[0079] 本例は、上記例のごとく糸や紐を用いて皮革 Aを絞括する代わりに、凹凸形状を有 して、発熱線 10や冷媒管 11を適当な部位に配置した一対のプレス型 9a、 9bで表裏 両側から加圧し、皮革を凹凸形状に変形させると同時に、該変形した凸部 2、凹部 1 の一方または双方の少なくとも一部を加熱硬化させる方法である。

[0080] たとえば、図 13 (a)に示すように凸部 2、凹部 1にそれぞれ対応するプレス型 9a、 9 bの凹部位 90、 90にそれぞれ発熱線 10を配置することにより、凸部 2と凹部 1が硬化 した立体形状皮革 Aが得られる。また、図 13 (b)に示すように凹部 1に対応するプレ ス型 9bの凹部位 90には冷媒管 11を設けることで、凸部 2のみ硬化した立体形状皮 革 Aが得られる。なお、プレス型を予め冷却処理又は加熱処理しておいてもよい。 これらの方法は、従来のプレス圧で保型性を維持させる方法と異なり、基本的には 熱硬化により保型性を維持させるため、プレス圧は小さくて済み、加圧により皮革を 痛めることち避けられる。

[0081] 以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限 定されるものではなぐ例えば、複数の凸部の内の一部のみに熱硬化処理を行うこと や、凸部と凹部とを混在させて熱硬化することなど、本発明の要旨を逸脱しない範囲 にお 、て種々なる形態で実施し得ることは勿論である。 産業上の利用可能性

本発明の立体形状皮革は、皮革製品全般に使用することができ、例えば、ソファ、 イス、クロスなどの家具、ハンドル、シートなどの自動車'船舶'航空機用内装材、バッ グ、カバン、靴、手袋、衣料、衣料雑貨などの日用品、クッション材などの伸縮性素材 、インテリアの装飾材などに好適に使用されうる。また、本発明の立体形状皮革は、 廃棄段階で環境への影響が少なぐ吸保湿性があり、堆肥土壌化できることから、植 物の苗木を入れる容器、植物の栽培用容器、植物などを縛る紐、榭木の保温シート 、植物の植え込み時における肥料土の拡散防止シートおよび肥料ィヒシートなどの使 い捨て素材として好適に使用し得る。さらに、本発明の立体形状皮革を木材 'ガラス' 石材 ·プラスチック ·金属と組み合わせることで、皮革素材単独では生産が困難であ つた工業製品の多様ィ匕を図ることができ、例えば、自動車、船舶、航空機、機械類、 電化製品 (携帯電話、パーソナルコンピュータなど)などの部品として幅広く応用でき る。

Claims

請求の範囲

[I] 平面状の皮革を、凹凸部を備えた立体形状に変形させる工程と、

前記凹凸部を構成する凸部および凹部の一方又は双方の少なくとも一部を、加熱 して硬化させる工程と、

よりなり、前記硬化により立体形状を保持させる皮革加工方法。

[2] 前記凸部および凹部の加熱部分を除き、残部を断熱する工程を備えた請求項 1記 載の皮革加工方法。

[3] 平面状の皮革に糸や紐等の線状の締結材を差し入れ、長さを持つ連続した山状 の凸部が複数並んだ状態に絞括することにより、前記凹凸部を備えた立体形状に変 形させる請求項 1又は 2記載の皮革加工方法。

[4] 前記凸部の長さ方向両端又はその近傍に、前記締結材を通してなる請求項 3記載 の皮革加工方法。

[5] 前記凸部の長さ方向両端又はその近傍及び中間部に、前記締結材を通してなる 請求項 3記載の皮革加工方法。

[6] 前記凸部の突出高さ方向の中間位置よりも上方の位置に、前記締結材を通してな る請求項 3〜5の何れか 1項に記載の皮革加工方法。

[7] 長さを持つ連続した山状の凸部が複数並んだ状態に絞括して、凸部と凹部の間の 側壁部を互いに重合した断熱状態とする請求項 3〜6の何れか 1項に記載の皮革カロ ェ方法。

[8] 前記凸部および凹部の一方を、外部から断熱素材を密着状態に固定することによ り断熱しつつ、他方を加熱手段により加熱硬化させる請求項 1〜7の何れか 1項に記 載の皮革加工方法。

[9] 前記加熱手段としてヒーターを用いてなる請求項 1〜8の何れか 1項に記載の皮革 加工方法。

[10] 前記加熱手段として、少なくとも加熱部分を浸漬させる加熱液を用いてなる請求項 1〜8の何れか 1項に記載の皮革加工方法。

[II] 平面状の皮革に糸や紐等の線状の締結材を差し入れ、長さを持つ連続した山状 の凸部が複数並んだ状態に絞括することにより、凹凸部を備えた立体形状に変形さ せるとともに、凸部と凹部の間の側壁部を互いに重合した断熱状態とする工程と、 当該皮革の全体を加熱液に浸漬し、凸部および凹部を硬化させる工程と、 よりなり、前記硬化により立体形状を保持させる皮革加工方法。

[12] 平面状の皮革に糸や紐等の線状の締結材を差し入れ、長さを持つ連続した山状 の凸部が複数並んだ状態に絞括することにより、凹凸部を備えた立体形状に変形さ せるとともに、凸部と凹部の間の側壁部を互いに重合した断熱状態とする工程と、 前記凸部又は凹部の一方を、外部力 断熱素材を密着状態に固定することにより 断熱する工程と、

当該皮革の全体を加熱液に浸漬し、前記凸部又は凹部の他方を硬化させる工程と よりなり、前記硬化により立体形状を保持させる皮革加工方法。

[13] 前記加熱液として所定温度の染液を用いてなる請求項 10〜12の何れか 1項に記 載の皮革加工方法。

[14] 硬化により立体形状を保持した皮革の外面に、榭脂又は榭脂組成物を被着させて なる請求項 1〜13の何れか 1項に記載の皮革カ卩ェ方法。

[15] 各凸部の稜線を互いに平行状態に配置した請求項 1〜14の何れか 1項に記載の 皮革加工方法。

[16] 各凸部の稜線の長さ及び長さ方向の配置を、平面視で互いにランダムとした請求 項 1〜 15の何れか 1項に記載の皮革カ卩ェ方法。

[17] 稜線が平面視で略ノ、の字状または略 V字状となるように配される一対の凸部を、縦 横に所定間隔をおいて複数設けた請求項 1〜16の何れか 1項に記載の皮革加工方 法。

[18] 平面状の皮革を、凹凸部を備えた立体形状に変形させるとともに、前記凹凸部を構 成する凸部および凹部の一方又は双方の少なくとも一部を、加熱して硬化させ、前 記硬化により立体形状を保持させてなることを特徴とする立体形状皮革。

[19] 前記凸部および凹部の加熱部分を除き、残部を断熱し、前記加熱部分のみ硬化さ せてなる請求項 18記載の立体形状皮革。

[20] 平面状の皮革に糸や紐等の線状の締結材を差し入れ、長さを持つ連続した山状 の凸部が複数並んだ状態に絞括することにより、凹凸部を備えた立体形状に変形さ せるとともに、凸部と凹部の間の側壁部を互いに重合した断熱状態とし、当該皮革の 全体を加熱液に浸漬して凸部および凹部を硬化させ、この硬化により立体形状を保 持させてなることを特徴とする立体形状皮革。

[21] 平面状の皮革に糸や紐等の線状の締結材を差し入れ、長さを持つ連続した山状 の凸部が複数並んだ状態に絞括することにより、凹凸部を備えた立体形状に変形さ せるとともに、凸部と凹部の間の側壁部を互いに重合した断熱状態とし、前記凸部又 は凹部の一方を、外部から断熱素材を密着状態に固定することにより断熱し、当該 皮革の全体を加熱液に浸漬して前記凸部又は凹部の他方を硬化させ、この硬化に より立体形状を保持させてなることを特徴とする立体形状皮革。

[22] 各凸部の稜線が互いに平行状態に配置されている請求項 18〜21の何れか 1項に 記載の立体形状皮革。

[23] 各凸部の稜線の長さ及び長さ方向の配置力 平面視で互いにランダムである請求 項 18〜22の何れか 1項に記載の立体形状皮革。

[24] 稜線が平面視で略ノ、の字状または略 V字状となるように配される一対の凸部力 縦 横に所定間隔をおいて複数設けられた請求項 18〜23の何れか 1項に記載の立体 形状皮革。