JP5587964B2 - 皮革素材の立体模様加工方法及びこれに用いられる立体模様加工装置 - Google Patents

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Description

本発明は、皮革素材に型崩れの生じない立体模様を施す立体模様加工方法及びこれに用いられる立体模様加工装置に関する。
従来より、皮革素材は、通常の繊維素材とは異なり、弾性力があるため、絵柄等をスタンプしたりプリーツ加工する等の立体模様を施しても、時間が経過すると元の形状に戻ってしまうため、立体模様を施すことは困難とされていた。
また天然の皮革素材は、同じ一枚革の中でも、肩・背中・腹・脚等の各部位によって、それぞれの皮下組織内の繊維質層(コラーゲン)の密度が異なるため、革の強度や耐久性、伸縮率等の特徴に差がある。そして皮革素材は、動物の種類、育った環境、年齢、オスかメスかの違いの他、「皮」から「革」にする際の工場の機械の精度やなめし製法などの条件によっても、耐久性、固さ、柔軟性、縮率など、革質の特徴が異なってくることが当業者の間では知られている。
そこで、下記特許文献1、2に記載されているように皮革素材に立体模様を施す加工方法が、種々提案されている。
たとえば、下記特許文献1には、150〜180℃に加熱された輪郭線出し用凸部をもつ前押し用押型を1〜7秒間皮革に押し着けることによって凹んだ輪郭線を設ける型付工程と、輪郭線に囲まれた凸状部の頂面に皮革用ラッカーで彩色する工程と
、前記型付け部分の上に表面が艶有り面の合成樹脂フィルムを重ねると共に当該フィルムの上から140℃〜160℃に加熱された前記の前押し用押型と同じ形の輪郭線出し用凸部をもつ後押し用押型をその輪郭線出し用凸部が前記輪郭線模様の凹み部に一致した状態で10〜20秒間押し着けたのち当該後押し用押型及びフィルムを取去する工程と、を順になすようにした皮革素材への柄付方法が開示されている。
これによれば、柄に立体感をもたせ且つ彩色部の表面に艶をもたせた価値の高い商品を得ることができるとされている。
また特許文献2には、平面状の皮革に糸や紐等の線状の締結材を差し入れ、長さを持つ連続した山状の凸部が複数並んだ状態に絞括することにより、凹凸部を備えた立体形状に変形させるとともに、凸部と凹部の間の側壁部を互いに重合した断熱状態とする工程と、当該皮革の全体を加熱液に浸漬し、凸部および凹部を硬化させる工程とよりなり、前記硬化により立体形状を保持させる皮革加工方法が開示されている。
これによれば、凹凸部を備えた立体形状に変形させるので、凸部と凹部の途中の側壁部が互いに重合して断熱させ、加熱による硬化を防止できるため、皮革の柔軟性が維持される。また、立体形状の付与と断熱を同時に行うことができ、作業工程を簡便化できるとされている。
特開平6−100900号公報 特開2009−114789号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の方法は、型付け部分の上に合成樹脂フィルムを重ねる構成になっていることから、皮革素材に押し型を用いて部分的に柄付けを行う場合はよいが、皮革素材全体にプリーツ加工のような3次元立体模様を施すことはできなかった。
また上記特許文献2に記載の方法は、糸や紐等の線状の締結材を差し入れ、長さを持つ連続した山状の凸部が複数並んだ状態に絞括するため、かなりの人手、手間を要し、工業製品として生産ベースに乗せることが困難である。更に、作業者の熟練を要するため、常に同じの表情、状態とすることも難しく、いずれにしても皮革素材の全体にプリーツ加工のような3次元立体模様を施すことが出来なかった。
また、一般に、牛、豚、山羊等の天然の皮革素材は、皮そのものに傷が多いために、ロスとなる部分が多く、傷がない部位を使用しているために高額なものになってしまう。よって、革製品というと高級なイメージが先行し、革製品がもつ本来の良さ(防寒性、耐火性、丈夫さ)が認知されていない現状がある。いま日本は、古来から伝わるなめし技術や加工技術等が世界のトップレベルにあるにもかかわらず、皮革産業は衰退しつつあるといえる。
さらに、天然の皮革素材は、同型の型紙で裁断を行った後、革の部位の違い、温度、湿度等によって最大5%前後伸縮することがある。通常、日本の被服等のアパレル商品の製品における検品サイズの伸縮の許容範囲は3%以内とされているため、日本の縫製工場では革でアパレル商品を工業製品化することを敬遠する傾向がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、皮革素材に、プリーツ加工のような折込み等による3次元立体模様も型崩れなく形成できる、デザイン性の高い皮革素材の立体模様加工方法及びこれに用いられる立体模様加工装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために提案される本発明は、立体模様が施された皮革素材を準備する工程と、この皮革素材を加熱蒸気に晒した状態で、該皮革素材の裏面側に芯地を貼付け、前記皮革素材の表面を弾性力のある平坦な支持面に載置して、芯地の上面から所定時間加圧して保形処理する工程とを備えている。
ここに、立体模様は、予め準備した型紙で皮革素材の上、下を挟み込んで折り込みによる立体模様を施すものであってもよいし、押型を押圧して形成されたものであってもよい。
また、芯地は、ホットメルトタイプの接着部を設けたものでは、皮革素材が加熱蒸気に晒され、芯地の上面から加圧されるときに、同時に皮革素材の裏面に貼着して固定できる。
さらに、本発明における立体模様加工装置は、加圧面を有し、弾性力のある平坦な支持面を有した加圧プレス手段と、皮革素材に、所定温度の蒸気を噴霧する手段とを少なくとも組み合わせて構成された、皮革素材の模様加工装置として用いられることを特徴とする。
本発明に係る皮革素材の立体模様加工方法によれば、準備工程で立体模様の施された皮革素材を準備し、保形処理工程では、皮革素材は、所定の加熱蒸気に晒された状態で、裏面側には芯地を貼付け、皮革素材の表面側は弾性力のある平坦な支持面に載せられて芯地の上面から加圧される。
したがって、保形処理工程では、皮革素材は加熱蒸気に晒され、柔軟になった状態で、立体模様が施された皮革素材の裏面側は芯地によって広がりが拘束される一方、表面側は弾性力のある平坦な支持面に沈み込みながら加圧されるので、立体模様が施された部分には無用な圧力が急激に加わって変形することなく、保形処理がなされる。
また、所定の加熱蒸気に晒された状態で皮革素材の表面側は弾性力のある平坦な支持面に載せられて加圧されるので、皮革素材が過度な加熱・加圧に晒されることがなく、皮革素材を痛めることがない。よって皮独特の風合いが損なわれることがない。
さらにこのようにして、保形処理された後は、皮革素材の裏面に貼付けて固着された芯地によって拘束されているので、長い時間に亘って使用しても形崩れを生じることがない。
そして、従来から繊維生地に使用している型紙等を使用して立体模様を施した皮革素材を、そのまま使用できるので、デザイン性の高い皮革商品の開発に寄与できる。よって、皮革素材に施すことができる立体模様のバリエーションが多数実現できるため、多種多様のデザイン商品が可能となり、デザイナーの要望にも応えることができる。
また、皮革素材に立体模様を施した商品は、皮革素材に傷があっても目立つことがないので、従来は廃棄していた皮革素材の傷部分も有効に利用でき、裁断ロスを減らすことができる。
本実施形態に係る皮革素材の立体模様加工方法の説明するためのフローチャートである。 同皮革素材の立体模様加工方法における立体模様加工を説明するための模式的概略斜視図である。 (a)及び(b)は、同立体模様加工を説明するための模式的概略斜視図である。 (a)は同皮革素材の立体模様加工方法に用いられる立体模様加工装置を示す模式的概略断面図、(b)は同立体模様加工装置を用いて保形処理した後の皮革素材を示す模式的概略側面図、(c)は同立体模様加工装置を用いて保形処理した後の皮革素材を示す模式的概略斜視図である。 (a)は同皮革素材の立体模様加工方法に用いて加工を施した皮革素材の表面側を示す模式的概略平面図、(b)は同皮革素材の立体模様加工方法に用いて加工を施した皮革素材の裏面側を示す模式的概略平面図である。
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
本実施形態に係る皮革素材の立体模様加工方法は、立体模様が施された皮革素材1を準備する工程と、この皮革素材1を加熱蒸気に晒した状態で、該皮革素材1の裏面1b側に芯地4を貼付け、皮革素材1の表面1aを弾性力のある平坦な支持面11aに載置して、該皮革素材1を、芯地4の上面から所定時間加圧して保形処理する工程とを備えている。
以下、詳しく説明する。
まず、本実施形態に係る立体模様加工方法が適用できる皮革素材1としては、牛皮、豚皮、山羊皮、羊皮、馬皮、鳥類、爬虫類、魚類など、動物皮等の天然皮革の他、人工皮革素材が挙げられる。鳥類としては、七面鳥の足の皮、魚類では、サメの皮等が挙げられる。
皮革素材1の厚みは、特に限定されないが、製品化されるもの(靴、バッグ、ジャケット、スカート、ソファーや車の背もたれ部分、クッション、照明器具の傘部分等)やデザインによって所望の厚みが選択される。具体的に皮革素材1の厚みは、例えば0.5mm〜2mmの厚さとすることができ、0.6mm〜0.9mmmの厚みとすることが望ましい。0.6mm以下の皮革素材を漉くのは困難といえ、0.9mmより厚い場合は、立体模様も施しがたく、保形性も劣る。
皮革素材1に施される立体模様の例も特に限定されないが、本発明では、特に従来では困難とされていた後記するような型紙2,3を使った3次元立体模様加工が可能である。例えば、サイドプリーツ状、ヘリンボーン状、格子状、クラッシュプリーツ状、ランダムプリーツ状、アコーディオンプリーツ状、ワンウェイプリーツ状、ボックスプリーツ状、マジョリカプリーツ状、ウェーブプリーツ状、ピンチプリーツ状、ワッシャープリーツ状、コンピュータマシンプリーツ状等、様々な立体模様が可能である。なお、図2〜図4ではアコーディオンプリーツ状、図5ではヘリンボーン状の立体模様を付した例を示している。また図示していないが、上述のプリーツ加工に限定されず、凹凸のあるスタンプ型を押し付け、模様をつけることにより立体模様を施した皮革素材1にも、本発明は適用できる。
次に、図1〜図4を参照しながら、皮革素材の立体模様加工方法の一例について説明する。
ここでは、皮革素材1にアコーディオンプリーツ状の3次元立体模様加工を施す場合の立体模様加工方法を説明する。皮革素材1としては、天然の牛皮を用い、その厚さを0.6〜0.8mmの厚みになるように漉きをかけたものを使用した。
後記する「保形処理工程」で使用する立体模様加工装置10としては、特に限定されないが、例えば図4(a)に示すような装置を用意する。
図4(a)に示す立体模様加工装置10は、加圧面12aを有した加圧プレス手段12と、弾性力のある平坦な支持面11aを有した加工台11とを備え、さらに皮革素材1に所定温度の蒸気を噴霧するスチーム手段(不図示)も備えている。加圧プレス手段12の加圧面12aは、平坦面に形成されている。加工台11の上面は平坦面とされ、その上には弾性力のある柔らかい素材で構成された支持部材11bが設置されている。立体模様加工装置10は、開閉口を備えたボックス(不図示)によって覆われており、スチーム手段を駆動させる際には窯のような状態とすることができる。
支持部材11bとして用いられる素材は、特に限定されないが、ゴムや発泡樹脂等からなるスポンジを用いてもよい。要は、ここで用いられる支持部材11bは、立体模様加工が施された皮革素材1が加圧プレス手段12によって加圧されても、立体模様の形状に変形を加えることなく保持できるような弾力性を備えていればよい。
加圧プレス手段12によって加圧される圧力値は限定されるものではないが、保形処理を行う皮革素材弾性力のある柔らかい素材、1の種類、厚みに応じて圧力調節が段階的に行うことができるものが望ましい。例えば総圧力が0.0kN〜12.0kNの範囲を8〜9段階に調整できるものを用いてもよい。温度も保形処理を行う皮革素材1の種類、厚みに応じて100〜150℃の温度調節が段階的に行うことができるものが望ましい。
ついで、本発明の要素を更に詳細に説明する。
<準備工程・立体模様加工>(図1・S1)
まずは、立体模様加工を行う。
皮革素材1を所定の形状、所定の寸法に裁断する。図例の皮革素材1は、略方形に裁断されたものを示している。ここで立体模様加工の工程自体の加工方法は、特に限定されない。皮革素材1の種類、その厚み、これに施す立体模様の形状によって、その加工方法は様々な方法が考えられる。
本実施形態では、図2に示すように模様加工用の型紙2,3を用いて、3次元立体模様加工を行う場合を説明する。
皮革素材1と略同形略同寸の模様加工用の型紙2,3を2枚用意し、アコーディオンプリーツ状に型作りを行う。図例のように単純な立体模様であれば、この型作りを機械化することも可能である。
そして図3(a)に示すように型作りされた型紙2,3で皮革素材1の表面1a側と裏面1b側とを挟み込み、折り込みを行い、皮革素材1に型付けを行う。皮革素材1に立体模様が型付けされたら、型紙2,3を取り除く。この状態を示したのが、図3(b)である。
型紙2,3として用いられる型紙の種類は、和紙、洋紙など特に限定されず、洋裁で用いられる型紙であってもよい。立体模様加工は、プレス機にかけて加工してもよく、所定温度の蒸気に晒して所定時間加圧を行うようにしてもよい。この場合に用いられる型紙2,3は、蒸気を通すものが用いられる。プレス機の加圧手段も特に限定されず、平プレスであってもよいし、ロールプレスであってもよい。
<保形処理工程・立体模様加工装置へのセッティング>(図1・S2)
次にこの立体模様加工が施された皮革素材1(図3(b)の状態)を立体模様加工装置10の加工台11に載置する。具体的には、加工台11の上面に設置された支持部材11bの上に皮革素材1を置き、皮革素材1の表面1a側を下方に向け、支持面11aの上にその表面1a側が接触するように載置される(図4(a)参照)。
このように立体模様加工が施された皮革素材1の表面1aに、弾性力のある柔らかい素材からなる支持部材11bの支持面11aが接触するように載置されることで、立体模様が押しつぶされてしまうことを防ぐことができる。図例の場合は、アコーディオンプリーツ状に立体模様加工された皮革素材1の山部が支持面11aに接触しても、支持部材11bの弾性力によって山部がつぶれてしまうことを防ぐことができる。
支持部材11bの厚みは特に限定されないが、1cm前後あれば十分である。あまりに薄すぎると立体模様の保形機能が劣る傾向となり、厚すぎると加圧プレス手段12による加圧時の安定性に影響がでる傾向となる。
<保形処理工程・芯地積層>(図1・S3)
芯地積層では、支持面11aの上に設置した皮革素材1の上に芯地4を積層する。このとき、皮革素材1の裏面1bの上に芯地4の接着部41が整合するように留意する。芯地4は、皮革素材1の表面1a側からは見えないように、また皮革素材1を後に製品に加工・縫製等する際に邪魔にならないように、皮革素材1の寸法よりもひとまわり程度小さい略同形のものを用意する。
芯地4は接着部41を点在させるなど接着部41を備えたものであれば、特に限定されないが、例えば織物、編物、不織布などを基布40にしたものを用いることができる。接着部41は、熱を加えることによって、熱可塑性の合成樹脂等からなる、ホットメルトタイプの接着剤で構成されたものを用いると、加熱しながらプレスすることによって、皮革素材1の裏面1bに貼付けできる。
<保形処理工程・高温スチーム加圧処理>(図1・S4)
次に、この状態で皮革素材1を所定温度の蒸気に晒して、所定時間の加圧を行う。
ボックスの開閉口を閉じ、ボックス内にスチーム手段によって供給される蒸気を充満させ、110℃〜130℃とする。そしてこの状態で加圧プレス手段12によって、12秒〜15秒という非常に短時間の加圧を行う。このボックス内の温度、加圧する時間は、皮革素材1の種類や厚みによって異なり、使用する素材によって異なる。要は、立体模様加工された皮革素材1の立体模様を保持したまま、皮革素材1の裏面1bに芯地4を貼付けて固着することができればよい(図4(b)参照)。
ここで芯地4を皮革素材1に貼り付ける保形処理(図1・S2〜S4)は、布地に芯地を貼り付けるのとは大きく異なるので留意が必要である。皮革素材1は熱に弱く、あまり長時間に高温にさらすと硬化してしまう。また湿気にも弱いので、長時間スチームに晒すと皮革素材1の風合いが損なわれてしまう。さらに長時間加圧すると支持部材11bがつぶされて皮革素材1に施された立体模様もつぶれてしまうおそれがでてくる。一方、芯地4の接着部41は、熱を加えることによって、接着性を発揮する熱可塑性の合成樹脂等からなるホットメルトタイプの接着剤からなるため、少なくとも上記温度で上記時間、加圧を行わないと、皮革素材1の裏面1bに芯地4を確実に貼り付けることができない。この条件は、発明者による鋭意検討の結果、知得されたものである。
こうして高温スチーム加圧処理を経て皮革素材1に芯地4を貼り付ければ、立体模様加工が施された皮革素材1を得ることができる(図4(c)参照)。
図5は、上述の加工方法によって得た皮革素材1の一例を模式的に示している。
図5(a)に示すようにヘリンボーン状の複雑な3次元立体模様は、従来であれば時間が経つと折り目が鮮鋭に保持できず、立体模様を維持できなかったが、本発明によれば、図5(a)に示す立体模様を維持することができる。図5(b)は裏面1b側からみた平面図である。皮革素材1の裏面1bには、このように芯地4が貼り付けられ、芯地4によっていわば立体模様が固定されるので、元の形状に戻ろうとする復元力の作用を阻止することができる。
以上の皮革素材1の立体模様加工方法によれば、保形処理工程では、皮革素材1は加熱蒸気に晒され、柔軟になった状態で、立体模様が施された皮革素材1の裏面1b側は芯地4によって広がりが拘束される一方、表面1a側は弾性力のある平坦な支持面11aに沈み込みながら加圧されるので、立体模様が施された部分には無用な圧力が急激に加わって変形することなく、保形処理がなされる。
また、所定の加熱蒸気に晒された状態で皮革素材1の表面1a側は弾性力のある平坦な支持面11aに載せられて加圧されるので、皮革素材が過度な加熱・加圧に晒されることがなく、皮革素材1を痛めることがない。よって皮独特の風合いが損なわれることがない。
さらにこのようにして、保形処理された後は、皮革素材1の裏面1bに貼付けて固着された芯地4によって拘束されているので、長い時間に亘って使用しても形崩れを生じることがない。
そして、従来から繊維生地に使用している型紙等を使用して立体模様を施した皮革素材1を、そのまま使用できるので、デザイン性の高い皮革商品の開発に寄与できる。
よって、皮革素材1に施すことができる立体模様のバリエーションが多数実現できるため、多種多様のデザイン商品が可能となり、デザイナーの要望にも応えることができる。
また図例のようにプリーツ加工をし芯地4が接着された皮革素材1を裁断すれば、革本来の伸縮を止めることができ、サイズのばらつきを防止して日本の厳しい検品基準を満たす安定した商品を作製することができる。
さらに従来は2枚の伸縮する皮革素材同士を縫い合わせることは不安定で難しく、縫いじわ、縫い縮みが生じやすく、縫製不良を起こすため、それぞれの縫い目線に伸び止めのテープを貼ることがなされていた。しかしながら、本実施形態に係る立体模様加工方法が施された皮革素材1を2枚のうちの一方に用いれば、サイズが安定するので、他方を縫い合わせるときに、従来のようにテープを貼る作業を省略することができ、作業の効率化を図ることができる。
そして皮革素材1に立体模様を施した商品は、皮革素材1に傷があっても目立つことがなく、どの部位を裁断しても、芯地4を貼られていることでサイズを安定させることができるので、従来は廃棄していた皮革素材の傷部分も有効に利用でき、裁断ロスを減らすことができる。
なお、上述の実施形態は一例であって、皮革素材1の形状、これに施される立体模様、立体模様加工工程の方法、立体模様加工装置10の構成、構造は、図例に限定されない。例えば保形処理(図1・S2〜S4)で用いられる芯地4にしても、接着部41はホットメルトに限定されない。さらに例えば芯地4の基布40として、防臭性、防かび性、防水性など機能性を有したものを用いれば、皮革素材1をかばん等に用いた場合、所望する機能を持ったものとすることができる。また、本実施形態に係る立体模様加工方法を行うことができる皮革素材1は、染色されたものでもよいし、ヌメ革、オイルレザー、ブラインドルレザー、スエード、ヌバック、型押し革等あらゆる加工方法によってすでに加工された皮革素材に適用することができる。
1 皮革素材
1a 表面
1b 裏面
4 芯地
10 立体模様加工装置
11 加工台
11a 支持面
11b 支持部材
12 加圧プレス手段

Claims (4)

  1. 立体模様が施された皮革素材を準備する工程と、
    この皮革素材を加熱蒸気に晒した状態で、該皮革素材の裏面側に芯地を貼付け、前記皮革素材の表面を弾性力のある平坦な支持面に載置して、該皮革素材を、芯地の上面から所定時間加圧して保形処理する工程とを備えた、皮革素材の立体模様加工方法。
  2. 請求項1において、
    前記皮革素材は、折込による模様型紙を上、下より挟み込んで、プリーツ立体模様が施されていることを特徴とする皮革素材の立体模様加工方法。
  3. 請求項1において、
    前記皮革素材は、型押しによる立体模様が施されていることを特徴とする皮革素材の立体模様加工方法。
  4. 加圧面を有した加圧プレス手段と、弾性力のある平坦な支持面を有した加工台と、
    皮革素材に、所定温度の蒸気を噴霧するスチーム手段とを少なくとも組み合わせて構成され、請求項1または請求項2に記載の皮革素材の立体模様加工方法に用いられる立体模様加工装置。
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