明 細 書
サーモスタット
技術分野
[0001] 本発明は、セラミックヒータの発熱温度を制御するサーモスタットに関する。
背景技術
[0002] 従来、サーモスタットの絶縁支持体として、セラミック基板を使用したバイメタル 'サ 一モスイッチが提案されている。(例えば、特許文献 1参照。 )
図 1Aは、そのような従来のセラミック基板をサーモスタットの絶縁支持体として用い たバイメタル'サーモスィッチの例を示す側面図であり、図 1Bは、図 1 Aに示すバイメ タル'サーモスィッチの平面図、図 1Cは、図 1 Aに示すバイメタル 'サ一モスイッチの 背面図である。
[0003] このバイメタル 'サ一モスイッチは、図 1A、図 1B、図 1Cに示すように、アルミナセラ ミック製の薄 、矩形の支持体 1を備えて 、る。この支持体 1の中央には溝 2が形成さ れ、底面 laの長手方向両端は金属化されている。
[0004] これら金属化された支持体 1の長手方向両端には端子タブ 3及び 4がそれぞれ固 着されている。
端子タブ 3及び 4は、一端にハンダ付け用の孔 5を有し、他端がフォーク状に三分 割され、両側に位置する一対の突出部 6と中央の突出部 7とが段違いに形成されて いる。そして下位となる一対の突出部 6は支持体 1の底面 laの金属化された端部に 接合され、上位となる突出部 7は支持体 1の上面に単に当接している。
[0005] 接点スプリング 8は、ほぼ中央に孔 11を有し、この孔 11にプラスチックのピン 12が 揷通される。ピン 12の頭 13は接点スプリンリング 8の上面に係合し、ピン 12の下方棒 状部は、バイメタルプレート 15の中央に設けられた孔 14と、支持体 1の溝 2を貫通す る。
[0006] バイメタルプレート 15は、支持体 1と接点スプリング 8との間に介在する。ピン 12の カラー 16が接点スプリング 8とバイメタルプレート 15との間に介在し、スぺーサとして 作用すると共に接点スプリング 8とバイメタルプレート 15との間の熱絶縁作用を果たし
ている。
[0007] また、フィルム抵抗 17が支持体 1の底面 laに配置される。このフィルム抵抗 17は導 電ストリップ 18を介して端子タブ 3及び 4に電気的に接続している。
ノ ィメタルプレート 15がスイッチング温度以上の温度に応答して反転し、接点スプリ ング 8を持ち上げると、電流がフィルム抵抗 17のみを介して流れて支持体 1が加熱さ れ、この支持体 1を介してバイメタルプレート 15が加熱され、これにより、バイメタルプ レート 15がスィッチを閉にする最初の位置へパネ復帰するのを防止する。
[0008] 前述したように、ピン 12のカラー 16がスぺーサとして作用すると共に接点スプリング 8とバイメタルプレート 15との間の熱絶縁作用を果たしているので、バイメタルプレー ト 15は、接点スプリング 8に発生するジュール熱には、ほとんど影響されない。
[0009] ところで、特許文献 1の技術は、バイメタル 'サ一モスイッチ(以下、サーモスタットと いう)を動作させる熱源が外部にある場合、つまり単独でサーモスタットとして働カゝせ ることを想定しており、又その構造も外部の熱風を感知する構成となっていた。
[0010] ところが、このような特許文献 1の構成のサーモスタットを、例えばヘアーアイロンな どに組み込まれて用いられる熱板型ヒータの温度制御やその過昇を防止するという 熱板型ヒータの保護を目的として使用する場合には、熱応答性が低いため熱感知が うまく行かず、従って安全性に問題がある。
[0011] また、部品数が多ぐそれらの係合には溶接やハンダ付け等が多用され、構成が複 雑であって組立にも手数を要するという不満の残るものでもあった。
特許文献 1:特表昭 63 - 501833号公報
発明の開示
[0012] 本発明は、上記従来の実情に鑑み、最小限の部品で構成されて安価であり且つ組 立が容易であり、特に熱板型ヒータに用 、た場合には熱感知の応答性の良いサーモ スタツトを提供することを目的とする。
[0013] 本発明のサーモスタットは、絶縁板上に固定接点を設け、該固定接点に対向する 位置に可動接点を設けた可動板を有し、該可動板を所定温度で反り返り方向を反転 させるバイメタルにて駆動することにより上記固定接点と上記可動接点とに接続され る外部電気回路を開閉するサーモスタットであって、上記可動板は、上記可動接点
を上記固定接点に所定の接点力で押圧するパネ部と、上記可動板を上記絶縁板に 固定すべく上記パネ部に連続する固定用板部に設けられた固定部と、上記バイメタ ルを支持する支持部と、上記外部電気回路に接続する端子部と、がー体としてなるよ うに構成される。
[0014] このサーモスタットにお 、て、例えば、上記絶縁板は、セラミックの板状絶縁体から なり、上記固定部は、上記固定用板部の両脇に延在する部分をそれぞれ折り曲げて 形成された U宇型のパネ性を有する 2箇所のフックからなる。また、例えば、上記可 動接点は、上記パネ部の先端に設けられ、上記パネ部は、上記固定用板部に連続 する根元部分を U字型に折り曲げて形成され、上記パネ部と上記固定用板部との間 に上記バイメタルを装着する、ように構成される。
[0015] また、このサーモスタットにおいて、例えば、上記支持部は、上記固定用板部の後 部延長部分を直角に折り曲げてピン状に形成され、上記バイメタルの中央部に設け られた孔を貫通して上記バイメタルを支持し、上記可動接点が上記固定接点に接触 しているとき上記ピン状の先端が上記バイメタルに設けられた上記孔よりも外部に突 き出るように形成されている。この場合、上記支持部は、例えば上記ピン状の中心で 少なくとも 15度の折り曲角度で長手方向に沿って折り曲げて形成されるのが好まし い。
[0016] また、このサーモスタットにおいて、例えば、上記支持部は、上記固定用板部の一 部を立ち上げて形成された少なくとも 2箇所の爪部と、上記パネ部の根元と、により上 記固定用板部の少なくとも 3箇所に形成され、上記爪部の先端は、上記可動接点が 上記固定接点との接触を解除しているとき上記パネ部よりも高い位置に在るように形 成され、また、例えば、上記端子部は、上記絶縁板の端部に設けられた孔を介して 上記絶縁板と一体に固定される。
[0017] 更に、このサーモスタットにおいて、例えば、上記絶縁板は、セラミック基板型ヒータ のセラミック基板であり、上記可動板の上記端子部が上記ヒータに取り付けられた一 方の電極に電気的に接続されて上記セラミック基板に固定されることにより上記ヒー タと直列に接続されて該ヒータの発熱温度を調整する、ように構成される。
[0018] また、このサーモスタットは、上記いずれの構成においても、例えば、上記可動板は
、上記パネ部の一部に上記バイメタルを上記絶縁板の面に押圧する舌状片部を備え るように構成してちょい。
図面の簡単な説明
[図 1A]従来のセラミック基板をサーモスタットの絶縁支持体として用いたバイメタル' サーモスイッチの例を示す側面図である。
[図 1B]図 1 Aに示す従来のバイメタル.サーモスイッチの平面図である。
[図 1C]図 1 Aに示す従来のバイメタル ·サーモスイッチの背面図である。
[図 2]第 1の実施形態におけるサーモスタットを構成する可動板の展開平面図である
[図 3A]第 1の実施形態におけるセラミック基板型ヒータの平面図である。
[図 3B]図 3Aに示すセラミック基板型ヒータの側面図である。
[図 3C]図 3Bに丸 bで示す部分の拡大図である。
[図 4]第 1の実施形態におけるセラミック基板型ヒータの内部に印刷されているヒータ 回路を模式的に示す図である。
[図 5A]第 1の実施形態において可動板をセラミック基板型ヒータに組み付けてパネ部 と固定用板部との間にバイメタルを装着して完成したサーモスタットの平面図である。
[図 5B]図 5Aに示すサーモスタットの背面図である。
[図 5C]図 5Bの側断面図である。
[図 5D]図 5Bの側断面図である。
[図 6A]第 2の実施形態におけるサーモスタットを構成する可動板の支持部の構成を 示す平面図である。
[図 6B]図 6Aの側断面図である。
[図 6C]図 6Aの側断面図である。
[図 7A]第 3の実施形態におけるサーモスタットを構成する可動板の支持部の構成を 示す平面図である。
[図 7B]図 7Aの側断面図である。
[図 8A]第 4の実施形態におけるサーモスタットを構成する可動板の支持部の構成を 示す平面図である。
[図 8B]図 8Aの側面図である。
[図 8C]図 8Aの側面図である。
圆 9A]第 5の実施の形態におけるサーモスタットを構成する可動板の固定部と支持 部の構成を示す平面図である。
[図 9B]図 9Aの側面図である。
[図 9C]図 9Aの側面図である。
符号の説明
1 支持体
la 底面
2 溝
3、 4 端子タブ
5 ハンダ付け用孔
6 一対の突出部
7 中央の突出部
8 接点スプリング
9 可動接点
10 固定接点
11 孔
12 プラスチックのピン
13 ピンの頭
14 孔
15 バイメタルプレート
16 カラー
17 フィルム抵抗
18 導電ストリップ
20 可動板
21 可動接点
22 パネ部
23 固定用板部
24 (24—1、 24— 2) 固定部
25 支持部
26 端子部
27 楕円形の凸部
28 長方形の凸部
29 支持部用丸孔
31、 32 (32—1、 32— 2)、 33、 34、 35 折り曲げ部 36 段差部
37 セラミック基板型ヒータ
38 上部セラミック板
39 下部セラミック板
41
42 接続用孔
43 接続作業用孔
44 裏面
45 配線
46 電極
47 リード線
48 配線
49 電極
R1 本ヒータ回路
R2 バイメタル維持回路
51 固定接点
52 ロー付け
53, 54 配線
55 電極
56 リード線
57 リード被覆
58 サーモスタット
59 バイメタル
61 サーモスタット
62 延長部
63 爪部
64 バイメタル
65 (65— 1、 65— 2) 外部接続用端子
66 リベット(又はハトメ)
67 サーモスタット
68 舌片状部
70 サーモスタット
71 絶縁板
72 把持部
73 保持部
発明を実施するための最良の形態
[0021] <実施例 1 >
図 2は、第 1の実施形態におけるサーモスタットを構成する可動板の展開平面図で ある。この可動板 20は、後述する絶縁板上に設けられた固定接点に対向する位置に 可動接点 21を備え、所定温度で反り返り方向を反転させる後述するバイメタルにより 駆動されて上記固定接点と上記可動接点 21とに接続される後述する外部電気回路 を開閉するサーモスタットに用いられる。
[0022] この可動板 20は、図 2に示すように、その先端に可動接点 21を有するパネ部 22と 、このパネ部 22に連続する固定用板部 23に形成される固定部 24 (24— 1、 24— 2) 、支持部 25、及び端子部 26とが一体になつて構成されている。
[0023] 尚、図 2は展開図であるので、上記の各部も展開した状態のままで、糸且立て上り後 の形状が変わった各部の名称で呼称している。
この可動板 20は、 1枚のパネ用材料力もプレスによる打ち抜きと、曲げの加工によ
つて得ることがでさる。
[0024] そして、例えば、可動板 20のパネ部 22については、先端部に可動接点 21を溶接 又はカシメにより取り付け、 U字形状の曲げを行うことで、その先端に取り付けた可動 接点 21を後述する固定接点に所定の接点力で接触させる付勢力を備えて形成され る。
[0025] また、固定部 24は、この可動板 20を後述する絶縁板に固定するための固定部を形 成する。また、支持部 25は、後述するバイメタルを支持する。そして、端子部 26は外 部回路すなわち本例では後述する発熱絶縁板の給電端子に接続される。
[0026] この可動板 20は、図 2に示す展開図において、先ず、上記のパネ部 22の先端部に 可動接点 21が、上記のように溶接又はカシメにより取り付けられ、続いて、可動接点 21の下に隣接する位置に、楕円形の凸部 27が裏面(図の向う側面)からの押出しで 形成され、また、固定用板部 4に連続する根元部から所定の間隔 aを空けた位置に、 長方形の凸部 28が、これも裏面からの押出しで形成される。
[0027] 更に、パネ部 22の中央には、例えば打ち抜きによって支持部用丸孔 29が穿設され る。尚、この支持部用丸孔 29は、丸孔と限るものではなぐ長孔であってもよい。 上記のパネ部 22は、固定用板部 23に連続する根元部、及び上記長方形の凸部 2 8の直下の二箇所における折り曲げ部 31でそれぞれほぼ直角に谷折りに折り曲げら れる。すなわち、パネ部 2は、上記固定用板部からの延長部分の根元部を断面が U 字型 (厳密には折り曲げ部が角張ったコの字型)になるように折り曲げて形成される。
[0028] これにより、パネ部 22は、間隔 aをもって固定用板部 23に対向して配置される。そし て、それらパネ部 22と固定用板部 23との間に、後述するようにバイメタルを装着する
[0029] このパネ部 22の折り曲げに先立って、固定用板部 23においては、後部の両脇に 延在する部分、すなわち固定部 24 (24— 1、 24— 2)を、それぞれ二箇所の折り曲げ 部 32 (32—1、 32- 2)において山折りに折り曲げて断面が U宇型 (厳密には開口が 上向きのコの字型)のパネ性を有するフックが 2箇所に形成される。
[0030] この 2箇所に形成されるパネ性を有するフック状の固定部 24 (24—1、 24— 2)間に 、本例におけるセラミック基板型ヒータのセラミック基板 (以下、単に絶縁板ともいう)を
スライドさせて挿入させる方法で、可動板 20が固定部 24により絶縁板を図 2の紙面 向う側で抱え込む状態で絶縁板に可動板 20が組み込まれて、さらに端子部をセラミ ック基板型ヒータの一方の端子に溶接等により接続することで、可動板 20が後述す るように絶縁板 (セラミック基板型ヒータのセラミック基板)に固定される。
[0031] 尚、固定部 24を最初から U宇型に折り曲げてパネ性フックを形成するのではなぐ 先ず固定部 24を L字状に曲げて、固定用板部 23を絶縁板に載せてから、絶縁板の 裏面で上記 L字状の先端部を更に曲げ込むことで、可動板 20を絶縁板に固定する ようにしても良い。
[0032] また、絶縁板の上記固定部に対応する位置に切り欠き部を設け、この切り欠き部に 支持部が嵌り込んで固定されるストツバ形状としても良い。
更に、本例の固定用板部 23においては、後部延長部分で形成されている支持部 2 5が、折り曲げ部 33において谷折りに折り曲げられてピン状に形成される。このピン 状に形成された支持部 25は、上述したようにパネ部 22と固定用板部 23との間に装 着されるバイメタルの中央部に設けられた孔を貫通してバイメタルを支持する。
[0033] このピン状の支持部 25は、剛性を高めるために、たとえば長手方向に沿って中央 3 3— 1で折り曲げを入れ、ピン状の支持部 25の全域でリブ状の形状としても良い。 このとき、曲げの角度は少なくとも 15° の角度が好ましぐこの場合、その断面は V 字型でもよぐまた U宇型であっても良い。これにより、平板を単に折り曲げた状態よ りも強度が増して、バイメタルを安定して支持することができる。
[0034] この支持部 25のピン状の先端は、可動接点 21が後述する固定接点に接触してい るとき、上記のノ ィメタルに設けられた孔よりも外部に突き出るように形成される。また 、 ノ ィメタルに設けられる孔は、丸形でも良いし、特には図示しないが楕円又は多角 形でも良い。
[0035] 尚、パネ部 22の中央に形成されている支持部用丸孔 29は、上記バイメタルの孔ょ りも外部に突き出る支持部 25のピン状の先端を避けるために設けられている。
また、固定用板部 23の端子部 26は、固定用板部 23の一方の側部(図では左側部 )力 パネ部 22と並行に延在して形成され、延在部分のほぼ中央の 2箇所の折り曲 げ部 34及び 35において、折り曲げ部 34で緩やかな山折り、折り曲げ部 35で緩やか
な谷折りとされて、それら折り曲げ部 34及び 35の間に段差部 36を形成している。
[0036] この端子部 26の段差部 36よりも先の部分が後述する外部電気回路すなわちセラミ ック基板型ヒータの一方の端子に接続される。
図 3Aは、本例におけるセラミック基板型ヒータの平面図であり、図 3Bは、その側面 図、図 3Cは、図 3Bに丸 bで示す部分の拡大図である。
[0037] 図 4は、上記セラミック基板型ヒータの内部に印刷されているヒータ回路を模式的に 示す図である。尚、図 4には、図 2及び図 3A、図 3B並びに図 3Cと同一の機能を有 する構成部分には、図 2及び図 3A、図 3B並びに図 3Cと同一の番号を付与して示し ている。
[0038] 図 3A、図 3B、図 3C及び図 4に示すセラミック基板型ヒータ 37は、例えば、ヘアー アイロンなどに組み込まれて用いられる熱板型ヒータであり、図 3Aに示す長手方向 の寸法 cは例えば 70mm、短手方向の寸法 dは例えば 15mm程度のものである。
[0039] このセラミック基板型ヒータ 37は、図 3A、図 3B、図 3Cに示すように、上部セラミック 板 38と下部セラミック板 39が、接着剤 41で接着されている。上部セラミック板 38には 、上端(図の上方端)から 1Z4ほど下がった位置に、小さな接続用孔 42が形成され、 下部セラミック板 39には、上記接続用孔 42に対向する位置に大きな接続作業用孔 4 3が形成されている。
[0040] そして、上部セラミック板 38の接着剤 41に接する裏面 44には、図 4に示すように、 本ヒータ回路 R1とバイメタル維持回路 R2の 2つのヒータ回路が印刷によって形成さ れている。
[0041] 上記の本ヒータ回路 R1は、図 3Aの範囲 eで示す部分に形成され、バイメタル維持 回路 R2は、図 3Aの範囲 fで示す部分に形成されている。上記本ヒータ回路 R1の抵 抗値 R1とバイメタル維持回路 R2の抵抗値 R2との間には「R1くく R2」の関係がある
[0042] 本ヒータ回路 R1の一方の端部は、配線 45を介して電極 46に接続されており、電極 46にはリード線 47が例えばロー付けによって接続されている。本ヒータ回路 R1の他 方の端部は、他の配線 48を介して電極 49に接続され、電極 49は固定接点 51に接 続されている。この接続は、図 3A、図 3Cに示す接続作業用孔 43を介して行われる
接続作業により、固定接点 51が接続用孔 42を介して電極 49に例えばロー付け 52 により接続される。
[0043] 他方、バイメタル維持回路 R2は、一方の端部を配線 53を介して上記の電極 49〖こ 接続されており、他方の端部を他の配線 54を介して電極 55に接続されている。電極 55にはリード線 56が例えばロー付けによって接続されている。
[0044] そして、このリード線 56に、固定用板部 23の端子部 26が、かしめ又は溶接で接続 されて固定されている。
また、本例における上記のリード線 47及び 56は、図 3A、図 3Bに示すように、電極 46及び 55との接続部と自由端部とを除いてリード被覆 57によって覆われている。
[0045] 尚、上記のセラミック基板型ヒータ 37は、絶縁板である 2枚のセラミック平板 (上部セ ラミック板 38と下部セラミック板 39)の少なくとも 1方に、図 4に示すような内部導線パ ターンを印刷等で形成して発熱部を形成する。その場合、外部電源に導通させる端 子部はヒータの端子部と共用することも可能である。
[0046] また、本例では、内部のヒータ回路部に、可動板側の端子部 26と固定接点 51間、 すなわらサーモスタットで遮断される部分に並列に、本ヒータ回路 R1と独立したバイ メタル維持回路 R2を設けて 、るが、これに限るものでは 、。
[0047] むしろ、ヘアーアイロンなどに組み込まれて用いられる熱板型ヒータのサーモスタツ トを構成する場合は、本ヒータ回路 R1のみでよい。
ただし、一般的な熱板型ヒータのサーモスタットを構成する場合に、図 4に示すよう に、本ヒータ回路 R1とバイメタル維持回路 R2の 2つのヒータ回路を設けると、サーモ スタツトが動作して回路を遮断した後、これと並列のバイメタル維持回路 R2に電圧が 印加されて発熱し、サーモスタットのバイメタルを保温することになる。
[0048] これにより、一度サーモスタットが動作した後は、電源が接続されている限りは、バイ メタル維持回路 R2がバイメタルを加熱し続け、電源遮断状態を保持することが可能と なる。
[0049] さらに用途によっては、バイメタルの復帰温度を下げることで常温では復帰しない 構成をとつても良い。この場合、冷風を当てるなどして常温以下の復帰温度までバイ メタルを冷却することで、強制的に復帰させることが可能である。
[0050] 図 5Aは、図 2で説明したように形成された可動板 20を、図 3A、図 3B、図 3Cに示し たセラミック基板型ヒータ 37に組み付けて、パネ部 22と固定用板部 23との間にバイメ タルを装着して完成した本例のサーモスタットの背面図であり、図 5Bは、その平面図 、図 5C、図 5Dはその側断面図である。
[0051] 尚、上記の図 5A、図 5B、図 5C、図 5Dは、図 5Aに示すように、本ヒータ回路 R1の 上端部を除いて、その本ヒータ回路 R1が配設されている図 3Aに示す範囲 eの大部 分の図示を省略している。また、上記の図 5A、図 5B、図 5C、図 5Dは、図 2乃至図 4 に示した構成と同一の構成部分には、図 2乃至図 4に示した番号と同一の番号を付 与して示している。
[0052] 図 5A、図 5Bに示すように、固定用板部 23に形成された固定部 24 (24— 1、 24— 2)は、板状絶縁体である上部セラミック板 38と下部セラミック板 39とを上下から挟み 込んで、可動板 20をセラミック基板型ヒータ 37に固定している。
[0053] また、本例のサーモスタット 58は、パネ部 22と固定用板部 23との間に、ほぼ円形の バイメタル 59を装着している。このバイメタル 59は、感知する温度が常温を含む所定 温度以下では、図 5Bの紙面手前側に凸状に反り返つている。図 5Cは、その状態を 示している。
[0054] 上記の所定温度は、例えばヘアーアイロンの場合であれば、毛髪を焦がさぬ程度 の高い温度である。
この所定温度以下では、ノ ィメタル 59は、図 5Cのようにパネ板 22側に凸状に反り 返っているので、この状態で、バイメタル 59の上半分の周辺部は可動板 20の固定用 板部 23に接触し、下半分の周辺部はセラミック基板型ヒータ 37の上部セラミック板 3 8に接触している。
[0055] また、この状態では、バイメタル 59は、そのほぼ円形をなす周辺部がパネ部 22から 離れた位置に在るように構成されて ヽる。
これにより、パネ部 22の先端に設けられている可動接点 21が、パネ部 22のパネ性 により、セラミック基板型ヒータ 37の方向に付勢され、上部セラミック板 38上に形成さ れて 、る図 3Cにも示した固定接点 51に圧接する。
[0056] すなわち、本例のサーモスタット 58は、所定温度以下では、可動接点 21と固定接
点 51が閉じており、外部電源からリード 47及び 56を介してセラミック基板型ヒータ 37 に供給される電流は、図 4で説明したように「R1 < <R2」の関係があることから、図 4 に示したバイメタル維持回路 R2を殆ど流れることなぐ可動接点 21と固定接点 51を 介して本ヒータ回路 R1を流れ、これにより、本ヒータ回路 R1が発熱する。すなわちセ ラミック基板型ヒータ 37が発熱する。
[0057] 上記の可動板 20は、パネ性のある且つ熱伝導性のよい例えば薄鋼板で構成され ており、これにより、ノ ィメタル 59にはセラミック基板型ヒータ 37が発熱する熱が直接 及び固定用板部 23を介して迅速に伝導される。
[0058] そして、バイメタル 59の感知温度が所定温度を越えると、バイメタル 59は反り返り方 向を反転させて図 5Bの紙面手前側に凹状となる。図 5Dは、その状態を示している。 図 5Dにおいて、バイメタル 59は上端部を長方形の凸部 28により固定用板部 23に 抑え込まれている。したがって、パネ板 22に対し凹状となったバイメタル 59は、凹状 の裏面中央部 (裏面力 見れば凸状部)近傍を固定用板部 23に当接させ、この当接 部を支点に全体が凹状に反り反っている。
[0059] これにより、ノ ィメタル 59の上記支点を中心にして上記長方形の凸部 28による抑え 込みの反対側に位置する図 5Bに示す下端部は、パネ板 22側に撥ね出してパネ部 2 2の楕円形の凸部 27に当接して更にこの凸部 27をパネ板 22方向に押し出す。これ により、可動接点 21と固定接点 51による電源スィッチが開かれる。
[0060] 図 4において、可動接点 21と固定接点 51が開くと、外部電源力もリード 47及び 56 を介してセラミック基板型ヒータ 37に供給されていた電流は、前述したように「R1 < < R2」の関係があることから、配線 53及び 54間の分圧のほうが、配線 48及び 45間の 分圧よりも遥かに高くなり、これにより電流は本ヒータ回路 R1での消費が弱まりその 分だけノ ィメタル維持回路 R2によって消費されるようになる。すなわち、ノ ィメタル維 持回路 R2が発熱する。
[0061] これにより、ノ ィメタル 59が上部セラミック板 38及び固定用板部 23を介して加熱さ れる。これにより、バイメタル 59が可動接点 21と固定接点 51による電源スィッチを閉 にする位置へ反転復帰するのを抑止して、所定の条件に達するまでバイメタル 59の 凹状の反り反り状態が維持される。
[0062] <実施例 2>
図 6Aは、第 2の実施形態におけるサーモスタットを構成する可動板の支持部の構 成を示す平面図であり、図 6B、図 6Cはその側断面図である。尚、以下の説明にお いて、上述した第 1の実施形態と同一の構成部分については、第 2の実施形態として 説明が必要と思われる部分には、第 1の実施形態と同一の番号を付与して示し、第 2 の実施形態として説明が不要と思われる部分については、番号の付与と説明を省略 している。
[0063] 本例におけるサーモスタット 61は、図 6A、図 6B、図 6Cに示すように、第 1の実施 形態で示したバイメタルを位置決めして支持する支持部 25が無ぐこの支持部 25に 代わって、固定用板部 23の後端が延長され、この延長部 62の両端を立ち上げて形 成された爪部 63が少なくとも 2箇所に形成される。
[0064] この 2箇所の爪部 63と長方形の凸部 28とにより、本例のバイメタル 64が位置決めさ れて支持される。そして、上記爪部 63の先端は、可動接点 21が固定接点 51 (図示 省略)との接触を解除しているとき、すなわち、パネ部 22が固定用板部 23から最も離 れた位置にあるとき、可動板 23のパネ部 22よりも高い位置に在るように形成される。
[0065] これにより、パネ部 22と固定用板部 23との間に装着されているバイメタル 64が如何 なるときでも爪部 63により支持されて脱落することがない。
このように、バイメタルに対する支持部は、バイメタルに孔部を設けなくとも、固定用 板部 23の延長部を直角に立ち上げ、この立ち上げ部とパネ部 22根元の U字曲げの 内側部とを含めて、少なくとも 3点でバイメタル側面を支持する構造をとつても良い。
[0066] 尚、本例において、バイメタル 63、パネ部 22、及び可動接点 21それぞれの機能- 作用は、図 5A〜図 5Dにおいて説明した第 1の実施形態におけるバイメタル 59、ノ ネ部 22、及び可動接点 21それぞれの機能 ·作用と同一である。
[0067] <実施例 3 >
図 7Aは第 3の実施形態におけるサーモスタットを構成する可動板の支持部の構成 を示す平面図であり、図 7Bはその側断面図である。
[0068] 尚、本例においても、以下の説明において、前述した第 1の実施形態と同一の構成 部分については、第 3の実施形態として説明が必要と思われる部分には、第 1の実施
形態と同一の番号を付与して示し、第 3の実施形態として説明が不要と思われる部分 については、番号の付与と説明を省略している。
[0069] 本例におけるサーモスタット 64は、図 7A、図 7Bに示すように、セラミック基板型ヒー タ 37から、第 1の実施形態で示したリード線 47及び 56が引き出されていない形状の ものを示している。
[0070] このような場合は、絶縁板に孔を形成し、 2つの外部接続用端子 65 (65— 1、 65— 2)の所望の一方(図 7Aでは 65— 1)と共に、固定用板部 23の端子部 26を、リベット( 又はハトメ) 66などで、力しめて固定するのがよい。
[0071] 尚、上記の 2つの外部接続用端子 65 (65— 1、 65— 2)と、これら外部接続用端子 65の所望の一方と共に端子部 26を力しめて固定するリベット (又はハトメ) 66の構成 以外の構成は、図 5A、図 5Bに示した第 1の実施形態の構成と同一であり、バイメタ ル 59、パネ部 22、及び可動接点 21それぞれの機能'作用も第 1の実施形態の場合 と同一である。
[0072] <実施例 4>
図 8Aは、第 4の実施形態におけるサーモスタットを構成する可動板の支持部の構 成を示す平面図、図 8B、図 8Cはその側面図である。尚、本例は、図 6A〜図 6Cに 示した第 2の実施形態におけるサーモスタットの構成の変形例として見ることもできる 構成となっている。したがって、以下の説明においては、説明が必要と思われる以外 の部分については、第 2の実施形態の構成を参照するものとして番号の付与と説明 を省略している。
[0073] 本例におけるサーモスタット 67は、図 8A〜図 8Cに示すように、パネ部 22の長手方 向に沿った中央部に、パネ部 22の根元部分力もバイメタル 64の中央部に対応する 位置まで、切り抜きによる舌片状部 68が設けられる。
[0074] これにより、常温時には紙面手前側すなわち舌片状部 68側に凸状となっているバ ィメタル 64の中央部を舌片状部 68が押圧して、バイメタル 64の周辺部を、ほぼ遊び なくヒータ面に当接させることができる。
[0075] これにより、バイメタル 64への熱伝導が確実となり、バイメタル 64力ヒータ面の熱を 効率的に感知することができ、したがって、ノ ィメタル応答性力 より改善されることに
なる。
[0076] <実施例 5 >
図 9Aは、第 5の実施の形態におけるサーモスタットを構成する可動板の固定部と 支持部の構成を示す平面図、図 9B、図 9Cはその側面図である。尚、本例の以下の 説明において、前述した第 1乃至第 3の実施形態と同一の構成部分には、本例にお いて説明が必要と思われる部分にのみ第 1乃至第 3の実施形態と同一の番号を付与 して示し、説明が不要と思われる部分については、番号の付与と説明を省略している
[0077] 本例におけるサーモスタット 70は、図 9A〜図 9Cに示すように、絶縁板 71への固 定用板部 23の固定に用いられる固定部 24の形状は、第 1乃至第 3の実施形態の場 合よりも、絶縁板 71の側面に沿って側面の長手方向に長く形成されて!、る。
[0078] また、本例におけるバイメタル 64は、第 1乃至第 3の実施形態におけるサーモスタツ ト 58、 61、又は 64の場合にように上部セラミック板 38のような絶縁板(図 9Aでは絶 縁板 71)や固定用板部 23に当接させて絶縁板とパネ部との間に保持されるのでは なぐ本例では、パネ部 22の上に載置され、パネ部 22と固定用板部 23とによって保 持される。
[0079] すなわち、パネ部 22の根元と先端の可動接点 21近傍において、切り立てと折り曲 げにより鉤型に形成された把持部 72により、バイメタル 64の上下がパネ部 22に把持 され、固定用板部 23の端部両側において切り立てにより衝立型に形成された保持部 73により、ノ ィメタル 64の側部が固定用板部 23に保持される。
[0080] この場合も、バイメタル 64は、所定温度以下では図面手前方向に凸状であり、パネ 部 22先端の可動接点 21は絶縁板 71側に形成されている固定接点に押圧している 。そして所定温度を越えるとバイメタル 64はパネ部 22根元の把持部 72を支点にして 、図面手前方向に凹状となって跳ね返るため、パネ部 22先端が持ち上がり、可動接 点 21が固定接点力も離れて二本のリード線 56間の通電回路が遮断される。
[0081] 本例のサーモスタット 70は、絶縁板 71がセラミック基板型ヒータである必要はなく単 なる絶縁板でよい。その場合、バイメタル 64は例えば熱風などの環境温度に感応し て動作するように構成される。
[0082] いずれにしても、第 1乃至第 5の実施形態に示すように、本発明のサーモスタットは 、固体用板部とパネ部が一体に形成され、これらに、絶縁板に対する止め部やバイメ タルに対する把持部や保持部が更に一体に形成されているので、構成が極めて簡 単であり、小型で軽量で安価なサーモスタットを提供することが可能となる。
[0083] また、絶縁板上にサーモスタットを組み上げる上で構成部品を最小限とすることが でき、これにより、安価なサーモスタットを提供することが可能となる。
また、絶縁板を基板型発熱体とする熱板状の熱源に対応できると共に、個々のヒー タ毎にサーモスタットを取り付けることが可能となり、ように構造が簡略で安価に組立 が可能な、且つ迅速な熱感知が可能なサーモスタットの提供が可能となる。
[0084] また、熱感知が迅速であるので、より安全性の向上に貢献することができる。
また、可動接点を有する可動板の一部にバイメタルをヒータ面に押圧する舌片部を 設けるので、ヒータの熱を感知する応答性のより良 、サーモスタットを提供することが 可能となり、より一層安全性の向上に貢献することができる。