明 細 書
情報再生装置および面振れ測定方法
技術分野
[0001] 本発明は、回転中の記憶媒体に向けて光ビームを集光させる対物レンズを備えて 記憶媒体に光ビーム^^光させ、その光ビームの反射光を捉えて記憶媒体に記憶さ れている情報を再生する情報再生装置、およびその情報再生装置における、記憶媒 体の対物レンズに接離する方向の面振れ量を測定する面振れ測定方法に関する。 背景技術
[0002] 光ディスク装置などの光学的記憶装置では、正確な記録再生を行なうため、レーザ 光の焦点が光ディスク媒体の記録膜面上に結ぶように、フォーカスサーボが行なわ れている。フォーカスサーボでは、フォーカス誤差信号をフィードバックすることにより 、対物レンズと光ディスク媒体との距離を一定に保つように対物レンズの位置が制御 される。
[0003] 近年、記録密度の高密度化に伴い、レーザ光の小径ィ匕が行われており、これに伴 V、、光ディスク媒体と対物レンズとの距離が近接する傾向にある。
[0004] また、フォーカス誤差信号が光ディスク媒体に対する対物レンズの相対位置を表わ す線形な誤差信号として機能するのは、士: m以下という非常に狭い領域となって いる。従来は、フィードバック制御が可能となるこの領域に対物レンズを定位させるた めに、対物レンズを開ループで揺動させながらフォーカス誤差信号の S字と言われる 信号レベルを検出し、線形範囲となったことを検知した後に閉ループとするようなフォ 一カスエントリ制御が採用されている。
[0005] このフォーカスエントリ制御における対物レンズ揺動動作においては、光ディスク媒 体がその面振れによって必ずその対物レンズの焦点位置を通過するように対物レン ズを揺動させる。この揺動動作においてフォーカスエントリに失敗した場合は、対物レ ンズと光ディスク媒体とが接触してしまう恐れがあるので、これを防止するため、光デ イスク媒体と対物レンズとの間に物理的なストツバを設け、対物レンズ変位を物理的 に制限してしまうという方法がある。この方法によれば、フォーカスエントリに失敗した
場合でも、対物レンズが光ディスク媒体に接触することを避けることができ、光ディスク 媒体に記憶されているデータの破壊を防止することができる。
[0006] し力しながら、焦点距離が極めて短距離となってくると、フォーカス状態における対 物レンズと光ディスク媒体との間のギャップが数十/ z m以下となり、回転による光ディ スク媒体の面振れ量は相変わらず数百 mであることを考慮すると、ストツバの設置 そのものが不可能になる。したがって、対物レンズと光ディスク媒体との衝突を防止す るためにはフォーカスエントリをより確実に行なうことが必須になる。
[0007] ところで、確実にフォーカスエントリを行なうためには、フォーカスサーボ制御系を閉 ループとした後のオーバーシュート量がフォーカス誤差信号の適用範囲内に収まる ようにしなければならな!/、。そのためにはフォーカスサーボ制御系を閉ループとする 直前の対物レンズと光ディスク媒体との相対速度や目標相対位置とのずれを小さく 抑え込むことが必要になる。
[0008] たとえば特許文献 1に示された例では、対物レンズを移動させるフォーカスァクチュ エータ上に対物レンズ位置検出センサを設け、光ディスク媒体との間の距離を直接 に検出して、安定したフォーカスエントリを実現しょうとしている。しかしながらこの例で は、ァクチユエータに位置検出センサを搭載する必要があるため、ァクチユエータの 小型軽量ィ匕に悪影響を及ぼすことになる。
[0009] そこで、ァクチユエータ上に対物レンズ位置検出センサを設けることなく対物レンズ と光ディスク媒体との相対位置 Z相対速度を抑え込む方法として、ディスク面振れの 周期性に着目しこれを測定して面振れメモリに格納し、フィードフォワード制御によつ て面振れをキャンセルさせる方法が種々提案されて ヽる(特許文献 2— 5参照。 )。 特許文献 1:特開平 11—120569号公報
特許文献 2:特開 2000-339712号公報
特許文献 3 :特開 2001— 319352号公報
特許文献 4:特開平 10— 149614号公報
特許文献 5:特開 2000 - 207750号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0010] 面振れメモリを用いる方法のうち特許文献 2には、フォーカスサーボ時におけるフォ 一カス制御出力から面振れ追従成分を検出して面振れ量を求めその求めた面振れ 量を面振れメモリに格納しておき、適切なフィードフォワード制御を行なうことで、面振 れをキャンセルする方法が記述されている。しかしながらこの方法では、面振れ量を 取得するためにまずフォーカスエントリを成功させてフォーカスサーボ状態になって おく必要があり、面振れ量が取得されていない初期状態においては、フォーカスェン トリ時に対物レンズと光ディスク媒体とが衝突する危険性が存在する。
[0011] また特許文献 3には、対物レンズを段階的に光ディスク媒体に接近させ、そのときに フォーカス誤差信号が検出される対物レンズ位置の範囲を検出することで、面振れ の振幅を求め、これを面振れメモリに記憶させてフィードフォワード制御に使用する方 法が記述されている。しかしながらこの方法では、光ディスク媒体が面振れで揺動し ている範囲内に対物レンズを停留させる必要があるため、面振れ測定時において対 物レンズと光ディスク媒体とが衝突する危険性が存在する。この問題は、特許文献 4 や特許文献 5のようにフォーカスサーボ状態になる前に面振れ量を計測する他の方 法でも同様である。
[0012] 本発明は、上記の点に鑑みなされたものであり、フォーカスサーボを行なっていな V、初期状態にお!、て、対物レンズと光ディスク媒体等の記憶媒体とを衝突させる危 険性を回避しながら、記憶媒体の面振れ量を測定し、得られた情報を面振れメモリに 記録しそれを再生してフィードフォワード制御することで、安定したフォーカスサーボ へのエントリを行なうことのできる情報再生装置、およびその面振れ量を測定する面 振れ測定方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0013] 上記目的を達成する本発明の情報再生装置は、回転中の記憶媒体に光ビームを 集光させ、その光ビームの反射光を捉えて記憶媒体に記憶されて 、る情報を再生す る情報再生装置において、
記憶媒体に向けて光ビームを集光させる対物レンズと、
その反射光を捉えて、記憶媒体に対する対物レンズの焦点ずれを表わすフォー力 ス誤差信号を生成するフォーカス検出部と、
対物レンズを記憶媒体に接離する方向に移動させるフォーカスァクチユエータと、 記憶媒体の、対物レンズに接離する方向の面振れ量を記憶再生する面振れメモリ と、
対物レンズを、先ず、記憶媒体力も離れた離間位置力も面振れメモリから再生した 面振れ量を参照しながらフォーカス誤差信号が検出されるまで記憶媒体に近づけて いき、その後、フォーカス誤差信号に基づいて、光ビームの、該記憶媒体への集光を 維持するように、フォーカスァクチユエータを制御する制御部とを備え、
上記制御部が、フォーカスァクチユエータを制御して、対物レンズに、記憶媒体から 離れた離間位置から記憶媒体に近づきフォーカス誤差信号が検出されたことをもつ て記憶媒体力 遠のく動作を行なわさせることにより面振れ量を求めて面振れメモリ に記憶する制御準備手段を備えたことを特徴とする。
[0014] 本発明の情報再生装置によれば、フォーカスァクチユエータを制御する制御部が、 そのフォーカスァクチユエータを制御して、対物レンズに、記憶媒体から離れた離間 位置力 記憶媒体に近づきフォーカス誤差信号が検出されたことをもって記憶媒体 力 遠のく動作を行なわさせることにより面振れ量を求めて面振れメモリに記憶する 制御準備手段を備えたため、対物レンズと記憶媒体との衝突の危険性を回避しつつ 記憶媒体の面振れ量を求めて面振れメモリに記憶しておき、安定したフォーカスサー ボへのエントリを行なうことができる。
[0015] ここで、上記制御準備手段は、フォーカスァクチユエータを制御して対物レンズに上 記動作を記憶媒体の回転の複数の各位相で行なわさせることにより、それら各位相 ごとの面振れ量を求めて面振れメモリに記録するものであることが好ましぐさらに、上 記制御準備手段は、フォーカスァクチユエータを制御して、対物レンズに、上記動作 を、記憶媒体が一回転する間を複数の等間隔の位相に分割したときの各位相で行な わさせるものであることがさらに好ましい。
[0016] 記憶媒体の回転の多数の位相で面振れ量を測定することにより、その記憶媒体の 全周の面振れ量を一層正確に求めることができる。
[0017] また、上記目的を達成する本発明の情報再生装置において、上記制御準備手段 は、フォーカスァクチユエータを制御して、対物レンズに、記憶媒体に近づいた後の
記憶媒体力も遠のく動作を、その記憶媒体の、対物レンズに接離する方向の面振れ の速度よりも高速に行なわさせるものであることが好ましい。
[0018] こうすることにより、対物レンズをより安全に退避させることができる。
[0019] さらに、上記本発明の情報再生装置において、上記対物レンズの、記憶媒体に接 離する方向の位置を検出する位置センサを備え、上記制御準備手段は、フォーカス 誤差信号検出時の、位置センサにより検出された対物レンズの位置に基づいて、面 振れ量を求めるものであってもよぐあるいは、上記制御準備手段は、対物レンズが 記憶媒体に近づく速度と、フォーカス誤差信号が検出されるまでの時間とに基づい て、面振れ量を求めるものであってもよい。
[0020] また、上記目的を達成する本発明の面振れ測定方法は、回転中の記憶媒体に向 けて光ビームを集光させる対物レンズを備えて記憶媒体に光ビームを集光させその 光ビームの反射光を捉えて記憶媒体に記憶されている情報を再生する情報再生装 置における、記憶媒体の対物レンズに接離する方向の面振れ量を測定する面振れ 測定方法であって、
対物レンズに、記憶媒体力 離れた離間位置力 記憶媒体に近づき記憶媒体への 光ビームの集光を受けて記憶媒体力 遠のく動作を、記憶媒体の回転の複数の各 位相で行なわさせることにより、各位相ごとの面振れ量を測定することを特徴とする。
[0021] 尚、本発明においては、情報再生装置に着目しているが、情報再生の専用機であ る必要はなぐ情報の記録と再生との双方を行なう装置であってもよい。
発明の効果
[0022] 以上説明したように、本発明によれば、対物レンズと記憶媒体との接触を回避しつ つ記憶媒体の面振れ量を測定することができ、その測定された面振れ量に基づき、 フォーカスサーボへの安定したエントリを行なうことができる。
図面の簡単な説明
[0023] [図 1]本発明の情報再生装置の一実施形態が組み込まれた光ディスク装置を示すブ ロック図である。
[図 2]フォーカス誤差信号を示す図である。
[図 3]光ディスク媒体の面振れと対物レンズの接近距離との関係を示した図である。
[図 4]図 1に示す本実施形態の光ディスク装置のエントリ試験回路の制御による、対 物レンズの動作の概略を示した図である。
[図 5]図 4を参照して説明した測定原理を利用した、光ディスク媒体の面振れの測定 過程の説明図である。
[図 6]求められた面振れ量を示す図である。
発明を実施するための最良の形態
[0024] 以下、本発明の実施の形態について説明する。
[0025] 図 1は、本発明の情報再生装置の一実施形態が組み込まれた光ディスク装置を示 すブロック図である。この図 1では、フォーカス制御に関する構成を中心に示している
[0026] この光ディスク装置 100には、図中左上に示す光ディスク媒体 10が着脱自在に装 着されてスピンドルモータ 101のターンテーブル面にクランプされ、一点鎖線で示さ れる回転軸 Rを中心に回転駆動される。
[0027] フォーカスァクチユエータ 102は対物レンズ 103を搭載し、図中右側の駆動回路 12 1からの、そのフォーカスァクチユエータ 102を構成するフォーカスコイル 102aへの 駆動信号を受けて、対物レンズ 103を光ディスク媒体 10に接離する方向(図示の矢 印 A— A方向)に駆動し、対物レンズ 103による光ビーム 20の集光点が光ディスク媒 体 10上に来るようにフォーカス制御する。
[0028] 対物レンズ 103により光ディスク媒体 10上に集光されその光ディスク媒体 10で反射 した反射光は再び対物レンズ 103を経由してフーコープリズム 104に達する。このフ 一コープリズム 104は、対物レンズ 103を通過してきた反射光を左右に 2分割し、さら に上下に屈折させる役割りを持つものである。このフーコープリズム 104を通過した 反射光はさらに検出レンズ 105によって光検出器 106上に集光する。光検出器 106 は、一例として上下左右に 4分割されたフォトディテクタ素子で構成されており、フー コープリズム 104を通過して検出レンズ 105で集光された、光ディスク媒体 10からの 反射光を受光する。
[0029] この光検出器 106での受光に応じて、この光検出器を流れる光電流は、プリアンプ 107により電圧に変換されて演算回路 108に入力され、演算回路 108では、光検出
器 106で受光した反射光の情報を基に演算を行なって、図 2を参照して後述するフ オーカス誤差信号 (FES)を出力する。このフォーカス誤差信号 (FES)は、後述する フォーカスエントリ制御回路 111およびフォーカスサーボ制御回路 112に入力される
[0030] 尚、光ディスク媒体 10からの反射光をフーコープリズム 104,検出レンズ 105,光検 出器 106等を用い、さらに演算を行なってフォーカス誤差信号 (FES)を得る過程は 広く知られており、ここでは、フォーカス誤差信号 (FES)を得るためのこれ以上の説 明は省略する。
[0031] また、この光ディスク装置 100には、固定端から見たときのフォーカスァクチユエ一 タ 102のフォーカス方向の変位(すなわち対物レンズ 103のフォーカス方向の変位) を検出してフォーカス位置信号を出力する位置センサ 109が備えられている。この位 置センサ 109から出力されたフォーカス位置信号がフォーカスエントリ制御回路 111 に入力される。
[0032] フォーカスエントリ制御回路 111は、位置センサ 109から伝達されてきたフォーカス 位置信号に基づき、対物レンズ 103の、光ディスク媒体 10への接近を指示するフォ 一カスエントリ信号を出力し、またフォーカス誤差信号 (FES)を監視してフォーカス 点の接近を示す S字 (図 2参照:後述する)を検出し、これに基づいて S字検出感知信 号やエントリ Zサーボ切替信号といった制御信号を出力する。
[0033] フォーカスサーボ制御回路 112はフォーカス誤差信号 (FES)を入力として位相補 償演算を行な 、、フォーカス点を追従するためのフォーカスサーボ信号を出力する。
[0034] フォーカス制御選択回路 113は、フォーカスエントリ制御回路 111から出力されるェ ントリ Zサーボ切替信号により、フォーカスエントリ信号とフォーカスサーボ信号とを選 択的に出力する。
[0035] 面振れメモリ 114には、光ディスク媒体一回転分の各位相における面振れ量が記 憶される。この面振れメモリ 114からは光ディスク媒体 10の回転の各位相と同期して 各位相の面振れ量が面振れ補正量として読み出され、加算器 115において、フォー カスエントリ制御回路 111で生成されたフォーカスエントリ信号がフォーカス制御選択 回路 113から出力されている間そのフォーカスエントリ信号に加算されて、光ディスク
媒体 10の面振れが考慮されたフィードフォワード制御信号が出力される。
[0036] 駆動回路 121は、このようにして生成されたフィードフォワード制御信号、あるいは フォーカスサーボ制御回路 112で生成されフォーカス制御選択回路 113から出力さ れたフォーカスサーボ信号に基づ 、て、フォーカスァクチユエータ 102のフォーカス コイル 102aに駆動信号を送り、フォーカスァクチユエータ 102に搭載された対物レン ズ 103を光ディスク媒体 10に接離する矢印 A-A方向に移動させる。
[0037] 以上は、従来の光ディスク装置にも見られる構成であり、以下では、面振れメモリ 11 4に光ディスク媒体 10の一回転分の各位相ごとの面振れ量 (面振れ補正量)が既に 記憶されていることを前提に対物レンズ 103のフォーカス制御について概説する。
[0038] フォーカスエントリ制御回路 111は、フォーカス位置信号をモニタして対物レンズ 10 3が光ディスク媒体 10から十分離れた離間位置にあることを確認して、フォーカス制 御選択回路 113に、フォーカスエントリ信号を選択するようにエントリ Zサーボ切替信 号を出力し、対物レンズ 10をその離間位置力も光ディスク媒体 10に徐々に近づける ためのフォーカスエントリ信号を出力する。このフォーカスエントリ信号は、フォーカス 制御選択回路 113を通過し、加算器 115で、面振れメモリ 114から読み出された面 振れ補正量が加算されて、光ディスク媒体 10の現在の回転の位相に適合したフィー ドフォワード制御信号が生成され、駆動回路 121は、そのフィードフォワード制御信 号に基づいて、対物レンズ 103を光ディスク媒体 10に徐々に近づく方向に移動させ る。
[0039] このとき、光ディスク媒体 10に対物レンズ 103に接離する方向の面振れが存在して いても、加算器 115から出力されるフィードフォワード制御信号はその面振れが補正 された信号であり、したがって対物レンズ 103は光ディスク媒体 10に、その光ディスク 媒体 10の面振れにも追随し光ディスク媒体 10との衝突を避けながら光ディスク媒体 10に十分に近づくことができる。
[0040] 対物レンズ 103が光ディスク媒体 10に近づいて行く間、フォーカスエントリ制御回 路 111ではフォーカス誤差信号 (FES)がモニタされており、フォーカスサーボが可能 な S字を検出すると、フォーカスエントリ制御回路 111は、フォーカス制御選択回路 1 13に向けて、フォーカスサーボ制御回路 112で生成されるフォーカスサーボ信号を
出力するよう、エントリ Zサーボ切替信号を出力する。フォーカスサーボ制御回路 11
2は、フォーカス誤差信号 (FES)が常に S字の中心 (対物レンズ 103が合焦位置に あることを表わす)となるように対物レンズ 103の動きを制御するためのフォーカスサ ーボ信号を出力し、そのフォーカスサーボ信号がフォーカス制御選択回路 113を通 過し、さらに加算器 115を単に通過して駆動回路 121に伝えられる。駆動回路 121 は今度はそのフォーカスサーボ信号に基づいてァクチユエータ 102に駆動信号を出 力し、対物レンズ 103が常に合焦状態を保つようにァクチユエータ 102を駆動する。
[0041] このような状態が実現した後、光ディスク媒体 10への情報の書込みやその光デイス ク媒体 10に書き込まれている情報の読出しが行なわれる力 これら情報の書込み、 読出しの構成および制御方法は広く知られており、ここでの主題でもないので、この 点に関する図示および説明は省略する。
[0042] 図 1に示す光ディスク装置 100には、さらに、エントリ試験回路 116が備えられてい る。エントリ試験回路 116は、スピンドルモータ 101から、光ディスク媒体 10の一回転 ごとに出力される回転基準信号 (INDEX)力 の経過時間に基づきフォーカスェント リ制御回路 111にエントリ動作を開始させて対物レンズ 103を光ディスク媒体 10に所 定の速度で徐々に接近させ、そのフォーカスエントリ制御回路 111からフォーカス誤 差信号の S字を検出したことを表わす S字検出通知信号を受け取るとそのフォーカス エントリ制御回路 111に対しエントリ停止信号を出力して、対物レンズ 103を、光ディ スク媒体 10から、その光ディスク媒体 10の面振れの速度よりも高速に離間させる。
[0043] また、エントリ試験回路 116は、フォーカスエントリ制御回路 111にエントリ動作の開 始を指示して力 エントリ動作の停止を指示するまでの時間を計測し、その計測結果 から、光ディスク媒体 10の回転に伴って出力される回転基準信号 (INDEX)からの 経過時間における、光ディスク媒体 10の面振れ量を算出して面振れメモリに書き込 む。
[0044] ここでのエントリ試験回路 106の動作は、多くの場合、プログラム〖こよる CPU動作と して実現される。また、この CPUは、図 1中のフォーカスエントリ制御回路 111ゃフォ 一カスサーボ制御回路 112といった点線枠内のブロックの動作を実現させるプロダラ ムが実行される CPUと同一のものであってもよい。
[0045] 以下では本実施形態におけるエントリ試験回路の動作について図を用いて詳しく 説明する。
[0046] 図 2は、フォーカス誤差信号を示す図である。横軸は、光ディスク媒体 10と対物レン ズ 103との間のギャップ、縦軸はフォーカス誤差信号の信号レベルを表わしている。
[0047] フォーカス誤差信号 (FES)は、フォーカス点(ここに示す例では 30 μ m)よりも大き く離間した位置においては、おおむねゼロレベル、すなわちフォーカス誤差に対して 非常に感度の低いという特性をもっている。そしてフォーカス点に近づいてくると、フ オーカス点(30 m)からのずれ (フォーカス誤差)がおよそ数 μ m—" h数 μ mのとこ ろまで近づいた段階で急激に立ち上がり、さらに近づくと急激に立ち下がって信号レ ベルがゼロのポイント(フォーカス点)を通ってマイナスレベルとなり、マイナス側のピ ークを経由して再びゼロレベルに近づくという S字カーブを迪る。
[0048] ここで、高解像度,高速転送を実現するために、高開口数'短焦点距離の対物レン ズを使用すると、フォーカス点における対物レンズと光ディスク媒体とのギャップは数 十/ z m (図 2には一例として 30 mと記載)と 、うオーダになる。このような光学系で は、対物レンズを離間位置力 光ディスク媒体に接近させていった場合、そのギヤッ プが数十/ z mになってようやく両者の位置関係が確定することになる。
[0049] ところで、光ディスク媒体は回転によって面振れが発生し、そのオーダは数百 μ m にもなる。したがって前述した対物レンズと光ディスク媒体との位置関係を知るために は、数百/ z mもの面振れが生じている中で数十/ z mもの近距離に接近させる必要が あること〖こなる。この場合、光ディスク媒体 10と対物レンズ 103の衝突の危険性が増 大する。
[0050] 図 3は、光ディスク媒体の面振れと対物レンズの接近距離との関係を示した図であ る。
[0051] 図 3 (A)は、焦点距離が十分長い従来型の対物レンズを使用した場合の説明図で あり、対物レンズを光ディスク媒体の面振れの領域の外の安全な位置に停留させて 面振れを測定することが可能である。ところが、ここで問題にしているのは、高密度記 録設計の高開口数 Z短焦点の光学系であり、図 3 (B)に示すように、光ディスク媒体 の面振れの領域の中に飛び込まないと合焦できず、面振れ測定時に衝突する危険
'性が高い。
[0052] 図 4は、図 1に示す本実施形態の光ディスク装置のエントリ試験回路の制御による、 対物レンズの動作の概略を示した図である。
[0053] ここでは、光ディスク媒体の面振れ領域が矢印 Bでが示されており、光ディスク媒体 は、実線で示す位置に現在あるものとする。
[0054] ここでは、光ディスク媒体 10は矢印 Cに示す方向(対物レンズ 103に近づく方向)に 移動し、先ず図 4 (A)に示す位置に達し、そのとき対物レンズ 103は矢印 D方向(光 ディスク媒体 10に近づく方向)に移動しているものとする。
[0055] その後、さらに図 4 (B)に示すように、光ディスク媒体 10が面振れによりさらに矢印
C方向に進んだ位置に達し、これとともに対物レンズ 103はさらに矢印 D方向に進ん だ位置に達し、この図 4 (B)に示すタイミングで、図 2に示すフォーカス誤差信号の立 ち上がりから合焦点位置 (あるいはその極く近辺)が検出されたものとする。
[0056] すると、今度は、図 4 (C)に示すように、対物レンズ 103は直ちにその移動方向を反 転して矢印 E方向(光ディスク媒体 10から遠ざ力る方向)に光ディスク媒体 10の面振 れの速度よりも高速に後退する。
[0057] こうすることにより、面振れ量が不明の段階において、光ディスク媒体と対物レンズ の衝突をさけつつ、その面振れ量を測定することができる。
[0058] ここで、この動作では、 1回につき、光ディスク媒体の回転のある 1つの位相につい て(例えば図 4 (B)の状態)のみ面振れ量を測定することができ、この動作を光デイス ク媒体の回転の各位相について行なうことにより、光ディスク媒体の一回転全域にわ たる面振れ量を測定することができる。
[0059] 図 5は、図 4を参照して説明した測定原理を利用した、光ディスク媒体の面振れの 測定過程の説明図である。
[0060] 図 5 (A)は、図 1に示すスピンドルモータ 101から、光ディスク媒体 10の一回転につ き 1パルス出力される回転基準信号 (INDEX)であり、そのパルス間隔は一回転周期
Tである。
[0061] 図 5 (B)は、光ディスク媒体 10の、対物レンズ 103と対向するポイントの面振れの時 間変化を示しており、ここでは、周期 Tの正弦波形状で示してある。
[0062] 図 5 (C)は、対物レンズ 103のフォーカス点(レーザ光の集光ポイント)の変化を示し て 、る。図 1に示すエントリ試験回路 116がフォーカスエントリ制御回路 111にエントリ 開始トリガ信号を与えると、フォーカスエントリ制御回路 111は、対物レンズ 103を、光 ディスク媒体 10に向力つて、離間位置 (基準となる位置)から一定速度 νθで移動させ るフォーカスエントリ信号を出力する。
[0063] このとき、図 1のフォーカス制御選択回路 113は、フォーカスエントリ制御回路 111 側に切替えられており、フォーカスエントリ制御回路 111から出力された速度 νθを指 示するフォーカスエントリ信号はフォーカス制御選択回路 113を通り過ぎる。また面振 れメモリ 114には未だ面振れ補正量が記憶されて 、な 、(あるいは以前の、あてにな らな 、面振れ補正量が記憶されて 、る)ため加算器 115でも何も加算されずにその まま通り過ぎ、駆動回路 121によりフォーカスァクチユエータ 102が駆動されて、対物 レンズ 103が一定速度 νθで光ディスク媒体 10に近づく方向に移動し、その対物レン ズ 103のフォーカス点(レーザ光の集光点)も光ディスク媒体 10に向力つて移動する 。するとあるところまで移動した時点でフォーカス点が光ディスク媒体の記録膜面上 に合焦し、フォーカスエントリ制御回路 111により、フォーカス誤差信号の S字カーブ ( 図 2参照)が検出され、エントリ試験回路 116に向けて S字検出通過信号が出力され る。すると、エントリ試験回路 116は、フォーカスエントリ制御回路 111にエントリ停止ト リガ信号を出力する。フォーカスエントリ制御回路 111は、そのエントリ停止トリガ信号 を受けると、対物レンズ 103を高速に光ディスク媒体 10から離れる方向に退避させる ことを指示するフォーカスエントリ信号を出力し、駆動回路 121は、そのフォーカスェ ントリ信号を受けて、対物レンズ 103を高速に退避させるようフォーカスァクチユエ一 タ 102を駆動する。
[0064] 図 5 (D)は、図 5 (A)に示す回転基準信号を基準としたときの、エントリ試験回路 11 6がエントリ開始トリガ信号を出力するまでの遅延時間を示している。
[0065] ここに示す例では、この遅延時間は、一回転の周期 Tを N分割した時間ずつ変化し
( (0/N)T, (1/N)T, (2/N)T, · ··, (n/N)T, ···)、その変化した各遅延時間 につ!/、て上記の面振れ測定の動作が繰り返される。
[0066] 図 5 (E)は、エントリ試験回路 116がエントリ開始トリガ信号を出力して力もフォー力
ス誤差信号の S字カーブが検出されるまでの時間を表わしている。図 5 (D)の遅延時 間と同じだけ面振れの位相も変化しており、したがって図 5 (E)に示す時間 t[0] , t[l ] , t[2] ,•••ttn] ,…も変化する。図 5 (F)は、図 5 (D)と図 5 (E)とから算出される各 位相ごとの面振れ量を示している。エントリに要する時間 t[n]は周期 Tと比べ十分に 短ぐフォーカス点の移動速度 (対物レンズの移動速度) νθと移動時間 t[n]との積 Y [n] =vO X t [n]が、図 5 (A)に示す回転基準信号 (INDEX)からの時間 { (n/N) T +t[n] }経過後の面振れ量として求められる。
[0067] 図 1に示すエントリ試験回路 116では、このようにして面振れ量を求め、その求めた 面振れ量を面振れメモリ 114に記憶させる。
[0068] 図 6は、上記のようにして求められた面振れ量を示す図である。
[0069] このような面振れ量の測定を n=0, 1, 2, · ··, N— 1と変化させた各タイミングで行な うことにより、図 6に示すように、光ディスク媒体全周の面振れ量が測定され、光デイス ク媒体全周の面振れ量が面振れメモリ 114に記憶される。
[0070] このような面振れ量の測定は、例えば光ディスク媒体 10の交換時などに行なわれる
[0071] 尚、ここでは、面振れ量 Y[n]を VO X t[n]として求めた力 図 1に示す光ディスク装 置 100にはフォーカスァクチユエータ 102の位置(したがって対物レンズ 103の位置) を測定する位置センサ 109が備えられており、その位置センサ 109から出力されるフ オーカス位置信号をエントリ試験回路 116に入力して、エントリ試験回路 116は、その フォーカス位置信号に基づ 、て面振れ量を求めてもょ 、。
[0072] 以上のように、本実施形態によれば、フォーカスサーボループを閉じる(図 1に示す フォーカスサーボ制御回路 112による制御を開始する)よりも前にディスクの面振れを 測定することができ、初期のフォーカスエントリ時においても面振れメモリによるフィー ドフォワード制御が可能となるため、安全なフォーカスエントリが可能となる。
[0073] また、本実施形態によれば、対物レンズを光ディスク媒体に接近させる際、フォー力 ス誤差信号を検出した時点で、対物レンズを光ディスク媒体から高速に退避させるの で、焦点距離が光ディスク媒体の面振れよりも短くなるような光学系に対しても、面振 れ測定時にぉ 、て、対物レンズと光ディスク媒体との衝突を避けることができる。