明 細 書
ディスク装置
技術分野
[0001] 本発明は、情報の読み取り、書き込みに用いられるディスク装置に関するものであ る。さら〖こ詳しくは、ディスク装置が備えるディスク状記録媒体 (以下、単にディスクとも
V、う)の少なくとも一方の面側に記録再生用のヘッドが配置されたディスク装置にお いて、ディスクをノヽブに固定する薄型のクランプ構造に関する。
背景技術
[0002] 近年、ディスク装置の高密度化が進み、小記録面積のディスク上にも大容量の情報 を記録できるようになってきたことから、モパイル機器等の記録媒体としてディスク装 置に利用するための各種技術の開発が進められてきている。また、モパイル機器の 記録媒体に必要な条件として、小型軽量であることはもちろん、その使用特性上、低 消費電力および耐衝撃性も求められて ヽる。
[0003] 図 16は、従来のディスク装置におけるクランプ構造の第 1の例を示す断面図である 。図 16において、クランプ部材 3は、そのディスク押圧部 3gとハブ 2のディスク受け面 2eとの間にねじ 4の軸力によりディスク 1を挟み込む。そして、それぞれの部材の接触 部分の摩擦力によってディスク 1がハブ 2に一体的に固定されている。この摩擦力を 超えるような大きな衝撃が加わった場合、ディスクシフトと称するクランプ部材 3とハブ 2に固定されているディスク 1の位置が大きくずれる現象が生ずることがある。このディ スクシフトは、ディスク 1の回転振れを発生させる要因の 1つである。ディスクシフトが 生じると、本来回転中心軸と同軸的に設けられているデータトラックに大きな偏心が 生じ、磁気ヘッド(図示せず)のデータトラックへの正確な追従が困難になる。
[0004] ハードディスクがモパイル機器の記録媒体として使用される場合、非動作時に 150 OGを超える衝撃が加わった後でも、正常な動作を保証するような耐衝撃性を要求さ れることが多い。耐衝撃性を高めるために以下のような構成が提案されている。例え ば、強い衝撃に起因するディスクシフトを防ぐには、図 16に示したようなディスク装置 において、ディスク 1を固定している前述の摩擦力を大きくすることが必要になるため
、摩擦係数を大きくするか、または、ねじ 4の軸力を大きくする方法が考えられ、以下 に述べる理由により、軸力を大きくする方法が従来は採用されていた。すなわち、第 一には、加工精度の向上要求に加えて、バリゃコンタミネーシヨンの付着等を抑止す るため、面粗さを細密にする必要があり、第二には、現行のディスク 1面上のヘッドの 数十ナノメータ (nm)の浮上量に対して、技術の開発傾向がさらなるヘッドの浮上量 を低下させることを目指していることから、ハブ 2、クランプ部材 3、およびディスク 1の 面粗さは細力 、方が好まし 、のであるが、ハブ 2およびクランプ部材 3またはディスク 1の一方の面の面粗さを粗く(摩擦係数を大きく)することによるディスクシフトの抑制 ができないこと、また、技術的にはデータ領域を除くクランプ領域のみ面粗さを粗くす る方法も可能であるが、コストアップが避けられないことによって、軸力を大きくする方 法が採用されていた。
[0005] ところが、軸力を大きくして耐衝撃性を高めると、クランプ部材 3を締め付けた際のク ランプ力に起因してディスク 1の回転同期振れが大きくなつてしまう。このことは、耐衝 撃性を高めるための条件と、クランプ力に起因するディスク 1の回転同期振れを解消 するための条件が相反することを意味している。それゆえ、耐衝撃性の向上と回転同 期振れの解消とを両立させることは、特に小型のディスク装置の開発において重要で ある。
[0006] さらに、クランプ力の増加に起因するディスク 1の回転同期振れを最小限に抑える ためには、ディスク押圧部 3gの中心軸をノヽブ 2のディスク受け面 2eとディスクの中心 軸と同軸に保つ必要がある。以下、上述した従来の磁気ディスク装置におけるクラン プ構造を用いて、これらの関係を説明する。
[0007] 図 16において、ディスク 1はハブ 2の中央突出部であるディスク挿入部 2aに挿入さ れる。ディスク 1の一方の面はハブ 2のディスク受け面 2eで受けられている。クランプ 部材 3は、ディスク 1と同軸的にディスク 1の他方の面上に載置され、ねじ 4と、ハブ 2 の回転軸部 9に設けられためねじ (雌ねじ) 2cとの間で締め付けられる。このとき、ね じ 4のねじ頭部 4bの直径はクランプ部材 3の中心孔 3aの直径よりも大きいので、ねじ 4を軸受スリーブ 8の内周面を回転する回転軸部 9のめねじ 2cに締め付けた際に軸 力が発生する。軸力は、ねじ頭部座面 4cからクランプ部材 3の中心孔 3a付近の底面
3fに伝わり、ディスク押圧部 3gにおいてディスク 1の他方の面を押さえてクランプ部材 3がディスク 1をハブ 2に同軸的、かつ一体的に固定する。また、ハブ 2の外周部には 、ハブ 2を回転させるためのモータの構成部品である永久磁石 7が固定されている。 この永久磁石 7の磁石の磁力を有効に使用し、かつヘッドへの漏れ磁束を抑制する ためにハブ 2は、マルテンサイト系の鋼材力 作成されている。
[0008] ディスク 1とハブ 2とを同軸的に搭載するために、ディスク 1の中心孔と、ディスク 1の 中心孔直径よりもわずかに小さい回転軸部 9のハブ揷入部 9aの外周円筒部と位置 決めし、嵌合させる。また、クランプ部材 3とハブ 2とを同軸的に搭載するために、回転 軸部 9のハブ揷入部 9aと、このハブ揷入部 9aの直径よりもわずかに大き 、直径を有 するクランプ部材 3の中心孔 3aとを位置決めして嵌合させる。位置決めは、ハブ挿入 部 9aとクランプ部材 3とが、力かり代を有するように配置することで実現される。力かり 代は、クランプ部材 3が中心軸に垂直な方向(すなわち、ディスク 1の半径方向)にず れないようにするために設けられる。クランプ部材 3は、力かり代を除いた厚みだけた わみ、ねじ 4により締め付けられる。
[0009] また、図 17は、従来のディスク装置におけるクランプ構造の第 2の例を示す断面図 である。第 2の例の構造が第 1の例と異なるのは、クランプ部材 3の傾きに起因するデ イスク 1の回転軸方向の振れを抑制するためにクランプ部材 3の円周上に複数本の ねじ 4を配した点である。
[0010] 上述した従来のディスク装置は、 1枚のディスクのみを備えた構成であった力 大容 量化を実現するために、記録領域を両面に設けたディスクを用いるほか、複数枚の ディスクを用いる構成も採用されて 、る。複数枚のディスクを備えたディスク装置では 、例えば、ディスクとスぺーサとをノヽブとクランプ部材との間に交互に積層し、クランプ 部材の外周領域によってディスクおよびスぺーサを積層方向に押し、ディスクおよび スぺーサをハブに固定する構成を用いている。図 18は複数枚のディスクを備えた従 来のディスク装置におけるクランプ構造の第 3の例を示す断面図である。
[0011] 図 18において、ノヽブ 121は、軸受 124、 125を介してブラケット 122に設けられたシ ャフト 123の周りに回転することができる。ロータハブ 126がハブ 121およびシャフト 1 23に固着されている。シャフト 123にはステータ 127が取り付けられ、ハブ 121には口
ータ磁石 128が取り付けられていて、ステータコイルに電流を供給することによって、 ハブ 121がロータ磁石 128とともに回転する。ディスク 100はハブ 121のフランジ 129 に直接接触し、ディスク 110はディスク 100との間にスぺーサ 130を介在して、デイス ク 120はディスク 110との間にスぺーサ 131を介在して、ハブ 121にそれぞれ嵌合さ れている。クランプ 132がロータハブ 126に嵌合されているとともに、ネジ 133によつ てノヽブ 121に固定され、ディスク 100、 110、 120とスぺーサ 130、 131をフランジ 12 9に向かって圧着して、これらをハブ 121に固定させている。さらに、フランジ 129に は突出部 121aが設けられている。この突出部 121aはクランプ 132を装着したときに 生じるスぺーサ 130とディスク 100との接触点よりも外側に位置し、フランジ 129のデ イスク 100に対向する表面に設けられている。この突出部 121aがディスクを変形させ ようとする曲げモーメントと反対向きの曲げモーメント Mを発生させて、ディスクをフラ ットに維持するように構成されている(例えば、 日本公開特許公報 特開平 6— 1396 75号公報参照)。
[0012] また、上述したような従来のディスク装置では、最近ますます増加しているディスク 記録密度の向上により、温度変化によるクランプ部材のずれにより、トラックずれが発 生し、再生できなくなるという問題が発生しており、この問題の対策として、クランプ部 材ゃディスクスぺーサをディスクと線膨張係数が略等しい材質で構成する方法が提 案されている(例えば、 日本公開特許公報 特開平 6— 168536号公報、特開 2002 133743号公報参照)。
[0013] さらに、ディスク装置をモパイル機器に搭載するために、装置そのものの薄型化が 望まれており、薄型化を実現するために、ディスクの厚みを薄くしたり、ディスクの片 側のみに記録再生用のヘッドを配置したり、ディスク 1枚当たりの記録容量を上げたり すると!/、つた方法が考えられて 、る。
[0014] し力しながら、上述した第 1の例の構成においては、ディスクをクランプすることによ つて発生するディスクの反りの方向、さらには、反りの量を安定的にコントロールでき ないという課題を有しており、このことにより、ヘッドの浮上量が安定しないという、最 悪の場合にはヘッドがディスクと接触するというさらに別の課題を抱えることになる。
[0015] また、別に提案されている第 2の例の構成、すなわち複数本のねじ 4を用いてデイス
ク 1をノヽブ 2に固定するクランプ方法は、ねじ 4を締めることによるクランパの変形、ま たは、ディスク押圧力が不均一になり、図 19に示すように、ディスク内周部において ねじの本数だけ歪みやうねりを生ずるという新たな課題が出現する。尚、図 19は従来 のディスク装置におけるクランプによるディスクの変形を示す図である。
[0016] さらに、近年の装置の薄型化に伴いディスクそのものの厚みも薄くなる傾向にあり、 その結果、ディスクの強度も低くなり、ディスクの円周方向の歪みやうねりが大きくなる とともに、ディスクの半径方向の反り量が大きくなる。このようなディスク内周部の歪み やうねりは、ディスク装置の動作中にディスク内周部ではこの歪みやうねりが原因とな り瞬間的にヘッド 20とディスク 1との浮上隙間の変動を発生させる。例えば、クランプ 部材 3を締結するねじの本数が 3本の場合、ヘッド出力は図 20に示すようにディスク 1の一回転毎にねじの本数に対応する出力の変動が起こる。ヘッド出力の最小値を 最大値で除した値をパーセントで表した値をモジュレーションと呼び、モジユレーショ ンが小さくなると、その出力波の変動に応じて再生出力信号の SZNの劣化を招き、 データ再生パルスのタイムジッタ増加によるエラーレートの低下を生じ、データの記 録'再生が不正確となる。また、ヘッド 20の目的トラックへの位置決めやデータの書き 込み、読み取りが正確に行われなくなる。そして、浮上量の低下力もディスク 1とへッ ドとの接触等の故障が発生するといつた課題も生じている。尚、図 20は従来のデイス ク装置におけるヘッド信号出力図である。
[0017] さらに、ディスクと線膨張係数の略等 U、材質で、クランプ部材ゃディスクスぺーサ を構成する方法にぉ ヽては、ディスクとクランプ部材ゃディスクスぺーサの温度変化 による伸び縮みは同一の傾向で変化する力 ディスクと異なる材質で構成されている ハブの線膨張係数がディスクよりも大きいので、クランプ部材の装着によってハブとデ イスクの間に形成される接触点、あるいは接触面のモータの回転軸中心からの距離 R hと、ディスクとスぺーサリングの間に形成される接触点、あるいは接触面のモータの 回転軸中心からの距離 Rsが変化する。その結果、ディスクの反り量、また反り方向が 変化する。
[0018] 例えば、通常温度(25°C)で、図 21Aに示すようにディスク 1が反りのない略平坦に なるように調整されている場合、マルテンサイト系 SUS製ノヽブ 2の線膨張係数(9. 2
〜12 X 10"6)、ガラスまたはアルミ製のクランプ部材 3等の線膨張係数 (ガラス製の 場合で 6〜7. 2 X 10_6、アルミ製の場合、約 23. 5 X 10-6)との違いにより、ディスク 1とハブ 2との接触位置の回転軸中心力 の距離 Rhと、ディスク 1とクランプ部材 3側 との接触位置の回転軸中心からの距離 Rsが、周囲温度の変化により相対的に変化 する。すなわち、ディスク 1の材質がガラスの場合、高温になるとハブ 2の延び率がク ランプ部材 3の延び率よりも大きいので、ディスク 1とハブ 2との接触位置の回転軸中 心からの距離 Rh力 ディスク 1とクランプ部材 3との接触位置の回転軸中心からの距 離 Rsより外周部に移動することになり、図 21Bに示すように、ディスク 1の外周方向に 向かってディスク 1がクランプ部材 3の方向に反る。一方、ディスク 1の材質がアルミの 場合、同じように高温になるとクランプ部材 3の延び率力 ハブ 2の延び率よりも大き いので、ディスク 1とクランプ部材 3との接触位置の回転軸中心からの距離 Rsが、ディ スク 1とハブ 2との接触位置の回転軸中心からの距離 Rhより外周部に移動することに なり、図 21Cに示すようにディスク 1の外周方向に向力つてディスク 1がハブ 2の方向 に反る。逆に低温環境になると、高温時と逆の現象が生ずる。したがって、材質と温 度の変化によってディスクの反りの方向が変化するので、ヘッドの浮上状態が変化し てヘッドの記録再生に支障を来たすという課題もある。
[0019] 一方、複数枚のディスクを備えたディスク装置の構成においては、ハブがクランプの 加圧力によって変形し、ディスクが径方向に変形して反りが生じる。また、ディスク装 置が小型化すると、スピンドルモータも小型化し、ハブの剛性も低下するとともに、デ イスクの厚みも薄くなるため、変形もより大きくなる。そして大容量ィ匕を実現するために は、ディスクにおけるデータの記録密度を高めるだけでなぐデータ記録の分解能を 上げる必要があり、このために、ヘッドの浮上量は、非常に小さくなつている。さらに、 ディスクが小径化すると、ディスクをクランプする領域力 より内径にシフトするため、 ディスクが変形する度合いは、さらに増加する傾向にある。
[0020] また、図 18に示したような複数枚のディスクを備えた従来のディスク装置におけるク ランプ構造では、クランプ 132を装着したときに生じるスぺーサ 130とディスク 100と の接触点よりも外側に位置するように、フランジ 129に突出部 121aを設けることによ つて、ディスクを変形させようとする曲げモーメントと反対向きの曲げモーメント Mを発
生させて、ディスクをフラットに維持するように構成されている。さらに、この構成のクラ ンプ構造では、ディスクの変形を小さく抑える、あるいは、環境温度の変化によって発 生するディスクの変形を小さく抑えることが考慮されている力 ディスクを確実にフラッ トに維持し、ディスクの変形を全くなくすことは非常に難しいことに加えて、ディスクに 小さな変形が生じたとき、その変形の方向によっては、充分なヘッド出力が得られな くなることが生じると!、う課題も生じて!/、る。
[0021] さらに、上述した従来のディスク装置におけるクランプ構造では、ディスクの厚みが 薄くなるに伴い、クランプによるディスクの変形量や歪みが大きくなつて記録容量を上 げることができな 、、また安定的なヘッド浮上を得ることができな 、と 、う課題も出現し ている。
発明の開示
[0022] 本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、ディスクのクランプ 構造を有するディスク装置において、ディスクをクランプすることによって発生するディ スクの変形量および変形方向を規定し、ヘッドを安定的に浮上させることを可能にし 、ヘッド出力の低下等を抑止してヘッド出力の安定性、信頼性を向上さるとともに、デ イスクのゆがみの発生を防止し、かつ温度変化に関わらず安定的なディスクのスピン ドルに対する固定構造を有し、薄型化、高容量ィヒを図ることが容易なディスク装置を 提供することを目的とする。
[0023] 上記の目的を達成するために、本発明のディスク装置は、一方の端部の外周部に 円筒面力 なるディスク挿入部と平面部力もなるディスク受け部とを有し、かつ回転自 在に支承されたハブと、ディスク挿入部と嵌合する内孔を有し、ディスク状記録媒体 のいずれか片方の面に対向して配設され、ディスク状記録媒体上を浮揚走査し、デ イスク状記録媒体上に記録された信号を読み取り、ある 、はディスク状記録媒体上に 信号を記録するヘッドと、ディスク受け部にて保持されたディスク状記録媒体と、ディ スク受け部との間にディスク状記録媒体を挟持するクランプ手段とを備え、ディスク受 け部は傾斜面で構成されている。また、クランプ手段は、クランプ部材および複数の ねじからなり、ハブの天面に載置されたクランプ部材を複数のねじにより締め付け、デ イスク状記録媒体を前記クランプ部材によって挟持する構成のみならず、ディスク状
記録媒体の中央部側の形状がヘッドを配設した側力 見て凸面形状を有して 、る構 成や、クランプ部材の装着によってハブとディスク状記録媒体の間に形成される接触 点または接触面の軸中心からの距離を Rhとし、ディスク状記録媒体とクランプ部材の 間に形成される接触点または接触面の回転軸中心からの距離を Rsとしたとき、距離 Rhと Rsとの関係がディスク状記録媒体から見てヘッドをノヽブのディスク受け部側に配 設する場合は Rs >Rhであり、ヘッドをクランプ部材側に配設する場合は Rs < Rhで ある構成を有してもよい。
[0024] これらの構成により、ディスク面の片側にのみ記録再生用のヘッドが存在するデイス ク装置にぉ ヽて、ヘッドが配設された側から見てディスクの形状を凸面形状にするこ とによって、安定したヘッド浮上を得ることが可能になるとともに、ヘッドとディスクの接 触を防止することが可能となる。さらに、ディスク受け部の平面形状をヘッドが配設さ れた側力 見て凸面形状にすることにより、簡単な構成でヘッドが配設された側から 見てディスクの形状を凸面形状にすることが可能となる。また、ディスクの形状を凸面 形状にすることは、ディスクを挟持したことによってハブとディスクとの間に形成される 接触点、あるいは接触面の回転軸中心からの距離 Rhと、ディスクとクランプ部材との 間に形成される接触点、あるいは接触面の回転軸中心からの距離 Rsとの関係をディ スクカも見てヘッドが配される側を大きくすることによつても可能になる。したがって、 簡単な構成で、安定したヘッド浮上を得ることが可能になるとともに、ヘッドとディスク の接触を防止することができる。
[0025] また、本発明のディスク装置の上記構成において、クランプ手段がスぺーサリング、 クランプ部材および複数のねじ力 なり、ハブの天面に載置されたクランプ部材を複 数のねじにより締め付け、ディスク状記録媒体と前記スぺーサリングをクランプ部材に よって挟持するようにしても、また、クランプ部材の装着によってハブとディスク状記録 媒体の間に形成される接触点または接触面の回転軸中心からの距離を Rhとし、ディ スク状記録媒体とスぺーサリングの間に形成される接触点または接触面の回転軸中 心からの距離を Rsとしたとき、距離 Rhと Rsとの関係は、ディスク状記録媒体から見て ヘッドがハブのディスク受け部側に配設される場合は Rs>Rhであり、ヘッドがスぺー サリング側に配設される場合は Rsく Rhである構成を有している。また、この構成に加
えて、スぺーサリングは、ディスク状記録媒体が接触する側の一部に段差を設けよう にしても、スぺーサリングは、ディスク状記録媒体に接触する面およびクランプ部材と 接触する面にそれぞれ段差を設けるようにしても、またスぺーサリングは、ビッカース 硬度 500以上、ヤング率 200000NZmm2以上の材質からなるようにしても、さらに、 スぺーサリングの平面度を 5 μ m以下とするようにしてもょ 、。
[0026] これらの構成により、ディスクを固定する際に、通常のクランプ部材の他に、スぺー サリングを介してディスクを固定する構造を採用しているので、簡単な形状で平面性 を出すことが可能なスぺーサリングを介してディスクをノヽブに固定することにより、ディ スク変形を低減することが可能となり、また、ハブの線膨張係数とスぺーサリングの線 膨張係数を同一、または略同一にしたことにより、クランプ部材の装着によってハブと ディスクの間に形成される接触点または接触面のモータの回転軸中心力ゝらの距離 R hと、ディスクとスぺーサリングの間に形成される接触点または接触面のモータの回転 軸中心からの距離を Rsの位置関係が、周囲の温度変化に関わらず変化しに《なる ので、温度変化によるディスクの半径方向の反りの変化が少なくなり、周囲の温度変 化に関わらず、ヘッドの浮上量を安定化させることが可能となる。また、クランプ部材 との間にスぺーサリングを介してディスクを挟持したことによってハブとディスクとの間 に形成される接触点、あるいは接触面の回転軸中心からの距離 Rhと、ディスクとスぺ ーサリングとの間に形成される接触点、あるいは接触面の回転軸中心からの距離 Rs との関係は、ディスクから見てヘッドが配される側が大きくすることにより、ディスク受け 部の平面形状によらず、ヘッドが配設された側力 見てディスクの形状を凸面形状に することが可能になるとともに、使用温度環境によらず、安定したヘッド浮上を得るこ とが可能になるとともに、ヘッドとディスクの接触を防止することが可能となる。さらに、 ディスクおよびクランプ部材にそれぞれ接触する面積が小さくなり、それらの接触面 の平坦度の精度を高くすることができるとともに、クランプ部材を弾性変形させ、その 弾性力によってスぺーサリングを介してディスクをノヽブのディスク受け部に押圧するこ とができる。また、ディスクが反ったときに、ディスクに余分な歪みを与えることもなくな る。
[0027] また、この目的を達成するために本発明のディスク装置の上記構成にぉ 、て、ディ
スク状記録媒体の半径方向に沿ってヘッドは中央部に配設されたヘッドエレメントと 両端部に配設されたエアべアリングレールとを有し、ディスク状記録媒体の表面とへ ッドエレメントとの距離がディスク状記録媒体の表面とエアべアリングレールとの距離 よりち大さくなるようにすることちでさる。
[0028] この構成によって、ディスクの半径方向において、ディスクに対向するヘッドの面が 、平面であっても、あるいは、ディスク側に凸の形状を有していても、ヘッドの両端部 で、ディスクの半径方向にそれぞれ形成されたエアべァリングレールとそれらに対向 するディスクの表面との距離を、ヘッドの略中央部に設けられたヘッドエレメントとそ れに対向するディスクの表面との距離より大きくすることができる。これにより、安定し たヘッド浮上とヘッド出力を得ることができるとともに、ヘッドとディスクとの接触を抑止 することができる。さらに、ディスクの厚みを薄くしても、安定的なヘッド浮上およびへ ッド出力を得ることができる。したがって、ディスク装置の薄型化、高容量ィ匕を図ること ができる。
図面の簡単な説明
[0029] [図 1]図 1は本発明の実施の形態 1におけるディスク装置の概略構造を示す部分断 面図である。
[図 2]図 2は本発明の実施の形態 1におけるディスク装置のクランプ構造を示す拡大 断面図である。
[図 3]図 3は本発明の実施の形態 1における別のディスク装置のクランプ構造を示す 拡大断面図である。
[図 4]図 4は本発明の実施の形態 2におけるディスク装置の概略構造を示す部分断 面図である。
[図 5]図 5は本発明の実施の形態 2におけるディスク装置のクランプ構造を示す拡大 断面図である。
[図 6]図 6はディスクをクランプすることによって形成されるクランプ部材とディスクの接 触点 Rsとディスクとハブの接触点 Rhとディスクの反り量の関係を表す相関図である。
[図 7]図 7は本発明の実施の形態 2における別のディスク装置のクランプ構造を示す 拡大断面図である。
圆 8]図 8は本発明の実施の形態 3におけるディスク装置の概略構造を示す部分断 面図である。
圆 9]図 9は本発明の実施の形態 3におけるディスク装置のクランプ構造を示す拡大 断面図である。
[図 10]図 10は本発明の実施の形態 3におけるディスク装置の Rsと Rhとディスクの曲 率の関係を表す相関図である。
[図 11A]図 11Aは本発明の実施の形態 3におけるディスク装置のディスクの反りがへ ッドに対して凹形状である場合のヘッド浮上量とヘッドギャップの関係を示す図であ る。
[図 11B]図 11Bはディスクの反りがヘッドに対して凸形状である場合のヘッド浮上量と ヘッドギャップの関係を示す図である。
[図 12A]図 12Aは本発明の実施の形態 3におけるディスク装置のヘッドの曲率に等し い曲率のディスクの反りによるヘッド浮上量とヘッドギャップの関係を示す図である。
[図 12B]図 12Bはヘッドの曲率より大きい曲率のディスクの反りによるヘッド浮上量と ヘッドギャップの関係を示す図である。
[図 12C]図 12Cはヘッドの曲率より小さい曲率のディスクの反りによるヘッド浮上量と ヘッドギャップの関係を示す図である。
[図 13]図 13は本発明の実施の形態 3におけるディスク装置のクランプによるディスク の変形を示す図である。
[図 14]図 14は本発明の実施の形態 3におけるディスク装置のヘッド信号出力を示す 図である。
[図 15]図 15は本発明の実施の形態 3における別のディスク装置のクランプ構造を示 す拡大断面図である。
[図 16]図 16は従来のディスク装置におけるクランプ構造の第 1の例を示す断面図で ある。
[図 17]図 17は従来のディスク装置におけるクランプ構造の第 2の例を示す断面図で ある。
[図 18]図 18は複数枚のディスクを備えた従来のディスク装置におけるクランプ構造の
第 3の例を示す断面図である。
[図 19]図 19は従来のディスク装置におけるクランプによるディスクの変形を示す図で ある。
[図 20]図 20は従来のディスク装置におけるヘッド信号出力図である。
[図 21A]図 21Aは従来のディスク装置における通常温度時のクランプによるディスク の変形状態を示す断面図である。
[図 21B]図 21Bは従来のディスク装置における高温時のクランプによるディスクの変 形状態を示す断面図である。
[図 21C]図 21Cは従来のディスク装置における低温時のクランプによるディスクの変 形状態を示す断面図である。
符号の説明
1, 100, 110, 120 ディスク(ディスク状記録媒体)
2, 121 ノ、ブ
2a ディスク挿入部(中央突出部)
2c めねじ
2e ディスク受け部
3 クランプ部材
3a 中心孔
3f 底面
3g, 3h ディスク押圧部
4 ねじ
4a めねじ部
4b ねじ頭部
4c ねじ頭部座面
6 スぺーサリング
6a, 6e 接触面
6b, 6d 段差
7 永久磁石
8 軸受スリーブ
9 回転軸部
9a ハブ揷入部
9c 回転軸中心
20 ヘッド、
20a エアべアリングレール
20b センターレール
21, 22 接触点
121a 突出部
122 ブラケット
123 シャフト
124, 25 ベアリング
126 ロータハブ
127 ステータ
128 ロータ磁石
129 フランジ
130, 131 スぺーサ
132 クランプ
発明を実施するための最良の形態
[0031] 以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[0032] (実施の形態 1)
本発明の実施の形態 1におけるディスク装置について、図 1〜図 3を用いて説明す る。図 1は本発明の実施の形態 1におけるディスク装置の概略構造を示す部分断面 図、図 2は本発明の実施の形態 1におけるディスク装置のクランプ構造を示す拡大断 面図、図 3は本発明の実施の形態 1における別のディスク装置のクランプ構造を示す 拡大断面図である。図 1、図 2、図 3中で、従来のディスク装置の構成を説明した図 1 6、図 17と同じ構成要素には同じ符号を付している。
[0033] 図 1、図 2において、内周側に孔部を有するディスク状記録媒体 1 (以下、ディスク状
記録媒体をディスクと略記する)はハブ 2の円筒状に突出するディスク挿入部 2aに挿 入される。ディスク 1の一方の面はハブ 2のディスク揷入部 2aの外周側にあるディスク 受け部 2eの上面で受けられている。このディスク受け部 2eは、半径方向の外周側に 向かうにしたがって所定の角度だけ傾斜するように構成されている。図 1、図 2に示し た構成では、ディスク受け部 2eの半径方向の外周側が下がるように傾斜がつけられ ている。ハブ 2と同一の素材、または、線膨張係数の近い素材力もなるクランプ部材 3 は、ディスク 1と同様にハブ 2のディスク挿入部 2aが揷通される内孔を有し、ディスク 1 の他方の面上に載置されている。ここで、クランプ部材 3は、ディスク 1を挟持して、ね じ 4によりハブ 2に複数箇所設けられためねじ部 4aとの間で締め付けられる。複数の ねじとクランプ部材 3がディスク 1をクランプするクランプ手段を構成して 、る。このとき 、ねじ 4のねじ頭部 4bの直径はクランプ部材 3に設けられた穴部の直径よりも大きい ので、ねじ 4をノ、ブ 2のめねじ部 4aに締め付けた際に軸力が発生する。軸力は、ねじ 頭部座面 4cからクランプ部材 3の穴部付近の底面 3fに伝わり、ディスク押圧部 3gに お!、てディスク 1の他方の面を押さえてクランプ部材 3がディスク 1をハブ 2に同軸的 かつ一体的に固定する。さらに、ディスク 1の一方の平面部に対向し、ディスク 1上を 浮揚走査し、ディスク 1上に記録された信号を読み取り再生し、あるいはディスク 1上 に信号を書き込み記録するヘッド 20が配設されている。そして、ハブ 2を回転させる ためのモータの構成部品である永久磁石 7がハブ 2の外周部に固定されている。この 永久磁石 7の磁石の磁力を有効に使用し、かつヘッド 20への漏れ磁束を抑制するた めにハブ 2は、マルテンサイト系の鋼材力 作成されて 、る。
[0034] ここで、ディスク受け部 2eの平面形状は、ヘッド 20が配設された位置力も見て凸面 形状に形成しているので、軸力によって、ディスク 1は、ディスク受け部 2eに押し付け られ、ディスク受け部 2eの形状に倣って変形する。すなわち、図 1、図 2の場合、ディ スク受け部 2eの形状が半径方向の外周側が下がるように傾斜がつけられて傘状に 形成されて ヽるので、ディスク 1の形状はヘッド 20が配設された位置から見て凸面形 状になる。
[0035] したがって、本発明の実施の形態 1におけるディスク装置によれば、クランプするこ とによってヘッド 20から見てディスク 1が凸面形状に変形するので、ディスク 1の中心
部の位置高さとヘッド 20の浮上高さと比較して、ヘッド 20とディスク 1の外周側の位 置との距離が大きくなるので、ヘッド 20がディスク 1から浮揚していれば、基本的に、 ヘッド 20の端部がディスク 1と接触することはない。したがって、図 1、図 2に示すよう な簡単な構成により、安定したヘッド浮上を得ることが可能になるとともに、ヘッド 20と ディスク 1の接触を防止することが可能となる。また、この構成においては、ハブ 2の外 周側端部とディスク 1の下側面とが接触しないように、ディスク受け部 2eの傾斜角を適 宜設定している。
[0036] なお、本発明の実施の形態 1のディスク装置にお!ヽては、クランプ側、すなわちディ スク 1の上側に信号を記録 ·再生するヘッド 20を配設する構成のディスク装置を例に 挙げて説明を行っている力 図 3に示すように、ハブ側、すなわちディスク 1の下側に 信号を記録 '再生するヘッド 20を配設してもよい。この場合、ハブ 2の上側面の形状 は、ディスク受け部 2eの上側面のディスク 1を受け、接触する部分において図 1、図 2 とは逆の向き、すなわちディスク受け部 2eの半径方向の外周側が上がるように傾斜さ せた擂鉢状に形成すればよい。そして、この構成のディスク装置では、クランプするこ とによってヘッド 20から見てディスク 1の内周側が図 1、図 2とは逆ではある力 凸面 形状に変形するので、ディスク 1の中心部の位置高さとヘッド 20の浮上高さと比較し て、ヘッド 20とディスク 1の外周側の位置との距離が大きくなる。それで、ヘッド 20力 S ディスク 1から浮揚していれば、基本的に、ヘッド 20の端部がディスク 1と接触すること はない。したがって、図 3に示すような簡単な構成により、安定したヘッド浮上を得るこ とが可能になるとともに、ヘッド 20とディスク 1の接触を防止することが可能となる。
[0037] (実施の形態 2)
続いて、本発明の実施の形態 2におけるディスク装置について、図 4〜図 7を用い て説明する。図 4は本発明の実施の形態 2におけるディスク装置の概略構造を示す 部分断面図、図 5は本発明の実施の形態 2におけるディスク装置のクランプ構造を示 す拡大断面図、図 6はディスクをクランプすることによって形成されるクランプ部材とデ イスクおよびディスクとハブのそれぞれの接触点 Rhとディスクの反り量の関係を表す 相関図、図 7は本発明の実施の形態 2における別のディスク装置のクランプ構造を示 す拡大断面図である。図 4、図 5、図 7中で、本発明の実施の形態 1のディスク装置の
構成を説明した図 1、図 2、図 3と同じ構成要素には同じ符号を付している。
[0038] 図 4、図 5において、内周側に孔部を有するディスク 1はハブ 2の円筒状に突出する ディスク揷入部 2aに挿入される。ディスク 1の一方の面はハブ 2のディスク揷入部 2a の外周側にあって凸字状に突出するディスク受け部 2eの上面で受けられている。ハ ブ 2と同一の素材、または、線膨張係数の近い素材力もなるクランプ部材 3は、デイス ク 1と同様にハブ 2のディスク揷入部 2aが揷通された内孔を有し、ディスク 1の他方の 面上に載置されている。ここで、クランプ部材 3は、ディスク 1を挟持して、ねじ 4により ハブ 2に複数箇所設けられためねじ部 4aとの間で締め付けられる。複数のねじとクラ ンプ部材 3がディスク 1をクランプするクランプ手段を構成している。このとき、ねじ 4の ねじ頭部 4bの直径はクランプ部材 3に設けられた穴部の直径よりも大きいので、ねじ 4をノ、ブ 2のめねじ部 4aに締め付けた際に軸力が発生する。軸力は、ねじ頭部座面 4 cからクランプ部材 3の穴部付近の底面 3fに伝わり、ディスク押圧部 3gにおいてディ スク 1の他方の面を押さえてクランプ部材 3がディスク 1をノヽブ 2に同軸的かつ一体的 に固定する。さらに、ディスク 1の一方の平面部に対向し、ディスク 1上を浮揚走査し、 ディスク 1上に記録された信号を読み取り再生し、ある 、はディスク 1上に信号を書き 込み記録するヘッド 20が配設されている。そして、ハブ 2を回転させるためのモータ の構成部品である永久磁石 7がハブ 2の外周部に固定されている。この永久磁石 7の 磁石の磁力を有効に使用し、かつヘッド 20への漏れ磁束を抑制するためにハブ 2は 、マルテンサイト系の鋼材力 作成されている。
[0039] ここで、ディスク 1を挟持したことによって、ハブ 2のディスク受け部 2eとディスク 1の 下側面との間には接触点 21、あるいは接触面が形成され、ディスク 1の上側面とクラ ンプ部材 3のディスク押圧部 3gとの間には接触点 22、あるいは接触面が形成される 。回転軸中心 9cから接触点 21、接触点 22までの距離をそれぞれ Rh、 Rsとしたとき、 Rh、 Rsの大きさによりディスク 1の反りの方向、および反り量が規定される。反りの大 きさ(量)と Rh、 Rsとの関係は、ディスク 1、ハブ 2、クランプ部材 3の材料、形状および 温度により異なるが、例えば、図 6に示すような関係が得られる。本発明の実施の形 態 2におけるディスク装置の構成を示す B4、 B5においては、ディスク 1から見てへッ ド 20が配設される側の距離が大きくなるように、すなわち、次に示す関係を満たすよ
うに設定している。
[0040] [数 1]
R s > R h
[0041] そして、図 6に示したグラフを用いて Rsと Rhの関係を調整することにより、ディスク 1 の反りの方向、および反り量をコントロールすることができる。
[0042] したがって、本発明の実施の形態 2におけるディスク装置によれば、ディスク 1を挟 持したことによってハブ 2とディスク 1との間に形成される接触点 21、あるいは接触面 の回転軸中心 9cからの距離 Rhと、ディスク 1とクランプ部材 3との間に形成される接 触点 22、あるいは接触面の回転軸中心 9cからの距離 Rsとの関係は、ディスク 1から 見てヘッド 20が配設される側の距離を大きくしているので、クランプすることによって ヘッド 20から見てディスクが凸面形状になる。ディスク 1の中心部の位置高さとヘッド 20の浮上高さと比較して、ヘッド 20とディスク 1の外周側の位置との距離が大きくなる ので、ヘッド 20がディスク 1から浮揚していれば、基本的に、ヘッド 20の端部がディス ク 1と接触することはない。したがって、図 4、図 5に示すような簡単な構成により、安定 したヘッド浮上を得ることが可能になるとともに、ヘッド 20とディスク 1の接触を防止す ることが可能となる。また、この構成においても、ハブ 2の外周側端部とディスク 1の下 側面とが接触しないように、接触点 21と接触点 22の位置を適宜設定する必要がある
[0043] さらに、ハブ 2とクランプ部材 3を同一の材質、あるいは、ハブ 2の線膨張係数とクラ ンプ部材 3の線膨張係数を同一または略同一の材質で構成することにより、クランプ 部材 3の装着によってハブ 2のディスク受け部 2eとディスク 1の上側面との間に形成さ れる接触点 21または接触面のモータの回転軸中心 9cからの距離 Rhと、ディスク 1の 下側面とクランプ部材 3の間に形成される接触点 22または接触面のモータの回転軸 中心 9cからの距離 Rsとの位置関係が、周囲の温度変動に関わらず変化しに《なる 。ここで、ディスク 1をクランプすることによって発生するディスク 1の半径方向の反りは 、この Rhと Rsの位置関係で決まるので、本発明の実施の形態 2におけるディスク装 置では、装置の周囲温度環境の変化に関わらず、半径方向の反りの変化を少なくす ることができる。それ故、温度変動によるディスク 1の半径方向の反りの変化が少なく
なるので、周囲の温度変動に関わらず、ディスク 1の半径方向の反り方向と反り量 (角 度)を一定にでき、ヘッド 20の浮上量が安定する。
[0044] また、本発明の実施の形態 2のディスク装置においては、上述したようにハブ 2とク ランプ部材 3の線膨張係数を略等しい素材で形成する例により説明しているが、本発 明の実施の形態 2のディスク装置はこの例に限定されるものではない。この例のほか に、例えば、ハブ 2の線膨張係数を oc Z°C、クランプ部材 3の線膨張係数を β Z°C、 クランプ位置の概略半径を R (例えば、 R= (RS+Rh)Z2と定義することができる)と すると、 β > αのとき、ディスク装置の動作保障温度を一 20°C〜80°Cとした場合、 - 20°Cにおいて、ディスク 1の反り量がゼロとなるように、通常使用温度(25°C)のときの Rhと Rsの関係を決めればょ 、ことになる。すなわち、
[0045] [数 2]
R s -R h≥ (2 5— (- 2 0)) X (β - ) XR = 4 5 X (β - α) X R
[0046] に設定すれば、動作保障温度の範囲内で、ディスク 1の反り方向は、常に一方の方 向となる。逆に、各構成部品の線膨張係数が、 (Χ > βのときは、同様に、通常使用温 度(25°C)のときの Rhと Rsの関係を
[0047] [数 3]
R s — Rh≥ (8 0 - 2 5) X (α - β ) XR= 5 5 X (α - β) XR
[0048] に設定すれば、動作保障温度範囲内で、ディスク 1の反り方向は、常に一方の方向と なる。したがって、ハブ 2とクランプ部材 3の材質は、線膨張係数が等しいか、あるい は線膨張係数が略同一の材料に限る必要はない。
[0049] さらには、本発明の実施の形態 2のディスク装置においては、クランプ側、すなわち ディスク 1の上側に信号を記録再生するヘッド 20を配する構成のディスク装置を例に 挙げて説明を行っている力 図 7に示すように、ハブ側、すなわちディスク 1の下側に 信号を記録再生するヘッド 20を配設してもよい。この場合、回転軸中心 9cから接触 点 21、接触点 22までのそれぞれの距離 Rh、 Rsの関係は、次に示す関係を満たすよ うに設定すればよい。
[0050] [数 4]
R h > R s
[0051] そして、同様に、図 6に示したグラフを用いて Rsと Rhの関係を調整することにより、 ディスク 1の反りの方向、および反り量をコントロールすることができる。
[0052] したがって、この構成のディスク装置でも、ディスク 1を挟持したことによってハブ 2と ディスク 1との間に形成される接触点 21、あるいは接触面の回転軸中心 9cからの距 離 Rhと、ディスク 1とクランプ部材 3との間に形成される接触点 22、あるいは接触面の 回転軸中心 9cからの距離 Rsとの関係は、ディスク 1から見てヘッド 20が配設される側 の距離を大きくして 、るので、クランプすることによってヘッド 20から見てディスク 1が 図 4、図 5とは逆ではある力 凸面形状になる。それで、ディスク 1の中心部の位置高 さとヘッド 20の浮上高さと比較して、ヘッド 20とディスク 1の外周側の位置との距離が 大きくなり、ヘッド 20がディスク 1から浮揚していれば、基本的に、ヘッド 20の端部が ディスク 1と接触することはない。したがって、図 7に示すような簡単な構成により、安 定したヘッド浮上を得ることが可能になるとともに、ヘッド 20とディスク 1の接触を防止 することが可能となる。
[0053] (実施の形態 3)
引き続き、本発明の実施の形態 3におけるディスク装置について、図 8〜図 15を用 いて説明する。図 8は本発明の実施の形態 3におけるディスク装置の概略構造を示 す部分断面図、図 9は本発明の実施の形態 3におけるディスク装置のクランプ構造を 示す拡大断面図、図 10は図 6はディスクをクランプして反ることによって形成されるク ランプ部材とディスクおよびディスクとハブのそれぞれの接触点 Rhとディスクの反りの 曲率半径の関係を表す相関図、図 11はディスクに反りがある場合のヘッド浮上量と ヘッドギャップの関係を説明する図、図 12はディスクおよびヘッドが曲率を有して ヽ る場合のディスクの反りによるヘッド浮上量とヘッドギャップの関係を説明する図、図 1 3は本発明の実施の形態 3におけるディスク装置のクランプによるディスクの変形を示 す図、図 14は本発明の実施の形態 3におけるディスク装置のヘッド信号出力を示す 図、図 15は本発明の実施の形態 3における別のディスク装置のクランプ構造を示す 拡大断面図である。図 8、図 9、図 15中で、本発明の実施の形態 1、 2のディスク装置 の構成を説明した図 1〜図 5および図 7と同じ構成要素には同じ符号を付している。
[0054] 図 8、図 9において、内周側に孔部を有するディスク 1は回転軸部 9に固着されたノ、 ブ 2の円筒状に突出するディスク挿入部 2aに挿入される。ディスク 1の一方の面はハ ブ 2のディスク挿入部 2aの外周側にあるディスク受け部 2eの上面で受けられている。 ハブ 2と同一の素材、または、線膨張係数の近い素材力もなるスぺーサリング 6は、デ イスク 1と同様にハブ 2のディスク揷入部 2aが揷通された内孔を有し、ディスク 1の他 方の面上に載置されている。さらに、クランプ部材 3は、ハブ 2の天面上に載置され、 ディスク 1とスぺーサリング 6を挟持して、ねじ 4によりハブ 2に複数箇所設けられため ねじ部 4aとの間で締め付けられる。ここでは、複数のねじとクランプ部材 3およびスぺ ーサリング 6がディスク 1をクランプするクランプ手段を構成している。このとき、ねじ 4 のねじ頭部 4bの直径はクランプ部材 3に設けられた穴部 ¾の直径よりも大きいので、 ねじ 4をノ、ブ 2のめねじ部 4aに締め付けた際に軸力が発生する。軸力は、ねじ頭部 座面 4cからクランプ部材 3の穴部付近の底面 3fを介してスぺーサリング 6に伝わり、 ディスク 1をハブ 2に同軸的かつ一体的に固定する。さらに、ディスク 1の一方の平面 部に対向し、ディスク 1上を浮揚走査し、ディスク 1上に記録された信号を読み取り再 生し、あるいはディスク 1上に信号を書き込み記録するヘッド 20が配設されている。な お、図 8、図 9においては、ヘッド 20のみを矩形の要素部材で示している力 実際に はヘッド 20は図示しな 、ヘッド支持機構およびヘッド支持アームにより支持されて!ヽ る。そして、ハブ 2を回転させるためのモータの構成部品である永久磁石 7がハブ 2の 外周部に固定されている。この永久磁石 7の磁石の磁力を有効に使用し、かつヘッド 20への漏れ磁束を抑制するためにハブ 2は、マルテンサイト系の鋼材力 作成され ている。
[0055] ここで、ディスク 1を挟持したことによってハブ 2のディスク受け部 2eとディスク 1の下 側面との間には接触点 21、あるいは接触面が形成され、ディスク 1の上側面とスぺー サリング 6のディスク押圧部 3hとの間には接触点 22が形成される。回転軸中心 9cか ら接触点 21、接触点 22までの距離をそれぞれ Rh、 Rsとしたとき、 Rh、 Rsの大きさに よりディスク 1の反りの方向、および反り量が規定される。反りの大きさ(量)と Rh、 Rsと の関係は、ディスク 1、ハブ 2、クランプ部材 3の材料、形状および温度により異なるが 、実施の形態 3におけるディスク装置においても、実施の形態 2におけるディスク装置
に備わるディスクで説明した図 6と同様な関係が得られる。
[0056] ここで、図 8、図 9に示した実施の形態 3におけるディスク装置に備わるディスク 1が 曲率半径 Drを有する曲面形状で反っているとする。曲率半径 Drは回転軸中心 9cか ら接触点 21、接触点 22までのそれぞれ距離 Rh、 Rsの差 (Rs— Rh)に関係する。実 際に、曲率半径 Drと距離 Rh、 Rsの差 (Rs— Rh)を実測して、横軸に (Rs— Rh)、そ して縦軸に曲率半径 Drをとつてプロットすると、例えば、図 10に示すようなグラフが得 られる。図 10の結果からわ力るように、 Rsと Rhとの相対位置関係を調整することによ り、ディスク 1の曲率半径を制御することができる。ここで、(Rs— Rh)の値が負のとき は、ディスク 1の曲率半径は正の値を示し、ディスク 1がヘッド 20側に反っていることを 示し、また、(Rs— Rh)の値が正のときは、ディスク 1の曲率半径は負の値を示し、デ イスク 1がハブ側に反って ヽることを示す。
[0057] つぎに、ディスク 1の曲率半径とヘッド 20の浮上量との関係について、図 11Aから 図 12Cを用いて説明する。図 11Aはディスクの反りがヘッドに対して凹形状である場 合のヘッド浮上量とヘッドギャップの関係を示す図、図 11Bはディスクの反りがヘッド に対して凸形状である場合のヘッド浮上量とヘッドギャップの関係を示す図、図 12A はヘッドの曲率に等しい曲率のディスクの反りによるヘッド浮上量とヘッドギャップの 関係を示す図、図 12Bはヘッドの曲率より大きい曲率のディスクの反りによるヘッド浮 上量とヘッドギャップの関係を示す図、図 12Cはヘッドの曲率より小さい曲率のデイス クの反りによるヘッド浮上量とヘッドギャップの関係を示す図である。
[0058] 最初に、ディスク 1と対向するヘッド 20の面が平坦であるときのディスク 1の反りによ るヘッド浮上量とヘッドギャップの関係について説明する。図 11Aは、ディスク 1がへ ッド 20から見て凹形状に変形している状態を表している。ディスク 1と対向するヘッド 20の面には、ディスク 1の半径方向の両端部にヘッド 20を浮上させるためのエアべ アリングレール 20aと、略中央部に情報を記録再生するためのヘッドエレメントが設け られているセンターレール 20bとが形成されている。ヘッド 20の浮上量は、ヘッド 20 の両サイドに設けられて 、るエアべアリングレール 20aによって決まる。したがって、 図 11Aに示すように、ディスク 1の形状がヘッド 20から見て凹形状に変形しているとき は、ヘッド 20の浮上量を Hhとすると、ディスク 1とセンターレール 20bに設けられたへ
ッドエレメントの距離 Hgは、 Hg>Hhとなる。したがって、ヘッドエレメントが設けられ ているセンターレール 20bの部分の浮上量が設計値より高くなる。その結果、充分な ヘッド出力が得られなくなる。
[0059] 一方、図 11Bは、ディスク 1が、ヘッド 20から見て凸形状に変形している状態を表し ている。上述の図 11Aと同様に、ヘッド 20の浮上量を Hhとすると、ディスク 1とヘッド エレメントの距離 Hgは、 Hgく Hhとなる。したがって、ヘッドエレメントが設けられてい るセンターレール 20b部分の浮上量が設計値より、低くなりヘッド出力が増加する。し たがって、ディスク 1と対向するヘッド 20の面が平坦であるとき、すなわち、ディスク 1と 対向するヘッド 20の面の曲率半径が無限大のとき、クランプすることによって発生す るディスク 1の反りの形状をヘッド 20側力も見て凸になるようにすることによって、へッ ド 20から得られる出力信号は設計値より大きくなるので、良好なヘッド出力を得ること が可能となる。
[0060] つぎに、ディスク 1と対向するヘッド 20の面がヘッドエレメントを設けたセッターレ一 ル 20bを頂点としてディスク 1の半径方向に曲率半径 Hrを持っている形状であるとき のディスク 1の反りによるヘッド浮上量とヘッドギャップの関係について、図 12Aから 図 12Cを用いて説明する。
[0061] 図 12Aに示すように、ディスク 1の反りの曲率半径 Drが、ヘッド 20の曲率半径 Hrと 等しい場合、ディスク 1からのヘッド 20の浮上量 Hhと、ディスク 1とセンターレール 20 bに設けられたヘッドエレメントとの距離 Hgが等しくなるので、ヘッド 20のヘッド出力 の低下は発生しない。また、図 12Bに示すように、ディスク 1の反りの曲率半径 Drが、 ヘッド 20の曲率半径 Hrより大きくなる場合、ディスク 1とヘッドエレメントとの距離 Hg は、ディスク 1からのヘッド 20の浮上量 Hhより小さくなるので、ヘッド 20のヘッド出力 は増加する。そして、図 12Cに示すように、ディスク 1の反りの曲率半径 Dr力 ヘッド 2 0の曲率半径 Hrより小さくなる場合、ディスク 1とヘッドエレメントとの距離 Hgは、ディ スク 1からのヘッド 20の浮上量 Hhより大きくなるので、ヘッド 20のヘッド出力は低下 する。
[0062] したがって、ディスク 1と対向するヘッド 20の面がヘッドエレメントを設けたセンター レール 20bを頂点としてディスク 1の半径方向に曲率半径 Hrを持っている形状である
とき、クランプすることによって発生するディスク 1の反りの形状は、ヘッド 20側から見 て曲率半径 Drをヘッド 20の曲率半径 Hrと同一、または曲率半径 Hrより大きくする、 あるいはヘッド 20側に凸になる形状とする。これにより、ヘッド 20から得られる出力信 号は、設計値より大きくなり、良好なヘッド出力を得ることが可能となる。
[0063] 例えば、ヘッド 20のディスク 1の半径方向の幅を、 0. 7mm、ヘッドエレメントとヘッド 端部の高低差が 10nmの場合、ヘッド 20の曲率半径の絶対値は 6125mmとなる。し たがって、ディスク 1の曲率半径の絶対値が 6125mm以上になるように、ハブ 2とディ スク 1との間に形成される接触点 11に対する回転軸中心 9cからの距離 Rhと、デイス ク 1とスぺーサリング 6との間に形成される接触点 12、すなわち接触面の中心点に対 する回転軸中心 9cからの距離 Rsとの関係を設定して、ディスク 1を挟持すればよい。 すなわち、図 10より、ディスク 1の曲率半径の絶対値が 6125mm以上になる(Rs—R h)の範囲を求めると、 -0. 12mm≤(Rs-Rh)≤0. 12mmとなる。それ故、 Rsと R hとの差の絶対値を 0. 12mm以下(図 10に示すハッチング領域)に設定すれば、デ イスク 1の変形によってヘッド 20の出力低下が発生することを防止できる。
[0064] 本発明の実施の形態 3におけるディスク装置の構成においては、実施の形態 2に おけるディスク装置と同様に、ディスク 1から見てヘッド 20が配設される側の距離が大 きくなるように、すなわち、次に示す関係を満たすように設定している。
[0065] [数 5]
R s > R h
[0066] それで、実施の形態 2の発明と同様に、図 6および図 10に示したグラフを用いて Rs と Rhの関係を調整することにより、ディスク 1の反りの方向、反り量、およびディスク 1 の反りの曲率半径 Drをコントロールすることができる。
[0067] スぺーサリング 6は、ディスク 1に円周方向に歪みやうねりが生じないように均一に押 圧するために精度の高い加工が施されている。例えば、ディスク 1の上側面に接触す るスぺーサリング 6の接触面 6aの平面度を 5 μ m以下に加工している。このスぺーサ リング 6の形状は、円環形状のような単純形状でよいため、ディスク 1の上側面に接触 する面 (接触面 6a)の平坦度が出やすい構造になっている。また、ディスク 1が反った ときに、ディスクに歪みを与えないために、ディスク 1の上側面に接触するスぺーサリ
ング 6の接触面 6aには外周側の一部に段差 6bを設けている。また、クランプ部材 3の 底面 3fに接触するスぺーサリング 6の接触面 6eにも外周側の一部に段差 6dを設け ている。この段差 6dにより、クランプ部材 3をねじ 4でノヽブ 2に挟持して固定するときに 、クランプ部材 3を弾性変形させることができるので、本発明の実施の形態 3における ディスク装置では、クランプ部材 3、ねじ 4、ディスク 1、およびノヽブ 2等の異なる材料の それぞれの線膨張係数の差によって温度変動時に生ずるねじ 4の緩み、さらには、ク ランプ力の変化を最小限に抑えることができる。
[0068] そして、モータを回転させるための永久磁石 7をノヽブ 2に一体的に保持することが 冬、、ので、永久磁石 7の漏れ磁束を低減するためにハブ 2は磁性材で形成すること が望ましい。それで、スぺーサリング 6の材質を SUS420等の高硬度、すなわち、ビッ カース硬度 500以上、ヤング率 200000NZmm2以上の磁性材で形成すれば、図 8 、図 9に示す本発明の実施の形態 3におけるディスク装置はスぺーサリング 6を介して ディスク 1を挟持する構成を有して ヽるので、ディスク 1にクランプ部材 3の円周方向 の歪みや変形 (うねり)がディスクのデータ形成領域に影響することはない。実際、図 13に示すように、クランプすることによるディスク 1への歪みやうねりの影響はほとんど 認められない。尚、図 13は本発明の実施の形態 3におけるディスク装置のクランプに よるディスクの変形を示す図である。
[0069] ここで、ハブ 2とスぺーサリング 6を同一の材質、あるいは、ハブ 2の線膨張係数とス ぺーサリング 6の線膨張係数を同一または略同一の材質で構成することにより、クラ ンプ部材 3の装着によってハブ 2のディスク受け部 2eとディスク 1の下側面と間に形成 される接触点 21または接触面のモータの回転軸中心 9cからの距離 Rhと、ディスク 1 の上側面とスぺーサリング 6のディスク押圧部 3hとの間に形成される接触点 22または 接触面 6aのモータの回転軸中心 9cからの距離 Rsとの位置関係力 周囲の温度変 動に関わらず変化しに《なる。したがって、ディスク 1をクランプすることによって発生 するディスク 1の半径方向の反りは、この Rhと Rsの位置関係で決まるので、本発明の 実施の形態 3におけるディスク装置では、装置の周囲温度環境の変化に関わらず、 半径方向の反りの変化を少なくすることができる。
[0070] すなわち、本発明の実施の形態 3におけるディスク装置によれば、ディスク 1を挟持
したことによってハブ 2のディスク受け部 2eとディスク 1の下側面との間に形成される 接触点 21または接触面の回転軸中心 9cからの距離 Rhと、ディスク 1の上側面とスぺ ーサリング 6のディスク押圧部 3hとの間に形成される接触点 22または接触面 6aの回 転軸中心 9cからの距離 Rsとの関係は、ディスク 1から見てヘッド 20が配設される側の 距離を大きくしているので、クランプすることによってヘッド 20から見てディスクが凸面 形状になる。ディスク 1の中心部の位置高さとヘッド 20の浮上高さと比較して、ヘッド 20とディスク 1の外周側の位置との距離が大きくなるので、ヘッド 20がディスク 1から 浮揚していれば、基本的に、ヘッド 20の端部がディスク 1と接触することはない。した がって、図 8、図 9に示すような簡単な構成により、安定したヘッド浮上を得ることが可 能になるとともに、ヘッド 20とディスク 1の接触を防止することが可能となる。また、この 構成においても、ハブ 2の外周側端部とディスク 1の下側面とが接触しないように、接 触点 21と接触点 22の位置を適宜設定する必要がある。
[0071] また、ディスク 1をノヽブ 2に一体的に保持するためのクランプ機構を構成する部品の 形状が単純であるので、精度の高い加工が可能となることにより、クランプによるディ スク歪みを少なくすることが可能である。さらには、ハブ 2とスぺーサリング 6を同一の 材質、あるいは、ハブ 2の線膨張係数とスぺーサリング 6の線膨張係数を同一または 略同一の材質で構成することにより、ディスク 1を保持しているディスク 1の両側の面 がそれぞれ接触点 21、接触点 22と接触する相対的な位置の変化が少なくなる。この 結果、温度変動によるディスク 1の半径方向の反りの変化が少なくなるので、周囲の 温度変動に関わらず、ディスク 1の半径方向の反り方向と反り量 (角度)および反りの 曲率半径 Drが一定になり、ヘッド 20の浮上量が安定する。
[0072] さらに、スぺーサリング 6を介してハブ 2と一体的に固定することにより、図 14に示す 例から判断できるように、ねじの締結による歪みやうねりといったモジュレーションが発 生せず、データ再生パルスのタイムジッタ増加によるエラーレートの低下が生じない。 その結果、データの記録 '再生が正確に行われることになる。そして、ヘッドの目的ト ラックへの位置決めやデータの書き込み、読み取りが正確に行われ、浮上量の低下 力もディスクとのコンタクト等が発生しに《なる。これにより、ディスクの厚みを薄くして も、安定的なヘッド浮上を得ることが可能になり、ディスク装置の薄型化'高容量化を
図ることが可能となる。尚、図 14は本発明の実施の形態 3におけるディスク装置のへ ッド信号出力を示す図である。
[0073] したがって、ディスク 1の厚みを薄くしても、クランプすることによって発生するデイス ク 1の反りの曲率半径をヘッド 20の曲率半径に対応させて決定し、ディスク 1の曲率 半径がその範囲内に収まるようにクランプの構成を決めることによって、安定的なへッ ド浮上量を得ることが可能となる。この結果、ヘッド出力の低下が生じなくなり、かつ ディスク装置の薄型化、高容量化を図ることが可能となる。
[0074] なお、本発明の実施の形態 3のディスク装置においては、図 8、図 9に示したように、 ディスクの枚数を 1枚のみの例で説明している力 ディスクの枚数は 1枚に限定される ものではない。例えば、 2枚のディスクを備えるディスク装置の場合、 1枚目と 2枚目の ディスクの間に同等のスぺーサリングを配設すればよい。
[0075] また、本発明の実施の形態 3のディスク装置においては、上述したようにハブ 2とス ぺーサリング 6の線膨張係数を略等しい素材で形成する例により説明しているが、本 発明の実施の形態 3のディスク装置はこの例に限定されるものではない。この例のほ かに、例えば、ハブ 2の線膨張係数を aZ°C、クランプ部材の線膨張係数を j8 Z°C、 クランプ位置の概略半径を Rとすると、ディスク装置の動作保障温度を Tmin (°C)〜 Tmax (°C)とした場合、 Tmin力 Tmaxの温度範囲内の温度 Tで次の(式 1)を満た すように、(Rs— Rh)の絶対値を設定すればよい。
[0076] 園
| R s - R h | + R X i α— β I X I Τ - 2 5 I ≤0 . 1 2 (式 1 )
[0077] 概略半径 Rを有効半径として、
[0078] [数 7]
R = ( R s + R h ) / 2
[0079] と定義し、常温を 25°Cとしており、 Tminおよび Tmaxのどちらの場合にも(式 1)を満 たすことが必要である。各構成部品の線膨張係数が、 j8く αのきは、 Tmin=— 20 °Cとし、ディスク 1の反り量がゼロとなるように、通常使用温度(25°C)のときの Rhと Rs の関係を求めて、
[0080] [数 8]
R s -R h≥ (2 5— (— 2 0)) x (β - a) XR=4 5 x (β— a) XR
[0081] に設定すれば、動作保障温度の範囲内で、ディスク 1の反り方向は、常に一方の方 向となる。逆に、各構成部品の線膨張係数が、 α > βのときは、 Tmax=80°Cとして 、同様に、通常使用温度(25°C)のときの Rhと Rsの関係を
[0082] [数 9]
R s — Rh≥ (8 0 - 2 5) X (α - β) XR = 5 5 X (a- ) XR
[0083] に設定すれば、動作保障温度範囲内で、ディスクの反り方向は、常に一方の方向と なる。したがって、ハブ 2とスぺーサリング 6の材質は、線膨張係数が等しいか、あるい は線膨張係数が略同一の材料に限る必要はない。
[0084] (式 1)を満足する(Rs— Rh)を求めることによって、例えば図 6、図 10に示されるよ うな測定結果を有するディスク装置に対して、設定すべきディスク 1の反りの量を規定 し、および反りの曲率半径を形成するためのディスク受け部 2eの距離 Rsとスぺーサリ ング 6の距離 Rhとの相対位置関係を求めることができる。なお、(式 1)における右辺 の数値 (0. 12mm)は、図 10に示されるような測定結果を有するディスク装置に該当 するもので、ディスク装置によってその値が変わるのは 、うまでもな!/、。
[0085] 本発明の実施の形態 3のディスク装置においては、クランプ側、すなわちディスク 1 の上側に信号を記録再生するヘッド 20を配する構成を有する図 8、図 9にしたデイス ク装置を例に挙げて説明を行って 、るが、図 15に示すようにディスク 1の下側に信号 を読み取りするヘッド 20を配してもよい。この場合、回転軸中心 9cから各接触点 21、 22までのそれぞれの距離 Rhと Rsの関係は、次に示す関係を満たすように設定すれ ばよい。
[0086] [数 10]
Rh>R s
[0087] この場合も、同様に、図 6および図 10に示したグラフを用いて Rsと Rhの関係を調整 することにより、ディスク 1の反りの方向、反り量、および反りの曲率半径 Drをコント口 一ノレすることができる。
[0088] したがって、ヘッド 20が図 15に示すようにディスク 1の下側に配置した構成のデイス ク装置においても、ディスク 1がスぺーサリング 6を用いて挟持されることによってハブ 2とディスク 1との間に形成される接触点 21、あるいは接触面の回転軸中心 9cからの 距離 Rhと、ディスク 1とスぺーサリング 6との間に形成される接触点 22、あるいは接触 面 6aの回転軸中心 9cからの距離 Rsとの関係は、ディスク 1から見てヘッド 20が配設 される側の距離の方が大きくなる。この構成の場合、図 8、図 9とは逆ではある力 クラ ンプすることによってヘッド 20から見てディスク 1が凸面形状になる。それ故、ディスク 1の中心部の位置高さとヘッド 20の浮上高さと比較して、ヘッド 20とディスク 1の外周 側の位置との距離が大きくなり、ヘッド 20がディスク 1から浮揚していれば、基本的に 、ヘッド 20の端部がディスク 1と接触することはない。したがって、図 15に示すような 簡単な構成により、安定したヘッド浮上を得ることが可能になるとともに、ヘッド 20とデ イスク 1の接触を防止することが可能となる。
[0089] なお、ディスク 1をハブ 2とスぺーサリングと 6の間に狭持するクランプ機構について も、上述した本発明の実施の形態に記述された構成に限定されない。
[0090] 上述したように、本発明のディスク装置は、ディスク面の片側にのみ記録再生用の ヘッドが存在するディスク装置にお!、て、ヘッドが配設された側から見てディスクの形 状を凸面形状にすることによって、安定したヘッド浮上を得ることが可能になるととも に、ヘッドとディスクの接触を防止することが可能できる。また、本発明のディスク装置 には、ディスク受け部の平面形状をヘッドが配設された側から見て凸面形状にするこ とにより、簡単な構成でヘッドが配設された側から見てディスクの形状を凸面形状に することが可能となる。したがって、簡単な構成で、安定したヘッド浮上を得ることが 可能になるとともに、ヘッドとディスクの接触を防止することが可能できる。また、本発 明のディスク装置は、ディスクを挟持したことによってハブとディスクとの間に形成され る接触点、あるいは接触面の回転軸中心力ゝらの距離 Rhと、ディスクとクランプ部材と の間に形成される接触点、あるいは接触面の回転軸中心からの距離 Rsとの関係は、 ディスクから見てヘッドが配される側を大きくすることにより、ディスク受け部の平面形 状によらず、ヘッドが配設された側から見てディスクの形状を凸面形状にすることによ つて、安定したヘッド浮上を得ることが可能になるとともに、ヘッドとディスクの接触を
防止することができる。さらに、本発明のディスク装置によれば、クランプ部材との間 にスぺーサリングを介してディスクを挟持したことによってハブとディスクとの間に形成 される接触点、あるいは接触面の回転軸中心力もの距離 Rhと、ディスクとスぺーサリ ングとの間に形成される接触点、あるいは接触面の回転軸中心力ゝらの距離 Rsとの関 係は、ディスク力 見てヘッドが配される側が大きくすることにより、ディスク受け部の 平面形状によらず、ヘッドが配設された側から見てディスクの形状を凸面形状にする ことが可能になるとともに、使用温度環境によらず、安定したヘッド浮上を得ることが 可能になるとともに、ヘッドとディスクの接触を防止することができる。
[0091] さらに、ディスク表面からヘッドのエアべアリングレールまでの距離よりも、ディスク表 面力 ヘッドのヘッドエレメントまでの距離が小さくなるように、ディスクの変形方向お よび変形量を設定してディスクをノヽブとスぺーサリングとの間に狭持することができる 。このため、安定したヘッド浮上とヘッド出力を得ることができるとともに、ヘッドとディ スクとの接触を抑止することが可能となる。この結果、ディスクの厚みを薄くしても、安 定的なヘッド浮上およびヘッド出力を得ることができ、ディスク装置の薄型化、高容量 ィ匕を図ることができる。
産業上の利用可能性
[0092] 本発明のディスク装置によれば、簡単な形状で平面性を出すことが可能なスぺー サリングを介してディスクをノヽブに固定することにより、ディスクの変形を低減すること が可能なディスク取り付け構造を提供することが可能となるとともに、ハブの線膨張係 数とスぺーサリングの線膨張係数を同一、または略同一にしたことにより、クランプ部 材の装着によってハブとディスクの間に形成される接触点、あるいは接触面のモータ の回転軸中心力ゝらの距離 Rhと、ディスクとスぺーサリングの間に形成される接触点、 あるいは接触面のモータの回転軸中心力もの距離 Rsの位置関係力 周囲の温度変 化に関わらず変化しに《なる。この結果、ディスクを保持しているディスク両面にお Vヽてそれぞれ接触する相対的な位置が変化しな!ヽので、温度変化によるディスクの 半径方向の反りの変化が少なくなり、周囲の温度変化に関わらず、ヘッドの浮上量が 安定的なディスクのスピンドルに対する固定構造を有し、ヘッドとディスクとの接触を 抑止することが可能となって、薄型化、高容量ィ匕を図ることが容易なディスク装置とし
て情報記録再生装置に有用である。