JPH11296943A - ディスク基板のクランプ装置及びクランプ方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、簡単な構成により、磁気ディスク
の反りが確実に且つ安定して低減され得るようにした、
ディスク基板のクランプ装置及びクランプ方法そして磁
気ディスク装置を提供することを目的とする。 【解決手段】 磁気ディスク１３を構成する円板状のデ
ィスク基板に対して、このディスク基板の中心に設けら
れた基準穴１３ａに嵌合するボス部２１ａと、一側から
この基準穴の周縁に当接するクランプ面２１ｂを有する
クランプ台２１と、このディスク基板の他側から基準穴
の周縁に当接するクランプ面２２ａを有するクランプ部
材２２と、を含んでいるディスク基板のクランプ装置２
０であって、上記クランプ台またはクランプ部材のう
ち、一方のクランプ面２１ｂまたは２２ａが、他方のク
ランプ面２２ａまたは２１ｂに対して異なる面積を有す
るように、ディスク基板のクランプ装置２０を構成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えばプラスチッ
ク製のディスク基板を備える磁気ディスク装置における
ディスク基板のクランプ装置及びクランプ方法に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】コンピュータ等に内蔵されまたは接続さ
れるハードディスクドライブ装置は磁気ディスク等に関
して情報を記録・再生するためのものである。このよう
なハードディスクドライブ装置には、スピンドルモータ
が配設されていると共に、このスピンドルモータによっ
て角速度一定で回転駆動される磁気ディスク４が備えら
れている。

【０００３】また、このハードディスクドライブ装置に
は、ヘッドスライダが備えられている。このヘッドスラ
イダは、磁気ディスク４の回転に伴って生じるヘッドス
ライダと磁気ディスク４の表面との間を流れる空気流に
より浮揚力を受け、この浮揚力等によって、磁気ディス
ク４の表面から一定の浮上量で走行する。このようにし
て、ハードディスクドライブ装置は、磁気ディスク４に
対しての情報の記録・再生を行うようになっている。

【０００４】ここで、上記磁気ディスク４は、例えばア
ルミニウム等から成るディスク基板の両面に磁性膜を成
膜することにより構成されており、図１０に示すよう
に、クランプ装置８により、スピンドルモータ３の回転
軸に対して固定されている。図１０において、クランプ
装置８は、磁気ディスク４の中心穴に一側（図示の場
合、下側）から嵌合するボス部８ａを備え且つこの中心
穴の周縁部に対して当接するクランプ面８ｂを備えたク
ランプ台８ｃと、磁気ディスク４の中心穴の周縁部に対
して他側（図示の場合、上側）から当接するクランプ面
８ｄを備えた上クランプ８ｅとから構成されており、双
方のクランプ面８ｂ，８ｄにより磁気ディスク４の中心
穴の周縁部を挟持することによって、両面から均一の圧
力で磁気ディスク４を保持するようになっている。

【０００５】このようにしてクランプ装置８によりスピ
ンドルモータ３の回転軸に取り付けられた磁気ディスク
４は、スピンドルモータ３の回転によって回転駆動さ
れ、磁気ディスク４の表面の磁性膜に対して、上述した
磁気ヘッドによって、データ等の磁気記録がトラック上
に行なわれると共に、磁性膜のトラック上に記録された
データ等が再生されるようになっている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、ハー
ドディスクドライブ装置における大記録容量化及び低価
格化の要望が高く、大記録容量化に関しては、例えばＭ
Ｒヘッドの採用やヘッドスライダの浮上量の低減によっ
て、実用化されている。これに伴って、磁気ディスク４
を構成するディスク基板の表面の平坦化が不可欠になっ
てきており、ディスク基板として、従来のアルミニウム
基板から、より表面性の良好なガラス基板が多く採用さ
れるようになってきているが、このガラス基板は、従来
のアルミニウム基板よりも原材料や製造工程の複雑さに
よって基板単価が高くなり、低価格化には不適であると
いう問題があった。

【０００７】このため、射出成形により成形されたプラ
スチック製のディスク基板が、製造コスト及び大量生産
の観点から、さらに軽量化によるスピンドルモータの負
担軽減や、ハードディスクドライブ装置の省電力化等の
観点から、注目されてきている。このプラスチック基板
は、例えば図１２に示すような射出成形機によってコン
パクトディスク（ＣＤ）等の光ディスクとほぼ同様の射
出成形技術によって製造され得る。図１１において、射
出成形機９は、固定金型９ａと可動金型９ｂとから構成
されており、固定金型９ａのスプルー９ｃを介して溶融
樹脂が、金型キャビティ内に導入され、可動金型９ｂに
設けられたパンチ９ｄが上昇することにより、ディスク
基板の内径部分の打抜きが行なわれ、冷却された後、可
動金型９ｂが下降して、可動金型９ｂ側のエジェクタ９
ｅが上昇することにより、金型内にて成形され冷却され
た成形品であるディスク基板９ｆが取り出されるように
なっている。

【０００８】このようにして製造されるディスク基板９
ｆは、上述した冷却の際に、固定金型９ａと可動金型９
ｂのキャビティ表面温度に関して、それぞれの温度Ｔ
１，Ｔ２に差が発生してしまい、この温度差によって、
図１２に示すように、成形品であるディスク基板９ｆの
冷却時の収縮に差が生ずるので、図１３に示すように、
ディスク基板９ｆに反りが発生してしまうという問題が
あった。

【０００９】ここで、このようなプラスチック製のディ
スク基板９ｆは、従来のアルミニウム基板やガラス基板
等の製造の際に必要であったディスク基板の表面の研磨
や洗浄等の工程が省略され得るが、研磨工程がないこと
から、成形条件によって発生するディスク基板９ｆの反
りが逆に問題になってしまう。このディスク基板の反り
は、例えば数１０μｍ程度であり、ＣＤや光磁気ディス
ク８ＭＯ）等の場合には、サーボ帯域が十分であること
もあって殆ど問題にならないが、ハードディスク基板の
場合には、前述したヘッドスライダ６の浮上量が４０乃
至８０μｍ程度であることから、ヘッドスライダ６の浮
上特性に対して大きく影響することになり、ヘッドスラ
イダ６の浮上量変動が、磁気ヘッドによる記録再生に影
響して、記録または再生信号の品質が低下してしまい、
最悪の場合には磁気ヘッドが磁気ディスクの表面に衝突
する所謂ヘッドクラッシュが発生するという問題があっ
た。このような反りは、射出成形機９の金型周辺の改造
や成形条件を調整することによって、ある程度抑制され
得るが、その条件出しが困難である。

【００１０】従って、このような磁気ディスクの反りを
低減するために、例えば図１４または図１５に示すよう
なクランプ装置も知られている。先づ、図１４におい
て、クランプ装置８は、その上クランプ８ｅが外側に張
り出すと共に、クランプ台８ｃのクランプ面８ｂの外側
に対向するクランプ面８ｆを備えている。

【００１１】このようなクランプ装置によれば、磁気デ
ィスク９ｆは、例えば外縁が上方に向かってずれるよう
に反りを有している場合に、その中心穴の周縁が、下方
からクランプ台８ｃのクランプ面８ｂによって支持され
ると共に、中心穴の周縁より外側の円周部分が、上方か
ら上クランプ８ｅのクランプ面８ｆによって押圧され
る。これにより、磁気ディスク４は、矢印Ａで示すよう
に、上方にずれた外縁が下方に向かって移動するよう
に、反りが矯正されるようになっている。

【００１２】また、図１５において、クランプ装置８
は、上クランプ８ｅが磁気ディスク４の中心穴から僅か
に外側からクランプ台８ｃの外縁よりやや外側までの領
域に溝部８ｇを有するように形成されていると共に、ク
ランプ台８ｃのクランプ面８ｂが、その半径方向中央付
近で上方に突出した突条部８ｈを備えている。

【００１３】このようなクランプ装置によれば、磁気デ
ィスク９ｆは、例えば外縁が上方に向かってずれるよう
に反りを有している場合に、その中心穴の周縁が、上方
から上クランプ８ｅによって押圧され、中心穴の周縁よ
り外側の円周部分が、下方からクランプ台８ｃの突条部
８ｈによって支持されると共に、中心穴の周縁よりさら
に外側の円周部分が、上方から上クランプ８ｅの外縁部
分によって押圧される。これにより、磁気ディスク９ｆ
は、クランプ台８ｃの突条部８ｈにより支持された部分
を支点として、矢印Ｂで示すように、上クランプ８ｅの
外縁により下方に押圧されることによって、上方にずれ
た外縁が下方に向かって移動するように、反りが矯正さ
れるようになっている。

【００１４】しかしながら、図１４及び図１５に示すよ
うな構成のクランプ装置の場合、何れもクランプ装置８
により十分なクランプ力が得られないことがあると共
に、磁気ディスク９ｆの反りの矯正が不安定になってし
まうという問題があった。

【００１５】本発明は、以上の点に鑑み、簡単な構成に
より、磁気ディスクの反りが確実に且つ安定して低減さ
れ得るようにした、ディスク基板のクランプ装置及びク
ランプ方法そして磁気ディスク装置を提供することを目
的としている。

【００１６】

【課題を解決するための手段】上記目的は、本発明によ
れば、磁気ディスクを構成する円板状のディスク基板に
対して、このディスク基板の中心に設けられた基準穴に
嵌合するボス部と、一側からこの基準穴の周縁に当接す
るクランプ面を有するクランプ部と、このディスク基板
の他側から基準穴の周縁に当接するクランプ面を有する
他のクランプ部と、を含んでいるディスク基板のクラン
プ装置であって、上記クランプ部または他のクランプ部
のうち、一方のクランプ面が、他方のクランプ面に対し
て異なる面積を有しているディスク基板のクランプ装置
により、達成される。

【００１７】また、上記目的は、本発明によれば、磁気
ディスクを構成する円板状のディスク基板に対して、一
側から、このディスク基板の中心に設けられた基準穴に
クランプ部のボス部を嵌合させ、この基準穴の周縁にク
ランプ面を当接されると共に、他側から、このディスク
基板の基準穴の周縁に他のクランプ部のクランプ面を当
接させるようにした、ディスク基板のクランプ方法であ
って、上記クランプ部または他のクランプ部のうち、一
方のクランプ面による当接面積を、他方のクランプ面に
よる当接面積と異なるように構成したことを特徴とす
る、ディスク基板のクランプ方法により達成される。

【００１８】さらに、上記目的は、本発明によれば、記
録媒体となる円板状の磁気ディスクと、磁気ディスクを
回転駆動する駆動手段と、駆動手段の回転軸に対して磁
気ディスクを保持するクランプ装置と、駆動手段により
回転駆動される磁気ディスクに対して実質的に半径方向
に移動可能に支持された浮上型ヘッドスライダと、浮上
型ヘッドスライダに設けられた磁気ディスクの記録再生
を行なう磁気ヘッドと、浮上型ヘッドスライダを実質的
に半径方向に移動させる駆動機構と、を含んでおり、上
記クランプ装置が、磁気ディスクを構成する円板状のデ
ィスク基板に対して、このディスク基板の中心に設けら
れた基準穴に嵌合するボス部と、一側からこの基準穴の
周縁に当接するクランプ面を有するクランプ部と、この
ディスク基板の他側から基準穴の周縁に当接するクラン
プ面を有する他のクランプ部と、を含んでいる、磁気デ
ィスク装置であって、上記クランプ部または他のクラン
プ部のうち、一方のクランプ面が、他方のクランプ面に
対して異なる面積を有している磁気ディスク装置により
達成される。

【００１９】上記構成によれば、クランプ装置のクラン
プ部のボス部が磁気ディスクを構成するディスク基板の
基準穴内に嵌合することにより、ディスク基板を回転軸
に垂直な方向に関して保持すると共に、クランプ部のク
ランプ面及び他のクランプ部のクランプ面がディスク基
板の基準穴の周縁領域を挟持することにより、回転軸方
向に保持することになる。

【００２０】さらに、上記クランプ部または他のクラン
プ部のうち一方のクランプ面が、他方のクランプ面に対
して異なる面積を有していることにより、この一方のク
ランプ面によりディスク基板に与えられる応力が、他方
のクランプ面によりディスク基板に与えられる応力より
大きい。このような応力の差によって、ディスク基板に
対して反りが付与されることになる。従って、上述した
応力差によるディスク基板の反りが、成形時のディスク
基板の反りと逆方向になるように、例えばディスク基板
の反りの方向に位置する側のクランプ面が、他側のクラ
ンプ面に対して、より大きな面積を有するように、ディ
スク基板をクランプすることにより、双方の反りが互い
に相殺されて、成形時のディスク基板の反りが低減され
得ることになる。

【００２１】双方のクランプ面の内縁が、ディスク基板
の基準穴より外側に位置していることにより、クランプ
面によるディスク基板の挟持がより大径の部分にて行な
われるので、クランプ面によるディスク基板の挟持がよ
り確実に行なわれ得ることになる。

【００２２】

【発明の実施の形態】以下、この発明の好適な実施形態
を図１乃至図９を参照しながら、詳細に説明する。尚、
以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例である
から、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、
本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定
する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるもの
ではない。

【００２３】図１は、本発明によるクランプ装置が組み
込まれるハードディスクドライブ装置の構成を示してい
る。図１において、ハードディスクドライブ装置１０
は、筐体１１の平面部に、スピンドルモータ１２が配設
されていると共に、このスピンドルモータ１２によって
角速度一定で回転駆動される磁気ディスク１３が備えら
れている。

【００２４】さらに、上記筐体１１には、アーム１４
が、垂直軸１４ａの周りに揺動可能に取り付けられてい
る。このアーム１４の一端には、板バネから成るサスペ
ンション１４ｂを介して、ヘッドスライダ１５が取り付
けられている。

【００２５】また、上記アーム１４の他端には、ボイス
コイル１６ａが備えられ、このボイスコイル１６ａを挟
持するように、筐体１１上には、マグネット（図示せ
ず）が取り付けられている。かくして、上記ボイスコイ
ル１６ａ及びマグネットにより、ボイスコイルモータ１
６が構成されている。

【００２６】上記ボイスコイル１６ａに外部から電流が
供給されると、アーム１４は、マグネットの磁界と、ボ
イスコイル１６ａに流れる電流とによって生ずる力に基
づいて、垂直軸１４ａの周りに回動せしめられ得る。こ
れにより、アーム１４の一端に取り付けられたヘッドス
ライダ１５は、図１にて矢印Ｘで示すように、磁気ディ
スク１３の実質的に半径方向に移動せしめられる。従っ
て、ヘッドスライダ１５に備えられた磁気ヘッド（図示
せず）は、磁気ディスク１３に対してシーク動作する。

【００２７】さらに、ヘッドスライダ１５は、磁気ディ
スク１３の回転に伴ってヘッドスライダ１５と磁気ディ
スク１３の表面との間を流れる空気流により浮揚力を受
け、この浮揚力と前記サスペンション１４ｂによる押圧
力とのバランスによって、磁気ディスク１３の表面から
一定の浮上量で走行することになる。かくして、磁気デ
ィスク１３の所定のトラックに対して、情報の記録・再
生が行なわれ得る。

【００２８】ここで、上記磁気ディスク１３は、プラス
チック製のディスク基板の両面に磁性膜を成膜すること
により構成されており、図２に示すように、クランプ装
置２０により、スピンドルモータ１２の回転軸に対して
固定されている。図２において、クランプ装置２０は、
クランプ部である例えばクランプ台２１と、他のクラン
プ部である例えばクランプ部材２２とから構成されてい
る。クランプ台２１は、磁気ディスク１３の基準穴であ
る中心穴１３ａに一側（図示の場合、下側）から嵌合す
るボス部２１ａと、この中心穴１３ａの周縁部に対して
当接するクランプ面２１ｂと、を備えている。これに対
して、クランプ部材２２は、磁気ディスク１３の中心穴
１３ａの周縁部に対して他側（図示の場合、上側）から
当接するクランプ面２２ａを備えている。これにより、
クランプ台２１のクランプ面２１ｂ及びクランプ部材２
２のクランプ面２２ａにより磁気ディスク１３の中心穴
１３ａの周縁部を上下から挟持することによって、磁気
ディスク４が保持されるようになっている。

【００２９】以上の構成は、従来のクランプ装置８と同
様の構成であるが、本発明によるクランプ装置２０は、
以下の点で異なる構成になっている。即ち、クランプ装
置２０において、磁気ディスク１３は、その外周縁が上
方にずれるように反りを有している。このような反りを
有する磁気ディスク１３に対して、下方に位置するクラ
ンプ台２１のクランプ面２１ｂは、上方に位置するクラ
ンプ部材２２のクランプ面２２ａに対して、その面積が
小さく選定されている。ここで、クランプ面２１ｂとク
ランプ面２２ａは、図３に詳細に示すように、その外縁
が同じ半径位置にあるが、クランプ面２１ｂの内縁が、
クランプ面２２ａの内縁より外側に位置することによ
り、クランプ面２１ｂの面積が小さくなるように形成さ
れている。図示の場合、各クランプ面２１ｂ，２２ａの
内縁は、磁気ディスク１３の基準穴１３ａよりも外側に
位置するように、形成されている。これにより、クラン
プ面２１ｂ，２２ａが磁気ディスク１３の表面に対して
当接する領域がより外側になることから、当接面積が増
大するようになっている。

【００３０】尚、クランプ面２１ｂとクランプ面２２ａ
は、図４または図５に示すように形成されていてもよ
い。図４において、クランプ面２１ｂとクランプ面２２
ａは、クランプ面２１ｂの外縁がクランプ面２２ａの外
縁より内側に位置し、且つクランプ面２１ｂの内縁が、
クランプ面２２ａの内縁より外側に位置することによ
り、クランプ面２１ｂの面積が小さくなるように形成さ
れている。図５において、クランプ面２１ｂとクランプ
面２２ａは、その内縁が同じ半径位置にあるが、クラン
プ面２１ｂの外縁が、クランプ面２２ａの外縁より内側
に位置することにより、クランプ面２１ｂの面積が小さ
くなるように形成されている。

【００３１】本発明実施形態によるハードディスクドラ
イブ装置１０によれば、ヘッドスライダ１５が、回転す
る磁気ディスク１３の表面に接近せしめられたとき、磁
気ディスク１３の回転に伴って、ヘッドスライダ１５と
磁気ディスク１３の表面との間に進入する空気流によっ
て、ヘッドスライダ１５が磁気ディスク１３の表面から
一定の浮上量で走行することになる。これにより、ヘッ
ドスライダ１５に備えられた磁気ヘッドによって、デー
タ等の磁気記録が、磁気ディスク１３の表面の磁性膜の
トラック上に対して行なわれ、またこの磁気ヘッドによ
って、磁性膜のトラック上に記録されたデータ等が再生
されるようになっている。

【００３２】ここで、上記磁気ディスク１３は、クラン
プ装置２０によってスピンドルモータ１２の回転軸に対
して固定されている。その際、クランプ装置２０は、磁
気ディスク１３の下面の中心穴１３ａの周縁領域を上方
に向かって押圧するクランプ台２１のクランプ面２１ｂ
が、この周縁領域を下方に向かって押圧するクランプ部
材２２のクランプ面２２ａより、面積が小さく選定され
ている。

【００３３】これにより、クランプ面２１ｂにより磁気
ディスク１３に与えられる応力は、クランプ面２２によ
り磁気ディスク１３に与えられる応力より小さい。従っ
て、これらの応力の差によって、磁気ディスク１３に
は、反りが付与されることになる。この反りは、磁気デ
ィスク１３の成形時の反りと逆方向であることから、磁
気ディスク１３は、図２にて矢印Ａで示すように、その
外縁が下方に移動するように変形され、双方の反りが相
殺されることになる。

【００３４】かくして、磁気ディスク１３は、その成形
時の反りが低減されるので、従来のアルミニウム基板や
ガラス基板を使用した磁気ディスクと同等の平面度（例
えば数μｍ程度）が達成され得ることになる。さらに、
磁気ディスク１３は、その中心穴１３ａの周縁領域が、
上述したクランプ面２１ｂ，２２ａにより、半径方向に
関して広い範囲で挟持されることになるため、磁気ディ
スク１３が十分なクランプ力によって確実に保持され得
ることになり、反り低減の安定性が確保され得ることに
なる。

【００３５】図６は、本発明によるクランプ装置の第二
の実施形態を示している。図６において、クランプ装置
３０は、図２に示したクランプ装置２０とほぼ同じ構成
であって、以下の点でことなる構成となっている。クラ
ンプ装置３０においては、磁気ディスク１３は、その外
周縁が下方にずれるように反りを有している。このよう
な反りを有する磁気ディスク１３に対して、下方に位置
するクランプ台２１のクランプ面２１ｂは、上方に位置
するクランプ部材２２のクランプ面２２ａに対して、そ
の面積が大きく選定されている。ここで、クランプ面２
１ｂとクランプ面２２ａは、図７に詳細に示すように、
その外縁が同じ半径位置にあるが、クランプ面２２ａの
内縁が、クランプ面２１ｂの内縁より外側に位置するこ
とにより、クランプ面２２ａの面積が小さくなるように
形成されている。図示の場合、各クランプ面２１ｂ，２
２ａの内縁は、磁気ディスク１３の中心穴１３ａよりも
外側に位置するように、形成されている。これにより、
クランプ面２１ｂ，２２ａが磁気ディスク１３の表面に
対して当接する領域がより外側になることから、当接面
積が増大するようになっている。

【００３６】尚、クランプ面２１ｂとクランプ面２２ａ
は、図８または図９に示すように形成されていてもよ
い。図８においては、クランプ面２１ｂとクランプ面２
２ａは、クランプ面２２ａの外縁がクランプ面２１ｂの
外縁より内側に位置し、且つクランプ面２２ａの内縁
が、クランプ面２１ｂの内縁より外側に位置することに
より、クランプ面２２ａの面積が小さくなるように形成
されている。図９においては、クランプ面２１ｂとクラ
ンプ面２２ａは、その内縁が同じ半径位置にあるが、ク
ランプ面２２ａの外縁が、クランプ面２１ｂの外縁より
内側に位置することにより、クランプ面２２ａの面積が
小さくなるように形成されている。

【００３７】このような構成のクランプ装置３０によれ
ば、上記磁気ディスク１３は、クランプ装置３０によっ
てスピンドルモータ１２の回転軸に対して固定されてい
る。その際、クランプ装置３０は、磁気ディスク１３の
下面の中心穴１３ａの周縁領域を下方に向かって押圧す
るクランプ部材２２のクランプ面２２ａが、この周縁領
域を上方に向かって押圧するクランプ台２１のクランプ
面２１ｂより、面積が小さく選定されている。

【００３８】これにより、クランプ面２２ａにより磁気
ディスク１３に与えられる応力は、クランプ面２１ｂに
より磁気ディスク１３に与えられる応力より小さい。従
って、これらの応力の差によって、磁気ディスク１３に
は、反りが付与されることになる。この反りは、磁気デ
ィスク１３の成形時の反りと逆方向であることから、磁
気ディスク１３は、図６にて矢印Ｂで示すように、その
外縁が上方に移動するように変形され、双方の反りが相
殺されることになる。かくして、磁気ディスク１３は、
クランプ装置３０によって、クランプ装置２０場合と同
様に、その成形時の反りが低減され得ることになる。

【００３９】尚、上記実施形態においては、ヘッドスラ
イダ１５は回転可能に支持されたアーム１４により支持
されているが、これに限らず、リニアアクチュエータ式
ハードディスクドライブ装置に、本発明を適用し得るこ
とは明らかである。

【００４０】さらに、上記実施形態においては、磁気デ
ィスクの記録再生を行なうためのハードディスクドライ
ブ装置のためのクランプ装置について説明したが、これ
に限らず、例えば光磁気ディスク等の他の種類のプラス
チック製ディスクを記録媒体として使用するディスクド
ライブ装置のためのクランプ装置に本発明を適用し得る
ことは明らかである。

【００４１】以上述べたように、本実施の形態によれ
ば、上記クランプ台２１またはクランプ部材２２のうち
一方のクランプ面２１ｂ，２２ａが、他方のクランプ面
２２ａ，２１ｂに対して異なる面積を有していることに
より、この一方のクランプ面２１ｂ，２２ａによりディ
スク基板１３に与えられる応力が、他方のクランプ面２
２ａ，２１ｂによりディスク基板１３に与えられる応力
より大きい。このような応力の差によって、ディスク基
板１３に対して反りが付与されることになる。従って、
上述した応力差によるディスク基板１３の反りが、成形
時のディスク基板１３の反りと逆方向になるように、例
えばディスク基板１３の反りの方向に位置する側のクラ
ンプ面２１ｂ，２２ａが、他側のクランプ面２２あ、２
１に対して、より大きな面積を有するように、ディスク
基板１３をクランプすることにより、双方の反りが互い
に相殺されて、成形時のディスク基板１３の反りが低減
され得ることになる。双方のクランプ面２１ｂ，２２ａ
の内縁が、ディスク基板１３の中心穴１３ａより外側に
位置していることにより、クランプ面２１ｂ，２２ａに
よるディスク基板１３の挟持がより大径の部分にて行な
われるので、クランプ面２１ｂ，２２ａによるディスク
基板１３の挟持がより確実に行なわれ得ることになる。

【００４２】

【発明の効果】かくして、本発明によれば、簡単な構成
により、磁気ディスクの反りが確実に且つ安定して低減
され得るようにした、ディスク基板のクランプ装置及び
クランプ方法そして磁気ディスク装置を提供することが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるクランプ装置を組み込んだハード
ディスクドライブ装置の構成を示す概略斜視図である。

【図２】本発明によるクランプ装置の第一の実施形態を
示す概略断面図である。

【図３】図２のクランプ装置の要部を示す部分拡大断面
図である。

【図４】図２のクランプ装置の第一の変形例を示す部分
拡大断面図である。

【図５】図２のクランプ装置の第二の変形例を示す部分
拡大断面図である。

【図６】本発明によるクランプ装置の第二の実施形態を
示す概略断面図である。

【図７】図６のクランプ装置の要部を示す部分拡大断面
図である。

【図８】図６のクランプ装置の第一の変形例を示す部分
拡大断面図である。

【図９】図６のクランプ装置の第二の変形例を示す部分
拡大断面図である。

【図１０】従来のハードディスクドライブ装置における
クランプ装置の一例を示す概略断面図である。

【図１１】図１０の装置における磁気ディスクを構成す
るプラスチック製ディスク基板を成形するための射出成
形機の要部を示す概略断面図である。

【図１２】図１１の射出成形機により成形されたディス
ク基板の冷却時の反り発生の原理を示す概略図である。

【図１３】図１１の射出成形機により成形されたディス
ク基板の反りを示す概略図である。

【図１４】磁気ディスクのディスク基板の反りを軽減す
るためのクランプ装置の一例を示す概略断面図である。

【図１５】磁気ディスクのディスク基板の反りを軽減す
るためのクランプ装置の他の例を示す概略断面図であ
る。

【符号の説明】

１０・・・ハードディスクドライブ装置、１１・・・筐
体、１２・・・スピンドルモータ、１３・・・磁気ディ
スク、１４・・・アーム、１５・・・ヘッドスライダ、
１６・・・ボイスコイルモータ、２０，３０・・・クラ
ンプ装置、２１・・・クランプ台、２１ａ・・・ボス
部、２１ｂ・・・クランプ面、２２・・・クランプ部
材、２２ａ・・・クランプ面。

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 磁気ディスクを構成する円板状のディス
   ク基板に対して、 このディスク基板の中心に設けられた基準穴に嵌合する
   ボス部と、一側からこの基準穴の周縁に当接するクラン
   プ面を有するクランプ部と、 このディスク基板の他側から基準穴の周縁に当接するク
   ランプ面を有する他のクランプ部と、 を含んでいるディスク基板のクランプ装置であって、 上記クランプ部または他のクランプ部のうち、一方のク
   ランプ面が、他方のクランプ面に対して異なる面積を有
   していることを特徴とする、ディスク基板のクランプ装
   置。
2. 【請求項２】 ディスク基板の反りの方向に位置する側
   のクランプ面が、他側のクランプ面に対して、より大き
   な面積を有していることを特徴とする、請求項１に記載
   のディスク基板のクランプ装置。
3. 【請求項３】 双方のクランプ面の内縁が、ディスク基
   板の基準穴より外側に位置することを特徴とする、請求
   項１に記載のディスク基板のクランプ装置。
4. 【請求項４】 双方のクランプ面の外縁が、同じ半径位
   置にあって、一方のクランプ面の内縁が、他方のクラン
   プ面の内縁より外側に位置することを特徴とする、請求
   項１に記載のディスク基板のクランプ装置。
5. 【請求項５】 双方のクランプ面の内縁が、同じ半径位
   置にあって、一方のクランプ面の外縁が、他方のクラン
   プ面の外より内側に位置することを特徴とする、請求項
   １に記載のディスク基板のクランプ装置。
6. 【請求項６】 一方のクランプ面の内縁が、他方のクラ
   ンプ面の内縁より外側に位置しており、一方のクランプ
   面の外縁が、他方のクランプ面の外縁より内側に位置す
   ることを特徴とする、請求項１に記載のディスク基板の
   クランプ装置。
7. 【請求項７】 磁気ディスクを構成する円板状のディス
   ク基板に対して、 一側から、このディスク基板の中心に設けられた基準穴
   にクランプ部のボス部を嵌合させ、この基準穴の周縁に
   クランプ面を当接されると共に、 他側から、このディスク基板の基準穴の周縁に他のクラ
   ンプ部のクランプ面を当接させるようにした、ディスク
   基板のクランプ方法であって、 上記クランプ部または他のクランプ部のうち、一方のク
   ランプ面による当接面積を、他方のクランプ面による当
   接面積と異なるように構成したことを特徴とする、ディ
   スク基板のクランプ方法。
8. 【請求項８】 記録媒体となる円板状の磁気ディスク
   と、 磁気ディスクを回転駆動する駆動手段と、 駆動手段の回転軸に対して磁気ディスクを保持するクラ
   ンプ装置と、 駆動手段により回転駆動される磁気ディスクに対して実
   質的に半径方向に移動可能に支持された浮上型ヘッドス
   ライダと、 浮上型ヘッドスライダに設けられた磁気ディスクの記録
   再生を行なう磁気ヘッドと、 浮上型ヘッドスライダを実質的に半径方向に移動させる
   駆動機構と、を含んでおり、 上記クランプ装置が、磁気ディスクを構成する円板状の
   ディスク基板に対して、 このディスク基板の中心に設けられた基準穴に嵌合する
   ボス部と、一側からこの基準穴の周縁に当接するクラン
   プ面を有するクランプ部と、 このディスク基板の他側から基準穴の周縁に当接するク
   ランプ面を有する他のクランプ部と、を含んでいる、磁
   気ディスク装置であって、 上記クランプ部または他のクランプ部のうち、一方のク
   ランプ面が、他方のクランプ面に対して異なる面積を有
   していることを特徴とする、磁気ディスク装置。