明 細 書
芳香族ヨウ素化合物の製造方法
技術分野
[0001] 本発明は、芳香族ヨウ素化合物の製造方法に関し、より詳細には、高速混合器を 備えた流通反応装置を使用して芳香族ヨウ素化合物を製造する方法に関する。 背景技術
[0002] 芳香族ヨウ素化合物はその反応性の高さから、種々の電子材料や医薬品の中間 体として重要な化合物である。例えば、電荷発生層と電荷輸送層とが積層された構 成を有する電子写真用有機感光体の開発が盛んに行われているが、このような電荷 輸送層に用いる電荷輸送材料として、種々のトリアリールアミンィ匕合物が提案され(日 本特開平 5— 313386号公報を参照)、このようなトリアリールアミンィ匕合物を合成す る際の中間体として、芳香族ヨウ素化合物が使用されている。トリアリールアミンィ匕合 物は、ァリールアミンィ匕合物とハロゲンィ匕ァリールとを銅触媒を用いてカップリング反 応させることにより合成されるが、ハロゲン化ァリールとして芳香族ヨウ素化合物が使 用されることが多い。これは、ハロゲン化剤として臭化物を用いると、最終段階のカツ プリング (ァミンの三級化)反応における反応性が著しく低 、ことに起因して 、る。
[0003] 上記以外にも芳香族ヨウ素化合物は多用され、このため種々の芳香族化合物のョ ゥ素化物の合成方法が提案されている。例えば、ヨウ素酸およびヨウ素を用い、水と 酢酸との混合溶剤中、硫酸触媒の存在下で芳香族化合物をヨウ素化する方法 (Ann . 634, 84 (1960)を参照)、過ヨウ素酸およびヨウ素を用い、水と酢酸との混合 溶剤中、硫酸触媒の存在下で芳香族化合物をヨウ素化する方法(日本化学雑誌, 9 2, 1021 (1971)を参照)、あるいは、下式に示すように、対応するァミノ化合物から の Sandmeyer反応で合成する方法などが知られている(Bull. Soc. Chem. 7, 63 4 (1940)を参照)。
< S a n d m e y e r反応 (ハロベンゼン合成) >
[0005] 一方、ヨウ素化剤の活性が高!、場合や、官能基によって求電子置換反応が起こり やすくなつている芳香族化合物をヨウ素化する場合には、モノヨウ素化体とジヨウ素 化体との混合物が得られ、選択的にモノヨウ素化体を得るのが困難な場合がある。こ れを解決するために、例えば、芳香族化合物に反応させるヨウ素のモル比を低減さ せることでモノヨウ素化の選択性を上げる方法も提案されて 、る (日本特開平 7 - 23 3106号公報を参照)。具体的には、当該公報では、ヨウ素化剤としてヨウ素酸、過ョ ゥ素酸、ヨウ素を使用し、水と酢酸との混合溶剤中で芳香族化合物をヨウ素化する際 に、反応する芳香族化合物の分子数に対するヨウ素原子の原子数の比率を 1未満、 より好ましくは 0. 5未満とすることで、高純度のモノヨウ素化体が得られるとしている。
[0006] 一方、化合物の製造工程では各種の反応装置が使用されている。例えば、一般に 数〜数百 μ mのマイクロ流路を有するマイクロミキサーなどのマイクロ構造ユニットを 有する流通反応装置 (総称して、一般に「マイクロリアクター」と称される)を使用して ェマルジヨン調合品が製造されている(日本特開 2003— 321325号公報を参照)。 ェマルジヨン調合品は、均質ィ匕の程度によって最終製品の品質等に影響を与えるた め、乳化した粒子が不均一であるため充分な効果を発揮しな力つた従来技術に鑑み て、マイクロミキサーを使用して均質ィ匕するというものである。
[0007] また、芳香族化合物へのフリーデルクラフツ型アルキルィ匕反応を行う際に、マイクロ ミキサーを用いて混合効率を高め、モノアルキル化体を効率よく合成する方法も開示 されている(日本特開 2004— 99443号公報を参照)。当該公報によれば、混ざり合 う二つの液体を数ミリリットル以上の容積を有する反応容器内に供給して混合させる と、比較的大きな流体の集合体が反応容器全体に粗く広がった後に、渦によって乱 流拡散し、次第に細力べなって混合していくため、混合時間が反応時間よりも充分長 ければ、局所的な濃度の粗密が反応に大きく影響を与えるが、マイクロ流路内では 分子の拡散により混合が起きるため非常に速い混合が達成され、マイクロミキサーを
用いることにより、高 、選択性が得られるとして 、る。
[0008] なお、マイクロリアクターは、(1)加熱 ·冷却速度が速い、(2)流れが層流である、 (3 )単位体積あたりの表面積が大き!、、(4)物質の拡散長が短 、ので反応が迅速に進 行する、等の特徴を有している。
発明の開示
[0009] ここで、 Bull. Soc. Chem. 7, 634 (1940)【こ記載の技術【こよれ ίま、、 Sandmeyer 反応を用いて芳香族化合物をヨウ素化する場合のジヨウ素化体の生成は抑制される 。し力しながら、原料として使用するァミノ化合物は毒性が非常に高いため、当該文 献に記載の方法では原料ィヒ合物の取扱いや安全性が問題となり、かつ反応後の処 理も煩雑で収率も低いという問題があった。また、 日本特開平 7— 233106号公報に 記載の技術によれば、芳香族化合物の分子数反応するヨウ素原子の原子数との比 率を低減し 0. 5とすることでジヨウ素化体の生成が抑制され、モノヨウ素化体が選択 的に得られる。し力しながら、当該方法では反応終了後に多量の原料が反応系に残 存してしまい、当該原料を除去するための精製工程がさらに必要となり、また生産性 も低いという問題がある。
[0010] また、ヨウ素酸又は過ヨウ素酸を用いて芳香族化合物をヨウ素化する反応は非常に 容易に進行しうる。しかしながら、例えば従来の手法を用いたモノヨウ素化反応では、 生成物はモノヨウ素化体とジヨウ素化体との混合物となる。力 うな混合物をそのまま 用いてアミノ化反応を行ってァミノ化合物を合成すると、アミノ化後の生成物も当然に 混合物となるため、電荷輸送材料の電気的特性が低下するという問題があった。また 、従来の手法を用いたヨウ素化反応には、生成物がヨウ素色を呈してしまい、さらなる 精製工程が必要とされるというヨウ素化反応に特有の現象があった。芳香族化合物 のハロゲンィ匕物は分子量が大きぐ蒸留などによる精製が困難である。このため、芳 香族ヨウ素化合物の精製にはカラム精製などの非常に高コストの手法を用いざるを 得ず、製造コストが高騰するという問題があった。
[0011] また、上述した日本特開 2004— 99443号公報に記載の技術によれば、マイクロミ キサーを用いることでフリーデルクラフツ型のアルキル化反応において、モノアルキ ル体が効率よく合成されうるが、芳香族化合物のヨウ素化反応にぉ 、てマイクロミキ
シングが有効であると!/、う報告例はな!/、。
[0012] そこで本発明は、芳香族ヨウ素化号物の製造方法において、取扱いが簡便で安全 性が高い手法により、色調に優れる (着色のない、または着色の少ない)生成物を高 収率で製造しうる手段を提供することを目的とする。
[0013] 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った。その結果、芳香族 化合物と活性ヨウ素化剤とを用いて前記芳香族化合物の芳香核の水素をヨウ素で置 換する反応に、高速混合器を備えた流通反応装置を用いて連続的に合成を行うこと が有効であることを見出した。また、この手法 (マイクロフロー式)によれば、反応する 芳香族化合物の分子数に対するヨウ素原子の原子数の比率を低減させなくとも、所 望のモル数のヨウ素が導入されたヨウ素化体が選択的に得られることを見出した。そ して上記知見に基づき、本発明を完成させるに至った。
[0014] すなわち、本発明は、芳香族化合物と活性ヨウ素化剤とを、高速混合器を備えた流 通反応装置に導入して連続的に前記芳香族化合物の芳香核の水素をヨウ素で置換 することを特徴とする、芳香族ヨウ素化合物の製造方法である。
[0015] 本発明のさらに他の目的、特徴および特質は、以後の説明および添付図面に例示 される好ましい実施の形態を参酌することによって、明らかになるであろう。
図面の簡単な説明
[0016] 図 1は、実施例 1 1〜1 5における、モノヨウ素化選択率と導入練速度の関係を 示す図である。
[0017] 図 2は、実施例 2— 1〜2—4、および比較例 2— 1〜2—4における、モノヨウ素化体 選択率に対する基質のモル比の影響を示す図である。
発明を実施するための最良の形態
[0018] 以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[0019] 本発明は、芳香族化合物と活性ヨウ素化剤とを、高速混合器を備えた流通反応装 置(以下、「マイクロリアクター」とも称する)に導入して連続的に前記芳香族化合物の 芳香核の水素をヨウ素で置換することを特徴とする、芳香族ヨウ素化合物の製造方 法である。
[0020] 本発明によれば、高速混合器を備えた流通反応装置を用いて連続的に芳香族ヨウ
素化合物をヨウ素化することにより、取扱いが簡便で安全性が高い手法により色調に 優れる芳香族ヨウ素化合物が高収率で製造されうる。なお、本発明の製造方法により 色調に優れる芳香族ヨウ素化合物が製造されうるメカニズムは完全には明らかとはな つていないが、所望のモル数のヨウ素により芳香族化合物の芳香核の水素が置換さ れることにより、所望の芳香族ヨウ素化合物 (例えば、モノヨウ素化体)の選択率が向 上すること〖こよるものと推定される。ただし、上記のメカニズムはあくまでも推測に基づ くものであって、実際には上記のメカニズム以外のメカニズムにより本発明の作用効 果が得られていたとしても、本発明の技術的範囲は上記のメカニズムによって何ら限 定されることはない。
[0021] 以下、本発明の製造方法について、工程順に詳細に説明する。
[0022] まず、原料化合物である芳香族化合物および活性ヨウ素化剤を準備する。
[0023] 本発明の製造方法における原料化合物の 1つである「芳香族化合物」は、芳香核 に結合した 2個以上の水素原子を有する芳香族化合物である。これは、芳香核に結 合した水素原子がただ 1個である芳香族化合物を原料ィ匕合物として用いた場合には 、ヨウ素により置換されうる水素原子が 1個である、すなわち、モノヨウ素化体のみしか 製造されえないため、色調に優れる生成物を得るという本発明の目的力 本発明を 用いなくとも達成可能なためである。
[0024] なお、本発明の製造方法において用いられうる芳香族化合物としては、後述するマ イク口リアクターに導入されうるものであれば、芳香族ヨウ素化合物の原料化合物とし て従来用いられている芳香族化合物を広くその対象とすることができる。また、場合 によっては、従来ヨウ素化反応に用いられたことのない化合物が本発明の芳香族化 合物として用いられてもよい。このような芳香族化合物としては、例えば、炭素数 6〜 30の芳香族化合物が好適に用いられ、一例として、ベンゼンなどの単環芳香族炭化 水素化合物;ペンタレン、インデン、ナフタレン、ァズレン、へブタレン、ビフエ-レン、 フルオレン、フエナレン、フエナントレン、アントラセン、フルオランテン、ァセフエナント リレン、トリフエ-レン、ビレン、ナルタセンなどの縮合多環芳香族炭化水素化合物;ピ リジン、ピリダジン、インドール、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、プリン、カルバゾー ル、ベンゾォキサゾール、チアントレンなどの複素環芳香族化合物が挙げられ、これ
らの芳香族化合物は、例えば、炭素数 1〜20のアルキル基、水酸基、アミノ基、炭素 数 1〜20のアルコキシ基、ァリールォキシ基、ハロゲン(CI, Br, I)等の置換基を有し て!、てもよ 、フエ-ル基などにより置換されて 、てもよ!/、。
[0025] 本発明では、芳香族化合物 1モルに対して 1モルの活性ヨウ素化剤を反応させた場 合に、ジヨウ素化体やトリヨウ素化体などが副生しうる芳香族化合物を用いると、本発 明の作用効果がより一層発揮されうるため好ましい。力 うな芳香族化合物として、具 体的には、ァニソール、 tert ブチルベンゼン、 1, 2 ジメトキシベンゼン、 1, 3 ジ メトキシベンゼン、 1, 4ージメトキシベンゼン、 o キシレン、 m—キシレン、 p キシレ ン、トルエン、フルオレン、ビフエ-ル、ナフタレン、 9, 10 ジヒドロフエナントレン、了 ントラセン、 p ヒドロキシ安息香酸、 m—ターフェ-ル、 p ターフェ-ル、 1, 3, 5— トリフエニルベンゼン、トリフエニルァミン、フエニルエーテル、フルォロベンゼン、フエ -ルアセテート、アミノエチルベンゼン、フエノール、メシチレン、 1, 3, 5 トリメトキシ ベンゼン、 1, 2, 4 トリメトキシベンゼンなどがある。なかでも、ァニソール、 tert—ブ チルベンゼン、 1, 2 ジメトキシベンゼン、 1, 3 ジメトキシベンゼン、 1, 4ージメトキ シベンゼン、フルオレン、ビフエニル、 1, 10—ジヒドロフエナントン、 m—ターフェニル 、 p—ターフェニルが好ましく用いられうる。
[0026] 本発明の製造方法における原料ィ匕合物のもう一方である「活性ヨウ素化剤」につい ても特に制限はないが、例えば、ヨウ素、一塩化ヨウ素、ヨウ素酸、過ヨウ素酸、ヨウ素 化水素酸、ヨウ素化カリウム、ヨウ素化ナトリウム、 N ョードスクシンイミド、 N, N, - ジョードー 5, 5—ジメチルヒダントイン、ビスビリジンョード(I)テトラフルォロボレートな どが挙げられる。また、ヨウ素の電解酸化またはヨウ素化合物の電解酸化により生成 するヨウ素陽イオンを反応活性剤とする化合物や、酸化剤〖こよるヨウ素またはヨウ素 化合物の酸化により生成するヨウ素陽イオンを反応活性剤とする化合物もまた、本発 明における活性ヨウ素化剤として用いられうる。この際、反応活性剤を生成させるため の酸化剤としては、例えば、過硫酸、ヨウ素酸、過ヨウ素酸などが挙げられるが、これ らに限定されることはない。なかでも、酸化剤によるヨウ素またはヨウ素化合物の酸ィ匕 により生成するヨウ素陽イオンを反応活性剤とする化合物、一塩化ヨウ素、 N ョード スクシンイミド、 N, N,一ジョード 5, 5—ジメチノレヒダントイン、ビスビリジンョード(I)
テトラフルォロボレートなどが好ましく用いられうる。これらの化合物を活性ヨウ素ィ匕剤 として用いると、溶液の形態では溶液中に活性ィ匕されたヨウ素陽イオンが存在し、溶 液の形態でマイクロリアクターへ導入でき、芳香族化合物の溶液と直接反応させられ る点で好適である。なお、上述した「ヨウ素の電解酸化またはヨウ素化合物の電解酸 化により生成するヨウ素陽イオンを反応活性剤とする化合物」は、従来公知の方法で 調製されうる。例えば、白金電極を有し、グラスフィルターで隔離された電解槽を使用 し、陽極には、テトラプチルアンモ-ゥムテトラフルォロボレートのァセトニトリル溶液と ヨウ素の混合液を仕込み、陰極には、テトラプチルアンモ-ゥムテトラフルォロボレ一 トのァセトニトリル溶液およびトリフルォロメチルスルホン酸を仕込み、冷却しながらョ ゥ素に対して 2〜2. 2FZmol程度の電気量で通電すると、上記の化合物を陽極室 に得ることができる。
[0027] 本発明の好ましい形態においては、芳香核に結合した n (nは 2以上の整数)個以 上の水素原子を有する前記芳香族化合物 1モルに対し、前記活性ヨウ素化剤を (m 0. 4)モル以上 (m+O. 4)モル以下(ヨウ素原子換算)(mは l≤m≤n— 1を満た す整数)の割合で前記流通反応装置に導入する。これにより、前記水素原子が mモ ルのヨウ素により置換される。化学量論的には、 mモルヨウ素化体を製造するには、 芳香族化合物 1モルに対して mモルの活性ヨウ素化剤を用いればよいが、これに限 らず上記の範囲の量の活性ヨウ素化剤を導入することで、芳香族化合物の芳香核に 結合した水素原子が m個のヨウ素により置換された芳香族ヨウ素化合物が選択的に 製造されうる。なお、活性ヨウ素化剤の導入量が (m—O. 4)モルを下回ると、 (m- 1 )モルのヨウ素により置換されたヨウ素化体の割合が増加し (すなわち、 mモルヨウ素 化体の選択性が低下し)、分離精製が必要となってしまい、製造コストが高騰する場 合がある。一方、活性ヨウ素ィ匕剤の導入量が (m+O. 4)モルを超えると、逆に (m+ 1 )モルのヨウ素により置換されたヨウ素化体の割合が増加し (すなわち、同様に mモル ヨウ素化体の選択性が低下し)、やはり分離精製が必要となってしまい、製造コストが 高騰する場合がある。
[0028] 本発明で使用する高速混合器を備えた流通反応装置としては、流体が連続的に 流入して反応し系外に流出するタイプの反応装置であって、少なくも 2つの流体混合
部と当該流体混合部と連通するチューブ状の反応部とを有すればその具体的な形 態は特に限定されない。従って、撹拝槽型反応器、管型反応器などがいずれも好適 に用いられうる。流通反応装置は、市販品であってもよいし、自ら作製したものであつ てもよい。
[0029] 一般に、反応速度が拡散速度よりも速い場合は反応制御が困難となるため、撹拌 等の手段により、拡散速度が反応速度よりも速くなるように反応液を混合する。流通 反応装置の備える高速混合器は、この混合の手段のために用いられるものであり、 拡散速度が反応速度よりも速くなるように反応液を混合できればその具体的な形態 は特に制限されない。しかしながら、従来の機械的な撹拌や混合等の手段によって 高められる拡散速度以上に反応速度が速い場合に、高速混合器として、マイクロ空 間を利用することでより拡散速度を高めうる装置 (マイクロミキサー)を備えた流通反 応装置 (マイクロリアクター)を用いて拡散速度を反応速度より速くすれば反応制御に 有効であり、特に好適である。反応速度が拡散速度よりも速い反応系では、マクロ空 間で反応を行なった場合、反応溶液が均一になる前に主反応が終了し、部分的に 試薬が過剰に存在するため副反応が進行しやすいが、マイクロミキサーを使用すると 、混合が迅速かつ均一に行なわれるため副反応が抑制されるためである。換言すれ ば、本発明の他の好ましい形態においては、流通反応装置 備える高速混合器に おいて、芳香族化合物と活性ヨウ素化剤との混合時間が、芳香族化合物と活性ヨウ 素化剤との反応時間よりも短い。力 うな形態によれば、副反応の進行前に芳香族 化合物と活性ヨウ素化剤とが混合しうるため、選択性のより一層の向上が図られる。
[0030] 本発明にお 、て用いられるマイクロリアクターの具体的な形態にっ 、て特に制限は ないが、各流体の流路の等価直径は、好ましくは 1〜10, OOO /z m より好ましくは 1 0〜500 、特に好ましくは 20〜: LOO mである。等価直径が 1 mを下回ると、導 入する際の圧力が大きくなり不利であり、 10, 000 mを超えると混合後の均一性が 劣る場合がある。また、高速混合器における混合方式も特に制限されず、スリット型で も分配再結合型でもよい。なお、「等価直径」とは、流路断面が円形であると仮定した 場合に、流路断面積力も算出される円の直径を意味する。ただし、本発明において、 流路の断面形状が円形のみに制限されることはない。
[0031] 本発明では、芳香族化合物と活性ヨウ素化剤とをマイクロリアクターへ導入する際 の各溶液の導入線速度の合計が lOcmZ秒以上、好ましくは 15cmZ秒以上、特に 好ましくは 50cmZ秒以上であることが好ましい。 lOcmZ秒を下回ると、十分な混合 が得られず選択性が低下するため、不利である。
[0032] マイクロリアクターについてのその他の具体的な形態については、特に制限される ことなぐ従来公知の知見(例えば、日本特表 2003— 502144号公報、日本特開 20 03 1077号公報など)が適宜参照されうる。
[0033] 本発明の製造方法において、反応装置としてマイクロリアクターを使用すると、原料 が直ちに接触して原料どうしの混合および反応が進行する。従って、反応が速やか に進行し、反応時間が短縮されうる。例えば、芳香族化合物 1モルに対して活性ヨウ 素化剤を mモル導入する 、微細空間で両者が 1 : mの割合で混合されて反応が進 行するため、副生物の発生が抑制され、その結果効率的にモノヨウ素化体が製造さ れうる。
[0034] 本発明の好ましい形態において、特にモノヨウ素化体を高選択率で製造する場合 には、芳香族化合物 1モルに対し、活性ヨウ素ィ匕剤を 0. 6モル以上 1. 4モル以下 (ョ ゥ素原子換算)、好ましくは 0. 9〜1. 3モル、特に好ましくは 0. 9〜1. 0モルの割合 でマイクロリアクターに導入する。後述する実施例で示すように、電解酸化により得た ヨウ素を活性ヨウ素化剤として使用し、芳香族化合物として 1, 3 ジメトキシベンゼン を使用し、ァセトニトリル溶媒中で両者を 1 : 1モルで反応させ、 1, 3 ジメトキシベン ゼンのモノヨウ素化体を製造すると、モノヨウ素化体の選択率は 98. 6%であり、ジョ ゥ素化体の選択率は 1. 4%であった。このように、本発明によれば、反応する芳香族 化合物の分子数に対するヨウ素原子の原子数の比率を低減させることなぐモノヨウ 素化体を高選択的に、かつ高収率で得ることができる。ここで、この反応式を以下に 示す。
[0035] [化 2]
-2e
2 CH3CN CH3CNI
選択率 9 8 . 6 %, 選択率 1 . 4 %
[0036] なお、上述した好ましい形態によりモノヨウ素化体を得ようとする場合には、ジヨウ素 化体やトリヨウ素化体などの副生物の生成は抑制されてモノヨウ素化体の選択率が 向上しうる力 ヨウ素の置換位置は制御されることはない。従って、ヨウ素により置換さ れる際の配向性は従来の化学法則に基づき、モノヨウ素化体が高収率で製造される 。上述の例に示す 1, 3—ジメトキシベンゼンにおいては、その配向性から、 2位およ び 5位はヨウ素により置換されにくい。以下に、ァ-ノールと活性ヨウ素ィ匕剤との反応 を示すが、モノヨウ素化体はオルト置換体とパラ置換体の混合物として得られる。な お、バッチ式および本発明のマイクロフロー式のそれぞれによる、モノヨウ素化体のォ ルト置換体とパラ置換体との生成比、並びにモノヨウ素化体およびジヨウ素化体の生 成率の比 (選択比)を下記の表 1に示す。
[0037] [化 3]
本発明において芳香族化合物に活性ヨウ素化剤を作用させて従来技術 (バッチ式 )よりも選択的に製造しうる、モノヨウ素化体の場合の主要な構造式およびジヨウ素化 体の場合の主要な構造式を以下に示す。
[0040] [化 4]
1 , 4ージメ トキシベンゼン
[0041] [化 5]
フルオ レン
m—タ一フエニル
本発明の好ま 、形態にぉ 、て、特にジヨウ素化体を高選択率で製造しょうとする 場合には、芳香族化合物 1モルに対し、活性ヨウ素化剤を 1. 6モル以上 2. 4モル以 下(ヨウ素原子換算)、好ましくは 1. 8〜2. 3モル、特に好ましくは 2. 0〜2. 2モルの 割合でマイクロリアクターに導入する。力 うな形態によれば、ジヨウ素化体を高選択
的に合成できるば力りでなぐマイクロリアクターにおける効率的な拡散混合により反 応が効率的に進行し、ジヨウ素化体の収率もまた、向上しうる。
[0043] さらに、特にトリヨウ素化体を高選択率で製造しょうとする場合には、芳香族化合物 1モルに対し、活性ヨウ素化剤を 2. 6モル以上 3. 4モル以下 (ヨウ素原子換算)、好ま しくは 2. 8〜3. 3モノレ、特に好ましくは 2. 9〜3. 2モノレの害 ij合でマイクロジ クタ一に 導入する。例えば、モノヨウ素化体、ジヨウ素化体、トリヨウ素化体がそれぞれ他の中 間体などとして有用な場合には、上記の配合比で芳香族化合物および活性ヨウ素化 剤をマイクロリアクターに導入することで、これらを作り分けることが可能となる。以下 に、 1, 3, 5—トリフエ-ルベンゼンおよびトリフエ-ルァミンの主要なモノヨウ素化体、 ジヨウ素化体、およびトリヨウ素化体の構造を示す。
[0044] [化 6]
1 , 3 , 5 — ト リ フヱニルベンゼン
ト リ フエニルァミ ン
[0045] 本発明において、芳香族化合物および活性ヨウ素化剤は、通常、それぞれ溶媒に 溶解した溶液の形態で、または溶媒に分散した分散液の形態でマイクロリアクターに 導入される。
[0046] 芳香族化合物を溶解させる溶媒としては、それ自体が活性ヨウ素化剤と反応せず、 反応後の分離が容易な溶媒であって、芳香族化合物および得られた芳香族ヨウ素 化合物の双方を溶解するものが好ましい。このような溶媒としては、ァセトニトリル、ジ クロロメタン、クロ口ホルム、四塩化炭素、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール
、ジメチルホルムアミド、ジメチルァセトアミドなどが挙げられる。
[0047] 一方、活性ヨウ素化剤を溶解させる溶媒としては、ァセトニトリル、ジクロロメタン、ク ロロホルム、四塩化炭素、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、 ブタノール、イソブタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルァセトアミドなどが挙げら れる。
[0048] 本発明においては、マイクロリアクターに芳香族化合物および活性ヨウ素ィ匕剤を導 入して反応させる点に特徴があり、反応温度は使用する化合物や反応系に対応して 適宜選択すればよい。また、反応時間、すなわちマイクロリアクターの反応部におけ る滞留時間も反応系に対応して適宜選択することができる。
[0049] 本発明の製造方法により製造される芳香族ヨウ素化合物は、有機 EL材料の製造 や製薬などの技術分野に有用である。特に、本発明によれば、ヨウ素化反応におけ る特有の問題であった生成物の着色の問題の発生が効果的に抑制されうるため、さ らなる精製工程によって生じる製造コストの高騰が回避され、簡便かつ安全な手法に より、安価に芳香族ヨウ素化合物が製造されうる。
実施例
[0050] 次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明 を制限するものではない。
[0051] (参考例)
白金電極と攪拌子を備えたグラスフィルターで隔離された H型 2重電解槽の陽極液 室にヨウ素 127mg (0. 5mmol)および 0. 3Mテトラブチルアンモ-ゥムテトラフルォ ロボレートのァセトニトリル溶液 8mlを仕込み、陰極液室にトリフルォロメチルスルホン 酸 79mg (0. 526mmol)および 0. 3Mテトラブチルアンモ-ゥムテトラフルォロボレ ートのァセトニトリル溶液 8mlを仕込んだ。次いで、氷水浴にて 0〜5°Cに冷却し、マ グネチックスターラーで攪拌しながら 10mAの電流を 2FZmolの電流量で通電した 。その結果、陽極液室に 1. Ommol相当の電解酸ィ匕されたヨウ素が得られた。この陽 極室液を、後述する実施例において活性ヨウ素化剤として使用した。
[0052] (実施例 1 1)
等価直径が 80 mの高速混合器 (IMM社製、商品名 SIMM— V2)の出口に、反
応部として外径 1Z16インチ、内径 0. 5mm、長さ 2mのテフロンチューブを接続した 流通反応装置を用意した。高速混合器の導入口においては、外径 1Z16インチ、内 径 0. 5mmのテフロンチューブを介してシリンジを接続した。
[0053] 100ml三角フラスコに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 30ml、飽和チォ硫酸ナトリウ ム水溶液 lml、およびジェチルエーテル 30mlを仕込み、マグネチックスターラーで 攪拌しつつ氷水浴にて 0°Cまで冷却した。高速混合器および反応部も氷水浴に浸け て 0°Cに冷却した。反応部の出口は三角フラスコの水層に導入した。
[0054] 上記の参考例で得た活性ヨウ素化剤の全量を高速混合器の導入管に接続した。ま た、 1, 3 ジメトキシベンゼン 138mg (l. Ommol)を、活性ヨウ素化剤と同量のァセ トニトリルに溶解させた後、 10mlのシリンジに仕込み高速混合器の導入管に接続し た。各シリンジをシリンジポンプにセットし、各シリンジからの流速が 3. OmlZminにな るように調整し、高速混合器に液を導入して、ヨウ素化反応を行った。各溶液の導入 線速度の合計は 50. 9cmZ秒であった。なお、反応により得られた反応液は淡黄色 を呈していた。
[0055] 送液終了後に、水層とエーテル層とを分液した。エーテル層を減圧濃縮し、 10cm シリカゲルカラムにかけて、 100mlのエーテルでカラム内力も反応物を溶出させた。 溶媒を減圧濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 30mlおよびへキサン 50mlを加 えて抽出を行った。分液を行い、へキサン層を減圧濃縮乾固させて、反応物 223. 9 mg¾ ^守に。
[0056] 反応物を NMR分析および GC分析した結果、 1, 3 ジメトキシベンゼン 19. 6mg、 4 ョード 1, 3 ジメトキシベンゼン 199. 7mg (0. 756mmol)、4, 6 ジョード一 1, 3 ジメトキシベンゼン 4. 7mg (0. 012mmol)が得られた。すなわち、モノヨウ素 化体とジヨウ素化体との生成率の比は 98. 4 : 1. 6であった。
[0057] (実施例 1 2)
実施例 1—1と同様の条件で高速混合器への導入速度を 0. 2mlZminで行い、同 様の後処理を行って、反応物 256. 7mgを得た。各溶液の導入線速度の合計は 3. 4cmZ秒であった。なお、反応により得られた反応液は淡黄色を呈していた。
[0058] 反応物を NMR分析および GC分析した結果、 1, 3 ジメトキシベンゼン 24. 5mg、
4 ョード 1, 3 ジメトキシベンゼン 205. 2mg (0. 777mmol)、4, 6 ジョード— 1, 3 ジメトキシベンゼン 26. 9mg (0. O69mmol)が得られた。すなわち、モノヨウ 素化体とジヨウ素化体との生成率の比は 91. 8 : 8. 2であった。
[0059] (実施例 1 3)
実施例 1—1と同様の条件で高速混合器への導入速度を 1. OmlZminで行い、同 様の後処理を行って、反応物 219. 3mgを得た。各溶液の導入線速度の合計は 17 . OcmZ秒であった。なお、反応により得られた反応液は淡黄色を呈していた。
[0060] 反応物を NMR分析および GC分析した結果、 1, 3 ジメトキシベンゼン 16. Omg、 4 ョード 1, 3 ジメトキシベンゼン 193. lmg (0. 731mmol)、4, 6 ジョードー 1, 3 ジメトキシベンゼン 10. 2mg (0. 026mmol)が得られた。すなわち、モノヨウ 素化体とジヨウ素化体との生成率の比は 96. 6 : 3. 4であった。
[0061] (実施例 1 4)
実施例 1—1と同様の条件で高速混合器への導入速度を 2. OmlZminで行い、同 様の後処理を行って、反応物 209. 3mgを得た。各溶液の導入線速度の合計は 34 . OcmZ秒であった。なお、反応により得られた反応液は淡黄色を呈していた。
[0062] 反応物を NMR分析および GC分析した結果、 1, 3 ジメトキシベンゼン 18. 4mg、 4 ョード 1, 3 ジメトキシベンゼン 185. 3mg (0. 702mmol)、4, 6 ジョード— 1, 3 ジメトキシベンゼン 5. 5mg (0. 014mmol)が得られた。すなわち、モノヨウ素 化体とジヨウ素化体との生成率の比は 98. 0 : 2. 0であった。
[0063] (実施例 1 5)
実施例 1—1と同様の条件で高速混合器への導入速度を 5. OmlZminで行い、同 様の後処理を行って、反応物 221. 3mgを得た。各溶液の導入線速度の合計は 84 . 9cmZ秒であった。なお、反応により得られた反応液は淡黄色を呈していた。
[0064] 反応物を NMR分析および GC分析した結果、 1, 3 ジメトキシベンゼン 19. 5mg、 4 ョード 1, 3 ジメトキシベンゼン 193. 4mg (0. 732mmol)、4, 6 ジョード一 1, 3 ジメトキシベンゼン 3. 5mg (0. 009mmol)が得られた。すなわち、モノヨウ素 化体とジヨウ素化体との生成率の比は 98. 8 : 1. 2であった。
[0065] (実施例 1 6)
等価直径が mの高速混合器 (IMM社製、商品名 SIMM— V2)の出口に、反 応部として外径 1Z16インチ、内径 0. 5mm、長さ 2mのテフロンチューブを接続した 流通反応装置を用意した。高速混合器の導入口においては、外径 1Z16インチ、内 径 0. 5mmのテフロンチューブを介してシリンジを接続した。
[0066] 100ml三角フラスコに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 30ml、飽和チォ硫酸ナトリウ ム水溶液 lml、およびジェチルエーテル 30mlを仕込み、マグネチックスターラーに て攪拌し、氷水浴にて 0°Cまで冷却した。高速混合器および反応部も氷水浴に浸け 0 °Cに冷却した。反応部の出口は三角フラスコの水層に導入した。
[0067] 上記の参考例で得た活性ヨウ素化剤の全量を高速混合器の導入管に接続した。ま た、 1, 2 ジメトキシベンゼン 138mg (l. Ommol)を、活性ヨウ素化剤と同量のァセ トニトリルに溶解した後、 10mlのシリンジに仕込み、高速混合器の導入管に接続した 。各シリンジをシリンジポンプにセットし、各シリンジからの流速が 3. OmlZminになる ように調整し、高速混合器に液を導入して、ヨウ素化反応を行った。各溶液の導入線 速度の合計は 50. 9cmZ秒であった。なお、反応により得られた反応液は淡黄色を 呈していた。
[0068] 送液終了後に、水層とエーテル層とを分液した。エーテル層を減圧濃縮し、 10cm シリカゲルカラムにかけて、 100mlのエーテルでカラム内力も反応物を溶出させた。 溶媒を減圧濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 30mlおよびへキサン 50mlを加 えて抽出を行った。分液を行い、へキサン層を減圧濃縮乾固させて、反応物 178. 8 mg¾ ^守に。
[0069] 反応物を NMR分析および GC分析した結果、 1, 2 ジメトキシベンゼン 15. 3mg、 4 ョード 1, 2 ジメトキシベンゼン 161. 8mg (0. 613mmol)、4, 5 ジョード一 1, 2 ジメトキシベンゼン 2. 9mg (0. 007mmol)が得られた。すなわち、モノヨウ素 化体とジヨウ素化体との生成率の比は 98. 9 : 1. 1であった。
[0070] (実施例 1 7)
等価直径が 80 mの高速混合器 (IMM社製、商品名 SIMM— V2)の出口に、反 応部として外径 1Z16インチ、内径 0. 5mm、長さ 2mのテフロンチューブを接続した 流通反応装置を用意した。高速混合器の導入口においては、外径 1Z16インチ、内
径 0. 5mmのテフロンチューブを介してシリンジを接続した。
[0071] 100ml三角フラスコに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 30ml、飽和チォ硫酸ナトリウ ム水溶液 lml、およびジェチルエーテル 30mlを仕込み、マグネチックスターラーに て攪拌し氷水浴にて 0°Cまで冷却した。高速混合器および反応部も氷水浴に浸け 0 °Cに冷却した。反応部の出口は三角フラスコの水層に導入した。
[0072] 上記の参考例で得た活性ヨウ素化剤の全量を高速混合器の導入管に接続した。ま た、 1, 4ージメトキシベンゼン 138mg (l. Ommol)を、活性ヨウ素化剤と同量のァセ トニトリルに溶解した後、 10mlのシリンジに仕込み、高速混合器の導入管に接続した 。各シリンジをシリンジポンプにセットし、各シリンジからの流速が 3. OmlZminになる ように調整し、高速混合器に液を導入して、ヨウ素化反応を行った。各溶液の導入線 速度の合計は 50. 9cmZ秒であった。なお、反応により得られた反応液は淡黄色を 呈していた。
[0073] 送液終了後に、水層とエーテル層とを分液した。エーテル層を減圧濃縮し、 10cm シリカゲルカラムにかけて、 100mlのエーテルでカラム内力も反応物を溶出させた。 溶媒を減圧濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 30mlおよびへキサン 50mlを加 えて抽出を行った。分液を行い、へキサン層を減圧濃縮乾固させて、反応物 222. 3 mg¾ ^守に。
[0074] 反応物を NMR分析および GC分析した結果、 1, 4ージメトキシベンゼン 19. 9mg、 3 ョード 1, 4 ジメトキシベンゼン 185. 2mg (0. 701mmol)、 3, 6 ジョードー 1, 4 ジメトキシベンゼン 17. 2mg (0. 044mmol)が得られた。すなわち、モノヨウ 素化体とジヨウ素化体との生成率の比は 94. 1 : 5. 9であった。
[0075] (実施例 1 8)
等価直径が 80 mの高速混合器 (IMM社製、商品名 SIMM— V2)の出口に、反 応部として外径 1Z16インチ、内径 0. 5mm、長さ 2mのテフロンチューブを接続した 流通反応装置を用意した。高速混合器の導入口においては、外径 1Z16インチ、内 径 0. 5mmのテフロンチューブを介してシリンジを接続した。
[0076] 100ml三角フラスコに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 30ml、飽和チォ硫酸ナトリウ ム水溶液 lml、およびジェチルエーテル 30mlを仕込み、マグネチックスターラーに
て撹拝し氷水浴にて o°cまで冷却した。高速混合器および反応部も氷水浴に浸け 0 °cに冷却した。反応部の出口は三角フラスコの水層に導入した。
[0077] 上記の参考例で得た活性ヨウ素化剤の全量を高速混合器の導入管に接続した。ま た、フルオレン 166. 7mg (l. OOmmol)を、活性ヨウ素化剤と同量のァセトニトリルに 溶解した後、 10mlのシリンジに仕込み、高速混合器の導入管に接続した。各シリン ジをシリンジポンプにセットし、各シリンジからの流速が 3. OmlZminになるように調 整し、高速混合器に液を導入して、ヨウ素化反応を行った。各溶液の導入線速度の 合計は 50. 9cmZ秒であった。なお、反応により得られた反応液は淡黄色を呈して いた。
[0078] 送液終了後に、水層とエーテル層を分液した。エーテル層を減圧濃縮し、 10cmシ リカゲルカラムにかけて、 100mlのエーテルでカラム内力 反応物を溶出させた。溶 媒を減圧濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 30mlおよびへキサン 50mlを加え て抽出を行った。分液を行い、へキサン層を減圧濃縮乾固させて、反応物 209. 6m gを得た。
[0079] 反応物を NMR分析および GC分析した結果、フルオレン 72. 5mg、 2 ョードー 9
H フルオレン 124. 9mg (0. 428mmol)、 2, 7 ジョードー 9H フルオレン 12.
2mg (0. 029mmol)が得られた。すなわち、モノヨウ素化体とジヨウ素化体との生成 率の比は 93. 6 : 6. 4であった。
[0080] (実施例 1 9)
実施例 1—8と同様の装置で反応温度を 25°Cに設定してヨウ素化反応を行って、 反応物 223. 3mgを得た。なお、反応により得られた反応液は淡黄色を呈していた。
[0081] 反応物を NMR分析および GC分析した結果、フルオレン 63. 3mg、 2 ョードー 9
H フノレオレン 148. lmg (0. 507mmol)、 2, 7 ジョードー 9H フノレオレン 11.
8mg (0. 028mmol)が得られた。すなわち、モノヨウ素化体とジヨウ素化体との生成 率の比は 94. 7 : 5. 3であった。
[0082] (実施例 10)
等価直径が 80 mの高速混合器 (IMM社製、商品名 SIMM— V2)の出口に、反 応部として外径 1Z16インチ、内径 0. 5mm、長さ 2mのテフロンチューブを接続した
流通反応装置を用意した。高速混合器の導入口においては、外径 1Z16インチ、内 径 0. 5mmのテフロンチューブを介してシリンジを接続した。
[0083] 100ml三角フラスコに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 30ml、飽和チォ硫酸ナトリウ ム水溶液 lml、ジェチルエーテル 30mlを仕込み、マグネチックスターラーにて撹拝 し氷水浴にて 0°Cまで冷却した。高速混合器および反応部も氷水浴に浸け 0°Cに冷 却した。反応部の出口は三角フラスコの水層に導入した。
[0084] 上記の参考例で得た活性ヨウ素化剤の全量を高速混合器の導入管に接続した。ま た、ビフエ-ル 154. 2mg (l. OOmmol)を、活性ヨウ素化剤と同量のァセトニトリルに 溶解した後、 10mlのシリンジに仕込み、高速混合器の導入管に接続した。各シリン ジをシリンジポンプにセットし、各シリンジからの流速が 3. OmlZminになるように調 整し、高速混合器に液を導入して、ヨウ素化反応を行った。各溶液の導入線速度の 合計は 50. 9cmZ秒であった。なお、反応により得られた反応液は淡黄色を呈して いた。
[0085] 送液終了後、水層とエーテル層とを分液した。エーテル層を減圧濃縮し、 10cmシ リカゲルカラムにかけて、 100mlのエーテルでカラム内力 反応物を溶出させた。溶 媒を減圧濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 30mlおよびへキサン 50mlを加え て抽出を行った。分液を行い、へキサン層を減圧濃縮乾固させて、反応物 223. 2m gを得た。反応物を NMR分析および GC分析した結果、ビフエ-ル 50. 8mg、 4—ョ ードビフエ-ル 151. 8mg (0. 542mmol)、4, 4,—ジョードビフエ-ル 20. 6mg (0. 051mmol)が得られた。すなわち、モノヨウ素化体とジヨウ素化体との生成率の比は 91. 4 : 8. 6であった。
[0086] (実施例 1— 11)
実施例 1—1と同様の条件で 1, 3—ジメトキシベンゼンの量を 112mg (0. 81mmol )に減らして反応を行い、同様の後処理を行って、反応物 204mgを得た。なお、反応 により得られた反応液は淡黄色を呈して 、た。
[0087] 反応物を NMR分析および GC分析した結果、 1, 3—ジメトキシベンゼン 4. lmg、 4 —ョードー 1, 3—ジメトキシベンゼン 184. 3mg (0. 698mmol)、4, 6—ジョードー 1 , 3—ジメトキシベンゼン 15. 5mg (0. 040mmol)が得られた。すなわち、モノヨウ素
化体とジヨウ素化体との生成率の比は 94. 6 : 5. 4であった。
[0088] (実施例 1 12)
実施例 1—6と同様の条件で 1, 2 ジメトキシベンゼンの量を 110mg (0. 80mmol )に減らして反応を行い、同様の後処理を行って、反応物 204mgを得た。なお、反応 により得られた反応液は淡黄色を呈して 、た。
[0089] 反応物を NMR分析および GC分析した結果、 1, 2 ジメトキシベンゼン 4. lmg、 4 —ョードー 1, 2 ジメトキシベンゼン 184. 3mg (0. 662mmol)、4, 5 ジョードー 1 , 2 ジメトキシベンゼン 7. 7mg (0. 020mmol)が得られた。すなわち、モノヨウ素化 体とジヨウ素化体との生成率の比は 97. 1 : 2. 9であった。
[0090] (実施例 1 13)
等価直径が 80 mの高速混合器 (IMM社製、商品名 SIMM— V2)の出口に、反 応部として外径 1Z16インチ、内径 0. 5mm、長さ 2mのテフロンチューブを接続した 流通反応装置を用意した。高速混合器の導入口においては、外径 1Z16インチ、内 径 0. 5mmのテフロンチューブを介してシリンジを接続した。
[0091] 100ml三角フラスコに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 30ml、飽和チォ硫酸ナトリウ ム水溶液 lml、およびジェチルエーテル 30mlを仕込み、マグネチックスターラーで 攪拌しつつ温浴にて 40°Cまで加温した。高速混合器および反応部も温浴に浸けて 4 0°Cに加温した。反応部の出口は三角フラスコの水層に導入した。
[0092] 上記の参考例で得た活性ヨウ素化剤の全量を高速混合器の導入管に接続した。ま た、 1, 3 ジメトキシベンゼン 62. 8mg (0. 454mmol)を、活性ヨウ素化剤と同量の ァセトニトリルに溶解させた後、 10mlのシリンジに仕込み高速混合器の導入管に接 続した。各シリンジをシリンジポンプにセットし、各シリンジからの流速が 3. Oml/min になるように調整し、高速混合器に液を導入して、ヨウ素化反応を行った。各溶液の 導入線速度の合計は 50. 9cmZ秒であった。なお、反応により得られた反応液は淡 黄色を呈していた。
[0093] 送液終了後に、水層とエーテル層とを分液した。エーテル層を減圧濃縮し、 10cm シリカゲルカラムにかけて、 100mlのエーテルでカラム内力も反応物を溶出させた。 溶媒を減圧濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 30mlおよびへキサン 50mlを加
えて抽出を行った。分液を行い、へキサン層を減圧濃縮乾固させて、反応物 148. 2 mg¾ ^守に。
[0094] 反応物を NMR分析および GC分析した結果、 1, 3 ジメトキシベンゼン 9. lmg、 4 , 6 ジョードー 1, 3 ジメトキシベンゼン 134. 8mg (0. 346mmol)、 4 ョード 1 , 3 ジメトキシベンゼン 4. 3mg (0. 016mmol)が得られた。すなわち、ジヨウ素化 体とモノヨウ素化体との生成率の比は 95. 6 :4. 4であった。
[0095] (実施例 1 14)
100mlの三角フラスコに一塩化ヨウ素 1431. 0mg (8. 81mmol)、およびァセトニ トリル 70. 47ml(55. l lg)を仕込み、活性ヨウ素ィ匕剤として使用した (8mlに一塩ィ匕 ヨウ素 162. 4mg (l. OOmmol)が含まれるように調製した)。同様に 100mlの三角フ ラスコに 1, 3 ジメトキシベンゼン 1246. Omg (9. 02mmol)、およびァセトニトリル 7 1. 46ml(55. 88g)を仕込み、基質として使用した(8mlに 1, 3 ジメトキシベンゼン 139. 5mg (l. Olmmol)が含まれるように調製した)。
[0096] 等価直径が 80 mの高速混合器 (IMM社製、商品名 SIMM— V2)の出口に、反 応部として外径 1Z16インチ、内径 0. 5mm、長さ 2mのテフロンチューブを接続した 流通反応装置を用意した。高速混合器の導入口においては、外径 1Z16インチ、内 径 0. 5mmのテフロンチューブを介してシリンジを接続した。
[0097] 100ml三角フラスコに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 30ml、飽和チォ硫酸ナトリウ ム水溶液 3ml、ジェチルエーテル 30mlを仕込み、マグネチックスターラーで撹拝し た。反応部を 50°Cの温水浴に浸け、反応部の出口は三角フラスコの水層に導入した
[0098] 上記で調製した一塩化ヨウ素 Zァセトニトリル溶液 8mlを 10mlのシリンジに仕込み 、高速混合器の導入管に接続した。また、 1, 3 ジメトキシベンゼン/ァセトニトリル 溶液 8mlを 10mlのシリンジに仕込み、高速混合器の導入管に接続した。各シリンジ をシリンジポンプにセットし、各シリンジからの流速が 3. OmlZminになるように調整 し、高速混合器に液を導入して、ヨウ素化反応を行った。各溶液の導入線速度の合 計は 50. 9cmZ秒であった。なお、反応により得られた反応液は淡黄色を呈してい
[0099] 送液終了後、水層とエーテル層とを分液した。エーテル層を減圧濃縮し、飽和炭酸 水素ナトリウム水溶液 30mlおよびへキサン 50mlを加えて抽出を行った。分液を行!ヽ 、へキサン層を減圧濃縮乾固させて、反応物 211. 6mgを得た。
[0100] 反応物を NMR分析および GC分析した結果、 1, 3 ジメトキシベンゼン 45. 5mg、 4 ョード 1, 3 ジメトキシベンゼン 164. 2mg (0. 622mmol)、4, 6 ジョード一 1, 3 ジメトキシベンゼン 1. 9mg (0. O05mmol)が得られた。すなわち、モノヨウ素 化体とジヨウ素化体との生成率の比は 99. 2 : 0. 8であった。
[0101] (比較例 1 1)
1, 3 ジメトキシベンゼン 138mg (l. Ommol)、ァセトニトリル 8ml、撹拌子を 50ml ナスフラスコに仕込み、マグネチックスターラーにて攪拌し氷水浴にて 0°Cまで冷却し た。上記の参考例で調製した活性ヨウ素化剤の全量を加え、 0°Cで 1時間反応を行つ た。
[0102] 反応液を減圧濃縮し、 10cmシリカゲルカラムにかけて、 100mlのエーテルでカラ ム内から反応物を溶出させた。溶媒を減圧濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 3 Omlおよびへキサン 50mlをカ卩えて抽出を行った。なお、反応により得られた反応液 はヨウ素の遊離等により褐色を呈していた。分液を行い、へキサン層を減圧濃縮乾固 させて、反応物 255. 5mgを得た。
[0103] 反応物を NMR分析および GC分析した結果、 1, 3 ジメトキシベンゼン 31. 8mg、 4 ョード 1, 3 ジメトキシベンゼン 165. 8mg (0. 628mmol)、4, 6 ジョード一 1, 3 ジメトキシベンゼン 38. Omg (0. O97mmol)が得られた。モノヨウ素化体とジョ ゥ素化体との生成率の比は 86. 6 : 13. 4であった。
[0104] (比較例 1 2)
1, 2 ジメトキシベンゼン 138mg (l. Ommol)、ァセトニトリル 8ml、撹拌子を 50ml ナスフラスコに仕込み、マグネチックスターラーにて攪拌し氷水浴にて 0°Cまで冷却し た。上記の参考例で調製した活性ヨウ素化剤の全量を加え、 0°Cで 1時間反応を行つ た。
[0105] 反応液を減圧濃縮し、 10cmシリカゲルカラムにかけて、 100mlのエーテルでカラ ム内から反応物を溶出させた。溶媒を減圧濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 3
Omlおよびへキサン 50mlをカ卩えて抽出を行った。なお、反応により得られた反応液 はヨウ素の遊離等により褐色を呈していた。分液を行い、へキサン層を減圧濃縮乾固 させて、反応物 205. 6mgを得た。
[0106] 反応物を NMR分析および GC分析した結果、 1, 2 ジメトキシベンゼン 29. 3mg、 4 ョード 1, 2 ジメトキシベンゼン 168. 6mg (0. 638mmol)、4, 6 ジョード一 1, 3 ジメトキシベンゼン 12. 2mg (0. 03 lmmol)が得られた。モノヨウ素化体とジョ ゥ素化体との生成率の比は 95. 4 :4. 6であった。
[0107] (比較例 1 3)
1, 4 ジメトキシベンゼン 138mg (l. Ommol)、ァセトニトリル 8ml、撹拌子を 50ml ナスフラスコに仕込み、マグネチックスターラーにて攪拌し氷水浴にて 0°Cまで冷却し た。上記の参考例で調製した活性ヨウ素化剤の全量を加え 0°Cで 1時間反応を行つ た。反応液を減圧濃縮し、 10cmシリカゲルカラムにかけて、 100mlのエーテルで力 ラム内から反応物を溶出させた。溶媒を減圧濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 30mlおよびへキサン 50mlをカ卩えて抽出を行った。なお、反応により得られた反応液 はヨウ素の遊離等により褐色を呈していた。分液を行い、へキサン層を減圧濃縮乾固 させて、反応物 223. 2mgを得た。
[0108] 反応物を NMR分析および GC分析した結果、 1, 4ージメトキシベンゼン 15. 9mg、 3 ョード 1, 4 ジメトキシベンゼン 168. 6mg (0. 646mmol)、4, 6 ジョード一 1, 3 ジメトキシベンゼン 36. 8mg (0. 094mmol)が得られた。モノヨウ素化体とジョ ゥ素化体との生成率の比は 87. 3 : 12. 7であった。
[0109] (比較例 1 4)
フルオレン 166. 2mg (l. OOmmol)、ァセトニトリル 8ml、撹拌子を 50mlナスフラス コに仕込み、マグネチックスターラーにて攪拌し氷水浴にて o°cまで冷却した。上記 の参考例で調製した活性ヨウ素化剤の全量を加え 0°Cで 1時間反応を行った。反応 液を減圧濃縮し、 10cmシリカゲルカラムにかけて、 100mlのエーテルでカラム内か ら反応物を溶出させた。溶媒を減圧濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 30mlお よびへキサン 50mlをカ卩えて抽出を行った。なお、反応により得られた反応液はヨウ素 の遊離等により褐色を呈していた。分液を行い、へキサン層を減圧濃縮乾固させて、
反応物 280. 8mgを得た。
[0110] 反応物を NMR分析および GC分析した結果、フルオレン 62. 3mg、 2 ョードー 9
H フルオレン 178. 3mg (0. 610mmol)、 2, 7 ジョードー 9H フルオレン 40.
2mg (0. 096mmol)が得られた。モノヨウ素化体とジヨウ素化体との生成率の比は 8
6. 4 : 13. 6であった。
[0111] (比較例 1 5)
ビフエ-ル 154. 2mg (l. OOmmol)、ァセトニトリル 8ml、撹拌子を 50mlナスフラス コに仕込み、マグネチックスターラーにて攪拌し氷水浴にて o°cまで冷却した。上記 の参考例で調製した活性ヨウ素化剤の全量を加え 0°Cで 1時間反応を行った。反応 液を減圧濃縮し、 10cmシリカゲルカラムにかけて、 100mlのエーテルでカラム内か ら反応物を溶出させた。溶媒を減圧濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 30mlお よびへキサン 50mlをカ卩えて抽出を行った。なお、反応により得られた反応液はヨウ素 の遊離等により褐色を呈していた。分液を行い、へキサン層を減圧濃縮乾固させて、 反応物 172. 2mgを得た。
[0112] 反応物を NMR分析および GC分析した結果、ビフエ-ル 18. 9mg、 4ーョードビフ ェ-ル 123. lmg (0. 440mmol)、4, 4, ジョードビフエ-ル 30. 2mg (0. 074m mol)が得られた。すなわち、モノヨウ素化体とジヨウ素化体との生成率の比は 85. 5 : 14. 5であった。
[0113] (比較例 1 6)
1, 3 ジメトキシベンゼン 61. 6mg (0. 446mmol)、ァセトニトリル 8ml、撹拌子を 50mlナスフラスコに仕込み、マグネチックスターラーにて攪拌し氷水浴にて 0°Cまで 冷却した。上記の参考例で調製した活性ヨウ素化剤の全量を加え、 40°Cで 1時間反 応を行った。
[0114] 反応液を減圧濃縮し、 10cmシリカゲルカラムにかけて、 100mlのエーテルでカラ ム内から反応物を溶出させた。溶媒を減圧濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 3 Omlおよびへキサン 50mlをカ卩えて抽出を行った。なお、反応により得られた反応液 はヨウ素の遊離等により褐色を呈していた。分液を行い、へキサン層を減圧濃縮乾固 させて、反応物 107. 3mgを得た。
[0115] 反応物を NMR分析および GC分析した結果、 1, 3 ジメトキシベンゼン 6. 3mg、 4 , 6 ジョード一 1, 3 ジメトキシベンゼン 83. 5mg (0. 214mmol)、 4 ョード 1, 3 ジメトキシベンゼン 17. 5mg (0. 066mmol)が得られた。ジヨウ素化体とモノヨウ 素化体との生成率の比は 76. 4 : 23. 6であった。
[0116] (比較例 1 7)
30ml三角フラスコに一塩化ヨウ素 162. 4mg (l. OOmmol)およびァセトニトリル 8 mlを仕込み、活性ヨウ素ィ匕剤として使用した。同様に 30ml三角フラスコに 1, 3 ジメ トキシベンゼン 138. Omg (l. OOmmol)とァセトニトリル 8mlを仕込み、基質として使 用した。
[0117] 調製した各々の溶液を 50°Cの温水浴に浸けた 100mlナスフラスコに仕込み、窒素 気流下で 1時間撹拝し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 30ml、飽和チォ硫酸ナトリウ ム水溶液 2ml、ジェチルエーテル 30mlをカ卩ぇ反応終了とした。
[0118] 反応終了後、水層とエーテル層とを分液した。エーテル層を減圧濃縮し、飽和炭酸 水素ナトリウム水溶液 30mlおよびへキサン 50mlを加えて抽出を行った。なお、反応 により得られた反応液はヨウ素の遊離等により褐色を呈していた。分液を行い、へキ サン層を減圧濃縮乾固させて、反応物 243. 4mgを得た。
[0119] 反応物を NMR分析および GC分析した結果、 1, 3 ジメトキシベンゼン 17. Omg、 4 ョード 1, 3 ジメトキシベンゼン 209. 4mg (0. 793mmol)、4, 6 ジョード一 1, 3 ジメトキシベンゼン 17. Omg (0. 044mmol)が得られた。すなわち、モノヨウ 素化体とジヨウ素化体との生成率の比は 94. 7 : 5. 3であった。
[0120] [表 2]
基質 1モルに対する 導入線速度 反応時間 mモル体収率 mモル体選択率
難 n m 活性ョゥ素化剤量
(cm/ sec) (sec) (%) (%)
( I換算、 モル) 実施例 1-1 1, 3-シ"メトキシ 'ンセ"ン 4 1 50.9 3.9 75.6 98.4 1.0 実施例 1-2 1, 3_シ、、メトキシ ンセ'ン 4 1 3.4 58.5 77.7 91.8 1.0 実施例 1-3 1, 3-シ"メトキシへ"ンセ'ン 4 1 17.0 11.7 73.1 96.6 1.0 実施例 1-4 1, 3-シ"メトキシへ'、ンセ"ン 4 1 34.0 10.4 70.2 98.0 1.0 実施例 1-5 1, 3-シ"メトキシ 、ンセ"ン 4 1 84.9 2.34 73.2 98.8 1.0 実施例 1-6 1, 2-シ'、メトキシ 、ン ン 4 1 50.9 3.9 61.3 98.9 1.0 実施例 1-7 1, 4ーシ メ卜キシへ、ンセ "ン 4 1 50.9 3.9 70.1 94.1 1.0 実施例 1-8 フルオレン 8 1 50.9 3.9 42.8 93.6 1.0 実施例 1-9 フルオレン 8 1 50.9 3.9 50.7 94.7 1.0 実施例 1-10 ヒ'、フエニル 10 1 50.9 3.9 54.2 91.4 1.0 実施例 1-11 1, 3-シ"メトキシ 、ンセ"ン 4 1 50.9 3.9 86.2 94.6 1.2 実施例 1-12 1, 2-シ、、ヌトキシへ、'ンセ、、ン 4 1 50.9 1 3.9 82.8 97.1 1.2 実施例 1-13 1, 3 シ、"メ卜キシ Λ、'ンセ、ン 4 50.9 3.9 76.2 95.6 2.2 実施例 1-14 1, 3-シ"メトキシへ、、ンセ、、ン 4 1 50.9 3.9 61.6 99.2 1.0 比較例 1-1 1, 3_シ、'メトキシへ'ンセ、、ン 4 1 - 3600 62.8 86.6 1.0 比較例 1-2 1, 2-シ、'メトキシ 'ンセ、、ン 4 1 3600 63.8 95.4 1.0 比較例 1-3 1, 4-シ'メトキシへ、'ンセ、 'ン 4 1 3600 64.6 87.3 1.0 比較例 1-4 フルオレン 8 1 - 3600 61.0 86.4 1.0 比較例 1-5 ヒ ェニル 10 1 - 3600 44.0 85.5 1.0 比較例 1-6 1, 3-シ"メトキシ 'ン ン 4 2 3600 48.0 76.4 2.2 比較例 1-7 1,3-シ'メトキシ ンセ'ン 4 1 3600 79.3 - 94.7 1.0
[0121] (結果)
(1)実施例 1 1〜1 5の実験結果に基づいて、導入線速度とモノヨウ素化体選 択率との関係を図 1に示す。図 1からは、 1, 3 ジメトキシベンゼンを基質として用い た場合には、芳香族化合物溶液と活性ヨウ素化剤溶液との合計の流速が 50. 9cm Z秒である場合に最もモノ体選択率が高ぐ両者の合計した導入速度が 17cmZ秒 を下回ると、急激にモノヨウ素化体選択率が低下することが示される。
[0122] (2)芳香族化合物として、 1, 3 ジメトキシベンゼンをヨウ素化した場合について、 実施例 1—1および比較例 1—1の比較結果を表 3に示す。表 3から明らかなように、 比較例 1— 1 (バッチ式)の反応ではモノヨウ素化体の選択率が 80%台であるのに対 し、マイクロリアクターを用いて行うことにより、極めて短時間で選択率を 98%以上に まで向上させうることが示される。また、収率も同様に向上することが判明した。
[0123] 実施例 1 1の反応時間はわずか 3. 9秒であるが、比較例 1 1では 3600秒を必 要とした。このことから、マイクロリアクターを使用する本発明は、極めて生産効率に優 れる方法であることが示される。
[0125] (3)実施例 1—13と比較例 1—6との比較から、本発明によれば、マイクロリアクター を用いて芳香族化合物のジヨウ素化体を合成すると、ジヨウ素化体が高選択的に合 成されうる力 ジヨウ素化体の収率もまた、向上しうることが示される。
[0126] (4)各実施例と各比較例との比較から、マイクロリアクターを用いて芳香族化合物を ヨウ素化すると、反応により得られる反応液のヨウ素色の呈色も抑制されることが示さ れる。従って、さらなる精製工程の簡略ィ匕が図られ、合成コストの削減に寄与しうる。
[0127] <モノヨウ素化体選択率に対する基質のモル比の影響 >
下記の実験により、モノヨウ素化体選択率に対する基質のモル比の影響を調べた。
[0128] (実施例 2— 1)
等価直径が 80 mの高速混合器 (IMM社製、商品名 SIMM— V2)の出口に、反
応部として外径 1Z16インチ、内径 0. 5mm、長さ 2mのテフロンチューブを接続した 流通反応装置を用意した。高速混合器の導入口においては、外径 1Z16インチ、内 径 0. 5mmのテフロンチューブを介してシリンジを接続した。
[0129] 100ml三角フラスコに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 30ml、飽和チォ硫酸ナトリウ ム水溶液 lml、およびジェチルエーテル 30mlを仕込み、マグネチックスターラーで 攪拌しつつ氷水浴にて 0°Cまで冷却した。高速混合器および反応部も氷水浴に浸け て 0°Cに冷却した。反応部の出口は三角フラスコの水層に導入した。
[0130] 上記の参考例で得た活性ヨウ素化剤の全量を高速混合器の導入管に接続した。ま た、 1, 3—ジメトキシベンゼン 136. 8mg (0. 99mmol;ヨウ素(原子換算) Z基質モ ル比 = 1. 01)を、活性ヨウ素ィ匕剤と同量のァセトニトリルに溶解させた後、 10mlのシ リンジに仕込み高速混合器の導入管に接続した。各シリンジをシリンジポンプにセット し、各シリンジからの流速が 3. OmlZminになるように調整し、高速混合器に液を導 入して、ヨウ素化反応を行った。各溶液の導入線速度の合計は 50. 9cmZ秒であつ た。なお、反応により得られた反応液は淡黄色を呈していた。
[0131] 送液終了後に、水層とエーテル層とを分液した。エーテル層を減圧濃縮し、 10cm シリカゲルカラムにかけて、 100mlのエーテルでカラム内力も反応物を溶出させた。 溶媒を減圧濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 30mlおよびへキサン 50mlを加 えて抽出を行った。分液を行い、へキサン層を減圧濃縮乾固させて、反応物を得た。
[0132] 反応物を NMR分析および GC分析した結果、 4ーョードー 1, 3—ジメトキシベンゼ ン 180. 4mg (0. 683mmol=収率 69. 0%)、4, 6—ジョードー 1, 3—ジメトキシべ ンゼン 6. 7mg (0. 017mmol=収率 1. 7%)が得られた。すなわち、モノヨウ素化体 とジヨウ素化体との生成率の比は 97. 6 : 2. 4であった。
[0133] (実施例 2— 2)
原料である 1, 3—ジメトキシベンゼンの量を 131. 6mg (0. 95mmol;ヨウ素 Z基質 モル比 = 1. 05)としたこと以外は、上記の実施例 2—1と同様の装置および手法によ り、ヨウ素化反応を行った。
[0134] 反応物を NMR分析および GC分析した結果、 4ーョードー 1, 3—ジメトキシベンゼ ン 171. 9mg (0. 651mmol=収率 68. 5%)、 4, 6—ジョードー 1, 3—ジメトキシべ
ンゼン 4. 8mg (0. 012mmol=収率 1. 3%)が得られた。すなわち、モノヨウ素化体 とジヨウ素化体との生成率の比は 98. 2 : 1. 8であった。
[0135] (実施例 2— 3)
原料である 1, 3—ジメトキシベンゼンの量を 124. 5mg (0. 90mmol;ヨウ素 Z基質 モル比 = 1. 11)としたこと以外は、上記の実施例 2— 1と同様の装置および手法によ り、ヨウ素化反応を行った。
[0136] 反応物を NMR分析および GC分析した結果、 4ーョードー 1, 3—ジメトキシベンゼ ン 177. 9mg (0. 674mmol=収率 74. 8%)、 4, 6—ジョードー 1, 3—ジメトキシべ ンゼン 8. Omg (0. 020mmol=収率 2. 3%)が得られた。すなわち、モノヨウ素化体 とジヨウ素化体との生成率の比は 97. 1 : 2. 9であった。
[0137] (実施例 2— 4)
原料である 1, 3—ジメトキシベンゼンの量を 112. 3mg (0. 81mmol;ヨウ素 Z基質 モル比 = 1. 23)としたこと以外は、上記の実施例 2— 1と同様の装置および手法によ り、ヨウ素化反応を行った。
[0138] 反応物を NMR分析および GC分析した結果、 4ーョードー 1, 3—ジメトキシベンゼ ン 166. 8mg (0. 632mmol=収率 77. 7%)、 4, 6—ジョードー 1, 3—ジメトキシべ ンゼン 13. Omg (0. O33mmol=収率 4. 1%)が得られた。すなわち、モノヨウ素化 体とジヨウ素化体との生成率の比は 95. 0 : 5. 0であった。
[0139] (比較例 2— 1)
1, 3—ジメトキシベンゼン 138. 2mg (l. OOmmol;ヨウ素 Z基質モル比 = 1. 00)
、ァセトニトリル 8ml、撹拌子を 50mlナスフラスコに仕込み、マグネチックスターラー にて攪拌し氷水浴にて 0°Cまで冷却した。上記の参考例で調製した活性ヨウ素化剤 の全量を加え、 0°Cで 1時間反応を行った。
[0140] 反応液を減圧濃縮し、 10cmシリカゲルカラムにかけて、 100mlのエーテルでカラ ム内から反応物を溶出させた。溶媒を減圧濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 3
Omlおよびへキサン 50mlをカ卩えて抽出を行った。なお、反応により得られた反応液 はヨウ素の遊離等により褐色を呈していた。分液を行い、へキサン層を減圧濃縮乾固 させて、反応物を得た。
[0141] 反応物を NMR分析および GC分析した結果、 4ーョードー 1, 3—ジメトキシベンゼ ン 163. lmg (0. 618mmol=収率 61. 8%)、 4, 6—ジョードー 1, 3—ジメトキシべ ンゼン 28. 5mg (0. O73mmol=収率 7. 3%)が得られた。すなわち、モノヨウ素化 体とジヨウ素化体との生成率の比は 89. 4 : 10. 6であった。
[0142] (比較例 2— 2)
原料である 1, 3—ジメトキシベンゼンの量を 132. 8mg (0. 96mmol;ヨウ素 Z基質 モル比 = 1. 04)としたこと以外は、上記の実施例 2—1と同様の装置および手法によ り、ヨウ素化反応を行った。
[0143] 反応物を NMR分析および GC分析した結果、 4ーョードー 1, 3—ジメトキシベンゼ ン 156. 9mg (0. 594mmol=収率 62. 0%)、4, 6—ジョードー 1, 3—ジメトキシべ ンゼン 29. 9mg (0. 113mmol=収率 11. 8%)が得られた。すなわち、モノヨウ素化 体とジヨウ素化体との生成率の比は 84. 0 : 16. 0であった。
[0144] (比較例 2— 3)
原料である 1, 3—ジメトキシベンゼンの量を 125. 6mg (0. 91mmol;ヨウ素 Z基質 モル比 = 1. 10)としたこと以外は、上記の実施例 2— 1と同様の装置および手法によ り、ヨウ素化反応を行った。
[0145] 反応物を NMR分析および GC分析した結果、 4ーョードー 1, 3—ジメトキシベンゼ ン 150. 9mg (0. 572mmol=収率 62. 9%)、 4, 6—ジョードー 1, 3—ジメトキシべ ンゼン 59. 3mg (0. 152mmol=収率 16. 7%)が得られた。すなわち、モノヨウ素化 体とジヨウ素化体との生成率の比は 79. 0 : 21. 0であった。
[0146] (比較例 2— 4)
原料である 1, 3—ジメトキシベンゼンの量を 111. 4mg (0. 81mmol;ヨウ素 Z基質 モル比 = 1. 24)としたこと以外は、上記の実施例 2—1と同様の装置および手法によ り、ヨウ素化反応を行った。
[0147] 反応物を NMR分析および GC分析した結果、 4ーョードー 1, 3—ジメトキシベンゼ ン 95. 5mg (0. 362mmol=収率 44. 9%)、 4, 6—ジョードー 1, 3—ジメトキシベン ゼン 57. 3mg (0. 147mmol=収率 18. 2%)が得られた。すなわち、モノヨウ素化体 とジヨウ素化体との生成率の比は 71. 1 : 28. 9であった。
[0148] 上記の結果を下記の表 4に示す。また、各実施例および各比較例における、モノョ ゥ素化体選択率に対する基質(1, 3—ジメトキシベンゼン)のモル比の影響を、図 2 にグラフとして示す。
[0149] [表 4]
[0150] 従来、例えばモノヨウ素化体を製造しょうとする場合には、副生物であるジヨウ素化 体やトリヨウ素化体の副生を抑制するという観点から、反応物中へのヨウ素の添加量 を少なめに設定する (すなわち、ヨウ素 Z基質のモル比を 1. 0未満に設定する)こと が一般的であり、これにより十分な収率を達成するのが困難であるという問題があつ た。これに対し、本発明によれば、表 4および図 2に示すように、マイクロリアクターを 用いて反応を行うことで、基質に対するヨウ素のモル比を 1. 0よりも大きく設定した場 合であっても、所望の生成物であるモノヨウ素化体を高選択的に高収率で製造しうる ことが示される。
[0151] なお、本出願は、 2005年 1月 6日に出願された日本特許出願番号 2005— 00169 3号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として引用されている。