色素増感型金属酸化物半導体電極及びその製造方法並びに色素増感 型太陽電池
発明の分野
[0001] 本発明は、色素増感型金属酸化物半導体電極及びその製造方法並びに色素増 感型太陽電池に関する。
発明の背景
[0002] 増感色素を吸着させた金属酸ィヒ物半導体を電極に用いて太陽電池を構成すること は既に知られている。図 2は、このような色素増感型太陽電池の一般的な構造を示す 断面図である。図 2に示す如ぐガラス基板等の基板 1上に FTO (フッ素ドープ酸ィ匕 スズ)、 ITO (インジウムスズ酸ィ匕物)等の透明導電膜 2が設けられ、この透明導電膜 2 上に分光増感色素を吸着させた金属酸化物半導体膜 (色素吸着金属酸化物半導 体膜 3A) 3が形成されることにより色素増感型金属酸化物半導体電極 4が形成される 。この金属酸ィ匕物半導体膜 3と対向して間隔をあけて対向電極 5が配置されており、 封止材 6により色素増感型半導体電極 4と対向電極 5との間に電解質 7が封入されて いる。
[0003] 色素吸着金属酸ィ匕物半導体膜 3Aは、通常、色素を吸着させた酸ィ匕チタン薄膜より なる。この酸ィ匕チタン薄膜に吸着されている色素が可視光によって励起され、発生し た電子を酸ィ匕チタン微粒子に渡すことによって発電が行われる。対向電極 5は、ガラ ス又はプラスチック等の基板上に ITOや FTO等の透明導電膜が形成されて ヽる。こ の透明導電膜上に、透明導電膜と増感色素との間の電子の授受を促進させるため の触媒としての白金膜又は炭素膜が、透過率を低下させない程度の膜厚に形成され ている。電解質 7としては、酸化還元性物質、例えば、 Lil、 Nal、 KI、 Calなどの金
2 属ヨウ化物とヨウ素の組み合わせ、 LiBr、 NaBr、 KBr、 CaBrなどの金属臭化物と
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臭素の組み合わせ、好ましくは、金属ヨウ化物とヨウ素の組み合わせよりなる酸ィ匕還 元性物質をプロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、ァセトニトリルなどの 二トリルイ匕合物等の溶媒に溶解してなる電解液が用いられて ヽる。
[0004] 従来、酸化チタンよりなる金属酸化物半導体膜は、ゾルゲル法により基板上に成膜 した酸化チタン前駆体膜、或いは、ドクターブレード法やスクリーン印刷法によりチタ ユアペーストを基板上に塗布することに成膜したチタ-ァ膜を高温焼成することにより 形成されている。
[0005] 発電効率等の電池性能に優れ、また電池性能の安定性にも優れた色素増感型太 陽電池を実現するためには、色素増感型金属酸化物半導体電極における金属酸化 物半導体膜の構造制御が極めて重要である。即ち、金属酸化物半導体膜は、色素 を十分に吸着し得るように、高比表面積の多孔質構造であることが要求される。また、 十分な電気伝導性を得るために、このような高比表面積の多孔質構造において、半 導体膜を形成する酸ィ匕チタン粒子同士のつながりが良いことが要求される。
[0006] し力しながら、従来のゾルゲル法ゃチタ-ァペーストを用いる方法では、十分な高 比表面積を得ることができる多孔質を維持した上で、酸ィ匕チタン粒子間のつながりの 良い半導体膜を形成することが困難である。
[0007] 従来法で形成された酸化チタン膜は、粒状の酸化チタン粒子の集合体として形成 される。この酸ィ匕チタン粒子間の間隙が多ぐ高比表面積のものでは酸ィ匕チタン粒子 間のつながりが悪いものとなる。酸化チタン粒子間のつながりを良くしょうとすると、酸 化チタン粒子の密度を高くせざるを得ず、この場合には高比表面積の多孔質膜を形 成し得ない。
発明の概要
[0008] 本発明は、高比表面積であるために色素を十分に吸着することができ、かつ金属 酸ィ匕物同士のつながりも良ぐ電気伝導性に優れた金属酸ィ匕物半導体膜を有する 色素増感型金属酸化物半導体電極と、この色素増感型金属酸化物半導体電極によ り高い発電効率を達成し得る色素増感型太陽電池を提供することを目的とする。
[0009] 本発明の第 1アスペクトに係る色素増感型金属酸化物半導体電極の製造方法は、 基板上に形成された導電基材上に金属酸化物半導体膜を形成する工程を有する。 金属酸化物前駆体含有原料液をエレクトロスピニング法により該導電基材に向けて 噴射することにより、該導電基材上に金属酸化物前駆体を含むナノファイバーの堆 積層を形成し、次いで該堆積層を焼成する。
[0010] 本発明の第 2アスペクトに係る色素増感型金属酸ィ匕物半導体電極は、第 1ァスぺク トの色素増感型金属酸化物半導体電極の製造方法により製造される。
[0011] 本発明の第 3アスペクトに係る色素増感型金属酸ィ匕物半導体電極は、基板と、該 基板上に形成された導電基材と、該導電基材上に形成された金属酸化物半導体膜 とを有する。該半導体膜が、エレクトロスピユング法により形成された金属酸化物ナノ ファイバーを含む。
[0012] 本発明の第 4アスペクトに係る色素増感型太陽電池は、色素増感型半導体電極と 、この色素増感型半導体電極に対面して設けられた対向電極と、該色素増感型半導 体電極と対向電極との間に配置された電解質とを有する。該色素増感型半導体電 極は、上記第 2又は第 3アスペクトの色素増感型金属酸化物半導体電極である。 図面の簡単な説明
[0013] [図 1]本発明に係る金属酸化物半導体膜の製造方法の実施の形態を説明する模式 図である。
[図 2]色素増感型太陽電池の構成を示す断面図である。
発明を実施するための最良の形態
[0014] 本発明によれば、高比表面積であるために色素を十分に吸着することができ、かつ 金属酸ィ匕物同士のつながりも良ぐ電気伝導性に優れた金属酸ィ匕物半導体膜を有 する色素増感型金属酸化物半導体電極により発電効率に優れた色素増感型太陽 電池が提供される。
[0015] 即ち、金属酸化物前駆体含有原料液をエレクトロスピユング法により基板上の透明 導電膜等の導電基材に向けて噴射することにより、この透明導電膜等の導電基材上 に金属酸ィ匕物前駆体を含むナノファイバーの嵩高い堆積層を形成することができる 。従って、この堆積層を焼成して得られる金属酸化物半導体膜は、金属酸化物ナノ ファイバーよりなる嵩高い不織布状の層であり、極高比表面積の多孔質層である。ま た、この金属酸化物半導体膜では、金属酸ィ匕物ナノファイバーの互いの繊維の絡み 合!、で著しく良好な電気伝導性を得ることができる。
[0016] しかも、本発明によれば、金属酸化物前駆体含有原料液の調製、エレクトロスピ- ング法によるナノファイバーの堆積層の形成、焼成、という少ない工程数で金属酸ィ匕
物半導体膜を形成することができるため、工程数の削減による生産性の向上も図るこ とがでさる。
[0017] 即ち、例えば、従来の金属酸化物半導体電極作製法では水熱合成による酸化チタ ンの結晶化及び微粒子化、この微粒子の分散液の調製、調製した分散液の基板へ の塗布、焼成、という煩雑な工程が必要であつたが、本発明によれば金属酸化物半 導体膜形成プロセスの簡略ィ匕を図ることができる。
[0018] 以下に図面を参照して本発明の色素増感型金属酸化物半導体電極及びその製 造方法並びに色素増感型太陽電池の実施の形態を詳細に説明する。
[0019] 図 1は、本発明に係る金属酸ィ匕物半導体膜の製造方法 (エレクトロスピユング法に よる金属酸ィ匕物前駆体を含むナノファイバーの堆積層の形成方法)の実施の形態を 説明する模式図である。
[0020] 本発明にお ヽては、まず、基板上に透明導電膜等の導電基材を形成する。
[0021] 基板としては、通常、珪酸塩ガラス等のガラス板が用いられる。基板の厚さは、 0. 1
〜10mmが一般的であり、 0. 3〜5mm、例えば lmm程度が好ましい。ガラス板は、 化学的に或いは熱的に強化させたものが好まし 、。
[0022] 透明導電膜等の導電基材としては、 In Oや SnOの導電性金属酸化物薄膜を形
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成したものや金属等の導電性材料からなる基板が用いられる。導電性金属酸化物の 好ましい例としては、 In O: Sn(ITO)、 SnO: Sb
2 3 2 、 SnO: F (FTO)
2 、 ZnO : Al、 Zn
0 :F、 CdSnO等を挙げることができる。なお、透明導電膜としては、これらの 2種以
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上の透明導電膜を積層しても良ぐまた、 2種以上の材料を混合して用いても良い。
[0023] 透明導電膜等の導電基材の形成方法には特に制限はなぐスパッタリング法、レー ザ一蒸着法、 CVD法等が採用される。透明導電膜等の導電基材は通常 100〜100
Onm程度の厚さに形成される。
[0024] 本発明にお ヽては、表面に透明導電膜等の導電基材を形成した基板 (以下「透明 導電膜付き基板」と称す。)の透明導電膜等の導電基材に向けて、金属酸化物前駆 体含有原料液をエレクトロスピユング法により噴射することにより、この透明導電膜等 の導電基材上に金属酸化物前駆体を含むナノファイバーの堆積層を形成する。
[0025] エレクトロスピニング法は、電気の力を利用した繊維化方法として公知の方法である
。図 1に示す如ぐ被処理基板 (透明導電膜付き基板) 11と、金属酸化物前駆体含有 原料液 12を保持する、キヤピラリー (ニードル) 13A付きの容器 13との間に直流電圧 を印加すると、透明導電膜付き基板 11の透明導電膜 11Aに向けて金属酸ィ匕物前駆 体含有原料液 12が放出される。金属酸化物前駆体含有原料液 12はその表面張力 によりキヤピラリー 13Aから液滴として放出される。液滴の表面に電荷が集まり、互い に反発し合う。そして、この電荷の反発力が表面張力を超えると、液滴は分裂し、ジヱ ットとなる。そして、この間に溶媒が揮発することで電荷の反発力は更に増し、ジェット は更に分裂して細かいジェット 14となる。このジェット 14中で金属酸化物前駆体含有 原料液中の高分子化合物鎖が配向し、金属酸化物前駆体含有原料液中の金属酸 化物前駆体が高分子鎖で連結された細長 ヽ繊維状となって、透明導電膜付き基板 1 1の透明導電膜 11Aに到達し、この状態で凝集する。これにより、透明導電膜 11A上 に金属酸化物前駆体のナノファイバーの堆積層が形成される。
[0026] このエレクトロスピユング法において、印加電圧、キヤビラリ一と基板との距離、キヤ ピラリーの吐出口径、金属酸化物前駆体含有原料液組成等を適宜調整することによ り、所望の平均直径及び平均長さのナノファイバーの透明導電膜付き基板を形成す ることがでさる。
[0027] 本発明において、エレクトロスピユング法における印加電圧は 20〜30kV程度とす るのが好ましい。印加電圧がこの範囲よりも低いと、十分な繊維化を図ることができず 、高いとナノファイバーの形成に問題はないが、機器や人体に危険である。
[0028] また、キヤビラリ一先端と基板との距離は、印加電圧や原料溶液の粘性、導電率等 によっても異なる力 5〜 15cm程度とすることが好ましい。この距離が近すぎても遠 すぎても、良好なナノファイバーを形成し得ない。キヤビラリ一の吐出口径は、通常 3 00〜500 m程度である。このキヤビラリ一の吐出口径についても、大き過ぎても小 さ過ぎても良好なナノファイバーを形成し得な 、。
[0029] 金属酸化物前駆体含有原料液としては、上記高分子鎖形成のための高分子化合 物と、金属酸ィ匕物前駆体とを溶媒に溶解してなる溶液が好まし 、。
[0030] 高分子化合物は、溶媒の種類にもよるが、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール 等の 1種又は 2種以上を用いることができ、その分子量は 100000〜500000程度で
あることが好ましい。
[0031] 溶媒としては、上記高分子化合物及び後述の金属酸化物前駆体を溶解し、また、 これらと反応しないものであれば良ぐ特に制限はないが、 N, N ジメチルホルムァ ミド(DMF)、ホルムアミド、ジォキサンや、メタノール、エタノール等のアルコール類、 ベンゼン、テトラヒドロフラン (THF)等の 1種又は 2種以上が挙げられる。
[0032] 金属酸化物前駆体としては、金属アルコキシド、金属塩等が挙げられ、金属アルコ キシドとしては、エトキシド、イソプロポキシド、ブトキシド等のアルコキシドが挙げられ る。本発明で形成される金属酸ィ匕物半導体膜は酸ィ匕チタン膜又は酸化スズ膜である ことが好ましぐ従って金属酸ィ匕物前駆体としては、チタニウムテトラー i プロポキシ ド、チタニウムテトラー n—プロポキシド、チタニウムテトラー n—ブトキシド、チタニウム テトラー iーブトキシド、チタニウムテトラー tーブトキシド、あるいは同様のスズのアルコ キシドなどが使用できる。これらの金属酸ィ匕物前駆体は 1種を単独で用いても良ぐ 2 種以上を混合して用いても良 、。
[0033] 金属酸化物前駆体含有原料液中には、金属アルコキシドの加水分解を抑えるため に酢酸等の有機酸を添加しても良 、。
[0034] 金属酸化物前駆体含有原料液中の前記高分子化合物濃度は、用いる高分子化 合物の種類にもよるが、 1〜30重量%とりわけ 6〜: LO重量%程度であることが好まし い。金属酸化物前駆体含有原料液中の金属酸化物前駆体濃度は、 5〜60重量%と りわけ 15〜40重量%程度で、高分子化合物が金属酸化物前駆体の 25〜40重量 %程度となるように金属酸化物前駆体含有原料液を調製することが好ましい。
[0035] 酢酸等の添加剤を用いる場合、その金属酸化物前駆体含有原料液中濃度は 4〜1 0重量%程度とするのが好ましい。
[0036] 金属酸化物前駆体含有原料液を用いてエレクトロスピユング法により透明導電膜付 き基板上に形成された金属酸化物前駆体を含むナノファイバ一は、平均直径 20〜5 OOnm程度で、平均長さ 0. 1〜: LO m程度であることが高比表面積ィ匕の点で好まし い。
[0037] 金属酸ィ匕物前駆体を含むナノファイバーの堆積層は、次いで焼成することにより高 分子化合物を焼失させると共に、金属酸化物前駆体を金属酸化物結晶に変換させ
ることで、金属酸化物膜が形成される。この焼成温度は、低過ぎると高分子化合物の 焼失、金属酸化物前駆体の金属酸化物への変換、結晶化を効率的に行えず、高過 ぎてち工業的に不禾 IJであるため、通常 400〜1000oC、特に 500〜600oCで 1〜2時 間程度行うことが好ましい。
[0038] 金属酸化物半導体膜は、平均直径 100〜400nm程度の金属酸ィ匕物ナノファイバ 一の透明導電膜付き基板であることが好ましぐまた、その厚さは 300〜1000nm程 度、比表面積は 10〜: L00m2Zg程度であることが好ましい。
[0039] 金属酸化物半導体膜を構成する金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸 ィ匕タングステン、酸化アンチモン、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化インジウムな どの公知の金属酸ィ匕物半導体の 1種又は 2種以上を用いることができる力 特に、安 定性、安全性の点力も酸ィ匕チタンが好ましい。
[0040] 形成された金属酸化物半導体膜には色素を吸着させて色素吸着金属酸化物半導 体電極が得られる。酸化物半導体膜に吸着させる有機色素 (分光増感色素)として は、可視光領域及び Z又は赤外光領域に吸収を持つものであり、種々の金属錯体 や有機色素の 1種又は 2種以上を用いることができる。分光増感色素の分子中に力 ルボキシル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシル基、スルホン基、カルボキシアルキ ル基の官能基を有するものが半導体への吸着が速いため、好ましい。また、分光増 感の効果や耐久性に優れているため、金属錯体が好ましい。金属錯体としては、銅 フタロシア-ン、チタ-ルフタロシア-ンなどの金属フタロシア-ン、クロロフィル、へミ ン、特開平 1— 220380号公報、特表平 5— 504023号公報に記載のルテニウム、ォ スミゥム、鉄、亜鉛の錯体を用いることができる。有機色素としては、メタルフリーフタ口 シァニン、シァニン系色素、メロシアニン系色素、キサンテン系色素、トリフエ-ノレメタ ン色素を用いることができる。シァニン系色素としては、具体的には、 NK1194、 NK 3422 (V、ずれも日本感光色素研究所 (株)製)が挙げられる。メロシアニン系色素とし ては、具体的には、 NK2426、 NK2501 (いずれも日本感光色素研究所 (株)製)が 挙げられる。キサンテン系色素としては、具体的には、ゥラニン、ェォシン、ローズべ ンガル、ローダミン B、ジブロムフルォレセインが挙げられる。トリフエ-ルメタン色素と しては、具体的には、マラカイトグリーン、クリスタルバイオレットが挙げられる。
[0041] 有機色素 (分光増感色素)を半導体膜に吸着させるこのためには、有機色素を有 機溶媒に溶解させて調製した有機色素溶液中に、常温又は加熱下に金属酸化物半 導体膜を基板ととも浸漬すれば良い。前記の溶液の溶媒としては、使用する分光増 感色素を溶解するものであれば良ぐ具体的には、水、アルコール、トルエン、ジメチ ルホルムアミドを用いることができる。
[0042] この色素を吸着させた半導体膜を有する半導体電極 4を用いて、この半導体電極 4 に対向電極 5を対面させ、これらの電極 4, 5間に電解質 7を封止材 6により封入する ことにより、本発明の色素増感型太陽電池を得ることができる。対向電極 5としては、 導電性を有するものであれば良ぐ任意の導電性材料が用いられるが、電解質の I "
3 イオン等の酸化型のレドックスイオンの還元反応を充分な速さで行わせる触媒能を持 つたものの使用が好ましい。このようなものとしては、白金電極、導電材料表面に白金 めっきや白金蒸着を施したもの、ロジウム金属、ルテニウム金属、酸化ルテニウム、力 一ボン、コノ レト、ニッケル、クロム等が挙げられる。
実施例
[0043] 以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
[0044] 実施例 1
下記組成の金属酸化物前駆体含有原料液を調製した。
[金属酸化物前駆体含有原料液組成]
ポリ酢酸ビニル:0. 5g
N, N— DMF :4. 5g
チタニウムテトラー i—プロポキシド:2. Og
酢酸: 0. 5g
[0045] この金属酸化物前駆体含有原料液を用いて、図 1に示すエレクトロスピニング法に より、下記条件で FTO膜が形成されたガラス基板 (厚さ 2mm)の FTO膜上にナノファ ィバーの堆積層を形成した後、この堆積層を 500°Cで 1時間焼成した。
[エレクトロスピニング条件]
印加電圧: 20kV
キヤビラリ一先端と基板との距離: 14cm
[0046] 走査型電子顕微鏡により分析したところ、形成された酸化チタン半導体膜は、平均 直径 300nmの酸化チタンナノファイバーの堆積層であり、その厚さは約 1000nm、 比表面積 400000cm2Zgであった。
[0047] 次に、ァセトニトリル: 3—メチル—2—ォキサゾリジノン = 50 : 50 (重量比)の混合溶 媒に、ヨウ化リチウムを 0. 3モル ZL、ヨウ素を 0. 03モル ZL配合して液状電解質を 調製した。
[0048] 分光増感色素として、シスージ(チオシアナト) -N, N, 一ビス(2, 2'—ビビリジル
-4, 4,ージカルボキシレートルテニウム(II)ジハイドレートをエタノール液に 3 X 10— 4モル ZLで溶解した液に、上記酸化チタン半導体膜を形成した基板を入れ、室温で 18時間浸漬して、色素増感型酸化チタン半導体電極を得た。分光増感色素の吸着 量は、酸ィ匕チタン膜の比表面積 lcm2/gあたり 15 gであった。
[0049] この色素増感型酸ィ匕チタン半導体電極上に、液流れ防止テープを取り付けて堰を 設け、上記液状電解質を塗布した。この電解質膜面に、対向電極として、白金を担 持した透明導電性ガラス板を積層し、側面を榭脂で封止した後、リード線を取り付け て、色素増感型太陽電池を作製した。
[0050] 得られた色素増感型太陽電池に、ソーラーシユミレーターで lOOmWの強度の光を 照射したところ (セル面積 lcm2)、 E変換効率は 1%であった。