JP2003331934A - 光電変換素子用電極基板および光電変換素子 - Google Patents

光電変換素子用電極基板および光電変換素子

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JP2003331934A JP2002134444A JP2002134444A JP2003331934A JP 2003331934 A JP2003331934 A JP 2003331934A JP 2002134444 A JP2002134444 A JP 2002134444A JP 2002134444 A JP2002134444 A JP 2002134444A JP 2003331934 A JP2003331934 A JP 2003331934A
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Hiroshi Matsui
浩志 松井
Nobuo Tanabe
信夫 田辺
Kenichi Okada
顕一 岡田
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Fujikura Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 色素増感太陽電池等の光電変換素子の電解質
層5または電荷移送層6と、透明導電層11や金属配線
層12などの導電層との直接接触による短絡を回避し、
しかも光電変換素子の出力特性の低下を来たさないよう
にする。 【解決手段】 透明導電層11および金属配線層12の
表面を、2層以上の遮蔽層13、13、…で被覆する。
これにより、被覆が形成されない未被覆部が生じにくく
なり、電解質層5または電荷移送層6と透明導電層11
および金属配線層12との直接接触による短絡を回避す
ることができる。特に、各遮蔽層13、13、…のうち
少なくとも1種を乾式法により形成し、他のものを湿式
法により形成することが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、色素増感太陽電池
などの光電変換素子に用いられる電極基板に関する。
【0002】
【従来の技術】色素増感太陽電池は、スイスのグレッツ
ェルらにより開発されたものであり、光電変換効率が高
く、製造コストが安い等の利点をもち、新しいタイプの
太陽電池として注目を集めている。
【0003】図4は、この色素増感太陽電池の一例を示
すものである。この色素増感太陽電池は、電極基板1上
に、酸化チタンなどの酸化物半導体微粒子からなり、光
増感色素が担持された酸化物半導体多孔膜2を有する作
用極3と、この作用極3に対向して設けられた対極4と
を備えている。そして、これらの作用極3と対極4との
間には、電解液が充填されることにより電解質層5が形
成されている。前記電極基板1は、一般に、ガラス板な
どの透明基板10の上に、スズ添加酸化インジウム(I
TO)やフッ素添加酸化スズ(FTO)などからなる透
明導電層11を形成したものである。また、酸化物半導
体多孔膜2からの集電効率を向上するため、透明導電層
11の上に、金、白金などからなる格子状の金属配線層
12を設けることもある。この色素増感太陽電池におい
ては、透明基板10側から太陽光などの光が入射する
と、作用極3と対極4との間に起電力が生じるようにな
っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般に、このような色
素増感太陽電池においては、増感色素の担持表面積を増
大させるため、酸化物半導体多孔膜2は多孔質となって
いる。すると、酸化物半導体微粒子間の間隙に電解質層
5の電解液が浸透して、電極基板1の透明導電層11に
接触することになる。これにより、短絡や漏れ電流(逆
電子移動)などの電力の損失を生じ、色素増感太陽電池
の出力低下を招くおそれがある。
【0005】また、透明導電層11の上に金属配線層1
2が形成されている場合、金属から電解液への電子移動
速度が速いため、漏れ電流量も多くなる。また、電解質
層5に代えて、p型半導体などからなる固体の電荷移送
層6を設けた場合にも、該電荷移送層6と透明導電層1
1または金属配線層12が接触した場合、漏れ電流は著
しいものとなり、出力低下は致命的となる。
【0006】この問題に対処するため、透明導電層11
や金属配線層12の表面を、図5に示すように、酸化チ
タンなどの酸化物半導体からなる遮蔽層13により被覆
し、短絡の防止を図ることが検討されている。しかし、
FTOなどの透明導電層11の表面は比較的粗く、この
上に遮蔽層13を間隙なく形成することは難しく、未被
覆部14が生じることがある。
【0007】また、遮蔽層13を形成する方法がスパッ
タ法などの乾式法の場合、金属配線層12の周辺に急激
な段差や影部が存在すると、遮蔽層13が形成されない
未被覆部14が生じやすい。また、スピンコート法など
を用いた湿式法においても、遮蔽層13の原料となる塗
布液のはじきや、塗布後のクラック発生等による未被覆
部14が生じることがある。被覆不良を抑制するため遮
蔽層13の被覆厚を厚くすると、透明導電層11と電解
質層5または電荷移送層6との間の電子移動を阻害し、
却って光電変換効率を低下させるおそれがある。
【0008】よって、本発明の課題は、光電変換素子の
電解質層または電荷移送層と、透明導電層や金属配線層
などの導電層との直接接触による短絡を回避し、しかも
光電変換素子の出力特性の低下を来たさないようにする
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題は、導電層の表
面を2層以上の遮蔽層で被覆することによって解決され
る。これにより、被覆の欠陥が生じにくくなり、導電層
と電解質層または電荷移送層との直接接触による短絡を
回避することができる。特に、前記2層以上の遮蔽層
は、そのうち少なくとも1層を乾式法により形成し、他
のものを湿式法により形成することが好ましい。前記遮
蔽層としては、透光性および酸化物半導体多孔膜との親
和性が高いことから、酸化物半導体を用いることが好ま
しい。
【0010】また、前記導電層としては、酸化物半導体
多孔膜からの集電能力を高めるため、前記透明基板上に
一面に形成された透明導電層と、この透明導電層上に設
けられた金属配線層とからなるものとすることが好まし
い。この場合、前記遮蔽層は、前記金属配線層に被覆さ
れていない透明導電層上における厚さを、金属配線層上
における厚さより薄くすることが好ましい。これによ
り、遮蔽層が酸化物半導体多孔膜から透明導電層への電
子移動を阻害するおそれが低減され、光電変換素子の出
力効率が一層向上する。
【0011】さらに、本発明は、上述の電極基板を用い
た光電変換素子を提供する。例えば、上述の電極基板の
上に、色素担持された酸化物半導体多孔膜を形成して作
用極となし、この作用極に対向して対極を配置し、前記
作用極と対極との間に、酸化還元対を含む電解質層を設
けることにより、色素増感太陽電池とすることができ
る。また、上記色素増感太陽電池においては、前記酸化
還元対を含む電解質層に代えて、p型半導体を主要素と
する電荷移送層を設けるようにすることもできる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、実施の形態に基づいて、本
発明を詳しく説明する。図1は、本発明の色素増感太陽
電池の一例を示す概略断面図である。図1中、図4で用
いた符号と同一の符号は、図1の構成と同様のものであ
ることを意味する。この色素増感太陽電池は、従来のも
のと同様の作用効果により、透明基板10側から太陽光
などの光が入射すると、作用極3と対極4との間に起電
力が生じ、これにより電力が得られるものである。
【0013】本実施の形態の色素増感太陽電池が従来の
ものと異なる点は、導電層となる透明導電層11および
金属配線層12の表面が、2層以上の遮蔽層13、1
3、…で被覆されていることである。これにより、遮蔽
層13が形成されずに導電層が露出している前記未被覆
部14が生じにくくなり、導電層の表面を完全に被覆す
ることができるので、電解質層5または電荷移送層6と
導電層との直接接触による短絡を回避することができ
る。
【0014】本実施の形態において、電極基板1は、透
明基板10の上に透明導電層11および金属配線層12
を形成し、さらに、この透明導電層11および金属配線
層12の表面を2層以上の遮蔽層13、13、…で被覆
したものである。透明基板10の材料としては、透光性
が良好であり、従来、光電変換素子に用いられているも
のであれば特に制限されないが、例えば、透明ガラスの
他、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチ
レンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(P
C)、ポリエーテルスルホン(PES)などの透明プラ
スチックシートから適宜選択して用いることができる。
【0015】透明導電層11としては、例えば、スズ添
加酸化インジウム(ITO)、酸化スズ(SnO2)、
フッ素添加酸化スズ(FTO)等の導電性金属酸化物を
用いることができる。あるいは透光性を有する範囲の厚
みのAu、Pt、Ag、Cu、Alなどの金属も利用可
能である。透明導電層11を透明基板10上に形成する
方法としては、透明導電層11の材料に応じた公知の適
切な方法を用いればよいが、例えば、スパッタ法、蒸着
法などが挙げられる。そして、透光性と導電性を考慮し
て、通常0.001μm〜10μm程度の膜厚に形成さ
れる。透明導電層11の上には、メッキ法などの方法に
よって、金、白金などからなる金属配線層12を形成し
てもよい。金属配線層12は、電極基板1の透光性を著
しく損ねないため、各配線の幅を500μm以下と細く
し、格子状や縞状などの構造とすることが好ましい。金
属配線層12の各配線の厚さ(高さ)は、特に制限され
ないが、0.1〜10μmとすることが好ましい。
【0016】遮蔽層13、13、…としては、透光性が
高く、酸化還元種含有電解液と接触した時の界面におけ
る電子移動速度が小さい物質が用いられる。特に、酸化
チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ
(SnO2)、酸化ニオブ(Nb 25)等の酸化物半導
体は、酸化物半導体多孔膜2との親和性が高く、安定な
薄膜を形成することが容易であるため、好ましい。
【0017】遮蔽層13、13、…を形成する方法とし
ては、例えば、目的化合物またはその前駆体をスパッタ
法、蒸着法、CVD法などの乾式法(気相法)により製
膜する方法が挙げられる。例えば金属などの前駆体を製
膜した場合には、加熱処理または化学処理などにより酸
化させることにより、遮蔽層13、13、…を得ること
ができる。
【0018】また、湿式法の場合、目的化合物またはそ
の前駆体を含有する液をスピンコート法、ディッピング
法、ブレードコート法などの方法により塗布したのち、
加熱処理や化学処理などにより目的の化合物に化学変化
させることにより、遮蔽層13、13、…を得ることが
できる。前駆体としては、目的化合物の構成金属元素を
有する塩類、錯体などが例示される。緻密な膜を得るた
めには、分散液より溶液がより好ましい。
【0019】また、スプレー熱分解法(SPD)などで
は、透明導電層11を有する透明基板10を加熱した状
態で、これに向けて遮蔽層13の前駆体となる物質を噴
霧し、熱分解させることにより、目的とする酸化物半導
体に変化させる方法を用いてもよい。
【0020】本実施の形態においては、上記製膜法の2
種以上を用いて、2層以上の遮蔽層13、13、…が透
明導電層11または金属配線層12の上に設けられる。
遮蔽層13、13、…は、図1には、2層のものとして
描かれているが、3層以上であってもよい。また、遮蔽
層13、13、…が、透明導電層11または金属配線層
12が形成されていない透明基板10の表面上に形成さ
れていても差し支えない。
【0021】特に、気相法(乾式法)と湿式法とを併用
することにより、メッキ金属配線など、急峻な形状を有
する基板表面上にも、被覆欠陥のない遮蔽層13、13
を形成することができる。遮蔽層13、13の厚さは、
電解質層5または電荷移送層6と透明導電層11との間
の電子移動を著しく阻害しない限り、特に限定されるも
のではないが、被覆の効果を発揮できる範囲で薄いほう
が望ましく、その厚さを各層の総計として10〜100
0nm程度とすることが好ましい。
【0022】透明導電層11は、金属配線層12より導
電性が低い場合が多いので、透明導電層11上と金属配
線層12上とで遮蔽層13、13、…の厚さをほぼ等し
くすると、その厚さによっては、遮蔽層13、13、…
が酸化物半導体多孔膜2から透明導電層11への電子移
動を阻害するおそれがある。この場合、図2に示すよう
に、遮蔽層13、13、…のうち、前記金属配線層12
に被覆されていない透明導電層11上にある部分をエッ
チングなどにより薄し、透明導電層11上にある部分の
厚さを、金属配線層12上にある部分の厚さより薄くす
ることが好ましい。これにより、透明導電層11への電
子移動の効率が改善される。
【0023】上述のようにして作製された電極基板1の
表面上には、増感色素が担持された酸化物半導体多孔膜
2が形成されており、これにより、色素増感太陽電池の
作用極3となる。酸化物半導体多孔膜2は、酸化チタン
(TiO2)、酸化スズ(SnO2)、酸化タングステン
(WO3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb2
5)などの1種または2種以上を複合させた平均粒径1
〜1000nmの酸化物半導体微粒子からなる多孔質の
薄膜であって、厚さが0.5〜50μm程度のものであ
る。
【0024】酸化物半導体多孔膜2を形成するために
は、例えば、市販の酸化物半導体微粒子を所望の分散媒
に分散させた分散液、あるいは、ゾル−ゲル法により調
整できるコロイド溶液を、必要に応じて所望の添加剤を
添加した後、スクリーンプリント法、インクジェットプ
リント法、ロールコート法、ドクターブレード法、スピ
ンコート法、スプレー塗布法など公知の塗布により塗布
するほか、コロイド溶液中に電極基板1を浸漬して電気
泳動により酸化物半導体微粒子を電極基板1上に付着さ
せる泳動電着法、コロイド溶液や分散液に発泡剤を混合
して塗布した後、焼結して多孔質化する方法、ポリマー
マイクロビーズを混合して塗布した後、このポリマーマ
イクロビーズを加熱処理や化学処理により除去して空隙
を形成させ多孔質化する方法などを適用することができ
る。
【0025】酸化物半導体多孔膜2に担持される増感色
素としては、ビピリジン構造、ターピリジン構造などを
含む配位子を有するルテチウム錯体や鉄錯体、ポルフィ
リン系やフタロシアニン系の金属錯体をはじめ、エオシ
ン、ローダミン、メロシアニンなどの有機色素なども特
に制限なく用いることができる。
【0026】電解質層5を形成するための電解液として
は、酸化還元対を含む有機溶媒や室温溶融塩などを用い
ることができる。前記有機溶媒としては、アセトニトリ
ル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、エチ
レンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチル
カーボネート、γ−ブチロラクトンなどが例示される。
また、室温溶融塩としては、四級化イミダゾリウム系カ
チオンとヨウ化物イオンまたはビストリフルオロメチル
スルホニルイミドアニオンなどからなる塩類が例示され
る。
【0027】前記電解液に含有される酸化還元対として
は、特に限定されることなく、ヨウ素/ヨウ化物イオ
ン、臭素/臭化物イオンなどのペアを添加して得ること
ができる。ヨウ化物イオンまたは臭化物イオンの供給源
としては、リチウム塩、四級化イミダゾリウム塩、テト
ラブチルアンモニウム塩などを単独または複合して用い
ることができる。前記電解液には、必要に応じてter
t−ブチルピリジンなどの添加物を添加することができ
る。また、適当なゲル化剤によりゲル化させて流動性を
抑制したものを用いてもよい。
【0028】また、電解質層5に代えて、p型半導体な
どからなる固体の電荷移送層6を用いることもできる。
前記p型半導体としては、例えば、ヨウ化銅、チオシア
ン化銅などの一価銅化合物を好適に用いることができ
る。電荷移送層6の形成方法は特に制限されず、公知の
方法を適用することができるが、例えば、キャスティン
グ法、スパッタ法、蒸着法などが例示される。また、こ
の電荷移送層6には、層形成の必要に応じて添加物を含
んでいてもよい。
【0029】対極4としては、例えば、ガラスなどの非
導電性材料からなる基板上に、ITOやFTO等の導電
性酸化物半導体からなる薄膜を形成したもの、あるい
は、基板上に、金、白金、炭素系材料などの導電性材料
を蒸着、塗布などすることにより電極を形成したものを
用いることができる。このような対極4を作製する方法
としては、例えば、塩化白金酸塗布後に熱処理すること
により、白金層を形成する方法が挙げられる。または、
蒸着法やスパッタ法によって電極を基板上に形成しても
よい。また、電解質層5に代えて電荷移送層6を用いた
場合は、該電荷移送層6上に、対極4の電極となる導電
性材料を直接スパッタや塗布などの方法により層形成す
る方法を用いることもできる。
【0030】以下、本発明を具体例により詳しく説明す
る。
【0031】<実施例1>金メッキ配線をアディティブ
法によりピッチ1mm、幅100μm、高さ2μmの格
子状に形成した。金メッキ配線付きFTOガラス電極基
板上に、酸化チタン膜を30nmの厚さにてスパッタ法
により形成した。さらにその上に、TiO 2前駆体とな
る水溶性チタン錯体水溶液(商品名:TASFINE、
フルウチ化学製)をスピンコート法により塗布し(塗布
厚50nm)、450℃、1時間加熱処理することによ
り、電極基板1を得た。得られた電極基板1の上に、T
iO2粒子(平均粒径25nm)分散水溶液を塗布し、
450℃、1時間加熱処理することにより、厚さ10μ
mの酸化物半導体多孔膜2を形成した後、この酸化物半
導体多孔膜2にルテニウム錯体色素(N3)を担持させ
ることにより、電極面積3cm×3cmの作用極3を作
製した。対極4として、白金スパッタFTOガラス電極
基板を用い、この対極4と前記作用極3とを対向させた
状態でクリップにて固定し、対極4と前記作用極3との
間に、毛細管現象を利用して、ヨウ素/ヨウ化物イオン
酸化還元対を含有する電解液を注入し、電解質層5を形
成することにより、試験セル1を作製した。
【0032】<実施例2>金メッキ配線付きFTOガラ
ス電極基板に代えて、100nm厚金スパッタガラス基
板を用い、実施例1と同様の手法により2層のTiO2
緻密層を形成することにより電極基板1を作製した。さ
らに、この電極基板1を用いて、実施例1と同様の手法
により試験セル2を作製した。
【0033】<実施例3>金メッキ配線付きFTOガラ
ス基板上に、SPD法により厚さ500nmのFTO緻
密層を形成した。FTO緻密層の形成は、塩化スズとフ
ッ化アンモニウムを溶解させたエタノール溶液を、40
0℃に加熱された前記金メッキ配線付きFTOガラス基
板上に噴霧することにより行った。さらに、FTO緻密
層の上に、スパッタ法によりTiO2層を30nm厚で
形成し、電極基板1を作製した。さらに、この電極基板
1を用いて、実施例1と同様にして試験セル3を作製し
た。
【0034】<比較例1>金メッキ配線付きFTOガラ
ス基板上に、スパッタ法により遮蔽層13となるTiO
2層を85nm厚で形成し、電極基板1を作製した。さ
らに、この電極基板1を用いて、実施例1と同様にして
試験セル4を作製した。
【0035】<比較例2>金メッキ配線付きFTOガラ
ス基板上に、TiO2前駆体となる水溶性チタン錯体水
溶液(商品名:TASFINE、フルウチ化学製)をス
ピンコート法により塗布し(塗布厚80μm)、450
℃、1時間加熱処理することにより、遮蔽層13となる
TiO2層を形成して電極基板1を得た。さらに、この
電極基板1を用いて、実施例1と同様にして試験セル5
を作製した。
【0036】上述のように作製した各色素増感太陽電池
について、作用極3に0〜−700mV(vs.対極)
の電圧を印加して、暗電流測定を行った。その結果を表
1に示す。表1中、電流の測定値は、電圧が−600m
Vのとき、実施例1の色素増感太陽電池(試験セル1)
における測定値を基準とする比で表した。
【0037】
【表1】
【0038】この結果から明らかなように、実施例1〜
3の色素増感太陽電池(試験セル1〜3)は、比較例の
もの(試験セル4、5)に比して、暗電流を極めて小さ
くすることができた。
【0039】次に、金メッキ配線付きFTOガラス基板
と、実施例1で作製した電極基板1と、比較例1で作製
した電極基板1について、走査電子顕微鏡を用いて金属
配線層12周辺の断面形状を観察した。金メッキ配線付
きガラス基板の金属配線層12は、図3に示すように、
透明導電層11に対して略垂直に切り立っているが、透
明導電層11との境界付近では、メッキ用レジストの裾
引きに起因すると思われる未メッキの食い込み部15が
観察された。実施例1の電極基板1においては、遮蔽層
13は、金属配線層12の食い込み部15の内部まで浸
透して形成されているのに対し、比較例1の電極基板1
の場合、金属配線層12の食い込み部15の周辺で、遮
蔽層13の浸透が不完全となり、金属配線層12の金属
が露出されている箇所があった。
【0040】次に、実施例1で作製した電極基板1と、
比較例2で作製した電極基板1とについて、SEM−E
DX(走査電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分析法)
にを用いて透明導電層11周辺の表面を観察した。その
結果、実施例1の電極基板1においては、スピンコート
法によって形成された表面側の遮蔽層13の表面の所々
にφ0.5〜2.0nm程度の穴(窪み)が確認された
が、その穴の底部にも、スパッタ法によって形成された
内側の遮蔽層13によると思われる酸化チタンの存在が
認められた。これに対し、実施例1の電極基板1におい
ては、スピンコート法によって形成された遮蔽層13の
表面の穴(窪み)の底部に、金属配線層12の露出によ
ると思われる白金の存在が確認された。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の電極基板
を用いることにより、色素増感太陽電池などの光電変換
素子の暗電流を著しく低減することができる。これによ
り、高効率な色素増感太陽電池などの光電変換素子を、
比較的簡便な方法で製造できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の色素増感太陽電池の第1例を示す概
略断面図である。
【図2】 本発明の色素増感太陽電池の第2例を示す概
略断面図である。
【図3】 本発明の電極基板の一例の部分拡大図であ
る。
【図4】 従来の色素増感太陽電池の一例を示す概略断
面図である。
【図5】 従来の色素増感太陽電池の電極基板の一例の
拡大図である。
【符号の説明】
1…電極基板、2…酸化物半導体多孔膜、3…作用極、
4…対極、5…電解質層、6…電荷移送層、10…透明
基板、11…透明導電層、12…金属配線層、13…遮
蔽層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡田 顕一 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 Fターム(参考) 5F051 AA14 CB13 CB15 FA03 FA06 5H032 AA06 AS06 AS16 BB05 CC14 CC16 EE02 EE07 EE16 HH04

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板と、この透明基板上に形成され
    た導電層とを有し、前記導電層の表面を、2層以上の遮
    蔽層にて被覆したことを特徴とする光電変換素子用電極
    基板。
  2. 【請求項2】 前記2層以上の遮蔽層は、少なくとも1
    層が乾式法により形成されており、他のものは湿式法に
    より形成されていることを特徴とする請求項1に記載の
    光電変換素子用電極基板。
  3. 【請求項3】 前記遮蔽層は、酸化物半導体からなるも
    のであることを特徴とする請求項1または2に記載の光
    電変換素子用電極基板。
  4. 【請求項4】 前記導電層は、前記透明基板上に一面に
    形成された透明導電層と、この透明導電層上に設けられ
    た金属配線層とからなることを特徴とする請求項1ない
    し3のいずれかに記載の光電変換素子用電極基板。
  5. 【請求項5】 前記遮蔽層は、前記金属配線層に被覆さ
    れていない透明導電層上における厚さが、金属配線層上
    における厚さに比して低減されていることを特徴とする
    請求項4に記載の光電変換素子用電極基板。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載の電
    極基板を有することを特徴とする光電変換素子。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし5のいずれかに記載の電
    極基板の上に色素担持された酸化物半導体多孔膜を備え
    る作用極と、この作用極に対向して配置された対極とを
    具備し、 前記作用極と対極との間に、酸化還元対を含む電解質層
    が設けられていることを特徴とする色素増感太陽電池。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし5のいずれかに記載の電
    極基板の上に色素担持された酸化物半導体多孔膜を備え
    る作用極と、この作用極に対向して配置された対極とを
    具備し、 前記作用極と対極との間に、p型半導体を主要素とする
    電荷移送層を設けられていることを特徴とする色素増感
    太陽電池。
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