JP4515061B2 - 色素増感太陽電池の製造方法 - Google Patents
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Description
色素増感太陽電池の概略構成は、透明な電極基板の上に、二酸化チタンなどの酸化物半導体微粒子(ナノ粒子)からなり、光増感色素が担持された多孔質膜を有する作用極と、この作用極に対向して設けられた対極とを備え、これら作用極と対極との間に、酸化還元対を含有する電解質が充填されたものである。この種の色素増感太陽電池は、太陽光などの入射光を吸収した光増感色素により酸化物半導体微粒子が増感され、作用極と対極との間に起電力が生じることにより、光エネルギーを電力に変換する光電変換素子として機能する(例えば、特許文献1、非特許文献1など参照)。
透明電極基板の抵抗を下げる手法として、透明導電膜(ITO,FTO等)の形成厚さを厚くすることが考えられるが、抵抗値が十分に下がるほどの厚さで膜形成すると、透明導電層による光吸収が大きくなって、入射光の透過効率が著しく低下し、結果として、やはり光電変換効率の低下が著しくなるおそれがある。
金属配線は、例えば、導電粒子とガラスフリットバインダを主成分とするペーストを印刷して得られる塗膜を500℃程度で焼結することにより得ることができる。このような手法により形成される金属配線の場合、導電粒子同士の融着を妨げず、高い導電性を得ようとするためには、ガラスフリットバインダの配合量を少なくする必要がある。このため、一般に、塗膜の表層や内部にボイドやピンホール等の急激な凹凸や陰が発生しがちであり、金属配線上に緻密かつ均一な遮蔽層を形成するのは極めて困難である。逆に、前記ペーストの塗膜表面の欠陥を抑制するため、バインダであるガラスフリットを配合比を増やせば、多くの場合、金属配線の導電率が著しく低下し、本来の機能を発揮できなくなる。
前記絶縁層を形成する工程の前に、基材表面に凹部を形成する工程と、前記金属配線層の少なくとも一部が前記凹部内に位置するように前記金属配線層を形成する工程を有することが好ましい。
前記絶縁層を形成する工程において、前記絶縁層は、前記金属配線層の上に直接形成することもできる。
前記絶縁層を形成する工程において、前記絶縁層は、前記透明導電層の上に、前記金属配線層のパターンに重ね合わされて、形成することもできる。
前記電極基板において、前記透明導電層の上に、酸化物半導体の薄膜からなる遮蔽層が設けられている場合には、前記絶縁層を形成する工程において、前記絶縁層は、前記遮蔽層の上に、前記金属配線層のパターンに重ね合わされて、形成することもできる。
図1に示すように、本実施の形態の電極基板1は、基材10上に、透明導電層11と、この透明導電層11の上に形成された金属配線層12と、この金属配線層12の表面を被覆する絶縁層14とを備えている。つまり、この絶縁層14により、金属配線層12は、絶縁被覆されている。
透明導電層11を形成する方法としては、透明導電層11の材料に応じた公知の適切な方法を用いればよいが、例えば、スパッタ法、蒸着法、SPD法、CVD法などが挙げられる。そして、光透過性と導電性を考慮して、通常0.001μm〜10μm程度の膜厚に形成される。
電極基板1の光透過性を著しく損ねないためには、特に限定されるものではないが、例えば、各配線の幅を1000μm以下と、細くすることが望ましい。また、金属配線層12の各配線の厚さ(高さ)は、特に制限されないが、0.1〜10μmとすることが好ましい。
金属配線層12の表面は滑らかであることが好ましいが、これよりも、高い導電性を有することが優先され、多少の起伏や凹凸等の存在は差し支えない。
金属配線層12の比抵抗は、少なくとも9×10-5Ω・cm以下、より好ましくは、5×10-5Ω・cm以下であることが望ましい。
耐熱セラミックスとしては、例えば、アルミナ、ジルコニア、シリカから選択される少なくとも1つが例示され、複数種を複合して用いても良い。耐熱セラミックスの耐熱性は、電極基板を作製する際の熱履歴に耐えうる程度が好ましい。
より詳しくは、耐熱セラミックスからなる骨材と、ケイ酸塩、リン酸塩、コロイダルシリカ、アルキルシリケート、金属アルコキシドの少なくとも一種または複数種を含有する結合材を用いて形成することが好ましい。
オーバーコート材料の成膜方法は、工程面、コスト面を考慮すると、印刷法が好ましい。しかしながら、印刷法に限定されるものではなく、スプレー法、浸漬法、ドクターブレード法などでも構わない。
絶縁層14が複数層からなる場合には、複数種類の上記絶縁材を組み合わせて使用しても良い。さらには、複数層ある絶縁層のうちの一層以上が、例えばPbOや、PbO−B2O3といった鉛系の低融点ガラス、あるいは、非鉛系の低融点ガラス等から構成されていても良い。但し、絶縁層が複数層ある場合、少なくとも一層が、上記耐熱セラミックスを主成分とした層であることが必要である。
上述した絶縁層14は、絶縁層を低融点ガラスのみを用いて形成した場合に比べて、耐酸性等の面から優れている。
このように、絶縁膜が安定的にその性能を発揮し、優れた特性をより長く持続することができる。
この例の電極基板1では、金属配線層12が基材10の上に設けられており、透明導電層11は、金属配線層12の上を跨り、該金属配線層12が形成されている領域より広い領域に亘って、形成されている。また、絶縁層14は、透明導電層11の上に、金属配線層12のパターンに重ね合わされて、金属配線層12の上面と側面を被覆するように形成されている。つまり、絶縁層14は、透明導電層11を介して、金属配線層12の上に設けられている。
このような電極基板1によれば、図1に示すような第1の実施の形態の電極基板1と同様に、絶縁層14により金属配線層12を絶縁遮蔽することができるので、漏れ電流の発生が抑制され、優れた特性を有する電極基板1となる。
図4〜図7に示すように、金属配線層12の少なくとも一部が、基材10に形成された凹部10a内に位置している構成も可能である。
ここで、基材表面10bは、透明導電層11および金属配線層12が形成される側の面である。電極基板1が色素増感太陽電池に利用される場合、酸化物半導体多孔層や対極などは、基材表面10b側に配置される。
また、金属配線層12と透明導電層11の位置関係は、特に限定されるものではなく、例えば、図4に示すように、透明導電層11が金属配線層12および基材表面10bの上に形成された構造、図5に示すように、透明導電層11が基材表面10b上に形成されて金属配線層12と接続された構造、図6および図7に示すように、透明導電層11が、凹部10aおよび基材表面10bの上に形成され、金属配線層12が透明導電層11上に形成された構造などが挙げられる。
金属配線層12は、凹部10aの内面に接していてもよく、また、凹部10aの内面と金属配線層12との間に、透明導電層11等の他の層が介在していても良い。
いずれの形態においても、金属配線層12には、顕著な凹凸、陰になる潜り込みやボイド尚が極力ない、滑らかな状態であることが望ましい。また、金属配線層12の表面と基材10の表面10bの段差はなるべく小さいことが望ましい。
図8に示す電極基板1では、基材10上に透明導電層11が形成されており、この透明導電層11上に、所定のパターンにて金属配線層12が形成されている。そして、透明導電層11の上に、酸化物半導体の薄膜からなる遮蔽層13が設けられ、金属配線層12の上に絶縁層14が形成されている。
また、図9に示す電極基板1では、基材10上に、所定のパターンにて金属配線層12が形成されており、この金属配線層12の上に、該金属配線層12が形成された領域より広い領域に亘って、透明導電層11が形成されている。そして、透明導電層11の上に、酸化物半導体の薄膜からなる遮蔽層13が設けられている。さらに、絶縁層14が、遮蔽層13の上に、金属配線層12のパターンに重ね合わされて、金属配線層12の上面と側面を被覆するように形成されている。
図10に示す電極基板1では、基材10上に透明導電層11が形成されており、この透明導電層11上に、所定のパターンにて金属配線層12が形成されている。この金属配線層12上には、絶縁層14が形成されている。そして、遮蔽層13が、透明導電層11の上のみならず、金属配線層12や絶縁層14の上まで跨って形成されている。
金属配線層12と比較すれば問題は小さいが、透明導電層11からの逆電子移動も指摘されていることから、透明導電層11の上を覆うように遮蔽層13を設けることにより、より高い遮蔽効果を得ることができる。
遮蔽層13は、透明導電層11への電子移動を妨げない程度に薄く形成されていることが必要であり、10〜3000nm程度の厚さとすることが好ましい。遮蔽層13の形成方法としては、スパッタ法、蒸着法、スプレー熱分解法(SPD法)、スピンコート法、ディッピング法、ドクターブレード法などが挙げられる。しかし、これらの方法では、遮蔽層13の緻密さや、基材10の表面形状への適応性が必ずしも十分とは言えず、金属配線層12の遮蔽性能を十分に得ることが難しい。このため、遮蔽層13を形成した場合にも、金属配線層12の上に、直接、あるいは、透明導電層11や遮蔽層13等を介して、絶縁層14を形成することが必要である。これにより、金属配線層12の絶縁遮蔽を十分に行うことができる。
湿式法の場合、目的化合物またはその前駆体を含有する液をスピンコート法、ディッピング法、ブレードコート法などの方法により塗布したのち、加熱処理や化学処理などにより目的の化合物に化学変化させることにより、遮蔽層13を得ることができる。前駆体としては、目的化合物の構成金属元素を有する塩類、錯体などが例示される。緻密な膜を得るためには、分散液よりも、溶液のほうが好ましい。
遮蔽層13を形成する他の方法として、例えば、スプレー熱分解法を用い、透明導電層11を有する基材10を加熱した状態で、この基材10に向けて遮蔽層13の前駆体となる物質を噴霧して熱分解させ、目的とする酸化物半導体に変化させることにより、遮蔽層13を形成する方法を用いることもできる。
このようにして、透明導電層11を遮蔽するための遮蔽層13を設けることにより、透明導電層11からの逆電子移動を抑制することができるので、本実施の形態の電極基板を用いることにより、光電変換効率の高い光電変換素子を作製することができる。
例えば、図10に示す電極基板1においては、遮蔽層13を金属配線層12や絶縁層14の保護層としても用いることができる。
このような電極基板1によれば、絶縁層14により、金属配線層12の絶縁遮蔽を行うとともに、第2の透明導電層11bにより、金属配線層12や絶縁層14を保護することができる。また、第1の透明導電層11aに併せて第2の透明導電層11bを有することにより、集電効率の向上が期待できる。
図12に、色素増感太陽電池を構成する光電変換素子の一例を示す。この光電変換素子6は、電極基板1上に、酸化チタンなどの酸化物半導体微粒子からなり、光増感色素が担持された酸化物半導体多孔膜2を有する作用極3と、この作用極3に対向して設けられた対極4とを備える。そして、作用極3と対極4との間には、電解液等の電解質やp型半導体などからなる電荷移送層5が形成されている。本例の光電変換素子6において、前記電極基板1の表面上には、増感色素が担持された酸化物半導体多孔膜2が形成されており、電極基板1と酸化物半導体多孔膜2とにより、光電変換素子6の作用極3が構成される。
なお、図12において、電極基板1は、図1に示す構成の電極基板1を図示したが、特にこれに限定されるものではない。
電極は、例えば、白金膜であれば、塩化白金酸を塗布して熱処理する等の方法が例示できる。また、蒸着法やスパッタ法によって電極を形成してもよい。
また、電荷移送層5が、固体のp型半導体を用いたものである場合は、該電荷移送層5上に、対極4の電極となる導電性材料を直接、スパッタや塗布などの方法により層形成する方法を用いることもできる。
本実施の形態の光電変換素子6によれば、電極基板1の絶縁層14が耐熱セラミックスを主成分とするので、耐熱性や耐酸性などに優れ、製造時の熱履歴によって劣化することがない。このため、金属配線層12が電荷移送層5の電解液などから確実に遮蔽され、金属配線層12の腐食や漏れ電流を効果的に抑制することができる。また、金属配線層12と電解質層5との接触を防止し、腐食や、漏れ電流による出力の低下を抑制し、セル特性を大幅に向上することができる。
〔電極基板の作製〕
以下の手順により、図1に示すような電極基板1を作製した。
透明導電層11および基材10として、100mm×100mmのFTO膜付きガラス基板を用いた。該ガラス基板の表面に、印刷用銀ペースト(焼結後の体積抵抗率が3×10-6Ωのもの)をスクリーン印刷し、10分間のレベリング後、135℃、20分間、熱風循環炉で乾燥し、550℃、15分間かけて焼成して、銀回路からなる金属配線層12を形成した。ここで、金属配線層12の回路幅は500μm、膜厚は5μmとし、集電端子から短冊状に延びる形状にて形成した。CCDカメラを用いて位置合わせを行いながら、金属配線層12と重ね合わせて、スクリーン印刷により、表1に示す5通りのオーバーコート材料をそれぞれ印刷することにより、絶縁層14を形成した。絶縁層14の形成幅は、金属配線層12の幅方向両側に、片側あたり100μmを余剰にとり、ガラス基板の表面からの高さは10μmを目安とした。このため、得られた絶縁層14の金属配線層12からの厚さは約5μmになる。
なお、表1の実施例1−2において、「アルミナ+金属アルコキシド/低融点ガラスペースト」なる記載は、「アルミナ+金属アルコキシド」を主成分とする第1の絶縁層と、「低融点ガラスペースト」を主成分とする第2の絶縁層を積層したことを表す。また、ここで、第2の絶縁層は、PbO−B2O3系の市販の低融点ガラスペーストを用い、スクリーン印刷により第1の絶縁層の上に積層して形成した。また、この場合、第1の絶縁層の厚さは約5μm、第2の絶縁層の厚さは約5μmである。
得られた電極基板1の上に、平均粒径20〜25nmの酸化チタン分散液を塗布し、乾燥後、450℃にて1時間加熱、焼結して、酸化物半導体多孔膜2を形成した。さらに、ルテニウムビピリジン錯体(N3色素)のエタノール溶液中に一晩浸漬して色素担持させ、作用極3を作製した。
対極4として、白金スパッタFTOガラス電極基板を用い、この対極4と前記作用極3とを、50μm厚の熱可塑性樹脂シートをスペーサーとして介在させた状態で対向させ、前記樹脂シートの熱溶融により、両電極3、4を固定した。この際、電解質の注液口とするため、対極4側の一部を空けておいた。この注液口から、0.5Mのヨウ化物塩と0.05Mのヨウ素とを主成分に含むメトキシアセトニトリル溶液を注入して電荷移送層5を形成したのち、周辺部と注液口とを、熱可塑性樹脂シートおよびエポキシ系封止樹脂により本封止し、ガラス用はんだにて集電端子部を形成して、試験セルとなる光電変換素子を作製した。
この試験セルの光電変換特性を、エアマス(AM)1.5、100mW/cm2の擬似太陽光により評価したところ、表1に示す光電変換効率の結果が得られた。
〔電極基板の作製〕
以下の手順により、図3に示すような電極基板1を作製した。
基材10として、100mm×100mmのガラス基板を用い、この表面に、めっき法により、金回路(金属配線層12)を形成した。回路形状は、実施例1と同様であり、回路の厚さは2μmとした。ガラス基板および金回路の上から、スプレー熱分解法により、厚さ1000nmのFTO/ITO複合膜を形成した。さらに、表1の試料1を用い、実施例1と同様にして、金属配線層12のパターンに合わせて絶縁層14を形成した。
〔光電変換素子の作製〕
得られた電極基板1を用いて、実施例1と同様の手順により、試験セルとなる光電変換素子を作製し、光電変換特性を評価したところ、光電変換効率は3.0%であった。
以下の手順により、図6に示すような電極基板1を作製した。
基材10として、100mm×100mmのガラス基板を用い、この表面に、深さ10μm、幅500μmの溝10aを、短冊状の配線パターンに沿って、エッチング形成した。この上から、スプレー熱分解法により、厚さ1000nmのFTO/ITO複合膜を形成した。さらに、実施例1と同様の手法により、銀印刷配線層を形成した。銀配線は、多重印刷により、基材表面10bから2μmの高さまで形成し、金属配線層12の幅は、溝10aの幅よりも片側あたり200μmずつ広くとった。さらに、金属配線層12の上を覆うように、表1の試料1を用い、実施例1と同様にして、金属配線層12のパターンに合わせて絶縁層14を形成した。
〔光電変換素子の作製〕
得られた電極基板1を用いて、実施例1と同様の手順により、試験セルとなる光電変換素子を作製し、光電変換特性を評価したところ、光電変換効率は4.2%であった。
〔電極基板の作製〕
100mm×100mmの耐熱ガラス基板(基材)の表面に、実施例1と同様の手順により、印刷用銀ペーストを用いて金属配線層12を形成したのち、この金属配線層12上に、実施例2と同様の手順により、透明導電層と遮蔽層を兼ねる厚さ1000nmのFTO/ITO複合膜を形成し、電極基板1を作製した。
〔光電変換素子の作製〕
この電極基板1を用いて、実施例1と同様の手順により、試験セルとなる光電変換素子を作製した。この試験セルに注液された電解質を観察したところ、注液直後には茶褐色を呈していたものが、数分後には、ほぼ透明に変わっていた。これは、銀回路の遮蔽が不十分であるため、電解質中のI3 -イオンが、露出されている銀と反応してI-に還元されたものと考えられる。また、この試験セルの光電変換特性を、AM1.5の擬似太陽光により評価したところ、光電変換効率は0.20%であった。
このことから、絶縁層を設けない場合、銀回路の遮蔽が不十分であり、金属配線付き基板の特性を適切に引き出せていないことが判った。
〔電極基板の作製〕
100mm×100mmのFTO膜付きガラス基板の表面に、めっき法により、実施例2と同様にして、金回路(金属配線層)を形成した。この金属配線層上に、実施例2と同様の手法を用いて、透明導電層と遮蔽層を兼ねる厚さ300nmのFTO膜を形成して、電極基板1を作製した。
このようにして形成された電極基板1の表面をSEM、EDXにより観察したところ、金属配線層12の底部でめっきレジストの裾引きに起因すると思われる潜り込みがあり、この潜り込みの陰となる部分にはFTOの被覆が形成されていなかった。
〔光電変換素子の作製〕
この電極基板1を用いて、実施例1と同様の手順により、試験セルとなる光電変換素子を作製して、該光電変換素子の光電変換特性を、AM1.5の擬似太陽光により評価したところ、変換効率は0.41%であった。この場合、金属配線層12の遮蔽が不十分であり、金属配線付き基板の特性を十分に引き出せていないことが判った。
〔電極基板の作製〕
100mm×100mmのFTO膜付きガラス基板の表面に、金属配線層を設けることなく、FTO膜付きガラス基板そのものを電極基板1として用いて、実施例1と同様の手順により、試験セルとなる光電変換素子を作製した。この試験セルの光電変換特性を、AM1.5の擬似太陽光により評価したところ、変換効率は0.23%であった。このことから、金属配線層を設けない場合、電極基板1の抵抗が大きいために光電変換素子の光電変換効率が低下していることが判った。
Claims (6)
- 電極基板と、前記電極基板の表面上に形成された増感色素が担持された酸化物半導体多孔膜と、前記電極基板と対向して設けられた対極との間に形成された電解質層を備え、前記電極基板は、基材上に、金属配線層と、この金属配線層に電気的に接続された透明導電層とを有し、前記金属配線層は、耐熱性の絶縁層により絶縁被覆されたものである色素増感太陽電池の製造方法であって、
アルミナ、ジルコニア、シリカの少なくとも1つを耐熱セラミックスからなる骨材として含み、かつケイ酸塩、リン酸塩、コロイダルシリカ、アルキルシリケート、金属アルコキシドの少なくとも1つを結合材として含むオーバーコート材料を用いて、印刷法により前記絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層が形成された電極基板の上に色素担持された酸化物半導体多孔膜を形成した後、対極と対向させ、間に電解質層を設けて色素増感太陽電池を構成する工程と、を有することを特徴とする色素増感太陽電池の製造方法。 - 前記金属配線層を印刷法により形成することを特徴とする請求項1に記載の色素増感太陽電池の製造方法。
- 前記絶縁層を形成する工程の前に、基材表面に凹部を形成する工程と、前記金属配線層の少なくとも一部が前記凹部内に位置するように前記金属配線層を形成する工程を有することを特徴とする請求項1または2に記載の色素増感太陽電池の製造方法。
- 前記絶縁層を形成する工程において、前記絶縁層は、前記金属配線層の上に直接形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池の製造方法。
- 前記絶縁層を形成する工程において、前記絶縁層は、前記透明導電層の上に、前記金属配線層のパターンに重ね合わされて、形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池の製造方法。
- 前記電極基板において、前記透明導電層の上に、酸化物半導体の薄膜からなる遮蔽層が設けられており、
前記絶縁層を形成する工程において、前記絶縁層は、前記遮蔽層の上に、前記金属配線層のパターンに重ね合わされて、形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池の製造方法。
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