JP2010034158A - 色素増感型太陽電池の光電極構造及びそれを用いた色素増感型太陽電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 透明樹脂基材の片面に、導電性材料からなる集電電極、透明導電膜、金属酸化物半導体膜がこの順に積層して形成され、さらに金属酸化物半導体膜に有機色素が付着され、前記集電電極は、導電性の金属薄膜の細線パターンまたは、導電性の金属薄膜の細線パターンを金属メッキ層により被覆した細線パターンからなり、さらに、前記透明樹脂基材側から前記金属酸化物半導体膜に向かって入射される外部光の入射角度に応じて前記集電電極の細線パターンが影となる前記金属酸化物半導体膜の部分に隣接する前記透明導電膜の表面にのみ、樹脂製の電気絶縁層が配設されていることを特徴とする色素増感型太陽電池の光電極構造。
【選択図】 図1
Description
色素増感型太陽電池の基本構成は、透明基材に設けた透明導電電極(光電極)と、電解質層と、発色剤層(分光増感色素)と、金属酸化物半導体層と、基材に設けた対電極とからなる(例えば特許文献1参照)。
透明導電膜は、透明基材の上に加熱蒸着やスパッタ法などにより金属酸化物半導体を薄く積層したものであり、金属等の良導体に比べて比抵抗が大きいことから、セルの面積が広い場合は、透明導電膜の表面抵抗率をなるべく低くすることが求められる。
この点、特許文献5には、このような技術的課題を解決するために、集電電極に相当する金属配線層を有する色素増感型太陽電池にあって、金属配線層を被覆する絶縁層を設けた色素増感型太陽電池が開示されている。
このような色素増感型太陽電池の電極基板によれば、集電電極に相当する金属配線層により電極基板の低抵抗化を達成しつつ、金属配線層を被覆する低融点ガラス製の絶縁層を設けることにより、金属配線層と電解液とが直接に接触して漏電が起きることや金属配線層の腐食による特性の劣化を抑制することが可能としている。
より具体的には、特許文献5には、絶縁層の形成方法として、金属配線層の上面および両側面に対して、低融点ガラスの溶融液を印刷で塗布した後に、焼成することが開示されている。
このような印刷方法により、金属配線層の両側面をきれいにそろえて塗布することは技術的に困難である。低融点ガラスの粘度を高めれば、流動性が低下する反面、側面部への塗布が困難となり、一方低融点ガラスの粘度を低めれば、側面部への塗布は可能となる反面、流動性が高まって、塗布液の拡散領域が拡がってしまい、絶縁層の塗布面積が必要以上に拡がってしまい、そのために有効な発電領域が狭められてしまうという問題を有している。
より具体的には、特許文献5に開示された色素増感型太陽電池は、ガラス製の透明基材を採用しており、ガラス製の透明基材は、安全性の面から基材の厚み一定以上にして荷重に耐えられるようにするために軽量化を図ることが困難であり、しかも破損しやすいという問題を有している。
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、発電効率の低下を防止することが可能である色素増感型太陽電池を提供することにある。
透明樹脂基材の片面に、導電性材料からなる集電電極、透明導電膜、金属酸化物半導体膜がこの順に積層して形成され、さらに金属酸化物半導体膜に有機色素が付着され、前記集電電極は、導電性の金属薄膜の細線パターンまたは、導電性の金属薄膜の細線パターンを金属メッキ層により被覆した細線パターンからなり、さらに、前記透明樹脂基材側から前記金属酸化物半導体膜に向かって入射される外部光の入射角度に応じて前記集電電極の細線パターンが影となる前記金属酸化物半導体膜の部分に隣接する前記透明導電膜の表面にのみ、樹脂製の電気絶縁層が配設されている構成としている。
従来の印刷法などにより絶縁保護層を形成する場合には、保護層が発電領域を浸食する領域にまで及び、それにより発電効率に悪影響を及ぼすような恐れが生じていた。しかし、本発明によれば、電解液に対して腐食等から集電電極を保護することが可能であるとともに、透明樹脂基材側から金属酸化物半導体膜に向かって入射される外部光の入射角度に応じて集電電極の細線パターンが影となる金属酸化物半導体膜の部分に隣接する前記透明導電膜の表面にのみ、樹脂製の電気絶縁層を配設することにより、集電電極が影となって光起電力を発生しない発電層からの逆放電を防止することにより、発電効率の低下を防止することが可能である。
透明樹脂基材の片面に、透明導電膜、導電性材料からなる集電電極、金属酸化物半導体膜がこの順に積層して形成され、さらに金属酸化物半導体膜に有機色素が付着され、前記集電電極は、導電性の金属薄膜の細線パターンを金属メッキ層により被覆した細線パターンからなり、
さらに、前記透明樹脂基材側から前記金属酸化物半導体膜に向かって入射される外部光の入射角度に応じて前記集電電極の細線パターンが影となる前記金属酸化物半導体膜の部分に隣接する前記集電電極の細線パターンの表面にのみ、樹脂製の電気絶縁層が配設されている構成としている。
より詳細には、集電電極において、導電性の金属薄膜の細線パターンに施した金属メッキ層の最外層を、電解液に対して耐食性を有する貴金属メッキ層により被覆することで、導電性の金属薄膜の細線パターンを被覆するに必要十分な範囲で金属メッキ層を積層することができる。
従来の印刷法などにより絶縁保護層を形成する場合には、保護層が発電領域を浸食する領域にまで及び、それにより発電効率に悪影響を及ぼすような恐れが生じていた。しかし、本発明の耐食性メッキ層を形成することにより、電解液の漏洩あるいは集電電極自体を電解液による腐食から保護することが可能であるとともに、透明樹脂基材側から金属酸化物半導体膜に向かって入射される外部光の入射角度に応じて集電電極の細線パターンが影となる金属酸化物半導体膜の部分に隣接する前記集電電極の細線パターンの表面にのみ、樹脂製の電気絶縁層を配設することにより、集電電極が影となって光起電力を発生しない発電層からの逆放電を防止することにより、発電効率の低下を防止することが可能である。
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池の光電極構造と、この光電極構造に対向して設けられた対極と、両電極間に設けた電解質とを有する構成としている。
特に、電気絶縁層の果たす効果としては、透明樹脂基材から視て集電電極を金属酸化物半導体に投影した影の部分は外部光が入射されず光起電力が発生しない部分であるが、この部分の金属酸化物半導体が、直接、透明導電膜または集電電極に接触するのを防止することにより、外部光が入射された他の箇所で発生した光起電力がこの部分で逆放電し、色素増感型太陽電池のセル全体としての発電効率が低下してしまうのを防ぐことができる。
図1は、本発明による色素増感型太陽電池の光電極の第1形態例を示す概略の部分断面図であり、図2は、本発明による色素増感型太陽電池の光電極の第2形態例を示す概略の部分断面図である。図3は、従来技術による色素増感型太陽電池の光電極を示す部分断面図である。図4は、本発明の色素増感型太陽電池の光電極の細線パターンを例示する部分拡大平面図である。
また、図1において、透明樹脂基材1に向かって入射される外部光の入射角度に応じて細線パターン2,2が影となる金属酸化物半導体膜5の部分に隣接する透明導電膜3の表面にのみ、電気絶縁層4,4が配設されている。より具体的には、透明導電膜3の表面のうち、細線パターン2,2が設けられている位置に対応する凸形状をなす部分は、上面および両側面を有するが、その上面にのみ、電気絶縁層4,4が配設されている。
また、図2において、透明樹脂基材11に向かって入射される外部光の入射角度に応じて細線パターン12が影となる金属酸化物半導体膜15の部分に隣接する細線パターン12の表面にのみ、電気絶縁層14が配設されている。より具体的には、細線パターン12の凸形状をなす部分は、上面および両側面を有するが、その上面にのみ、電気絶縁層14が配設されている。
中でも、フレキシブル性を有する透明樹脂フィルムは、色素増感型太陽電池の取扱い性が優れている点で、好適に用いられる。
透明樹脂1,11に使用される透明樹脂フィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂等からなる厚さ50〜300μmの単層フィルム又は前記透明樹脂からなる複数層の複合フィルムが挙げられる。
なお、必要に応じて、透明樹脂基材1,11の外面(図1,図2の下面)に、耐候性を付与するための樹脂をコートしてもよい。
なお、集電電極の細線パターン2,12は、金属酸化物半導体膜5,15に付着させた増感色素(図示は省略)で発生した光起電力を透明導電膜3,13に導いてから集電するものであって、一般的には色素増感型太陽電池の内部に貯蔵されている電解液(図示は省略)に接触しないようにするため、図1に示す構成では、集電電極の細線パターン2,2を透明導電膜3が覆うように配設され、一方図2に示す構成では、透明導電膜3の表面に集電電極の細線パターン2,2が形成されている。
図4に、本発明の色素増感型太陽電池の光電極のグリッド状の細線パターンを例示している。集電電極の細線パターン2,12の形状は、特に制限されないが、単純なパターン図形が簡単に作成できることから好ましい。
透明導電膜3,13の形成は、加熱蒸着法、スパッタ法、CVD法、プラズマCVD法、イオンプレーティング法、ゾル−ゲル法、ウェットコーティング法などの、公知の薄膜形成方法によって行うことができる。透明導電膜3,13の厚さは、200nm以下、好ましくは100nm以下である。
高い発電効率を得るためには、透明導電膜3,13の全光線透過率はなるべく高く、表面抵抗率はなるべく低いことが望ましい。全光線透過率は、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上である。表面抵抗率は、好ましくは100Ω/□以下、より好ましくは10Ω/□以下である。
また、集電電極の細線パターン2,12は、導電性の金属薄膜の細線パターン、または導電性の金属薄膜の細線パターンの上にメッキ層を積層した、メッキ積層の細線パターンからなる。
このようなメッキ層について、電解液に対する耐食性の観点から、図2に示す構成においては、透明導電膜3の表面に集電電極の細線パターン2,2が形成されているため、メッキ層の最外層に耐食性を有する貴金属メッキ層を被覆する必要があるが、図1に示す構成においては、透明導電膜3が集電電極の細線パターン2,2を覆うように配設されているため、このような耐食性を有する貴金属メッキ層は必ずしも必要ではない。
また、印刷によるパターン化によれば、透明樹脂基材1,11または透明導電膜3,13の上に、インクジェット方式による印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷などの公知の方法にて導電ペーストを印刷して配線パターンを形成し、さらに、必要に応じて加熱焼成して導電ペーストに含有されるバインダーを除去することにより、集電電極の細線パターン2,12の導電性を高めてもよい。
導電性ペーストの材料としては、金、銀、銅、白金、ニッケルなどの電気伝導度の高い金属微粉末を混入させたものが用いられる。
また、銀写真法によるパターン化によれば、透明樹脂基材1,11の上に、銀写真法による露光・現像により現像銀の配線パターンを形成し、さらに必要に応じてその上に無電解メッキまたは電解メッキを施して、導電性の配線パターンを形成してもよい。
集電電極の細線パターン2,12の線幅wを細線化することで、光の回折、散乱等により、線幅wが大きい場合に比して電極基板の全光線透過率が向上し、太陽電池の発電効率を向上させることができる。
また、集電電極の細線パターン2,12の配線間隔p(図1参照)は、通常0.2〜50mmであり、好ましくは5〜30mmである。集電電極の細線パターン2,12の線幅wおよび配線間隔pについては、線幅wを広くし、配線間隔pを狭くするほど光起電力を集電し易くなる。しかし、集電電極の占める面積割合が大きくなる(開口率が低下する)と、入射光が遮られて発電効率が低下するので、発電効率を最適化できるように、集電電極の細線パターン2,12の線幅wおよび配線間隔pの最適値が決められる。
このことにより、色素増感型太陽電池の光電極において、透明樹脂基材から視て集電電極の細線パターンを金属酸化物半導体に投影した影の部分は外部光が入射されず、光起電力が発生しない部分であり、この部分を通して他の箇所で発生した光起電力が放電され、発電効率の低下が生じることを低減することが可能となる。
環状ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂と非晶性樹脂の性質を合わせたような性質を示していて、耐熱性、アルコール等の耐極性溶剤性、寸法安定性、誘電特性に優れていて、吸湿性が極めて低い。また、環状ポリオレフィン系樹脂は、色素増感型太陽電池の電解液に使用される腐食性のヨウ素に対して、耐食性を持っていることから、本発明の電気絶縁層として好適に使用することができる。
具体的には、ノルボネン類とシクロペンタジエンとを縮合することにより製造される1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン類、ヘキサシクロ[6.6.1.1.1.0.0]ヘプタデセン−4類、エチレンとシクロペンタジエンから合成される5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等が挙げられる。
また、本発明に使用できる環状ポリオレフィン系樹脂には、上記に挙げた環状ポリオレフィン系樹脂に、他の樹脂をブレンドして形成したポリマーアロイを用いることも好ましい。
例えば、図2に示す光電極においては、まず、透明樹脂基材11の上に透明導電膜13を形成し、さらに集電電極の細線パターン12,12を形成した、光電極板を用意する。
次に、この光電極板の集電電極12,12の上面に、集電電極の細線パターン12,12の配線パターンに応じた位置になるように、環状オレフィン系樹脂組成物の熱硬化性樹脂溶液を、インクジェット方式による印刷、スクリーン印刷などの方法にて塗布した後、加熱処理を行い、硬化性樹脂を反応硬化させて、電気絶縁層14となる硬化被膜を形成する。
なお、硬化性樹脂の代わりにシリカ粉末を溶解させた塗布液を、集電電極の細線パターン12,12の配線パターンに応じた位置になるように、インクジェット方式による印刷、スクリーン印刷などの方法にて塗布した後、加熱処理を行い電気絶縁層14となる硬化被膜を形成してもよい。
この金属酸化物半導体膜5の膜厚としては、一般的には10nm以上であり、100nm〜20μmが好ましい。
また、有機色素としては、メタルフリーフタロシアニン、シアニン系色素、メロシアニン系色素、キサンテン系色素、トリフェニルメタン色素を用いることができる。
まず、透明樹脂基材1の上に、集電電極の細線パターン2,2が形成され、その上に透明導電膜3、さらに電気絶縁層4,4が形成された光電極基板を用意する(図1参照)。
この光電極基板の上に分光増感色素が担持された金属酸化物半導体膜5を形成する。
金属酸化物半導体膜5の形成には、気相成膜法(真空成膜法)、物理蒸着法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、マグネトロンスパッタリング法、CVD法等の公知の薄膜形成法を用いることができる。
また、分光増感色素の担持は、分光増感色素を適宜の有機溶媒に溶解した溶液中に、常温又は加熱下で金属酸化物半導体膜5を設けた光電極基板を浸漬させればよい。
例えば、電気絶縁層4,14は、図1および図2において、集電電極の細線パターン2,12の上方部分のみに配設されているが、色素増感型太陽電池の光電極10,20の受光面積が極度に狭くならない範囲において、外部入射光の入射角度に応じて電気絶縁層4,14が集電電極の細線パターン2,12の側面部分を覆うように配設してもよい。
また、本発明の色素増感型太陽電池において、軽量で柔軟性を有する透明樹脂基材および樹脂製の絶縁層を採用することにより、軽量で持ち運びに便利であり、落下時等の衝撃性に強いことから、屋内用のポータブルな色素増感型太陽電池ユニットとして利用すればより有利である。特に、室内光を利用することにより、屋外で太陽自然光を利用するタイプと異なり、太陽電池に対する光の入射角度を一定にすることが可能であり、金属酸化物半導体膜のうち、集電電極が影となって光起電力が発生しない部分を常時一定の部分にすることが可能であり、この意味において、逆放電を防止するための樹脂製の絶縁層を設ける範囲を光の入射角度との関係において、限定した部分に制限することが可能である。
(試験・測定装置)
(1)標準光源:ソーラシュミレーター(ペクセル・テクノロジーズ(株)、型式:PEC−L11)
(2)試験装置:電流電圧特性計測装置(ペクセル・テクノロジーズ(株)、型式:PECK2400−N)
(測定方法)
色素増感型太陽電池セルの発電性能の測定:キセノンランプを光源としたソーラシュミレーター(ペクセル・テクノロジーズ(株)、型式:PEC−L11)を用いて、UVカットフィルターと太陽光標準スペクトル(AM1.5)フィルターを通して100mW/cm2の強度の疑似太陽光を、色素増感型太陽電池セルに当てることにより発電性能(短絡電流、開放電圧、フィルファクター(形状因子)、光電変換効率)の測定を行った。
次に示す手順により、図1及び図4に示した色素増感型太陽電池の光電極を用意した。
透明樹脂基材として、厚みが100μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂フィルムを用いた。図4に示した、色素増感型太陽電池セル用の集電電極の細線パターンを作成するため、集電電極の細線パターンは、線幅Wが150μm、集電電極の細線パターンの間隔Pが5mmであって、縦方向の長さL2が100mm、横方向の長さL1が20mm(図4参照)の細線パターンを、スクリーン印刷による印刷方法にて作成した。
次に、スズをドープした酸化インジウム(ITO)からなる透明導電膜を、スパッタ装置を用いて作成した。次に、集電電極の細線パターンの上に、スクリーン印刷の印刷方法により、厚み3μmの電気絶縁層を形成した。今回用いた電気絶縁層は、環状ポリオレフィン系樹脂のうち、熱可塑性ノルボルネン系樹脂を溶媒に溶解したコート剤を用いて形成したものである。
次に、スクリーン印刷の印刷方法により、酸化物半導体層の積層を行なった後、酸化物半導体層に、増感色素(品番:N719)を吸着させた。次に、接着剤を介して光電極と、事前に準備した対極を組み合わせ、最後に電解液を入れて色素増感型太陽電池セルを作成した。
作成した太陽電池セルに、ソーラーシミュレータを用いて試験した結果、出力電圧は0.71V、出力電流は176.0mAであり、フィルファクター(形状因子)は0.72であり、光電変換効率は4.5%であった。
実施例1において、集電電極の細線パターンの上に電気絶縁層を設けない以外は、同様の方法にて色素増感型太陽電池セルを作成し、図3に示すような従来構造を比較例1とした。
作成した比較例1の色素増感型太陽電池セルを試験した結果、出力電圧は0.70V、出力電流は24.6mAであり、フィルファクター(形状因子)は0.58であり、光電変換効率は0.5%であった。
従って、本発明による色素増感型太陽電池の光電極において、透明樹脂基材側から視て少なくとも前記集電電極の細線パターンの形状が投影される部分に電気絶縁層を設けることにより、色素増感型太陽電池の光電変換効率を高めることができる。
Claims (5)
- 透明樹脂基材の片面に、導電性材料からなる集電電極、透明導電膜、金属酸化物半導体膜がこの順に積層して形成され、さらに金属酸化物半導体膜に有機色素が付着され、前記集電電極は、導電性の金属薄膜の細線パターンまたは、導電性の金属薄膜の細線パターンを金属メッキ層により被覆した細線パターンからなり、さらに、前記透明樹脂基材側から前記金属酸化物半導体膜に向かって入射される外部光の入射角度に応じて前記集電電極の細線パターンが影となる前記金属酸化物半導体膜の部分に隣接する前記透明導電膜の表面にのみ、樹脂製の電気絶縁層が配設されていることを特徴とする色素増感型太陽電池の光電極構造。
- 透明樹脂基材の片面に、透明導電膜、導電性材料からなる集電電極、金属酸化物半導体膜がこの順に積層して形成され、さらに金属酸化物半導体膜に有機色素が付着され、前記集電電極は、導電性の金属薄膜の細線パターンを金属メッキ層により被覆した細線パターンからなり、
さらに、前記透明樹脂基材側から前記金属酸化物半導体膜に向かって入射される外部光の入射角度に応じて前記集電電極の細線パターンが影となる前記金属酸化物半導体膜の部分に隣接する前記集電電極の細線パターンの表面にのみ、樹脂製の電気絶縁層が配設されていることを特徴とする色素増感型太陽電池の光電極構造。 - 前記金属薄膜は、写真製法により生成された現像銀層からなる金属薄膜、金属粒子、カーボンナノ粒子もしくはカーボンファイバーの中から選択された1種以上を含有する導電性ペーストを印刷して形成した導電性薄膜、無電解メッキ触媒を含有するペーストを印刷して形成した導電性薄膜、フォトレジストパターンまたは溶剤溶解性の印刷材料を印刷したパターンのいずれかを遮蔽マスクとして用いて金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着を行った後に遮蔽マスクを除去して行なう、剥離(リフトオフ)法により形成した導電性薄膜、金属または金属酸化物のスパッタまたは真空蒸着により製膜された薄膜をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、金属箔をフォトリソ法によりエッチングして形成した導電性薄膜、のいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の色素増感型太陽電池の光電極構造。
- 前記樹脂製の電気絶縁層は、環状ポリオレフィン系樹脂を用いて形成された薄膜である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池の光電極構造。
- 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池の光電極構造と、この光電極構造に対向して設けられた対極と、両電極間に設けた電解質とを有する色素増感型太陽電池。
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